説明

粉体塗料及びその製造方法

【課題】粒子径が小さくても流動性が良いため作業性が改良されて高外観の塗膜を形成でき、着色粉体塗料の場合は鮮やかな色彩を実現できる粉体塗料、及び清掃及びメンテナンスが容易な単純な構造の装置で、かつ短時間で当該粉体塗料を製造する方法を提供する。
【解決手段】粉体樹脂粒子表面に硬化剤、硬化触媒及び着色剤から選ばれる少なくとも1種の添加物を埋没または固着してなる粉体塗料であって、体積平均粒子径が10〜30μm及び標準偏差が15μm以下で粒子形状が球状である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体塗料及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
塗料分野では、近年、環境への影響を少なくするため脱溶剤が望まれ、その対策として粉体塗料が脚光を浴びてきた。粉体塗料は、溶剤を使用しないうえ、塗装面に付着しなかった塗料の回収が容易である等の利点を有するが、溶剤型に比べ製造工程が複雑なため、小ロット生産に適していない、注文を受けてから出荷までの期間が長い、調色(色合わせ)が難しい等の理由によってその普及が遅れているのが現状である。
【0003】
また、粉体塗料は、一般に体積平均粒子径が30〜40μm程度の塗膜形成用樹脂を主成分とし、静電粉体塗装や流動浸漬塗装などの方法により塗布され、焼き付けられることによって塗膜を形成するため、溶剤型塗料と比較して平滑な塗膜を形成できず塗膜の外観が劣るという欠点があった。
【0004】
そこで、上記欠点を改善するため、下記特許文献1には、体積平均粒子径が20〜50μmで粒子径分布標準偏差20μm以下の粉体塗料が開示され、こうすることによって高外観の塗膜を形成することができ、かつ搬送性に優れた粉体塗料が得られるとしている。さらに、特許文献2には、平均粒子径が5〜15μm、90%累積粒子径が15〜25μmかつ粒子形状を球形とする粉体塗料が開示され、粒子径が小さくても流動性が向上し、粉体塗装の作業性が良くなり、塗膜の平滑性が向上するとしている。
【0005】
しかしながら、特許文献1記載の粉体塗料は、溶融混練し、冷却固化して得られた固形物を粉砕し、篩い分けして目的の粒子径としているため、その形状は不定形で球状とはならない。また、特許文献2記載の球状の粉体塗料の場合も、溶融混練し、冷却固化して得られた固形物を粉砕し、篩い分けした後に熱処理して粉体塗料表面を溶融させて球状としているに過ぎない。
【0006】
以上説明したように、特許文献1及び2の粉体塗料は、一度製造した粉体塗料を粉砕し篩い分けするため、目的とする粒子径から外れる部分は無駄となり、粒度をそろえようとすればするほどコストアップの結果となる。もちろん、回収し再使用することも可能であるが、その場合は余分な工程が必要となるため、コストアップとなるばかりでなく品質劣化をきたす可能性を否定できない。
【0007】
ところで、粉体塗料は従来、粉体樹脂、硬化剤及び必要に応じて着色顔料をミキサーでドライブレンドした後、2軸エクストルーダー等の混練機を使用して加熱溶融混練し、冷却、粉砕して製造しているが、該製造方法は、ドライブレンドした後、加熱溶融混練するといった製造工程を経るため工程が複雑であること、加熱溶融混練中に増粘、ゲル化する恐れがあること、混練機の清掃に手間が掛かること、低温硬化型塗料が製造できないことに加え、着色顔料の添加は最初の工程で行われるため微妙な色合わせをするには、最初の工程に戻らなければならないといった問題点がある。さらに、該製造方法は、一旦製造条件が決まれば連続的に生産できるので大量生産には向いているが、少量で多種の塗料を製造するには適していない。
【0008】
他に、ドライブレンドのみで加熱溶融混練を行わないこともあるが、これは、顔料として鱗片状のマイカや金属を用いて塗装面に輝度感を持たせるために、これら鱗片状顔料をできるだけ壊したくない場合に限られる。しかしながら、ドライブレンドのみでは、粉体樹脂表面に顔料が付着するだけであるため、不均一で剥がれやすく、結果として塗装面の色の再現性が悪く、塗装面に付着しなかった塗料の回収使用も困難となる。
【0009】
そこで、これらの製造方法の少なくともひとつの欠点を改善するため、下記に示す特許が出願されている。
【0010】
特許文献3には、特殊な構造をもつ衝撃打撃装置を用いて粉体樹脂粒子の表面に硬化剤、硬化触媒及び着色剤から選ばれる少なくとも1種の物質を埋没または固着し、固定化することを特徴とする熱硬化性粉体塗料の製造方法が開示されている。特許文献4には、母粒子である樹脂粒子の表面に顔料を結合させる複合化工程により所望の色の粉体塗料を得る製造方法が開示されている。
【0011】
これらは、いずれも予め製造した樹脂粒子の表面に硬化剤、硬化触媒及び着色剤から選ばれる少なくとも1種の物質、或いは顔料を埋没固着または結合させているところに特徴がある。
【0012】
しかしながら、特許文献3に記載の粉体衝撃装置では、衝撃室内に衝撃ピンを周設した回転盤を有すると共に、該衝撃ピンの最外周軌道面に沿い、かつそれに対して一定の空間を置いて衝撃帯状リングを配置した衝撃室を設けた上に、該衝撃帯状リングの一部に開口した循環口から該回転盤の中央付近に繋がるように配置した循環経路を備えている等複雑なため、該装置の清掃及びメンテナンスには多大の労力をかける必要がある。特に、少量多品種の粉体塗料を製造しようとする場合などにはコストアップの原因となる。
【0013】
また、特許文献4に記載の顔料を母粒子である樹脂粒子に結合させ複合化させる装置では、 被処理物である顔料と樹脂粒子が遠心力で回転する受け面に押し付けられ、受け面と押圧ヘッドとの間で押圧力とせん断力を受けることによって結合、複合化させるとしているが、被処理物を効率的に混合循環させるために、受け面の下部に穴部が設けてある等工夫が施されている。このため該装置は結果として複雑な構造となっており、清掃及びメンテナンスには不利となる。
【特許文献1】特開平8−41384号
【特許文献2】特開平9−208855号
【特許文献3】特開平8−176468号
【特許文献4】特開2003−119427号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、上記課題を解決することを鑑みてなされたものであり、粒子径が小さくても流動性が良いため作業性が改良されて高外観の塗膜を形成でき、着色粉体塗料の場合は顔料などの着色剤が少なくても鮮やかな色彩を実現できる粉体塗料、及び清掃及びメンテナンスが容易な単純な構造の装置で、かつ短時間で当該粉体塗料を製造する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、粉体樹脂粒子表面に硬化剤、硬化触媒及び着色剤から選ばれる少なくとも1種の添加物を埋没または固着してなる粉体塗料であって、体積平均粒子径が10〜30μm及び標準偏差が15μm以下で粒子形状が球状であることを特徴とする粉体塗料である。
【0016】
また、請求項2に係る発明は、粉体樹脂粒子の主成分が、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂及びこれらのハイブリッド樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に記載の粉体塗料である。
【0017】
また、請求項3に係る発明は、容器内底面に沿って回転する回転羽を設けた球状ミキサーを用いて混合撹拌することを特徴とする請求項1または2記載の粉体塗料の製造方法である。
【0018】
また、請求項4に係る発明は、回転羽の先端周速度が20m/sec以上であることを特徴とする請求項2記載の粉体塗料の製造方法である。
【0019】
また、請求項5に係る発明は、球状ミキサーの回転羽が下段回転羽と容器中央部で回転する上段回転羽を設けてなることを特徴とする請求項3または4記載の粉体塗料の製造方法である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、高外観な塗膜を形成できる粉体塗料及び単純な構造の装置でかつ短時間で当該粉体塗料を製造する方法を提供することができる。すなわち、本発明の粉体塗料は、粒子径は小さくても粒度が揃い球状であるため流動性に優れ、塗装したとき高外観の塗膜となる。また、本発明の製造方法によると粉体塗料の大幅な生産性向上が達成でき、これにより粉体塗料の普及を妨げているコストの壁を打ち破ることが可能になるばかりでなく、少量多品種の粉体塗料の製造にも容易に対応できる。
【0021】
さらに顔料などで着色された着色粉体塗料の場合、顔料が塗料粉末の表面付近にだけ高濃度に埋没固着されているため従来の粉体塗料に比べ着色力が高く、かつ鮮やかな色彩の塗膜を得ることが可能となる。また先端周速度20m/sec以上で高速混合されるため、回転羽や機壁と粒子、及び粒子同士の衝突と摩擦により粉体塗料粒子が粉砕・合一しながら球形化され、平均化される結果、粒度分布が狭くなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本実施形態に係る粉体塗料及びその製造方法について説明する。なお、本実施形態は、本発明を実施するための一形態に過ぎず、本発明は本実施形態によって限定されるものではない。
【0023】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、粉体樹脂粒子表面に硬化剤、硬化触媒及び着色剤から選ばれる少なくとも1種の添加物を埋没または固着してなる粉体塗料であって、体積平均粒子径が10〜30μm及び標準偏差が15μm以下で粒子形状が球状である粉体塗料が流動性に優れ、かつ高外観な塗膜を形成できることを見出すとともに、本出願人が開発した球状ミキサーを用いると当該粉体塗料を効率的に製造できることを見出して本発明を完成した。
【0024】
本発明の粉体塗料は、粉体樹脂粒子表面に硬化剤、硬化触媒及び着色剤から選ばれる少なくとも1種の添加物を埋没または固着させているため粉体塗料表面からこれらの添加物が剥がれ落ちることがない。粉体塗料表面付近にだけこれらの添加物が存在しているため、加熱溶融混練よる粉体塗料に比べこれらの添加物の量を少なくでき、加熱溶融による熱劣化を受けることが少ない。また、ドライブレンドのようにこれら添加物が表面に付着しているだけではないので、不均一で外観不良な塗装面となることがない。
【0025】
本発明において粉体塗料の形状は球状のものである。該球状は真球状のものが好ましいが球状に近いものであれば構わない。粉体塗料の粒子形状が球状以外のもの、例えば、熱硬化性粉体塗料をジェットミル、ピンディスクミル、アトマイザ−等の粉砕機で機械的粉砕したものでは粒子表面形状が不定形で角張っているために粉体塗料の流動性が低下する結果、塗装作業性が低下するので好ましくない。
【0026】
本発明の粉体塗料の体積平均粒子径は10〜30μmである。10μmより小さいと球状で粒度が揃っていても凝集しやすく流動性は悪くなるため、塗装作業において移送パイプやノズルでの詰まりを引き起こしやすくなる。また30μmを越えると塗膜にした場合、平滑性が失われる結果、高外観の塗膜を得ることができない。
【0027】
本発明の粉体塗料はその粒子のうち最大のものの粒子径は80μm以下である。80μmを越えると添加物が塗料表面にだけ埋没固着しているため硬化が不十分となったり、塗料内部が表面に出たりするため色むらがでるなど高外観の塗装面とならない。
【0028】
標準偏差は15μm以下である。15μmを越えると粒径が不揃いとなるため流動性が悪く高外観の塗膜とならない。本発明で用いる標準偏差SDは一般に統計学で用いられているもので、式1で定義され粒度分布の目安となり、小さいほど粒度分布が狭い、すなわち粒度が揃っていることを表す。
SD=〔Σ{(D−X)2}/n〕1/2 (式1)
(式中、SDは粒径分布の標準偏差、Dは個々の粒子の粒径、Xは体積平均粒径、nはデータ数を表す。)
【0029】
なお、本発明において粉体樹脂粒子、粉体塗料粒子などの体積平均粒子径及び標準偏差の計算に用いるデータは日機装株式会社製マイクロトラック等のレーザー式粒度分布測定機を用いて測定することができる。
【0030】
本発明で用いる粉体樹脂粒子は軟化点30〜100℃が好ましく、更に40〜60℃の範囲が好適である。軟化点が30℃を下回ると製造時に粉体樹脂粒子同士が融着し製造が困難となり、一方、100℃を上回ると固定化物質の付着性が悪くなり塗膜外観、性能等が低下するといった欠点がある。
【0031】
粉体樹脂粒子は、主成分が樹脂である粒子であり、その粒子中に硬化剤、硬化触媒、着色剤の1種もしくは2種以上のものを含有することができる。
【0032】
粉体樹脂粒子の主成分である樹脂としては、一般的な粉体塗料に用いられるものと同様のものを用いることができ、例えば、ポリエステル、エポキシ、アクリル及びこれらのハイブリッド樹脂が挙げられる。これらには熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂があるが、静電粉体塗装では、熱硬化性の樹脂が用いられることが多い。また、その他に、フッ素系の熱硬化性または熱可塑性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、メラミン、ポリウレタン等の熱硬化性樹脂を用いることもできる。
【0033】
粉体樹脂粒子中に含有してもよい硬化剤としては、該樹脂中に含まれる官能基と反応し硬化塗膜を形成するものであればよく、例えば、水酸基を含有する樹脂ではアミノ樹脂(ヘキサメトキシメラミン樹脂等)、ブロックポリイソシアナート(カプロラクタムブロックイソホロンジイソシアナート等)等の硬化剤、カルボキシル基含有樹脂ではポリエポキシド(トリグリシジルイソシアナート等)等の硬化剤、エポキシ基含有樹脂ではポリカルボン酸(ドデカン二酸、トリメリット酸、アジピン酸ヒドラジッド等)等、ブロックされたイソシアナート基含有樹脂ではポリオール(トリメチロールプロパン等)等の硬化剤が挙げられる。
【0034】
粉体樹脂粒子中に含有してもよい硬化触媒としては、例えば、水酸基とアミノ樹脂との反応では有機酸(パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等)、無機酸(燐酸等)等の酸触媒、水酸基とブロックポリイソシアナート基との反応では有機錫触媒(テトラブチル錫、ジブチルジラウリル錫、テトラブチルジアセチルスタノキサン等)、カルボキシル基とエポキシ基の反応では酸類(3弗化硼素等)、塩基類(アミン、アルカリ土類金属水酸化物等)、塩類(第4級オニウム塩等)、有機金属触媒(塩化第一錫、テトラブチルジルコナート等)等が使用できる。エポキシ基含有樹脂の硬化触媒においては硬化剤を使用しなくても硬化塗膜を得ることができるもの、例えば、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウムヘキサフルオロアンチモナート等の重合触媒があり、このものは単独で使用することができる。
【0035】
粉体樹脂粒子中に含有してもよい着色剤としては、有機顔料、無機顔料等が挙げられる。有機顔料としては、アゾ系顔料(ファーストエロー等)、フタロシアニン系顔料(フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン等)、縮合多環系顔料(キナクリドンレッド、ペリレンレッド等)、ニトロソ系顔料(ナフトールエロー等)等が挙げられ、無機顔料としては、酸化物系顔料(二酸化チタン、弁柄等)、フタロシアン化物系顔料(紺青等)、クロム酸塩系顔料(モリブデンレッド等)、炭素系顔料(カーボンブラック等)、マイカ系顔料(着色マイカ等)、金属粉末顔料(鱗辺状アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末等)が挙げられる。これらの顔料は顔料分散剤によって被覆されていてもよい。
【0036】
粉体樹脂粒子中に硬化剤、硬化触媒、着色剤を含有させるには、一般には粉体樹脂粒子にこれらを溶融、混練した後、冷却し粉砕することによる。
【0037】
また、粉体樹脂粒子中には上記の添加物以外に、必要に応じて充填剤、防錆剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、流動性調整剤、ハジキ防止剤等を加えてもよく、粉体状、液状(水または有機溶剤に溶解または分散してもよい)のいずれの状態であっても使用できる。
【0038】
添加物は、粉体または分散物として使用する場合には、平均粒子径0.001〜30μmの範囲、更には0.01〜20μmの範囲が好ましい。
【0039】
添加物の平均粒子径が上記した範囲を下回ると機械的力が掛かりにくくなるため粉体樹脂粒子に対する付着性が低下し、上記した範囲を越えると粉体樹脂粒子との接触面積が少なくなるため粉体塗装作業性、塗膜性能、色むら等の欠点が発現するので好ましくない。
【0040】
なお、添加物は粉体樹脂粒子の粒子径よりも小さいものを使用することが、粉体塗装作業性、塗膜仕上り性、塗膜性能等の観点から好ましい。
【0041】
本発明の粉体塗料を製造する際、添加物は粉体樹脂粒子と同時にまたは別々に供給しても、また、これらのものを予め融着及び/または混合させてから供給してもよい。
【0042】
添加物である硬化剤、硬化触媒、及び着色剤は前記したと同様のものが包含されるが、着色剤としては上記したもの以外に着色粉体塗料が使用できる。該着色粉体塗料としては、熱可塑性樹脂及び/または熱硬化性樹脂に着色剤を配合したものが挙げられ、硬化剤及び/または硬化触媒を含んでいてもよい。
【0043】
添加物の混合割合は、目的とする粉体塗料の特性によるが、全量に対し好ましくは50%以内、さらに好ましくは20%以内である。
【0044】
粉体樹脂粒子の表面に添加物を埋没または固着させるには、本出願人が開発した球状ミキサーを用いて混合撹拌するが、球状ミキサーの回転羽の先端周速度は20m/sec以上が好ましい。これより遅い速度では、粉体樹脂粒子表面に十分な力がかからないため短時間で粉体塗料を製造できない。球状ミキサーの容器内面の構造としては、真球のみならず、ほぼ球状のもの、例えば卵型や断面が楕円状の球状容器等が挙げられる。また、容器内で回転する攪拌羽は、容器底面に沿って回転する下段回転羽と、中央部で回転する上段回転羽の2種の回転羽を設けると、より品質の優れた粉体塗料が得られるので好ましい。
【0045】
球状ミキサーの代表例として図2で示す上下二本の回転羽を有する球状ミキサーにより説明すると、球状ミキサーは、試料の投入口1及び取出口2を有し、内部が球状であり、球状容器底面に沿って下段回転羽3と中央部で回転する上段回転羽4を有する。そして、容器内の底面中央部分に存在する試料は、下段回転羽3の回転力で強く攪拌され、容器底部から周辺部分へと、そして下方から上方へと壁面に沿って押し上げられる。容器壁面に沿って押し上げられた試料は容器内が球状のために、中央部で回転する上段回転羽4の上に落ち、強烈に攪拌混合される。
【0046】
即ち、本発明者らは、球状ミキサーの下段回転羽の先端周速度を20m/sec以上に大きくすると、添加物が粉体塗料表面に効率よく埋没固着されるため、添加物が粉体塗料から剥がれ落ちることがなく、塗装した場合に、仕上がり性、機械的及び化学的性能に優れた塗膜を得ることができることを見出した。なお、球状ミキサーの回転羽の周速度を高くした場合には、発生する摩擦熱による特性劣化を抑えるため球状ミキサーの容器、駆動軸及び/または回転羽に水などの冷媒を通して冷却することが好ましい。
【0047】
また、図2で、回転羽の駆動軸5を上段回転部分付近から球状容器底面に向かって広がる円錐形にすると、球状容器内の底面部分に試料が滞留せず、効率よく攪拌され、均一に処理されるため好ましい。
【0048】
上記で説明したように、球状ミキサーは、構造が単純なため清掃及びメンテナンスが容易で、かつ回転の力が効率的に粉体樹脂粒子表面及び添加物にかかるため処理時間が短くなる。
【0049】
以上、本出願人が開発した球状ミキサーを用いて本発明の粉体塗料の製造方法を説明したが、本発明の粉体塗料が得られるのであればこの製造方法に限定されるものではない。
【0050】
粉体塗装は、それ自体公知の方法、例えば、静電粉体塗装、摩擦帯電粉体塗装、流動浸漬等の塗装方法によって行うことができる。熱硬化性粉体塗料の場合には、粉体塗装した後、焼付けによって硬化塗膜を形成する。
【実施例】
【0051】
以下に実施例を挙げて、具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において部と記載されているものは重量部を表す。
【0052】
本実施例において粉体塗料及び粉体塗装の評価は次の試験方法により行った。
<静電粉体塗装作業性>
静電塗装機(ラボジェット、SAMES社製)を使用し、粉体塗料のガンへの安定供給性と吐出安定性を下記基準で評価した。
○は粉体の吐出が均一で、塗装作業性に優れる。
△は粉体の吐出が不均一で、塗装作業性が劣る。
×は粉体の吐出が著しく不均一で、塗装作業性が非常に悪いもの。
【0053】
<塗膜性能試験塗装板の調製>
燐酸亜鉛処理した鋼板に乾燥膜厚が約60μmになるように静電粉体塗装し、所定の温度で焼付けを行ったものを試験片として使用し、塗膜外観、鏡面反射率、硬化性及び加工性を下記の方法で試験した。
【0054】
<塗膜外観>
塗膜表面を目視で観察し評価した。
○は平滑性、光沢、色むら等の異常がないもの。
△は平滑性、光沢、色むら等の異常が認められるもの。
×は平滑性、光沢、色むら等の異常が著しく認められるもの。
【0055】
<鏡面反射率>
JIS K−5600−4−7の60度鏡面光沢度を測定した。
【0056】
<硬化性>
塗膜表面をキシレン含浸ガ−ゼを指先で強く押さえながら往復10回払拭した後の外観を目視評価した。○は表面に異常がなく硬化性が良いもの、△はわずかに表面に傷が認められ硬化性が劣るもの、×は表面が溶解し硬化性が著しく劣るもの。
【0057】
<エリクセン試験>
JIS−Z−2247に基づきエリクセン試験を行った。
【0058】
実施例1
エポキシ樹脂粉体(旭チバ社製 商品名:ARALDITE6014)をピンディスクミルで粉砕した。この粉体100部に対しアジピン酸ヒドラジッド(平均粒子径1μm)7部を混合し球状ミキサーに投入した。攪拌混合羽の周速が80m/secで3分間処理後、粉体塗料の流動調整剤としてシリカ(日本アエロジル社製 商品名:アエロジルR−972)0.2部投入して攪拌混合羽の周速が40m/secで1分間処理した後、150メッシュで粗粒を取り除いて粉体塗料を得た。
図1Aに球状ミキサー処理前、図1Bに球状ミキサー処理後の粉体塗料の走査型電子顕微鏡写真を載せた。
【0059】
実施例2
ポリエステル樹脂粉体(日本ユピカ社製 商品名:GV−126)をピンディスクミルで粉砕した。この粉体100部に対しブロックイソシアネート(ヒュルス社製 商品名:B1530)10部を混合し球状ミキサーに投入した。攪拌混合羽の周速が80m/secで3分間処理後、粉体塗料の流動調整剤としてシリカ(日本アエロジル社製 商品名:アエロジルR−972)0.2部投入して攪拌混合羽の周速が40m/secで1分間処理した後、150メッシュで粗粒を取り除いて粉体塗料を得た。
【0060】
実施例3
アクリル樹脂(三井化学社製 商品名:PD−7210)をジェットミルで粉砕・分級して平均粒子径を約15μmに調整した。この粉体100部に対しドデカン二酸(宇部興産社製
商品名:DDA)15部を混合し球状ミキサーに投入した。攪拌混合羽の周速が80m/secで3分間処理後、粉体塗料の流動調整剤としてシリカ(日本アエロジル社製 商品名:アエロジルR−972)0.2部投入して攪拌混合羽の周速が40m/secで1分間処理した後、150メッシュで粗粒を取り除いて粉体塗料を得た。
【0061】
比較例1
実施例1で球状ミキサーをヘンシェルミキサーに変更した以外は同様にしてドライブレンドによる粉体塗料を得た。
【0062】
比較例2
実施例2で球状ミキサーをヘンシェルミキサーに変更した以外は同様にしてドライブレンドによる粉体塗料を得た。
【0063】
比較例3
実施例3で球状ミキサーをヘンシェルミキサーに変更した以外は同様にしてドライブレンドによる粉体塗料を得た。
【0064】
上記実施例1〜3及び比較例1〜3で得られた粉体塗料の評価結果を表1にまとめたが、本発明による実施例1〜3で製造された粉体塗料は、比較例1〜3のドライブレンドによるものに比べ静電塗装作業性、塗膜外観及び硬化性に優れていること、エリクセン試験の結果から堅固な塗膜を形成していること、さらに鏡面反射率が高いことから塗膜表面が平滑で高外観であることが分かる。
【0065】
また、実施例1における球状ミキサー処理前(図1A)、処理後(図1B)の走査型電子顕微鏡写真から、球状ミキサー処理すると粒径が揃いかつ粒子が角張ったところがなく球状となっていることが目視で確認できる。
【0066】
【表1】

【0067】
以下の実施例4〜8及び比較例4〜8において、粒子径、安息角及び塗膜の視覚特性(明度、a値、b値、彩度)は下記に示す方法により測定した。
【0068】
<粒子径>
レーザー式粒度分布測定機(マイクロトラック 日機装株式会社)を用いて粉体塗料の粒度分布・平均粒子径を測定した。
【0069】
<安息角>
パウダーテスター(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、テーブル上に粉体塗料を流下させ、堆積する山の稜線の角度を測定した。
【0070】
<塗膜の視覚特性>
JIS K 5600−4−5に基づき Macbeth CE7000色差計を用いて塗膜の測色を行い、JIS Z 8729に従い表示した。
1)明度(L値) :色の明るさを数値化したもの。白に近づくほど高く、黒に近づくほど低い値となる。
2)a値:赤色度を数値化したもの。正の値が大きいほど赤色に近づき、負の値が大きいほど緑色に近づく。
3)b値:黄色度を数値化したもの。正の値が大きいほど黄色に近づき、負の値が大きいほど青色に近づく。
4)彩度:色の鮮やかさを数値化したもの。大きいほど鮮やかになる。
【0071】
実施例4
エポキシ樹脂粉体(旭チバ社製 商品名:ARALDITE6003)58部、ポリエステル樹脂粉体(日本ユピカ社製 商品名:GV−230)42部、硬化触媒(四国化成工業社製
商品名:C11Z)0.2部、二酸化チタン(石原産業社製 商品名:CR−95)30部、流動調整剤(BASF社 商品名:アクロナール4F)0.8部、ピンホール防止剤(みどり化学社製
商品名:ベンゾイン)0.3部を計量し、ヘンシェルミキサーでドライブレンド後、二軸押出機を用いて120℃で溶融混練し、ピンディスクミルで粉砕して白色粉体塗料を製造した。
この白色粉体塗料100部に銅フタロシアニンブルー(山陽色素社製 商品名:FBK#3)1部を混合し球状ミキサーに投入した。攪拌混合羽の周速が40m/secで5分間処理後、シリカ(日本アエロジル社製
商品名:アエロジルR−972)0.2部投入して攪拌混合羽の周速が40m/secで1分間処理した後、150メッシュで粗粒を取り除いて青色粉体塗料を得た。
【0072】
実施例5
実施例4で製造した白色粉体塗料100部に弁柄(バイエル社製 商品名:バイフェロックス120NM)1.7部、二酸化チタン(石原産業社製 商品名:CR−95)2.5部を混合し球状ミキサーに投入した。攪拌混合羽の周速が80m/secで5分間処理後、シリカ(日本アエロジル社製
商品名:アエロジルR−972)0.2部投入して攪拌混合羽の周速が40m/secで1分間処理した後、150メッシュで粗粒を取り除いて茶色粉体塗料を得た。
【0073】
実施例6
実施例4で製造した白色粉体塗料100部に艶消し剤(ヒュルス社製 商品名:VESTAGON B−68)8部を混合し球状ミキサーに投入した。攪拌混合羽の周速が120m/secで4分間処理後、シリカ(日本アエロジル社製
商品名:アエロジルR−972)0.2部投入して攪拌混合羽の周速が40m/secで1分間処理した後、150メッシュで粗粒を取り除いて艶消し白色粉体塗料を得た。
【0074】
実施例7
ポリエステル樹脂粉体(日本ユピカ社製 商品名:GV−126)59部、ブロックイソシアネート(ヒュルス社製 商品名:B1530)11部、二酸化チタン(石原産業社製
商品名:CR−95)30部、流動調整剤(BASF社 商品名:アクロナール4F)0.8部、ピンホール防止剤(みどり化学社製 商品名:ベンゾイン)0.3部を計量し、ヘンシェルミキサーでドライブレンド後、二軸押出機を用いて120℃で溶融混練し、ピンディスクミルで粉砕して白色粉体塗料を製造した。
この白色粉体塗料100部に銅フタロシアニンブルー(山陽色素株社製 商品名:FBK#3)1部を混合し球状ミキサーに投入した。攪拌混合羽の周速が40m/secで5分間処理後、シリカ(日本アエロジル社製
商品名:アエロジルR−972)0.2部投入して攪拌混合羽の周速が40m/secで1分間処理した後、150メッシュで粗粒を取り除いて青色粉体塗料を得た。
【0075】
実施例8
アクリル樹脂(三井化学社製 商品名:PD−7210)61部、ドデカン二酸(宇部興産社製 商品名:DDA)9部、二酸化チタン(石原産業社製 商品名:CR−95)30部、流動調整剤(三井化学社製
商品名:レジミックスRL−4)0.6部を計量し、ヘンシェルミキサーでドライブレンド後、二軸押出機を用いて120℃で溶融混練し、ジェットミルで粉砕・分級して白色粉体塗料を製造した。
この白色粉体塗料100部に銅フタロシアニンブルー(山陽色素株社製 商品名:FBK#3)1部を混合し球状ミキサーに投入した。攪拌混合羽の周速が120m/secで3分間処理後、シリカ(日本アエロジル社製
商品名:アエロジルR−972)0.4部投入して攪拌混合羽の周速が40m/secで1分間処理した後、150メッシュで粗粒を取り除いて青色粉体塗料を得た。
【0076】
比較例4−1
実施例4で球状ミキサーをヘンシェルミキサーに変更した以外は同様にしてドライブレンドによる粉体塗料を得た。
【0077】
比較例4−2
実施例4の全配合組成からシリカ(日本アエロジル社製 商品名:アエロジルR−972)を除いた配合物をヘンシェルミキサーで混合後、二軸押出機を用いて120℃で溶融混練し、ピンディスクミルで粉砕し、シリカ(日本アエロジル 商品名:アエロジルR-972)0.2部投入して1分間混合した後150メッシュで粗粒を取り除いて溶融混練粉砕による粉体塗料を得た。
【0078】
比較例4−3
実施例4の全配合組成からシリカ(日本アエロジル社製 商品名:アエロジルR−972)を除いた配合物に銅フタロシアニンブルー(山陽色素社製 商品名:FBK#3)0.8部を添加しヘンシェルミキサーで混合後、二軸押出機を用いて120℃で溶融混練し、ピンディスクミルで粉砕し、シリカ(日本アエロジル 商品名:アエロジルR-972)0.2部投入して1分間混合した後150メッシュで粗粒を取り除いて溶融混練粉砕による粉体塗料を得た。
【0079】
比較例5−1
実施例5で球状ミキサーをヘンシェルミキサーに変更した以外は同様にしてドライブレンドによる粉体塗料を得た。
【0080】
比較例5−2
実施例5の全配合組成からシリカ(日本アエロジル社製 商品名:アエロジルR−972)を除いた配合物をヘンシェルミキサーで混合後、二軸押出機を用いて120℃で溶融混練し、ピンディスクミルで粉砕し、シリカ(日本アエロジル 商品名:アエロジルR-972)0.2部投入して1分間混合した後150メッシュで粗粒を取り除いて溶融混練粉砕による粉体塗料を得た。
【0081】
比較例6−1
実施例6で球状ミキサーをヘンシェルミキサーに変更した以外は同様にしてドライブレンドによる粉体塗料を得た。
【0082】
比較例6−2
実施例6の全配合組成からシリカ(日本アエロジル社製 商品名:アエロジルR−972)を除いた配合物をヘンシェルミキサーで混合後、二軸押出機を用いて120℃で溶融混練し、ピンディスクミルで粉砕し、シリカ(日本アエロジル 商品名:アエロジルR-972)0.2部投入して1分間混合した後150メッシュで粗粒を取り除いて溶融混練粉砕による粉体塗料を得た。
【0083】
比較例7−1
実施例7で球状ミキサーをヘンシェルミキサーに変更した以外は同様にしてドライブレンドによる粉体塗料を得た。
【0084】
比較例7−2
実施例7の全配合組成からシリカ(日本アエロジル社製 商品名:アエロジルR−972)を除いた配合物をヘンシェルミキサーで混合後、二軸押出機を用いて120℃で溶融混練し、ピンディスクミルで粉砕し、シリカ(日本アエロジル 商品名:アエロジルR-972)0.2部投入して1分間混合した後150メッシュで粗粒を取り除いて溶融混練粉砕による粉体塗料を得た。
【0085】
比較例8−1
実施例8で球状ミキサーをヘンシェルミキサーに変更した以外は同様にしてドライブレンドによる粉体塗料を得た。
【0086】
比較例8−2
実施例8の全配合組成からシリカ(日本アエロジル社製 商品名:アエロジルR−972)を除いた配合物をヘンシェルミキサーで混合後、二軸押出機を用いて120℃で溶融混練し、ジェットミルで粉砕・分級後に、シリカ(日本アエロジル 商品名:アエロジルR-972)0.4部投入して1分間混合した後150メッシュで粗粒を取り除いて溶融混練粉砕による粉体塗料を得た。
【0087】
表2に実施例4〜8、表3に比較例4及び5、表4に比較例6〜8の評価結果を示す。実施例4の青色粉体塗料は、配合組成が同じである比較例4−1のドライブレンドに比較して、粒子径はほぼ同じであるが標準偏差は小さく塗装作業性及び色むらがないなど塗装外観が優れ、鮮やかな色彩になることが分かる。また、配合組成が同じ比較例4−2の溶融混練粉砕による粉体塗料と比較して塗装外観は同等であるが、安息角が小さいことから流動性が良く、鮮やかな色彩となる。従来の溶融混練粉砕による粉体塗料(比較例4−3)では、1.8倍の顔料を入れても実施例4と同等の彩度に到達しない。
【0088】
実施例5の茶色粉体塗料は、比較例5−1のドライブレンドに比べ、粒子径はほぼ同じであるが標準偏差は小さく塗装作業性及び色むらがないなど塗装外観が優れ、鮮やかな色彩になり、比較例5−2の溶融混練粉砕による粉体塗料と比較しても流動性が良く、鮮やかな色彩となる。
【0089】
実施例6は艶消し剤を加えた配合であるが、ドライブレンド(比較例6−1)と比べて塗装作業性、塗装外観に優れ、艶消し剤の効果が十分に出ていることが分かる。溶融混練粉砕した粉体塗料(比較例6−2)と比べても艶消し剤の効果が十分に発揮されている。
【0090】
実施例7及び8は、実施例4から樹脂成分を変更した青色粉体塗料である。いずれもドライブレンド(比較例7−1及び8−1)と比べて、塗装作業性及び色むらがないなど塗装外観が優れ、鮮やかな色彩になり、溶融混練粉砕した粉体塗料(比較例7−2及び8−2)と比べても流動性が良く、鮮やかな色彩となる。
【0091】
【表2】

【0092】
【表3】

【0093】
【表4】

【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明によれば、粒子径が小さくても流動性が良いため作業性が改良されて高外観の塗膜を形成でき、着色粉体塗料の場合は顔料などの着色剤が少なくても鮮やかな色彩を実現できる粉体塗料、及び清掃及びメンテナンスが容易な単純な構造の装置で、かつ短時間で当該粉体塗料を製造する方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1A】本実施形態に係る粉体塗料の球状ミキサー処理前の走査型電子顕微鏡写真である。
【図1B】本実施形態に係る粉体塗料の球状ミキサー処理後の走査型電子顕微鏡写真である。
【図2】本実施形態に係る製造装置である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体樹脂粒子表面に硬化剤、硬化触媒及び着色剤から選ばれる少なくとも1種の添加物を埋没または固着してなる粉体塗料であって、体積平均粒子径が10〜30μm及び標準偏差が15μm以下で粒子形状が球状であることを特徴とする粉体塗料。
【請求項2】
粉体樹脂粒子の樹脂成分が、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂及びこれらのハイブリッド樹脂から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の粉体塗料。
【請求項3】
容器内底面に沿って回転する回転羽を設けた球状ミキサーを用いて混合撹拌することを特徴とする請求項1または2記載の粉体塗料の製造方法。
【請求項4】
回転羽の先端周速度が20m/sec以上であることを特徴とする請求項3記載の粉体塗料の製造方法。
【請求項5】
球状ミキサーの回転羽が下段回転羽と容器中央部で回転する上段回転羽を設けてなることを特徴とする請求項3または4記載の粉体塗料の製造方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−84709(P2007−84709A)
【公開日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−275907(P2005−275907)
【出願日】平成17年9月22日(2005.9.22)
【出願人】(000219912)東京インキ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】