説明

籾摺選別機

【課題】揺動選別板型籾摺選別機において、自動作業停止後の籾摺作業の再開を円滑にする。
【解決手段】
混合米選別部(3)の揺動選別板(15)の揺下側側壁に開口した籾排出口から選別籾を取り出し、籾スロワ(27)を経由して籾摺部(1)に揚穀還元可能に構成し、揺動選別板(15)の横方向の傾斜角度を調節する選別板角度調節モータ(M2)を設け、籾摺部(1)の籾ホッパ(6)の籾無しを検出する籾無し検出手段(SE5)を設ける。籾無し検出手段(SE5)の籾無し検出に基づき、選別板角度調節モータ(M2)により揺動選別板(15)の横傾斜角度を緩傾斜側に調節し、循環/排出切換モータ(M4)により循環/排出切換弁(34)を循環側に切り換え、主モータ(M1)をOFFにするコントローラ(40)を設る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、籾摺選別機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
揺動選別板を縦方向及び横方向共に傾斜させて横方向斜め上下に往復揺動し、揺動選別板の排出側端部に対向させて選別玄米と選別混合米を仕切る玄米仕切板を横方向に移動調節自在に設け、揺動選別板における揺下側側壁の排出側寄りに籾取出口を設けて選別籾を取り出し、籾スロワを経由して籾摺部に還元するようにしたものは、公知である(特許文献1)。
【0003】
揺動選別型籾摺選別機において、籾摺部の籾ホッパに籾の有無を検出する籾センサを設け、籾センサの籾なし検出に関連して、籾摺選別機駆動用の主モータの駆動を停止する自動作業停止手段を設けたものは、公知である(特許文献2)。
【特許文献1】特開2005−334814号公報
【特許文献2】特開2008−6412号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の揺動選別板における揺下側側壁の排出側寄りの籾取出口から選別籾を取り出し、籾スロワにより籾摺部に還元する籾摺選別機において、特許文献2の籾ホッパの籾無し検出に関連して籾摺選別機駆動用の主モータの駆動を停止する制御をすると、停止時に揺動選別板の籾取出口から選別籾が流下し、籾スロワに穀粒の詰まりが生じるという不具合が発生する。そこで、本発明はこのような不具合を解消し、作業自動停止後における籾スロワの穀粒の詰りを防止し、籾摺作業の再開を円滑に行なうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記問題点を解決するために、この発明は次のような技術的手段を講じた。
請求項1の発明は、籾摺部(1)、摺落米風選部(2)、揺動選別板型の混合米選別部(3)、混合米揚穀機(4)、玄米揚穀機(5)及び籾スロワ(27)、及び、これらを駆動する主モータ(M1)を備えた籾摺選別機において、前記混合米選別部(3)の揺動選別板(15)の揺下側側壁に開口した籾排出口31aから選別籾を取り出し前記籾スロワ(27)を経由して前記籾摺部(1)に揚穀還元可能に構成し、前記揺動選別板(15)の横方向の傾斜角度を調節する選別板角度調節モータ(M2)を設け、前記混合米選別部(3)には選別穀粒を機内循環あるいは機外排出に切り換える循環/排出切換弁(34)を設けて循環/排出切換モータ(M4)により切り換え可能に構成し、前記籾摺部(1)の籾ホッパ(6)の籾無しを検出する籾無し検出手段(SE5)を設け、
前記籾無し検出手段(SE5)の籾無し検出に基づき、前記選別板角度調節モータ(M2)により揺動選別板(15)の横傾斜角度を緩傾斜側に調節し、循環/排出切換モータ(M4)により循環/排出切換弁(34)を循環側に切り換え、主モータ(M1)をOFFにするコントローラ(40)を設けたことを特徴とする籾摺選別機とする。
【0006】
前記構成によると、籾摺部(1)、摺落米風選部(2)、揺動選別板型の混合米選別部(3)、混合米揚穀機(4)、玄米揚穀機(5)及び籾スロワ(27)を主モータ(M1)により駆動し、籾摺選別作業を開始すると、混合米選別部(3)の揺動選別板(15)の揺下側側壁に開口した籾排出口31aから選別籾を取り出し、籾スロワ(27)を経由して籾摺部(1)に揚穀還元する。籾摺作業中に、籾無し検出手段(SE5)が籾ホッパ(6)の籾無し検出をすると、コントローラ(40)から作業停止指令を出力し、選別板角度調節モータ(M2)により揺動選別板(15)の横傾斜角度を緩傾斜側に調節し、循環/排出切換モータ(M4)により循環/排出切換弁(34)を循環側に切り換え、主モータ(M1)をOFFにし、籾摺選別作業を自動停止する。
【0007】
請求項2の発明は、籾摺選別作業の自動停止後に前記主モータ(M1)がONし籾摺選別作業を再開すると、前記選別板角度調節モータ(M2)により揺動選別板(15)の横傾斜角度を急傾斜側に調節して前回作業時の横傾斜角度に復帰させさせるコントローラ(40)を設けたことを特徴とする請求項1記載の籾摺選別機の作業自動停止装置とする。
【0008】
前記構成によると、籾摺選別作業の自動停止後に、主モータ(M1)がONし籾摺選別作業を再開すると、コントローラ(40)から作業再開指令を出力し、選別板角度調節モータ(M2)により揺動選別板(15)の横傾斜角度を急傾斜側に調節して前回作業時の横傾斜角度に復帰させ、籾摺選別作業を再開する。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明は、籾ホッパ(6)の籾無し検出に基づき籾摺選別作業の自動停止をするときには、揺動選別板(15)の横傾斜角度を緩傾斜側に調節して主モータ(M1)を停止させるので、揺動選別板(15)の揺下側側壁に開口した籾排出口31aから選別籾の流出を防止し、作業再開時における籾スロワ(27)の穀粒の詰りを防止することができる。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1記載の発明の前記効果に加えて、籾摺選別作業の自動停止後の作業再開時には、揺動選別板(15)の横傾斜角度を急傾斜側に調節し前回作業時の状態に戻すので、揺動選別板(15)の選別作業を迅速に適正化し作業を再開することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、図面に示すこの発明の実施形態について説明する。
まず、図1に基づきこの発明を具備する籾摺選別機の全体構成について説明する。
籾摺選別機は、機体の前側上部に配置した籾摺部1、籾摺部1の後側に配置した摺落米風選部2、摺落米風選部2の後側に配置した揺動選別板型の混合米選別部3、摺落米を揚穀する混合米揚穀機4、混合米選別部3の選別玄米を機外に取り出す玄米揚穀機5、混合米選別部3の選別籾を籾摺部1に揚穀還元する籾スロワ27等により構成されている。
【0012】
籾摺部1は籾摺ロール型に構成されていて、籾ホッパ6と、一対の籾摺ロール7,7と、籾摺ロール7,7の下方に設けられている振動型の摺落米移送棚8等により構成されている。籾ホッパ6の籾は籾摺ロール7,7で籾摺されて摺落米移送棚8に落下供給され、振動している摺落米移送棚8により後側に移送され、摺落米風選部2に供給される。
【0013】
摺落米風選部2は、摺落米風選箱体9、摺落米風選箱体9内に上下方向に配設されている摺落米選別風路10、摺落米選別風路10の中途部下方に設けられている粃受樋11、摺落米選別風路10の始端部である下側部に設けられている摺落米受樋12、摺落米選別風路10の終端部である上側部に配設されている唐箕13、排塵筒14等により構成されている。
【0014】
次に、揺動選別型の混合米選別部3について説明する。多段の揺動選別板15,…には、板面に選別用の凹凸が形成されていて、縦方向の一側を高い供給側、他側を低い排出側とし、縦方向に直交する横方向の一方側を高い揺上側、反対側を低い揺下側として、揺動選別板15の縦横2方向ともに傾斜した構成とし、揺動選別板15,…を前後揺動アーム(図示省略)、揺動装置(図示省略)により横方向斜め上下に往復揺動される構成である。この揺動選別板15,…の供給側には供給口が構成されていて、摺落米受樋12に風選された混合米が混合米揚穀機4,混合米タンク24,分配供給樋16及び分配ケース17を経由して揺動選別板15,…に供給する構成である。
【0015】
また、揺動選別板15,…の揺下側側壁の排出側部分には籾排出口31aを切り欠き構成して選別籾を揺下側に取り出し、籾還元流路31を経て籾スロワ27に供給すように構成している。
【0016】
揺動選別板15,…に供給された混合米は、粒形の大小,比重の大小,摩擦係数の大小等の関係で、比重の重い小形の玄米は揺上側に偏流分布し、玄米に比較して大形で比重の軽い籾は、揺下側に偏流分布し、その中間部には分離されない籾・玄米の混合米が分布しながら選別される。そして、これらの選別穀粒は、揺動選別板15の排出側に設けられている玄米仕切板18及び籾仕切板19で仕切られて取り出される構成である。
【0017】
取り出された選別玄米は、玄米取出樋20,玄米流路21,玄米揚穀機5を経て機外に取り出される。また、取り出された選別混合米は混合米取出樋22,混合米流路23,摺落米受樋12,混合米揚穀機4,混合米タンク24,分配供給樋16,分配ケース17を経て、揺動選別板15,…に供給されて再選別される。
【0018】
また、揺動選別板15,…の揺下側に偏流分離された選別籾のうち揺下側側壁に沿って流下したものは、籾排出口31aから籾還元流路31に取り出され、また、揺下側側壁よりも揺上側を流下したものは揺動選別板15,…の排出側端部から籾仕切板18により仕切られて、籾取出樋25に取り出される。このようにして取り出された選別籾は、籾流路26,籾スロワ27を経て籾摺部1に揚穀還元され、再度の籾摺がなされる。なお、摺落米風選部2で粃受樋11に選別された粃は、籾スロワ27に送られ、混合米選別部3の選別籾と共に籾摺部1に揚穀還元される。
【0019】
また、籾摺ロール7,7のロール間隙を調節自在に構成されていて、ロール間隙調節モータM3を正転あるいは逆転することにより、開閉調節できる構成である。
次に、図2に基づき操作パネル40について説明する。
【0020】
籾摺選別機の操作パネル40には、運転/停止スイッチSW1、自動入切スイッチSW2、ロール間隙開調節スイッチSW3、ロール間隙閉調節スイッチSW4、負荷電流値と電圧値を切り換え表示する表示切換スイッチSW5、籾摺作業を自動停止する自動停止スイッチSW6を設け、また、負荷電流値や電圧値を表示するデジタル表示部41a、主モータM1の負荷電流値を表示するモータ負荷表示部41b、籾摺ロールのロール間隙を表示するロール間隙表示部41c、自動入りランプ41d、自動停止入りランプ41e、自動停止切りランプ41fを設けている。
【0021】
次に、図3に基づき制御ブロック構成について説明する。
CPUを内臓したコントローラ40の入力側には、各種スイッチとして、運転/停止スイッチSW1、自動入切スイッチSW2、ロール間隙開調節スイッチSW3、ロール間隙閉調節スイッチSW4、表示切換スイッチSW5、自動停止スイッチSW6を接続している。また、各種センサとして、籾供給調節弁33の弁開度を検出する弁開度センサSE1、籾供給調節弁33の開閉を検出するシャッタ開閉センサSE2、循環/排出切換弁34の循環切換を検出する循環センサSE3、排出切換を検出する排出センサSE4、主モータM1の負荷電流値を検出する負荷電流センサSW5を接続している。
【0022】
コントローラ40の出力側には、主モータM1、選別板角度調節モータM2、ロール間隙調節モータM3、循環/排出切換モータM4を接続し、また、デジタル表示部41a、モータ負荷表示部41b、ロール間隙表示部41c、自動入りランプ41d、自動停止入りランプ41e、自動停止切りランプ41fを接続している。
【0023】
次に、図4に基づき籾ホッパ6の籾切れ時における籾摺作業自動停止制御について説明する。
揺動選別板15,…の揺下側に偏流分離した選別籾のうち、揺下側側壁に沿って流下したものを籾排出口31aから籾還元流路31に取り出し、また、揺下側側壁よりも揺上側を偏流流下したものを揺動選別板15,…の排出側端部から籾仕切板18により仕切って籾取出樋25に取り出し、籾スロワ27を経由して籾摺部1に還元する籾摺選別機において、揺動選別板15,…の横方向傾斜角度を選別板角度調節モータM2により調節可能に構成している。そして、負荷電流センサSE5が作業停止基準値より低い負荷電流値を検出し、籾ホッパ6に籾無しと判定することに関連して、選別板角度調節モータM2により揺動選別板15の横傾斜角度を緩傾斜側に調節し、循環/排出切換モータM4により循環/排出切換弁34を循環側に切り換え、主モータM1をOFFにし、籾摺作業を自動的に停止させるものである。
【0024】
図4に示すように、作業自動停止制御が開始すると、運転/停止スイッチSW1をONし(ステップS1)、籾摺選別作業を開始する(ステップS2)。次いで、負荷電流センサSE5の検出負荷電流値が作業停止基準値より低いか否かにより、籾ホッパ6に籾が無くなったか否かを判定し(ステップS3)、Noの場合には、ステップS2に戻り、Yesの場合には、自動停止スイッチSW6がONの自動停止モードか否かを判定する(ステップS4)。
【0025】
Noの場合には、運転/停止スイッチSW1をOFFするまで主モータM1を駆動し、籾摺選別作業を継続する。また、Yesの場合には、選別板角度調節モータM2により揺動選別板15の横傾斜角度を緩傾斜側に調節し(ステップS6)、次いで、循環/排出切換モータM4により循環/排出切換弁34を循環側に切り換え(ステップS7)、次いで、主モータM1をOFFにし、籾摺作業を自動停止させ(ステップS8)、自動停止スイッチSW6をOFFにし、作業自動停止モードをOFFにする。
【0026】
次いで、運転/停止スイッチSW1がONか否かの判定をし(ステップS10)、Yesであると、主モータM1をONし(ステップS11)、揺動選別板15の横傾斜角度を急傾斜側に調節し、前回作業時の横傾斜角度に復帰させる(ステップS12)。次いで、残留穀粒の選別処理工程を所定時間実行して、残留穀粒が全量玄米になると、循環/排出切換弁34を排出側に切り換え、選別玄米を機外に取り出し籾摺選別作業を終了する。
【0027】
なお、籾ホッパ6の籾無しを検出するにあたり、籾ホッパ6に籾無しセンサ(図示省略)を設け、籾ホッパ6の籾無し検出するように構成してもよい。
前記構成によると、籾摺作業の自動停止時には、揺動選別板15の横傾斜角度を緩傾斜側に調節して主モータM1を停止させるので、揺動選別板15から籾排出口31aへの選別籾の落下を防止し、作業再開時における籾スロワ27の穀粒の詰りを防止することができる。また、作業再開時には、揺動選別板15の横傾斜角度を急傾斜側に調節して前回作業時の状態に戻すので、揺動選別板15の選別作業を迅速に適正化しながら再開することができる。
【0028】
また、籾ホッパ6の籾無し検出に関連して主モータM1を停止するにあたり、籾仕切板19の仕切り位置を籾仕切り位置センサ(図示省略)により検出し、籾仕切板19の仕切り位置が揺上側で選別籾の分布幅が広い場合には、籾無し検出から主モータM1の停止までの時間を長くし、また、籾仕切板19の位置が揺下側で選別籾の分布幅が狭い場合には、籾無し検出から主モータM1の停止までの時間を短くすると、籾摺作業再開時における籾スロワ27の穀粒の詰まりを防止することができる。
【0029】
籾摺作業自動停止制御の他の実施例について説明する。
混合米選別部3の混合米タンク24には、タンクの空状態を検出する混合米空センサSE6を設け、作業自動停止制御が開始すると、運転/停止スイッチSW1をONし、籾摺選別作業を開始する。次いで、負荷電流センサSE5の検出負荷電流値により、籾ホッパ6に籾が無くなったか否かを判定し、籾無しの場合にで、且つ、混合米空センサSE6が混合米タンク24の空を検出すると、自動停止スイッチSW6がONの自動停止モードか否かを判定する。
【0030】
自動停止モードの場合には、循環/排出切換モータM4により循環/排出切換弁34を循環側に切り換える。次いで、所定時間(例えば5分)経過しても、オペレータが循環/排出切換弁34を排出側に切り換えない場合には、揺動モードM5を停止して揺動選別板15を停止する。次いで、所定時間(例えば5分)経過しても、オペレータが循環/排出切換弁34を循環側に切り換えない場合には、主モータM1をOFFにし、籾摺部1、摺落米風選部2、混合米揚穀機4、玄米揚穀機5及び籾スロワ27を停止し、籾摺作業を自動停止させる。
【0031】
前記構成によると、作業能率を高めながら無人運転をすることができる。
次に、図5により籾摺ロール7,7のロール間隙制御について説明する。
コントローラ40に電源が供給されると、籾摺ロール7、7の初期間隙設定制御が実行される。初期間隙設定制御が開始されると、主モータM1が起動されているか否かを判定し、主モータM1が起動されていると、ロール間隙調節モータM3によりロール間隙を開調節しながら負荷電流センサSE5により負荷電流値を検出し、検出負荷電流値が変化しなくなると、籾摺ロール7,7の非接触状態と判定し、ロール間隙の開調節を停止する。次いで、籾摺ロール7,7のロール間隙を閉調節しながら負荷電流センサSE5により負荷電流値を検出し、負荷電流値の増加を検出すると、籾摺ロール7,7の微接触と判定し、ロール間隙の閉調節を停止する。次いで、所定時間(例えば8秒)にわたりロール間隙を開調節し、所定の初期ロール間隙(例えば、0.8mm)に設定する。
【0032】
ロール間隙の初期間隙設定が終了すると、図7に示すように、負荷電流値基準によるロール間隙制御に移行する。すると、初期間隙設定の負荷電流値(A)に対して籾供給調節弁33の弁開度に応じた作業基準負荷電流値(AP)を所定の計算式により算出決定し、ロール間隙制御を開始する。籾摺作業中に籾摺ロールの摩耗により順次検出負荷電流値が減少し、所定時間(t秒)後に検出負荷電流値が閉調節基準負荷電流値(A1)になると、ロール間隙調節モータM3により基準閉調節時間にわたりロール間隙を閉調節し、検出負荷電流値を作業基準負荷電流値(AP)に復帰させ、次いで、タイマ制御によるロール間隙制御に移行する。
【0033】
タイマ制御のロール間隙制御に移行すると、タイマ時間(T)がセットされ、タイマ残時間が0になると、ロール間隙調節モータM3を基準閉調節時間駆動してロール間隙を所定間隙閉調節し、以後も順次同様の閉調節をする。
【0034】
前記構成によると、ロール間隙の初期間隙設定後に、初めに負荷電流値基準によるロール間隙制御を実行し、安定した状態でタイマ制御によるロール間隙制御に移行するので、タイマ制御によるロール間隙制御の精度を高めることができる。
【0035】
また、図6に示すように構成してもよい。ロール間隙の初期間隙設定後に、初めに負荷電流値基準によるロール間隙制御を実行し、次いで、タイマ制御によるロール間隙制御に移行するロール間隙制御において、所定時間(例えば1時間)後にタイマ時間終了後のロール間隙基準閉調節時に、検出負荷電流値が「AP+b」になり、作業基準負荷電流値が「AP」から「AP+a」に上昇した場合には、その後のタイマ時間終了後の基準閉調節を例えば次のように実行する。「[t]×[b/(a+b)」のように、負荷電流値の上昇を押さえるような閉調節をすることにより、作業基準負荷電流値(AP)に近似したものに調節復帰させることができる。前記構成によると、ロール間隙制御の精度を高めながらタイマ制御によるロール間隙制御をすることができる。
【0036】
次に、図7に基づき籾スロワ27の他の実施例について説明する。
籾スロワ27、揚穀羽根27aと、揚穀羽根27aを回転自在に軸架している揚穀ケース27bと、揚穀ケース27bに接続した揚穀筒体27cにより構成している。そして、粃受樋11の粃螺旋11aの一側端に揚穀羽根27aを取り付け、粃受樋11に選別された粃を籾スロワ27に供給可能に構成している。また、揚穀ケース27bの側壁には複数の穀粒流出口27e,…を開口し、穀粒流出口27e,…には後側から前側になるほど側方に広がる穀粒ガイド面27f,…を設けている。また、籾スロワ27には還元ホッパ36を取り付け、揺動選別板15からの選別籾を後側から前側に向けて流下しながら供給するように構成している。
【0037】
前記構成によると、籾スロワ27の揚穀羽根27aが反時計方向に回転すると、選別籾や選別粃を籾摺部1に揚穀することができる。また、揚穀羽根27aの停止中は、揚穀ケース27bの穀粒流出口27e,…から穀粒が流出し下方の摺落米受樋12に落下し、籾スロワ27の再起動時の穀粒の詰りを防止することができる。
【0038】
次に、図8に基づき還元ホッパ36の他の実施例について説明する。還元ホッパ36の傾斜底板には、シャッタ36aを開閉自在に設けている。このシャッタ36aには機外から操作できる操作レバー36bを取り付け、また、シャッタ36aにバネ36cを取り付け閉鎖しがちに押圧付勢している。前記構成によると、バネ36cに抗して操作レバー36bを押し下げると、シャッタ36aは開口し、穀粒を下方の摺落米受樋12に落下させ、穀粒の詰りを防止することができる。
【0039】
また、図9に示すように、シャッタ36aをシャッタ開閉モータM6により開閉するように構成してもよい。また、図10に示すように、還元ホッパ36の傾斜底板に沿わせてシャッタ36aを往復開閉自在に設け、シャッタ開閉モータM6により開閉するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】籾摺選別機の全体の切断側面図。
【図2】操作パネルの正面図。
【図3】制御ブロック図。
【図4】制御フローチャート。
【図5】籾摺ロールのロール間隙制御時の負荷電流値の変化を示す図。
【図6】籾摺ロールのロール間隙制御時の負荷電流値の変化を示す図。
【図7】籾スロワの斜視図、切断平面図。
【図8】還元ホッパの背面図、側面図。
【図9】還元ホッパの背面図、側面図。
【図10】還元ホッパの背面図、側面図。
【符号の説明】
【0041】
1 籾摺部
2 摺落米風選部
3 混合米選別部
4 混合米揚穀機
5 玄米揚穀機
6 籾ホッパ
7 籾摺ロール
15 揺動選別板
27 籾スロワ
34 循環/排出切換弁
M1 主モータ
M2 選別板角度調節モータ
M4 循環/排出切換モータ
SE5 籾無し検出手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾摺部(1)、摺落米風選部(2)、揺動選別板型の混合米選別部(3)、混合米揚穀機(4)、玄米揚穀機(5)及び籾揚穀機(27)、及び、これらを駆動する主モータ(M1)を備えた籾摺選別機において、前記混合米選別部(3)の揺動選別板(15)の揺下側側壁に開口した籾排出口から選別籾を取り出し前記籾スロワ(27)を経由して前記籾摺部(1)に揚穀還元可能に構成し、前記揺動選別板(15)の横方向の傾斜角度を調節する選別板角度調節モータ(M2)を設け、前記混合米選別部(3)には選別穀粒を機内循環あるいは機外排出に切り換える循環/排出切換弁(34)を設けて循環/排出切換モータ(M4)により切り換え可能に構成し、前記籾摺部(1)の籾ホッパ(6)の籾無しを検出する籾無し検出手段(SE5)を設け、前記籾無し検出手段(SE5)の籾無し検出に基づき、前記選別板角度調節モータ(M2)により揺動選別板(15)の横傾斜角度を緩傾斜側に調節し、循環/排出切換モータ(M4)により循環/排出切換弁(34)を循環側に切り換え、主モータ(M1)をOFFにするコントローラ(40)を設けたことを特徴とする籾摺選別機。
【請求項2】
籾摺選別作業の自動停止後に前記主モータ(M1)がONし籾摺選別作業を再開すると、前記選別板角度調節モータ(M2)により揺動選別板(15)の横傾斜角度を急傾斜側に調節して前回作業時の横傾斜角度に復帰させさせるコントローラ(40)を設けたことを特徴とする請求項1記載の籾摺選別機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−75789(P2010−75789A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−244412(P2008−244412)
【出願日】平成20年9月24日(2008.9.24)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】