説明

粉粒体輸送装置及び粉粒体輸送方法

【課題】ブロータンクの内部に粉粒体が浮遊するのを防止して効率よく粉粒体を圧送して排出し輸送することができる粉粒体輸送装置及び粉粒体輸送方法を提供する。
【解決手段】ブロータンク11天井部に粉粒体12の投入口13と、上部圧縮空気流入配管15を有すると共に、ブロータンク11内下方部に多孔板17と、ブロータンク11底部に設ける下部圧縮空気流入配管18からなるエアレーションチャンバ16を有する粉粒体輸送装置10において、上部圧縮空気流入配管15からの圧縮空気をブロータンク11内上方部から均一的に下方部に向けて流入させ、下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気によるエアレーションチャンバ16の多孔板17上で流動する粉粒体12を、ブロータンク11内上方部から下方部に静圧的に加圧するための粉粒体12の投入口13を開口としてブロータンク11内上方部を覆うようにして設ける通気性シート19を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブロータンクの内部に投入される、例えば、セメントや、微粉炭や、穀物粉等の粉粒体をブロータンク内下方部のエアレーションチャンバで流動させると共に、粉粒体を圧縮空気で圧送してブロータンクの外部に排出して輸送させる粉粒体輸送装置及び粉粒体輸送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ブロータンクの内部の粉粒体をブロータンクの外部に排出して輸送する場合には、粉粒体をブロータンク底部の中央辺りに設ける搬出口からブロータンクの外部に排出し、更に排出先に設けるスクリューコンベア等で搬送を行っている。この場合には、粉粒体がブロータンクの内部より良好に排出されるようにブロータンク底部を粉粒体が滑り落ち易い安息角以下の傾斜斜面としている。しかしながら、ブロータンクの内部の粉粒体の排出を粉粒体の自重だけで行う場合には、粉粒体の物性によって、ブロータンク底部の搬出口付近に付着して架橋するいわゆる粉粒体ブリッジが発生して排出状態が不安定となっている。
【0003】
また、粉粒体をブロータンクの外部に排出して輸送する方法には、ブロータンクの内部の粉粒体をブロータンク底部の中央辺りに設ける搬出口から圧縮空気でブロータンクの外部に排出して輸送する場合や、ブロータンク内下方部の中央辺りに下向きに開口する粉粒体の吸い込み口と、ブロータンク天井部、又はブロータンク胴体部の上方辺りに粉粒体の搬出口を設けて圧縮空気でブロータンクの外部に排出して輸送する場合がある。いずれの場合であっても、ブロータンク底部に設ける下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気をブロータンク内下方部に設ける多孔板上に噴出させることで多孔板上の粉粒体を流動化させるためのエアレーションチャンバを設けることができる。しかしながら、この場合の粉粒体は、下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気を用いて搬送を行っているので、下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気が粉粒体の圧送に必要なブロータンクの内部の加圧と、粉粒体のエアレーションチャンバでの流動化の両方を行うために必要となるので、流量が過大となって粉粒体の流動化の変動が激しくなり排出状態が不安定となっている。
【0004】
従来のブロータンク内下方部の中央辺りに下向きに開口する粉粒体の吸い込み口と、ブロータンク天井部、又はブロータンク胴体部の上方辺りに粉粒体の搬出口を設けてブロータンクの外部に排出して輸送するための粉粒体輸送装置には、ブロータンク天井部に上部圧縮空気流入配管を設け、ノズル先から圧縮空気を流入させブロータンク底部に設ける下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気とは独立させて、ブロータンク内を所定圧で加圧できるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
また、従来のブロータンクの内部の粉粒体をブロータンク底部の中央辺りに設ける搬出口からブロータンクの外部に圧縮空気で排出して輸送するための粉粒体輸送装置には、ブロータンク天井部に上部圧縮空気流入配管を設け、ノズル先から圧縮空気をブロータンク内の水平方向に噴出させてブロータンクの内部を所定圧で加圧できるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
更に、従来のブロータンクの内部の粉粒体をブロータンク底部の中央辺りに設ける搬出口から圧縮空気でブロータンクの外部に排出して輸送する粉粒体輸送方法及び粉粒体輸送装置には、ブロータンク天井部に上部圧縮空気流入配管を設けないで、搬出口近傍まで先端部が延設する圧縮空気が噴出するノズル部材を吊り下げ状態にして設け、このノズル部材を揺動させながら圧縮空気を噴出させ、粉粒体をブロータンクの外部に排出して輸送する輸送方法及び輸送装置が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
【特許文献1】特開昭58−125526号公報
【特許文献2】特開2004−277042号公報
【特許文献3】実用新案登録第2556339号公報
【特許文献4】特開2005−75621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前述したような従来の粉粒体輸送装置及び粉粒体輸送方法は、次のような問題がある。
(1)特開昭58−125526号公報、特開2004−277042号公報、実用新案登録第2556339号公報で開示されるようなブロータンク天井部に上部圧縮空気流入配管を設け、粉粒体をブロータンク内上方部から圧縮空気で加圧する方式は、ノズルから吹き出される強力な圧縮空気が流れを形成して直接粉粒体に降り注ぐこととなり、容積比重が0.8以下程度の軽い粉粒体の場合には、ブロータンク内に粉粒体が舞い上がって浮遊し、粉粒体の排出状態が不安定となると共に、全てを排出させるのに長時間を要している。
(2)エアレーションチャンバ用のブロータンク底部に設ける下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気のみや、特開2005−75621号公報で開示されるようなブロータンク天井部に上部圧縮空気流入配管を設けないで、搬出口近傍まで先端部が延設する圧縮空気で粉粒体の圧送が行われる場合には、ブロータンクの内部の粉粒体の量の減少に伴ってブロータンクの内部に粉粒体を舞い上がらせて浮遊させることとなり、粉粒体の排出状態が不安定となると共に、全てを排出させるのに長時間を要している。
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、ブロータンクの内部に粉粒体が浮遊するのを防止して効率よく粉粒体を圧送して排出し輸送することができる粉粒体輸送装置及び粉粒体輸送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的に沿う本発明に係る粉粒体輸送装置は、ブロータンク天井部に粉粒体の投入口と、上部圧縮空気流入配管を有すると共に、ブロータンク内下方部に多孔板と、ブロータンク底部に設ける下部圧縮空気流入配管からなるエアレーションチャンバを有する粉粒体輸送装置において、上部圧縮空気流入配管からの圧縮空気をブロータンク内上方部から均一的にブロータンク内下方部に向けて流入させ、下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気によるエアレーションチャンバの多孔板上で流動する粉粒体を、ブロータンク内上方部からブロータンク内下方部に静圧的に加圧するための粉粒体の投入口を開口としてブロータンク内上方部を覆うようにして設ける通気性シートを有する。
ここで、上記の粉粒体輸送装置は、通気性シートが厚さ2〜10mmの樹脂製繊維体からなり、両面を一対の骨枠体で挟み込んで固定されているのがよい。
【0010】
前記目的に沿う本発明に係る粉粒体輸送方法は、ブロータンク天井部に設ける粉粒体の投入口からブロータンク内下方部に設けるエアレーションチャンバ上に投入する粉粒体をブロータンク天井部に設ける上部圧縮空気流入配管、及びブロータンク底部に設ける下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気でブロータンク天井部、胴体部、又は底部に設ける搬出口を介してブロータンクの外部に排出して輸送する粉粒体輸送方法において、ブロータンクの内部の圧力を減圧して大気圧に戻した後、粉粒体を投入口からブロータンクの内部に投入すると共に、ブロータンク内下方部に設ける多孔板とブロータンク底部に設ける下部圧縮空気流入配管で構成するエアレーションチャンバの多孔板上に粉粒体を堆積する工程と、投入口の閉鎖、及び搬出口の開放を行った後、下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気による多孔板上で流動する粉粒体を、上部圧縮空気流入配管からの圧縮空気をブロータンク内上方部から投入口を開口としてブロータンク内上方部を覆うようにして設ける通気性シートの略全面を介して均一的にブロータンク内下方部に向けて流入させ、ブロータンク内上方部からブロータンク内下方部に静圧的に加圧する工程を有する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1又はこれに従属する請求項2記載の粉粒体輸送装置は、上部圧縮空気流入配管からの圧縮空気をブロータンク内上方部から均一的にブロータンク内下方部に向けて流入させ、下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気によるエアレーションチャンバの多孔板上で流動する粉粒体を、ブロータンク内上方部からブロータンク内下方部に静圧的に加圧するための粉粒体の投入口を開口としてブロータンク内上方部を覆うようにして設ける通気性シートを有するので、上部圧縮空気流入配管からの圧縮空気の強力な流れを通気性シートが平面的な均一の空気圧にして粉粒体をブロータンク内上方部から静圧的に押さえつけることができ、粉粒体の舞い上がりによる浮遊を防止して粉粒体を最後まで安定的に短時間で排出させることができる。
【0012】
特に、請求項2記載の粉粒体輸送装置は、通気性シートが厚さ2〜10mmの樹脂製繊維体からなり、両面を一対の骨枠体で挟み込んで固定されているので、繊維体に形成される細かい通気孔を有し、比較的厚く、強靱な樹脂製からなる通気性シートで、上部圧縮空気流入配管から強力な圧縮空気を受け止めて、平面的な均一の空気圧にして粉粒体をブロータンク内上方部から押さえつけることができる。また、通気性シートは、両面から一対の骨枠体で挟み込んで固定するので、通気性シートにかかる強力な圧縮空気を的確に受け止めて均一的に通過させることができる。
【0013】
請求項3記載の粉粒体輸送方法は、ブロータンクの内部の圧力を減圧して大気圧に戻した後、粉粒体を投入口からブロータンクの内部に投入すると共に、ブロータンク内下方部に設ける多孔板とブロータンク底部に設ける下部圧縮空気流入配管で構成するエアレーションチャンバの多孔板上に粉粒体を堆積する工程と、投入口の閉鎖、及び搬出口の開放を行った後、下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気による多孔板上で流動する粉粒体を、上部圧縮空気流入配管からの圧縮空気をブロータンク内上方部から投入口を開口としてブロータンク内上方部を覆うようにして設ける通気性シートの略全面を介して均一的にブロータンク内下方部に向けて流入させ、ブロータンク内上方部からブロータンク内下方部に静圧的に加圧する工程を有するので、粉粒体の排出状態を安定化させると共に、粉粒体の舞い上がりによる浮遊を防止して短時間の排出を可能とする粉粒体輸送方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した場合の最良の形態について説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1は本発明の一実施の形態に係る粉粒体輸送装置の説明図、図2は同粉粒体輸送装置のブロータンク内上方部の通気性シートの説明図、図3は同粉粒体輸送装置の変形例の粉粒体輸送装置の説明図である。
【0015】
図1に示すように、本発明の一実施の形態に係る粉粒体輸送装置10は、俵を立設させたような形状のブロータンク11天井部に、例えば、セメントや、微粉炭や、穀物粉や、油灰等の粉粒体12をブロータンク11の内部に投入するための投入口13を有している。この投入口13は、例えば、シリンダー付きダンパーで開閉がなされるようになっており、粉粒体12が投入され、ブロータンク11胴体部の所定の高さに取り付けられブロータンク11の内部に突出するセンサーを備えるレベル計14で投入量が確認された後には、シリンダー付きダンパーで投入口13が閉じられるようになっている。このシリンダー付きダンパーが閉じられてた後の投入口13は、ブロータンク11の内部に吹き込まれる圧縮空気の圧力に耐えることができる気密性を備えている。また、粉粒体輸送装置10は、ブロータンク11天井部に、上部圧縮空気流入配管15を有している。この上部圧縮空気流入配管15には、コンプレッサーから供給される圧縮空気が通過してブロータンク11の内部に吹き込まれるようになっている。
【0016】
この粉粒体輸送装置10は、ブロータンク11の内部にエアレーションチャンバ16を有している。このエアレーションチャンバ16は、ブロータンク11内下方部にブロータンク11底部との間に全面にわたって空間部を設けて取り付けられる多孔板17と、ブロータンク11底部に取り付けられる下部圧縮空気流入配管18で構成されている。下部圧縮空気流入配管18には、上部圧縮空気流入配管15と同様に、コンプレッサーから供給される圧縮空気が通過してブロータンク11の内部に吹き込まれるようになっている。このエアレーションチャンバ16によって、粉粒体12は、下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気で多孔板17上で流動し、ブロータンク11の内部からブロータンク11の外部への排出が促進されるようになっている。
【0017】
上記の粉粒体輸送装置10は、上部圧縮空気流入配管15からの圧縮空気をブロータンク11内上方部から均一的にブロータンク11内下方部に向けて流入させるために、繊維状に形成される通気性シート19を有している。この通気性シート19は、ブロータンク11内上方部に、ブロータンク11天井部との間に粉粒体12の投入口13を開口として全面にわたって空間部を設けてブロータンク11内上方部を覆うようにして取り付けられている。そして、通気性シート19を通過する圧縮空気は、下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気によるエアレーションチャンバ16の多孔板17上で流動する粉粒体12を、ブロータンク11内上方部から圧縮空気の流れを形成することなく全面にわたって均一的にブロータンク11内下方部に向けて静圧的に加圧できるようにしている。なお、上記のエアレーションチャンバ16の多孔板17は、ブロータンク11内上方部に設ける通気性シート19と同様な通気性シートを用いて構成するするのが好ましく、この通気性シートによって、突沸による粉粒体12の舞上がりを防止して粉粒体12をブロータンク11内下方部からブロータンク11内上方部に静圧的に加圧して流動させることができる。
【0018】
上記の粉粒体輸送装置10には、上部圧縮空気流入配管15からの圧縮空気、及び下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気で加圧される粉粒体12をブロータンク11の内部からブロータンク11の外部に排出して輸送するために、ブロータンク11の内部からブロータンク11の外部に延設される粉粒体搬送配管20が設けられている。この粉粒体搬送配管20は、ブロータンク11内下方部のエアレーションチャンバ16近傍に下向きに開口を設けた粉粒体12の吸い込み口21を備え、この吸い込み口21から上方に延設する配管の先に、ブロータンク11天井部、又はブロータンク11胴体部の上方辺りを貫くようにした粉粒体12の搬出口22を備えている。そして、粉粒体輸送装置10のブロータンク11の内部の粉粒体12は、下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気によるエアレーションチャンバ16の多孔板17上で流動させると共に、上部圧縮空気流入配管15からの圧縮空気、及び下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気で加圧することで吸い込み口21に圧送し、搬出口22からブロータンク11の外部に排出して輸送するようになっている。なお、この搬出口22には、粉粒体12の投入口13に設けられているのと同様の、例えば、シリンダー付きダンパーが設けられており、必要に応じて開閉ができるようになっている。
【0019】
図2に示すように、粉粒体輸送装置10の通気性シート19は、例えば、ポリエステル製のテトロンキャンバス等を用いた厚さ2〜10mmの樹脂製繊維体からなるのがよい。また、通気性シート19は、粉粒体12の投入口13と、粉粒体搬送配管20の部分を開口とし、両面を通気性シート19と同様の開口を設けた一対の骨枠体23で挟み込んで固定されているのがよい。上記の通気性シート19は、適度な通気性と、高い強度を有し、骨枠体23で支えられることと併せて高圧の圧縮空気を受け止めることができると共に、圧縮空気の動圧的な流れの束を形成することなく均一的にブロータンク11内上方部からブロータンク11内下方部に向けて静圧的に加圧させることができる。なお、通気性シート19の厚さは、2mmを下回ると、厚さが薄くなりすぎるので、圧縮空気の流れを形成しやすくなり、全面にわたって均一的にブロータンク11内上方部からブロータンク11内下方部に向けて静圧的に加圧できにくくなる。また、通気性シート19の厚さは、10mmを超えると、厚さが厚くなりすぎるので、通気性が悪くなり上部圧縮空気流入配管15からの圧縮空気の圧力を高めることが必要となり、高圧に対するブロータンク11の強度を高める必要が出てくる。
【0020】
次いで、図3を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る粉粒体輸送装置10の変形例の粉粒体輸送装置10aを説明する。図3に示すように、粉粒体輸送装置10aは、粉粒体輸送装置10と同様にブロータンク11内上方部に通気性シート19を有し、ブロータンク11内上方部から圧縮空気の流れを形成することなく全面にわたって均一的にブロータンク11内下方部に向けて静圧的に加圧できるようになっており、基本的には粉粒体輸送装置10と同様であるので、共通する部分の説明は省略する。粉粒体輸送装置10aは、ブロータンク11の内部の粉粒体12をブロータンク11の外部に輸送する形態が粉粒体輸送装置10と異なっている。すなわち、粉粒体輸送装置10aは、上部圧縮空気流入配管15からの圧縮空気、及び下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気で加圧される粉粒体12をブロータンク11の内部からブロータンク11の外部に輸送するために、ブロータンク11底部の中央辺りに落とし込み式の粉粒体12の搬出口22aを設けている。粉粒体輸送装置10aのエアレーションチャンバ16aは、ブロータンク11内下方部にブロータンク11底部との間に粉粒体12の搬出口22aを開口として、全面にわたって空間部を設けて取り付けられる多孔板17aと、ブロータンク11底部に取り付けられる下部圧縮空気流入配管18で構成されている。そして、粉粒体輸送装置10aのブロータンク11の内部の粉粒体12は、下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気によるエアレーションチャンバ16aの多孔板17a上で流動させると共に、上部圧縮空気流入配管15からの圧縮空気、及び下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気で加圧することで直接搬出口22aからブロータンク11の外部に排出して輸送するようになっている。なお、この搬出口22aは、粉粒体輸送装置10の搬出口22と同様に、例えば、シリンダー付きダンパーが設けられており、必要に応じて開閉ができるようになっている。
【0021】
次に、上記に示した図1〜図3を参照しながら、本発明の一実施の形態に係る粉粒体輸送装置10、10aにおける粉粒体輸送方法を説明する。
本発明の一実施の形態に係る粉粒体輸送装置10、10aにおける粉粒体輸送方法は、先ず、ブロータンク11の内部に粉粒体12が無いことを確認した上で、上部圧縮空気流入配管15からの圧縮空気、及び下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気の流入停止をコンプレッサーを停止して行い、ブロータンク11天井部に設ける粉粒体12の投入口13のシリンダー付きダンパーを開放したりしてブロータンク11の内部を減圧して大気圧に戻している。次いで、ブロータンク11の内部には、搬出口22、22aのシリンダー付きダンパーを閉鎖した後、粉粒体12を粉粒体12の投入口13より投入を開始している。そして、粉粒体12は、ブロータンク11内下方部に設ける多孔板17、17aと、ブロータンク11底部に設ける下部圧縮空気流入配管18で構成するエアレーションチャンバ16、16aの多孔板17、17a上に堆積され、ブロータンク11胴体部の所定位置に設けられているレベル計14で感知されるまでの所定量を充填している。
【0022】
次いで、ブロータンク11の内部の粉粒体12は、ブロータンク11天井部の粉粒体12の投入口13のシリンダー付きダンパーを閉鎖すると共に、ブロータンク11天井部、胴体部、又は底部に設ける搬出口22、22aのシリンダー付きダンパーを開放することで排出可能な状態とされる。次いで、ブロータンク11の内部には、ブロータンク11底部に設ける下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気、及びブロータンク11天井部に設ける上部圧縮空気流入配管15からの圧縮空気の流入が開始される。これらの圧縮空気の流入によって、粉粒体12は、下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気によって多孔板17、17a上で流動させることができる。また、粉粒体12は、上部圧縮空気流入配管15からの圧縮空気をブロータンク11内上方部から、投入口13を開口としてブロータンク11内上方部を覆うようにして設ける通気性シート19の略全面を介して均一的にブロータンク11内下方部に向けて流入させることで、ブロータンク11内上方部からブロータンク11内下方部に静圧的に加圧している。そして、上部圧縮空気流入配管15、及び下部圧縮空気流入配管18からの圧縮空気で加圧された粉粒体12は、順次、ブロータンク11天井部、胴体部、又は底部に設ける搬出口22、22aを介してブロータンク11の外部に排出され、輸送している。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の粉粒体輸送装置及び粉粒体輸送方法は、ブロータンクの内部に投入される、例えば、セメントや、微粉炭や、穀物粉等の粉粒体を効率的にブロータンクの外部に排出し輸送するものであり、地上の固定された場所に設置して粉粒体の混合機として利用することができる。また、本発明の粉粒体輸送装置及び粉粒体輸送方法は、この粉粒体輸送装置を、例えば、自動車や、船等の移動体に設置してブロータンクの内部に投入された粉粒体の輸送用として利用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態に係る粉粒体輸送装置の説明図である。
【図2】同粉粒体輸送装置のブロータンク内上方部の通気性シートの説明図である。
【図3】同粉粒体輸送装置の変形例の粉粒体輸送装置の説明図である。
【符号の説明】
【0025】
10、10a:粉粒体輸送装置、11:ブロータンク、12:粉粒体、13:投入口、14:レベル計、15:上部圧縮空気流入配管、16、16a:エアレーションチャンバ、17、17a:多孔板、18:下部圧縮空気流入配管、19:通気性シート、20:粉粒体搬送配管、21:吸い込み口、22、22a:搬出口、23:骨枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブロータンク天井部に粉粒体の投入口と、上部圧縮空気流入配管を有すると共に、前記ブロータンク内下方部に多孔板と、前記ブロータンク底部に設ける下部圧縮空気流入配管からなるエアレーションチャンバを有する粉粒体輸送装置において、
前記上部圧縮空気流入配管からの圧縮空気を前記ブロータンク内上方部から均一的に前記ブロータンク内下方部に向けて流入させ、前記下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気による前記エアレーションチャンバの前記多孔板上で流動する前記粉粒体を、前記ブロータンク内上方部から前記ブロータンク内下方部に静圧的に加圧するための前記粉粒体の投入口を開口として前記ブロータンク内上方部を覆うようにして設ける通気性シートを有することを特徴とする粉粒体輸送装置。
【請求項2】
請求項1記載の粉粒体輸送装置において、前記通気性シートが厚さ2〜10mmの樹脂製繊維体からなり、両面を一対の骨枠体で挟み込んで固定されていることを特徴とする粉粒体輸送装置。
【請求項3】
ブロータンク天井部に設ける粉粒体の投入口から前記ブロータンク内下方部に設けるエアレーションチャンバ上に投入する粉粒体を前記ブロータンク天井部に設ける上部圧縮空気流入配管、及び前記ブロータンク底部に設ける下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気で前記ブロータンク天井部、胴体部、又は底部に設ける搬出口を介して前記ブロータンクの外部に排出して輸送する粉粒体輸送方法において、
前記ブロータンクの内部の圧力を減圧して大気圧に戻した後、前記粉粒体を前記投入口から前記ブロータンクの内部に投入すると共に、前記ブロータンク内下方部に設ける多孔板と前記ブロータンク底部に設ける前記下部圧縮空気流入配管で構成する前記エアレーションチャンバの前記多孔板上に前記粉粒体を堆積する工程と、
前記投入口の閉鎖、及び前記搬出口の開放を行った後、前記下部圧縮空気流入配管からの圧縮空気による前記多孔板上で流動する前記粉粒体を、前記上部圧縮空気流入配管からの圧縮空気を前記ブロータンク内上方部から前記投入口を開口として前記ブロータンク内上方部を覆うようにして設ける通気性シートの略全面を介して均一的に前記ブロータンク内下方部に向けて流入させ、前記ブロータンク内上方部から前記ブロータンク内下方部に静圧的に加圧する工程を有することを特徴とする粉粒体輸送方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−37556(P2008−37556A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−212678(P2006−212678)
【出願日】平成18年8月4日(2006.8.4)
【出願人】(504275052)
【出願人】(598156310)
【Fターム(参考)】