説明

粉末被覆組成物

粉末被覆組成物はゼオライトと有機樹脂との混合物を粒状形で含有してなり、該ゼオライトは1時間800℃で加熱することにより測定すると9重量%以下の水を含有する。ゼオライトは二酸化チタンを含有する組成物系で二酸化チタン用の増量剤として作用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粉末被覆組成物に関し、特に有機樹脂とゼオライトとを含有してなる粉末被覆組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粉末被覆組成物は周知である。該組成物には粉末組成物を粉末の形で施用する基質即ち支持体上に被覆層を形成するのに適当な粉末組成物があり、該被覆層は施用した粉末を加熱且つ融合することにより基質上に形成される。粉末組成物は本質的に溶剤を含有せず、従って塗布又は硬化中に溶剤の発散は実質上ない。硬化した被膜(フィルム)は比較的薄くそれ故満足な不透明度を達成するには比較的高濃度の顔料着色を包含するのが必要である。粉末被覆組成物で用いる最も普通の顔料は二酸化チタンであるが、これは高価である。高濃度の顔料着色からみて、硬化した被膜の特性に何らの有害な作用が及ぼされるのを最低とするためには吸油量の低い顔料を用いることが必要である。従って二酸化チタンを増量するのに炭酸カルシウム等の如き材料を添加することにより被覆組成物の経費を低減するのは困難である。何故ならばかかる材料は一般に高吸油量を有するからである。粉末被覆層で二酸化チタンを増量するのに用いた材料はリトポン及び硫酸バリウムであるが、これらは比較的有効でない増量剤である。
【特許文献1】EP−A−0384070号
【特許文献2】EP−A−0565364号
【特許文献3】EP−A−0697010号
【特許文献4】EP−A−0742780号
【特許文献5】WO−A−96/14270号
【特許文献6】WO−A−96/34828号
【特許文献7】WO−A−97/06102号
【特許文献8】EP−A−0384070号
【非特許文献1】ゼオライト分子篩(Zeolite molecular Sieves)Donald W. Breck著、Robert E. Krieger Publishing Company発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の1つの目的は、望ましい特性を有する仕上げ被覆層を生じ且つ増量剤無含有の二酸化チタンを主剤とする組成物よりも余り高価でない粉末被覆組成物を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によると、粉末被覆層はゼオライトと有機樹脂との混合物を粒状形で含有してなり、該ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると9重量%以下の水を含有する。
【0005】
一般に、ゼオライトの経験式は
M2/nO・Al2O3・xSiO2・yH2O
(式中Mはnの原子価を有する金属カチオンを表わし、xはケイ素原子とアルミニウム原子との比率を表わし、yは水分子とアルミニウム原子との比率を表わす)である。シリカとアルミナとの比率が変化している多数の種々型式のゼオライトが知られている。然しながら、一般にはMはアルカリ金属であり、好ましいアルカリ金属は経済上の理由でナトリウムである。
【0006】
本発明で用いたゼオライトは既知ゼオライトの何れかの構造を有し得る。多数のゼオライトの構造及び特徴は標準の著作、「ゼオライト分子篩(Zeolite molecular Sieves)」Donald W. Breck著、Robert E. Krieger Publishing Company発行に記載されている。通常、前記経験式中のxの値は1.5〜10の範囲に在る。ゼオライトの空隙中に含有される水の量を表わすyの値は大きく変化し得る。無水の材料についてはyは0であり、完全に水和したゼオライトにおいてはyは5までであり得る。然しながら、本発明で有用なゼオライトについては、yの値はゼオライトの含水量が800℃で1時間加熱することにより測定すると9重量%以下であるようなものである。
【0007】
本発明で有用なゼオライトは天然産の又は合成のアルミノケイ酸塩に基づくことができ、好ましい形式のゼオライトはゼオライトP又はゼオライトAとして知られる構造を有する。特に好ましい形式のゼオライトは欧州特許公開EP−A−0384070号、EP−A−0565364号、EP−A−0697010号、EP−A−0742780号、国際特許公開WO−A−96/14270号、WO−A−96/34828号及びWO−A−97/06102号に開示されるゼオライトであり、その全内容を参考のためにここに組入れてある。EP−A−2384070号に記載したゼオライトPは前記の経験式(但しMはアルカリ金属を表わし、xは2.66以下の値を有し、好ましくは1.8〜2.66の範囲の値を有する)を有し、このゼオライトは本発明で特に有用である。
【0008】
800℃で1時間加熱することにより測定されしかも本発明で用いたゼオライトに存在する水の量(「全ての水」)は9重量%以下であるが、8.5重量%以下であるのが好ましい。ゼオライト中の全ての水は7重量%以下であるのがより好ましい。
【0009】
ゼオライトに存在する水はもしそれが被覆層(coating)の融合中に放出されるならば望ましくない作用を生じてしまう。被覆層の融合中に放出されてしまう水の推定量はゼオライトを105℃で4時間加熱することにより得られる。これらのの条件下での水の減損(「湿分含量」)は2重量%以下であるのが好ましい。ゼオライトの湿分含量は1重量%以下であるのがより好ましい。
【0010】
ゼオライトはマルベルン マスターサイザー(商標名)により測定すると0.5μm〜6.0μmの重量平均粒度を有するのが好ましい。該重量平均粒度は1.0〜4.0μmの範囲にあるのがより好ましい。
【0011】
粉末被覆組成物に存在する有機樹脂は粉末被覆層を製造するのに適当である何れかの有機樹脂であり得る。有機樹脂は熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂であり得る。
【0012】
適当な熱可塑性樹脂には可塑化したポリ(塩化ビニル)、ポリアミド、ポリオレフィン及びポリ(フッ化ビニリデン)がある。可塑化したポリ(塩化ビニル)は塩化ビニルのホモポリマーであるのが好ましい。好ましいポリアミドはナイロン−11及びナイロン−12である。ポリマー主鎖上にカルボン酸基又は無水物基をグラフト結合することにより改質され得る、ポリエチレン及びポリプロピレンは、適当なポリオレフィンである。
【0013】
多数の熱硬化性樹脂が粉末被覆層で用いられており、本発明の組成物で用い得る。適当な樹脂にはエポキシド樹脂、ポリエステル樹脂、混成のエポキシ−ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂及びアクリル樹脂がある。
【0014】
エポキシ樹脂はエポキシド基の存在によって特徴付けられ、最も普通に用いたエポキシ樹脂はビスフェノールAとエピクロルヒドリンとから誘導されるビスフェノールAのジグリシジルエーテルである。かかる樹脂は基質に施用した後にポリアミン又はポリアミドの如き硬化剤により硬化され、かかる硬化剤はエポキシ樹脂を用いた時本発明の組成物中に存在する。
【0015】
多数のポリエステルが本発明で用いるのに適当であり、粉末被覆の技術で周知である。ポリエステルは通常多塩基酸又はそれらのエステル化しうる誘導体とポリオールとから製造される。カルボキシル富化ポリマー及びヒドロキシ富化ポリマーが好適である。典型的なポリエステルにはテレフタル酸、イソフタル酸、トリメリット酸、アジピン酸又はセバシン酸とエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、ブタンジオール、グリセロール又はトリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートとのエステルがある。通常、ポリエステルは施用後に硬化され、好ましい硬化剤はトリグリシジル イソシアヌレート(TGIC)及びヒドロキシアルキルアミド例えばプリミド(商標名)として市販の硬化剤である。
【0016】
粉末被覆組成物で用いるウレタンポリマーはウレタンポリエステルであることが多い。これらは典型的にはポリエステルをカプロラクタムでブロックしたポリイソシアネートと反応させることにより製造され、この反応は粉末を基質に施用した後に生起する。それ故、これらのウレタンポリマー系については、有機樹脂はポリエステル樹脂とブロックドポリイソシアネートとの混合物よりなる。適当なポリエステルは例えばテレフタル酸、イソフタル酸又はトリメリット酸とネオペンチルグリコールとのポリエステルである。これらのポリエステルはイソホロンジイソシアネートと低分子量ポリオール例えばポリエチレングリコール又はポリプロピレングリコールとの付加物を用いて硬化されるのが普通であり、該付加物はカプロラクタムでブロックされている。他の適当な硬化剤にはカプロラクタムでブロックしたトルエンジイソシアネートがある。
【0017】
本発明の粉末被覆組成物が顔料の(pigmentary)二酸化チタンを追加的に含有する時、ゼオライトは二酸化チタン用の増量剤として作用する。本発明の好ましい粉末被覆はゼオライトと有機樹脂と顔料の二酸化チタンとの混合物を粒状形で含有してなり、該ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると9重量%以下の水を含有する。
【0018】
仕上げた(硬化した)被覆層が白色である時は、本発明の粉末被覆(塗料)は通常10〜40重量%の顔料二酸化チタンを含有する。存在する二酸化チタンの量は被覆の20〜30重量%であるのが好ましい。
【0019】
着色した仕上げ被覆層を生ずる粉末被覆は少なくとも1種の着色した顔料に加えて顔料の二酸化チタンを含有することが多い。かかる被覆系においては、顔料の二酸化チタンの量は組成物の2〜20重量%の範囲であることが多く、組成物の5〜15重量%の範囲であるのが普通である。
【0020】
白色又は有色組成物中のゼオライトの量は、ゼオライトと顔料二酸化チタンとの合計重量の50%以下であるのが通常である。ゼオライトの量は組成物中のゼオライトと顔料二酸化チタンとの合計重量の30%以下であるのが好ましい。最適な特性(即ち経済的な経費で良好な不透明性)を得るためには、ゼオライトの量はゼオライトと二酸化チタンとの合計重量の10〜25%であるのが通常である。
【0021】
即ち、本発明の典型的な白色粉末被覆は20重量%以下のゼオライトを含有し、より普通には1〜10重量%のゼオライトを含有する。典型的な着色粉末被覆組成物は10重量%以下のゼオライトを含有し、より普通には0.5〜8重量%のゼオライトを含有する。
【0022】
ゼオライト及び二酸化チタンに加えて、本発明の着色した粉末被覆組成物は少なくとも1種の有色顔料をも含有する。適当な顔料は粉末被覆組成物に慣用的に用いた如き有機顔料又は無機顔料であり得る。粉末被覆を施用後に加熱するという事実から見て、適当な顔料は通常は少なくとも150℃までの温度に安定であり、好ましくは250℃までの温度に安定である必要性がある。鉄酸化物及び熱安定性の有機顔料が成功裡に用いられる。
【0023】
本発明の粉末被覆組成物は、かかる組成物で用いることが多い追加の成分を含有することが多く、例えば触媒及び硬化促進剤、流れ調整剤、UV安定剤、消泡剤及びつや消剤を含有することが多い。
【0024】
満足なほどに均質な仕上げ被覆を達成するには本発明の粉末被覆組成物の諸成分を緊密に混合することが一般に必要である。緊密な混合物を生じる普通用いた方法には溶融−混合及び乾式混合がある。
【0025】
溶融−混合法においては、乾燥成分(ゼオライト、有機樹脂及び何れか別の成分)を回分混合機中に秤量し、例えば高強度の羽根車混合機、中位強度のすき型混合機又は混転混合機中に秤量する。混合時間は用いた装置に左右される。高強度の混合機については、混合時間は通常1〜5分の範囲にあり、混転混合機での混合時間は30〜60分の範囲にあることが多い。かくして形成した予備混合物(プレミックス)を高剪断押出機中で何れかの液体成分と一緒に配合し、例えば一軸スクリュー押出機(例えばBuss Ko−混練機)又は二軸スクリュー押出機中で配合する。混合物の温度と熱硬化性組成物用の滞留時間との組合せは押出機中で硬化がほとんど生起しないか又は全く生起しないようなものであるように確保するのが重要であるが、温度は通常有機樹脂の融点よりもわずかに高い。適当な加工温度は組成物中に存在する有機樹脂に適合するように選択されるが、通常は60〜140℃の範囲にある。押出機中の滞留時間は通常0.5〜2分の範囲にある。押出した材料は通常、水冷により迅速に冷却し、約5〜10mmの寸法を有するペレット又はチップに細断する。これらのペレット又はチップは次いで慣用の技術を用いて適当な粒度に粉砕する。熱可塑性樹脂は極低温技術を用いて粉砕されることが必要となることが多い。
【0026】
粉末被覆組成物は乾式混合によっても製造でき、この技術は有機樹脂が可塑化したポリ(塩化ビニル)である場合に特に適当である。全ての成分を上昇した温度で高速混合機中で攪拌して緊密な混合を達成する。
【0027】
溶融混合した材料を粉砕することによりあるいは乾式混合により製造した粉末被覆組成物の平均粒度は該粉末を施用しようとする方法及び施用すべき被覆層の厚さに応じて或る程度まで決まる。該粉末を静電噴霧により施用しようとする時は、平均粒度は通常10〜45μmの範囲にある。流動床被覆及びより厚い被覆層については、粉末被覆組成物の粒度は一般に40〜200μmの範囲にある。
【0028】
本発明の粉末被覆組成物は基質を被覆するのに通常用いた何れかの方法を用いて基質上に被覆するのに適当である。有機樹脂の正確な性状は施用の最適条件を決定することが多い。
【0029】
粉末被覆組成物の粒子を流動化した流動床を用いて粉末被覆組成物を基質(支持体)に施用でき、該基質を流動床法に導入する。イオン化した空気を用いる静電流動床法も用い得る。基質を接地し、従って荷電した粉末は該基質に誘引される。
【0030】
粉末被覆組成物は静電吹付被覆によって施用するのがごく普通である。典型的には、粉末被覆組成物を流動床貯蔵器に貯蔵し、空気流中に通送し、そこで例えばコロナ放電界を通過させることにより荷電する。
【0031】
仕上げた被覆層は粉末を融合することにより形成される。熱可塑性樹脂については、施用した粉末被覆組成物は粒子が溶融し且つ互いに融合するように樹脂の融点以上の温度に加熱せねばならない。熱硬化性樹脂については、被覆層は、樹脂又はその前駆体を硬化して、基質上に均質な被覆層を生成するのに十分な程に流動する被覆層とする温度に加熱される。適当な温度は主として、用いた実際の樹脂又は樹脂類に左右され、粉末被覆の当業者によって容易に決定される。
【0032】
次の試験を用いて、本発明を特徴付けるパラメーターを測定する。
【0033】
全含水量(Total Water Content)
正確に秤量したゼオライト試料(大体2.5g)をシリカルツボに配置し、マッフル炉中で800℃で1時間加熱する。密閉したデシケーター中で試料を室温に冷却する。重量減損を測定し、元の重量の百分率(%)として表わす。
【0034】
湿分含量(Moisture Content)
正確に秤量したゼオライト試料(大体3g)を秤量皿に配置し、炉中で105℃で4時間加熱する。該試料を密閉したデシケーター中で室温に冷却する。重量減損を測定し、元の重量の百分率(%)として表わす。
【0035】
重量平均粒度(Weight Mean Particle Size)
重量平均粒度は、300mmRFまでのレンズ領域及びMS17試料提示単位を有するマルベルン マスターサイザー(商標名)、モデルXを用いて測定した。マルベルン インスツルメント社によって作成されたこの計測器は低出力のHe/Neレーザーを利用してミー(Mie)散乱の原理を用いる。測定時に、試料は水中に7分間超音波分散させて水性懸濁液を形成する。この懸濁液を攪拌してから、検出系で300mmRFレンズ領域を利用して該計測器用の手引に概説した測定方法を行なう。マルベルン マスターサイザー(商標名)は無機材料又は基準材料の重量粒度分布を測定する。重量平均粒度(d50)又は50百分位数は計測器によって生成したデータから容易に得られる。
【0036】
吸油量(Oil Absorption)
吸油量はASTMスパチュラでの練り合せ方法(米国の試験材料標準規格協会D281)により測定する。該試験は、スパチュラで切断した時に破断又は分離しない剛質のパテ状ペーストが形成されるまで平滑な表面上にスパチュラでこすることにより亜麻仁油をゼオライトと混合する原理に基づく。次いで吸油量は次の方程式:
吸油量=(V×100)/W即ち油cm3/100gのゼオライトにより表わした
により、この状態を達成するのに用いた油の容量(V cm3)とゼオライトの重量(W、g数)とから算出する。
【0037】
60°光沢(Gloss)
硬化した被覆層の光沢(60°)値はシーン(Sheen)トリ−マイクログロス 20−60−85(160)単位を用いて測定する。光沢は反射した入射光の強度の測定であり、その際ASTM D523に記載される如く被覆面の垂線に対して入射光を60℃で投射する。
【0038】
色彩(Colour)
色彩はX−rite 938分光密度計(Spectrodensiometer)を用いて測定する。この装置はCIE 1976 L*, a*, b* (CIELAB社)色空間(Colour Space)を用いて記載されるごときL*, a*, b*三刺激値を測定し、色空間ではL*軸は明度を記載し、a*は赤色(正のa*値)から緑色(負のa*値)までの軸線を記載し、b*は黄色(正のb*値)から青色(負のb*値)までの軸線を記載する。
【0039】
対照比(Contrast Ratio)
対照比はX−rite 938分光密度計を用いて測定する。対照比は被覆層が供試基質の対照的特徴を隠蔽する程度である。この場合には、対照比は黒色基質上で測定した被覆層の視感(CIE−Y)反射と白色基質上で測定した同じ被覆層の視感(CIE−Y)反射との比率として光度的に表わす。
【0040】
衝撃(Impact)
被覆層の耐衝撃性は223cm/kg(40 lb/ft)の荷重で2.5mmまでのくぼみを有するASTM D2794を用いて行なう。
【0041】
カッピング試験(Cupping Test)
この試験は、カップの深さが18mm以下となるまで金属基質の未被覆側面中に球状の鋼球を押込むBS 3900E4に記載される如きエリヒセン(Erichsen)カッピング試験機を用いて行なう。被覆層が肉眼で見て亀裂するか分裂することが見られる押込みの深さを記録する。
【0042】
UV安定性(Stability)
UV安定性は所与の期間(1000時間又は2000時間連続)日光フィルターを用いてキセノンランプからの発光に硬化した粉末被覆試料を暴露することによって測定する。用いた装置は420nmで0.8W/m2の輻射照度及び50℃の温度の条件下で日光フィルターを有するQ−サン1000ゼノンランプ装置である。
【0043】
本発明を次の実施例により例示するが、これに限定されるものでない。
【0044】
実施例1
種々のエポキシ−ポリエステル粉末被覆組成物を以下の表1に与えた組成により製造した。試料Aは二酸化チタンを含有する標準の組成物であり、試料B〜Dは同様であるが、種々の割合の二酸化チタンがINEOSシリカ社により市販のゼオライトであるゼオクロス(商標名)E110によって置換されている。これはマルベルン マスターサイザー(商標名)により測定すると2μmの平均粒度と8.0重量%の全水分と50cm3/100gの吸油量とを有するゼオライトMAP(最大アルミニウムP−型)である。
【0045】
表1

1.バンチコ社(英国)から入手可能
2.クレーバレープロダクツ社(英国)から入手可能
3.Worlea−Chemie GmbH社(独国)から入手可能
4.ビデトン インダストリーズ社(英国)から入手可能
5.クロノス ヨーロッパSA/NV社(ベルギー)から入手可能
表1の使用量は重量割合による。
【0046】
粉末被覆組成物は次の通り製造した。樹脂及び顔料を5リットルの混転混合機中で5分間乾式混合した。次いで乾式混合物をホッパーに供給し、110/60℃でプリズム(Prism)の16mm二軸スクリュー押出機(70%のトルクでスクリュー速度270rpm)に通して加工した。次いで押出物を18,000rpmでフリッツ(Fritsch)のP14ミル中で粉砕し、125μmの篩に通して篩分して大体50μmの平均粒度の粉末を得た。
【0047】
次いで粉末被覆組成物は最終の(後硬化)被膜厚さが60〜70μmとなるように60kVの荷電を用いてミツバ社のコロナ放電ガンにより清浄な15×10cmのアルミニウムQ−パネルに施用する。
【0048】
施用した被覆層を180℃で10分間加熱して硬化させた。硬化した被覆層は光沢、色彩、対照比、耐衝撃性及びカッピング試験で評価し、結果を以下の表2に示す。
【0049】
表2

試料をUV線に暴露し(UV安定性試験参照)、光沢におけるUV暴露の影響を測定した。結果を以下の表3に示す。
【0050】
表3

実施例2
種々の白色ポリエステル−プリミド粉末被覆組成物を以下の表4に示した組成により製造した。試料Eは二酸化チタンを含有する標準の組成物であり、試料F〜Hは同様であるが、種々の割合の二酸化チタンを、実施例1で用いた通りゼオクロス(商標名)E110により置換しである。
【0051】
表4

6.UCB(Chem)社(英国)から入手可能
7.EMS Chemie社(スイス)から入手可能
表4中の量は重量割合による。
【0052】
粉末被覆組成物は次の通り製造した。樹脂及び顔料を5リットルの混転混合機中で5分間乾式混合する。次いで乾式混合物をホッパーに供給し、110/60℃でプリズム社の16mm二軸スクリュー押出機に通して加工した(70%のトルクでスクリュー速度270rpm)。次いで押出物を18,000rpmでフリッツ社のP14ミル中で粉砕し、125μmの篩に通して篩分して大体50μmの平均粒度の粉末を得た。
【0053】
次いで粉末被覆組成物は最終の(後硬化)被膜厚さが60〜70μmとなるように60kVの荷電を用いてミツバ社のコロナ放電ガンにより清浄な15×10cmのアルミニウムQ−パネルに施用した。
【0054】
施用した被覆層を180℃で10分間加熱して硬化させた。被覆層は光沢、色彩、対照比、耐衝撃性及びカッピング試験で評価し、結果を以下の表5に示す。
【0055】
表5

試料をUV線に暴露し(UV安定性試験参照)、光沢におけるUV暴露の影響を測定した。結果を以下の表6に示す。
【0056】
表6

実施例3
種々の有色ポリエステル−プリミド粉末被覆組成物を以下の表7に挙げた組成により製造した。試料I及びKは標準の有色組成物であり、試料J〜Lは同様であるが、各々の場合25%の二酸化チタンが実施例1で用いた通りゼオクロス(商標名)E110で置換されている。
【0057】
表7

8.アルビオン ケミカルズ グループ社(英国)から入手可能
9.バイエル社(英国)から入手可能
表7中の量は重量割合による。
【0058】
粉末被覆組成物は次の通り製造した。樹脂及び顔料を5リットルの混転混合機中で5分間乾式混合した。次いで乾式混合物をホッパーに供給し、110/60℃でプリズム社の16mm二軸スクリュー押出機に通して加工した(70%のトルクでスクリュー速度270rpm)、次いで押出機を18,000rpmでフリッツ社のP14ミル中で粉砕し、125μmの篩で篩分して大体50μmの平均粒度の粉末を得た。
【0059】
次いで粉末被覆組成物は最終の(後硬化)被膜厚さが60〜70μmとなるように60kVの荷電を用いてミツバ社のコロナ放電ガンにより清浄な15×10cmのアルミニウムQ−パネルに施用した。
【0060】
施用した被覆層を180℃で10分間加熱して硬化させた。該被覆層は光沢、色彩、対照比、耐衝撃性及びカッピング試験で評価し、結果を表8に示す。
【0061】
表8

試料をUV線に暴露し(UV安定性試験参照)、光沢におけるUV暴露の影響を測定した。結果を以下の表9に示す。
【0062】
表9


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼオライトと有機樹脂との混合物を粒状形で含有してなる粉末被覆組成物において、該ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると9重量%以下の水を含有することを特徴とする粉末被覆組成物。
【請求項2】
ゼオライトはゼオライトA又はゼオライトPであることを特徴とする請求項1記載の粉末被覆組成物。
【請求項3】
ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると7重量%以下の水を含有することを特徴とする請求項1又は2記載の粉末被覆組成物。
【請求項4】
ゼオライトは105℃で4時間加熱した後には2重量%以下の水減損を有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の粉末被覆組成物。
【請求項5】
ゼオライトは0.5μm〜6.0μmの範囲の重量平均粒度を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の粉末被覆組成物。
【請求項6】
有機樹脂は可塑化したポリ(塩化ビニル)、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(フッ化ビニリデン)、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、混成のエポキシ−ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂であることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の粉末被覆組成物。
【請求項7】
粉末被覆組成物は10〜40重量%の顔料二酸化チタンを更に含有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の粉末被覆組成物。
【請求項8】
存在するゼオライトの量は被覆組成物の20重量%以下であることを特徴とする請求項7記載の粉末被覆組成物。
【請求項9】
粉末被覆組成物は更に有色顔料と2〜20重量%の顔料二酸化チタンとを含有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の粉末被覆組成物。
【請求項10】
組成物中に存在するゼオライトの量は被覆組成物の0.5〜8重量%であることを特徴とする請求項9記載の粉末被覆組成物。
【請求項11】
粉末被覆組成物の粒子は10〜75μmの範囲の平均寸法を有することを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の粉末被覆組成物。
【請求項12】
粉末被覆組成物の粒子は40〜200μmの範囲の平均寸法を有することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の粉末被覆組成物。
【請求項13】
有機樹脂とゼオライトとの緊密な混合物を形成することからなる粉末被覆組成物の製造方法において、該ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると9重量%以下の水を含有することを特徴とする、粉末被覆組成物の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタンと有機樹脂との混合物を粒状形で含有してなる粉末被覆組成物において二酸化チタン用の増量剤としてゼオライトの使用であって、該ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると9重量%以下の水を含有している、ゼオライトの使用。
【請求項2】
ゼオライトと有機樹脂との混合物を粒状形で含有してなる粉末被覆組成物において、該有機樹脂は可塑化したポリ(塩化ビニル)、ポリアミド、ポリ(フッ化ビニリデン)、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、混成のエポキシ−ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂であり、該ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると9重量%以下の水を含有している、粉末被覆組成物。
【請求項3】
ゼオライトはゼオライトA又はゼオライトPであることを特徴とする請求項1又は2記載の使用又は組成物。
【請求項4】
ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると7重量%以下の水を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項5】
ゼオライトは105℃で4時間加熱した後には2重量%以下の水減損を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項6】
ゼオライトは0.5μm〜6.0μmの範囲の重量平均粒度を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項7】
粉末被覆組成物は10〜40重量%の顔料二酸化チタンを更に含有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項8】
存在するゼオライトの量は被覆組成物の20重量%以下であることを特徴とする請求項7記載の使用又は組成物。
【請求項9】
粉末被覆組成物は更に有色顔料と2〜20重量%の顔料二酸化チタンとを含有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項10】
組成物中に存在するゼオライトの量は被覆組成物の0.5〜8重量%であることを特徴とする請求項9記載の粉末被覆組成物。
【請求項11】
粉末被覆組成物の粒子は10〜75μmの範囲の平均寸法を有することを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の粉末被覆組成物。
【請求項12】
粉末被覆組成物の粒子は40〜200μmの範囲の平均寸法を有することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の粉末被覆組成物。
【請求項13】
有機樹脂とゼオライトとの緊密な混合物を形成することからなる粉末被覆組成物の製造方法において、該ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると9重量%以下の水を含有することを特徴とする、粉末被覆組成物の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
二酸化チタンと有機樹脂との混合物を粒状形で含有してなる粉末被覆組成物において二酸化チタン用の増量剤としてゼオライトの使用であって、該ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると9重量%以下の水を含有している、ゼオライトの使用。
【請求項2】
ゼオライトと有機樹脂との混合物を粒状形で含有してなる粉末被覆組成物において、該有機樹脂は可塑化したポリ(塩化ビニル)、ポリアミド、ポリ(フッ化ビニリデン)、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、混成のエポキシ−ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂であり、該ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると9重量%以下の水を含有している、粉末被覆組成物。
【請求項3】
ゼオライトはゼオライトA又はゼオライトPであることを特徴とする請求項1又は2記載の使用又は組成物。
【請求項4】
ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると7重量%以下の水を含有することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項5】
ゼオライトは105℃で4時間加熱した後には2重量%以下の水減損を有することを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項6】
ゼオライトは0.5μm〜6.0μmの範囲の重量平均粒度を有することを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項7】
粉末被覆組成物は10〜40重量%の顔料二酸化チタンを更に含有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項8】
存在するゼオライトの量は被覆組成物の20重量%以下であることを特徴とする請求項7記載の使用又は組成物。
【請求項9】
粉末被覆組成物は更に有色顔料と2〜20重量%の顔料二酸化チタンとを含有することを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項10】
組成物中に存在するゼオライトの量は被覆組成物の0.5〜8重量%であることを特徴とする請求項9記載の使用又は組成物。
【請求項11】
粉末被覆組成物の粒子は10〜75μmの範囲の平均寸法を有することを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項12】
粉末被覆組成物の粒子は40〜200μmの範囲の平均寸法を有することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の使用又は組成物。
【請求項13】
有機樹脂は可塑化したポリ(塩化ビニル)、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリ(フッ化ビニリデン)、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、混成のエポキシ−ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂である請求項1記載の使用。
【請求項14】
有機樹脂とゼオライトとの緊密な混合物を形成することからなる粉末被覆混合物の製造方法において、該有機樹脂は可塑化したポリ(塩化ビニル)、ポリアミド、ポリ(フッ化ビニリデン)、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、混成のエポキシ−ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂又はアクリル樹脂であり、該ゼオライトは800℃で1時間加熱することにより測定すると9重量%以下の水を含有している、粉末被覆組成物の製造方法。

【公表番号】特表2006−514127(P2006−514127A)
【公表日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−535623(P2004−535623)
【出願日】平成15年8月20日(2003.8.20)
【国際出願番号】PCT/GB2003/003626
【国際公開番号】WO2004/024834
【国際公開日】平成16年3月25日(2004.3.25)
【出願人】(501388205)イネオス シリカス リミテッド (7)
【Fターム(参考)】