説明

粉砕機の必須のばね装置のための力監視装置

粉砕機60は、ジャーナル装置68の粉砕ローラ72を粉砕テーブル64の粉砕表面66に付勢せしめるばね装置10を包含する。加えられた力はばね装置10内に設けられているロードセル32により監視され、ロードセル32は電気信号を発生せしめる。コントローラ83が、この電気信号を受けて記憶し及び/又は表示する。代替的に、コントローラ83は加えられる力を所望する値に調節する働きをする。代替的に、調節可能な力又は機械的減衰をコントローラ83によりジャーナル装置68に加えることができる。代替的に、追加のセンサが他の計算のためにジャーナル装置の変位及び粉砕テーブルの回転を測定することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般には、固体燃料粉砕機に関し、より詳細には、固体燃料粉砕機により経験される力の測定に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば石炭のような固体化石燃料は、しばしば、一定の適用のために適当である固体化石燃料を提供するために粉砕される。固体化石燃料の粉砕は、当業者には粉砕機と称されている装置を使用することにより行われている。粉砕のために適している一型式の粉砕機は、“バウルミル型粉砕機”と称されている。この型式の粉砕機は、粉砕機内で行われる粉砕がボウルに似た形状である粉砕表面上で行われることから、その名前が付けられている。一般に、バウルミル型粉砕機は本体部分を包含し、この本体部分に粉砕テーブルが回転できるように取り付けられている。そして、適当に支持したジャーナルに取り付けられている複数の粉砕ローラが粉砕テーブルと相互に作用し、これらの粉砕ローラと粉砕テーブルとの間に入れられている材料の粉砕を行う。粉砕された後、材料の粒子は遠心力によって外向きに振り飛ばされ、これにより、材料の粒子は高温の空気流れ中に供給され、それから粒径による分類のための他の装置中に吹き入れられる。
【0003】
粉砕ローラは、粉砕される化石燃料に抗してばね装置により粉砕テーブルに向かって付勢されている。このような付勢を及ぼす力は、手動により調節することができる。より大きな力は、粉砕される化石燃料の粒径をより細かくする。
【0004】
加えられた力の大きさに関するフィードバックは行われておらず、したがってこの力が所望する力とどのように異なっているのかわからない。
【0005】
現在、化石燃料を粉砕するのに用いられる力をより一層正確に調節するためにフィードバックが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
本明細書に記載した一態様によれば、粉砕ローラを粉砕テーブルに向かって測定した力でもって付勢せしめるばね装置が提供される。このばね装置は、内部区域を画定するばねハウジングを有する。そして、予圧スタッドが、前記内部区域内に少なくとも部分的に延びていると共に、前記ばねハウジングに関して動くことができるように前記ばねハウジングに連結されている。停止板が、前記内部区域内に設けられて、前記予圧スタッドが前記停止板を貫通して延びている。ばね座が、前記予圧スタッドに取り付けられて、前記予圧スタッドと一緒に移動可能である。前記ばね座は、前記ばねハウジングの一端に隣接して前記内部区域内に少なくとも部分的に位置している。前記ばね座は、前記ばねハウジングに形成されている開口を通して少なくとも部分的に延びている。少なくともひとつのばねが、前記ばね座と前記停止板との間に挿入されている。ロードセルが、前記ばねハウジングの前記内部区域内に設けられ、ばね予圧及び前記ばねハウジングに関しての前記ばね座の移動によって前記ばねにより及ぼされた力を測定する。
【0007】
本明細書に記載した他の態様によれば、固体燃料を粉砕する粉砕機は粉砕機ハウジングを包含し、前記粉砕機ハウジングはこの粉砕機ハウジングに回転できるように連結されているシャフトを有する。粉砕テーブルが前記シャフトに取り付けられ、またジャーナル装置が前記粉砕機ハウジングに枢動可能に取り付けられている。粉砕ローラが、前記ジャーナル装置に連結されている。ばね装置が、また、前記粉砕機ハウジングに取り付けられている。前記ばね装置は、ばねハウジングの内部区域内へ少なくとも部分的に延びている予圧スタッドを包含する。前記予圧スタッドは、前記ばねハウジングに関して動くことができるように連結されている。停止板が前記内部区域内に設けられ、前記予圧スタッドが前記停止板を貫通して延びている。ばね座が、前記予圧スタッドに取り付けられて、前記予圧スタッドと一緒に移動可能である。前記ばね座は、前記ばねハウジングの一端に隣接して前記内部区域内に少なくとも部分的に位置している。前記ばね座は、前記ばねハウジングに形成されている開口を通して部分的に延びている。少なくともひとつのばねが、前記ばね座と前記停止板との間に挿入されている。ロードセルが、前記ばねハウジングの前記内部区域内に設けられ、前記ばねハウジングに関しての前記ばね座の移動によって前記ばねにより及ぼされた力を測定する。前記ロードセルは、一定時間に前記ばねハウジングにより及ぼされた力を示す電気信号を発生せしめる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】バウルミル型粉砕機のばね装置の概略断面図である。
【図2】図1の圧力ばねを包含する粉砕機の一部分の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、模範的な実施形態を示す図面を参照する。これらの図面において、同一の要素には同一の参照符号が付けられている。
【0010】
図1に示されているように、参照符号10により総括的に示されているばね装置は、第1の端12a及びこの第1の端12aと反対側の第2の端12bを有するばねハウジング12を包含する。ばねハウジング12は、また、内部区域13を画定する。ばね装置10は、支持構体14に取り付けられている。例示した実施形態において、ばねハウジング12はシリンダー12に連結されているばねキャップ12cを包含する。しかしながら、ばね装置10の構造はこの構造に限定されるものではなく、ばねハウジングはまた本発明の広い態様から逸脱することなしに一体式構造を有することができるものである。ばね座16は、第1の端12aに隣接してばねハウジング12の内部区域13内に移動自在に設けられている。停止板18が、また、ばねハウジング12の第2の端12bに隣接してばねハウジング12の内部区域13内に設けられている。第1のばね22及び第2のばね24が、ばね座16と停止板18との間の内部区域13内に設けられている。例示した実施形態において、第1及び第2のばね22及び24はそれぞれコイルばねであり、一方のコイルばねが他方のコイルばね内に配置されている。しかしながら、本発明はこの構造に限定されるものではなく、他のコイルばね構造、又は他の型式のばね、例えば、限定されるものではないが、皿ワッシャ及び弾性材料を代わりに用いることができるものである。更に、第1及び第2のばね22,24が示されて説明されているけれども、本発明はこの構造に限定されるものではなく、単一のばね又は2つよりも多いばねをまた用いることができる。予圧スタッド26が、ばね座16に螺合により係合されている共に、停止板18に形成した穴を貫通して延びている。初期ばね力は、スタッド調節ナット46を予圧スタッド26に関して回転させることにより、したがって予圧スタッド26及びばね座16を停止板18に向かって又は停止板18から離れるように動かすことにより、停止板18に関しての圧力ばね座16の位置を変えることによって変えることができる。予圧スタッド26を外側に動かすことはばね22及び24を停止板18に対して圧縮せしめ、逆に予圧スタッド26を内側に動かすことはばね22及び24の圧縮を減少せしめる。
【0011】
図1をなおも参照するに、ばねハウジング12の内部区域13は円筒形のハウジング壁27により画定されている。ばね座16は、同様に円筒形であって、ばね座16が“F”を付けた矢印の方向に沿って力を受けたときにばねハウジング12の内部区域13内を滑動可能であるような大きさとされている。ばね座16は、また、ピストンリング28を受け入れる周溝を有することができる。ピストンリング28は、粉砕材料がばねハウジング12を通過するおそれを最少にするためにばねハウジング12に密封して係合可能である。
【0012】
粉砕材料が停止板18と予圧スタッド26との間を通過するおそれを最少にするために、“O”リング30又は他の型式のシール、例えば、限定されるものではないが、リップシールを停止板18に形成した穴に設け、その少なくとも一部分が予圧スタッド26に滑動可能に係合可能であるようにすることができるものである。
【0013】
ばね装置10は、ばね22及び24の圧縮に由来するばね力をそれぞれ検出して、第1及び第2の力の大きさを示す信号を発生するために設けたロードセル32を包含する。このロードセル32は、例えば、加えられた圧縮力に応答して電気信号を発生する圧電セルから成ることができる。しかしながら、本発明はこの圧電セルに限定されるものではなく、本発明が属する当分野の当業者に知られている他の型式のロードセルを代わりに用いることができるものである。例示した実施形態において、ロードセル32はばね22及び24と停止板18との間に設けられている。しかしながら、本発明はこの構造に限定されるものではなく、他の実施形態においては、初期、全体及び動的ばね力がばね22及び24からロードセル32に伝達される、ばね装置10の他の場所に設けることができるものである。
【0014】
一実施形態において、ロードセル32は“ドーナツ”形センサである。すなわち、ロードセル32は、平らな正面32a及び背面32b(背面32bはばね座16の方を向いて位置し、正面32aは反対側、すなわち、ばね座16の方を向かないで位置している)を備えている円形本体と、予圧スタッド26が通過することを許す大きさにしたロードセル中央穴とを有する。ロードセル中央穴は、また、ロードセル32と予圧スタッド26との間にシールのための“O”リング又は摩耗スリーブ(図示せず)の挿入に適応するような大きさとすることができる。
【0015】
例示した実施形態において、ロードセル32の外周部には、ばねハウジング12に密封して係合可能なピストンリング又は“O”リング34を受け入れるための溝(符号は付けられていない)が形成されている。ロードセル32の正面及び背面は、耐摩耗性材料、例えば、焼き入れ鋼、カーボン鋼、カーボン鋼合金又は同種材料から作ることができる。
【0016】
ロードセル32は、背面32bに出力リード36を包含する。出力リード36は、ロードセルを給電するための電力ケーブルを包含する。出力リード36は停止板18の穴を通過し、これにより出力リード36をコントローラ83に接続することができる。コントローラ83は、例えば、適当なプログラム汎用コンピュータ、プログラマブルロジックコントローラ又は同種装置のような信号処理装置とすることができる。コントローラ83は、第1及び第2のばね22及び24の力をそれぞれ監視する。出力リード36には、信号処理装置及び/又はロードセル32への接続及びこれらからの取り外しを容易にするための迅速接続金具を設けることができる。一実施形態において、出力リード36は、グリース及び高速の粉砕石炭/空気流れにより生じたエロ―ジョンによる衰弱に耐えるフレキシブルで耐温性のシールドリードである。
【0017】
ばねハウジング12は、ボルト42によって支持構体14に取り付けられている。支持構体14には、穴14aが形成されている。ばねハウジング12には、また、穴14aとほぼ同軸である穴12eが形成されている。支持ブシュ44が支持構体14に取り付けられ、この支持ブシュ44には支持構体14を貫通して延びるねじ穴45が形成されている。支持ボルト38が、支持ブシュ44に形成したねじに螺合により係合する、ねじ切りした外面49を有する。
【0018】
予圧スタッド26は、ばね座16から停止板18及び支持ボルト38に形成した中央穴51を貫通して延びている。予圧スタッド26は、ばねハウジング12の外へ延びているねじ部分26aを包含する。スタッド調節ナット46が、ねじ部分26aに螺合により係合する。支持ボルト38には、上述した如く、この支持ボルトを貫通して延びる中央穴51が形成されている。ブシュ40を、また、中央穴51に設けることができる。図1に見られるように、スタッド調節ナット46は予圧スタッド26に設けられ、その結果、ばね座16が最も前方の位置(すなわち、停止板18から最も遠く離れている位置であり、この位置では第1及び第2のばね22及び24はそれぞれそれらの初期の圧縮度である)であるときに、ばね座16はばねハウジング12の内部肩12fから“A”だけ離隔して静止する。
【0019】
第1及び第2のばね22及び24の初期の圧縮度は、それぞれ、ばね装置10が使用のために準備されたときに第1及び第2のばね22及び24によりばね座16及び停止板18に及ぼされる圧縮力によって決定される。初期ばね力は、スタッド調節ナット46を予圧スタッド26に関して回転させることにより、したがって予圧スタッド26及びばね座16を停止板18に向かって又は停止板18から離れるように動かすことにより、停止板18に関しての圧力ばね座16の位置を変えることによって変えることができる。予圧スタッド26を外側に動かすことはばね22及び24を停止板18に対して圧縮せしめ、逆に、予圧スタッド26を内側に動かすことはばね22及び24の圧縮を減少せしめる。任意の薄ナット47は、支持ボルト38内における予圧スタッド26の初期位置がセットされた後にスタッド調節ナット46を予圧スタッド26上の適所に維持するのを助ける。初期ばね力はロードセル32に伝達され、それからロードセル32が情報をコントローラ83に送る。このコントローラ83には、ロードセルが接続されている。情報は、初期ばね力の大きさを示す。
【0020】
例示した実施形態において、ばね装置10は支持ボルト38と停止板18との間に設けたスラスト軸受50及び任意の支持ボルト座52を包含することができ、及び/又はスタッド調節ナット46と支持ボルト38との間に設けたスラスト軸受54を包含することができる。スラスト軸受50及びスラスト軸受54は、スパナを使用して支持ボルト38を容易に回転させるのを助ける。支持ボルト38が所望した位置にセットされると、ロードセル32及び停止板18の位置はばね装置10の作動中静止続けられる。
【0021】
ばねハウジング12は第1の端12aに設けた穴12eを有し、ばね座16はこの穴12eを通して部分的に突出するような構造とされている。しかしながら、ばね座16は穴12eを通してばねハウジング12を出ることはできない。一実施形態において、例えば、ばね座16はフランジ16aを包含し、このフランジ16aはばね座16が穴12eを通過するのを防止するためにばねハウジング12内の内部肩12fに滑動可能に係合するような構造とされている。
【0022】
支持ボルト38をばねハウジング12に関して、すなわち、ボルトブシュ44に関して回転させることにより、ばね座16をばねハウジング12内で前進又は後退せしめる。ばね座16をばねハウジング12内で前進させることにより、予圧スタッド26及びばね座16をばねハウジング12の第1の端12aに向かって前方へ動かせしめ、ばね座16を穴12eから更に突出せしめる。フランジ16aと内部肩12fとの間のオフセットAが無くなってばね座16及び予圧スタッド26がもはやハウジング12内を前進することができなくなる以外は、初期圧縮は支持ボルト38が前進しているとき一定のままである。反対に、支持ボルト38をばねハウジング12内で後退させることにより、停止板18をばねハウジング12内で後方へ動かせしめ、ばね座16をばねハウジング内でひっこみさせて少なく突出せしめ、オフセットAを増大せしめる。停止板18がボルトブシュ44に係合するまでは、初期圧縮は支持ボルト38が後退しているとき一定のままである。
【0023】
例示した実施形態において、図2の粉砕機60はバウルミル型粉砕機であり、バウルミル型粉砕機は粉砕機ハウジング62を包含し、この粉砕機ハウジング内に粉砕テーブル64が粉砕しようとする材料のための粉砕表面66を提供するように設置されている。一実施形態において、粉砕テーブル64はシャフト(図示せず)に取り付けられ、このシャフトがそれから適当なギヤボックス駆動機構(図示せず)に接続され、このギヤボックス駆動機構は粉砕機ハウジング62内で適当に回転させられるようにされている。ジャーナル装置68が、粉砕機ハウジング62に取り付けられているピボット軸70に枢動可能に取り付けられている。図面に示すのを簡略にするために、1個のみのジャーナル装置68及び関連するばね装置10が示されているが、しかし、本発明はこれに限定されるものではなく、他の実施形態において、粉砕機60は2個,3個又はそれ以上のジャーナル装置及び関連する圧力ばね装置を包含することができ、これらのジャーナル装置及び関連する圧力ばね装置は粉砕表面66のまわりに等間隔で設置される。
【0024】
ジャーナル装置68は、このジャーナル装置に回転可能に取り付けられている粉砕ロール72を担持して、粉砕ロール72と粉砕表面66との間に隙間Gを形成するように粉砕ロール72を位置させる。隙間Gは、ジャーナル装置68がピボット軸70のまわりを枢動するときに変化する。ジャーナル装置68はジャーナル停止フランジ74を包含し、また停止ボルト76が粉砕機ハウジング62に設けられて、粉砕表面66に向かうジャーナル装置の枢動動きを制限し、したがって隙間Gの最小寸法を設定する。当分野において知られているように、隙間Gの最小寸法を選択することは、粉砕機60において作る粉砕材料の粒径の種別を決定するのに寄与する。
【0025】
ジャーナル装置68は、また、ジャーナルヘッド78を包含する。ジャーナル装置68及びばね装置10は粉砕機ハウジング62に取り付けられ、ジャーナル装置68が例えば粉砕表面66と粉砕ロール72との間への粒状材料の導入に応答して粉砕表面66から離れるように枢動したときに、ジャーナルヘッド78はばね座16に係合することができる。選択的に、ジャーナル装置68及びばね装置10は、ジャーナルヘッド78とばね座16との間に隙間Gが形成されるような構成とすることができる。隙間Gは、ジャーナル装置68が前方へ十分に枢動したとき、すなわち、隙間Gが最小であるときに、最大である。最大隙間Gは、上述したように、支持ボルト38を前進又は後退させることにより調節することができる。ジャーナル装置68が隙間Gを閉じるように十分に枢動すると、ジャーナルヘッド78はばね座16に係合し、ばね装置10はばね力をジャーナルヘッド78に加える。ジャーナル装置68は、それから、粉砕ロール72を介してばね力を粉砕しようとする粒状材料に伝達する。粒状材料がジャーナル装置68を粉砕表面66からより大きく離れるように枢動させるほど、ばね22および24はより大きく圧縮され、より大きなばね力がジャーナルヘッド78に加えられる。
【0026】
粉砕機60の使用の一実施形態において、粉砕しようとする材料は石炭であり、このような石炭は燃焼プロセスにおいて燃料として使用される石炭粉末を提供する。粒状石炭は回転させられている粉砕テーブル64上に供給され、これにより、粒状石炭は粉砕表面66と粉砕ロール72との間で粉砕される。大きな粒状の石炭は粉砕ロール72を粉砕表面66から離れるように枢動させ、したがってばね座16に係合する。もし粒状石炭がそれからすぐに粉砕されなかった場合には、ジャーナル装置68はそれから更に枢動し、ばね座16がばね22及び24を圧縮するようにさせる。ロードセル32は、ばね22及び24への荷重を示す信号を発生する。この信号は、出力リード36を通して送られる。ジャーナル装置68の動き及びばね力の変化に寄与する幾つかの機械的及び作動的ファクターは、粉砕ロール72及び粉砕表面66における摩耗の深さ及び位置、粉砕ロール72の丸み度(真円度)、粉砕ロールと粉砕表面との間の初期クリアランスの正確さ、損傷又は疲労により生じるジャーナルばね22,24の弱まり、粉砕テーブル64上における材料の深さ及び粒状の大きさ、及び/又は粉砕される原材料中に含まれている岩くずの大きさ及び性質である。
【0027】
粉砕機60が作動しているとき、ばね装置10がジャーナル装置68に接触したときにばね装置10によりばね22及び24に生じる全体の力は、初期ばね力と動的ばね力との和である。動的ばね力は、ジャーナル装置68が粉砕テーブル64から上向きに枢動するときに生じる力であり、ばね22及び24を初期の圧縮度を越えて追加の量圧縮せしめる。動的ばね力は、ジャーナル装置68及び粉砕しようとする材料に伝達されて戻される。動的ばね力の値は初期ばね力の約50%〜約70%とすることができ、また動的ばね力は粉砕機60の荷重と一緒に変化する。一例として、1インチの初期ばね圧縮について25,000ポンド/インチのばね率(Kファクター)を有するジャーナルばね22,24において、ジャーナル装置68の枢動動きから生じるばねの更なる1/2インチの圧縮は、12,500ポンドの追加の力を有する動的ばね圧縮を生じせしめ、したがって37,500ポンドの総ばね力を生じせしめる。一実施形態において、粉砕機60におけるすべてのばね装置10の初期ばね力は、ギヤボックス部品の曲げ又は衰弱を最小にするために互いに約1000ポンド以内に維持される。正確なばね圧縮は、また、所望する粒径の粉砕材料を得るために有益である。例えば、所望する大きさの石炭は効率の良いボイラ運転、ボイラ燃焼及び排出制御に寄与するように選択することができる。
【0028】
ロードセル32からの信号は出力リード36を通してコントローラ83(例えば、適当なデータ監視及び記録装置、プログラマブルロッジックコントローラ及び/又は適当なプログラム汎用コンピュータ)に送られ、コントローラ83は選択的に使用者による観察及び解析のためのコントロール室内に設けることができる。信号処理装置は、ばね圧力が設定されたときに各ばね装置10に加えられる初期ばね圧縮力(すなわち、“初期ばね力”)を表示して記録するような構成とすることができる。更に、出力リード36からの信号は、使用者のためにばね装置10が粉砕機60の作動中にジャーナル装置68に接触したときにばね装置10により生じられる総動的ばね力を測定、記録して表示することができるようにする。
【0029】
ロードセル32を備えていない粉砕機においては、各ばね装置10の作動中に発生させられる初期ばね力、動的ばね力及び総ばね力が互いに所望する範囲内にとどまっているかを確認することが困難である。ばね22,24の状態に関して知られている、唯一の情報は、粉砕機が運転される前に各ばね装置10に設定されている初期ばね力(初期ばね圧縮)である。初期ばね力を設定せしめる正確さは、作業員の技術及び使用されるばね圧縮設定装置の状態に依存する。ばね装置がジャーナル装置に接触したときにばね装置により生じられる動的ばね力は、ばね状態が粉砕機の振動及び支持ボルト38に関しての予圧スタッド26の動きを観察することにより視覚的に判定され得るときを除いて、知られていない。このような観察に基づいて、ばね装置の総ばね力のだいたいの評価及び粉砕機内状態が判断される。これは、粗雑で主観的かつしばしば不正確である方法であり、このような方法を用いて有益な結果を得るには評価をする専門家の経験に大いに依存するものである。その結果、粉砕機、その粉砕部品又はそのギヤボックス部品の作動上の問題又は故障が、問題を生じせしめる原因となる状態に気がついて修理又は修正する前に、生じてしまう。
【0030】
各ばね装置10内にロードセル32を設けることは、粉砕機60の作動中に各ばね装置10により生じる総ばね力を監視及び記録できるようにする。このデータは、粉砕機60の作動中における粉砕機60の機械的部品及び性能に関しての問題のリアルタイム検出、解析及び修正を可能にする。例えば、ロードセル32は、ばね装置10及び/又は粉砕機60の種々の状態、例えば、衰弱した又は破損したばね22及び/又は24、不正確な設定初期圧縮ばね、不正確な設定隙間G、直径差が生じた又は破損した粉砕ロール72、悪く摩耗した又は破損した粉砕テーブル64、及び/又は粉砕表面66と粉砕ロール72との間にトラップされるような大きな粒状体の存在を検出するように用いることができる。
【0031】
ロードセル32から得られたデータは、ギヤボックス部品上に作用する不均衡な力を減少せしめるために各ジャーナル装置68及びばね装置10における初期ばね圧縮力の調節及び設定を均等にするのに必要とされる作業を簡単にすることができる。これは、それから、ギヤボックス部品の運用寿命を延ばす。更に、データは粉砕される材料の所望する細かさ(粒径種別)を達成するために粉砕機60の調節の正確さを簡単にする又は改良するために用いることができる。プラントの安全性は、また、粉砕機60の幾つかの種類の機械的及び作動上の問題を示すことができる、ロードセル32からの信号のリアルタイム検出及び解析を提供することにより改善せしめることができる。
【0032】
ばね装置10は、粉砕機60の最初の製造中に設けることもできるし、又は、従来設けられたばね装置を取り除いて上述したばね装置10を設けることにより、従来の粉砕機のための改装作業中に設けることもできる。
【0033】
代替的な実施形態において、ばね装置10はコントローラ83により制御される調節可能なアクチュエータとすることができる。この場合、ばね装置10はコントローラ83の制御の下でばね力を増加又は減少せしめるためにスタッド調節ナット46に内向きに又は外向きに螺合することができるモータを包含することができる。コントローラ83は、ロードセル32からの信号を受け、ばね装置10により供給しようとする力の所望する大きさを計算し、それからばね装置10が所望する大きさの力を調節可能に加えるようにせしめる。
【0034】
他の代替的な実施形態において、ばね装置10はコントローラ83の制御の下で作動する液圧又は空気圧アクチュエータとすることができる。
【0035】
更に他の代替的な実施形態において、粉砕機ハウジング62に関してのジャーナル装置68の動きを減衰するために、例えば従来の緩衝器のような機械的減衰装置81を粉砕機ハウジング62とジャーナル装置68との間に設けることができる。この減衰装置81は、また、コントローラ83により制御される可変減衰力を示す。
【0036】
本明細書において、用語“第1の”及び“第2の”などはいかなる順番、数又は重要さを示すものではなく、ひとつの要素を他の要素から区別するために用いられているものである。また、本明細書において、用語“ひとつ”は数の限定を示すものではなく、このように記載された要素の少なくともひとつの存在を示すものである。
【0037】
以上本発明を種々の例示的な実施形態を参照して詳述したけれども、本発明の範囲から逸脱することなしに、種々の変形を行うことができると共に、特定の要素のために等価物を代用できることは当業者には理解されるであろう。更に、本発明の本質的な範囲を逸脱することなしに、種々の変更が特定の状態又は材料を本発明の教示に適応させるために行うことができるものである。したがって、本発明は本発明を実施するためになされた最適な形態として上述された特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は特許請求の範囲に記載した範囲内にあるすべての実施形態を包含するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体燃料を粉砕する粉砕機において、
内部で回転できるように連結されているシャフトを有する粉砕機ハウジングと、
前記シャフトに回転可能に取り付けられている粉砕テーブルと、
前記粉砕機ハウジングに枢動可能に取り付けられているジャーナル装置と、
前記ジャーナル装置に連結されている粉砕ローラと、
前記粉砕機ハウジングに取り付けられ、前記粉砕ローラを前記粉砕テーブルに向かって付勢せしめるばね装置と、
前記ばね装置に連結され、前記ばね装置により及ぼされたばね力を測定して、この測定したばね力に対応する電気信号を発生せしめるロードセルと、
を包含する粉砕機。
【請求項2】
請求項1記載の粉砕機において、更に、前記ロードセルからの前記電気信号を受けて処理するコントローラを包含する粉砕機。
【請求項3】
請求項1記載の粉砕機において、更に、前記ロードセルからの前記電気信号を受けて記憶するコントローラを包含する粉砕機。
【請求項4】
請求項1記載の粉砕機において、更に、前記ロードセルからの、前記測定したばね力を示す前記電気信号を受けて前記ばね装置により加えられるばね力を調節するコントローラを包含し、これにより前記コントローラにより示されるばね力を与えるようにした粉砕機。
【請求項5】
請求項1記載の粉砕機において、更に、所定量の機械的減衰を前記粉砕ローラに加える減衰装置を包含する粉砕機。
【請求項6】
請求項2記載の粉砕機において、更に、前記コントローラに応答し、前記コントローラにより示された量の機械的減衰を前記粉砕ローラに加える減衰装置を包含する粉砕機。
【請求項7】
請求項2記載の粉砕機において、更に、前記粉砕ローラの変位を測定してこの情報を前記コントローラに与える第1の変位装置を包含する粉砕機。
【請求項8】
請求項2記載の粉砕機において、更に、前記粉砕テーブルの回転変位を測定してこの情報を前記コントローラに与える第2の変位装置を包含する粉砕機。
【請求項9】
請求項1記載の粉砕機において、前記ばね装置が、更に、
第1の端及び第2の端を有すると共に、内部区域を画定するばねハウジングと、
前記内部区域内へ少なくとも部分的に延び、前記ばねハウジングに関して動くことができるように前記ばねハウジングに連結されている予圧スタッドと、
前記内部区域内に設けられ、前記予圧スタッドが貫通して延びている停止板と、
前記予圧スタッドに取り付けられて前記予圧スタッドと一緒に移動可能であり、前記ばねハウジングの一端に隣接して前記内部区域内に少なくとも部分的に位置し、かつ前記ばねハウジングに形成されている開口を通して部分的に延びているばね座と、
前記ばね座と前記停止板との間に挿入されている少なくともひとつのばねと、
を包含している粉砕機。
【請求項10】
請求項9記載のばね装置において、更に、前記ばねハウジングに螺合により連結されて前記ばねハウジングに関して移動可能な支持ボルトを包含し、前記支持ボルトの移動が前記停止板の移動を生じさせ、これにより前記少なくともひとつのばねの圧縮を生じさせるようにしたばね装置。
【請求項11】
請求項10記載のばね装置において、更に、前記ばね座と反対側の、前記予圧スタッドの一端に螺合により係合されているスタッド調節ナットを包含し、前記予圧スタッドが前記支持ボルトを貫通して延び、前記スタッド調節ナットが前記支持ボルトと協働可能であって、前記スタッド調節ナットの回転は前記ばね座が前記ばねハウジングの外へ突出する量を設定して、前記少なくともひとつのばねの圧縮を増大又は減少せしめるようにしたばね装置。
【請求項12】
請求項9記載のばね装置において、前記ロードセルが前記ばねと前記停止板との間の前記内部区域内に設けられているばね装置。
【請求項13】
請求項9記載のばね装置において、前記ロードセルが前記少なくともひとつのばねに及ぼされた荷重を示すデータを発生せしめ、前記データが前記ロードセルに接続しているコントローラにより受信可能であるばね装置。
【請求項14】
ばね装置において、
第1の端及び第2の端を有すると共に、内部区域を画定するばねハウジングと、
前記内部区域内へ少なくとも部分的に延び、前記ばねハウジングに関して動くことができるように前記ばねハウジングに連結されている予圧スタッドと、
前記内部区域内に設けられ、前記予圧スタッドが貫通して延びている停止板と、
前記予圧スタッドに取り付けられて前記予圧スタッドと一緒に移動可能であり、前記ばねハウジングの一端に隣接して前記内部区域内に少なくとも部分的に位置し、かつ前記ばねハウジングに形成されている開口を通して部分的に延びているばね座と、
前記ばね座と前記停止板との間に挿入されている少なくともひとつのばねと、
前記ばねハウジングの前記内部区域内に設けられ、前記ばねハウジングに関しての前記ばね座の移動によって前記ばねにより及ぼされたばね力を測定するロードセルと、
を包含するばね装置。
【請求項15】
請求項14記載のばね装置において、更に、前記ばね装置に螺合により連結されて前記ばね装置に関して移動可能な支持ボルトを包含し、前記支持ボルトの移動が前記停止板の移動を生じさせ、これにより前記少なくともひとつのばねの圧縮を生じさせるようにしたばね装置。
【請求項16】
請求項15記載のばね装置において、更に、前記ばね座と反対側の、前記予圧スタッドの一端に螺合により係合されているスタッド調節ナットを包含し、前記予圧スタッドが前記支持ボルトを貫通して延び、前記スタッド調節ナットが前記支持ボルトと協働可能であって、前記スタッド調節ナットの回転は前記ばね座が前記ばねハウジングの外へ突出する量を設定して、前記少なくともひとつのばねの圧縮を増大又は減少するようにしたばね装置。
【請求項17】
請求項14記載のばね装置において、前記ロードセルが前記ばねと前記停止板との間の前記内部区域内に設けられているばね装置。
【請求項18】
請求項14記載のばね装置において、前記ロードセルが前記少なくともひとつのばねに及ぼされた荷重を示すデータを発生せしめ、前記データが前記ロードセルに接続しているコントローラにより受信可能であるばね装置。
【請求項19】
請求項9記載のばね装置において、前記ロードセルが前記停止板と前記支持ボルトとの間に設けられているばね装置。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2012−531300(P2012−531300A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−517530(P2012−517530)
【出願日】平成22年5月12日(2010.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/034492
【国際公開番号】WO2011/005358
【国際公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【出願人】(503416353)アルストム テクノロジー リミテッド (394)
【氏名又は名称原語表記】ALSTOM Technology Ltd
【住所又は居所原語表記】Brown Boveri Strasse 7, CH−5400 Baden, Switzerland
【Fターム(参考)】