説明

粉砕機及び粉砕システム

【課題】手作業による清掃作業が不要で短時間に粉塵を清掃することができる粉砕機及び粉砕システムを提供する。
【解決手段】粉砕機50の上方には、投入ホッパ60を設けている。投入ホッパ60の下方には、開閉ダンパー70を設けている。開閉ダンパー70は、エアシリンダ72によりダンパー71が水平方向に移動する。ダンパー71が開いた位置d2では、投入ホッパ60の内部は開放され、投入口61から投入されたスプルランナは粉砕機50へ供給される。また、ダンパー71が閉じた位置d1では、粉砕機50の上方空間が、ダンパー71及び投入ホッパ60の壁面で囲まれ、閉塞した空間を形成する。投入ホッパ60の粉砕機50の筐体と開閉ダンパー70との間の位置には、吸気開口部80を設けている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕片又は粉塵の清掃を容易にして、清掃時間を短縮するとともに、粉砕片又は粉塵の残留を防止することができる粉砕機及び該粉砕機を備える粉砕システムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染あるいは産業廃棄物の増加などの問題を解決するため、循環型社会の形成が益々重要になってきている。例えば、プラスチックに代表される合成樹脂を用いて成形品又は成形部品を製造する成形工場では、成形時に発生するスプルランナと称される不要部分あるいは成形不良品などを回収して樹脂素材の資源再利用率を向上させることが行われている。
【0003】
樹脂素材のリサイクルには、回収したスプルランナを粉砕機で所定の大きさの粉砕材にしてリサイクル原資としている。このような粉砕機は、投入ホッパから投入されたスプルランナ(被処理物)を粉砕刃に食い込み易くするため、まず粗砕刃で粗砕し、粗砕された材料を粉砕刃で所定の粒形状の粉砕材に粉砕している。粗砕刃と粉砕刃とをそれぞれ別の回転軸に固定した2軸式の粉砕機に比べて、粗砕刃と粉砕刃とを1つの回転軸に固定した1軸式の粉砕機は、回転軸を駆動する駆動部品が少なく構造もシンプルであるため、工場内リサイクルを目指す多くの事業所で利用されている。
【0004】
粉砕する材料を異なる材料に変更する場合、異なる材料が混在しないように、粉砕機に残留した粉塵(粉砕片)を清掃する必要がある。粉塵は、刃先が複雑な形状をした粉砕刃の隙間、粗砕刃の周囲、粗砕刃で粗砕された材料が排出されることを防止する粗砕刃カバーの内側などの様々な箇所に残留するため、粉砕機の内部を清掃するためには、固定刃及びスクレーパなどを取り外し、また、側壁を開放して清掃する必要があり、清掃作業に長時間を要するとともに清掃作業が困難であった。
【0005】
このため、例えば、ケーシングの内壁面に近接して回転する粉砕刃の外周面に、粉砕刃を貫通してケーシングの内壁面方向に圧空を噴射する噴射孔が開口され、噴射孔に圧空を供給する圧空導通路が粉砕刃の回転軸内に形成することにより、ケーシングの内壁面に圧空を噴射するとともに、粉砕刃を回転させつつ粉砕刃の外周面から圧空を噴射して、粉砕機内に残留する残留物を短時間に除去することができる粉砕機が開示されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第2669757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の粉砕機にあっては、圧縮空気を壁面に噴射するので、圧縮空気が噴射された壁面に付着していた粉塵を除去することはできるものの、吹き飛ばされた粉塵が粉砕機内の別の箇所に再付着するという問題がある。また、圧縮空気を噴射する場合、粉砕機内のあらゆる隙間に向けて圧縮空気を噴射することはできず、噴射する空気が入り込まない細かい隙間に残存する粉塵を十分に除去することができない。このため、手作業による清掃作業が必要であった。
【0008】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、手作業による清掃作業が不要で短時間に粉塵を清掃することができる粉砕機及び該粉砕機を備える粉砕システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1発明に係る粉砕機は、上側及び下側が開口した筐体と、該筐体内で横置きされた回転軸に取り付けられた回転刃と、該回転刃と係合し前記筐体内に配置された固定刃とを備え、前記回転刃と固定刃との協働により被処理物を粉砕する粉砕機において、前記筐体の下方に配された吸引口と、前記筐体の上方空間を閉塞する閉塞部と、前記閉塞部で閉塞された空間内に吸気するための吸気開口部とを備えることを特徴とする。
【0010】
第2発明に係る粉砕機は、第1発明において、前記閉塞部は、前記筐体上に載置され被処理物を投入するための投入ホッパと、該投入ホッパを開閉する開閉ダンパーとを備え、前記投入ホッパと開閉ダンパーで囲まれる空間を閉塞するように構成してあることを特徴とする。
【0011】
第3発明に係る粉砕機は、第2発明において、前記吸気開口部を前記筐体と開閉ダンパーとの間に配置してあることを特徴とする。
【0012】
第4発明に係る粉砕機は、第2発明において、前記開閉ダンパーを一部開放して前記吸気開口部を形成するようにしてあることを特徴とする。
【0013】
第5発明に係る粉砕機は、第1発明から第3発明のいずれか1つにおいて、前記筐体は、平面視が矩形状をなす4側壁を備え、対向する側壁の上側に前記吸気開口部を備えることを特徴とする。
【0014】
第6発明に係る粉砕機は、第1発明から第3発明のいずれか1つにおいて、前記筐体は、平面視が矩形状をなし、前記筐体の対角線上の2つの角部近傍上側それぞれに前記吸気開口部を備えることを特徴とする。
【0015】
第7発明に係る粉砕機は、第1発明から第6発明のいずれか1つにおいて、前記固定刃は、前記回転軸に向かって下方に傾斜して配置され、前記固定刃の反対側に前記回転軸に向かって下方に傾斜して配置されたスクレーパを備え、前記閉塞部で空間を閉塞した場合に前記吸引口を通じて吸引されたときは、前記吸気開口部から、前記回転刃と前記固定刃又はスクレーパとの間の隙間を通じて前記吸引口への空気の流路を形成するようにしてあることを特徴とする。
【0016】
第8発明に係る粉砕機は、第1発明から第7発明のいずれか1つにおいて、前記閉塞部で空間を閉塞した場合に前記吸引口を通じて吸引されたときは、前記吸気開口部の風速は、8メートル/秒以上であることを特徴とする。
【0017】
第9発明に係る粉砕機は、第1発明から第8発明のいずれか1つにおいて、前記回転刃に向けて圧縮空気を噴射する噴射口を備えることを特徴とする。
【0018】
第10発明に係る粉砕機は、第1発明から第9発明のいずれか1つにおいて、前記回転刃は、前記回転軸の周面から円弧状に突出した粗砕刃を有し、該粗砕刃の回転領域を囲う円弧状の溝を有する粗砕刃カバーと、該粗砕刃カバーの溝に向けて圧縮空気を噴射する噴射口とを備えることを特徴とする。
【0019】
第11発明に係る粉砕システムは、第1発明から第10発明のいずれか1つに係る粉砕機と、該粉砕機の吸引口と連通する吸引管と、該吸引管に接続された吸気手段とを備えることを特徴とする。
【0020】
第12発明に係る粉砕システムは、第11発明において、前記吸引管に粉砕材を捕集する捕集手段を備えることを特徴とする。
【0021】
第13発明に係る粉砕システムは、第12発明において、前記吸引管は、切換弁を介して分岐した2つの輸送管を備え、前記捕集手段を一方の輸送管に介装してあることを特徴とする。
【0022】
第1発明及び第11発明にあっては、筐体の下方には、吸引口を配してあり、吸引口は、吸気手段に接続された吸引管と連通してある。吸気手段を作動させることにより、筐体下方の吸引口から筐体内の空気を吸引することができる。閉塞部は、筐体の上方空間を閉塞し、閉塞部で閉塞された空間内に吸気するための吸気開口部を備える。筐体上方の空間は、閉塞部で閉塞されているので、吸引口から空気の吸引が行われた場合、閉塞部で閉塞された空間内の圧力が下がり、吸気開口部を通じて筐体外部から空気が勢いよく筐体内へ流入する。吸気開口部から流入した空気は、筐体内の回転刃と固定刃との隙間などを、勢い(風速)が落ちることなく通過して吸引口へ流れる。すなわち、閉塞部で空間を閉塞した場合に吸引口を通じて空気を吸引したときは、吸気開口部から吸引口への空気が乱流となって筐体内のあらゆる隙間を通じて勢いよく流れ筐体内に付着した粉塵を付着面から分離して清掃する。特に粉砕機を作動させて回転刃を回転しつつ吸引するので、風速の速い空気が回転刃の表面全体に行渡る。これにより、分解などの手作業による清掃作業が不要で短時間に粉塵を清掃することができる。
【0023】
第2発明にあっては、閉塞部は、筐体上に載置され被処理物を投入するための投入ホッパと、投入ホッパを開閉する開閉ダンパーとを備える。筐体上方の空間を閉塞する場合、開閉ダンパーを閉めることにより、投入ホッパの内壁と開閉ダンパーとで囲まれる空間を閉塞する。すなわち、筐体内を清掃する場合には、開閉ダンパーを閉じ、被処理物を粉砕する際に被処理物を投入するときは開閉ダンパーを開ける。これにより、開閉ダンパーの開閉により、被処理物の粉砕作業と粉塵の除去作業(清掃作業)とを容易に切り替えることができる。
【0024】
第3発明にあっては、吸気開口部を筐体と開閉ダンパーとの間に配置してある。これにより、吸気開口部から流れ込む空気は、筐体上方から筐体内へ向かって流れ、筐体下方の吸引口から筐体外部へ流出するので、筐体内のすべての隙間を通じて空気を流すことができる。
【0025】
第4発明にあっては、開閉ダンパーを一部開放して吸気開口部を形成する。すなわち、開閉ダンパーと投入ホッパの壁面との間に隙間が生じる程度に開閉ダンパーを一部開放する。すなわち、筐体内を清掃する場合には、開閉ダンパーを完全には閉じずに隙間が生じるように一部開放し、被処理物を粉砕する際に被処理物を投入するときは開閉ダンパーを完全に開放する。また、開閉ダンパーの一部開放状態(どの程度開放するか)を変えることにより、吸気開口部の大きさを自由に調整することができる。これにより、開閉ダンパーで吸気開口部を共用できるので、吸気開口部を別途設ける必要がなく、また、吸気開口部を流れる空気の風速を調整することが可能となる。
【0026】
第5発明にあっては、筐体は、平面視が矩形状をなす4側壁を備え、対向する側壁の上側に吸気開口部を備える。対向する側壁のそれぞれに1又は複数の吸気開口部を備えることができる。また、4側壁のそれぞれに吸気開口部を設けてもよい。これにより、異なる方向から筐体内へ空気を取り込むことが可能となり、筐体内に均等に空気を流すことができる。
【0027】
第6発明にあっては、筐体は、平面視が矩形状をなし、筐体の対角線上の2つの角部近傍上側それぞれに吸気開口部を備える。吸気開口部を筐体の四隅のうちの対角線上の四隅近傍に備えるので、吸気開口部から勢いよく流れ込む空気が筐体内で渦状になって流れて回転刃と固定刃などの隙間に満遍なく流れ込むため、筐体内の隅々まで清掃することができる。
【0028】
第7発明にあっては、固定刃は、回転軸に向かって下方に傾斜して配置され、固定刃の反対側に回転軸に向かって下方に傾斜して配置されたスクレーパを備える。閉塞部で空間を閉塞した場合に吸引口を通じて吸引されたときは、吸気開口部から、回転刃と固定刃又はスクレーパとの間の隙間を通じて吸引口への空気の流路を形成する。なお、空気の流路は、当該隙間に限定されない。これにより、回転刃、固定刃、スクレーパなどに付着した粉塵を除去することができる。
【0029】
第8発明にあっては、閉塞部で空間を閉塞した場合に吸引口を通じて吸引されたときは、吸気開口部の風速は、8メートル/秒以上である。風速は、例えば、熱線式風速計を用いることができる。風速が、8メートル/秒未満の場合には、筐体内に付着した粉塵を吹き飛ばす(移動させる)ことができず、粉塵を除去することができない箇所が生じる。風速が8メートル/秒以上であれば、筐体内の隙間を通過する際の空気の流れを勢いよくして、粉塵を除去することができる。
【0030】
第9発明にあっては、回転刃に向けて圧縮空気を噴射する噴射口を備える。噴射口から圧縮空気を回転刃に向けて噴射することにより、回転刃に付着する粉塵を除去することができる。また、圧縮空気の噴射により粉塵が舞い上がったとしても、吸気開口部から吸引口へ流れる空気により除去することができ、粉塵が再付着することもない。
【0031】
第10発明にあっては、回転刃は、回転軸の周面から円弧状に突出した粗砕刃を有し、粗砕刃の回転領域を囲う円弧状の溝を有する粗砕刃カバーと、粗砕刃カバーの溝に向けて圧縮空気を噴射する噴射口とを備える。噴射口から圧縮空気を粗砕刃カバーの溝に向けて噴射することにより、粗砕刃カバーの溝に付着する粉塵を除去することができる。また、圧縮空気の噴射により粉塵が舞い上がったとしても、吸気開口部から吸引口へ流れる空気により除去することができ、粉塵が再付着することもない。
【0032】
第12発明にあっては、吸引管に粉砕材(被処理物を粉砕した後の材料)を捕集する捕集手段を備える。捕集手段は、例えば、粉塵を濾過するフィルタなどを備えた捕集器などである。すなわち、吸引管を通じて粉砕機で粉砕した粉砕材を捕集手段に捕集して粉砕材と粉塵とを分離する。これにより、粉砕を行う都度毎回粉塵の清掃を自動的に行うことができる。
【0033】
第13発明にあっては、吸引管は、切換弁を介して分岐した2つの輸送管を備え、捕集手段を一方の輸送管に介装してある。吸引口と吸気手段との間の吸引管は、切換弁を介して2つの輸送管に分岐し、一方の輸送管に捕集手段を介装してある。すなわち、粉砕機で粉砕した粉砕材は、切換弁を切り替えて一方の輸送管へ輸送して捕集手段に捕集する。清掃して粉砕機から除去された粉塵は、切換弁を切り替えて他の輸送管へ輸送して回収ボックスなどで回収する。これにより、色又は材質など異なる材料を粉砕する場合など、粉砕材と粉塵を分離して回収することができる。
【発明の効果】
【0034】
第1発明及び第11発明によれば、閉塞部で空間を閉塞した場合に吸引口を通じて空気を吸引したときは、吸気開口部から吸引口への空気が筐体内のあらゆる隙間を通じて勢いよく流れ筐体内を清掃することができ、分解などの手作業による清掃作業が不要で短時間に粉塵を清掃することができる。
【0035】
第2発明によれば、筐体内を清掃する場合には、開閉ダンパーを閉じ、被処理物を粉砕する際に被処理物を投入するときは開閉ダンパーを開けることにより、開閉ダンパーの開閉により、被処理物の粉砕と粉塵の除去とを容易に切り替えることができる。
【0036】
第3発明によれば、吸気開口部を筐体と開閉ダンパーとの間に配置することにより、吸気開口部から流れ込む空気は、筐体上方から筐体内へ向かって流れ、筐体下方の吸引口から筐体外部へ流出するので、筐体内のすべての隙間を通じて空気を流すことができる。
【0037】
第4発明によれば、筐体内を清掃する場合には、開閉ダンパーを完全には閉じずに隙間が生じるように一部開放し、被処理物を粉砕する際に被処理物を投入するときは開閉ダンパーを完全に開放する。また、開閉ダンパーの一部開放状態を変えることにより、吸気開口部の大きさを自由に調整することができる。これにより、開閉ダンパーで吸気開口部を共用できるので、吸気開口部を別途設ける必要がなく、また、吸気開口部を流れる空気の風速を調整することが可能となる。
【0038】
第5発明によれば、筐体は、平面視が矩形状をなす4側壁を備え、対向する側壁の上側に吸気開口部を備えることにより、異なる方向から筐体内へ空気を取り込むことが可能となり、筐体内に均等に空気を流すことができる。
【0039】
第6発明によれば、吸気開口部を筐体の四隅のうちの対角線上の四隅近傍に備えるので、吸気開口部から勢いよく流れ込む空気が筐体内で渦状になって流れて回転刃と固定刃などの隙間に満遍なく流れ込むため、筐体内の隅々まで清掃することができる。
【0040】
第7発明によれば、閉塞部で空間を閉塞した場合に吸引口を通じて吸引されたときは、吸気開口部から吸気された空気を、回転刃と固定刃又はスクレーパとの間の隙間を通じて吸引口へ流して筐体内を清掃することにより、回転刃、固定刃、スクレーパなどに付着した粉塵を除去することができる。
【0041】
第8発明によれば、閉塞部で空間を閉塞した場合に吸引口を通じて吸引されたときは、吸気開口部の風速を8メートル/秒以上にすることにより、筐体内の隙間を通過する際の空気の流れを勢いよくして、粉塵を除去することができる。
【0042】
第9発明によれば、噴射口から圧縮空気を回転刃に向けて噴射することにより、回転刃に付着する粉塵を除去することができる。また、圧縮空気の噴射により粉塵が舞い上がったとしても、吸気開口部から吸引口へ流れる空気により除去することができ、粉塵が再付着することもない。
【0043】
第10発明によれば、噴射口から圧縮空気を粗砕刃カバーの溝に向けて噴射することにより、粗砕刃カバーの溝に付着する粉塵を除去することができる。また、圧縮空気の噴射により粉塵が舞い上がったとしても、吸気開口部から吸引口へ流れる空気により除去することができ、粉塵が再付着することもない。
【0044】
第12発明によれば、吸引管を通じて粉砕機で粉砕した粉砕材を捕集手段に捕集して粉砕材と粉塵とを分離することにより、粉砕を行う都度毎回粉塵の清掃を自動的に行うことができる。
【0045】
第13発明によれば、粉砕機で粉砕した粉砕材は、切換弁を切り替えて一方の輸送管へ輸送して捕集手段に捕集する。清掃して粉砕機から除去された粉塵は、切換弁を切り替えて他の輸送管へ輸送して回収ボックスなどで回収する。これにより、色又は材質など異なる材料を粉砕する場合など、粉砕材と粉塵を分離して回収することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本実施の形態に係る粉砕機の設置例の概要を示す外観斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る粉砕機の一例を示す要部平面図である。
【図3】本実施の形態に係る粉砕機の一例を示す要部側面図である。
【図4】図1のIV−IV線の要部断面図である。
【図5】図1のV−V線の要部断面図である。
【図6】本実施の形態の吸気開口部の要部を示す模式図である。
【図7】本実施の形態の吸気開口部の配置例を示す模式図である。
【図8】本実施の形態に係る粉砕システムの構成の一例を示す模式図である。
【図9】本実施の形態の粉砕機の粉塵除去の一例を示す説明図である。
【図10】本実施の形態の粉砕機の粉塵除去の他の例を示す説明図である。
【図11】吸気開口部の風速の測定例を示す説明図である。
【図12】実施の形態2の吸気開口部の配置例を示す模式図である。
【図13】実施の形態3の吸気開口部の一例を示す模式図である。
【図14】実施の形態4の吸気開口部の要部断面図である。
【図15】実施の形態4の吸気開口部の要部側面図である。
【図16】実施の形態5の粉砕機の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0047】
実施の形態1
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態に係る粉砕機の設置例の概要を示す外観斜視図である。図1中、50は本実施の形態に係る粉砕機である。粉砕機50は、上側と下側が開口した筐体を備える。粉砕機50は、中央部が開口した金属製の支持台1にボルト等で固定されている。支持台1の下側には、粉砕機50の下部に取り付けられた材料受部91が配置されている。材料受部91には、ブロワなどの吸気手段に接続された吸引管90を接続している。
【0048】
粉砕機50の上方には、略S字状の投入ホッパ60を設けている。投入ホッパ60の下側縁部には、開閉用の軸(不図示)を設けてあり、軸回りに約90度投入ホッパ60を回転させることにより、粉砕機50の上方を開放することができる。投入ホッパ60の下方には、開閉ダンパー70を設けている。開閉ダンパー70は、エアシリンダ72によりダンパー(扉)71が水平方向に移動する。ダンパー71が開いた位置d2(図中破線で示す)では、投入ホッパ60の内部は開放され、投入口61から投入された被処理物(スプルランナ)は粉砕機50へ供給される。また、ダンパー71が閉じた位置d1(図中実線で示す)では、粉砕機50の上方空間が、ダンパー71及び投入ホッパ60の壁面(内壁)で囲まれ、閉塞した空間を形成する。なお、閉塞空間は、密閉空間を排除するものではないが、密閉空間に限定されるものでもない。
【0049】
投入ホッパ60の粉砕機50の筐体と開閉ダンパー70との間の位置には、ダンパー71及び投入ホッパ60の壁面で囲まれた空間内に空気を吸気するための吸気開口部80(図中A)を設けている。なお、吸気開口部80の詳細は後述する。
【0050】
ブロワなどの吸気手段を作動させることにより、粉砕機50の筐体下方の吸引口92(図5参照)から筐体内の空気を吸引することができる。ダンパー71を閉じることにより、粉砕機50の筐体の上方空間を閉塞されているので、吸引口92から空気の吸引が行われた場合、閉塞された空間内の圧力が下がり、吸気開口部80を通じて筐体外部から空気が勢いよく筐体内へ流入する。吸気開口部80から流入した空気は、筐体内の各部表面で乱流となり、筐体内の回転刃と固定刃との隙間などを、勢い(風速)が落ちることなく通過して吸引口92へ流れる。すなわち、ダンパー71を閉じて粉砕機50上方の空間を閉塞した場合に吸引口92を通じて空気を吸引したときは、吸気開口部80から吸引口92への空気が筐体内のあらゆる隙間を通じて勢いよく流れ、筐体内の各部に付着した粉塵を付着面から分離して除去することで粉塵を清掃することができる。特に粉砕機50を作動させて回転刃を回転しつつ吸引するので、風速の速い空気が回転刃の表面全体に行渡る。これにより、分解などの手作業による清掃作業が不要で短時間に粉塵を清掃することができる。
【0051】
図2は本実施の形態に係る粉砕機50の一例を示す要部平面図であり、図3は本実施の形態に係る粉砕機50の一例を示す要部側面図である。図2及び図3に示すように、支持台1の上面には、適長離隔した1対の金属製の固定側壁2、2を対設してあり、固定側壁2、2の両側部には、1対の金属製の揺動側壁3、3が固定側壁2、2で挟まれるように配置してあり、固定側壁2、2、及び揺動側壁3、3により筐体を構成している。そして、粉砕機50の筐体は、上側及び下側が開口している。
【0052】
一方の固定側壁2の略中央部には、軸受10が取り付けられてあり、他方の固定側壁2には、減速機を有する電動モータ11が取り付けられてあり、電動モータ11のモータ軸に連動する回転軸25が固定側壁2、2の間に軸架されている。
【0053】
固定側壁2、2、及び揺動側壁3、3で囲まれる空間には、回転軸25に嵌装された回転刃としての粗砕刃4、4、及び粉砕刃6、6、6が収容される。粗砕刃4、4は、回転軸25の周面から円弧状に突出している。すなわち、粗砕刃4、4は、回転方向に向かって先端部(刃先部)が湾曲したアーム状をなし回転軸25の軸方向に適長離隔して配置されている。粉砕刃6、6、6は、固定側壁2と粗砕刃4との間、及び粗砕刃4、4の間に配置され、回転軸25方向に所定の間隔で環状溝が形成され、隣接する環状溝間の環状突起部の外周面を鋸歯状に形成している。
【0054】
揺動側壁3、3は、回転軸25に平行な揺動軸21、22の回りに揺動可能であり、揺動側壁3、3を開くことにより、筐体内部が上向きに開放される。一方の揺動側壁3の内側には、各粗砕刃4、及び各粉砕刃6との協働により被処理物(スプルランナ)を粉砕するための矩形の板状の第1固定刃7a、…、及び第2固定刃7bで構成される固定刃7が、内側に向かって下方向に傾斜するように固定されている。
【0055】
第1固定刃7aは、長手方向の寸法が粉砕刃6の軸方向の寸法と略同一であり、長辺側の一方の縁部は、粉砕刃6の刃先と噛み合うように凹凸状に形成された歯部を有し、ボルト9、…で揺動側壁3の内側に固定されている。また、第1固定刃7aの短辺側であって粗砕刃4と近接する縁部には、粗砕刃4との協働により被処理物を粉砕する歯部を形成している。
【0056】
第2固定刃7bは、長手方向の寸法が揺動側壁3の軸方向の寸法と略同一であり、長辺側の一方の縁部であって、粗砕刃4と近接する箇所には、粗砕刃4との協働により被処理物を粉砕する歯部を形成している。第2固定刃7bは、ボルト(不図示)により第1固定刃7a、…の長辺側の他方の縁部に当接するように揺動側壁3の内側に固定されている。
【0057】
揺動側壁3の内側であって固定刃7の下側には、粗砕刃4、4で粗砕され、所定の大きさに粉砕されていない被処理物が排出されることを防止するため、粗砕刃カバー31が設けられている。粗砕刃カバー31は、粗砕刃4、4の回転軌道を覆うように内側に円弧状の溝加工が施されている。
【0058】
他方の揺動側壁3の内側には、粉砕刃6、6、6で所定の大きさ(粒形状)に粉砕された粉砕材を掻き落とし、筐体の下側の材料受部91へ排出するための略矩形の板状のスクレーパ5が、ボルト8、8、8により内側に向かって下方向に傾斜するように固定されている。
【0059】
スクレーパ5は、粗砕刃4、4が回転する部分に矩形状の切り込みを形成してあり、長辺側の一方の縁部であって、粉砕刃6、6、6と近接する箇所には、粉砕刃6の刃先と噛み合うように凹凸状に形成された掻き落とし部を形成している。
【0060】
揺動側壁3の内側であってスクレーパ5の下側には、粗砕刃4、4で粗砕され、未だ所定の大きさに粉砕されていない被処理物が排出されることを防止するため、粗砕刃カバーが設けられている。粗砕刃カバーは、粗砕刃4、4の回転軌道を覆うように内側に円弧状の溝加工が施されている。両方の揺動側壁3、3を閉じた場合、各粗砕刃カバーは、一端部でお互いに当接して、粗砕刃4、4の回転軌道を覆う空間を形成し、未粉砕の被処理物が排出されることを防止する。
【0061】
各固定側壁2、及び各揺動側壁3で構成される筐体の4隅には、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定するため一面がテーパ状のロック部材13、…が取り付けられるようになっており、テーパ状の一面で固定側壁2、揺動側壁3の端部を挟み込み、ロック部材13に螺合したレバー12を締め付けることにより、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定する。各揺動側壁3は、揺動側壁3に固定されたハンドル14を持って開閉することができる。
【0062】
被処理物を粉砕する場合、レバー12を締め付けることにより、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定する。筐体の上部に配置された投入ホッパ60に被処理物を投入し、電動モータ11の電源をオンにすると、回転軸25が所定の回転数で回転し、粗砕刃4、粉砕刃6が回転する。回転方向は、粗砕刃4、及び粉砕刃6が上側から下側に向かって固定刃7と噛み合うとともに、下側から上側に向かってスクレーパ5と噛み合う方向である。
【0063】
これにより、被処理物は、まず粗砕刃4と固定刃7との協働により粗砕され、粉砕刃6に食い込み易い大きさに細断される。粗砕された被処理物は、粉砕刃6と第1固定刃7aとの協働により所定の大きさの粉砕材に粉砕され、粉砕刃6の回転に伴って筐体の下側に送られ、材料受部91に排出される。また、所定の大きさに粉砕された粉砕材のうち、静電気で粉砕刃6の側面に付着したものは、粉砕刃6とスクレーパ5との協働によりスクレーパ5の下面で掻き落とされ、材料受部91に排出される。
【0064】
粗砕刃4により粗砕された被処理物の一部は、粗砕刃4の回転により固定刃7の下側に送られるが、粗砕刃カバー31で受け止められ、再び各粉砕刃6の上側に送られるとともに、材料受部91に誤って排出されることを防止する。
【0065】
また、被処理物を粉砕した後には、粉塵(粉砕片)が固定刃7の上面及び刃先、スクレーパ5の上面及び端部、粉砕刃6の表面、粗砕刃4の表面、粗砕刃カバー31の外側及び内側、固定側壁2、2の内部、揺動側壁3、3の内部などに残留する。
【0066】
図3に示すように、固定側壁2の略中央部に回転軸25が軸架されてあり、回転軸25には、粗砕刃4、粉砕刃6が所定の位置で嵌装されている。一方の揺動側壁3の内側上面には、回転軸25の方向に向かって下方向に傾斜して固定刃7(第1固定刃7a、第2固定刃7b)が固定されてあり、固定刃7の下側であって粗砕刃4の回転軌道には、粗砕刃カバー31を設けている。
【0067】
他方の揺動側壁3の内側上面には、回転軸25の方向に向かって下方向に傾斜してスクレーパ5が固定されてあり、スクレーパ5の下側であって粗砕刃4の回転軌道には、粗砕刃カバー31を設けている。
【0068】
各粗砕刃カバー31は、所定の厚みを有する劣弧状の円環形状をなし、内側は粗砕刃4の回転軌道に沿って溝加工が施された空間を形成してある。揺動側壁3、3が閉じられた状態では、粗砕刃カバー31の一端部同士が当接し、粗砕刃4の回転に伴って固定刃7及びスクレーパ5の下側に回りこんだ未処理の粉砕片を受け止める。
【0069】
回転軸25の略鉛直下であって揺動側壁3の固定側壁2と近接する面には、回転軸25の軸方向と平行に軸体21、21(第1揺動軸)を垂設している。各軸体21と略水平であって、軸体21より外側には、軸体21の軸方向と平行に軸体22、22(第2揺動軸)を固定側壁2の揺動側壁3と近接する面に垂設している。
【0070】
軸体21、22には、軸体21、22を挿通する挿通孔を有し、略楕円形状の連係板23が、固定側壁2及び揺動側壁3の間に軸体21、22の回りに回動可能に取り付けられている。揺動側壁3の連係板23の上方には、外側から内側に向かって下方向に傾斜した切欠面32を形成している。なお、切欠面32は、揺動側壁3を開く場合に、連係板23の上側側面に当接することにより、揺動側壁3と連係板23とを係止させ、連動して回転させるものであり、面に限定されるものではなく、係止することができる形状であれば、湾曲した面、凹凸状の形状など適宜設定することができる。
【0071】
回転軸25の下側であって、固定側壁2の揺動側壁3との摺動面には、円柱状の固定ピン24を適長離隔して垂設してあり、揺動側壁3の固定側壁2との摺動面には、揺動側壁3が閉じられた状態で、固定ピン24に嵌合する半円弧状の嵌合面34を形成している。これにより、揺動側壁3を閉じる際の揺動側壁3の上下方向のぶれを防止し、揺動側壁3の開閉時に粗砕刃4、粉砕刃6などの刃先が、固定刃7の刃先、スクレーパ5などと干渉して刃先が損傷することを防止する。
【0072】
図4は図1のIV−IV線の要部断面図であり、図5は図1のV−V線の要部断面図である。図4に示すように、粉砕機50の筐体下方に設けられた材料受部91には、吸引管90と連通する吸引口92を設けている。また、粉砕機50の筐体上方には、投入ホッパ60を載置し、その途中に開閉ダンパー70を設けている。粉砕機50の上方空間83を、ダンパー71及び投入ホッパ60で囲むことで閉塞した空間としている。
【0073】
粉砕機50の筐体とダンパー71との間の投入ホッパ60の壁面には、断面形状が矩形状の吸気開口部80を設けている。なお、吸気開口部80の形状は、矩形状に限定されるものではなく、円形状、楕円状、複数の平行なスリットで構成されるもの、あるいは、格子状のスリットで構成されるものなど、所望の風速が得られるものであれば、どのような形状であってもよい。また、吸気開口部80の高さ位置は、粉砕機50の筐体とダンパー71との間の位置であればよいが、当該位置は、吸気開口部80で所望の風速が得られるように適宜設定することができる。なお、粉砕機50の筐体(固定側壁2及び/又は揺動側壁3)の上面に切欠又は溝などを形成して吸気開口部とすることもできる。
【0074】
吸気開口部80には、上側が開口した箱体状のカバー81を取り付けてある。カバー81は、粉砕材が粉砕機50の外へ飛散することを防止する。なお、カバー81は必ずしも設ける必要はない。吸気開口部80の詳細は後述する。
【0075】
図5に示すように、投入ホッパ60の中途部(投入路が屈曲している箇所)には、ガイド62を設けている。ガイド62は、上端部を中心に回動可能に取り付けてあり、投入口61から被処理物が投入された場合、被処理物をスムーズに下方に移動させるとともに、粉砕中の被処理物が投入口61から外部へ飛散することを防止する。
【0076】
ダンパー71の下側の投入ホッパ60の壁面には、外部の圧縮空気源からのエアー配管40を挿通してあり、エアー配管40の先端には、圧縮空気の噴射口(ノズル)41を設けている。噴射口41は、回転刃(粉砕刃6、粗砕刃4)の方向へ向けて圧縮空気が噴射できるように配置されている。また、噴射口41を、粗砕刃カバー31の溝に向けて圧縮空気が噴射できるように配置してもよい。図5の例では、噴射口41を回転軸25方向に沿って2つ配置する構成であるが、回転軸25を間にして配置してもよい。噴射口41を1つ設ける構成でもよく、粗砕刃4の数だけ設けることもできる。また、エアー配管40及び噴射口41は必須ではなく具備しない構成とすることもできる。なお、図5では、簡便のため粗砕刃カバー31の下側一部のみを図示している。
【0077】
図6は本実施の形態の吸気開口部80の要部を示す模式図である。図6は図1の符号Aで示す箇所を拡大したものである。上述のように、カバー81は、上方が開口した箱体状をなし、吸気開口部80を覆うように取り付けられる。カバー81の上面には、金網82を取り付けている。なお、カバー81の形状は、図6の例に限定されるものではなく、吸気開口部80から粉砕材の飛散を防止できるものであれば、どのような形状、構造のものでもよい。
【0078】
図7は本実施の形態の吸気開口部80の配置例を示す模式図である。図7は、投入ホッパ60の壁面、該壁面に設けられた吸気開口部80、ダンパー71などの配置関係を例示するものである。図7に示すように、開閉ダンパー70の下側の投入ホッパ60の側壁には、2つの吸気開口部80を設けている。なお、図では簡便のため、投入ホッパ60の側壁を実線で示している。すなわち、吸気開口部80は、粉砕機50の筐体の対角線上の2つの角部近傍上側それぞれに設けてある。図7の例では、図中右上の吸気開口部80から流れ込んだ空気は、筐体内を左下方向に流れる。また、図中左下の吸気開口部80から流れ込んだ空気は、筐体内を右上方向に流れる。これにより、吸気開口部80から流れ込む空気が筐体内で渦状になって流れて粉砕刃6と固定刃7との隙間、粉砕刃6とスクレーパ5との隙間、粗砕刃4と固定刃7との隙間、粗砕刃4とスクレーパ5との隙間、粗砕刃4と粗砕刃カバー31との隙間などに満遍なく流れ込む。
【0079】
なお、吸気開口部80の配置は、図7の例に限定されるものではなく、筐体の対向する側壁の上側に吸気開口部80を設けることもできる。また、対向する側壁のそれぞれに1又は複数の吸気開口部80を設けてもよい。また、4側壁のそれぞれに吸気開口部80を設けてもよい。これにより、異なる方向から筐体内へ空気を取り込むことが可能となり、筐体内の隙間に均等に空気を流すことができる。
【0080】
図8は本実施の形態に係る粉砕システムの構成の一例を示す模式図である。図8に示すように、粉砕機50の材料受部91の吸引口には、吸引管90の一端が接続してある。吸引管90の他端には切換弁110を介して2つの輸送管101、103を接続してある。すなわち、切換弁110の切換管110bには、輸送管101の一端を接続してある。また、切換弁110の切換管110aには、輸送管103の一端を接続してある。
【0081】
輸送管101の他端には、捕集手段としての捕集器140を接続してあり、捕集器140には、配合装置141を取り付けてある。配合装置141は、粉砕材と主材(ペレット)とを混合したものを成形機へ供給する。なお、配合装置141に代えて成形機を取り付けることもできる。
【0082】
捕集器140は、フィルタを備え、輸送管101から空気輸送された粉砕材をフィルタで捕集するとともに粉塵を濾過する。捕集器140には、輸送管102の一端が接続されている。輸送管102の他端は、切換弁120の切換管120bに接続されている。切換弁120の切換管120aには、輸送管103の他端を接続してある。
【0083】
切換弁120には、吸気管104の一端を接続してある。吸気管104の他端は、捕集器(例えば、サイクロン式)132に接続してある。捕集器132には、粉塵の回収ボックス133を取り付けてある。捕集器132は、フィルタを備え、吸気管104を介して空気輸送された粉塵を捕集し、回収ボックス133へ回収する。捕集器132には吸気管105の一端を接続してあり、吸気管105の他端には、吸気手段としてのブロワ131を接続してある。捕集器132で粉塵が除去され、濾過された空気は、吸気管105を介してブロワ131へ戻る。ブロワ131、捕集器132、回収ボックス133は、吸引ローダユニット130を構成する。
【0084】
上述の構成は、ブロワ131と粉砕機50の吸気口との間の吸気管90、104、105を、切換弁110、120を介して一方の輸送管101、102と、他方の輸送管103とに分岐したものであり、一方の輸送管101、102に捕集器140などの粉砕材の捕集手段を介装したものである。なお、粉砕システムの構成は、図8の例に限定されるものではない。2つに分岐した輸送管のいずれか一方を省略した構成でもよい。また、粉砕機に2つの吸気管を独立して設け、一方を粉砕材の収容用にし、他方を粉塵の回収用に用いることもできる。また、複数の粉砕機50を並置する構成でもよい。
【0085】
次に、本実施の形態の粉砕システムの動作について説明する。図8に例示した構成の場合、粉砕システムの動作には2通りの状態がある。一方の動作状態は、粉砕機50でスプルランナを粉砕する都度粉塵の除去(清掃)も行う毎回清掃であり、他の動作状態は、一旦粉砕処理を終えた後、次の粉砕処理の前に粉塵の清掃を行う段取替時清掃である。
【0086】
まず、毎回清掃の場合について説明する。この場合、切換弁110は、切換管110b側に切り換えられ、吸気管90と輸送管101とが接続され、吸気管90と輸送管103とは接続されない。また、切換弁120は、切換管120b側に切り換えられ、吸気管104と輸送管102とが接続され、吸気管104と輸送管103とは接続されない。すなわち、吸引空気の流れは、粉砕機50の吸気口から、吸気管90、輸送管101、102、吸気管104、105を介してブロワ131に至る。
【0087】
粉砕処理を行う場合、開閉ダンパー70のダンパー71を開放する。そして、投入ホッパ60から手動または成形機の取出機を用いてスプルランナを投入する。ブロワ131を動作させるとともに、粉砕機50を動作させることにより、粉砕材は、空気輸送により吸気管90、輸送管101を通して捕集器140に輸送される。捕集器140において、粉砕材はフィルタに捕集され、配合装置141に収容される。この場合、粉砕材に混じって空気輸送された粉塵は、捕集器140のフィルタで濾過され、輸送管102、吸気管104を通して輸送され、捕集器132で捕集されて回収ボックス133で回収される。
【0088】
所望のスプルランナが粉砕された時点で、開閉ダンパー70のダンパー71を閉じる。なお、粉砕処理が完了した時点でブロワ131の動作を一旦停止してもよい。ダンパー71を閉じた状態で、ブロワ131を動作させることにより、粉砕機50の吸気開口部80から流速の速い空気が筐体内に流れ込み、粉砕刃6、粗砕刃4、固定刃7、スクレーパ5、粗砕刃カバー31などの壁面に沿って空気が乱流となって流れ、筐体内の各部の隙間を通じて吸気管90へ流れる。空気輸送で運ばれる粉塵は、吸気管90、輸送管101、捕集器140のフィルタ、輸送管102、吸気管104を通して輸送され、捕集器132で捕集されて回収ボックス133で回収される。
【0089】
すなわち、吸引管90を通じて粉砕機50で粉砕した粉砕材を捕集器140で捕集して粉砕材と粉塵とを分離することにより、粉砕を行う都度毎回粉塵の清掃を自動的に行うことができる。
【0090】
次に、段取替時清掃について説明する。この場合、切換弁110は、切換管110a側に切り換えられ、吸気管90と輸送管103とが接続され、吸気管90と輸送管101とは接続されない。また、切換弁120は、切換管120a側に切り換えられ、吸気管104と輸送管103とが接続され、吸気管104と輸送管102とは接続されない。すなわち、吸引空気の流れは、粉砕機50の吸気口から、吸気管90、輸送管103、吸気管104、105を介してブロワ131に至る。
【0091】
スプルランナの粉砕処理が終了した時点で、開閉ダンパー70のダンパー71を閉じる。ダンパー71を閉じた状態で、ブロワ131を動作させることにより、粉砕機50の吸気開口部80から流速の速い空気が筐体内に流れ込み、粉砕刃6、粗砕刃4、固定刃7、スクレーパ5、粗砕刃カバー31などの壁面に沿って空気が乱流となって流れ、筐体内の各部の隙間を通じて吸気管90へ流れる。空気輸送で運ばれる粉塵は、吸気管90、輸送管103、吸気管104を通して輸送され、捕集器132で捕集されて回収ボックス133で回収される。
【0092】
すなわち、粉砕機50の筐体内に付着していた粉塵は、風速の速い空気の流れによって付着面から除去され、切換弁110、120によって切り替えられた輸送管103を介して回収ボックス133で回収される。これにより、色又は材質など異なる材料を粉砕する場合などの段取替時に、粉砕材と粉塵を分離して回収することができる。
【0093】
次に、粉塵の除去について説明する。上述のように、ダンパー71を閉じた状態で、ブロワ131を動作させることにより、粉砕機50の吸気開口部80から吸気することにより流速の速い空気が筐体内に流れ込み、粉砕刃6、粗砕刃4、固定刃7、スクレーパ5、粗砕刃カバー31などの表面に沿って空気が乱流となって流れ、筐体内の各部の隙間を通じて吸気管90へ流れる。この流速の速い空気の流れによって、すなわち、層流的ではなく乱流となって風速の速い空気が各部の表面、あるいは各部の隙間に流れることで、筐体内の各部に付着した粉塵は、付着面から分離され除去される。仮にダンパー71を開口した状態で吸引動作を行うと、投入口61が開口していることにより、空気の流れは、層流的な流れとなり、投入ホッパ60の空間部分を空気が流れ、そして粉砕刃6粗砕刃4の間隙に流れ込んでしまい、固定刃7スクレーパ5などの表面には低速の空気しか流れなくなり、清掃効果は極めて低下する。
【0094】
図9は本実施の形態の粉砕機50の粉塵除去の一例を示す説明図である。図9は回転軸25と垂直であって粉砕刃6の外周面を通る仮想平面における断面の様子を示す。図9に示すように、粉砕刃6の両横には、揺動側壁3が配置され、揺動側壁3の内壁と粉砕刃6の外周面との間に隙間が存在する。図9に示すように、吸気開口部80から流れ込んだ風速の速い空気S1は、揺動側壁3の内壁と粉砕刃6の外周面との間に隙間を流路として勢いよく流れ吸気口92へと流れる。
【0095】
吸気開口部80から流れ込んだ風速の速い空気S1は、乱流となって、固定刃7、スクレーパ5の表面に沿って流れ、固定刃7、スクレーパ5の表面に付着した粉塵を付着面から分離して取り除く。空気S1は、揺動側壁3の内壁と粉砕刃6の外周面との間の比較的狭い隙間を通ることで、風速があまり衰えることなく揺動側壁3の内壁表面及び粉砕刃6の表面に沿って乱流となって流れる。これにより、揺動側壁3の内壁表面及び粉砕刃6の表面に付着した粉塵を付着面から分離して取り除く。特に粉砕機50を作動させて粉砕刃6を回転しつつ吸引するので、風速の速い空気が粉砕刃6の表面全体に行渡る。
【0096】
図10は本実施の形態の粉砕機50の粉塵除去の他の例を示す説明図である。図10は回転軸25と垂直であって粗砕カバー31の外周面を通る仮想平面における断面の様子を示す。図10に示すように、揺動側壁3に形成された粗砕刃カバー31は、円弧状の溝を有し、一部が欠けた同心円状をなす。粗砕刃4と粗砕刃カバー31の内壁との間、粗砕刃カバー31と粉砕刃6との間に隙間が存在する。図10に示すように、吸気開口部80から流れ込んだ風速の速い空気S2は、粗砕刃カバー31の内側、粗砕刃カバー31と粉砕刃6との間の隙間を流路として勢いよく流れ吸気口92へと流れる。
【0097】
吸気開口部80から流れ込んだ風速の速い空気S2は、乱流となって、固定刃7、スクレーパ5の表面に沿って流れ、固定刃7、スクレーパ5の表面に付着した粉塵を付着面から分離して取り除く。空気S2は、粗砕刃4の表面、粗砕刃カバー31の内側、粗砕刃カバー31と粉砕刃6との間の比較的狭い隙間を通ることで、風速があまり衰えることなく粗砕刃カバー31の外側表面及び内側表面、粉砕刃6の表面に沿って乱流となって流れる。これにより、粗砕刃4、粗砕刃カバー31、粉砕刃6の表面に付着した粉塵を付着面から分離して取り除く。特に粉砕機50を作動させて粗砕刃4を回転しつつ吸引するので、風速の速い空気が粗砕刃4の表面全体にも行渡る。
【0098】
粉砕機50の上方空間を閉塞した場合に吸引口92を通じて吸引されたときは、吸気開口部80の風速は、8メートル/秒以上である。風速が、8メートル/秒未満の場合には、筐体内に付着した粉塵を吹き飛ばす(移動させる)ことができず、粉塵を除去することができない箇所が生じる。風速が8メートル/秒以上であれば、筐体内の隙間を通過する際の空気の流れを勢いよくして、粉塵を除去することができる。
【0099】
図11は吸気開口部80の風速の測定例を示す説明図である。図11は風速を測定するための測定治具200の構成を示す。測定治具200は、一方に開口部201を有する箱体202の底部に円形状の穴205を形成してあり、穴205には円筒状の直管203を接続している。直管203の中途部には、熱線式風速プローブを設け、直管203の内部を流れる空気の風速を検出することができる。
【0100】
吸気開口部80での風速の測定は、箱体202の開口部201で吸気開口部80を覆うようにして測定治具200を吸気開口部80が設けられた投入ホッパ60に当接させる。測定した風速をv(m/sec)、直管203の内面積をs、吸気開口部80の開口面積をSとすると、吸気開口部80の風速Vは、V=s×v/Sで求めることができる。
【0101】
上述したように、本実施の形態では、粉砕機50の筐体の下方には吸引口92を配してあり、吸引口92は、ブロワ131に接続された吸引管と連通してある。ブロワ131を作動させることにより、筐体下方の吸引口92から筐体内の空気を吸引することができる。投入ホッパ60とダンパー71とで粉砕機50の筐体の上方空間を閉塞し、閉塞された空間内に吸気するための吸気開口部80を備える。筐体上方の空間は閉塞されているので、吸引口92から空気の吸引が行われた場合、閉塞された空間内の圧力が下がり、吸気開口部80を通じて筐体外部から空気が勢いよく筐体内へ流入する。吸気開口部80から流入した空気は、筐体内の粉砕刃6、粗砕刃4、固定刃7などの隙間を、勢い(風速)が落ちることなく通過して吸引口92へ流れる。すなわち、吸気開口部80から吸引口92への空気が筐体内のあらゆる隙間を通じて勢いよく流れ筐体内に付着した粉塵を付着面から分離して清掃する。特に粉砕機を作動させて回転刃を回転しつつ吸引するので、風速の速い空気が回転刃の表面全体に行渡る。これにより、分解などの手作業による清掃作業が不要で短時間に粉塵を清掃することができる。例えば、従来であれば手作業で30分程度要した清掃作業を、自動でかつ1分程度に短縮することができる。
【0102】
また、投入ホッパ60と、投入ホッパ60を開閉する開閉ダンパー70とを備える。筐体上方の空間を閉塞する場合、開閉ダンパー70のダンパー71を閉めることにより、投入ホッパ60の内壁とダンパー71とで囲まれる空間を閉塞する。すなわち、筐体内を清掃する場合には、ダンパー71を閉じ、被処理物を粉砕するために被処理物を投入するときはダンパー71を開ける。これにより、ダンパー71の開閉により、被処理物の粉砕作業と粉塵の除去作業(清掃作業)とを容易に切り替えることができる。また、開閉ダンパー71を投入ホッパ60内に設けた場合、清掃中であっても成形機から断続的に投入されるスプルランナをダンパー71上投入ホッパ60の中に貯留することができるので、清掃中でも成形を継続することができる。ダンパー71上投入ホッパ60の中に貯留されたスプルランナは、清掃完了後開閉ダンパー71を開にすることで、粉砕処理できる。
【0103】
また、吸気開口部80を筐体と開閉ダンパー70との間に配置してある。これにより、吸気開口部80から流れ込む空気は、筐体上方から筐体内へ向かって流れ、筐体下方の吸引口92から筐体外部へ流出するので、筐体内のすべての隙間を通じて空気を流すことができる。また、吸気開口部80近傍に静電気を除去するためのイオン発生器を設けるとさらに付着物除去の効率が上がる。
【0104】
また、粉砕機50の筐体は、平面視が矩形状をなし、筐体の対角線上の2つの角部近傍上側それぞれに吸気開口部80を備える。吸気開口部80を筐体の四隅のうちの対角線上の四隅近傍に備えるので、吸気開口部80から勢いよく流れ込む空気が筐体内で渦状になって流れて粉砕刃6又は粗砕刃4と固定刃7などの隙間に満遍なく流れ込むため、筐体内の隅々まで清掃することができる。
【0105】
また、固定刃7は、回転軸25に向かって下方に傾斜して配置され、固定刃7の反対側に回転軸に向かって下方に傾斜して配置されたスクレーパ5を備える。ダンパー71を閉じて吸引口92を通じて吸引されたときは、吸気開口部80から、粉砕刃6又は粗砕刃4と固定刃7又はスクレーパ5との間の隙間を通じて吸引口92への空気の流路を形成する。これにより、粉砕刃6、粗砕刃4、固定刃7、スクレーパ5などに付着した粉塵を除去することができる。
【0106】
また、粗砕刃カバー31の溝に向けて圧縮空気(高圧空気)を噴射する噴射口41を備え、噴射口41から圧縮空気を粗砕刃カバー31の溝に向けて噴射することにより、粗砕刃カバー31の溝に付着する粉塵の除去を補助することができる。また、圧縮空気の噴射により粉塵が舞い上がったとしても、吸気開口部80から吸引口92へ流れる空気により除去することができ、粉塵が再付着することもない。また、粉砕機50を動作させながら、圧縮空気を噴射するようにすれば、噴射口41の位置を固定したとしても、粗砕刃4の表面の広範囲に圧縮空気を吹付けることができる。
【0107】
また、粉砕刃6に向けて圧縮空気を噴射するように噴射口41を配置することもできる。噴射口41から圧縮空気を回転刃に向けて噴射することにより、粉砕刃6に付着する粉塵の除去を補助することができる。また、圧縮空気の噴射により粉塵が舞い上がったとしても、吸気開口部80から吸引口92へ流れる空気により除去することができ、粉塵が再付着することもない。また、粉砕機50を動作させながら、圧縮空気を噴射するようにすれば、噴射口41の位置を固定したとしても、粉砕刃6の表面の広範囲に圧縮空気を吹付けることができる。また、この圧縮空気に静電気を除去するためのイオン発生器を設けるとさらに付着物除去の効率が上がる。
【0108】
実施の形態2
図12は実施の形態2の吸気開口部80の配置例を示す模式図である。実施の形態1では、粉砕刃6を間にして対向する揺動側壁2の角部上方に吸気開口部80を配置したが、吸気開口部80の配置はこれに限定されるものではなく。例えば、図12に示すように、粉砕刃6の両端部の固定側壁2の上方に設けることもできる。この場合も、それぞれの吸気開口部80から流れ込んだ空気は、粉砕機50の上面で渦巻状に回転し、粉砕刃6又は粗砕刃4と固定刃7などの隙間に満遍なく流れ込むため、筐体内の隅々まで清掃することができる。
【0109】
実施の形態3
図13は実施の形態3の吸気開口部80の一例を示す模式図である。上述の実施の形態では、投入ホッパ管60の下方に吸気開口部80を設ける構成であったが、これに限定されるものではない。図13に示すように、開閉ダンパー70のダンパー71を一部開放して吸気開口部80を形成することもできる。すなわち、ダンパー71の端部と投入ホッパ60の壁面との間に隙間が生じる程度にダンパー71を一部開放する。粉砕機50の筐体内を清掃する場合には、ダンパー71を完全には閉じずに隙間が生じるように一部開放する。被処理物を粉砕する場合には、ダンパー71を完全に開放する。
【0110】
ダンパー71の一部開放状態(どの程度開放するか)を変えることにより、吸気開口部80の大きさを自由に調整することができる。これにより、開閉ダンパー70で吸気開口部80を共用できるので、投入ホッパ60の壁面などに吸気開口部80を別途設ける必要がなく、また、吸気開口部80を流れる空気の風速を調整することが可能となる。例えば、ブロワ131の容量、性能などに応じてダンパー71の開放具合を調整することができ、粉砕システムの設計の自由度を高めることができる。
【0111】
実施の形態4
図14は実施の形態4の吸気開口部80の要部断面図であり、図15は実施の形態4の吸気開口部80の要部側面図である。図14及び図15に示すように、投入ホッパ60の所要の位置に矩形状の吸気開口部80を設けてある。吸気開口部80を塞ぐことができる程度の寸法を有する開閉扉64を投入ホッパ60の内壁に配置するとともに、開閉扉64を開閉可能に取り付ける固定板63を投入ホッパ60の内壁に固定する。固定板63の一端側は、コイル状にして開閉扉64を閉じる方向に付勢してある。また、開閉扉64の下側には自重で吸気開口部80を塞ぐように重り65を取り付けてある。
【0112】
ダンパー71を開放した場合は、吸引口92から吸引されても開閉扉64は、自重と固定板63の付勢力により吸気開口部80を塞いだままである。ダンパー71を閉じて、粉砕機50の上方に投入ホッパ60とダンパー71とにより閉塞空間を形成した場合には、吸引口92から吸引されると閉塞空間の圧力が低下し、開閉扉64の外側には内側より高い空気圧がかかり、開閉扉64が開き、吸気開口部80の外側から勢いよく空気が流入する。開閉扉64は、空気の流れによる力と付勢力とが均衡した位置で吸気開口部80を開放する。
【0113】
実施の形態5
図16は実施の形態5の粉砕機50の要部断面図である。図16は図4と同様の位置における断面図を示す。上述の実施の形態との違いは開閉ダンパー70を具備しない点である。図16に示すように、投入ホッパ60の上部に投入扉66を回転機構67に取り付けてあり、投入扉66で投入ホッパ60を開閉することができる。すなわち、投入扉66を閉めることにより、粉砕機50の上方に閉塞空間83を形成することができる。なお、投入ホッパ60の高さ、すなわち、閉塞空間83の大きさは、適宜設定することができる。
【0114】
なお、図16の例では、投入扉66を投入ホッパ60と上部に設ける構成であるが、これに限定されるものではなく、例えば、投入ホッパ60の中程度の高さ位置、あるいは下方に設けることもできる。
【0115】
上述の実施の形態では、粉砕機は揺動側壁が開く構成であったが、揺動側壁の開閉機構はどのような構造のものであってもよい。また、揺動側壁を具備せずに粉砕機の筐体を4側壁で固定したもの、あるいは4側壁を一体化したものであってもよい。また、本発明は、1軸式の粉砕機だけでなく、粗砕刃と粉砕刃とをそれぞれ別個の回転軸に取り付けた2軸式の粉砕機にも適用することが可能である。
【0116】
上述の実施の形態において、吸気開口部80の大きさを小さくすると、ブロワ131からの吸気に対して、吸気開口部80からの吸気を十分に確保することができず、空気が流れず風速の速い空気の流れを得ることができない。また、吸気開口部80の大きさを大きくすると、風速が低下する。吸気開口部80の大きさは適宜設定することにより、吸気開口部80での風速が8メートル/秒とすることができる。
【0117】
上述の実施の形態において、粉砕機50の筐体と投入ホッパ60とが当接する箇所は、特段の密閉処理は必要ではない。本実施の形態での閉塞空間は、例えば、投入ホッパ60を筐体上に載置する程度で十分な閉塞性を確保することができる。
【0118】
上述の実施の形態において、粉砕刃カバーの円弧状の外周面の最下部分に、空気が流れるスリット又は穴などを設けてもよい。ただし、スリット又は穴の寸法は、所定の大きさに粉砕されていない被処理物が通過して落下しない程度の大きさにする必要がある。これにより、粗砕刃カバーの溝の最下部分に空気が一層流れ込むことになり、粉塵を除去することができる。
【0119】
本発明は、実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0120】
2 固定側壁(筐体、側壁)
3 揺動側壁(筐体、側壁)
4 粗砕刃(回転刃)
5 スクレーパ
6 粉砕刃(回転刃)
7 固定刃
25 回転軸
31 粗砕刃カバー
40 エアー配管
41 噴射口
50 粉砕機
60 投入ホッパ
70 開閉ダンパー
71 ダンパー
72 エアシリンダ
80 吸気開口部
83 閉塞空間
90 吸気管
91 材料受部
92 吸気口
110、120 切換弁
101、102、103 輸送管
104、105 吸気管
140 捕集器(捕集手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側及び下側が開口した筐体と、該筐体内で横置きされた回転軸に取り付けられた回転刃と、該回転刃と係合し前記筐体内に配置された固定刃とを備え、前記回転刃と固定刃との協働により被処理物を粉砕する粉砕機において、
前記筐体の下方に配された吸引口と、
前記筐体の上方空間を閉塞する閉塞部と、
前記閉塞部で閉塞された空間内に吸気するための吸気開口部と
を備えることを特徴とする粉砕機。
【請求項2】
前記閉塞部は、
前記筐体上に載置され被処理物を投入するための投入ホッパと、
該投入ホッパを開閉する開閉ダンパーと
を備え、
前記投入ホッパと開閉ダンパーで囲まれる空間を閉塞するように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の粉砕機。
【請求項3】
前記吸気開口部を前記筐体と開閉ダンパーとの間に配置してあることを特徴とする請求項2に記載の粉砕機。
【請求項4】
前記開閉ダンパーを一部開放して前記吸気開口部を形成するようにしてあることを特徴とする請求項2に記載の粉砕機。
【請求項5】
前記筐体は、平面視が矩形状をなす4側壁を備え、
対向する側壁の上側に前記吸気開口部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の粉砕機。
【請求項6】
前記筐体は、平面視が矩形状をなし、
前記筐体の対角線上の2つの角部近傍上側それぞれに前記吸気開口部を備えることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の粉砕機。
【請求項7】
前記固定刃は、前記回転軸に向かって下方に傾斜して配置され、
前記固定刃の反対側に前記回転軸に向かって下方に傾斜して配置されたスクレーパを備え、
前記閉塞部で空間を閉塞した場合に前記吸引口を通じて吸引されたときは、
前記吸気開口部から、前記回転刃と前記固定刃又はスクレーパとの間の隙間を通じて前記吸引口への空気の流路を形成するようにしてあることを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の粉砕機。
【請求項8】
前記閉塞部で空間を閉塞した場合に前記吸引口を通じて吸引されたときは、前記吸気開口部の風速は、8メートル/秒以上であることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の粉砕機。
【請求項9】
前記回転刃に向けて圧縮空気を噴射する噴射口を備えることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の粉砕機。
【請求項10】
前記回転刃は、前記回転軸の周面から円弧状に突出した粗砕刃を有し、
該粗砕刃の回転領域を囲う円弧状の溝を有する粗砕刃カバーと、
該粗砕刃カバーの溝に向けて圧縮空気を噴射する噴射口と
を備えることを特徴とする請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の粉砕機。
【請求項11】
請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載の粉砕機と、該粉砕機の吸引口と連通する吸引管と、該吸引管に接続された吸気手段とを備えることを特徴とする粉砕システム。
【請求項12】
前記吸引管に粉砕材を捕集する捕集手段を備えることを特徴とする請求項11に記載の粉砕システム。
【請求項13】
前記吸引管は、
切換弁を介して分岐した2つの輸送管を備え、
前記捕集手段を一方の輸送管に介装してあることを特徴とする請求項12に記載の粉砕システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−131169(P2011−131169A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−293259(P2009−293259)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(000146054)株式会社松井製作所 (70)
【Fターム(参考)】