説明

籾殻等を原料とした断熱ボード等の製造方法

【課題】 籾殻等を原料とする断熱材や遮音材などの断熱ボード等を製造する方法において、加熱成形後に残留する水分によって、断熱ボード等が充分の強度を保てないままであることが多く、長い時間をかけた加熱及び冷却を行なわなければないことが非効率的であった。また、残留水分による強度低下は成形後の破損を招き不良率が高い問題があった。一方、冷凍等によって成形品を固化してから取り出す方法などでは、設備負担が大きく、安価に製造することが困難であった。
【解決手段】 加圧と解圧の動作を繰り返すことによって効果的に水分除去を行ない、これによって不良発生を抑えつつ加熱乾燥を速め、かつ成形密度に応じてプレス量を規制するストッパによって成形品の寸法と密度を早期に安定させ、また離型性のよいフッ素加工等を施した金型を使用して成形品の破損を抑えることで、効率の良いプレス生産方法を提供して上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、籾殻等を原料とした断熱ボード等の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
農業廃棄物である籾殻等を原料とした断熱ボード、遮音ボード、表面材等の断熱ボード等は、軽量でかつ環境負荷の小さいことなどが注目されてきた。多くは無公害の接着剤と混合し、金型などに入れてから加熱プレスした後に冷却もしくは自然乾燥するか、あるいは冷凍して形状を保ち、解凍、乾燥の工程を経て製造される。(例えば特許文献1もしくは2)。
【0003】
【特許文献1】特開平6−8968号公報
【特許文献2】特開2008−260201号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような断熱ボード等を成形する多くの場合、加熱成形後に残留する水分によって、断熱ボード等が充分の強度を保てないままであることが多く、長い時間をかけた加熱及び冷却を行なわなければないことが非効率的であった。また、残留水分による強度低下は成形後の破損を招き不良率が高い問題があった。他に、前述の特許文献2のように成形品を冷凍して取り出した後に解凍、乾燥するなどの方法もあるが、工程が増え設備規模が大きくなるなどの点で導入が難しい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、籾殻等と接着剤を混合した原料を金型で熱圧して成形する断熱ボード等の製造方法において、加圧と解圧の動作を繰り返すことによって効果的に水分除去を行ない、不良発生を抑えつつ加熱乾燥を速めるプレス方法を提供するものである。
【0006】
また段落0005記載の断熱ボード等の製造方法において、成形品の密度や厚さを一定に保つ目的で、交換可能な外部ストッパを金型の外に設けることがある。
【0007】
また段落0005記載の断熱ボード等の製造方法において、成形時の金型と成形品の摩擦や粘着を軽減する目的で、金型にフッ素加工等の離型対策を施して、成形品の取り出しを容易にする構成となすことがある。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、成形時の加熱乾燥に要する時間を短縮でき、安定した任意の寸法また密度で成形品を得られることから、籾殻等を原料とする低環境負荷の断熱ボード等の生産において、不良率を抑えた高効率の生産効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による成形方法
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による成形方法を図1に示す。原料1は籾殻等の農業廃棄物と接着剤等を混合したものが用いられる。金型2は表面がフッ素加工されたものであって、熱伝導に優れる材質が望ましい。外枠は、成形品をさらに取り出しやすいよう開閉もしくは分解機構を備えていればなお良い。ホットプレス3の熱源としては電熱、蒸気熱を使用する他に高周波加熱を行なってもよい。ホットプレス3には下降時に所定の高さで停止させる外部ストッパ4が設けられることもあり、その場合、プレス高さを変えられるよう、容易に交換できる構造になっている。
【実施例】
【0011】
本発明による製造実施例を説明する。例として断熱ボードを成形しようとする場合、断熱ボードの密度に応じた成形厚さにするための外部ストッパ4を設置する。そして定められた量の混合された原料1を金型2に投入して掻き均し、それをホットプレス3内に設置する。
【0012】
プレス下降時には成形品の厚さは外部ストッパ4によって一定に保たれる。これによって金型や圧力を変えることなく、任意の密度と厚さで、一定した成形を行うことができる。一定時間の加熱プレス後、ホットプレス3は一旦解圧し再び加圧するハンチングという動作を繰り返す。これによって原料に含まれている水分が解圧時に蒸発し、乾燥を速める。この後、ホットプレス3は上昇、開口する。
【産業上の利用可能性】
【0013】
本発明により、比較的少ない設備負担にて、不良率が少なく質の高い断熱ボード等を効率よく生産することができる。特に籾殻は廃棄物として費用をかけて処理する必要があったことから、環境にやさしい素材を利用した成形品を安価に生産できる方法として非常に有効である。
【符号の説明】
【0014】
1:原料
2:金型
3:ホットプレス
4:外部ストッパ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
籾殻等と接着剤を混合した原料を金型で熱圧して成形する断熱ボード等の製造方法において、加圧と解圧の動作を繰り返すことによって効果的に水分除去を行なうことを特徴とするプレス方法。
【請求項2】
請求項1の製造方法において、成形品の密度や厚さを一定に保つために、加圧時の高さを固定するストッパを金型の外に備えたことを特徴とするプレス方法。
【請求項3】
請求項1の製造方法において、フッ素加工等の離型対策を施して、成形時に金型と成形品の摩擦や粘着を軽減することによって、成形品の取り出しを容易にしたことを特徴とする製造方法。

【図1】
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