説明

米飯計量供給装置

【課題】 自動的に連続製造する握飯や弁当等における米飯の食感の低下を防止してその品質を向上すると共に米飯の所定量の定量計量を行なう場合において、米飯の主供給部分の機構を利用して残量のつぎ足しの補填供給も行なうようにして米飯の計量供給装置の構成の簡易化を行なうようにする。
【解決手段】 米飯搬送コンベヤ3の米飯を放射状に誘導板6′を設けかつ計量計と連動して高低速に変速できる回転ドラム6内に自重により供給し、米飯の主供給量は回転ドラム6を高速回転して米飯室17を介して計量室17に送込み、残量のつぎ足し補填部分は回転ドラム6を低速回転して供給し、米飯の主供給機構部分において補填供給部分の米飯も正確確実に供給計量するようにして食感のよい米飯を正確かつ迅速に定量供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は握飯、弁当等を製造するために所定量の計量した米飯を連続供給する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粘性のない液体とか、粉体とか、流体とかを定量供給することは比較的容易であり、またこれらの場合において、オーバーした計量分を回収して再度使用することも普通に行われているが、握飯、弁当等に使用する米飯の場合、計量オーバー分を取り出すことが簡単でないと共にこれを再度利用することは、米飯の食感や粘り等が異なり握飯、弁当等の製品品質を低下する原因となる一方、所定量以上に計量供給すれば歩留りが低下する欠陥がある。
【0003】
この欠陥を改善するために、握飯や弁当等の米飯供給は、最初は所定量より少な目の米飯を供給した後、その不足残量分を追加するようにした所謂つぎ足し補填方式が行われている。
【特許文献1】特許第3088718号公報
【特許文献2】特許第3380808号公報
【特許文献3】特開2001−224325号公報
【0004】
しかしながらこれらの従来つぎ足し補填方式は何れも米飯をロール等で圧送しているため、米飯が必要以上に圧着されたり粘られたりして米飯の粘性が増加し、また最初の主供給分と残量の補填追加分との米飯の異和感も加わって食感を低下させると共に、機構的にも米飯の主供給機構と補填追加供給機構とを二箇所に設置しなければならず構成が複雑化し、しかもそのメンテナンス、洗浄清掃、分解組立て操作等も面倒で時間を要する等の欠陥がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの現状に鑑み、本発明は米飯の移送供給中の粘性の増加や最初の主供給分と残量の補填追加分との米飯の異和感による食感の低下を夫々防止して品質のよい米飯を正確に定量供給できるようにすると共にその機構の簡易化を図るようにした米飯計量供給装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、米飯搬送コンベヤの先端部に内側面と回転軸との間に軸方向でかつ放射状に誘導板を有する回転ドラムを回転軸が垂直方向になるように設け、米飯搬送コンベヤ上の米飯をその自重と前記回転ドラムの回転作用とによりその下方に設けた計量秤を有する計量室に送込み計量供給するようにしたことを特徴とするものであり、米飯の食感を損なうことなく、握飯、弁当等に適した品質のよい所定量の米飯を計量供給するようにしたものである。
【0007】
また前記回転ドラムは計量秤と連動せしめて高低速に変換できるように制御することにより、米飯のつぎ足し補填作用をも可能にすると共に米飯の主部分供給機構とつぎ足し補填分供給機構の結合化を図り、その構成の簡易化を行うことができるようにしたものである。
【0008】
更に回転ドラムの下部と計量室との間に扇形状の米飯室を設け、該米飯室の回転ドラムの回転方向側の端面に米飯出口孔を形成せしめて計量室に連通せしめることにより、回転ドラム内の米飯の送出抵抗を極力少なくして計量室に送込むことができ、一層定量供給米飯の食感と品質を向上することができる。
【0009】
更に上部を米飯室と連通せしめた計量室の一側に計量秤と連動して作動する送出プッシャーを、他側に排出口を形成することにより、計量した所定量の米飯を円滑確実に供給することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明は供給される米飯をその自重と放射状の誘導板を有する回転ドラムの回転とによる合成作用によって米飯に必要以上の圧力、滑り及び練り作用が作用することを可及的に防止して米飯を回転ドラム内を移送しながら定量供給できるようにして手作りの握飯、弁当と同じような食感のよい握飯、弁当等に適した品質のよい所要量の米飯を連続して円滑に計量供給することができる。
【0011】
また前記回転ドラムを計量秤と連動せしめて高低速に変換可能に制御する時には、大部分の米飯を円滑迅速に計量室に高速供給することができると共に回転ドラムを低速回転する時は、引続いて同一部分において残量の米飯のつぎ足し補填供給も連続して行うことができ、計量秤による計量精度を効率よく正確かつ円滑に行うことができ、特にこれらの米飯供給機構の簡易化により、部品点数の節減、洗浄、分解組立操作、メンテナンス等を簡略化するとこができる。
【0012】
更に回転ドラムの下部と計量室との間に回転ドラムの回転方向の端面に米飯出口孔を形成した扇形状の米飯室を設けたことにより、回転ドラムの回転作用により米飯室の米飯をその断面形状と同じ断面を保持した状態で円滑容易に計量室に送込むことができ、移送中の米飯に必要以上の圧力、滑り及び練り作用が加わることを極力防止して、一層手作りに近い食感のよい米飯で握飯や弁当を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施の形態を実施例の図面について説明すると、前端上部に第1送込み回転羽根1と第2送込み回転羽根2を設けた米飯搬送コンベヤ3の先端部下方には、夫々内側面と回転軸4との間に2〜4枚の誘導板5′・6′を軸方向かつ放射状に設けた上部回転ドラム5と回転ドラム6とが垂直状態に連設されると共に上部回転ドラム5と回転ドラム6との間にはセンサー7が設けられ、該センサー7は米飯搬送コンベヤ3を制御し、米飯が回転ドラム6に満杯になると米飯搬送コンベヤ3の送込み作用を停止し、所定のスペースが空くと再び送込み作用を開始するように構成されている。
【0014】
前記上部回転ドラム5及び回転ドラム6の回転軸4は特に後述の計量秤の計量作用と連動して高低速に制御自在に形成されており、例えば握飯の米飯総供給量が100gの場合には計量秤による計量が80gになるまでは回転ドラム5・6を高速回転して供給し、残部の米飯は20gは低速回転して供給するように予め設定し、残部の少量の補填追加分を徐々に計量秤に供給してその計量作用が円滑かつ正確にできるようにしている。
【0015】
また前記回転ドラム6の下部には回転軸4の軸受部8を設けかつ回転ドラム6の円周部下縁を支承すると共に略270度の扇形状の米飯室9を形成した米飯受盤10が設置されており、更に前記米飯室9の回転ドラム6の回転方向側の一端面には米飯室9の断面と同形状の米飯出口孔11が設けられると共に他端面は傾斜面12に形成されている。
【0016】
前記米飯受盤10の下部には前記米飯出口孔11と連通しかつ該連通部分に第3送込み回転羽根14を有するガイド筒15が垂直状に設けられており、該ガイド筒15の下端部には底部に電子秤等の計量秤16を設けた計量室17が設けられており、前記計量秤16は前述の通り回転ドラム6の回転を予め設定された米飯総供給量に応じて高低速に変換制御できるように構成されている。また前記計量室17の一側部には計量秤16と連動して作動する送出プッシャー18が設けられており、計量室17内で計量された米飯をプッシャー18で他側部に設置された送込み筒19に送出するように構成されている。
【0017】
しかして送込み筒19の下部は間歇回動する握飯成型円盤20の成型孔21の上部に位置しており、送込み筒19に送出された計量米飯を押込みプッシャー22で成型孔21に供給するように構成されている。
【0018】
前記第3送込み回転羽根14の作動は、計量秤16と連動して計量秤16の計量値が所定の設定重量に達すると米飯の送込み作用を停止するように制御されており、またその回動方向は図4の方向と逆方向に回動することもできる。
【0019】
なお前記回転ドラム6の高低速度は、例えば径160mmの回転ドラムの場合高速は毎分50〜60回転、低速は10〜20回転程度とするのが好ましく、また、米飯室9の扇形状の角度は230〜280度が好適である。
【0020】
本発明は上記のように構成されているから、米飯搬送コンベヤ3上の米飯は第1送込み回転羽根1及び第2送込み回転羽根2で上部回転ドラム5を介して回転ドラム6内に落下し、その回転と誘導板6′の回動により下部の米飯室9から回転ドラム6内に順次収納され回転ドラム6が満杯になるとセンサー7がこれを検知して米飯搬送コンベヤ3を停止して米飯の供給を中止する。
【0021】
この状態において更に回転ドラム5・6が回転すると、米飯室9内の米飯はその自重と回転ドラム6の回動作用により米飯出口孔11から米飯室9の断面形状を保持された状態でガイド筒15に順次送出され、次いで第3送込み回転羽根14で計量室17に落下し計量秤16で計量される。
【0022】
そしてその計量値が予め設定した、例えば80gに達すると回転ドラム6は高速回転から低速回転に変換され、残りの補填追加分20gを徐々に計量秤16で供給計量し、所定の100gが計量されると、計量秤16からの信号により第3送込み回転羽根14は停止され、次いで送出プッシャー18が作動し計量室17内の米飯を送込み筒19を介して成型円盤20の成型孔21に押込みプッシャー22で供給するものであり、以下前記同様の作用を順次繰返して連続的に所定量の米飯を計量供給するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の縦断正面図。
【図2】本発明の回転ドラムの斜視図。
【図3】本発明の米飯受盤の斜視図。
【図4】本発明の要部の断面図。
【符号の説明】
【0024】
3 米飯搬送コンベヤ
6 回転ドラム
6′ 誘導板
9 米飯室
10 米飯受盤
11 米飯出口孔
16 計量秤
17 計量室

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米飯搬送コンベヤの先端部に内側面と回転軸との間に軸方向でかつ放射状に誘導板を有する回転ドラムを回転軸が垂直方向になるように設け、米飯搬送コンベヤの米飯を回転ドラムの下方に設けた計量計を有する計量室に送込み計量供給するようにしたことを特徴とする米飯計量供給装置。
【請求項2】
回転ドラムを計量秤と連動せしめて高低速に変換可能に制御し、大部分の米飯を高速供給し、残部の補填米飯を低速供給して計量室に送込むようにしたことを特徴とする請求項1記載の米飯計量供給装置。
【請求項3】
回転ドラムの下部に該回転ドラムの回転方向の端面に米飯出口孔を形成した扇形状の米飯室を設置し、前記米飯出口孔の外側を計量室に連通せしめたことを特徴とする請求項1又は請求項2何れか記載の米飯計量供給装置。
【請求項4】
上部を米飯室と連通した計量室の一側に計量秤の計量作用と連動して作動する送出プッシャーを、他側に排出部を形成したことを特徴とする請求項1乃至請求項3何れか記載の米飯計量供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−81459(P2006−81459A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−269137(P2004−269137)
【出願日】平成16年9月16日(2004.9.16)
【出願人】(591165942)市川工業株式会社 (9)
【Fターム(参考)】