説明

粉末コーティング組成物

【課題】低下した光沢の粉末コーティング組成物を提供すること。
【解決手段】粉末ポリマー組成物と金属酸化物を主成分とした流動化組成物又は金属酸化物を主成分とした艶消剤を含んでなる、粉末コーティングプロセスに使用されるのに適する組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(1)発明の分野
本発明は、粉末コーティング組成物に関し、とりわけ、組成物中に少量の金属酸化物の流動化促進剤を含めることで,改良された流動化特性を有する粉末コーティング組成物に関する。また、本発明は、少量の新規な金属酸化物の光沢低下剤(gloss reducing agent)を含む粉末コーティング組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
(2)技術の説明
ポリマーを主成分とする粉末コーティングは、一般に、基材に施されて丈夫で耐久性のある表面コーティングを基材に与える、固体微粒子の組成物である。粉末コーティングは、静電気、コロナ、又は摩擦電荷スプレー法によって基材に施され、粉末コーティングの粒子は、スプレーガンによって静電気を帯び、基材は、接地又は反対に帯電する。次いで、施された粉末コーティングは、加熱・溶融され、粒子が連続コーティングに融合し、得られたコーティングを硬化させる。基材に接着しない粉末コーティングの粒子は、再使用のために回収することができる。粉末コーティング組成物は、一般に、付加的な溶媒は存在せず、特に、有機溶媒は使用せず、したがって、非汚染性である。
【0003】
粉末コーティング組成物は、一般に、固体の膜形成樹脂を含み、通常、顔料のような1種以上の着色剤を含む。それらは一般に熱硬化性であり、例えば、膜形成ポリマーと対応硬化剤(それ自身がもう1つの膜形成ポリマーであることもできる)を含む。粉末コーティング組成物は、一般に、膜形成ポリマーの軟化点よりも高い温度であるが、有意な重合が生じる温度よりも低い温度で、例えば押出機の中で成分を十分に混合することによって調製される。押出物は、通常、平らなシートに巻かれ、例えば、所望の粒子サイズまで粉砕することによってサイズを小さくされる。殆どの工業的な静電気スプレー装置に必要な粒子サイズ分布は10〜120μmであり、平均粒子サイズは15〜75μm、好ましくは25〜50μmである。粉末コーティング組成物の例は、特許文献1〜4に開示されている。
【0004】
粉末ポリマーは、光沢の仕上に硬化する。ここで、ある用途において、光沢の低下が望まれる。光沢低下は、一般に、粉末ペイントにおいては、組成物に「テクスチャー剤(texturing agent)」として知られる大きめの不活性粒子を添加することによって得られる。テクスチャー剤は、硬化ポリマー膜に囲まれ、最終仕上に粗い外観を与えるのに十分大きい。大きめの不活性テクスチャー剤の例には、特許文献2に開示のように、繊維、顔料、マイカ、砥粒が挙げられる。
【0005】
粉末ポリマーコーティング組成物は、貯蔵、再生、ハンドリングの際にケーキになる、圧密化する、凝集する傾向にあるため、搬送、適用、使用の際に、粉末ポリマーコーティング組成物を流動化させ、自由流れを維持することが難しい。流動化に伴う問題は、粉末ポリマー組成物の粒子サイズが小さくなるにつれてより顕著になる。
【0006】
従来、とりわけ大きめの粒子サイズの粉末コーティングには、自由流れ添加剤として沈殿又はゲル化シリカを使用することが一般的であった。沈殿シリカとゲル化シリカは、水蒸気又は液体状の水分を吸収し、粉末ポリマー粒子間の結合や液体−液体の架橋を抑える能力により、粉末ポリマー組成物の自由流れを高めるものと考えられる。ここで、粉末ポリマー粒子がより一層小さくなると、水分を吸収する及び/又は粉末ポリマーの性能を高める、規範的な改良された添加剤が必要とされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第5461089号明細書
【特許文献2】米国特許第5470893号明細書
【特許文献3】米国特許第5614323号明細書
【特許文献4】米国特許第5229460号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既存の粉末コーティング組成物は、多くの点で満足できるが、低い光沢仕上を提供する粉末ポリマー(powdered polymer)コーティング組成物に対して、依然としてニーズが存在している。したがって、本発明の目的は、低下した光沢の粉末コーティング組成物を提供することである。
【0009】
さらに、粉末ポリマーの性能を高めるため、粉末ポリマー組成物、特に小さい粒子サイズの粉末ポリマー組成物と組み合わせることができる、新規な流動化促進組成物を対してニーズが存在している。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、粉末ポリマーの性能を改良する、少なくとも1種の固体の微粒子流動化促進剤を含む粉末コーティング組成物である。
【0011】
また、本発明は、硬化ポリマー膜の光沢を低下させる流動化促進剤を含む粉末コーティング組成物である。
【0012】
さらに、本発明は、硬化したポリマー膜の層の光沢を抑えるため、硬化工程の際にガスを遊離する光沢低下剤を含む粉末コーティング組成物である。
【0013】
本発明のさらにもう1つの局面は、硬化して薄い均一な仕上を与えるポリマー組成物である。
【0014】
1つの態様において、本発明は粉末コーティング組成物である。本粉末コーティング組成物は、少なくとも1種の粉末ポリマー、及び約25μm未満の平均粒子サイズを有する少なくとも1種の金属酸化物を含んでなる。
【0015】
もう1つの態様において、本発明は粉末コーティング組成物である。本組成物は、約99.5〜約99.9重量%の粉末ポリマー(powdered polymer)、及び約0.1〜約0.5重量%のヘキサメチルジシラザンで改質された10μm未満の平均粒子サイズを有するヒュームドシリカを含んでなる。
【0016】
さらにもう1つの態様において、本発明は、少なくとも1種の粉末ポリマーと、少なくとも1種の金属酸化物粒子とヘキサメチルジシラザンの混合物の非脱アンモニア和生成物を含んでなる粉末コーティング組成物である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】タイガーダイラック社製の元のポリエステル粉末ポリマーのSEM写真である。
【図2】組成物1をコーティングした、図1に示したポリエステル粉末ポリマーのSEM写真である。
【図3】組成物2をコーティングした、図1に示したポリエステル粉末ポリマーのSEM写真である。
【図4】組成物3をコーティングした、図1に示したポリエステル粉末ポリマーのSEM写真である。
【図5】タイガーダイラック社製のポリエステルとエポキシの元の複合粉末ポリマー混合物のSEM写真である。
【図6】組成物1をコーティングした、図5に示した元の複合粉末ポリマーのSEM写真である。
【図7】組成物2をコーティングした、図5に示した元の複合粉末ポリマーのSEM写真である。
【図8】組成物3をコーティングした、図5に示した元の複合粉末ポリマーのSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1〜8は、2つの粉末コーティングの走査型電子顕微鏡(SEM)による評価であり、各粉末コーティングに以下のものを混合した。
(1)添加剤なし、即ち、元の材料
(2)組成物1−粉砕に供していない120m/gの表面積のヒュームドシリカ
(3)組成物2−粉砕に供していない120m/gの表面積の、部分的にジメチルジクロロシランで処理したヒュームドシリカ
(4)組成物3−200m/gの表面積と約5.0重量%のHMDZと4.0重量%の水を有するヒュームドシリカのジェットミル粉砕反応生成物であり、ヒュームドシリカは約10μmの平均粒子サイズを有する
【0019】
図1及び図5は、コーティングしていない元の粉末ポリマーを示す。図2、図3、図6及び図7は、通常の粒子サイズ(30〜40μm psd)粉末コーティングの中の粉砕凝集ヒュームドシリカの分布が、若干不均一に過ぎなく、ある領域におけるシリカの高濃度クラスターと不十分な分布の大きめの領域が見られる。これに対し、図4と図8は、サイズが低下したヒュームドシリカ流動化促進剤が、全ポリマー粒子表面にわたって均一に分布することができ、それによって、非常に低い充填レベルであっても粉末ポリマー流動化を促進することを示す。
【0020】
本発明は、新規な流動化促進剤、新規な光沢低下剤、又はそれらの双方を含む粉末コーティング組成物に関する。本発明の組成物に有用な流動化促進剤は、あらゆる粒子サイズの粉末ポリマーの効果的な流動化を促進する。本新規な光沢低下剤は、粉末ポリマーコーティング組成物を用いて調製した硬化膜の光沢を低下させる。
【0021】
本発明の粉末コーティング組成物は、少なくとも1種の粉末ポリマーを含む。本発明の組成物に有用な粉末ポリマーは、静電気スプレーコーティング技術に有用な任意の粉末ポリマーが挙げられる。限定されるものではないが、有用な粉末ポリマーの例には、カルボキシ官能性ポリエステル樹脂、官能性アクリル樹脂、エポキシ、ポリウレタン、ポリオレフィン、PTFE、ナイロン、これらのコポリマーと混合物が挙げられる。また、粉末コーティング組成物の例は、米国特許第5461089号、同5229460号、同4122060号に開示されており、これらはいずれも本願でも参考にして取り入れられている。
【0022】
本発明の粉末コーティング組成物は、約90.0〜約99.9重量%の少なくとも1種の粉末ポリマー、好ましくは、約98.0〜約99.95重量%の粉末ポリマーを含む。用語「粉末ポリマー(powdered polymer)」は、単一の粉末ポリマー、粉末ポリマーの混合物、コポリマー、粉末コーティング組成物に有用な添加剤を含む粉末ポリマーを指称する。「粉末ポリマー」に混合されることができる添加剤には、例示の目的に過ぎないが、捕獲空気又は揮発物を減少させる添加剤、重合反応を促進する触媒、安定化剤、顔料、染料が挙げられる。また、これらの「粉末ポリマー」の各々を、粉末コーティング又は粉末コーティング処方物と共通して称する。触媒を使用せずに粉末ポリマー組成物を硬化させる又は架橋させることができるが、架橋反応を助長するため、触媒を採用することが通常は望ましい。
【0023】
本発明の粉末コーティング組成物に有用な流動化促進剤と光沢低下剤の双方に、微粒子(particulate) の金属酸化物が挙げられる。本発明に有用な金属酸化物は、シリカ、アルミナ、セリア、ゲルマニア、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、及びこれらの混合物から選択される。有用な金属酸化物は、天然に採掘することができ、又は製造することができる。また、金属酸化物は、2種以上の金属酸化物の混合物、又は同時製造物であることもできる。金属酸化物は、当業者に公知の技術を利用して製造可能である。例えば、ヒュームド金属酸化物の製造は、水素と酸素の火炎中で適当な原料の蒸気(ヒュームドシリカの場合は四塩化ケイ素)を加水分解させることを含む周知のプロセスである。溶融粒子が、燃焼プロセスの中で生成し、そのサイズはプロセスパラメーターによって変化する。これらの溶融粒子は、一般に一次粒子と称され、衝突することで互いに接触点で融合し、枝のある三次元の鎖状粒子を生成する。好ましくは、金属酸化物は、沈殿、ヒュームド、共沈殿、又はコヒュームドした材料物質、あるいはエーロゲル、シリカゲル、キセロゲル等の加工された材料物質である。
【0024】
金属酸化物粒子の生成は、一次粒子の間の融合による不可逆であると考えられる。冷却と捕集の際、粒子はさらに衝突し、ある程度の機械的絡み合いを生じ、凝集体を生成する。これらの凝集体は、ファンデルワールス力によって一緒に軽度に支持されると考えられ、適当な媒体中の適度な分散によって可逆する、即ち、解凝集することができる。
【0025】
ゲルに基づく金属酸化物材料、即ち、エーロゲル、キセロゲル、ヒドロゲル、その他のゲルの製造は、当業者に周知であり、通常の技術を用いて製造可能である。例えば、アバウトベル等の米国特許第3652214号、バルダッチ等の米国特許第5270027号、キストラーの米国特許第2188007号、及び文献「Heley, et al., "Fine Low Density Silica Powders Prepared by Supercritical Drying of Gels Derived From Silicon Tetrachloride", Journal of Non-Crystalline Solids, 186, 30-36 (1995)」に記載されており、これらはいずれも本願でも参考にして取り入れられている。
【0026】
金属酸化物粒子を構成する一次球形粒子のサイズは表面積を決める。金属酸化物の表面積の測定は、文献「S. Brunauer, P.H. Emmet, and I. Teller, J. Am. Chemical Society, Volume 60, Page 309 (1938) 」の一般にBETと称される窒素吸着法によって測定することができる。金属酸化物の典型的なBET値は、40m/g〜約1000m/g、好ましくは50m/g〜約400m/gである。
【0027】
多くの市販の金属酸化物は、本発明による不活性キャリヤとして使用するのに適するが、金属酸化物がシリカであることが好ましい。使用されるシリカは約25〜m/g〜約400m/g、好ましくは約150m/g〜約350m/gの表面積を有するべきである。とりわけ、キャボット社(タスコラ、イリノイ州)のCab−O−Sil部門から入手可能な約50m/g〜約350m/gの表面積を有するCAB−O−SIL(登録商標)ヒュームドシリカが好ましいシリカである。
【0028】
流動化促進剤として使用される金属酸化物が凝集体として製造された場合、凝集体の金属酸化物は、好ましくは、少なくとも部分的にサイズが小さくされ、粉砕プロセスの結果として、金属酸化物の平均粒子サイズは、少なくとも25%小さくされる。より好ましくは、有用な金属酸化物は、粉砕によって少なくとも50%小さくされた平均粒子サイズを有する。また、流動化促進剤は、単一の金属酸化物化合物の少なくとも部分的にサイズが小さくされた粒子からなり、又は複数の金属酸化物化合物の部分的混合物であることができる。
【0029】
また、金属酸化物の流動化促進剤は、粉末ポリマー粒子サイズより有意に小さい平均粒子サイズを有するべきである。有意に小さいとは、平均粒子サイズが、平均の粉末ポリマー粒子サイズの1/6以下、好ましくはそのサイズの1/10以下であるべきである。
【0030】
流動化促進剤として有用な好ましい金属酸化物粒子は、好ましくは、約25μm未満の平均粒子サイズを有して製造される。好ましくは、金属酸化物の流動化促進剤の平均粒子サイズは約15μm以下、最も好ましくは、約1.0μm未満である。
【0031】
用語「粒子(particle)」は、金属酸化物の一次粒子、金属酸化物粒子の凝集体、及び金属酸化物集合体の凝集体を指称する。用語「平均粒子サイズ」は、単一粒子のサイズを指称するのではなく、マイクロトラックX−100(リーズ・アンド・ノースラップ社製、ピーターブルグ、フロリダ州)を用いて分析した複数の多数粒子のサンプルの重量平均を指称する。
【0032】
最も好ましい流動化促進剤は、少なくとも部分的にサイズ低下の処理をされたヒュームドシリカである。ヒュームドシリカ粒子は、一般に、2以上のヒュームドシリカ集合体の凝集体であり、その一部は極めて大きい。したがって、粉砕によるサイズ低下は、非常に大きい凝集体を除去し、得られるヒュームドシリカの平均粒子サイズを顕著に低下させる。流動化促進剤として有用な金属酸化物粒子は、必要により、ヒュームドシリカのサイズを低下させるために使用される粉砕や磨砕のような当業者に公知の微細化法によってサイズを低下させることができる。
【0033】
金属酸化物粒子は、通常のサイズ低下技術を用いる粉砕に供し、金属酸化物の平均粒子サイズを低下させ狭めることができる。適当な装置には、例えば、ボールミル、粉砕機(grinder) 、ジェットミル、ピンミル等が挙げられる。最も好ましくは、ヒュームドシリカ凝集体がジェットミルに供され、サイズを小さくされたヒュームドシリカを得る。粉末ポリマー組成物に混和されるとき、金属酸化物の流動化促進剤は、圧縮適性を低下させ、得られた粉末コーティング組成物の見掛け密度を高め、その生成物の可使期間における優れた流動化と流動適性を確保する。流動化促進剤を含む粉末ポリマー組成物の自由で予測可能に流れる能力は、得られる粉末ポリマー組成物の直前の移動充足(first past transfer sufficiency) に明確に影響を与える。また、流動化促進剤は、得られる粉末ポリマー組成物を基材に均一に適用することを促進する。本発明の流動化促進剤の役割は、粉末ポリマー組成物の物質流動性を改良することである。重要であることは知られているが、このことは、部分的に理解されているに過ぎない。ここで、理解されていることは、最終結果であり、本発明の小さな金属酸化物の流動化促進剤は、粉末ポリマーの粒子−粒子の相互作用に明確に影響を与え、高性能粉末コーティング配合物に添加することを有益なものにする。
【0034】
非常に少量の流動化促進剤が(各粉末ポリマー粒子をコーティングするのに足りる)、粉末ポリマーの流動化の促進に必要とされるに過ぎない。本発明の粉末コーティング促進剤は、約0.01〜約3.0重量%の金属酸化物の流動化促進剤を含む。より好ましくは、本発明の粉末ポリマー組成物は、約0.05〜約1.0重量%、最も好ましくは約0.05〜約0.5重量%の金属酸化物の流動化促進剤を含む。
【0035】
流動化促進剤として有用な金属酸化物粒子は、粉末ポリマーと組み合わされる前に、未改質である又は改質されることができる。改質剤は、金属酸化物の流動化促進剤として有用な任意の化合物であることができる。選択される処理剤の種類と処理レベルは、疎水性や光沢低下のような求められる特性によって決まる。有用な改質剤には、例えば、改質用疎水性処理剤の例えばオルガノポリシロキサン、オルガノシロキサン、オルガノシラザン、オルガノシラン、ハロゲンオルガノポリシロキサン、ハロゲンオルガノシロキサン、ハロゲンオルガノシラン、例えば、ジメチルジクロロシラン、トリメトキシオクチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ポリメチルシロキサンが挙げられる。
【0036】
金属酸化物の凝集改質は、当該技術分野で周知の乾式又は湿式技術によって行うことができる。例えば、乾式処理法には、流動床反応器の中で金属酸化物と改質剤を攪拌又は混合することが挙げられる。あるいは、湿式処理法には、金属酸化物を溶媒に分散させて金属酸化物スラリーを作成し、そのスラリーに改質剤を添加し、それによって、金属酸化物の表面を改質剤で改質することが挙げられる。また、改質金属酸化物は、バッチ又は連続プロセスを用いて調製することができ、ドライな金属酸化物が、十分な混合によって液体又は気体の改質剤と接触する。別な方法において、改質された金属酸化物が、金属酸化物の表面特性を改質するのに十分な温度と時間に保持され、それによって、改質された金属酸化物を疎水性にする。一般に、約25℃〜約200℃の温度範囲と30分間〜約16時間以上の期間が適切である。金属酸化物を改質する方法の例は、米国特許第5133030号、同4307023号、同4054689号に記載されており、これらはいずれも本願でも参考にして取り入れられている。
【0037】
本発明の組成物に有用な金属酸化物の流動化促進剤は、好ましくは、揮発性改質剤を含む。揮発性改質剤は、標準的な温度と圧力で金属酸化物に結合することができ、金属酸化物が室温より高い温度に加熱されると、少なくとも部分的に揮発してガス又は蒸気を発生する任意の組成物であることができる。遊離した蒸気は、硬化粉末ポリマーの光沢を低下させる。有用な揮発性改質剤の例は、水、アンモニア、揮発性炭化水素、CO、He、Arのようなガス、加熱すると分解する及び/又は水分を添加すると気体の反応生成物を発生する化合物である。最も好ましい揮発性改質剤はヘキサメチルジシラザンである。揮発性改質剤は、上記の方法によって本発明の金属酸化物粒子に施される。
【0038】
所望の硬化ポリマーの光沢低下を得るのに十分な量で、随意の揮発性改質剤が、金属酸化物の流動化促進剤の中に存在することができる。したがって、金属酸化物は、上記の方法のいずれかを用いて約0.05〜約40.0重量%の揮発性改質剤と組み合わされた、好ましくは、約0.2〜約10重量%の揮発性改質剤と組み合わされた金属酸化物の反応生成物である。
【0039】
最も好ましい流動化促進剤組成物は、ヘキサメチルジシラザンで改質され、サイズを低下されたヒュームドシリカである。
【0040】
また、金属酸化物粒子が光沢低下剤として有用であることが見出されている。即ち、本発明のもう1つの別な態様は、金属酸化物粒子、好ましくは脱アンモニア和されていないヒュームドシリカとヘキサメチルジシラザンの反応生成物である光沢低下剤を含む粉末ポリマー組成物である。光沢低下剤に有用な金属酸化物粒子は、上記の任意の金属酸化物を含むことができる。
【0041】
ヘキサメチルジシラザンが、ヒュームドシリカ粒子のような金属酸化物粒子と混合されると、ヘキサメチルジシラザンのシラン部分が金属酸化物に結合し、遊離したアンモニアが反応副生物である仕方で、ヘキサメチルジシラザンが金属酸化物と反応する。アンモニア副生物の少なくとも一部は、金属酸化物粒子に結合したままであり、これは、室温より高い温度の例えば粉末ポリマーの硬化温度に金属酸化物粒子が加熱されるまで、そのままである。あるいは、アンモニア副生物は、金属酸化物粒子の表面を水に曝し、金属酸化物粒子からアンモニアを遊離させることで、金属酸化物粒子から遊離させることができる。
【0042】
金属酸化物とヘキサメチルジシラザンの反応生成物を含む光沢低下剤が、粉末ポリマーと混合される前に加熱されると、粒子に結合した多くのアンモニアは揮発し、「脱アンモニア和(deammoniated)」による光沢低下を与えることができる。脱アンモニア和の光沢低下剤は、非脱アンモニア和の光沢低下剤よりも有用性が少ない。本発明の好ましい光沢低下剤は、50℃より高い温度に加熱されていない金属酸化物粒子とヘキサメチルジシラザンの非脱アンモニア和の反応生成物を含んでなる。このような金属酸化物粒子/ヘキサメチルジシラザンの反応生成物を、「非脱アンモニア和(non-deammoniated)」と定義する。
【0043】
本発明の好ましい光沢低下剤の金属酸化物粒子とヘキサメチルジシラザンの反応生成物は、好ましくは、約0.1〜約40重量%のヘキサメチルジシラザンと約60重量%〜約99.9重量%の微粒子状金属酸化物の組み合わせの非脱アンモニア和の生成物である。
【0044】
本発明の光沢低下剤を用いて得られる光沢低下の程度は、金属酸化物粒子に付随のヘキサメチルジシラザンの量、及び粉末ポリマー組成物に混和された光沢低下剤の量によって変化する。また、光沢低下の程度は、使用される粉末ポリマーによって決まる。許容できる光沢低下の結果は、本発明の粉末コーティング組成物が約0.1〜約5.0重量%の光沢低下剤を含むときに得られる。より好ましくは、粉末コーティング組成物は、約0.2〜約2.0重量%の光沢低下剤を含む。
【0045】
光沢低下剤に使用される金属酸化物の平均粒子サイズは、それ程重要ではない。しかし、金属酸化物粒子の平均粒子サイズは、そのサイズによって艶消を生じるように大きくないことが重要である。したがって、光沢低下剤に使用される金属酸化物粒子の平均粒子サイズは、粉末ポリマーの平均粒子サイズと同等以下のサイズであるべきである。最も好ましくは、金属酸化物粒子の平均粒子サイズは約25μm未満、好ましくは、約15μm未満である。
【0046】
光沢低下剤又は流動化促進剤を含む本発明の粉末ポリマー組成物は、いくつかの異なる方法によって調製することができる。1つの方法において、粉末ポリマーが、微細に分割された光沢低下剤又は流動化促進剤の粒子、又はその双方と混合され、本発明の粉末ポリマー組成物を得ることができる。あるいは、光沢低下剤又は流動化促進剤が、ポリマーチップと混合され、その後、粉末/チップの混合物が粉砕され、粉末ポリマーと添加剤を含む均一な粉末コーティング組成物を得ることができる。
【0047】
粉砕工程の後、得られた粉末ポリマー組成物が、所望又は必要により、分級され、特定の値より大きい粒子サイズを有する粒子を除去することができる。例えば、粉末コーティング組成物が必要な場合、好ましくは、約120μmより大きい粒子サイズを有する粉末ポリマー粒子が除去される。粉末ポリマー粒子のサイズは、用途によって決まるが、一般に、粉末ポリマーは、10〜約90μm、より好ましくは約10〜約65μm、最も好ましくは約10〜約40μmの粒子サイズを有する。
【0048】
好ましくは、本発明の配合物は、光沢低下剤又は流動化促進剤にポリマーチップを混合し、次いでその混合物を粉末ポリマー組成物に粉砕することによって調製される。
【0049】
本発明の組成物は、粉末ポリマー組成物を金属表面に施すために当該技術で公知の任意の方法によって導電性(conductive)金属表面に施すことができ、例えば、静電気スプレー装置、霧箱、流動床、又は摩擦電気装置を使用する。好ましい方法は、電圧をスプレーガンに印加するコロナスプレーである。本組成物は、1回又は複数回で施すことができ、コーティング物品の所望の最終用途によっていろいろなポリマー粉末の厚さを提供することができる。
【0050】
本発明の粉末コーティング組成物を導電性表面に適用した後、コーティングされた表面を、粉末ポリマーを密着したコーティング層に硬化させるのに十分な温度に加熱する。硬化温度は、本組成物に使用される粉末ポリマーの種類によって異なる。硬化温度は、約100℃から高くは約800℃までの範囲である。粉末をコーティングされた表面は、十分な時間にわたって硬化温度に曝し、粉末粒子を実質的に連続した均一コーティングに硬化させるべきである。一般に、約1〜約10分間又はそれ以上の硬化時間が、粉末粒子を実質的に連続した均一なコーティングにするのに必要である。好ましくは、本発明の粉末コーティング組成物を、導電性表面に施し、次いで硬化させて、約0.8〜約4.0ミル、好ましくは約0.8〜1.5ミルの硬化したポリマーコーティングを形成する。
【0051】
本発明を特定の態様を用いて説明したが、本発明の範囲から逸脱することなく変更が可能なことが理解されよう。本発明の範囲は、発明の詳細な説明と例に示した本発明の説明に限定されず、請求の範囲に限定されると考えるべきである。
【実施例】
【0052】
例1
この例は、ハネイウェル・マイクロトラックX−100を用いて金属酸化物粒子の平均粒子サイズを測定するために本願で用いた方法を説明する。
【0053】
サンプルの平均粒子サイズを測定するため、トリトンX−11と脱イオン水の1/9の混合物を使用し、処理済シリカのサンプルのディスパージョンを作成した。トリトンX−11の溶解を容易にするため、脱イオン水を加熱・攪拌した。20mlのトリトンX−100/脱イオン水の溶液を、処理済シリカを移すときに使用したビーカーに入れ、50mlの脱イオン水溶液をビーカーに入れ、未処理シリカを分散させるために使用した。0.5gのシリカを適当なビーカーに入れ、溶液中に分散するまで攪拌プレート上で混合した。処理済シリカが分散されるとき、30mlの脱イオン水をサンプルに添加し、サンプルの全体積を50mlとした。サンプルのディスパージョンを調製した後、サンプルをハネイウェル・マイクロトラックX−100に添加し、平均粒子サイズについて測定した。
【0054】
例2
この例は、HMDZ改質ヒュームドシリカを調製するための基本的方法を説明する。500gのシリカを3〜4回の投入によって大きなプラスチックバッグに入れた。シリカの各投入の後、適当量の水を添加し、最終的な所望の量とした。全ての水を添加した後、バッグをシールし、数分間にわたって人手によって振盪した。次いで、終夜にわたってシリカを静置した。次いで、シリカと水の混合物を別なプラスチックバッグに3回の投入によって移した。バッグに各投入をした後、ヘキサメチルジシラザンの必要量の1/3を混合物に添加した。全てのシリカを移してヘキサメチルジシラザンを添加した後、バッグをシールし、数分間にわたって人手によって振盪した。次いで、終夜にわたってシリカを静置した。
【0055】
下記の例3A、3B及び3Hで使用したHMDZ改質シリカは、上記の方法において4重量%の水、8重量%のヘキサメチルジシラザンを用いて調製した。下記の例3C、3F及び3Gで使用したHMDZ改質ヒュームドシリカは、上記の方法において8重量%の水、10重量%のヘキサメチルジシラザンを用いて調製した。
【0056】
例3
この例は、本発明のヒュームドシリカ含有光沢低下剤等の添加剤を、商業的ポリマー粉末コーティング組成物に混和させ、次いでその粉末を硬化させる方法を説明する。
【0057】
粉末コーティングとヒュームドシリカは、増強バーを備えたV型ブレンダーによって混合した。V型ブレンダーは、4クォートのLB−3699型(パターソン−ケリー社製、イーストストラウズブルグ、ペンシルバニア州)とした。粉末コーティングシリカ混合物は、ノードソン社(アムハーツ、オハイオ州)製の Versa-Spray II IPS コントローラーとコロナマニュアル粉末スプレーガンによって、接地した導電性基材に施した。コーティングした導電性基材は、コーティングした導電性基材は、ブルーM社(ブルーアイランド、イリノイ州)製のブルーMエコノミークラスAバッチオーブン中で392°Fで焼成した。光沢の測定は、GYKガードナー社(ゲレッツリード、ドイツ)製のマイクロTRI光沢反射計を用いて行った。光の入射角は60°とした。膜厚は、一般に、1.5〜2ミルを目標にした。
【0058】
基準の光沢測定を、比較用の2つの粉末ポリエステル組成物について行った。使用したポリエステルは、いずれもタイガーダイラック社(オーストラリア)製とした。使用したポリエステルと光沢測定は次の通りである。TGICポリエステル39/80040では、光沢測定は55であり、滑らかな光沢仕上と薄いオレンジ色を有した。TGICポリエステル39/80010では、光沢測定は85であり、滑らかな光沢仕上と僅かなオレンジ色を有した。
【0059】
例3A
200m/gの表面積を有するヒュームドシリカを含む非脱アンモニア和HMDZからなる0.5重量%の光沢低下剤を、例1に記載した方法にしたがって99.5重量%のTGICポリエステル39/80040と混合し、光沢について評価した。
【0060】
得られた光沢は30と測定され、最初の粉末ポリマーに比較して54.5%の光沢低下に相当した。仕上は、若干のテクスチャーを有する中程度のオレンジ色であった。
【0061】
この例で使用した非脱アンモニア和シリカ光沢低下剤は、例2で記載したのと同様に、ヒュームドシリカにヘキサメチルジシラザンを反応させることによって作成した。
【0062】
例3B
例3Aに記載の方法によって調製した1.0重量%の非脱アンモニア和の光沢低下剤を、この例に記載した方法による99.0重量%のTGICポリエステル39/80040と混合し、光沢を評価した。光沢測定値は0.5であり、元の材料に比較して99.5%の光沢低下となった。この仕上は、テクスチャーのある外観を有した。
【0063】
例3C
例3Aの方法にしたがって調製した非脱アンモニア和の光沢低下剤を、非脱アンモニア和シリカを適当なサイズの浅いコンテナに移してアルミニウムホイルで覆うことによって脱アンモニア和した。ホイルにスリットを形成し、ガスを逃がした。コンテナを空気循環式オーブンの中に入れ、125℃で終夜にわたって加熱した。コンテナを取り出して冷却した後、シリカを回収した。
【0064】
得られた1.0重量%の脱アンモニア和のHMDZ処理ヒュームドシリカを、例3に記載した方法による99.0重量%のTGICポリエステル39/80040と混合し、光沢を評価した。得られた光沢は僅か9.1と測定され、非脱アンモニア和の光沢低下剤に比較して光沢の顕著な低下を示した。
【0065】
例3D
200m/gの表面積と約30μmの平均サイズを有する未乾燥で未処理の疎水性ヒュームドシリカからなる粉末ポリマー添加剤の1.0重量%を、例1に記載した方法による99.0重量%のTGICポリエステル39/80040と混合し、光沢を評価した。光沢測定値は30であり、54.5%の低下を示した。仕上は、表面上のシリカ粒子の存在のため、質の劣る非常に粗い表面を有した。
【0066】
例3E
この例は、例3Dと同じ粉末ポリマー組成物を使用したが、但し、ヒュームドシリカを110℃で終夜にわたって乾燥し、揮発分を除去し、次いで直ちに試験した。このシリカは、乾燥すると0.8%の重量低下を示した。得られた光沢測定は54.5であり、0.1%の低下を示した。例3Dから光沢が顕著に低下した理由は、この例で使用する前にM5シリカから水を除去したことによるものと考えられる。仕上は、表面上のシリカ粒子の存在のため、質の劣る非常に粗い表面を有した。
【0067】
例3F
例3Cで使用した脱アンモニア和の光沢低下剤を、密閉ジャーの中に100gの光沢低下剤を入れることにより、飽和アンモニア条件に終夜にわたって曝した。0.5重量%のアンモニア後処理光沢低下剤を、99.5重量%のTGICポリエステル39/80010と混合した。得られた光沢測定値は38.8であり、元の材料に比較して54.3%の低下を示した。1.0重量%のアンモニア後処理光沢低下剤を99.0重量%のTGICポリエステル39/80010と混合すると、得られた光沢は1.0であり、元の材料の光沢から98.8%の低下を示した。1.0重量%のアンモニア処理シリカを99.0重量%のTGICポリエステル39/80010と混合すると、得られた光沢測定値は1.0であり、98.8%の光沢低下を示した。
【0068】
例3G
例3Cにしたがって調製した脱アンモニア和のヒュームドシリカに、TGICポリエステル39/80010を混合した(0.5重量%と99.5重量%)。得られた光沢測定値は42であり、50.1%の低下を示した。1.0重量%/99.0重量%の混合物を調製・硬化すると、得られた光沢測定値は3.7であり、85.0%の低下を示した。仕上は中程度から濃いオレンジ色の粗い表面を有した。
例3H
例3Aにしたがって調製した非脱アンモニア和シリカに、TGICポリエステル39/80010を混合した(1.0重量%と99.0重量%)。得られた硬化ポリマーの光沢測定値は0.5であり、99.4%の低下を示した。仕上は平坦なテクスチャーのある外観を有した。
【0069】
例4
例4Aの非脱アンモニア和のHMDZ処理ヒュームドシリカに、種々の粉末ポリマーを混合し、得られた硬化ポリマーの光沢レベルを評価した。粉末ポリマーに光沢低下剤を混ぜ、適用し、硬化させ、例3に示した方法にしたがって評価した。この光沢の結果を下記の表1に示す。
【0070】
【表1】

【0071】
結果は、HMDZヒュームドシリカの非脱アンモニア和混合物からなる艶消剤を種々の粉末ポリマーに混和した結果の、顕著な光沢低下を示す。
【0072】
例5
粉末ポリマーコーティング中に流動化促進剤として微量の金属酸化物粒子を使用する有用性を判断するため、製造条件をシミュレートし、流動化促進剤を含む粉末ポリマー組成物の流動化効率を評価した。この例は、再生、移動効率、及び機械的搬送要件の間にブレークダウンするため、添加剤を含む流動化促進剤の経時的な安定性を評価した。各場合において、比較の基準を得るため、流動化促進剤を含まない対照標準材料を評価に含めた。
【0073】
対照標準の粉末は、タイガーダイラック社製のTGICポリエステル39/80040粉末ポリマーとした。使用した流動化促進剤は、約10μmの平均粒子サイズを有するHMDZ改質のジェットミル粉砕ヒュームドシリカとした。このヒュームドシリカは、上記の例3Aに記載したように、ジェットミル粉砕の前にHMDZで改質した。流動化促進剤を含む粉末ポリマーは、99.0重量%の粉末ポリマーと1.0重量%の流動化促進剤からなった。
【0074】
粉末は、Nordson(登録商標) Versa-Spray II 4nmのフラットスプレーノズルと Versa-Spray II 粉末パックを用いて噴霧した。スプレーガンは、10インチのガン距離で100kVで操作した。粉末は、25ポンド容量のホッパーから抜き出した。スプレーガンは、ホッパーから粉末を抜き出し、粉末の戻りをホッパーの中に噴霧した。2通りの試験の磨耗(attrition) 結果を下記の表2と表3に示す。
【0075】
【表2】

【0076】
【表3】

【0077】
製造安定性のかなりの改良(平均粒子サイズの僅かな低下、オーバーサイズとアンダーサイズの粒子の一定した関係)は、ヒュームドシリカの均一な分布から生じる衝突融合の低下を例証しており、これは、それらがドライ潤滑剤又は滑剤として作用し(粒子間の距離を維持する)、材料の機械的移動性を容易にするためと考えられる。ハンドリング、移動、適用の際の低下した磨耗は、性能特性の変化を最少限にし、このことは、改質粉末コーティングに十分に見られる。また、拡張した再生とリサイクルに関する粒子サイズ分布の相対的均一性は、外観、適用性能、充填特性、表面均一性における従来の低下なしに、元の粉末に対する再生粉末の有意に高い割合で材料をスプレーできることを示す。また、微粉末発生の顕著な低下は、それらが引き起こすフィルター閉塞その他の関連する機械的問題を最少限にする。
【0078】
例6
この例は、種々の市販の粉末コーティングと化学物質の流動化効率を改良する、本発明の流動化促進剤の性能を評価する。試験した各々の粉末コーティング組成物は、上記の例3Aに記載した0.25重量%のHMDZ改質ヒュームドシリカの流動化組成物に、下記の表4に示した99.75重量%の粉末ポリマーを混合することによって調製した。この組成物は、標準流動化キャニスターの中に組成物を入れ、キャニスター内の粉末コーティングの高さを2倍にするのに必要な空気圧力の低下を測定することによって評価した。
【0079】
比較のため、200m/gの表面積を有するジェットミル粉砕していないヒュームドシリカの0.25重量%を混合した、同じ粉末ポリマーを用いて調製した組成物を示す。
【0080】
【表4】

【0081】
各粉末ポリマーについて、微量の流動化促進剤の添加が、流動化効率を顕著に改良した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種の粉末ポリマー、及び約25μm未満の平均粒子サイズを有する金属酸化物を含んでなる粉末コーティング組成物。
【請求項2】
金属酸化物が約15μm未満の平均粒子サイズを有する請求項1に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項3】
金属酸化物が、シリカ、アルミナ、セリア、ゲルマニア、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、及びこれらの混合物からなる群より選択された請求項1に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項4】
金属酸化物がヒュームドシリカである請求項3に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項5】
金属酸化物が、約0.05〜約3重量%の量で組成物中に存在する請求項1に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項6】
金属酸化物が、約0.1〜約0.5重量%の量で組成物中に存在する請求項1に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項7】
金属酸化物が少なくとも1種の改質剤を含む請求項1に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項8】
改質剤が、軽炭化水素、アンモニア、水、ガス、及びこれらの混合物から選択された請求項7に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項9】
金属酸化物が疎水化薬剤で処理された請求項1に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項10】
前記疎水化薬剤が、オルガノポリシロキサン、オルガルシロキサン、オルガノシラザン、オルガノシラン、ハロゲンオルガノポリシロキサン、ハロゲンオルガルシロキサン、ハロゲンオルガノシラザン、ハロゲンオルガノシラン、及びこれらの混合物からなる群より選択された請求項9に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項11】
前記疎水化薬剤が、ジメチルジクロロシラン、トリメチトキシオクチルシラン、ヘキサメチルジシラザン、ポリジメチルシロキサン、又はこれらの混合物である請求項10に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項12】
約99.5〜約99.9重量%の少なくとも1種の粉末ポリマー、及び約0.1〜約0.5重量%のヘキサメチルジシラザンとヒュームドシリカの10μm未満の平均粒子サイズを有する反応生成物、を含んでなる粉末コーティング組成物。
【請求項13】
ヒュームドシリカが揮発性薬剤をさらに含む請求項12に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項14】
少なくとも1種の粉末ポリマー、及び少なくとも1種の金属酸化物とヘキサメチルジシラザンの非脱アンモニア和の反応生成物を含んでなる粉末コーティング組成物。
【請求項15】
金属酸化物が約50m/g〜約400m/gのBET表面積を有する請求項14に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項16】
金属酸化物が約0.05μm〜約200μmの平均粒子サイズを有する請求項14に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項17】
金属酸化物が、アルミナ、セリア、ゲルマニア、シリカ、チタニア、ジルコニア、酸化亜鉛、及びこれらの混合物からなる群より選択された請求項14に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項18】
金属酸化物がシリカである請求項17に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項19】
シリカがヒュームドシリカである請求項18に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項20】
金属酸化物が約0.5〜約40.0重量%のヘキサメチルジシラザンと反応した請求項14に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項21】
少なくとも1種の金属酸化物とヘキサメチルジシラザンの非脱アンモニア和の反応生成物が、組成物中に約0.1〜約2.0重量%の量で存在する請求項14に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項22】
少なくとも1種の金属酸化物とヘキサメチルジシラザンの非脱アンモニア和の反応生成物が、組成物中に約0.5〜約1.0重量%の量で存在する請求項14に記載の粉末コーティング組成物。
【請求項23】
約98〜約99.9重量%の少なくとも1種の粉末ポリマー、及び約80.0〜約99.9重量%のヒュームドシリカと約0.1〜約20.0重量%のヘキサメチルジシラザンの非脱アンモニア和の反応生成物である約0.1〜約2.0重量%の艶消剤、
を含んでなる粉末コーティング組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−202887(P2010−202887A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−136222(P2010−136222)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【分割の表示】特願2000−540190(P2000−540190)の分割
【原出願日】平成11年1月15日(1999.1.15)
【出願人】(391010758)キャボット コーポレイション (164)
【氏名又は名称原語表記】CABOT CORPORATION
【Fターム(参考)】