説明

粉粒体の空気輸送装置

【課題】
湿潤粉粒体の低圧空気輸送を可能とし、衛生的、省力的で、操作性、安全性、経済性に富む装置を提供する。
【解決手段】
密閉加圧タンク下部10の底面近くに下面が開口した排出管2を設け、上部圧縮空気供給管3、中部圧縮空気供給管4及び下部圧縮空気供給管8が接続されている。さらに、排出管に2次圧縮空気供給管6が接続されている。排出管の開口は搬送物より、開口面積を調整できる構造になっている。密閉タンク1、9、10内の粉粒体は上部、中部、下部の複数段又は最下部1段の空気供給管より複数多次元方向より、毎分100〜1200回交互にパルスジェットエアーとして流入される圧縮空気によって流動化し、排気管2を通って円滑に輸送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿潤粉粒体の空気輸送に係わる、低圧空気輸送にて安定した空気輸送ができる、湿潤粉粒体の空気輸送装置関する。
【背景技術】
【0002】
特開2002−145687に記載されているように、従来加圧タンクに加振機を取り付け、加圧タンクを振動させ粉紛粒体の流動化を促進させていた。加振機は電動回転機を動力とした偏荷重回転体方式である。
【特許文献1】特開2002−145687
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、加振機により輸送機全体を振動させる為、防振対策で、装置が大変複雑になり、不衛生であり、振動による付属機器、本体溶接部の劣化等の課題があった。
【0004】
この発明は、上記のような課題を鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、輸送機全体を強制的に振動させることなく、加圧タンク内の粉粒体の流動化を促進することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記問題点を解決するために次ぎの技術手段を講じた。すなわち、加振機で加圧タンクを振動させるかわりに、加圧タンク内にタンク上部、中部及び下部の複数段又は最下部1段から輸送用空気を複数多次元方向より、毎分100〜1200回交互にパルスジェットエアーとして流入し、粉粒体の流動化を促進する。
【0006】
上記方法を好適に実施することができる本発明の装置は、加圧タンクの上部、中部、下部の複数段又は最下部1段に圧縮空気装入管を配設し、被輸送物を装入する装入口を設けると共に加圧タンク底面の近傍に開口を有する排出管を配設したことを特徴とする粉粒体の空気輸送装置である。
【0007】
本発明は、次のa、bの2つの作用を組み合わせて粉粒体を空気輸送するものである。
【0008】
a、タンク内で粉粒体を流動化させること。流動化させるために、流動化空気を供給して流動層を形成する。前記流動化空気は上部、中部、下部の複数段又は最下部1段の圧縮空気装入管より、複数多次元方向より、毎分100〜1200回交互にパルスジェットエアーとして流入される。前記上部圧縮空気装入管は図2に示すように、加圧タンクの接線方向斜め下向きに配設され、粉粒体を撹拌する。さらに中部圧縮空気装入管は図3に示すように、加圧タンク中心方向に下向きに配設され、粉粒体を排出管に向けて移動させる。下部圧縮空気装入管は図4に示すように、加圧タンクの接線方向に配設され、粉粒体を撹拌する。この3種の圧縮空気により粉粒体の流動化が促進される。
【0009】
b、流動化した粉粒体を、流動層の底面近傍の排出口から、流動化ガスとともに輸送管路に送出すること。
【0010】
前記排出口の開口面積を調整することによって、粉粒体の粒度、比重、輸送量に対応して最適条件で輸送することができる。空気圧は、粉粒体の条件、輸送量、輸送距離等に支配される。
【0011】
本発明の好ましい実施例の粉粒体の空気輸送装置は、加圧タンク、排出管、圧縮空気装入管を主要要素とし、これ等の形状、寸法を適正化し、粉粒体量、空気供給量、シーケンス制御等の必要条件に応じて、総合的に最適な条件で操業することができるものである。本発明の粉粒体の空気輸送装置は、特に、湿潤粉粒体の空気輸送に威力を発揮し、加圧タンク内に湿潤粉粒体を充填し、これをバッチ的、又は交互に開閉するダブルダンパを設けて連続投入を行い連続的に圧縮空気で配管路を輸送することができる。その原理は、湿潤粉粒体の粒子同士の凝集をパルスジェットエアーでほぐしながら、流動化させ、粉体と空気を完全に混相状態にして排出するものである。
【0012】
すなわち、湿潤粉粒体は漏斗状の加圧タンク斜面を、パルスジェットエアーにより滑り落ち、排出管から圧縮空気と共に送出される。排出管の開口位置を漏斗の下端に下向きに開口させることによって加圧タンク内に湿潤粉粒体が残留することなく完全に排出することができる。したがって、加圧タンク内において残量が固結する等の問題もない。
【0013】
使用する圧縮空気の圧力、空気量は、対象とする湿潤粉粒体の性質、処理量、輸送管路の条件等に適した圧縮空気の圧力、風量で送出する。これ等は簡単な試験によって、適切な固気比、圧力損失を定めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の粉粒体の空気輸送装置は、衛生的で、省力的、操作性、安全性に富み、極めて有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1に本発明の実施例の粉粒体の空気輸送装置を示した。直径500mm高さ1000mmの密閉加圧タンク1、9、10は漏斗状となっている。漏斗の頂角は60度以下とする。したがって漏斗の斜面の傾斜角は60度以上である。この角度は対象とする粉粒体の特性に応じて選定することができる。
【0016】
圧力タンク1、9、10内には底面近傍に下面が開口した排出管2を加圧タンクの鉛直中心軸に一致させて設け、加圧タンク外の輸送用ダクトに連結している。加圧タンクの上部、中部、下部に圧縮空気装入管を配設している。
【実施例】
【0017】
次に、図1に示す本発明の装置を用いて、湿塩を空気輸送した実施例を図5に示す作業系統図を元に説明する。粉粒体供給ホッパー22から、圧力タンク1に湿塩が供給される。圧力タンクレベル計13が、圧力タンク内の、湿塩を検知したところで、ダンパー24は閉となる。同時に、圧力タンク1内の、圧縮空気供給管3へ、圧縮空気を送るバルブ18、20が毎分100〜1200回交互に開き、圧縮空気を間欠的、瞬間的に圧力タンク1に、サイクルエアーハンマーとして供給する。圧力タンク1内の圧力が、輸送設定圧力に達したら、圧力検出装置17にて検出し、それにより吐出管2の吐出バルブ15を開放する。この時湿塩はサイクルエアーハンマーによる、渦巻き流にて充分に浮遊・流動化された状態であり、圧力風量調節器16、19、21によって制御された圧縮空気は、湿塩を伴って吐出管2より、内径50mmの半透明軟質塩化ビニールホースの輸送管25通って、空気輸送される。輸送管路は垂直上り5m、水平管路40mである。このときの圧力タンク1内の圧力0.16Mpa風量3Nm3/min輸送量117kg/min、サイクルエアーハンマー毎分600回であった。圧力タンク1底面及び内面には、附着やブリッジ等残量は無く全量輸送する事が出来た。圧力タンクや及び輸送ダクト内に、輸送物である湿塩が無くなると、空気抵抗が無くなり圧力も低下する。圧力検出装置、によって圧力低下を検出し、圧縮空気供給バルブを閉じ、輸送物投入ダンパー24を再び開き、一定量の湿塩を圧力タンク1内へ供給し、上記一連の作業を繰り返す。2次圧縮空気供給管6は、ダクト内で輸送物の閉塞を防止の為に、輸送物の量と空気量の比率を調整を目的とするものである。
【0018】
上記空気輸送装置において、水分を含んだミルスケール(金属粉粒体)嵩比重3、粒径6mm以下、含水率15%の空気輸送を実施した。輸送ダクトは配管用炭素綱鋼管50A(内径52.9mm)垂直輸送管上り20m水平輸送距離30mである。この時の、圧力タンク内圧力0.19Mpa風量4Nm3/min輸送量92kg/minサイクルエアーハンマー毎分600回にて、容易に輸送が出来た。
【産業上の利用可能性】
【0019】
粉粒体としては、無機有機の天然物及び人工物の粉粒体に適用される。例えば塩、砂糖、調味料粉末、樹脂粉、肥料、薬品、穀物粉、金属粉、酸化金属粉、ゴム、珪砂、陶石、セメント、砂など、食品、化学、窯業、金属等の分野の粉粒体のハンドリングに広く適用することができる。特に湿潤粉粒体のハンドリングに適し、洗浄直後の粉粒体等も容易に輸送することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】粉粒体の空気輸送装置の縦断面図
【図2】図1のAーA部断面図
【図3】図1のBーB部断面図
【図4】図1のCーC部断面図
【図5】粉粒体の空気輸送装置の作動系統図
【符号の説明】
【0021】
1 加圧タンク上部
2 排出管
3 上部圧縮空気供給管
4 中部圧縮空気供給管
5 クランプ継手
6 2次圧縮空気供給管
7 クランプバンド
8 下部圧縮空気供給管
9 加圧タンク中部
10 加圧タンク下部
11 クランプ継手
12 クランプバンド
13 レベル計
14 圧力検出装置
15 上部圧縮空気用バルブ
16 圧力風量調整器
17 排出バルブ
18 中部圧縮空気用バルブ
19 圧力風量調整器
20 下部圧縮空気用バルブ
21 圧力風量調整器
22 供給ホッパー
23 制御装置
24 ダンパー
25 軟質塩化ビニールホース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧タンクに、被輸送物を装入する装入口を設けると共にタンク底面の近傍に開口を有する排出管を配設し、タンク上部、中部及び下部に圧縮空気装入管を配設し、さらに排出管に2次空気装入管を配設したことを特徴とする紛粒体の空気輸送装置。
【請求項2】
前記加圧タンクの上部、中部及び下部の圧縮空気装入管より輸送用空気を複数多
元方向より、毎分100〜1200回交互にパルスジェットエアーとして流入し、紛粒体を流動化させ、圧送することを特徴とする紛粒体の空気輸送機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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