説明

粒子をコーティングするための方法

粒子をコーティングする方法を開示する。該方法は、粒子の表面が少なくともヒドロキシル基、ハロゲン基又はアルコキシ基とのカップリング反応を経験するのに好適な官能基を含む粒子(i)を、式(Ia)及び/又は(Ib)の分子(ii)と接触させることを含み;Aが金属又は半金属であり、R及び(式(Ia)の)Rがハロゲン基又はアルコキシ基であり、R20がOH、ハロゲン基又はアルコキシ基である(Ia)又は(Ib)。Gは、脂肪族、環状脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、又はアリール環状脂肪族のスペーサであり、Eは官能基である。粒子の表面上の官能基と部分R20の間のカップリング反応によって一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子は粒子の表面上にて不動化される。さらに、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子は架橋して粒子上に予備コーティングを形成する。式(IIa)及び/又は(IIb)の分子が加えられる;Mが金属又は半金属であり、R31及びR32がハロゲン基、ヒドロキシル基又はアルコキシ基である(IIa)又は(IIb)。式(IIa)におけるR33はOH、ハロゲン、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、又はアリール環状脂肪族基である。Gは脂肪族、環状脂肪族、芳香族、アリール脂肪族、又はアリール環状脂肪族のスペーサである。Kは、官能基Eと共有結合を形成するのに好適である官能基である。形成された混合物を超音波に暴露する。それによって官能基EとKの間に共有結合が形成し、式(IIa)及び/又は(IIb)の分子が架橋する。こうして粒子上にコーティングが形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子をコーティングする方法、及び該方法を実行するキットに関する。該方法はとりわけ、官能基を含有する金属又は半金属の化合物との反応と超音波への暴露とを含む。
【背景技術】
【0002】
親水性特性を持つ架橋された物質が必要とされる場合、従来コーティングとして又はそのままの物質としてシリカが提供されている。固形のSiO結晶を使用するのではなく、式−(SiO−のポリマーネットワークがその場で珪酸のポリマーとして形成される。さらに、(普通メソ細孔の)シリカ表面の化学修飾は、種々の応用に対して事前に割り当てられた特性を持つ物質の広範囲に渡る開発をもたらす。
【0003】
親水性の表面を提供するためのシリカの現在の応用の例は、ナノ粒子の特性を操作することである。それぞれの表面の予備処理によってナノ粒子が充填剤粒子としてポリマーに加えられるのを可能にし、それによってポリマーに基づいたナノハイブリッドを形成する。表面処理はこれらの応用において充填剤粒子とマトリクス物質の間の結合を改善する。高価な金属やセラミックスを置き換えるためにそのような操作されたナノハイブリッド物質は多数の応用で重要になっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】ムルバニー、ピーら、J. Mater. Chem. 第10巻,1259〜1270ページ(2000年)
【非特許文献2】ヴィダル、エーおよびドネット、ジェイ・ビー、Bull. Soc. Chim. Fr.第6巻、1088ページ(1985年)
【非特許文献3】バウア、エフら、Macromol. Chem. Phys.201巻、2654ページ(2000年)
【非特許文献4】ウィンクラー、アール・ピーら、Thin Solid Films 第351巻、209ページ(1999年)
【非特許文献5】ターナー、エム・アールら、Surface and Interface Analysis 第25巻、917ページ(1997年)
【非特許文献6】アバウド、エムら、J. Mater. Chem. 第7巻、8号、1527ページ(1997年)
【非特許文献7】エル−トニ、エー・エムら、Coll. Sur. Sci. A: Physicochem. Eng. Aspects 第274巻、229ページ(2006年)
【非特許文献8】ホルガド、エムら、Colloid Interface Sci. 第229巻、6〜11ページ(2000年)
【非特許文献9】コバヤシ、ワイら、J Phys. Chem. B 第107巻、7420〜7425ページ)(2003年)
【非特許文献10】リュ、ワイら、Nano Lett. 第2巻、3号、183〜186ページ(2002年)
【非特許文献11】アスラム、エムら、J. Colloid Interface Sci. 第290巻、444〜449ページ(2005年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
幅において臨界寸法より小さい粒子から構成される物質は、巨視的な物質及び原子サイズの物質でさえ十分に異なる独特の化学的な、物理的な及び構造的な特性を示す。従って、ナノサイズの粒子及びチューブは、種々の応用において、特にたとえば、医療応用のような所望の機能に役立つための特定の特性を有するようにそれらが操作できる場合魅力的なツールになる。ナノサイズの粒子の所望の特性は、普通、増大したモジュールと強度、透明性、低下した気体透過性、増大した引掻き、磨耗、熱への耐性、及び低下した可燃性の少なくとも1つである。
【0006】
さらにナノサイズの粒子の弱点は、溶液中のその取り扱い、特に水溶液中の金属又は半金属(たとえば、量子点)の取り扱いである。塩析と同様に凝集及び凝固は深刻な問題である(非特許文献1)。従って、たとえば、キャッピング剤による表面処理が同様にそのような応用に一般に使用される。
【0007】
現在、表面の、特にナノ粒子のシリカコーティングを最適化すること及びシリカコーティングの調製の間、ゾルを安定化することを目的として研究に尽力している。調整された表面特性を持つ金−シリカのコア−シェルナノ粒子の合成も最近報告されている。金属(たとえば、金)粒子のシリカコーティングの一般的な方法は、3工程:(1)たとえば、3−アミノプロピルトリメトキシシランおよび3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)のようなアミノ基又はチオール基を有するシランカップリング剤を用いたガラス親和性(「酸化金属を好む」)にするためのナノ粒子表面の修飾と、(2)珪酸ナトリウム溶液からの水中でのシリカのゆっくりとした堆積と、(3)エタノール/アンモニアの混合物における珪素アルコキシドのゾル−ゲル反応を介したシリカのシェルの大規模な成長と、から成る。
【0008】
従って、最も最近利用可能な方法は、この手順には当該技術で最低の粒子凝集が伴うので、その後のコーティング工程の前にゾルゲル反応の触媒された(通常、塩基触媒される)縮合又は析出反応によってその場で作製される粒子物質を必要とする。しかしながら、この手順は、結果的に非常に低い生産性又は一貫性の欠如のいずれかを生じる合成方法の複雑な性質のために複合材料の応用可能性を著しく限定する。
【0009】
さらに現在最も市販されているナノ物質は、乾燥粉末の形態で入荷するか、又は乾燥状態から再分散される。これは必然的に、個々の粒子間の静電気力又はファンデルワース力のために相対的にゆるい集塊と、分解しにくい強固結合のためにより強固な凝集の双方を生じる。従って、集塊及び凝集をさらに小さな単位又は個々の粒子に崩壊させるために機械的な処理が必要である。従って、それぞれのナノ粒子を分散することは、集塊/凝集の崩壊及び分散物の安定化を含まねばならない。
【0010】
通常の湿式化学法を介して処理された粒子は現在、水又は有機溶液中で撹拌することによって分散される。しかしながら、この単純な方法は、適用される力の強度が弱すぎるので、集塊を克服するには不十分である。さらに、シランを用いた一般の反応法は、それが小さな粒子と完全に反応する前の分散で時間がかかる。この困難さは、市販の乾燥粉末が処理されるべき場合、特に重要である。従って、表面処理全体を通して集塊形成から粒子を引き止めるには特定の力をかけることが必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
従って、本発明の目的は、粒子の表面コーティングに使用することができる改善されたコーティング法を提供することである。
第1の態様では、本発明は粒子をコーティングする方法に関する。該方法は粒子を提供することを含む。粒子の表面はヒドロキシル基、ハロゲン基及びアルコキシ基の少なくとも1つとのカップリング反応を経験するのに好適な官能基を含む。方法はさらに、一般式
(Ia)及び/又は(Ib)の分子を提供することを含む。
【0012】
【化1】

【0013】
この式では、Aは金属又は半金属である。Rと式(Ia)におけるRは独立して選択されるハロゲン基又はアルコキシ基である。各アルコキシ基は、約0〜4のヘテロ原子の長さの主鎖を含む脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含む。R20は、OH、ハロゲン基又はアルコキシ基である。アルコキシ基は、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含む。Gは、約0〜3のヘテロ原子の長さの主鎖を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル、又はアリール環状脂肪族ラジカルであってもよいスペーサである。Eは、官能基、たとえば、アルデヒド、アミノ、ニトロ、ハロゲン、アゾ、ジアゾ、ヒドラゾ、チオ、シアノ、カルボキシル、エステル、無水物、スルホネート、スルホネートエステル、イミドエステル、セミカルバジド、イソシアノ、アジリジン、ホスホルアミダイト又はエポキシの基である。方法はさらに一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子と粒子を接触させることを含む。それによって第1の混合物が形成される。方法はまた、粒子の表面上の官能基とR20との間でのカップリング反応に好適な反応条件に第1の混合物を暴露することも含む。それによって、方法は、まず第一に粒子の表面上の官能基と一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子のR20部分との間での反応によって共有結合の形成を可能にすることをに含む。その結果、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子は粒子の表面に不動化される。第二に、それによって方法は、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子の架橋を可能にすることを含む。その結果、粒子上に予備コーティングが形成される。方法はまた、一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の分子を加えることを含む。
【0014】
【化2】

【0015】
この式では、Mは、金属又は半金属である。R31及びR32は、独立して選択されるハロゲン基、ヒドロキシル基又はアルコキシ基である。各アルコキシ基は、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含む。式(IIa)におけるR33は、OH、ハロゲン、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、又はアリール環状脂肪族基である。Gは、約0〜3のヘテロ原子の長さの主鎖を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル、又はアリール環状脂肪族ラジカルであってもよいスペーサである。Kは、官能基であって、たとえば、アルデヒド、アミノ、ニトロ、アゾ、ジア
ゾ、ヒドラゾ、チオ、シアノ、カルボキシル、イソシアノ又はエポキシの基である。官能基Kは、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の官能基E(上記参照)との共有結合を形成するのに好適である。それによって第2の混合物が形成される。方法はまた、第2の混合物を超音波に暴露することを含む。それによって方法は第1に、予備コーティングの官能基Eと(予備コーティングは、粒子表面上の官能基と部分R20と一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子の架橋との間の反応によって形成される(上記参照))と一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の分子の官能基K(上記参照)との間の分子間反応により共有結合の形成を可能にすることを含む。その結果、一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の分子が粒子の表面に不動化される。第2に、方法はそれによって、複数の、一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の分子の架橋を可能にする十分なエネルギーを提供することを含む。その結果、粒子上にコーティングが形成される。
【0016】
第2の態様では、本発明は第1の態様に係る方法によって入手可能なコーティングに関する。
第3の態様では、本発明は第2の態様に係るコーティングを持つ粒子を提供する。
【0017】
第4の態様では、本発明は粒子をコーティングするためのキットに関する。キットは2つの容器を含む。第1の容器は、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子を含む。
【0018】
【化3】

【0019】
この式では、Aは金属又は半金属である。Rと式(Ia)のRは独立して選択されるハロゲン基又はアルコキシ基である。各アルコキシ基は、約0〜4のヘテロ原子の長さの主鎖を含む脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含む。R20は、OH、ハロゲン基又はアルコキシ基である。アルコキシ基は、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含む。Gは、約0〜3のヘテロ原子の長さの主鎖を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル、又はアリール環状脂肪族ラジカルであってもよいスペーサである。Eは、官能基、たとえば、アルデヒド、アミノ、ニトロ、ハロゲン、アゾ、ジアゾ、ヒドラゾ、チオ、シアノ、カルボキシル、エステル、無水物、スルホネート、スルホネートエステル、イミドエステル、セミカルバジド、イソシアノ、アジリジン、ホスホアミダイト又はエポキシの基である。第2の容器は、一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の分子を含む。
【0020】
【化4】

【0021】
この式では、Mは、金属又は半金属である。R31とR32は、独立して選択されるハロゲン基又はアルコキシ基である。各アルコキシ基は、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含む。式(IIa)においてR33は、OH、ハロゲン、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、又はアリール環状脂肪族基である。Gは、約0〜3のヘテロ原子の長さの主鎖を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル、又はアリール環状脂肪族ラジカルであってもよいスペーサである。Kは、官能基、たとえば、アルデヒド、アミノ、ニトロ、アゾ、ジアゾ、ヒドラゾ、チオ、シアノ、カルボキシル、イソシアノ又はエポキシの基である。官能基Kは、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の官能基E(上記参照)との共有結合を形成するのに好適である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】被包又はシェルとして粒子上にシリカのコーティングを形成する現在の方法を示すが、場合によってそれは直接行ってもよいし(図1A)又はカップリング剤による予備処理を必要としてもよい(図1B)。
【図2】粒子の表面上に位置する(A、B)、本発明に従って形成されるコーティングの実施態様を示す概念図。
【図3A】予備コーティングを形成するために官能基Eを運ぶリンカーGと共に金属又は半金属のカップリング剤を用いる、本発明の方法の一例を示すスキーム図。
【図3B】予備コーティングを形成するために官能基Kを運ぶリンカーGと共にさらなる分子を用いて音響化学反応で完全なコーティングを形成する、本発明の方法の一例を示すスキーム図。
【図4】コーティングの酸化金属又は酸化半金属の架橋マトリクスに含まれるのに好適な化合物(A〜S)の例を示す化学式。
【図5】本発明の方法に係る金属又は半金属の酸化物の架橋マトリクスによる粒子のコーティングを説明する反応式。
【図6】本発明に係るコーティングを形成する方法の例示となるカップリング反応のスキーム図。
【図7】官能化架橋シリカのマトリクスが設けられている、粒子上にコーティングを形成する実施態様を説明するブロック図。
【図8】図7でスケッチされたような溶液への超音波の印加を実証する写真(超音波の適用によってゾル−ゲル工程が進行できる)。
【図9A】官能基を運ぶトリアルコキシシランを用いて予備コーティングを形成した後の酸化インジウムスズ(ITO)のナノ粒子のX線光電子分光(XPS)分析スペクトル。
【図9B】本発明に係るコーティングの形成、すなわち完了を生じる追加の第2の処理の後の(図9B)酸化インジウムスズ(ITO)のナノ粒子のX線光電子分光(XPS)分析スペクトル。
【図10A】本発明の方法に従ってコーティングされたITOナノ粒子の透過電子顕微鏡写真。
【図10B】受け取った際、コーティングされていない、相当するナノ粒子の写真。
【図11A】官能基を運ぶトリアルコキシシランによる第1の処理の後受け取った際のITOナノ粒子及びコーティングされた表面を持つ完全に処理されたナノ粒子のXPSスペクトル。
【図11B】乾燥させた粉末試料の写真。
【図11C】乾燥させた粉末試料の写真。
【図12A】エタノールと水の混合物に分散されたコーティングされた及びコーティングされていないITOナノ粒子の写真。
【図12B】コーティングされていないITOナノ粒子と、コロイド状シリカと混合したコーティングされていないITOナノ粒子と、先ず一般式(Ia)の化合物によって処理され(詳細な説明を参照、予備コーティング)、その後官能化されたチオアルコキシシランで処理された(詳細な説明を参照、音響化学反応)ITOナノ粒子の分散物の吸収限界を示すグラフ。
【図13】本発明の方法に従ってコーティングされたチタニアのナノ粒子を示す写真。
【発明を実施するための形態】
【0023】
非限定の実施例及び添付の図面と併せて考慮される場合、詳細な説明を参照して本発明はさらに良好に理解されるであろう。
本発明は粒子をコーティングする方法を開発した。被包として役立てることもでき、コポリマーの形成に基づくコーティングは、従来のコーティングされた粒子に比べて、水性及び有機の媒体における改善された分散性を粒子に提供する(図12Aを参照のこと)。方法は、たとえば、コーティングであってもよい第1の架橋ポリマーブロックにおいて反応性の部位を提供することを含む。次いでこれらの反応性の部位を用いて、超音波への暴露の際、迅速で好都合な方法にて第2の架橋マトリクスによって架橋マトリクスを伸ばす。本発明の方法により提供されるコーティングは、たとえば、粒子(ナノサイズ又はミクロサイズ、結晶又は非結晶のいずれか)を提供するか、又は上述のように凝集困難さを回避するのに役立つコーティングを持つ粒子を提供する。
【0024】
図1で説明されるように、その親水性特性のためにシリカは表面のコーティングにおいて幅広い用途が見い出されている。種々の官能化されたシラン試薬を用いた粒子のシリル化は徹底的に調べられている(たとえば、非特許文献2)。充填剤粒子としてポリマーにナノ粒子が添加されるべき応用については、変化した充填剤−ポリマーの相互作用が複合材料の改善された機械的特性を結果として生じることが示されている。たとえば、バウアは、引掻き及び磨耗耐性コーティングのために、メタクリロキシ(プロピル)トリメトキシシランによるナノサイズのシリカとアルミナのコーティングを報告した(非特許文献3)が、ウィンクラーは、電気立体的安定化ゾルを達成するためのエポキシ官能化されたアルコキシシランに基づいたシリカとアルミナの粒子のための表面、表面コーティングを報告した(非特許文献4)。表面修飾した粒子を含むナノ複合材料は、良好な透明性及び磨耗耐性を示す(前出)。ターナー及びアバウドは、3−(トリメトキシシラン)プロピルメタクリレート(ガンマ−MPS)によって修飾された表面を持つ、AI、ZrO、TiOのような酸化セラミック粉末を検討した(非特許文献5、非特許文献6)。
【0025】
半導体又は金属のナノ粒子とシリカのシェルから成る、コア−シェル構造又は被包構造を持つナノ粒子が開発されている。チタニアの光触媒活性を抑制するためのシード重合の使用(非特許文献7)、チタニアによるシリカ粒子のコーティングと同様にコンデンサシリカを形成するための非イオン性界面活性剤、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)の使用(非特許文献8)は、当該技術における改善されたコーティングの必要性を説明する。被包は磁鉄鉱に適用されており、たとえば、Co、FePt及びFeのようなそのほかのフェライト物質が有する(非特許文献9、非特許文献10)を参照のこと。
【0026】
不活性のシリカのシェルによる粒子のコーティングは安定化法として使用することができる(非特許文献1)。この点で、シリカシェルの役割は二重である:第1に、それは、水中での非常に高いコロイド安定性を提供し、第2に、それを用いてシェルの厚さを介して集合体の範囲内でコア間の距離を制御することができる。第3の態様では、酸化物保護は極端な条件下で粒子を安定化するのを助けることができる。追加の特徴として、コーティングは、たとえば、受容体分子のような所望の分子の連結のための部分を提供してもよい(以下も参照のこと)。一例として、安定化目的でオレイン酸とオレイルアミンを用いたシリカによってFePtナノ粒子が被包されている(非特許文献11)。
【0027】
シリカのコーティングの一般的な方法は3つの工程:(1)たとえば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン又は3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン(MPS)のようなアミノ基又はチオール基を有するシランカップリング剤を用いたガラス親和性(「酸化金属を好む」)にするためのナノ粒子表面の修飾と、(2)珪酸ナトリウム溶液からの水中でのシリカのゆっくりとした堆積と、(3)エタノール/アンモニアの混合物における珪素アルコキシドのゾル−ゲル反応を介したシリカのシェルの大規模な成長と、から成る。
【0028】
本発明の方法は、2つの架橋されたブロックのコポリマーを含めて利用することができるコーティングをもたらす。これらのブロックの共有結合について好適な官能基間の化学反応が採用される。方法は、粒子を提供することと、分子を提供することと、それらを互いに接触させることを含む。複数の官能基を含む表面を有するいかなる粒子も使用してもよい(以下を参照のこと)。表面に官能基が存在しなければ、以下に説明されるようにそれらを導入してもよい。官能基は、少なくともヒドロキシル基、ハロゲン基又はアルコキシ基とのカップリング反応を経験するのに好適である。粒子の表面に存在してもよい官能基の例には、アルデヒド、アミノ、ニトロ、アゾ、ジアゾ、ヒドラゾ、チオ、シアノ、カルボキシル、イソシアノ又はエポキシの基が挙げられるが、これらに限定されない。粒子に存在する官能基はすべて同一であってもよい。ほかの実施態様では、粒子の表面には任意の数の異なる官能基が含まれる。
【0029】
提供される分子は金属又は半金属の化合物の分子である。金属又は半金属の価数によって、化合物は一般式(Ia)又は(Ib)のものである。
【0030】
【化5】

【0031】
この式では、Aは金属又は半金属である。いかなる金属又は半金属が使用されてもよい。好適な金属の説明に役立つ実例には、アルミニウム、チタン、ガリウム、ジルコニウム、セリウム、及びそれらの複合体が挙げられるが、これらに限定されない。好適な半金属の例には、珪素、ホウ素、ゲルマニウム、アンチモン及びそれらの複合体が挙げられるが、これらに限定されない。Rと式(Ia)におけるRは独立して選択されるハロゲン基又はアルコキシ基である。各アルコキシ基は、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、又はアリール環状脂肪族基である部分を含む。
【0032】
用語「脂肪族”は、特に指定がない限り、直鎖又は分枝鎖の炭化水素を意味し、それは、飽和であってもよく、一不飽和又は多不飽和であってもよく、及びヘテロ原子、すなわち、N、S、Se、O又はSiのような炭素とは異なる原子を含んでもよい。不飽和の脂肪族基は1以上の二重結合及び/又は三重結合を含有する(アルケニル又はアルキニルの部分)。炭化水素鎖の分岐は、非芳香族環状要素と同様に直鎖を含んでもよい。特に指定がない限り、炭化水素鎖はいずれの長さでもよく、いずれの数の分岐を含有してもよい。通常、炭化水素(主)鎖は1〜5、10まで、15まで又は20までの炭素原子を含む。アルケニルラジカルの例は、1以上の二重結合を含有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素のラジカルである。アルケニルラジカルは通常、2〜20の炭素原子と1以上の二重結合を含有し、たとえば、約2〜約10の炭素原子と1つの二重結合を含有する。アルキニルラジカルは通常2〜20の炭素原子と1又は2の三重結合を含有し、たとえば、2〜10の炭素原子と1つの三重結合を含有する。アルキニルラジカルの例は、1以上の三重結合を含有する直鎖又は分枝鎖の炭化水素のラジカルである。アルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、これらのラジカルのn−異性体、イソプロピル、イソブチル、イソペンチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ネオペンチル及び3,3−ジメチルブチルである。分岐同様に主鎖も双方共にさらに、たとえば、N、O、S、Se又はSiのようなヘテロ原子を含有してもよく、炭素原子がこれらのヘテロ原子で置換されてもよい。
【0033】
用語「脂環式」は、特に指定がない限り、非芳香族の環状炭化水素部分を意味し、それは飽和であってもよく、一不飽和又は多不飽和であってもよい。環状炭化水素部分は、鎖要素と同様に非芳香族の環状要素によって置換されてもよい。環状炭化水素部分は、融合された環状環システムを含んでもよく、鎖要素と同様に非芳香族の環状要素によって置換されてもよい。環状炭化水素部分の主鎖は、特に指定がない限り、いずれの長さであってもよく、いずれの数の非芳香族の環状要素及び鎖要素を含有してもよい。通常、炭化水素(主)鎖は、1つの環に3、4、5、6、7又は8の主な炭素原子を含む。そのような部分の例には、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル又はシクロオクチルが挙げられるが、これらに限定されない。環状炭化水素部分及び存在すれば、環状置換基及び鎖置換基は、さらにたとえば、N、O、S、Se若しくはSiのようなヘテロ原子を含有してもよく、又は炭素原子がこれらのヘテロ原子で置換されてもよい。用語「脂環式」はまた、不飽和の環状炭化水素であるシクロアルケニル部分も含み、それは一般に約3〜約8の環炭素原子、たとえば、5〜6の環炭素原子を含有する。シクロアルケニルラジカルは通常、各環システムに二重結合を有する。シクロアルケニルラジカルも同様に置換されてもよい。
【0034】
用語「芳香族」は、特に指定がない限り、共役された二重結合の平面的な環状炭化水素部分を意味し、それは単環であってもよく、又は複数の縮合した環若しくは共有結合した環、たとえば、2、3若しくは4の縮合環を含んでもよい。用語「芳香族」はまたアルキルアリールも含む。通常、炭化水素(主)鎖は、1つの環に5、6、7又は8の主な炭素原子を含む。説明目的で、好適な芳香族部分の例には、ベンゼン、イミダゾール、ベンズイミダゾール、4H−ピラン、ピラゾール、ピラジン、ピロール、ピリダジン、フラン、インドール、ベンジンドール、チオフェン、ベンゾフラン、ナフトフラン、ピリジン、ビピリジン、インドール、2H−イソインドール、アントラチオベンゼン、ナフタレン、トリアザアントラセン、[10]アヌレン(1,3,5,7,9−シクロデカペンタエニル−)、[12]アヌレン、[8]アヌレン、チア[11]アヌレン、フェナレン(ペリナフテン)、1,9−ジヒドロピレン、クリセン(1,2−ベンゾフェナントレン)、アントラキセン、キノリン、ナフタキノリン、イソキノリン、キナゾリン、シノリン、キノキサリン、オキサゾール、オキソニン、オキセピン、ベンゾオキセピン、アゼピン、チエピン、セレネピン、チオニン、アゼシン(アザシクロデカペンタエン)、ジアゼシン、チアジン、チアゾール、イソチアゾール、1H−アゼピン、ジベンゾピリジン、アゾシン、ジ
アゾシン、ベンザゾシン、1H−アゾニン、アザウンデシン、オキセピン、チエピン、チアファントレン(ナフタ[2,3−b]−チオフェン)、フェナントロ[3,2−b]チオフェン、1−オキサ−1H−ベンズ[f]インデン(ナフト[2,3−b]フラン)及びフロ[3,2−b]ピリジンが挙げられるが、これらに限定されない。アルキルアリール部分の例はベンジルである。環状炭化水素部分の主鎖は、特に指定がない限り、いずれの長さであってもよく、いずれの数のたとえば、N、O、S、Se若しくはSiのようなヘテロ原子を含有してもよい。芳香族部分の1以上の環の中に数個のヘテロ原子が存在する場合、それらは独立して選択される。
【0035】
用語「アリール脂肪族」は、1以上の芳香族部分が1以上の脂肪族基で置換される炭化水素部分が意味される。従って、用語「アリール脂肪族」はまた、2以上のアリール基が1以上の任意の長さの脂肪族鎖を介して、たとえばメチレン基を介して接続される炭化水素部分を含む。通常、炭化水素(主)鎖は、芳香族部分の各環に5、6、7又は8の主な炭素原子を含む。アリール脂肪族部分の例には、1−エチル−ナフタレン、1,1’−メチレンビス−ベンゼン、9−イソプロピルアントラセン、1,2,3−トリメチル−ベンゼン、4−フェニル−2−ブテン−1−オール、7−クロロ−3−(1−メチルエチル)−キノリン、3−ヘプチル−フラン、ベンゾ−モルフォリン、6[2−(2,5−ジエチルフェニル)エチル]−4−エチル−キナゾリン、1,3−ベンゾジオキソール、9,10−ジヒドロ−アントラセン、[3.3]オルソシクロファン(5,6,7,12,13,14−ヘキサヒドロ−ジベンゾ[a,f]シクロデセン)又は7,8−ジブチル−5,6−ジエチル−イソキノリンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0036】
用語「脂肪族」「脂環式」「芳香族」及び「アリール脂肪族」のそれぞれは、本明細書で使用されるとき、それぞれの部分の置換された形態及び非置換の形態の双方を含むことを意味する。置換基は任意の官能基であってもよく、たとえば、アミノ、アミド、アジド、カルボニル、カルボキシル、シアノ、イソシアノ、ジチアン、ハロゲン、ヒドロキシル、ニトロ、オルガノ金属、オルガノホウ素、セレノ、シリル、シラノ、スルホニル、チオ、チオシアノ、トリフルオロメチル、スルホニル、p−トルエンスルホニル、ブロモベンゼンスルホニル、ニトロベンゼンスルホニル及びメタン−スルホニルであってもよいが、これらに限定されない。
【0037】
一般に上記式(Ia)及び(Ib)において、R及びRはその主鎖に4までのヘテロ原子、すなわち、N、S、Se又はOのような炭素とは異なる原子を含んでもよい。R20は、ヒドロキシル基(−OH)、ハロゲン原子又はアルコキシ基であってもよい。アルコキシ基は、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、及びアリール環状脂肪族基を含む。一部の実施態様では、R20はその主鎖に4までのヘテロ原子を含んでもよい。Gは、脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル、及びアリール環状脂肪族ラジカル(上記参照)から選択されるスペーサである。形成された架橋ブロック(以下参照)又は選択された官能基Eの整合性を損なわない限り、いずれの各部分をスペーサとして含めてもよい。一部の実施態様では、スペーサはその主鎖に4までのヘテロ原子を、たとえば、3までの又は2までのヘテロ原子を含んでもよい。スペーサGの主鎖は、いずれの数の炭素原子(脂環式、脂肪族、芳香族又はアリール脂肪族のいずれか)を含んでもよい。各主鎖は、たとえば、1、2、3、4、5、6、7又は8の炭素原子を含んでもよい。Eは、たとえば、アルデヒド、アミノ、ニトロ、ハロゲン、アゾ、ジアゾ、ヒドラゾ、チオ、シアノ、カルボキシル、エステル、無水物、スルホネート、スルホネートエステル、イミドエステル、セミカルバジド、イソシアノ、アジリジン、ホスホルアミダイト又はエポキシの基のような官能基である。一部の実施態様では、各官能基は保護基で隠される。当業者に周知である多数の保護基が種々の官能基に対して利用できる。一例として、求核試薬としてのカルボキシル基はそれらをエステルに変換することによって保護される一方で、ヒドロキシル基はたとえば、イソプロピ
リデン基によって保護される。そのような保護基は重合後取り外せばいいので、得られた線状ポリマーの修飾について追加の選択肢を提供する。たとえば、ヒドロキシル基を遮断するイソプロピリデン基は、酸処理によって取り外せばよい。当業者はさらに、各化合物の合成の間、そのような保護基があらかじめ上手く導入されなければならないかもしれないことに気付くであろう。
【0038】
一般式(Ia)のモノマーとして好適である化合物の説明に役立つ実例は図4に描かれている。さらなる例には、3−[ジメトキシ(メチル)ゲルミル]プロピルアミン(CAS番号342901−46−6)、3−(トリクロロゲルミル)ブチルアルデヒド(CAS番号18479−16−8)、3−(ジクロロメチルゲルミル)−プロパノール(CAS番号42202−26−6)β−(トリクロロゲルミル)プロピオンアルデヒド(CAS番号18479−15−7)、ジクロロ(1−エトキシエテニル)−セリウム(CAS番号94616−76−9)、ジクロロ(シアノメチル)−セリウム(CAS番号138123−05−4)、N−[2−(トリクロロシリル)エチル]−1,3−プロパンジアミン(CAS番号157974−43−1)、N−[3−(トリクロロシリル)プロピル]−1,2−エタンジアミン(CAS番号73448−62−1)、16ー(トリクロロシリル)−1−ヘキサデカンアミン(CAS番号342904−01−2)、5−(トリクロロシリル)−1−ペンタンアミン(CAS番号898235−08−0)、N−[3−(ジクロロメチルシリル)プロピル]−1,2−エタンジアミン(CAS番号827627−58−7)、N−[3−(トリクロロシリル)プロピル]メタン−スルホンアミド(CAS番号685901−33−1)、(3−ニトロプロピル)−トリクロロシラン(CAS番号18165−63−4)、ジクロロエチル−(3−ニトロプロピル)−シラン(CAS番号18293−68−0)、トリクロロ(3−ニトロプロピル)−シラン(CAS番号18165−63−4)、2−(ジクロロメチルシリル)−エタンチオール(CAS番号51833−46−6)、3−(トリクロロシリル)−1−プロパンチオール(CAS番号88334−67−2)、3−(ジクロロメチルシリル)−1−プロパンチオール(CAS番号88334−68−3)、3−(ジクロロメチルシリル)プロピオンアルデヒド(CAS番号38198−90−2)、2−((ジクロロメチルシリル)プロピオンアルデヒド(CAS番号38198−89−9)、3−(トリクロロシリル)プロパン酸(CAS番号17760−35−9)、3−(トリクロロシリル)プロピオン酸メチルエステル(CAS番号18147−81−4)、γ−(トリクロロシリル酪酸塩化物(CAS番号62581−57−1)、4−ジクロロエチルシリル)−塩化ブチル(CAS番号17200−97−4)、3−(ジクロロメチルシリル)塩化プロパノイル(CAS番号18797−20−1)、トリクロロ(2−オキラニルエチル)−シラン(CAS番号135806−33−6)、トリクロロ[3−(オキシラニル−メトキシ)プロピル]−シラン(CAS番号75705−43−0)、トリクロロ(12−オキラニルドデシル)−シラン(CAS番号170007−69−9)、トリクロロ(12−オキラニルドデシル)−シラン(CAS番号170007−69−9)、5−(トリクロロシリル)−ペンタンニトリル(CAS番号253788−38−4)、トリシアン酸7−(トリクロロシリル)ヘプチルエステル(CAS番号147490−27−5)、チオシアン酸17−(トリクロロシリル)ヘプタデシルエステル(CAS番号183681−30−7)、(3−クロロプロピル)トリメトキシ−シラン(CAS番号2530−87−2)、(5−クロロペンチル)トリメトキシ−シラン(CAS番号15303−42−1)、(5−ブロモペンチル)トリメトキシ−シラン(CAS番号773893−02−0)、5−ブロモペンチルトリエトキシシラン(CAS番号65973−67−3)、(3−ブロモプロピル)メチルジメトキシシラン(CAS番号130769−49−2)、(10−ブロモデシル)トリエトキシ−シラン(CAS番号652159−43−8)、(3−ヨード−プロピル)トリメトキシシラン(CAS番号14867−28−8)、11−(トリメトキシシリル)−ウンデカナル(CAS番号250684−37−8)、2,2−ジメチル−5−(トリメトキシシリル)−ペンタナル(CAS番号875478−12−9)、3
−(トリエトキシシリル)−プロパナル(CAS番号88276−83−9)、ジメトキシメチル(3−ニトロプロピル)−シラン(CAS番号174529−36−3)、チオシアン酸2−(トリメトキシシリル)エチルエステル(CAS番号126030−12−4)、チオシアン酸3−(ジメトキシメチルシリル)プロピルエステル(CAS番号503608−63−7)、1−(3−メルカプトプロピル)−1,1−ジメトキシ−シラノール(CAS番号123381−58−8)、2−(トリメトキシシリル)エタンチオール(CAS番号7538−45−6)、10−(トリメトキシシリル)−1−デカンチオール(CAS番号143099−67−6)、6−(トリメトキシシリル)−1−ヘキサンチオール(CAS番号136594−90−6)、3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン(CAS番号919−30−2)、8−(トリメトキシシリル)−1−オクタンアミン(CAS番号253596−68−8)、17−(トリメトキシシリル)−1−ヘパデカン−アミン(CAS番号163193−89−3)、4−(トリエトキシシリル)−2−ブタンアミン(CAS番号14338−90−0)、1−[3−[(2−アミノエチル)アミノ]プロピル]−1−メチル−シランジオール(CAS番号83145−66−8)、N−(ジメトキシメチルシリル)−1,2−エタンジアミン(CAS番号41159−50−6)、[3−(2,3−エポキシプロポキシ)−2−メチルプロピル]−トリエトキシ−シラン(CAS番号30652−30−3)、N−[3−(メチルジプロポキシシリル)プロピル]−1,2−エタンジアミン(CAS番号80190−62−1)、7−エトキシ−7−メチル−1−オキラニル−2,6,8−トリオキサ−7−シラデカン(CAS番号99791−28−3)、メチルビス(1−メチルエトキシ)[(3−メチルオキシラニル)メチル]−シラン(CAS番号78719−81−0)、4,5−エポキシヘプチルメチルジメトキシシラン(CAS番号194141−96−3)、トリメトキシ[3−(オキラニルメトキシ)デシル]−シラン(CAS番号207512−59−2)、(2−アジドエチル)トリメトキシ−シラン(CAS番号83315−71−3)及び[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−ヒドラジン(CAS番号481681−83−8)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0039】
上記のように、一部の実施態様では、一般式(Ia)及び(Ib)の化合物の官能基Eは保護基によって遮蔽されてもよい。各化合物の説明に役立つ少数の実例には、ジクロロ[(1E)−1−メチル−4−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−1−ブテニル]−セリウム(CAS番号637311−58−1)、ジクロロ[1−(ジエトキシメチル)−1−プロペニル]−セリウム(CAS番号874916−57−1)、[2−(5−メチル−1、3−ジオキソラン−2−イル)エチル]−トリメトキシシラン(CAS番号25760−59−2)、(3,3−ジエトキシプロピル)トリエトキシシラン(CAS番号15184−27−7)、(3,3−ジメトキシプロピル)トリエトキシシラン(CAS番号349112−98−7)、(3,3−ジエトキシプロピル)トリエトキシシラン(CAS番号15184−27−7)、4−(ジエトキシメチルシリル)−ブチルアルデヒドブチルアセタール(CAS番号15184−37−9)、(11,11−ジメトキシウンデシル)トリエトキシシラン(CAS番号786687−01−2)、(3,3−ジメトキシ−2−メチルプロピル)ジメトキシメチル−シラン(CAS番号349112−97−6)及び[10−(1,3−ジオキソラン−2−イル)デシル]トリエトキシ−シラン(CAS番号866935−66−2)が挙げられる。
【0040】
一部の実施態様では、さらなる化合物を添加して架橋反応を円滑にする又は助ける。説明に役立つ実例として、一般式(Ic)の化合物を添加してもよいが、式中、A、G、R、R及びEは、式(Ia)及び(Ib)の化合物について上記で説明されたのと同じ意味を有する。
【0041】
【化6】

【0042】
一般式(Ic)の化合物の説明に役立つ実例は、ジクロロビス(3−オキシラニルプロピル)−シラン(CAS番号91149−12−1)、ビス(3−アミノプロピル)テトラエトキジシロキサン(CAS番号17907−78−7)、2−(トリメトキシシリル)−1,3−プロパンジアミン(CAS番号75522−79−1)、1,3−ビス(3−チオシアナトプロピル)−1,1,3,3−テトラメトキシ−ジシロキサン(CAS番号60147−67−3)、1,1,3,3−テトラメトキシ−1,3−ビス[3−(オキシラニルメトキシ)プロピル]−ジシロキサン(CAS番号39006−72−9、2−(トリメトキシシリル)−1、4−ブタン−ジチオール(CAS番号142521−52−6)、1,3−ビス(3,4−エポキシブチル)−1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサン(CAS番号18053−70−8)、ジメトキシビス(オキシラニルメチル)−シラン(CAS番号266337−39−7)及びジメトキシビス(3−オキラニルプロピル)−シラン(CAS番号91149−10−9)である。添加されてもよい化合物のさらなる例は、2つの異なったスペーサ及び/又は官能基を伴った分子、たとえば、4−[2−[1,1,3,3−テトラメトキシ−3−[3−(フェニルアミノ)プロピル]ジシロキサニル]エチル]安息香酸(CAS番号139262−63−8)である。
【0043】
一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子を粒子に接触させる。次いで、粒子の表面における官能基とR20の間のカップリング反応に好適な反応条件に、それによって形成される混合物を暴露する。混合物は、たとえは、加熱されてもよく、たとえば、酸性化又はアルカリ性化のようなpHの変化に暴露してもよい。
【0044】
粒子の表面における官能基と一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の間の共有結合の形成がそれによって可能になる。これらの共有結合は、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の金属又は半金属Aへの架橋−O−、架橋−S−、架橋−Se−又は架橋−NH−であってもよい。粒子の表面における官能基と一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子の部分R20との間の反応によって共有結合が形成される。
【0045】
典型的な実施態様では、粒子の表面上の官能基に対して式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子が過剰に提供される。一例として、式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子の使用される量は、少なくとも一層の架橋された予備コーティング(式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物によって形成されるモノマー単位を含む)と共に粒子の表面を残すのに十分であるように選択されてもよい。この目的で、粒子の表面上の官能基の量は分析的に決定されてもよく、又は計算されてもよい。使用されるべき式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子の量も実験の目的で都合よく、経験的に決定されてもよい。粒子の表面上の官能基の数に相当するように計算された又は見い出された量のたとえば、約10倍、20倍、50倍、100倍又は数百倍のような過剰量の式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物と同様に、表面上の官能基の量に相当するように見い出された又は計算された式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物のモル量分子が使用されてもよい。
【0046】
その結果、式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の追加の分子が利用でき、それは反応しなかった基R20を有する。そのような追加の分子は、粒子の表面に不動化されてい
る式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物のそれら分子との反応を経験することができる。本発明の方法は、式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子を架橋させることを含む。それによって、粒子の表面上に不動化された分子が、粒子上に予備コーティングが形成されるように架橋ネットワークを形成することに含められる。
【0047】
例証として、本発明の方法は通常、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の複数の分子の残っている反応しなかった分子のRと、R20と、加えられた化合物が式(Ia)のものであるならば、Rとから選択される一対の部分に分子間化学反応を経験させることを含む。分子が式(Ia)のものであれば、粒子上に不動化された式(Ia)の分子のRとRが、別の不動化されていない式(Ia)の分子のR、R及びR20と反応する。一般式(Ia)の化合物の複数の分子のそのような不動化されていない分子はさらに、ほかのそのような不動化されていない分子と反応する。その結果、これら分子のそれぞれの間で共有結合が形成される。共有結合を形成する際、通常、以前反応しなかったR20と同様にR及びRは、異なった部分に変換され、それぞれ金属原子又は半金属原子を結合する。一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子間の共有結合は、たとえば、一般式(Ia)の化合物の分子の金属又は半金属Aの間での架橋−O−、架橋−S−、架橋−Se−又は架橋−NH−によって定義されてもよい。それによって一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の複数の分子が架橋される。
【0048】
架橋ブロックは通常、マトリクスを形成するが、それは網細工を提供してもよく、所望の程度にまで形成されてもよい。説明に役立つ実例として、官能基Eと共に追加のリンカーGを含む、シリカ、チタニア、ガリア又はゲルマニアの架橋されたマトリクスが形成されてもよい。それは、基板の表面(以下参照)に、たとえば、層の形態で形成されてもよい。さらなる説明に役立つ実例として、以下の構造の1つの分子単位がそのような架橋されたマトリクスに存在していてもよい。
【0049】
【化7】

【0050】
これらの式では、Eは上記で説明された官能基である。Gは構造(IIIc)で示されるさらなる官能基Tを運ぶ任意で存在する追加のスペーサである。Gは、約0〜3のヘテロ原子の長さの主鎖を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル、又はアリール環状脂肪族ラジカルであってもよい。官能基Tは、上記の例から選択されてもよい。Aは、たとえば、Si、Ti、Ga、又はGeであってもよく、上記を参照のこと。式(IIIa)では、Q及びZは独立して、たとえば、Si、Ti、Ga、又はGeのような金属又は半金属から選択される。
【0051】
架橋ブロックは所望の数のさらなるモノマー単位を含んでもよい。説明に役立つ実例として、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の複数の分子が架橋される前に、以下の一般式(IV)、(V)、(VI),(VII)、及び(VIII)の1以上の化合物が添加されている。
【0052】
【化8】

【0053】
これらの式では、A、G、E、Q、T及びZは上記の各部分に相当する。R〜R18は独立して脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、又はアリール環状脂肪族基又はHから選択される。それぞれのアルコキシ基は、縮合によってシリカの網を形成することが知られている。
【0054】
本発明の方法の一部の実施態様では、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の複数の分子を架橋することには、ゾル−ゲル工程が関与する。当該技術で確立されたゾル−ゲル工程には、簡単に言えば、酸化半金属又は酸化金属のゾルを形成することが関与する。各ゾルの説明に役立つ実例は、シリカゾル、すなわち、コロイド状シリカに基づいた粒子、たとえば、ナノ粒子の均質な懸濁液である。たとえば、金属アルコキシド又は半金属アルコキシド、たとえば、珪素アルコキシドのような1以上の前駆体の加水分解によってこのゾルが生成されてもよい(図3も参照)。用途及び基板の大きさによって分子前駆体及びナノ粒子の双方を用いてもよい。本発明の方法では、各金属アルコキシド及び半金属(珪素)アルコキシドが官能基Gを含有する(上記参照)。従って、一般式(I)、(III)、(IV)、(V)及び(VI)の化合物を使用してもよい。反応条件が、その後に形成されるゲルのネットワークの中への官能基Gを運ぶ分子の取り込みを可能にする限り、注目に値する、さらなる金属アルコキシド、半金属アルコキシド、塩化物や硝酸塩のような金属塩又は半金属塩(たとえば、コバヤシ、ケーら、J. Mater. Sci. 第40巻、263〜283ページ(2005年)、シンコー、ケーおよびネメニー、エー、Progr. Colloid Polym. Sci. 第125巻、103〜110ページ(2004年)を参照のこと)を加えてもよい。金属アルコキシド又は半金属アルコキシドの加水分解は、酸化金属/酸化半金属(たとえば、シラノール)−OH基によって金属/半金属に結合されたアルコキシ(OR50、式中R50は、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、又はアリール環状脂肪族基である)基の置換を誘導し、それは次いで、縮合重合を介したネットワークの形成をもたらすと考えられる。所望であれば、たとえば、狭い粒度分布を持つゾルの形成を助ける又は達成するために、ゾルの形成の間、超音波を適用してもよい(ヤオ、エヌら、Langmuir 第18巻、10号、4111〜4117ページ(2002年)、ヤオ、エヌら、Catalysis Lett. 第78巻、1〜4ページ、37〜41ページ(2002年))。
【0055】
通常、しかし、それに限定されずに、金属/半金属アルコキシドの加水分解によるゾルの調製は、水と、エタノール又はイソプロパノールのようなアルコールとの混合物中で達成することができる。塩酸やアンモニアのような既知の触媒も同様に加えてもよい。従って、本発明の方法では、たとえば、酸触媒の、塩基触媒の、及び2工程酸塩基触媒の手順
を用いたゾル−ゲルプロトコールが続いてもよい。酸触媒の工程を採用する実施態様では、pH値は、たとえば、約pH3のような約1〜約4の範囲内であってもよい。この点で、一般式(Ia)及び(Ib)の種々の化合物は触媒の存在を必要としないことが留意される。特に、水溶液中での1級アミノ基を有するシラン又はゲルマンのような金属/半金属の加水分解及び縮合は普通、自己触媒される(Langmuir 第19巻、6693〜6700ページ(2003年))。
【0056】
所望であれば、2つの異なったゾル、たとえば、酸化ゲルマニウムのゾルとシリカのゾルを別々に形成させて、その後合わせてもよい(以下も参照)。このことが、1を超える金属又は半金属が第1の架橋ブロックに存在することが所望である実施態様において、たとえば、溶媒、反応時間又は温度という点で個々のレベルで反応条件を最適化することを可能にしてもよい。この選択肢にもかかわらず、それぞれの実施態様において当該技術で周知のように、単一のゾルが異なった金属/半金属アルコキシドから形成されてもよい(たとえば、上記シンコー、ケーおよびネメニー、エー、Progr. Colloid Polym. Sci. 第125巻、103〜110ページ(2004年)を参照のこと)。
【0057】
ゾルは続いて触媒された転移を経験してゲルを形成する。これが生じる前に、所望の形態を達成するためにゾルが移されてもよい。あるいは、たとえば、ゾルは、すでに所望の最終形態を提供している装置の中で調製されてもよい。一部の実施態様では、ゾルからゲルを形成することは基板とゾルを接触させることを含む。ゾルを基板と接触させることはたとえば、基板の上のゾルを堆積することを含んでもよい。ゲルへの変換(「エイジング」)はたとえば、溶液のpH又は濃度を変更することによって達成することができる;これが、ゾル中のコロイド状粒子の凝集を引き起こし、分子前駆体に由来する材料に相当するものより一般に大きい穴を取り囲む相互連絡したナノメータの粒子から構成される骨格を結果的に生じる。各ゲルは、溶媒と形成された固形物の三次元の相互に浸透し合ったネットワークを含むと考えられる。
【0058】
さらなる加工には、穏やかに乾燥させて溶媒を除去することが後に続く選択された技法を用いてゲルを形成することを伴ってもよい。得られたゲルを成型又は成形して細孔のプレフォームを形成してもよく、乾燥させて、たとえば、キセロゲル又はエーロゲルのような一体化したバルク材を製造してもよい。それをまた、スピンコーティングして、浸漬して、噴霧して又は電気泳動若しくは熱泳動によって印加して選択された基板上に薄膜を形成してもよい。膜は所望の厚さ、たとえば、約10〜約500nmであってもよい。当業者は、加工を繰り返すことによって、たとえば、スピンコーティングを繰り返すことによってさらに厚い膜が調製されてもよいという事実に気付くであろう。ほかの実施態様では、ゲルから繊維を引き出すことができる。
【0059】
乾燥させたゲルは普通、相互連絡したナノスケールの又はほぼナノスケールの多孔性を含む。当業者は、ゾル−ゲル工程によって得られる物質の孔の大きさは、加工中に選択された条件(たとえば、使用された触媒及び溶媒)に依存するという事実に気付くであろう。本発明の方法のその後に続く工程のために、又は代わりに、液体浸潤若しくは化学反応のような技法を用いてさらなる物質を組み入れることによって、多孔性を残してもよい。後者の場合、ナノ複合材料が形成される。たとえば、ゾル−ゲル径路で得られる第2の相又はほかの所望の物質、モノマー物質を含む一般に有機物を乾燥させたゲルにモノマーとして組み入れることができる。モノマー物質の場合、その重合が行われる。その後、さらに高い温度で焼結することによってナノスケールの多孔性を低下させてもよく、又は取り除いてもよい。そのような実施態様では、選択された条件で反応性に耐性である、反応性を示さない、限定された反応性を示す又は制御された反応性を示す各官能基を選択して、確実に本発明の方法のそれに続く工程で官能基を利用できる状態にしておくことを所望し
てもよい。
【0060】
ナノ多孔性物質ではなく緻密な物質が所望であれば、さらに高い温度での焼結を乾燥に続けて行ってもよい。高い表面領域は迅速な緻密化をもたらし、それは、温度が高すぎれば十分な粒子の成長によって達成される。しかしながら、当業者は、高い温度ではシリカ表面(上記参照)のシアノール基が排除されるという事実に気付くであろう。特定の温度を超えると、それは個々の物質に依存するが、この工程は不可逆的であることが知られている。
【0061】
ゾル−ゲル法を用いて粒子上に各ゲルを形成してもよく、それは、各酸化金属/半酸化金属のネットワークの成長のためのシード粒子として使用される。さらに、アルコキシ半金属(たとえば、アルコキシシラン)を添加して酸化半金属(たとえば、シリカ)のシェルを形成することは結果として「ストーバー成長」を生じ、平滑な表面が得られる。説明に役立つ実例として、ポリ(ビニルピロリドン)及びテトラエトキシシランを用いた金及び銀のコロイドのコーティング、ベーマイトの竿、ギブサイドのプレート及びポリスチレンの球は、グラフら(Graf,et., al.)(ボッチーニ、エムら、J Phys. Chem. B 第110巻、13685〜13688ページ(2006年))に記載されている。コロイド状の金は、たとえば、小さな有機化合物によって官能化することができ、それによってオルガノトリアルコキシシランと反応することができる官能基を導入するので、オルガノシリカのシェルを形成することが可能である(ボレット、ディー・アールら、Journal of Sol−Gel Science and Technology 第15巻、5〜11ページ(1999年))。所望であれば、酸化金属又は酸化半金属のゾルと反応させる前に、界面活性剤を添加して酸化鉄粒子のような粒子を安定化してもよい(非特許文献10)。
【0062】
一部の実施態様では、官能基K(以下参照)との共有結合を形成することが可能である官能基を含有する一般式(Ia)、(Ib)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)(上記参照)の1以上の化合物に加えて、匹敵する構造の追加の化合物が採用される。この追加の化合物は、提供される基板、たとえば、粒子又はナノチューブの表面との共有結合を形成することが可能である官能基を含有する。この追加の化合物を、一般式(I)、(IV)、(V)、(VI)、(VII)及び(VIII)の1以上の化合物と同時に又は順次加えてもよい。説明に役立つ実例として、粒子又はナノチューブは、たとえば、超音波によって促進される第1の工程においてメルカプトアルキルトリアルコキシ−半金属(たとえば、シラン)によって官能化されてもよい(たとえば、上記ボッチーニ、エムら、J Phys. Chem. B 第110巻、13685〜13688ページ(2006年)、非特許文献1を参照のこと)。その後、一般式(I)、(III)、(IV)、(V)又は(VI)の1つの化合物を加え、2つの化合物のいずれかのアルコキシ基の加水分解を介して、不動化された第1の化合物と架橋させてもよい。
【0063】
一部の実施態様では、本発明の方法は、その表面上で得られた予備コーティングで粒子を洗浄することを含んでもよい。たとえば、酸又は塩基のような添加されていてもよい追加の化合物の分子を除去するためと同様に一般式(Ia)及び/又は(Ib)の残っている反応しなかった化合物を除去するためにこれを実施してもよい。
【0064】
本発明の方法はさらに、さらなる金属又は半金属の化合物の複数の分子を添加することを含む。金属又は半金属の価数に依存して、このさらなる化合物は、一般式(IIa)又は(IIb)のものである。
【0065】
【化9】

【0066】
この式ではMは金属又は半金属である。いかなる金属又は半金属が選択されてもよい。金属又は半金属はたとえば、上記の例から選択される。一部の実施態様ではMは金属または半金属とは違う。一部の実施態様では、2つの金属又は半金属は同一である。R31及びR32は独立して選択されたハロゲン、ヒドロキシル基又はアルコキシ基である。各アルコキシ基は、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含む。式(IIa)のR33は、ヒドロキシル基、ハロゲン、0〜4のヘテロ原子を含む脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基又はアリール環状脂肪族基である。一部の実施態様では、R33は、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基又はアリール環状脂肪族基を含んでもよいアルコキシ基である。各基の主鎖は0〜約3のヘテロ原子を含んでもよい。Gは、脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル、及びアリール環状脂肪族ラジカルから選択されるスペーサである。Gの主鎖は、0〜4までのヘテロ原子、たとえば、0〜3までのヘテロ原子、すなわち、炭素とは異なる原子を含んでもよい。Kは、アルデヒド、アミノ、ニトロ、アゾ、ジアゾ、ヒドラゾ、チオ、シアノ、カルボキシル、イソシアノ又はエポキシの基から選択される官能基である。官能基Kは、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の官能基Eとの共有結合を提供するのに好適である。共有結合を形成するために2つの官能基EとKが化学反応を経験するのに好適であるように、Kは官能基Eとは異なることが多い(上記参照)。
【0067】
次いで、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の架橋された複数の分子と一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物から得られた混合物を反応させて2つの架橋ブロックのコポリマーを形成する。当該技術の利用できる技法を用いて、こういったさらなる加工工程は、特に第2の架橋ブロックを形成することに関して重要な課題を提示する。ゾル−ゲル工程は、たとえば、一般に式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物を活性化するために共溶媒の添加を必要とする。第1の架橋ブロックが得られた形態と同様に一般式(II)の化合物が提供される形態によって、物理的項目でさらなる課題が生じることが多い:特に粒子が含まれる場合、たとえば、第1の架橋ブロックが粒子の表面に形成されている場合、凝集が形成される。
【0068】
本発明の方法は、各コーティングを形成するのに超音波を採用する。超音波は、使用されれば、粒子を分散するのを助けるだけでなく、水性溶媒を含む任意の溶媒中での化学反応を開始し、持続するのに好適である。従って、たとえば、音響化学反応の形態でゾル−ゲル工程を実施することができる。超音波は、高周波の音(超音)波を有し、周期的な音圧であるとみなすことができる。接頭辞「超」は、超音波の周波を言い、それは、ヒトの聞き取りの上限をはるかに上回る(およそ20kHzである)。
【0069】
超音波は、特定の化学反応(たとえば、酸化、還元、加水分解、重合及び脱重合、分子の再構成)で触媒として作用できることが知られる。超音波の印加は一部の化学工程を加速することができ、それによって化学工程をさらに低温で又はさらに効率的に行うことを可能にする。超音波はまた、アルコキシ基の加水分解に好適であると同定されている。触媒としてのシュウ酸(ボレット、ディー・アールら、Journal of Sol−G
el Science and Technology 第15巻、5〜11ページ(1999年))及び塩素酸(ドナッティ、ディー・エーおよびボレット、ディー・アール、Journal of Sol−Gel Science and Technology 第17巻、19〜24ページ(2000年))の存在下で、水性媒体にてテトラメトキシシラン及びテトラエトキシシランはそれぞれ、たとえば、加水分解されている。オコトランーフロレス及びサニガー(Journal of Sol−Gel Science and Technology 第39巻、235〜240ページ(2006年))は、アルゴン飽和した水中にてアルゴンの連続的な流れのもとで、テトラエトキシシランからSiOゲルを得ている。ラオら(Journal of Colloid and
Interface Science 第289巻、125〜131ページ(2005年))は、水酸化アンモニウムの存在下でテトラエトキシシランのエタノール溶液に超音波を印加することによってシリカのナノ粒子を得た。それとは対照的に、本発明の方法は、一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物と一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の架橋された複数の分子の混合物を超音波に暴露することを含む。アルゴン又は別の不活性気体の存在は必要とされない。
【0070】
上記混合物を形成して超音波に暴露する際、官能基EとKの間で共有結合の形成が可能になる。従って、超音波は音響化学反応を開始するのに十分なエネルギーである。さらに、R31及びR32がヒドロキシル−と異なれば、それらのヒドロキシル基への変換が可能になる。従って、超音波への暴露は、一部の実施態様では、前駆体(たとえば、一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物)の加水分解を可能にする。同時に、超音波への暴露は、十分なエネルギーを提供してR31及びR32が一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の複数の分子のもう1つの分子のR31及びR32部分の一方との化学反応を経験することができる。その結果、これらの分子の間で共有結合が形成される。共有結合を形成する際、通常R31及びR32は異なった部分に変換され、それぞれ金属原子又は半金属原子を連結する。一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子間の共有結合は、たとえば、一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の分子の金属又は半金属Mの間の架橋−O−によって定義されてもよい。一部の実施態様では、金属又は半金属原子Mの間の直接結合が形成されてもよい。それによって一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の複数の分子が架橋される。
【0071】
本発明者らは、約10〜約75kJ、たとえば、約15〜50kJ又は約20〜40kJ、たとえば、約25kJを含む総エネルギーの超音波が表面の、特にナノ粒子の表面のコーティングを実施するのに通常十分であることを見い出している。必要とされる又は所望の正確なエネルギーは、所望のコポリマーのサイズと幾何学的形状、又は使用される触媒の種類と濃度のような、しかし、これらに限定されない種々の因子に依存してもよく、容易に、実験的に決定することができる。どの周波数の超音波も使用することができ、所与のシステムに最適な周波数は手短な試験系列によって都合よく決定することができる。ヒトにおける上限周波数(上記参照)にほぼ相当する20kHzほどの低い周波数が本発明の方法を実施するのに十分であることが見い出されている。比較として、妊娠をモニターする医療用超音波検査で使用される周波数は1.6〜10MHzの範囲である。本発明の一部の実施態様では、従って低い周波数の超音波が使用される。それは、約20kHz〜約500kH、たとえば、約20kHz〜約350kHz、約20kHz〜約150kHz、又は約20kHz〜約50kHzの範囲で選択されてもよい。第2の混合物(とりわけ、一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の分子を含有する)が暴露される超音波を提供するのにいかなる供給源を用いてもよい。一部の実施態様では、棒付きの超音波処理器を使用する。そのような超音波処理器は、生化学、特に分析研究室で超音波槽に加えて一般的な装置になっており、それは、化学研究室及び生化学研究室の双方で標準的な装置である。棒付きの超音波処理器を使用する実施態様では、棒の先端が通常供給源であり、そこから超音波が周囲又は溶液に広がる。
【0072】
理論に束縛されないで、一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物のR31〜R33のいずれかがアルコキシ基である実施態様では、一部の実施態様では、ゾル−ゲル前駆体であるこの化合物の広範な加水分解を開始するために上記のエネルギーレベルと周波数の超音波の照射が必要とされることが想定される。十分な時間反応を維持するために超音波は通常、一定の形態又はパルスの形態のいずれかで特定の時間間隔で印加される。好適な時間間隔は、含まれる基板(たとえば、粒子)の壊れやすさと同様に反応の大きさ、使用されるモノマーに依存する。必要とされる超音波出力の下限は当業者によって容易に決定することができる。通常、約10〜500W、たとえば、25〜250W又は約45〜150Wの出力が本発明の方法を実施するのに十分である。説明に役立つ実例として、約60Wの電力を約20分間印加してもよい。
【0073】
その結果、一般式(IIa)及び/又は(IIb)の分子の間で共有結合が形成される。それによって、この化合物の複数の分子が架橋されることになる。こうして全体で2つの架橋ブロックを持つポリマーが形成される。
【0074】
上記のように、一部の実施態様では、一般式(IIa)の第2の化合物は部分R33を含む。この部分がヒドロキシルと異なる場合、一部の実施態様では、それは超音波への暴露の際、加水分解される。従って、そのような実施態様では、方法はR33のヒドロキシル基への変換を含む。通常、そのような実施態様では、混合物を超音波に暴露することが十分なエネルギーをさらに提供して、一般式(IIa)の化合物の複数の分子のもう1つの分子の部分R31、R32又はR33の1つと部分R33が共有結合を形成するのを可能にする。
【0075】
上記のように、粒子表面で得られたコーティングは粒子の表面に共有結合するポリマーを含む。表面は、選択された官能基を収容することが可能である限り、いかなる形状及び物質でもよい。各表面は、たとえば、表面領域であってもよく、たとえば、壁の一部又は粒子表面の一部であってもよい。任意の各基板を使用してもよい。一般に、基板は、その表面が本発明の方法に好適である限り、たとえば、いかなる物質で出来ていてもよく、いかなる物質を含んでもよい。一例として、そのような基板の表面を含む好適な表面には、金属、半金属、セラミックス、金属カルコゲニド(たとえば、酸化物)、半金属カルコゲニド(たとえば、酸化物)、金属ハロゲン化物又はカルコゲニド(たとえば、酸化物)セラミックスが挙げられる。好適な半金属の例には、珪素、ホウ素、ゲルマニウム、アンチモン及びそれらの複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。好適な金属の例には、鉄(たとえば、鉄鋼)、アルミニウム、金、銀、クロム、スズ、銅、チタン、亜鉛、アルミニウム、鉛及びそれらの複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。これら半金属及び金属の各酸化物がそれぞれ半金属酸化物又は金属酸化物として使用されてもよい。好適な金属酸化物の説明に役立つ実例には、酸化アルミニウム(Al)、酸化鉄(Fe2O又はFe)、酸化クロム(Cr及びCrO)、酸化インジウム、マグネシア(MgO)、酸化銅(CUO)、酸化アンチモン(Sb)酸化スズ(SnO)、アンチモンをドープした酸化スズ(「ATO」)、酸化セシウム(Cs2O)、In、Mn、PbO、PdO、SnO、TiO、ZnO、ZrO、La、Ta、Nb、MoO、V及びそれらの複合材料、たとえば、相当する混合酸化物(たとえば、BaTiO及びPbTiOのようなペロブスカイト構造を持つもの)が挙げられる。さらに好適な酸化物には、粘土鉱物カオリナイト、AlSi(OH)、フィロ珪酸塩鉱物モンモリロナイト/スメクタイト(式(Na,Ca)0.33(Al,Mg)(Si10)(OH)−nHO)の水和された珪酸ナトリウム・カルシウム・アルミニウム・マグネシウム水酸化物)、およその式(KO)(AlMgFe)(SiAl)10[(OH),(HO)]のイライト、及びクロライト、たとえば、クロライトナトリウムNaCl
、クロライトカリウムKClO又はクロライトマグネシウムMg(ClOが挙げられる。カルコゲニドのさらなる例には、スルフィド(たとえば、CdS、ZnS、PbS及びAgS))、セレニド(たとえば、GaSe、CdSe及びZnSe)及びテルリド(たとえば、ZnTe又はCdTe)が挙げられるが、これらに限定されない。好適な金属ハロゲン化物の例には、塩化銀、AgCl、臭化銀、AgBr及びヨウ化銀、AgIが挙げられるが、これらに限定されない。好適な半金属酸化物の例には、アルミナ、シリカ(SiO)、ジルコニア、ボリア、チタニア、セリア、ゲルマニア、酸化タンタル、酸化イットリウム、トリア及びそれらの複合材料が挙げられるが、これらに限定されない。一部の実施態様では、表面は、架橋マトリクスと同じ金属酸化物又は半金属酸化物を含むか、又はそのものである。一部の実施態様では、表面は、本発明の方法で使用されるA又はMと同じ金属又は半金属を含む。
【0076】
説明に役立つ実例として、粒子の表面は石英又はガラスであってもよい。さらなる説明に役立つ実例として、酸化珪素又は酸化ゲルマニウムの表面は、ピラニア溶液、すなわち、モル比7:3での硫酸と過酸化水素の混合溶液と共に珪素基板又はゲルマニウム基板をエッチングすることによって得てもよい。セラミックスの例には、珪酸セラミックス、酸化セラミックス、炭化セラミックス又は窒化セラミックスが挙げられるが、これらに限定されない。粒子/基板は所望のサイズ及び形態のものでもよい。それは、たとえば、ナノサイズの又はミクロサイズの、結晶の又は非結晶の、無機又は生体材料又はその混合物のものであってもよい。
【0077】
上記で示したように、粒子/基板の表面は、幾何学的特性のものであってもよい。表面は、たとえば、少なくとも平滑であってもよい。表面はまた、選択された官能基の形成と一般式IIの化合物について可触性が可能である限り(以下参照)、ある程度粗くてもよい。所望であれば、表面の粗さは変更してもよい。説明に役立つ実例として、金属酸化物又は半金属酸化物の表面、たとえば、酸化珪素の表面はサンドペーパーによって研磨してもよい(Applied Physics Letters 第88巻、203125〜1〜203125〜3ページ(2006年))。さらなる説明に役立つ実例として、たとえば、NaOH、KOH、HFとHNOとエタノールの混合物、NHFを含有する「緩衝化」HF溶液を用いた、又は反応性イオンエッチングを用いたイオン衝撃によって表面をエッチングしてもよい(たとえば、カオ、エムら、J Phys. Chem. B
第110巻、26号、13072〜13075ページ(2006年))。典型的な実施態様では、表面は少なくとも本質的に均質である。いくつかの実施態様では更に表面は少なくとも本質的に平面である。表面は極性であっても、無極であってもよく、たとえば、親水性であってもよく、又は疎水性であってもよい。その上に形成されるコーティングと比較した場合、それはたとえば、異なった、類似の又は同一の親水性特性であってもよい。
【0078】
上記のように、ナノ粒子を含めていかなる粒子も本発明の方法で使用されてもよい。好適なナノ粒子の例には、ナノ結晶、ナノスフェア、ナノロッド、ナノチューブ、ナノワイヤ及びナノカップが挙げられるが、これらに限定されない。各粒子は、そのサイズが数ミリメータ、数マイクロメータ、数ナノメータ以下である。一部の実施態様では、粒子は、約0.1〜約1000ナノメータ、たとえば、約1〜約1000nm、約5〜900nm、約2〜200nm、又は約10〜600nm、又は約20〜500nmの最大サイズ(すなわち、その最大幅、たとえば直径の寸法で)を有する。一部の実施態様では、複数の粒子、たとえば、ナノ粒子が使用される。一部のそのような実施態様では、粒子はすべて同一の形状であってもよい一方でほかの実施態様では、異なった形状の(ナノ)粒子が使用される。本発明のコーティングが形成される各粒子は、一部の実施態様ではある程度中空であってもよい。説明に役立つ実例として、クルクビット[6]ウリル(キム、ディーら、Angew. Chem. Int. Ed. 第46巻、3471〜3474ペー
ジ(2007年))のポリマーナノカプセルは、式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物と反応させてもよく、本発明の方法に暴露されてその上にコーティングを形成してもよい。上記ですでに示したように、使用される粒子は、一部の実施態様では電気伝導性であり、一部の実施態様では磁気特性を有する。
【0079】
本発明で使用されるナノ粒子のような粒子を提供することは、ナノ粒子を提供することと、粒子の可触性の表面領域の上に官能基を形成することを含んでもよい。連結している分子エチレンジアミンをたとえば、各粒子上に不動化してもよい。さらなる説明に役立つ実例として、金粒子が使用される実施態様では、イオン化可能なチオール化合物、たとえば、2−ジメチルアミノエタンチオール塩酸塩が粒子の表面に共有結合されてもよい。さらなる説明に役立つ実例として、ヤングおよびファム(Macromol. Chem.
Phys. 第206巻、1967〜1972ページ(2005年))によって開示されたようにメルカプト基もポリマーミクロスフェア上に提供されてもよい。メルカプト基は、次いで、一般式(Ia)の化合物の部分R20に含まれる官能基(上記参照)との化学反応を経験してもよい。さらなる例として、チオフェンジチオ安息香酸を金属表面、たとえば、ナノ結晶にグラフトしてもよい。配位性溶媒をそのような目的に採用してもよい。所望であれば、本発明のコポリマーを不動化する前に、チオフェンジチオ安息香酸で官能化された表面にさらに、カルボジチオエート基(ケナー、シーら、Chem. Mater. 第18巻、4817〜4826ページ(2006年))を含有するオリゴ−及びポリチオフェンが提供されてもよい。アルコキシ基と反応する際、共有結合を形成するのに好適である、本発明の方法で使用される粒子の表面にいかなる官能基が導入されてもよい(以下も参照)。
【0080】
一部の実施態様では、官能基は粒子を形成する物質、たとえば、金属又は半金属に直接結合してもよい。一部の実施態様では、官能基は基板の表面上の化学的部分に含まれてもよい。一部の実施態様では、官能基が導入されるので、化学反応によって基板の表面に形成されてもよい。この目的で、その一部が架橋剤として知られる二官能性の化合物を、たとえば使用してもよい。そのような二官能性の化合物は、選択された反応条件下でそれぞれ独立して反応を経験する2つの反応性中心を含む。所望であれば、第1の反応の間、変化しないままでいるように官能基の一方を覆い隠してもよい。結果的に表面上に選択された官能基の形成を生じる好適な二官能性の化合物を使用してもよい。各二官能性の化合物の2つの官能基は異なっても同一であってもよい。それらは、当業者が精通する表面へのカップリングのための官能基を含んでもよい。例には、オルガノ金属基(たとえば、オルガノマグネシウムクロリド基、たとえば、周知のグリニャール試薬、オルガノ水銀基、オルガノ亜鉛クロリド基、オルガノリチウム基又はオルガノカリウム基)、オルガノボロン基(たとえば、オルガノボロン酸、オルガノボロン酸エステル又はオルガノボラン)、塩化物、フッ化物、臭化物、ヨウ化物、シアノ基、チオシアノ基、トリフルオロメチルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、ブロモベンゼンスルホニル基、ニトロベンゼンスルホニル基、メタンスルホニル基、アジド基、アミノ基、アミド基、カルボキシル基(無水物を含む)、ヒドロキシル基、チオ基及びセレノ基が挙げられるが、これらに限定されない。2つの同一の官能基を持つ化合物の例には、ジオール類、ジカルボン酸類、無水ジカルボン酸類、ジアミド類、ジアルデヒド類(ジチオアセタール類で保護されたものも)、ジアミン類、ジチオール類、二官能性ジチアン類、ジセレノール類、二官能性の有機ボロン酸類又はジメタリック化合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0081】
一部の実施態様では、官能基、たとえば、アルカンチオール又はジスルフィドを伴った化合物の自己集合した単層が基板上に提供されてもよい。そのような単層は、当該技術で定評があり、概要が、たとえば、ウィットら(Current Organic Chemistry 第8巻、1763〜1797ページ(2004年))によって提供されている。
【0082】
一部の実施態様では、粒子は、1cm、たとえば、1mm、1μm、1nmより小さい全長を横切る寸法を持つ固形の粒子である。粒子の説明に役立つ実例は、磁性ビーズ及び磁性ナノ粒子である。磁性ナノ粒子は、たとえば、超常磁性物質(たとえば、Fe又はγ−Fe)、たとえば、そのような物質のコアを含んでもよい。
【0083】
本発明の方法の一部の実施態様では、各粒子は、一般式(I)、(III)、(IV)(V)の化合物のような小さな分子から形成される。従って、表面を持つ基板を提供することは、そのような実施態様では、1以上の当該粒子を形成することを含む。一部の実施態様では、金属酸化物又は半金属酸化物を含む1以上の粒子が提供される。次いで、これらの粒子は、小さな分子、たとえば、一般式(I)、(III)、(IV)(V)及び(VI)の化合物と反応する。これらの実施態様のいずれかで、ゾル−ゲル工程が適用され、所望のプロトコールに従って実行される。
【0084】
一部の実施態様では、官能基G(以下参照)との共有結合を形成することが可能である官能基を含有する一般式(I)、(III)、(IV)(V)及び(VI)の1以上の化合物(上記参照)に加えて、匹敵する構造の追加の化合物が採用される。この追加の化合物は、提供される基板、たとえば、粒子又はナノチューブの表面との共有結合を形成することが可能である官能基を含有する。一般式(I)、(III)、(IV)(V)及び(VI)の1以上の化合物と同時に又は順次、この追加の化合物を添加してもよい。説明に役立つ実例として、粒子又はナノチューブは、たとえば、超音波に助けられる第1の工程でメルカプトアルキルトリアルコキシ−半金属(たとえば、シラン)によって官能化されてもよい(たとえば、非特許文献1およびボッチーニ、エムら、J Phys. Chem. B 第110巻、13685〜13688ページ(2006年)を参照のこと)。その後、一般式(I)、(III)、(IV)(V)及び(VI)の1つの化合物が添加され、2つの化合物のいずれかのアルコキシ基の加水分解を介して、不動化された第1の化合物と架橋されてもよい。
【0085】
従って、一部の実施態様では、本発明の方法は、コア−シェル構造を持つ粒子を形成する方法である(上記も参照)。説明のための明視化として、本発明の方法によって形成されるコーティングは2つの層又はシェルを含有すると考えられてもよく、第一に、内側の層又はシェルは、式(Ia)又は(Ib)の化合物の分子の架橋によって形成され、第2に、外側の層又はシェルは式(IIa)又は(IIb)の化合物の分子の架橋によって形成される。それにもかかわらず、本発明の方法によってコーティングされる粒子の構造は、簡略化された説明図から逸脱してもよい。コポリマーが形成されてもよい表面について説明したように、粒子のようなコアは所望の物質のものであってもよいし、それを含んでもよい。説明図として、各コアは金属、ポリマーであってもよい。所望であれば、アスラムら(Aslam et al.)(上記2005年)によって記載されたように、超常磁性の金属のコアを選択してもよい。
【0086】
その上別の態様では、本発明は一般にコポリマーを含むコーティングに関する。コポリマーは通常2つの架橋ブロックを含む。第1のブロックを定義するモノマー単位は、一般式(XIIa)及び/又は(XIIb)のものである。
【0087】
【化10】

【0088】
これらの式では、Aは、金属又は半金属である。式(XIIa)におけるR20は、O、0〜3のヘテロ原子を含む主鎖を持つ脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、又はアリール環状脂肪族基である。Gは、約0〜2のヘテロ原子の主鎖を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル、及びアリール環状脂肪族ラジカルから選択されるスペーサである。スペーサGの一方の端は、金属又は半金属Aに共有結合する。スペーサGの他方の端は、第2のブロックを定義するモノマー単位の連結部分Qに共有結合する。2つの酸素原子はそれぞれ(i)一般式(XIIa)又は(XIIb)のさらなるモノマー単位の金属又は半金属Aに、又は(ii)基板の表面に共有結合する。第2のブロックを定義するモノマー単位は、一般式(XIIIa)及び/又は(XIIIb)のものである。
【0089】
【化11】

【0090】
この式では、Mが金属又は半金属である。式(XIIIa)におけるR33は、O、0〜約3のヘテロ原子を含む主鎖を持つ脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、又はアリール環状脂肪族基であってもよい。Gは、約0〜3のヘテロ原子の主鎖を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル、及びアリール環状脂肪族ラジカルから選択されるスペーサである。QはO、NH、S及びSeから選択される連結部分である。2つの酸素原子はそれぞれ、一般式(XIIIa)又は(XIIIb)のさらなるモノマー単位の金属又は半金属Mに共有結合する。コポリマーでは、連結部分Qは、一般式(XIIa)及び/又は(XIIb)のモノマー単位のスペーサGに共有結合する。一部の実施態様では、第1のブロックを定義するモノマー単位と第2のブロックを定義するモノマー単位は互いに異なる。一部の実施態様では、これら2つのモノマーは同一である。上記で説明したように、本発明の方法によって各コーティングは入手可能である。
【0091】
本発明の方法によって形成されるコーティングは種々の目的に役立つ。たとえば、それは、ナノ粒子の光化学酸化を提供することによってナノ粒子上に保護層を提供する(コレア−デュアルテ、エム・エーら、Chem. Phys. Lett. 第286巻、497〜501ページ(1998年))。本発明のコポリマーと同様にコーティングは表面濡れ性であってもよい。親水性の表面特性のゲルマニア、アルミナ、シリカ、ジルコニアなどのマトリクスを形成する場合、所望であれば、追加の部分をその上にグラフトすることによって濡れ性を変えてもよい。説明に役立つ実例として、3−(トリエトキシシリル)プロピルアクリル酸エステル(ケミカルアブストラクツNo.2530−85−0)、
3−[トリス(1−メチルエトキシ)シリル]プロピル−2−メチル−アクリル酸エステル(ケミカルアブストラクツNo.80750−05−6)、3−(トリエトキシシリル)プロピル−アクリル酸エステル(CAS番号20208−39−3)又は3−[1−エチル−3,3,3−トリメチル−1−[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロピル−アクリル酸エステル(CAS番号677736−91−3)を用いて、バウアら(Bauer et al.)(Macromol. Chem. Phys. 第201巻、2654〜2659ページ(2000年)およびProgress in Organic Coatings 第47巻、147〜153ページ(2003年))に記載されたように、疎水性の表面を持つ本発明のコポリマーを提供してもよい。グラフト反応に好適な分子のさらなる例は酸化ポリエチレンのようなポリマーである(ホメルら、Makromol Chem. 第194巻、879〜889ページ(1993年))。
【0092】
その上さらなる実施態様では、本発明に係るコポリマーと同様にコーティングは、たとえば、ペプチド、タンパク質、ペプトイド、核酸、オリゴヌクレオチド、多糖類、脂質、たとえば細胞などのウイルス又は微生物、生体分子又は生物学的存在を結合するのに好適である捕捉分子と反応してもよい。各捕捉分子はたとえば、コポリマーの形成で共有結合を経験しない(上記参照)官能基K(上記及び図2Bを参照)と反応してもよい。この態様で、本発明のコポリマーは、シリカ、チタニア、ガリア又はゲルマニアの表面、たとえば、珪酸塩のコーティング若しくは層を形成する際、官能化された金属−アルコキシド化合物を含める必要条件を排除することが多い(利用できる技法の概要については、スミス、ジェイ・イーら、Trends in Analytical Chemistry 第25巻、9号、848〜854ページ(2006年)およびタン、ダブリューら、Medicinal Research Reviews 第24巻、5号、621〜638ページ(2004年)を参照のこと)。
【0093】
各捕捉分子の例には、免疫グロブリン、その断片、抗体様の機能を持つタンパク様の結合分子、オリゴヌクレオチド、オリゴ糖、オリゴペプチド、ビオチン、ジニトロフェノール、ジゴキシゲニン及び金属キレーター(以下も参照)が挙げられるが、これらに限定されない。(組換え)免疫グロブリン断片の例は、Fab断片、Fv断片、一本鎖Fv断片(scFv)、二機能抗体、三機能抗体(イリアデス、ピーら、FEBS Lett 第409巻、437〜441ページ(1997年))、10価抗体(ストーン、イーら、Journal of Immunological Methods 第318巻、88〜94ページ(2007年))、及びそのほかのドメイン抗体(ホルト、エル・ジェイら、Trends Biotechnol. 第21巻、11号、484〜490ページ(2003年))である。抗体様の機能を持つタンパク様の結合分子の例は、リポカリンファミリーのポリペプチドに基づくムテインである(国際特許出願第03/029462号パンフレット、および、ベステら、Proc. Natl. Acad. Sd. U.S.A.第96巻、1898〜1903ページ(1999年))。リポカリン、たとえば、ビリン結合タンパク質、ヒト好中球ゲラチナーゼ関連のリポカリン、ヒトアポリポタンパク質D又はグリコデリンは、ハプテンとして知られる選択された小さなタンパク質領域にそれらが結合するように修飾することができる天然のリガンド結合部位を持つ。他のタンパク性の結合分子の例は、いわゆるグルボディ(たとえば、国際特許出願第96/23879号パンフレット又はナポリターノ、イー・ダブリューら、Chemistry &
Biology 第3巻、5号、359〜367ページ(1996年)を参照のこと)、アンキリン足場に基づいたタンパク質(モサビ、エル・ケーら、Protein Science 第13巻、6号、1435〜1448ページ(2004年))、又は結晶性の足場(たとえば、国際特許出願第01/04144号パンフレット)に基づいたタンパク質、スケラ、J.Mol. Recognit. 第13巻、167〜187ページ(2000年)に記載のタンパク質、アドネクチン、テトラネクチン及びアビマーである。アビマーは、幾つかの細胞の表面受容体における複数のドメインの弦として発生するいわ
ゆるA−ドメインを含有する(シルバーマン、ジェイら、Nature Biotechnology 第23巻、1556〜1561ページ(2005年))。ヒトのフィブロネクチンのドメインに由来するアドネクチンは、標的への免疫グロブリン様の結合について操作することができる3つのループを含有する(ギル、ディー・エスおよびダムール、ディー・ケー、Current Opinion in Biotechnology 第17巻、653〜658ページ(2006年))。ヒトのホモ三量体タンパク質に由来するテトラネクチンも同様に所望の結合について操作することができるC型レクチンドメインにおいてループ領域を含有する(前出)。タンパク質のリガンドとして作用するペプトイドは、側鎖がα炭素原子ではなくアミド窒素に接続するという点でペプチドとは異なるオリゴ(N−アルキル)グリシンである。ペプトイドは、プロテアーゼ及びそのほかの修飾酵素に通常耐性であり、ペプチドよりもはるかに高い細胞透過性を有する(たとえば、クォン、ワイ−ユーおよびコダデック、ティー、J. Am. Chem. Soc.
第129巻、1508〜1509ページ(2007年)を参照のこと)。
【0094】
さらなる説明に役立つ実例として、親和性タグを各捕捉分子として使用してもよい。親和性タグの例には、ビオチン、ジニトロフェノール又はジゴキシゲニン、オリゴヒスチジン、ポリヒスチジン、免疫グロブリンのドメイン、マルトース結合タンパク質、グルタチオン−S−トランスフェラーゼ(GST)、カルモジュリン結合ペプチド(CBP)、FLAG’−ペプチド、T7エピトープ(Ala−Ser−Met−Thr−Gly−Gly−Gln−Gln−Met−Gly)、マルトース結合タンパク質(MBP)、単純ヘルペスウイルスの糖タンパク質Dの配列Gln−Pro−Glu−Leu−Ala−Pro−Glu−Asp−Pro−Glu−AspのHAVエピトープ、配列Tyr−Pro−Tyr−Asp−Val−Pro−Asp−Tyr−Alaの血球凝集素(HA)のエピトープ、配列Glu−Gln−Lys−Leu−Ile−Ser−Glu−Glu−Asp−Leuの転写因子c−mycの「myc」エピトープが挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
本発明に従って粒子をコーティングするためのキットは2つの容器を含む。第1の容器は一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の複数の分子(上記参照)を含む。第2の容器は一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の複数の分子(上記参照)を含む。一部の実施態様では、キットはまた1以上の粒子、たとえば、ナノ粒子を含んでもよい。
【0096】
各キットはさらに粒子の表面に官能基を形成するための手段を含んでもよい(説明に役立つ実例については上記参照)。この点で、キットはまた、粒子の表面に不動化することができ、不動化後も存在する官能基を運ぶ連結分子を含んでもよい。説明に役立つ実例として、6−メルカプト−1−ヘキサノールがキットに含まれてもよい。
【0097】
各キットを用いて本発明に係る方法を実施してもよい。この点で、キットは、たとえば、指示書の薄い小冊子の形態で粒子をコーティングするための指示書を含んでもよい。それはさらに本発明の方法を実施する前、実施している間及びその後、上記成分を収容するための1以上の考案品を含んでもよい。
【0098】
当業者は、本発明のコポリマーによって提供される表面の進歩した表面特性が一般に匹敵する物質(たとえば、シリカ)の従来のコーティングよりも生体分子又は生物学的存在の非特異的結合を減らすことを十分に理解するであろう。さらに、超音波の印加と組み合わせた基礎となる分子化学反応によって個々のシリカの成長の問題なしで成長させることができる粒子上の被包コーティングが可能になる。シリカの成長での問題は、従来のストーバー工程の周知の弱点である。同時に、粒子は溶液中でよく分散し続け、それは、当該技術で現在利用できるほかの方法によっては達成することができない。
【0099】
本発明が容易に理解され、実用化されるために、今や以下の非限定例を手段として特定の実施態様を説明する。本発明の範囲を逸脱することなく、詳細の修正が行われてもよいことが理解される。
【0100】
図1は、粒子の被包又はシェルを提供するためのシリカのコーティングの現在のアプローチを描く。図1A:ヒドロキシル基による架橋によって好適な表面に直接シリカのネットワークが形成される。通常、コーティングされる粒子のゾルに、還元剤(たとえば、TEOS+水酸化アンモニウム)と一緒にテトラアルコキシシランが添加される。図1B:図1Aに示すようなシェルの成長工程に進む前に、粒子の表面上でのヒドロキシル基又はほかの好適な基の非存在下で、カップリング剤による予備処理が行われる。
【0101】
図2Aは、本発明に係る粒子の表面(1)のコーティングの単純化した図を示す。第1の架橋ブロックは、記号Aによって素描された金属原子又は半金属原子を含有する酸化金属又は酸化半金属である。同様に第2の架橋ブロックは、記号Bによって素描された金属原子又は半金属原子を含有する酸化金属又は酸化半金属である。第1の架橋ブロックにおけるスペーサGは連結部分Dを運び、第2の架橋ブロックにおける連結部分Gに共有結合する。連結部分Dは、官能基KとE(示されず)の化学反応によって得られる。これら2つの官能基の反応によって共有結合が形成され、2つの架橋ブロックを接続する。図2Bは、本発明の方法に従って形成される2つの架橋ブロックと共に含むさらなるコーティングを描く。粒子の表面(1)上で不動化されるポリマーは図3Aで示されるポリマーに似ている。反応中、すべての官能基Eが官能基Fの近傍に来るとは限らないので、各架橋ブロックには反応しなかった官能基KおよびEが存在する。そのような残った反応しなかった官能基も反応中加水分解されてもよい。
【0102】
図3は、本発明の方法の一例を描く。図3Aは、金属又は半金属のコーティング剤による表面処理を描く。カップリング剤は、一般式CO−及びCO−の共有結合したアルコキシ基と共に金属原子又は半金属原子Aを含む。カップリング剤はさらに官能基Eを運ぶ連結部分Gを含む。官能基Eは、その後の反応のために選択されるさらなる分子の官能基Fと反応することが可能である。カップリング剤は第1の架橋ブロックを形成し、それは本実施例では、粒子の表面に形成される。図3Bは、さらなる分子とのその後の反応を描く。このさらなる分子は、一般式CO−、CO−及びCO−の共有結合したアルコキシ基を有する。分子はさらに官能基Kを運ぶ連結部分Gを含む。2つの官能基EとKの間の化学反応は結果的に共有結合(G−D−G)を生じる。アルコキシ基の加水分解は、さらに結果的にトリヒドロキシ部分の形成を生じる。超音波を印加して反応を助ける。
【0103】
図4は、本発明に係るコーティングの形成(予備コーティングを形成すること及び続く音響化学工程でコーティングを完成させることを含む)のためのモノマーとして使用されるのに好適な化合物の例を描く。A:3−トリメトキシゲルミルプロピルアミン(ケミカルアブストラクツNo.342901−42−2);B:(3−アミノプロピル)トリメトキシ−チタン(CAS番号679−835−16−6);C:[2−[(6−アミノヘキシル)アミノ]エチル]−シアントリオール(CAS番号514195−50−7);D:3−[ジ−エトキシ(メチル)ゲルミル]プロピルアミン(CAS番号342901−44−4);E:[3−[[2−[(2−アミノエチル)アミノ]エチル]アミノ]プロピル]シラントリオール(CAS番号787620−78−4);F:(2−アジドエチル)トリメトキシシラン(CAS番号83315−71−3);G:[3−(トリメトキシシリル)プロピル]−ヒドラジン(CAS番号481681−83−8);H:3−(ジメトキシメチルシリル)プロピル−チオシアン酸エステル(CAS番号503608−63−7);I:ジメトキシメチル(3−ニトロプロピル)−シラン(CAS番号17
4529−36−3);L:トリエトキシ[3−[(4−オキシラニルブチル)チオ]プロピル]−シラン(CAS番号194672−42−9);J:11−(トリメトキシシリル)−ウンデカナル(CAS番号250684−37−8);K:(3−メルカプトプロピル)ジメトキシ−シラノール(CAS番号123381−58−8);L:トリエトキシ[3−[(4−オキラニルブチル)チオ]プロピル]−シラン(CAS番号194672−42−9);M:3−(ジクロロメトキシシリル)−1−塩化プロパンスルフェニル(CAS番号109858−50−6);N:5,6−エポキシヘキシルトリプロポキシシラン(CAS番号35612−74−9);O:3−(ジクロロメチルゲルミル)−プロパナール(CAS番号42202−26−6);P:3−(ジクロロメチルシリル)−1−プロパンチオール(CAS番号88334−68−3);Q:トリクロロ(8−オキシラニルオクチル)−シラン(CAS番号170007−68−6);R:N−[3−(トリクロロシリル)プロピル]−1,6−ヘキサンジアミン(CAS番号531492−29−2)及びN−[3−(トリクロロシリル)プロピル]−メタンスルホンアミド(CAS番号685901−33−1)。
【0104】
図5は、本発明の方法の間での架橋マトリクスの形態でのコーティングの形成を示す。示された実施例はゾル−ゲル工程である。たとえば、酸性条件又は塩基性条件への暴露によって、官能基Eを運ぶスペーサGを伴った金属又は半金属(A)のトリアルコキシ化合物のアルコキシ基が加水分解される(1)。縮合重合(2)が起き、結果的に各金属又は半金属の酸化物の架橋されたマトリクスゲルの形成を生じる「エイジング」(3)と呼ばれる工程がそれに続く。反応のこの部分は蒸発によって促進されてもよい。架橋されたマトリクスは、官能基Kを運ぶスペーサGを有するトリヒドロキシ金属又は半金属化合物と官能基Gを反応させることによって伸長される。各アルコキシ化合物の加水分解によってヒドロキシ基はその場で形成されてもよい。超音波がこの仕事を実行する。
【0105】
図6は、例示となるカップリング反応のスキームを示す。(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン(ケミカルアブストラクツNo.1760−24−3)を用いて粒子の表面上に架橋されたマトリクスを形成する。エチレンジアミン部分のアミノ基は、エポキシ基と反応することができる。3−(グリシジルメチルオキシ)プロピルトリメチルシラン(ケミカルアブストラクツNo.2530−83−8)を添加するが、それは、粒子の表面上でエポキシ基にて求核置換反応を経験する。その結果、共有結合が形成され、それによって粒子表面上にトリヒドロキシ部分を提供する。
【0106】
図7は、本発明の方法を用いた粒子のコーティングの実施態様を説明する。ヒドロキシル基又はアルコキシ基(16)を持つ一般式II(詳細な説明を参照)の化合物の溶液が提供され、粒子が添加される。粒子はシリカのコーティング(磁性化)を有し、それは、一般式IIの化合物との反応を経験することができる官能基を含む。溶液に超音波が印加される。
【0107】
図8は、実験室規模での本発明出願の方法に係る調製における工程を示す。酸化インジウムスズIn:SnOのナノ粒子を含むこの実施例では、図7に示されたように溶液に超音波が印加される。30〜100W/cmの出力強度を持つ超音波又は0.2W/cmの超音波処理槽が使用される。写真は、ゾル−ゲル工程が発生している一方で溶液が超音波に暴露されていることを示す。
【0108】
図9は、本発明の方法に従ってコーティングされたナノ粒子の表面の、X線光電子分光分析を用いた化学的分析を示す。ITOナノ粒子の示されたX線光電子スペクトル(XPSスペクトル)は、粒子の表面(物質の表面の約10〜12nm)から発せられた電子の電子結合エネルギーを描いている。図9Aは、官能基Eを運ぶ、トリアルコキシシランの形態での一般式(Ia)の化合物(詳細な説明を参照)による処理後のナノ粒子のXPS
スペクトルを示す。図9Bは、一般式(II)の化合物との反応後(詳細な説明を参照、完全に処理された粒子)のナノ粒子のXPSスペクトルを示す。受け取ったITO試料(示さず)のシランにおける珪素に割振られる102eVに中心を持つピークはない。図9Aは、官能化されたトリアルコキシシランによる処理後の粒子における相対的に少ない量の珪素(y軸の尺度を参照)の存在を示す。それとは対照的に、図9Bに示されるように、一般式(II)の化合物による処理後の完全に処理された粒子上では、有意に増加した量の珪素を見い出すことができる。
【0109】
図10Aは、透過型電子顕微鏡(TEM)で撮影された、本発明の方法に従って得られたコーティングされた粒子の写真を示す。コーティングは写真中で印が付けられている。図10Bは、受け取った際のコーティングされていない相当するナノ粒子の写真を示す。
【0110】
図11Aは、未処理のナノ粒子(「受け取ったまま」)、官能基Gを運ぶトリアルコキシシランで処理した後のナノ粒子(「第1工程の処理」)及び「完全な処理」後のナノ粒子のXPSスペクトル(O1s結合エネルギー)を示す。未処理のナノ粒子と官能化されたトリアルコキシシランを持っているナノ粒子は双方共、約530.3eVにて酸化インジウムスズにおける面心立方体In3+の4面体の隙間におけるO2−イオンの明瞭なシグナルを伴って類似の特徴を示す(ソング、ダブリューら、Appl. Phys. A 第72巻、361〜365ページ(2001年))。一般式(II)の化合物(詳細な説明を参照)で処理した後、このシグナルは大幅に低下する。約532.7eVでのこれら完全に処理されたナノ粒子の優勢なO1sピークは表面上でのSiOの存在を示す(たとえば、ザカズノバ−ヘルゾグ、ブイ・ピーら、Phys. Rev.B、 第72巻、205113ページ(2005年)を参照のこと)。
【0111】
図11Bは、乾燥粉末試料の写真を示す。写真の左半分に示される粉末は、本発明の方法によって得られ、大気中200℃にて普通2〜6時間、本実施例で2時間の熱処理に暴露され、完全にコーティングされたナノ粒子から成る。一般式(Ia)の化合物及び一般式(IIa)の化合物による処理を含む本発明の方法を経験したナノ粒子については、視覚的外見で変化が認められた。それらの色は明黄色から暗緑色に変化した。写真の右半分に示された粉末は、同様に大気中200℃にて普通2〜6時間、本実施例で2時間の熱処理に暴露された、供給者から受け取ったままのITOナノ粒子から成る。これらのナノ粒子については色の変化は認められなかった。
【0112】
図11Bで示したデジタル写真をRGBフォーマットに保存した。緑と青のチャンネルを削除し、残った赤のチャンネルを図11Cに示す。熱に暴露したのみで、本発明の方法を経験しなかった写真右半分のITOナノ粒子は、図11Cの再生で有意に暗くなり、暗緑色に変わった左側のコーティングされたナノ粒子に比べてその黄色味がかった外見を反映する。従って、これらの写真は、ITO粒子の表面の酸化状態が変化した、すなわち、粒子の物質が還元され、それによって、相当する未処理のナノ粒子に比べてさらに導電性の状態に変わったことを説明している。
【0113】
図12Aは、有機混合物に分散されたITOナノ粒子の写真を示す。理解できるように、本発明の方法を経験したナノ粒子は、向上した分散性を示す。
図12Bは、未処理のITOナノ粒子と、コロイド状シリカと混合した未処理のITOナノ粒子と、最初に一般式(II)の化合物、その後官能化されたトリアルコキシシランで処理されたITOナノ粒子(詳細な説明を参照、完全に処理された粒子)の吸収限界を示す。広がったバンドギャップを示す30nm低いシフトに留意のこと。
【0114】
図13は、ITOナノ粒子に用いたのと同じ本発明の方法に従って得られた完全に処理されたチタニアナノ粒子を示す(チタニアナノ粒子は、デグサ社(Degussa)[ド
イツ所在]から入手した)。
材料
本発明の方法に供された粒子は、)、インフラマットアドバンストマテリアルズ社(Inframat Advanced Materials)[米国コネチカット州(06279)所在]から得たナノサイズのITO粒子(ロット番号49N−5090、LAM635NITO)だった。供給者が述べた平均粒度は40nmであり、比面積は40m/gであった。
【0115】
化学的試薬:名称「Dynasylan(商標)DAMO」のもとで利用できるN−アミノエチル−3−アミノプロピルトメトキシシラン及び名称「Dynasylan(商標)GLYMO」のもとで利用できる3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランは、デグサ社(Degussa)[ドイツ所在]から得た。
【0116】
超音波の供給源として、フィッシャーサイエンティフィック(シー)社(Fisher
Scientific (SEA) Pte. Ltd。)から購入した「ソニックディスメンブレータ−」タイプの超音波処理器を用いた。
第1工程の処理
典型的な処理工程は以下のように行われた。2〜6gの受け取ったままのITO粒子を、激しく撹拌したもとで20mLの水に加え、水中の粒子表面を分散させ濡らした。撹拌しながら、約4〜8mLの酢酸を混合物に加えたが、匹敵する量(4〜8mL)のDynasylan(商標)DAMOをゆっくり分散物に加えた。混合物を80℃での還流で2〜14時間肘した。その後、遠心によってITO粒子を回収し、水とエタノールによって連続的に3回洗浄した。シロキサンネットワーク及び図10Bで示されたXPSデータによって示された反応性アミノ基によって得られた粒子をグラフトした。
超音波照射のもとでの第2の工程処理
この工程の典型的な処理工程は以下のとおりである。撹拌のもと、10gのDynasylam(商標)GLYMOを2〜5gのエタノールと混合し、塩酸(pH=2.0)で酸性化した20gの水とゆっくり混合した。その後、4gの上記アミノシランで処理された粉末を混合物に加えた。混合物は100mLのフラスコ(ガラス)に含有され、混合の直後、フラスコは超音波照射のために超音波処理器のプローブの下に置かれた。混合物のほとんどが確実に超音波照射されるように、1cmより浅いレベルの液体にプローブの表面を浸漬した。出力60Wで連続的な操作を行うように超音波処理器を設定した。GLYMOの広範な加水分解を示す、混合物での白い泡の突発によってゾルーゲル化学反応の開始が見えた。超音波処理を少なくとも20分間続け、超音波への暴露の終了後、数時間、激しい撹拌をさらに持続した。図10A及び図11Aで示されたXPS及びTEMによって示されたようなシリカの層によって得られた粒子はコーティングされた。
【0117】
本明細書で使用される場合、それが関係する基本的な機能において結果的に変化を生じないで変化する量的表示を修飾するために、近似する用語を適用してもよい。従って、たとえば、「約」及び「実質的に」のような用語によって修飾された値は、場合によっては特定された正確な値を含むが、それに限定されなくてもよい。
【0118】
この明細書における以前公開された文書の列挙や考察は、文書が最新技術の一部であり、共通する一般的な知識であるという肯定応答として必ずしも理解されるべきではない。
本明細書で例証的に記載された本発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素、限定の非存在下で好適に実践されてもよい。従って、たとえば、用語、「含むこと」「包含すること」「含有すること」などは拡張的に且つ限定なしで読み取られるべきである。さらに、本明細書で採用された用語及び表現は、限定ではなく説明の用語として使用されたものであり、そのような用語及び表現の使用において示され、記載された特徴又はその一部と同等のいかなるものも排除する意図はないが、請求された本発明の範囲内で種々の
改変が可能であることが認識される。従って、本発明は例示となる実施態様及び任意の特徴によって具体的に開示されているが、その中で具現化され、本明細書で開示された本発明の改変及び変形が当業者によって復元されてもよく、そのような改変及び変形が本発明の範囲内であるとみなされることが理解されるべきである。
【0119】
本発明は本明細書で広く且つ一般的に説明されている。一般的な開示の範囲内にあるさらに狭い種及び下位一般的な分類も本発明の一部を形成する。このことは、削除された物質が本明細書で再び引用されるかどうかにかかわらず、属から任意の主題を除く但し書き又は負の限定を伴った本発明の一般的記載を包含する。
【0120】
ほかの実施態様は以下のクレームの範囲内である。さらに、本発明の特徴又は態様がマーカッシュ群という点で記載される場合、当業者は、それによって本発明が、マーカッシュ群の個々の一員又は亜群の一員という点で記載されることを認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子をコーティングするための方法であって、
(a)粒子の表面にヒドロキシル基とハロゲン基とアルコキシ基の少なくとも1つとのカップリング反応を経験するのに好適な官能基を有する粒子を提供する工程と、
(b)一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子を提供する工程と、
【化1】

(式中、Aは金属又は半金属であり、
と式(Ia)のRは独立して選択されるハロゲン基又はアルコキシ基であり、アルコキシ基は、0〜4のヘテロ原子を含む脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含み、
20は、OH、ハロゲン基又はアルコキシ基から成る群から選択され、アルコキシ基は、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含み、
は、0〜3のヘテロ原子を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル及びアリール環状脂肪族ラジカルから成る群から選択されるスペーサであり、
Eは官能基である)
(c)第1の混合物を形成するために、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子と粒子を接触させる工程と、
(d)(i)粒子の表面上の官能基と一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子の部分R20の間の反応により共有結合の形成を可能にし、それによって粒子の表面上に一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子を不動化し、(ii)粒子上で予備コーティングが形成されるように一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子の架橋を可能にするために、粒子の表面上の官能基とR20の間でのカップリング反応に好適な反応条件に前記第1の混合物を暴露する工程と、
(e)第2の混合物を形成するために、一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の分子を添加する工程と、
【化2】

(式中、Mは、金属又は半金属であり、
31とR32は、独立してハロゲン基、ヒドロキシル基及びアルコキシ基から成る群から選択され、アルコキシ基は、0〜4のヘテロ原子を含む脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基、及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含み;式(IIa)におけるR33は、OH、ハロゲン、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択され、
は、0〜3のヘテロ原子を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル及びアリール環状脂肪族ラジカルから成る群から選択されるスペーサであり、
Kは、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の官能基Eとの共有結合を形成するのに好適である官能基である)
(f)(i)(d)で形成された予備コーティングの官能基Eと(e)で添加された)一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の分子の官能基Kとの間での分子間反応により共有結合の形成を可能にし、(ii)十分なエネルギーを提供して粒子上にコーティングが形成されるように一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の分子の架橋を可能にするために、第2の混合物を超音波に暴露する工程とを備える方法。
【請求項2】
前記官能基Eが、アルデヒド、アミノ、ニトロ、ハロゲン、アゾ、ジアゾ、ヒドラゾ、チオ、シアノ、カルボキシル、エステル、無水物、スルホネート、スルホネートエステル、イミドエステル、セミカルバジド、イソシアノ、アジリジン、ホスホルアミダイト又はエポキシの基から成る群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記官能基Kが、アルデヒド、アミノ、ニトロ、ハロゲン、アゾ、ジアゾ、ヒドラゾ、チオ、シアノ、カルボキシル、エステル、無水物、スルホネート、スルホネートエステル、イミドエステル、セミカルバジド、イソシアノ、アジリジン、ホスホルアミダイト又はエポキシの基から成る群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
式(IIa)におけるR33が、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択され、該基は0〜4のヘテロ原子を含む請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
式(Ia)におけるR20及び/又は式(IIa)におけるR33が独立して選択されたアルコキシ基であり、前記アルコキシ基は脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含み、該基は0〜3のヘテロ原子を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記粒子の表面上の前記官能基が、ヒドロキシ基、チオ基、セレノ基及びアミノ基の少なくとも1つを含む請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記粒子の表面と一般式(Ia)及び/又は(Ib)の前記化合物との間の前記共有結合が、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の金属又は半金属Aへの架橋−O−、架橋−S−、架橋−Se−又は架橋−NH−である請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
官能基Eと官能基Kとの反応によって形成される前記共有結合が、架橋−O−、架橋−S−、架橋−Se−又は架橋−NH−である請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
式(IIa)におけるMが、Si、Ti、Zr、Ga及びGeの1つであり、式(IIb)におけるMがAlである請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
式(Ia)におけるAが、Si、Ti、Zr、Ga及びGeの1つであり、式(Ib)におけるAがAlである請求項1〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
粒子が、金属、半金属、金属カルコゲニド、半金属カルコゲニド、金属ハロゲン化物、セラミックス、カルコゲニドセラミックス、プラスチック、エラストマー及びそれらの複合材料から成る群から選択される物質を含む又は物質から成る、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
金属カルコゲニドが、酸化亜鉛(ZnO)、チタニア(TiO)、酸化インジウム(I
)、酸化鉄、酸化アルミニウム(Al)、酸化スズ(SnO)、酸化アンチモン(Sb)、酸化クロム、酸化マグネシウム(MgO)、酸化銅(CuO)、酸化セシウム(CsO)、酸化マンガン、PbO、PdO、ZrO、La、Ta、Nb、MoO、V、CdS、ZnS、PbS、AgS、GaSe、CdSe、ZnSe、ZnTe、CdTe及びそれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記粒子がナノ粒子である、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
水及びアルコールから選択される溶媒中で前記反応が行われる、請求項1〜13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
一般式Iの前記化合物の複数の分子を架橋すること及び/又は一般式IIの前記化合物の複数の分子を架橋することが、ゾル−ゲル法を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記第2の混合物が暴露される前記超音波が、10〜75kJの総エネルギーを有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の混合物が暴露される前記超音波が、20kHz〜500kHzの範囲から選択される周波数を有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記粒子の表面上の官能基間のカップリング反応に好適な反応条件が、高い温度及び/又は酸性化を含む、請求項1〜17のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか1項に記載の方法に従って得られるコーティング。
【請求項20】
前記コーティングが2つの架橋されたブロックを含み、
前記第1のブロックを定義するモノマー単位が式(XIIa)及び/又は(XIIb)のものであり、
【化3】

(式中、Aは、金属又は半金属であり、
式(XIIa)におけるR20は、O、0〜4のヘテロ原子を含む脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択され、
は、0〜3のヘテロ原子を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル及びアリール環状脂肪族ラジカルから選択されるスペーサであり、前記スペーサGの一方の端は、前記金属又は半金属Aに共有結合し、前記スペーサGの他方の端は、前記第2のブロックを定義する前記モノマー単位の前記連結部分Qに共有結合し、
前記2つの酸素原子はそれぞれ(i)一般式(XIIa)又は(XIIb)のさらなるモノマー単位の前記金属又は半金属Aに、又は(ii)基板の表面に共有結合する)
前記第2のブロックを定義する前記モノマー単位は一般式(XIIIa)及び/又は(XIIIb)のものであり、
【化4】

(式中、Mは金属又は半金属であり、
式(XIIIa)におけるR33は、H、O、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択され、
は、0〜4のヘテロ原子を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル及びアリール環状脂肪族ラジカルから成る群から選択されるスペーサであり、
Qは、基O、NH、S及びSeから選択される連結部分であり、
前記2つの酸素原子はそれぞれ、一般式(XIIIa)又は(XIIIb)のさらなるモノマー単位の金属又は半金属Mに共有結合する)
コポリマーでは、前記連結部分Qは、一般式(XIIa)及び/又は(XIIb)のモノマー単位の前記スペーサGに共有結合する請求項19に記載のコーティング。
【請求項21】
請求項19又は20に記載のコーティングを持つ粒子。
【請求項22】
粒子をコーティングするためのキットであって、
(a)一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の分子を含む容器1つと、
【化5】

(式中、Aは金属又は半金属であり、
と式(Ia)のRは独立して選択されるハロゲン基又はアルコキシ基であり、前記アルコキシ基は、0〜4のヘテロ原子を含む脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含み、
20は、OH、ハロゲン基又はアルコキシ基から成る群から選択され、アルコキシ基は、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含み、
は、0〜3のヘテロ原子を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル、又はアリール環状脂肪族ラジカルから成る群から選択されるスペーサであり、
Eは官能基である)
(b)一般式(IIa)及び/又は(IIb)の化合物の分子を含む容器1つと、
【化6】

(式中、Mは、金属又は半金属であり、
31とR32は、独立してハロゲン基、ヒドロキシル基及びアルコキシ基から成る群から選択され、前記アルコキシ基は、0〜4のヘテロ原子を含む脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択される部分を含み;式(IIa)におけるR33は、OH、ハロゲン、脂肪族基、環状脂肪族基、芳香族基、アリール脂肪族基及びアリール環状脂肪族基から成る群から選択され、
は、0〜3のヘテロ原子を含む脂肪族ラジカル、環状脂肪族ラジカル、芳香族ラジカル、アリール脂肪族ラジカル及びアリール環状脂肪族ラジカルから成る群から選択されるスペーサであり、
Kは、一般式(Ia)及び/又は(Ib)の化合物の官能基Eとの共有結合を形成するのに好適である官能基である)
を含むキット。
【請求項23】
前記官能基Eが、アルデヒド、アミノ、ニトロ、ハロゲン、アゾ、ジアゾ、ヒドラゾ、チオ、シアノ、カルボキシル、エステル、無水物、スルホネート、スルホネートエステル、イミドエステル、セミカルバジド、イソシアノ、アジリジン、ホスホルアミダイト又はエポキシの基から成る群から選択される請求項22に記載のキット。
【請求項24】
前記官能基Kが、アルデヒド、アミノ、ニトロ、アゾ、ジアゾ、ヒドラゾ、チオ、シアノ、カルボキシル、イソシアノ又はエポキシの基から成る群から選択される請求項22又は23のいずれか1項に記載のキット。
【請求項25】
さらに粒子を含む請求項22〜24のいずれか1項に記載のキット。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11C】
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【図13】
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【図7】
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【図11B】
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【図12A】
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【図12B】
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【公表番号】特表2010−538806(P2010−538806A)
【公表日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522874(P2010−522874)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【国際出願番号】PCT/SG2008/000315
【国際公開番号】WO2009/029053
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(503231882)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (179)
【Fターム(参考)】