説明

粉体充填装置およびこれを用いる粉体充填方法

【課題】粉体充填装置において、粉体のより高精度かつより高い嵩密度での充填を高速で行うこと。
【解決手段】供給される粉体を収納袋に充填する充填ノズルと、前記収納袋の保持手段と、少なくとも、前記収納袋に充填される前記粉体の計量を行う第1の計量手段と、前記粉体が充填される前記収納袋に移動・接触して振動を与えるための、第2の計量手段を備えたタッピング手段とを有する粉体充填装置であって、さらに、前記タッピング手段が前記収納袋に接触している間に、前記第1の計量手段による前記粉体の第1の計量値および前記第2の計量手段による前記粉体の第2の計量値に基づいて、前記収納袋に充填される前記粉体の充填量を演算する演算手段を有することを特徴とする粉体充填装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉体充填装置およびこれを用いる粉体充填方法に関し、より具体的には、嵩密度を高めつつ、高速・高精度での粉体充填を可能とする粉体充填装置およびこれを用いる粉体充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術では、例えば図6に示すように、粉体、特に小麦粉のような微細な粉体を収納袋に供給して充填するための粉体充填装置80は、粉体貯留部としてのホッパーから供給される粉体を受容する受容口を備えた縦型のスクリューコンベア90と、このスクリューコンベア90の直下に設けられた充填ノズル92から収納袋20Aに粉体を供給するものである。ここで、スクリューコンベア90の回転軸90aは、例えば、駆動用のモータ94によりベルト伝動されるように構成されている。
【0003】
スクリューコンベア90は、外筒91の内面と僅かな間隙を保って回転するスクリューが駆動されて粉体を移送し、先端の充填ノズル92から収納袋20Aに粉体を充填する。ここでは、収納袋20Aを保持している収納袋保持部96は、上述のスクリューコンベア90を中心とした粉体充填機構部とは切り離されており、また、この収納袋保持部96にセットされる収納袋20A中に充填される粉体の質量を計測するための計量装置98が配設されている。
【0004】
この計量装置98から出力される計量値は、図示されていないスクリューコンベア90の駆動制御装置に送られ、上述の計量値に基づいて、例えば、スクリューコンベア90の回転速度(つまり、粉体の充填速度)が、予め定められたプログラムに従って制御され、所定量の粉体の充填が実現される。
【0005】
この種の粉体充填装置は、例えば、特許文献1などに開示されている。
【特許文献1】特開平11−348903号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、粉体の充填に関しては、一般には、通気性を有する収納袋を使用して嵩密度がそれほど高くない状態での充填が行われていた。このような通気性を有する収納袋を使用した場合には、粉体充填後に収納袋が複数重畳された際(保管等の際等)に、粉体中の空気が収納袋外に抜けた状態(これを、粉体が脱気された状態という)になって重畳状態が安定化し、その後の輸送工程等における荷崩れ等のトラブルが防止されるという利点があった。
【0007】
ところが、今般、特に食品分野においては、通気性を有しない、つまり密閉性が高く、かつ従来使われていたものより小サイズの収納袋の使用が望まれてきている。これは、密閉性が高い収納袋を用いることにより、粉体への不純物の混入を防止するとともに、嵩密度の高い状態での粉体の充填を行うことを目的とするものである。
【0008】
これは、このように嵩密度の高い状態での充填を可能とすることにより、粉体が充填された状態における収納袋の大きさ(容積)を小さくする(すなわち、保管スペースの節約)ことができるとともに、収納袋自体もサイズの小さなものを使用する(すなわち、省資源,コストダウン)ことができるという利点が得られるためである。
【0009】
ところで、従来例として示した上述の粉体充填装置80においては、粉体とともに余計な空気が収納袋20Aへ送られること等により、密閉性の高い収納袋を用いて、嵩密度の高い状態での粉体の充填を行うことが難しいという問題があった。このため、タッピング操作が不可欠であり、そのための手段が必須であった。
【0010】
しかしながら、充填動作中にタッピング操作を行う場合には、充填量を制御する上で必要となる、充填される粉体の質量を連続的に計量する操作に悪影響を及ぼすという問題がある。すなわち、タッピング操作に伴う振動が、充填される粉体の質量の計量値を大きく変動させるため、連続的な計量に悪影響が出るという問題である。
【0011】
本発明の目的は、上記問題を解消し、充填される粉体の嵩密度をより高めるためにタッピング操作が行われる場合においても、密閉性の高い収納袋に供給される粉体の質量を高い精度で制御可能とするとともに、粉体を充填した後の収納袋サイズをコンパクト化すること(すなわち、充填される粉体の脱気度合いを高めること)のできる粉体充填装置および粉体充填方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る粉体充填装置は、供給される粉体を収納袋に充填する充填ノズルと、前記収納袋の保持手段と、少なくとも、前記収納袋に充填される前記粉体の計量を行う第1の計量手段と、前記粉体が充填される前記収納袋に移動・接触して振動を与えるための、第2の計量手段を備えたタッピング手段とを有する粉体充填装置であって、さらに、前記タッピング手段が前記収納袋に接触している間に、前記第1の計量手段による前記粉体の第1の計量値および前記第2の計量手段による前記粉体の第2の計量値に基づいて、前記収納袋に充填される前記粉体の充填量を演算する演算手段を有することを特徴とする(請求項1)。
【0013】
ここで、本発明に係る粉体充填装置においては、前記各手段に加えて、前記演算手段による演算結果に基づいて、前記充填ノズルによる前記収納袋への前記粉体の充填速度制御を行う充填速度制御手段を有することが好ましい(請求項2)。
【0014】
また、本発明に係る粉体充填方法は、請求項1に記載の粉体充填装置を用いる粉体充填方法であって、前記タッピング手段が前記収納袋に接触している間は、前記第1の計量手段および前記第2の計量手段により、前記収納袋に充填される前記粉体の計量を行って第1の計量値および第2の計量値を得、前記第1の計量値および前記第2の計量値の加算結果から、前記収納袋に充填される前記粉体の充填終了タイミングを求めることを特徴とする(請求項3)。
【0015】
また、本発明に係る粉体充填方法は、請求項1に記載の粉体充填装置を用いる粉体充填方法であって、前記演算手段による演算結果に基づいてあらかじめ定められている前記粉体の充填開始後の経過時間を、前記タッピング手段による前記収納袋に与える振動(タッピング)の終了タイミングとすることを特徴とする(請求項4)。
【0016】
本発明に係る粉体充填方法においては、前記収納袋への前記タッピング手段の接触、および前記タッピング手段により前記収納袋に与えられる振動が終了した後は、前記第1の計量手段により粉体の充填終了タイミングを求めるのが好ましい(請求項5)。
【0017】
また、本発明に係る粉体充填方法は、請求項2に記載の粉体充填装置を用いる粉体充填方法であって、前記タッピング手段が前記収納袋に接触している間は、前記第1の計量手段および前記第2の計量手段により、前記収納袋に充填される前記粉体の計量を行って第1の計量値および第2の計量値を得、前記第1の計量値および前記第2の計量値の加算結果から、前記収納袋に充填された前記粉体の充填量を求め、この充填量に基づいて前記収納袋に充填される前記粉体の充填速度制御を行うことを特徴とする(請求項6)。
【0018】
ここで、本発明に係る粉体充填方法においては、前記タッピング手段が前記収納袋に接触する前に、前記第1の計量手段により初期計量を行った後、前記タッピング手段が前記収納袋に接触する位置に移動し、前記充填ノズルが前記粉体の前記収納袋への充填を開始し、前記タッピング手段が前記収納袋に所定の振動(タッピング)を与えることが好ましい(請求項7)。
【0019】
また、本発明に係る粉体充填方法においては、前記タッピング手段は、前記充填ノズルが前記粉体の前記収納袋への充填を終了する前に、振動(タッピング)を停止するとともに、前記収納袋に接触しない位置に移動するよう動作することが好ましい(請求項8)。
【0020】
また、本発明に係る粉体充填方法においては、前記粉体が充填される前記収納袋への前記タッピング手段の接触、および前記タッピング手段により与えられる振動は、前記充填ノズルによる前記粉体の充填開始と略同時に開始され、前記充填速度制御のために予め定められている充填量に達した時点で終了されることが好ましい(請求項9)。
【0021】
また、本発明に係る粉体充填方法においては、前記粉体が充填される前記収納袋への前記タッピング手段の接触、および前記タッピング手段により与えられる振動は、前記充填ノズルによる前記粉体の充填開始後、所定の時間が経過した時点において開始され、前記充填速度制御のために予め定められている充填量に達した時点で終了されることが好ましい(請求項10)。
【0022】
すなわち、本発明に係る粉体充填方法の一態様においては、まず、初期計量を行い、粉体の充填開始後に、前記タッピング手段が所定のタッピング位置に移動してタッピング動作(前記収納袋への接触、および振動付与)を開始し、タッピング動作終了後には、前記タッピング手段は粉体が充填された収納袋から離れて、所定の待機位置に戻ることが好ましい。また、上述のタッピング手段によるタッピング動作が終了した後は、前記第1の計量手段により粉体の充填終了タイミングを求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、上記のように構成したことにより、タッピング手段を備えた場合においても、このタッピング手段が収納袋を保持することにより、充填量の計量に悪影響を及ぼすことなく、充填される粉体の正確な計量を可能とし、これにより、嵩密度を高めつつ、高速・高精度での粉体充填を実現できるという効果が得られるものである。
【0024】
より具体的には、本発明においては、タッピング手段が収納袋に接触している間は、このタッピング手段による支持は、これらが互いに逆方向に作用する力であることを利用して信号処理により相殺することができるので、タッピング処理中は第1および第2の2つの計量手段による計量を行い、タッピング手段の動作終了後(すなわち、タッピング手段の収納袋からの離脱後)は本来の(第1の)計量手段のみによる計量を行うことで、タッピング手段を備えた場合においても前記粉体の計量を精度よく行うことを可能とするものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態を、添付の図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態に係る粉体充填装置を示す模式的構成図である。
なお、ここに示す実施形態は、本発明の一例を示すものであって、本発明はこれに何ら制約されるものではない。
【0026】
図1に示すように、本実施形態に係る粉体充填装置10は、粉体貯留部としてのホッパー12に貯留された粉体を、ホッパー12の下方に配置されたスクリューコンベア16で下向きに移送して、その下方に設けられた充填ノズル18から収納袋20に粉体を供給するものである。なお、収納袋20としては、4辺のうちの1辺が開口した通常の袋を利用でき、樹脂製,紙製またはそれらの多層体等からなる、充填量に応じた各種のサイズの袋を用いることができる。
【0027】
また、粉体貯留部としてのホッパー12には、従来のこの種の装置におけると同様に、粉体がブリッジを形成して粉体の流下を阻害することのないように、ホッパー12の内部の粉体を攪拌する攪拌手段(図示されていない)を有することが望ましい。
【0028】
スクリューコンベア16のスクリュー38の下側に位置する粉体移送方向における下流側の終端部には、供給する粉体を収納袋20に充填するための充填ノズル18が形成されている。また、スクリューコンベア16の中程には、粉体の脱気を行うための脱気手段44が設けられている。
【0029】
この充填ノズル18を用いて粉体を充填する際、充填ノズル18から排出される粉体には、スクリューコンベア16での移送によって回転運動の慣性と遠心力が作用しているため、収納袋20に充填された粉体は、その中央部に集中して積み上がってしまうことがなく、収納袋20の底部のほぼ全体に散布されるので、ほぼ平坦な充填面(充填された粉体の上面)が得られる。
【0030】
収納袋20は、充填ノズル18の下方の位置に、収納袋保持アーム54を備えた収納袋保持装置52によって吊り下げられて保持される。この収納袋保持装置52は、収納袋20の供給装置(図示されていない)で充填ノズル18の位置に供給され、上側の開口部を開いて充填ノズル18に被せるように配置された収納袋20を、吊り下げた状態で充填ノズル18に密着するように押し付けて保持するものである。
【0031】
収納袋保持装置52は、具体的には、充填ノズル18の外形形状に対応する形状の2個の収納袋保持アーム54と、この収納袋保持アーム54を開閉する、図示されていない保持アーム駆動機構とからなっている。そして、収納袋保持アーム54の収納袋20に接する面には、収納袋20を確実に充填ノズル18に密着させるために、ゴムなどの弾性体による押圧部材を配置しておくことが望ましい。
【0032】
この実施形態の保持アーム駆動機構は、図示は省略するが、例えば、ロータリーシリンダ等によって収納袋保持アーム54を揺動させるものであって、図1中に想像線で示すように、上述のロータリーシリンダが回動することによって収納袋保持アーム54を揺動させ、収納袋20を保持し、あるいは解放するものが好ましい。
【0033】
充填ノズル18の後方(図1では右側)の位置には、収納袋20に充填された粉体の重量を計量する第1の計量装置62が設けられている。この第1の計量装置62は、充填ノズル18に吊り下げられた状態で保持されている収納袋20に充填される粉体の重量を、充填中に即時に計測するもので、スクリューコンベア16,充填ノズル18,収納袋保持装置52およびこれらに取り付けられた部品等を一体で支持することによって、それらの総重量(質量)を計測する。
【0034】
また、図1に示すように、粉体が充填される収納袋20の下方には、後述する第2の計量装置74を備えたタッピング装置72が配置されている。このタッピング装置72は、第2の計量装置74を備えている点以外は、従来の一般的なタッピング装置82(図6参照)と同様の構成を有するものである。
【0035】
すなわち、図1に示すタッピング装置72は、歪みゲージ等により構成される第2の計量装置74を介して上下動可能な架台76上にセットされている、振動モータ78等を用いた装置であり、後述するような動作制御部70の制御の下で、粉体の充填開始後における収納袋20内への粉体の充填量を、タッピング動作の影響を除去して計量することが可能に構成されているものである。
【0036】
この収納袋20内への粉体の充填量は、粉体の充填による上記充填ノズル18,収納袋保持装置52およびこれらに取り付けられた部品等の一体化された部分の総重量の増加分を前述の第1の計量装置62により計測することと、タッピング装置72によるタッピング動作開始後におけるタッピング装置72部分の重量の増加分を前述の第2の計量装置74により計測することとにより把握される。
【0037】
より具体的には、収納袋20は、収納袋保持装置52の収納袋保持アーム54によって保持されているため、従来の粉体充填装置に採用されているような、収納袋の底部を支持して重量を測定する計量装置では、タッピング動作中に収納袋20およびその内部に充填された粉体の重量だけを高精度に計測することはできないが、上記の構成とすることにより、充填ノズル18と収納袋保持装置52の収納袋保持アーム54とによって圧接されて保持された収納袋20であっても、その充填量を高精度に計測することができる。
【0038】
同様に、収納袋20の下方に配置されているタッピング装置72中の第2の計量装置74は、架台76上に載置された形になっている収納袋20内に充填される粉体の重量を、タッピング動作を行いつつ、その際に発生する振動に起因する図中の上下方向に作用する力の影響を含めて計測するように構成されている。
【0039】
そして、これらの第1の計量装置62および第2の計量装置74の出力、すなわち、上述の上下方向に作用する力の影響を含めて計測された計測値は、図2に示すような制御システムにより、動作制御部70内の演算処理機能部において、所定の演算処理プログラムに従って処理され、上述の上下方向に作用する力の影響を除去した、実質的な粉体充填量の値として、動作制御部70における各部の動作制御に用いられる。
以下、この詳細を、順次説明する。
【0040】
第1の計量装置62は、収納袋20に供給された粉体の重量を測定して、スクリューコンベア16を制御する。具体的には、充填開始時には、スクリューコンベア16のスクリュー38の回転数を速くし、収納袋20に供給された粉体の重量が収納袋20に充填すべき所定の重量に近付いたときに、スクリュー38の回転を減速し、所定の重量に到達したときに、スクリュー38の回転を停止する。
【0041】
スクリューコンベア16のスクリュー38の回転数を上述のように制御することによって、スクリューコンベア16の停止のタイミング、すなわち、充填終了のタイミングを高精度に制御することができ、高い充填精度を得ることができる。
【0042】
より具体的には、図2に示すように、スクリューコンベア16のスクリュー38を回転させるモータ40の動作を、第1の計量装置62および第2の計量装置74からの計測結果により演算される粉体充填量に関する情報に基づいて動作制御部70により制御する。
【0043】
すなわち、動作制御部70は、上述の、第1の計量装置62および第2の計量装置74からの粉体充填量に関する情報により演算される粉体充填量に関する情報に基づいて、予め設定された充填速度(スクリューコンベア16のスクリュー38の回転数)が達成されるように、例えば、図3に示すような回転数制御パターンに従って、スクリューコンベア16のスクリュー38を駆動するモータ40の回転数の制御を行う。
【0044】
図3に示した充填速度(スクリューコンベア16のスクリュー38の回転数)制御について説明すると、以下の通りである。
粉体の充填量が0−21[kg]の間は、スクリューコンベア16のスクリュー38の回転数を一定にして、スクリュー38を高速で回転させる。この区間は、粉体の充填時間を減少させるための、いわば大量充填区間である。ここでは、一例として、スクリュー38の回転数を2500[rpm]としている。
【0045】
粉体の充填量が21−25[kg]の間は、スクリューコンベア16のスクリュー38の回転数を無段階に単調減少させる。具体的には、スクリュー38を、目標充填量である25[kg]になるまで、上述の回転数制御パターンに従って回転させる。この区間では、目標充填量まで粉体を充填するため、粉体の充填精度を高くするよう、比較的低速で粉体を充填する。
【0046】
この場合の、最低速度は、粉体の種類や装置の特性等により、試行錯誤的に決定することが好ましい。なお、粉体の充填量が目標充填量である25[kg]になったときに、スクリュー38の回転数が、丁度、上述の最低速度になることが望ましいが、実際には、多少のずれが生ずるので、粉体の充填量が目標充填量である25[kg]になったときに、スクリュー38の回転数が、上述の最低速度の少し上になるくらいでよい。
【0047】
なお、上述の最低速度は、例えば100[rpm]とするとよい。また、上述の回転数制御パターンにおける、粉体の充填量が21−25[kg]の区間のスクリューコンベア16のスクリュー38の回転数を無段階に単調減少させるパターンとしても、直線的なもの、曲線的(上に凸、下に凸)なものの、いずれを用いてもよい。
【0048】
さらに、動作制御部70は、粉体充填の動作開始後に、収納袋20内に充填される粉体の嵩密度をより一層高める目的で行うタッピング動作の制御も行う。すなわち、粉体充填の動作開始後、直ちにタッピング装置72による収納袋20のタッピング動作を開始し、前記充填量が予め定めた値に達した時点でタッピング動作を停止させるという、タッピング動作の制御も併せて行っている。
【0049】
この際における、充填量の計測は、前述のような第1の計量装置62および第2の計量装置74の2つの計量装置の計測結果を元に行われる加算演算により求められる。この演算に際しては、タッピング動作に伴う振動に起因する上下方向に作用する力の影響を除去するために、2つの計量装置の出力信号中のノイズを除去するための適切なノイズ除去フィルタ回路、あるいは、2つの計量装置の出力信号のタイミング調整を行うためのタイミング調整回路等を用いた上での加算演算処理が行われる。
【0050】
上述のように構成される、本実施例に係る粉体充填装置10の動作は、その概要を図4の動作フローチャート(動作制御部70による制御動作)に示す通りである。すなわち、動作制御部70は、第1の計量装置62による初期計測値の取得を行った後、スクリューコンベア16のスクリュー38の回転をスタートさせ、粉体の充填を開始する(ステップ202)。これと略同時に、動作制御部70は、タッピング装置72を収納袋20に接触させ、タッピング装置72を起動する(ステップ204)。なお、このときのスクリューコンベア16のスクリュー38の回転数は、前述の大量充填のための回転数である。
【0051】
その後、図3に示したような、充填速度の切り換えポイントPに達した時点(ステップ206でY)では、動作制御部70は、タッピング装置72を停止し、タッピング装置72を収納袋20から離脱させ、これと同時に、スクリューコンベア16のスクリュー38の回転数を単調減少パターンに切り換え(ステップ208)、終段の充填を行う。
【0052】
そして、第1の計量装置62の計測値に基づく粉体充填量に関する情報が、充填量が目標量に達したことを示した時点(ステップ210でY)で、動作制御部70は、所定量の粉体が充填されたものと判断して、スクリューコンベア16のスクリュー38の回転を停止する(ステップ212)。
【0053】
上記実施形態によれば、タッピング装置72を使用する場合でも、充填精度を高精度に維持できるので、収納袋20内に充填される粉体の嵩密度をより一層高めながら、高精度の粉体充填を実現でき、また、粉体が充填された収納袋20の取り扱いを容易にし、輸送時等におけるトラブルを防止することができるという極めて実用的な効果を得ることができる。
【0054】
ところで、上記実施形態においては、粉体充填装置として、充填ノズルを備えただけのごく一般的な粉体充填装置を用いる例を示したが、本発明はこれに限られるものではなく、例えば、図5に示すような、横・縦両方向に配置された充填機構を用いる粉体充填装置に対しても好適に適用し得るものである。
【0055】
この粉体充填装置は、本出願人が、先に、特願2004−322053号「粉体充填方法および粉体充填装置」により提案したものであり、ホッパーから供給される粉体を水平方向に移送する第1のスクリューコンベアと、この第1のスクリューコンベアの粉体移送方向における下流側の終端部に配置された第2のスクリューコンベアとを備えた粉体充填装置である。
【0056】
図5中、符号10Aは粉体充填装置、12Aはホッパー、14は第1のスクリューコンベア、16Aは第2のスクリューコンベア、22はホッパー内部の粉体を攪拌するための攪拌装置、32は第1のスクリューコンベア14のスクリュー、42は第1のスクリューコンベア14と第2のスクリューコンベア16Aとの接続部材、44A,44B,44Cはそれぞれ、ホッパー12A,第1のスクリューコンベア14,第2のスクリューコンベア16A内の脱気手段を示している。
【0057】
また、これ以外の構成要素については、図1に示した粉体充填装置10に用いられているものと同じものであるので、これらについては、図1に示した粉体充填装置10に用いられている構成要素に付した符号と同一の符号を付すことで示すこととし、詳細な説明は省略している。
【0058】
図5に示した実施形態に係る粉体充填装置10Aにおいては、第1のスクリューコンベア14により粉体の供給速度を制御することで、収納袋20への粉体の充填量を調整する方式が採用されており、前述の図3に示した充填速度制御は、ここでは、第1のスクリューコンベア14のスクリュー32の回転数制御に置き換えられている。
【0059】
本実施形態に係る粉体充填装置10Aにおける粉体充填量の連続的な計測についても、前述の図1に示した粉体充填装置10に用いられている方式がそのまま採用されており、上記に説明したと同様の高精度な計測結果が得られるものである。
【0060】
以上、本発明に係る粉体充填装置について詳細に説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更を行ってもよいことはいうまでもない。
【0061】
例えば、図3に示したスクリューコンベアの回転数の制御パターンは一例であって、本発明に係る粉体充填方法および粉体充填装置においては、これ以外の種々のパターン、つまり充填時の速度設定方法が用い得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施形態に係る粉体充填装置を示す模式的構成図である。
【図2】同実施形態の制御システムの概要を示すブロック図である。
【図3】同実施形態のスクリューコンベアの回転数の制御パターンの一例を示す図である。
【図4】同実施形態の粉体充填装置の動作概要を示すフローチャートである。
【図5】他の実施形態に係る粉体充填装置を示す模式的構成図である。
【図6】従来技術の粉体充填装置を示す模式的構成図である。
【符号の説明】
【0063】
10,10A 粉体充填装置
12,12A ホッパー
14 第1のスクリューコンベア
16 スクリューコンベア
16A 第2のスクリューコンベア
18 充填ノズル
20 収納袋
22 攪拌装置
28,34,40 モータ
32,38 スクリュー
40a (スクリューコンベアの)回転軸
42 接続部材
44 脱気手段
52 収納袋保持装置
54 収納袋保持アーム
62 第1の計量装置
70 動作制御部
72 タッピング装置
74 第2の計量装置
76 架台
78 振動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
供給される粉体を収納袋に充填する充填ノズルと、
前記収納袋の保持手段と、
少なくとも、前記収納袋に充填される前記粉体の計量を行う第1の計量手段と、
前記粉体が充填される前記収納袋に移動・接触して振動を与えるための、第2の計量手段を備えたタッピング手段とを有する粉体充填装置であって、
さらに、前記タッピング手段が前記収納袋に接触している間に、前記第1の計量手段による前記粉体の第1の計量値および前記第2の計量手段による前記粉体の第2の計量値に基づいて、前記収納袋に充填される前記粉体の充填量を演算する演算手段
を有することを特徴とする粉体充填装置。
【請求項2】
前記各手段に加えて、
前記演算手段による演算結果に基づいて、前記充填ノズルによる前記収納袋への前記粉体の充填速度制御を行う充填速度制御手段
を有することを特徴とする粉体充填装置。
【請求項3】
請求項1に記載の粉体充填装置を用いる粉体充填方法であって、
前記タッピング手段が前記収納袋に接触している間は、
前記第1の計量手段および前記第2の計量手段により、前記収納袋に充填される前記粉体の計量を行って第1の計量値および第2の計量値を得、
前記第1の計量値および前記第2の計量値の加算結果から、前記収納袋に充填される前記粉体の充填終了タイミングを求める
ことを特徴とする粉体充填方法。
【請求項4】
請求項1に記載の粉体充填装置を用いる粉体充填方法であって、
前記演算手段による演算結果に基づいてあらかじめ定められている前記粉体の充填開始後の経過時間を、前記タッピング手段による前記収納袋に与える振動(タッピング)の終了タイミングとする
ことを特徴とする粉体充填方法。
【請求項5】
前記収納袋への前記タッピング手段の接触、および前記タッピング手段により前記収納袋に与えられる振動が終了した後は、前記第1の計量手段により充填終了タイミングを求めることを特徴とする請求項3または4に記載の粉体充填方法。
【請求項6】
請求項2に記載の粉体充填装置を用いる粉体充填方法であって、
前記タッピング手段が前記収納袋に接触している間は、
前記第1の計量手段および前記第2の計量手段により、前記収納袋に充填される前記粉体の計量を行って第1の計量値および第2の計量値を得、
前記第1の計量値および前記第2の計量値の加算結果から、前記収納袋に充填された前記粉体の充填量を求め、
この充填量に基づいて前記収納袋に充填される前記粉体の充填速度制御を行う
ことを特徴とする粉体充填方法。
【請求項7】
前記タッピング手段が前記収納袋に接触する前に、前記第1の計量手段により初期計量を行った後、前記タッピング手段が前記収納袋に接触する位置に移動し、前記充填ノズルが前記粉体の前記収納袋への充填を開始し、前記タッピング手段が前記収納袋に所定の振動(タッピング)を与える
ことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の粉体充填方法。
【請求項8】
前記タッピング手段は、前記充填ノズルが前記粉体の前記収納袋への充填を終了する前に、振動(タッピング)を停止するとともに、前記収納袋に接触しない位置に移動するよう動作する
ことを特徴とする請求項3〜7のいずれかに記載の粉体充填方法。
【請求項9】
前記粉体が充填される前記収納袋への前記タッピング手段の接触、および前記タッピング手段により与えられる振動は、前記充填ノズルによる前記粉体の充填開始と略同時に開始され、前記充填速度制御のために予め定められている充填量に達した時点で終了されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の粉体充填方法。
【請求項10】
前記粉体が充填される前記収納袋への前記タッピング手段の接触、および前記タッピング手段により与えられる振動は、前記充填ノズルによる前記粉体の充填開始後、所定の時間が経過した時点において開始され、前記充填速度制御のために予め定められている充填量に達した時点で終了されることを特徴とする請求項6〜8のいずれかに記載の粉体充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−306485(P2006−306485A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−134178(P2005−134178)
【出願日】平成17年5月2日(2005.5.2)
【出願人】(000226998)株式会社日清製粉グループ本社 (125)
【Fターム(参考)】