説明

粉末衣料洗剤用添加剤

【課題】アルカリ金属ケイ酸塩を、カルボン酸系ポリマーと、水溶性無機塩と、要すれば少量のアルミノケイ酸塩と共に造粒して得られる、水不溶分の発生を低減した粉末衣料洗剤用添加剤を提供すること。
【解決手段】無水物が式(I):
xM2O・ySiO2・zMeO (I)
(式中、MはNa及び/又はKを示し、MeはCa及び/又はMgを示し、y/x=0.5〜4.0、z/x=0〜1.0、MeO中のMg/Ca=0〜10である。)
で表される組成の、平均粒径が1〜50μmのアルカリ金属ケイ酸塩(A)と、重量平均分子量が1千〜30万のカルボン酸系ポリマー(B)と、20℃の水100gへの溶解度が1g以上で平均粒径が1〜400μmの水溶性無機塩(ただし、成分(A)を除く)(C)と、0〜5重量%のアルミノケイ酸塩(D)を含有する粉末衣料洗剤用添加剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉末衣料洗剤用添加剤、粉末衣料洗剤用添加剤造粒物、その製造方法及び粉末衣料洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
アルカリ金属ケイ酸塩は、カチオン交換能を有するイオン交換体であり、古くから洗浄剤用のビルダー等に利用されている。アルカリ金属ケイ酸塩は、特許文献1及び特許文献2に記載されるように水軟化能力の向上や繊維上への皮膜形成抑制の観点からアルミノケイ酸塩と共に使用されてきた。
【0003】
アルカリ金属ケイ酸塩は、特許文献3に記載されるように、空気中の水分や炭酸ガスを吸収することによりイオン交換能が低下し、保存により性能が低下するという問題があり、この点についてはケイ酸塩と水溶性塩を複合化させる事で、改善した。しかし、アルカリ金属ケイ酸塩は、保存中に水と二酸化炭素により水不溶分化することも知られており、この問題については特許文献3の方法では不十分であり、改善が必要である。又、この問題については、従来、特許文献4のようにアルカリ金属ケイ酸塩自体の組成を変更することによって解決されてきた。しかし、特許文献4の結晶質アルカリ金属層状珪酸塩の場合、希少な化合物を使用するためにコスト等の問題が生じていた。また、汎用性に乏しいものである。更に、アルカリ金属ケイ酸塩は、特許文献1及び特許文献2に記載されるようなアルミノケイ酸塩との共存化において、水不溶分が大量に発生することが、今回確認されたので、洗剤用添加剤として改善が必要である。
【特許文献1】特表平06−502199号公報
【特許文献2】特開平03−037298号公報
【特許文献3】特開2000−34496号公報
【特許文献4】特開2001−114509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明では、アルカリ金属ケイ酸塩を、カルボン酸系ポリマーと、水溶性無機塩と、要すれば少量のアルミノケイ酸塩と共に造粒して得られる、水不溶分の発生を低減した粉末衣料洗剤用添加剤を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために鋭意検討した結果、本発明者は、特定のアルカリ金属ケイ酸塩を特定のカルボン酸系ポリマーと水溶性無機塩と共に造粒することで、水不溶分の発生を減少することができることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
即ち、本発明の要旨は、
〔1〕無水物が式(I):
xM2O・ySiO2・zMeO (I)
(式中、MはNa及び/又はKを示し、MeはCa及び/又はMgを示し、y/x=0.5〜4.0、z/x=0〜1.0、MeO中のMg/Ca=0〜10である。)
で表される組成の、平均粒径が1〜50μmのアルカリ金属ケイ酸塩(A)と、重量平均分子量が1千〜30万のカルボン酸系ポリマー(B)と、20℃の水100gへの溶解度が1g以上で平均粒径が1〜400μmの水溶性無機塩(ただし、成分(A)を除く)(C)と、0〜5重量%のアルミノケイ酸塩(D)を含有する粉末衣料洗剤用添加剤、
〔2〕〔1〕記載の粉末衣料洗剤用添加剤の成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、成分(D)を含む成分を造粒して得られる粉末衣料洗剤用添加剤造粒物、
〔3〕無水物が式(I):
xM2O・ySiO2・zMeO (I)
(式中、MはNa及び/又はKを示し、MeはCa及び/又はMgを示し、y/x=0.5〜4.0、z/x=0〜1.0、MeO中のMg/Ca=0〜10である。)
で表される組成の、平均粒径が1〜50μmのアルカリ金属ケイ酸塩(A)を、20℃の水100gへの溶解度が1g以上で平均粒径が1〜400μmの水溶性無機塩(ただし、成分(A)を除く)(C)及び0〜5重量%のアルミノケイ酸塩(D)と共に、重量平均分子量が1千〜30万のカルボン酸系ポリマー(B)の10〜40重量%水溶液で造粒する粉末衣料洗剤用添加剤造粒物の製造方法、
〔4〕〔1〕記載の粉末衣料洗剤用添加剤又は〔2〕記載の粉末衣料洗剤用添加剤造粒物、及びアルミノケイ酸塩を含む粉末衣料洗剤組成物
に関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の粉末衣料洗剤用添加剤をアルミノケイ酸塩を含む粉末衣料洗剤に添加して、アルカリ金属ケイ酸塩をアルミノケイ酸塩の共存下に用いても、洗濯時における水不溶分の発生が低減するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の粉末衣料洗剤用添加剤は、アルカリ金属ケイ酸塩(A)と、カルボン酸系ポリマー(B)と、水溶性無機塩(ただし、成分(A)を除く)(C)と、要すればアルミノケイ酸塩(D)を含有するものである。
【0009】
本発明において用いるアルカリ金属ケイ酸塩は、無水物が式(I):
xM2O・ySiO2・zMeO (I)
(式中、MはNa及び/又はKを示し、MeはCa及び/又はMgを示し、y/x=0.5〜4.0、z/x=0〜1.0、MeO中のMg/Ca=0〜10である。)
で表される組成のものであり、無水物でも水和物であってもよい。
【0010】
アルカリ金属ケイ酸塩を含む本発明の粉末衣料洗剤用添加剤は、アルミノケイ酸塩を含む粉末衣料洗剤に添加して使用しても、水不溶分の発生が低減される。このメカニズムについては明らかではないが、カルボン酸系ポリマーがアルカリ金属ケイ酸塩と水及び二酸化炭素との接触を防止し、水溶性無機塩が接触界面におけるイオン置換反応に関与していることによるものと推定される。
【0011】
アルカリ金属ケイ酸塩の平均粒径は、1〜50μmであり、アルカリ金属ケイ酸塩粒子同士の凝集を抑える点やハンドリング性(生産性)の観点から1μm以上であり、5μm以上が好ましく、7μm以上がより好ましい。またイオン交換速度及び水への分散性及び保存安定性の観点から50μm以下であり、20μm以下が好ましく、12μm以下がより好ましい。
【0012】
平均粒径は、堀場製作所(株)のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−920)にて測定した。測定の際の溶媒は、エタノールを用い、測定条件は、超音波強度を7、分散時間を5分、相対屈折率を1.3とし、個数(算術)平均径にて測定した。
【0013】
アルカリ金属ケイ酸塩としては、常法により調製したものを使用してもよく、市販品、例えば、プリフィード(トクヤマシルテック(株)社製、NaSi)などが使用できるがこれらに限定されない。
【0014】
アルカリ金属ケイ酸塩の粉末衣料洗剤用添加剤中における含有量は、多いほどよいが、実施例から、10〜50重量%であり、より好ましくは、14〜40重量%であり、さらに好ましくは、14〜20重量%である。
【0015】
カルボン酸系ポリマーとしては、特に限定されるものではないが、例えばアクリル酸ポリマー、アクリル酸−マレイン酸コポリマーなどが挙げられ、その重量平均分子量は、1千〜30万であり、好ましくは、5千〜8万であり、より好ましくは、8千〜5万である。重量平均分子量測定法としては、
1.換算標準物質:ポリアクリル酸(AMERICAN STANDARDS CORP)
2.溶離液:0.2mol/Lリン酸バッファー/CHCN=9/1(容量比)
3.カラム:PWXL+G4000PWXL+G2500PWXL(東ソー(株)社製)
4.検出器:RI
5.試料濃度:5mg/mL
6.注入量:0.1mL
7.測定濃度:40℃
8.流速:1.0mL/min
で行う。
【0016】
本発明におけるカルボン酸系ポリマーとしては、例えば、アクリル酸ナトリウム(オリゴマーD、花王(株)社製、重量平均分子量10,000)、アクリル酸ナトリウム(アクアリックYS−1000、日本触媒(株)社製、重量平均分子量6,000)、アクリル酸/マレイン酸ナトリウムコポリマー(ソカランCP5、BASF社製、重量平均分子量70,000)などが使用できるがこれらに限定されない。
【0017】
カルボン酸系ポリマーの粉末衣料洗剤用添加剤中における含有量は、アルカリ金属ケイ酸塩100重量部に対し、好ましくは3〜50重量部であり、より好ましくは7〜40重量部であり、さらに好ましくは15〜35重量部であり、特に好ましくは、25〜30重量部である。水不溶分抑制の点から3重量部以上が好ましく、造粒性とカルボン酸系ポリマー中の持込水による水不溶分発生の観点から、50重量部以下が好ましい。
【0018】
本発明における水溶性無機塩(但し、成分(A)のアルカリ金属ケイ酸塩を除く)とは、例えば、20℃の水100gへの溶解度が1g以上の、水溶性のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩及びアンモニウム塩等が挙げられる。これらの塩のうち、特に好ましいのはアルカリ金属塩である。
【0019】
アルカリ金属塩としては、Li、Na、K、Rb、Csの中から選ばれるアルカリ金属の塩で、具体的には化学便覧改訂3版(基礎編I)(日本化学会編)147〜149頁記載のLi塩、159〜165頁記載のNa塩、140〜146頁記載のK塩、179頁記載のRb塩、125〜126頁記載のCs塩の中で20℃の水100gへの溶解度が1g以上のものである。なかでも、Na塩が好ましい。そしてこれらのうち硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物、酢酸塩が好ましく、なかでも炭酸塩がより好ましい。
【0020】
アルカリ土類金属塩としてはMg、Ca、Ba、Raの中から選ばれるアルカリ土類金属の塩で、具体的には化学便覧改訂3版(基礎編I)(日本化学会編)149〜151頁記載のMg塩、114〜117頁記載のCa塩、109〜111頁記載のBa塩、179頁記載のRa塩の中で20℃の水100gへの溶解度が1g以上のものである。そしてこれらのうち硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物、酢酸塩が好ましく、硫酸塩がより好ましい。またカチオン種としてはMg、Caが好ましく、最良の組み合わせとしては硫酸マグネシウムである。
【0021】
アンモニウム塩は、具体的には化学便覧改訂3版(基礎編I)(日本化学会編)156〜159頁記載のアンモニウム塩のうち、20℃の水100gへの溶解度が1g以上のものが該当する。これらのうち硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、塩化物、酢酸塩が好ましく、さらに硫酸塩及び炭酸塩がより好ましい。
【0022】
かかる水溶性無機塩は単独でも2種類以上を混合して使用しても良い。
【0023】
水溶性無機塩の平均粒径は、1〜400μmであり、5〜300μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。アルカリ金属ケイ酸塩(A)と密に接触する観点から400μm以下が好ましく、水溶性無機塩同士の凝集を抑える観点から1μm以上が好ましい。
【0024】
水溶性無機塩の粉末衣料洗剤用添加剤中における含有量は、アルカリ金属ケイ酸塩100重量部に対し、好ましくは100〜500重量部であり、より好ましくは100〜450重量部であり、さらに好ましくは200〜425重量部であり、特に好ましくは、280〜400重量部である。水不溶分抑制の効果の点から100重量部以上が好ましく、アルカリ金属ケイ酸塩の有効分(アクティブ)が下がって好ましくないとの観点から、500重量部以下が好ましい。
【0025】
本発明においてアルミノケイ酸塩は、要すれば使用することができる。A型、X型、Y型及びP型などのアルミノケイ酸塩が挙げられるがこれらに限定されない。
【0026】
アルミノケイ酸塩の粉末衣料洗剤用添加剤中における含有量は、0〜5重量%であり、好ましくは0〜3重量%であり、水不溶分を抑制する観点からアルミノケイ酸塩を含まないのが、最も好ましい。
【0027】
本発明の粉末衣料洗剤用添加剤は、界面活性剤を任意にさらに含有することができる。
【0028】
界面活性剤としては、通常、洗剤に配合されるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤の1種又は組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0029】
界面活性剤の粉末衣料洗剤用添加剤中における含有量は、好ましくは、0〜10重量%であり、より好ましくは、0〜5重量%であり、ノニオンなどの染み出しによるケーキングや乾燥時の熱安定性の観点から界面活性剤を含まないのが最も好ましい。
【0030】
本発明の粉末衣料洗剤用添加剤は、上記成分を混合することによって提供され得る。
【0031】
本発明の粉末衣料洗剤用添加剤は、アルカリ金属ケイ酸塩(A)を、カルボン酸系ポリマー(B)と、水溶性無機塩(C)と、要すればアルミノケイ酸塩(D)と共に造粒して得られる粉末衣料洗剤用添加剤造粒物としても提供される。該粉末衣料洗剤用添加剤造粒物は、好ましくは以下に記載する製造方法によって造粒される。粉末衣料洗剤用添加剤が含有できる成分は、粉末衣料洗剤用添加剤造粒物も含有できる。粉末衣料洗剤用添加剤造粒物の各構成成分の添加量などは、粉末衣料洗剤用添加剤について上記した通りである。
【0032】
本発明の粉末衣料洗剤用添加剤造粒物の製造方法は、好ましくは、無水物が式(I):
xM2O・ySiO2・zMeO (I)
(式中、MはNa及び/又はKを示し、MeはCa及び/又はMgを示し、y/x=0.5〜4.0、z/x=0〜1.0、MeO中のMg/Ca=0〜10である。)
で表される組成の、平均粒径が1〜50μmのアルカリ金属ケイ酸塩(A)を、20℃の水100gへの溶解度が1g以上で平均粒径が1〜400μmの水溶性無機塩(ただし、成分(A)を除く)(C)及び0〜5重量%のアルミノケイ酸塩(D)と共に、重量平均分子量が1千〜30万のカルボン酸系ポリマー(B)の10〜40重量%水溶液を用いて造粒する工程を有する。カルボン酸系ポリマー(B)の水溶液は、好ましくは20〜30重量%である。
【0033】
造粒方法には、特に限定はなく、公知の方法で製造できる。例えば、転動造粒法、攪拌造粒法、破砕造粒法、圧縮造粒法、乾燥造粒法、押出し造粒法、圧密造粒法とこれら組み合わせにより製造可能である。例えば、攪拌造粒法を用いる場合、アルカリ金属ケイ酸塩、水溶性無機塩及び要すればアルミノケイ酸塩をまず均一混合し、その後、スプレーノズル等でカルボン酸系ポリマーを均一添加して攪拌造粒を行うことができる。また、圧縮造粒法の場合は、全ての原料を事前に均一混合し、それを圧縮造粒機に投入し、得られるフレークを解砕機で解砕すればよい。
【0034】
好ましい攪拌造粒機としては、例えば、アイリッヒインテンシブミキサー(日本アイリッヒ(株)社製)、ヘンシェルミキサー(三井三池工業(株)社製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)社製)などが挙げられるがこれらに限定されない。好ましい圧縮造粒機としては、例えば、ローラーコンパクター(フロイント産業(株)社製、ターボ工業(株)社製)などが挙げられるがこれらに限定されない。
【0035】
本発明の粉末衣料洗剤用添加剤造粒物の製造において、造粒中及び/又は造粒後に乾燥を行ってもよい。乾燥は、水不溶分化抑制の点から好ましく、特にカルボン酸系ポリマーなどの水溶液を用いて造粒した攪拌造粒などの時に乾燥を行うのが好ましい。乾燥温度は、60〜300℃が好ましく、乾燥時間は、1〜20分が好ましい。
【0036】
好ましい乾燥装置としては、例えば、流動層乾燥機、回転型乾燥機、電気乾燥機、赤外線乾燥機などが挙げられるがこれらに限定されない。乾燥装置は、造粒装置に組み込まれていてもよい。
【0037】
本発明の粉末衣料洗剤用添加剤又は粉末衣料洗剤用添加剤造粒物は、アルミノケイ酸塩を含み、さらに例えば、界面活性剤のような公知の洗浄剤基材、漂白剤(過炭酸塩、過ホウ酸塩、漂白活性化剤など)、再汚染防止剤(カルボキシメチルセルロースなど)、柔軟化剤、還元剤(亜硫酸塩など)、蛍光増白剤、抑泡剤(シリコーンなど)、セルラーゼやプロテアーゼなどの酵素、香料などを含有する粉末衣料洗剤と混合して粉末衣料洗剤組成物として使用することができる。この場合の粉末衣料洗剤組成物中の粉末衣料洗剤用添加剤又は粉末衣料洗剤用添加剤造粒物の混合量は、好ましくは1〜30重量%である。
【実施例】
【0038】
実施例1〜5及び比較例1〜7
プリフィード(トクヤマシルテック(株)社製、平均粒径10μm)(成分A)、オリゴマーD(アクリル酸ナトリウム、花王(株)社製、重量平均分子量10,000)(成分B)、ライト灰(炭酸ナトリウム、セントラルガラス社製、平均粒径100μm)(成分C)、アルミノケイ酸塩(ゼオビルダー社製)(成分D)、粉末Na型ベントナイト(ズード社製、平均粒径20μm)、CMC(カルボキシメチルセルロース(A02、B2B)、日本製紙ケミカル(株)社製)及び水を、表1に記載する組成比で、表1に記載する造粒方法で造粒した。攪拌造粒法は、アイリッヒインテンシブミキサー(日本アイリッヒ(株)社製)を用いて行い、圧縮造粒法は、ローラーコンパクター(フロイント産業(株)社製:TF−MINI、圧縮圧:170kgf)を用いて行った。造粒後の赤外線乾燥機/水分計(Kett社製:FM−300)での乾燥工程(200℃、5分)の有無を表1に記載する。
【0039】
【表1】

【0040】
水不溶分形成試験
保存中の水不溶分形成シミュレーション実験を以下のようにして行った。
【0041】
100ccプラスチック容器に、上記方法で造粒した実施例、比較例の顆粒とアルミノケイ酸塩との1:4(重量比)ブレンド10gを入れる。この容器を、40℃、80%RHの環境に12時間保存後、更に60℃に保った電気乾燥機に4時間保存後、最後に室温(25℃、45%RH)にて1時間放置(徐冷)した。その後、塊をすり鉢で崩した後、5℃で水不溶分を測定した。
【0042】
水不溶分の測定方法は以下の通りである。
【0043】
150mm×150mmに切断したアルミホイルとメッシュ網(110mmφ:400メッシュ又は200メッシュ)の合計重量〔a〕を精密天秤で測定した。洗剤粒子1.000gを秤量した。1リットルのビーカーに5℃の水道水を1L入れ、スターラーピース(35mm×8mmφ)を投入し、マグネティックスターラーで800rpmで攪拌した。秤量した洗剤を加え、10分間攪拌を継続した。10分後、ホルダーに固定したメッシュ網で濾過した。使用したビーカー、スターラーピース、ホルダーを5℃の水でリンスし、残留物をメッシュ上に回収した。使用したメッシュ網は、濾紙上に置き、余分な水分、泡を取り除いた後に150mm×150mmに切断したアルミホイルで包み、残留物が損失しないようにした。105℃で30分乾燥した後、デシケーター内で10分冷却し、精密天秤で重量〔c〕を測定した。
【0044】
水不溶分は、以下の式で決定される。
【0045】
【数1】

【0046】
得られた水不溶分の値を表1に記載する。
【0047】
表1の結果より、造粒物がプリフィードのみからなる場合、水不溶分が多くなり(比較例1)、造粒物中にアルミノケイ酸塩を多量に含む場合、水不溶分が多くなり(比較例2)、オリゴマーDを含まない場合も含む実施例と比較して水不溶分が多くなる(比較例1〜7)ことが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0048】
アルカリ金属ケイ酸塩を、カルボン酸系ポリマーと、水溶性無機塩と、要すれば少量のアルミノケイ酸塩と共に造粒することにより、水不溶分の発生を低減した粉末衣料洗剤用添加剤を得ることができる。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
無水物が式(I):
xM2O・ySiO2・zMeO (I)
(式中、MはNa及び/又はKを示し、MeはCa及び/又はMgを示し、y/x=0.5〜4.0、z/x=0〜1.0、MeO中のMg/Ca=0〜10である。)
で表される組成の、平均粒径が1〜50μmのアルカリ金属ケイ酸塩(A)と、重量平均分子量が1千〜30万のカルボン酸系ポリマー(B)と、20℃の水100gへの溶解度が1g以上で平均粒径が1〜400μmの水溶性無機塩(ただし、成分(A)を除く)(C)と、0〜5重量%のアルミノケイ酸塩(D)を含有する粉末衣料洗剤用添加剤。
【請求項2】
成分(A)の含有量が10〜50重量%である、請求項1記載の粉末衣料洗剤用添加剤。
【請求項3】
成分(A)100重量部に対し成分(B)が3〜50重量部である、請求項1又は2記載の粉末衣料洗剤用添加剤。
【請求項4】
成分(A)100重量部に対し成分(C)が100〜500重量部である、請求項1〜3いずれか記載の粉末衣料洗剤用添加剤。
【請求項5】
0〜10重量%の界面活性剤をさらに含有する、請求項1〜4いずれか記載の粉末衣料洗剤用添加剤。
【請求項6】
請求項1記載の粉末衣料洗剤用添加剤の成分(A)と、成分(B)と、成分(C)と、成分(D)を含む成分を造粒して得られる粉末衣料洗剤用添加剤造粒物。
【請求項7】
無水物が式(I):
xM2O・ySiO2・zMeO (I)
(式中、MはNa及び/又はKを示し、MeはCa及び/又はMgを示し、y/x=0.5〜4.0、z/x=0〜1.0、MeO中のMg/Ca=0〜10である。)
で表される組成の、平均粒径が1〜50μmのアルカリ金属ケイ酸塩(A)を、20℃の水100gへの溶解度が1g以上で平均粒径が1〜400μmの水溶性無機塩(ただし、成分(A)を除く)(C)及び0〜5重量%のアルミノケイ酸塩(D)と共に、重量平均分子量が1千〜30万のカルボン酸系ポリマー(B)の10〜40重量%水溶液で造粒する粉末衣料洗剤用添加剤造粒物の製造方法。
【請求項8】
造粒が、転動造粒法、攪拌造粒法、破砕造粒法又は圧縮造粒法で行われる請求項7記載の製造方法。
【請求項9】
造粒中及び/又は造粒後に乾燥を行う請求項7又は8記載の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜5いずれか記載の粉末衣料洗剤用添加剤又は請求項6記載の粉末衣料洗剤用添加剤造粒物、及びアルミノケイ酸塩を含む粉末衣料洗剤組成物。


【公開番号】特開2009−144116(P2009−144116A)
【公開日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−325656(P2007−325656)
【出願日】平成19年12月18日(2007.12.18)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】