説明

粉粒体吐出装置

【課題】本発明の課題は、貯留タンク内の粉粒体に乾燥風を吹き込んで湿気を取り除き、粉粒体の流下を促進し施肥精度の向上を図ることにある。
【解決手段】 本発明は、粉粒体を貯留する貯留タンク(19)と、該貯留タンク(19)の粉粒体を繰り出す繰出部と、繰り出された粉粒体をエア搬送するための送風機(22)とを備え、送風機(22)の駆動で圧力風を貯留タンク(19)へ供給する圧力風供給口(27)を左右に長い貯留タンクの左右方向端部に設け、該圧力風を排出する圧力風排出口(30)を反対側の左右方向端部に設ける。前記貯留タンク(19)にはこのタンク内を左右方向小区画に仕切る仕切板(26)を設置すると共に、各仕切板(26)に圧力風の通過を許容する通風穴(32)を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、肥料等の粉粒体を圃場に散布する粉粒体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ホッパ内に加圧空気を吹き出す吹出口をホッパ壁面に沿わせて吹出すように構成することにより、蓋を開けたときの粉粒体の飛散を防止し、且つ、ホッパ壁面での粉粒体の停滞を防ぎ流下促進を図るようにした技術が開示されている。
【特許文献1】特開2006−67916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来技術のものでは、タンク内に吹き込まれる加圧空気が粉粒体全てにわたって充分に行き届かず、充分な湿気取り効果を期待することができない問題がある。
本発明の課題は、かかる問題点を解消することによって、粉粒体の流下を促進し施肥精度の向上を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、上記課題を解決すべく次のような技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1記載の本発明は、粉粒体を貯留する貯留タンク(19)と、該貯留タンク(19)の粉粒体を繰り出す繰出部(20)と、繰り出された粉粒体をエア搬送するための送風機(22)とを備え、送風機(22)の駆動で圧力風を貯留タンク(19)へ供給する圧力風供給口(27)を左右に長い貯留タンクの左右方向端部に設け、該圧力風を排出する圧力風排出口(30)を反対側の左右方向端部に設け、前記貯留タンク(19)にはこのタンク内を左右に小区画に仕切る仕切板(26)を設置すると共に、各仕切板(26)に圧力風の通過を許容する通風穴(32)を設けてあることを特徴とする。
【0005】
送風機(22)の駆動によって発生する圧力風は、貯留タンク(19)の一端側の供給口(27)から吹き込まれ、反対側端部の排出口(30)から排出される。左右方向に長いタンク室内は、複数の仕切板(26)によって小区画に仕切られており、しかも、これらは通風穴(32)を介して連通されているので、各小区画内の粉粒体に確実に風を当てることができ、風がタンク内全てに行きわたり、粉粒体の湿気を確実にとることができて流動性が向上する。
【0006】
請求項2記載の本発明は、請求項1において、前記仕切板(26)の通風穴(32)又はその通風穴の近くには湿気を吸収する吸湿材(34)を設けてあることを特徴とする。
仕切板の通風穴又は通風穴近くでは吸湿材によって湿気が確実に吸収されることになり、粉粒体の流動性が更に向上することになる。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の本発明によれば、左右方向に長い貯留タンクであっても、圧力風が仕切板によって仕切られた通風穴を通じて流通するので、粉粒体に確実に風を当てることができて風がタンク内全体に行きわたり、湿気が抑制されて粉粒体の流動性が向上し、ひいては粉粒体の流下促進とあいまって粉粒体の吐出精度の向上を図ることができる。
【0008】
請求項2の本発明によれば、請求項1の発明効果を奏するものでありながら、吸湿材によっても湿気が吸収されるので、粉粒体の流動性がより向上し更なる粉粒体の吐出精度の向上が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1は、粉粒体吐出装置を装備した乗用型田植機を示すものであり、この車体1の略中央に駆動源であるエンジンEを搭載し、このエンジンEの回転動力をミッションケ−ス2内の変速装置に伝え、この変速装置で減速された回転動力を前輪4及び後輪5とに伝えるようにしている。エンジンEの上方に運転席6が設置され、運転席6の前方には、前輪4,4を操舵するステアリングハンドル7が装備されている。更に、車体1の後部には昇降リンク機構9を介して苗植付部10が装着され、この苗植付部10と車体1との間には苗植付部を上下に昇降する油圧昇降シリンダ11が装備されている。
【0010】
苗植付部10は、植付条数分に仕切られた苗載せ面に土付きのマット状苗が載置される苗載タンク10aと、苗載タンク上の苗を圃場に植え付ける植付条数分の植付装置10bと、圃場面上を滑走して整地するフロート10c等からなる。
【0011】
車体1の後部上側には粉粒体吐出装置18が装備されている。この粉粒体吐出装置18は、 苗植付部10の前方に装備され、粒状肥料等の粉粒体を貯留する貯留タンク19と、貯留タンク内の粉粒体を繰り出す繰出部20と、繰り出された粉粒体をエア搬送するためのモータ21によって駆動可能な送風機22等からなる。送風機22は、発生された圧力風を左右方向に長いエアチャンバー23を経由して施肥ホース24内に吹き込み,施肥ホース内の粉粒体をフロート側部に設けられた施肥ガイド25まで搬送案内するようになっている。
【0012】
貯留タンク19は、図2に示すように、左右方向に長く構成され、数枚の仕切板26…によって小区画に仕切り構成されている。該タンク19の右側端部には、送風機22の駆動で圧力風を貯留タンク19内へ供給する圧力風供給口27が設けられ、送風機からの圧力風及びマフラー29からの排気風が圧力風供給筒28を介してタンク内へ吹き込まれるようになっている。また、該タンク19の左側端部には、圧力風を排出する圧力風排出口30が設けられ、排出される圧力風が圧力風吸引筒31を介して送風機22内へ吸い込まれるようになっている。前記各仕切板26…には、圧力風供給口27及び圧力風排出口30に対応する部位に圧力風の通過を許容する通風穴32…が設けられ、しかも、これら各通風穴32…には粉粒体が移動しない程度の目合をもつ仕切網33が張設されている。
【0013】
また、前記各通風穴32…の周囲近くには、タンク内の湿気を吸収する吸湿材34が設けられている。
図3に示すように、走行車体1部と苗植付部10を着脱可能で苗載タンク10aの横移動を修正するバランススプリング12を備えた田植機において、苗載タンク10aに連結するバランススプリング12を左右に連結し、支点P回りに回動可能なスプリング支持プレート13の長穴14に、走行車体側懸架ベース15に設置された車体側連結具16を挿入することによってスプリング支持プレート13の左右の回動をロックするようにして、バランススプリングの修正力が作用するように構成している。従って、苗植付部の着脱の際には、バランススプリングも同時に着脱することができ、作業性の向上が図れる。
【0014】
図4に示す実施例は、育苗ポット苗を移植するポット移植機において、空箱搬送装置の終端に設置される空箱収納用カゴの配置構成を示すもので、この種の空箱収納用カゴ36は、空箱搬送装置の終端から落下される空箱Kが該搬送装置の空箱送りローラ37を回転駆動させる駆動機構38側と同じ方向に滑り落ちるようにローラ駆動側が低位となるよう傾斜させた構成としている。落下収容される空箱が空箱送りローラを回転させる駆動機構側に滑り落ちるので、空箱収納用カゴに空箱が満杯になっても空箱が駆動用のローラやスプリングに干渉することがなくなり、干渉による破損や空箱の流れを阻害することがなくなる。
【0015】
また、図5及び図6に示すように、ポット移植機の苗箱供給装置において、上下2段に配置されたポット苗タンク40,40の前端部には、前後方向にスライド可能な延長タンク41が設けられ、また、該苗タンク40の前端側には、苗箱搬送部の搬送路へ苗箱を供給する苗箱供給手段として苗箱の左右端部を上から押えて苗箱を搬送部側へ繰り出す左右一対の苗箱押え供給ローラ42と、該供給ローラ42の前方側に位置して苗箱に下側から係合して苗箱を送る苗箱送りローラ43が設けられている。そして、図例では、前記延長タンク41と苗箱押え供給ローラ42とを連動ロッド43を介して連動させ、延長苗タンク41の押し引きにより苗箱押え供給ローラ42を苗箱押え状態とこの苗箱押え状態を解除する状態とに切替回動させるべく連動構成している。従って、延長苗タンクを押し引き操作することにより、苗箱押え供給ローラが作用状態と非作用状態とに切り替わるので、苗タンクに残った苗箱を運転席から取り出し易くなり、また、通常の作業状態にも簡単に復帰することができる。
【0016】
図7は、歩行型田植機を示すもので、車体1の前面、上面及び後面を取り囲むように側面視でアーチ状に形成された左右2本のパイプフレーム46,46によって構成し、そして、このパイプフレーム46の前面46aは、田植機を倒立状態にしたとき接地スタンドを兼用するよう直線状に形成し、上面46bは、補助苗枠の取付用フレームとして補助苗枠フレームを兼用する構成としている。なお、図中、47は車輪、48は苗載タンク、49は歩行運転用ハンドルを示す。
【0017】
従来、歩行型田植機を積み込み,積み降ろし時に倒立状態から元の状態に戻す時、本機を損傷する場合があった。上記のように車体を囲んだフレームを設けることによって倒立スタンド、補助苗枠フレーム、バンパーガードを兼ねることができ、本機の損傷を防止できるものでありながら、部品点数の削減、コストダウンにもつながる。
【0018】
次に、図8に基づきロングマット苗巻取り補助装置50の構成について説明する。この苗巻取り補助装置50は、上部に配置されているバッテリ51及び正逆転切替スイッチ52を有する駆動モータ53と、下部に配置されていて左右のレール54上を走行する左右の前走行輪55a及び後走行輪55bと、マット苗の葉部の向きを倒伏させる苗葉倒伏ベルト56等を具備するように構成されていて、人手によりマット苗をロール状に巻き取る際に、その巻取り前のベンチ上のマット苗Nの上側を走行するものである。なお、マット苗Nは、巻取りロールにその始端側を巻き掛けてロール状に巻き取るものである。
【0019】
また、前後の走行輪55a,55bは、駆動モータ53からチエン57a,57bを介して駆動し、苗葉倒伏ベルト56は、同一駆動モータ53からチエン57a,57cを介して駆動するようになっている。そして、かかる実施例では、ローラ掛け機能を有した苗巻取り補助装置を具現するものであり、ローラ掛け作業時には鎮圧ローラ58をセットして苗巻取り作業とは逆方向に巻取り補助装置を走行させるようにしてある。この鎮圧ローラ58は、前記苗葉倒伏ベルト56の後方位置で、ヒッチ具59から突設した支承体60の切欠軸受部60aに軸受け保持する構成としている。従来は、ローラ掛け作業時には苗葉倒伏ベルト自体が邪魔(苗に干渉する)になるのでその度に最大上げ位置にする必要があった。本例ではローラ掛け作業時には鎮圧ローラをセットし、正逆転切替スイッチ52の切り替えにより、巻取り補助装置を苗巻取り時とは逆方向に後進させることで、苗葉倒伏ベルト56は鎮圧ローラ58の後から追従することになり少し上げた状態でも可能で苗に干渉することがない。
【0020】
また、図9に示す実施例では、巻取り中のロールマット径の変化を検出するセンサ61を設け、このセンサ61とスピードコントロールユニット62のボリュームツマミ63とを連動させ、ロールマット径の変化に応じて走行速度を制御するように構成している。つまり、最初、ロールマット径が小さいときには走行速度は遅く、ロールマット径が大きくなるにつれて速く走行するように自動制御する構成である。これによれば、マット苗を巻き取る作業者の作業能率に応じて苗巻き補助装置の走行速度の増減ができ、作業の能率化を図ることができる。
【0021】
図10に示すように、多段の育苗棚T1,T2,T3を構成する育苗装置64において、最上段(T1)以外の手前側と最下段(T3)以外の裏側とに反射板65a,65bを設けることによって日光が良く当たるようにしている。多段育苗装置は最上段以外は日光が当たりにくく、緑化に影響する。反射板を設けることにより日光が奥まで当たり生育ムラが生じない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】粉粒体吐出装置を備えた田植機の側面図
【図2】同上田植機の要部の斜視図
【図3】車体に対する苗植付部の着脱機構を示す斜視図
【図4】空箱搬送装置の要部の背面図
【図5】ポット移植機における苗箱供給装置の側面図
【図6】同上要部の平面図
【図7】歩行型田植機の斜視図
【図8】マット苗巻取り補助装置の側面図
【図9】マット苗巻取り補助装置の斜視図
【図10】育苗装置の要部の側面図
【符号の説明】
【0023】
18 粉粒体吐出装置
19 貯留タンク
20 繰出部
22 送風機
26 仕切板
27 圧力風供給口
30 圧力風排出口
32 通風穴
34 吸湿材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を貯留する貯留タンク(19)と、該貯留タンク(19)の粉粒体を繰り出す繰出部(20)と、繰り出された粉粒体をエア搬送するための送風機(22)とを備え、送風機(22)の駆動で圧力風を貯留タンク(19)へ供給する圧力風供給口(27)を左右に長い貯留タンクの左右方向端部に設け、該圧力風を排出する圧力風排出口(30)を反対側の左右方向端部に設け、前記貯留タンク(19)にはこのタンク内を左右に小区画に仕切る仕切板(26)を設置すると共に、各仕切板(26)に圧力風の通過を許容する通風穴(32)を設けてあることを特徴とする粉粒体吐出装置。
【請求項2】
前記仕切板(26)の通風穴(32)又はその通風穴の近くには湿気を吸収する吸湿材(34)を設けてあることを特徴とする請求項1記載の粉粒体吐出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate