粉体スプレー・ブース
【課題】粉体の色をすばやく、たやすく変更即ち取り換えできかつさらに比較的単純な構造をもつ、カラースプレー装置の提供にある。
【解決手段】ブース2の床10に、オーバースプレー粉体を回収するトラフ24をブース2の一端から他端へ向かって設け、トラフ24にオーバースプレー粉体を吸い込むオーバースプレー取入口18を設けた粉体スプレー・ブース2において、トラフ24のオーバースプレー取入口18の上にダイバーター板26を設け、トラフ24の残りの部分を開放した。
【解決手段】ブース2の床10に、オーバースプレー粉体を回収するトラフ24をブース2の一端から他端へ向かって設け、トラフ24にオーバースプレー粉体を吸い込むオーバースプレー取入口18を設けた粉体スプレー・ブース2において、トラフ24のオーバースプレー取入口18の上にダイバーター板26を設け、トラフ24の残りの部分を開放した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体スプレー・コーティングに関し、特にコーティングされるべき物品に付着しなかった粉体を粉体スプレー・ブースから回収することに関する。
【背景技術】
【0002】
粉体スプレー・ブース内でコーティングされるべき物体に付着しない粉体は、「オーバースプレー」として知られている。オーバースプレー粉体は、コーティングされるべき物体に当りそこねたり、又はその物体の表面ではね返ったり、又はスプレー・ブース内の静電界によって物体から離れるように偏向されることがある。
【0003】
ブースから空気を排出して空気中に浮遊するオーバースプレー粉体を排出することによって、オーバースプレー粉体を回収することは知られている。フィルター部材が粉体スプレー・ブースからオーバースプレーを回収するために使用されてきており、このフィルター部材は、スプレー・ブース排出空気からほぼ全てのオーバースプレーを取り除くことができ、これによりその粉体を再利用できる。オーバースプレーの回収のために、フィルター部材の代りに又はフィルター部材と組み合わせてサイクロン型分離器を使用することも知られている。サイクロン型分離器は、スプレー・ブース排出空気からオーバースプレーの大部分を取り除くのに有効であり、サイクロン・ハウジング内部には非常にわずかの粉体が堆積するだけであるので、フィルターよりも洗浄が容易である。
【0004】
公知の構成にあっては、このサイクロン分離器は、ブースの床の近傍のオーバースプレー取入れ口からサイクロンの又はサイクロンそれぞれの引入れ口まで延在しているダクトによって、粉体スプレー・ブースに接続されていた。欧州特許出願第94929600.8には、ダクトが粉体スプレー・ブースに組み込まれた粉体コーティング・システムが開示されており、ブースの側壁又は複数の端壁の一方がダクトの部分を形成している。
【0005】
欧州特許出願第98940476.9には、ダクトの一部を形成している側壁又は端壁の一部分をその壁の残部から取り外し自在にそのダクトを簡単に洗浄できるという、更に改良したものが開示されている。この欧州特許出願には堆積したオーバースプレー粉体を集めるシステムも開示されている。このシステムは、スクレーパー・バーから成り、このスクレーパー・バーは、ブースの床を横切って端壁間を連続的に往復運動してブース床上の粉体を集め更に、具備したオーバースプレー取入れ口それぞれに隣接したスプレー・ブースの端壁に向って収集した粉体を移動させる。
【0006】
近年、単一ブース内で多色スプレーを迅速に実施する能力の要望が強まっている。しかし、粉体の色の取り換えには、空気排出によって排出されなかった複数の壁、天井及び床上に堆積した粉体を取り除くためにブースの洗浄を必要とする。色の変更ごとに粉体スプレー・ブースの壁と床を適切に洗浄することは、製品の品質を確保するには非常に重要である。このような洗浄は、かき取り装置(scraping apparatus)及び/又は圧縮エアジェット装置を使って作業者の手作業によって行ってもよい。しかし、先に引用した欧州特許出願第98940476.9の往復運動するスクレーパー・バーを有するブースを含めて、堆積したオーバースプレー粉体の洗浄工程をオートメーション化することを目的としたブースが提案されていた。
【0007】
数多くの改良がなされてきたが、洗浄時間をより一層縮めることを目的としてより一層急速な洗浄性能を求める顧客の要望が強い。更に、欧州特許出願第98940476.9の往復動作のスクレーパー・バーのような自動操作の機械装置は洗浄工程を確かに早めるが、この機械装置では構造コストも増えるし、機械の故障という欠点がある。
【0008】
洗浄は、ブースの一端から他端へと実施することが好ましいので、洗浄の観点からは粉体回収システムのオーバースプレー取入れ口は、ブースの一端に設けるのが理想的である。しかし、吹付け即ちスプレーの観点からは、オーバースプレー取入れ口の最良の位置は、ブースの縦中央に設けてブースに沿った空気流れ、したがってスプレー装置用に設けた開口を横切る空気流れにも安定して排出するようにするのが一般的である。オーバースプレー取入れ口をブースの一端に設けるとき、空気流れの安定が所望のものになるようにブースの横断面に修正を加える試みがなされてきた。1つの公知のシステムでは、ブース床は下向きに傾斜する側部を有し、この側部間の領域は垂直方向に離隔して傾斜した側部間にトラフを画成している。三角形状インサートをスプレー中トラフに配置している。傾斜した側部と三角形状インサートの組み合わせ協力によって、ブースの長手方向に沿う空気流れの安定が保たれる。しかし、粉体の色を変更する際、三角形状インサートを洗浄のため取り外す必要がありそれが洗浄時間に付加されるという問題が生じる。
【0009】
例えば米国特許明細書4715314に示された別の構成では、ブース床には長手方向に延在しているスロットが形成され、このスロットはブースの長手方向に延びているダクトにも接続している。しかし、このスロットは一色を長時間スプレーすると粉体を蓄積することがあり、これは洗浄をより困難にする。
【0010】
粉体がスプレー・ブースの床上に堆積することを常に防止することによって洗浄時間を少なくすることも提案されていた。ドイツ特許3408014には、ブースの床を下ってゆく一続きの階段として構成し、この階段とブースの間にあるスロットから各階段を横切って空気を吹付けるシステムが開示されている。その目的は、ブースの幅を横切る空気流れをつくって、床に向って落下する粉体すべてをオーバースプレー取入れ口に運びそして粉体が床に達して堆積することを妨げることである。しかし、ブース床を階段形状にすることは、ブースと階段とが全体として複雑化し、連続して空気を供給する必要があるということがブースを費用のかかるものとしている。
【0011】
ドイツ特許出願第19644360にはオーバースプレー粉体が床に達するのを妨げることを意図したブースが開示されている。このブースは、ブース床を横切るようにほぼ水平方向の空気流れをつくり出す1個以上のノズルを有している。この空気流れは、粉体回収システムの引入れ口に向って下降してくるオーバースプレー粉体をわきへ逸らしてオーバースプレー粉体が床上に堆積するのを阻止する。1つの実施例では、床より上に位置する中央隔壁(セントラル・バッフル)によって引入れ口に通じる片開きダクトを設けて、ノズルによって空気を側面方向に導く。ドイツ特許3468014のシステムの場合のように連続して空気を供給することが必要である。
【0012】
上述の如く、床の部分に勾配をつけたブースは既知である。
しかし、米国特許明細書3905785によれば、勾配をつけるだけでは、オーバースプレー粉体すべてを重力によって回収システムに流すことは不十分である。この米国特許では少なくとも1つの空気通過を可能とする傾斜板で構成された床を有するブースを提案している。空気がブースから傾斜板に引き込まれ、傾斜板は空気によって運ばれたオーバースプレーを取り除く。空気を周期的に傾斜板を介して吹付けて傾斜板に堆積したオーバースプレーを移動させてそれを回収システムに流す。この吸い込み周期は送風周期より5倍から20倍長くしてもさしつかえない。概念として、逆のエアージェットによって周期的にパージ即ち洗浄するカートリッジ・フィルターのそれに似ている。
【0013】
大部分の公知のブースは短形状である。しかし、円形状のブースの提供も又既知である。円形状のブースは例えば欧州特許出願0839522に開示されている。既知の円形状のブースにおける問題は、オーバースプレー粉体を回収システムに運ぶ手段の吸引ダクトに通じる円錐形床をブースが有していることにある。スプレーすべき物品を生産ラインの他の部材と同一高さで収容できるように円錐体と吸引ダクトを収容するためのくぼみ(pit)が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許出願第94929600.8
【特許文献2】欧州特許出願第98940476.9
【特許文献3】米国特許第4715314号明細書
【特許文献4】ドイツ特許第3408014号明細書
【特許文献5】ドイツ特許出願第19644360
【特許文献6】米国特許第3905785号明細書
【特許文献7】欧州特許出願0839522
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、粉体の色をすばやく、たやすく変更即ち取り換えできかつさらに比較的単純な構造をもつ、カラースプレー装置の提供にある。
【0016】
本発明の別の目的は、空気中に浮遊しかつ堆積したオーバースプレーを、自身容易に洗浄される少数の比較的単純な部品を有するシステムによって回収することができる粉体コーティング・システムの提供にある。
【0017】
本発明の更なる目的は、堆積したオーバースプレーの収集を容易にし、同時にブースの長手方向に沿う排出空気流れの均衡を保つ粉体スプレー・ブースの提供にある。
【0018】
本発明の更なる目的は、生産ラインに容易に組込みできかつ洗浄が簡単な、ほぼ円形形状の粉体スプレー・ブースの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明をここで4つの主要な態様、すなわち、ダイバーター(分流)板、洗浄空気供給を施す勾配付き床、パルス洗浄空気装置及びパルス洗浄空気の運転方法に関して要約する。
【0020】
本発明の一つの態様では、2つの側部と、この側部間にトラフを画成するように下向きにずれている領域(段差領域)とを有する床及び壁を有する粉体スプレー・ブースと、壁の開口を経由して前記ブースを通過する物品にスプレーするための、前記ブースの壁に配置された1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、ブースの内部と連通しており、オーバースプレー取入れ口を有し、ブース内部からオーバースプレー取入れ口を経由してオーバースプレー粉体を引き込む吸い込み手段を有する粉体回収システムと、前記トラフの少なくとも一部を閉じかつオーバースプレー取入れ口と連通しているダクトを構成するように床の側部間で前記ブース内に保持されているダイバーター板とを有し、ダイバーター板は、ダイバーター板に堆積したオーバースプレー粉体の前記ダクトへの移動用の開口を少なくとも1つ有している、粉体コーティング・システムを提供する。
【0021】
この装置を使えば、釣り合いのとれた空気流れをブース内につくり出すように空気抽出を均一にでき、同時に好適の場合には、ダイバーター板が、第2の一段高い位置に移動可能とされ、トラフに接近できる場合は特に、洗浄しやすい構成を提供することがわかった。少なくとも1つの開口を設けることによりダイバーター板上に、堆積したオーバースプレー粉体をその開口から粉体回収システムに引き込むことができる。
【0022】
ダイバーター板に向って下降するように側部に勾配をつけるのが望ましい。ダイバーター板は、ダイバーター板と側部それぞれの間にスロットを画成してもよい。
【0023】
側部に堆積したオーバースプレー粉体は、ダイバーター板に向かって流れ落ちダイバーター板と側部との間のスロットを経由して粉体回収システムへ空気流れによって抽出される。既に述べたように、ダイバーター板の表面に堆積したオーバースプレー粉体はダイバーター板の開口を介して抽出される。それゆえに、洗浄作業を始めるときのブース内の堆積オーバースプレー粉体の量は減り、したがって洗浄作業の規模が小さくなり、したがって洗浄時間が減少する。
【0024】
ブースは所望のどんな形状でもよい。長手軸がほぼ水平に延びている一般的な短形形状でもよい。又は、ブースは、中心軸がほぼ鉛直方向に延びている円形状でもよい。ダイバーター板によって形成された空気分配ダクトを円形状ブース内に設けることで、粉体が堆積することを制限でき、ダイバーター板の開口の寸法や形状を調整することによってブース内の空気分配や速度の最適化を可能にする。したがって特別なピット(くぼみ)を設けて生産ラインにブースを配置する必要はなく、円形状ブースを簡単に洗浄できるという長所を有する。このことは、円錐形ベースを有する既知の円形状ブースでは可能でなかった、作業者が安全にブースに入ることができるという事実がある故、非常に有益である。
【0025】
短形状のブースでは、オーバースプレー取入れ口をブースの一端又はその近くに設けて、ダイバーター板がその端からブースの長手方向の一部に沿って延在するようにしてもよい。複数の自動式粉体スプレー装置を備え、この自動式粉体スプレー装置用に側壁にスロットを有する短形状のブースにおいて、ダイバーター板の長さは、ブースの一端とこの一端から最も遠くにあるガン・スロットまでの距離にオフセット(offset)を加えたものでよい。このオフセットは比較的小さくてよく、普通のブースの場合の適切な値は、200mmである。
【0026】
自動式ガンを採用したブースの部分にダイバーター板を設けることがもっぱら必要であることがわかった。この理由は、ブースの自動式ガン部分にはより多くのガンがあるので、このガンからより多くの粉体流れがブースに生ずるからである。また、ブースのこの部分は排出用ファンに最も近い。ダイバーター板がなければ、このファンはガンからの粉体スプレー・パターンをゆがめ部材に粉体が付着する前に、粉体を収集システムに引き込んでしまうかもしれない。ダイバーター板の効果は、ファンの吸い込み力を均等化し、粉体が部材に付着する時間を長くし、オーバースプレー粉体がファンに向って均等に引き込まれることである。ブースの手動式ガン部では、ガンはより少なく、そのガンはファンからさらに遠く離れているので、ガンからの粉体スプレー・パターンは、ファンによってそれ程大きい度合の影響を受けない。よって、ダイバーター板は、ブースの手動式ガン部では、常に必要なものではない。
【0027】
各端部にオーバースプレー取入れ口を有する、欧州特許出願第98940476.9に示された短形状のブースでは、ダイバーター板が各端部から延在するように設けることができる。空気取入れ口を両端に有するブースでは、ブース内に最良な均衡の空気流れを生じせしめ、粉体粒子が収集システムの空気流れによって比較的影響を受けない部分に付着する機会を有しているので、粉体コーティングが特に有効であるブースの中央にいわゆる「無風」区域(“dead”zone)をつくることになることがわかった。ダイバーター板はこの「無風」区域(デッドゾーン)の両側に延びるように設けてもよい。
【0028】
特に好適な実施例では、ダイバーター板を2つ又はそれ以上の区分で構成している。このダイバーター板の区分は、ダクトがダイバーター板の長さに沿って異なる高さを有するように、トラフ底部から垂直方向に異なる間隔をもって設けられる。この構造によれば、ブース内の空気流れの釣り合いをなお一層改良しかつより釣りあいのとれた吸引力を得ることが可能であることがわかった。
【0029】
この実施例では、オーバースプレー取入れ口又は各オーバースプレー取入れ口に隣接したダイバーター板の区分又は複数区分は、トラフの底部からの垂直方向の間隔を最大にしてもよい。短形状のブースが一端にオーバースプレー取入れ口を有している場合、ダイバーター板の区分を他端に向って降下する一続きの階段状に構成してもよい。円形状ブースの中央位置にオーバースプレー取入れ口を有している円形状ブースの場合、その上方のダイバーター板区分を、両側にある1つ又はそれ以上の下方の区分に対して最大間隔をもつように配置してもよい。オーバースプレー取入れ口から離れた位置にあるダクトを狭めることで、所望の均一吸引及びより均衡のとれた空気流れが生じせしめる。
【0030】
ダイバーター板には、好適に、あるパターンで配置された複数の穴が設けられている。短形状のブースの場合、このパターンは三角形状で、三角形の頂点はファンに最も近いブースの端部にあるようにしてもよい。このパターンが粉体収集と空気の均衡の最良の組み合わせを与えることがわかった。穴全体の横断面の面積は、ブースの端部から中央に向かって漸次増大する。
【0031】
好適な形態における穴は、ダイバーター板の長手方向に細長く所定の横断面面積に対しては周辺長を最大とし、従ってダイバーター板の上面から堆積オーバースプレーを引き込む能力を最大にする。
【0032】
第2の態様によれば、本発明は、床と壁とを有する粉体スプレー・ブースと、この壁の開口を経由してブースを通過する物品にスプレーするための壁に位置決めされた1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、ブースの内部と連通しオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムからなり、この粉体回収システムは、オーバースプレー取入れ口を経由してブース内部からオーバースプレー粉体を引き込むための吸い込み手段を具備しており、ブース床の少なくとも一部に勾配を設け、勾配を付した部分の下方に空気を向けるための洗浄空気供給手段を設けた、粉体コーティング・システムを提供する。
【0033】
ブース床の少なくとも一部に勾配を設けることは知られているが、これの意図した結果、すなわち堆積したオーバースプレー粉体がついには勾配部分を流れ落ちるということが必ずしも生じるとは限らない。堆積オーバースプレー粉体が勾配付き部分又は複数の勾配付き部分に大きく蓄積するかもしれないし、洗浄時間が増え、かつ破裂の危険も生じるかもしれない。勾配付き部分又は複数の勾配付き部分の下方に空気を向ける洗浄空気供給装置を設けることで、堆積オーバースプレー粉体の下方への移動が確保され、機械操作のスクレーパー等によって及び/又は粉体回収システムの排出空気における抽出によって堆積オーバースプレー粉体を手動又は自動で簡単に洗浄できる領域まで堆積オーバースプレー粉体を搬送する。
【0034】
洗浄空気供給手段は、空気源と、勾配付き部分の上方縁に配置されかつ勾配を設けた部分の少なくとも一部に沿って延在する少なくとも1つのプレナム(plenum)から構成してもよく、このプレナムは少なくとも1つの空気出口好ましくは、複数の空気出口を有している。
【0035】
空気源は、エアーパルス(脈動空気)を空気出口に周期的に提供するのが大変好ましい。勾配付きの部分又は勾配付きの複数部分を横切って空気を絶えず流すことはエネルギーの不必要なむだ使いであり、堆積オーバースプレー粉体の勾配付き部分又は複数部分下方への移動を開始するためには空気をパルス状にするだけで十分であることがわかっている。洗浄空気供給手段によって、勾配付きの部分又は複数部分の表面にほぼ平行に、好ましくは、勾配付き部分又は複数部分に対し1度から3度までの角度で空気を向ける場合に最良の効果が得られることがわかった。
【0036】
第1の態様の特に好適な形態において、第2の態様の洗浄空気供給手段がダイバーター板の長さに沿って側部を下る方向に空気を向けるようにしてもよい。
【0037】
第3の態様によれば、本発明は、床と壁を有する粉体スプレー・システムであって、壁の開口を経由してブースを通過する物品にスプレーをするための壁に位置決めされた1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、前記ブースの内部と連通しており、オーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムとから成り、この粉体回収システムは、前記オーバースプレー取入れ口を経由して前記ブース内部からオーバースプレー粉体を引き込むための吸い込み手段を有しており、空気源と、複数の空気出口を有する少なくとも1つのプレナム(plenum)とから成る洗浄空気供給手段を設け、空気源は、空気出口に空気のパルス(脈動)を送り、前記プレナムは、オーバースプレー粉体が堆積されるブースの内面を横切ってエアーパルス(空気脈動)を向けるように配置されている粉体スプレー・システムを提供する。
【0038】
空気の脈動(パルス)は、勾配付きの面だけでなくブースのいかなる内部面にわたる堆積粉体の収集にとって有効であることがわかった。空気の脈動(パルス)によって堆積オーバースプレー粉体を天井又は壁の場合には降下によって、又は床の場合にはブースに沿って又は横切って移動させることで収集し、したがって粉体回収システムによる堆積オーバースプレー粉体の抽出を促進する。一定の空気流れや空気を指向するための複数な構造を必要とすることなく、良好な結果が得られる。よって、本システムは、製造と運転の両方に関して非常に経済的である。
【0039】
空気源としては、粉体回収システムの空気源、1つ又はそれ以上のファン又は圧縮空気供給装置であってもよい。後者は安価であるという長所を有し、前者はファンが比較的大きな音をたてるので、小型で静かである点で有用である。
【0040】
非常に好適には、第1の態様が第2の態様及び/又は第3の態様と組み合わされており、粉体粒子には部材に付着するより大いなる機会が与えられるので、高い搬送効果を生むブースにわたる均一な空気分配を結びつけて、全体として洗浄時間の非常に大幅に減少に帰する。これらの有利な点が成就される一方、ブース内における粉体の良好な封じ込めも達成される。
【0041】
第4の態様において、本発明は、床と壁を有する粉体スプレー・ブースと、1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、前記ブースの内部と連通しているオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムとを有する粉体コーティング・システムを作動する方法において、前記ブースの内部面を横切って空気噴射を周期的に行って該ブースに堆積したオーバースプレー粉体を収集する工程を有する方法をも提供する。
【0042】
従ってこの方法は、ブース内の空気補助の提供を含んでおり、これは堆積オーバースプレー粉体の収集と除去を促進する。
【0043】
内部面は、ブースの床及び/又は1つ又はそれ以上の壁及び/又は天井でもよい。
【0044】
空気の噴射を内部面にわたって横向きに又は、ブースに沿って縦に行うのが好ましい。この方法で手動でも自動でかまわないブースに沿っての洗浄操作によって粉体を集めてかんたんに収集する。
【0045】
ブース内で5分間の粒子スプレー毎に空気噴射の脈動即ちパルス送りを5秒間つづけて行うとき、良好な結果が得られることがわかった。これによって、ブースから堆積オーバースプレーの大部分の除去を行うことで堆積オーバースプレー粉体のいかなる著しい蓄積も阻止し、その結果、システム中を移動する粉体の量、特にブースの内部にある粉体の量自体を最小に保持する。
【0046】
代替的に又は追加的に、色変更即ち色の交換の直前に空気の噴射の脈動即ちパルス送りを行うことができ、これにより、洗浄作業中に除去する必要のある堆積粉体の量を最小化できる。
【0047】
この第4の態様を第2の態様と組み合わせることが非常に好ましく、ブース床の勾配付き部分の少なくとも一部を横切って空気噴射を行う。勾配付き部分における堆積オーバースプレー粉体の効果的な移動のためには、勾配付き部分にほぼ平行に、好ましくは勾配付き部分に対して1度から3度までの間の角度で空気噴射を行う。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明による粉体コーティング・システムの第1実施例の粉体ブース構成部分を一部切り取った斜視図である。
【図2】図2は、本発明による粉体コーティング・システムの第2実施例の粉体スプレー・ブース構成部分の一部を切り取った斜視図である。
【図3】図3は、図2のブースの一部の詳細断面図である。
【図3A】図3Aは、図3のブース部分の代替実施例の詳細断面図である。
【図4】図4は、図1及び図2のスプレー・ブース内で使用するためのダイバーター板の平面図である。
【図5】図5は、図1及び図2のスプレー・ブース内で使用するためのダイバーター板の平面図である。
【図6】図6は、図4及び図5のダイバーター板の端面図である。
【図7】図7は、本発明による粉体コーティング・システムの第3実施例の一部の模式的側面図である。
【図8】図8は、図7の粉体コーティング・システムの粉体スプレー・ブース構成部分の一部の部分切取りの斜視図である。
【図9】図9は、本発明による粉体コーティング・システムの第4実施例の模式的端面図である。
【図10】図10は、図9の粉体コーティング・システムの平面図である。
【図11】図11は、本発明による粉体コーティング・システムの第5実施例の模式的平面図である。
【図12】図12は、図11の粉体コーティング・システムのX−X線に沿った断面図である。
【図13】図13は、図11の粉体コーティング・システムのY−Y線に沿った断面図である。
【図14】図14は、図9乃至図13の粉体コーティング・システムに使用するための洗浄システムを示す模式的端面図である。
【図15】図15は、図14の洗浄システムを示す模式的平面図である。
【図16】図16は、図9乃至図13の粉体コーティング・システムで使用するための別の洗浄システムを示す模式的端面図である。
【図17】図17は、図9乃至図13の粉体コーティング・システムの粉体コーティング・ブースに合わせて構成された可能な変形例を示す平面図である。
【図18】図18は、図9乃至図13の粉体コーティング・システムの粉体コーティング・ブースに合わせて構成された可能な変形例を示す平面図である。
【図19】図19は、本発明による粉体コーティング・システムの更なる実施例の粉体スプレー・ブースを構成する部分の模式図である。
【図20】図20は、代替的な粉体スプレー・ブースの模式図である。
【図21】図21は、代替的な粉体スプレー・ブースの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1と図2は、短形状の粉体スプレー・ブース2が側壁4、端壁6及び床10を有することを示している。ブース2は更にコンベヤー(不図示)を有し、複数のスプレー装置(これも不図示)によって粉体でスプレー即ち吹付けをするために端壁6の開口12を経由してブース2にこのコンベヤーから吊り下げられた物品が運ばれる。図1と図2に示されたブース2には、自動式スプレー装置用のスロット14と手動操作のスプレー装置の使用を可能にするための開口16とが各側壁に設けられている。しかし、スプレー装置の数及び位置はスプレーされる物品に応じて変えうることは理解されるであろう。
【0050】
ブース2の天井、壁4、6及び床10は合成樹脂のような非導電性材料から作られることが好ましい。合成樹脂を使うことによって、静電帯電された場合にはスプレー装置によって吹付けられた粉体は、粉体が壁4、6や天井に静電的に引きつけられることがなく重力によって落下してブース2の床10に集まるので、天井や壁4、6に付着する傾向は減少する。耐久性については、作業者が歩く床10又は少なくとも部分又は複数部分は、ステンレス鋼で作られるようにしてもよい。
【0051】
粉体コーティング・システムの他実施例に関して更に以下に述べるようなフィルター及び/又は1つ又はそれ以上のサイクロン型分離器を含むことができる粉体回収システムをブース2に設ける。この粉体回収システムがどんな形態をとろうとも、ブース2の内部と連通しかつブース内においてオーバースプレー取入れ口への排出空気の流れをつくるオーバースプレー取入れ口が設けられている。排出空気の流れは、空気中に浮遊するオーバースプレー粉体を抽出する働きをする。熟練者は、業界で知られたものから適切な粉体回収システムを簡単に選択できる。
【0052】
複数個の短形状の粉体スプレー・ブースを一端から他端まで洗浄することが好ましいので、洗浄のためにはオーバースプレー取入れ口をブースの一端に配置することが好ましい。図1と図2に示したブースにおいては、オーバースプレー取入れ口は、点線18で示され、ブースのコーナー即ち一すみに設けられている。その上に立ち上がっているものはダクト20で、欧州特許出願第94929600.8、現在欧州特許第723,481に記述されたような「閉鎖結合サイクロン」を称する型の粉体回収システムが好ましいこの粉体回収システムに通じている。
【0053】
図1と図2に示すブース2の床10には、その両側に傾斜部分22が2つ設けられている。傾斜部分22は離間されており、床10の残部は、傾斜部分22と段差を成して傾斜部分22の間にトラフ24(trough)を画成する。トラフ24の壁は、ブース2の端部で切り取られ、そこにオーバースプレー取入れ口18が配置されてオーバースプレー取入れ口18とトラフ24、従ってブース2の内部の残部とが接続されている。
【0054】
ダイバーター(diverter)板26即ち方向転換板26をトラフ24の端部に配置する。その端部にはオーバースプレー取入口18が配置されてその端部から延びている。ダイバーター板26の長さはブース2の端部から自動式スプレー装置のスロット14の該端部から最も遠い中心線までの距離にオフセットを加えた距離に等しいのが好ましい。このオフセットは適切には約200mm程度である。ダイバーター板26を側部22から離隔してダイバーター板と側部の間にスロット27を画成するのが都合がよい。
【0055】
ダイバーター板26は複数穴パターンを有している。2つの可能なパターンが図4と図5に示されている。両パターン共オーバースプレー取り入れ口18が配置されているブース2の端部に三角形の頂点をもつ三角形状である。穴28は、ダイバーター板26従ってブース2の長手方向に細長い。図6に示すように、ダイバーター板26は強度及び剛性のためにややとがった上面を有している。
【0056】
ダイバーター板26は図1と図2に示す位置にタブ29によって支持されているが、ヒンジ30を介して端壁6に取付けられてダイバーター板を上方に旋回させて端壁6にもたれるのを可能としている。床の側部22の上方に延在するダクト20の部分は、2つのとびら32でブース2の内部と隔てられている。とびら32のそれぞれはヒンジ33によって取付けられているので、とびら32は旋回運動をして端壁6から離れまた向かうことが可能であり、ダクト20の内部にアクセス(接近)できる。
【0057】
図2に示すブース2は、図1に示すブースとは側部22のそれぞれの上方縁にプレナム(plenum)34を設けている点で異なっている。図のブースの左手にあるプレナム34は図3の断面図により詳細に示されている。プレナム34は壁4内に取付けられた細長い管であり、その長さに沿って複数の離隔した出口35を形成している。プレナム34は、図2に36、37で概略的に示されたバルブを経由して加圧空気源に接続されている。空気源36からの空気は、側部22を横切って噴射し、空気出口35から外方に送り出される。
【0058】
図3Aは、側部22を横切ってパルス空気流れをおこすための代替構成を示す。この構成には、図3に示すものと同じいくつかの特徴部分があり、対応する場合には同じ参照数字を同じ部品として使用する。
【0059】
図3Aの構成においては、プレナム34は側部の上縁において側部の長さまで延在している。プレナムは2つの部分34a、34bで形成され、最前方の部分34bには、ほぼV型溝38にまで延びている複数の離隔した出口35が設けられ、溝38は最前方の部分34bに機械で削られて形成される。
【0060】
プレナムにはブースの長手方向に沿って離隔した一連の空気給送管39が供給されている。次に、給送管39には図3Aに示されていないが図3の配置にあるようなバルブ付き加圧空気源が供給されている。その接続はねじ付きの入口取付具40を介して行なわれる。
【0061】
どのような構成を採用しようとも、すなわち図3の構成又は図3Aの構成を採用しようとも、空気出口35は側部22に対して一度乃至3度の間の角度でエアージェットを指向するように構成するのが好ましい。従って、側部22の角度(a)がブースの水平床に対して37度である場合には、空気出口35は水平床に対して38度乃至40度の角度(b)で空気を向ける。空気出口35のこの向きは、エアージェットを側部22に1度から3度の角度で突き当たるようにさせる。溝38が設けられている図3Aの構成においては、溝の下方壁は垂直線に対し135度の角度(c)、すなわち水平床に対して45度でもよい。
【0062】
図3に示す構成のプレナム34は、壁4の内側パネル41に接着されたPVC(ポリ塩化ビニル)押出し品でもよい。又は、図3Aに示すように、プレナムは壁4の外側に取付けるようにしてもよい。プレナム34は図3と図3Aに示すものとは異なった形態をとることもできる。
【0063】
使用に際しては、スロット14を貫通して延在している自動式ガン及び/又は開口16を貫通して向けられた手動ガンによってブースを通過する物品に粉体をスプレーする。空気中に浮遊するオーバースプレー粉体を、オーバースプレー排出部18とダクト20を経由して粉体回収システムによって作り出された排出空気の流れにのせてブース2の内部から排出する。粉体回収システムによる搬送空気からはずれてしまうオーバースプレー粉体は、ブース2の床10や側部22、トラフ24の底部、ダイバーター板26等に堆積される。トラフ24に沿って回収モジュールによって引きおこされた排出空気の流れはダイバーター板26の上面上の堆積されたオーバースプレー粉体を、側部22とダイバーター板26の間にある穴28又はスロット27のいずれかを通ってその下方にあるトラフ24に引き込むように働く。穴28の細長い形状が、堆積されたオーバースプレー粉体を穴28に引き込み、従って排出空気の流れにのせて、オーバースプレー取入れ口18に引き寄せる範囲を最大にする。ダイバーター板26の上面29の尖頂は、穴28を通ってスロット27に引き込まれなかった堆積オーバースプレー粉体のオーバースプレー取入れ口18への通過を補助する。
【0064】
側部22上の堆積されたオーバースプレー粉体は、側部の匂配によって側部を下って重力によって自然に或る程度まで落ちてトラフ24に入り、粉体回収システムによって生成された排出空気の流れの中に入る。しかし、図2のブース2は、プレナム34を介してこのプロセスに空気補助を提供する。プレナム34の空気出口35から作り出された空気の噴射は堆積オーバースプレー粉体の側部22の下方移動を増進させる。色の変更即ち取り換え間の運転が短い場合、色変更直前に空気パルスを与えてもよい。色の取り換え間の運転が長い場合、空気パルスを周期的に与えて堆積したオーバースプレー粉体の蓄積を防止してシステム内に残っている粉体、特にブース2の粉体の量を減らす。空気補助を絶えず与えることはできるが、空気の周期的パルスを付与して側部22の堆積したオーバースプレー粉体を動かすように調節するだけで実際に十分であることがわかった。1つの成功した実験において、5分毎に5秒のパルスが側部22の堆積したオーバースプレー粉体を適切に除去する働きをした。圧縮空気を絶えず供給する場合とは反対に空気をパルス状に脈動させることは、システムのエネルギーコストを減らす。
【0065】
プレナム34によって付与された空気補助は、側部22を堆積したオーバースプレー粉体のない状態に保持するだけでなくダイバーター板26の上面上の堆積したオーバースプレー粉体の収集量を増す。
【0066】
側部22及びダイバーター板26から収集された堆積オーバースプレー粉体の大部分は、粉体回収システムの排出空気流中に再度乗せられ、空気中に浮遊するオーバースプレー粉体としてブース2から排出される。
【0067】
ダイバーターパネル26はブース2の全長にまで延ばすことができる。しかし、自動式ガンの場合にはダイバーターパネルは上述したように約200mm程度のオフセット(offset)だけスロット14を超えて延在させることで十分であることがわかった。この理由は、ブースの自動式ガンの部分のより多くのガンによってより多くの粉体流れを生じ、このより多くの粉体流れは手動ガンに比べてファン(fan)により近いからである。ダイバーター板の効果は、粉体がその部分に付着するのにより多くの時間を要し、オーバースプレー粉体が収集システムに均一に引き寄せられるようにファンの吸引力を均等にすることである。手動式ガンはファンからさらに遠くにあるので、そのスプレーパターンはファンによって大きく影響されるようなことはないので、これらのガンに関してはダイバーター板の必要性は減る。
【0068】
ダイバーター板26の機能は、ブース2に沿う空気分配を均一にして、良好な粉体の封じ込めを確保しながらより高い搬送効率につながる粉体ブース中の空気バランスを与えるよう機能する。従って、ダイバーター板は堆積したオーバースプレー粉体の量を減らして空気中に浮遊するオーバースプレー粉体の量を増やすように機能する。このつりあい効果は、穴28のパターンによって一部達成される。ダイバーター板26は空気流れリストリクター(制限器)であるから、穴の大きさ、個数及びパターンはオーバースプレー取入れ口18を通過する空気速度を決定する。一例として、粉体回収システムの入力空気速度とブース2の計量レーティングで立方フィートとを組み合わせて、オーバースプレー取入れ口18を通過する空気速度が2000フィート/分であるようにダイバーター板26を配置してもよい。
【0069】
図1と図2に示すブース2は、ただ1つのオーバースプレー取入れ口18との関連において使用するただひとつのダイバーター板26を有する。しかし、欧州特許出願第98940476.9に示すようなオーバースプレー取入れ口を2つもつブースにおいては、ダイバーター板26をブース2の中央に向かって延在するように両端に設けることができる。ダイバーター板26は、2つのオーバースプレー取入れ口をブースの各端部に1つずつ設けることで作り出されるとわかっているブースの中央の「デッドゾーン」(dead zone)の手前で止めるのが好ましい。このデッドゾーンは、収集システムによって引き起こされた空気流れがブースのその領域においてはブースの他の残部に比べてそれほど強くないという点でブースの比較的静かな区域である。
【0070】
スプレーしている際中に、空気を周期的にプレナム34に供給して側部22を下る空気噴流(エアージェット)を生じさせ、堆積したオーバースプレー粉体のトラフ24へそしてダイバーター板26の上への移動を生じせしめる。このエアージェットは、ダイバーター板26を堆積オーバースプレー粉体のないきれいな状態に保持する手助けもする。一つの作動実施例において、プレナム35では、0.5mm直径の穴を複数個15mm間隔で配置し、5分毎に5秒間4バールの圧力で空気を吹付けることで粉体収集を実施した。承知のように、所定の任意のブースに与えられた空気補助パラメータは、粉体コーティング材料のタイプ、ブースの形状、そして特に側壁22の勾配の角度といった種々のパラメータに依存する。空気補助の提供とは、所望の場合、勾配の角度を小さくでき、作業者がブース2内を歩きまわるのをより容易にし、かつブース2の構造を容易にすることを意味する。
【0071】
図7及び図8は、更なる実施例の概略を示し、図1と図2の実施例に共通する多くの特徴をもっているので、同じ参照数字は同じ部品に使用されている。図7と8に示す実施例において、サイクロン型分離器42を有している粉体回収システムが一端に設けられたブースの長さにわたってダイバーター板26が延在している。ダイバーター板26はブースの全長に延びる必要はなく、図1と図2に示す粉体スプレーシステムのダイバーター板26と同様に、粉体回収システムから離れた端部までには到らない、ようにできる。しかしこれらシステムとは異なり、ダイバーター板26を複数の区分44で構成し、各区分を別個のダイバーター板とみなすことができ、複数の区分は、粉体回収システムから離れて下っていく一連の段(ステップ)として配置される。この複数の区分44を一体構造としてもあるいは分離構造としてもよい。図8に示すように、各区分44と、ブース下方の隣接区分との間にスロット46を設けるように複数の区分44を配置してもよい。
【0072】
図7と図8に示す実施例の長所は、複数のダイバーター板区分44がサイクロン型分離器42から遠ざかる方向において下っていくので、ダイバーター板26の下の粉体吸引ダクトが狭まり、より一層バランスのとれた空気流れをブースのすみからすみまでに施すということがわかったことである。その上、複数のダイバーター板区分44は、空気流れがその部分の表面をほぼ平行に流れて、複数のダイバーター板区分44間に形成したスロット46を介して粉体を引き寄せるので、粉体がほとんどない状態に保持される。
【0073】
図1、図2及び図7に示すような長方形状のブースはとても一般的なものであるが、円筒形又は円形状のブースを使用することも知られている。既知の多くの円形状ブースを使用する場合、効果的なオーバースプレー粉体の排出には、円錐形の床を設ける必要があるという問題がある。円錐状の床を設けるにはブースを高くする必要があり又は、物品をコンベヤー・ラインの他のステーション(station)と同じ高さで受け取れるように円錐形の床用のピット(くぼみ)を設ける必要がある。
【0074】
ダイバーター板を円形ブースに組み込み、ブースから空気を排出する粉体回収システムと組み合わせてダイバーター板を使うことで、平らなベースを有する円形ブースにおいて良好なオーバースプレー粉体回収を得ることが可能であることが判明した。
【0075】
図9と図10は、ダクト20を介してサイクロン型分離器42に通じる、中央配置のオーバースプレー取り入れ口を有する円形ブース2を示す。ドア48によって閉じることができる開口を介して出し入れするスプレーされるべき物品のとる通路の下方において、ダイバーター板26はブース2を直径方向に横切って延在している。ダイバーター板26の両側においては、ブースの床10がブースの壁4に向かって上方に傾斜し、壁4の両側には52で概略的に示されたガン・マウントと共に50で概略的に示された自動式ガンのための3つのスロット14が設けられている。図1と図2の実施例の場合のように、ダイバーター板26を一縁に沿って、図9の一点鎖線で示すごとくヒンジ止めしてトラフ24の掃除のためにダイバーター板26を側方に持ち上げることができるようにしてもよい。
【0076】
円形ブース2の高さは低いのでピット又はプラットフォームは必要ない。作業者がブース2に容易に入ることができるので、色変更のとき、残されたどんな粉体をも作業者がふきとって掃除できる。深い円錐形の床は存在しないので、作業者はそこに落ちてしまうことはなく、したがって現在市販されているブースにあるような安全性の問題はない。
【0077】
図11乃至図13は、中央に直径方向に延在するダイバーター板26を図7及び図8に示す実施例に類似した階段状に配列した円形ブース2を示す。ダイバーター板26を3つの区分44で形成し2つの側部区分は、排出点上方の中央区分より低い。その結果は、その排出点から最も遠く離れた区域内でダクト24が最も狭くなるので、ブース2を通過するバランスのとれた空気流れであり、ブース・ベースを横切る一様な吸引である。
【0078】
図からわかるように、ダイバーター板区分44は、図6に関して上述したように、強度や剛性を高めるのにややとがらせてもよい。また、ダイバーター板区分44を側部22の一方にヒンジ止めして点線で示した位置まで区分44を動かしてブースを貫通して延在するトラフ24にアクセスできるようにしてもよい。
【0079】
図9乃至図13の円形状ブース2は、例えばエアージェットを使ったり又はふき取ったりしてブースを手作業で掃除できる。又は、自動洗浄装置を使うことができる。図14と図15は、上部位置と下部位置の両方において示された二重「D」形の洗浄エアー・リング54を備えた自動式洗浄構成を示す。このリング54は、ブース2内で上下動かしながら空気をブースの壁4の方向に導く。洗浄リング54を天井から下降させると、ブースの下方の壁に集まったどんな粉体をもリング54が吹きとばしてブースの下部に収容された収集システム内に送る。通常の洗浄の際には、リング54をブースの屋根に引っ込めてもよい。
【0080】
図16は自動式洗浄のための代替システムを示し、このシステムは、空気洗浄フレーム56から成り、このフレームは壁4と床10に空気を吹付けながらブース2内部で回転してブースの床部にトラフを介して集められた堆積オーバースプレー粉体を除去する。この洗浄フレーム56は、図示のように部分的なものでもよいし又は両側でもよいし又は左右対称形にして洗浄を早めてもよい。ブース2が通常の運転状態にあるときには、ブースの外側にフレーム56を一時置くのが望ましい。ブース2を洗浄するためにはフレーム56をコンベヤーに取付けてブース2内へ入れる。
【0081】
手動式粉体コーティング(塗布)・ガンを自動式粉体スプレー・ガンと組み合わせて使用するには、図9乃至図16に示された円形状形態を変更して作業者用の少なくとも1つのステーション(持ち場)を設けてもよい。図17と図18とは手動式スプレー・ガンを収容するブースの変形形態を示す。図示の形態はブース2の両側から手動式スプレー・ガンを使用できるが、一方側のみからの手動式ガンの使用で十分な場合もあり、この場合には他方の側は滑らかに湾曲させ粉体の蓄積を阻止するのが好ましい。他の形態も可能である。例えば、図18に示すように、へこませる代わりに、物品搬入スロット12と自動式ガン・スロット14との側部間のブース壁を直線にしてもよい。
【0082】
円形状ブースの実施例の全部には、エアジェットを床側部22の下方に向けて堆積オーバースプレーをトラフ24へ導きそしてダイバーター板26の上に移動せしめるようにプレナムを装着することにより空気補助によるオーバースプレーの収集を設けてもよい。短形状ブースの実施例については、空気補助を設けることの意義は、作業者がブース2内を歩きまわることをより容易にしかつその構造をより簡単にするように側部22の勾配を小さくできることである。
【0083】
空気補助はダイバーター板26と一緒に使用する必要はない。図19乃至図21は、空気補助を単に勾配付き床部分との組み合わせにおいて用いる構成を示している。図19の装置において、床10のほぼ全体が傾斜しており勾配を有し空気補助は勾配付き床10の上方縁部を横切って設けられている。この図は、ダクト20を介して粉体回収システムのサイクロン型分離機42の内への空気中に浮遊したオーバースプレー粉体の回収の概略をも示している。
【0084】
円形状ブースにおいて、ブースの床10の全体に勾配をつけてもよい。このことは勾配付き床10を有する円形状ブース2を示している図20に図示されている。図示されているように、床に穴をあけてもよいし、3つの区分で構成し外側区分はヒンジ止めされるか持ち上げ可能にして洗浄を容易にするようにしてもよい。図20の実施例において、ダイバーター板の中央部分は固定式とし、作業者がブースの両側から入れるように外側の2つの区分を上向きにヒンジ止めすることができる。
【0085】
図21は、床10が三角形断面を有し、その頂点において空気補助を設けている代替実施例を示す。矢印で示される如く、空気補助によって堆積オーバースプレー粉体を床10の両側を下って移動させて床10上に蓄積をするのを防止しブース2の側部で堆積オーバースプレーを収集する。ブース2には、収集したオーバースプレー粉体を受け粉体回収システムへ導くための入口ダクトが側部に設けられている。
【0086】
さらなる代替実施例において、ブース2の他の勾配のない内面、例えば1つ以上の壁又は天井を横切る空気補助を設けている。空気補助を勾配のない床に具合よく付与することもできる。欧州特許出願第98940476.9に開示のブースの中央に空気補助を設けて空気の噴射をブースの両端に向け、従ってこれら両端の設けたオーバースプレー取入れ口のそれぞれに向けるようなすぐれた有用性をもつ特定の実施例がある。この空気補助は床上の堆積オーバースプレー粉体の収集を容易にし堆積オーバースプレー粉体のオーバースプレー取入れ口方向への移動を容易にして粉体回収システムによって回収される。
【0087】
これら全ての代替実施例では空気補助は連続的であっても又はパルス状即ち脈動的であってもよい。後者の場合は、空気源の必要エネルギーが減じられ従ってコストの節約ができるので経済的に有利である。
【0088】
カラー粉体の取り換え間の運転が長い場合には、エアーパルスを周期的に付与するのが望ましく、カラー粉体の取り換え間の運転が短い場合には色の取り換え直前にパルスを付与すれば十分である。
【0089】
図1と図2にもどって、粉体の色を変更即ち取り換えようとするときに行なわれる洗浄作業を以下に説明する。この説明は、ダイバーター板26と空気排出用に設けた粉体回収システムとを具備した他の実施例に同等に適用されることは理解されよう。粉体スプレー装置を止め、端壁6のアクセス開口12を横切るドアを閉じる。ドア32をダクト20に対して回動させるのと同様にダイバーターパネル26も隣接する端壁6に向かって上方へ回動させる。好ましくは空気ホースを使用する作業者が、ブース2のダクト20と反対側の端部から始め、ブース内に残っている堆積オーバースプレー粉体を全ての壁、床、ダイバーターパネル26、ダクト20及びオーバースプレー取入れ口18の各面から吹き飛ばしながらブースに沿って移動する。これら最後の2つの作業は、ダイバーターパネル26並びにダクト20のドア32の蝶番(ヒンジ)による取付け構造のため、簡単になる。粉体をブースの面から吹飛ばすと、粉体はファンによって吸引ダクト20の中に引き寄せられる。
【0090】
この作業で除去しなければならない堆積オーバースプレー粉体の量は、堆積オーバースプレー粉体のかなりの部分がダイバーター板26、勾配付き側部22及び空気プレナム34の作用によりすでに取り除かれているので、既知のブースの場合に比べかなり少ない。従って、洗浄工程中に行われる再利用作業の量は少なくなり、労働コストを下げる。また、いくつかの従来システムにおいて、粉体をダスト・パン又は廃棄物容器に収集して、洗浄工程が終了する時間まで再利用を完了させられないので、捨てる必要がある。粉体コーティング材料のこの廃棄は、ブースを洗浄するために必要な時間や労働が減っているから本発明のシステムでは生じない。
【0091】
このブースを使って試験すると、ブースの洗浄時間を15分未満までに短縮することが可能であることがわかった。
【0092】
オーバースプレー粉体をシステムに引き寄せる空気流れをダイバーター板26が均一にして、即ちブースの長手方向を横切って釣り合いを保つように機能するので、色の変更性能における改善が達成され、同時にブースの実際の性能も改善される。粉体粒子は、被塗装部分に良好に付着する機会を有するので、これはガンの搬送効率を改善する効果を有する。その上、オーバースプレー粉体は、かかる構成を用いることによりブース内により有効に入れられる。
【符号の説明】
【0093】
2 粉体スプレー・ブース
10 床
18 オーバースプレー取入口
24 トラフ
26 ダイバーター板
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体スプレー・コーティングに関し、特にコーティングされるべき物品に付着しなかった粉体を粉体スプレー・ブースから回収することに関する。
【背景技術】
【0002】
粉体スプレー・ブース内でコーティングされるべき物体に付着しない粉体は、「オーバースプレー」として知られている。オーバースプレー粉体は、コーティングされるべき物体に当りそこねたり、又はその物体の表面ではね返ったり、又はスプレー・ブース内の静電界によって物体から離れるように偏向されることがある。
【0003】
ブースから空気を排出して空気中に浮遊するオーバースプレー粉体を排出することによって、オーバースプレー粉体を回収することは知られている。フィルター部材が粉体スプレー・ブースからオーバースプレーを回収するために使用されてきており、このフィルター部材は、スプレー・ブース排出空気からほぼ全てのオーバースプレーを取り除くことができ、これによりその粉体を再利用できる。オーバースプレーの回収のために、フィルター部材の代りに又はフィルター部材と組み合わせてサイクロン型分離器を使用することも知られている。サイクロン型分離器は、スプレー・ブース排出空気からオーバースプレーの大部分を取り除くのに有効であり、サイクロン・ハウジング内部には非常にわずかの粉体が堆積するだけであるので、フィルターよりも洗浄が容易である。
【0004】
公知の構成にあっては、このサイクロン分離器は、ブースの床の近傍のオーバースプレー取入れ口からサイクロンの又はサイクロンそれぞれの引入れ口まで延在しているダクトによって、粉体スプレー・ブースに接続されていた。欧州特許出願第94929600.8には、ダクトが粉体スプレー・ブースに組み込まれた粉体コーティング・システムが開示されており、ブースの側壁又は複数の端壁の一方がダクトの部分を形成している。
【0005】
欧州特許出願第98940476.9には、ダクトの一部を形成している側壁又は端壁の一部分をその壁の残部から取り外し自在にそのダクトを簡単に洗浄できるという、更に改良したものが開示されている。この欧州特許出願には堆積したオーバースプレー粉体を集めるシステムも開示されている。このシステムは、スクレーパー・バーから成り、このスクレーパー・バーは、ブースの床を横切って端壁間を連続的に往復運動してブース床上の粉体を集め更に、具備したオーバースプレー取入れ口それぞれに隣接したスプレー・ブースの端壁に向って収集した粉体を移動させる。
【0006】
近年、単一ブース内で多色スプレーを迅速に実施する能力の要望が強まっている。しかし、粉体の色の取り換えには、空気排出によって排出されなかった複数の壁、天井及び床上に堆積した粉体を取り除くためにブースの洗浄を必要とする。色の変更ごとに粉体スプレー・ブースの壁と床を適切に洗浄することは、製品の品質を確保するには非常に重要である。このような洗浄は、かき取り装置(scraping apparatus)及び/又は圧縮エアジェット装置を使って作業者の手作業によって行ってもよい。しかし、先に引用した欧州特許出願第98940476.9の往復運動するスクレーパー・バーを有するブースを含めて、堆積したオーバースプレー粉体の洗浄工程をオートメーション化することを目的としたブースが提案されていた。
【0007】
数多くの改良がなされてきたが、洗浄時間をより一層縮めることを目的としてより一層急速な洗浄性能を求める顧客の要望が強い。更に、欧州特許出願第98940476.9の往復動作のスクレーパー・バーのような自動操作の機械装置は洗浄工程を確かに早めるが、この機械装置では構造コストも増えるし、機械の故障という欠点がある。
【0008】
洗浄は、ブースの一端から他端へと実施することが好ましいので、洗浄の観点からは粉体回収システムのオーバースプレー取入れ口は、ブースの一端に設けるのが理想的である。しかし、吹付け即ちスプレーの観点からは、オーバースプレー取入れ口の最良の位置は、ブースの縦中央に設けてブースに沿った空気流れ、したがってスプレー装置用に設けた開口を横切る空気流れにも安定して排出するようにするのが一般的である。オーバースプレー取入れ口をブースの一端に設けるとき、空気流れの安定が所望のものになるようにブースの横断面に修正を加える試みがなされてきた。1つの公知のシステムでは、ブース床は下向きに傾斜する側部を有し、この側部間の領域は垂直方向に離隔して傾斜した側部間にトラフを画成している。三角形状インサートをスプレー中トラフに配置している。傾斜した側部と三角形状インサートの組み合わせ協力によって、ブースの長手方向に沿う空気流れの安定が保たれる。しかし、粉体の色を変更する際、三角形状インサートを洗浄のため取り外す必要がありそれが洗浄時間に付加されるという問題が生じる。
【0009】
例えば米国特許明細書4715314に示された別の構成では、ブース床には長手方向に延在しているスロットが形成され、このスロットはブースの長手方向に延びているダクトにも接続している。しかし、このスロットは一色を長時間スプレーすると粉体を蓄積することがあり、これは洗浄をより困難にする。
【0010】
粉体がスプレー・ブースの床上に堆積することを常に防止することによって洗浄時間を少なくすることも提案されていた。ドイツ特許3408014には、ブースの床を下ってゆく一続きの階段として構成し、この階段とブースの間にあるスロットから各階段を横切って空気を吹付けるシステムが開示されている。その目的は、ブースの幅を横切る空気流れをつくって、床に向って落下する粉体すべてをオーバースプレー取入れ口に運びそして粉体が床に達して堆積することを妨げることである。しかし、ブース床を階段形状にすることは、ブースと階段とが全体として複雑化し、連続して空気を供給する必要があるということがブースを費用のかかるものとしている。
【0011】
ドイツ特許出願第19644360にはオーバースプレー粉体が床に達するのを妨げることを意図したブースが開示されている。このブースは、ブース床を横切るようにほぼ水平方向の空気流れをつくり出す1個以上のノズルを有している。この空気流れは、粉体回収システムの引入れ口に向って下降してくるオーバースプレー粉体をわきへ逸らしてオーバースプレー粉体が床上に堆積するのを阻止する。1つの実施例では、床より上に位置する中央隔壁(セントラル・バッフル)によって引入れ口に通じる片開きダクトを設けて、ノズルによって空気を側面方向に導く。ドイツ特許3468014のシステムの場合のように連続して空気を供給することが必要である。
【0012】
上述の如く、床の部分に勾配をつけたブースは既知である。
しかし、米国特許明細書3905785によれば、勾配をつけるだけでは、オーバースプレー粉体すべてを重力によって回収システムに流すことは不十分である。この米国特許では少なくとも1つの空気通過を可能とする傾斜板で構成された床を有するブースを提案している。空気がブースから傾斜板に引き込まれ、傾斜板は空気によって運ばれたオーバースプレーを取り除く。空気を周期的に傾斜板を介して吹付けて傾斜板に堆積したオーバースプレーを移動させてそれを回収システムに流す。この吸い込み周期は送風周期より5倍から20倍長くしてもさしつかえない。概念として、逆のエアージェットによって周期的にパージ即ち洗浄するカートリッジ・フィルターのそれに似ている。
【0013】
大部分の公知のブースは短形状である。しかし、円形状のブースの提供も又既知である。円形状のブースは例えば欧州特許出願0839522に開示されている。既知の円形状のブースにおける問題は、オーバースプレー粉体を回収システムに運ぶ手段の吸引ダクトに通じる円錐形床をブースが有していることにある。スプレーすべき物品を生産ラインの他の部材と同一高さで収容できるように円錐体と吸引ダクトを収容するためのくぼみ(pit)が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】欧州特許出願第94929600.8
【特許文献2】欧州特許出願第98940476.9
【特許文献3】米国特許第4715314号明細書
【特許文献4】ドイツ特許第3408014号明細書
【特許文献5】ドイツ特許出願第19644360
【特許文献6】米国特許第3905785号明細書
【特許文献7】欧州特許出願0839522
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明の目的は、粉体の色をすばやく、たやすく変更即ち取り換えできかつさらに比較的単純な構造をもつ、カラースプレー装置の提供にある。
【0016】
本発明の別の目的は、空気中に浮遊しかつ堆積したオーバースプレーを、自身容易に洗浄される少数の比較的単純な部品を有するシステムによって回収することができる粉体コーティング・システムの提供にある。
【0017】
本発明の更なる目的は、堆積したオーバースプレーの収集を容易にし、同時にブースの長手方向に沿う排出空気流れの均衡を保つ粉体スプレー・ブースの提供にある。
【0018】
本発明の更なる目的は、生産ラインに容易に組込みできかつ洗浄が簡単な、ほぼ円形形状の粉体スプレー・ブースの提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明をここで4つの主要な態様、すなわち、ダイバーター(分流)板、洗浄空気供給を施す勾配付き床、パルス洗浄空気装置及びパルス洗浄空気の運転方法に関して要約する。
【0020】
本発明の一つの態様では、2つの側部と、この側部間にトラフを画成するように下向きにずれている領域(段差領域)とを有する床及び壁を有する粉体スプレー・ブースと、壁の開口を経由して前記ブースを通過する物品にスプレーするための、前記ブースの壁に配置された1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、ブースの内部と連通しており、オーバースプレー取入れ口を有し、ブース内部からオーバースプレー取入れ口を経由してオーバースプレー粉体を引き込む吸い込み手段を有する粉体回収システムと、前記トラフの少なくとも一部を閉じかつオーバースプレー取入れ口と連通しているダクトを構成するように床の側部間で前記ブース内に保持されているダイバーター板とを有し、ダイバーター板は、ダイバーター板に堆積したオーバースプレー粉体の前記ダクトへの移動用の開口を少なくとも1つ有している、粉体コーティング・システムを提供する。
【0021】
この装置を使えば、釣り合いのとれた空気流れをブース内につくり出すように空気抽出を均一にでき、同時に好適の場合には、ダイバーター板が、第2の一段高い位置に移動可能とされ、トラフに接近できる場合は特に、洗浄しやすい構成を提供することがわかった。少なくとも1つの開口を設けることによりダイバーター板上に、堆積したオーバースプレー粉体をその開口から粉体回収システムに引き込むことができる。
【0022】
ダイバーター板に向って下降するように側部に勾配をつけるのが望ましい。ダイバーター板は、ダイバーター板と側部それぞれの間にスロットを画成してもよい。
【0023】
側部に堆積したオーバースプレー粉体は、ダイバーター板に向かって流れ落ちダイバーター板と側部との間のスロットを経由して粉体回収システムへ空気流れによって抽出される。既に述べたように、ダイバーター板の表面に堆積したオーバースプレー粉体はダイバーター板の開口を介して抽出される。それゆえに、洗浄作業を始めるときのブース内の堆積オーバースプレー粉体の量は減り、したがって洗浄作業の規模が小さくなり、したがって洗浄時間が減少する。
【0024】
ブースは所望のどんな形状でもよい。長手軸がほぼ水平に延びている一般的な短形形状でもよい。又は、ブースは、中心軸がほぼ鉛直方向に延びている円形状でもよい。ダイバーター板によって形成された空気分配ダクトを円形状ブース内に設けることで、粉体が堆積することを制限でき、ダイバーター板の開口の寸法や形状を調整することによってブース内の空気分配や速度の最適化を可能にする。したがって特別なピット(くぼみ)を設けて生産ラインにブースを配置する必要はなく、円形状ブースを簡単に洗浄できるという長所を有する。このことは、円錐形ベースを有する既知の円形状ブースでは可能でなかった、作業者が安全にブースに入ることができるという事実がある故、非常に有益である。
【0025】
短形状のブースでは、オーバースプレー取入れ口をブースの一端又はその近くに設けて、ダイバーター板がその端からブースの長手方向の一部に沿って延在するようにしてもよい。複数の自動式粉体スプレー装置を備え、この自動式粉体スプレー装置用に側壁にスロットを有する短形状のブースにおいて、ダイバーター板の長さは、ブースの一端とこの一端から最も遠くにあるガン・スロットまでの距離にオフセット(offset)を加えたものでよい。このオフセットは比較的小さくてよく、普通のブースの場合の適切な値は、200mmである。
【0026】
自動式ガンを採用したブースの部分にダイバーター板を設けることがもっぱら必要であることがわかった。この理由は、ブースの自動式ガン部分にはより多くのガンがあるので、このガンからより多くの粉体流れがブースに生ずるからである。また、ブースのこの部分は排出用ファンに最も近い。ダイバーター板がなければ、このファンはガンからの粉体スプレー・パターンをゆがめ部材に粉体が付着する前に、粉体を収集システムに引き込んでしまうかもしれない。ダイバーター板の効果は、ファンの吸い込み力を均等化し、粉体が部材に付着する時間を長くし、オーバースプレー粉体がファンに向って均等に引き込まれることである。ブースの手動式ガン部では、ガンはより少なく、そのガンはファンからさらに遠く離れているので、ガンからの粉体スプレー・パターンは、ファンによってそれ程大きい度合の影響を受けない。よって、ダイバーター板は、ブースの手動式ガン部では、常に必要なものではない。
【0027】
各端部にオーバースプレー取入れ口を有する、欧州特許出願第98940476.9に示された短形状のブースでは、ダイバーター板が各端部から延在するように設けることができる。空気取入れ口を両端に有するブースでは、ブース内に最良な均衡の空気流れを生じせしめ、粉体粒子が収集システムの空気流れによって比較的影響を受けない部分に付着する機会を有しているので、粉体コーティングが特に有効であるブースの中央にいわゆる「無風」区域(“dead”zone)をつくることになることがわかった。ダイバーター板はこの「無風」区域(デッドゾーン)の両側に延びるように設けてもよい。
【0028】
特に好適な実施例では、ダイバーター板を2つ又はそれ以上の区分で構成している。このダイバーター板の区分は、ダクトがダイバーター板の長さに沿って異なる高さを有するように、トラフ底部から垂直方向に異なる間隔をもって設けられる。この構造によれば、ブース内の空気流れの釣り合いをなお一層改良しかつより釣りあいのとれた吸引力を得ることが可能であることがわかった。
【0029】
この実施例では、オーバースプレー取入れ口又は各オーバースプレー取入れ口に隣接したダイバーター板の区分又は複数区分は、トラフの底部からの垂直方向の間隔を最大にしてもよい。短形状のブースが一端にオーバースプレー取入れ口を有している場合、ダイバーター板の区分を他端に向って降下する一続きの階段状に構成してもよい。円形状ブースの中央位置にオーバースプレー取入れ口を有している円形状ブースの場合、その上方のダイバーター板区分を、両側にある1つ又はそれ以上の下方の区分に対して最大間隔をもつように配置してもよい。オーバースプレー取入れ口から離れた位置にあるダクトを狭めることで、所望の均一吸引及びより均衡のとれた空気流れが生じせしめる。
【0030】
ダイバーター板には、好適に、あるパターンで配置された複数の穴が設けられている。短形状のブースの場合、このパターンは三角形状で、三角形の頂点はファンに最も近いブースの端部にあるようにしてもよい。このパターンが粉体収集と空気の均衡の最良の組み合わせを与えることがわかった。穴全体の横断面の面積は、ブースの端部から中央に向かって漸次増大する。
【0031】
好適な形態における穴は、ダイバーター板の長手方向に細長く所定の横断面面積に対しては周辺長を最大とし、従ってダイバーター板の上面から堆積オーバースプレーを引き込む能力を最大にする。
【0032】
第2の態様によれば、本発明は、床と壁とを有する粉体スプレー・ブースと、この壁の開口を経由してブースを通過する物品にスプレーするための壁に位置決めされた1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、ブースの内部と連通しオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムからなり、この粉体回収システムは、オーバースプレー取入れ口を経由してブース内部からオーバースプレー粉体を引き込むための吸い込み手段を具備しており、ブース床の少なくとも一部に勾配を設け、勾配を付した部分の下方に空気を向けるための洗浄空気供給手段を設けた、粉体コーティング・システムを提供する。
【0033】
ブース床の少なくとも一部に勾配を設けることは知られているが、これの意図した結果、すなわち堆積したオーバースプレー粉体がついには勾配部分を流れ落ちるということが必ずしも生じるとは限らない。堆積オーバースプレー粉体が勾配付き部分又は複数の勾配付き部分に大きく蓄積するかもしれないし、洗浄時間が増え、かつ破裂の危険も生じるかもしれない。勾配付き部分又は複数の勾配付き部分の下方に空気を向ける洗浄空気供給装置を設けることで、堆積オーバースプレー粉体の下方への移動が確保され、機械操作のスクレーパー等によって及び/又は粉体回収システムの排出空気における抽出によって堆積オーバースプレー粉体を手動又は自動で簡単に洗浄できる領域まで堆積オーバースプレー粉体を搬送する。
【0034】
洗浄空気供給手段は、空気源と、勾配付き部分の上方縁に配置されかつ勾配を設けた部分の少なくとも一部に沿って延在する少なくとも1つのプレナム(plenum)から構成してもよく、このプレナムは少なくとも1つの空気出口好ましくは、複数の空気出口を有している。
【0035】
空気源は、エアーパルス(脈動空気)を空気出口に周期的に提供するのが大変好ましい。勾配付きの部分又は勾配付きの複数部分を横切って空気を絶えず流すことはエネルギーの不必要なむだ使いであり、堆積オーバースプレー粉体の勾配付き部分又は複数部分下方への移動を開始するためには空気をパルス状にするだけで十分であることがわかっている。洗浄空気供給手段によって、勾配付きの部分又は複数部分の表面にほぼ平行に、好ましくは、勾配付き部分又は複数部分に対し1度から3度までの角度で空気を向ける場合に最良の効果が得られることがわかった。
【0036】
第1の態様の特に好適な形態において、第2の態様の洗浄空気供給手段がダイバーター板の長さに沿って側部を下る方向に空気を向けるようにしてもよい。
【0037】
第3の態様によれば、本発明は、床と壁を有する粉体スプレー・システムであって、壁の開口を経由してブースを通過する物品にスプレーをするための壁に位置決めされた1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、前記ブースの内部と連通しており、オーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムとから成り、この粉体回収システムは、前記オーバースプレー取入れ口を経由して前記ブース内部からオーバースプレー粉体を引き込むための吸い込み手段を有しており、空気源と、複数の空気出口を有する少なくとも1つのプレナム(plenum)とから成る洗浄空気供給手段を設け、空気源は、空気出口に空気のパルス(脈動)を送り、前記プレナムは、オーバースプレー粉体が堆積されるブースの内面を横切ってエアーパルス(空気脈動)を向けるように配置されている粉体スプレー・システムを提供する。
【0038】
空気の脈動(パルス)は、勾配付きの面だけでなくブースのいかなる内部面にわたる堆積粉体の収集にとって有効であることがわかった。空気の脈動(パルス)によって堆積オーバースプレー粉体を天井又は壁の場合には降下によって、又は床の場合にはブースに沿って又は横切って移動させることで収集し、したがって粉体回収システムによる堆積オーバースプレー粉体の抽出を促進する。一定の空気流れや空気を指向するための複数な構造を必要とすることなく、良好な結果が得られる。よって、本システムは、製造と運転の両方に関して非常に経済的である。
【0039】
空気源としては、粉体回収システムの空気源、1つ又はそれ以上のファン又は圧縮空気供給装置であってもよい。後者は安価であるという長所を有し、前者はファンが比較的大きな音をたてるので、小型で静かである点で有用である。
【0040】
非常に好適には、第1の態様が第2の態様及び/又は第3の態様と組み合わされており、粉体粒子には部材に付着するより大いなる機会が与えられるので、高い搬送効果を生むブースにわたる均一な空気分配を結びつけて、全体として洗浄時間の非常に大幅に減少に帰する。これらの有利な点が成就される一方、ブース内における粉体の良好な封じ込めも達成される。
【0041】
第4の態様において、本発明は、床と壁を有する粉体スプレー・ブースと、1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、前記ブースの内部と連通しているオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムとを有する粉体コーティング・システムを作動する方法において、前記ブースの内部面を横切って空気噴射を周期的に行って該ブースに堆積したオーバースプレー粉体を収集する工程を有する方法をも提供する。
【0042】
従ってこの方法は、ブース内の空気補助の提供を含んでおり、これは堆積オーバースプレー粉体の収集と除去を促進する。
【0043】
内部面は、ブースの床及び/又は1つ又はそれ以上の壁及び/又は天井でもよい。
【0044】
空気の噴射を内部面にわたって横向きに又は、ブースに沿って縦に行うのが好ましい。この方法で手動でも自動でかまわないブースに沿っての洗浄操作によって粉体を集めてかんたんに収集する。
【0045】
ブース内で5分間の粒子スプレー毎に空気噴射の脈動即ちパルス送りを5秒間つづけて行うとき、良好な結果が得られることがわかった。これによって、ブースから堆積オーバースプレーの大部分の除去を行うことで堆積オーバースプレー粉体のいかなる著しい蓄積も阻止し、その結果、システム中を移動する粉体の量、特にブースの内部にある粉体の量自体を最小に保持する。
【0046】
代替的に又は追加的に、色変更即ち色の交換の直前に空気の噴射の脈動即ちパルス送りを行うことができ、これにより、洗浄作業中に除去する必要のある堆積粉体の量を最小化できる。
【0047】
この第4の態様を第2の態様と組み合わせることが非常に好ましく、ブース床の勾配付き部分の少なくとも一部を横切って空気噴射を行う。勾配付き部分における堆積オーバースプレー粉体の効果的な移動のためには、勾配付き部分にほぼ平行に、好ましくは勾配付き部分に対して1度から3度までの間の角度で空気噴射を行う。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】図1は、本発明による粉体コーティング・システムの第1実施例の粉体ブース構成部分を一部切り取った斜視図である。
【図2】図2は、本発明による粉体コーティング・システムの第2実施例の粉体スプレー・ブース構成部分の一部を切り取った斜視図である。
【図3】図3は、図2のブースの一部の詳細断面図である。
【図3A】図3Aは、図3のブース部分の代替実施例の詳細断面図である。
【図4】図4は、図1及び図2のスプレー・ブース内で使用するためのダイバーター板の平面図である。
【図5】図5は、図1及び図2のスプレー・ブース内で使用するためのダイバーター板の平面図である。
【図6】図6は、図4及び図5のダイバーター板の端面図である。
【図7】図7は、本発明による粉体コーティング・システムの第3実施例の一部の模式的側面図である。
【図8】図8は、図7の粉体コーティング・システムの粉体スプレー・ブース構成部分の一部の部分切取りの斜視図である。
【図9】図9は、本発明による粉体コーティング・システムの第4実施例の模式的端面図である。
【図10】図10は、図9の粉体コーティング・システムの平面図である。
【図11】図11は、本発明による粉体コーティング・システムの第5実施例の模式的平面図である。
【図12】図12は、図11の粉体コーティング・システムのX−X線に沿った断面図である。
【図13】図13は、図11の粉体コーティング・システムのY−Y線に沿った断面図である。
【図14】図14は、図9乃至図13の粉体コーティング・システムに使用するための洗浄システムを示す模式的端面図である。
【図15】図15は、図14の洗浄システムを示す模式的平面図である。
【図16】図16は、図9乃至図13の粉体コーティング・システムで使用するための別の洗浄システムを示す模式的端面図である。
【図17】図17は、図9乃至図13の粉体コーティング・システムの粉体コーティング・ブースに合わせて構成された可能な変形例を示す平面図である。
【図18】図18は、図9乃至図13の粉体コーティング・システムの粉体コーティング・ブースに合わせて構成された可能な変形例を示す平面図である。
【図19】図19は、本発明による粉体コーティング・システムの更なる実施例の粉体スプレー・ブースを構成する部分の模式図である。
【図20】図20は、代替的な粉体スプレー・ブースの模式図である。
【図21】図21は、代替的な粉体スプレー・ブースの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1と図2は、短形状の粉体スプレー・ブース2が側壁4、端壁6及び床10を有することを示している。ブース2は更にコンベヤー(不図示)を有し、複数のスプレー装置(これも不図示)によって粉体でスプレー即ち吹付けをするために端壁6の開口12を経由してブース2にこのコンベヤーから吊り下げられた物品が運ばれる。図1と図2に示されたブース2には、自動式スプレー装置用のスロット14と手動操作のスプレー装置の使用を可能にするための開口16とが各側壁に設けられている。しかし、スプレー装置の数及び位置はスプレーされる物品に応じて変えうることは理解されるであろう。
【0050】
ブース2の天井、壁4、6及び床10は合成樹脂のような非導電性材料から作られることが好ましい。合成樹脂を使うことによって、静電帯電された場合にはスプレー装置によって吹付けられた粉体は、粉体が壁4、6や天井に静電的に引きつけられることがなく重力によって落下してブース2の床10に集まるので、天井や壁4、6に付着する傾向は減少する。耐久性については、作業者が歩く床10又は少なくとも部分又は複数部分は、ステンレス鋼で作られるようにしてもよい。
【0051】
粉体コーティング・システムの他実施例に関して更に以下に述べるようなフィルター及び/又は1つ又はそれ以上のサイクロン型分離器を含むことができる粉体回収システムをブース2に設ける。この粉体回収システムがどんな形態をとろうとも、ブース2の内部と連通しかつブース内においてオーバースプレー取入れ口への排出空気の流れをつくるオーバースプレー取入れ口が設けられている。排出空気の流れは、空気中に浮遊するオーバースプレー粉体を抽出する働きをする。熟練者は、業界で知られたものから適切な粉体回収システムを簡単に選択できる。
【0052】
複数個の短形状の粉体スプレー・ブースを一端から他端まで洗浄することが好ましいので、洗浄のためにはオーバースプレー取入れ口をブースの一端に配置することが好ましい。図1と図2に示したブースにおいては、オーバースプレー取入れ口は、点線18で示され、ブースのコーナー即ち一すみに設けられている。その上に立ち上がっているものはダクト20で、欧州特許出願第94929600.8、現在欧州特許第723,481に記述されたような「閉鎖結合サイクロン」を称する型の粉体回収システムが好ましいこの粉体回収システムに通じている。
【0053】
図1と図2に示すブース2の床10には、その両側に傾斜部分22が2つ設けられている。傾斜部分22は離間されており、床10の残部は、傾斜部分22と段差を成して傾斜部分22の間にトラフ24(trough)を画成する。トラフ24の壁は、ブース2の端部で切り取られ、そこにオーバースプレー取入れ口18が配置されてオーバースプレー取入れ口18とトラフ24、従ってブース2の内部の残部とが接続されている。
【0054】
ダイバーター(diverter)板26即ち方向転換板26をトラフ24の端部に配置する。その端部にはオーバースプレー取入口18が配置されてその端部から延びている。ダイバーター板26の長さはブース2の端部から自動式スプレー装置のスロット14の該端部から最も遠い中心線までの距離にオフセットを加えた距離に等しいのが好ましい。このオフセットは適切には約200mm程度である。ダイバーター板26を側部22から離隔してダイバーター板と側部の間にスロット27を画成するのが都合がよい。
【0055】
ダイバーター板26は複数穴パターンを有している。2つの可能なパターンが図4と図5に示されている。両パターン共オーバースプレー取り入れ口18が配置されているブース2の端部に三角形の頂点をもつ三角形状である。穴28は、ダイバーター板26従ってブース2の長手方向に細長い。図6に示すように、ダイバーター板26は強度及び剛性のためにややとがった上面を有している。
【0056】
ダイバーター板26は図1と図2に示す位置にタブ29によって支持されているが、ヒンジ30を介して端壁6に取付けられてダイバーター板を上方に旋回させて端壁6にもたれるのを可能としている。床の側部22の上方に延在するダクト20の部分は、2つのとびら32でブース2の内部と隔てられている。とびら32のそれぞれはヒンジ33によって取付けられているので、とびら32は旋回運動をして端壁6から離れまた向かうことが可能であり、ダクト20の内部にアクセス(接近)できる。
【0057】
図2に示すブース2は、図1に示すブースとは側部22のそれぞれの上方縁にプレナム(plenum)34を設けている点で異なっている。図のブースの左手にあるプレナム34は図3の断面図により詳細に示されている。プレナム34は壁4内に取付けられた細長い管であり、その長さに沿って複数の離隔した出口35を形成している。プレナム34は、図2に36、37で概略的に示されたバルブを経由して加圧空気源に接続されている。空気源36からの空気は、側部22を横切って噴射し、空気出口35から外方に送り出される。
【0058】
図3Aは、側部22を横切ってパルス空気流れをおこすための代替構成を示す。この構成には、図3に示すものと同じいくつかの特徴部分があり、対応する場合には同じ参照数字を同じ部品として使用する。
【0059】
図3Aの構成においては、プレナム34は側部の上縁において側部の長さまで延在している。プレナムは2つの部分34a、34bで形成され、最前方の部分34bには、ほぼV型溝38にまで延びている複数の離隔した出口35が設けられ、溝38は最前方の部分34bに機械で削られて形成される。
【0060】
プレナムにはブースの長手方向に沿って離隔した一連の空気給送管39が供給されている。次に、給送管39には図3Aに示されていないが図3の配置にあるようなバルブ付き加圧空気源が供給されている。その接続はねじ付きの入口取付具40を介して行なわれる。
【0061】
どのような構成を採用しようとも、すなわち図3の構成又は図3Aの構成を採用しようとも、空気出口35は側部22に対して一度乃至3度の間の角度でエアージェットを指向するように構成するのが好ましい。従って、側部22の角度(a)がブースの水平床に対して37度である場合には、空気出口35は水平床に対して38度乃至40度の角度(b)で空気を向ける。空気出口35のこの向きは、エアージェットを側部22に1度から3度の角度で突き当たるようにさせる。溝38が設けられている図3Aの構成においては、溝の下方壁は垂直線に対し135度の角度(c)、すなわち水平床に対して45度でもよい。
【0062】
図3に示す構成のプレナム34は、壁4の内側パネル41に接着されたPVC(ポリ塩化ビニル)押出し品でもよい。又は、図3Aに示すように、プレナムは壁4の外側に取付けるようにしてもよい。プレナム34は図3と図3Aに示すものとは異なった形態をとることもできる。
【0063】
使用に際しては、スロット14を貫通して延在している自動式ガン及び/又は開口16を貫通して向けられた手動ガンによってブースを通過する物品に粉体をスプレーする。空気中に浮遊するオーバースプレー粉体を、オーバースプレー排出部18とダクト20を経由して粉体回収システムによって作り出された排出空気の流れにのせてブース2の内部から排出する。粉体回収システムによる搬送空気からはずれてしまうオーバースプレー粉体は、ブース2の床10や側部22、トラフ24の底部、ダイバーター板26等に堆積される。トラフ24に沿って回収モジュールによって引きおこされた排出空気の流れはダイバーター板26の上面上の堆積されたオーバースプレー粉体を、側部22とダイバーター板26の間にある穴28又はスロット27のいずれかを通ってその下方にあるトラフ24に引き込むように働く。穴28の細長い形状が、堆積されたオーバースプレー粉体を穴28に引き込み、従って排出空気の流れにのせて、オーバースプレー取入れ口18に引き寄せる範囲を最大にする。ダイバーター板26の上面29の尖頂は、穴28を通ってスロット27に引き込まれなかった堆積オーバースプレー粉体のオーバースプレー取入れ口18への通過を補助する。
【0064】
側部22上の堆積されたオーバースプレー粉体は、側部の匂配によって側部を下って重力によって自然に或る程度まで落ちてトラフ24に入り、粉体回収システムによって生成された排出空気の流れの中に入る。しかし、図2のブース2は、プレナム34を介してこのプロセスに空気補助を提供する。プレナム34の空気出口35から作り出された空気の噴射は堆積オーバースプレー粉体の側部22の下方移動を増進させる。色の変更即ち取り換え間の運転が短い場合、色変更直前に空気パルスを与えてもよい。色の取り換え間の運転が長い場合、空気パルスを周期的に与えて堆積したオーバースプレー粉体の蓄積を防止してシステム内に残っている粉体、特にブース2の粉体の量を減らす。空気補助を絶えず与えることはできるが、空気の周期的パルスを付与して側部22の堆積したオーバースプレー粉体を動かすように調節するだけで実際に十分であることがわかった。1つの成功した実験において、5分毎に5秒のパルスが側部22の堆積したオーバースプレー粉体を適切に除去する働きをした。圧縮空気を絶えず供給する場合とは反対に空気をパルス状に脈動させることは、システムのエネルギーコストを減らす。
【0065】
プレナム34によって付与された空気補助は、側部22を堆積したオーバースプレー粉体のない状態に保持するだけでなくダイバーター板26の上面上の堆積したオーバースプレー粉体の収集量を増す。
【0066】
側部22及びダイバーター板26から収集された堆積オーバースプレー粉体の大部分は、粉体回収システムの排出空気流中に再度乗せられ、空気中に浮遊するオーバースプレー粉体としてブース2から排出される。
【0067】
ダイバーターパネル26はブース2の全長にまで延ばすことができる。しかし、自動式ガンの場合にはダイバーターパネルは上述したように約200mm程度のオフセット(offset)だけスロット14を超えて延在させることで十分であることがわかった。この理由は、ブースの自動式ガンの部分のより多くのガンによってより多くの粉体流れを生じ、このより多くの粉体流れは手動ガンに比べてファン(fan)により近いからである。ダイバーター板の効果は、粉体がその部分に付着するのにより多くの時間を要し、オーバースプレー粉体が収集システムに均一に引き寄せられるようにファンの吸引力を均等にすることである。手動式ガンはファンからさらに遠くにあるので、そのスプレーパターンはファンによって大きく影響されるようなことはないので、これらのガンに関してはダイバーター板の必要性は減る。
【0068】
ダイバーター板26の機能は、ブース2に沿う空気分配を均一にして、良好な粉体の封じ込めを確保しながらより高い搬送効率につながる粉体ブース中の空気バランスを与えるよう機能する。従って、ダイバーター板は堆積したオーバースプレー粉体の量を減らして空気中に浮遊するオーバースプレー粉体の量を増やすように機能する。このつりあい効果は、穴28のパターンによって一部達成される。ダイバーター板26は空気流れリストリクター(制限器)であるから、穴の大きさ、個数及びパターンはオーバースプレー取入れ口18を通過する空気速度を決定する。一例として、粉体回収システムの入力空気速度とブース2の計量レーティングで立方フィートとを組み合わせて、オーバースプレー取入れ口18を通過する空気速度が2000フィート/分であるようにダイバーター板26を配置してもよい。
【0069】
図1と図2に示すブース2は、ただ1つのオーバースプレー取入れ口18との関連において使用するただひとつのダイバーター板26を有する。しかし、欧州特許出願第98940476.9に示すようなオーバースプレー取入れ口を2つもつブースにおいては、ダイバーター板26をブース2の中央に向かって延在するように両端に設けることができる。ダイバーター板26は、2つのオーバースプレー取入れ口をブースの各端部に1つずつ設けることで作り出されるとわかっているブースの中央の「デッドゾーン」(dead zone)の手前で止めるのが好ましい。このデッドゾーンは、収集システムによって引き起こされた空気流れがブースのその領域においてはブースの他の残部に比べてそれほど強くないという点でブースの比較的静かな区域である。
【0070】
スプレーしている際中に、空気を周期的にプレナム34に供給して側部22を下る空気噴流(エアージェット)を生じさせ、堆積したオーバースプレー粉体のトラフ24へそしてダイバーター板26の上への移動を生じせしめる。このエアージェットは、ダイバーター板26を堆積オーバースプレー粉体のないきれいな状態に保持する手助けもする。一つの作動実施例において、プレナム35では、0.5mm直径の穴を複数個15mm間隔で配置し、5分毎に5秒間4バールの圧力で空気を吹付けることで粉体収集を実施した。承知のように、所定の任意のブースに与えられた空気補助パラメータは、粉体コーティング材料のタイプ、ブースの形状、そして特に側壁22の勾配の角度といった種々のパラメータに依存する。空気補助の提供とは、所望の場合、勾配の角度を小さくでき、作業者がブース2内を歩きまわるのをより容易にし、かつブース2の構造を容易にすることを意味する。
【0071】
図7及び図8は、更なる実施例の概略を示し、図1と図2の実施例に共通する多くの特徴をもっているので、同じ参照数字は同じ部品に使用されている。図7と8に示す実施例において、サイクロン型分離器42を有している粉体回収システムが一端に設けられたブースの長さにわたってダイバーター板26が延在している。ダイバーター板26はブースの全長に延びる必要はなく、図1と図2に示す粉体スプレーシステムのダイバーター板26と同様に、粉体回収システムから離れた端部までには到らない、ようにできる。しかしこれらシステムとは異なり、ダイバーター板26を複数の区分44で構成し、各区分を別個のダイバーター板とみなすことができ、複数の区分は、粉体回収システムから離れて下っていく一連の段(ステップ)として配置される。この複数の区分44を一体構造としてもあるいは分離構造としてもよい。図8に示すように、各区分44と、ブース下方の隣接区分との間にスロット46を設けるように複数の区分44を配置してもよい。
【0072】
図7と図8に示す実施例の長所は、複数のダイバーター板区分44がサイクロン型分離器42から遠ざかる方向において下っていくので、ダイバーター板26の下の粉体吸引ダクトが狭まり、より一層バランスのとれた空気流れをブースのすみからすみまでに施すということがわかったことである。その上、複数のダイバーター板区分44は、空気流れがその部分の表面をほぼ平行に流れて、複数のダイバーター板区分44間に形成したスロット46を介して粉体を引き寄せるので、粉体がほとんどない状態に保持される。
【0073】
図1、図2及び図7に示すような長方形状のブースはとても一般的なものであるが、円筒形又は円形状のブースを使用することも知られている。既知の多くの円形状ブースを使用する場合、効果的なオーバースプレー粉体の排出には、円錐形の床を設ける必要があるという問題がある。円錐状の床を設けるにはブースを高くする必要があり又は、物品をコンベヤー・ラインの他のステーション(station)と同じ高さで受け取れるように円錐形の床用のピット(くぼみ)を設ける必要がある。
【0074】
ダイバーター板を円形ブースに組み込み、ブースから空気を排出する粉体回収システムと組み合わせてダイバーター板を使うことで、平らなベースを有する円形ブースにおいて良好なオーバースプレー粉体回収を得ることが可能であることが判明した。
【0075】
図9と図10は、ダクト20を介してサイクロン型分離器42に通じる、中央配置のオーバースプレー取り入れ口を有する円形ブース2を示す。ドア48によって閉じることができる開口を介して出し入れするスプレーされるべき物品のとる通路の下方において、ダイバーター板26はブース2を直径方向に横切って延在している。ダイバーター板26の両側においては、ブースの床10がブースの壁4に向かって上方に傾斜し、壁4の両側には52で概略的に示されたガン・マウントと共に50で概略的に示された自動式ガンのための3つのスロット14が設けられている。図1と図2の実施例の場合のように、ダイバーター板26を一縁に沿って、図9の一点鎖線で示すごとくヒンジ止めしてトラフ24の掃除のためにダイバーター板26を側方に持ち上げることができるようにしてもよい。
【0076】
円形ブース2の高さは低いのでピット又はプラットフォームは必要ない。作業者がブース2に容易に入ることができるので、色変更のとき、残されたどんな粉体をも作業者がふきとって掃除できる。深い円錐形の床は存在しないので、作業者はそこに落ちてしまうことはなく、したがって現在市販されているブースにあるような安全性の問題はない。
【0077】
図11乃至図13は、中央に直径方向に延在するダイバーター板26を図7及び図8に示す実施例に類似した階段状に配列した円形ブース2を示す。ダイバーター板26を3つの区分44で形成し2つの側部区分は、排出点上方の中央区分より低い。その結果は、その排出点から最も遠く離れた区域内でダクト24が最も狭くなるので、ブース2を通過するバランスのとれた空気流れであり、ブース・ベースを横切る一様な吸引である。
【0078】
図からわかるように、ダイバーター板区分44は、図6に関して上述したように、強度や剛性を高めるのにややとがらせてもよい。また、ダイバーター板区分44を側部22の一方にヒンジ止めして点線で示した位置まで区分44を動かしてブースを貫通して延在するトラフ24にアクセスできるようにしてもよい。
【0079】
図9乃至図13の円形状ブース2は、例えばエアージェットを使ったり又はふき取ったりしてブースを手作業で掃除できる。又は、自動洗浄装置を使うことができる。図14と図15は、上部位置と下部位置の両方において示された二重「D」形の洗浄エアー・リング54を備えた自動式洗浄構成を示す。このリング54は、ブース2内で上下動かしながら空気をブースの壁4の方向に導く。洗浄リング54を天井から下降させると、ブースの下方の壁に集まったどんな粉体をもリング54が吹きとばしてブースの下部に収容された収集システム内に送る。通常の洗浄の際には、リング54をブースの屋根に引っ込めてもよい。
【0080】
図16は自動式洗浄のための代替システムを示し、このシステムは、空気洗浄フレーム56から成り、このフレームは壁4と床10に空気を吹付けながらブース2内部で回転してブースの床部にトラフを介して集められた堆積オーバースプレー粉体を除去する。この洗浄フレーム56は、図示のように部分的なものでもよいし又は両側でもよいし又は左右対称形にして洗浄を早めてもよい。ブース2が通常の運転状態にあるときには、ブースの外側にフレーム56を一時置くのが望ましい。ブース2を洗浄するためにはフレーム56をコンベヤーに取付けてブース2内へ入れる。
【0081】
手動式粉体コーティング(塗布)・ガンを自動式粉体スプレー・ガンと組み合わせて使用するには、図9乃至図16に示された円形状形態を変更して作業者用の少なくとも1つのステーション(持ち場)を設けてもよい。図17と図18とは手動式スプレー・ガンを収容するブースの変形形態を示す。図示の形態はブース2の両側から手動式スプレー・ガンを使用できるが、一方側のみからの手動式ガンの使用で十分な場合もあり、この場合には他方の側は滑らかに湾曲させ粉体の蓄積を阻止するのが好ましい。他の形態も可能である。例えば、図18に示すように、へこませる代わりに、物品搬入スロット12と自動式ガン・スロット14との側部間のブース壁を直線にしてもよい。
【0082】
円形状ブースの実施例の全部には、エアジェットを床側部22の下方に向けて堆積オーバースプレーをトラフ24へ導きそしてダイバーター板26の上に移動せしめるようにプレナムを装着することにより空気補助によるオーバースプレーの収集を設けてもよい。短形状ブースの実施例については、空気補助を設けることの意義は、作業者がブース2内を歩きまわることをより容易にしかつその構造をより簡単にするように側部22の勾配を小さくできることである。
【0083】
空気補助はダイバーター板26と一緒に使用する必要はない。図19乃至図21は、空気補助を単に勾配付き床部分との組み合わせにおいて用いる構成を示している。図19の装置において、床10のほぼ全体が傾斜しており勾配を有し空気補助は勾配付き床10の上方縁部を横切って設けられている。この図は、ダクト20を介して粉体回収システムのサイクロン型分離機42の内への空気中に浮遊したオーバースプレー粉体の回収の概略をも示している。
【0084】
円形状ブースにおいて、ブースの床10の全体に勾配をつけてもよい。このことは勾配付き床10を有する円形状ブース2を示している図20に図示されている。図示されているように、床に穴をあけてもよいし、3つの区分で構成し外側区分はヒンジ止めされるか持ち上げ可能にして洗浄を容易にするようにしてもよい。図20の実施例において、ダイバーター板の中央部分は固定式とし、作業者がブースの両側から入れるように外側の2つの区分を上向きにヒンジ止めすることができる。
【0085】
図21は、床10が三角形断面を有し、その頂点において空気補助を設けている代替実施例を示す。矢印で示される如く、空気補助によって堆積オーバースプレー粉体を床10の両側を下って移動させて床10上に蓄積をするのを防止しブース2の側部で堆積オーバースプレーを収集する。ブース2には、収集したオーバースプレー粉体を受け粉体回収システムへ導くための入口ダクトが側部に設けられている。
【0086】
さらなる代替実施例において、ブース2の他の勾配のない内面、例えば1つ以上の壁又は天井を横切る空気補助を設けている。空気補助を勾配のない床に具合よく付与することもできる。欧州特許出願第98940476.9に開示のブースの中央に空気補助を設けて空気の噴射をブースの両端に向け、従ってこれら両端の設けたオーバースプレー取入れ口のそれぞれに向けるようなすぐれた有用性をもつ特定の実施例がある。この空気補助は床上の堆積オーバースプレー粉体の収集を容易にし堆積オーバースプレー粉体のオーバースプレー取入れ口方向への移動を容易にして粉体回収システムによって回収される。
【0087】
これら全ての代替実施例では空気補助は連続的であっても又はパルス状即ち脈動的であってもよい。後者の場合は、空気源の必要エネルギーが減じられ従ってコストの節約ができるので経済的に有利である。
【0088】
カラー粉体の取り換え間の運転が長い場合には、エアーパルスを周期的に付与するのが望ましく、カラー粉体の取り換え間の運転が短い場合には色の取り換え直前にパルスを付与すれば十分である。
【0089】
図1と図2にもどって、粉体の色を変更即ち取り換えようとするときに行なわれる洗浄作業を以下に説明する。この説明は、ダイバーター板26と空気排出用に設けた粉体回収システムとを具備した他の実施例に同等に適用されることは理解されよう。粉体スプレー装置を止め、端壁6のアクセス開口12を横切るドアを閉じる。ドア32をダクト20に対して回動させるのと同様にダイバーターパネル26も隣接する端壁6に向かって上方へ回動させる。好ましくは空気ホースを使用する作業者が、ブース2のダクト20と反対側の端部から始め、ブース内に残っている堆積オーバースプレー粉体を全ての壁、床、ダイバーターパネル26、ダクト20及びオーバースプレー取入れ口18の各面から吹き飛ばしながらブースに沿って移動する。これら最後の2つの作業は、ダイバーターパネル26並びにダクト20のドア32の蝶番(ヒンジ)による取付け構造のため、簡単になる。粉体をブースの面から吹飛ばすと、粉体はファンによって吸引ダクト20の中に引き寄せられる。
【0090】
この作業で除去しなければならない堆積オーバースプレー粉体の量は、堆積オーバースプレー粉体のかなりの部分がダイバーター板26、勾配付き側部22及び空気プレナム34の作用によりすでに取り除かれているので、既知のブースの場合に比べかなり少ない。従って、洗浄工程中に行われる再利用作業の量は少なくなり、労働コストを下げる。また、いくつかの従来システムにおいて、粉体をダスト・パン又は廃棄物容器に収集して、洗浄工程が終了する時間まで再利用を完了させられないので、捨てる必要がある。粉体コーティング材料のこの廃棄は、ブースを洗浄するために必要な時間や労働が減っているから本発明のシステムでは生じない。
【0091】
このブースを使って試験すると、ブースの洗浄時間を15分未満までに短縮することが可能であることがわかった。
【0092】
オーバースプレー粉体をシステムに引き寄せる空気流れをダイバーター板26が均一にして、即ちブースの長手方向を横切って釣り合いを保つように機能するので、色の変更性能における改善が達成され、同時にブースの実際の性能も改善される。粉体粒子は、被塗装部分に良好に付着する機会を有するので、これはガンの搬送効率を改善する効果を有する。その上、オーバースプレー粉体は、かかる構成を用いることによりブース内により有効に入れられる。
【符号の説明】
【0093】
2 粉体スプレー・ブース
10 床
18 オーバースプレー取入口
24 トラフ
26 ダイバーター板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
2つの側部と該側部間にトラフを画成するように下向きの段差領域とを有する床及び壁を有する粉体スプレー・ブースと、端壁の開口を経由して該ブースを通過する物品にスプレーを行うためのブースに対して位置決めされた、1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、該ブースの内部と連通しているオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムと、該トラフの少なくとも一部を閉じ該前記オーバースプレー取入れ口と連通しているダクトを構成するように該ブース内で該床の側部間に保持されたダイバーター板とを有し、該粉体回収システムは、オーバースプレー粉体をブース内部から該オーバースプレー取入れ口に引き込ませる吸い込み手段を有し、該ダイバーター板は、そこに堆積したオーバースプレー粉体の該ダクトへの移動のための少なくとも1つの開口を有している、粉体コーティング・システム。
【請求項2】
壁と床とを有する粉体スプレー・ブースと、壁の開口を経由して該ブースを通過する物品にスプレーを行うための該壁に対して位置決めされた1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、前記ブースの内部と連通しているオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムとを有し、該粉体回収システムは、オーバースプレー粉体をブース内部から前記オーバースプレー取入れ口に引き込むための吸い込み手段を有しており、前記ブースの床の少なくとも一部には勾配がつけられており、該勾配が付された部分を下る方向に空気を向ける洗浄空気供給手段を備えた粉体コーティング・システム。
【請求項3】
壁を有する粉体スプレー・ブースと、壁の開口を経由して該ブースを通過する物品にスプレーを行うための該壁に対して位置決めされた1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、前記ブースの内部と連通しているオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムとを有し、該粉体回収システムは、オーバースプレー粉体をブース内部から前記オーバースプレー取入れ口に引き込むための吸い込み手段を有しており、空気源と、少なくとも1つの空気出口を備えた少なくとも1つのプレナムとを有する洗浄空気供給手段を設け、該空気源は空気のパルスを前記空気出口に送り、前記プレナムは、オーバースプレー粉体が堆積された前記ブースの内部面を横切る方向に前記空気のパルスを向けるように配置されている、粉体スプレー・システム。
【請求項4】
スプレー・ブースの床及び/又は1つ又はそれ以上の壁及び/又は天井にはプレナムが設けられている、請求項3に記載された粉体スプレー・システム。
【請求項5】
ブースの床は、2つの側部と該側部間にトラフを画成するように下向きの段差領域を有し、前記トラフの少なくとも一部を閉じオーバースプレー取入れ口と連通しているダクトを構成するように前記ブース内で前記床の側部間に保持されたダイバーター板を更に備え、該ダイバーター板はそこに堆積したオーバースプレー粉体の前記ダクトへの移動のための少なくとも1つの開口を有している、請求項2から請求項4のいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項6】
前記ブースはほぼ短形の形状であり、前記オーバースプレー取入れ口を前記ブースの一端又はその近傍に、又はブースの両端又はそれらの近傍に設け、ダイバーター板が該一端又は各端からブースの長さの一部分に沿って延在している請求項1又は請求項5に記載された粉体コーティング・システム。
【請求項7】
複数の自動式粉体スプレー装置を有し、側壁が該自動式粉体スプレー装置のためのスロットを有し、ダイバーター板の長さが前記一端と該一端から最も遠いガン・スロットとの間の距離にオフセットを加えたものである、請求項6に記載された粉体コーティング・システム。
【請求項8】
前記ダイバーター板にはパターン形状に配列されている複数の開口が設けられている、請求項1又は請求項5から請求項7のいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項9】
前記パターンは、三角形状でその頂点がブースの端部にある、請求項6又は請求項7に従属するときの請求項8に記載された粉体コーティング・システム。
【請求項10】
前記ダイバーター板はほぼ短形の形状であり、前記開口は、該ダイバーター板の長手方向に細長い、請求項8又は請求項9に記載された粉体コーティング・システム。
【請求項11】
前記ダイバーター板は、前記側部間の位置と第2位置との間を移動可能に取付けられている、請求項1又は請求項5から請求項10までのいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項12】
前記ダイバーター板と各側部との間にスロットを画成するように、該側部の底部縁の間に該ダイバーター板が取付けられる、請求項1又は請求項5から請求項11までのいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項13】
前記ダクトがその長さ方向に沿って異なる高さを有するように、前記ダイバーター板は、前記トラフの底部から垂直方向に異なる間隔で配置された2つ又はそれ以上の区分から構成されている、請求項1から請求項5又は請求項11のいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項14】
前記オーバースプレー取入れ口に最も近い前記ダイバーター板の区分は、前記トラフの底部から垂直方向に最大間隔を有している、請求項13に記載された粉体コーティング・システム。
【請求項15】
前記側部の少なくとも1つは、前記ダイバーター板に向かって下向きの傾斜を有する、請求項1又は請求項5から請求項14までのいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項16】
前記洗浄空気供給手段は、前記ダイバーター板の長手方向に沿って前記側部を下る方向に空気を向ける、請求項5に従属するときの請求項15又は請求項5に従属するときの請求項6から請求項14までのいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項17】
前記洗浄空気供給手段は、空気源と、前記傾斜した部分の少なくとも一部に沿って延在しかつ該傾斜した部分の上方縁に配置された複数の空気出口を有する少なくとも1つのプレナムとを有する、請求項2又は、請求項2に従属するときの請求項5から請求項16までのいずれかに記載の粉体コーティング・システム。
【請求項18】
前記空気出口は、前記傾斜した部分に対して空気を1度から3度までの角度で向ける、請求項17に記載の粉体コーティング・システム。
【請求項19】
前記空気源は、周期的な空気パルスを前記空気出口へ送る、請求項17又は請求項18に記載の粉体コーティング・システム。
【請求項20】
前記空気源は、粉体回収システムの空気供給装置、1つ又はそれ以上のファン又は圧縮空気源である、請求項3、請求項4又は請求項17から請求項19までのいずれかに記載の粉体コーティング・システム。
【請求項21】
前記ブースは、短形状横断面又は円形状横断面を有する、請求項1から請求項5又は請求項1から請求項5までのいずれかに従属するときの請求項8から請求項20までのいずれかに記載の粉体コーティング・システム。
【請求項22】
壁と床とを有する粉体スプレー・ブースと、1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、ブースの内部と連通するオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムとを有する粉体コーティング・システムを作動する方法において、ブースの内部面を横切って空気の噴射を周期的に送って該面に堆積したオーバースプレー粉体を収集する工程を有する粉体コーティング・システム作動方法。
【請求項23】
空気の噴射は、ブースの内部面を横切って横向きに又は短形状ブースの場合にはブースに沿う長手方向を横切って向けられる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ブースの少なくとも一部に勾配が付されており、該勾配が付されている部分の少なくとも一部を横切る方向に空気噴射が向けられる、請求項22又は請求項23に記載の方法。
【請求項25】
空気噴射を前記勾配が付されている部分に対して1度から3度までの間の角度で向ける、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ブース内における物品へのスプレーの5分毎に対して5秒間空気噴射がパルス送りされる、請求項22から請求項25までのいずれかに記載の方法。
【請求項27】
粉体の色の変更直前に空気噴射がパルス送りされる、請求項22から請求項26までのいずれかに記載の方法。
【請求項1】
2つの側部と該側部間にトラフを画成するように下向きの段差領域とを有する床及び壁を有する粉体スプレー・ブースと、端壁の開口を経由して該ブースを通過する物品にスプレーを行うためのブースに対して位置決めされた、1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、該ブースの内部と連通しているオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムと、該トラフの少なくとも一部を閉じ該前記オーバースプレー取入れ口と連通しているダクトを構成するように該ブース内で該床の側部間に保持されたダイバーター板とを有し、該粉体回収システムは、オーバースプレー粉体をブース内部から該オーバースプレー取入れ口に引き込ませる吸い込み手段を有し、該ダイバーター板は、そこに堆積したオーバースプレー粉体の該ダクトへの移動のための少なくとも1つの開口を有している、粉体コーティング・システム。
【請求項2】
壁と床とを有する粉体スプレー・ブースと、壁の開口を経由して該ブースを通過する物品にスプレーを行うための該壁に対して位置決めされた1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、前記ブースの内部と連通しているオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムとを有し、該粉体回収システムは、オーバースプレー粉体をブース内部から前記オーバースプレー取入れ口に引き込むための吸い込み手段を有しており、前記ブースの床の少なくとも一部には勾配がつけられており、該勾配が付された部分を下る方向に空気を向ける洗浄空気供給手段を備えた粉体コーティング・システム。
【請求項3】
壁を有する粉体スプレー・ブースと、壁の開口を経由して該ブースを通過する物品にスプレーを行うための該壁に対して位置決めされた1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、前記ブースの内部と連通しているオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムとを有し、該粉体回収システムは、オーバースプレー粉体をブース内部から前記オーバースプレー取入れ口に引き込むための吸い込み手段を有しており、空気源と、少なくとも1つの空気出口を備えた少なくとも1つのプレナムとを有する洗浄空気供給手段を設け、該空気源は空気のパルスを前記空気出口に送り、前記プレナムは、オーバースプレー粉体が堆積された前記ブースの内部面を横切る方向に前記空気のパルスを向けるように配置されている、粉体スプレー・システム。
【請求項4】
スプレー・ブースの床及び/又は1つ又はそれ以上の壁及び/又は天井にはプレナムが設けられている、請求項3に記載された粉体スプレー・システム。
【請求項5】
ブースの床は、2つの側部と該側部間にトラフを画成するように下向きの段差領域を有し、前記トラフの少なくとも一部を閉じオーバースプレー取入れ口と連通しているダクトを構成するように前記ブース内で前記床の側部間に保持されたダイバーター板を更に備え、該ダイバーター板はそこに堆積したオーバースプレー粉体の前記ダクトへの移動のための少なくとも1つの開口を有している、請求項2から請求項4のいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項6】
前記ブースはほぼ短形の形状であり、前記オーバースプレー取入れ口を前記ブースの一端又はその近傍に、又はブースの両端又はそれらの近傍に設け、ダイバーター板が該一端又は各端からブースの長さの一部分に沿って延在している請求項1又は請求項5に記載された粉体コーティング・システム。
【請求項7】
複数の自動式粉体スプレー装置を有し、側壁が該自動式粉体スプレー装置のためのスロットを有し、ダイバーター板の長さが前記一端と該一端から最も遠いガン・スロットとの間の距離にオフセットを加えたものである、請求項6に記載された粉体コーティング・システム。
【請求項8】
前記ダイバーター板にはパターン形状に配列されている複数の開口が設けられている、請求項1又は請求項5から請求項7のいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項9】
前記パターンは、三角形状でその頂点がブースの端部にある、請求項6又は請求項7に従属するときの請求項8に記載された粉体コーティング・システム。
【請求項10】
前記ダイバーター板はほぼ短形の形状であり、前記開口は、該ダイバーター板の長手方向に細長い、請求項8又は請求項9に記載された粉体コーティング・システム。
【請求項11】
前記ダイバーター板は、前記側部間の位置と第2位置との間を移動可能に取付けられている、請求項1又は請求項5から請求項10までのいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項12】
前記ダイバーター板と各側部との間にスロットを画成するように、該側部の底部縁の間に該ダイバーター板が取付けられる、請求項1又は請求項5から請求項11までのいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項13】
前記ダクトがその長さ方向に沿って異なる高さを有するように、前記ダイバーター板は、前記トラフの底部から垂直方向に異なる間隔で配置された2つ又はそれ以上の区分から構成されている、請求項1から請求項5又は請求項11のいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項14】
前記オーバースプレー取入れ口に最も近い前記ダイバーター板の区分は、前記トラフの底部から垂直方向に最大間隔を有している、請求項13に記載された粉体コーティング・システム。
【請求項15】
前記側部の少なくとも1つは、前記ダイバーター板に向かって下向きの傾斜を有する、請求項1又は請求項5から請求項14までのいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項16】
前記洗浄空気供給手段は、前記ダイバーター板の長手方向に沿って前記側部を下る方向に空気を向ける、請求項5に従属するときの請求項15又は請求項5に従属するときの請求項6から請求項14までのいずれかに記載された粉体コーティング・システム。
【請求項17】
前記洗浄空気供給手段は、空気源と、前記傾斜した部分の少なくとも一部に沿って延在しかつ該傾斜した部分の上方縁に配置された複数の空気出口を有する少なくとも1つのプレナムとを有する、請求項2又は、請求項2に従属するときの請求項5から請求項16までのいずれかに記載の粉体コーティング・システム。
【請求項18】
前記空気出口は、前記傾斜した部分に対して空気を1度から3度までの角度で向ける、請求項17に記載の粉体コーティング・システム。
【請求項19】
前記空気源は、周期的な空気パルスを前記空気出口へ送る、請求項17又は請求項18に記載の粉体コーティング・システム。
【請求項20】
前記空気源は、粉体回収システムの空気供給装置、1つ又はそれ以上のファン又は圧縮空気源である、請求項3、請求項4又は請求項17から請求項19までのいずれかに記載の粉体コーティング・システム。
【請求項21】
前記ブースは、短形状横断面又は円形状横断面を有する、請求項1から請求項5又は請求項1から請求項5までのいずれかに従属するときの請求項8から請求項20までのいずれかに記載の粉体コーティング・システム。
【請求項22】
壁と床とを有する粉体スプレー・ブースと、1つ又はそれ以上の粉体スプレー装置と、ブースの内部と連通するオーバースプレー取入れ口を有する粉体回収システムとを有する粉体コーティング・システムを作動する方法において、ブースの内部面を横切って空気の噴射を周期的に送って該面に堆積したオーバースプレー粉体を収集する工程を有する粉体コーティング・システム作動方法。
【請求項23】
空気の噴射は、ブースの内部面を横切って横向きに又は短形状ブースの場合にはブースに沿う長手方向を横切って向けられる、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ブースの少なくとも一部に勾配が付されており、該勾配が付されている部分の少なくとも一部を横切る方向に空気噴射が向けられる、請求項22又は請求項23に記載の方法。
【請求項25】
空気噴射を前記勾配が付されている部分に対して1度から3度までの間の角度で向ける、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記ブース内における物品へのスプレーの5分毎に対して5秒間空気噴射がパルス送りされる、請求項22から請求項25までのいずれかに記載の方法。
【請求項27】
粉体の色の変更直前に空気噴射がパルス送りされる、請求項22から請求項26までのいずれかに記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図3A】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公開番号】特開2009−106944(P2009−106944A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9639(P2009−9639)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【分割の表示】特願2001−572224(P2001−572224)の分割
【原出願日】平成13年3月14日(2001.3.14)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【分割の表示】特願2001−572224(P2001−572224)の分割
【原出願日】平成13年3月14日(2001.3.14)
【出願人】(391019120)ノードソン コーポレーション (150)
【氏名又は名称原語表記】NORDSON CORPORATION
【Fターム(参考)】
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