説明

粉体用制御バルブ

【課題】本発明は、弁体と弁座との間に微小なクリアランスを設けることで弁体と弁座との接触による磨耗を防ぎ、かつ紛体の漏洩を防ぐことを可能とする粉体用制御バルブを提供することを目的とするものである。
【解決手段】本発明は、粉体流入口2と粉体流出口3が連通される弁箱4内に、流通孔8が形成される弁体5が配置され、該弁箱4に貫通される弁軸9で上記弁体5を回転操作して粉体流入口2と粉体流出口3を連通あるいは遮断する粉体用制御バルブにおいて、前記弁体5の外周面と弁箱4の弁座内周面との間にシール材を設けずに、一定のクリアランスを設けた構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は。粉体用制御バルブに関する。詳しくは粉体配管に取り付けて排出される粉体量を制御するバルブに係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来ボールバルブは、図8に示すように、ケーシング101で入口102と出口103が連通する弁室104を形成し、弁室104内に流通孔105を形成した弁体106を配置し、弁体106の入口側に入口側環状弁座107を出口側に出口側環状弁座108を配置し、ケーシング101を気密的に貫通した弁軸109で弁ボール106を回転操作して入口102と出口103を連通あるいは遮断する構成とし、更に入口側環状弁座107、あるいは出口側環状弁座108と弁体106との接触面にテフロン(登録商標)シートを設けることによってクリアランスを無くし、粉体などの流体が弁体106と入口側環状弁座107、あるいは出口側環状弁座108との隙間に侵入しない構成とされる(特許文献1参照。)。
【0003】
また、粉体止め弁の弁体によるシール機構として図9に示す発明がある。この発明は、先端に面取り部109及び丸み部を形成した弁体106は、弁座110の肉盛り部111上を摺動して弁口径部を開閉して粉体を仕切っている。弁体106と弁座110間には弁座肉盛り部111による段差をつけ、弁体106が全閉に向かうにつれ押し固められる粉体をこの段差(クリアランス)によりすり抜けさせることで下流側に逃がし、弁体106の摩擦を避ける。更に弁体106と弁座110の間に僅かに出来る粉体の傾斜(安息角)を利用して弁口径内に落ちる粉体を抑えている(特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】特開2005−24090号公報(要約書、第1図)
【0005】
【特許文献2】特開平9−317903号公報(要約書、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら前記特許文献1における発明では、弁体106を回すことで入口側環状弁座107および出口側環状弁座108と前記弁体106面とが接触し、それによりシール性が低下する問題があった。
【0007】
また、シール性が低下して微小なクリアランスが生じることにより微小な粉体が入り込み、弁ボールの開閉ごとに弁体と弁座との間で粉砕されて保護膜として設けられるテフロン(登録商標)が磨耗することで更にクリアランスが大きくなり、粉体が外部に漏れ出る問題がある。
【0008】
また、テフロン(登録商標)が接触することで磨耗片が発生し、これが粉体に混入して製品の品質が損なわれる問題がある。
【0009】
ところで前記特許文献2における発明では、弁体の先端部と弁座との間にクリアランスを設け、粉体を下流側に余計に流すことなく、圧力のみを下流側に流すことにより弁体にかかる圧力を軽減させるものであるが、弁体は弁座上を摺動しながら開閉するために弁体と弁座との摺動部分から粉体が食い込むことが考えられる。
【0010】
また、弁体の開閉時には弁座との摺動により、弁体と弁座との間に設けられるシール部分が磨耗し、シール性が低下する問題がある。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであって、弁体と弁座との間に微小なクリアランスを設けることで弁体と弁座との接触による磨耗を防ぎ、かつ紛体の漏洩を防ぐことを可能とする粉体用制御バルブを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明に係る粉体用制御バルブは、粉体流入口と粉体流出口が連通される弁箱内に、流通孔が形成される弁体が配置され、該弁箱に貫通される弁軸で上記弁体を回転操作して粉体流入口と粉体流出口を連通あるいは遮断する粉体用制御バルブにおいて、前記弁体の外周面と弁箱の弁座内周面との間にシール材を設けずに、一定のクリアランスを設ける。
【0013】
ここで、弁体の外周面と弁箱との内周面との間に、シリカゲルなどの直径が数十ミクロンの粉体よりやや大きなクリアランスを設けることによって、粉体が圧壊せずにクリアランス内に入り込み、滞留することで粉体が外部に漏れ出ることなく、シール性を保持することが可能となる。
【0014】
また、弁体と弁座内周面との間に、シール材を設けないために直接的に接触することがなく、磨耗を防ぐことが可能となる。
【発明の効果】
【0015】
以上の構成よりなる本発明では、弁体と弁箱との間にクリアランスを設けることによって、弁閉状態のときに弁箱と弁体とのクリアランスに粉体が停滞した状態を保っているだけなので、弁座と弁体との接触磨耗が無く、シール性を保持することが可能となる。
【0016】
また、弁箱と弁体とのクリアランスに粉体が圧壊されずに停滞することにより、クリアランスから粉体が漏れることがなく、弁体の開閉を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面を参酌しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した粉体用制御バルブの一例を示す正面図、図2は、図1における平面説明図、図3は、図1における側面説明図を示す。
【0018】
ここで示す粉体用制御バルブ1は、上部に粉体が流入する流入口2が開口され、下部に粉体が流出する流出口3が開口される円筒形状の弁箱4と、この弁箱4内に回転自在な状態で嵌挿される円柱形状の弁体5とから構成される。
【0019】
そこで前記弁箱4の流入口2は、弁体5の上面が長方形状に開口される。そしてこの流入口2に、粉体を供給する圧入パイプ(図示せず。)に接続するための流入側継手管6が連結される。
【0020】
また、前記弁箱4の流出口3は、弁体5の下面が長方形状に開口される。そしてこの流出口3に、粉体を送出する送出パイプ(図示せず。)に接続するための流出側継手管7が連結される。
【0021】
次に、前記弁体5は図4に示すように円柱状に形成され、その中心軸線を通って流通穴8が貫設される。この流通穴8は、前記弁箱4の開口される流入口2および流出口3と略同形とされる。
【0022】
また、前記弁体5の左右両側面の中心軸線上には弁軸9が突設される。さらに、弁体5の外径は、前記弁箱4の内径より数十ミクロン小径とする。そして、弁箱4の両側開口端に、弁体支持壁10を取り付け、この弁体支持壁10に弁軸挿通穴11が設けられる。
【0023】
そこで前記弁体5の弁体支持壁10に開口される弁軸挿通穴11に軸受け部12を装着し、弁体5が弁箱4内にて回転自在となる機構とする。
したがって、前記弁箱4の内周面と弁体5の外周面との間に数十ミクロンの一定間隔のクリアランスが形成された状態となる。
【0024】
また、前記いっぽうの弁軸9の先端側には、操作ハンドル13を装着し、この操作ハンドル13を左右方向に回転させることで前記弁体5を回転させて流通穴8と流入口2および流出口3とを連通状とすることによりバルブを開とし、または流通穴8と流入口2および流出口3とをズラスことによってバルブを閉とする。
【0025】
以上の構成よりなる本発明の粉体用制御バルブでは、直径が1ミクロンから210ミクロン範囲内のシリカゲルの粉体を圧入パイプから流入側継手管6へガスの圧力によって送り込まれる。
【0026】
ここで、図5(イ)に示すように、弁体5の流通穴8と弁箱4の流入口2および流出口3とがズレタ状態、すなわち弁体5の外周面によって前記流入口2および流出口が塞がれた場合にあっては、シリカゲルの粉体は前記流入口2内にガス圧によって滞留した状態となっている。
【0027】
この場合には、図6に示すように、弁箱4の内周面と弁体5外周面との間の約75ミクロンの一定幅のクリアランスBによってシリカゲルの粉体Aは押し潰されることなく、途中まで入り込んで滞留する。
【0028】
そして図5(ロ)に示すように、弁体5を回転させて流通穴8と前記弁箱4の流入口2および流出口3とを連通状とする際には、前記クリアランスB内に滞留する粉体Aは圧壊することなく弁体4とともに回転する。
【0029】
そこでガス圧によって粉体Aは流入側継手管6から流入口2、弁体5の流通穴8および流出口3から流出側継手管7へと送出される。
【0030】
このようにして弁箱4の内周面と弁体5の外周面との間に、粉体の直径よりも大としたクリアランスを設けることによって、粉体が圧壊することなくガス圧によってクリアランス内に入り込んで滞留し、弁体5の動きに応じて回転することにより弁箱4と弁体5との接触磨耗が無く、しかもクリアランスを通じて流通穴8内に流入することがない。
【0031】
また、シール部材を設けないことによってシール部材の劣化によるシール性の低下や、弁体5の操作性の低下が無くなる。
【0032】
なお、本実施例ではロータリー、またはコック機構のバルブとして詳述するものであるが、このほかに図7に示すようにボールバルブでも適用することができる。
このボールバルブ14は,流通穴8が貫設された球形状の弁ボール15は、流入口2と流出口3が連通する弁室16内に配置される。
【0033】
ここで、前記弁室16内面に設けられる球面状の弁座17と弁ボール15の球面との間に、数十ミクロンの一定間隔のクリアランスを形成する。したがって、このクリアランスによってロータリーまたはコック機構のバルブとして詳述した作用・効果を得ることが可能となる。
【0034】
また、本実施例では粉体としてシリカゲルについて詳述したが、このほかにコピー機に使用するトーナーなど粒径が数十ミクロンの粉体であればいかなる粉体であっても構わない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明を適用した粉体用制御バルブの
【図2】図1における平面説明図である。
【図3】図1における側面説明図である。
【図4】本発明を適用した粉体用制御バルブの一例における弁体の斜視図である。
【図5】本発明を適用した粉体用制御バルブの弁体の可動説明図である。
【図6】本発明を適用した粉体用制御バルブにおける粉体の状態を示す拡大説明図である。
【図7】本発明を適用した粉体用制御バルブの他の例を示す断面説明図である。
【図8】従来のボール弁バルブの一例を示す説明図である。
【図9】従来の粉体止め弁の弁体によるシール機構の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 粉体用制御バルブ
2 流入口
3 流出口
4 弁箱
5 弁体
6 流入側継手管
7 流出側継手管
8 流通穴
9 弁軸
10 弁体支持壁
11 弁軸挿通穴
12 軸受け部
13 操作ハンドル
14 ボールバルブ
15 弁ボール
16 弁室
17 弁座

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体流入口と粉体流出口が連通される弁箱内に、流通孔が形成される弁体が配置され、該弁箱に貫通される弁軸で上記弁体を回転操作して粉体流入口と粉体流出口を連通あるいは遮断する粉体用制御バルブにおいて、
前記弁体の外周面と弁箱の弁座内周面との間にシール材を設けずに、一定のクリアランスを設ける
ことを特徴とする粉体用制御バルブ。
【請求項2】
前記弁箱が円筒形状に形成され、該弁箱内に流通孔が形成される円柱形状の弁体が配置され、前記弁箱の弁座内周面と前記弁体との外周面との間にシール材を設けずに、一定のクリアランスを設ける
ことを特徴とする請求項1記載の粉体用制御バルブ。
【請求項3】
前記粉体用制御バルブに投入される粉体がシリカゲルである
ことを特徴とする請求項1または2記載の粉体用制御バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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