説明

粉末状化粧料

【課題】テカリを抑える効果と白浮きせず適度なツヤ感を演出する使用感を有する化粧膜を形成する粉末状化粧料を提供する。
【解決手段】(A)アスペクト比が50以上でかつ平均粒子径が10〜50μmのタルクと、(B)アスペクト比が100以上でかつ平均粒子径10〜100μmのマイカと、(C)平均粒子径1〜50μmの有機球状粉体を含有し、(A)+(B):(C)が質量比で1:1〜5:1であり、かつ(A)と(B)と(C)の配合量の和が粉末状化粧料全量に対し90質量%以上である、粉末状化粧料。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の形状のタルクとマイカと、有機球状粉体を特定比で含有する粉末状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末状化粧料である粉おしろいは、タルクなどの粉体を主成分として、主として乳化ファンデーションや油性ファンデーションの上に塗布して、“あぶらびかり”やベタツキを押さえて、マットで透明感のある肌色を演出したり、汗や皮脂を押さえて化粧持ちを良くする目的で使用されている。(非特許文献1)
【0003】
そこで、従来から滑らかで均一な伸び、広がりを付与するために有機球状粉体とアスペクト比が150〜250の板状粉体を配合した粉末状化粧料が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】光井武夫編「新化粧品学第2版」 405頁、2001年1月18日、株式会社南山堂発行
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−13438号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、高アスペクト比の板状粉体に対し、有機球状粉体を多量に配合すると、テカリや白浮きの原因となることがあった。このため、テカリを抑える効果と白浮きせず適度なツヤ感を演出する使用感を有する化粧膜を形成する粉末状化粧料の開発が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明は、(A)アスペクト比が50以上でかつ平均粒子径が10〜50μmのタルクと、(B)アスペクト比が100以上でかつ平均粒子径10〜100μmのマイカと、(C)平均粒子径1〜50μmの有機球状粉体を含有し、(A)+(B):(C)が質量比で1:1〜5:1であり、かつ(A)と(B)と(C)の配合量の和が粉末状化粧料全量に対し90質量%以上である、粉末状化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の粉末状化粧料はテカリを抑える効果と白浮きせず適度なツヤ感を演出する使用感を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下本発明を実施するための形態を説明するが、本明細書中で平均粒子径はレーザー回析式粒度分布測定により測定した値で示す。
【0010】
本発明の液体洗浄料は、(A)アスペクト比が50以上でかつ平均粒子径が10〜50μmのタルクと、(B)アスペクト比が100以上でかつ平均粒子径10〜100μmのマイカと、(C)平均粒子径1〜50μmの有機球状粉体を必須成分として含有し、(A)+(B):(C)が質量比で1:1〜5:1であり、かつ(A)と(B)と(C)の配合量の和が粉末状化粧料全量に対し90質量%以上である。
【0011】
(A)成分のタルクとしては、アスペクト比が50以上でかつ平均粒子径が10〜50μmのものを用いる。市販品の例として、山口雲母工業所社製タルクFK−300S等が挙げられる。タルクのアスペクト比が50未満の場合、ツヤ感が無くなり、好ましくない。
【0012】
(B)成分のマイカとしては、アスペクト比が100以上でかつ平均粒子径10〜100μmのものを用いる。市販品の例として、山口雲母工業所社製マイカFA−450、同NCF−322、同TM−10、同TM−20等が挙げられる。マイカのアスペクト比が100未満の場合、白浮きした使用感となり、好ましくない。
【0013】
(C)成分の有機球状粉体としては、化粧料で通常用いられる有機球状粉体でかつ平均粒子径1〜50μmであれば特に限定されない。具体的には、例えばナイロン、ポリメタクリル酸アルキル、オルガノポリシロキサンエラストマー、ポリメチルシルセスキオキサン、ポリスチレン、アクリロニトリル−メタクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−メタクリル酸共重合体、架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体、ポリエチレン、セルロース等が挙げられ、また、これら粉体の二種以上を複合化して球状にしたものでも良く、これらを一種又は二種以上用いることができる。
【0014】
成分(C)の有機球状粉体は、市販品としては、ナイロンであるナイロン12SP−500(東レ社製)、ポリメタクリル酸アルキルであるマツモトマイクロスフェアーM−101、330、(何れも、松本油脂製薬社製)、ポリスチレンであるガンツパールGS−0605(ガンツ化成社製)、オルガノポリシロキサンエラストマーであるトレフィルE505、E506、E701(何れも、東レ・ダウコーニング・シリコーン社製)、ポリメチルシルセスキオキサンであるトスパール2000B*(東芝シリコーン社製)、架橋型シリコーン・網状型シリコーンブロック共重合体であるKSP−100、300(何れも信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0015】
また、これら成分(A)、(B)、(C)の粉体は、前記感触を損ねない範囲で、例えば、フッ素化合物、シリコーン系油剤、金属石ケン、ロウ、界面活性剤、油脂、炭化水素等による処理等、通常公知の方法で表面処理されているものを用いても良い。
【0016】
本発明の粉末状化粧料においては、(A)+(B):(C)が質量比で1:1〜5:1である。(A)と(B)の配合量の和が(C)より小さくても、白浮き改善、適度なツヤ感といった使用感のこれ以上の改善は認められない。(A)と(B)の配合量の和が(C)の5倍量より多くなると、白浮き改善、適度なツヤ感を得ることが困難になる場合がある。
【0017】
本発明の粉末状化粧料においては、(A)と(B)と(C)の配合量の和が粉末状化粧料全量の90質量%であることを要する。(A)と(B)と(C)の配合量の和が、粉末状化粧料全量の90質量%未満の場合、テカリを抑える効果と白浮きせず適度なツヤ感を演出する使用感を発揮することが困難になる場合がある。
【0018】
本発明の粉末状化粧料には、上記必須成分のほかに、通常化粧料に用いられる成分として、例えば成分(A)、(B)、(C)以外の粉体、油剤、界面活性剤、紫外線吸収剤、保湿剤、防腐剤、抗菌剤、香料、抗炎症剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、着色剤、美容剤、制汗剤等を本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
【0019】
本発明の粉末状化粧料の製造方法は、特に限定されるものではなく、高速混合機で混合後、アトマイザーなどの粉砕処理後、篩過して製品として成型する。
【0020】
本発明の粉末状化粧料の具体例としては白粉、デオドラントパウダー、パヒュームパウダー、ボディパウダー等が挙げられる。これらの中でも、白粉が本発明の効果が顕著に発揮されるため好ましい。
【実施例】
【0021】
以下に本発明を実施例を用いて説明するが、本発明の技術的範囲はこれによってなんら限定されるものではない。
【0022】
表1に示した処方にて、粉末状化粧料を定法により調製し、使用感の評価を行った。
【0023】
【表1】

【0024】
使用感評価基準
ベースのテカリ:抑える ○、抑えない ×
白浮き :しない ○、する ×
ツヤ感:ありすぎる ◎、ある ○、適度 △、ない ×
【0025】
表1に示したとおり、本発明の実施例1は、適度なツヤ感を発揮しながら、ベースのテカリを抑え、白浮きしない良好な使用感であった。これに対し、アスペクト比の低いタルクやマイカを配合した場合、ツヤ感や白浮きに問題が生じる。また有機球状粉体の配合量の少ない比較例4の場合には、白浮きし、ツヤ感がありすぎる使用感であった。
【0026】
実施例2
タルク(注1) 44.0(質量%)
マイカ(注3) 25.0
オルガノポリシロキサンエラストマー 30.0
ジメチコン 1.0
【0027】
実施例3
タルク(注1) 30.0(質量%)
マイカ(注3) 39.0
ポリメチルシルセスキオキサン 30.0
スクワラン 1.0
【0028】
上記実施例2及び実施例3に示した白粉は、適度なツヤ感を発揮しながら、ベースのテカリを抑え、白浮きしない良好な使用感であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アスペクト比が50以上でかつ平均粒子径が10〜50μmのタルクと、(B)アスペクト比が100以上でかつ平均粒子径10〜100μmのマイカと、(C)平均粒子径1〜50μmの有機球状粉体を含有し、(A)+(B):(C)が質量比で1:1〜5:1であり、かつ(A)と(B)と(C)の配合量の和が粉末状化粧料全量に対し90質量%以上である、粉末状化粧料。

【公開番号】特開2011−105671(P2011−105671A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−264156(P2009−264156)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000135324)株式会社ノエビア (258)
【Fターム(参考)】