説明

粉砕機及び粉砕システム

【課題】手作業による清掃作業が不要で短時間に清掃することができる粉砕機及び粉砕システムを提供する。
【解決手段】空気流入孔82、空気流入孔82と連通した環状の空気管81及び筐体の上方を覆う上蓋部を有する空気管ユニットを筐体の上方に配置してある。空気管ユニットの空気管81には、筐体の方向に向けた複数のノズル孔812を形成してある。空気流入孔82から断続的に取り入れた圧縮空気を、空気管81を介してノズル孔812から吹き出す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉砕片又は粉塵の清掃を容易にして、清掃時間を短縮するとともに、粉砕片又は粉塵の残留を防止することができる粉砕機及び該粉砕機を備える粉砕システムに関する。
【背景技術】
【0002】
環境汚染あるいは産業廃棄物の増加などの問題を解決するため、循環型社会の形成が益々重要になってきている。例えば、プラスチックに代表される合成樹脂を用いて成形品又は成形部品を製造する成形工場では、成形時に発生するスプルランナと称される不要部分あるいは成形不良品などを回収して樹脂素材の資源再利用率を向上させることが行われている。
【0003】
樹脂素材のリサイクルには、回収したスプルランナを粉砕機で所定の大きさの粉砕材にしてリサイクル原資としている。このような粉砕機は、投入ホッパから投入されたスプルランナ(被処理物)を細砕刃に食い込み易くするため、まず粗砕刃で粗砕し、粗砕された材料を細砕刃で所定の粒形状の粉砕材に粉砕している。粗砕刃と細砕刃とをそれぞれ別の回転軸に固定した2軸式の粉砕機に比べて、粗砕刃と細砕刃とを1つの回転軸に固定した1軸式の粉砕機は、回転軸を駆動する駆動部品が少なく構造もシンプルであるため、工場内リサイクルを目指す多くの事業所で利用されている。
【0004】
一方、粉砕する材料を変更する場合、異なる材料が混在しないように、材料が変更される都度、粉砕機に残留した粉砕片を清掃する必要がある。粉砕片は、刃先が複雑な形状をした細砕刃の隙間、粗砕刃の周囲、粗砕刃で粗砕された材料が排出されることを防止する粗砕刃カバーの内側などの様々な箇所に残留するため、粉砕機の内部を清掃するためには、粗砕刃及び細砕刃などを取り外して分解清掃する必要があり、清掃作業に時間を要するとともに清掃作業が困難であった。そこで、清掃時間を短縮するとともに、清掃作業を容易にするために、粗砕刃及び細砕刃を覆うケーシング本体の一対の面を両開き構造にする粉砕機が製品化されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3966892号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の粉砕機にあっては、粉砕機自体の清掃の時間は短縮されたものの、清掃の前には、エアーダストパージのガン、掃除機又はブラシ等の清掃器具を準備する必要があり、また清掃の後は、これらの清掃器具の掃除や後片付けまで含め表面化しない多くの手間と時間とを浪費していた。このため、さらに清掃の手間と時間の削減が望まれていた。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、手作業による清掃作業が不要で短時間に清掃することができる粉砕機及び該粉砕機を備える粉砕システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る粉砕機は、上側及び下側が開口した筐体と、該筐体内で横置きされた回転軸に取り付けられた回転刃と、前記筐体内に配置され前記回転刃と係合する固定刃とを備え、前記回転刃と固定刃との協働により被処理物を粉砕する粉砕機において、前記筐体の上方に配され、空気流入孔、該空気流入孔と連通した空気管及び前記筐体の上方を覆う上蓋部を有する空気管ユニットと、前記筐体の下方に配され、空気を吸引するための吸引口とを備え、前記空気管ユニットは、前記筐体の方向に向けた複数のノズル孔を前記空気管に形成してあり、前記空気流入孔から断続的に取り入れた圧縮空気を、前記空気管を介して前記ノズル孔から吹き出すように構成してあることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る粉砕機は、第1発明において、前記筐体は、4面の側壁を有し、前記空気管ユニットは、前記側壁上に前記空気管を配置してあり、前記側壁の内側に前記ノズル孔を配置してあることを特徴とする。
【0010】
第3発明に係る粉砕機は、第1発明又は第2発明において、前記回転刃は、前記回転軸の周面に設けられた細砕刃及び該周面から弧状に突出した粗砕刃を有し、前記空気管ユニットは、前記粗砕刃の位置に整合させて前記空気管から分岐され、端部が閉塞された枝管を備え、前記粗砕刃の方向に向けたノズル孔を前記枝管に形成してあることを特徴とする。
【0011】
第4発明に係る粉砕機は、上側及び下側が開口した筐体と、該筐体内で横置きされた回転軸に取り付けられた回転刃と、前記筐体内に配置され前記回転刃と係合する固定刃とを備え、前記回転刃と固定刃との協働により被処理物を粉砕する粉砕機において、前記筐体の上方に配され、空気流入孔、該空気流入孔と連通した空気管及び前記筐体の上方を覆う上蓋部を有する空気管ユニットと、前記筐体の下方に配され、空気を吸引するための吸引口とを備え、前記回転刃は、前記回転軸の周面に設けられた細砕刃及び該周面から弧状に突出した粗砕刃を有し、前記空気管は、端部が閉塞され、前記粗砕刃の位置に整合させて配置してあり、該粗砕刃の方向に向けたノズル孔を形成してあることを特徴とする。
【0012】
第5発明に係る粉砕機は、第4発明において、前記筐体は、前記固定刃を固定した側壁と、該側壁に対向する対向側壁とを備え、前記空気管に形成されたノズル孔を、前記回転軸より前記対向側壁側に設けてあることを特徴とする。
【0013】
第6発明に係る粉砕機は、第1発明乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記空気管ユニットを、前記筐体の上側の開口を覆う位置と該筐体の該開口を開放する位置との間で移動させる駆動部を備えることを特徴とする。
【0014】
第7発明に係る粉砕機は、第1発明乃至第5発明のいずれか1つにおいて、前記空気管ユニットを前記筐体に着脱可能に取り付ける取付部を備えることを特徴とする。
【0015】
第8発明に係る粉砕機は、第1発明乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記筐体の下方に配され、前記吸引口と連通する収容空間を有し、粉砕片を収容する収容部と、一端側に空気流入孔を有し、他端側を閉塞させ、前記収容空間内に配された下部空気管とを備え、該下部空気管は、前記収容部の内壁の方向に向けた複数の第1のノズル孔を形成してあることを特徴とする。
【0016】
第9発明に係る粉砕機は、第8発明において、前記下部空気管は、前記筐体内の方向に向けた複数の第2のノズル孔を有し、該第2のノズル孔の径は前記第1のノズル孔の径よりも大きいことを特徴とする。
【0017】
第10発明に係る粉砕機は、第8発明又は第9発明において、前記収容部は、前記下部空気管を挿通する挿通孔を有し、前記下部空気管を摺動可能に取り付けてあることを特徴とする。
【0018】
第11発明に係る粉砕システムは、前述の発明のいずれか1つに係る粉砕機と、該粉砕機の空気流入孔と連通する空気供給管と、該空気供給管に接続された空気源と、前記空気供給管に介装された空気タンクと、該空気タンクと前記空気流入孔との間の空気供給管に介装された電磁弁とを備えることを特徴とする。
【0019】
第1発明にあっては、空気流入孔、当該空気流入孔と連通した空気管及び筐体の上方を覆う上蓋部を有する空気管ユニットを筐体の上方に配置してある。空気管ユニットの空気管には、筐体の方向に向けた複数のノズル孔を形成してある。筐体の下方には空気を吸引するための吸引口を配置してある。吸引口には、例えば、吸気管、捕集器、ブロワなどが接続されている。これにより、空気流入孔、空気管、複数のノズル孔、筐体内部、吸引口の順で空気の流路が形成される。そして、空気流入孔から断続的に取り入れた圧縮空気を、空気管を介してノズル孔から吹き出す。断続的に圧縮空気を空気流入孔に取り込むためには、例えば、空気流入孔と空気源との間の空気供給管に所要の容量の空気タンク及び電磁弁を介装させておき、空気タンクで蓄圧した少量の空気を、電磁弁を開いて一気に開放すればよい。
【0020】
空気流入孔から取り込まれた高圧の空気は一旦空気管を流れる。空気管の断面積(径)は、一般的な噴射ノズルに接続されるような配管の断面積(径)に比べて大きくすることができるので、圧縮空気が配管中を流れるに従いその圧力を次第に減ずる圧力損失を低減することができ、高圧のままの空気を一気に複数のノズル孔から放出することができる。また、空気管の径(断面積)は、複数のノズル孔の径に比べて大きくすることができるので、圧力損失が少なく、高圧の空気が管状の空気管の内部でほぼ均一にすることができる。このため、空気流入孔から各ノズル孔までの距離(寸法)が異なっていても、ノズル孔の径を同一にした場合には、複数のノズル孔から均一な圧力の空気を放出することができる。
【0021】
複数のノズル孔から放出された高圧の空気は、回転刃、回転軸、固定刃、筐体の内壁など筐体内に付着した粉砕片(粉塵を含む)を吹き飛ばすことができる。そして、吹き飛ばされた粉砕片は、筐体下方に配された吸引口から排出される。断続的に所要回数繰り返してノズル孔から圧縮空気を放出することにより、粉砕機(筐体内)に付着する粉砕片を自動的に短時間で除去することができる。そして、エアーダストパージのガン、掃除機又はブラシ等の清掃器具の掃除や後片付けなどの手作業が不要となり、短時間に粉砕機を清掃することができる。
【0022】
第2発明にあっては、筐体は、4面の側壁を有する。空気管ユニットは、側壁上に空気管を配置してあり、側壁の内側にノズル孔を配置してある。すなわち、4面の側壁上に各側壁に沿って平面視が矩形状の空気管を配置し、空気管に形成した複数のノズル孔を空気管の下方であって側壁の内側になるように配置する。これにより、筐体を構成する各側壁の内側にノズル孔からの圧縮空気(高圧空気)が放出されるので、筐体内に付着した粉砕片を吹き飛ばして確実に除去(吸引口から粉砕機の外部、例えば、捕集器などに排出)することができる。
【0023】
第3発明にあっては、回転刃は、回転軸の周面に設けられた細砕刃及び周面から弧状に突出した粗砕刃を有する。空気管ユニットは、粗砕刃の位置に整合させて、空気管から分岐され、端部が閉塞された枝管を備える。すなわち、筐体の上方に配された管状の空気管から分岐した枝管を粗砕刃の位置に整合させて配置する。そして、枝管には、粗砕刃の方向に向けたノズル孔を形成してある。これにより、回転軸の周面から突出した粗砕刃にもノズル孔から圧縮空気(高圧空気)を放出することができるので、粗砕刃に付着した粉砕片を吹き飛ばし、筐体内(特に粗砕刃)に付着した粉砕片を一層確実に除去することができる。
【0024】
第4発明にあっては、空気流入孔、当該空気流入孔と連通した空気管及び筐体の上方を覆う上蓋部を有する空気管ユニットを筐体の上方に配置してある。回転刃は、回転軸の周面に設けられた細砕刃及び当該周面から弧状に突出した粗砕刃を有する。空気管ユニットの空気管は、端部が閉塞され、粗砕刃の位置に整合させて配置してあり、粗砕刃の方向に向けたノズル孔を形成してある。筐体の下方には空気を吸引するための吸引口を配置してある。吸引口には、例えば、吸気管、捕集器、ブロワなどが接続されている。これにより、空気流入孔、空気管、ノズル孔、筐体内部、吸引口の順で空気の流路が形成される。そして、空気流入孔から断続的に取り入れた圧縮空気を、空気管を介してノズル孔から吹き出す。断続的に圧縮空気を空気流入孔に取り込むためには、例えば、空気流入孔と空気源との間の空気供給管に所要の容量の空気タンク及び電磁弁を介装させておき、空気タンクで蓄圧した少量の空気を、電磁弁を開いて一気に開放すればよい。
【0025】
空気流入孔から取り込まれた高圧の空気は一旦空気管を流れる。空気管の断面積(径)は、一般的な噴射ノズルに接続されるような配管の断面積(径)に比べて大きくすることができるので、圧縮空気が配管中を流れるに従いその圧力を次第に減ずる圧力損失を低減することができ、高圧のままの空気を一気にノズル孔から放出することができる。また、空気管の径(断面積)は、ノズル孔の径に比べて大きくすることができるので、圧力損失が少なく、高圧の空気が管状の空気管の内部でほぼ均一にすることができる。このため、空気流入孔からノズル孔までの距離(寸法)が異なっていても、ノズル孔の径を同一にした場合には、複数のノズル孔から均一な圧力の空気を放出することができる。
【0026】
ノズル孔から放出された高圧の空気は、回転軸の周面から突出した粗砕刃に放出され、粗砕刃に当たり反射した空気が筐体内に放出されるので、回転刃、回転軸、固定刃、筐体の内壁など筐体内に付着した粉砕片(粉塵を含む)を吹き飛ばすことができる。そして、吹き飛ばされた粉砕片は、筐体下方に配された吸引口から排出される。断続的に所要回数繰り返してノズル孔から圧縮空気を放出することにより、粉砕機(筐体内)に付着する粉砕片を自動的に短時間で除去することができる。そして、エアーダストパージのガン、掃除機又はブラシ等の清掃器具の掃除や後片付けなどの手作業が不要となり、短時間に粉砕機を清掃することができる。
【0027】
第5発明にあっては、筐体は、固定刃を固定した側壁と、当該側壁に対向する対向側壁とを備える。空気管に形成されたノズル孔を、回転軸より対向側壁側に設けてある。回転軸の周面から弧状に突出した粗砕刃は、回転軸の上側では、回転軸の周面に沿って、対向側壁側から固定刃が固定された側壁側へ向かって回転して固定刃との協働により材料を粉砕する。ノズル孔を、回転軸より対向側壁側に設けてあるので、ノズル孔から圧縮空気(高圧空気)を放出させた場合、粗砕刃が回転しているため、弧状に突出した粗砕刃の周部に当たった圧縮空気は方向を変えて、筐体内へ隈なく放出される。例えば、外周部に圧縮空気が当たると当該圧縮空気は、弧状の外周部で反射して対向側壁側へ放出される。また、弧状に突出した粗砕刃の内周部に圧縮空気が当たると当該圧縮空気は、弧状の内周部で反射して固定刃が固定された側壁側へ放出され、筐体内を隈なく清掃することができる。
【0028】
第6発明にあっては、空気管ユニットを、筐体の上側の開口を覆う位置と筐体の開口を開放する位置との間で移動させる駆動部を備える。粉砕機の清掃時には、筐体の上側の開口を覆う位置に空気管ユニットを配置し、粉砕処理時には、粉砕すべき材料が、筐体上部に配置した投入ホッパから筐体内へ投入できるように、筐体の上側の開口を開放した位置に空気管ユニットを配置する。すなわち、駆動部は、空気管ユニットを筐体上方で水平方向に移動させる。駆動部は、例えば、エアシリンダなどを用いることができる。また、空気管ユニットの移動方向に沿ってレールなどの突条を配置し、空気管ユニットを突条に沿って手動で摺動させるようにしてもよい。これにより、材料の切り替えなどにより粉砕機の使用中に、頻繁に清掃を行う必要があるときでも、空気管ユニットを水平方向にスライドさせるだけで、粉砕処理から清掃処理、さらに清掃処理から粉砕処理へと簡単に移ることができ、清掃の準備のための手間を大幅に削減することができる。
【0029】
第7発明にあっては、空気管ユニットを筐体に着脱可能に取り付ける取付部を備える。取付部は、例えば、空気管ユニットを筐体上に固定するための固定金具などである。これにより、材料の切り替えなどにより粉砕機の使用中に、頻繁に清掃を行う必要があるときでも、空気管ユニットを着脱するだけで、粉砕処理から清掃処理、さらに清掃処理から粉砕処理へと簡単に移ることができ、清掃の準備のための手間を大幅に削減することができる。
【0030】
第8発明にあっては、吸引口と連通する収容空間を有し、粉砕片を収容する収容部を筐体の下方に配置してある。収容空間内には、一端側に空気流入孔を有し、他端側を閉塞させた下部空気管を配置してある。下部空気管は、例えば、収容部内で水平方向(横向き)に配置することができる。下部空気管には、収容部の内壁の方向に向けた複数の第1のノズル孔を形成してある。第1のノズル孔は、例えば、下部空気管から水平方向に圧縮空気が放出される位置、及び/又は下部空気管から斜め下方に圧縮空気が放出される位置に形成することができる。
【0031】
そして、空気管ユニットと同様に、空気流入孔から断続的に取り入れた圧縮空気を、下部空気管を介してノズル孔から吹き出す。断続的に圧縮空気を空気流入孔に取り込むためには、例えば、空気流入孔と空気源との間の空気供給管に所要の容量の空気タンク及び電磁弁を介装させておき、空気タンクで蓄圧した少量の空気を、電磁弁を開いて一気に開放すればよい。
【0032】
空気流入路から取り込まれた高圧の空気は一旦下部空気管を流れる。下部空気管の断面積(径)は、一般的な噴射ノズルに接続されるような配管の断面積(径)に比べて大きくすることができるので、圧縮空気が配管中を流れるに従いその圧力を次第に減ずる圧力損失を低減することができ、高圧のままの空気を一気に複数の第1のノズル孔から放出することができる。また、下部空気管の径(断面積)は、複数の第1のノズル孔の径に比べて大きくすることができるので、圧力損失が少なく、高圧の空気が下部空気管の内部でほぼ均一にすることができる。このため、空気流入孔から各ノズル孔までの距離(寸法)が異なっていても、ノズル孔の径を同一にした場合には、複数の第1のノズル孔から均一な圧力の空気を放出することができる。
【0033】
エラストマーのような摩擦係数や安息角が大きく、弾性変形の大きな材料を粉砕した場合、粉砕した後の粉砕片の形状が細かな粒状ではなく、線状に連鎖した形状、粒形状がいびつな状態、切断時に引き伸ばされて長いヒゲがある状態、あるいは強い静電気を帯びた状態となる。このため、収容部の内側に粉砕片が強固に付着し、ブリッジ、あるいはラットホールなどを形成し、収容部内で閉塞状態となる場合もあり、清掃の手間が多大であった。
【0034】
複数の第1のノズル孔から放出された高圧の空気は、収容部の内壁に強固に付着した粉砕片を吹き飛ばすことができる。そして、吹き飛ばされた粉砕片は、収容部の収容空間と連通する吸引口から排出される。断続的に所要回数繰り返して第1のノズル孔から圧縮空気を放出することにより、収容部内に付着する粉砕片を自動的に短時間で除去することができる。そして、エアーダストパージのガン、掃除機又はブラシ等の清掃器具の掃除や後片付けなどの手作業が不要となり、短時間に粉砕機を清掃することができる。
【0035】
第9発明にあっては、下部空気管は、筐体内の方向に向けた複数の第2のノズル孔を有し、第2のノズル孔の径は第1のノズル孔の径よりも大きい。第2のノズル孔は、例えば、下部空気管から上方又は斜め上方に圧縮空気が放出される位置に形成することができる。すなわち、第2のノズル孔により、筐体の下側から圧縮空気を回転刃、回転軸、固定刃、筐体の内壁などに向かって放出することができる。また、第2のノズル孔の径は第1のノズル孔の径よりも大きいので、筐体内の広い範囲に圧縮空気を放出することができ、粉砕機(筐体内)に付着する粉砕片を自動的に一層短時間で除去することができる。
【0036】
第10発明にあっては、収容部は、下部空気管を挿通する挿通孔を有し、下部空気管を摺動可能に取り付けてある。清掃時には、下部空気管を収容部内に配置し、粉砕時には、下部空気管を摺動させて収容部の外側に引き出すことができる。これにより、材料の切り替えなどにより粉砕機の使用中に、頻繁に清掃を行う必要があるときでも、下部空気管を摺動させるだけで、粉砕処理から清掃処理、さらに清掃処理から粉砕処理へと簡単に移ることができ、清掃の準備のための手間を大幅に削減することができる。
【0037】
第11発明にあっては、粉砕機と、粉砕機の空気流入孔と連通する空気供給管と、空気供給管に接続された空気源と、空気供給管に介装された空気タンクと、空気タンクと空気流入孔との間の空気供給管に介装された電磁弁とを備える。電磁弁で空気供給管を閉じた状態で空気タンクに圧縮空気(高圧空気)を蓄圧する。電磁弁を開放することにより、空気タンクに蓄えられた圧縮空気は、空気供給管を通り、空気管ユニットに到り複数のノズル孔から一気に放出される。電磁弁の開閉を適宜に周期で繰り返すことにより、ノズル孔から圧縮空気を断続的に放出することができ、粉砕機(筐体内)に付着する粉砕片を自動的に短時間で除去することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、粉砕機(筐体内)に付着する粉砕片を自動的に短時間で除去することができる。そして、エアーダストパージのガン、掃除機又はブラシ等の清掃器具の掃除や後片付けなどの手作業が不要となり、短時間に粉砕機を清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態1に係る粉砕機の設置例の概要を示す外観斜視図である。
【図2】実施の形態1に係る粉砕機の空気管ユニットを取り外した状態の一例を示す要部平面図である。
【図3】実施の形態1に係る粉砕機の空気管ユニットを取り外した状態の一例を示す要部側面図である。
【図4】実施の形態1に係る粉砕機の空気管ユニットを取り付けた状態の一例を示す要部平面図である。
【図5】実施の形態1に係る粉砕機の空気管ユニットを取り付けた状態の一例を示す側面図である。
【図6】実施の形態1に係る粉砕機の空気管ユニットを取り付けた状態の一例を示す正面図である。
【図7】実施の形態1の空気管ユニットの一例を示す底面図である。
【図8】実施の形態1の空気管ユニットの一例を示す要部断面図である。
【図9】実施の形態1の下部空気管の一例を示す要部外観図である。
【図10】実施の形態1の粉砕システムの構成の一例を示す模式図である。
【図11】空気管ユニットの設置方法の他の例を示す模式図である。
【図12】実施の形態2に係る粉砕機の空気管ユニットを取り付けた状態の一例を示す要部平面図である。
【図13】実施の形態2に係る粉砕機の空気管ユニットを取り付けた状態の一例を示す正面図である。
【図14】実施の形態2に係る粉砕機の空気管ユニットを取り付けた状態の一例を示す側面図である。
【図15】実施の形態2に係る粉砕機の空気管ユニットを取り付けた状態の一例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
(実施の形態1)
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は実施の形態1に係る粉砕機の設置例の概要を示す外観斜視図である。図1中、50は本実施の形態に係る粉砕機である。粉砕機50は、上側と下側が開口した筐体を備える。粉砕機50は、中央部が開口した金属製の支持台1にボルト等で固定されている。支持台1の下側には、粉砕機50の下部に取り付けられた材料の収容部(図1では不図示)が配置されている。収容部は、粉砕片を収容する収容区間を有し、該収容空間と連通する吸引口にブロワなどの吸気手段に接続された吸引管65を接続している。
【0041】
粉砕機50の上方には、略S字状の投入ホッパ70を設けている。投入ホッパ70の下側縁部には、開閉用の軸を設けてあり、軸回りに約90度投入ホッパ70を回転させることにより、粉砕機50の上方を開放することができる。図1の例は、投入ホッパ50を約90度傾けた状態を示し、例えば、粉砕機50の清掃を行う場合を表す。
【0042】
なお、投入ホッパ70の内部は開放され、投入ホッパ70を直立させた状態では、投入口71から投入された被処理物(スプルランナ)は粉砕機50へ供給される。
【0043】
粉砕機50の上方には、空気管ユニット80を取付部としての取付金具84により粉砕機50の筐体に着脱可能に取り付けてある。空気管ユニット80は、空気流入孔82、空気流入孔82と連通した空気管81及び粉砕機50の筐体の上方を覆う上蓋部83などを有する。空気流入孔82には、空気供給管106を接続してある。空気管81及び空気流入孔82は、例えば、金属製とすることができる。また、上蓋部83は、例えば、透明の合成樹脂製とすることにより、粉砕片の除去状況、あるいは清掃の進捗状況などを外部から目視することが可能となる。
【0044】
粉砕機50で粉砕処理を行う場合には、粉砕機50の筐体から空気管ユニット80を取り外し、投入ホッパ70を直立した状態にする。また、粉砕機50の清掃を行う場合には、投入ホッパ70を約90度傾け、粉砕機50の筐体に空気管ユニット80を取り付ける。
【0045】
図2は実施の形態1に係る粉砕機50の空気管ユニット80を取り外した状態の一例を示す要部平面図であり、図3は実施の形態1に係る粉砕機50の空気管ユニット80を取り外した状態の一例を示す要部側面図である。図2及び図3に示すように、支持台1の上面には、適長離隔した1対の金属製の固定側壁2、2を対設してあり、固定側壁2、2の両側部には、1対の金属製の揺動側壁3、3が固定側壁2、2で挟まれるように配置してあり、4面の側壁である固定側壁2、2、及び揺動側壁3、3により筐体を構成している。そして、粉砕機50の筐体は、上側及び下側が開口している。
【0046】
一方の固定側壁2の略中央部には、軸受10が取り付けられてあり、他方の固定側壁2には、減速機を有する電動モータ11が取り付けられてあり、電動モータ11のモータ軸に連動する回転軸25が固定側壁2、2の間に軸架されている。
【0047】
固定側壁2、2、及び揺動側壁3、3で囲まれる空間には、回転軸25に嵌装された回転刃としての粗砕刃4、4、及び細砕刃6、6、6が収容される。粗砕刃4、4は、回転軸25の周面から弧状に突出している。すなわち、粗砕刃4、4は、回転方向に向かって先端部(刃先部)が湾曲したアーム状をなし回転軸25の軸方向に適長離隔して配置されている。細砕刃6、6、6は、固定側壁2と粗砕刃4との間、及び粗砕刃4、4の間に配置され、回転軸25方向に所定の間隔で環状溝が形成され、隣接する環状溝間の環状突起部の外周面を鋸歯状に形成されている。
【0048】
揺動側壁3、3は、回転軸25に平行な揺動軸21、22の回りに揺動可能であり、揺動側壁3、3を開くことにより、筐体内部が上向きに開放される。一方の揺動側壁3の内側には、各粗砕刃4、及び各細砕刃6との協働により被処理物(スプルランナ)を粉砕するための矩形の板状の第1固定刃7a、…、及び第2固定刃7bで構成される固定刃7が、内側に向かって下方向に傾斜するように固定されている。
【0049】
第1固定刃7aは、長手方向の寸法が細砕刃6の軸方向の寸法と略同一であり、長辺側の一方の縁部は、細砕刃6の刃先と噛み合うように凹凸状に形成された歯部を有し、ボルト9、…で揺動側壁3の内側に固定されている。また、第1固定刃7aの短辺側であって粗砕刃4と近接する縁部には、粗砕刃4との協働により被処理物を粉砕する歯部を形成している。
【0050】
第2固定刃7bは、長手方向の寸法が揺動側壁3の軸方向の寸法と略同一であり、長辺側の一方の縁部であって、粗砕刃4と近接する箇所には、粗砕刃4との協働により被処理物を粉砕する歯部を形成している。第2固定刃7bは、ボルト(不図示)により第1固定刃7a、…の長辺側の他方の縁部に当接するように揺動側壁3の内側に固定されている。
【0051】
揺動側壁3の内側であって固定刃7の下側には、粗砕刃4、4で粗砕され、所定の大きさに粉砕されていない被処理物が排出されることを防止するため、粗砕刃カバー31が設けられている。粗砕刃カバー31は、粗砕刃4、4の回転軌道を覆うように内側に円弧状の溝加工が施されている。
【0052】
他方の揺動側壁3の内側には、細砕刃6、6、6で所定の大きさ(粒形状)に粉砕された粉砕材を掻き落とし、筐体の下側の収容部73(図5参照)へ排出するための略矩形の板状のスクレーパ5が、ボルト8、8、8により内側に向かって下方向に傾斜するように固定されている。
【0053】
スクレーパ5は、粗砕刃4、4が回転する部分に矩形状の切り込みを形成してあり、長辺側の一方の縁部であって、細砕刃6、6、6と近接する箇所には、細砕刃6の刃先と噛み合うように凹凸状に形成された掻き落とし部を形成している。
【0054】
揺動側壁3の内側であってスクレーパ5の下側には、粗砕刃4、4で粗砕され、未だ所定の大きさに粉砕されていない被処理物が排出されることを防止するため、粗砕刃カバーが設けられている。粗砕刃カバーは、粗砕刃4、4の回転軌道を覆うように内側に円弧状の溝加工が施されている。両方の揺動側壁3、3を閉じた場合、各粗砕刃カバーは、一端部でお互いに当接して、粗砕刃4、4の回転軌道を覆う空間を形成し、未粉砕の被処理物が排出されることを防止する。
【0055】
各固定側壁2、及び各揺動側壁3で構成される筐体の4隅には、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定するため一面がテーパ状のロック部材13、…が取り付けられるようになっており、テーパ状の一面で固定側壁2、揺動側壁3の端部を挟み込み、ロック部材13に螺合したレバー12を締め付けることにより、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定する。各揺動側壁3は、揺動側壁3に固定されたハンドル14を持って開閉することができる。
【0056】
被処理物を粉砕する場合、レバー12を締め付けることにより、揺動側壁3、3を固定側壁2、2に固定する。筐体の上部に配置された投入ホッパ60に被処理物を投入し、電動モータ11の電源をオンにすると、回転軸25が所定の回転数で回転し、粗砕刃4、細砕刃6が回転する。回転方向は、粗砕刃4、及び細砕刃6が上側から下側に向かって固定刃7と噛み合うとともに、下側から上側に向かってスクレーパ5と噛み合う方向である。
【0057】
これにより、被処理物は、まず粗砕刃4と固定刃7との協働により粗砕され、細砕刃6に食い込み易い大きさに細断される。粗砕された被処理物は、細砕刃6と第1固定刃7aとの協働により所定の大きさの粉砕材に粉砕され、細砕刃6の回転に伴って筐体の下側に送られ、収容部73に排出される。また、所定の大きさに粉砕された粉砕材のうち、静電気で細砕刃6の側面に付着したものは、細砕刃6とスクレーパ5との協働によりスクレーパ5の下面で掻き落とされ、材料受部91に排出される。
【0058】
粗砕刃4により粗砕された被処理物の一部は、粗砕刃4の回転により固定刃7の下側に送られるが、粗砕刃カバー31で受け止められ、再び各細砕刃6の上側に送られるとともに、収容部73に誤って排出されることを防止する。
【0059】
また、被処理物を粉砕した後には、粉砕片(粉塵)が固定刃7の上面及び刃先、スクレーパ5の上面及び端部、細砕刃6の表面、粗砕刃4の表面、粗砕刃カバー31の外側及び内側、固定側壁2、2の内部、揺動側壁3、3の内部などに残留する。
【0060】
図3に示すように、固定側壁2の略中央部に回転軸25が軸架されてあり、回転軸25には、粗砕刃4、細砕刃6が所定の位置で嵌装されている。一方の揺動側壁3の内側上面には、回転軸25の方向に向かって下方向に傾斜して固定刃7(第1固定刃7a、第2固定刃7b)が固定されてあり、固定刃7の下側であって粗砕刃4の回転軌道には、粗砕刃カバー31を設けている。
【0061】
他方の揺動側壁3の内側上面には、回転軸25の方向に向かって下方向に傾斜してスクレーパ5が固定されてあり、スクレーパ5の下側であって粗砕刃4の回転軌道には、粗砕刃カバー31を設けている。
【0062】
各粗砕刃カバー31は、所定の厚みを有する劣弧状の円環形状をなし、内側は粗砕刃4の回転軌道に沿って溝加工が施された空間を形成してある。揺動側壁3、3が閉じられた状態では、粗砕刃カバー31の一端部同士が当接し、粗砕刃4の回転に伴って固定刃7及びスクレーパ5の下側に回りこんだ未処理の粉砕片を受け止める。
【0063】
回転軸25の略鉛直下であって揺動側壁3の固定側壁2と近接する面には、回転軸25の軸方向と平行に軸体21、21(第1揺動軸)を垂設している。各軸体21と略水平であって、軸体21より外側には、軸体21の軸方向と平行に軸体22、22(第2揺動軸)を固定側壁2の揺動側壁3と近接する面に垂設している。
【0064】
軸体21、22には、軸体21、22を挿通する挿通孔を有し、略楕円形状の連係板23が、固定側壁2及び揺動側壁3の間に軸体21、22の回りに回動可能に取り付けられている。揺動側壁3の連係板23の上方には、外側から内側に向かって下方向に傾斜した切欠面32を形成している。なお、切欠面32は、揺動側壁3を開く場合に、連係板23の上側側面に当接することにより、揺動側壁3と連係板23とを係止させ、連動して回転させるものであり、面に限定されるものではなく、係止することができる形状であれば、湾曲した面、凹凸状の形状など適宜設定することができる。
【0065】
回転軸25の下側であって、固定側壁2の揺動側壁3との摺動面には、円柱状の固定ピン24を適長離隔して垂設してあり、揺動側壁3の固定側壁2との摺動面には、揺動側壁3が閉じられた状態で、固定ピン24に嵌合する半円弧状の嵌合面34を形成している。これにより、揺動側壁3を閉じる際の揺動側壁3の上下方向のぶれを防止し、揺動側壁3の開閉時に粗砕刃4、細砕刃6などの刃先が、固定刃7の刃先、スクレーパ5などと干渉して刃先が損傷することを防止する。
【0066】
図4は実施の形態1に係る粉砕機50の空気管ユニット80を取り付けた状態の一例を示す要部平面図であり、図5は実施の形態1に係る粉砕機50の空気管ユニット80を取り付けた状態の一例を示す側面図であり、図6は実施の形態1に係る粉砕機50の空気管ユニット80を取り付けた状態の一例を示す正面図である。また、図7は実施の形態1の空気管ユニット80の一例を示す底面図であり、図8は実施の形態1の空気管ユニット80の一例を示す要部断面図である。
【0067】
図4に示すように、空気管ユニット80の空気管81は、平面視が矩形状の環状をなし、4個の管部材を矩形状に接合した形状をなす。なお、空気管81の形状は環状に限定されるものではない。空気管81の外形寸法は、粉砕機50の筐体(固定側壁2、揺動側壁3)上に取り付けられるように、筐体の外形よりも若干寸法を小さくしてある。空気管81の底面の外側(外周)部分は筐体上に載置するようにしてあり、空気管81の底面の内側(内周)部分は、筐体の縁部から筐体内側に縁出し、筐体内に向けて複数のノズル孔812が設けられるようにしてある。そして、ノズル孔812からは、図5又は図6の符号Aで示す方向に圧縮空気(高圧空気)を放出させることができる。
【0068】
空気管81の四隅のうちの1つには、空気流入孔(より具体的には、空気流入孔を形成したソケットであり、以下、空気流入孔とも称する)82を設けてあり、空気流入孔82には空気供給管106を接続することができる。なお、空気流入孔82は、空気管81の角部に設ける構成に限定されるものではなく、4辺をなす空気管81の一辺の中途部に設けてもよい。
【0069】
空気管81の一辺には、2つの粗砕刃4の位置に整合させて、端部が閉塞された2つの枝管85を分岐させてある。また、枝管85の底面には、粗砕刃4の方向に向けたノズル孔851を形成してある。なお、枝管85は、必須の構成ではなく、枝管85を具備しない構成であってもよい。また、図4及び図5の例では、スクレーパ5を設けた揺動側壁3側の空気管81から枝管85を分岐させているが、これに限定されるものではなく、固定刃7を設けた揺動側壁3側の空気管81から枝管85を分岐させてもよい。あるいは、両方、すなわち4つの枝管を備える構成でもよい。また、図4の例では、粗砕刃4を2つ備える構成であるが、粗砕刃4の数が異なる場合には、当該粗砕刃4の数に合わせて枝管85を設ければよい。なお、図4の例では、上蓋部83を便宜上省略している。
【0070】
図7又は図8に示すように、空気管81は、4つの管部材を平面視(あるいは底面視)が矩形状の環状をなすように接合してある。空気管81の底面には、内側の縁辺に沿って長手方向に複数のノズル孔812を形成してある。また、空気管81の1つの管部材には、2つの枝管85を分岐させ、枝管85の先端部は閉塞させてある。
【0071】
枝管85には、ノズル孔812よりも径の大きいノズル孔851を形成してある。ノズル孔812の径は、例えば、2.5mm程度であり、枝管85のノズル孔851は、9.4mm程度である。空気管81の断面形状は、矩形状であり、例えば、24mm×24mm程度の寸法を有する。この場合、空気管81の空気流路の断面積は、576mm2(平方ミリメートル)程度になる。
【0072】
また、枝管85の断面形状は、矩形状であり、例えば、24mm×24mm程度の寸法を有する。また、空気管81の管部材と枝管85との接合面は、例えば、径が18mm乃至20mm程度の開口により連通してある。空気流入孔(ソケット)82の内径は、例えば、27mm程度である。なお、上述の各寸法は、一例であって、これらに限定されるものではない。
【0073】
また、図7に示すように、一方の対向する管部材には、ノズル孔812を、お互いの間隔が、例えば、28mm程度となるように9個配置してあり、他方の対向する管部材には、ノズル孔812を、お互いの間隔が、例えば、33mm程度となるように6個配置してある。すなわち、粉砕機50の回転軸25に平行な1対の揺動側壁3上に配置される空気管(管部材)に形成したノズル孔812の間隔を、回転軸25と交差する1対の固定側壁2上に配置される空気管(管部材)に形成したノズル孔812の間隔よりも小さくしている。これにより、ノズル孔812から放出された圧縮空気(高圧の空気)が揺動側壁3の傾斜面に沿って筐体内に噴出されるので、筐体内に付着した粉砕片を容易に吹き飛ばすことが可能となる。
【0074】
また、空気管81の一方の対向する管部材の外周面には、空気管ユニット80を粉砕機50の筐体(具体的には、揺動側壁3)に着脱可能に固定するための取付部材86を設けてある。
【0075】
また、図5又は図6に示すように、粉砕機50の筐体の下方には、吸引管65の吸引口と連通する収容空間を有し、粉砕片を収容するための収容部73を設けてある。収容空間内には、管部材91の一端側に空気流入孔92を有し、他端側を閉塞させた下部空気管90を配置してある。
【0076】
下部空気管90は、例えば、収容部73内で水平方向(横向き)に配置することができる。また、下部空気管90には、収容部73の内壁の方向(図5又は図6の符号Bで示す方向)に向けた複数の第1のノズル孔を形成してある。第1のノズル孔は、例えば、下部空気管90から水平方向(図5の符号Cで示す方向)に圧縮空気が放出される位置、及び/又は下部空気管90から斜め下方(図5又は図6の符号Dで示す方向)に圧縮空気が放出される位置に形成することができる。
【0077】
収容部73は、下部空気管90を挿通する挿通孔731を有し、下部空気管90を摺動可能に取り付けてある。図6の符号Lで示すように、清掃時には、下部空気管90を収容部73内に配置し、粉砕時には、下部空気管90を摺動させて収容部73の外側に引き出すことができる。これにより、材料の切り替えなどにより粉砕機50の使用中に、頻繁に清掃を行う必要があるときでも、下部空気管90を摺動させるだけで、粉砕処理から清掃処理、さらに清掃処理から粉砕処理へと簡単に移ることができ、清掃の準備のための手間を大幅に削減することができる。
【0078】
図9は本実施の形態1の下部空気管90の一例を示す要部外観図である。図9Aは下部空気管90の平面視の外観であり、下部空気管90を収容部73に配置した際の上方から見た外観に相当する。図9Bは下部空気管90の正面視の外観であり、下部空気管90を収容部73に配置した際の横方向から見た外観に相当する。また、図9Cは下部空気管90の底面視の外観であり、下部空気管90を収容部73に配置した際の下方から見た外観に相当する。図9に示すように、下部空気管90は、一端910を閉塞させ、他端920が開口した管部材91を有する。
【0079】
下部空気管90(管部材91)の上側には、下部空気管90を収容部73に配置した状態で粉砕機50の筐体内の方向に向けた複数のノズル孔911(第2のノズル孔)を形成してある。ノズル孔911の径は、例えば、6.5mm程度である。また、ノズル孔911の向きは、例えば、垂直方向に対して±12°程度ずらしている。これにより、筐体内の広範囲に圧縮空気(高圧空気)を放出することができる。
【0080】
下部空気管90(管部材91)の横側には、下部空気管90を収容部73に配置した状態で収容部73の上側部分の方向に向けた複数のノズル孔912(第1のノズル孔)を形成してある。ノズル孔912の径は、例えば、2.5mm程度である。また、ノズル孔912の向きは、例えば、水平方向(横方向)である。これにより、収容部73の内側、特に収容部73の上側部分の広範囲に圧縮空気(高圧空気)を放出することができる。
【0081】
また、下部空気管90(管部材91)の下側には、下部空気管90を収容部73に配置した状態で収容部73の下側部分の方向に向けた複数のノズル孔913(第1のノズル孔)を形成してある。ノズル孔913の径は、例えば、3.0mm程度である。また、ノズル孔913の向きは、例えば、垂直方向に対して±30°程度ずらしている。これにより、収容部73の内側、特に収容部73の下側部分、あるいは底部分の広範囲に圧縮空気(高圧空気)を放出することができる。
【0082】
図10は実施の形態1の粉砕システムの構成の一例を示す模式図である。図10に示すように、粉砕システムは、粉砕機50、空気管ユニット80の空気流入孔82と連通する空気供給管106、空気供給管106に接続された空気源100、空気供給管106に介装された空気タンク103、空気タンク103と空気流入孔82との間の空気供給管106に介装された電磁弁104、空気供給管106に介装されたフィルタ101及びレグレータ102などを備える。また、粉砕システムは、下部空気管90の空気流入孔92と連通する空気供給管106、空気タンク103と空気流入孔92との間の空気供給管106に介装された電磁弁105などを備える。
【0083】
また、吸引管65には、材料の輸送管が接続され、輸送管には、フィルタ、捕集器、粉塵を回収する回収ボックス、ブロワなどを備えた捕集ユニット107を接続してある。
【0084】
電磁弁104、105で空気供給管106を閉じた状態で空気タンク103に圧縮空気(高圧空気)を蓄圧する。電磁弁104、105を、例えば、同時あるいは所要の時間だけずらして開放することにより、空気タンク103に蓄えられた圧縮空気は、空気供給管106を通り、空気管ユニット80に到り複数のノズル孔から一気に放出される。同様に、空気タンク103に蓄えられた圧縮空気は、空気供給管106を通り、下部空気管90に到り複数のノズル孔から一気に放出される。そして、電磁弁104、105の開閉を適宜の周期(例えば、0.5〜2秒毎に1回オン)で繰り返すことにより、空気管ユニット80及び下部空気管90に形成した複数のノズル孔から圧縮空気を断続的に放出することができ、粉砕機50(筐体内)及び収容部73内部に付着する粉砕片を自動的に短時間で除去することができる。なお、粉砕機50の清掃時に吸引管65からの空気の吸引は常時行うことができる。
【0085】
なお、空気源100から電磁弁104又は電磁弁105までの間の空気供給管106内で所要の量の圧縮空気(高圧空気)を蓄えることができる場合には、空気タンク103を具備しなくてもよい。また、図10の例では、電磁弁を2つ設ける構成であるが、空気タンク103の下流側に1個の電磁弁を設け、電磁弁の下流側で空気供給管を2つに分岐させる構成でもよい。
【0086】
上述のとおり、本実施の形態の粉砕機50は、空気流入孔82、空気流入孔82と連通した環状の空気管81及び筐体の上方を覆う上蓋部83を有する空気管ユニット80を筐体の上方に配置してある。空気管ユニット80の空気管81には、筐体の方向に向けた複数のノズル孔812を形成してある。これにより、空気流入孔82、環状の空気管81、複数のノズル孔812、筐体内部、吸引管65の吸引口の順で空気の流路が形成される。そして、空気流入孔82から断続的に取り入れた圧縮空気を、空気管81を介してノズル孔812から吹き出す。
【0087】
空気流入路82から取り込まれた高圧の空気は一旦空気管81を流れる。空気管81の断面積(径)は、一般的な噴射ノズルに接続されるような配管の断面積(径)に比べて大きくすることができるので、圧縮空気が配管中を流れるに従いその圧力を次第に減ずる圧力損失を低減することができ、高圧のままの空気を一気に複数のノズル孔812から放出することができる。また、空気管81の径(断面積)は、複数のノズル孔812の径に比べて大きくすることができるので、圧力損失が少なく、高圧の空気が管状の空気管81の内部でほぼ均一にすることができる。このため、空気流入孔82から各ノズル孔812までの距離(寸法)が異なっていても、ノズル孔812の径を同一にした場合には、複数のノズル孔812から均一な圧力の空気を放出することができる。
【0088】
複数のノズル孔812から放出された高圧の空気は、回転刃(細砕刃6、粗砕刃4)、回転軸25、固定刃7、スクレーパ5、筐体の内壁など筐体内に付着した粉砕片(粉塵を含む)を吹き飛ばすことができる。そして、吹き飛ばされた粉砕片は、筐体下方に配された吸引管65から排出される。断続的に所要回数繰り返してノズル孔812から圧縮空気を放出することにより、粉砕機(筐体内)に付着する粉砕片を自動的に短時間で除去することができる。そして、エアーダストパージのガン、掃除機又はブラシ等の清掃器具の掃除や後片付けなどの手作業が不要となり、短時間に粉砕機を清掃することができる。
【0089】
また、粉砕機50の筐体は、4面の側壁(固定側壁2及び揺動側壁3)を有する。空気管ユニット80は、側壁上に空気管81を配置してあり、側壁の内側にノズル孔812を配置してある。すなわち、4面の側壁上に各側壁に沿って平面視が矩形状の空気管81を配置し、空気管81に形成した複数のノズル孔812を空気管81の下方であって側壁の内側になるように配置する。これにより、筐体を構成する各側壁の内側にノズル孔812からの圧縮空気(高圧空気)が放出されるので、筐体内に付着した粉砕片を吹き飛ばして確実に除去(吸引口から粉砕機の外部、例えば、捕集器などに排出)することができる。
【0090】
また、空気管ユニット80は、粗砕刃4の位置に整合させて、空気管81から分岐され、端部が閉塞された枝管85を備える。すなわち、筐体の上方に配された管状の空気管81から分岐した枝管85を粗砕刃4の位置に整合させて配置する。そして、枝管85には、粗砕刃4の方向に向けたノズル孔851を形成してある。これにより、回転軸25の周面から突出した粗砕刃4及び粗砕刃4を覆うカバー部の内側にもノズル孔851から圧縮空気(高圧空気)を放出することができるので、粗砕刃4等に付着した粉砕片を吹き飛ばし、筐体内(特に粗砕刃4又は粗砕刃カバー31内側)に付着した粉砕片を一層確実に除去することができる。
【0091】
また、空気管ユニット80を筐体に着脱可能に取り付ける取付部84を備える。取付部84は、例えば、空気管ユニット80を筐体上に固定するための固定金具などである。これにより、材料の切り替えなどにより粉砕機50の使用中に、頻繁に清掃を行う必要があるときでも、空気管ユニット80を着脱するだけで、粉砕処理から清掃処理、さらに清掃処理から粉砕処理へと簡単に移ることができ、清掃の準備のための手間を大幅に削減することができる。
【0092】
また、収容部73には、一端側に空気流入孔92を有し、他端側を閉塞させた下部空気管90を配置してある。下部空気管90は、例えば、収容部73内で水平方向(横向き)に配置することができる。下部空気管90には、収容部73の内壁の方向に向けた複数の第1のノズル孔912、913を形成してある。第1のノズル孔912、913は、例えば、下部空気管90から水平方向に圧縮空気が放出される位置、及び/又は下部空気管90から斜め下方に圧縮空気が放出される位置に形成することができる。
【0093】
そして、空気管ユニット80と同様に、空気流入孔92から断続的に取り入れた圧縮空気を、下部空気管90を介してノズル孔912、913から吹き出す。空気流入路92から取り込まれた高圧の空気は一旦下部空気管90を流れる。下部空気管90の断面積(径)は、一般的な噴射ノズルに接続されるような配管の断面積(径)に比べて大きくすることができるので、圧縮空気が配管中を流れるに従いその圧力を次第に減ずる圧力損失を低減することができ、高圧のままの空気を一気に複数の第1のノズル孔912、913から放出することができる。また、下部空気管90の径(断面積)は、複数の第1のノズル孔912、913の径に比べて大きくすることができるので、圧力損失が少なく、高圧の空気が下部空気管90の内部でほぼ均一にすることができる。このため、空気流入孔92から各ノズル孔912、913までの距離(寸法)が異なっていても、ノズル孔912、913の径を同一にした場合には、複数の第1のノズル孔912、913から均一な圧力の空気を放出することができる。
【0094】
エラストマーのような摩擦係数や安息角が大きく、弾性変形の大きな材料を粉砕した場合、粉砕した後の粉砕片の形状が細かな粒状ではなく、線状に連鎖した形状、粒形状がいびつな状態、切断時に引き伸ばされて長いヒゲがある状態、あるいは強い静電気を帯びた状態となる。このため、収容部の内側に粉砕片が強固に付着し、ブリッジ、あるいはラットホールなどを形成し、収容部内で閉塞状態となる場合もあり、清掃の手間が多大であった。
【0095】
複数の第1のノズル孔912、913から放出された高圧の空気は、収容部73の内壁に強固に付着した粉砕片を吹き飛ばすことができる。そして、吹き飛ばされた粉砕片は、収容部73の収容空間と連通する吸引管65から排出される。断続的に所要回数繰り返して第1のノズル孔912、913から圧縮空気を放出することにより、収容部73内に付着する粉砕片を自動的に短時間で除去することができる。そして、エアーダストパージのガン、掃除機又はブラシ等の清掃器具の掃除や後片付けなどの手作業が不要となり、短時間に粉砕機を清掃することができる。
【0096】
また、下部空気管90は、筐体内の方向に向けた複数の第2のノズル孔911を有し、第2のノズル孔911の径は第1のノズル孔912、913の径よりも大きい。第2のノズル孔911は、例えば、下部空気管90から上方又は斜め上方に圧縮空気が放出される位置に形成することができる。すなわち、第2のノズル孔911により、筐体の下側から圧縮空気を回転刃(細砕刃6、粗砕刃4)、回転軸25、固定刃7、スクレーパ5、筐体の内壁などに向かって放出することができる。また、第2のノズル孔911の径は第1のノズル孔912、913の径よりも大きいので、筐体内の広い範囲に圧縮空気を放出することができ、粉砕機50(筐体内)に付着する粉砕片を自動的に一層短時間で除去することができる。
【0097】
上述の例では、空気管ユニット80を着脱可能にする構成であったが、これに限定されるものではなく、空気管ユニット80を、例えば、横方向(水平方向)に移動させるようにしてもよい。
【0098】
図11は空気管ユニット80の設置方法の他の例を示す模式図である。図11に示すように、空気管81の底面側に空気管ユニット80を載置する載置板76を設け、載置板76を駆動部としてのエアシリンダ75で水平方向に移動させることができるようにする。
【0099】
すなわち、空気管ユニット80を、筐体の上側の開口を覆う位置と筐体の開口を開放する位置との間で移動させる駆動部を備える。粉砕機の清掃時には、筐体の上側の開口を覆う位置に空気管ユニット80を配置し、粉砕処理時には、粉砕すべき材料が、筐体上部に配置した投入ホッパから筐体内へ投入できるように、筐体の上側の開口を開放した位置に空気管ユニット80を配置する。駆動部は、空気管ユニット80を筐体上方で水平方向に移動させる。駆動部は、例えば、エアシリンダなどを用いることができる。
【0100】
また、空気管ユニット80の移動方向に沿ってレールなどの突条を配置し、空気管ユニット80を突条に沿って手動で摺動させるようにしてもよい。これにより、材料の切り替えなどにより粉砕機50の使用中に、頻繁に清掃を行う必要があるときでも、空気管ユニット80を水平方向にスライドさせるだけで、粉砕処理から清掃処理、さらに清掃処理から粉砕処理へと簡単に移ることができ、清掃の準備のための手間を大幅に削減することができる。
【0101】
また、上述の実施の形態では、圧縮空気(高圧空気)を断続的に空気流入孔82、92に導いてノズル孔から所要の箇所へ放出するので、例えば、圧縮空気を常時吹き付けるような清掃方法に比べて、空気源(エアコンプレッサ)の電力消費を抑えることができ、電気代を節約することができる。
【0102】
(実施の形態2)
上述の実施の形態1では、4つの側壁で構成される筐体の各側壁に沿って空気管を配置し、複数のノズル孔を設けた構成であったが、空気管ユニットの構成は、これに限定されるものでない。以下、実施の形態2の空気管ユニットについて説明する。
【0103】
図12は実施の形態2に係る粉砕機の空気管ユニットを取り付けた状態の一例を示す要部平面図であり、図13は実施の形態2に係る粉砕機の空気管ユニットを取り付けた状態の一例を示す正面図であり、図14及び図15は実施の形態2に係る粉砕機の空気管ユニットを取り付けた状態の一例を示す側面図である。なお、図14及び図15では、粗砕刃4の回転軸25周りでの回転位置が異なる。
【0104】
実施の形態2において、空気管ユニット180は、空気流入孔182、空気流入孔182と連通した空気管181及び筐体の上方を覆う上蓋部183を有する。空気管ユニット180の空気管181は、端部が閉塞され、粗砕刃4の位置に整合させて配置してあり、粗砕刃4の方向に向けたノズル孔185を形成してある。
【0105】
上蓋部183は、筐体の上側の開口より若干大きい寸法を有し、上蓋部183の4辺の縁辺部が側壁2、3の上面の一部に載置されている。これにより、上蓋部183は、筐体の上側の開口を覆うように構成されている。
【0106】
上蓋部183の上面には、直線状の空気管181を固定具186で上蓋部183に固定してある。空気管181の内側は、断面形状が円形の空気路を形成してあり、空気路の断面積は、実施の形態1と同程度とすることができる。空気管181の下面には、上蓋部183を貫通してノズル孔185を形成してある。ノズル孔185の径は、例えば、9.4mm程度である。
【0107】
他端が閉塞した空気管181の一端には、空気流入孔(より具体的には、空気流入孔を形成したソケットであり、以下、空気流入孔とも称する)182を設けてあり、空気流入孔182には空気供給管106を接続することができる。
【0108】
空気管181の下面に形成したノズル孔185は、2つの粗砕刃4の位置に整合させて、粗砕刃4の方向に向けて形成してある。また、図12の例では、粗砕刃4を2つ備える構成であるが、粗砕刃4の数が異なる場合には、当該粗砕刃4の数に合わせてノズル孔185を空気管181に形成すればよい。なお、他の構成は実施の形態1と同様であるので、説明は省略する。
【0109】
上述の構成により、図13乃至図15に示すように、空気流入孔182から断続的に取り入れた圧縮空気を、空気管181を介してノズル孔185から吹き出す(符号E参照)。空気流入孔182から取り込まれた高圧の空気は空気管181を流れる。空気管181の断面積(径)は、一般的な噴射ノズルに接続されるような配管の断面積(径)に比べて大きくすることができるので、圧縮空気が配管中を流れるに従いその圧力を次第に減ずる圧力損失を低減することができ、高圧のままの空気を一気にノズル孔185から放出することができる。また、空気管181の径(断面積)は、ノズル孔185の径に比べて大きくすることができるので、圧力損失が少なく、高圧の空気が管状の空気管181の内部でほぼ均一にすることができる。このため、空気流入孔182からノズル孔185までの距離(寸法)が異なっていても、ノズル孔185の径を同一にした場合には、複数のノズル孔185から均一な圧力の空気を放出することができる。
【0110】
ノズル孔185から放出された高圧の空気は、回転軸25の周面から突出した粗砕刃4に放出され、粗砕刃4に当たり反射した空気が筐体内に放出されるので、回転刃、回転軸、固定刃、筐体の内壁など筐体内に付着した粉砕片(粉塵を含む)を吹き飛ばすことができる。そして、吹き飛ばされた粉砕片は、筐体下方に配された吸引管65から排出される。断続的に所要回数繰り返してノズル孔185から圧縮空気を放出することにより、粉砕機(筐体内)に付着する粉砕片を自動的に短時間で除去することができる。そして、エアーダストパージのガン、掃除機又はブラシ等の清掃器具の掃除や後片付けなどの手作業が不要となり、短時間に粉砕機を清掃することができる。
【0111】
また、図14又は図15に示すように、筐体は、固定刃7を固定した側壁と、当該側壁に対向する対向側壁とを備える。空気管181に形成されたノズル孔185を、回転軸25より対向側壁側に設けてある。回転軸25の周面から弧状に突出した粗砕刃4は、回転軸25の上側では、回転軸25の周面に沿って、対向側壁側から固定刃7が固定された側壁側へ向かって回転して固定刃7との協働により材料を粉砕する。ノズル孔185を、回転軸25より対向側壁側に設けてあるので、ノズル孔185から圧縮空気(高圧空気)を放出させた場合、粗砕刃4が回転しているため、弧状に突出した粗砕刃4の周部(外周部41、内周部42)に当たった圧縮空気は方向を変えて、筐体内へ隈なく放出される。
【0112】
例えば、図14に示すように、粗砕刃4の外周部41に圧縮空気が当たると当該圧縮空気は、弧状の外周部41で反射して対向側壁側へ放出される。また、図15に示すように、弧状に突出した粗砕刃4の内周部42に圧縮空気が当たると当該圧縮空気は、弧状の内周部42で反射して固定刃7が固定された側壁側へ放出され、筐体内を隈なく清掃することができる。
【0113】
上述の例では、ノズル孔185を、回転軸25より対向側壁側に設けてある構成であったが、ノズル孔185の位置はこれに限定されるものではない。例えば、ノズル孔185を、回転軸25よりも固定刃7が固定された側壁側に設けてもよく、回転軸25の上方に設けてもよい。
【0114】
実施の形態2において、下部空気管90を具備してもよく、あるいは下部空気管90を具備しない構成でもよい。また、実施の形態1の空気管ユニット80、あるいは実施の形態2の空気管ユニット180のいずれを採用するかは、粉砕機の構成、容量、種類などに応じて適宜決めることができる。
【0115】
上述の実施の形態1、2では、空気管ユニット80、180を筐体上に配置する構成であったが、これに限定されるものではなく、例えば、投入ホッパ70の投入口71に設けることもできる。これにより、粉砕処理中に筐体から飛び散った粉砕片や粉塵が投入ホッパ70の内部に付着したときでも、投入ホッパ70の内部も清掃することができる。
【0116】
上述の実施の形態1、2では、ノズル孔の形状は円形状であったが、これに限定されるものではなく、ノズル孔の形状は、スリット状の細長い形状でもよく、楕円形状などでもよい。また、空気管81及び枝管85の断面は矩形状であったが、これに限定されるものではなく、円形状、三角形状等であってもよい。
【0117】
エラストマーのような摩擦係数や安息角が大きく、弾性変形の大きな材料を粉砕した場合、吸引管65、材料の輸送管内部には、摩擦又は静電気などにより粉砕片や粉塵が強固に付着して、閉塞部を形成する場合がある。このような場合には、粉砕後の材料をスムーズに輸送することができない。そこで、上述の実施の形態において、ノズル孔を具備した空気管を、収容部73の吸引管65の吸引口と反対側に開口を設けて、該開口に空気管を接合させてもよい。あるいは、端部にノズル孔を設けた空気管を、吸引管65又は材料の輸送管の中途部に接合させてもよい。圧縮空気(高圧空気)を吸引管65の方向に向けて放出することにより、吸引管65又は輸送管内に残留して閉塞状態となった材料を、蓄圧した空気で一気に放出させ、例えば、材料の粒間の充填圧力を解き、浮遊させることで流動性を高め、閉塞部を解消することができる。
【0118】
また、上述の実施の形態1、2において、筐体内の所要の箇所に粉又は粒等の検出センサを設け、検出センサで粉砕片や粉塵が検出されなくなるまで、断続的に繰り返しノズル孔から圧縮空気(高圧空気)を放出させるようにしてもよい。これにより、清掃状況(粉砕片や粉塵の除去具合)を目視で監視する必要がなく、粉砕機50から離れて、他の作業を行っている間に自動的に清掃を完了させることができ、省力化を向上させることができる。なお、検出センサとしては、例えば、光学式のほこりセンサなどを利用することができる。
【0119】
また、吸引管65又は輸送管に除電器を設けて、吸引管65又は輸送管内部に付着した粉砕片又は粉塵の静電気を中和させて、流動性を高めることもできる。除電器は、例えば、コロナ放電式、自己放電式、電圧印加式などのものを用いることができる。また、イオンエアを放出することができるノズルを収容部73、吸引管65、輸送管などに設けることもできる。
【0120】
上述の実施の形態1、2では、4面の側壁の対向する2つが揺動する構成であったが、これに限定されるものではなく、4面の側壁がすべて固定された筐体であってもよい。また、粉砕機は1軸式のものに限定されるものではなく、2軸式のものであってもよい。
【0121】
本発明は、実施例に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0122】
2 固定側壁(筐体、側壁)
3 揺動側壁(筐体、側壁)
4 粗砕刃(回転刃)
5 スクレーパ
6 細砕刃(回転刃)
7 固定刃
25 回転軸
80、180 空気管ユニット
81、181 空気管
82、182 空気流入孔
83、183 上蓋部
84 取付部
85 枝管
812、815、185 ノズル孔
65 吸引管(吸引口)
73 収容部
731 挿通孔
90 下部空気管
91 管部材
911 ノズル孔(第2のノズル孔)
912、913 ノズル孔(第1のノズル孔)
100 空気源
103 空気タンク
104、105 電磁弁
106 空気供給管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側及び下側が開口した筐体と、該筐体内で横置きされた回転軸に取り付けられた回転刃と、前記筐体内に配置され前記回転刃と係合する固定刃とを備え、前記回転刃と固定刃との協働により被処理物を粉砕する粉砕機において、
前記筐体の上方に配され、空気流入孔、該空気流入孔と連通した空気管及び前記筐体の上方を覆う上蓋部を有する空気管ユニットと、
前記筐体の下方に配され、空気を吸引するための吸引口と
を備え、
前記空気管ユニットは、
前記筐体の方向に向けた複数のノズル孔を前記空気管に形成してあり、
前記空気流入孔から断続的に取り入れた圧縮空気を、前記空気管を介して前記ノズル孔から吹き出すように構成してあることを特徴とする粉砕機。
【請求項2】
前記筐体は、
4面の側壁を有し、
前記空気管ユニットは、
前記側壁上に前記空気管を配置してあり、
前記側壁の内側に前記ノズル孔を配置してあることを特徴とする請求項1に記載の粉砕機。
【請求項3】
前記回転刃は、
前記回転軸の周面に設けられた細砕刃及び該周面から弧状に突出した粗砕刃を有し、
前記空気管ユニットは、
前記粗砕刃の位置に整合させて前記空気管から分岐され、端部が閉塞された枝管を備え、
前記粗砕刃の方向に向けたノズル孔を前記枝管に形成してあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の粉砕機。
【請求項4】
上側及び下側が開口した筐体と、該筐体内で横置きされた回転軸に取り付けられた回転刃と、前記筐体内に配置され前記回転刃と係合する固定刃とを備え、前記回転刃と固定刃との協働により被処理物を粉砕する粉砕機において、
前記筐体の上方に配され、空気流入孔、該空気流入孔と連通した空気管及び前記筐体の上方を覆う上蓋部を有する空気管ユニットと、
前記筐体の下方に配され、空気を吸引するための吸引口と
を備え、
前記回転刃は、
前記回転軸の周面に設けられた細砕刃及び該周面から弧状に突出した粗砕刃を有し、
前記空気管は、
端部が閉塞され、前記粗砕刃の位置に整合させて配置してあり、該粗砕刃の方向に向けたノズル孔を形成してあることを特徴とする粉砕機。
【請求項5】
前記筐体は、
前記固定刃を固定した側壁と、
該側壁に対向する対向側壁と
を備え、
前記空気管に形成されたノズル孔を、前記回転軸より前記対向側壁側に設けてあることを特徴とする請求項4に記載の粉砕機。
【請求項6】
前記空気管ユニットを、前記筐体の上側の開口を覆う位置と該筐体の該開口を開放する位置との間で移動させる駆動部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の粉砕機。
【請求項7】
前記空気管ユニットを前記筐体に着脱可能に取り付ける取付部を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の粉砕機。
【請求項8】
前記筐体の下方に配され、前記吸引口と連通する収容空間を有し、粉砕片を収容する収容部と、
一端側に空気流入孔を有し、他端側を閉塞させ、前記収容空間内に配された下部空気管と
を備え、
該下部空気管は、
前記収容部の内壁の方向に向けた複数の第1のノズル孔を形成してあることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の粉砕機。
【請求項9】
前記下部空気管は、
前記筐体内の方向に向けた複数の第2のノズル孔を有し、
該第2のノズル孔の径は前記第1のノズル孔の径よりも大きいことを特徴とする請求項8に記載の粉砕機。
【請求項10】
前記収容部は、
前記下部空気管を挿通する挿通孔を有し、
前記下部空気管を摺動可能に取り付けてあることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の粉砕機。
【請求項11】
請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の粉砕機と、該粉砕機の空気流入孔と連通する空気供給管と、該空気供給管に接続された空気源と、前記空気供給管に介装された空気タンクと、該空気タンクと前記空気流入孔との間の空気供給管に介装された電磁弁とを備えることを特徴とする粉砕システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−71046(P2013−71046A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−211470(P2011−211470)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(000146054)株式会社松井製作所 (70)
【Fターム(参考)】