説明

粉体の流動状態計算方法及び装置

【課題】流路内を流動する粉体の流動状態である粉体の存在密度分布と流速分布を簡単に求める技術を提供する。
【解決手段】本発明の流動状態計算方法は、流路内を流動する粉体の流動状態の計算方法であって、コンピュータが、流路内の粉体の存在密度と流速の対応関係を表す流動性能特性に関するデータを少なくとも含む初期条件データを取得する取得ステップと、コンピュータが、流体の質量保存則を表す連続の式と、前記流動性能特性を用いて、粉体の存在密度分布と流速分布を数値計算する計算ステップと、コンピュータが、前記計算ステップの計算結果を出力装置に出力する出力ステップと、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流路内を流動する粉体の流動状態の計算方法及び装置に関し、より詳細には電子写真の二成分現像器のように、粉体の流動性能特性が非線形の場合における、機器内の粉体の流動状態である存在密度分布と流速分布の計算方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粉体を利用する分野の代表的なものに電子写真がある。電子写真方式によるフルカラーやマルチカラー画像を形成するカラー画像形成装置における現像器には、発色性や混合性といった点から、非磁性トナーと磁性キャリアを混合した二成分現像剤が多く使用される。
【0003】
現像器は現像容器、現像剤担持体としての現像スリーブ、及び現像剤の穂高規制部材としてのブレードを有している。現像容器の内部は、隔壁によって現像室と撹拌室とに区画されている。現像室及び撹拌室には、非磁性トナーと磁性キャリアを含む二成分現像剤が収容されている。現像室には現像スクリューが設置され、撹拌室には撹拌スクリューが設置されている。現像スクリューは、現像室内の現像剤を現像スリーブへと撹拌搬送する。隔壁には、その端部において、現像室と撹拌室とを連通させる現像剤通路が形成されており、上述した現像スクリュー、撹拌スクリューの搬送力により、現像剤が循環する仕組みとなっている。
【0004】
現像器内の現像剤の存在密度分布や流速分布は、画質を向上させる上できわめて重要な要素となっている。例えば、現像室内の現像剤量が少なくなると、現像スリーブへの現像剤の供給量が少なくなり、画像に濃度ムラが生じる場合がある。また、撹拌室の流速は補給トナーの搬送時間を決める重要な要素であり、濃度変動の原因となりうる。これらの課題を解決するためには現像器内の現像剤の存在密度分布や流速分布の制御が必要であり、そのためにスクリューのピッチ、回転速度、有無などが最適設計される。
【0005】
また、開発スピードの短縮化やコスト削減のために、設計活動へのシミュレーションの導入が進められている。二成分現像器の設計においても幾つかのシミュレーション手法が提案されている。例えば、非特許文献1においては、現像剤の流れを非ニュートン流体でモデル化し、流体計算手法で現像器内の現像剤の流れを計算する方法が提案されている。なお、流体計算の基礎方程式は、流体の運動方程式であるナビエ・ストークス方程式と、流体の質量保存則である連続の式であり、両式を連成して流れが計算される。その際、数値計算手法として、有限差分法、有限体積法、有限要素法などが用いられ、現像器の形状や現像剤が流れる空間が離散化メッシュでモデル化される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】片岡薫、他、“非ニュートン流体モデルによるオーガスクリュー内2成分現像剤流れ解析”、Imaging Conference Japan 2007、2007、p179−182
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現像器の設計においては、スクリューの構成や回転速度、現像剤の総量などを変えたときの、現像器内の現像剤の存在密度分布をシミュレーションで予測することが有効となる。しかしながら、スクリューの流動性能特性(単位長さあたりの現像剤量と流量(流速)
の関係)は一般に非線形性を有するため、現像器内の現像剤の存在密度分布を推測することは難しい。また、非特許文献1で提案されている方法を用いた場合、現像器の形状や現像剤の流れる空間のモデリング、流体計算そのものに時間を要するため、複数条件での計算が必要な最適化に長時間要してしまうという欠点があった。
【0008】
従って、本発明の目的は、流路内を流動する粉体の流動状態である粉体の存在密度分布と流速分布を簡単に求める技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の態様は、流路内を流動する粉体の流動状態の計算方法であって、
コンピュータが、流路内の粉体の存在密度と流速の対応関係を表す流動性能特性に関するデータを少なくとも含む初期条件データを取得する取得ステップと、
コンピュータが、流体の質量保存則を表す連続の式と、前記流動性能特性を用いて、粉体の存在密度分布と流速分布を数値計算する計算ステップと、
コンピュータが、前記計算ステップの計算結果を出力装置に出力する出力ステップと、を有することを特徴とする流動状態計算方法である。
【0010】
また本発明の第2の態様は、流路内を流動する粉体の流動状態の計算装置であって、
流路内の粉体の存在密度と流速の対応関係を表す流動性能特性に関するデータを少なくとも含む初期条件データを取得する取得手段と、
流体の質量保存則を表す連続の式と、前記流動性能特性を用いて、粉体の存在密度分布と流速分布を数値計算する計算手段と、
前記計算手段の計算結果を出力装置に出力する出力手段と、
を有することを特徴とする流動状態計算装置である。
【0011】
また本発明の第3の態様は、流動状態計算のプログラムであって、上述した流動状態計算方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラムである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、流路内を流動する粉体の流動状態である粉体の存在密度分布と流速分布を簡単に求めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例1に係わる流動状態計算装置の構成図
【図2】本発明の実施例1に係わる計算の流れの好適な一例を表すフローチャート
【図3】本発明の実施例1に係わる流動性能特性の一例
【図4】本発明の実施例1に係わる計算結果と実験結果の比較の一例
【図5】本発明の実施例2に係わる流動状態計算装置の構成図
【図6】本発明の実施例2に係わる計算の流れの好適な一例を表すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
[実施例1]
以下に、本発明を実施するための形態について必要に応じて図面を参照しつつ詳しく説明する。実施例1では、電子写真方式の画像形成装置における二成分現像器内を現像剤がスクリューによって搬送される場合を例に説明する。特に、現像室と撹拌室を循環する1次元で記述される流路に対し、現像剤の質量密度を存在密度として用いた場合の、定常状態における現像剤の流動状態(存在密度分布と流速分布)の計算方法を代表例に説明する。
【0015】
本実施例の特徴は、流動性能特性と流体の質量保存則を表す連続の式とを連成させるこ
とで、ナビエ・ストークス方程式を用いた計算のように負荷の高い計算をすることなく、簡単に流路内の粉体の存在密度分布と流速分布を求めることである。流動性能特性は、粉体の流量性能を表す。具体的には、流動性能特性は、流路内の粉体の存在密度と流速の対応関係を表すものであり、流路を構成する搬送装置(現像器)の構成や寸法、粉体の種類(粉体の流動特性)などで決まる。
【0016】
定常状態における連続の式は、時間微分項を0とした式1で記述される。ここで、ρは質量密度であり、現像剤の空間密度(存在密度)を表す。また、vは流速を表す。
【数1】

【0017】
式1は、流体(現像剤)の質量が保存されること、及び、流量が場所に拠らず一定であることを意味している。本実施例では流路は1次元で記述されるため、式1は以下の式2に変形することができる。
【数2】

このとき、質量密度ρは現像剤の流れ方向の単位長さあたりの質量として定義される。また、流速は現像剤の流れ方向の速度として定義される。
【0018】
また、本実施例では、流動性能特性として、質量密度ρと流量ρvの対応関係を表す関数(テーブル)を用いる。即ち、本実施例では、流動性能特性は、質量密度が或る値のときの流量(流量が或る値の時の質量密度)を規定する。
【0019】
式2と流動性能特性を用いて(連成して)数値計算することにより、流路内の現像剤の質量密度分布(ρの分布)と、流速分布(vの分布)とを求めることが可能となる。
【0020】
本実施例の流動状態計算装置の構成を図1に示す。本装置は、CPU100、RAM101、ディスプレイやプリンタなどの出力装置102、キーボードやマウスなどの入力部103、ハードディスクなどの外部記憶装置104及びバス105を備えるコンピュータにより構成される。更に、上記CPU100内部において、符号100aは制御部であり、プログラム全体を制御する。符号100bは初期条件設定部であり、初期条件データを設定する。符号100cは質量密度計算部であり、流量と流動性能特性を用いて各位置での質量密度と各位置での質量の総和を計算する。符号100dは流速分布修正部であり、所望の現像剤総質量と計算で得られた現像剤総質量(上記総和)の差に応じて流量を修正する。制御部100a、初期条件設定部100b、質量密度計算部100c、流速分布修正部100dは、プログラムを実行するCPU100によって実現される機能である。
また、上記RAM101は、プログラム101a、計算条件データ101b、要素データ101c、流動性能特性データ101d、質量密度分布データ101e、総質量データ101fを格納する。これらのプログラムおよび初期設定として与えられるデータは、外部記憶装置104または不図示のROMなどの不揮発性の記憶媒体に格納されており、流動状態計算を行う際にRAM101にロードされる。
なお、本実施例では、初期条件設定部100b、質量密度計算部100c及び流速分布修正部100d、出力装置102が、それぞれ、本発明の取得手段、計算手段、出力手段に対応する。
【0021】
ここで、各データの内容を説明する。計算条件データ101bは、所望の現像剤総質量、流量の初期値など、計算条件に関する値である。要素データ101cは、流路内のスクリューの種類やピッチ数などである。流動性能特性データは、流速と質量密度の積で表さ
れる流量と質量密度の対応関係を表す関数(テーブル)であり、スクリューの種類ごとに設定される。質量密度分布データは、流路内の現像剤の質量密度分布である。総質量データは、現像器内の現像剤の質量の総和(現像剤総質量)の所望の値である。
【0022】
以下、本実施例における、現像剤(二成分現像剤)の流動状態の計算方法の一例について説明する。本実施例では、現像器が、流動性能特性が互いに異なる3種類のスクリューA,B,C(図3)を有する場合について説明する。具体的には、現像室にはスクリューAが設けられており、撹拌室には搬送性能が互いに異なるスクリューBとスクリューCの2つを連結させたスクリューが設けられている場合について説明する。
【0023】
図2は、本実施例における、計算の流れ(現像剤の流動状態の計算方法の流れ)の好適な一例を表すフローチャートである。以下、図2を用いて現像剤の流動状態の計算方法の流れを説明する。
【0024】
1)初期条件設定部100bが、現像器の流路長、スクリューの種類やピッチ数などを設定し、その値に応じて計算メッシュを定義する。さらに、所望の現像剤総質量、流動性能特性をスクリューの種類ごとに設定する。また、計算の収束判定条件として、計算で得られる現像剤総質量の許容誤差を設定する(ステップS201)。
【0025】
2)次に、初期条件設定部100bが、流量の初期値を設定する(ステップS202)。
【0026】
3)次に、質量密度計算部100cが、設定した流量と流動性能特性から、各位置での現像剤の質量密度を求め(ステップS203)、質量密度と計算メッシュの長さを用いて、各位置での質量(存在量)の総和を計算する(ステップS204)。なお、定常状態の連続の式より、流量は位置によらず一定であるため、どの位置に対しても同じ流量を使用して質量密度が求められる。
【0027】
4)次に、流速分布修正部100dが、所望の現像剤総質量と計算で得られた値(ステップS204で得られた値)の差を計算し、その差が許容誤差より大きい場合、該差の大きさに応じて流量を修正する(ステップS206)。流量の修正には、例えば、ニュートン法、2分法、はさみうち法などを用いればよい。
【0028】
5)所望の現像剤総質量と計算で得られた値の差が許容誤差より小さくなるまで、ステップS205でno判定となり、3)〜4)の処理が繰り返される。即ち、本実施例では、流速を設定し、設定した流速と流動性能特性とを用いて各位置の現像剤の質量密度を算出する処理が、各位置の質量の総和が規定値(上記許容誤差で示される範囲内の値)になるまで繰り返される。所望の現像剤総質量と計算で得られた値の差が許容誤差より小さくなった場合には(ステップS205:yes)、そのときの質量密度分布(ステップS203で求められた質量密度分布)が最終的な計算結果とされる。また、流速分布は流量を質量密度で除算することにより算出される。質量密度分布と流速分布を含む計算結果は、ディスプレイやプリンタなどの出力装置102に出力される。
【0029】
図4は、本手法を用いて図3の流動性能特性をもとに得られた現像器内の現像剤の質量密度分布の計算結果と、対応する実験結果との比較を示す図である。図4(a)は撹拌室の現像剤の質量密度分布を、図4(b)は現像室の現像剤の質量密度分布を表している。なお、図中、縦軸はスクリュー1ピッチ当たりの現像剤質量を、横軸はスクリューの位置を表している。図4から、本実施例の計算結果は実測値を良く再現できていることがわかる。
【0030】
以上述べたように、本実施例によれば、所定の現像剤量に対して、装置内を流動する現像剤の流動状態である質量密度分布と流速分布を精度よく求める(予想する)ことができる。
また、本発明によれば、連続の式と流動性能特性とを連成して解くことで現像剤の質量密度分布と流速分布を簡単に求めることができる。具体的には、従来の流体計算のように、現像器の形状や現像剤の流れる空間のモデリング、計算そのものに時間を要することがなく、工数をかけずに計算することができる。その結果、複数条件の計算が必要な最適化を高速に行うことが可能となる。
【0031】
なお、本実施例においては、現像剤の存在密度として質量密度を用いているが、現像剤の個数密度などを用いても良い。
また、図3に示すような粉体の質量密度と流量の関係を表す流動性能特性としては、実験や別の現像剤流動シミュレーションで取得した特性を用いればよい。また、流動性能特性は、現像剤の質量密度と流速の2変数の対応関係を表すものであればよく、質量密度と流量の対応関係の代わりに、質量密度と流速の対応関係、流量と流速の対応関係を表していてもよい。
なお、本実施例においては、現像器内の流路が現像室と撹拌室を循環する1次元で記述される流路を例に説明したが、縦撹拌型の現像器のように、流路が分岐や合流する場合に対しても適用可能である。また、流路を2次元や3次元で記述してもよい。これにより、より複雑な流路を持つ現像器に対しても容易に適用することができる。
また、本実施例においては、電子写真の二成分現像器を例に説明したが、流路が規定できる粉体搬送装置に対しても容易に適用可能であることは言うまでもない。
【0032】
[実施例2]
実施例1では、定常状態における現像剤の存在密度分布と流速分布の計算方法について説明した。本実施例では、現像剤の質量密度分布が時間とともに変化する過渡状態における、現像剤の存在密度分布と流速分布の計算方法について説明する。
【0033】
本実施例の特徴は、実施例1では定常状態を表す連続の式を用いていたのに対して、粉体の存在密度に対する拡散項を考慮した非定常の連続の式を用いることである。このことについて詳しく説明する。
【0034】
粉体の存在密度(質量密度)に対する拡散項を考慮した連続の式は式3で記述される。ここで、ρは質量密度を、vは流速(1時間ステップ前に算出された流速)を、Dは拡散係数を表す。
【数3】

【0035】
式3と流動性能特性を連成して解くことにより、流路内の質量密度分布と流速分布の時間変化を求めることが可能となる。特に、連続の式において、現像剤の質量密度に対する拡散項を考慮することで、非平衡な現像剤の質量密度分布が徐々に平衡状態に変化する現象を再現できる。また、その時定数は拡散係数Dで考慮可能である。
【0036】
本実施例の流動状態計算装置の構成を図5に示す。図5中、符号100〜105、100a、100b、及び、101a〜101eで示される機能は実施例1(図1)と同じであるため、その説明は省略する。図中、符号501は、連続の式計算部であり、式3を計算することで1時間ステップ後の質量密度を求める。符号502は流速計算部であり、質量密度と流動性能特性を用いて各位置での1時間ステップ後の流速を計算する。本実施例
では、連続の式計算部501及び流速計算部502が、本発明の計算手段に対応する。
【0037】
以下、本実施例における、二成分現像剤の流動状態の計算方法の一例について説明する。
図6は、本実施例における、計算の流れ(現像剤の流動状態の計算方法の流れ)の好適な一例を表すフローチャートである。以下、図6を用いて現像剤の流動状態の計算方法の流れを説明する。
【0038】
1)初期条件設定部100bが、現像器の流路長、スクリューの種類やピッチ数などを設定し、その値に応じて計算メッシュを定義する。さらに、所望の現像剤総質量、流動性能特性をスクリューの種類ごとに設定する。また、流量の初期分布と流速分布を設定する(ステップS201)。
【0039】
2)次に、連続の式計算部501が、式3を数値計算することで、各位置での質量密度を求める(ステップS601)。最初の時間ステップでは、ステップS201で設定された流速分布を用いて各位置での質量密度が算出される。それ以降の時間ステップでは、後述するステップS602で求められた流速分布を用いて各位置での質量密度が算出される。数値計算手法としては、数値拡散を避けるため、CIP法を使用する。
【0040】
3)次に、流速計算部502が、質量密度分布と流動性能特性から、各位置での流速を求める(ステップS602)。
【0041】
4)2)〜3)の処理を繰り返すことで、質量密度分布の時間発展計算を行う。具体的には、ステップS603でyes判定となり、S604で時間が更新され、2)〜3)の処理が再度行われる。即ち、本実施例では、連続の式と1時間ステップ前に算出された流速分布とを用いて粉体の存在密度分布を算出し、算出された存在密度分布と流動性能特性とを用いて流速分布を算出する処理が繰り返される。所定時間分の計算が終了したり、ユーザから計算を終了する指示があった場合には、ステップS603でno判定となり、処理が終了される。質量密度分布と流速分布を含む計算結果は、ディスプレイやプリンタなどの出力装置102に出力される。
【0042】
以上述べたように、本実施例によれば、過渡状態における連続の式と流動性能特性が連成して解かれる。それにより、現像器内の現像剤の質量密度分布が時間とともに変化する場合においても、質量密度分布と流速分布を簡単に求める(予測する)ことが可能となる。
【0043】
なお、本実施例においては、現像器内の流路が現像室と撹拌室を循環する1次元で記述される流路を例に説明したが、縦撹拌型の現像器のように、流路が分岐や合流する場合に対しても適用可能である。また、流路を2次元や3次元で記述してもよい。これにより、より複雑な流路を持つ現像器に対しても容易に適用することができる。
なお、本実施例においては、連続の式の計算手法として、CIP法を用いたが、数値計算の差分スキームは多々有り、風上差分、Leap−Frogスキーム、Lax−Wendoroffスキーム、流束制限法などの他のスキームを用いても構わない。
また、本実施例においては、電子写真の二成分現像器を例に説明したが、流路が規定できる粉体搬送装置に対しても容易に適用可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0044】
100:CPU
100a:制御部
100b:初期条件設定部(取得手段)
100c:質量密度計算部(計算手段)
100d:流速分布修正部(計算手段)
102:出力装置(出力手段)
501:連続の式計算部(計算手段)
502:流速計算部(計算手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路内を流動する粉体の流動状態の計算方法であって、
コンピュータが、流路内の粉体の存在密度と流速の対応関係を表す流動性能特性に関するデータを少なくとも含む初期条件データを取得する取得ステップと、
コンピュータが、流体の質量保存則を表す連続の式と、前記流動性能特性を用いて、粉体の存在密度分布と流速分布を数値計算する計算ステップと、
コンピュータが、前記計算ステップの計算結果を出力装置に出力する出力ステップと、を有することを特徴とする流動状態計算方法。
【請求項2】
前記流動性能特性は、粉体の存在密度と流量、存在密度と流速、流量と流速、のいずれかの対応関係を表す
ことを特徴とする請求項1に記載の流動状態計算方法。
【請求項3】
前記連続の式は、時間微分項を0とした連続の式である
ことを特徴とする請求項1乃至2のうちいずれか1項に記載の流動状態計算方法。
【請求項4】
前記計算ステップでは、コンピュータが、流速を設定し、設定した流速と前記流動性能特性とを用いて各位置の粉体の存在密度を算出する処理を、各位置の存在量の総和が規定値になるまで繰り返す
ことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の流動状態計算方法。
【請求項5】
前記連続の式は、粉体の存在密度に対する拡散項を考慮した連続の式である
ことを特徴とする請求項1乃至2のうちいずれか1項に記載の流動状態計算方法。
【請求項6】
前記計算ステップでは、コンピュータが、前記連続の式と流速分布とを用いて粉体の存在密度分布を算出し、算出された存在密度分布と前記流動性能特性とを用いて流速分布を算出する処理を繰り返す
ことを特徴とする請求項1乃至2及び請求項5のうちいずれか1項に記載の流動状態計算方法。
【請求項7】
前記流路は、電子写真方式の画像形成装置における現像器内の流路であり、
前記粉体は、現像剤である
ことを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の流動状態計算方法。
【請求項8】
流路内を流動する粉体の流動状態の計算装置であって、
流路内の粉体の存在密度と流速の対応関係を表す流動性能特性に関するデータを少なくとも含む初期条件データを取得する取得手段と、
流体の質量保存則を表す連続の式と、前記流動性能特性を用いて、粉体の存在密度分布と流速分布を数値計算する計算手段と、
前記計算手段の計算結果を出力装置に出力する出力手段と、
を有することを特徴とする流動状態計算装置。
【請求項9】
前記流動性能特性は、粉体の存在密度と流量、存在密度と流速、流量と流速、のいずれかの対応関係を表す
ことを特徴とする請求項8に記載の流動状態計算装置。
【請求項10】
前記連続の式は、時間微分項を0とした連続の式である
ことを特徴とする請求項8乃至9のうちいずれか1項に記載の流動状態計算装置。
【請求項11】
前記計算手段は、流速を設定し、設定した流速と前記流動性能特性とを用いて各位置の粉体の存在密度を算出する処理を、各位置の存在量の総和が規定値になるまで繰り返す
ことを特徴とする請求項8乃至10のうちいずれか1項に記載の流動状態計算装置。
【請求項12】
前記連続の式は、粉体の存在密度に対する拡散項を考慮した連続の式である
ことを特徴とする請求項8乃至9のうちいずれか1項に記載の流動状態計算装置。
【請求項13】
前記計算手段は、前記連続の式と流速分布とを用いて粉体の存在密度分布を算出し、算出された存在密度分布と前記流動性能特性とを用いて流速分布を算出する処理を繰り返すことを特徴とする請求項8乃至9及び請求項12のうちいずれか1項に記載の流動状態計算装置。
【請求項14】
前記流路は、電子写真方式の画像形成装置における現像器内の流路であり、
前記粉体は、現像剤である
ことを特徴とする請求項8乃至13のうちいずれか1項に記載の流動状態計算装置。
【請求項15】
請求項1乃至7のうちいずれか1項に記載の流動状態計算方法の各ステップをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate