説明

粉粒体排出装置

【課題】本発明は、袋内に収納された粉粒体を排出するに際して、袋と粉粒体排出装置との接続または取り外しを容易且つ迅速に行え、しかも、粉粒体が飛散したり落下したりするのを防止する。
【課題を解決するための手段】粉粒体が内部に収納され且つ粉粒体の排出口部3aが形成されてなる袋3を吊り下げる装置本体10と、粉粒体を排出すべく前記粉粒体の排出口部が被せられる筒状排出部61と、該筒状排出部に粉粒体の排出口部を着脱自在に装着するクランプ部63とを備えている。クランプ部は、チューブ66と環状押え部67とを備えている。そして、クランプ部の下降時に、前記環状押え部の内周部67aが、前記粉粒体の排出口部を筒状排出部の内周面よりも中心側に折り曲げ且つ筒状排出部の上面に押圧させるとともに、膨張したチューブ66が、筒状排出部に外嵌された粉粒体の排出口部を筒状排出部の外周面に押圧させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルコンテナバッグ等の袋に収容された粉粒体を排出するために使用される粉粒体排出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉粒体を特定の場所から他の場所に輸送する場合において、保管の簡易性等から、フレキシブルコンテナバッグが使用される場合が多い。このフレキシブルコンテナバッグは、可撓性を有する素材・生地により袋状に成形されたものであり、底面には筒状の排出口部が形成されている。
【0003】
このフレキシブルコンテナバッグは、排出口部を紐等により閉塞した状態で、上方から粉粒体が充填されてなるものであり、この紐等による排出口部の閉塞状態を解いて開袋することにより、このフレキシブルコンテナバッグ内部に収納された粉粒体の排出が可能となる。
【0004】
そこで、フレキシブルコンテナバッグから粉粒体を排出する粉粒体排出装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。かかる粉粒体排出装置は、粉粒体が内部に収納され且つ粉粒体の排出口部が形成されてなるフレキシブルコンテナバッグを吊り下げる装置本体と、装置本体の底部に設けられ吊り下げられたフレキシブルコンテナバッグの排出口部に着脱自在に連結される排出具とを備えている。
【0005】
フレキシブルコンテナバッグから粉粒体を排出する際には、排出口部の下部を排出具に被せ、クランプを使用してフレキシブルコンテナバッグの排出口部を排出具の回りに締め付け固定している。
【0006】
このようにしてフレキシブルコンテナバッグの排出口部と排出具とを密に連結した後、排出口部を閉じている結束紐を解くことで、フレキシブルコンテナバッグの排出口部は開放され、フレキシブルコンテナバッグ内の粉粒体は自重により落下して排出口部を介して排出される。
【0007】
ここで、図11に示すように、クランプ100は、左右方向に開閉可能な一対の挟持体101、101を備え、両方の挟持体101、101の両端部をボルト102で締結することにより、フレキシブルコンテナバッグの排出口部と排出具とを連結可能とした公知のものを使用する。あるいは、図12に示すように、前記クランプに代えて適当な紐107を使用し、排出具106を包んだフレキシブルコンテナバッグの排出口部105を紐107で縛る場合もある。
【特許文献1】特開2000−296818号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1に開示された従来の粉粒体排出装置は、クランプ100の左右方向に開閉可能な一対の挟持体101、101をボルト102で締結固定するものである。かかるクランプ100は、ボルト102の操作が必要であるため、クランプ100の着脱作業が煩雑で面倒である。また、クランプ100の締結時の口径は一定であるため、特定の直径を有する排出具の使用に限定され汎用性に欠ける。この結果、口径の相違する複数種類のクランプ100を準備する必要がある。
【0009】
また、図12で示す紐107で固定する場合には、排出具106を包んだフレキシブルコンテナバッグの排出口部105を紐107で縛るため、フレキシブルコンテナバッグの排出口部105と排出具106上部との間に粉粒体108が残存する。この結果、粉粒体の排出作業終了後に、紐107を解いてフレキシブルコンテナバッグの排出口部105を排出具106から外すと、残存していた粉粒体が飛散したり、床に落下して床を汚染したり、作業環境の悪化を招くこととなる。
【0010】
本発明は、上述した従来の装置が有する課題を解決するために提案されたものであって、フレキシブルコンテナバッグ等の袋内に収納された粉粒体を排出するに際して、袋と粉粒体排出装置との接続または取り外しを容易且つ迅速に行え、しかも、粉粒体が飛散したり落下したりするのを防止することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、前記課題を解決するためになされたもので、粉粒体が内部に収納され且つ粉粒体の排出口部が形成されてなる袋を吊り下げる装置本体と、粉粒体を排出すべく前記粉粒体の排出口部が被せられる筒状排出部と、該筒状排出部に粉粒体の排出口部を着脱自在に装着するクランプ部とを備えた粉粒体排出装置において、前記クランプ部は、前記筒状排出部の上方に位置し且つ筒状排出部に対して昇降自在に設けられ、しかも、クランプ部は、流体圧により内径方向に膨張しまたは流体の排出により収縮する環状のチューブと、前記筒状排出部の内周面よりもその中心側に突出する内周部を有する環状押え部とを備え、前記クランプ部の下降時に、前記環状押え部の内周部が、前記粉粒体の排出口部を筒状排出部の内周面よりも中心側に折り曲げ且つ筒状排出部の上面に押圧させるとともに、膨張したチューブが、筒状排出部に外嵌された粉粒体の排出口部を筒状排出部の外周面に押圧させることにある。
【0012】
前記本発明の粉粒体排出装置は、クランプ部が下降すると、クランプ部の環状押え部における内周部は、排出口部を外側から内側に折り込むようにして筒状排出部の上面に押圧し挟持する。また、チューブに圧縮空気が供給されると、チューブは、その内径方向に膨張するため、排出口部を筒状排出部の外周面に押圧し筒状排出部とで挟持することにより、排出口部と筒状排出部とが接続される。
【0013】
かかる接続により、排出口部は、環状押え部の内周部で筒状排出部の内周面よりも中心側に折り込まれているため、粉粒体が排出口部と筒状排出部との間に入り込むことはない。
【0014】
さらに、排出口部は、筒状排出部に被せられ且つチューブを介して筒状排出部に接続されていることから、排出口部と筒状排出部との接続が強固なものとなるとともに、排出口部から筒状排出部を通過する粉粒体が粉塵となって不用意に飛散することもない。しかも、排出作業終了後に、クランプ部を上昇させて排出口部を筒状排出部から外す際にも、粉粒体が排出口部と筒状排出部との間に残存していないため、かかる粉粒体が粉塵となって飛散したり、床面を汚染したり、作業環境の悪化を招くこともない。
【0015】
また、排出口部は、筒状排出部に被せられ且つチューブを介して筒状排出部に接続される構成であるため、筒状排出部の口径が相違する場合であっても、チューブの直径方向の弾性力により、前記筒状排出部の口径の相違を吸収し確実にチャッキングできる。
【発明の効果】
【0016】
本発明は、フレキシブルコンテナバッグ等の袋内に収納された粉粒体を排出するに際して、袋と粉粒体排出装置との接続または取り外しを容易に且つ迅速に行え、しかも、粉粒体が飛散したり落下したりするのを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図10は、本発明に係る粉粒体排出装置の一実施形態を示す。粉粒体排出装置1は、図1〜図3に示すように、粉粒体としての例えば食塩が収用された袋としてのフレキシブルコンテナバッグ(以下、バッグという。)3を吊り下げる装置本体10を備えている。
【0018】
装置本体10は、架台11と天部材20とからなり、架台11は、4本の支柱(前支柱14a、14a、および後支柱14b、14b)と、前後支柱14a、14b間に連結された上下の両側連結部材15a、15bと、後支柱14b、14b間に架設された上下の後連結部材16a、16bとから構成されている。
【0019】
各前後支柱14a、14bの上端には、昇降シリンダ17が上向きに固定され、この昇降シリンダ17のロッド17aを介して天部材20が、架台11に昇降自在に連結されている。天部材20の下面には、バッグ3の上部を着脱自在に係止するためのハンガー部21が設けられている。
【0020】
前記下連結部材15a、16aには、中央部が開口する床板25が水平に架設され、この床板25の上面には、排出促進装置30が取り付けられている。この排出促進装置30は、図4および図5に示すように、ゴム材等からなる複数の脚部31を介して床板25に固定されたベースフレーム32と、このベースフレーム32に上下方向に作動(回動)自在に設けられたボトムプレート35と、このボトムプレート35を上下に回動させる作動手段40とを備えている。
【0021】
ベースフレーム32は、平面視矩枠体からなる上ベースフレーム32aと下ベースフレーム32bとから構成されている。
【0022】
ボトムプレート35は、複数(本実施の形態では例えば4枚)の板材が一組として配置されており、各ボトムプレート35は、その両側縁35a、35aが互いに接近するように、装置本体10の中央に向けて幅が狭くなるように傾斜している。また、各ボトムプレート35の先端縁35bは円弧状に形成されており、ボトムプレート35の先端縁35bにより、装置本体10の中央部にはバッグ3の下方に突出する排出口部3aが挿通される開口部36が形成されている。
【0023】
各ボトムプレート35の外側部下面には、複数のステー37が間隔をおいて下向きに突設されており、このステー37が上ベースフレーム32aの上面に立設された取付け部33に、水平方向の支持軸34を介して連結されている。従って、各ボトムプレート35は、その自由端側となる先端側(装置本体10の中央側)が昇降するように、支持軸34を中心して上下方向に回動自在となっている。
【0024】
また、各ボトムプレート35は作動手段としてのエアーリフター40により、同時に作動するように構成されている。このエアーリフター40は、空気圧によって膨張または収縮可能な蛇腹状の環状収縮部41と、この環状収縮部41の上端に設けられた上部材43と、環状収縮部41の膨張または収縮動作にともなって昇降する上下方向のロッドからなる複数本の連結部材44とを備えている。
【0025】
環状収縮部41は、膨張または収縮可能なゴム等の弾性を有する軟質部材が蛇腹状に形成されるとともに、上下方向に貫通する開口部41aを有する環状に形成されている。そして、この環状収縮部41には、空気吸排気手段(図示省略)が接続されており、この手段から環状収縮部41の内部に空気が圧入または排出され、その空気圧によって、環状収縮部41を膨張または収縮可能にしている。
【0026】
上ベースフレーム32aと下ベースフレーム32bとの間には、環状収縮部支持プレート45が介在され、環状収縮部41の下面が、この環状収縮部支持プレート45にボルト46で固定されている。
【0027】
また、前記環状収縮部41の上端に設けられた上部材43は、円形の環状板材から構成され、その上面にはゴム材料からなるガイドローラー47が、ローラー受け部材48を介して回転自在に支持されている。このガイドローラー47は、各ボトムプレート35に対して設けられており、ボトムプレート35に下方から転接し、支持軸34よりも中央側(自由端側)を下方から支持している。そして、前記環状収縮部41の収縮時には、ガイドローラー47は支持軸34よりも下方に位置し、ボトムプレート35は、自由端側が下方に傾斜する下降位置を維持するように構成されている。
【0028】
また、環状収縮部41の膨張による上方への伸長時には、図2に示すようにガイドローラー47は支持軸34よりも上方に位置し、ボトムプレート35は、中央側が上方に傾斜する上昇位置に位置変更するように構成されている。なお、ガイドローラー47は、ボトムプレート35の回動の際に、当該ボトムプレート下面を転動しながら、ボトムプレート35を案内する。
【0029】
前記上部材43の外周部には、連結部材44の上端が周方向に等間隔をおいて連結されている。そして、各連結部材44の下端には、シリンダ49のロッド49bが連結されている。
【0030】
そして、シリンダ本体49aには、チャッキング装置60が固定されている。即ち、チャッキング装置60は、図4、図6〜図9に示すように、昇降するシリンダ本体49aに取付けられたサポート64と、このサポート64の中央部に設けられた保持部64aに挿通保持される筒状排出部61と、この筒状排出部61にバッグ3の排出口部3aを挟持して固定すべく、筒状排出部61に対して昇降シリンダ62により昇降するクランプ部63とを備える。
【0031】
昇降シリンダ62は、前記筒状排出部61を保持するサポート64に上下方向に取り付けられており、この昇降シリンダ62にブラケット69が昇降自在に取り付けられている。このブラケット69に、クランプ部63が水平に支持されており、クランプ部63は水平な状態で昇降自在に構成されている。
【0032】
クランプ部63は、内周面が開口する断面コの字状の環状本体65と、この環状本体65に収容された環状のチューブ66と、環状本体65の上面に配置された環状押え部としての環状のゴムパッキン67と、このゴムパッキン67の上面に配置された環状のゴムパッキン押さえ板68とから構成されている。ゴムパッキン押さえ板68は、環状本体65の上面にゴムパッキン67をボルト70を介して上方から締結固定している。
【0033】
ゴムパッキン67の内径D1は、図8に示すように、筒状排出部61の内径D2よりも小さく設定されている。また、環状本体65の内径D3は、環状本体65を筒状排出部61の上部に上方から外嵌できるように、筒状排出部61の外径よりも大きく設定されている。
【0034】
従って、ゴムパッキン67の内周部67aは、筒状排出部61の内周面よりも筒状排出部61全周にわたって中心側に突出している。このように、ゴムパッキン67の内周部67aが、筒状排出部61の内周面より中心側に突出しているため、図9に示すように、環状本体65を筒状排出部61に嵌合させた際に、排出口部3aを筒状排出部61の内周面よりも中心側に折り曲げて強固に挟持することができる。
【0035】
また、図1に示すように、架台11側(例えば後連結部材16a)には、ボトムプレート35の上昇位置を設定するためのセンサ50が設けられている。このセンサ50は、ボトムプレート35とともに昇降する部材(例えばサポート64側)に設けられた被検出部51を検出する。そして、このセンサ50の検出信号に基づいてボトムプレート35の上昇位置を設定することができる。なお、センサ50の上下位置は変更可能になっており、センサ50の上下位置を変更することにより、ボトムプレート35の作動ストロークを調整することができる。
【0036】
また、ベースフレーム32には、排出促進装置30とともにバッグ底部を振動させる振動装置70が取り付けられている。
【0037】
本実施の形態にかかる粉粒体排出装置1は、以上の構成からなり、次に、かかる装置1の動作について説明する。
【0038】
先ず、食塩等の粉粒体が収容されているバッグ3の上部を、装置本体10上部に設けられたハンガー部21に吊り下げセットする。このとき、バッグ3は、その下部が下降位置にあるボトムプレート35上に接触または載置させる程度(粉粒体の重量がボトムプレート35に作用する程度)に高さ調整されている。また、排出口部3aの中途部は、紐、ベルト等の閉塞具3bで閉塞されている。
【0039】
さらに、バッグ3の下部に設けられた排出口部3aをチャッキング装置60でチャッキングする。具体的には、排出口部3aを、ボトムプレート35の開口部36、環状収縮部41の開口部41aおよびクランプ部63内に挿通し、その口部3a下部を筒状排出部61に被せる。このとき、シリンダ本体49aとチャッキング装置60が上昇しているとともに、クランプ部63も筒状排出部61に対して上昇した待機位置にある(図1および図8参照)。
【0040】
さらに、昇降シリンダ62が作動すると、待機位置にあるクランプ部63が下降する。クランプ部63のゴムパッキン67の内周部67aは、排出口部3aを外側から内側に折り込むようにして筒状排出部61の上面に押圧し挟持する。また、チューブ66に圧縮空気が供給されると、チューブ66は、その内径方向に膨張するため、排出口部3aを筒状排出部61の外周面に押圧し筒状排出部61とで挟持する(図9参照)。これによりチャッキングが終了し、排出口部3aと筒状排出部61とが接続される。
【0041】
チャッキングが完了したら、出口紐等の閉塞体3bを解き、シリンダ49のロッド49bを伸長させることにより、チャッキング装置60を所定高さまで下降させる(図10(a)参照)。このように、チャッキング装置60を所定高さまで下降させることにより、排出口部3aの弛みを防止できる。
【0042】
次に、粉粒体排出運転に入る。具体的には、エアーリフター40の環状収縮部41に空気が圧入され、エアーリフター40が上昇すると、各ボトムプレート35が支持軸34を中心にして自由端側が支持軸34よりも上方に同時に回動する。かかるボトムプレート35の上方への回動により、バッグ3の底部中央部の粉粒体を外周方向に向けて下方から持ち上げ移動させる(図2および図10(b)参照)。
【0043】
さらに、環状収縮部41内の空気が排出されると、ボトムプレート35および粉粒体の重量により、ボトムプレート35は下方に回動することになる(図3参照)。復帰して下向きに傾斜するボトムプレート35に沿って、粉粒体は中央の筒状排出部61に流れ易くなる。このように、ボトムプレート35の上下運動により、固結した粉粒体をバッグ3内で効果的に砕いたり解したりして活性化させることができ、粉粒体をスムーズに排出することができる。なお、ボトムプレート35の上下動作に連動してチャッキング装置60も上下移動する。
【0044】
また、排出口部3aは、図9で示すように、ゴムパッキン67の内周部67aで筒状排出部61の内周面よりも筒状排出部61の中心側に折り込まれているため、粉粒体が排出口部3aと筒状排出部61との間に入り込むことはない。
【0045】
さらに、排出口部3aは、筒状排出部61に被せられ且つゴムパッキン67およびチューブ66を介して筒状排出部61に接続されていることから、排出口部3aと筒状排出部61との接続が強固なものとなるとともに、排出口部3aから筒状排出部61を通過する粉粒体が粉塵となって不用意に飛散することもない。
【0046】
また、排出口部3aは、筒状排出部61に被せられ且つゴムパッキン67およびチューブ66を介して筒状排出部61に接続される構成であるため、筒状排出部61の口径が相違する場合であっても、前記のようにゴムパッキン67で粉粒体が排出口部3aと筒状排出部61との間に入り込まないとともに、チューブ66の直径方向の弾性力により、前記筒状排出部61の口径の相違を吸収し確実にチャッキングできる。
【0047】
ボトムプレート35の作動速度やストロークは、粉粒体の材質や固結状態等に応じて適宜設定可能である。粉粒体の状態に応じた操作モードを設定し、定位置でボトムプレートを上下させて、粉粒体の塊を砕いたり、解したりして排出させることができる。操作モードは、例えばボトムプレート35のロングストロークモードにて運転し、ボトムプレート35をゆっくり上下動させる。かかるロングストロークモード運転とは、ボトムプレート35を、前記センサ50で設定したボトムプレート35の上昇位置と下降位置との位置を粉粒体の材質や固結状態等に応じた通常の速度で回動させる運転である。
【0048】
また、ロングストローク運転とショートストロークとのジョギング運転を組み合わせた循環モードも可能である。即ち、ショートストロークのジョギング運転とは、前記センサ50で設定したボトムプレート35の上昇位置と下降位置とのロングストロークよりも短いストロークで且つロングストロークよりも速い速度でボトムプレート35を回動させる運転である。
【0049】
かかる、ロングストローク運転とショートストロークのジョギング運転を組み合わせた循環モードは、例えば、複数回のロングストローク運転を行い、その後にショートストロークのジョギング運転を行い、さらに、ボトムプレート35の上昇位置からロングストローク運転よりも遅い速度でゆっくりとボトムプレート35を下降させる。このようにゆっくりとボトムプレート35を下降させることにより、ボトムプレート35の回動で砕いたり、解したりされた粉粒体をスムーズに排出させることができる。
【0050】
また、エアーリフター40の環状収縮部41に空気が圧入され、エアーリフター40が上昇する構成であるため、エアーリフター40の強い力の上昇圧力が得られ、粉粒体の重量に抗してボトムプレート35を確実に上昇させることができる。
【0051】
粉粒体の排出にともなって内容量が減少するが、この粉粒体の減少にともなって、バッグ3が細くなり、その分上下方向に長くなる。そこで、バッグ3の底部を常時安定して押し上げることができるように、架台11上端のシリンダ17を作動させ、バッグ3の長くなった分だけ、天部材20を上昇調整する。このことにより、ボトムプレート35に最適なバッグ3の重量が作用するため、安定した排出が可能となる。
【0052】
粉粒体の排出が終了したら、前記とは反対の工程を行う。すなわち、ボトムプレート35を下降させ、チャッキング装置60を上昇させる。さらに、チューブ66の空気を排出し、クランプ部63を上昇させて排出口部3aのチャッキングを解除する。このように、排出作業終了後に、クランプ部63を上昇させて排出口部3aを筒状排出部61から外す際にも、粉粒体が排出口部3aと筒状排出部61との間に残存していないため、かかる粉粒体が粉塵となって飛散したり、床面を汚染したりすることもない。
【0053】
本発明は、前記実施の形態に限定されるものではない。例えば、前記実施の形態では、環状押え部(ゴムパッキン67)と環状本体65とは、別部材から構成したが、合成樹脂で一体に成形することも可能である。
【0054】
なお、ボトムプレート35を作動させるとは、粉粒体の固結状態を砕いたり解したりして解消することをいい、袋の下方から袋の中央部を側方部よりも持ち上げることにより、袋内の粉粒体を上方で且つ中央側から側方に移動させる方向(例えば上方で且つ放射状)に力が作用するように作動させることをいう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施の形態を示す粉粒体排出装置の全体正面図である。
【図2】同粉粒体排出装置のボトムプレートを上方に作動させた状態の全体正面図である。
【図3】同粉粒体排出装置のボトムプレートを下方に作動させた状態の全体正面図である。
【図4】同粉粒体排出装置の要部を示す断面正面図である。
【図5】同粉粒体排出装置の要部を示す一部断面を含む平面図である。
【図6】同粉粒体排出装置のチャッキング装置を示す一部断面を含む正面図である。
【図7】同粉粒体排出装置のチャッキング装置を示す平面図である。
【図8】同粉粒体排出装置のチャッキング装置の要部を示し、クランプ部が上昇した状態の断面図である。
【図9】同粉粒体排出装置のチャッキング装置の要部を示し、クランプ部が下降した状態の断面図である。
【図10】同粉粒体排出装置のボトムプレートの動作を示し、(a)はボトムプレートの下降位置を示す概略断面図、(b)はボトムプレートの上昇位置を示す概略断面図である。
【図11】従来のクランプの平面図である。
【図12】従来例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
【0056】
1 粉粒体排出装置
3 フレキシブルコンテナバッグ(袋)
3a 排出口部
10 装置本体
11 架台
20 天部材
30 排出促進装置
35 ボトムプレート
40 エアーリフター(作動手段)
41 環状収縮部
60 チャッキング装置
61 筒状排出部
62 昇降シリンダ
63 クランプ部
65 環状本体
66 チューブ
67 ゴムパッキン(環状押え部)
67a 内周部
68 ゴムパッキン押さえ板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体が内部に収納され且つ粉粒体の排出口部が形成されてなる袋を吊り下げる装置本体と、粉粒体を排出すべく前記粉粒体の排出口部が被せられる筒状排出部と、該筒状排出部に粉粒体の排出口部を着脱自在に装着するクランプ部とを備えた粉粒体排出装置において、
前記クランプ部は、前記筒状排出部の上方に位置し且つ筒状排出部に対して昇降自在に設けられ、しかも、クランプ部は、流体圧により内径方向に膨張しまたは流体の排出により収縮する環状のチューブと、前記筒状排出部の内周面よりもその中心側に突出する内周部を有する環状押え部とを備え、
前記クランプ部の下降時に、前記環状押え部の内周部が、前記粉粒体の排出口部を筒状排出部の内周面よりも中心側に折り曲げ且つ筒状排出部の上面に押圧させるとともに、膨張したチューブが、筒状排出部に外嵌された粉粒体の排出口部を筒状排出部の外周面に押圧させることを特徴とする袋からの粉粒体排出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−208824(P2009−208824A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55371(P2008−55371)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用申請有り 平成19年10月16日に粉体工業展大阪2007の博覧会にて発表
【出願人】(393020281)東洋ハイテック株式会社 (8)
【Fターム(参考)】