粒子を濾過するためのシステム及び方法
本開示の実施形態は、粒子を濾過するための濾過モジュールを備える濾過システムと、粒子(例えば生存細胞)を単離するためにその装置を用いる方法を特徴とする。有利には、本装置の実施形態は、細胞の生存度を保ち且つ高い収率を提供しながら大体積のサンプルの高スループット濾過を提供する。特定の実施形態では、本発明は、粒子を濾過するための装置及び生存細胞を濃縮するための装置を用いる方法を特徴とする。特に、本発明は、血球型の単離、臍帯血の体積減少、及び間質血管細胞群の調製のためのこうした装置の使用を特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
生体試料から細胞を分離する方法は、多くの臨床的処置及び科学的研究方法にとって重要である。臍帯血バンクでは、臍帯血は、長期貯蔵の経費を減らすために低温保存に入れる前に細胞分離プロセスを用いて体積が減少させられる場合がある。細胞治療では、生着を増加させるために患者に輸液する前に或る細胞型が濃縮される場合がある。細胞を分離するための現在の濾過技術は、細胞の生存度を保つのにしばしば失敗し、典型的に低い収率を有する。例えば、サイズ排除に頼る細胞分離技術は、壊れやすい細胞が剪断応力を受けて細胞の損傷又は溶解を引き起こす。細胞の破片の蓄積は、装置の汚染及び詰まりを加速する。こうした方法を用いて単離された細胞は、しばしば活性化され、変質され、損傷され、又は殺される。ミクロ流体装置は、それらが処理できるサンプルの体積によって制限される。流量が増加するのに伴って装置を通して移動する細胞の剪断応力も増加するので、こうした装置を通した流量を単純に増加させることは上手くいかない。したがって、剪断応力は、体積スループットを制限する。したがって、濾過機構としてサイズ排除を用いない、粒子を濾過するための方法及び装置を提供することが望ましい。特に、簡単に詰まることのない、高い体積スループットを有する、物理的に小型の、且つ細胞を損傷又は活性化させない、細胞を濾過するための方法及び装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
以下で説明されるように、本開示は、粒子を濾過するための装置及び生存細胞(viable cell)を濃縮するための装置を用いる方法を特徴とする。特に、本開示は、血球型の単離、臍帯血の体積減少、及び間質血管細胞群の調製のためのこうした装置の使用を特徴とする。
【0003】
有利なことに、本装置は、細胞の生存度を保ち且つ高い収率を提供しながら大体積のサンプルの高スループット濾過を提供し得る。本開示の幾つかの実施形態は、自動化及び高スループット処理に適した装置を備え得、本開示の幾つかの実施形態は、閉じたシステムでの臨床試料の処理を可能にするシステムを備え得る。さらに、その装置を用いるための方法は、高い性能、高い回収率、幾つかの場合には高い純度を提供し得る。加えて、臨床試料の処理、例えば、臍帯血体積の減少、骨髄幹細胞の濃縮、末梢血幹細胞の処理、及び間質血管細胞群の調製に適用される場合の装置を用いるための方法は、高い度合いの分離後細胞生存度、使いやすさ、安全性、及び費用効率の維持を提供し得る。
【0004】
一実施形態では、本開示は、生存細胞の高スループット分離を提供する粒子濾過装置を提供する。本粒子濾過装置は、最小限の剪断力を伴う粒子分離を提供するので、分離された細胞の少なくとも約50%、75%、85%、95%、98%、99%、99.5%以上が生存可能であり、研究及び医療での使用に適している。種々の実施形態では、濾過システムは、1つ又は複数のフィルタユニット装置に送達するためのサンプル及び/又はキャリア流体を保持するのに適した1つ又は複数の容器と、装置から流出する保持物又は濾過物を保持するのに適した1つ又は複数のさらなる容器とを特徴とする。一実施形態では、容器は、液体を保持するのに適した可撓性バッグである。別の実施形態では、容器は、流体を搬送するのに適した可撓性チューブによってフィルタユニットに接続される。所望の場合、チューブは、アダプタによって容器及び/又はフィルタユニットハウジングに接続される。
【0005】
本開示の態様及び実施形態は、ハウジング及び複数(例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、200、250、500、750、1,000、2,000、又は5,000)の濾過ユニットを収容するカートリッジを収容する、粒子を濾過するためのシステムを対象とし、ハウジングは、フィードサンプル入口、保持物出口、及び濾過物出口を収容し、各濾過ユニットは、近位端及び遠位端を有する保持物チャンバ、濾過物チャンバ、及び保持物チャンバと濾過物チャンバとの間に位置決めされた柱の列を収容し、柱は、保持物チャンバと濾過物チャンバとの間の流体連通を可能にする複数の孔を画定し、保持物チャンバの幅は近位端から遠位端に向かって減少し、濾過物チャンバの幅は近位端から遠位端に向かって増加し、濾過ユニットは、孔の有効孔径が孔の物理的孔径の、例えば約30%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は98%よりも小さいように構成され、フィードサンプル入口は、各濾過ユニットに存在する保持物チャンバの近位端と流体接続され、濾過物出口は、各濾過ユニットに存在する濾過物チャンバと流体接続され、保持物出口は、複数の濾過ユニットのそれぞれに存在する保持物チャンバの遠位端と流体接続される。
【0006】
別の態様では、本開示は、ハウジング及び複数の濾過ユニットを備えるカートリッジを収容する粒子を濾過するためのシステムを提供し、ハウジングは、フィードサンプル入口、保持物出口、及び濾過物出口を収容し、各濾過ユニットは、近位端及び遠位端を有する保持物チャンバ、少なくとも1つの遠位端を収容する濾過物チャンバ、及び保持物チャンバと濾過物チャンバとの間に位置決めされた複数の孔を収容するフィルタを収容し、孔は、保持物チャンバと濾過物チャンバとの間の流体連通を可能にし、濾過物チャンバ、フィルタ、及び保持物チャンバは、孔の有効孔径が孔の物理的孔径よりも小さいように構成され、フィードサンプル入口は、各濾過ユニットに存在する保持物チャンバの近位端と流体接続され、濾過物出口は、各濾過ユニットに存在する濾過物チャンバと流体接続され、保持物出口は、複数の濾過ユニットのそれぞれに存在する保持物チャンバの遠位端と流体接続される。
【0007】
別の態様では、本開示は、ハウジング及び複数の濾過ユニットを収容するカートリッジを収容する粒子を濾過するためのシステムを提供し、ハウジングは、フィードサンプル入口、保持物出口、及び濾過物出口を収容し、各濾過ユニットは、第1のフローチャンバ、第2のフローチャンバ、及び約100nmから約3mmまでの間(例えば、約100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、750nm、1μm、2μm、3μm、5μm、7.5μm、10μm、20μm、30μm、50μm、75μm、100μm、200μm、300μm、500μm、1mm、2mm、又は3mm)の物理的孔径を有する約3、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、100、200、250、300、500、1,000、2,000、5,000以上の孔を収容するフィルタを収容し、フィルタは、第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に配置され、第1のフローチャンバ及び第2のフローチャンバは、保持物粒子が物理的制約なしにフィルタによって保持されるように構成され、フィードサンプル入口は、各濾過ユニットに存在する第1のフローチャンバの近位端と流体接続され、濾過物出口は、各濾過ユニットに存在する第2のチャンバの遠位端と流体接続され、保持物出口は、複数の濾過ユニットのそれぞれに存在する第1のフローチャンバの遠位端と流体接続される。
【0008】
別の態様では、本開示は、ハウジング及び複数の濾過ユニットを収容するカートリッジを収容する粒子を濾過するためのシステムを提供し、ハウジングは、フィードサンプル入口、保持物出口、及び濾過物出口を収容し、各濾過ユニットは、近位端及び遠位端を有する第1のフローチャンバ、第2のフローチャンバ、及び第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に配置された約10nmから10mmまでの間の物理的孔径を有する孔を収容するフィルタを収容し、第1のフローチャンバ及び第2のフローチャンバは、フィルタの保持サイズが物理的孔径よりも小さいように構成され、フィードサンプル入口は、各濾過ユニットに存在する第1のフローチャンバの近位端と流体接続され、濾過物出口は、各濾過ユニットに存在する第2のフローチャンバの遠位端と流体接続され、保持物出口は、複数の濾過ユニットのそれぞれに存在する第1のフローチャンバの遠位端と流体接続される。
【0009】
別の態様では、本開示は、ハウジング及び複数の濾過ユニットを収容するカートリッジを収容する粒子を濾過するためのシステムを提供し、ハウジングは、フィードサンプル入口、保持物出口、濾過物出口、及び随意的にキャリア流体入口を収容する。各濾過ユニットは、第1の入力ポート、第1の出力ポート、第2の出力ポート、及び随意的にキャリア流体入口と流体接続される第2の入力ポートを含んでもよい。各濾過ユニットは、約0.3mm−2よりも大きい設計効率指数を有し得る。フィードサンプル入口は、各濾過ユニットに存在する第1の入力ポートと流体接続されてもよい。濾過物出口は、各濾過ユニットに存在する第1の出力ポートと流体連通してもよい。保持物出口は、複数の濾過ユニットのそれぞれに存在する第2の出力ポートと流体接続されてもよい。
【0010】
別の態様では、本開示は、遠沈管、管インサート、及びキャップを含む管フィルタシステムを提供し、管インサートは、前の態様のいずれかに係る少なくとも1つの濾過ユニット、フィードサンプルリザーバ、及び随意的にその各々が第1のフローチャンバ又は保持物チャンバの近位端と流体接続されるキャリア流体リザーバ、及び保持物チャンバ又は第2のフローチャンバの遠位端と流体連通する出力リザーバを含み、出力リザーバは、濾過ユニットからの保持物又は濾過物を受け入れるように適合される。
【0011】
別の態様では、本開示は、上記のいずれかの態様又は本明細書に示される開示のいずれかの他の態様に係る濾過ユニットと流体接続されるサンプルウェル及び随意的にキャリア流体ウェル、並びに濾過ユニットと流体接続される濾過物ウェル及び保持物ウェルのうちの1つ又は複数を収容し、濾過物ウェル及び保持物ウェルが濾過ユニットからの濾過物及び保持物を受け入れるように構成される、プレートフィルタシステムを提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、上記のいずれかの態様又は本明細書に示される開示のいずれかの他の態様に係る濾過ユニットと流体接続されるサンプルウェル及び随意的にキャリア流体ウェル、並びに濾過物ウェル及び保持物ウェルのうちの1つ又は複数を収容し、濾過物ウェル及び保持物ウェルが濾過ユニットからの濾過物及び保持物を受け入れるように構成される、プレートフィルタシステムを提供する。一実施形態では、濾過物ウェル又は保持物ウェルは、サンプルウェルと同じプレート上にはない。
【0013】
上記のいずれかの態様又は本明細書に示される開示のいずれかの他の態様の種々の実施形態では、フィードサンプル入口は、チューブラインを介してアダプタに接続される近位端を有し、保持物出口は、チューブラインを介して保持物収集バッグに接続され、濾過物出口は、チューブラインを介して濾過物収集バッグに接続される。上記態様の他の実施形態では、フィードサンプル入口は、近位端及び遠位端を有するサンプル収集バッグに接続され、近位端は、針を受け入れるように適合された膜を収容し、遠位端は、アダプタを取り付けることができるポートを収容する。上記態様の他の実施形態では、フィードサンプル入口は、チューブラインを介してサンプル収集バッグに接続される近位端を有し、保持物出口は、チューブラインを介して保持物収集バッグに接続され、濾過物出口は、チューブラインを介して濾過物収集バッグに接続される。上記態様のさらに他の実施形態では、サンプル収集バッグは、サンプルをサンプル収集バッグの中に引き込むための針を収容する。
【0014】
本開示によって定義される組成物及び物品は、以下で提供される実施例と組み合わせて単離され、又は他の方法で製造される。本開示の他の特徴及び利点は、詳細な説明から及び請求項から明らかとなるであろう。
【0015】
本開示の態様によれば、濾過装置が提供される。濾過装置は第1のフローチャンバを備える。第1のフローチャンバは、粒子及び流体を含むフィードを受け入れるように構成された少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの保持物出口とを含む。濾過装置は、少なくとも1つの濾過物出口を有する遠位端を含む第2のフローチャンバと、第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に位置決めされたフィルタとを備える。フィルタは、柱の第1の列と、隣接する柱の間の間隔によって画定される複数の孔とを含む。複数の孔のうちの各孔は、孔を画定する隣接する柱の間の距離によって画定される物理的孔径と、物理的孔径よりも小さい有効孔径を含む。濾過装置は、濾過装置を通してフィードを移動するための手段をさらに備える。第1のフローチャンバ、第2のフローチャンバ、フィルタ、及び濾過装置を通してフィードを移動するための手段は、孔の有効孔径よりも大きく且つ孔の物理的孔径よりも小さいサイズを有する粒子の大きいフラクションを第1のフローチャンバの中に保持物として保持し、流体の大きいフラクションを第2のフローチャンバに濾過物として渡すように構成される。
【0016】
幾つかの実施形態によれば、第1のフローチャンバは第1の実質的に一定の深さを備える。幾つかの実施形態によれば、第2のフローチャンバは第2の実質的に一定の深さを備える。幾つかの実施形態によれば、フィルタと第1のフローチャンバの側壁との間の距離は、少なくとも1つの入口から少なくとも1つの保持物出口までの長さに沿って減少する。幾つかの実施形態によれば、フィルタと第2のフローチャンバの側壁との間の距離は、第2のフローチャンバの近位端から遠位端までの長さに沿って増加する。
【0017】
幾つかの実施形態によれば、第2のフローチャンバの側壁に対する接線と柱の列に対する接線との間の角度は約5度未満である。
【0018】
幾つかの実施形態によれば、孔のサブセットは実質的に同一の物理的孔径を有する。
【0019】
幾つかの実施形態によれば、孔のサブセットは実質的に同一の有効孔径を有する。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、柱の第1の列は、濾過装置の中に存在するすべての柱のうちの約10パーセントを越える柱を備える。
【0021】
幾つかの実施形態によれば、請求項に記載の濾過装置は、第1のフローチャンバの長さと第2のフローチャンバの長さのうちのより大きい方によって画定される装置長さ、及び、第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅との合計の最大点での第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅との合計によって画定される装置幅を有し、装置長さ対装置幅は約6よりも大きい比を有する。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、各孔は、孔の物理的孔径の約80パーセント未満の有効孔径を有する。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、第1のチャンバは、少なくとも1つの入口とは別個の少なくとも1つのキャリア流体入口を備える。
【0024】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つのキャリア流体は、核酸染色、固定液、凍結液、アルキル化剤、抗体、磁性粒子、酵素、コラゲナーゼ、リパーゼ、DNアーゼ、或る酵素の基質、シクロホスファミドの活性誘導体、増殖因子、洗剤、及び溶解液のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、第1のフローチャンバ及びフィルタのそれぞれは、装置を通した流路において約1μmよりも小さい曲率半径を有する如何なる前縁も有さない。
【0026】
幾つかの実施形態によれば、孔の第1のサブセットは孔の第2のサブセットとは異なる有効孔径を有する。幾つかの実施形態では、第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口は、孔の第1のサブセットを通過した濾過物を収集するように構成され、第2のフローチャンバは、孔の第2のサブセットを通過した濾過物を収集するように構成された第2の濾過物出口を備える。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第2のフィルタ及び第3のフローチャンバをさらに備える。第2のフィルタは、第1のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第3のフローチャンバは、近位端及び遠位端を含んでもよく、遠位端は、少なくとも1つの出口を有する。第3のチャンバは、近位端から遠位端までの長さに沿って広くなってもよい。
【0028】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第1のフローチャンバの長さによって画定される装置長さ、及び、第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅と第3のフローチャンバの幅との合計の最大点での第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅と第3のフローチャンバの幅との合計によって画定される装置幅を有し、装置長さ対装置幅は約5よりも大きい比を有する。
【0029】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は約5,000本よりも少ない柱を有する。
【0030】
幾つかの実施形態によれば、第1のフィルタ及び第2のフィルタは、濾過装置に含まれるすべての柱のうちの約15パーセントを越える柱を備える。
【0031】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第1のフローチャンバの中心線を通る鏡映面に関して実質的に対称である。
【0032】
幾つかの実施形態によれば、柱の第1の列によって画定される接線と柱の第2の列によって画定される接線は平行ではない。
【0033】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第2のフィルタ、第3のフローチャンバ、及び第4のフローチャンバをさらに備える。第2のフィルタは、第3のフローチャンバと第4のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。第4のフローチャンバは、少なくとも1つの出口を備えてもよい。
【0034】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物を収集するように構成される。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの出口とは別個の第2の出口をさらに備えてもよく、第3のフローチャンバの第2の出口は、第2のフィルタからの保持物を収集するように構成される。
【0035】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物と第2のフィルタからの保持物を収集するように構成される。
【0036】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物と第2のフィルタからの保持物を収集するように構成される。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの出口とは別個の第2の出口をさらに備えてもよく、第3のフローチャンバの第2の出口は、第1のフィルタからの濾過物を収集するように構成される。
【0037】
幾つかの実施形態によれば、請求項に記載の濾過装置は、第1のフローチャンバの長さと第3のフローチャンバの長さとの合計によって画定される装置長さ、及び、第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅との合計の最大点での第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅との合計と、第3のフローチャンバの幅と第4のフローチャンバの幅との合計の最大点での第3のフローチャンバの幅と第4のフローチャンバの幅との合計のうちのより大きい方によって画定される装置幅を有し、装置長さ対装置幅は約10よりも大きい比を有する。
【0038】
幾つかの実施形態によれば、第1のフィルタ及び第2のフィルタは、フィルタ装置に含まれるすべての柱のうちの10パーセント以上を備える。
【0039】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口と流体接続される。
【0040】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの保持物出口と流体接続される。
【0041】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの出口と流体接続され、且つ第2のフローチャンバの少なくとも1つの出口と流体接続される。
【0042】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバは、少なくとも1つの入口とは別個の少なくとも1つのキャリア流体入口をさらに備える。
【0043】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、「濾過物チャンバ拡大基準」を満たすように構成される。
【0044】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、「最小孔数基準」を満たすように構成される。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第1のフローチャンバの近位端での体積流量の約3パーセント未満の体積流量で流体が各孔を通して流れるように構成される。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、流体を第1のチャンバを通して実質的に一定の流速で流すように構成される。
【0047】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、流体を第2のチャンバを通して実質的に一定の流速で流すように構成される。
【0048】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、流体が本質的にすべての孔を通して実質的に同一の流速で流れるように構成される。
【0049】
幾つかの実施形態によれば、柱は卵形の断面を有する。
【0050】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第2のフィルタ、第3のフィルタ、第4のフィルタ、第3のフローチャンバ、第4のフローチャンバ、第5のフローチャンバ、及び第6のフローチャンバをさらに備える。第2のフィルタは、第1のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第3のフィルタは、第4のフローチャンバと第5のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第4のフィルタは、第4のフローチャンバと第6のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第3のフローチャンバは、第1の端部及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。第3のフローチャンバは、第3のフローチャンバの第1の端部から第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口の方に長さに沿って広くなってもよい。第5のフローチャンバは、第1の端部及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。第5のフローチャンバは、第5のフローチャンバの第1端から第5のフローチャンバの少なくとも1つの出口の方に長さに沿って広くなってもよい。第6のフローチャンバは、第1の端部及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。第6のフローチャンバは、第6のフローチャンバの第1端から第6のフローチャンバの少なくとも1つの出口の方に長さに沿って広くなってもよい。第4のフローチャンバは、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。第4のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの保持物出口、第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口、及び第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口と流体接続されてもよい。
【0051】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第2のフィルタ及び第3のフローチャンバをさらに備える。第2のフィルタは、第2のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。
【0052】
幾つかの実施形態によれば、装置は、第1のフローチャンバ及び第4のフローチャンバを通る鏡映面に関して実質的に対称である。
【0053】
幾つかの実施形態によれば、第4のチャンバは、第4のフローチャンバの少なくとも1つの入口とは別個のキャリア流体入口をさらに備える。
【0054】
本開示の別の態様によれば、粒子を濾過するための方法が提供される。この方法は、濾過装置を提供することを含む。濾過装置は、少なくとも1つの濾過ユニットを含む。各濾過ユニットは、フィード入口及び保持物出口を含む第1のフローチャンバと、濾過物出口を含む第2のフローチャンバと、物理的孔径を有する複数の孔を含むフィルタとを含み、フィルタは、第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に配置される。方法は、フィード流体と、フィード流体がフィード入口を通して装置の中に浸透される物理的孔径よりも小さいサイズを有する少なくとも1つの粒子群とを含むフィードを導入すること、濾過装置を通してフィードを駆動するために駆動力をかけること、少なくとも1つの粒子群の大きいフラクションが第1のフローチャンバの中に保持物として保持され、且つフィード流体の大きいフラクションがフィルタを通過して濾過物として第2のフローチャンバの中に入るように、フィードに濾過装置を通過させること、保持物を保持物出口で収集すること、濾過物を濾過物出口で収集することをさらに含む。
【0055】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置を提供することは、10個よりも多くの濾過ユニットを含む濾過装置を提供することを含む。
【0056】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、細胞の液状懸濁物を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0057】
幾つかの実施形態によれば、フィードは生存細胞を含み、方法は、フィードから細胞を分離することをさらに含み、生存細胞の少なくとも約90%は分離後に生存可能なままである。
【0058】
幾つかの実施形態によれば、方法は、フィードから細胞を分離することをさらに含み、細胞の約0.03パーセント未満が濾過装置によって溶解される。
【0059】
幾つかの実施形態によれば、細胞の約0.03%未満が濾過装置の中に捕捉される。
【0060】
幾つかの実施形態によれば、フィードに濾過装置を通過させることは、濾過装置を通して1秒あたり105個よりも多くの細胞を通過させることを含む。
【0061】
幾つかの実施形態によれば、フィードに濾過装置を通過させることは、濾過装置を通して1秒あたり106個よりも多くの細胞を通過させることを含む。
【0062】
幾つかの実施形態によれば、フィードに濾過装置を通過させることは、濾過装置を通して1秒あたり107個よりも多くの細胞を通過させることを含む。
【0063】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置を提供することは、0.8マイクロリットルよりも小さい滞留体積を有する少なくとも1つの濾過ユニットを備える濾過装置を提供することを含む。
【0064】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置を提供することは、フットプリント面積及び実質的に一定のチャンバ深さを有する濾過装置を提供することを含み、フィードに濾過装置を通過させることが、1秒あたりに濾過装置を通過する細胞の数を実質的に一定のチャンバ深さとフットプリント面積との積で割ったものとして定義される、1立法ミリメートルにつき10,000細胞/秒よりも大きい正規化された処理速度で細胞に濾過装置を通過させることを含む。
【0065】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置を提供することは、フットプリント面積及び実質的に一定のチャンバ深さを有する濾過装置を提供することを含み、フィードに濾過装置を通過させることは、1秒あたりに濾過装置を通過する細胞の数を、実質的に一定のチャンバ深さとフットプリント面積との積で割ったものとして定義される、1立法ミリメートルにつき100,000細胞/秒よりも大きい正規化された処理速度で細胞に濾過装置を通過させることを含む。
【0066】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置を提供することは、特徴的なチャンバ深さ、フットプリント面積、及びモジュールに含まれる濾過モジュールの数を特徴的なチャンバ深さとフットプリント面積との積で割ったものとして定義される濾過ユニット密度を有する濾過装置を提供することを含み、濾過ユニット密度は、1立法ミリメートルあたり400濾過ユニットよりも大きい。
【0067】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、骨髄を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0068】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、血液を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0069】
幾つかの実施形態によれば、フィードを導入することは、臍帯血を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0070】
幾つかの実施形態によれば、フィードを導入することは、幹細胞を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0071】
幾つかの実施形態によれば、フィードを導入することは、コロニー形成細胞を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。幾つかの実施形態によれば、フィードを導入することは、免疫細胞を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0072】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、羊水を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0073】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、消化された脂肪組織を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0074】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、細胞、血球、臍帯血細胞、骨髄細胞、赤血球、白血球、リンパ球、上皮細胞、幹細胞、癌細胞、腫瘍細胞、循環性腫瘍細胞、前駆細胞、細胞前駆体、臍帯血幹細胞、造血幹細胞、間葉幹細胞、脂肪幹細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞、胎児性幹細胞、臍帯由来の細胞、脂肪組織由来の細胞、間質血管細胞群(SVF)中の細胞、羊水中の細胞、月経血中の細胞、脳脊髄液中の細胞、尿中の細胞、骨髄幹細胞、末梢血幹細胞、CD34+細胞、コロニー形成細胞、T細胞、B細胞、神経細胞、免疫細胞、樹状細胞、巨核球、固定化骨髄細胞、小板、精子、卵子、卵母細胞、病原菌、微生物、細菌、真菌、イースト、原生動物、ウィルス、小器官、核、核酸、ミトコンドリア、ミセル、脂質、タンパク質、タンパク質複合体、細胞の破片、寄生生物、脂肪滴、多細胞生物、胞子、藻類、クラスタ、上記の凝集物、工業用粉末、ポリマー、粉末、エマルジョン、液滴、粉塵、ミクロスフェア、粒子、及びコロイドのうちの1つを第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0075】
幾つかの実施形態によれば、フィードは、約5μmから約30μmまでの間のサイズを有する粒子を含む。
【0076】
幾つかの実施形態によれば、方法は、細胞、CD34+細胞、間質血管細胞群、幹細胞、前駆細胞、コロニー形成細胞、造血幹細胞、脂肪幹細胞、間葉幹細胞、羊膜幹細胞、有核細胞、白血球、リンパ球、癌細胞、腫瘍細胞、樹状細胞、死細胞、生細胞、分裂細胞、網赤血球、赤血球、脂肪細胞、及び脂肪滴のうちの1つを含む保持物粒子を収集することをさらに含む。
【0077】
幾つかの実施形態によれば、保持物粒子を収集することは、細胞を収集することを含み、保持物中の細胞の約95%よりも多くが生存可能である。
【0078】
幾つかの実施形態によれば、方法は、細胞、CD34+細胞、間質血管細胞群、幹細胞、前駆細胞、コロニー形成細胞、造血幹細胞、脂肪幹細胞、間葉幹細胞、羊膜幹細胞、血漿、小板、赤血球、有核細胞、白血球、リンパ球、癌細胞、腫瘍細胞、樹状細胞、死細胞、生細胞、分裂細胞、網赤血球、赤血球、脂肪細胞、及び脂肪滴のうちの1つを含む濾過物を収集することをさらに含む。
【0079】
幾つかの実施形態によれば、濾過物を収集することは、細胞を収集することを含み、濾過物中の細胞の約95%よりも多くが生存可能である。
【0080】
幾つかの実施形態によれば、方法は、物理的孔径よりも著しく小さい保持サイズを有する濾過装置を提供することをさらに含む。
【0081】
本開示の別の態様によれば、臍帯血の体積を減少させるための方法が提供される。この方法は、少なくとも1つの有核細胞群を有する臍帯血を含むサンプルを調達することを含み、サンプルはサンプル体積を有する。この方法は、濾過装置を提供することをさらに含む。濾過装置は、第1の収集容器、第2の収集容器、フィードアクセス手段、及び少なくとも3つの濾過ユニットを含む。各濾過ユニットは、フィード入口、保持物出口、及び濾過物出口を含む、ミクロ流体フローチャンバを有する。ミクロ流体フローチャンバは、約1ミリメートルよりも小さいその長さに対し垂直な少なくとも1つの寸法を含む。フィード入口は、フィードアクセス手段と流体連通する。保持物出口は、第1の収集容器と流体接続される。濾過物出口は、第2の収集容器と流体接続される。この方法は、フィードアクセス手段を用いてサンプルを濾過ユニットのフィード入口に導入すること、サンプルに駆動力をかけること、サンプルに濾過装置のミクロ流体フローチャンバを通過させること、サンプル体積の大きいフラクションを濾過物出口に導き、且つ少なくとも1つの有核細胞群の大きいフラクションを保持物出口に導く層流条件を生み出すこと、保持物出口からの流体出力を第1の収集容器の中に収集すること、及び濾過物出口からの流体出力を第2の収集容器の中に収集することをさらに含む。
【0082】
幾つかの実施形態によれば、保持物出口から流体出力を収集することは、サンプルから有核細胞の70%よりも多くをサンプル体積の25%未満の体積で第1の収集容器に収集することを含む。
【0083】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つの有核細胞群がCD34+細胞を含み、保持物出口からの流体出力を収集することは、サンプルからCD34+細胞の75%よりも多くを第1の収集容器の中に収集することを含む。
【0084】
幾つかの実施形態によれば、この方法は、サンプルから生存細胞を分離することをさらに含み、生存細胞の少なくとも約95%は分離後に生存可能なままである。
【0085】
幾つかの実施形態によれば、サンプルを調達することは、約95%よりも高い生存度の臍帯血有核細胞を含むサンプルを調達することを含み、保持物出口から流体出力を収集することは、約95%よりも高い生存度の有核細胞を収集することを含む。
【0086】
幾つかの実施形態によれば、サンプルにミクロ流体フローチャンバを通過させることは、1秒あたり10,000,000よりも多い血球に濾過装置を通過させることを含む。
【0087】
本開示の別の態様によれば、粒子濾過装置が提供される。粒子濾過装置は、共通のフィード入口、共通の濾過物出口、共通の保持物出口、及び少なくとも1つの高モジュール密度装置を備える。少なくとも1つの高モジュール密度装置は複数の濾過ユニットを含む。濾過ユニットのそれぞれは、フィード流体中のフィード粒子を含むフィードを受け入れるように構成された少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの保持物出口を含む第1のフローチャンバと、近位端、少なくとも1つの濾過物出口を有する遠位端、及び第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に位置決めされた第1のフィルタを含む第2のフローチャンバとを含む。第1のフィルタは、柱の第1の列と、柱の列の隣接する柱の間の間隔によって画定される複数の孔とを含む。複数の孔のうちの各孔は、孔を画定する隣接する柱の間の距離によって画定される物理的孔径を含む。粒子濾過装置は、複数の濾過ユニットを通してフィードを移動させるための手段をさらに備える。第1のフローチャンバ、第2のフローチャンバ、フィルタ、及び複数の濾過ユニットを通してフィードを移動させるための手段は、孔の有効孔径よりも小さい保持サイズを有し、保持サイズよりも大きいサイズを有するフィード粒子の大きいフラクションを第1のフローチャンバの中に保持物として保持し、フィード流体の大きいフラクションを第2のフローチャンバの中に濾過物として渡すように構成される。複数の濾過ユニットの少なくとも1つの入口のそれぞれは、共通のフィード入口と流体連通する。複数の濾過ユニットの少なくとも1つの濾過物出口のそれぞれは、共通の濾過物出口と流体連通する。複数の濾過ユニットの少なくとも1つの保持物出口のそれぞれは、共通の保持物出口と流体連通する。
【0088】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、管、管キャップ、及び管インサートをさらに備える。高モジュール密度装置は、管インサート内に設置されるように構成されてもよい。管は、管インサートを格納するように構成されてもよい。管インサートは、共通のフィード入口と流体接続されるフィードリザーバを含んでもよい。管キャップは、管及び管インサートを覆うように構成されてもよい。
【0089】
幾つかの実施形態によれば、管は、高モジュール密度装置からの保持物を受け入れるように構成される。管インサートは、高モジュール密度装置からの濾過物を受け入れるように構成された濾過物リザーバをさらに含んでもよい。
【0090】
幾つかの実施形態によれば、管は、高モジュール密度装置からの濾過物を受け入れるように構成される。管インサートは、高モジュール密度装置からの保持物を受け入れるように構成された保持物リザーバをさらに含んでもよい。
【0091】
幾つかの実施形態によれば、管インサートは、少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口にキャリア流体を供給するように構成されたキャリア流体リザーバをさらに含む。
【0092】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、共通の保持物出口と流体接続される保持物収集バッグと、共通の濾過物出口と流体接続される濾過物収集バッグとをさらに備える。
【0093】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口と流体接続される共通のキャリア流体入口をさらに備える。
【0094】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、キャリア流体を共通のキャリア流体入口に供給するように構成されたキャリア流体容器をさらに備える。
【0095】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、フィード収集バッグと共通のフィード入口との間の流体的接続を確立するように構成されたアダプタをさらに備える。
【0096】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、共通のフィード入口と流体接続されるフィード収集バッグをさらに備える。
【0097】
幾つかの実施形態によれば、フィード収集バッグは、フィードをフィード収集バッグの中に引き込むように構成された少なくとも1つの針を備える。
【0098】
幾つかの実施形態によれば、フィード収集バッグは抗凝固薬を収容する。
【0099】
幾つかの実施形態によれば、フィード収集バッグは流体を収容する。
【0100】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、共通のフィード入口と流体連通し且つ流体リザーバとして構成される、第1のウェルと、共通の保持物入口と流体連通し且つ流体リザーバとして構成される、第2のウェルと、共通の濾過物入口と流体連通し且つ流体リザーバとして構成される、第3のウェルとをさらに備える。
【0101】
幾つかの実施形態によれば、第1のウェル、第2のウェル、及び第3のウェルは、マルチウェルプレート・フォーマットで構成される。
【0102】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口と流体連通し、且つ少なくとも1つの第1のフローチャンバにキャリア流体を供給するように構成される、第4のウェルをさらに備える。
【0103】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、第1のウェル、第2のウェル、及び第3のウェルのうちの少なくとも1つを封じるように構成されたキャップをさらに備える。
【0104】
幾つかの実施形態によれば、キャップは、空気及び蒸気を実質的に透過させず、且つ第1のウェル、第2のウェル、及び第3のウェルのうちの少なくとも1つを封止するように構成されたホイルを備える。
【0105】
幾つかの実施形態によれば、第1のウェル、第2のウェル、及び第3のウェルのうちの少なくとも1つは流体を収容する。
【0106】
幾つかの実施形態によれば、複数の濾過ユニットのうちの各濾過ユニットは、1マイクロリットルよりも小さい滞留体積を有する。
【0107】
幾つかの実施形態によれば、高モジュール密度装置は、1立法センチメートルあたり500濾過ユニットよりも大きい濾過ユニット密度を有する。
【0108】
幾つかの実施形態によれば、高モジュール密度装置は30個よりも多い濾過ユニットを含む。
【0109】
幾つかの実施形態によれば、高モジュール密度装置は約0.5mm−2よりも大きい設計効率指数を有する。
【0110】
幾つかの実施形態によれば、高モジュール密度装置は約5mm−2よりも大きい設計効率指数を有する。
【0111】
本開示の別の態様によれば、フィルタ装置が提供される。フィルタ装置は、粒子を含むフィードを導入するように構成された少なくとも1つの入口とフィードの保持物を収集するように構成された少なくとも1つの保持物出口とを含む第1のフローチャンバを備える。フィルタ装置は、第1の端部及び少なくとも1つの濾過物出口を含む第2のフローチャンバをさらに備え、少なくとも1つの濾過物出口は濾過物を収集するように構成される。フィルタ装置は、第1のフィルタをさらに備える。第1のフィルタは、物理的孔径と物理的孔径よりも小さい保持サイズを有する複数の孔を含む。第1のフィルタは、第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に配置される。第1のフローチャンバ、第2のフローチャンバ、及び第1のフィルタは、物理的孔径よりも小さく且つ保持サイズよりも大きい粒子の保持率を実質的に増加させる流れの条件を促進するように構成される。
【0112】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、「濾過物チャンバ拡大基準」を満たすように構成される。
【0113】
幾つかの実施形態によれば、第2のフローチャンバの側壁の接線と第1のフィルタの接線との間の角度は約5度未満である。
【0114】
幾つかの実施形態によれば、保持サイズは、孔の物理的孔径の約90パーセントよりも小さい。
【0115】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの入口での体積流量の約3パーセント未満の体積流量で流体が各孔を通して流れるように構成される。
【0116】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、約10よりも大きい長さと幅の比を有する。
【0117】
幾つかの実施形態によれば、第1のフローチャンバは実質的に第1の一定の深さを有する。第2のフローチャンバは実質的に第2の一定の深さを有してもよく、第2のフローチャンバは、第2のフローチャンバの第1の端から第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口の方に幅が拡大してもよい。
【0118】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、流体を第1のチャンバを通して実質的に一定の流速で流すように構成される。
【0119】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、流体を第2のチャンバを通して実質的に一定の流速で流すように構成される。
【0120】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、流体を実質的にすべての孔に実質的に一定の流速で流すように構成される。
【0121】
幾つかの実施形態によれば、第1のフィルタは柱の列を備え、第1のフィルタの孔は、柱の列の隣接する柱の間の流体通路を備え、柱の列は、装置に存在するすべての柱のうちの10パーセント以上を含む。
【0122】
幾つかの実施形態によれば、第1のチャンバは、少なくとも1つの入口とは別個の、キャリア流体を第1のフローチャンバに導入するように構成された、少なくとも1つのキャリア流体入口を備える。
【0123】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、装置を通る流路に沿って0.5μmよりも小さい曲率半径を有する如何なる前縁も有さない。
【0124】
幾つかの実施形態によれば、孔の第1のサブセットは孔の第2のサブセットとは異なる物理的孔径を有する。
【0125】
幾つかの実施形態によれば、第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口は、孔の第1のサブセットを通過した濾過物を収集するように構成され、第2のフローチャンバは、孔の第2のサブセットを通過した濾過物を収集するように構成された第2の濾過物出口を備える。
【0126】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、第2のフィルタ及び第3のフローチャンバをさらに備え、第2のフィルタは、第1のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置され、第3のフローチャンバは少なくとも1つの出口を備える。
【0127】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、約5よりも大きい長さと幅の比を有する。
【0128】
幾つかの実施形態によれば、第1のフィルタは柱の第1の列を備える。第1のフィルタの孔は、柱の第1の列の隣接する柱の間に流体通路を備えてもよい。第2のフィルタは、柱の第2の列を備えてもよい。第2のフィルタの孔は、柱の第2の列の隣接する柱の間に流体通路を備えてもよい。柱の第1の列及び柱の第2の列は、フィルタ装置に存在するすべての孔の10パーセント以上を含んでもよい。
【0129】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、第1のフローチャンバの中心を通る鏡映面に関して実質的に対称である。
【0130】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、第2のフィルタ及び第3のフローチャンバをさらに備え、第2のフィルタは、第2のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置され、第3のフローチャンバは少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備える。
【0131】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、第2のフィルタ、第3のフローチャンバ、及び第4のフローチャンバをさらに備え、第2のフィルタは、第3のフローチャンバと第4のフローチャンバとの間に配置され、第3のフローチャンバは少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備え、第4のフローチャンバは少なくとも1つの出口を備える。
【0132】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は約6,000本未満の柱を有する。
【0133】
幾つかの実施形態によれば、第1のフィルタ及び第2のフィルタは、装置に含まれる孔の10パーセント以上を含む。
【0134】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口と流体接続される。
【0135】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの保持物出口と流体接続される。
【0136】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの出口と流体接続され、且つ第2のフローチャンバの少なくとも1つの出口と流体接続される。
【0137】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバは、少なくとも1つの入口とは別個の、キャリア流体を導入するように構成された、少なくとも1つのキャリア流体入口をさらに備える。
【0138】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物を収集するように構成される。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの出口とは別個の第2の出口をさらに備えてもよい。第3のフローチャンバの第2の出口は、第2のフィルタからの保持物を収集するように構成されてもよい。
【0139】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物と第2のフィルタからの保持物を収集するように構成される。
【0140】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物と第2のフィルタからの保持物を収集するように構成される。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの出口とは別個の第2の出口をさらに備えてもよい。第3のフローチャンバの第2の出口は、第1のフィルタからの濾過物を収集するように構成されてもよい。
【0141】
添付の図面は、縮尺で描かれることを意図されず、要素の数(例えば、柱の数)は、読みやすさのために実際の実施形態に存在するであろうものから減らされ得る。図面において、種々の図面で例証されるそれぞれの同一の又はほぼ同一の構成要素は、同様の符号によって表される。明快にする目的で、すべての図面においてすべての構成要素が符号を付されない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1A】小さい孔からの大きい粒子の排除を例証する、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1B】部分的に孔に入るが孔を抜け出ることはできない大きい粒子の変形を例証する、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1C】狭まっていく開口部に入っていき且つ孔の中に捕捉されていく粒子を示す、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1D】孔の中に捕捉された粒子を示す、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1E】粒子が孔よりも小さいため粒子が孔を通り抜ける、サイズ排除の失敗を示す、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1F】粒子が変形して孔を抜け出る可能性があるため、粒子が孔を通り抜ける、サイズ排除の別の失敗を示す、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1G】粒子の流路が粒子を物理的に制約する孔に直面させないので、粒子のフィルタ除去に失敗する、サイズ排除の別の失敗を例証する、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図2A】血液循環の細管で観測される流れ排除効果を示す概略図である。
【図2B】流れ排除のための可能な機構を示す概略図である。
【図3A】本開示の実施形態での流れ排除原理を例証する概略図である。
【図3B】本開示の実施形態での流れ排除原理を例証する概略図である。
【図3C】本開示の実施形態での流れ排除原理を例証する概略図である。
【図4】コンピュータによる流体力学シミュレーションによって有効孔径が計算された、孔を通る流れの関数としての有効孔径を示すグラフである。
【図5A】フィルタモジュールの実施形態を示す概略的な上面図である。
【図5B】フィルタモジュールの実施形態を示す概略的な三次元組立図である。
【図5C】フィルタモジュールの実施形態を示す概略的な三次元分解図である。
【図5D】フィルタモジュールの実施形態を示すが蓋は図示されない、1よりも小さいアスペクト比をもつ柱を示す概略的な三次元の図である。
【図5E】フィルタモジュールの実施形態を示すが蓋は図示されない、1よりも大きいアスペクト比をもつ柱を示す概略的な三次元の図である。
【図5F】フィルタモジュールの実施形態を示すが蓋は図示されない、テーパした柱を示す概略的な三次元の図である。
【図6A】フィルタモジュールの実施形態の上面図を提供する概略図である。
【図6B】フィルタモジュールの実施形態の上面図を提供する概略図である。
【図7A】フィルタモジュールの実施形態の上面図を提供する、フィルタモジュールの実施形態を例証する概略図である。
【図7B】フィルタモジュールの実施形態の上面図を提供する、フィルタモジュールの実施形態を例証する概略図である。
【図7C】図7Aに示されたフィルタモジュールの有効孔径を示すグラフである。
【図7D】図7Bに示されたフィルタモジュールの有効孔径を示すグラフである。
【図8】異なる孔径をもつフィルタモジュールの実施形態の、モジュールの蓋は図示されない、三次元の図を提供する概略図である。
【図9A】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、波形の濾過物チャンバを例証する図である。
【図9B】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9C】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9D】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9E】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9F】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9G】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9H】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図10A】その保持物チャンバよりも浅い濾過物チャンバを有するフィルタモジュールを示すがモジュールの蓋は図示されない、概略的な上面図である。
【図10B】その保持物チャンバよりも浅い濾過物チャンバを有するフィルタモジュールを示すがモジュールの蓋は図示されない、概略的な三次元の図である。
【図10C】その保持物チャンバよりも浅い濾過物チャンバを有するフィルタモジュールを示す概略図であり、モジュールの中で動いている粒子を例証する図である。
【図11A】スクリーンフィルタを備えるフィルタモジュールの三次元組立図を示す概略図である。
【図11B】スクリーンフィルタを備えるフィルタモジュールの三次元分解図を示す概略図である。
【図11C】多孔質膜フィルタを備えるフィルタモジュールの三次元組立図を示す概略図である。
【図11D】多孔質膜フィルタを備えるフィルタモジュールの三次元分解図を示す概略図である。
【図12】フィルタモジュールの上面図を示す概略図である。
【図13】キャリアの流れを採用するフィルタモジュールの上面図を示す概略図である。
【図14A】デュアルフィルタモジュールの上面図を示す概略図である。
【図14B】デュアルフィルタモジュールの上面図を示す概略図である。
【図15A】デュアルフィルタモジュールの上面図である。
【図15B】デュアルフィルタモジュールの上面図である。
【図16A】多重フィルタモジュールの上面図である。
【図16B】多重フィルタモジュールの上面図である。
【図17A】2つの実質的に同一のフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図17B】2つの実質的に同一のデュアルフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図17C】それぞれが2つのデュアルフィルタモジュールを備える2つのフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図17D】それぞれが2つのデュアルフィルタモジュールを備える2つのフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図18A】異なるフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの上面図を提供する概略図である。
【図18B】異なるフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの上面図を提供する概略図である。
【図18C】異なるフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの上面図を提供する概略図である。
【図18D】定性的濾過特徴を示すグラフである。
【図19A】異なるデュアルフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの上面図である。
【図19B】異なるデュアルフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの上面図である。
【図20A】2つの異なるフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図20B】簡略化したフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図20C】定性的濾過特徴を示すグラフである。
【図21A】デュアルフィルタモジュールの上面図を提供する概略図である。
【図21B】デュアルフィルタモジュールの上面図を提供する概略図である。
【図22A】デュアルフィルタカスケードモジュール構成の上面図を提供する概略図である。
【図22B】デュアルフィルタカスケードモジュール構成の上面図を提供する概略図である。
【図23A】デュアルフィルタモジュール構成の上面図を提供する概略図である。
【図23B】デュアルフィルタモジュール構成の上面図を提供する概略図である。
【図23C】デュアルフィルタモジュール構成の上面図を提供する概略図である。
【図23D】多重フィルタモジュールを示す概略図である。
【図23E】図23Cに示された2つのデュアルフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールを示す概略図である。
【図24A】高モジュール密度装置の概略的な上面図である。
【図24B】高モジュール密度装置の概略的な上面図である。
【図24C】高モジュール密度装置の概略的な上面図である。
【図24D】高モジュール密度装置の概略的な上面図である。
【図24E】高モジュール密度装置の、装置の蓋は図示されない、三次元の図である。
【図24F】高モジュール密度装置の概略的な上面図である。
【図25】4つの高モジュール密度装置のスタック及び蓋を備える装置の三次元組立図及び三次元分解図を示す概略図である。
【図26A】カートリッジの概略図であり、カートリッジの三次元組立図を示す概略図である。
【図26B】カートリッジの概略図であり、カートリッジの正面図を示す概略図である。
【図26C】カートリッジの概略図であり、カートリッジの側面図を示す概略図である。
【図26D】カートリッジの概略図であり、カートリッジの三次元分解図を示す概略図である。
【図26E】カートリッジの概略図であり、カートリッジの側面分解図を示す概略図である。
【図27A】バッグシステムの概略図である。
【図27B】バッグシステムの概略図である。
【図27C】バッグシステムの概略図である。
【図28】バッグシステムの概略図である。
【図29A】管システムの三次元組立図を示す概略図である。
【図29B】管システムの三次元分解図を示す概略図である。
【図30A】管インサートの概略図であり、管インサートの三次元図を示す概略図である。
【図30B】管インサートの概略図であり、管インサートの断面図を示す概略図である。
【図30C】管インサートの概略図であり、管インサートの上面図を示す概略図である。
【図30D】管インサートの概略図であり、管インサートの正面図を示す概略図である。
【図30E】管インサートの概略図であり、管インサートの側面図を示す概略図である。
【図30F】管インサートの概略図であり、管インサートの背面図を示す概略図である。
【図30G】管インサートの概略図であり、管インサートの下面図を示す概略図である。
【図31A】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの三次元図を示す概略図である。
【図31B】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの三次元分解図を示す概略図である。
【図31C】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの側面図を示す概略図である。
【図32A】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの三次元図を示す概略図である。
【図32B】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの上面図を示す概略図である。
【図32C】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの側面図を示す概略図である。
【図32D】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの正面図を示す概略図である。
【図33】高モジュール密度装置を用いる全末梢血からの白血球の単離の実験結果を示す表である。
【図34A】リンパ球が末梢血から単離される実験で用いられる血液サンプル中の白血球(WBC)、赤血球(RBC)、及び小板(PLT)のサイズ分布を示すヒストグラムである。
【図34B】リンパ球が末梢血から単離される実験で用いられる保持物中の白血球(WBC)、赤血球(RBC)、及び小板(PLT)のサイズ分布を示すヒストグラムである。
【図34C】種々の細胞型のカウントを示す表である。
【図34D】高モジュール密度装置の性能を示す表である。
【図35A】高モジュール密度装置を用いる臍帯血体積減少の実験結果を示す表である。
【図35B】高モジュール密度装置を用いる臍帯血体積減少の実験結果を示す表である。
【図35C】高モジュール密度装置を用いる臍帯血体積減少の実験結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0143】
この開示は、以下の説明に記載され又は図面に示された構成要素の構成及び配置の詳細にその用途が限定されない。本開示は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実施し又は実行することが可能である。また、本明細書で用いられる言葉づかい及び用語は、説明の目的のためのものであって、限定するものとしてみなされるべきではない。本明細書での「含む」、「備える」、「有する」、「収容する、含有する」、「含んでいる」、及びこれらの変形の使用は、以下に挙げられるアイテム及びこれらの均等物並びに付加的なアイテムを包含するように意図されている。
【0144】
本開示の態様及び実施形態は、粒子を濾過するのに有用な場合がある濾過システム及びこうした濾過システムを作動させる方法に向けられている。
【0145】
本開示の態様及び実施形態は、少なくとも部分的に、流れ排除を採用し、且つ高いキャパシティ、高いスループット、低い粒子損傷、低い剪断の、及び粒子及び生体試料の詰まりが起きにくい濾過を提供する装置の発見に基づいている。さらに、本開示は、限定はされないがシリコン及びプラスチックを含む低価格の材料を用いて小型装置として容易に製造できる方法及び装置を提供する。
【0146】
本明細書で提供される範囲は、範囲内のすべての値の省略表現となるように理解される。例えば、1〜50の範囲は、任意の数、数の組合せ、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50からなる群からの部分範囲を含むように理解される。
【0147】
具体的に表記され又は文脈から明らかでない限り、本明細書で用いられる場合の「又は」という用語は、包括的なものであるように理解される。具体的に表記され又は文脈から明らかでない限り、本明細書で用いられる場合の「ひとつの(a、an)」、及び「該、前記(the)」という用語は、単数形又は複数形となるように理解される。
【0148】
具体的に表記され又は文脈から明らかでない限り、本明細書で用いられる場合の「約」という用語は、当該技術分野での通常の許容誤差の範囲内、例えば、平均値の2標準偏差内として理解される。約は、表記された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内として理解することができる。文脈から他の方法で明白でない限り、本明細書で提供されるすべての数値は約という用語によって修飾される。
【0149】
本明細書での変数のあらゆる定義における化学基のリストの列挙は、任意の単一の基又は挙げられた基の組合せとして、その変数の定義を含む。本明細書での変数又は態様に関する実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として又は任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされた実施形態としてその実施形態を含む。
【0150】
本明細書で提供される任意の組成物又は方法は、本明細書で提供される他の組成物及び方法のいずれかの1つ又は複数と組み合わせることができる。
【0151】
本明細書で用いられる場合の「粒子」という用語は、細胞、血球、臍帯血細胞、骨髄細胞、赤血球、白血球、リンパ球、上皮細胞、幹細胞、癌細胞、腫瘍細胞、循環性腫瘍細胞、前駆細胞、細胞前駆体、臍帯血幹細胞、造血幹細胞、間葉幹細胞、脂肪幹細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞、胎児性幹細胞、臍帯由来の細胞、脂肪組織由来の細胞、間質血管細胞群(SVF)中の細胞、羊水中の細胞、月経血中の細胞、脳脊髄液中の細胞、尿中の細胞、骨髄幹細胞、末梢血幹細胞、CD34+細胞、コロニー形成細胞、T細胞、B細胞、神経細胞、免疫細胞、樹状細胞、巨核球、固定化骨髄細胞、ホウォートンゼリー幹細胞、真核細胞、原核細胞、動物細胞、小板、精子、卵子、卵母細胞、病原菌、微生物、細菌、真菌、イースト、原生動物、ウィルス、小器官、核、核酸、ミトコンドリア、ミセル、脂質、タンパク質、タンパク質複合体、細胞の破片、寄生生物、脂肪滴、多細胞生物、胞子、藻類、クラスタ、又は上記の凝集物、並びに流体中に懸濁した他の非生物学的粒子、例えば、工業用粉末、ポリマー、粉末、エマルジョン、液滴、粉塵、ミクロスフェア、及びコロイドを含むが、これらに限定されない。粒子は、剛性であってもよいし、又は変形可能であってもよく、種々のサイズ及び形状を有することができる。粒子は、サイズが多岐にわたってもよく、例えば、約50nmから約1mmまでの最大寸法を有してもよい。粒子の形状は、矩形、球形、ディスク状、ボックス状、ロッド状、螺旋、又は鎖、若しくは上記の凝集物であってもよいが、これらに限定されない。本開示の実施形態は、変形可能な、壊れやすい、又は大きい剪断応力に対して弱い粒子の濾過に有用な場合がある。
【0152】
「機械的特性」は、物理的寸法、サイズ、形状、変形能力、可撓性、弾性、密度、粘度、剛性、及び空間的分布、又は上記の特徴の時間応答を含むが、これらに限定されない。
【0153】
本明細書で用いられる場合の「サイズ排除」という用語は、物理的阻止によって進入又は通過を防止すること又は制約することを含む。サイズ排除の一実施形態は、大きい変形可能でない粒子001が孔に入ること及びフィルタ003を通過することを防ぐために、小さい孔002を用いることである(図1A)。サイズ排除の別の実施形態は、変形可能な粒子001が開口部002の中に入り込むこと及び通過することを防ぐために、小さい開口部を用いることである(図1B)。サイズ排除のさらに別の実施形態は図1Cに示され、粒子001は、孔002の広い開口部に入って孔002の狭い部分に挟まる場合がある。サイズ排除のさらに別の実施形態は図1Dに示される。粒子001は、孔002に入ってフィルタ003の内部に捕捉される場合がある。
【0154】
本明細書で用いられる場合の「サイズ排除」という用語はまた、「物理的制約」をも含む。図1E、図1F、及び図1Gは、粒子がフィルタによってサイズ排除されない又は物理的に制約されない場合の例を示す。粒子001は、小さすぎて孔002によって排除されない場合がある(図1E)。粒子001はまた、駆動力の下で孔002を通り抜けるように変形可能な場合がある(図1F)。図1Gでは、粒子001は、それらが他の方法では粒子を捕える可能性がある孔002の狭い部分の中に移動しないように、接線方向の力004によって駆動される。図1E、図1F、及び図1Gの粒子は、フィルタによってサイズ排除され又は物理的に制約されるとは考えない。
【0155】
本明細書で用いられる場合の「濾過」という用語は、一般に、フィルタの使用を伴う又は伴わない粒子分離装置における粒子分離、分画、粒子単離、洗浄、濃縮、増加、精製、及び/又はバッファ交換を含むが、これらに限定されない。「濾過」はまた、1つ又は複数の粒子群の部分的又は完全除去又は保持を指すために用いられる。本明細書で用いられる場合の「濾過」という用語はまた、細胞分離、幹細胞単離、白血球減少、白血球単離、癌細胞単離、臍帯血体積減少、血漿分離、間質血管細胞群(SVF)の発生のような特定の用途を含む。
【0156】
本明細書で用いられる場合の「フィルタ」は、「孔」と呼ばれる複数の開口部又は流体通路を備える構造体を指すが、これに限定されない。本明細書で用いられる場合の「孔」という用語は、例えばフィルタ上の又はフィルタの中の開口部又は流体通路を含む。孔の断面形状は、環状、長方形、円形、多角形、不規則形、細長い形、又はスリット状であってもよいが、これらに限定されない。本明細書で用いられる場合の「孔」という用語は、柱の間のスペースを含むがこれに限定されない。本明細書で用いられる場合の孔の一実施形態は、流体チャネルの中の2つの隣接する柱の間のスペースである。「孔」の別の実施形態は、流体チャネルの堰構造体と天井との間のギャップである。
【0157】
或る粒子を通過させる及び/又は他の粒子のフラックスを通過させない又は減少させるフィルタが、部分的に又は全体的に用いられてもよい。本明細書で用いられる場合の「フィルタ」という用語は、サイズ排除に基づいて粒子が阻止され又は分離される篩に限定されない。本明細書で用いられる場合のフィルタの一実施形態は、障害物及び孔を含む物理的構造体を含む。フィルタの別の実施形態は、二股に分かれる流れ及び保持物粒子よりも大きい孔を用いて粒子を分離する物理的構造体を含む。フィルタのさらに別の実施形態は、流れの力又は流体力学的力を用いて物理的構造体の孔開口部よりも小さい粒子を保持する物理的構造体を含む。フィルタのさらに別の実施形態は、「孔」又は水性溶液のための流体通路の道をもたらすために、疎水性表面上に親水性のパターンを備える。
【0158】
本明細書で用いられる場合の「フィルタする」とは、フィルタを用いて濾過を行うことを意味する。
【0159】
本明細書で用いられる場合の「保持物」という用語は、フィルタによって保持される又はフィルタを通過しない粒子を含む。本明細書で用いられる場合の「保持物」はまた、保持された粒子を含む流体を含む。本明細書で用いられる場合の「保持物」はまた、本開示の実施形態のフィルタによって保持される粒子を含む、流体及び粒子出力を指す場合がある。本明細書で用いられる場合の「保持物」はまた、フィルタ構造体を備える場合もあるし又は備えない場合もある、分離装置を用いる、関心ある粒子を含む流体出力を指す場合がある。
【0160】
本明細書で用いられる場合の「濾過物」という用語は、フィルタを通過する粒子を含む。本明細書で用いられる場合の「濾過物」はまた、フィルタを通過する粒子を含有する流体を含む場合がある。本明細書で用いられる場合の「濾過物」はまた、本開示の実施形態でのフィルタを通過する粒子を含む流体及び粒子出力を指す場合がある。本明細書で用いられる場合の「濾過物」はまた、フィルタ構造体を備える場合もあるし又は備えない場合もある、分離装置を用いる、関心ある粒子が部分的に又は完全に除去される流体を含む流体出力を指す場合がある。
【0161】
本明細書で用いられる場合の「フィード」という用語は、濾過プロセスによって処理されるべき粒子、又は濾過装置に入る粒子を含む。「フィード」という用語はまた、濾過プロセスによって処理されるべき粒子を含有する流体を含む場合がある。本明細書で用いられる場合の「フィード」という用語は、粒子、血液、臍帯血、血清、脂肪組織、消化された脂肪組織、間質血管細胞群、羊水、月経血、脳の脊髄液、乳、骨髄、尿、及び他の体液を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0162】
本明細書で用いられる場合の粒子の「保持率」という用語は、装置に組み込まれたフィルタによって粒子が保持される確率を指す。本明細書で用いられる場合の粒子群の「保持率」という用語は、装置の保持物として収集される粒子群の割合を指す。本明細書で用いられる場合の流体の「保持率」という用語はまた、装置によって保持物として収集される流体の割合を指す。本明細書での装置は、フィルタ、濾過モジュール、濾過ユニット、又は濾過システムを備えてもよい。例えば、実質的に一様な粒子群の「保持率」は、結果として得られる保持物中の粒子の数と処理されるフィード中の粒子の数との比として計算されてもよい。或る粒子群の保持率は、濾過プロセスで保持物として収集されるフィードの中のこうした群の割合を指す場合がある。「保持率」はまた、「回収率」又は「キャリーオーバ」と呼ばれる場合がある。
【0163】
本明細書で用いられる場合の「物理的孔径」という用語は、孔の物理的間隔のサイズを指す。実際には、孔の「物理的孔径」は、「行き止まり(dead−ended)」濾過構成の下で実質的な物理的制約又はサイズ排除なしに孔を通過できる、変形可能でない球、例えば、ポリマーミクロスフェアの最大直径として本質的に測定されてもよい。例えば、深さ50μmのミクロ流体チャネルにおける10μm離間された2本の柱の間隔を含む孔は、10μmの物理的孔径を有する。同様に、膜における直径5μmの円形穴を含む孔は、5μmの物理的孔径を有する。孔がスリットを備える場合、物理的孔径は実質的にスリットの幅である。行き止まり濾過は、以下の参考文献、すなわち、Zeman, L.J.他、「Microfiltration and Ultrafiltration」、Marcel Dekker, Inc.、ISBN 0−8247−9735−3、pp.328〜331(1996)で十分に説明され、この行き止まり濾過の開示された説明は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0164】
本明細書で用いられる場合の孔の「有効孔径」は、対象とする流れ条件の下で孔が実質的に保持することができる、変形可能でない球、例えば、ポリマーミクロスフェアの最小直径を指す。有効孔径は、実験的に測定し及び判定することができる。例えば、孔によるベースライン保持率は、流れ排除なしに対象とする流れ条件の下で孔を通して流れるときに流れの流線に実質的に追従する小さい変形可能でない球を用いて確立することができる。より大きい変形可能でない球は、実質的に同じ作動条件の下で、ベースラインよりも高い保持率で、流れ排除に起因して孔によって保持され得る。ベースラインよりも実質的に高い、例えばベースラインよりも40%、50%、60%、80%、90%、98%、99%、又は100%高い保持率で保持できる最小の変形可能でない球の直径が、孔の「有効孔径」と呼ばれる。有効孔径を測定するときに、用いられる粒子は以下の特徴を有することが好ましい:(a)粒子が実質的に球形である、(b)粒子が実質的に変形可能でなく、剛性である、(c)粒子が実質的に単一の粒子懸濁液中に懸濁される、(d)粒子懸濁液が希釈され、実質的に粒子−粒子相互作用が存在しない、(e)粒子が関心ある時間にわたって実質的に沈降しない、(f)粒子が流体チャネル又はフィルタ表面に実質的に固着したり又は汚したりしない、及び(g)電荷、固着、親和力、又は磁力に起因して、粒子が相互に又は流体チャネル、フィルタ表面、又は孔と相互に作用しない。上記の粒子特徴は限定することを意図されないことが理解される。
【0165】
本明細書で用いられる場合の装置の「保持サイズ」は、実質的に同じ作動条件で装置を用いて処理された流体の保持率よりも実質的に高い、例えば、約40%、50%、60%、80%、90%、98%、99%、又は100%高い保持率を有する、変形可能でない球、例えば、ポリマーミクロスフェアの最小直径を指す。装置の保持サイズは、実験的に測定し及び判定することができる。例えば、流体の保持率は、一組の作動条件の下で流体の流れの動きに実質的に追従する小さい変形可能でない球を用いてベースラインとして確立されてもよい。流体の中に混合されたより大きい変形可能でない球は、実質的に同じ作動条件の下でベースラインよりも高い保持率を有する可能性がある。ベースラインよりも実質的に高い、例えば、ベースラインよりも約40%、50%、60%、80%、90%、98%、99%、又は100%高い保持率を有する最小の変形可能でない球の直径が、装置の「保持サイズ」として特徴付けられる。本明細書での装置は、フィルタ、濾過モジュール、濾過ユニット、又は濾過システムを備えてもよい。保持サイズを測定するときに、用いられる粒子は、以下の特徴を有してもよい:(a)粒子が実質的に球形である、(b)粒子が実質的に変形可能でなく、剛性である、(c)粒子が実質的に単一の粒子懸濁液中に懸濁される、(d)粒子懸濁液が希釈され、実質的に粒子−粒子相互作用が存在しない、(e)粒子が関心ある時間にわたって実質的に沈降しない、(f)粒子は流体チャネル又はフィルタ表面に実質的に固着したり又は汚したりしない、及び(g)電荷、固着、親和力、又は磁力に起因して、粒子が相互に又は流体チャネル、フィルタ表面、又は孔と相互に作用しない。上記の粒子特徴は限定することを意図されないことが理解される。
【0166】
本明細書で用いられる場合の「流れ排除」という用語は、孔の周りの流体の流れ条件を用いて物理的孔径よりも実質的に小さい有効孔径を達成することを指す。本明細書で用いられる場合の「流れ排除」という用語はまた、フィルタの周りの流体の流れ構成を用いてフィルタの構成孔の物理的孔径よりも実質的に小さい保持サイズを達成することを指す。
【0167】
上記の定義は、本開示の精神を伝えることを意図され、限定することを意図されないことが分かる。
【0168】
粒子濾過装置
本開示の態様及び実施形態は、(a)少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有する第1のフローチャンバと、(b)少なくとも1つの出口を有する第2のフローチャンバと、(c)複数の孔、例えば、少なくとも10個の孔を備えるフィルタとを備える粒子を濾過するための装置を提供する。ここで、フィルタは、第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に配置され、約10nmから約10mmまでの間の物理的孔径を有する。第1のフローチャンバ及び第2のフローチャンバは、フィルタ孔の有効孔径が実質的により小さくなる、例えば、物理的孔径よりも上限約95%まで小さくなるように構成される。装置は、例えば、シリコン、ガラス、又はプラスチックを含む材料で作製されてもよい。幾つかの実施形態は、粒子が鋭利な縁部に直面せず、損傷が減るように構築されてもよい。
【0169】
本開示の態様及び実施形態に係る粒子濾過装置は、幾つかの異なる方法で構成されてもよい。幾つかの実施形態では、第1のフローチャンバは、キャリア流体を導入するのに用いることができる少なくとも1つの入口を有する。他の実施形態は、第2のフィルタと第3のフローチャンバを備え、前記第2のフィルタは、前記第1のフローチャンバと前記第3のフローチャンバとの間に配置され、前記第3のフローチャンバは少なくとも1つの出口を備える。さらに他の実施形態は、第2のフィルタが第2のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置されるように、第2のフィルタ及び少なくとも1つの出口を有する第3のフローチャンバを備える。
【0170】
幾つかの実施形態では、粒子は、流体の流れ、流体力学的流れ、圧力低下、流体力学的圧力、圧力源、真空、ヘッド高さ、重力、遠心力、電場、電気泳動電場、動電学的力、電気浸透力、毛管作用、又は上記の組合せのうちの少なくとも1つによって装置を通して駆動される。幾つかの実施形態では、粒子(「フィード粒子」)は、1秒あたり少なくとも約100フィード粒子、例えば、少なくとも102、103、104、105、106、107、108、1010、1012、又は1015個の速度で装置を通過し又は装置を通して処理される。幾つかの実施形態では、装置は、500nl、200nl、100nl、50nl、20nl、又は10nlよりも小さい滞留体積を有する。幾つかの実施形態では、粒子は、粒子に損傷を与えない剪断応力を受ける。
【0171】
フィルタの実施形態は、複数の方法で形成することができる。幾つかの実施形態では、フィルタは、1つ又は複数の列の柱又は突起部を有する。柱又は突起部は、種々の形状及びサイズとすることができる。他の実施形態では、少なくとも2列の柱又は突起部が存在する。本開示の他の実施形態は、孔を備える膜から形成されたフィルタを提供する。本開示のさらに他の実施形態は、スクリーンフィルタから形成されたフィルタを提供する。幾つかの実施形態では、フィルタは、粒子に損傷を与える可能性が減少する又は無くなるように、粒子が如何なる鋭利な縁部にも直面しないように構築される。これは、粒子が生きている細胞又はアポトーシス細胞であるときに重要な場合がある。
【0172】
本開示の幾つかの実施形態では、フィルタは、その有効孔径がそれらの物理的孔径よりも少なくとも約0.5μmだけ小さい孔を備える。他の実施形態では、有効孔径は、物理的孔径の95%よりも小さい。さらに他の実施形態では、有効孔径は、物理的孔径よりも実質的に小さい場合があり、例えば、有効孔径は、物理的孔径の約75%、約60%、約50%、約30%、約10%、又は約5%である。さらに他の実施形態では、保持サイズは、物理的孔径よりも実質的に小さい場合があり、例えば、有効孔径は、物理的孔径の約90%、約75%、約60%、約50%、約30%、約10%、又は約5%であってもよい。さらに他の実施形態では、粒子は、その装置の通過中に約5,000個以下の孔に直面する。
【0173】
本開示の態様及び実施形態は、単純な又は複雑な沈渣、有害物、又は廃水中で見られる重金属汚染物質、若しくは油、バイオ燃料などのような自然発生の流体又は合成された流体中で見られる種々の汚染物質のような多くのタイプの粒子をフィルタし、分離し、分画し、処理し、増加させ、又は単離するのに用いることができる。加えて、本開示の幾つかの態様及び実施形態は、健康な細胞、病的細胞、成長している細胞、死にかけている細胞、又は死んだ細胞のような多くの異なるタイプの細胞をフィルタする臨床的目的で用いることができる。細胞型の例は、血球、幹細胞、造血幹細胞、前駆細胞、間葉幹細胞、脂肪幹細胞、CD34+細胞、腫瘍細胞、骨髄細胞、臍帯血細胞、リンパ球、白血球、癌細胞、脳の脊髄液細胞、羊水細胞、ホウォートンゼリー幹細胞、真核細胞、原核細胞、動物細胞、間質血管細胞群細胞、臍帯由来の細胞、肝臓細胞、神経細胞、及び免疫細胞である。他の細胞型は、細菌性細胞、イースト細胞、及び異常な細胞を含む。
【0174】
本開示の態様及び実施形態は、血液、臍帯血、血清、脂肪組織、消化された脂肪組織、間質血管細胞群、羊水、月経血、脳の脊髄液、乳、骨髄、及び尿のような多くのタイプの流体を処理し、フィルタし、分離し、又は分画するのに用いることができる。
【0175】
本開示の態様及び実施形態はまた、上で説明された1つ又は複数の装置のような装置を用いて粒子を濾過するための方法を含む。この方法の幾つかの実施形態では、フィード粒子は、入口(単数又は複数)を介して装置の第1のフローチャンバの中に導入され、装置を通して粒子を推進するために粒子に駆動力がかけられる。保持物粒子は第1のフローチャンバの出口(単数又は複数)から収集され、濾過物粒子は第2の及び/又は第3のフローチャンバの出口から収集される。幾つかの実施形態では、キャリア流体は、少なくとも1つの入口を介して装置の第1のフローチャンバの中に導入される。
【0176】
流れ排除の原理
濾過は、サイズ排除の代わりに流れの分岐を用いて行うことができる。具体的には、或る流れ配列の下で小さい粒子が大きいフィルタ孔によって保持される場合がある。流れによって小さい粒子が大きい孔に入るのを排除されるので、本明細書では、この効果が「流れ排除」と呼ばれる。流れ排除効果は、早くも1921年には微小循環、すなわち微小血管の血流で観測されていた(Krogh,A.、「Studies on the Physiology of Capillaries:II.The Reactions to Local Stimuli of the Blood−vessels in the Skin and Web of the Frog」、J.Physiol.、55(5−6)、pp.412〜422(1921);Fahraeus,R.、「The Suspension Stability of the Blood」、Physiological Reviews 9、pp.241〜274(1929)。微小血管が2つの血管に分岐するときに、フローパターンがサイズ排除に有利に働くように変化した場合に、細胞が低い流量の血管に入るのを防ぐ物理的制約又はサイズ排除が存在しなくても、血球は、より高い流量をもつ血管の方に優先的に入る場合がある(図2A)。この効果は、細胞と血管と血流との間の複雑な流体力学的相互作用及び力に起因して生じる。流れ排除は、2つの分岐における流量が大きく異なるときに最も顕著である。さらに、有核細胞は、脱核細胞、例えば赤血球及び小板よりも顕著に流れ排除を経験するようであった。
【0177】
細管の中で観測される流れ排除を説明する試みにおいて異なる理論が展開されている(Krogh,A.、「Studies on the Physiology of Capillaries:II. The Reactions to Local Stimuli of the Blood−vessels in the Skin and Web of the Frog」、J Physiol 55(5−6)、pp.412〜422(1921);Fahraeus,R.、「The Suspension Stability of the Blood」、Physiological Reviews 9、pp.241〜274(1929);Svanes,K.他、「Variations in Small Small Hematocrits Produced in Hypothermic Rats by Micro−Occlusion」、Microvasc Res.1、pp.210〜220(1968);Yen,R.T.他、「Model Experiments on Apparent Blood Velocity and Hematocrit in Pulmonary Alveoli」、J.Appl.Physiol.35、pp.510〜517(1973);Mayrovitz,H.N.他、「Leukocyte distribution to arteriolar branches:dependence on microvascular blood flow」、Microvasc Res.29(3)、pp.282〜294(1985)。
【0178】
非圧縮性ニュートン流体の流体力学的挙動を支配するナビエ・ストークスの式を考えると、見識が得られるかもしれない。
【数1】
【0179】
ここで、ρは流体の密度であり、vは流体の速度であり、pは圧力であり、μは粘度であり、fは重力のような外力である。図2Aに示すように分岐する血管の中を動く単一の細胞を考える。細胞の移動経路を解析するために、正確な流体の流れ分布と細胞に対する力が計算されなければならない。これは、単一の細胞であっても集約的なコンピュータ計算を必要とする、しばしば厄介なタスクである。循環する血流の場合のように、多くの細胞が互いに干渉しあうときには、問題がより一層難しくなる。どのようにして流れ排除が起こるかの見識を得るのにおそらく最も簡単な方法は、流体の速度の増加が圧力の減少と同時に起こることを示すベルヌーイの原理を当てはめることである。2つの分岐する血管の間の流量の違いにより、細胞は、より高い流速をもつ血管の方に揚力を経験する(図2B)。この揚力は、その血管が細胞の通過を許すのに十分なだけ物理的に大きい可能性があるにもかかわらず、細胞がより低い流量の血管に入るのを防ぐ又は阻む。したがって、流れ排除が起こる。明らかに、上記の理論は、以下の理由のため過度の単純化であるかもしれない:(a)血液及び骨髄液などを含む流体は、ニュートン流体ではない場合がある、(b)粒子濃度が非常に高いため、粒子−粒子相互作用が粒子の動きを支配する主要因となる場合がある、(c)含まれる粒子が流体力学的な力に応答して変形可能である及び可撓性である。
【0180】
特定の機構又は理論にとらわれずに、本開示の態様及び実施形態は、接線方向の流れ濾過及び流れ排除原理に従って理解することができる。本開示の一実施形態では、サイズ排除によって大きい粒子を保持するために小さい孔が用いられる従来の接線方向の流れ濾過とは対照的に、比較的小さい粒子を保持するために大きい孔を備えるフィルタが用いられる。本開示の幾つかの実施形態の大きな利点は、粒子損傷及びフィルタの詰まりの顕著な減少又は除去であり、変形可能な及び/又は壊れやすい粒子の高スループットでの処理を可能にする。図3に示すように、本開示の実施形態は、接線方向の流れ301、柱302及び孔304の配列を備えるフィルタ306、並びにフローチャンバ303を用いる場合がある(図3A)。幾つかの実施形態では、作動条件の下で、接線方向の流れ301のほんの小さな割合だけが孔304を通して引き込まれるように、フローチャンバ303が流体の流れる方向に沿って徐々に広くされる場合がある。フローチャンバ303がフィルタの幾何学的形状と共に広くなる度合いが、各孔304を通して引き込まれる流れの量を決める。より緩やかにチャンバ303が拡大するにつれて、孔を通して引き込まれることになる流れがより少なくなる。
【0181】
層流条件(図3A)の下では、接線方向の流れ301は、微小循環で血流が分岐する血管の周りで二股に分かれるのとほとんど同様に、各柱302の周りで二股に分かれる。孔304に入る分岐する流れ305が接線方向の流れ301の流量よりもかなり小さい流量を有する場合、流れ排除効果が生じる可能性がある。柱302の傍を流れる粒子321は、粒子に対する流れ排除の強さに応じて、孔304に入る場合もあるし入らない場合もある(図3B)。異なる細胞型は異なる流れ排除効果を経験するので、及び、流れ排除は孔を通した流量の関数なので、1つには、孔304での流量を制御することによって或る細胞型を分離するのに有用な流れ排除条件を生み出すことができる。例えば、リンパ球311に対する強い流れ排除及び赤血球312に対する弱い流れ排除を引き起こす、二股に分かれる流れ条件を生み出すために、1つには、徐々に広くなるフローチャンバ303を設計することができる(図3C)。結果として、リンパ球311はフィルタ306によって保持され、赤血球312はフィルタ306を通過する。本開示の幾つかの態様及び実施形態では、粒子を濾過するためのベースとして流れ排除が用いられる。
【0182】
本開示の幾つかの態様及び実施形態では、孔を通した体積流量は、接線方向の流れの体積流量よりもかなり小さい。低いレイノルズ数条件の層流での単一の剛球粒子のコンピュータ流体力学計算を用いて、特定の設計の孔を通して引き込まれる流れの量の関数として有効孔径を推定することができる。図4は、図5Aに示された実施形態に対するこうした計算の結果を示し、フローチャンバ深さ30μm、フィード入口幅110μm、柱直径30μm、及び隣接する柱の中心から中心までの距離40μmと仮定して、結果として約10μmの物理的孔径が得られる。各孔を通した流量がフィード入口502での接線方向の流量の約0.4%であるとき、孔の有効孔径はおよそ3.8μmであり、これは10μmの物理的孔径よりも著しく小さい。しかしながら、各孔を通した体積流量が入口での接線方向の体積流量の約1.6%であるとき、有効孔径が物理的孔径とほぼ同じになることに注意されたい。各孔を通した流量が入口での接線方向の流量の1.6%よりも大きいときに、サイズ排除が粒子分離の主要なベースとなり、装置は従来の濾過装置となる。サイズ排除に基づく分離を達成するために膜間圧力(transmembrane pressure)を採用する従来の接線方向の流れ濾過とは対照的に、本開示は、流れ排除に基づく分離を達成するために孔の周りの流量分布を採用する。
【0183】
上述のコンピュータ計算は、理想的な且つ過度に単純化された条件(ブラウン運動を伴わないニュートン流体中の単一の剛性の球形の粒子)の下での流れ排除への見識を我々に与えるが、本開示でのフィード粒子の濾過プロセスは、確率によって説明される実質的に確率論的なものである場合があり、決定論的なものではない場合がある。
【0184】
とりわけ、粒子−粒子相互作用、粒子変形、及びブラウン運動は、フローパターン及び粒子上にかかる力を変化させて、流れ排除を確率論的なものにする可能性がある。この流れ排除の確率論的性質は、特にフィード粒子が複雑な粒子及び流体、例えば、血液、臍帯血、骨髄、間質血管細胞群などを含むときに顕著である及び非常に実質的である場合がある。こうした実世界のサンプルの複雑さを理解するために、臍帯血を考えてみよう。典型的な臍帯血サンプルは、1ミリリットルあたり約40億の赤血球、1000万の白血球、及び2億の小板を含有する。これらの細胞は、血液体積の約40%を構成し、それらが相互に作用する際に変形する。さらに、細胞は、重力の下で異なる速度で沈降する。サンプルを顕著に、例えば、1,000、10,000、100,000分の1以上に希釈しないと、粒子−粒子相互作用が血球を確率論的に動かす可能性があり、本開示の実施形態を用いて特定の細胞が保持されることになるかどうかを予め判定するのは実質的に不可能な場合がある。
【0185】
物理的孔径及び有効孔径
フィルタ及びその孔径を特徴付けるための1つの技術は、剛性の球を用いる粒子保持測定である(Zeman、L.J.他、「Microfiltration and Ultrafiltration」、Marcel Dekker、Inc.、ISBN 0−8247−9735−3、pp.265〜274(1996))。この刊行物で開示された粒子保持測定の例は、引用により本明細書に組み込まれる。こうした測定に用いられてもよい粒子の例は、ラテックスビード及びポリマーミクロスフェアを含む。「物理的孔径」、「有効孔径」、及び「保持サイズ」は、上記で説明されたような技術を用いて測定し及び特徴付けることができる。剛性の球を標準として用いて、異なるフィルタ及び装置を、それらの意図された使用に関係なく特徴付ける及び比較することができる。例えば、水の中の細菌を除去するための従来の濾過装置は、細菌が血球とはかなり異なるサイズ、形状、変形能力、電荷、濃度、及び他の特徴を有する可能性があるにもかかわらず、血液濾過装置と比較することができる。
【0186】
従来のサイズ排除濾過では、孔の有効孔径は、物理的孔径よりも大きいか又は実質的に等しく、フィルタの保持サイズもまた、物理的孔径よりも大きいか又は実質的に等しい。対照的に、本開示の幾つかの態様及び実施形態では、孔の有効孔径は、流れ排除を用いる孔の物理的孔径よりも小さい又は実質的に小さい(図4)。
【0187】
装置は、標準の剛性の球を用いて特徴付ける及び比較することができるが、生体試料に関する本開示の実際の実施形態は、特定の各用途のために経験的に最適化されてもよい。孔の有効孔径よりも実質的に大きい粒子は、粒子の変形又はプロセスの確率論的性質に起因してフィルタを依然として通り抜ける場合がある。この現象は、本明細書では「漏れ」と呼ばれる。有効孔径が物理的孔径よりも大きい又は実質的に等しい従来のフィルタでは、粒子は、漏れが生じるときにフィルタを詰まらせる及び汚す傾向がある。変形可能な及び壊れやすい粒子が従来のフィルタを通して漏れるとき、粒子は、大きい剪断を経験し、損傷され又は溶解されて、詰まりに加えてフィルタのファウリングのカスケードをトリガする場合がある。これは、生体試料及び細胞を用いる用途での深刻な問題である。
【0188】
本開示の幾つかの態様及び実施形態は、有効孔径よりも実質的に大きい孔を採用する方法及び装置を含み、これによりフィルタのファウリング及び詰まりを著しく減少させ又は回避する。加えて、本開示の実施形態は、流れ排除をもたらす手段として、それらの孔を通した低い体積流量を採用する。大きい孔と小さい流量との組合せは、孔の中の及び周りの低い剪断を容易にし、これによりファウリング、詰まり、粒子活性化、及び粒子損傷の問題をさらに低減させる。
【0189】
濾過モジュール、ユニット、及び装置
フィルタモジュール
本開示の別の実施形態は、図5に示されたフィルタモジュールである。第1のフローチャンバ501は入口502と出口503を有する。フィード粒子、すなわち濾過によって処理されるべき粒子は、入口502に入り、駆動力を用いて第1のフローチャンバ501を通して入口から出口の方に駆動される。第1のフローチャンバ501は、柱505の配列を備えるフィルタ508によって第2のフローチャンバ504から分離され、これと流体接続される。柱の間の間隔がフィルタ508の孔506を構成する。第2のフローチャンバ504は、フィルタ508にわたる孔506を通して少量の流れを引き込み、濾過物粒子を受け入れ、且つ濾過物出口507を介して濾過物粒子を採集するように配置される。各孔506を通した流量は、流れ排除を容易にするために、小さい割合、例えば、第1のフローチャンバ501の入口502での流量の1/10、1/20、1/30、1/50、1/100、1/200、1/300、1/500、1/1,000、1/2,000、1/5,000、1/10,000、1/20,000、1/50,000、又は1/100,000となるように設計される。幾つかの実施形態では、孔506は、物理的孔径が有効孔径よりも実質的に大きいようなサイズにされる。フィルタ508の幾つかの実施形態は、約10から約50,000個までの孔506、例えば、10、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、又は50,000個の孔を有してもよい。さらなる説明の便宜上、フィード及び保持物粒子が移動する第1のフローチャンバ501は、本明細書では「保持物チャンバ」と呼ばれ、濾過物粒子が移動する第2のフローチャンバ504は「濾過物チャンバ」と呼ばれる。
【0190】
種々の実施形態の内部の粒子の流れは、流体の流れ、駆動圧力、真空、ヘッド高さ、重力、遠心力、磁気力、毛管作用、又は上記の組合せを用いて生み出されてもよい。粒子の流れはまた、電場、電気泳動電場、誘電泳動電場、電気浸透力、動電学的力、又は上記の組合せの力を用いて生み出されてもよい。これらの電場又は力は、粒子を動かす可能性があり、粒子が含有される流体を動かす可能性もあるし又は動かさない可能性もある。幾つかの状況では、これらの電場又は力は、粒子が含有される流体を動かすことなく粒子を動かす可能性がある。例えば、如何なる動電学的流れもない状態で、電気泳動電場は、流体の流れを生み出すことなく本開示の装置の実施形態を通して荷電粒子を駆動する可能性がある。重力の場合には、流体の密度よりも大きい密度を有する粒子が流体を通して沈降する可能性がある。他の場合には、流体は、粒子とは反対方向に流れる可能性がある。明らかに、これらの例では流れ排除は起こらない。しかしながら、装置内部の駆動力は、流体の流れがそうするのとほとんど同様に、それら独自の排除効果をもたらすことができる。したがって、重力、遠心力、電場、電気泳動電場、及び動電学的力はまた、粒子を駆動し、サイズ排除又は物理的制約に頼らない濾過効果を達成するために用いられてもよい。
【0191】
幾つかの実施形態では、柱505は、それらの幅と類似した高さを有してもよく、これにより、図5B及び図5Cに示すように、1に近い、例えば0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、又は1.3のアスペクト比を有する。代替的に、柱505は、それらの幅よりも小さい高さを有してもよく、これにより、図5Dに示すように、実質的に1よりも小さい、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、又は0.6のアスペクト比を有し、又はそれらの幅よりも大きい高さを有してもよく、これにより、図5Eに示すように、実質的に1よりも大きい、例えば1.5、2、3、5、8、10、20、100、500、2,000、又は10,000のアスペクト比を有する。高いアスペクト比の柱及び設計は、より高いキャパシティ及びスループットの利点を有し、一方、低いアスペクト比の柱及び設計は、製作のしやすさの利点を有する。柱505は、徐々に細くなっていってもよく又はテーパしてもよい(図5E)。抜き勾配は、90度に近い角度、例えば80、85、87、88、又は89度とすることができる。テーパした柱は、型からの取り出し(demolding)を容易にする可能性があり、射出成形、エンボス加工、ソフトリソグラフィ、又は他の複製技術を用いる製作をあまり難しくないものにする可能性がある。
【0192】
幾つかの実施形態では、保持物チャンバ50及び濾過物チャンバ51の側壁は、互いにほぼ平行である(図5A)。幾つかの実施形態では、保持物チャンバ501は、実質的に一定の幅を有してもよく、徐々に広くなっていってもよく、又は徐々に狭くなっていってもよい(図6)。保持物チャンバ501の幅の変化は、チャンバ501の中の流量、及び結果として生じる剪断応力の変化をもたらす場合がある。図6Bに示される実施形態では、フィード液体が濾過物チャンバ504の中に引き込まれるので、保持物チャンバ501の中の流速は、流体が出口503の方に移動するのに伴って徐々に小さくなる。対照的に、図6Aに示される実施形態では、保持物チャンバ501の中の流体は、保持物チャンバ501及び濾過物チャンバ504の全断面積がより小さくなるのに伴って出口503の方に加速し得る。濾過物チャンバ504がより広くなる度合いが、孔506を通して引き込まれる流れの量を実質的に決める可能性があり、所望の有効孔径に関して最適化されてもよい。
【0193】
本開示の別の実施形態では、保持物チャンバは、入口側から保持物出口の方に徐々に狭くなってもよく、濾過物チャンバは、濾過物出口の方に徐々に広くなってもよい。高い流量及び低い剪断応力が望まれる用途では、保持物チャンバは入口側では広く且つ出口側では狭いことが好ましい場合がある。こうした構成は、入口での流速を低く保つ可能性があり、且つ剪断応力を保持物チャンバの全体を通して低く保つ可能性がある。本開示の別の実施形態では、保持物チャンバは、入口側から保持物出口の方に徐々に狭くなり、且つ流体が入口から出口の方に流れる際に保持物チャンバの中の平均流速を実質的に一定に保つように構成されてもよい。本開示の別の実施形態では、保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、流体が入口から出口の方に流れる際に保持物チャンバの中の平均流速が実質的に一定であるように構成されてもよい。
【0194】
本開示の別の実施形態では、フィルタは、曲線上に配列された柱を備える(図7)。フィルタの「湾曲」は、結果として特定のフィルタ特徴をもたらす可能性がある。すなわち、各孔は、或る濾過要件を達成するように設計された異なる有効孔径を有してもよい。図7Aに示される実施形態では、フィルタ701は、濾過物チャンバ711の側壁710と最初に小さい角度をなし、濾過物チャンバがごく少量の流れをフィルタ701にわたって引き込むことを可能にする。次いで、孔を通して引き込まれる流れの量を増加させるために、フィルタ702と側壁710との間の角度がより大きくなり、結果としてより大きい有効孔径が得られる。フィルタ703と側壁710との間の角度は、濾過物出口720の方に小さくなり、孔を通して引き込まれる流れの量を減少させる可能性がある。図7Bでは、フィルタ704は、或るフィルタ特徴を維持するように設計された曲線上に配列された柱を備える。入口722側から出口721側までのその位置の関数としての各孔の有効孔径が、それぞれ図7A及び図7Bに示された実施形態に関して図7C及び図7Dで定性的に示される。考慮されている特定の用途に対する所望のフィルタ特徴に応じて、他の柱配列が用いられてもよいことが理解される。
【0195】
さらに別の実施形態では、各孔を通した流量は本質的に同一である。さらに別の実施形態では、各孔を通して引き込まれる流量は、接線方向の流れの流量の最大割合xよりも小さい又はこれに等しく、xは、約1/5から約1/100,000までの範囲である。例えば、望ましいxは、1/5、1/10、1/20、1/50、1/100、1/200、1/500、1/1,000、1/2,000、1/5,000、1/10,000、1/20,000、1/50,000、又は1/100,000であってもよい。この実施形態の例が図5に示される。フィルタは、約10から約100,000本までの間の柱、例えば、約10、20、50、100、200、500、1000、2,000、5,000、10,000、30,000、又は100,000本の柱を備える。柱と濾過物チャンバは、有効孔径が物理的孔径よりも実質的に小さいような方法で構成される。
【0196】
本開示のさらに別の実施形態では、フィルタは、図5、図6、及び図7に示すように等間隔で配置された柱の配列を備える。本開示のさらに別の実施形態では、柱は、図8に示すように不均等な間隔で配置される。幾つかの用途では、或る粒子が物理的に大きい孔を通過できるように、物理的孔径を変化させることが有利な場合がある。柱は、異なる断面形状を有してもよい。望ましい断面形状の例は、図9に示された断面形状、例えば円形(図9A及び図9B)、長円形(図9C)、楕円形(図9D)、卵形(図9E及び図9F)、エアフォイル形(図9G)などを含むがこれに限定されない。フィルタはまた、異なる形状及び/又はサイズの柱を備えてもよい(図9H)。壊れやすい粒子の穏やかな分離のために、柱は粒子と接触する可能性がある鋭利な縁部を有さないことが好ましい場合がある。鋭利な縁部は、壊れやすい粒子を切り開き、分割し、又は溶解する可能性がある。鋭利でない柱表面は、穏やかな濾過を必要とする多くの用途において好ましい場合があるが、例えば、粒子損傷が懸念の対象ではない場合、長方形、四角形、又は多角形の柱断面を用いることも可能である。
【0197】
本開示の別の実施形態では、濾過物チャンバ901は、交互する凸形部及び凹形部(図9A)を備える波形の側壁902を有し、波形の側壁の周期は孔903の中心から中心までの距離と一致する。波形の側壁は、流れを安定化させ且つ小さい有効孔径を維持する一助となる可能性がある。
【0198】
本開示の実施形態では、フィルタは、或るフィルタ特徴を達成するために直線又は曲線上に均等に又は不均等に配列された異なる形状及びサイズの柱を備えてもよいことが理解される。
【0199】
本開示の別の実施形態では、濾過物チャンバ504は、保持物チャンバ501よりも浅い(図10)。この実施形態では、フィルタ508は、連続した表面512及び柱505を備える。濾過物チャンバ504は、幾つかの大きい保持物粒子321よりも浅い場合がある(図10C)。しかしながら、保持物粒子321は物理的孔から流れ排除されるので、それらは浅い濾過チャンバ504又は孔の狭い部分571には実質的に決して入らない(図10C)。その結果、この実施形態ではサイズ排除濾過に関連する有害な影響がまれにしか生じない可能性がある。この設計は、フィルタ面積又は深さを減少させることなく柱505のアスペクト比を減少させ、装置製作を容易にし、及び堅牢にする可能性がある。
【0200】
本開示のさらに別の実施形態では、フィルタモジュールは、保持物チャンバ130、スクリーンフィルタを含むフィルタ131、及びスクリーンフィルタ131を横切って行く流れを制御する濾過物チャンバ132を備える(図11A及び図11B)。フローチャンバ130、132は、凹部を備える層133、134を備える。濾過物チャンバ132は、フィルタ131を通して少量の流れを引き込むように配列された、層134の中に徐々に深くなる凹部を備える。フィルタ131は、保持物チャンバ層133と濾過物チャンバ層134との間に挟持される。この実施形態は、大きいフィルタ面積を可能にし、非常に高いキャパシティ及びスループットを達成することができる。この実施形態の変形は、保持物チャンバ層133と濾過物チャンバ層134との間に挟持された多孔性フィルタ層131を備える(図11C及び図11D)。多孔性フィルタ層は、例えば、トラックエッチングされた膜、又はレーザ機械加工された金属シートなどを備えてもよい。層は、接着され、結合され、又は単に一緒にプレスされてもよい(図11C及び図11D)。フィルタ131上の孔は、図11A〜図11Dに示すように規則的な間隔で配置されてもよく、又は、放射線トラックエッチングされた膜フィルタと同様に不規則に分布されてもよい。
【0201】
本開示の上記で説明された実施形態は、粒子を濃縮するための又は濾過物粒子群から保持物粒子群を除去するための装置として有用な場合がある。しかしながら、幾つかの状況では、保持物群から濾過物群を減少させる又は異なる流体中の保持物粒子を単離することが望ましい場合がある。
【0202】
例えば、幾つかの状況では、全血から有核血球を単離し、できるだけ多くの脱核された赤血球を除去することが望ましい場合がある。キャリア流体522は、保持物チャンバ501(図13)に導入されてもよい。一実施形態では、保持物フローチャンバ501は、少なくとも1つのフィード入口502に加えて少なくとも1つのキャリア流入口521を備える。ここで、キャリア流体522は、保持物チャンバ501の中に噴射され、フィードの流れのストリーム523と並んで層流のストリーム522を形成する可能性がある。層流条件は、キャリアの流れ522とフィードの流れ523を対流混合することなく並行して動かす可能性がある。2つのストリームの間の境界522,523は、図13に点線524で示される。保持物粒子531は、柱505を備えるフィルタによって保持され、フィード・ストリーム523からキャリア・ストリーム522の中に移動されてもよい。保持物出口503で、保持物粒子531はキャリアの流れ522の中にあり、これにより実質的に濾過物群から取り除かれる。所望の純度要件に応じて、キャリア流体の流量は、保持物流体の流量よりも小さく、等しく、又は大きくてもよい。キャリアの流れは、本開示の実施形態のうちのいずれかと同様の様態で適用されてもよく、如何なる特定の実施形態にも限定されないことが理解される。キャリアの流れはまた、保持物粒子を洗浄する、処理する、又は標識するために導入されてもよい。幾つかの実施形態では、保持物粒子を処理するために1つよりも多いキャリアの流れが導入されてもよい。例えば、1つには、連続流れの状態で細胞を標識し及び洗浄するために本開示の幾つかの実施形態を用いることができる。特定の保持物細胞に対する抗体標識又は染色剤を含有する溶液が、第1のキャリアの流れとしてフィードの流れと並んで導入されてもよく、洗浄液は、第2のキャリアの流れとして第1のキャリアの流れに隣接して導入されてもよい。流れ排除に起因して、保持物細胞がフィードの流れから第1のキャリアの流れに移動する可能性があり、この場合、細胞は染色され又は標識され、次いで、第1のキャリアの流れから第2のキャリアの流れに移動する可能性があり、この場合、細胞は洗われる。本開示の実施形態のうちのいずれかに関するキャリアの流れを導入するために、保持物チャンバにおいて1つよりも多い入口が用いられてもよい。
【0203】
デュアルフィルタモジュール
幾つかの実施形態では、2つの実質的に同一のフィルタモジュールが組み合わされて「デュアルフィルタモジュール」を形成してもよい。一実施形態では、2つのフィルタモジュールは、互いに対して鏡像を形成し、1つの保持物チャンバを共有して「デュアルフィルタモジュール」を形成してもよい(図14A)。保持物チャンバ501は、少なくとも1つの入口502と1つの出口503を有してもよい。フィード粒子は、例えば、流体の流れ、圧力低下、流体力学的圧力、圧力源、真空、ヘッド高さ、重力、遠心力、電場、電気泳動電場、動電学的力、電気浸透力、毛管作用、又は上記の組合せを用いて入口502に入ってもよく、且つフローチャンバ501を通して出口503の方に駆動されてもよい。保持物フローチャンバ501は、中心線514に関して対称に配列される場合がある2つの濾過物フローチャンバ504のそれぞれからフィルタ508によって分離されてもよい。フィルタ508の実施形態は、約10から約100,000本までの柱505、例えば10、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、又は100,000本の柱の配列を備えてもよい。柱の間の開口部がフィルタ508の孔506を構成してもよい。濾過物フローチャンバ504は、各孔506を通して少量の流れを引き込み、且つ濾過物出口507を介して濾過物粒子を除去するように設計されてもよい。各孔506を通した流量は、流れ排除を容易にするために小さい割合となる、例えば保持物フローチャンバ501での流量の1/10、1/20、1/30、1/50、1/100、1/200、1/300、1/500、1/1,000、1/2,000、1/5,000、1/10,000、1/20,000、1/50,000、又は1/100,000となるように設計されてもよい。
【0204】
デュアルフィルタモジュールの実施形態のうちのいずれでも、保持物チャンバは、キャリア流入口521(図14B)をさらに備えてもよい。保持物粒子が保持物出口503でキャリアの流れ522の中に採集されるように、キャリアの流れ522は2つのフィードの流れ523の間に導入されてもよい。この実施形態は、高純度の保持物粒子をもたらすことができる可能性がある。
【0205】
デュアルフィルタモジュールの別の実施形態が図15に示され、この場合、2つのフィルタモジュールが鏡像を形成し、且つ1つの濾過物チャンバを共有する。濾過物出口507を備える濾過物チャンバ504は、2つの保持物チャンバ501の間に位置付けられてもよい。濾過物チャンバ504は、流れ排除を容易にするためにフィルタ508の各孔506を通して少量の流れを引き込んでもよい。フィードの流れは、入口502を介して保持物チャンバ501に入ってもよい。保持物粒子は、保持物出口503で採集されてもよく、濾過物粒子は、濾過物出口507で採集されてもよい。この実施形態は、少なくとも1つのキャリア流入口521をさらに備えてもよい(図15B)。保持物粒子がキャリアの流れのストリーム522の中に採集されるように、キャリアの流れのストリーム522はフィードの流れのストリーム523と並んで確立されてもよい。また、キャリアの流れは保持物粒子の純度を増加させる。
【0206】
多重フィルタモジュール
2つのデュアルフィルタモジュールが保持物チャンバ又は濾過物チャンバをさらに共有して多重フィルタモジュールを形成することができる(図16)。図16Aに示された実施形態では、2つのデュアルフィルタモジュール(図14A)が濾過物チャンバを共有し、1つのモジュールに4個のフィルタを有する多重フィルタモジュールを形成する。さらに、2つよりも多くのデュアルフィルタモジュールもまた保持物チャンバ又は濾過物チャンバを共有して多重フィルタモジュールを形成することができる(図16B)。デュアルフィルタモジュール設計はまた、フィルタモジュールと組み合わされて3個のフィルタを備える多重フィルタモジュールを形成してもよい。多重フィルタモジュール設計はまた、同様の方法でフィルタモジュールと組み合わされてもよい。
【0207】
フィルタカスケードモジュール
幾つかの実施形態では、2つ以上のフィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、又は多重フィルタモジュールが直列に接続されて「フィルタカスケードモジュール」を形成してもよい。図17Aに示された実施形態では、2つの実質的に同一のフィルタモジュール171、172が直列に接続される。第2のモジュール172の入口177は、第1のモジュール171の出口503、507と流体接続される。フィード粒子は、第1のモジュール171の入口502に入ってもよく、第1のフィルタ173によって保持物及び濾過物に分離されてもよい。装置が層流条件で作動されるときに、保持物及び濾過物は、分離後に対流混合することなく2つの層流のストリームを並行して形成してもよい。2つの粒子ストリームが第2のモジュール172に入る際に、第1のモジュール171からの濾過物が第2のフィルタ174に直面する場合があり、これにより幾つかの粒子が保持される場合がある。フィルタカスケードモジュール170の保持物は、出口503で収集されてもよい。フィルタカスケードモジュール170の濾過物は、概してフィルタ173、174の両方を通過してもよく、出口507で収集されてもよい。この実施形態は、第1のフィルタ173によって保持されない場合がある粒子が第2のフィルタ174によって保持される場合があるため、保持物粒子の回収率を増加させる。同様に、2つ以上のデュアルフィルタモジュールが、直列に組み合わされてフィルタカスケードモジュールを形成してもよい(図17B)。第2のモジュール172の入口177は、第1のモジュール171の出口503、507と流体接続されてもよい。2つよりも多いデュアルフィルタモジュールが同様の方法で接続されてもよい。多重フィルタモジュールのような他のフィルタ構成もまた、直列に組み合わされてフィルタカスケードモジュールを形成してもよい。
【0208】
直列に接続されてフィルタカスケードモジュールを形成するフィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、又は多重フィルタモジュールは、実質的に同一であってもよいし又は実質的に同一でなくてもよく、実質的に同一の有効孔径又は保持サイズを有してもよいし又は有さなくてもよいことが理解される。フィルタカスケードモジュールの実施形態のうちのいずれでも、モジュールの保持物チャンバは、キャリア流入口をさらに備えてもよい。図17Cは、2つのデュアルフィルタモジュール171、172を備えるフィルタカスケードモジュールの実施形態を示す。デュアルフィルタモジュール172は、キャリア流入口175を備え、これはチャネル及び通り穴176を備えてもよい。図17Dは、2つのキャリア流体入口521、175を備える2つのデュアルフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの実施形態を示す。
【0209】
実質的に異なる有効孔径又は保持サイズの異なるフィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、又は多重フィルタモジュールが組み合わされて、フィードを複数のフラクションに分画することができるフィルタカスケードモジュールを形成してもよい。図18Aに示された一実施形態では、カスケードモジュール180は、第1のフィルタモジュール181及び第2のモジュール182を備える。第1のモジュール181は、フィードのための入口502及び本明細書では「フラクション1」と呼ばれる第1の保持物のための出口503を備える第1のチャンバ501を備える。第1のフィルタ508は、第1のチャンバ501と第2のチャンバ504との間に配置される。第2のチャンバは、流れ排除を容易にするために第1のフィルタ508の孔を通して少量の流れを引き込むように設計されてもよく、第1のフィルタからの濾過物を第1の濾過物として受け入れてもよい。第1のモジュール181の濾過物出口183は、第2のモジュール182の入口184と流体接続される。第2のモジュール182は、第1の濾過物の部分群を出口510で採集される「フラクション2」として保持してもよいフィルタ509を備える。第3のチャンバ511は、第2のフィルタ509の濾過物を受け入れるために位置付けられてもよく、流れ排除を容易にするために第2のフィルタの孔を通して少量の流れを引き込んでもよい。第2のフィルタ509の濾過物は、出口507を介して出てもよく、本明細書では「フラクション3」と呼ばれる。第2のモジュール182は、第1のモジュール181の保持サイズよりも小さい保持サイズを採用してもよい。2つのモジュール181、182は、第2のチャンバ504の長さを減少させるように配列することができる(図18B)。図18Cに示された本開示の別の実施形態では、カスケードモジュール180は、第1のフィルタモジュール181及び第2のモジュール182を備える。第2のモジュール182の入口184は、第1のモジュール181の出口183、186に接続される。モジュール180が層流条件の下で作動されるときに、第1のモジュール181からの濾過物及び保持物は、対流混合することなく2つの分離された流れのストリームとして並行して流れてもよい。2つのストリームの間の境界は点線185で示される。カスケードモジュール180は、フィード粒子を3つの異なるフラクション、すなわちフラクション1、フラクション2、及びフラクション3に分画してもよく、これは、それぞれ出口503、510、及び507を介して収集されてもよい。フラクション1の純度を高めるために、入口521を介してキャリア流体が導入されてもよい。
【0210】
図18Dは、剛球粒子を3つのフラクションに分離するときにカスケードモジュールが達成する可能性があるサイズ分布結果を定性的に示す。血液のような複雑なフィードは、3つ以上のフラクションに分離される場合がある。分離は、粒子−粒子相互作用、粒子の変形、及び/又は非ニュートン流体挙動を含む幾つかの因子に基づいていてもよい。
【0211】
デュアルフィルタモジュール及び多重フィルタモジュールは、フィルタモジュールがそうである可能性があるのと類似した様態でカスケードされてフィルタカスケードモジュールを形成してもよい。図19は、2つのこうした実施形態を示す。図19Aは、保持物チャンバ501を共有する状態の、図18Cに示された2つのフィルタカスケードモジュールの鏡像配置を表す実施形態を示す。粒子は、出口503、510、507で分画され、収集される。同様に、図18Cの2つのフィルタカスケードモジュールは、チャンバ504を共有して図19Bに示された実施形態を形成してもよい。
【0212】
フィルタカスケードモジュールは、粒子の機械的特性、例えば、サイズ、形状、変形能力、可撓性、弾性、及び/又は粘度に従って粒子を3つ以上のフラクションに分離するのに有用な場合がある。例えば、フィルタカスケードモジュールは、全血を、リンパ球群、顆粒球群、及び赤血球群に分画してもよい。フィルタカスケードモジュールの別の実施形態は、酵素で消化された脂肪組織を、脂肪細胞、脂肪幹細胞を含む間質血管細胞群、及び血球に分画してもよい。
【0213】
フィルタカスケードモジュールの別の実施形態が図20Aに示される。保持物チャンバ501は、入口502でフィード流体を受け入れてもよい。フィードは、第1のフィルタ508に対して駆動されてもよい。第1の濾過物チャンバ504は、流れ排除を容易にし、且つ第1のフィルタ508から濾過物を収集するために、第1のフィルタ508の孔を通して少量の流れを引き込むように構成されてもよい。第1のフィルタ508の保持物は、第2のフィルタ509に対して第2のフィルタモジュールに入ってもよい。第2の濾過物チャンバ516は、第2のフィルタ509の孔を通して少量の流れを引き込み、且つ第2のフィルタ509から出口513を介して濾過物を収集するように構成されてもよい。第1のフィルタ508の有効孔径は、第2のフィルタ509の有効孔径よりも小さくなるように構成されてもよい。第2のフィルタの保持物は、保持物チャンバ501の出口503を介して採集されてもよい。
【0214】
図20Aの実施形態は、層流作動条件のため、図20Bに示された実施形態に簡略化されてもよい。異なる保持サイズの2つのフィルタ508、509の濾過物が同じ濾過物チャンバ504によって収集されてもよい。2つの濾過物は、対流混合しない場合があり、したがって2つの出口541、542を介して別々に収集されてもよい。
【0215】
図20A及び図20Bに示された実施形態では、フィード粒子は、3つのフラクション、すなわち、第1のフィルタ508の濾過物(フラクション3)、第2のフィルタ509の濾過物(フラクション2)、及び第2のフィルタ509の保持物(フラクション1)に分画されてもよい。剛球粒子を含むフィードに対する、3つのフラクションのサイズ分布の例が図20Cに定性的に示される。フィルタカスケードモジュールは、2つのフィルタモジュールがデュアルフィルタモジュールを形成する場合がある(図14、15)のとほとんど同様に、デュアルフィルタカスケードモジュール(図21)を形成してもよいことが分かる。図20A及び図20Bのデュアルフィルタモジュールは、図14Aの2つのデュアルフィルタモジュールが図17Bに示されたカスケードモジュールを形成する場合があるのと同じ様態でさらにカスケードしてカスケードモジュールを形成してもよい。
【0216】
フィルタカスケードモジュールは、2つ以上のフィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、又は多重フィルタモジュールのカスケードを備えてもよいことが分かる。
【0217】
フィルタカスケードモジュールの上記の実施形態はまた、保持物の純度を高め、粒子を洗浄し、粒子をキャリアの流れと異なる試薬で処理し、又は粒子を標識するためにキャリアの流れ又は複数のキャリアの流れを採用してもよい。
【0218】
デュアルフィルタカスケードモジュールは、フィードを3つよりも多いフラクションに分離するために、2つよりも多い保持サイズのフィルタを備えてもよいことが分かる。上記で説明されたデュアルフィルタカスケードモジュールの実施形態は中心線に関して対称であるが、デュアルフィルタカスケードモジュールは、非対称であってもよく、又はさらに中心線を挟んで両側に異なる有効孔径のフィルタを備えてもよいことも分かる。
【0219】
他のモジュール構成
本開示の別の実施形態では、保持物チャンバ、フィルタ、及び濾過物チャンバを備えるフィルタモジュールは、湾曲されてもよい。こうしたフィルタモジュールの実施形態は、長いフィルタ長さが望まれるときに、減少されたフットプリントの利点を有し得る。代替的に、フィルタモジュール及びフィルタカスケードモジュールは、蛇行した形状に配列されてもよい。
【0220】
モジュールは、異なるフィルタ特徴を得る方法で組み合わされてもよい。例えば、図22Aは、保持物粒子を効果的に濃縮する本開示の実施形態を示す。フィードは、入口220を介して第1のモジュール221に入ってもよい。第1のモジュールは、フィードの中の標的粒子をその保持物として濃縮してもよい。保持物は、フィードとして第2のモジュール222に入ってもよく、出口225を介して出る前に再び濃縮されてもよい。各モジュールがそのフィードを1/5の体積減少率で濃縮する場合、2つのモジュールが合わせて1/25に体積を減少させる可能性がある。より一層濃縮された出力を得るために、より多くの、例えば、3、4、又は5個のモジュールが同様の方法で一緒に連結されてもよい。3つのモジュールが同様の方法でカスケードされる場合、且つ各モジュールが1/4の体積減少率を有する場合、3つのモジュールが合わせて1/64に体積を減少させる可能性がある。モジュールは、同じ体積減少率で粒子を濃縮する必要はないことが分かる。
【0221】
図22Bは、保持物粒子が効果的に洗浄される可能性がある本開示の実施形態を示す。フィードは、入口227を介して第1のモジュール223に入ってもよい。キャリア流体は、入口226を介して導入されてもよい。第1のモジュールの保持物は、キャリアの流れによって「洗浄され」てもよく、第2のモジュール224に入ってもよい。第2のモジュールは、第2のキャリアの流れのための入口228を備えてもよい。入口228は、この実施形態では通り穴を備えてもよい。第2のキャリアの流れは、第1のキャリアの流れと同一であってもよいし又は同一でなくてもよい。第1のモジュール223からの保持物は、第2のモジュール224の中の第2のキャリアの流れによって洗浄されてもよい。この実施形態は、濾過物粒子群をより完全に減少させ、且つ保持物粒子群のより高度の精製を得るために用いられてもよい。これはまた、キャリアの流れを用いて保持物粒子を処理する、洗浄する、又は標識するのに用いられてもよい。例えば、キャリアの流れは、保持物群上の標的抗原に対する抗体を含んでもよい。保持物粒子がキャリアの流れのストリームの中に移動する際に、標的粒子が抗体によって標識されてもよい。2つよりも多いモジュールが同様の方法でカスケードされてもよいことが分かる。
【0222】
図23A、図23B、及び図23Cは、構成するモジュールが互いにオフセットされる、デュアルフィルタモジュールの実施形態を示す。図23Bに示された実施形態では、フィード粒子は、入口230を介して保持物チャンバ236に入ってもよい。粒子は、フィルタ237によって保持物フラクション及び濾過物フラクションに分離されてもよい。濾過物は、濾過物チャンバ231を通して流れてもよく、別のチャンバ232に入ってもよい。このチャンバ232は、第1のフィルタ237からの濾過物が通過するのを許してもよいが、チャンバ232はまた、第2のフィルタ238のための保持物チャンバとしての役目を果たしてもよい。層流条件のため、保持物及び濾過物は、対流混合しない場合があり、それらが保持物チャンバ232を通して流れた後で収集されてもよい。第1のフィルタ237及び第2のフィルタ238からの濾過物フラクションは、それぞれ第1の出口235及び第2の出口234を介して出てもよいが、一方、両方のフィルタ237,238の保持物フラクションは、出口233を介して収集されてもよい。同様に、図23Cに示された実施形態では、第1の保持物チャンバ236からの保持物と第1の濾過物チャンバ231からの濾過物は、第2の保持物チャンバ232を通して並行して流れてもよい。層流条件の下で、保持物及び濾過物は対流混合しない。点線239は、それぞれ2つの異なる出口233,235を介して出てもよい保持物と濾過物との間の流体境界面を示す。
【0223】
図23Dは、多重フィルタモジュールの実施形態を示す。このモジュールは、互いに対する鏡像として図23Cに示された2つのモジュールを備える。濾過物チャンバ231と保持物チャンバ232は共有される。流れが層流であるため、濾過物ストリームと保持物ストリームは対流混合しない可能性がある。ストリームの間の境界面は点線239で示される。濾過物ストリームは、出口234、235を介して収集されてもよく、一方、保持物ストリームは、出口233を介して収集されてもよい。
【0224】
図23Eは、フィルタカスケードモジュールの実施形態を示す。このフィルタカスケードモジュールは2つのモジュール2310、2311を備え、その各々は図23Cに示されたモジュールを備える。
【0225】
上記で説明された種々のフィルタモジュールの設計及び構成は、単なる例であって、限定することを意図されないことが理解される。本開示の精神において、フィルタは、図9に示すように種々の断面の柱を備えてもよい。モジュールは、種々の方法で組み合わされ及び/又はカスケードされて、デュアルフィルタモジュール、多重フィルタモジュール、種々のフィルタカスケードモジュールなどを形成してもよい。キャリアの流れ又は複数のキャリアの流れは、濾過物群の減少、濾過物群の除去、粒子の洗浄、粒子の標識、粒子の処理などを容易にするために種々のモジュールに導入されてもよい。
【0226】
流れ排除のための構造条件
物理的孔径よりも実質的に小さい有効孔径を達成するために、濾過装置の濾過物チャンバは、徐々に拡大するように構成されてもよい。当業者は、本開示の実施形態で流れ排除が起こる可能性がある条件を考慮することができる。
【0227】
如何なる特定の数式、方程式、導出、及び理論にも縛られることなく、流れ排除を助長する可能性がある条件が以下で説明される。例えば、図12に示された実施形態を考えてみる。孔を通した流れはチャンバの拡大及び縮小、例えば、濾過物チャンバの広がり及び/又は保持物チャンバの狭まりによって制御されるので、「比例濾過物チャンバ断面積」wを濾過物チャンバの断面積とすべてのチャンバの断面積との比と定義することとし、この場合、断面は平均流れ方向に対して実質的に垂直にとられる。図12に示された実施形態と同様に濾過モジュールが実質的に一定の深さのチャンバを有するとき、「比例濾過物チャンバ断面積」wは、
【数2】
であり、ここで、aは、保持物チャンバの幅であり、bは、対象とする断面での濾過物チャンバの幅である。チャンバの中のすべての流れのフラクションとしての孔を通した流れは、孔の周りの「比例濾過物チャンバ断面積」の増分に実質的に依存する。図12に示された実施形態では、増分は、次式のように表わされる。
【数3】
【0228】
他方では、孔を通して引き込まれる量が、孔開口部の面積及び孔を通した平均流速にほぼ比例するため、及びチャンバを下降する流れの量が、チャンバの全断面積及びチャンバの平均流速にほぼ比例するため、チャンバの中の流れのフラクションとしての孔を通した流れは、物理的孔径の二乗をチャンバの全断面積で除したものに実質的に比例することが予想される。
【0229】
孔を通した流れが物理的孔径が許す可能性がある流れよりも弱いときに流れ排除が起こる(図4)ので、実質的な流れ排除が起こるための1つの条件は、したがって以下のようになる可能性がある。
【数4】
【0230】
分母の係数3は、コンピュータシミュレーション(図4)によって推定された比例係数である。この基準は、本明細書では「濾過物チャンバ拡大基準」と呼ばれる。本開示の幾つかの実施形態では、濾過モジュールは、保持物チャンバ、濾過物チャンバ、並びに物理的孔径を有する柱及び孔を備えるフィルタを備え、濾過物チャンバは、「濾過物チャンバ拡大基準」を満たす割合で拡大する。本開示の幾つかの実施形態では、濾過物チャンバが広がる角度(単数又は複数)、すなわち、フィルタと濾過物チャンバ側壁との間の変化する又は一定の角度(単数又は複数)は、非常に小さい、例えば、約0.1度、0.2度、0.3度、0.5度、0.7度、1度、1.5度、2度、2.5度、3度、又は5度である。
【0231】
流れ排除を助長する可能性がある別の条件は、より多くの孔が存在するときに各孔を通した流れが減少する場合がある及び流れ排除が起こる場合があるので、濾過モジュールに多数の孔を組み込むことである。前の導出と同様に、流れ排除に必要とされ得る孔の数は、濾過物チャンバで収集される流れの量及び物理的孔径を備える孔によって許される流れの量に実質的に依存することが予想される。したがって、流れ排除に必要とされ得る孔の最小数は、濾過物チャンバ出口の断面積と物理的孔径の二乗との間の比に実質的に比例し得る。したがって、実質的な流れ排除に対する別の条件は、以下の通りであってもよく、
【数5】
ここで、Nは、モジュールにおける孔の数であり、kは、濾過モジュールの出口側の「比例濾過物チャンバ断面積」である。比例係数3は、コンピュータシミュレーションを用いて推定される。この基準は、本明細書では、「最小孔数基準」と呼ばれる。図12に示された実施形態に対して、実質的な流れ排除の条件は、以下の通りであってもよい。
【数6】
【0232】
本開示の幾つかの実施形態では、濾過モジュールは、保持物チャンバ、濾過物チャンバ、並びに物理的孔径を含む柱及び孔を備えるフィルタを備え、孔の数は「最小孔数基準」を満たす。
【0233】
上記の理論、数式、方程式、及び導出は、限定することを意図されないことが理解される。「濾過物チャンバ拡大基準」及び「最小孔数基準」は、フィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、多重フィルタモジュール、及びフィルタカスケードモジュールを含むがこれらに限定されない、本開示の濾過モジュールに係る種々の実施形態に適用されてもよいことが分かる。
【0234】
濾過ユニット
本開示の一実施形態は、上で開示された濾過モジュール、流体チャネル、及びポートを備える濾過ユニットである。流体チャネルは、ポートとモジュールとの間の流体接続を提供するように構成されてもよい。流体チャネルはまた、モジュールの中の所望の流れ分布、例えば、モジュールの中のフィード及びキャリア流体の正確な割合及び/又は所望の作動条件の下で保持物及び濾過物として収集された流体の正確な割合を確立するために適切な流体抵抗を提供するように構成されてもよい。
【0235】
高モジュール密度装置
本開示の幾つかの実施形態の大きな利点の1つは、小型の装置フットプリント及び低い剪断を維持しながら、流れ排除に基づく粒子濾過のための高スループット及び高キャパシティの装置を使用できるようにすることである。上で開示されたモジュール及びユニット構成は小型であり、高モジュール密度の装置に容易にパターン化されてもよい。こうした装置は、拡大縮小できるキャパシティ及び処理スループットを有し得、臍帯血の体積減少、細胞洗浄、幹細胞の単離、間質血管細胞群の調製、血漿分離、及び骨髄幹細胞の濾過のような多くの用途に極めて有用な場合がある。これらの小型装置の多くを一緒に1つの装置としてスタッキングすることは、より一層高いキャパシティ及びスループットを提供する可能性がある。
【0236】
本開示の別の実施形態では、装置は複数の濾過ユニットを備え、各濾過ユニットは、上記で開示されたモジュール及びモジュールと流体接続される流体チャネルを備える。本開示のさらに別の実施形態では、複数の濾過ユニット、例えば、約3、5、8、10、15、20、30、50、75、100、150、200、300、500、800以上の濾過ユニットが単一の装置上に高密度構成で配置される。こうした装置は、本明細書では「高モジュール密度装置」と呼ばれる。
【0237】
図24A〜図24Fは、スループット及びキャパシティを増加させるために濾過ユニット249が繰り返される、高モジュール密度装置の幾つかの実施形態を示す。図24Aでは、それぞれがデュアルフィルタモジュールを備える8個の濾過ユニットが配置される。モジュールのフィード入口502、保持物出口503、及び濾過物出口507は、それぞれ入口チャネル244及び出口チャネル245、246を用いて入力ポート241及び出力ポート242、243に接続される。
【0238】
チャネル244、245、246を横切る流れの抵抗は、作動条件の下で入口502に入る及び出口503、507を出る流れの適正な量を確立し、且つ個々のモジュールの作動を容易にするように構成されてもよい。チャネル244、245、246を横切る流れの抵抗は、装置がそれに向けて設計される作動条件に応じて、モジュールの流れの抵抗よりも小さくなる、該当する、又はより大きくなるように設計されてもよい。幾つかの実施形態では、入口チャネル及び出口チャネル245、246にわたる流れ抵抗は、デュアルフィルタモジュールの抵抗の約0.01から約0.99倍までであってもよい。
【0239】
本開示の別の実施形態(図24B)では、各デュアルフィルタモジュールは、チャネル248を介して入力ポート247に接続されてもよいキャリア流入口521を備えてもよい。チャネルの流れの抵抗は、個々のモジュールの適正作動を容易にするように設計されてもよい。本開示のさらに別の実施形態(図24C)では、多重フィルタモジュールがチャネルを用いて入力ポート及び出力ポートに接続される。本開示のさらに別の実施形態(図24D)では、多くのモジュールが入力ポート241及び出力ポート242を共有してもよい。モジュールをポートに接続するチャネルは、実質的に等しい抵抗を有するように設計されてもよい。本開示のさらに別の実施形態(図24E)では、モジュールは、円形ディスク上に配置されてもよい。図24Eの実施形態では、ディスクは、ディスク上に配置されたモジュールを通して流体を駆動する可能性がある遠心力を発生させるために、中心軸を中心として回転してもよい。
【0240】
モジュールは、ただ1列に配置されることに限定されない。モジュールの2つ以上の列が1つの装置として配置されてもよい。モジュールの2つ以上の列では、ポートを共有し且つ装置のフットプリントを減少させるために、より多くの可能な配列が存在する。図24Fは、共通のフィード入力ポートを共有する2列に配置された複数の20個のデュアルフィルタモジュールを示す。そのうえ、装置は、高いキャパシティ及びスループットを達成するためにスタックされてもよい(図25)。
【0241】
複数のフィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、フィルタカスケードモジュール、デュアルフィルタカスケードモジュール、多重フィルタモジュール、多重フィルタカスケードモジュール、他の構成、又は上記のモジュールの任意の組合せが、あらゆる可能な2次元又は3次元の関係性で互いに対して位置付けられてもよいことが分かる。
【0242】
濾過装置の製造技術
本開示に係る装置の実施形態を製作するために種々の技術が用いられてもよい。本開示の一実施形態では、装置は、微細加工されてもよい。微細加工技術は、当該技術分野では公知の技術、例えば、シリコンベースの集積回路製作、エンボス加工、ソフトエンボス加工、鋳造、インプリンティング、成形、射出成形、押出し、ステレオレーザリソグラフィ、選択的レーザ焼結、感光性ガラスリソグラフィ及びウェットエッチング、コンピュータ数値制御(CNC)機械加工、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ソフトリソグラフィ、超音波マイクロミリング、厚膜フォトレジストリソグラフィ、上記の技術の組合せなどに慣習的に用いられる技術から選択されてもよいが、これらに限定されない。適切な製作技術の例は、フォトリソグラフィ、深堀反応性イオンエッチング、ウェットエッチング、成形、エンボス加工、インプリンティング、レーザアブレーション、厚膜フォトレジストリソグラフィ、ソフトリソグラフィ、放射線トラックエッチング、及び他の技術を含む。濾過装置の幾つかの態様及び実施形態は、対象とする特定の用途に存在する条件と適合する材料で作製されてもよい。こうした条件は、pH、温度、有機溶媒、生体適合性、イオン強度、圧力、電場の印加、固着特性、表面電荷、表面機能付与、表面処理、ウェット角度、親水性、疎水性、機械的強度、及び熱膨張を含んでもよいが、これらに限定されない。装置の材料はまた、それらの光学特性、機械的特性、化学特性、溶媒への耐薬品性、溶解特性、及び装置で実施されることになる用途の成分へのそれらの不活性さに関して選択されてもよい。こうした材料は、ガラス、溶融石英、シリコンゴム、シリコン、セラミックス、感光性ガラス、プラスチック、ポリマー材料、感光性ポリマー、厚膜フォトレジスト、SU−8レジスト、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、感圧性材料、Teflon、アクリル、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含んでもよいが、これらに限定されない。装置は、標準滅菌技術、例えば、ガンマ線照射、エチレンオキシド(EO)滅菌、紫外光照射、オートクレーブ処理などを用いて滅菌されてもよい。
【0243】
ミクロ流体濾過モジュール、ユニット、及び装置を特徴付けるための効率メトリック
他のミクロ流体装置に比べて、本開示の幾つかの態様及び実施形態は、流れ排除のための条件をより一層効率よく生み出す。本開示に係るフィルタモジュールの実施形態は、1つの物理的に小型の装置、例えば、所望のキャパシティ及び/又はスループットを有する高モジュール密度の装置として配置されてもよい。本開示の実施形態は、多くの大きな利点を有してもよい。例えば、本開示の実施形態は、詰まりを生じにくい可能性がある。第2に、本開示の幾つかの態様及び実施形態は、これらの態様及び実施形態が非常に小さいフットプリントと比較的少数の柱を備える場合があるので、比較的容易に製造される可能性がある。第3に、本開示の幾つかの態様及び実施形態は、フィルタされる粒子に対して穏やかとなる傾向がある可能性がある。幾つかの実施形態では、濾過物粒子は、濾過プロセス中に1つのモジュールにつきわずか1つの孔を通り抜ける可能性がある。第4に、本開示の幾つかの態様及び実施形態は、粒子は他の設計が与える可能性がある一定の衝突及び散乱を受けないので、小さな拡散を導入する。小さな拡散は、結果として非常に効率的な分離をもたらす可能性がある。
【0244】
本開示の態様及び実施形態は、製造が容易であり且つ費用効果の高い、高スループット、低剪断、及び小型の濾過装置を含んでもよい。装置設計効率及び製造に必要とされる潜在的な労力を定量化するためにメトリックを定義することができる。ミクロ流体濾過装置を製造するのに必要とされる潜在的な労力を反映する1つのメトリックは、装置の滞留体積である。滞留体積は、装置内部の空隙体積であり、装置製作プロセス中に除去され又は押しのけられる材料の量を表し得る。例えば、ミクロ流体濾過装置をシリコンで製作するための1つの方法は、フォトリソグラフィに続いて反応性イオンエッチングである。ウェハ上に作製できる装置の数は、装置にエッチングされた領域のサイズに依存し、一方、反応性イオンエッチングの機械加工時間は、エッチング深さに依存する。装置の滞留体積は、大体、エッチングされた面積のサイズ×エッチング深さとなる可能性があり、したがって、装置を製作するのに必要な労力及びコストを表す可能性がある。例えば、微細製造を用いてシリコンで微細加工された濾過装置に対して、より大きい滞留体積を装置が有するにつれて、より多くのウェハ材料、フォトリソグラフィの労力、及びエッチングの機械加工時間が必要とされることになる。射出成形のような他の装置製作技術もまた、結果として滞留体積と装置を作製するのに必要とされる労力との間の同様の相関関係をもたらす。
【0245】
1つ又は複数の濾過モジュール、例えば、フィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、フィルタカスケードモジュール、又は多重フィルタモジュールを備えるミクロ流体濾過装置に対して、濾過モジュールの滞留体積は、濾過モジュール及び又は装置を特徴付ける良好なメトリックとしての役目を果たすことができる。本開示の幾つかの態様及び実施形態は、小さい滞留体積をもつ濾過モジュールを備え、例えば、濾過モジュールは、<1μl、<0.3μl、<0.1μl、<0.03μl、<0.01μl以下の滞留体積を備えてもよい。本開示の幾つかの例示的な実施形態の滞留体積は、以下の実施例のセクションで計算され、開示される。
【0246】
モジュールを製造するのに必要な労力を推定するために定義することができる別のメトリックは、本明細書では、体積あたりの濾過ユニットの数として定義される「濾過ユニット密度」である。より具体的には、「濾過ユニット密度」は、以下のように計算され得る。
【数7】
【0247】
例えば、100個の同一の濾過ユニット、2cm×2cmのフットプリント、及び50μmの平均特徴的チャネル深さを有する高モジュール密度装置を考えると、「濾過ユニット密度」は100/[(2cm×2cm)×50μm]であり、これは5,000cm−3に等しい。こうした「濾過ユニット密度」は、原則として、サイズが立法センチメートルの、5,000個までの濾過ユニットを高モジュール密度装置にパックできることを意味する。装置のスループットが装置におけるモジュールの数に依存し、コストが装置の流体特徴の体積量に対応する傾向があるので、有用性を高め、且つミクロ流体濾過装置のコストを減らすために、装置の「濾過ユニット密度」を最大にすることが望ましい場合がある。本開示の幾つかの態様及び実施形態は、装置が高い「濾過ユニット密度」を有することを可能にする。本開示の幾つかの例示的な実施形態の「濾過ユニット密度」は、以下の実施例のセクションで計算され、開示される。
【0248】
装置フットプリント及びチャネル深さに加えて、ミクロ流体分離装置の重要な性能仕様は、単位時間当たりに処理されたフィード粒子の数として定義される、粒子処理速度である。装置の粒子処理速度を特徴付けるために、製造の難しさ及び装置のコストと相関関係がある装置フットプリント及び流体チャネル深さを考慮に入れることが重要な場合がある。「正規化された処理速度」は、ミクロ流体分離装置に関して以下のように定義されてもよい。
【数8】
【0249】
装置が高い正規化された処理速度を有することが望ましい場合がある。本開示の多くの態様及び実施形態は、分離装置が高い「処理速度指数」を有することを可能にする。本発明の幾つかの例示的な実施形態に対する処理速度指数は、以下の実施例のセクションで計算され、開示される。
【0250】
ミクロ流体分離装置の効率及び製造コストに関係する別の重要な因子は、作動流速である場合がある。流速を増加させることは、多くの場合において製造コストを増加させることなく装置のスループットを増加させる。しかしながら、この手法は、剪断応力が懸念される用途では大きな制限を付随する可能性がある。増加した流速は、より高い剪断応力条件をもたらし、潜在的な粒子損傷及び/又はフィルタのファウリングを招く可能性がある。細胞濾過用途では、剪断が制限されることが望ましい場合がある。細胞は、高い剪断応力に弱い場合があり、高い剪断応力によって活性化され、損傷され、変質され、又はさらには溶解される場合がある。本開示の多くの態様及び実施形態は、剪断を制限しながら流速を最大にすることを可能にする。
【0251】
分離装置を通して流れる異なるミクロ流体のスループットを比較するときに、1つには、装置フットプリント、チャネル深さ、及び作動剪断条件に従ってスループットを正規化することが望ましい場合がある。さらに、スループットは、より大きい保持サイズをもつ装置はより高いスループットを有する傾向があるので、濾過装置の特徴的な保持サイズの二乗によって正規化されてもよい。本明細書でのミクロ流体分離装置の正規化されたスループットを表す「設計効率指数」(D.E.I.)は、以下のように定義され、
【数9】
ここで、Qは、装置がフィードを処理するときの体積スループットであり、Sは、粒子が装置を通して流れるときに経験する最大ずり速度であり、Aは、装置フットプリントであり、これは面積であり、Dは、装置チャネルの特徴的な深さであり、Rは、装置の保持サイズである。本明細書でのずり速度は、速度に対して垂直な方向の流体の速度勾配として定義され、1/時間のディメンションを有する。設計効率指数は、1/長さ2のディメンションを有し、装置のサイズ、チャネル深さ、作動剪断条件、及び保持サイズに関係なく装置の固有特性として考えられてもよい。
【0252】
「設計効率指数」は、装置設計の有用性の良好な指標であり得る。高い設計効率指数をもつ装置は、高スループットであってもよく、小型で、穏やかで、且つ製造が容易であり得る。設計効率指数は、粒子濾過装置を通過するミクロ流体の固有のスループット性能を特徴付けるのに極めて有用な場合があり、作動条件は、流れが層流であり、レイノルズ数Reが低く、例えば、<0.01、<0.1、<1、<10、<100、又は<500であり、粒度範囲が約50nmから約300μmまでの間であるような条件である。
【0253】
本開示の態様及び実施形態は、高い設計効率指数の装置を可能にし得る。本開示の幾つかの例示的な実施形態の「設計効率指数」が、以下の実施例セクションで計算され開示される。
【0254】
本開示の態様及び実施形態は、濾過装置、特にミクロ流体分離装置が、滞留体積、濾過ユニット密度、正規化された処理速度、及び/又は設計効率指数メトリックによって特徴付けられる、装置性能及び費用効率を顕著に改善する設計特徴を備えることを可能にし得ることが分かる。
【0255】
システム
粒子を濾過するためのバッグシステム
本開示の幾つかの実施形態では、高モジュール密度装置は、フィルタカートリッジの中に格納され、チューブライン及びバッグに接続されて、閉じたシステムを形成する。こうしたシステムは、臨床的用途、例えば、臍帯血体積減少、末梢血成分分離、羊水からの幹細胞単離、骨髄濾過、白血球減少、血漿分離、間質血管細胞群(SVF)の生成などに特に有用な場合がある。処理される粒子サンプルは、外部の汚染物質に露出されない可能性がある。さらに、粒子サンプルは、システムに収容されてもよく、これにより取扱者へのバイオハザードの恐れを低減させる。
【0256】
図26A〜図26Eは、ハウジング260と複数の高モジュール密度装置261とを備えるフィルタカートリッジの実施形態を示す。ハウジング260は、フィードチャネル262、保持物収集チャネル263、及び濾過物収集チャネル264を備えてもよい。チャネルは、カートリッジをチューブに接続してバッグシステムを形成することができるように、取付具265、266、267に接続されてもよい。カートリッジ260は、高い体積スループットを達成するために装置がフィードを並列に処理できるように、フィードを高モジュール密度装置261にわたって分散させてもよい。カートリッジ260はまた、高モジュール密度装置261から保持物及び濾過物を収集してもよい。図26D及び図26Eに示すように、複数の高モジュール密度装置261は、フィード、保持物、及び濾過物が交差汚染されないように、適正な封止を提供するためにガスケット268を用いて積み重ねられてもよい。代替的に、高モジュール密度装置261は、接着され又は結合されてもよい。
【0257】
フィルタカートリッジの異なる部分を互いに接着する、結合する、超音波結合する、クリップで取り付ける、又はねじで取り付けることができる。カートリッジのハウジングは、射出成形、エンボス加工、成形、高温エンボス加工、ステレオリソグラフィ、機械加工などのような標準製造技術を用いてプラスチックで作製することができる。ハウジングのためのプラスチック材料は、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、感圧性材料、Teflon、アクリル、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含んでもよいが、これらに限定されない。ガスケットは、ダイカット、成形、ウォータージェットなどのような標準技術を用いてシリコン、ラテックス、ネオプレン、ビニルゴムのようなゴム材料で作製することができる。
【0258】
図27A〜図27Cは、複数の高モジュール密度装置、濾過物収集バッグ273、及び保持物収集バッグ272を備えるカートリッジ270を備えるバッグシステムを示す。バッグ272、273は、チューブ275、276を用いてカートリッジ270に接続されてもよい。カートリッジ270のフィード入口は、チューブ274を用いてアダプタ271に接続されてもよい。アダプタ271は、ポート279でサンプル収集バッグ278に貫入し、サンプル収集バッグ278の中のフィード粒子が濾過のためにカートリッジに入ることを可能にするように設計された部位(sike)を備えてもよい(図27B)。フィードは、上で説明されたフィード又は粒子、例えば、血液、臍帯血、末梢血幹細胞、骨髄などを含んでもよい。アダプタ271がサンプル収集バッグ278に差し込まれた後で、バッグシステムは、重力の下で吊り下げられてもよく(図27C)、これは高モジュール密度装置を通してフィードを駆動する可能性がある。代替的に、サンプルバッグ278を押しつぶしてフィルタカートリッジ270を通してサンプルを駆動するために圧力をかけることができる。代替的に、流体をポンプするために蠕動ポンプを適用することができる。サンプル収集バッグ278は、患者又は臍帯のようなサンプル源からのサンプル収集を容易にするために針2710をさらに備えることができる。
【0259】
バッグの体積容量は、システムがそれに向けて設計される特定の用途に依存し得る。臍帯血バンクの目的で、臍帯血は臍帯から収集される。サンプルバッグ278は、約20ml〜約250mlの範囲の臍帯血に加えて約0ml〜約400mlの範囲の抗凝固薬又は添加剤を収容することができ得る。クエン酸・リン酸・ブドウ糖(citrate−phosphate−dextrose)(CPD)及びヘパリンが、臍帯血収集のための抗凝固薬として用いられてもよい。添加剤は、リン酸緩衝生理食塩水、ハンクス平衡塩溶液、血液増量剤(blood expander)、幹細胞増殖培地、増殖因子などを含んでもよい。抗凝固薬又は添加剤は、サンプル収集バッグ278の中に予め入れておくことができる。本開示の一実施形態では、臍帯血用のサンプル収集バッグは、約25ml〜35mlのCPDを収容してもよく、約200mlまでの臍帯血を収集する容量を有してもよい。
【0260】
臍帯血バンクでは、臍帯血は、冷凍する前に血液体積を減らすために処理されてもよい。この実行は、長期貯蔵の経費を減らす可能性がある。本開示のバッグシステムの実施形態は、臍帯血体積減少のために用いることができ、この場合、バッグシステムは、保持物から赤血球及び血漿を分離するように設計された高モジュール密度装置を備える。保持物は、造血幹細胞、前駆細胞、コロニー形成細胞、及びCD34+細胞を含んでもよい。保持物は、冷凍媒体、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)と混合されてもよく、後で治療に用いるために低温保存条件の下で冷凍されてもよい。保持物収集バッグ272は、低温保存冷凍バッグを含んでもよい。本開示の別の実施形態では、保持物収集バッグは、少なくとも2つの区画を備える低温保存冷凍バッグを含んでもよい。本開示のさらに別の実施形態では、保持物収集バッグは、25mlの容量をもつ低温保存冷凍バッグを含んでもよい。
【0261】
バッグシステムは、バッグシステムの中の流体の流れを制御するために、フィードチューブ、保持物チューブ、又は濾過物チューブ上にラインクランプ277をさらに備えることができる(図27)。
【0262】
本開示の別の実施形態では、サンプル収集バッグ281は、チューブライン285を用いてフィルタカートリッジ280に接続されてもよい(図28)。システムは、最初に閉位置にあってもよいラインクランプ287をさらに備えてもよい。サンプル、例えば血液、臍帯血、骨髄などは、サンプル源、例えば、患者、臍帯などから針284を用いて収集されてもよい。システムは、随意的に第2の針を備え、これは、第1の針が詰まったときに用いられてもよい。サンプル収集が完了した後で、ラインクランプ287は、サンプルバッグ281とフィルタカートリッジ280との間の液体接続を可能にするために開位置に切換えられてもよい。サンプルは、重力、圧力、又は蠕動ポンプのような駆動力によって駆動されてもよい。
【0263】
粒子を濾過するための管システム
本開示の別の実施形態では、高モジュール密度装置は、サンプルを濾過するための管システムに組み込まれてもよい。管システムは、遠沈管290、管インサート291、及びキャップ292(図29)を備えてもよい。管インサート291は、高モジュール密度装置293、フィードサンプルリザーバ294、出力リザーバ295、及び随意的にキャリア流体リザーバ296(図30)を備えてもよい。出力リザーバは、高モジュール密度装置293からの濾過物又は保持物を収容するように設計されてもよい。
【0264】
管システムを使用するために、フィードサンプルは、フィードサンプルリザーバに加えられてもよい。随意的に、キャリア流体は、キャリア流体リザーバに加えられてもよい。キャリア流体は、管システムと一緒にキットとして市販されてもよい。キャリア流体は、高モジュール密度装置の中に気泡が形成される恐れを低減するために脱気されてもよく、又は真空の下で、すなわち約0.05気圧から約0.95気圧までの範囲の圧力でボトルの中に予め詰められてもよい。代替的に、キャリア流体は、ホイル、例えばアルミホイルを用いて封止される管インサートの中に予め詰められてもよい。
【0265】
高モジュール密度装置は、フィードサンプルを2つのフラクションに分離することができる。一方のフラクションは、管(図29の290)の中に収集されてもよく、他方のフラクションは、管インサートの中に収集されてもよい。一実施形態では、保持物は管の中に収集されてもよい。別の実施形態では、濾過物は管の中に収集されてもよい。さらに別の実施形態では、フィードサンプルは、3つ以上のフラクションに分画されてもよい。2つ以上の出力フラクションは、インサートを用いて収集されてもよい。
【0266】
管システム(図29)を作動させるために、管290の中に管インサート291が挿入されてもよい。キャリア流体及びフィードサンプルは、それぞれキャリア流体及びサンプルリザーバに加えられてもよい。次いで、管を閉じるためにキャップ292がはめられてもよい。管システムは重力によって駆動することができる。代替的に、管システムは、遠心力によって駆動されてもよく、すなわち、組み立てられた管システムは、遠心分離機で回転されてもよい。システムにおける管は、定番の遠沈管、例えば、50ml、15ml、又は10ml遠沈管、定番のマイクロ遠沈管、例えば、2ml、1.5ml、又は1mlマイクロ遠沈管、又は任意の所望のサイズの定番でない特注の管とすることができる。
【0267】
粒子を濾過するためのカートリッジシステム及びプレートシステム
本開示の別の実施形態では、濾過装置は、ウェルに接続されてサンプル濾過のためのカートリッジを形成してもよい。カートリッジは、フィードサンプル、保持物、濾過物、又はキャリア流体を収容するために、濾過装置及びウェル又はリザーバを備えてもよい。カートリッジは、複数のサンプルの濾過を容易にするために、複数の濾過装置及びリザーバの複数の組を備えてもよい。カートリッジの中のリザーバは、フィルム、例えば、プラスチックフィルム、アルミニウムフィルムなどで封止されてもよい。
【0268】
本開示の他の実施形態では、濾過装置は、ウェルに接続されてサンプル濾過のためのプレートシステムを形成してもよい。システムは、入力流体及び出力流体を収容するために濾過装置及びウェルを備えてもよい。濾過装置は、フィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、フィルタカスケードモジュール、多重フィルタモジュール、高モジュール密度装置、又は本開示で開示された任意のフィルタ構成を備えてもよい。
【0269】
図31A〜図31Cは、高モジュール密度装置3105、サンプルウェル3101、キャリア流体ウェル3102、濾過物ウェル3103、及び保持物ウェル3104を備える本開示のプレートシステムの実施形態を示す。システムを使用するために、フィードサンプル及びキャリア流体は、それぞれサンプルウェル3101及びキャリア流体ウェル3102の中に入れられてもよい。次いで、濾過装置3105を通して流体を駆動するためにサンプルウェル3101及びキャリア流体ウェル3102に圧力がかけられてもよい。代替的に、流体を駆動するために濾過物ウェル3103及び保持物ウェル3104に軽く真空が引かれてもよい。濾過物及び保持物は、それぞれ濾過物ウェル3103及び保持物ウェル3104の中に収集されてもよい。
【0270】
上記で開示された複数のプレートシステムは、1つのプレートシステムとして並列に作製することができる。図32A〜図32Dは、複数の高モジュール密度装置及び96ウェルプレート・フォーマットの96個のウェルを備える本開示の96ウェルプレートシステムの実施形態を示す。このシステムは、標準96ウェルプレート・フォーマットを用いる利点を有し得、標準ピペッティング及び処理ロボット又はワークステーションを用いる標準ワークフローに統合することができる。このシステムは、複数のサンプルを1つのシステムで同時又は連続のいずれかで処理するさらなる利点を有してもよい。代替的に、プレートシステムは、他の標準プレートフォーマットに、例えば、6ウェルプレート、384ウェルプレートなどに設計し及び作製することができる。さらに、プレートシステムは、本開示の精神から逸脱することなく他の非標準プレートフォーマットに設計し及び作製することができる。
【0271】
カートリッジシステム又はプレートシステムに関係する粒子及び流体は、手動で又はピペッティングロボットのような自動化された機器を用いて移されてもよい。
【0272】
粒子を濾過するための他のシステム形式
異なる形式の他のシステムを本開示の精神から逸脱することなく設計し及び作製することができる。例えば、濾過装置は、濾過物、保持物、及び随意的に他のフラクションを試験管又はマルチウェルプレートに分与するために、リザーバ及び分与チップと一体化させることができる。本開示の別の実施形態では、装置は、バキュテイナに接続される。
【0273】
システム製造技術
幾つかの実施形態によれば、上記で説明されたシステムは、射出成形、エンボス加工、成形、高温エンボス加工、ステレオリソグラフィなどのような標準製造技術を用いてプラスチックで作製することができる。ハウジングのためのプラスチック材料は、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、感圧性材料、Teflon、アクリル、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含んでもよい。システムは、標準滅菌技術、例えばガンマ線照射、エチレンオキシド(EO)滅菌、紫外光照射などを用いて滅菌されてもよい。
【0274】
装置及びシステムの作動
本開示の種々の態様及び実施形態では、粒子及び流体は、流体の流れ、駆動圧力、真空、ヘッド高さ、重力、遠心力、磁気力、毛管作用、電場、電気泳動電場、誘電泳動電場、電気浸透力、動電学的力、又は上記の組合せの力を用いて装置又はシステムを通して駆動されてもよい。さらに、可撓性バッグを備える装置又はシステムに対して、バッグに圧力をかけることによって駆動圧力がもたらされてもよい。例えば、バッグは2つの剛性のプレートの間に挟持されてもよい。プレートの間の間隔又はプレート上にかかる圧力を制御することによって、バッグ内に圧力をもたらし、及び制御することができる。
【0275】
粒子及び流体はまた、1つ又は複数のポンプ、蠕動ポンプ、シリンジポンプ、遠心分離機、又は上記の組合せを用いて駆動され又は移されてもよく、1つ又は複数の弁又はラインクランプ、例えば、ピンチ弁、逆止め弁、通気弁、ラインクランプなどを用いて制御されてもよい。さらに、粒子及び流体はまた、閉じたシステム内で、開かれたシステムで、ピペットを用いて、ピペッティングロボットを用いて、1つ又は複数のバキュテイナの吸引を用いて、又は上記の組合せで移されてもよい。
【0276】
本開示の装置及びシステムの態様及び実施形態はまた、温度制御と共に作動されてもよい。濾過プロセスの再現性を増加させる又は濾過プロセスを最適化する目的で、温度制御、例えば、加熱要素、冷却要素、及び温度計構成要素を、装置又はシステムに組み込むことができる。例えば、間質血管細胞群(SVF)調製では、処理される流体の粘度を低下させるために約25Cから約37Cまでの間の装置の温度に設定するのが有利な場合がある。
【0277】
パッケージ及びキット
本開示の別の実施形態では、装置又はシステムは、試薬、例えばキャリア流体が予め詰められ又は予め充填されてもよい。本開示のさらに別の実施形態では、装置又はシステムは、試薬、ユーザ用マニュアル、使用説明書、ラベル、オペレーション・プロトコル、データワークシート、使い捨て部品、収集管、ピペットチップ、注入ピペット、バキュテイナ、テストストリップ、バイオチップ、ラテラルフロー・テストストリップ、細胞計数チャンバ、血球計、及び/又は他の装置と共にパッケージされてキットを形成してもよい。幾つかの装置又はシステムは、1つのキットとしてパッケージされ及び市販されてもよい。本開示の別の実施形態では、装置、システム、又はキットは滅菌されてもよい。本開示のさらに別の実施形態では、装置又はシステムは、別途の無菌の利点のために個々にパッケージされてもよい。
【0278】
本明細書で説明される種々の実施形態は、単なる例であって、本開示の範囲を制限することを意図されないことが理解される。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく本開示の説明された方法及び装置の種々の修正、組合せ、及び変形が当業者には分かるであろう。例えば、本明細書で説明される材料及び構造体の多くは、本開示の精神から逸脱することなく他の材料及び構造体と置き換えられてもよい。さらに、本明細書で説明される流体の流れは、電場、電気泳動電場、及び動電学的流れ、重力、又は遠心力と置き換えられてもよい。本明細書で説明される種々の理論及び解説は、限定することを意図されないことも理解される。例えば、本明細書で説明される実施形態は、本開示の精神から逸脱することなく、粒子を駆動するために、流体の流れ、圧力低下、流体力学的圧力、圧力源、真空、ヘッド高さ、重力、遠心力、電場、電気泳動電場、動電学的力、又は上記の組合せを採用してもよい。
【0279】
本明細書で説明される実施形態のうちの多くにおけるフィルタは柱及び孔を備えるが、流れ排除又は他の非サイズ排除の濾過機構を用いる孔を備える他のフィルタ設計が、本開示の精神から逸脱することなく採用されてもよいことが分かる。本開示の実施形態は、より複雑な装置、システム、又は機器を形成するために他の構成要素又はプロセスと組み合わされてもよいことも分かる。
【実施例】
【0280】
実施例
実施例1.ポリマーミクロスフェアの分離と保持サイズの測定
図14Bで例証されるようなデュアルフィルタモジュールを備える装置を用いて直径3.0μm及び6.9μmの蛍光ポリマーミクロスフェアを分離した。デュアルフィルタモジュールは、深さ30μmのチャネル及びチャンバと、それぞれ165本の柱を備える2つのフィルタを備えるものであった。柱は高さ30μmであり、12μm離間され、これにより12μmの物理的孔径を有する孔をもたらした。保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、孔を通した流量が保持物チャンバ入口での流量の約0.22%から約0.28%までの間であるように設計された。デュアルフィルタモジュールは、長さ約4mm、幅0.25mmであった。
【0281】
装置は、標準微細製造技術を用いてシリコンで作製した。流体チャネル、チャンバ、及びフィルタ構造体を作り出すために、フォトリソグラフィ及び深堀シリコン反応性エッチングを用いた。エッチング深さは30μmであった。陽極結合を用いてシリコン基板をガラスウェハに面するエッチングされたチャネル上で封止して閉じ込められた流体チャネルを形成した。次いで、結合されたウェハを個々の装置に切断した。装置を、サンプル流体を送達するために外部流体リザーバを伴うプラスチック筐体と機械的に嵌合させた。
【0282】
サンプル流体は、1%のウシ血清アルブミンを含有するダルベッコりん酸緩衝食塩液中に懸濁された直径3.0μm及び6.9μmの蛍光ポリマーミクロスフェアを含むものであった。ミクロスフェアの密度は1.05g/cm3であった。サンプル流体中の3.0μm及び6.9μmのミクロスフェアの体積濃度は、それぞれ0.00004%及び0.00048%であり、これらはそれぞれ1μlにつき約28ミクロスフェアであった。こうした濃度では、粒子−粒子相互作用は無視できるほど小さい。
【0283】
蛍光ポリマーミクロスフェアを視覚化するために装置を蛍光顕微鏡上に設置した。装置の準備をするためにプラスチック筐体の中のキャリア流体リザーバにキャリア流体を加えた。キャリア流体は、1%のウシ血清アルブミンを含有するダルベッコりん酸緩衝食塩液を含むものであった。その後、サンプル流体をサンプルリザーバに加えた。次いで、約30cmのヘッド高さをもたらすために両方のリザーバを保持物リザーバ及び濾過物リザーバのレベルよりも高く上げた。重力及びヘッド高さによって装置を通して流体を駆動させた。デュアルフィルタモジュールにおける平均流速は、チャンバにおける約0.45のレイノルズ数に対応する約1.5cm/sであった。レイノルズ数の計算においてチャネル深さを特徴的な長さとして用いた。こうしたレイノルズ数では流れは層流である。
【0284】
装置を通して流れる蛍光ポリマーミクロスフェアを、それらがデュアルフィルタモジュールを離れる際に手動でカウントした。結果は以下のように示される。
【表1】
【0285】
3.0μmのミクロスフェアは、ほとんど保持が起こらないベースラインを表し、約0%の保持率を有する。6.9μmのミクロスフェアに対する保持率は約99%であり、これは、3.0μmのミクロスフェアによって確立されたベースラインよりも実質的に高い。デュアルフィルタモジュールの「保持サイズ」は、したがって、12μmの物理的孔径の<58%である3.0μm〜6.9μmの範囲内となるように決定される。デュアルフィルタモジュールがこうした保持サイズを有するためには、構成する孔の「有効孔径」は6.9μm以下でなければならない。本明細書での例示的な装置は、物理的孔径の<58%の有効孔径を有する。
【0286】
保持サイズ及び有効孔径を測定するためにポリマーミクロスフェアを用いる例示的な方法は、濾過装置の意図された使用に関係なく、保持サイズを特徴付けるための標準試験として他の濾過装置に適用されてもよいことが分かる。例えば、以下の実施例2、3、4、及び5で用いられる装置は、装置が細胞処理を意図されていたにもかかわらず、ポリマーミクロスフェアを用いて特徴付けることができる。
【0287】
実施例2.全末梢血からの白血球の単離
高モジュール密度装置を用いて全末梢血から白血球を単離した。
【0288】
例示的な装置は、それぞれがデュアルフィルタモジュール、キャリア流体入力ポート(図24Bの247)、サンプル入力ポート、保持物出力ポート、2つの濾過物出力ポート、及びデュアルフィルタモジュールとポートを接続するチャネルを備える72個の濾過ユニット(図24Bの249)を備える図24Bで例証されるような高モジュール密度装置であった。装置のチャネル及びチャンバは深さ30μmであった。各デュアルフィルタモジュールは、それぞれ240個の孔を備える2つのフィルタからなるものであった。各孔は、30μm×12μmの断面を有し、これにより12μmの物理的孔径を有した。デュアルフィルタモジュールの保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、孔を通した流量が保持物チャンバの入口での流量の約0.12%から約0.18%までの間であるように設計された。装置は、長さ25mm、幅24mm、厚さ0.6mmであり、600mm2(25mm×24mm)のフットプリントを有するものであった。
【0289】
実施例1で説明した方法を用いて、有効孔径と保持サイズを測定した。装置の保持サイズは、12μmの物理的孔径よりも著しく小さい約4μmであったと推定された。
【0290】
装置は、標準微細製造技術を用いてシリコンで作製した。流体チャネル、チャンバ、及びフィルタ構造体を作り出すために、フォトリソグラフィ及び深堀シリコン反応性エッチングを用いた。エッチング深さは30μmであった。陽極結合を用いてシリコン基板をガラスウェハに面するエッチングされたチャネル上で封止して閉じ込められた流体チャネルを形成した。次いで、結合されたウェハを個々の装置に切断した。装置を、外部サンプル、キャリア流体、保持物、及び濾過物リザーバを備えるプラスチック筐体と機械的に嵌合させた。
【0291】
この実施例ではサンプルにヒト全末梢血を用いた。K2EDTA、ACD、又はヘパリンバキュテイナ(Becton Dickinson、ニュージャージー州フランクリンレイクス)を用いて同意したの成人ドナーから血液を採血した。血液サンプルのヘマトクリットは約40%であった。血液は、1mlあたり40億以上の赤血球を含有した。ヘマトクリットは、赤血球が占める血液体積の割合である。血液は、採血から6時間以内に室温で処理した。0.5%のウシ血清アルブミン及び2mMのK2EDTAを含有するダルベッコりん酸緩衝食塩液をキャリア流体として用いた。
【0292】
装置の準備をするためにプラスチック筐体の中のキャリア流体リザーバに8mlのキャリア流体を加えた。その後、4mlの全血をサンプルリザーバに加えた。約40cmのヘッド高さをもたらすために、両方のリザーバを保持物リザーバ及び濾過物リザーバのレベルよりも高く上げた。重力及びヘッド高さによって装置を通して血液及びキャリア流体を駆動させた。濾過物及び保持物をそれぞれ濾過物リザーバ及び保持物リザーバに収集した。約40分後に、血液が装置を通して完全に処理された。次いで、自動セルカウンタ(Coulter AcT diff hematology analyzer、Beckman Coulter、米国カリフォルニア州フラートン)を用いて濾過物及び保持物を測定し及び分析した。ヨウ化プロピジウム、損なわれた膜をもつ細胞に染み込む染色、血球計、及び蛍光顕微鏡を用いて、単離された白血球の生存度を実行の直後に測定した。
【0293】
結果として得られた保持物体積及び濾過物体積は、それぞれ約3.5ml及び7.6mlであった。白血球は、保持物としてキャリア流体中に収集された。この実験は、2人の異なるドナーからの血液サンプルを用いて2回行った。結果を図33に示す。平均して、全血処理スループットは約5.4ml/時間であった。装置は、1秒あたり6百万を超える細胞を処理する能力を実証した。白血球保持率は約94%であり、赤血球キャリーオーバは約2%であり、小板キャリーオーバは<1%であった。ここで、赤血球キャリーオーバ及び小板キャリーオーバは、それぞれ赤血球及び小板の保持率を指す。処理後の白血球生存度は、処理前の白血球生存度から測定誤差内で区別できなかった。測定は、装置及び単離プロセスが白血球生存度を減少させないこと、及び装置が>99%の生存度で白血球を単離できることを示した。
【0294】
性能及び費用効率メトリックが以下に示される。例示的な装置における濾過モジュールの滞留体積は約0.03μlであった。各濾過ユニットは、480本の柱を備え、8.4mm2未満のフットプリントを占めた(すなわち72個の濾過ユニットで割られる25mm×24mmの装置フットプリント)。チャネル深さ30μm、装置フットプリント600mm2(25mm×24mm)、及び装置上の濾過ユニット72個のとき、装置の「濾過ユニット密度」は、したがって、以下の通りであった。
【数10】
【0295】
例示的な装置の「正規化された処理速度」は以下のように計算される。
【数11】
【0296】
こうした「正規化された処理速度」は、この装置上のチャネル及びフィルタ構造体の1立法ミリメートル毎に、1秒あたり0.33×106個の細胞の処理に寄与することを意味する。
【0297】
例示的な装置の設計効率指数は、以下のように計算される。
フィード処理スループット:Q=5.4ml/hr=1.5mm3/s
特徴的なチャネル深さ:D=30μm=0.03mm
装置フットプリント:A=25mm×24mm=600mm2
保持サイズ:R=4μm=0.004mm
ずり速度:S=1900s−1(以下で計算される)
【0298】
フィード血球が装置の中で経験する可能性がある最大ずり速度は、コンピュータ・モデリングに従ってフィード入口チャネルの表面で生じる。最大ずり速度は、コンピュータ流体力学を用いて計算することができ、又は流れプロフィールがフィード入口チャネルにおいてパラボリックであると仮定して以下のように分析的に推定することができる。装置が144個のフィード入口チャネル(1個のモジュールにつき2個、72個のモジュール)を収容し、各入口チャネルが70μm×30μmの既知の断面を有するという事実から、フィード入口チャネルにおける平均流速<v>は、以下のように計算される。
【数12】
【0299】
パラボリックの流れプロフィールを仮定すると、フィード入口チャネルの表面でのずり速度は、したがって、以下のとおりである。
【数13】
【0300】
例示的な装置の設計効率指数(D.E.I.)は、したがって、以下のとおりである。
【数14】
【0301】
同様に、例示的な装置の濾過ユニットの設計効率指数(D.E.I.)が計算されてもよい。装置上に72個の濾過ユニットが存在したので、各濾過ユニットは、0.0208mm3/s(1.5mm3/sを72で割る)のフィード処理スループットに寄与する。濾過ユニットの平均フットプリントは、8.33mm2(25mm×24mmを72で割る)である。濾過ユニットの設計効率指数(D.E.I.)は、したがって、以下のとおりである。
【数15】
【0302】
装置が単一の濾過ユニットよりもかなり高い処理スループットを有するにもかかわらず、濾過ユニットの設計効率指数は、装置の設計効率指数とちょうど同じである。ほとんど同様にポリマーミクロスフェアは、意図された使用に関係なく装置の保持サイズを測定するために標準試験として用いられてもよく、設計効率指数は、そのチャネルサイズ、作動流速、及び保持サイズに関係なく装置の標準特徴として用いられてもよいことが分かる。
【0303】
実施例3.全血の白血球の減少
実施例2の例示的な装置は、白血球減少フィルタとして役立ってもよい。装置の濾過物は、装置に入る白血球のうちのほんの6%以下を含有した。実施例2は、本開示の装置を、全血から白血球を減少させるのに用いることができることを示した。白血球減少フィルタとしてキャリア流体を伴う又は伴わない他の装置構成が用いられてもよい。
【0304】
実施例4.末梢血からのリンパ球の単離
高モジュール密度装置を用いて末梢血からリンパ球を単離した。
【0305】
例示的な装置は、それぞれが図17Cで例証されるようなフィルタカスケードモジュールを備える87個の濾過ユニットを備える高モジュール密度装置であった。各フィルタカスケードモジュールは、第1のデュアルフィルタモジュール(図17Cの要素171)と、キャリア流体入口(図17Cの要素175)を備える第2のデュアルフィルタモジュール(図17Cの要素172)とを備えるものであった。装置のチャネル及びチャンバは深さ30μmであった。第1のデュアルフィルタモジュールは、それぞれ116個の孔を備える2つのフィルタからなるものであった。各孔は、30μm×12μmの断面を有し、これにより12μmの物理的孔径を有した。第1のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、孔を通した流量が第1のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバの入口での流量の約0.29%であるように設計された。第2のデュアルフィルタモジュールは、それぞれ120個の孔を備える2つのフィルタからなるものであった。各孔は、30μm×12μmの断面を有し、これにより12μmの物理的孔径を有した。第2のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、各孔を通した流量が第2のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバの入口での流量の約0.34%であるように設計された。装置は、長さ21mm、幅24mm、厚さ0.6mmであり、504mm2(21mm×24mm)のフットプリントを有するものであった。
【0306】
装置は、標準微細製造技術を用いてシリコンで作製した。流体チャネル、チャンバ、及びフィルタ構造体を作り出すために、フォトリソグラフィ及び深堀シリコン反応性エッチングを用いた。エッチング深さは30μmであった。陽極結合を用いてシリコン基板をガラスウェハに面するエッチングされたチャネル上で封止して閉じ込められた流体チャネルを形成した。次いで、結合されたウェハを個々の装置に切断した。装置を、外部サンプルリザーバ、キャリア流体リザーバ、保持物リザーバ、及び濾過物リザーバを備えるプラスチック筐体と機械的に嵌合させた。
【0307】
この実施例ではサンプルにヒト末梢血を用いた。K2EDTAバキュテイナ(Becton Dickinson、ニュージャージー州フランクリンレイクス)を用いて承諾年齢の成人ドナーから血液を採血した。血液をハンクス平衡塩溶液で1:1に希釈し、採血から8時間以内に室温で処理した。0.5%のウシ血清アルブミン及び2mMのK2EDTAを含有するハンクス平衡塩溶液をキャリア流体として用いた。
【0308】
装置の準備をするためにプラスチック筐体の中のキャリア流体リザーバに10mlのキャリア流体を加えた。その後、8mlの血液サンプルをサンプルリザーバに加えた。次いで、約45cmのヘッド高さをもたらすために、両方のリザーバを保持物リザーバ及び濾過物リザーバのレベルよりも高く上げた。重力及びヘッド高さによって装置を通して血液及びキャリア流体を駆動させた。濾過物及び保持物をそれぞれ濾過物リザーバ及び保持物リザーバに収集した。約40分後に、血液が装置を通して完全に処理された。次いで、自動セルカウンタ(Coulter AcT diff hematology analyzer、Beckman Coulter、米国カリフォルニア州フラートン)を用いて濾過物及び保持物を測定し及び分析し、リンパ球、単球、顆粒球、赤血球、及び小板は区別してカウントされた。
【0309】
8mlの血液サンプル及び10mlのキャリア流体入力は、結果として約5mlの保持物及び約13mlの濾過物をもたらした。リンパ球は、キャリア流体中に保持物として収集された。この実験は、2人の異なるドナーからの血液サンプルを用いて2回行った。結果を図34A〜図34Dに示す。平均処理スループットは9.2ml/時間であり、単離されたリンパ球の純度は>90%であった、すなわち保持物中のすべての白血球の>90%がリンパ球であった。赤血球キャリーオーバは<0.5%であり、小板キャリーオーバは<1%であった。ここで用いた希釈された血液は、1mlあたり20億以上の赤血球を含有した。したがって、装置は、1秒あたり5百万を超える細胞を処理する能力を実証した。
【0310】
例示的な装置は、各モジュールが高い効率及び性能でリンパ球を単離でき、多くのこうしたモジュールが高モジュール密度装置として並列に作動できることがここで実証された。具体的には、各濾過ユニットは、472本の柱を備え、5.8mm2未満のフットプリントを占めた(すなわち、87個の濾過ユニットで割られる21mm×24mmの装置フットプリント)。例示的な装置における濾過モジュールの滞留体積は約0.015μlであった。チャネル深さ30μm、装置フットプリント504mm2(21mm×24mm)、及び装置上の濾過ユニット87個のとき、装置の「濾過ユニット密度」は、したがって、以下の通りであった。
【数16】
【0311】
例示的な装置の「正規化された処理速度」指数は以下のように計算される。
【数17】
【0312】
こうした「正規化された処理速度」は、この装置上に製作されたチャネル及びフィルタ構造体の1立法ミリメートル毎に、1秒あたり33万個の細胞の処理に寄与することを意味する。
【0313】
この実施例は、本開示の幾つかの態様及び実施形態での流れ排除の複雑な性質と、今日までの以前の開示に照らして予想され又は明らかにされていなかった方法で複雑な流体から成分を単離する、例えば血液からリンパ球を単離するためにどのようにして流れ排除を用いることができるかを示す。特に、血液中のすべての主要なタイプの細胞、すなわち赤血球、顆粒球、単球、及びリンパ球は、装置の物理的孔径よりも実質的に小さかった。赤血球、顆粒球、単球、及びリンパ球の平均細胞直径は、それぞれおよそ7μm、8μm、6μm、及び5μmである。さらに、リンパ球は、それぞれ赤血球、顆粒球、及び単球にの約90fl、250fl、及び120flに比べて約60flの平均細胞体積を有する、4つの主要な細胞型のうち最も小さい成分である。しかしながら、リンパ球は、例示的な装置のフィルタによって実質的に保持された唯一の細胞型であり、すべての他の細胞型の約0%の保持率に比べて約60%の保持率を有した(図34C)。
【0314】
この実施例はまた、例示的な用途での分離プロセスは確率論的であり、粒子保持は、確率、すなわち保持確率又は保持率を用いて最もよく説明されることを明瞭に実証した。特に、血球の移動経路は、予め定まっていない場合があり、臨界サイズ(critical size)に従って少なくともただ一つに予め定まっていない。保持確率に影響するかもしれない、可能性のある因子は、細胞−細胞相互作用、ブラウン運動、細胞変形、及びフローパターンの乱れを含む。
【0315】
実施例5.高い細胞生存度でのヒト臍帯血の体積減少及び造血幹細胞の増加
白血球、CD34+細胞、及びCFC−GMを含むコロニー形成幹細胞及び前駆細胞を高モジュール密度装置を用いて高い細胞生存度で回収する状態で臍帯血の体積を減少させた。
【0316】
この実施例で用いられる装置は、図17Cに例証されるようにそれぞれがフィルタカスケードモジュールを備える87個の濾過ユニットを備える高モジュール密度装置であった。各フィルタカスケードモジュールは、第1のデュアルフィルタモジュール(図17Cの要素171)と第2のデュアルフィルタモジュール(図17Cの要素172)とを備えるものであった。装置のチャネル及びチャンバは深さ30μmである。第1のデュアルフィルタモジュールは、それぞれ120個の孔を備える2つのフィルタからなるものであった。各孔は、30μm×12μmの断面を有し、これにより12μmの物理的孔径を有した。第1のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、各孔を通した流量が第1のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバの入口での流量の約0.28%であるように設計された。第2のデュアルフィルタモジュールは、それぞれ320個の孔を備える2つのフィルタからなるものであった。各孔は、30μm×12μmの断面を有し、これにより12μmの物理的孔径を有した。第2のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、孔を通した流量が第2のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバの入口での流量の約0.10%から約0.14%までの間であるように設計された。装置は、長さ23mm、幅24mm、厚さ0.6mmであり、及び552mm2(23mm×24mm)のフットプリントであった。
【0317】
装置の保持サイズは12μmの物理的孔径よりも著しく小さい約4μmであったと推定される。
【0318】
装置は、標準微細製造技術を用いてシリコンで作製した。流体チャネル、チャンバ、及びフィルタ構造体をもたらすために、フォトリソグラフィ及び深堀シリコン反応性エッチングを用いた。エッチング深さは30μmであった。陽極結合を用いてシリコン基板をガラスウェハに面するエッチングされたチャネル上で封止して閉じ込められた流体チャネルを形成した。次いで、結合されたウェハを個々の装置に切断した。装置を、外部サンプルリザーバ、保持物リザーバ、及び濾過物リザーバを備えるプラスチック筐体と機械的に嵌合させた。
【0319】
この実施例ではサンプルにヒト臍帯血を用いた。臍帯血収集バッグ(Fenwal Inc.、イリノイ州ラウンドレーク)を用いて同意したの成人女性から血液を収集した。臍帯血収集バッグは、抗凝固薬としてクエン酸・リン酸・ブドウ糖(CPD)を収容するものであった。血液は、採血から6時間以内に室温で処理した。
【0320】
さらなる希釈を伴わない12mlの臍帯血を装置に加えた。臍帯血フィードのヘマトクリットは19%〜45%の範囲内であり、平均して1mlあたり28億の赤血球を含有した。ヘマトクリットは、赤血球が占める血液体積の割合である。血液は、重力と約40cmのヘッド高さによって装置を通して駆動された。濾過物及び保持物は、それぞれ濾過物リザーバ及び保持物リザーバに収集した。白血球、CD34+細胞、並びにコロニー形成幹細胞及び前駆細胞は、保持物として回収されることが期待された。約1時間後に、血液が装置を通して完全に処理された。次いで、白血球回収率を計算するために、自動セルカウンタ(Coulter AcT diff hematology analyzer、Beckman Coulter、米国カリフォルニア州フラートン)を用いて濾過物及び保持物を測定し及び分析した。回収した細胞の生存度を、ヨウ化プロピジウム、損なわれた膜をもつ細胞に染み込む染色、血球計、及び蛍光顕微鏡を用いて実行の直後に測定した。フローサイトメトリーを用いてCD34+細胞回収率を測定した。コロニー形成細胞をカウントするために、臍帯血及び保持物を塩化アンモニウム溶解液(Stemcell Technologies、バンクーバー、BC、カナダ)と混合して赤血球を溶解し、洗浄し、次いで、摂氏37度、5%CO2、及び高湿度に設定されたインキュベータを用いてメチルセルロース増殖培地(Stemcell Technologies、バンクーバー、BC、カナダ)中で14日間培養した。14日後に、倒立顕微鏡を用いてCFC−GMコロニーを手動でカウントした。
【0321】
実験の結果は図35A〜図35Cに示される。白血球、CD34+細胞、及びコロニー形成細胞(例えばCFC−GM)は、それぞれ約88%、87%、及び92%の回収率で保持物の中に回収された。装置は、臍帯血体積を約1/5.4に減少させた、すなわち保持物体積は、臍帯血フィード体積の約18.5%であった。こうした体積減少率のとき、100mlの臍帯血は18.5mlに減少されることになる。処理前及び処理後の生存度は実質的に同一であり、十分に測定誤差内にあり、>99%であった。処理スループットは平均して約11.4ml/hrであった。このスループットは1秒あたり約9百万個の細胞の処理に等しい。
【0322】
例示的な装置の「正規化された処理速度」は以下のように計算される。
【数18】
【0323】
この例示的な装置上に製作されたチャネル及びフィルタ構造体の1立法ミリメートル毎に、1秒あたり54万個の細胞の処理に寄与した。
【0324】
この実施例は、使用した装置が臍帯血幹細胞及び前駆細胞を非常に良好な回収率及び細胞の生存度で濃縮できることを実証した。具体的には、各濾過ユニットは、880本の柱を備え、6.4mm2未満のフットプリントを占めた(すなわち、87個の濾過ユニットで割られる23mm×24mmの装置フットプリント)。例示的な装置における濾過モジュールの滞留体積は約0.04μlであった。チャネル深さ30μm、装置フットプリント552mm2(23mm×24mm)、及び装置上の濾過ユニット87個のとき、装置の「濾過ユニット密度」は、したがって、以下の通りであった。
【数19】
【0325】
使用した装置の設計効率指数は、以下のように計算される。
フィード処理スループット:Q=11.4ml/hr=3.17mm3/s
特徴的なチャネル深さ:D=30μm=0.03mm
装置フットプリント:A=23mm×24mm=552mm2
保持サイズ:R=4μm=0.004mm
ずり速度:S=1900s−1(以下で計算される)
【0326】
装置における最大ずり速度は、その入口近くの保持物チャンバの表面で生じる。最大ずり速度は、コンピュータ流体力学を用いて計算することができ、又は流れプロフィールが保持物チャンバにおいてパラボリックであると仮定して以下のように分析的に推定することができる。装置が87個の濾過モジュールを収容し、各保持物チャンバが入口で130μm×30μmの既知の断面を有したという事実から、保持物チャンバにおける入口での平均流速<v>は、以下のように計算された。
【数20】
【0327】
放射状流れプロフィールを仮定すると、保持物チャンバの表面でのずり速度は、したがって、以下のとおりであった。
【数21】
【0328】
例示的な装置の設計効率指数(D.E.I.)は、したがって、以下のとおりである。
【数22】
【0329】
実施例6.単離される細胞の標識
実施例2の例示的な装置は、少なくとも1つの特定の抗原に対する抗体を含むキャリア流体を用いて少なくとも1つの特定の抗原を有する細胞の部分群を標識するのに役立ってもよい。標的細胞を蛍光で又は磁気的に標識するために、抗体は、フルオロフォア又は磁性粒子に複合化されてもよい。分離プロセス中に、保持物細胞は、フィード・ストリームからキャリア流体ストリームの中に導かれ、抗体と混合される。特定の抗原を有する保持物細胞が、保持物として標識され、収集される。随意的に、細胞がモジュールを通して流れる際に細胞を洗うために、キャリアの流れと同じ様式で装置の濾過モジュールに洗浄液が導入されてもよい。分離プロセスは、特定の抗体標識に好適な温度で行われてもよい。その後、蛍光標識された細胞が、フローサイトメータを用いてカウントされ、特徴付けられてもよく、磁気標識された細胞が、磁石を用いて単離されてもよい。血液中に存在する白血球及び他の細胞の部分群を標識するのに用いられてもよい抗体は、抗CD45、抗CD34、抗CD71、抗CD138、抗CD14、抗CD15、抗CD3、抗CD4、抗CD8、抗CD19、抗HLA、抗GPA、抗CD271、抗CD43、抗CD10、抗CD33、抗CD66、及び抗CD105抗体を含む。キャリア流体は、保持物細胞を標識し、処理し、変質し、染色し、洗浄し、又はさらに溶解するために抗体以外の他の試薬を含んでもよく、また、同様の方法で行われてもよい。キャリアの流れとして用いられてもよい可能な試薬は、核酸染色、固定液、凍結液、アルキル化剤、抗体、磁性粒子、酵素、コラゲナーゼ、リパーゼ、DNアーゼ、或る酵素の基質、シクロホスファミドの活性誘導体、増殖因子、洗剤、及び溶解液を含んでもよい。この実施例は、分離及び細胞標識、処理、変質、染色、洗浄、又は溶解を1ステップで行うための本開示の濾過装置の使用を例証する。こうした方法は、CD34+幹細胞の単離、循環性腫瘍細胞の単離、間質血管細胞群の調製、CD4+細胞のカウント、悪性プラスマ細胞の単離、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の検出、酵素活性に基づく特定の細胞の分離、表面抗原に基づく特定の細胞の単離を含む、多くの用途に非常に有用となることが期待される。
【0330】
他の実施形態
上記の説明から、これを種々の用法及び条件に取り入れるために、本明細書で説明される開示に変形及び修正がなされてもよいことが分かるであろう。こうした実施形態はまた、特許請求の範囲の請求項の範囲内である。
【0331】
本明細書での変数のあらゆる定義における要素のリストの列挙は、あらゆる単一の要素又は挙げられた要素の組合せ(又は部分的組合せ)としてのその変数の定義を含む。本明細書での実施形態の列挙は、あらゆる単一の実施形態として又はあらゆる他の実施形態又はその一部と組み合わされた実施形態としてその実施形態を含む。
【0332】
本明細書で言及されたすべての特許及び刊行物は、それぞれの独立した特許及び刊行物が引用により組み込まれるように具体的に及び個々に示されたかのように同じ範囲まで引用により本明細書に組み込まれる。
【0333】
このように、本開示の少なくとも1つの実施形態の幾つかの態様が説明されており、種々の変更、修正、及び改善が当業者には容易に想起されることが分かるであろう。こうした変更、修正、及び改善は、本開示の一部となることを意図され、且つ本開示の精神及び範囲内となることを意図される。したがって、上記の説明及び図面は単なる例である。
【背景技術】
【0001】
生体試料から細胞を分離する方法は、多くの臨床的処置及び科学的研究方法にとって重要である。臍帯血バンクでは、臍帯血は、長期貯蔵の経費を減らすために低温保存に入れる前に細胞分離プロセスを用いて体積が減少させられる場合がある。細胞治療では、生着を増加させるために患者に輸液する前に或る細胞型が濃縮される場合がある。細胞を分離するための現在の濾過技術は、細胞の生存度を保つのにしばしば失敗し、典型的に低い収率を有する。例えば、サイズ排除に頼る細胞分離技術は、壊れやすい細胞が剪断応力を受けて細胞の損傷又は溶解を引き起こす。細胞の破片の蓄積は、装置の汚染及び詰まりを加速する。こうした方法を用いて単離された細胞は、しばしば活性化され、変質され、損傷され、又は殺される。ミクロ流体装置は、それらが処理できるサンプルの体積によって制限される。流量が増加するのに伴って装置を通して移動する細胞の剪断応力も増加するので、こうした装置を通した流量を単純に増加させることは上手くいかない。したがって、剪断応力は、体積スループットを制限する。したがって、濾過機構としてサイズ排除を用いない、粒子を濾過するための方法及び装置を提供することが望ましい。特に、簡単に詰まることのない、高い体積スループットを有する、物理的に小型の、且つ細胞を損傷又は活性化させない、細胞を濾過するための方法及び装置を提供することが望ましい。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0002】
以下で説明されるように、本開示は、粒子を濾過するための装置及び生存細胞(viable cell)を濃縮するための装置を用いる方法を特徴とする。特に、本開示は、血球型の単離、臍帯血の体積減少、及び間質血管細胞群の調製のためのこうした装置の使用を特徴とする。
【0003】
有利なことに、本装置は、細胞の生存度を保ち且つ高い収率を提供しながら大体積のサンプルの高スループット濾過を提供し得る。本開示の幾つかの実施形態は、自動化及び高スループット処理に適した装置を備え得、本開示の幾つかの実施形態は、閉じたシステムでの臨床試料の処理を可能にするシステムを備え得る。さらに、その装置を用いるための方法は、高い性能、高い回収率、幾つかの場合には高い純度を提供し得る。加えて、臨床試料の処理、例えば、臍帯血体積の減少、骨髄幹細胞の濃縮、末梢血幹細胞の処理、及び間質血管細胞群の調製に適用される場合の装置を用いるための方法は、高い度合いの分離後細胞生存度、使いやすさ、安全性、及び費用効率の維持を提供し得る。
【0004】
一実施形態では、本開示は、生存細胞の高スループット分離を提供する粒子濾過装置を提供する。本粒子濾過装置は、最小限の剪断力を伴う粒子分離を提供するので、分離された細胞の少なくとも約50%、75%、85%、95%、98%、99%、99.5%以上が生存可能であり、研究及び医療での使用に適している。種々の実施形態では、濾過システムは、1つ又は複数のフィルタユニット装置に送達するためのサンプル及び/又はキャリア流体を保持するのに適した1つ又は複数の容器と、装置から流出する保持物又は濾過物を保持するのに適した1つ又は複数のさらなる容器とを特徴とする。一実施形態では、容器は、液体を保持するのに適した可撓性バッグである。別の実施形態では、容器は、流体を搬送するのに適した可撓性チューブによってフィルタユニットに接続される。所望の場合、チューブは、アダプタによって容器及び/又はフィルタユニットハウジングに接続される。
【0005】
本開示の態様及び実施形態は、ハウジング及び複数(例えば、約5、10、15、20、25、30、35、40、50、75、100、200、250、500、750、1,000、2,000、又は5,000)の濾過ユニットを収容するカートリッジを収容する、粒子を濾過するためのシステムを対象とし、ハウジングは、フィードサンプル入口、保持物出口、及び濾過物出口を収容し、各濾過ユニットは、近位端及び遠位端を有する保持物チャンバ、濾過物チャンバ、及び保持物チャンバと濾過物チャンバとの間に位置決めされた柱の列を収容し、柱は、保持物チャンバと濾過物チャンバとの間の流体連通を可能にする複数の孔を画定し、保持物チャンバの幅は近位端から遠位端に向かって減少し、濾過物チャンバの幅は近位端から遠位端に向かって増加し、濾過ユニットは、孔の有効孔径が孔の物理的孔径の、例えば約30%、50%、60%、70%、80%、90%、95%、又は98%よりも小さいように構成され、フィードサンプル入口は、各濾過ユニットに存在する保持物チャンバの近位端と流体接続され、濾過物出口は、各濾過ユニットに存在する濾過物チャンバと流体接続され、保持物出口は、複数の濾過ユニットのそれぞれに存在する保持物チャンバの遠位端と流体接続される。
【0006】
別の態様では、本開示は、ハウジング及び複数の濾過ユニットを備えるカートリッジを収容する粒子を濾過するためのシステムを提供し、ハウジングは、フィードサンプル入口、保持物出口、及び濾過物出口を収容し、各濾過ユニットは、近位端及び遠位端を有する保持物チャンバ、少なくとも1つの遠位端を収容する濾過物チャンバ、及び保持物チャンバと濾過物チャンバとの間に位置決めされた複数の孔を収容するフィルタを収容し、孔は、保持物チャンバと濾過物チャンバとの間の流体連通を可能にし、濾過物チャンバ、フィルタ、及び保持物チャンバは、孔の有効孔径が孔の物理的孔径よりも小さいように構成され、フィードサンプル入口は、各濾過ユニットに存在する保持物チャンバの近位端と流体接続され、濾過物出口は、各濾過ユニットに存在する濾過物チャンバと流体接続され、保持物出口は、複数の濾過ユニットのそれぞれに存在する保持物チャンバの遠位端と流体接続される。
【0007】
別の態様では、本開示は、ハウジング及び複数の濾過ユニットを収容するカートリッジを収容する粒子を濾過するためのシステムを提供し、ハウジングは、フィードサンプル入口、保持物出口、及び濾過物出口を収容し、各濾過ユニットは、第1のフローチャンバ、第2のフローチャンバ、及び約100nmから約3mmまでの間(例えば、約100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、750nm、1μm、2μm、3μm、5μm、7.5μm、10μm、20μm、30μm、50μm、75μm、100μm、200μm、300μm、500μm、1mm、2mm、又は3mm)の物理的孔径を有する約3、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、40、50、100、200、250、300、500、1,000、2,000、5,000以上の孔を収容するフィルタを収容し、フィルタは、第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に配置され、第1のフローチャンバ及び第2のフローチャンバは、保持物粒子が物理的制約なしにフィルタによって保持されるように構成され、フィードサンプル入口は、各濾過ユニットに存在する第1のフローチャンバの近位端と流体接続され、濾過物出口は、各濾過ユニットに存在する第2のチャンバの遠位端と流体接続され、保持物出口は、複数の濾過ユニットのそれぞれに存在する第1のフローチャンバの遠位端と流体接続される。
【0008】
別の態様では、本開示は、ハウジング及び複数の濾過ユニットを収容するカートリッジを収容する粒子を濾過するためのシステムを提供し、ハウジングは、フィードサンプル入口、保持物出口、及び濾過物出口を収容し、各濾過ユニットは、近位端及び遠位端を有する第1のフローチャンバ、第2のフローチャンバ、及び第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に配置された約10nmから10mmまでの間の物理的孔径を有する孔を収容するフィルタを収容し、第1のフローチャンバ及び第2のフローチャンバは、フィルタの保持サイズが物理的孔径よりも小さいように構成され、フィードサンプル入口は、各濾過ユニットに存在する第1のフローチャンバの近位端と流体接続され、濾過物出口は、各濾過ユニットに存在する第2のフローチャンバの遠位端と流体接続され、保持物出口は、複数の濾過ユニットのそれぞれに存在する第1のフローチャンバの遠位端と流体接続される。
【0009】
別の態様では、本開示は、ハウジング及び複数の濾過ユニットを収容するカートリッジを収容する粒子を濾過するためのシステムを提供し、ハウジングは、フィードサンプル入口、保持物出口、濾過物出口、及び随意的にキャリア流体入口を収容する。各濾過ユニットは、第1の入力ポート、第1の出力ポート、第2の出力ポート、及び随意的にキャリア流体入口と流体接続される第2の入力ポートを含んでもよい。各濾過ユニットは、約0.3mm−2よりも大きい設計効率指数を有し得る。フィードサンプル入口は、各濾過ユニットに存在する第1の入力ポートと流体接続されてもよい。濾過物出口は、各濾過ユニットに存在する第1の出力ポートと流体連通してもよい。保持物出口は、複数の濾過ユニットのそれぞれに存在する第2の出力ポートと流体接続されてもよい。
【0010】
別の態様では、本開示は、遠沈管、管インサート、及びキャップを含む管フィルタシステムを提供し、管インサートは、前の態様のいずれかに係る少なくとも1つの濾過ユニット、フィードサンプルリザーバ、及び随意的にその各々が第1のフローチャンバ又は保持物チャンバの近位端と流体接続されるキャリア流体リザーバ、及び保持物チャンバ又は第2のフローチャンバの遠位端と流体連通する出力リザーバを含み、出力リザーバは、濾過ユニットからの保持物又は濾過物を受け入れるように適合される。
【0011】
別の態様では、本開示は、上記のいずれかの態様又は本明細書に示される開示のいずれかの他の態様に係る濾過ユニットと流体接続されるサンプルウェル及び随意的にキャリア流体ウェル、並びに濾過ユニットと流体接続される濾過物ウェル及び保持物ウェルのうちの1つ又は複数を収容し、濾過物ウェル及び保持物ウェルが濾過ユニットからの濾過物及び保持物を受け入れるように構成される、プレートフィルタシステムを提供する。
【0012】
別の態様では、本開示は、上記のいずれかの態様又は本明細書に示される開示のいずれかの他の態様に係る濾過ユニットと流体接続されるサンプルウェル及び随意的にキャリア流体ウェル、並びに濾過物ウェル及び保持物ウェルのうちの1つ又は複数を収容し、濾過物ウェル及び保持物ウェルが濾過ユニットからの濾過物及び保持物を受け入れるように構成される、プレートフィルタシステムを提供する。一実施形態では、濾過物ウェル又は保持物ウェルは、サンプルウェルと同じプレート上にはない。
【0013】
上記のいずれかの態様又は本明細書に示される開示のいずれかの他の態様の種々の実施形態では、フィードサンプル入口は、チューブラインを介してアダプタに接続される近位端を有し、保持物出口は、チューブラインを介して保持物収集バッグに接続され、濾過物出口は、チューブラインを介して濾過物収集バッグに接続される。上記態様の他の実施形態では、フィードサンプル入口は、近位端及び遠位端を有するサンプル収集バッグに接続され、近位端は、針を受け入れるように適合された膜を収容し、遠位端は、アダプタを取り付けることができるポートを収容する。上記態様の他の実施形態では、フィードサンプル入口は、チューブラインを介してサンプル収集バッグに接続される近位端を有し、保持物出口は、チューブラインを介して保持物収集バッグに接続され、濾過物出口は、チューブラインを介して濾過物収集バッグに接続される。上記態様のさらに他の実施形態では、サンプル収集バッグは、サンプルをサンプル収集バッグの中に引き込むための針を収容する。
【0014】
本開示によって定義される組成物及び物品は、以下で提供される実施例と組み合わせて単離され、又は他の方法で製造される。本開示の他の特徴及び利点は、詳細な説明から及び請求項から明らかとなるであろう。
【0015】
本開示の態様によれば、濾過装置が提供される。濾過装置は第1のフローチャンバを備える。第1のフローチャンバは、粒子及び流体を含むフィードを受け入れるように構成された少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの保持物出口とを含む。濾過装置は、少なくとも1つの濾過物出口を有する遠位端を含む第2のフローチャンバと、第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に位置決めされたフィルタとを備える。フィルタは、柱の第1の列と、隣接する柱の間の間隔によって画定される複数の孔とを含む。複数の孔のうちの各孔は、孔を画定する隣接する柱の間の距離によって画定される物理的孔径と、物理的孔径よりも小さい有効孔径を含む。濾過装置は、濾過装置を通してフィードを移動するための手段をさらに備える。第1のフローチャンバ、第2のフローチャンバ、フィルタ、及び濾過装置を通してフィードを移動するための手段は、孔の有効孔径よりも大きく且つ孔の物理的孔径よりも小さいサイズを有する粒子の大きいフラクションを第1のフローチャンバの中に保持物として保持し、流体の大きいフラクションを第2のフローチャンバに濾過物として渡すように構成される。
【0016】
幾つかの実施形態によれば、第1のフローチャンバは第1の実質的に一定の深さを備える。幾つかの実施形態によれば、第2のフローチャンバは第2の実質的に一定の深さを備える。幾つかの実施形態によれば、フィルタと第1のフローチャンバの側壁との間の距離は、少なくとも1つの入口から少なくとも1つの保持物出口までの長さに沿って減少する。幾つかの実施形態によれば、フィルタと第2のフローチャンバの側壁との間の距離は、第2のフローチャンバの近位端から遠位端までの長さに沿って増加する。
【0017】
幾つかの実施形態によれば、第2のフローチャンバの側壁に対する接線と柱の列に対する接線との間の角度は約5度未満である。
【0018】
幾つかの実施形態によれば、孔のサブセットは実質的に同一の物理的孔径を有する。
【0019】
幾つかの実施形態によれば、孔のサブセットは実質的に同一の有効孔径を有する。
【0020】
幾つかの実施形態によれば、柱の第1の列は、濾過装置の中に存在するすべての柱のうちの約10パーセントを越える柱を備える。
【0021】
幾つかの実施形態によれば、請求項に記載の濾過装置は、第1のフローチャンバの長さと第2のフローチャンバの長さのうちのより大きい方によって画定される装置長さ、及び、第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅との合計の最大点での第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅との合計によって画定される装置幅を有し、装置長さ対装置幅は約6よりも大きい比を有する。
【0022】
幾つかの実施形態によれば、各孔は、孔の物理的孔径の約80パーセント未満の有効孔径を有する。
【0023】
幾つかの実施形態によれば、第1のチャンバは、少なくとも1つの入口とは別個の少なくとも1つのキャリア流体入口を備える。
【0024】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つのキャリア流体は、核酸染色、固定液、凍結液、アルキル化剤、抗体、磁性粒子、酵素、コラゲナーゼ、リパーゼ、DNアーゼ、或る酵素の基質、シクロホスファミドの活性誘導体、増殖因子、洗剤、及び溶解液のうちの少なくとも1つを含む。
【0025】
幾つかの実施形態によれば、第1のフローチャンバ及びフィルタのそれぞれは、装置を通した流路において約1μmよりも小さい曲率半径を有する如何なる前縁も有さない。
【0026】
幾つかの実施形態によれば、孔の第1のサブセットは孔の第2のサブセットとは異なる有効孔径を有する。幾つかの実施形態では、第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口は、孔の第1のサブセットを通過した濾過物を収集するように構成され、第2のフローチャンバは、孔の第2のサブセットを通過した濾過物を収集するように構成された第2の濾過物出口を備える。
【0027】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第2のフィルタ及び第3のフローチャンバをさらに備える。第2のフィルタは、第1のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第3のフローチャンバは、近位端及び遠位端を含んでもよく、遠位端は、少なくとも1つの出口を有する。第3のチャンバは、近位端から遠位端までの長さに沿って広くなってもよい。
【0028】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第1のフローチャンバの長さによって画定される装置長さ、及び、第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅と第3のフローチャンバの幅との合計の最大点での第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅と第3のフローチャンバの幅との合計によって画定される装置幅を有し、装置長さ対装置幅は約5よりも大きい比を有する。
【0029】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は約5,000本よりも少ない柱を有する。
【0030】
幾つかの実施形態によれば、第1のフィルタ及び第2のフィルタは、濾過装置に含まれるすべての柱のうちの約15パーセントを越える柱を備える。
【0031】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第1のフローチャンバの中心線を通る鏡映面に関して実質的に対称である。
【0032】
幾つかの実施形態によれば、柱の第1の列によって画定される接線と柱の第2の列によって画定される接線は平行ではない。
【0033】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第2のフィルタ、第3のフローチャンバ、及び第4のフローチャンバをさらに備える。第2のフィルタは、第3のフローチャンバと第4のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。第4のフローチャンバは、少なくとも1つの出口を備えてもよい。
【0034】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物を収集するように構成される。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの出口とは別個の第2の出口をさらに備えてもよく、第3のフローチャンバの第2の出口は、第2のフィルタからの保持物を収集するように構成される。
【0035】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物と第2のフィルタからの保持物を収集するように構成される。
【0036】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物と第2のフィルタからの保持物を収集するように構成される。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの出口とは別個の第2の出口をさらに備えてもよく、第3のフローチャンバの第2の出口は、第1のフィルタからの濾過物を収集するように構成される。
【0037】
幾つかの実施形態によれば、請求項に記載の濾過装置は、第1のフローチャンバの長さと第3のフローチャンバの長さとの合計によって画定される装置長さ、及び、第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅との合計の最大点での第1のフローチャンバの幅と第2のフローチャンバの幅との合計と、第3のフローチャンバの幅と第4のフローチャンバの幅との合計の最大点での第3のフローチャンバの幅と第4のフローチャンバの幅との合計のうちのより大きい方によって画定される装置幅を有し、装置長さ対装置幅は約10よりも大きい比を有する。
【0038】
幾つかの実施形態によれば、第1のフィルタ及び第2のフィルタは、フィルタ装置に含まれるすべての柱のうちの10パーセント以上を備える。
【0039】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口と流体接続される。
【0040】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの保持物出口と流体接続される。
【0041】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの出口と流体接続され、且つ第2のフローチャンバの少なくとも1つの出口と流体接続される。
【0042】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバは、少なくとも1つの入口とは別個の少なくとも1つのキャリア流体入口をさらに備える。
【0043】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、「濾過物チャンバ拡大基準」を満たすように構成される。
【0044】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、「最小孔数基準」を満たすように構成される。
【0045】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第1のフローチャンバの近位端での体積流量の約3パーセント未満の体積流量で流体が各孔を通して流れるように構成される。
【0046】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、流体を第1のチャンバを通して実質的に一定の流速で流すように構成される。
【0047】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、流体を第2のチャンバを通して実質的に一定の流速で流すように構成される。
【0048】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、流体が本質的にすべての孔を通して実質的に同一の流速で流れるように構成される。
【0049】
幾つかの実施形態によれば、柱は卵形の断面を有する。
【0050】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第2のフィルタ、第3のフィルタ、第4のフィルタ、第3のフローチャンバ、第4のフローチャンバ、第5のフローチャンバ、及び第6のフローチャンバをさらに備える。第2のフィルタは、第1のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第3のフィルタは、第4のフローチャンバと第5のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第4のフィルタは、第4のフローチャンバと第6のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第3のフローチャンバは、第1の端部及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。第3のフローチャンバは、第3のフローチャンバの第1の端部から第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口の方に長さに沿って広くなってもよい。第5のフローチャンバは、第1の端部及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。第5のフローチャンバは、第5のフローチャンバの第1端から第5のフローチャンバの少なくとも1つの出口の方に長さに沿って広くなってもよい。第6のフローチャンバは、第1の端部及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。第6のフローチャンバは、第6のフローチャンバの第1端から第6のフローチャンバの少なくとも1つの出口の方に長さに沿って広くなってもよい。第4のフローチャンバは、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。第4のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの保持物出口、第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口、及び第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口と流体接続されてもよい。
【0051】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置は、第2のフィルタ及び第3のフローチャンバをさらに備える。第2のフィルタは、第2のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置されてもよい。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備えてもよい。
【0052】
幾つかの実施形態によれば、装置は、第1のフローチャンバ及び第4のフローチャンバを通る鏡映面に関して実質的に対称である。
【0053】
幾つかの実施形態によれば、第4のチャンバは、第4のフローチャンバの少なくとも1つの入口とは別個のキャリア流体入口をさらに備える。
【0054】
本開示の別の態様によれば、粒子を濾過するための方法が提供される。この方法は、濾過装置を提供することを含む。濾過装置は、少なくとも1つの濾過ユニットを含む。各濾過ユニットは、フィード入口及び保持物出口を含む第1のフローチャンバと、濾過物出口を含む第2のフローチャンバと、物理的孔径を有する複数の孔を含むフィルタとを含み、フィルタは、第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に配置される。方法は、フィード流体と、フィード流体がフィード入口を通して装置の中に浸透される物理的孔径よりも小さいサイズを有する少なくとも1つの粒子群とを含むフィードを導入すること、濾過装置を通してフィードを駆動するために駆動力をかけること、少なくとも1つの粒子群の大きいフラクションが第1のフローチャンバの中に保持物として保持され、且つフィード流体の大きいフラクションがフィルタを通過して濾過物として第2のフローチャンバの中に入るように、フィードに濾過装置を通過させること、保持物を保持物出口で収集すること、濾過物を濾過物出口で収集することをさらに含む。
【0055】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置を提供することは、10個よりも多くの濾過ユニットを含む濾過装置を提供することを含む。
【0056】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、細胞の液状懸濁物を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0057】
幾つかの実施形態によれば、フィードは生存細胞を含み、方法は、フィードから細胞を分離することをさらに含み、生存細胞の少なくとも約90%は分離後に生存可能なままである。
【0058】
幾つかの実施形態によれば、方法は、フィードから細胞を分離することをさらに含み、細胞の約0.03パーセント未満が濾過装置によって溶解される。
【0059】
幾つかの実施形態によれば、細胞の約0.03%未満が濾過装置の中に捕捉される。
【0060】
幾つかの実施形態によれば、フィードに濾過装置を通過させることは、濾過装置を通して1秒あたり105個よりも多くの細胞を通過させることを含む。
【0061】
幾つかの実施形態によれば、フィードに濾過装置を通過させることは、濾過装置を通して1秒あたり106個よりも多くの細胞を通過させることを含む。
【0062】
幾つかの実施形態によれば、フィードに濾過装置を通過させることは、濾過装置を通して1秒あたり107個よりも多くの細胞を通過させることを含む。
【0063】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置を提供することは、0.8マイクロリットルよりも小さい滞留体積を有する少なくとも1つの濾過ユニットを備える濾過装置を提供することを含む。
【0064】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置を提供することは、フットプリント面積及び実質的に一定のチャンバ深さを有する濾過装置を提供することを含み、フィードに濾過装置を通過させることが、1秒あたりに濾過装置を通過する細胞の数を実質的に一定のチャンバ深さとフットプリント面積との積で割ったものとして定義される、1立法ミリメートルにつき10,000細胞/秒よりも大きい正規化された処理速度で細胞に濾過装置を通過させることを含む。
【0065】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置を提供することは、フットプリント面積及び実質的に一定のチャンバ深さを有する濾過装置を提供することを含み、フィードに濾過装置を通過させることは、1秒あたりに濾過装置を通過する細胞の数を、実質的に一定のチャンバ深さとフットプリント面積との積で割ったものとして定義される、1立法ミリメートルにつき100,000細胞/秒よりも大きい正規化された処理速度で細胞に濾過装置を通過させることを含む。
【0066】
幾つかの実施形態によれば、濾過装置を提供することは、特徴的なチャンバ深さ、フットプリント面積、及びモジュールに含まれる濾過モジュールの数を特徴的なチャンバ深さとフットプリント面積との積で割ったものとして定義される濾過ユニット密度を有する濾過装置を提供することを含み、濾過ユニット密度は、1立法ミリメートルあたり400濾過ユニットよりも大きい。
【0067】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、骨髄を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0068】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、血液を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0069】
幾つかの実施形態によれば、フィードを導入することは、臍帯血を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0070】
幾つかの実施形態によれば、フィードを導入することは、幹細胞を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0071】
幾つかの実施形態によれば、フィードを導入することは、コロニー形成細胞を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。幾つかの実施形態によれば、フィードを導入することは、免疫細胞を含むフィード液体を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0072】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、羊水を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0073】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、消化された脂肪組織を第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0074】
幾つかの実施形態によれば、フィードを装置に導入することは、細胞、血球、臍帯血細胞、骨髄細胞、赤血球、白血球、リンパ球、上皮細胞、幹細胞、癌細胞、腫瘍細胞、循環性腫瘍細胞、前駆細胞、細胞前駆体、臍帯血幹細胞、造血幹細胞、間葉幹細胞、脂肪幹細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞、胎児性幹細胞、臍帯由来の細胞、脂肪組織由来の細胞、間質血管細胞群(SVF)中の細胞、羊水中の細胞、月経血中の細胞、脳脊髄液中の細胞、尿中の細胞、骨髄幹細胞、末梢血幹細胞、CD34+細胞、コロニー形成細胞、T細胞、B細胞、神経細胞、免疫細胞、樹状細胞、巨核球、固定化骨髄細胞、小板、精子、卵子、卵母細胞、病原菌、微生物、細菌、真菌、イースト、原生動物、ウィルス、小器官、核、核酸、ミトコンドリア、ミセル、脂質、タンパク質、タンパク質複合体、細胞の破片、寄生生物、脂肪滴、多細胞生物、胞子、藻類、クラスタ、上記の凝集物、工業用粉末、ポリマー、粉末、エマルジョン、液滴、粉塵、ミクロスフェア、粒子、及びコロイドのうちの1つを第1のフローチャンバに導入することを含む。
【0075】
幾つかの実施形態によれば、フィードは、約5μmから約30μmまでの間のサイズを有する粒子を含む。
【0076】
幾つかの実施形態によれば、方法は、細胞、CD34+細胞、間質血管細胞群、幹細胞、前駆細胞、コロニー形成細胞、造血幹細胞、脂肪幹細胞、間葉幹細胞、羊膜幹細胞、有核細胞、白血球、リンパ球、癌細胞、腫瘍細胞、樹状細胞、死細胞、生細胞、分裂細胞、網赤血球、赤血球、脂肪細胞、及び脂肪滴のうちの1つを含む保持物粒子を収集することをさらに含む。
【0077】
幾つかの実施形態によれば、保持物粒子を収集することは、細胞を収集することを含み、保持物中の細胞の約95%よりも多くが生存可能である。
【0078】
幾つかの実施形態によれば、方法は、細胞、CD34+細胞、間質血管細胞群、幹細胞、前駆細胞、コロニー形成細胞、造血幹細胞、脂肪幹細胞、間葉幹細胞、羊膜幹細胞、血漿、小板、赤血球、有核細胞、白血球、リンパ球、癌細胞、腫瘍細胞、樹状細胞、死細胞、生細胞、分裂細胞、網赤血球、赤血球、脂肪細胞、及び脂肪滴のうちの1つを含む濾過物を収集することをさらに含む。
【0079】
幾つかの実施形態によれば、濾過物を収集することは、細胞を収集することを含み、濾過物中の細胞の約95%よりも多くが生存可能である。
【0080】
幾つかの実施形態によれば、方法は、物理的孔径よりも著しく小さい保持サイズを有する濾過装置を提供することをさらに含む。
【0081】
本開示の別の態様によれば、臍帯血の体積を減少させるための方法が提供される。この方法は、少なくとも1つの有核細胞群を有する臍帯血を含むサンプルを調達することを含み、サンプルはサンプル体積を有する。この方法は、濾過装置を提供することをさらに含む。濾過装置は、第1の収集容器、第2の収集容器、フィードアクセス手段、及び少なくとも3つの濾過ユニットを含む。各濾過ユニットは、フィード入口、保持物出口、及び濾過物出口を含む、ミクロ流体フローチャンバを有する。ミクロ流体フローチャンバは、約1ミリメートルよりも小さいその長さに対し垂直な少なくとも1つの寸法を含む。フィード入口は、フィードアクセス手段と流体連通する。保持物出口は、第1の収集容器と流体接続される。濾過物出口は、第2の収集容器と流体接続される。この方法は、フィードアクセス手段を用いてサンプルを濾過ユニットのフィード入口に導入すること、サンプルに駆動力をかけること、サンプルに濾過装置のミクロ流体フローチャンバを通過させること、サンプル体積の大きいフラクションを濾過物出口に導き、且つ少なくとも1つの有核細胞群の大きいフラクションを保持物出口に導く層流条件を生み出すこと、保持物出口からの流体出力を第1の収集容器の中に収集すること、及び濾過物出口からの流体出力を第2の収集容器の中に収集することをさらに含む。
【0082】
幾つかの実施形態によれば、保持物出口から流体出力を収集することは、サンプルから有核細胞の70%よりも多くをサンプル体積の25%未満の体積で第1の収集容器に収集することを含む。
【0083】
幾つかの実施形態によれば、少なくとも1つの有核細胞群がCD34+細胞を含み、保持物出口からの流体出力を収集することは、サンプルからCD34+細胞の75%よりも多くを第1の収集容器の中に収集することを含む。
【0084】
幾つかの実施形態によれば、この方法は、サンプルから生存細胞を分離することをさらに含み、生存細胞の少なくとも約95%は分離後に生存可能なままである。
【0085】
幾つかの実施形態によれば、サンプルを調達することは、約95%よりも高い生存度の臍帯血有核細胞を含むサンプルを調達することを含み、保持物出口から流体出力を収集することは、約95%よりも高い生存度の有核細胞を収集することを含む。
【0086】
幾つかの実施形態によれば、サンプルにミクロ流体フローチャンバを通過させることは、1秒あたり10,000,000よりも多い血球に濾過装置を通過させることを含む。
【0087】
本開示の別の態様によれば、粒子濾過装置が提供される。粒子濾過装置は、共通のフィード入口、共通の濾過物出口、共通の保持物出口、及び少なくとも1つの高モジュール密度装置を備える。少なくとも1つの高モジュール密度装置は複数の濾過ユニットを含む。濾過ユニットのそれぞれは、フィード流体中のフィード粒子を含むフィードを受け入れるように構成された少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの保持物出口を含む第1のフローチャンバと、近位端、少なくとも1つの濾過物出口を有する遠位端、及び第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に位置決めされた第1のフィルタを含む第2のフローチャンバとを含む。第1のフィルタは、柱の第1の列と、柱の列の隣接する柱の間の間隔によって画定される複数の孔とを含む。複数の孔のうちの各孔は、孔を画定する隣接する柱の間の距離によって画定される物理的孔径を含む。粒子濾過装置は、複数の濾過ユニットを通してフィードを移動させるための手段をさらに備える。第1のフローチャンバ、第2のフローチャンバ、フィルタ、及び複数の濾過ユニットを通してフィードを移動させるための手段は、孔の有効孔径よりも小さい保持サイズを有し、保持サイズよりも大きいサイズを有するフィード粒子の大きいフラクションを第1のフローチャンバの中に保持物として保持し、フィード流体の大きいフラクションを第2のフローチャンバの中に濾過物として渡すように構成される。複数の濾過ユニットの少なくとも1つの入口のそれぞれは、共通のフィード入口と流体連通する。複数の濾過ユニットの少なくとも1つの濾過物出口のそれぞれは、共通の濾過物出口と流体連通する。複数の濾過ユニットの少なくとも1つの保持物出口のそれぞれは、共通の保持物出口と流体連通する。
【0088】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、管、管キャップ、及び管インサートをさらに備える。高モジュール密度装置は、管インサート内に設置されるように構成されてもよい。管は、管インサートを格納するように構成されてもよい。管インサートは、共通のフィード入口と流体接続されるフィードリザーバを含んでもよい。管キャップは、管及び管インサートを覆うように構成されてもよい。
【0089】
幾つかの実施形態によれば、管は、高モジュール密度装置からの保持物を受け入れるように構成される。管インサートは、高モジュール密度装置からの濾過物を受け入れるように構成された濾過物リザーバをさらに含んでもよい。
【0090】
幾つかの実施形態によれば、管は、高モジュール密度装置からの濾過物を受け入れるように構成される。管インサートは、高モジュール密度装置からの保持物を受け入れるように構成された保持物リザーバをさらに含んでもよい。
【0091】
幾つかの実施形態によれば、管インサートは、少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口にキャリア流体を供給するように構成されたキャリア流体リザーバをさらに含む。
【0092】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、共通の保持物出口と流体接続される保持物収集バッグと、共通の濾過物出口と流体接続される濾過物収集バッグとをさらに備える。
【0093】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口と流体接続される共通のキャリア流体入口をさらに備える。
【0094】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、キャリア流体を共通のキャリア流体入口に供給するように構成されたキャリア流体容器をさらに備える。
【0095】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、フィード収集バッグと共通のフィード入口との間の流体的接続を確立するように構成されたアダプタをさらに備える。
【0096】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、共通のフィード入口と流体接続されるフィード収集バッグをさらに備える。
【0097】
幾つかの実施形態によれば、フィード収集バッグは、フィードをフィード収集バッグの中に引き込むように構成された少なくとも1つの針を備える。
【0098】
幾つかの実施形態によれば、フィード収集バッグは抗凝固薬を収容する。
【0099】
幾つかの実施形態によれば、フィード収集バッグは流体を収容する。
【0100】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、共通のフィード入口と流体連通し且つ流体リザーバとして構成される、第1のウェルと、共通の保持物入口と流体連通し且つ流体リザーバとして構成される、第2のウェルと、共通の濾過物入口と流体連通し且つ流体リザーバとして構成される、第3のウェルとをさらに備える。
【0101】
幾つかの実施形態によれば、第1のウェル、第2のウェル、及び第3のウェルは、マルチウェルプレート・フォーマットで構成される。
【0102】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口と流体連通し、且つ少なくとも1つの第1のフローチャンバにキャリア流体を供給するように構成される、第4のウェルをさらに備える。
【0103】
幾つかの実施形態によれば、粒子濾過装置は、第1のウェル、第2のウェル、及び第3のウェルのうちの少なくとも1つを封じるように構成されたキャップをさらに備える。
【0104】
幾つかの実施形態によれば、キャップは、空気及び蒸気を実質的に透過させず、且つ第1のウェル、第2のウェル、及び第3のウェルのうちの少なくとも1つを封止するように構成されたホイルを備える。
【0105】
幾つかの実施形態によれば、第1のウェル、第2のウェル、及び第3のウェルのうちの少なくとも1つは流体を収容する。
【0106】
幾つかの実施形態によれば、複数の濾過ユニットのうちの各濾過ユニットは、1マイクロリットルよりも小さい滞留体積を有する。
【0107】
幾つかの実施形態によれば、高モジュール密度装置は、1立法センチメートルあたり500濾過ユニットよりも大きい濾過ユニット密度を有する。
【0108】
幾つかの実施形態によれば、高モジュール密度装置は30個よりも多い濾過ユニットを含む。
【0109】
幾つかの実施形態によれば、高モジュール密度装置は約0.5mm−2よりも大きい設計効率指数を有する。
【0110】
幾つかの実施形態によれば、高モジュール密度装置は約5mm−2よりも大きい設計効率指数を有する。
【0111】
本開示の別の態様によれば、フィルタ装置が提供される。フィルタ装置は、粒子を含むフィードを導入するように構成された少なくとも1つの入口とフィードの保持物を収集するように構成された少なくとも1つの保持物出口とを含む第1のフローチャンバを備える。フィルタ装置は、第1の端部及び少なくとも1つの濾過物出口を含む第2のフローチャンバをさらに備え、少なくとも1つの濾過物出口は濾過物を収集するように構成される。フィルタ装置は、第1のフィルタをさらに備える。第1のフィルタは、物理的孔径と物理的孔径よりも小さい保持サイズを有する複数の孔を含む。第1のフィルタは、第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に配置される。第1のフローチャンバ、第2のフローチャンバ、及び第1のフィルタは、物理的孔径よりも小さく且つ保持サイズよりも大きい粒子の保持率を実質的に増加させる流れの条件を促進するように構成される。
【0112】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、「濾過物チャンバ拡大基準」を満たすように構成される。
【0113】
幾つかの実施形態によれば、第2のフローチャンバの側壁の接線と第1のフィルタの接線との間の角度は約5度未満である。
【0114】
幾つかの実施形態によれば、保持サイズは、孔の物理的孔径の約90パーセントよりも小さい。
【0115】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの入口での体積流量の約3パーセント未満の体積流量で流体が各孔を通して流れるように構成される。
【0116】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、約10よりも大きい長さと幅の比を有する。
【0117】
幾つかの実施形態によれば、第1のフローチャンバは実質的に第1の一定の深さを有する。第2のフローチャンバは実質的に第2の一定の深さを有してもよく、第2のフローチャンバは、第2のフローチャンバの第1の端から第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口の方に幅が拡大してもよい。
【0118】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、流体を第1のチャンバを通して実質的に一定の流速で流すように構成される。
【0119】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、流体を第2のチャンバを通して実質的に一定の流速で流すように構成される。
【0120】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、流体を実質的にすべての孔に実質的に一定の流速で流すように構成される。
【0121】
幾つかの実施形態によれば、第1のフィルタは柱の列を備え、第1のフィルタの孔は、柱の列の隣接する柱の間の流体通路を備え、柱の列は、装置に存在するすべての柱のうちの10パーセント以上を含む。
【0122】
幾つかの実施形態によれば、第1のチャンバは、少なくとも1つの入口とは別個の、キャリア流体を第1のフローチャンバに導入するように構成された、少なくとも1つのキャリア流体入口を備える。
【0123】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、装置を通る流路に沿って0.5μmよりも小さい曲率半径を有する如何なる前縁も有さない。
【0124】
幾つかの実施形態によれば、孔の第1のサブセットは孔の第2のサブセットとは異なる物理的孔径を有する。
【0125】
幾つかの実施形態によれば、第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口は、孔の第1のサブセットを通過した濾過物を収集するように構成され、第2のフローチャンバは、孔の第2のサブセットを通過した濾過物を収集するように構成された第2の濾過物出口を備える。
【0126】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、第2のフィルタ及び第3のフローチャンバをさらに備え、第2のフィルタは、第1のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置され、第3のフローチャンバは少なくとも1つの出口を備える。
【0127】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、約5よりも大きい長さと幅の比を有する。
【0128】
幾つかの実施形態によれば、第1のフィルタは柱の第1の列を備える。第1のフィルタの孔は、柱の第1の列の隣接する柱の間に流体通路を備えてもよい。第2のフィルタは、柱の第2の列を備えてもよい。第2のフィルタの孔は、柱の第2の列の隣接する柱の間に流体通路を備えてもよい。柱の第1の列及び柱の第2の列は、フィルタ装置に存在するすべての孔の10パーセント以上を含んでもよい。
【0129】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、第1のフローチャンバの中心を通る鏡映面に関して実質的に対称である。
【0130】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、第2のフィルタ及び第3のフローチャンバをさらに備え、第2のフィルタは、第2のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置され、第3のフローチャンバは少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備える。
【0131】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は、第2のフィルタ、第3のフローチャンバ、及び第4のフローチャンバをさらに備え、第2のフィルタは、第3のフローチャンバと第4のフローチャンバとの間に配置され、第3のフローチャンバは少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備え、第4のフローチャンバは少なくとも1つの出口を備える。
【0132】
幾つかの実施形態によれば、フィルタ装置は約6,000本未満の柱を有する。
【0133】
幾つかの実施形態によれば、第1のフィルタ及び第2のフィルタは、装置に含まれる孔の10パーセント以上を含む。
【0134】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第2のフローチャンバの少なくとも1つの濾過物出口と流体接続される。
【0135】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの保持物出口と流体接続される。
【0136】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの入口は、第1のフローチャンバの少なくとも1つの出口と流体接続され、且つ第2のフローチャンバの少なくとも1つの出口と流体接続される。
【0137】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバは、少なくとも1つの入口とは別個の、キャリア流体を導入するように構成された、少なくとも1つのキャリア流体入口をさらに備える。
【0138】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物を収集するように構成される。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの出口とは別個の第2の出口をさらに備えてもよい。第3のフローチャンバの第2の出口は、第2のフィルタからの保持物を収集するように構成されてもよい。
【0139】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物と第2のフィルタからの保持物を収集するように構成される。
【0140】
幾つかの実施形態によれば、第3のフローチャンバの少なくとも1つの出口は、第1のフィルタからの保持物と第2のフィルタからの保持物を収集するように構成される。第3のフローチャンバは、少なくとも1つの出口とは別個の第2の出口をさらに備えてもよい。第3のフローチャンバの第2の出口は、第1のフィルタからの濾過物を収集するように構成されてもよい。
【0141】
添付の図面は、縮尺で描かれることを意図されず、要素の数(例えば、柱の数)は、読みやすさのために実際の実施形態に存在するであろうものから減らされ得る。図面において、種々の図面で例証されるそれぞれの同一の又はほぼ同一の構成要素は、同様の符号によって表される。明快にする目的で、すべての図面においてすべての構成要素が符号を付されない場合がある。
【図面の簡単な説明】
【0142】
【図1A】小さい孔からの大きい粒子の排除を例証する、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1B】部分的に孔に入るが孔を抜け出ることはできない大きい粒子の変形を例証する、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1C】狭まっていく開口部に入っていき且つ孔の中に捕捉されていく粒子を示す、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1D】孔の中に捕捉された粒子を示す、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1E】粒子が孔よりも小さいため粒子が孔を通り抜ける、サイズ排除の失敗を示す、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1F】粒子が変形して孔を抜け出る可能性があるため、粒子が孔を通り抜ける、サイズ排除の別の失敗を示す、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図1G】粒子の流路が粒子を物理的に制約する孔に直面させないので、粒子のフィルタ除去に失敗する、サイズ排除の別の失敗を例証する、粒子を単離するための方法を示す概略図である。
【図2A】血液循環の細管で観測される流れ排除効果を示す概略図である。
【図2B】流れ排除のための可能な機構を示す概略図である。
【図3A】本開示の実施形態での流れ排除原理を例証する概略図である。
【図3B】本開示の実施形態での流れ排除原理を例証する概略図である。
【図3C】本開示の実施形態での流れ排除原理を例証する概略図である。
【図4】コンピュータによる流体力学シミュレーションによって有効孔径が計算された、孔を通る流れの関数としての有効孔径を示すグラフである。
【図5A】フィルタモジュールの実施形態を示す概略的な上面図である。
【図5B】フィルタモジュールの実施形態を示す概略的な三次元組立図である。
【図5C】フィルタモジュールの実施形態を示す概略的な三次元分解図である。
【図5D】フィルタモジュールの実施形態を示すが蓋は図示されない、1よりも小さいアスペクト比をもつ柱を示す概略的な三次元の図である。
【図5E】フィルタモジュールの実施形態を示すが蓋は図示されない、1よりも大きいアスペクト比をもつ柱を示す概略的な三次元の図である。
【図5F】フィルタモジュールの実施形態を示すが蓋は図示されない、テーパした柱を示す概略的な三次元の図である。
【図6A】フィルタモジュールの実施形態の上面図を提供する概略図である。
【図6B】フィルタモジュールの実施形態の上面図を提供する概略図である。
【図7A】フィルタモジュールの実施形態の上面図を提供する、フィルタモジュールの実施形態を例証する概略図である。
【図7B】フィルタモジュールの実施形態の上面図を提供する、フィルタモジュールの実施形態を例証する概略図である。
【図7C】図7Aに示されたフィルタモジュールの有効孔径を示すグラフである。
【図7D】図7Bに示されたフィルタモジュールの有効孔径を示すグラフである。
【図8】異なる孔径をもつフィルタモジュールの実施形態の、モジュールの蓋は図示されない、三次元の図を提供する概略図である。
【図9A】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、波形の濾過物チャンバを例証する図である。
【図9B】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9C】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9D】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9E】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9F】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9G】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図9H】フィルタモジュールの実施形態の一部の上面図を提供する概略図であり、柱の断面形状を示す図である。
【図10A】その保持物チャンバよりも浅い濾過物チャンバを有するフィルタモジュールを示すがモジュールの蓋は図示されない、概略的な上面図である。
【図10B】その保持物チャンバよりも浅い濾過物チャンバを有するフィルタモジュールを示すがモジュールの蓋は図示されない、概略的な三次元の図である。
【図10C】その保持物チャンバよりも浅い濾過物チャンバを有するフィルタモジュールを示す概略図であり、モジュールの中で動いている粒子を例証する図である。
【図11A】スクリーンフィルタを備えるフィルタモジュールの三次元組立図を示す概略図である。
【図11B】スクリーンフィルタを備えるフィルタモジュールの三次元分解図を示す概略図である。
【図11C】多孔質膜フィルタを備えるフィルタモジュールの三次元組立図を示す概略図である。
【図11D】多孔質膜フィルタを備えるフィルタモジュールの三次元分解図を示す概略図である。
【図12】フィルタモジュールの上面図を示す概略図である。
【図13】キャリアの流れを採用するフィルタモジュールの上面図を示す概略図である。
【図14A】デュアルフィルタモジュールの上面図を示す概略図である。
【図14B】デュアルフィルタモジュールの上面図を示す概略図である。
【図15A】デュアルフィルタモジュールの上面図である。
【図15B】デュアルフィルタモジュールの上面図である。
【図16A】多重フィルタモジュールの上面図である。
【図16B】多重フィルタモジュールの上面図である。
【図17A】2つの実質的に同一のフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図17B】2つの実質的に同一のデュアルフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図17C】それぞれが2つのデュアルフィルタモジュールを備える2つのフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図17D】それぞれが2つのデュアルフィルタモジュールを備える2つのフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図18A】異なるフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの上面図を提供する概略図である。
【図18B】異なるフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの上面図を提供する概略図である。
【図18C】異なるフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの上面図を提供する概略図である。
【図18D】定性的濾過特徴を示すグラフである。
【図19A】異なるデュアルフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの上面図である。
【図19B】異なるデュアルフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの上面図である。
【図20A】2つの異なるフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図20B】簡略化したフィルタカスケードモジュールの概略的な上面図である。
【図20C】定性的濾過特徴を示すグラフである。
【図21A】デュアルフィルタモジュールの上面図を提供する概略図である。
【図21B】デュアルフィルタモジュールの上面図を提供する概略図である。
【図22A】デュアルフィルタカスケードモジュール構成の上面図を提供する概略図である。
【図22B】デュアルフィルタカスケードモジュール構成の上面図を提供する概略図である。
【図23A】デュアルフィルタモジュール構成の上面図を提供する概略図である。
【図23B】デュアルフィルタモジュール構成の上面図を提供する概略図である。
【図23C】デュアルフィルタモジュール構成の上面図を提供する概略図である。
【図23D】多重フィルタモジュールを示す概略図である。
【図23E】図23Cに示された2つのデュアルフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールを示す概略図である。
【図24A】高モジュール密度装置の概略的な上面図である。
【図24B】高モジュール密度装置の概略的な上面図である。
【図24C】高モジュール密度装置の概略的な上面図である。
【図24D】高モジュール密度装置の概略的な上面図である。
【図24E】高モジュール密度装置の、装置の蓋は図示されない、三次元の図である。
【図24F】高モジュール密度装置の概略的な上面図である。
【図25】4つの高モジュール密度装置のスタック及び蓋を備える装置の三次元組立図及び三次元分解図を示す概略図である。
【図26A】カートリッジの概略図であり、カートリッジの三次元組立図を示す概略図である。
【図26B】カートリッジの概略図であり、カートリッジの正面図を示す概略図である。
【図26C】カートリッジの概略図であり、カートリッジの側面図を示す概略図である。
【図26D】カートリッジの概略図であり、カートリッジの三次元分解図を示す概略図である。
【図26E】カートリッジの概略図であり、カートリッジの側面分解図を示す概略図である。
【図27A】バッグシステムの概略図である。
【図27B】バッグシステムの概略図である。
【図27C】バッグシステムの概略図である。
【図28】バッグシステムの概略図である。
【図29A】管システムの三次元組立図を示す概略図である。
【図29B】管システムの三次元分解図を示す概略図である。
【図30A】管インサートの概略図であり、管インサートの三次元図を示す概略図である。
【図30B】管インサートの概略図であり、管インサートの断面図を示す概略図である。
【図30C】管インサートの概略図であり、管インサートの上面図を示す概略図である。
【図30D】管インサートの概略図であり、管インサートの正面図を示す概略図である。
【図30E】管インサートの概略図であり、管インサートの側面図を示す概略図である。
【図30F】管インサートの概略図であり、管インサートの背面図を示す概略図である。
【図30G】管インサートの概略図であり、管インサートの下面図を示す概略図である。
【図31A】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの三次元図を示す概略図である。
【図31B】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの三次元分解図を示す概略図である。
【図31C】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの側面図を示す概略図である。
【図32A】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの三次元図を示す概略図である。
【図32B】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの上面図を示す概略図である。
【図32C】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの側面図を示す概略図である。
【図32D】プレートシステムの概略図であり、プレートシステムの正面図を示す概略図である。
【図33】高モジュール密度装置を用いる全末梢血からの白血球の単離の実験結果を示す表である。
【図34A】リンパ球が末梢血から単離される実験で用いられる血液サンプル中の白血球(WBC)、赤血球(RBC)、及び小板(PLT)のサイズ分布を示すヒストグラムである。
【図34B】リンパ球が末梢血から単離される実験で用いられる保持物中の白血球(WBC)、赤血球(RBC)、及び小板(PLT)のサイズ分布を示すヒストグラムである。
【図34C】種々の細胞型のカウントを示す表である。
【図34D】高モジュール密度装置の性能を示す表である。
【図35A】高モジュール密度装置を用いる臍帯血体積減少の実験結果を示す表である。
【図35B】高モジュール密度装置を用いる臍帯血体積減少の実験結果を示す表である。
【図35C】高モジュール密度装置を用いる臍帯血体積減少の実験結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0143】
この開示は、以下の説明に記載され又は図面に示された構成要素の構成及び配置の詳細にその用途が限定されない。本開示は、他の実施形態が可能であり、種々の方法で実施し又は実行することが可能である。また、本明細書で用いられる言葉づかい及び用語は、説明の目的のためのものであって、限定するものとしてみなされるべきではない。本明細書での「含む」、「備える」、「有する」、「収容する、含有する」、「含んでいる」、及びこれらの変形の使用は、以下に挙げられるアイテム及びこれらの均等物並びに付加的なアイテムを包含するように意図されている。
【0144】
本開示の態様及び実施形態は、粒子を濾過するのに有用な場合がある濾過システム及びこうした濾過システムを作動させる方法に向けられている。
【0145】
本開示の態様及び実施形態は、少なくとも部分的に、流れ排除を採用し、且つ高いキャパシティ、高いスループット、低い粒子損傷、低い剪断の、及び粒子及び生体試料の詰まりが起きにくい濾過を提供する装置の発見に基づいている。さらに、本開示は、限定はされないがシリコン及びプラスチックを含む低価格の材料を用いて小型装置として容易に製造できる方法及び装置を提供する。
【0146】
本明細書で提供される範囲は、範囲内のすべての値の省略表現となるように理解される。例えば、1〜50の範囲は、任意の数、数の組合せ、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50からなる群からの部分範囲を含むように理解される。
【0147】
具体的に表記され又は文脈から明らかでない限り、本明細書で用いられる場合の「又は」という用語は、包括的なものであるように理解される。具体的に表記され又は文脈から明らかでない限り、本明細書で用いられる場合の「ひとつの(a、an)」、及び「該、前記(the)」という用語は、単数形又は複数形となるように理解される。
【0148】
具体的に表記され又は文脈から明らかでない限り、本明細書で用いられる場合の「約」という用語は、当該技術分野での通常の許容誤差の範囲内、例えば、平均値の2標準偏差内として理解される。約は、表記された値の10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、0.1%、0.05%、又は0.01%以内として理解することができる。文脈から他の方法で明白でない限り、本明細書で提供されるすべての数値は約という用語によって修飾される。
【0149】
本明細書での変数のあらゆる定義における化学基のリストの列挙は、任意の単一の基又は挙げられた基の組合せとして、その変数の定義を含む。本明細書での変数又は態様に関する実施形態の列挙は、任意の単一の実施形態として又は任意の他の実施形態又はその一部と組み合わされた実施形態としてその実施形態を含む。
【0150】
本明細書で提供される任意の組成物又は方法は、本明細書で提供される他の組成物及び方法のいずれかの1つ又は複数と組み合わせることができる。
【0151】
本明細書で用いられる場合の「粒子」という用語は、細胞、血球、臍帯血細胞、骨髄細胞、赤血球、白血球、リンパ球、上皮細胞、幹細胞、癌細胞、腫瘍細胞、循環性腫瘍細胞、前駆細胞、細胞前駆体、臍帯血幹細胞、造血幹細胞、間葉幹細胞、脂肪幹細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞、胎児性幹細胞、臍帯由来の細胞、脂肪組織由来の細胞、間質血管細胞群(SVF)中の細胞、羊水中の細胞、月経血中の細胞、脳脊髄液中の細胞、尿中の細胞、骨髄幹細胞、末梢血幹細胞、CD34+細胞、コロニー形成細胞、T細胞、B細胞、神経細胞、免疫細胞、樹状細胞、巨核球、固定化骨髄細胞、ホウォートンゼリー幹細胞、真核細胞、原核細胞、動物細胞、小板、精子、卵子、卵母細胞、病原菌、微生物、細菌、真菌、イースト、原生動物、ウィルス、小器官、核、核酸、ミトコンドリア、ミセル、脂質、タンパク質、タンパク質複合体、細胞の破片、寄生生物、脂肪滴、多細胞生物、胞子、藻類、クラスタ、又は上記の凝集物、並びに流体中に懸濁した他の非生物学的粒子、例えば、工業用粉末、ポリマー、粉末、エマルジョン、液滴、粉塵、ミクロスフェア、及びコロイドを含むが、これらに限定されない。粒子は、剛性であってもよいし、又は変形可能であってもよく、種々のサイズ及び形状を有することができる。粒子は、サイズが多岐にわたってもよく、例えば、約50nmから約1mmまでの最大寸法を有してもよい。粒子の形状は、矩形、球形、ディスク状、ボックス状、ロッド状、螺旋、又は鎖、若しくは上記の凝集物であってもよいが、これらに限定されない。本開示の実施形態は、変形可能な、壊れやすい、又は大きい剪断応力に対して弱い粒子の濾過に有用な場合がある。
【0152】
「機械的特性」は、物理的寸法、サイズ、形状、変形能力、可撓性、弾性、密度、粘度、剛性、及び空間的分布、又は上記の特徴の時間応答を含むが、これらに限定されない。
【0153】
本明細書で用いられる場合の「サイズ排除」という用語は、物理的阻止によって進入又は通過を防止すること又は制約することを含む。サイズ排除の一実施形態は、大きい変形可能でない粒子001が孔に入ること及びフィルタ003を通過することを防ぐために、小さい孔002を用いることである(図1A)。サイズ排除の別の実施形態は、変形可能な粒子001が開口部002の中に入り込むこと及び通過することを防ぐために、小さい開口部を用いることである(図1B)。サイズ排除のさらに別の実施形態は図1Cに示され、粒子001は、孔002の広い開口部に入って孔002の狭い部分に挟まる場合がある。サイズ排除のさらに別の実施形態は図1Dに示される。粒子001は、孔002に入ってフィルタ003の内部に捕捉される場合がある。
【0154】
本明細書で用いられる場合の「サイズ排除」という用語はまた、「物理的制約」をも含む。図1E、図1F、及び図1Gは、粒子がフィルタによってサイズ排除されない又は物理的に制約されない場合の例を示す。粒子001は、小さすぎて孔002によって排除されない場合がある(図1E)。粒子001はまた、駆動力の下で孔002を通り抜けるように変形可能な場合がある(図1F)。図1Gでは、粒子001は、それらが他の方法では粒子を捕える可能性がある孔002の狭い部分の中に移動しないように、接線方向の力004によって駆動される。図1E、図1F、及び図1Gの粒子は、フィルタによってサイズ排除され又は物理的に制約されるとは考えない。
【0155】
本明細書で用いられる場合の「濾過」という用語は、一般に、フィルタの使用を伴う又は伴わない粒子分離装置における粒子分離、分画、粒子単離、洗浄、濃縮、増加、精製、及び/又はバッファ交換を含むが、これらに限定されない。「濾過」はまた、1つ又は複数の粒子群の部分的又は完全除去又は保持を指すために用いられる。本明細書で用いられる場合の「濾過」という用語はまた、細胞分離、幹細胞単離、白血球減少、白血球単離、癌細胞単離、臍帯血体積減少、血漿分離、間質血管細胞群(SVF)の発生のような特定の用途を含む。
【0156】
本明細書で用いられる場合の「フィルタ」は、「孔」と呼ばれる複数の開口部又は流体通路を備える構造体を指すが、これに限定されない。本明細書で用いられる場合の「孔」という用語は、例えばフィルタ上の又はフィルタの中の開口部又は流体通路を含む。孔の断面形状は、環状、長方形、円形、多角形、不規則形、細長い形、又はスリット状であってもよいが、これらに限定されない。本明細書で用いられる場合の「孔」という用語は、柱の間のスペースを含むがこれに限定されない。本明細書で用いられる場合の孔の一実施形態は、流体チャネルの中の2つの隣接する柱の間のスペースである。「孔」の別の実施形態は、流体チャネルの堰構造体と天井との間のギャップである。
【0157】
或る粒子を通過させる及び/又は他の粒子のフラックスを通過させない又は減少させるフィルタが、部分的に又は全体的に用いられてもよい。本明細書で用いられる場合の「フィルタ」という用語は、サイズ排除に基づいて粒子が阻止され又は分離される篩に限定されない。本明細書で用いられる場合のフィルタの一実施形態は、障害物及び孔を含む物理的構造体を含む。フィルタの別の実施形態は、二股に分かれる流れ及び保持物粒子よりも大きい孔を用いて粒子を分離する物理的構造体を含む。フィルタのさらに別の実施形態は、流れの力又は流体力学的力を用いて物理的構造体の孔開口部よりも小さい粒子を保持する物理的構造体を含む。フィルタのさらに別の実施形態は、「孔」又は水性溶液のための流体通路の道をもたらすために、疎水性表面上に親水性のパターンを備える。
【0158】
本明細書で用いられる場合の「フィルタする」とは、フィルタを用いて濾過を行うことを意味する。
【0159】
本明細書で用いられる場合の「保持物」という用語は、フィルタによって保持される又はフィルタを通過しない粒子を含む。本明細書で用いられる場合の「保持物」はまた、保持された粒子を含む流体を含む。本明細書で用いられる場合の「保持物」はまた、本開示の実施形態のフィルタによって保持される粒子を含む、流体及び粒子出力を指す場合がある。本明細書で用いられる場合の「保持物」はまた、フィルタ構造体を備える場合もあるし又は備えない場合もある、分離装置を用いる、関心ある粒子を含む流体出力を指す場合がある。
【0160】
本明細書で用いられる場合の「濾過物」という用語は、フィルタを通過する粒子を含む。本明細書で用いられる場合の「濾過物」はまた、フィルタを通過する粒子を含有する流体を含む場合がある。本明細書で用いられる場合の「濾過物」はまた、本開示の実施形態でのフィルタを通過する粒子を含む流体及び粒子出力を指す場合がある。本明細書で用いられる場合の「濾過物」はまた、フィルタ構造体を備える場合もあるし又は備えない場合もある、分離装置を用いる、関心ある粒子が部分的に又は完全に除去される流体を含む流体出力を指す場合がある。
【0161】
本明細書で用いられる場合の「フィード」という用語は、濾過プロセスによって処理されるべき粒子、又は濾過装置に入る粒子を含む。「フィード」という用語はまた、濾過プロセスによって処理されるべき粒子を含有する流体を含む場合がある。本明細書で用いられる場合の「フィード」という用語は、粒子、血液、臍帯血、血清、脂肪組織、消化された脂肪組織、間質血管細胞群、羊水、月経血、脳の脊髄液、乳、骨髄、尿、及び他の体液を含んでもよいが、これらに限定されない。
【0162】
本明細書で用いられる場合の粒子の「保持率」という用語は、装置に組み込まれたフィルタによって粒子が保持される確率を指す。本明細書で用いられる場合の粒子群の「保持率」という用語は、装置の保持物として収集される粒子群の割合を指す。本明細書で用いられる場合の流体の「保持率」という用語はまた、装置によって保持物として収集される流体の割合を指す。本明細書での装置は、フィルタ、濾過モジュール、濾過ユニット、又は濾過システムを備えてもよい。例えば、実質的に一様な粒子群の「保持率」は、結果として得られる保持物中の粒子の数と処理されるフィード中の粒子の数との比として計算されてもよい。或る粒子群の保持率は、濾過プロセスで保持物として収集されるフィードの中のこうした群の割合を指す場合がある。「保持率」はまた、「回収率」又は「キャリーオーバ」と呼ばれる場合がある。
【0163】
本明細書で用いられる場合の「物理的孔径」という用語は、孔の物理的間隔のサイズを指す。実際には、孔の「物理的孔径」は、「行き止まり(dead−ended)」濾過構成の下で実質的な物理的制約又はサイズ排除なしに孔を通過できる、変形可能でない球、例えば、ポリマーミクロスフェアの最大直径として本質的に測定されてもよい。例えば、深さ50μmのミクロ流体チャネルにおける10μm離間された2本の柱の間隔を含む孔は、10μmの物理的孔径を有する。同様に、膜における直径5μmの円形穴を含む孔は、5μmの物理的孔径を有する。孔がスリットを備える場合、物理的孔径は実質的にスリットの幅である。行き止まり濾過は、以下の参考文献、すなわち、Zeman, L.J.他、「Microfiltration and Ultrafiltration」、Marcel Dekker, Inc.、ISBN 0−8247−9735−3、pp.328〜331(1996)で十分に説明され、この行き止まり濾過の開示された説明は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0164】
本明細書で用いられる場合の孔の「有効孔径」は、対象とする流れ条件の下で孔が実質的に保持することができる、変形可能でない球、例えば、ポリマーミクロスフェアの最小直径を指す。有効孔径は、実験的に測定し及び判定することができる。例えば、孔によるベースライン保持率は、流れ排除なしに対象とする流れ条件の下で孔を通して流れるときに流れの流線に実質的に追従する小さい変形可能でない球を用いて確立することができる。より大きい変形可能でない球は、実質的に同じ作動条件の下で、ベースラインよりも高い保持率で、流れ排除に起因して孔によって保持され得る。ベースラインよりも実質的に高い、例えばベースラインよりも40%、50%、60%、80%、90%、98%、99%、又は100%高い保持率で保持できる最小の変形可能でない球の直径が、孔の「有効孔径」と呼ばれる。有効孔径を測定するときに、用いられる粒子は以下の特徴を有することが好ましい:(a)粒子が実質的に球形である、(b)粒子が実質的に変形可能でなく、剛性である、(c)粒子が実質的に単一の粒子懸濁液中に懸濁される、(d)粒子懸濁液が希釈され、実質的に粒子−粒子相互作用が存在しない、(e)粒子が関心ある時間にわたって実質的に沈降しない、(f)粒子が流体チャネル又はフィルタ表面に実質的に固着したり又は汚したりしない、及び(g)電荷、固着、親和力、又は磁力に起因して、粒子が相互に又は流体チャネル、フィルタ表面、又は孔と相互に作用しない。上記の粒子特徴は限定することを意図されないことが理解される。
【0165】
本明細書で用いられる場合の装置の「保持サイズ」は、実質的に同じ作動条件で装置を用いて処理された流体の保持率よりも実質的に高い、例えば、約40%、50%、60%、80%、90%、98%、99%、又は100%高い保持率を有する、変形可能でない球、例えば、ポリマーミクロスフェアの最小直径を指す。装置の保持サイズは、実験的に測定し及び判定することができる。例えば、流体の保持率は、一組の作動条件の下で流体の流れの動きに実質的に追従する小さい変形可能でない球を用いてベースラインとして確立されてもよい。流体の中に混合されたより大きい変形可能でない球は、実質的に同じ作動条件の下でベースラインよりも高い保持率を有する可能性がある。ベースラインよりも実質的に高い、例えば、ベースラインよりも約40%、50%、60%、80%、90%、98%、99%、又は100%高い保持率を有する最小の変形可能でない球の直径が、装置の「保持サイズ」として特徴付けられる。本明細書での装置は、フィルタ、濾過モジュール、濾過ユニット、又は濾過システムを備えてもよい。保持サイズを測定するときに、用いられる粒子は、以下の特徴を有してもよい:(a)粒子が実質的に球形である、(b)粒子が実質的に変形可能でなく、剛性である、(c)粒子が実質的に単一の粒子懸濁液中に懸濁される、(d)粒子懸濁液が希釈され、実質的に粒子−粒子相互作用が存在しない、(e)粒子が関心ある時間にわたって実質的に沈降しない、(f)粒子は流体チャネル又はフィルタ表面に実質的に固着したり又は汚したりしない、及び(g)電荷、固着、親和力、又は磁力に起因して、粒子が相互に又は流体チャネル、フィルタ表面、又は孔と相互に作用しない。上記の粒子特徴は限定することを意図されないことが理解される。
【0166】
本明細書で用いられる場合の「流れ排除」という用語は、孔の周りの流体の流れ条件を用いて物理的孔径よりも実質的に小さい有効孔径を達成することを指す。本明細書で用いられる場合の「流れ排除」という用語はまた、フィルタの周りの流体の流れ構成を用いてフィルタの構成孔の物理的孔径よりも実質的に小さい保持サイズを達成することを指す。
【0167】
上記の定義は、本開示の精神を伝えることを意図され、限定することを意図されないことが分かる。
【0168】
粒子濾過装置
本開示の態様及び実施形態は、(a)少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有する第1のフローチャンバと、(b)少なくとも1つの出口を有する第2のフローチャンバと、(c)複数の孔、例えば、少なくとも10個の孔を備えるフィルタとを備える粒子を濾過するための装置を提供する。ここで、フィルタは、第1のフローチャンバと第2のフローチャンバとの間に配置され、約10nmから約10mmまでの間の物理的孔径を有する。第1のフローチャンバ及び第2のフローチャンバは、フィルタ孔の有効孔径が実質的により小さくなる、例えば、物理的孔径よりも上限約95%まで小さくなるように構成される。装置は、例えば、シリコン、ガラス、又はプラスチックを含む材料で作製されてもよい。幾つかの実施形態は、粒子が鋭利な縁部に直面せず、損傷が減るように構築されてもよい。
【0169】
本開示の態様及び実施形態に係る粒子濾過装置は、幾つかの異なる方法で構成されてもよい。幾つかの実施形態では、第1のフローチャンバは、キャリア流体を導入するのに用いることができる少なくとも1つの入口を有する。他の実施形態は、第2のフィルタと第3のフローチャンバを備え、前記第2のフィルタは、前記第1のフローチャンバと前記第3のフローチャンバとの間に配置され、前記第3のフローチャンバは少なくとも1つの出口を備える。さらに他の実施形態は、第2のフィルタが第2のフローチャンバと第3のフローチャンバとの間に配置されるように、第2のフィルタ及び少なくとも1つの出口を有する第3のフローチャンバを備える。
【0170】
幾つかの実施形態では、粒子は、流体の流れ、流体力学的流れ、圧力低下、流体力学的圧力、圧力源、真空、ヘッド高さ、重力、遠心力、電場、電気泳動電場、動電学的力、電気浸透力、毛管作用、又は上記の組合せのうちの少なくとも1つによって装置を通して駆動される。幾つかの実施形態では、粒子(「フィード粒子」)は、1秒あたり少なくとも約100フィード粒子、例えば、少なくとも102、103、104、105、106、107、108、1010、1012、又は1015個の速度で装置を通過し又は装置を通して処理される。幾つかの実施形態では、装置は、500nl、200nl、100nl、50nl、20nl、又は10nlよりも小さい滞留体積を有する。幾つかの実施形態では、粒子は、粒子に損傷を与えない剪断応力を受ける。
【0171】
フィルタの実施形態は、複数の方法で形成することができる。幾つかの実施形態では、フィルタは、1つ又は複数の列の柱又は突起部を有する。柱又は突起部は、種々の形状及びサイズとすることができる。他の実施形態では、少なくとも2列の柱又は突起部が存在する。本開示の他の実施形態は、孔を備える膜から形成されたフィルタを提供する。本開示のさらに他の実施形態は、スクリーンフィルタから形成されたフィルタを提供する。幾つかの実施形態では、フィルタは、粒子に損傷を与える可能性が減少する又は無くなるように、粒子が如何なる鋭利な縁部にも直面しないように構築される。これは、粒子が生きている細胞又はアポトーシス細胞であるときに重要な場合がある。
【0172】
本開示の幾つかの実施形態では、フィルタは、その有効孔径がそれらの物理的孔径よりも少なくとも約0.5μmだけ小さい孔を備える。他の実施形態では、有効孔径は、物理的孔径の95%よりも小さい。さらに他の実施形態では、有効孔径は、物理的孔径よりも実質的に小さい場合があり、例えば、有効孔径は、物理的孔径の約75%、約60%、約50%、約30%、約10%、又は約5%である。さらに他の実施形態では、保持サイズは、物理的孔径よりも実質的に小さい場合があり、例えば、有効孔径は、物理的孔径の約90%、約75%、約60%、約50%、約30%、約10%、又は約5%であってもよい。さらに他の実施形態では、粒子は、その装置の通過中に約5,000個以下の孔に直面する。
【0173】
本開示の態様及び実施形態は、単純な又は複雑な沈渣、有害物、又は廃水中で見られる重金属汚染物質、若しくは油、バイオ燃料などのような自然発生の流体又は合成された流体中で見られる種々の汚染物質のような多くのタイプの粒子をフィルタし、分離し、分画し、処理し、増加させ、又は単離するのに用いることができる。加えて、本開示の幾つかの態様及び実施形態は、健康な細胞、病的細胞、成長している細胞、死にかけている細胞、又は死んだ細胞のような多くの異なるタイプの細胞をフィルタする臨床的目的で用いることができる。細胞型の例は、血球、幹細胞、造血幹細胞、前駆細胞、間葉幹細胞、脂肪幹細胞、CD34+細胞、腫瘍細胞、骨髄細胞、臍帯血細胞、リンパ球、白血球、癌細胞、脳の脊髄液細胞、羊水細胞、ホウォートンゼリー幹細胞、真核細胞、原核細胞、動物細胞、間質血管細胞群細胞、臍帯由来の細胞、肝臓細胞、神経細胞、及び免疫細胞である。他の細胞型は、細菌性細胞、イースト細胞、及び異常な細胞を含む。
【0174】
本開示の態様及び実施形態は、血液、臍帯血、血清、脂肪組織、消化された脂肪組織、間質血管細胞群、羊水、月経血、脳の脊髄液、乳、骨髄、及び尿のような多くのタイプの流体を処理し、フィルタし、分離し、又は分画するのに用いることができる。
【0175】
本開示の態様及び実施形態はまた、上で説明された1つ又は複数の装置のような装置を用いて粒子を濾過するための方法を含む。この方法の幾つかの実施形態では、フィード粒子は、入口(単数又は複数)を介して装置の第1のフローチャンバの中に導入され、装置を通して粒子を推進するために粒子に駆動力がかけられる。保持物粒子は第1のフローチャンバの出口(単数又は複数)から収集され、濾過物粒子は第2の及び/又は第3のフローチャンバの出口から収集される。幾つかの実施形態では、キャリア流体は、少なくとも1つの入口を介して装置の第1のフローチャンバの中に導入される。
【0176】
流れ排除の原理
濾過は、サイズ排除の代わりに流れの分岐を用いて行うことができる。具体的には、或る流れ配列の下で小さい粒子が大きいフィルタ孔によって保持される場合がある。流れによって小さい粒子が大きい孔に入るのを排除されるので、本明細書では、この効果が「流れ排除」と呼ばれる。流れ排除効果は、早くも1921年には微小循環、すなわち微小血管の血流で観測されていた(Krogh,A.、「Studies on the Physiology of Capillaries:II.The Reactions to Local Stimuli of the Blood−vessels in the Skin and Web of the Frog」、J.Physiol.、55(5−6)、pp.412〜422(1921);Fahraeus,R.、「The Suspension Stability of the Blood」、Physiological Reviews 9、pp.241〜274(1929)。微小血管が2つの血管に分岐するときに、フローパターンがサイズ排除に有利に働くように変化した場合に、細胞が低い流量の血管に入るのを防ぐ物理的制約又はサイズ排除が存在しなくても、血球は、より高い流量をもつ血管の方に優先的に入る場合がある(図2A)。この効果は、細胞と血管と血流との間の複雑な流体力学的相互作用及び力に起因して生じる。流れ排除は、2つの分岐における流量が大きく異なるときに最も顕著である。さらに、有核細胞は、脱核細胞、例えば赤血球及び小板よりも顕著に流れ排除を経験するようであった。
【0177】
細管の中で観測される流れ排除を説明する試みにおいて異なる理論が展開されている(Krogh,A.、「Studies on the Physiology of Capillaries:II. The Reactions to Local Stimuli of the Blood−vessels in the Skin and Web of the Frog」、J Physiol 55(5−6)、pp.412〜422(1921);Fahraeus,R.、「The Suspension Stability of the Blood」、Physiological Reviews 9、pp.241〜274(1929);Svanes,K.他、「Variations in Small Small Hematocrits Produced in Hypothermic Rats by Micro−Occlusion」、Microvasc Res.1、pp.210〜220(1968);Yen,R.T.他、「Model Experiments on Apparent Blood Velocity and Hematocrit in Pulmonary Alveoli」、J.Appl.Physiol.35、pp.510〜517(1973);Mayrovitz,H.N.他、「Leukocyte distribution to arteriolar branches:dependence on microvascular blood flow」、Microvasc Res.29(3)、pp.282〜294(1985)。
【0178】
非圧縮性ニュートン流体の流体力学的挙動を支配するナビエ・ストークスの式を考えると、見識が得られるかもしれない。
【数1】
【0179】
ここで、ρは流体の密度であり、vは流体の速度であり、pは圧力であり、μは粘度であり、fは重力のような外力である。図2Aに示すように分岐する血管の中を動く単一の細胞を考える。細胞の移動経路を解析するために、正確な流体の流れ分布と細胞に対する力が計算されなければならない。これは、単一の細胞であっても集約的なコンピュータ計算を必要とする、しばしば厄介なタスクである。循環する血流の場合のように、多くの細胞が互いに干渉しあうときには、問題がより一層難しくなる。どのようにして流れ排除が起こるかの見識を得るのにおそらく最も簡単な方法は、流体の速度の増加が圧力の減少と同時に起こることを示すベルヌーイの原理を当てはめることである。2つの分岐する血管の間の流量の違いにより、細胞は、より高い流速をもつ血管の方に揚力を経験する(図2B)。この揚力は、その血管が細胞の通過を許すのに十分なだけ物理的に大きい可能性があるにもかかわらず、細胞がより低い流量の血管に入るのを防ぐ又は阻む。したがって、流れ排除が起こる。明らかに、上記の理論は、以下の理由のため過度の単純化であるかもしれない:(a)血液及び骨髄液などを含む流体は、ニュートン流体ではない場合がある、(b)粒子濃度が非常に高いため、粒子−粒子相互作用が粒子の動きを支配する主要因となる場合がある、(c)含まれる粒子が流体力学的な力に応答して変形可能である及び可撓性である。
【0180】
特定の機構又は理論にとらわれずに、本開示の態様及び実施形態は、接線方向の流れ濾過及び流れ排除原理に従って理解することができる。本開示の一実施形態では、サイズ排除によって大きい粒子を保持するために小さい孔が用いられる従来の接線方向の流れ濾過とは対照的に、比較的小さい粒子を保持するために大きい孔を備えるフィルタが用いられる。本開示の幾つかの実施形態の大きな利点は、粒子損傷及びフィルタの詰まりの顕著な減少又は除去であり、変形可能な及び/又は壊れやすい粒子の高スループットでの処理を可能にする。図3に示すように、本開示の実施形態は、接線方向の流れ301、柱302及び孔304の配列を備えるフィルタ306、並びにフローチャンバ303を用いる場合がある(図3A)。幾つかの実施形態では、作動条件の下で、接線方向の流れ301のほんの小さな割合だけが孔304を通して引き込まれるように、フローチャンバ303が流体の流れる方向に沿って徐々に広くされる場合がある。フローチャンバ303がフィルタの幾何学的形状と共に広くなる度合いが、各孔304を通して引き込まれる流れの量を決める。より緩やかにチャンバ303が拡大するにつれて、孔を通して引き込まれることになる流れがより少なくなる。
【0181】
層流条件(図3A)の下では、接線方向の流れ301は、微小循環で血流が分岐する血管の周りで二股に分かれるのとほとんど同様に、各柱302の周りで二股に分かれる。孔304に入る分岐する流れ305が接線方向の流れ301の流量よりもかなり小さい流量を有する場合、流れ排除効果が生じる可能性がある。柱302の傍を流れる粒子321は、粒子に対する流れ排除の強さに応じて、孔304に入る場合もあるし入らない場合もある(図3B)。異なる細胞型は異なる流れ排除効果を経験するので、及び、流れ排除は孔を通した流量の関数なので、1つには、孔304での流量を制御することによって或る細胞型を分離するのに有用な流れ排除条件を生み出すことができる。例えば、リンパ球311に対する強い流れ排除及び赤血球312に対する弱い流れ排除を引き起こす、二股に分かれる流れ条件を生み出すために、1つには、徐々に広くなるフローチャンバ303を設計することができる(図3C)。結果として、リンパ球311はフィルタ306によって保持され、赤血球312はフィルタ306を通過する。本開示の幾つかの態様及び実施形態では、粒子を濾過するためのベースとして流れ排除が用いられる。
【0182】
本開示の幾つかの態様及び実施形態では、孔を通した体積流量は、接線方向の流れの体積流量よりもかなり小さい。低いレイノルズ数条件の層流での単一の剛球粒子のコンピュータ流体力学計算を用いて、特定の設計の孔を通して引き込まれる流れの量の関数として有効孔径を推定することができる。図4は、図5Aに示された実施形態に対するこうした計算の結果を示し、フローチャンバ深さ30μm、フィード入口幅110μm、柱直径30μm、及び隣接する柱の中心から中心までの距離40μmと仮定して、結果として約10μmの物理的孔径が得られる。各孔を通した流量がフィード入口502での接線方向の流量の約0.4%であるとき、孔の有効孔径はおよそ3.8μmであり、これは10μmの物理的孔径よりも著しく小さい。しかしながら、各孔を通した体積流量が入口での接線方向の体積流量の約1.6%であるとき、有効孔径が物理的孔径とほぼ同じになることに注意されたい。各孔を通した流量が入口での接線方向の流量の1.6%よりも大きいときに、サイズ排除が粒子分離の主要なベースとなり、装置は従来の濾過装置となる。サイズ排除に基づく分離を達成するために膜間圧力(transmembrane pressure)を採用する従来の接線方向の流れ濾過とは対照的に、本開示は、流れ排除に基づく分離を達成するために孔の周りの流量分布を採用する。
【0183】
上述のコンピュータ計算は、理想的な且つ過度に単純化された条件(ブラウン運動を伴わないニュートン流体中の単一の剛性の球形の粒子)の下での流れ排除への見識を我々に与えるが、本開示でのフィード粒子の濾過プロセスは、確率によって説明される実質的に確率論的なものである場合があり、決定論的なものではない場合がある。
【0184】
とりわけ、粒子−粒子相互作用、粒子変形、及びブラウン運動は、フローパターン及び粒子上にかかる力を変化させて、流れ排除を確率論的なものにする可能性がある。この流れ排除の確率論的性質は、特にフィード粒子が複雑な粒子及び流体、例えば、血液、臍帯血、骨髄、間質血管細胞群などを含むときに顕著である及び非常に実質的である場合がある。こうした実世界のサンプルの複雑さを理解するために、臍帯血を考えてみよう。典型的な臍帯血サンプルは、1ミリリットルあたり約40億の赤血球、1000万の白血球、及び2億の小板を含有する。これらの細胞は、血液体積の約40%を構成し、それらが相互に作用する際に変形する。さらに、細胞は、重力の下で異なる速度で沈降する。サンプルを顕著に、例えば、1,000、10,000、100,000分の1以上に希釈しないと、粒子−粒子相互作用が血球を確率論的に動かす可能性があり、本開示の実施形態を用いて特定の細胞が保持されることになるかどうかを予め判定するのは実質的に不可能な場合がある。
【0185】
物理的孔径及び有効孔径
フィルタ及びその孔径を特徴付けるための1つの技術は、剛性の球を用いる粒子保持測定である(Zeman、L.J.他、「Microfiltration and Ultrafiltration」、Marcel Dekker、Inc.、ISBN 0−8247−9735−3、pp.265〜274(1996))。この刊行物で開示された粒子保持測定の例は、引用により本明細書に組み込まれる。こうした測定に用いられてもよい粒子の例は、ラテックスビード及びポリマーミクロスフェアを含む。「物理的孔径」、「有効孔径」、及び「保持サイズ」は、上記で説明されたような技術を用いて測定し及び特徴付けることができる。剛性の球を標準として用いて、異なるフィルタ及び装置を、それらの意図された使用に関係なく特徴付ける及び比較することができる。例えば、水の中の細菌を除去するための従来の濾過装置は、細菌が血球とはかなり異なるサイズ、形状、変形能力、電荷、濃度、及び他の特徴を有する可能性があるにもかかわらず、血液濾過装置と比較することができる。
【0186】
従来のサイズ排除濾過では、孔の有効孔径は、物理的孔径よりも大きいか又は実質的に等しく、フィルタの保持サイズもまた、物理的孔径よりも大きいか又は実質的に等しい。対照的に、本開示の幾つかの態様及び実施形態では、孔の有効孔径は、流れ排除を用いる孔の物理的孔径よりも小さい又は実質的に小さい(図4)。
【0187】
装置は、標準の剛性の球を用いて特徴付ける及び比較することができるが、生体試料に関する本開示の実際の実施形態は、特定の各用途のために経験的に最適化されてもよい。孔の有効孔径よりも実質的に大きい粒子は、粒子の変形又はプロセスの確率論的性質に起因してフィルタを依然として通り抜ける場合がある。この現象は、本明細書では「漏れ」と呼ばれる。有効孔径が物理的孔径よりも大きい又は実質的に等しい従来のフィルタでは、粒子は、漏れが生じるときにフィルタを詰まらせる及び汚す傾向がある。変形可能な及び壊れやすい粒子が従来のフィルタを通して漏れるとき、粒子は、大きい剪断を経験し、損傷され又は溶解されて、詰まりに加えてフィルタのファウリングのカスケードをトリガする場合がある。これは、生体試料及び細胞を用いる用途での深刻な問題である。
【0188】
本開示の幾つかの態様及び実施形態は、有効孔径よりも実質的に大きい孔を採用する方法及び装置を含み、これによりフィルタのファウリング及び詰まりを著しく減少させ又は回避する。加えて、本開示の実施形態は、流れ排除をもたらす手段として、それらの孔を通した低い体積流量を採用する。大きい孔と小さい流量との組合せは、孔の中の及び周りの低い剪断を容易にし、これによりファウリング、詰まり、粒子活性化、及び粒子損傷の問題をさらに低減させる。
【0189】
濾過モジュール、ユニット、及び装置
フィルタモジュール
本開示の別の実施形態は、図5に示されたフィルタモジュールである。第1のフローチャンバ501は入口502と出口503を有する。フィード粒子、すなわち濾過によって処理されるべき粒子は、入口502に入り、駆動力を用いて第1のフローチャンバ501を通して入口から出口の方に駆動される。第1のフローチャンバ501は、柱505の配列を備えるフィルタ508によって第2のフローチャンバ504から分離され、これと流体接続される。柱の間の間隔がフィルタ508の孔506を構成する。第2のフローチャンバ504は、フィルタ508にわたる孔506を通して少量の流れを引き込み、濾過物粒子を受け入れ、且つ濾過物出口507を介して濾過物粒子を採集するように配置される。各孔506を通した流量は、流れ排除を容易にするために、小さい割合、例えば、第1のフローチャンバ501の入口502での流量の1/10、1/20、1/30、1/50、1/100、1/200、1/300、1/500、1/1,000、1/2,000、1/5,000、1/10,000、1/20,000、1/50,000、又は1/100,000となるように設計される。幾つかの実施形態では、孔506は、物理的孔径が有効孔径よりも実質的に大きいようなサイズにされる。フィルタ508の幾つかの実施形態は、約10から約50,000個までの孔506、例えば、10、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、又は50,000個の孔を有してもよい。さらなる説明の便宜上、フィード及び保持物粒子が移動する第1のフローチャンバ501は、本明細書では「保持物チャンバ」と呼ばれ、濾過物粒子が移動する第2のフローチャンバ504は「濾過物チャンバ」と呼ばれる。
【0190】
種々の実施形態の内部の粒子の流れは、流体の流れ、駆動圧力、真空、ヘッド高さ、重力、遠心力、磁気力、毛管作用、又は上記の組合せを用いて生み出されてもよい。粒子の流れはまた、電場、電気泳動電場、誘電泳動電場、電気浸透力、動電学的力、又は上記の組合せの力を用いて生み出されてもよい。これらの電場又は力は、粒子を動かす可能性があり、粒子が含有される流体を動かす可能性もあるし又は動かさない可能性もある。幾つかの状況では、これらの電場又は力は、粒子が含有される流体を動かすことなく粒子を動かす可能性がある。例えば、如何なる動電学的流れもない状態で、電気泳動電場は、流体の流れを生み出すことなく本開示の装置の実施形態を通して荷電粒子を駆動する可能性がある。重力の場合には、流体の密度よりも大きい密度を有する粒子が流体を通して沈降する可能性がある。他の場合には、流体は、粒子とは反対方向に流れる可能性がある。明らかに、これらの例では流れ排除は起こらない。しかしながら、装置内部の駆動力は、流体の流れがそうするのとほとんど同様に、それら独自の排除効果をもたらすことができる。したがって、重力、遠心力、電場、電気泳動電場、及び動電学的力はまた、粒子を駆動し、サイズ排除又は物理的制約に頼らない濾過効果を達成するために用いられてもよい。
【0191】
幾つかの実施形態では、柱505は、それらの幅と類似した高さを有してもよく、これにより、図5B及び図5Cに示すように、1に近い、例えば0.8、0.9、1.0、1.1、1.2、又は1.3のアスペクト比を有する。代替的に、柱505は、それらの幅よりも小さい高さを有してもよく、これにより、図5Dに示すように、実質的に1よりも小さい、例えば0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、又は0.6のアスペクト比を有し、又はそれらの幅よりも大きい高さを有してもよく、これにより、図5Eに示すように、実質的に1よりも大きい、例えば1.5、2、3、5、8、10、20、100、500、2,000、又は10,000のアスペクト比を有する。高いアスペクト比の柱及び設計は、より高いキャパシティ及びスループットの利点を有し、一方、低いアスペクト比の柱及び設計は、製作のしやすさの利点を有する。柱505は、徐々に細くなっていってもよく又はテーパしてもよい(図5E)。抜き勾配は、90度に近い角度、例えば80、85、87、88、又は89度とすることができる。テーパした柱は、型からの取り出し(demolding)を容易にする可能性があり、射出成形、エンボス加工、ソフトリソグラフィ、又は他の複製技術を用いる製作をあまり難しくないものにする可能性がある。
【0192】
幾つかの実施形態では、保持物チャンバ50及び濾過物チャンバ51の側壁は、互いにほぼ平行である(図5A)。幾つかの実施形態では、保持物チャンバ501は、実質的に一定の幅を有してもよく、徐々に広くなっていってもよく、又は徐々に狭くなっていってもよい(図6)。保持物チャンバ501の幅の変化は、チャンバ501の中の流量、及び結果として生じる剪断応力の変化をもたらす場合がある。図6Bに示される実施形態では、フィード液体が濾過物チャンバ504の中に引き込まれるので、保持物チャンバ501の中の流速は、流体が出口503の方に移動するのに伴って徐々に小さくなる。対照的に、図6Aに示される実施形態では、保持物チャンバ501の中の流体は、保持物チャンバ501及び濾過物チャンバ504の全断面積がより小さくなるのに伴って出口503の方に加速し得る。濾過物チャンバ504がより広くなる度合いが、孔506を通して引き込まれる流れの量を実質的に決める可能性があり、所望の有効孔径に関して最適化されてもよい。
【0193】
本開示の別の実施形態では、保持物チャンバは、入口側から保持物出口の方に徐々に狭くなってもよく、濾過物チャンバは、濾過物出口の方に徐々に広くなってもよい。高い流量及び低い剪断応力が望まれる用途では、保持物チャンバは入口側では広く且つ出口側では狭いことが好ましい場合がある。こうした構成は、入口での流速を低く保つ可能性があり、且つ剪断応力を保持物チャンバの全体を通して低く保つ可能性がある。本開示の別の実施形態では、保持物チャンバは、入口側から保持物出口の方に徐々に狭くなり、且つ流体が入口から出口の方に流れる際に保持物チャンバの中の平均流速を実質的に一定に保つように構成されてもよい。本開示の別の実施形態では、保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、流体が入口から出口の方に流れる際に保持物チャンバの中の平均流速が実質的に一定であるように構成されてもよい。
【0194】
本開示の別の実施形態では、フィルタは、曲線上に配列された柱を備える(図7)。フィルタの「湾曲」は、結果として特定のフィルタ特徴をもたらす可能性がある。すなわち、各孔は、或る濾過要件を達成するように設計された異なる有効孔径を有してもよい。図7Aに示される実施形態では、フィルタ701は、濾過物チャンバ711の側壁710と最初に小さい角度をなし、濾過物チャンバがごく少量の流れをフィルタ701にわたって引き込むことを可能にする。次いで、孔を通して引き込まれる流れの量を増加させるために、フィルタ702と側壁710との間の角度がより大きくなり、結果としてより大きい有効孔径が得られる。フィルタ703と側壁710との間の角度は、濾過物出口720の方に小さくなり、孔を通して引き込まれる流れの量を減少させる可能性がある。図7Bでは、フィルタ704は、或るフィルタ特徴を維持するように設計された曲線上に配列された柱を備える。入口722側から出口721側までのその位置の関数としての各孔の有効孔径が、それぞれ図7A及び図7Bに示された実施形態に関して図7C及び図7Dで定性的に示される。考慮されている特定の用途に対する所望のフィルタ特徴に応じて、他の柱配列が用いられてもよいことが理解される。
【0195】
さらに別の実施形態では、各孔を通した流量は本質的に同一である。さらに別の実施形態では、各孔を通して引き込まれる流量は、接線方向の流れの流量の最大割合xよりも小さい又はこれに等しく、xは、約1/5から約1/100,000までの範囲である。例えば、望ましいxは、1/5、1/10、1/20、1/50、1/100、1/200、1/500、1/1,000、1/2,000、1/5,000、1/10,000、1/20,000、1/50,000、又は1/100,000であってもよい。この実施形態の例が図5に示される。フィルタは、約10から約100,000本までの間の柱、例えば、約10、20、50、100、200、500、1000、2,000、5,000、10,000、30,000、又は100,000本の柱を備える。柱と濾過物チャンバは、有効孔径が物理的孔径よりも実質的に小さいような方法で構成される。
【0196】
本開示のさらに別の実施形態では、フィルタは、図5、図6、及び図7に示すように等間隔で配置された柱の配列を備える。本開示のさらに別の実施形態では、柱は、図8に示すように不均等な間隔で配置される。幾つかの用途では、或る粒子が物理的に大きい孔を通過できるように、物理的孔径を変化させることが有利な場合がある。柱は、異なる断面形状を有してもよい。望ましい断面形状の例は、図9に示された断面形状、例えば円形(図9A及び図9B)、長円形(図9C)、楕円形(図9D)、卵形(図9E及び図9F)、エアフォイル形(図9G)などを含むがこれに限定されない。フィルタはまた、異なる形状及び/又はサイズの柱を備えてもよい(図9H)。壊れやすい粒子の穏やかな分離のために、柱は粒子と接触する可能性がある鋭利な縁部を有さないことが好ましい場合がある。鋭利な縁部は、壊れやすい粒子を切り開き、分割し、又は溶解する可能性がある。鋭利でない柱表面は、穏やかな濾過を必要とする多くの用途において好ましい場合があるが、例えば、粒子損傷が懸念の対象ではない場合、長方形、四角形、又は多角形の柱断面を用いることも可能である。
【0197】
本開示の別の実施形態では、濾過物チャンバ901は、交互する凸形部及び凹形部(図9A)を備える波形の側壁902を有し、波形の側壁の周期は孔903の中心から中心までの距離と一致する。波形の側壁は、流れを安定化させ且つ小さい有効孔径を維持する一助となる可能性がある。
【0198】
本開示の実施形態では、フィルタは、或るフィルタ特徴を達成するために直線又は曲線上に均等に又は不均等に配列された異なる形状及びサイズの柱を備えてもよいことが理解される。
【0199】
本開示の別の実施形態では、濾過物チャンバ504は、保持物チャンバ501よりも浅い(図10)。この実施形態では、フィルタ508は、連続した表面512及び柱505を備える。濾過物チャンバ504は、幾つかの大きい保持物粒子321よりも浅い場合がある(図10C)。しかしながら、保持物粒子321は物理的孔から流れ排除されるので、それらは浅い濾過チャンバ504又は孔の狭い部分571には実質的に決して入らない(図10C)。その結果、この実施形態ではサイズ排除濾過に関連する有害な影響がまれにしか生じない可能性がある。この設計は、フィルタ面積又は深さを減少させることなく柱505のアスペクト比を減少させ、装置製作を容易にし、及び堅牢にする可能性がある。
【0200】
本開示のさらに別の実施形態では、フィルタモジュールは、保持物チャンバ130、スクリーンフィルタを含むフィルタ131、及びスクリーンフィルタ131を横切って行く流れを制御する濾過物チャンバ132を備える(図11A及び図11B)。フローチャンバ130、132は、凹部を備える層133、134を備える。濾過物チャンバ132は、フィルタ131を通して少量の流れを引き込むように配列された、層134の中に徐々に深くなる凹部を備える。フィルタ131は、保持物チャンバ層133と濾過物チャンバ層134との間に挟持される。この実施形態は、大きいフィルタ面積を可能にし、非常に高いキャパシティ及びスループットを達成することができる。この実施形態の変形は、保持物チャンバ層133と濾過物チャンバ層134との間に挟持された多孔性フィルタ層131を備える(図11C及び図11D)。多孔性フィルタ層は、例えば、トラックエッチングされた膜、又はレーザ機械加工された金属シートなどを備えてもよい。層は、接着され、結合され、又は単に一緒にプレスされてもよい(図11C及び図11D)。フィルタ131上の孔は、図11A〜図11Dに示すように規則的な間隔で配置されてもよく、又は、放射線トラックエッチングされた膜フィルタと同様に不規則に分布されてもよい。
【0201】
本開示の上記で説明された実施形態は、粒子を濃縮するための又は濾過物粒子群から保持物粒子群を除去するための装置として有用な場合がある。しかしながら、幾つかの状況では、保持物群から濾過物群を減少させる又は異なる流体中の保持物粒子を単離することが望ましい場合がある。
【0202】
例えば、幾つかの状況では、全血から有核血球を単離し、できるだけ多くの脱核された赤血球を除去することが望ましい場合がある。キャリア流体522は、保持物チャンバ501(図13)に導入されてもよい。一実施形態では、保持物フローチャンバ501は、少なくとも1つのフィード入口502に加えて少なくとも1つのキャリア流入口521を備える。ここで、キャリア流体522は、保持物チャンバ501の中に噴射され、フィードの流れのストリーム523と並んで層流のストリーム522を形成する可能性がある。層流条件は、キャリアの流れ522とフィードの流れ523を対流混合することなく並行して動かす可能性がある。2つのストリームの間の境界522,523は、図13に点線524で示される。保持物粒子531は、柱505を備えるフィルタによって保持され、フィード・ストリーム523からキャリア・ストリーム522の中に移動されてもよい。保持物出口503で、保持物粒子531はキャリアの流れ522の中にあり、これにより実質的に濾過物群から取り除かれる。所望の純度要件に応じて、キャリア流体の流量は、保持物流体の流量よりも小さく、等しく、又は大きくてもよい。キャリアの流れは、本開示の実施形態のうちのいずれかと同様の様態で適用されてもよく、如何なる特定の実施形態にも限定されないことが理解される。キャリアの流れはまた、保持物粒子を洗浄する、処理する、又は標識するために導入されてもよい。幾つかの実施形態では、保持物粒子を処理するために1つよりも多いキャリアの流れが導入されてもよい。例えば、1つには、連続流れの状態で細胞を標識し及び洗浄するために本開示の幾つかの実施形態を用いることができる。特定の保持物細胞に対する抗体標識又は染色剤を含有する溶液が、第1のキャリアの流れとしてフィードの流れと並んで導入されてもよく、洗浄液は、第2のキャリアの流れとして第1のキャリアの流れに隣接して導入されてもよい。流れ排除に起因して、保持物細胞がフィードの流れから第1のキャリアの流れに移動する可能性があり、この場合、細胞は染色され又は標識され、次いで、第1のキャリアの流れから第2のキャリアの流れに移動する可能性があり、この場合、細胞は洗われる。本開示の実施形態のうちのいずれかに関するキャリアの流れを導入するために、保持物チャンバにおいて1つよりも多い入口が用いられてもよい。
【0203】
デュアルフィルタモジュール
幾つかの実施形態では、2つの実質的に同一のフィルタモジュールが組み合わされて「デュアルフィルタモジュール」を形成してもよい。一実施形態では、2つのフィルタモジュールは、互いに対して鏡像を形成し、1つの保持物チャンバを共有して「デュアルフィルタモジュール」を形成してもよい(図14A)。保持物チャンバ501は、少なくとも1つの入口502と1つの出口503を有してもよい。フィード粒子は、例えば、流体の流れ、圧力低下、流体力学的圧力、圧力源、真空、ヘッド高さ、重力、遠心力、電場、電気泳動電場、動電学的力、電気浸透力、毛管作用、又は上記の組合せを用いて入口502に入ってもよく、且つフローチャンバ501を通して出口503の方に駆動されてもよい。保持物フローチャンバ501は、中心線514に関して対称に配列される場合がある2つの濾過物フローチャンバ504のそれぞれからフィルタ508によって分離されてもよい。フィルタ508の実施形態は、約10から約100,000本までの柱505、例えば10、20、50、100、200、500、1,000、2,000、5,000、10,000、20,000、又は100,000本の柱の配列を備えてもよい。柱の間の開口部がフィルタ508の孔506を構成してもよい。濾過物フローチャンバ504は、各孔506を通して少量の流れを引き込み、且つ濾過物出口507を介して濾過物粒子を除去するように設計されてもよい。各孔506を通した流量は、流れ排除を容易にするために小さい割合となる、例えば保持物フローチャンバ501での流量の1/10、1/20、1/30、1/50、1/100、1/200、1/300、1/500、1/1,000、1/2,000、1/5,000、1/10,000、1/20,000、1/50,000、又は1/100,000となるように設計されてもよい。
【0204】
デュアルフィルタモジュールの実施形態のうちのいずれでも、保持物チャンバは、キャリア流入口521(図14B)をさらに備えてもよい。保持物粒子が保持物出口503でキャリアの流れ522の中に採集されるように、キャリアの流れ522は2つのフィードの流れ523の間に導入されてもよい。この実施形態は、高純度の保持物粒子をもたらすことができる可能性がある。
【0205】
デュアルフィルタモジュールの別の実施形態が図15に示され、この場合、2つのフィルタモジュールが鏡像を形成し、且つ1つの濾過物チャンバを共有する。濾過物出口507を備える濾過物チャンバ504は、2つの保持物チャンバ501の間に位置付けられてもよい。濾過物チャンバ504は、流れ排除を容易にするためにフィルタ508の各孔506を通して少量の流れを引き込んでもよい。フィードの流れは、入口502を介して保持物チャンバ501に入ってもよい。保持物粒子は、保持物出口503で採集されてもよく、濾過物粒子は、濾過物出口507で採集されてもよい。この実施形態は、少なくとも1つのキャリア流入口521をさらに備えてもよい(図15B)。保持物粒子がキャリアの流れのストリーム522の中に採集されるように、キャリアの流れのストリーム522はフィードの流れのストリーム523と並んで確立されてもよい。また、キャリアの流れは保持物粒子の純度を増加させる。
【0206】
多重フィルタモジュール
2つのデュアルフィルタモジュールが保持物チャンバ又は濾過物チャンバをさらに共有して多重フィルタモジュールを形成することができる(図16)。図16Aに示された実施形態では、2つのデュアルフィルタモジュール(図14A)が濾過物チャンバを共有し、1つのモジュールに4個のフィルタを有する多重フィルタモジュールを形成する。さらに、2つよりも多くのデュアルフィルタモジュールもまた保持物チャンバ又は濾過物チャンバを共有して多重フィルタモジュールを形成することができる(図16B)。デュアルフィルタモジュール設計はまた、フィルタモジュールと組み合わされて3個のフィルタを備える多重フィルタモジュールを形成してもよい。多重フィルタモジュール設計はまた、同様の方法でフィルタモジュールと組み合わされてもよい。
【0207】
フィルタカスケードモジュール
幾つかの実施形態では、2つ以上のフィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、又は多重フィルタモジュールが直列に接続されて「フィルタカスケードモジュール」を形成してもよい。図17Aに示された実施形態では、2つの実質的に同一のフィルタモジュール171、172が直列に接続される。第2のモジュール172の入口177は、第1のモジュール171の出口503、507と流体接続される。フィード粒子は、第1のモジュール171の入口502に入ってもよく、第1のフィルタ173によって保持物及び濾過物に分離されてもよい。装置が層流条件で作動されるときに、保持物及び濾過物は、分離後に対流混合することなく2つの層流のストリームを並行して形成してもよい。2つの粒子ストリームが第2のモジュール172に入る際に、第1のモジュール171からの濾過物が第2のフィルタ174に直面する場合があり、これにより幾つかの粒子が保持される場合がある。フィルタカスケードモジュール170の保持物は、出口503で収集されてもよい。フィルタカスケードモジュール170の濾過物は、概してフィルタ173、174の両方を通過してもよく、出口507で収集されてもよい。この実施形態は、第1のフィルタ173によって保持されない場合がある粒子が第2のフィルタ174によって保持される場合があるため、保持物粒子の回収率を増加させる。同様に、2つ以上のデュアルフィルタモジュールが、直列に組み合わされてフィルタカスケードモジュールを形成してもよい(図17B)。第2のモジュール172の入口177は、第1のモジュール171の出口503、507と流体接続されてもよい。2つよりも多いデュアルフィルタモジュールが同様の方法で接続されてもよい。多重フィルタモジュールのような他のフィルタ構成もまた、直列に組み合わされてフィルタカスケードモジュールを形成してもよい。
【0208】
直列に接続されてフィルタカスケードモジュールを形成するフィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、又は多重フィルタモジュールは、実質的に同一であってもよいし又は実質的に同一でなくてもよく、実質的に同一の有効孔径又は保持サイズを有してもよいし又は有さなくてもよいことが理解される。フィルタカスケードモジュールの実施形態のうちのいずれでも、モジュールの保持物チャンバは、キャリア流入口をさらに備えてもよい。図17Cは、2つのデュアルフィルタモジュール171、172を備えるフィルタカスケードモジュールの実施形態を示す。デュアルフィルタモジュール172は、キャリア流入口175を備え、これはチャネル及び通り穴176を備えてもよい。図17Dは、2つのキャリア流体入口521、175を備える2つのデュアルフィルタモジュールを備えるフィルタカスケードモジュールの実施形態を示す。
【0209】
実質的に異なる有効孔径又は保持サイズの異なるフィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、又は多重フィルタモジュールが組み合わされて、フィードを複数のフラクションに分画することができるフィルタカスケードモジュールを形成してもよい。図18Aに示された一実施形態では、カスケードモジュール180は、第1のフィルタモジュール181及び第2のモジュール182を備える。第1のモジュール181は、フィードのための入口502及び本明細書では「フラクション1」と呼ばれる第1の保持物のための出口503を備える第1のチャンバ501を備える。第1のフィルタ508は、第1のチャンバ501と第2のチャンバ504との間に配置される。第2のチャンバは、流れ排除を容易にするために第1のフィルタ508の孔を通して少量の流れを引き込むように設計されてもよく、第1のフィルタからの濾過物を第1の濾過物として受け入れてもよい。第1のモジュール181の濾過物出口183は、第2のモジュール182の入口184と流体接続される。第2のモジュール182は、第1の濾過物の部分群を出口510で採集される「フラクション2」として保持してもよいフィルタ509を備える。第3のチャンバ511は、第2のフィルタ509の濾過物を受け入れるために位置付けられてもよく、流れ排除を容易にするために第2のフィルタの孔を通して少量の流れを引き込んでもよい。第2のフィルタ509の濾過物は、出口507を介して出てもよく、本明細書では「フラクション3」と呼ばれる。第2のモジュール182は、第1のモジュール181の保持サイズよりも小さい保持サイズを採用してもよい。2つのモジュール181、182は、第2のチャンバ504の長さを減少させるように配列することができる(図18B)。図18Cに示された本開示の別の実施形態では、カスケードモジュール180は、第1のフィルタモジュール181及び第2のモジュール182を備える。第2のモジュール182の入口184は、第1のモジュール181の出口183、186に接続される。モジュール180が層流条件の下で作動されるときに、第1のモジュール181からの濾過物及び保持物は、対流混合することなく2つの分離された流れのストリームとして並行して流れてもよい。2つのストリームの間の境界は点線185で示される。カスケードモジュール180は、フィード粒子を3つの異なるフラクション、すなわちフラクション1、フラクション2、及びフラクション3に分画してもよく、これは、それぞれ出口503、510、及び507を介して収集されてもよい。フラクション1の純度を高めるために、入口521を介してキャリア流体が導入されてもよい。
【0210】
図18Dは、剛球粒子を3つのフラクションに分離するときにカスケードモジュールが達成する可能性があるサイズ分布結果を定性的に示す。血液のような複雑なフィードは、3つ以上のフラクションに分離される場合がある。分離は、粒子−粒子相互作用、粒子の変形、及び/又は非ニュートン流体挙動を含む幾つかの因子に基づいていてもよい。
【0211】
デュアルフィルタモジュール及び多重フィルタモジュールは、フィルタモジュールがそうである可能性があるのと類似した様態でカスケードされてフィルタカスケードモジュールを形成してもよい。図19は、2つのこうした実施形態を示す。図19Aは、保持物チャンバ501を共有する状態の、図18Cに示された2つのフィルタカスケードモジュールの鏡像配置を表す実施形態を示す。粒子は、出口503、510、507で分画され、収集される。同様に、図18Cの2つのフィルタカスケードモジュールは、チャンバ504を共有して図19Bに示された実施形態を形成してもよい。
【0212】
フィルタカスケードモジュールは、粒子の機械的特性、例えば、サイズ、形状、変形能力、可撓性、弾性、及び/又は粘度に従って粒子を3つ以上のフラクションに分離するのに有用な場合がある。例えば、フィルタカスケードモジュールは、全血を、リンパ球群、顆粒球群、及び赤血球群に分画してもよい。フィルタカスケードモジュールの別の実施形態は、酵素で消化された脂肪組織を、脂肪細胞、脂肪幹細胞を含む間質血管細胞群、及び血球に分画してもよい。
【0213】
フィルタカスケードモジュールの別の実施形態が図20Aに示される。保持物チャンバ501は、入口502でフィード流体を受け入れてもよい。フィードは、第1のフィルタ508に対して駆動されてもよい。第1の濾過物チャンバ504は、流れ排除を容易にし、且つ第1のフィルタ508から濾過物を収集するために、第1のフィルタ508の孔を通して少量の流れを引き込むように構成されてもよい。第1のフィルタ508の保持物は、第2のフィルタ509に対して第2のフィルタモジュールに入ってもよい。第2の濾過物チャンバ516は、第2のフィルタ509の孔を通して少量の流れを引き込み、且つ第2のフィルタ509から出口513を介して濾過物を収集するように構成されてもよい。第1のフィルタ508の有効孔径は、第2のフィルタ509の有効孔径よりも小さくなるように構成されてもよい。第2のフィルタの保持物は、保持物チャンバ501の出口503を介して採集されてもよい。
【0214】
図20Aの実施形態は、層流作動条件のため、図20Bに示された実施形態に簡略化されてもよい。異なる保持サイズの2つのフィルタ508、509の濾過物が同じ濾過物チャンバ504によって収集されてもよい。2つの濾過物は、対流混合しない場合があり、したがって2つの出口541、542を介して別々に収集されてもよい。
【0215】
図20A及び図20Bに示された実施形態では、フィード粒子は、3つのフラクション、すなわち、第1のフィルタ508の濾過物(フラクション3)、第2のフィルタ509の濾過物(フラクション2)、及び第2のフィルタ509の保持物(フラクション1)に分画されてもよい。剛球粒子を含むフィードに対する、3つのフラクションのサイズ分布の例が図20Cに定性的に示される。フィルタカスケードモジュールは、2つのフィルタモジュールがデュアルフィルタモジュールを形成する場合がある(図14、15)のとほとんど同様に、デュアルフィルタカスケードモジュール(図21)を形成してもよいことが分かる。図20A及び図20Bのデュアルフィルタモジュールは、図14Aの2つのデュアルフィルタモジュールが図17Bに示されたカスケードモジュールを形成する場合があるのと同じ様態でさらにカスケードしてカスケードモジュールを形成してもよい。
【0216】
フィルタカスケードモジュールは、2つ以上のフィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、又は多重フィルタモジュールのカスケードを備えてもよいことが分かる。
【0217】
フィルタカスケードモジュールの上記の実施形態はまた、保持物の純度を高め、粒子を洗浄し、粒子をキャリアの流れと異なる試薬で処理し、又は粒子を標識するためにキャリアの流れ又は複数のキャリアの流れを採用してもよい。
【0218】
デュアルフィルタカスケードモジュールは、フィードを3つよりも多いフラクションに分離するために、2つよりも多い保持サイズのフィルタを備えてもよいことが分かる。上記で説明されたデュアルフィルタカスケードモジュールの実施形態は中心線に関して対称であるが、デュアルフィルタカスケードモジュールは、非対称であってもよく、又はさらに中心線を挟んで両側に異なる有効孔径のフィルタを備えてもよいことも分かる。
【0219】
他のモジュール構成
本開示の別の実施形態では、保持物チャンバ、フィルタ、及び濾過物チャンバを備えるフィルタモジュールは、湾曲されてもよい。こうしたフィルタモジュールの実施形態は、長いフィルタ長さが望まれるときに、減少されたフットプリントの利点を有し得る。代替的に、フィルタモジュール及びフィルタカスケードモジュールは、蛇行した形状に配列されてもよい。
【0220】
モジュールは、異なるフィルタ特徴を得る方法で組み合わされてもよい。例えば、図22Aは、保持物粒子を効果的に濃縮する本開示の実施形態を示す。フィードは、入口220を介して第1のモジュール221に入ってもよい。第1のモジュールは、フィードの中の標的粒子をその保持物として濃縮してもよい。保持物は、フィードとして第2のモジュール222に入ってもよく、出口225を介して出る前に再び濃縮されてもよい。各モジュールがそのフィードを1/5の体積減少率で濃縮する場合、2つのモジュールが合わせて1/25に体積を減少させる可能性がある。より一層濃縮された出力を得るために、より多くの、例えば、3、4、又は5個のモジュールが同様の方法で一緒に連結されてもよい。3つのモジュールが同様の方法でカスケードされる場合、且つ各モジュールが1/4の体積減少率を有する場合、3つのモジュールが合わせて1/64に体積を減少させる可能性がある。モジュールは、同じ体積減少率で粒子を濃縮する必要はないことが分かる。
【0221】
図22Bは、保持物粒子が効果的に洗浄される可能性がある本開示の実施形態を示す。フィードは、入口227を介して第1のモジュール223に入ってもよい。キャリア流体は、入口226を介して導入されてもよい。第1のモジュールの保持物は、キャリアの流れによって「洗浄され」てもよく、第2のモジュール224に入ってもよい。第2のモジュールは、第2のキャリアの流れのための入口228を備えてもよい。入口228は、この実施形態では通り穴を備えてもよい。第2のキャリアの流れは、第1のキャリアの流れと同一であってもよいし又は同一でなくてもよい。第1のモジュール223からの保持物は、第2のモジュール224の中の第2のキャリアの流れによって洗浄されてもよい。この実施形態は、濾過物粒子群をより完全に減少させ、且つ保持物粒子群のより高度の精製を得るために用いられてもよい。これはまた、キャリアの流れを用いて保持物粒子を処理する、洗浄する、又は標識するのに用いられてもよい。例えば、キャリアの流れは、保持物群上の標的抗原に対する抗体を含んでもよい。保持物粒子がキャリアの流れのストリームの中に移動する際に、標的粒子が抗体によって標識されてもよい。2つよりも多いモジュールが同様の方法でカスケードされてもよいことが分かる。
【0222】
図23A、図23B、及び図23Cは、構成するモジュールが互いにオフセットされる、デュアルフィルタモジュールの実施形態を示す。図23Bに示された実施形態では、フィード粒子は、入口230を介して保持物チャンバ236に入ってもよい。粒子は、フィルタ237によって保持物フラクション及び濾過物フラクションに分離されてもよい。濾過物は、濾過物チャンバ231を通して流れてもよく、別のチャンバ232に入ってもよい。このチャンバ232は、第1のフィルタ237からの濾過物が通過するのを許してもよいが、チャンバ232はまた、第2のフィルタ238のための保持物チャンバとしての役目を果たしてもよい。層流条件のため、保持物及び濾過物は、対流混合しない場合があり、それらが保持物チャンバ232を通して流れた後で収集されてもよい。第1のフィルタ237及び第2のフィルタ238からの濾過物フラクションは、それぞれ第1の出口235及び第2の出口234を介して出てもよいが、一方、両方のフィルタ237,238の保持物フラクションは、出口233を介して収集されてもよい。同様に、図23Cに示された実施形態では、第1の保持物チャンバ236からの保持物と第1の濾過物チャンバ231からの濾過物は、第2の保持物チャンバ232を通して並行して流れてもよい。層流条件の下で、保持物及び濾過物は対流混合しない。点線239は、それぞれ2つの異なる出口233,235を介して出てもよい保持物と濾過物との間の流体境界面を示す。
【0223】
図23Dは、多重フィルタモジュールの実施形態を示す。このモジュールは、互いに対する鏡像として図23Cに示された2つのモジュールを備える。濾過物チャンバ231と保持物チャンバ232は共有される。流れが層流であるため、濾過物ストリームと保持物ストリームは対流混合しない可能性がある。ストリームの間の境界面は点線239で示される。濾過物ストリームは、出口234、235を介して収集されてもよく、一方、保持物ストリームは、出口233を介して収集されてもよい。
【0224】
図23Eは、フィルタカスケードモジュールの実施形態を示す。このフィルタカスケードモジュールは2つのモジュール2310、2311を備え、その各々は図23Cに示されたモジュールを備える。
【0225】
上記で説明された種々のフィルタモジュールの設計及び構成は、単なる例であって、限定することを意図されないことが理解される。本開示の精神において、フィルタは、図9に示すように種々の断面の柱を備えてもよい。モジュールは、種々の方法で組み合わされ及び/又はカスケードされて、デュアルフィルタモジュール、多重フィルタモジュール、種々のフィルタカスケードモジュールなどを形成してもよい。キャリアの流れ又は複数のキャリアの流れは、濾過物群の減少、濾過物群の除去、粒子の洗浄、粒子の標識、粒子の処理などを容易にするために種々のモジュールに導入されてもよい。
【0226】
流れ排除のための構造条件
物理的孔径よりも実質的に小さい有効孔径を達成するために、濾過装置の濾過物チャンバは、徐々に拡大するように構成されてもよい。当業者は、本開示の実施形態で流れ排除が起こる可能性がある条件を考慮することができる。
【0227】
如何なる特定の数式、方程式、導出、及び理論にも縛られることなく、流れ排除を助長する可能性がある条件が以下で説明される。例えば、図12に示された実施形態を考えてみる。孔を通した流れはチャンバの拡大及び縮小、例えば、濾過物チャンバの広がり及び/又は保持物チャンバの狭まりによって制御されるので、「比例濾過物チャンバ断面積」wを濾過物チャンバの断面積とすべてのチャンバの断面積との比と定義することとし、この場合、断面は平均流れ方向に対して実質的に垂直にとられる。図12に示された実施形態と同様に濾過モジュールが実質的に一定の深さのチャンバを有するとき、「比例濾過物チャンバ断面積」wは、
【数2】
であり、ここで、aは、保持物チャンバの幅であり、bは、対象とする断面での濾過物チャンバの幅である。チャンバの中のすべての流れのフラクションとしての孔を通した流れは、孔の周りの「比例濾過物チャンバ断面積」の増分に実質的に依存する。図12に示された実施形態では、増分は、次式のように表わされる。
【数3】
【0228】
他方では、孔を通して引き込まれる量が、孔開口部の面積及び孔を通した平均流速にほぼ比例するため、及びチャンバを下降する流れの量が、チャンバの全断面積及びチャンバの平均流速にほぼ比例するため、チャンバの中の流れのフラクションとしての孔を通した流れは、物理的孔径の二乗をチャンバの全断面積で除したものに実質的に比例することが予想される。
【0229】
孔を通した流れが物理的孔径が許す可能性がある流れよりも弱いときに流れ排除が起こる(図4)ので、実質的な流れ排除が起こるための1つの条件は、したがって以下のようになる可能性がある。
【数4】
【0230】
分母の係数3は、コンピュータシミュレーション(図4)によって推定された比例係数である。この基準は、本明細書では「濾過物チャンバ拡大基準」と呼ばれる。本開示の幾つかの実施形態では、濾過モジュールは、保持物チャンバ、濾過物チャンバ、並びに物理的孔径を有する柱及び孔を備えるフィルタを備え、濾過物チャンバは、「濾過物チャンバ拡大基準」を満たす割合で拡大する。本開示の幾つかの実施形態では、濾過物チャンバが広がる角度(単数又は複数)、すなわち、フィルタと濾過物チャンバ側壁との間の変化する又は一定の角度(単数又は複数)は、非常に小さい、例えば、約0.1度、0.2度、0.3度、0.5度、0.7度、1度、1.5度、2度、2.5度、3度、又は5度である。
【0231】
流れ排除を助長する可能性がある別の条件は、より多くの孔が存在するときに各孔を通した流れが減少する場合がある及び流れ排除が起こる場合があるので、濾過モジュールに多数の孔を組み込むことである。前の導出と同様に、流れ排除に必要とされ得る孔の数は、濾過物チャンバで収集される流れの量及び物理的孔径を備える孔によって許される流れの量に実質的に依存することが予想される。したがって、流れ排除に必要とされ得る孔の最小数は、濾過物チャンバ出口の断面積と物理的孔径の二乗との間の比に実質的に比例し得る。したがって、実質的な流れ排除に対する別の条件は、以下の通りであってもよく、
【数5】
ここで、Nは、モジュールにおける孔の数であり、kは、濾過モジュールの出口側の「比例濾過物チャンバ断面積」である。比例係数3は、コンピュータシミュレーションを用いて推定される。この基準は、本明細書では、「最小孔数基準」と呼ばれる。図12に示された実施形態に対して、実質的な流れ排除の条件は、以下の通りであってもよい。
【数6】
【0232】
本開示の幾つかの実施形態では、濾過モジュールは、保持物チャンバ、濾過物チャンバ、並びに物理的孔径を含む柱及び孔を備えるフィルタを備え、孔の数は「最小孔数基準」を満たす。
【0233】
上記の理論、数式、方程式、及び導出は、限定することを意図されないことが理解される。「濾過物チャンバ拡大基準」及び「最小孔数基準」は、フィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、多重フィルタモジュール、及びフィルタカスケードモジュールを含むがこれらに限定されない、本開示の濾過モジュールに係る種々の実施形態に適用されてもよいことが分かる。
【0234】
濾過ユニット
本開示の一実施形態は、上で開示された濾過モジュール、流体チャネル、及びポートを備える濾過ユニットである。流体チャネルは、ポートとモジュールとの間の流体接続を提供するように構成されてもよい。流体チャネルはまた、モジュールの中の所望の流れ分布、例えば、モジュールの中のフィード及びキャリア流体の正確な割合及び/又は所望の作動条件の下で保持物及び濾過物として収集された流体の正確な割合を確立するために適切な流体抵抗を提供するように構成されてもよい。
【0235】
高モジュール密度装置
本開示の幾つかの実施形態の大きな利点の1つは、小型の装置フットプリント及び低い剪断を維持しながら、流れ排除に基づく粒子濾過のための高スループット及び高キャパシティの装置を使用できるようにすることである。上で開示されたモジュール及びユニット構成は小型であり、高モジュール密度の装置に容易にパターン化されてもよい。こうした装置は、拡大縮小できるキャパシティ及び処理スループットを有し得、臍帯血の体積減少、細胞洗浄、幹細胞の単離、間質血管細胞群の調製、血漿分離、及び骨髄幹細胞の濾過のような多くの用途に極めて有用な場合がある。これらの小型装置の多くを一緒に1つの装置としてスタッキングすることは、より一層高いキャパシティ及びスループットを提供する可能性がある。
【0236】
本開示の別の実施形態では、装置は複数の濾過ユニットを備え、各濾過ユニットは、上記で開示されたモジュール及びモジュールと流体接続される流体チャネルを備える。本開示のさらに別の実施形態では、複数の濾過ユニット、例えば、約3、5、8、10、15、20、30、50、75、100、150、200、300、500、800以上の濾過ユニットが単一の装置上に高密度構成で配置される。こうした装置は、本明細書では「高モジュール密度装置」と呼ばれる。
【0237】
図24A〜図24Fは、スループット及びキャパシティを増加させるために濾過ユニット249が繰り返される、高モジュール密度装置の幾つかの実施形態を示す。図24Aでは、それぞれがデュアルフィルタモジュールを備える8個の濾過ユニットが配置される。モジュールのフィード入口502、保持物出口503、及び濾過物出口507は、それぞれ入口チャネル244及び出口チャネル245、246を用いて入力ポート241及び出力ポート242、243に接続される。
【0238】
チャネル244、245、246を横切る流れの抵抗は、作動条件の下で入口502に入る及び出口503、507を出る流れの適正な量を確立し、且つ個々のモジュールの作動を容易にするように構成されてもよい。チャネル244、245、246を横切る流れの抵抗は、装置がそれに向けて設計される作動条件に応じて、モジュールの流れの抵抗よりも小さくなる、該当する、又はより大きくなるように設計されてもよい。幾つかの実施形態では、入口チャネル及び出口チャネル245、246にわたる流れ抵抗は、デュアルフィルタモジュールの抵抗の約0.01から約0.99倍までであってもよい。
【0239】
本開示の別の実施形態(図24B)では、各デュアルフィルタモジュールは、チャネル248を介して入力ポート247に接続されてもよいキャリア流入口521を備えてもよい。チャネルの流れの抵抗は、個々のモジュールの適正作動を容易にするように設計されてもよい。本開示のさらに別の実施形態(図24C)では、多重フィルタモジュールがチャネルを用いて入力ポート及び出力ポートに接続される。本開示のさらに別の実施形態(図24D)では、多くのモジュールが入力ポート241及び出力ポート242を共有してもよい。モジュールをポートに接続するチャネルは、実質的に等しい抵抗を有するように設計されてもよい。本開示のさらに別の実施形態(図24E)では、モジュールは、円形ディスク上に配置されてもよい。図24Eの実施形態では、ディスクは、ディスク上に配置されたモジュールを通して流体を駆動する可能性がある遠心力を発生させるために、中心軸を中心として回転してもよい。
【0240】
モジュールは、ただ1列に配置されることに限定されない。モジュールの2つ以上の列が1つの装置として配置されてもよい。モジュールの2つ以上の列では、ポートを共有し且つ装置のフットプリントを減少させるために、より多くの可能な配列が存在する。図24Fは、共通のフィード入力ポートを共有する2列に配置された複数の20個のデュアルフィルタモジュールを示す。そのうえ、装置は、高いキャパシティ及びスループットを達成するためにスタックされてもよい(図25)。
【0241】
複数のフィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、フィルタカスケードモジュール、デュアルフィルタカスケードモジュール、多重フィルタモジュール、多重フィルタカスケードモジュール、他の構成、又は上記のモジュールの任意の組合せが、あらゆる可能な2次元又は3次元の関係性で互いに対して位置付けられてもよいことが分かる。
【0242】
濾過装置の製造技術
本開示に係る装置の実施形態を製作するために種々の技術が用いられてもよい。本開示の一実施形態では、装置は、微細加工されてもよい。微細加工技術は、当該技術分野では公知の技術、例えば、シリコンベースの集積回路製作、エンボス加工、ソフトエンボス加工、鋳造、インプリンティング、成形、射出成形、押出し、ステレオレーザリソグラフィ、選択的レーザ焼結、感光性ガラスリソグラフィ及びウェットエッチング、コンピュータ数値制御(CNC)機械加工、ポリジメチルシロキサン(PDMS)ソフトリソグラフィ、超音波マイクロミリング、厚膜フォトレジストリソグラフィ、上記の技術の組合せなどに慣習的に用いられる技術から選択されてもよいが、これらに限定されない。適切な製作技術の例は、フォトリソグラフィ、深堀反応性イオンエッチング、ウェットエッチング、成形、エンボス加工、インプリンティング、レーザアブレーション、厚膜フォトレジストリソグラフィ、ソフトリソグラフィ、放射線トラックエッチング、及び他の技術を含む。濾過装置の幾つかの態様及び実施形態は、対象とする特定の用途に存在する条件と適合する材料で作製されてもよい。こうした条件は、pH、温度、有機溶媒、生体適合性、イオン強度、圧力、電場の印加、固着特性、表面電荷、表面機能付与、表面処理、ウェット角度、親水性、疎水性、機械的強度、及び熱膨張を含んでもよいが、これらに限定されない。装置の材料はまた、それらの光学特性、機械的特性、化学特性、溶媒への耐薬品性、溶解特性、及び装置で実施されることになる用途の成分へのそれらの不活性さに関して選択されてもよい。こうした材料は、ガラス、溶融石英、シリコンゴム、シリコン、セラミックス、感光性ガラス、プラスチック、ポリマー材料、感光性ポリマー、厚膜フォトレジスト、SU−8レジスト、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、感圧性材料、Teflon、アクリル、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含んでもよいが、これらに限定されない。装置は、標準滅菌技術、例えば、ガンマ線照射、エチレンオキシド(EO)滅菌、紫外光照射、オートクレーブ処理などを用いて滅菌されてもよい。
【0243】
ミクロ流体濾過モジュール、ユニット、及び装置を特徴付けるための効率メトリック
他のミクロ流体装置に比べて、本開示の幾つかの態様及び実施形態は、流れ排除のための条件をより一層効率よく生み出す。本開示に係るフィルタモジュールの実施形態は、1つの物理的に小型の装置、例えば、所望のキャパシティ及び/又はスループットを有する高モジュール密度の装置として配置されてもよい。本開示の実施形態は、多くの大きな利点を有してもよい。例えば、本開示の実施形態は、詰まりを生じにくい可能性がある。第2に、本開示の幾つかの態様及び実施形態は、これらの態様及び実施形態が非常に小さいフットプリントと比較的少数の柱を備える場合があるので、比較的容易に製造される可能性がある。第3に、本開示の幾つかの態様及び実施形態は、フィルタされる粒子に対して穏やかとなる傾向がある可能性がある。幾つかの実施形態では、濾過物粒子は、濾過プロセス中に1つのモジュールにつきわずか1つの孔を通り抜ける可能性がある。第4に、本開示の幾つかの態様及び実施形態は、粒子は他の設計が与える可能性がある一定の衝突及び散乱を受けないので、小さな拡散を導入する。小さな拡散は、結果として非常に効率的な分離をもたらす可能性がある。
【0244】
本開示の態様及び実施形態は、製造が容易であり且つ費用効果の高い、高スループット、低剪断、及び小型の濾過装置を含んでもよい。装置設計効率及び製造に必要とされる潜在的な労力を定量化するためにメトリックを定義することができる。ミクロ流体濾過装置を製造するのに必要とされる潜在的な労力を反映する1つのメトリックは、装置の滞留体積である。滞留体積は、装置内部の空隙体積であり、装置製作プロセス中に除去され又は押しのけられる材料の量を表し得る。例えば、ミクロ流体濾過装置をシリコンで製作するための1つの方法は、フォトリソグラフィに続いて反応性イオンエッチングである。ウェハ上に作製できる装置の数は、装置にエッチングされた領域のサイズに依存し、一方、反応性イオンエッチングの機械加工時間は、エッチング深さに依存する。装置の滞留体積は、大体、エッチングされた面積のサイズ×エッチング深さとなる可能性があり、したがって、装置を製作するのに必要な労力及びコストを表す可能性がある。例えば、微細製造を用いてシリコンで微細加工された濾過装置に対して、より大きい滞留体積を装置が有するにつれて、より多くのウェハ材料、フォトリソグラフィの労力、及びエッチングの機械加工時間が必要とされることになる。射出成形のような他の装置製作技術もまた、結果として滞留体積と装置を作製するのに必要とされる労力との間の同様の相関関係をもたらす。
【0245】
1つ又は複数の濾過モジュール、例えば、フィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、フィルタカスケードモジュール、又は多重フィルタモジュールを備えるミクロ流体濾過装置に対して、濾過モジュールの滞留体積は、濾過モジュール及び又は装置を特徴付ける良好なメトリックとしての役目を果たすことができる。本開示の幾つかの態様及び実施形態は、小さい滞留体積をもつ濾過モジュールを備え、例えば、濾過モジュールは、<1μl、<0.3μl、<0.1μl、<0.03μl、<0.01μl以下の滞留体積を備えてもよい。本開示の幾つかの例示的な実施形態の滞留体積は、以下の実施例のセクションで計算され、開示される。
【0246】
モジュールを製造するのに必要な労力を推定するために定義することができる別のメトリックは、本明細書では、体積あたりの濾過ユニットの数として定義される「濾過ユニット密度」である。より具体的には、「濾過ユニット密度」は、以下のように計算され得る。
【数7】
【0247】
例えば、100個の同一の濾過ユニット、2cm×2cmのフットプリント、及び50μmの平均特徴的チャネル深さを有する高モジュール密度装置を考えると、「濾過ユニット密度」は100/[(2cm×2cm)×50μm]であり、これは5,000cm−3に等しい。こうした「濾過ユニット密度」は、原則として、サイズが立法センチメートルの、5,000個までの濾過ユニットを高モジュール密度装置にパックできることを意味する。装置のスループットが装置におけるモジュールの数に依存し、コストが装置の流体特徴の体積量に対応する傾向があるので、有用性を高め、且つミクロ流体濾過装置のコストを減らすために、装置の「濾過ユニット密度」を最大にすることが望ましい場合がある。本開示の幾つかの態様及び実施形態は、装置が高い「濾過ユニット密度」を有することを可能にする。本開示の幾つかの例示的な実施形態の「濾過ユニット密度」は、以下の実施例のセクションで計算され、開示される。
【0248】
装置フットプリント及びチャネル深さに加えて、ミクロ流体分離装置の重要な性能仕様は、単位時間当たりに処理されたフィード粒子の数として定義される、粒子処理速度である。装置の粒子処理速度を特徴付けるために、製造の難しさ及び装置のコストと相関関係がある装置フットプリント及び流体チャネル深さを考慮に入れることが重要な場合がある。「正規化された処理速度」は、ミクロ流体分離装置に関して以下のように定義されてもよい。
【数8】
【0249】
装置が高い正規化された処理速度を有することが望ましい場合がある。本開示の多くの態様及び実施形態は、分離装置が高い「処理速度指数」を有することを可能にする。本発明の幾つかの例示的な実施形態に対する処理速度指数は、以下の実施例のセクションで計算され、開示される。
【0250】
ミクロ流体分離装置の効率及び製造コストに関係する別の重要な因子は、作動流速である場合がある。流速を増加させることは、多くの場合において製造コストを増加させることなく装置のスループットを増加させる。しかしながら、この手法は、剪断応力が懸念される用途では大きな制限を付随する可能性がある。増加した流速は、より高い剪断応力条件をもたらし、潜在的な粒子損傷及び/又はフィルタのファウリングを招く可能性がある。細胞濾過用途では、剪断が制限されることが望ましい場合がある。細胞は、高い剪断応力に弱い場合があり、高い剪断応力によって活性化され、損傷され、変質され、又はさらには溶解される場合がある。本開示の多くの態様及び実施形態は、剪断を制限しながら流速を最大にすることを可能にする。
【0251】
分離装置を通して流れる異なるミクロ流体のスループットを比較するときに、1つには、装置フットプリント、チャネル深さ、及び作動剪断条件に従ってスループットを正規化することが望ましい場合がある。さらに、スループットは、より大きい保持サイズをもつ装置はより高いスループットを有する傾向があるので、濾過装置の特徴的な保持サイズの二乗によって正規化されてもよい。本明細書でのミクロ流体分離装置の正規化されたスループットを表す「設計効率指数」(D.E.I.)は、以下のように定義され、
【数9】
ここで、Qは、装置がフィードを処理するときの体積スループットであり、Sは、粒子が装置を通して流れるときに経験する最大ずり速度であり、Aは、装置フットプリントであり、これは面積であり、Dは、装置チャネルの特徴的な深さであり、Rは、装置の保持サイズである。本明細書でのずり速度は、速度に対して垂直な方向の流体の速度勾配として定義され、1/時間のディメンションを有する。設計効率指数は、1/長さ2のディメンションを有し、装置のサイズ、チャネル深さ、作動剪断条件、及び保持サイズに関係なく装置の固有特性として考えられてもよい。
【0252】
「設計効率指数」は、装置設計の有用性の良好な指標であり得る。高い設計効率指数をもつ装置は、高スループットであってもよく、小型で、穏やかで、且つ製造が容易であり得る。設計効率指数は、粒子濾過装置を通過するミクロ流体の固有のスループット性能を特徴付けるのに極めて有用な場合があり、作動条件は、流れが層流であり、レイノルズ数Reが低く、例えば、<0.01、<0.1、<1、<10、<100、又は<500であり、粒度範囲が約50nmから約300μmまでの間であるような条件である。
【0253】
本開示の態様及び実施形態は、高い設計効率指数の装置を可能にし得る。本開示の幾つかの例示的な実施形態の「設計効率指数」が、以下の実施例セクションで計算され開示される。
【0254】
本開示の態様及び実施形態は、濾過装置、特にミクロ流体分離装置が、滞留体積、濾過ユニット密度、正規化された処理速度、及び/又は設計効率指数メトリックによって特徴付けられる、装置性能及び費用効率を顕著に改善する設計特徴を備えることを可能にし得ることが分かる。
【0255】
システム
粒子を濾過するためのバッグシステム
本開示の幾つかの実施形態では、高モジュール密度装置は、フィルタカートリッジの中に格納され、チューブライン及びバッグに接続されて、閉じたシステムを形成する。こうしたシステムは、臨床的用途、例えば、臍帯血体積減少、末梢血成分分離、羊水からの幹細胞単離、骨髄濾過、白血球減少、血漿分離、間質血管細胞群(SVF)の生成などに特に有用な場合がある。処理される粒子サンプルは、外部の汚染物質に露出されない可能性がある。さらに、粒子サンプルは、システムに収容されてもよく、これにより取扱者へのバイオハザードの恐れを低減させる。
【0256】
図26A〜図26Eは、ハウジング260と複数の高モジュール密度装置261とを備えるフィルタカートリッジの実施形態を示す。ハウジング260は、フィードチャネル262、保持物収集チャネル263、及び濾過物収集チャネル264を備えてもよい。チャネルは、カートリッジをチューブに接続してバッグシステムを形成することができるように、取付具265、266、267に接続されてもよい。カートリッジ260は、高い体積スループットを達成するために装置がフィードを並列に処理できるように、フィードを高モジュール密度装置261にわたって分散させてもよい。カートリッジ260はまた、高モジュール密度装置261から保持物及び濾過物を収集してもよい。図26D及び図26Eに示すように、複数の高モジュール密度装置261は、フィード、保持物、及び濾過物が交差汚染されないように、適正な封止を提供するためにガスケット268を用いて積み重ねられてもよい。代替的に、高モジュール密度装置261は、接着され又は結合されてもよい。
【0257】
フィルタカートリッジの異なる部分を互いに接着する、結合する、超音波結合する、クリップで取り付ける、又はねじで取り付けることができる。カートリッジのハウジングは、射出成形、エンボス加工、成形、高温エンボス加工、ステレオリソグラフィ、機械加工などのような標準製造技術を用いてプラスチックで作製することができる。ハウジングのためのプラスチック材料は、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、感圧性材料、Teflon、アクリル、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含んでもよいが、これらに限定されない。ガスケットは、ダイカット、成形、ウォータージェットなどのような標準技術を用いてシリコン、ラテックス、ネオプレン、ビニルゴムのようなゴム材料で作製することができる。
【0258】
図27A〜図27Cは、複数の高モジュール密度装置、濾過物収集バッグ273、及び保持物収集バッグ272を備えるカートリッジ270を備えるバッグシステムを示す。バッグ272、273は、チューブ275、276を用いてカートリッジ270に接続されてもよい。カートリッジ270のフィード入口は、チューブ274を用いてアダプタ271に接続されてもよい。アダプタ271は、ポート279でサンプル収集バッグ278に貫入し、サンプル収集バッグ278の中のフィード粒子が濾過のためにカートリッジに入ることを可能にするように設計された部位(sike)を備えてもよい(図27B)。フィードは、上で説明されたフィード又は粒子、例えば、血液、臍帯血、末梢血幹細胞、骨髄などを含んでもよい。アダプタ271がサンプル収集バッグ278に差し込まれた後で、バッグシステムは、重力の下で吊り下げられてもよく(図27C)、これは高モジュール密度装置を通してフィードを駆動する可能性がある。代替的に、サンプルバッグ278を押しつぶしてフィルタカートリッジ270を通してサンプルを駆動するために圧力をかけることができる。代替的に、流体をポンプするために蠕動ポンプを適用することができる。サンプル収集バッグ278は、患者又は臍帯のようなサンプル源からのサンプル収集を容易にするために針2710をさらに備えることができる。
【0259】
バッグの体積容量は、システムがそれに向けて設計される特定の用途に依存し得る。臍帯血バンクの目的で、臍帯血は臍帯から収集される。サンプルバッグ278は、約20ml〜約250mlの範囲の臍帯血に加えて約0ml〜約400mlの範囲の抗凝固薬又は添加剤を収容することができ得る。クエン酸・リン酸・ブドウ糖(citrate−phosphate−dextrose)(CPD)及びヘパリンが、臍帯血収集のための抗凝固薬として用いられてもよい。添加剤は、リン酸緩衝生理食塩水、ハンクス平衡塩溶液、血液増量剤(blood expander)、幹細胞増殖培地、増殖因子などを含んでもよい。抗凝固薬又は添加剤は、サンプル収集バッグ278の中に予め入れておくことができる。本開示の一実施形態では、臍帯血用のサンプル収集バッグは、約25ml〜35mlのCPDを収容してもよく、約200mlまでの臍帯血を収集する容量を有してもよい。
【0260】
臍帯血バンクでは、臍帯血は、冷凍する前に血液体積を減らすために処理されてもよい。この実行は、長期貯蔵の経費を減らす可能性がある。本開示のバッグシステムの実施形態は、臍帯血体積減少のために用いることができ、この場合、バッグシステムは、保持物から赤血球及び血漿を分離するように設計された高モジュール密度装置を備える。保持物は、造血幹細胞、前駆細胞、コロニー形成細胞、及びCD34+細胞を含んでもよい。保持物は、冷凍媒体、例えばジメチルスルホキシド(DMSO)と混合されてもよく、後で治療に用いるために低温保存条件の下で冷凍されてもよい。保持物収集バッグ272は、低温保存冷凍バッグを含んでもよい。本開示の別の実施形態では、保持物収集バッグは、少なくとも2つの区画を備える低温保存冷凍バッグを含んでもよい。本開示のさらに別の実施形態では、保持物収集バッグは、25mlの容量をもつ低温保存冷凍バッグを含んでもよい。
【0261】
バッグシステムは、バッグシステムの中の流体の流れを制御するために、フィードチューブ、保持物チューブ、又は濾過物チューブ上にラインクランプ277をさらに備えることができる(図27)。
【0262】
本開示の別の実施形態では、サンプル収集バッグ281は、チューブライン285を用いてフィルタカートリッジ280に接続されてもよい(図28)。システムは、最初に閉位置にあってもよいラインクランプ287をさらに備えてもよい。サンプル、例えば血液、臍帯血、骨髄などは、サンプル源、例えば、患者、臍帯などから針284を用いて収集されてもよい。システムは、随意的に第2の針を備え、これは、第1の針が詰まったときに用いられてもよい。サンプル収集が完了した後で、ラインクランプ287は、サンプルバッグ281とフィルタカートリッジ280との間の液体接続を可能にするために開位置に切換えられてもよい。サンプルは、重力、圧力、又は蠕動ポンプのような駆動力によって駆動されてもよい。
【0263】
粒子を濾過するための管システム
本開示の別の実施形態では、高モジュール密度装置は、サンプルを濾過するための管システムに組み込まれてもよい。管システムは、遠沈管290、管インサート291、及びキャップ292(図29)を備えてもよい。管インサート291は、高モジュール密度装置293、フィードサンプルリザーバ294、出力リザーバ295、及び随意的にキャリア流体リザーバ296(図30)を備えてもよい。出力リザーバは、高モジュール密度装置293からの濾過物又は保持物を収容するように設計されてもよい。
【0264】
管システムを使用するために、フィードサンプルは、フィードサンプルリザーバに加えられてもよい。随意的に、キャリア流体は、キャリア流体リザーバに加えられてもよい。キャリア流体は、管システムと一緒にキットとして市販されてもよい。キャリア流体は、高モジュール密度装置の中に気泡が形成される恐れを低減するために脱気されてもよく、又は真空の下で、すなわち約0.05気圧から約0.95気圧までの範囲の圧力でボトルの中に予め詰められてもよい。代替的に、キャリア流体は、ホイル、例えばアルミホイルを用いて封止される管インサートの中に予め詰められてもよい。
【0265】
高モジュール密度装置は、フィードサンプルを2つのフラクションに分離することができる。一方のフラクションは、管(図29の290)の中に収集されてもよく、他方のフラクションは、管インサートの中に収集されてもよい。一実施形態では、保持物は管の中に収集されてもよい。別の実施形態では、濾過物は管の中に収集されてもよい。さらに別の実施形態では、フィードサンプルは、3つ以上のフラクションに分画されてもよい。2つ以上の出力フラクションは、インサートを用いて収集されてもよい。
【0266】
管システム(図29)を作動させるために、管290の中に管インサート291が挿入されてもよい。キャリア流体及びフィードサンプルは、それぞれキャリア流体及びサンプルリザーバに加えられてもよい。次いで、管を閉じるためにキャップ292がはめられてもよい。管システムは重力によって駆動することができる。代替的に、管システムは、遠心力によって駆動されてもよく、すなわち、組み立てられた管システムは、遠心分離機で回転されてもよい。システムにおける管は、定番の遠沈管、例えば、50ml、15ml、又は10ml遠沈管、定番のマイクロ遠沈管、例えば、2ml、1.5ml、又は1mlマイクロ遠沈管、又は任意の所望のサイズの定番でない特注の管とすることができる。
【0267】
粒子を濾過するためのカートリッジシステム及びプレートシステム
本開示の別の実施形態では、濾過装置は、ウェルに接続されてサンプル濾過のためのカートリッジを形成してもよい。カートリッジは、フィードサンプル、保持物、濾過物、又はキャリア流体を収容するために、濾過装置及びウェル又はリザーバを備えてもよい。カートリッジは、複数のサンプルの濾過を容易にするために、複数の濾過装置及びリザーバの複数の組を備えてもよい。カートリッジの中のリザーバは、フィルム、例えば、プラスチックフィルム、アルミニウムフィルムなどで封止されてもよい。
【0268】
本開示の他の実施形態では、濾過装置は、ウェルに接続されてサンプル濾過のためのプレートシステムを形成してもよい。システムは、入力流体及び出力流体を収容するために濾過装置及びウェルを備えてもよい。濾過装置は、フィルタモジュール、デュアルフィルタモジュール、フィルタカスケードモジュール、多重フィルタモジュール、高モジュール密度装置、又は本開示で開示された任意のフィルタ構成を備えてもよい。
【0269】
図31A〜図31Cは、高モジュール密度装置3105、サンプルウェル3101、キャリア流体ウェル3102、濾過物ウェル3103、及び保持物ウェル3104を備える本開示のプレートシステムの実施形態を示す。システムを使用するために、フィードサンプル及びキャリア流体は、それぞれサンプルウェル3101及びキャリア流体ウェル3102の中に入れられてもよい。次いで、濾過装置3105を通して流体を駆動するためにサンプルウェル3101及びキャリア流体ウェル3102に圧力がかけられてもよい。代替的に、流体を駆動するために濾過物ウェル3103及び保持物ウェル3104に軽く真空が引かれてもよい。濾過物及び保持物は、それぞれ濾過物ウェル3103及び保持物ウェル3104の中に収集されてもよい。
【0270】
上記で開示された複数のプレートシステムは、1つのプレートシステムとして並列に作製することができる。図32A〜図32Dは、複数の高モジュール密度装置及び96ウェルプレート・フォーマットの96個のウェルを備える本開示の96ウェルプレートシステムの実施形態を示す。このシステムは、標準96ウェルプレート・フォーマットを用いる利点を有し得、標準ピペッティング及び処理ロボット又はワークステーションを用いる標準ワークフローに統合することができる。このシステムは、複数のサンプルを1つのシステムで同時又は連続のいずれかで処理するさらなる利点を有してもよい。代替的に、プレートシステムは、他の標準プレートフォーマットに、例えば、6ウェルプレート、384ウェルプレートなどに設計し及び作製することができる。さらに、プレートシステムは、本開示の精神から逸脱することなく他の非標準プレートフォーマットに設計し及び作製することができる。
【0271】
カートリッジシステム又はプレートシステムに関係する粒子及び流体は、手動で又はピペッティングロボットのような自動化された機器を用いて移されてもよい。
【0272】
粒子を濾過するための他のシステム形式
異なる形式の他のシステムを本開示の精神から逸脱することなく設計し及び作製することができる。例えば、濾過装置は、濾過物、保持物、及び随意的に他のフラクションを試験管又はマルチウェルプレートに分与するために、リザーバ及び分与チップと一体化させることができる。本開示の別の実施形態では、装置は、バキュテイナに接続される。
【0273】
システム製造技術
幾つかの実施形態によれば、上記で説明されたシステムは、射出成形、エンボス加工、成形、高温エンボス加工、ステレオリソグラフィなどのような標準製造技術を用いてプラスチックで作製することができる。ハウジングのためのプラスチック材料は、例えば、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、環状オレフィンコポリマー(COC)、環状オレフィンポリマー(COP)、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、感圧性材料、Teflon、アクリル、ポリエーテルスルホン、ポリテトラフルオロエチレンなどを含んでもよい。システムは、標準滅菌技術、例えばガンマ線照射、エチレンオキシド(EO)滅菌、紫外光照射などを用いて滅菌されてもよい。
【0274】
装置及びシステムの作動
本開示の種々の態様及び実施形態では、粒子及び流体は、流体の流れ、駆動圧力、真空、ヘッド高さ、重力、遠心力、磁気力、毛管作用、電場、電気泳動電場、誘電泳動電場、電気浸透力、動電学的力、又は上記の組合せの力を用いて装置又はシステムを通して駆動されてもよい。さらに、可撓性バッグを備える装置又はシステムに対して、バッグに圧力をかけることによって駆動圧力がもたらされてもよい。例えば、バッグは2つの剛性のプレートの間に挟持されてもよい。プレートの間の間隔又はプレート上にかかる圧力を制御することによって、バッグ内に圧力をもたらし、及び制御することができる。
【0275】
粒子及び流体はまた、1つ又は複数のポンプ、蠕動ポンプ、シリンジポンプ、遠心分離機、又は上記の組合せを用いて駆動され又は移されてもよく、1つ又は複数の弁又はラインクランプ、例えば、ピンチ弁、逆止め弁、通気弁、ラインクランプなどを用いて制御されてもよい。さらに、粒子及び流体はまた、閉じたシステム内で、開かれたシステムで、ピペットを用いて、ピペッティングロボットを用いて、1つ又は複数のバキュテイナの吸引を用いて、又は上記の組合せで移されてもよい。
【0276】
本開示の装置及びシステムの態様及び実施形態はまた、温度制御と共に作動されてもよい。濾過プロセスの再現性を増加させる又は濾過プロセスを最適化する目的で、温度制御、例えば、加熱要素、冷却要素、及び温度計構成要素を、装置又はシステムに組み込むことができる。例えば、間質血管細胞群(SVF)調製では、処理される流体の粘度を低下させるために約25Cから約37Cまでの間の装置の温度に設定するのが有利な場合がある。
【0277】
パッケージ及びキット
本開示の別の実施形態では、装置又はシステムは、試薬、例えばキャリア流体が予め詰められ又は予め充填されてもよい。本開示のさらに別の実施形態では、装置又はシステムは、試薬、ユーザ用マニュアル、使用説明書、ラベル、オペレーション・プロトコル、データワークシート、使い捨て部品、収集管、ピペットチップ、注入ピペット、バキュテイナ、テストストリップ、バイオチップ、ラテラルフロー・テストストリップ、細胞計数チャンバ、血球計、及び/又は他の装置と共にパッケージされてキットを形成してもよい。幾つかの装置又はシステムは、1つのキットとしてパッケージされ及び市販されてもよい。本開示の別の実施形態では、装置、システム、又はキットは滅菌されてもよい。本開示のさらに別の実施形態では、装置又はシステムは、別途の無菌の利点のために個々にパッケージされてもよい。
【0278】
本明細書で説明される種々の実施形態は、単なる例であって、本開示の範囲を制限することを意図されないことが理解される。本開示の精神及び範囲から逸脱することなく本開示の説明された方法及び装置の種々の修正、組合せ、及び変形が当業者には分かるであろう。例えば、本明細書で説明される材料及び構造体の多くは、本開示の精神から逸脱することなく他の材料及び構造体と置き換えられてもよい。さらに、本明細書で説明される流体の流れは、電場、電気泳動電場、及び動電学的流れ、重力、又は遠心力と置き換えられてもよい。本明細書で説明される種々の理論及び解説は、限定することを意図されないことも理解される。例えば、本明細書で説明される実施形態は、本開示の精神から逸脱することなく、粒子を駆動するために、流体の流れ、圧力低下、流体力学的圧力、圧力源、真空、ヘッド高さ、重力、遠心力、電場、電気泳動電場、動電学的力、又は上記の組合せを採用してもよい。
【0279】
本明細書で説明される実施形態のうちの多くにおけるフィルタは柱及び孔を備えるが、流れ排除又は他の非サイズ排除の濾過機構を用いる孔を備える他のフィルタ設計が、本開示の精神から逸脱することなく採用されてもよいことが分かる。本開示の実施形態は、より複雑な装置、システム、又は機器を形成するために他の構成要素又はプロセスと組み合わされてもよいことも分かる。
【実施例】
【0280】
実施例
実施例1.ポリマーミクロスフェアの分離と保持サイズの測定
図14Bで例証されるようなデュアルフィルタモジュールを備える装置を用いて直径3.0μm及び6.9μmの蛍光ポリマーミクロスフェアを分離した。デュアルフィルタモジュールは、深さ30μmのチャネル及びチャンバと、それぞれ165本の柱を備える2つのフィルタを備えるものであった。柱は高さ30μmであり、12μm離間され、これにより12μmの物理的孔径を有する孔をもたらした。保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、孔を通した流量が保持物チャンバ入口での流量の約0.22%から約0.28%までの間であるように設計された。デュアルフィルタモジュールは、長さ約4mm、幅0.25mmであった。
【0281】
装置は、標準微細製造技術を用いてシリコンで作製した。流体チャネル、チャンバ、及びフィルタ構造体を作り出すために、フォトリソグラフィ及び深堀シリコン反応性エッチングを用いた。エッチング深さは30μmであった。陽極結合を用いてシリコン基板をガラスウェハに面するエッチングされたチャネル上で封止して閉じ込められた流体チャネルを形成した。次いで、結合されたウェハを個々の装置に切断した。装置を、サンプル流体を送達するために外部流体リザーバを伴うプラスチック筐体と機械的に嵌合させた。
【0282】
サンプル流体は、1%のウシ血清アルブミンを含有するダルベッコりん酸緩衝食塩液中に懸濁された直径3.0μm及び6.9μmの蛍光ポリマーミクロスフェアを含むものであった。ミクロスフェアの密度は1.05g/cm3であった。サンプル流体中の3.0μm及び6.9μmのミクロスフェアの体積濃度は、それぞれ0.00004%及び0.00048%であり、これらはそれぞれ1μlにつき約28ミクロスフェアであった。こうした濃度では、粒子−粒子相互作用は無視できるほど小さい。
【0283】
蛍光ポリマーミクロスフェアを視覚化するために装置を蛍光顕微鏡上に設置した。装置の準備をするためにプラスチック筐体の中のキャリア流体リザーバにキャリア流体を加えた。キャリア流体は、1%のウシ血清アルブミンを含有するダルベッコりん酸緩衝食塩液を含むものであった。その後、サンプル流体をサンプルリザーバに加えた。次いで、約30cmのヘッド高さをもたらすために両方のリザーバを保持物リザーバ及び濾過物リザーバのレベルよりも高く上げた。重力及びヘッド高さによって装置を通して流体を駆動させた。デュアルフィルタモジュールにおける平均流速は、チャンバにおける約0.45のレイノルズ数に対応する約1.5cm/sであった。レイノルズ数の計算においてチャネル深さを特徴的な長さとして用いた。こうしたレイノルズ数では流れは層流である。
【0284】
装置を通して流れる蛍光ポリマーミクロスフェアを、それらがデュアルフィルタモジュールを離れる際に手動でカウントした。結果は以下のように示される。
【表1】
【0285】
3.0μmのミクロスフェアは、ほとんど保持が起こらないベースラインを表し、約0%の保持率を有する。6.9μmのミクロスフェアに対する保持率は約99%であり、これは、3.0μmのミクロスフェアによって確立されたベースラインよりも実質的に高い。デュアルフィルタモジュールの「保持サイズ」は、したがって、12μmの物理的孔径の<58%である3.0μm〜6.9μmの範囲内となるように決定される。デュアルフィルタモジュールがこうした保持サイズを有するためには、構成する孔の「有効孔径」は6.9μm以下でなければならない。本明細書での例示的な装置は、物理的孔径の<58%の有効孔径を有する。
【0286】
保持サイズ及び有効孔径を測定するためにポリマーミクロスフェアを用いる例示的な方法は、濾過装置の意図された使用に関係なく、保持サイズを特徴付けるための標準試験として他の濾過装置に適用されてもよいことが分かる。例えば、以下の実施例2、3、4、及び5で用いられる装置は、装置が細胞処理を意図されていたにもかかわらず、ポリマーミクロスフェアを用いて特徴付けることができる。
【0287】
実施例2.全末梢血からの白血球の単離
高モジュール密度装置を用いて全末梢血から白血球を単離した。
【0288】
例示的な装置は、それぞれがデュアルフィルタモジュール、キャリア流体入力ポート(図24Bの247)、サンプル入力ポート、保持物出力ポート、2つの濾過物出力ポート、及びデュアルフィルタモジュールとポートを接続するチャネルを備える72個の濾過ユニット(図24Bの249)を備える図24Bで例証されるような高モジュール密度装置であった。装置のチャネル及びチャンバは深さ30μmであった。各デュアルフィルタモジュールは、それぞれ240個の孔を備える2つのフィルタからなるものであった。各孔は、30μm×12μmの断面を有し、これにより12μmの物理的孔径を有した。デュアルフィルタモジュールの保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、孔を通した流量が保持物チャンバの入口での流量の約0.12%から約0.18%までの間であるように設計された。装置は、長さ25mm、幅24mm、厚さ0.6mmであり、600mm2(25mm×24mm)のフットプリントを有するものであった。
【0289】
実施例1で説明した方法を用いて、有効孔径と保持サイズを測定した。装置の保持サイズは、12μmの物理的孔径よりも著しく小さい約4μmであったと推定された。
【0290】
装置は、標準微細製造技術を用いてシリコンで作製した。流体チャネル、チャンバ、及びフィルタ構造体を作り出すために、フォトリソグラフィ及び深堀シリコン反応性エッチングを用いた。エッチング深さは30μmであった。陽極結合を用いてシリコン基板をガラスウェハに面するエッチングされたチャネル上で封止して閉じ込められた流体チャネルを形成した。次いで、結合されたウェハを個々の装置に切断した。装置を、外部サンプル、キャリア流体、保持物、及び濾過物リザーバを備えるプラスチック筐体と機械的に嵌合させた。
【0291】
この実施例ではサンプルにヒト全末梢血を用いた。K2EDTA、ACD、又はヘパリンバキュテイナ(Becton Dickinson、ニュージャージー州フランクリンレイクス)を用いて同意したの成人ドナーから血液を採血した。血液サンプルのヘマトクリットは約40%であった。血液は、1mlあたり40億以上の赤血球を含有した。ヘマトクリットは、赤血球が占める血液体積の割合である。血液は、採血から6時間以内に室温で処理した。0.5%のウシ血清アルブミン及び2mMのK2EDTAを含有するダルベッコりん酸緩衝食塩液をキャリア流体として用いた。
【0292】
装置の準備をするためにプラスチック筐体の中のキャリア流体リザーバに8mlのキャリア流体を加えた。その後、4mlの全血をサンプルリザーバに加えた。約40cmのヘッド高さをもたらすために、両方のリザーバを保持物リザーバ及び濾過物リザーバのレベルよりも高く上げた。重力及びヘッド高さによって装置を通して血液及びキャリア流体を駆動させた。濾過物及び保持物をそれぞれ濾過物リザーバ及び保持物リザーバに収集した。約40分後に、血液が装置を通して完全に処理された。次いで、自動セルカウンタ(Coulter AcT diff hematology analyzer、Beckman Coulter、米国カリフォルニア州フラートン)を用いて濾過物及び保持物を測定し及び分析した。ヨウ化プロピジウム、損なわれた膜をもつ細胞に染み込む染色、血球計、及び蛍光顕微鏡を用いて、単離された白血球の生存度を実行の直後に測定した。
【0293】
結果として得られた保持物体積及び濾過物体積は、それぞれ約3.5ml及び7.6mlであった。白血球は、保持物としてキャリア流体中に収集された。この実験は、2人の異なるドナーからの血液サンプルを用いて2回行った。結果を図33に示す。平均して、全血処理スループットは約5.4ml/時間であった。装置は、1秒あたり6百万を超える細胞を処理する能力を実証した。白血球保持率は約94%であり、赤血球キャリーオーバは約2%であり、小板キャリーオーバは<1%であった。ここで、赤血球キャリーオーバ及び小板キャリーオーバは、それぞれ赤血球及び小板の保持率を指す。処理後の白血球生存度は、処理前の白血球生存度から測定誤差内で区別できなかった。測定は、装置及び単離プロセスが白血球生存度を減少させないこと、及び装置が>99%の生存度で白血球を単離できることを示した。
【0294】
性能及び費用効率メトリックが以下に示される。例示的な装置における濾過モジュールの滞留体積は約0.03μlであった。各濾過ユニットは、480本の柱を備え、8.4mm2未満のフットプリントを占めた(すなわち72個の濾過ユニットで割られる25mm×24mmの装置フットプリント)。チャネル深さ30μm、装置フットプリント600mm2(25mm×24mm)、及び装置上の濾過ユニット72個のとき、装置の「濾過ユニット密度」は、したがって、以下の通りであった。
【数10】
【0295】
例示的な装置の「正規化された処理速度」は以下のように計算される。
【数11】
【0296】
こうした「正規化された処理速度」は、この装置上のチャネル及びフィルタ構造体の1立法ミリメートル毎に、1秒あたり0.33×106個の細胞の処理に寄与することを意味する。
【0297】
例示的な装置の設計効率指数は、以下のように計算される。
フィード処理スループット:Q=5.4ml/hr=1.5mm3/s
特徴的なチャネル深さ:D=30μm=0.03mm
装置フットプリント:A=25mm×24mm=600mm2
保持サイズ:R=4μm=0.004mm
ずり速度:S=1900s−1(以下で計算される)
【0298】
フィード血球が装置の中で経験する可能性がある最大ずり速度は、コンピュータ・モデリングに従ってフィード入口チャネルの表面で生じる。最大ずり速度は、コンピュータ流体力学を用いて計算することができ、又は流れプロフィールがフィード入口チャネルにおいてパラボリックであると仮定して以下のように分析的に推定することができる。装置が144個のフィード入口チャネル(1個のモジュールにつき2個、72個のモジュール)を収容し、各入口チャネルが70μm×30μmの既知の断面を有するという事実から、フィード入口チャネルにおける平均流速<v>は、以下のように計算される。
【数12】
【0299】
パラボリックの流れプロフィールを仮定すると、フィード入口チャネルの表面でのずり速度は、したがって、以下のとおりである。
【数13】
【0300】
例示的な装置の設計効率指数(D.E.I.)は、したがって、以下のとおりである。
【数14】
【0301】
同様に、例示的な装置の濾過ユニットの設計効率指数(D.E.I.)が計算されてもよい。装置上に72個の濾過ユニットが存在したので、各濾過ユニットは、0.0208mm3/s(1.5mm3/sを72で割る)のフィード処理スループットに寄与する。濾過ユニットの平均フットプリントは、8.33mm2(25mm×24mmを72で割る)である。濾過ユニットの設計効率指数(D.E.I.)は、したがって、以下のとおりである。
【数15】
【0302】
装置が単一の濾過ユニットよりもかなり高い処理スループットを有するにもかかわらず、濾過ユニットの設計効率指数は、装置の設計効率指数とちょうど同じである。ほとんど同様にポリマーミクロスフェアは、意図された使用に関係なく装置の保持サイズを測定するために標準試験として用いられてもよく、設計効率指数は、そのチャネルサイズ、作動流速、及び保持サイズに関係なく装置の標準特徴として用いられてもよいことが分かる。
【0303】
実施例3.全血の白血球の減少
実施例2の例示的な装置は、白血球減少フィルタとして役立ってもよい。装置の濾過物は、装置に入る白血球のうちのほんの6%以下を含有した。実施例2は、本開示の装置を、全血から白血球を減少させるのに用いることができることを示した。白血球減少フィルタとしてキャリア流体を伴う又は伴わない他の装置構成が用いられてもよい。
【0304】
実施例4.末梢血からのリンパ球の単離
高モジュール密度装置を用いて末梢血からリンパ球を単離した。
【0305】
例示的な装置は、それぞれが図17Cで例証されるようなフィルタカスケードモジュールを備える87個の濾過ユニットを備える高モジュール密度装置であった。各フィルタカスケードモジュールは、第1のデュアルフィルタモジュール(図17Cの要素171)と、キャリア流体入口(図17Cの要素175)を備える第2のデュアルフィルタモジュール(図17Cの要素172)とを備えるものであった。装置のチャネル及びチャンバは深さ30μmであった。第1のデュアルフィルタモジュールは、それぞれ116個の孔を備える2つのフィルタからなるものであった。各孔は、30μm×12μmの断面を有し、これにより12μmの物理的孔径を有した。第1のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、孔を通した流量が第1のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバの入口での流量の約0.29%であるように設計された。第2のデュアルフィルタモジュールは、それぞれ120個の孔を備える2つのフィルタからなるものであった。各孔は、30μm×12μmの断面を有し、これにより12μmの物理的孔径を有した。第2のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、各孔を通した流量が第2のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバの入口での流量の約0.34%であるように設計された。装置は、長さ21mm、幅24mm、厚さ0.6mmであり、504mm2(21mm×24mm)のフットプリントを有するものであった。
【0306】
装置は、標準微細製造技術を用いてシリコンで作製した。流体チャネル、チャンバ、及びフィルタ構造体を作り出すために、フォトリソグラフィ及び深堀シリコン反応性エッチングを用いた。エッチング深さは30μmであった。陽極結合を用いてシリコン基板をガラスウェハに面するエッチングされたチャネル上で封止して閉じ込められた流体チャネルを形成した。次いで、結合されたウェハを個々の装置に切断した。装置を、外部サンプルリザーバ、キャリア流体リザーバ、保持物リザーバ、及び濾過物リザーバを備えるプラスチック筐体と機械的に嵌合させた。
【0307】
この実施例ではサンプルにヒト末梢血を用いた。K2EDTAバキュテイナ(Becton Dickinson、ニュージャージー州フランクリンレイクス)を用いて承諾年齢の成人ドナーから血液を採血した。血液をハンクス平衡塩溶液で1:1に希釈し、採血から8時間以内に室温で処理した。0.5%のウシ血清アルブミン及び2mMのK2EDTAを含有するハンクス平衡塩溶液をキャリア流体として用いた。
【0308】
装置の準備をするためにプラスチック筐体の中のキャリア流体リザーバに10mlのキャリア流体を加えた。その後、8mlの血液サンプルをサンプルリザーバに加えた。次いで、約45cmのヘッド高さをもたらすために、両方のリザーバを保持物リザーバ及び濾過物リザーバのレベルよりも高く上げた。重力及びヘッド高さによって装置を通して血液及びキャリア流体を駆動させた。濾過物及び保持物をそれぞれ濾過物リザーバ及び保持物リザーバに収集した。約40分後に、血液が装置を通して完全に処理された。次いで、自動セルカウンタ(Coulter AcT diff hematology analyzer、Beckman Coulter、米国カリフォルニア州フラートン)を用いて濾過物及び保持物を測定し及び分析し、リンパ球、単球、顆粒球、赤血球、及び小板は区別してカウントされた。
【0309】
8mlの血液サンプル及び10mlのキャリア流体入力は、結果として約5mlの保持物及び約13mlの濾過物をもたらした。リンパ球は、キャリア流体中に保持物として収集された。この実験は、2人の異なるドナーからの血液サンプルを用いて2回行った。結果を図34A〜図34Dに示す。平均処理スループットは9.2ml/時間であり、単離されたリンパ球の純度は>90%であった、すなわち保持物中のすべての白血球の>90%がリンパ球であった。赤血球キャリーオーバは<0.5%であり、小板キャリーオーバは<1%であった。ここで用いた希釈された血液は、1mlあたり20億以上の赤血球を含有した。したがって、装置は、1秒あたり5百万を超える細胞を処理する能力を実証した。
【0310】
例示的な装置は、各モジュールが高い効率及び性能でリンパ球を単離でき、多くのこうしたモジュールが高モジュール密度装置として並列に作動できることがここで実証された。具体的には、各濾過ユニットは、472本の柱を備え、5.8mm2未満のフットプリントを占めた(すなわち、87個の濾過ユニットで割られる21mm×24mmの装置フットプリント)。例示的な装置における濾過モジュールの滞留体積は約0.015μlであった。チャネル深さ30μm、装置フットプリント504mm2(21mm×24mm)、及び装置上の濾過ユニット87個のとき、装置の「濾過ユニット密度」は、したがって、以下の通りであった。
【数16】
【0311】
例示的な装置の「正規化された処理速度」指数は以下のように計算される。
【数17】
【0312】
こうした「正規化された処理速度」は、この装置上に製作されたチャネル及びフィルタ構造体の1立法ミリメートル毎に、1秒あたり33万個の細胞の処理に寄与することを意味する。
【0313】
この実施例は、本開示の幾つかの態様及び実施形態での流れ排除の複雑な性質と、今日までの以前の開示に照らして予想され又は明らかにされていなかった方法で複雑な流体から成分を単離する、例えば血液からリンパ球を単離するためにどのようにして流れ排除を用いることができるかを示す。特に、血液中のすべての主要なタイプの細胞、すなわち赤血球、顆粒球、単球、及びリンパ球は、装置の物理的孔径よりも実質的に小さかった。赤血球、顆粒球、単球、及びリンパ球の平均細胞直径は、それぞれおよそ7μm、8μm、6μm、及び5μmである。さらに、リンパ球は、それぞれ赤血球、顆粒球、及び単球にの約90fl、250fl、及び120flに比べて約60flの平均細胞体積を有する、4つの主要な細胞型のうち最も小さい成分である。しかしながら、リンパ球は、例示的な装置のフィルタによって実質的に保持された唯一の細胞型であり、すべての他の細胞型の約0%の保持率に比べて約60%の保持率を有した(図34C)。
【0314】
この実施例はまた、例示的な用途での分離プロセスは確率論的であり、粒子保持は、確率、すなわち保持確率又は保持率を用いて最もよく説明されることを明瞭に実証した。特に、血球の移動経路は、予め定まっていない場合があり、臨界サイズ(critical size)に従って少なくともただ一つに予め定まっていない。保持確率に影響するかもしれない、可能性のある因子は、細胞−細胞相互作用、ブラウン運動、細胞変形、及びフローパターンの乱れを含む。
【0315】
実施例5.高い細胞生存度でのヒト臍帯血の体積減少及び造血幹細胞の増加
白血球、CD34+細胞、及びCFC−GMを含むコロニー形成幹細胞及び前駆細胞を高モジュール密度装置を用いて高い細胞生存度で回収する状態で臍帯血の体積を減少させた。
【0316】
この実施例で用いられる装置は、図17Cに例証されるようにそれぞれがフィルタカスケードモジュールを備える87個の濾過ユニットを備える高モジュール密度装置であった。各フィルタカスケードモジュールは、第1のデュアルフィルタモジュール(図17Cの要素171)と第2のデュアルフィルタモジュール(図17Cの要素172)とを備えるものであった。装置のチャネル及びチャンバは深さ30μmである。第1のデュアルフィルタモジュールは、それぞれ120個の孔を備える2つのフィルタからなるものであった。各孔は、30μm×12μmの断面を有し、これにより12μmの物理的孔径を有した。第1のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、各孔を通した流量が第1のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバの入口での流量の約0.28%であるように設計された。第2のデュアルフィルタモジュールは、それぞれ320個の孔を備える2つのフィルタからなるものであった。各孔は、30μm×12μmの断面を有し、これにより12μmの物理的孔径を有した。第2のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバ及び濾過物チャンバは、孔を通した流量が第2のデュアルフィルタモジュールの保持物チャンバの入口での流量の約0.10%から約0.14%までの間であるように設計された。装置は、長さ23mm、幅24mm、厚さ0.6mmであり、及び552mm2(23mm×24mm)のフットプリントであった。
【0317】
装置の保持サイズは12μmの物理的孔径よりも著しく小さい約4μmであったと推定される。
【0318】
装置は、標準微細製造技術を用いてシリコンで作製した。流体チャネル、チャンバ、及びフィルタ構造体をもたらすために、フォトリソグラフィ及び深堀シリコン反応性エッチングを用いた。エッチング深さは30μmであった。陽極結合を用いてシリコン基板をガラスウェハに面するエッチングされたチャネル上で封止して閉じ込められた流体チャネルを形成した。次いで、結合されたウェハを個々の装置に切断した。装置を、外部サンプルリザーバ、保持物リザーバ、及び濾過物リザーバを備えるプラスチック筐体と機械的に嵌合させた。
【0319】
この実施例ではサンプルにヒト臍帯血を用いた。臍帯血収集バッグ(Fenwal Inc.、イリノイ州ラウンドレーク)を用いて同意したの成人女性から血液を収集した。臍帯血収集バッグは、抗凝固薬としてクエン酸・リン酸・ブドウ糖(CPD)を収容するものであった。血液は、採血から6時間以内に室温で処理した。
【0320】
さらなる希釈を伴わない12mlの臍帯血を装置に加えた。臍帯血フィードのヘマトクリットは19%〜45%の範囲内であり、平均して1mlあたり28億の赤血球を含有した。ヘマトクリットは、赤血球が占める血液体積の割合である。血液は、重力と約40cmのヘッド高さによって装置を通して駆動された。濾過物及び保持物は、それぞれ濾過物リザーバ及び保持物リザーバに収集した。白血球、CD34+細胞、並びにコロニー形成幹細胞及び前駆細胞は、保持物として回収されることが期待された。約1時間後に、血液が装置を通して完全に処理された。次いで、白血球回収率を計算するために、自動セルカウンタ(Coulter AcT diff hematology analyzer、Beckman Coulter、米国カリフォルニア州フラートン)を用いて濾過物及び保持物を測定し及び分析した。回収した細胞の生存度を、ヨウ化プロピジウム、損なわれた膜をもつ細胞に染み込む染色、血球計、及び蛍光顕微鏡を用いて実行の直後に測定した。フローサイトメトリーを用いてCD34+細胞回収率を測定した。コロニー形成細胞をカウントするために、臍帯血及び保持物を塩化アンモニウム溶解液(Stemcell Technologies、バンクーバー、BC、カナダ)と混合して赤血球を溶解し、洗浄し、次いで、摂氏37度、5%CO2、及び高湿度に設定されたインキュベータを用いてメチルセルロース増殖培地(Stemcell Technologies、バンクーバー、BC、カナダ)中で14日間培養した。14日後に、倒立顕微鏡を用いてCFC−GMコロニーを手動でカウントした。
【0321】
実験の結果は図35A〜図35Cに示される。白血球、CD34+細胞、及びコロニー形成細胞(例えばCFC−GM)は、それぞれ約88%、87%、及び92%の回収率で保持物の中に回収された。装置は、臍帯血体積を約1/5.4に減少させた、すなわち保持物体積は、臍帯血フィード体積の約18.5%であった。こうした体積減少率のとき、100mlの臍帯血は18.5mlに減少されることになる。処理前及び処理後の生存度は実質的に同一であり、十分に測定誤差内にあり、>99%であった。処理スループットは平均して約11.4ml/hrであった。このスループットは1秒あたり約9百万個の細胞の処理に等しい。
【0322】
例示的な装置の「正規化された処理速度」は以下のように計算される。
【数18】
【0323】
この例示的な装置上に製作されたチャネル及びフィルタ構造体の1立法ミリメートル毎に、1秒あたり54万個の細胞の処理に寄与した。
【0324】
この実施例は、使用した装置が臍帯血幹細胞及び前駆細胞を非常に良好な回収率及び細胞の生存度で濃縮できることを実証した。具体的には、各濾過ユニットは、880本の柱を備え、6.4mm2未満のフットプリントを占めた(すなわち、87個の濾過ユニットで割られる23mm×24mmの装置フットプリント)。例示的な装置における濾過モジュールの滞留体積は約0.04μlであった。チャネル深さ30μm、装置フットプリント552mm2(23mm×24mm)、及び装置上の濾過ユニット87個のとき、装置の「濾過ユニット密度」は、したがって、以下の通りであった。
【数19】
【0325】
使用した装置の設計効率指数は、以下のように計算される。
フィード処理スループット:Q=11.4ml/hr=3.17mm3/s
特徴的なチャネル深さ:D=30μm=0.03mm
装置フットプリント:A=23mm×24mm=552mm2
保持サイズ:R=4μm=0.004mm
ずり速度:S=1900s−1(以下で計算される)
【0326】
装置における最大ずり速度は、その入口近くの保持物チャンバの表面で生じる。最大ずり速度は、コンピュータ流体力学を用いて計算することができ、又は流れプロフィールが保持物チャンバにおいてパラボリックであると仮定して以下のように分析的に推定することができる。装置が87個の濾過モジュールを収容し、各保持物チャンバが入口で130μm×30μmの既知の断面を有したという事実から、保持物チャンバにおける入口での平均流速<v>は、以下のように計算された。
【数20】
【0327】
放射状流れプロフィールを仮定すると、保持物チャンバの表面でのずり速度は、したがって、以下のとおりであった。
【数21】
【0328】
例示的な装置の設計効率指数(D.E.I.)は、したがって、以下のとおりである。
【数22】
【0329】
実施例6.単離される細胞の標識
実施例2の例示的な装置は、少なくとも1つの特定の抗原に対する抗体を含むキャリア流体を用いて少なくとも1つの特定の抗原を有する細胞の部分群を標識するのに役立ってもよい。標的細胞を蛍光で又は磁気的に標識するために、抗体は、フルオロフォア又は磁性粒子に複合化されてもよい。分離プロセス中に、保持物細胞は、フィード・ストリームからキャリア流体ストリームの中に導かれ、抗体と混合される。特定の抗原を有する保持物細胞が、保持物として標識され、収集される。随意的に、細胞がモジュールを通して流れる際に細胞を洗うために、キャリアの流れと同じ様式で装置の濾過モジュールに洗浄液が導入されてもよい。分離プロセスは、特定の抗体標識に好適な温度で行われてもよい。その後、蛍光標識された細胞が、フローサイトメータを用いてカウントされ、特徴付けられてもよく、磁気標識された細胞が、磁石を用いて単離されてもよい。血液中に存在する白血球及び他の細胞の部分群を標識するのに用いられてもよい抗体は、抗CD45、抗CD34、抗CD71、抗CD138、抗CD14、抗CD15、抗CD3、抗CD4、抗CD8、抗CD19、抗HLA、抗GPA、抗CD271、抗CD43、抗CD10、抗CD33、抗CD66、及び抗CD105抗体を含む。キャリア流体は、保持物細胞を標識し、処理し、変質し、染色し、洗浄し、又はさらに溶解するために抗体以外の他の試薬を含んでもよく、また、同様の方法で行われてもよい。キャリアの流れとして用いられてもよい可能な試薬は、核酸染色、固定液、凍結液、アルキル化剤、抗体、磁性粒子、酵素、コラゲナーゼ、リパーゼ、DNアーゼ、或る酵素の基質、シクロホスファミドの活性誘導体、増殖因子、洗剤、及び溶解液を含んでもよい。この実施例は、分離及び細胞標識、処理、変質、染色、洗浄、又は溶解を1ステップで行うための本開示の濾過装置の使用を例証する。こうした方法は、CD34+幹細胞の単離、循環性腫瘍細胞の単離、間質血管細胞群の調製、CD4+細胞のカウント、悪性プラスマ細胞の単離、アルデヒドデヒドロゲナーゼ活性の検出、酵素活性に基づく特定の細胞の分離、表面抗原に基づく特定の細胞の単離を含む、多くの用途に非常に有用となることが期待される。
【0330】
他の実施形態
上記の説明から、これを種々の用法及び条件に取り入れるために、本明細書で説明される開示に変形及び修正がなされてもよいことが分かるであろう。こうした実施形態はまた、特許請求の範囲の請求項の範囲内である。
【0331】
本明細書での変数のあらゆる定義における要素のリストの列挙は、あらゆる単一の要素又は挙げられた要素の組合せ(又は部分的組合せ)としてのその変数の定義を含む。本明細書での実施形態の列挙は、あらゆる単一の実施形態として又はあらゆる他の実施形態又はその一部と組み合わされた実施形態としてその実施形態を含む。
【0332】
本明細書で言及されたすべての特許及び刊行物は、それぞれの独立した特許及び刊行物が引用により組み込まれるように具体的に及び個々に示されたかのように同じ範囲まで引用により本明細書に組み込まれる。
【0333】
このように、本開示の少なくとも1つの実施形態の幾つかの態様が説明されており、種々の変更、修正、及び改善が当業者には容易に想起されることが分かるであろう。こうした変更、修正、及び改善は、本開示の一部となることを意図され、且つ本開示の精神及び範囲内となることを意図される。したがって、上記の説明及び図面は単なる例である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
濾過装置であって、
粒子及び流体を含むフィードを受け入れるように構成された少なくとも1つの入口と少なくとも1つの保持物出口とを含む第1のフローチャンバと、
少なくとも1つの濾過物出口を有する遠位端を含む第2のフローチャンバと、
前記第1のフローチャンバと前記第2のフローチャンバとの間に位置決めされたフィルタであり、
柱の第1の列と、
隣接する柱の間の間隔によって画定される複数の孔と、
を含み、前記複数の孔のうちの各孔が、
前記孔を画定する隣接する前記柱の間の距離によって画定される物理的孔径と、
前記物理的孔径よりも小さい有効孔径と、
を含む、フィルタと、
濾過装置を通してフィードを移動するための手段と、
を備え、
前記第1のフローチャンバ、前記第2のフローチャンバ、前記フィルタ、及び前記濾過装置を通してフィードを移動するための手段が、前記孔の有効孔径よりも大きく且つ前記孔の物理的孔径よりも小さいサイズを有する粒子の大きいフラクションを前記第1のフローチャンバの中に保持物として保持し、前記流体の大きいフラクションを前記第2のフローチャンバの中に濾過物として渡すように構成される、
濾過装置。
【請求項2】
前記第1のフローチャンバが第1の実質的に一定の深さを備え、前記第2のフローチャンバが第2の実質的に一定の深さを備え、前記フィルタと前記第1のフローチャンバの側壁との間の距離が、前記少なくとも1つの入口から前記少なくとも1つの保持物出口までの長さに沿って減少し、前記フィルタと前記第2のフローチャンバの側壁との間の距離が、前記第2のフローチャンバの近位端から遠位端までの長さに沿って増加する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
前記第2のフローチャンバの側壁に対する接線と前記柱の列に対する接線との間の角度が約5度未満である、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項4】
前記孔のサブセットが実質的に同一の物理的孔径を有する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項5】
前記孔のサブセットが実質的に同一の有効孔径を有する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項6】
前記柱の第1の列が、前記濾過装置の中に存在するすべての柱のうちの約10パーセントを越える柱を備える、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項7】
前記第1のフローチャンバの長さと前記第2のフローチャンバの長さのうちのより大きい方によって画定される装置長さ、及び、前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅との合計の最大点での前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅との合計によって画定される装置幅を有し、前記装置長さ対前記装置幅が約6よりも大きい比を有する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項8】
前記各孔が、前記孔の物理的孔径の約80パーセント未満の有効孔径を有する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項9】
前記第1のチャンバが、前記少なくとも1つの入口とは別個の少なくとも1つのキャリア流体入口を備える、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項10】
前記第1のフローチャンバ及び前記フィルタのそれぞれが、前記装置を通した流路において約1μmよりも小さい曲率半径を有する如何なる前縁も有さない、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項11】
前記孔の第1のサブセットが前記孔の第2のサブセットとは異なる有効孔径を有する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項12】
前記濾過装置が第2のフィルタ及び第3のフローチャンバをさらに備え、前記第2のフィルタが前記第1のフローチャンバと前記第3のフローチャンバとの間に配置され、前記第3のフローチャンバが近位端及び遠位端を含み、前記遠位端が少なくとも1つの出口を有し、前記第3のチャンバが近位端から遠位端までの長さに沿って広くなる、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項13】
前記第1のフローチャンバの長さによって画定される装置長さ、及び、前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅と前記第3のフローチャンバの幅との合計の最大点での前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅と前記第3のフローチャンバの幅との合計によって画定される装置幅を有し、前記装置長さ対前記装置幅が約5よりも大きい比を有する、請求項12に記載の濾過装置。
【請求項14】
約5,000本よりも少ない柱を有する、請求項12に記載の濾過装置。
【請求項15】
前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタが、前記濾過装置に含まれるすべての柱のうちの約15パーセントを越える柱を備える、請求項12に記載の濾過装置。
【請求項16】
前記濾過装置が、前記第1のフローチャンバの中心線を通る鏡映面に関して実質的に対称である、請求項12に記載の濾過装置。
【請求項17】
前記柱の第1の列によって画定される接線と前記柱の第2の列によって画定される接線が平行ではない、請求項12に記載の濾過装置。
【請求項18】
前記濾過装置が、第2のフィルタ、第3のフローチャンバ、及び第4のフローチャンバをさらに備え、前記第2のフィルタが、前記第3のフローチャンバと前記第4のフローチャンバとの間に配置され、前記第3のフローチャンバが少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備え、前記第4のフローチャンバが少なくとも1つの出口を備える、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項19】
前記第1のフローチャンバの長さと前記第3のフローチャンバの長さとの合計によって画定される装置長さ、及び、前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅との合計の最大点での前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅との合計と、前記第3のフローチャンバの幅と前記第4のフローチャンバの幅との合計の最大点での前記第3のフローチャンバの幅と前記第4のフローチャンバの幅との合計のうちのより大きい方によって画定される装置幅を有し、前記装置長さ対前記装置幅が約10よりも大きい比を有する、請求項18に記載の濾過装置。
【請求項20】
約5,000本未満の柱を有する、請求項18に記載の濾過装置。
【請求項21】
前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタが、前記濾過装置に含まれるすべての柱のうちの10パーセント以上を備える、請求項18に記載の濾過装置。
【請求項22】
前記第3のフローチャンバの前記少なくとも1つの入口が、前記第1のフローチャンバの前記少なくとも1つの出口と流体接続され、且つ前記第2のフローチャンバの前記少なくとも1つの出口と流体接続される、請求項18に記載の濾過装置。
【請求項23】
前記第3のフローチャンバが、前記少なくとも1つの入口とは別個の少なくとも1つのキャリア流体入口をさらに備える、請求項22に記載の濾過装置。
【請求項24】
粒子を濾過するための方法であって、
少なくとも1つの濾過ユニットを含む濾過装置を提供するステップであり、各濾過ユニットが、
フィード入口と、
保持物出口と、
濾過物出口を含む第2のフローチャンバと、
物理的孔径を有する複数の孔を含むフィルタであり、前記第1のフローチャンバと前記第2のフローチャンバとの間に配置される、フィルタと、
を含む第1のフローチャンバを含む、少なくとも1つの濾過ユニットを含む濾過装置を提供することと、
フィード流体と、前記フィード流体が前記フィード入口を通して前記装置の中に浸透される物理的孔径よりも小さいサイズを有する少なくとも1つの粒子群とを含むフィードを導入することと、
前記濾過装置を通して前記フィードを駆動するために駆動力をかけることと、
前記少なくとも1つの粒子群の大きいフラクションが前記第1のフローチャンバの中に保持物として保持され、且つ前記フィード流体の大きいフラクションがフィルタを通過して濾過物として前記第2のフローチャンバの中に入るように、前記フィードに前記濾過装置を通過させることと、
前記保持物を前記保持物出口で収集することと、
前記濾過物を前記濾過物出口で収集することと、
を含む、方法。
【請求項25】
前記濾過装置を提供することが、10個よりも多くの濾過ユニットを含む濾過装置を提供することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記フィードを装置に導入することが、細胞の液体懸濁液を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記フィードが生存細胞を含み、前記方法が、前記フィードから細胞を分離することをさらに含み、前記生存細胞の少なくとも約90%が分離後に生存可能なままである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、前記フィードから細胞を分離することをさらに含み、前記細胞の約0.03パーセント未満が前記濾過装置によって溶解される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞の約0.03%未満が前記濾過装置の中に捕捉される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記フィードに濾過装置を通過させることが、前記濾過装置を通して1秒あたり105個よりも多くの細胞を通過させることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記フィードに濾過装置を通過させることが、前記濾過装置を通して1秒あたり106個よりも多くの細胞を通過させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記フィードに濾過装置を通過させることが、前記濾過装置を通して1秒あたり107個よりも多くの細胞を通過させることを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記濾過装置を提供することが、0.8マイクロリットルよりも小さい滞留体積を有する少なくとも1つの濾過ユニットを備える濾過装置を提供することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記濾過装置を提供することが、フットプリント面積及び実質的に一定のチャンバ深さを有する濾過装置を提供することを含み、前記フィードに濾過装置を通過させることが、1秒あたりに濾過装置を通過する細胞の数を、前記実質的に一定のチャンバ深さと前記フットプリント面積との積で割ったものとして定義される、1立法ミリメートルにつき10,000細胞/秒よりも大きい正規化された処理速度で細胞に濾過装置を通過させることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記濾過装置を提供することが、特徴的なチャンバ深さ、フットプリント面積、及び濾過装置に含まれる濾過モジュールの数を前記特徴的なチャンバ深さと前記フットプリント面積との積で割ったものとして定義される濾過ユニット密度を有する濾過装置を提供することを含み、前記濾過ユニット密度が1立法ミリメートルあたり400濾過ユニットよりも大きい、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記フィードを装置に導入することが、骨髄を含むフィード液体を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
前記フィードを装置に導入することが、血液を含むフィード液体を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記フィードを導入することが、臍帯血を含むフィード液体を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項39】
前記フィードを導入することが、幹細胞を含むフィード液体を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項40】
前記フィードを装置に導入することが、羊水を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記フィードを装置に導入することが、消化された脂肪組織を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項42】
前記前記フィードを装置に導入することが、細胞、血球、臍帯血細胞、骨髄細胞、赤血球、白血球、リンパ球、上皮細胞、幹細胞、癌細胞、腫瘍細胞、循環性腫瘍細胞、前駆細胞、細胞前駆体、臍帯血幹細胞、造血幹細胞、間葉幹細胞、脂肪幹細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞、胎児性幹細胞、臍帯由来の細胞、脂肪組織由来の細胞、間質血管細胞群(SVF)中の細胞、羊水中の細胞、月経血中の細胞、脳脊髄液中の細胞、尿中の細胞、骨髄幹細胞、末梢血幹細胞、CD34+細胞、コロニー形成細胞、T細胞、B細胞、神経細胞、免疫細胞、樹状細胞、巨核球、固定化骨髄細胞、小板、精子、卵子、卵母細胞、病原菌、微生物、細菌、真菌、イースト、原生動物、ウィルス、小器官、核、核酸、ミトコンドリア、ミセル、脂質、タンパク質、タンパク質複合体、細胞の破片、寄生生物、脂肪滴、多細胞生物、胞子、藻類、クラスタ、上記の凝集物、工業用粉末、ポリマー、粉末、エマルジョン、液滴、粉塵、ミクロスフェア、粒子、及びコロイドのうちの1つを前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項43】
細胞、CD34+細胞、間質血管細胞群、幹細胞、前駆細胞、コロニー形成細胞、造血幹細胞、脂肪幹細胞、間葉幹細胞、羊膜幹細胞、有核細胞、白血球、リンパ球、癌細胞、腫瘍細胞、樹状細胞、死細胞、生細胞、分裂細胞、網赤血球、赤血球、脂肪細胞、及び脂肪滴のうちの1つを含む保持物を収集するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項44】
前記保持物を収集することが、細胞を収集することを含み、前記保持物中の細胞の約95%よりも多くが生存可能である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
細胞、CD34+細胞、間質血管細胞群、幹細胞、前駆細胞、コロニー形成細胞、造血幹細胞、脂肪幹細胞、間葉幹細胞、羊膜幹細胞、血漿、小板、赤血球、有核細胞、白血球、リンパ球、癌細胞、腫瘍細胞、樹状細胞、死細胞、生細胞、分裂細胞、網赤血球、赤血球、脂肪細胞、及び脂肪滴のうちの1つを含む濾過物を収集することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項46】
前記濾過物を収集することが細胞を収集することを含み、前記濾過物中の細胞の約95%よりも多くが生存可能である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記濾過装置を提供することが、物理的孔径よりも著しく小さい保持サイズを有する濾過装置を提供することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項48】
臍帯血の体積を減少させるための方法であって、
少なくとも1つの有核細胞群を有する臍帯血を含む、サンプル体積を有するサンプルを調達することと、
第1の収集容器、第2の収集容器、フィードアクセス手段、及び少なくとも3つの濾過ユニットを含む濾過装置を提供することであり、
前記各濾過ユニットが、フィード入口、保持物出口、及び濾過物出口を含む、ミクロ流体フローチャンバを有し、
前記各ミクロ流体フローチャンバが、約1ミリメートルよりも小さいその長さに対し垂直な少なくとも1つの寸法を含み、
前記フィード入口がフィードアクセス手段と流体連通し、
前記保持物出口が第1の収集容器と流体接続され、
前記濾過物出口が第2の収集容器と流体接続される、
濾過装置を提供することと、
前記フィードアクセス手段を用いて前記サンプルを前記濾過ユニットの前記フィード入口に導入することと、
前記サンプルに駆動力をかけることと、
前記サンプルを前記濾過装置の前記ミクロ流体フローチャンバに通すことと、
サンプル体積の大きいフラクションを前記濾過物出口に導き、且つ少なくとも1つの有核細胞群の大きいフラクションを前記保持物出口に導く層流条件を生み出すことと、
前記保持物出口からの流体出力を前記第1の収集容器の中に収集することと、
前記濾過物出口からの流体出力を前記第2の収集容器の中に収集することと、
を含む方法。
【請求項49】
前記保持物出口から流体出力を収集することが、前記サンプルから有核細胞の70%よりも多くを前記サンプル体積の25%未満の体積で前記第1の収集容器に収集することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの有核細胞群がCD34+細胞を含み、前記保持物出口から流体出力を収集することが、前記サンプルから前記CD34+細胞の75%よりも多くを前記第1の収集容器の中に収集することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記方法が、サンプルから生存細胞を分離することをさらに含み、前記生存細胞の少なくとも約95%が分離後に生存可能なままである、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記サンプルを調達することが、約95%よりも高い生存度の臍帯血有核細胞を含むサンプルを調達することを含み、前記保持物出口から流体出力を収集することが、約95%よりも高い生存度の有核細胞を収集することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記サンプルにミクロ流体フローチャンバを通過させることが、1秒あたり10,000,000よりも多い血球を前記濾過装置に通すことを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
粒子濾過装置であって、
共通のフィード入口と、
共通の濾過物出口と、
共通の保持物出口と、
複数の濾過ユニットを含む少なくとも1つの高モジュール密度装置であり、前記濾過ユニットのそれぞれが、
フィード流体中のフィード粒子を含むフィードを受け入れるように構成された少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの保持物出口を含む第1のフローチャンバと、
近位端及び少なくとも1つの濾過物出口を有する遠位端を含む第2のフローチャンバと、
前記第1のフローチャンバと前記第2のフローチャンバとの間に位置決めされた第1のフィルタであり、
柱の第1の列と、
前記柱の列の隣接する柱の間の間隔によって画定される複数の孔と、
を含み、前記複数の孔のうちの各孔が、前記孔を画定する前記隣接する柱の間の距離によって画定される物理的孔径を含む、第1のフィルタと、
複数の濾過ユニットを通してフィードを移動させるための手段と、
を含む、少なくとも1つの高モジュール密度装置と、
を備え、
前記第1のフローチャンバ、前記第2のフローチャンバ、前記フィルタ、及び前記複数の濾過ユニットを通してフィードを移動させるための手段が、前記孔の有効孔径よりも小さい保持サイズを有し、
前記保持サイズよりも大きいサイズを有するフィード粒子の大きいフラクションを前記第1のフローチャンバの中に保持物として保持し、前記フィード流体の大きいフラクションを前記第2のフローチャンバの中に濾過物として渡すように構成され、
前記複数の濾過ユニットの前記少なくとも1つの入口のそれぞれが共通のフィード入口と流体連通し、
前記複数の濾過ユニットの前記少なくとも1つの濾過物出口のそれぞれが共通の濾過物出口と流体連通し、
前記複数の濾過ユニットの前記少なくとも1つの保持物出口のそれぞれが共通の保持物出口と流体連通する、
装置。
【請求項55】
管と、
管キャップと、
管インサートと、
をさらに備え、
前記高モジュール密度装置が前記管インサート内に設置されるように構成され、
前記管が前記管インサートを格納するように構成され、
前記管インサートが共通のフィード入口と流体接続されるフィードリザーバを含み、
前記管キャップが前記管及び前記管インサートを覆うように構成される、
請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項56】
前記管が、前記高モジュール密度装置からの保持物を受け入れるように構成され、前記管インサートが、前記高モジュール密度装置からの濾過物を受け入れるように構成された濾過物リザーバをさらに含む、請求項55に記載の粒子濾過装置。
【請求項57】
前記管が、前記高モジュール密度装置からの濾過物を受け入れるように構成され、前記管インサートが、前記高モジュール密度装置からの保持物を受け入れるように構成された保持物リザーバをさらに含む、請求項55に記載の粒子濾過装置。
【請求項58】
前記管インサートが、少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口にキャリア流体を供給するように構成されたキャリア流体リザーバをさらに含む、請求項55に記載の粒子濾過装置。
【請求項59】
共通の保持物出口と流体接続される保持物収集バッグと、
共通の濾過物出口と流体接続される濾過物収集バッグと、
をさらに備える、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項60】
少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口と流体接続される共通のキャリア流体入口をさらに備える、請求項59に記載の粒子濾過装置。
【請求項61】
キャリア流体を前記共通のキャリア流体入口に供給するように構成されたキャリア流体容器をさらに備える、請求項60に記載の粒子濾過装置。
【請求項62】
フィード収集バッグと前記共通のフィード入口との間の流体的接続を確立するように構成されたアダプタをさらに備える、請求項59に記載の粒子濾過装置。
【請求項63】
前記共通のフィード入口と流体接続されるフィード収集バッグをさらに備える、請求項59に記載の粒子濾過装置。
【請求項64】
前記フィード収集バッグが、フィードを前記フィード収集バッグの中に引き込むように構成された少なくとも1つの針を備える、請求項63に記載の粒子濾過装置。
【請求項65】
前記フィード収集バッグが抗凝固薬を収容する、請求項63に記載の粒子濾過装置。
【請求項66】
前記フィード収集バッグが流体を収容する、請求項63に記載の粒子濾過装置。
【請求項67】
前記共通のフィード入口と流体連通し、流体リザーバとして構成される、第1のウェルと、
前記共通の保持物入口と流体連通し、流体リザーバとして構成される、第2のウェルと、
前記共通の濾過物入口と流体連通し、流体リザーバとして構成される、第3のウェルと、
をさらに備える、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項68】
前記第1のウェル、前記第2のウェル、及び前記第3のウェルがマルチウェルプレート・形式で構成される、請求項67に記載の粒子濾過装置。
【請求項69】
少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口と流体連通し、前記少なくとも1つの第1のフローチャンバにキャリア流体を供給するように構成される、第4のウェルをさらに備える、請求項67に記載の粒子濾過装置。
【請求項70】
第1のウェル、第2のウェル、及び第3のウェルのうちの少なくとも1つを封じるように構成されたキャップをさらに備える、請求項67に記載の粒子濾過装置。
【請求項71】
前記キャップが、空気及び蒸気を実質的に透過させず、前記第1のウェル、前記第2のウェル、及び前記第3のウェルのうちの少なくとも1つを封止するように構成されたホイルを備える、請求項70に記載の粒子濾過装置。
【請求項72】
前記第1のウェル、前記第2のウェル、及び前記第3のウェルのうちの少なくとも1つが流体を収容する、請求項70に記載の粒子濾過装置。
【請求項73】
前記複数の濾過ユニットのうちの各濾過ユニットが、1マイクロリットルよりも小さい滞留体積を有する、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項74】
前記高モジュール密度装置が、1立法センチメートルあたり500濾過ユニットよりも大きい濾過ユニット密度を有する、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項75】
前記高モジュール密度装置が30個よりも多い濾過ユニットを含む、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項76】
前記高モジュール密度装置が約0.5mm−2よりも大きい設計効率指数を有する、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項1】
濾過装置であって、
粒子及び流体を含むフィードを受け入れるように構成された少なくとも1つの入口と少なくとも1つの保持物出口とを含む第1のフローチャンバと、
少なくとも1つの濾過物出口を有する遠位端を含む第2のフローチャンバと、
前記第1のフローチャンバと前記第2のフローチャンバとの間に位置決めされたフィルタであり、
柱の第1の列と、
隣接する柱の間の間隔によって画定される複数の孔と、
を含み、前記複数の孔のうちの各孔が、
前記孔を画定する隣接する前記柱の間の距離によって画定される物理的孔径と、
前記物理的孔径よりも小さい有効孔径と、
を含む、フィルタと、
濾過装置を通してフィードを移動するための手段と、
を備え、
前記第1のフローチャンバ、前記第2のフローチャンバ、前記フィルタ、及び前記濾過装置を通してフィードを移動するための手段が、前記孔の有効孔径よりも大きく且つ前記孔の物理的孔径よりも小さいサイズを有する粒子の大きいフラクションを前記第1のフローチャンバの中に保持物として保持し、前記流体の大きいフラクションを前記第2のフローチャンバの中に濾過物として渡すように構成される、
濾過装置。
【請求項2】
前記第1のフローチャンバが第1の実質的に一定の深さを備え、前記第2のフローチャンバが第2の実質的に一定の深さを備え、前記フィルタと前記第1のフローチャンバの側壁との間の距離が、前記少なくとも1つの入口から前記少なくとも1つの保持物出口までの長さに沿って減少し、前記フィルタと前記第2のフローチャンバの側壁との間の距離が、前記第2のフローチャンバの近位端から遠位端までの長さに沿って増加する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項3】
前記第2のフローチャンバの側壁に対する接線と前記柱の列に対する接線との間の角度が約5度未満である、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項4】
前記孔のサブセットが実質的に同一の物理的孔径を有する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項5】
前記孔のサブセットが実質的に同一の有効孔径を有する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項6】
前記柱の第1の列が、前記濾過装置の中に存在するすべての柱のうちの約10パーセントを越える柱を備える、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項7】
前記第1のフローチャンバの長さと前記第2のフローチャンバの長さのうちのより大きい方によって画定される装置長さ、及び、前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅との合計の最大点での前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅との合計によって画定される装置幅を有し、前記装置長さ対前記装置幅が約6よりも大きい比を有する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項8】
前記各孔が、前記孔の物理的孔径の約80パーセント未満の有効孔径を有する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項9】
前記第1のチャンバが、前記少なくとも1つの入口とは別個の少なくとも1つのキャリア流体入口を備える、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項10】
前記第1のフローチャンバ及び前記フィルタのそれぞれが、前記装置を通した流路において約1μmよりも小さい曲率半径を有する如何なる前縁も有さない、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項11】
前記孔の第1のサブセットが前記孔の第2のサブセットとは異なる有効孔径を有する、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項12】
前記濾過装置が第2のフィルタ及び第3のフローチャンバをさらに備え、前記第2のフィルタが前記第1のフローチャンバと前記第3のフローチャンバとの間に配置され、前記第3のフローチャンバが近位端及び遠位端を含み、前記遠位端が少なくとも1つの出口を有し、前記第3のチャンバが近位端から遠位端までの長さに沿って広くなる、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項13】
前記第1のフローチャンバの長さによって画定される装置長さ、及び、前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅と前記第3のフローチャンバの幅との合計の最大点での前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅と前記第3のフローチャンバの幅との合計によって画定される装置幅を有し、前記装置長さ対前記装置幅が約5よりも大きい比を有する、請求項12に記載の濾過装置。
【請求項14】
約5,000本よりも少ない柱を有する、請求項12に記載の濾過装置。
【請求項15】
前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタが、前記濾過装置に含まれるすべての柱のうちの約15パーセントを越える柱を備える、請求項12に記載の濾過装置。
【請求項16】
前記濾過装置が、前記第1のフローチャンバの中心線を通る鏡映面に関して実質的に対称である、請求項12に記載の濾過装置。
【請求項17】
前記柱の第1の列によって画定される接線と前記柱の第2の列によって画定される接線が平行ではない、請求項12に記載の濾過装置。
【請求項18】
前記濾過装置が、第2のフィルタ、第3のフローチャンバ、及び第4のフローチャンバをさらに備え、前記第2のフィルタが、前記第3のフローチャンバと前記第4のフローチャンバとの間に配置され、前記第3のフローチャンバが少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を備え、前記第4のフローチャンバが少なくとも1つの出口を備える、請求項1に記載の濾過装置。
【請求項19】
前記第1のフローチャンバの長さと前記第3のフローチャンバの長さとの合計によって画定される装置長さ、及び、前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅との合計の最大点での前記第1のフローチャンバの幅と前記第2のフローチャンバの幅との合計と、前記第3のフローチャンバの幅と前記第4のフローチャンバの幅との合計の最大点での前記第3のフローチャンバの幅と前記第4のフローチャンバの幅との合計のうちのより大きい方によって画定される装置幅を有し、前記装置長さ対前記装置幅が約10よりも大きい比を有する、請求項18に記載の濾過装置。
【請求項20】
約5,000本未満の柱を有する、請求項18に記載の濾過装置。
【請求項21】
前記第1のフィルタ及び前記第2のフィルタが、前記濾過装置に含まれるすべての柱のうちの10パーセント以上を備える、請求項18に記載の濾過装置。
【請求項22】
前記第3のフローチャンバの前記少なくとも1つの入口が、前記第1のフローチャンバの前記少なくとも1つの出口と流体接続され、且つ前記第2のフローチャンバの前記少なくとも1つの出口と流体接続される、請求項18に記載の濾過装置。
【請求項23】
前記第3のフローチャンバが、前記少なくとも1つの入口とは別個の少なくとも1つのキャリア流体入口をさらに備える、請求項22に記載の濾過装置。
【請求項24】
粒子を濾過するための方法であって、
少なくとも1つの濾過ユニットを含む濾過装置を提供するステップであり、各濾過ユニットが、
フィード入口と、
保持物出口と、
濾過物出口を含む第2のフローチャンバと、
物理的孔径を有する複数の孔を含むフィルタであり、前記第1のフローチャンバと前記第2のフローチャンバとの間に配置される、フィルタと、
を含む第1のフローチャンバを含む、少なくとも1つの濾過ユニットを含む濾過装置を提供することと、
フィード流体と、前記フィード流体が前記フィード入口を通して前記装置の中に浸透される物理的孔径よりも小さいサイズを有する少なくとも1つの粒子群とを含むフィードを導入することと、
前記濾過装置を通して前記フィードを駆動するために駆動力をかけることと、
前記少なくとも1つの粒子群の大きいフラクションが前記第1のフローチャンバの中に保持物として保持され、且つ前記フィード流体の大きいフラクションがフィルタを通過して濾過物として前記第2のフローチャンバの中に入るように、前記フィードに前記濾過装置を通過させることと、
前記保持物を前記保持物出口で収集することと、
前記濾過物を前記濾過物出口で収集することと、
を含む、方法。
【請求項25】
前記濾過装置を提供することが、10個よりも多くの濾過ユニットを含む濾過装置を提供することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記フィードを装置に導入することが、細胞の液体懸濁液を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記フィードが生存細胞を含み、前記方法が、前記フィードから細胞を分離することをさらに含み、前記生存細胞の少なくとも約90%が分離後に生存可能なままである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記方法が、前記フィードから細胞を分離することをさらに含み、前記細胞の約0.03パーセント未満が前記濾過装置によって溶解される、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記細胞の約0.03%未満が前記濾過装置の中に捕捉される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記フィードに濾過装置を通過させることが、前記濾過装置を通して1秒あたり105個よりも多くの細胞を通過させることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記フィードに濾過装置を通過させることが、前記濾過装置を通して1秒あたり106個よりも多くの細胞を通過させることを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記フィードに濾過装置を通過させることが、前記濾過装置を通して1秒あたり107個よりも多くの細胞を通過させることを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記濾過装置を提供することが、0.8マイクロリットルよりも小さい滞留体積を有する少なくとも1つの濾過ユニットを備える濾過装置を提供することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項34】
前記濾過装置を提供することが、フットプリント面積及び実質的に一定のチャンバ深さを有する濾過装置を提供することを含み、前記フィードに濾過装置を通過させることが、1秒あたりに濾過装置を通過する細胞の数を、前記実質的に一定のチャンバ深さと前記フットプリント面積との積で割ったものとして定義される、1立法ミリメートルにつき10,000細胞/秒よりも大きい正規化された処理速度で細胞に濾過装置を通過させることを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項35】
前記濾過装置を提供することが、特徴的なチャンバ深さ、フットプリント面積、及び濾過装置に含まれる濾過モジュールの数を前記特徴的なチャンバ深さと前記フットプリント面積との積で割ったものとして定義される濾過ユニット密度を有する濾過装置を提供することを含み、前記濾過ユニット密度が1立法ミリメートルあたり400濾過ユニットよりも大きい、請求項24に記載の方法。
【請求項36】
前記フィードを装置に導入することが、骨髄を含むフィード液体を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項37】
前記フィードを装置に導入することが、血液を含むフィード液体を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項38】
前記フィードを導入することが、臍帯血を含むフィード液体を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項39】
前記フィードを導入することが、幹細胞を含むフィード液体を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項40】
前記フィードを装置に導入することが、羊水を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項41】
前記フィードを装置に導入することが、消化された脂肪組織を前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項42】
前記前記フィードを装置に導入することが、細胞、血球、臍帯血細胞、骨髄細胞、赤血球、白血球、リンパ球、上皮細胞、幹細胞、癌細胞、腫瘍細胞、循環性腫瘍細胞、前駆細胞、細胞前駆体、臍帯血幹細胞、造血幹細胞、間葉幹細胞、脂肪幹細胞、多能性幹細胞、誘導多能性幹細胞、胎児性幹細胞、臍帯由来の細胞、脂肪組織由来の細胞、間質血管細胞群(SVF)中の細胞、羊水中の細胞、月経血中の細胞、脳脊髄液中の細胞、尿中の細胞、骨髄幹細胞、末梢血幹細胞、CD34+細胞、コロニー形成細胞、T細胞、B細胞、神経細胞、免疫細胞、樹状細胞、巨核球、固定化骨髄細胞、小板、精子、卵子、卵母細胞、病原菌、微生物、細菌、真菌、イースト、原生動物、ウィルス、小器官、核、核酸、ミトコンドリア、ミセル、脂質、タンパク質、タンパク質複合体、細胞の破片、寄生生物、脂肪滴、多細胞生物、胞子、藻類、クラスタ、上記の凝集物、工業用粉末、ポリマー、粉末、エマルジョン、液滴、粉塵、ミクロスフェア、粒子、及びコロイドのうちの1つを前記第1のフローチャンバに導入することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項43】
細胞、CD34+細胞、間質血管細胞群、幹細胞、前駆細胞、コロニー形成細胞、造血幹細胞、脂肪幹細胞、間葉幹細胞、羊膜幹細胞、有核細胞、白血球、リンパ球、癌細胞、腫瘍細胞、樹状細胞、死細胞、生細胞、分裂細胞、網赤血球、赤血球、脂肪細胞、及び脂肪滴のうちの1つを含む保持物を収集するステップをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項44】
前記保持物を収集することが、細胞を収集することを含み、前記保持物中の細胞の約95%よりも多くが生存可能である、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
細胞、CD34+細胞、間質血管細胞群、幹細胞、前駆細胞、コロニー形成細胞、造血幹細胞、脂肪幹細胞、間葉幹細胞、羊膜幹細胞、血漿、小板、赤血球、有核細胞、白血球、リンパ球、癌細胞、腫瘍細胞、樹状細胞、死細胞、生細胞、分裂細胞、網赤血球、赤血球、脂肪細胞、及び脂肪滴のうちの1つを含む濾過物を収集することをさらに含む、請求項24に記載の方法。
【請求項46】
前記濾過物を収集することが細胞を収集することを含み、前記濾過物中の細胞の約95%よりも多くが生存可能である、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記濾過装置を提供することが、物理的孔径よりも著しく小さい保持サイズを有する濾過装置を提供することを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項48】
臍帯血の体積を減少させるための方法であって、
少なくとも1つの有核細胞群を有する臍帯血を含む、サンプル体積を有するサンプルを調達することと、
第1の収集容器、第2の収集容器、フィードアクセス手段、及び少なくとも3つの濾過ユニットを含む濾過装置を提供することであり、
前記各濾過ユニットが、フィード入口、保持物出口、及び濾過物出口を含む、ミクロ流体フローチャンバを有し、
前記各ミクロ流体フローチャンバが、約1ミリメートルよりも小さいその長さに対し垂直な少なくとも1つの寸法を含み、
前記フィード入口がフィードアクセス手段と流体連通し、
前記保持物出口が第1の収集容器と流体接続され、
前記濾過物出口が第2の収集容器と流体接続される、
濾過装置を提供することと、
前記フィードアクセス手段を用いて前記サンプルを前記濾過ユニットの前記フィード入口に導入することと、
前記サンプルに駆動力をかけることと、
前記サンプルを前記濾過装置の前記ミクロ流体フローチャンバに通すことと、
サンプル体積の大きいフラクションを前記濾過物出口に導き、且つ少なくとも1つの有核細胞群の大きいフラクションを前記保持物出口に導く層流条件を生み出すことと、
前記保持物出口からの流体出力を前記第1の収集容器の中に収集することと、
前記濾過物出口からの流体出力を前記第2の収集容器の中に収集することと、
を含む方法。
【請求項49】
前記保持物出口から流体出力を収集することが、前記サンプルから有核細胞の70%よりも多くを前記サンプル体積の25%未満の体積で前記第1の収集容器に収集することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの有核細胞群がCD34+細胞を含み、前記保持物出口から流体出力を収集することが、前記サンプルから前記CD34+細胞の75%よりも多くを前記第1の収集容器の中に収集することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項51】
前記方法が、サンプルから生存細胞を分離することをさらに含み、前記生存細胞の少なくとも約95%が分離後に生存可能なままである、請求項48に記載の方法。
【請求項52】
前記サンプルを調達することが、約95%よりも高い生存度の臍帯血有核細胞を含むサンプルを調達することを含み、前記保持物出口から流体出力を収集することが、約95%よりも高い生存度の有核細胞を収集することを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項53】
前記サンプルにミクロ流体フローチャンバを通過させることが、1秒あたり10,000,000よりも多い血球を前記濾過装置に通すことを含む、請求項48に記載の方法。
【請求項54】
粒子濾過装置であって、
共通のフィード入口と、
共通の濾過物出口と、
共通の保持物出口と、
複数の濾過ユニットを含む少なくとも1つの高モジュール密度装置であり、前記濾過ユニットのそれぞれが、
フィード流体中のフィード粒子を含むフィードを受け入れるように構成された少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの保持物出口を含む第1のフローチャンバと、
近位端及び少なくとも1つの濾過物出口を有する遠位端を含む第2のフローチャンバと、
前記第1のフローチャンバと前記第2のフローチャンバとの間に位置決めされた第1のフィルタであり、
柱の第1の列と、
前記柱の列の隣接する柱の間の間隔によって画定される複数の孔と、
を含み、前記複数の孔のうちの各孔が、前記孔を画定する前記隣接する柱の間の距離によって画定される物理的孔径を含む、第1のフィルタと、
複数の濾過ユニットを通してフィードを移動させるための手段と、
を含む、少なくとも1つの高モジュール密度装置と、
を備え、
前記第1のフローチャンバ、前記第2のフローチャンバ、前記フィルタ、及び前記複数の濾過ユニットを通してフィードを移動させるための手段が、前記孔の有効孔径よりも小さい保持サイズを有し、
前記保持サイズよりも大きいサイズを有するフィード粒子の大きいフラクションを前記第1のフローチャンバの中に保持物として保持し、前記フィード流体の大きいフラクションを前記第2のフローチャンバの中に濾過物として渡すように構成され、
前記複数の濾過ユニットの前記少なくとも1つの入口のそれぞれが共通のフィード入口と流体連通し、
前記複数の濾過ユニットの前記少なくとも1つの濾過物出口のそれぞれが共通の濾過物出口と流体連通し、
前記複数の濾過ユニットの前記少なくとも1つの保持物出口のそれぞれが共通の保持物出口と流体連通する、
装置。
【請求項55】
管と、
管キャップと、
管インサートと、
をさらに備え、
前記高モジュール密度装置が前記管インサート内に設置されるように構成され、
前記管が前記管インサートを格納するように構成され、
前記管インサートが共通のフィード入口と流体接続されるフィードリザーバを含み、
前記管キャップが前記管及び前記管インサートを覆うように構成される、
請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項56】
前記管が、前記高モジュール密度装置からの保持物を受け入れるように構成され、前記管インサートが、前記高モジュール密度装置からの濾過物を受け入れるように構成された濾過物リザーバをさらに含む、請求項55に記載の粒子濾過装置。
【請求項57】
前記管が、前記高モジュール密度装置からの濾過物を受け入れるように構成され、前記管インサートが、前記高モジュール密度装置からの保持物を受け入れるように構成された保持物リザーバをさらに含む、請求項55に記載の粒子濾過装置。
【請求項58】
前記管インサートが、少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口にキャリア流体を供給するように構成されたキャリア流体リザーバをさらに含む、請求項55に記載の粒子濾過装置。
【請求項59】
共通の保持物出口と流体接続される保持物収集バッグと、
共通の濾過物出口と流体接続される濾過物収集バッグと、
をさらに備える、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項60】
少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口と流体接続される共通のキャリア流体入口をさらに備える、請求項59に記載の粒子濾過装置。
【請求項61】
キャリア流体を前記共通のキャリア流体入口に供給するように構成されたキャリア流体容器をさらに備える、請求項60に記載の粒子濾過装置。
【請求項62】
フィード収集バッグと前記共通のフィード入口との間の流体的接続を確立するように構成されたアダプタをさらに備える、請求項59に記載の粒子濾過装置。
【請求項63】
前記共通のフィード入口と流体接続されるフィード収集バッグをさらに備える、請求項59に記載の粒子濾過装置。
【請求項64】
前記フィード収集バッグが、フィードを前記フィード収集バッグの中に引き込むように構成された少なくとも1つの針を備える、請求項63に記載の粒子濾過装置。
【請求項65】
前記フィード収集バッグが抗凝固薬を収容する、請求項63に記載の粒子濾過装置。
【請求項66】
前記フィード収集バッグが流体を収容する、請求項63に記載の粒子濾過装置。
【請求項67】
前記共通のフィード入口と流体連通し、流体リザーバとして構成される、第1のウェルと、
前記共通の保持物入口と流体連通し、流体リザーバとして構成される、第2のウェルと、
前記共通の濾過物入口と流体連通し、流体リザーバとして構成される、第3のウェルと、
をさらに備える、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項68】
前記第1のウェル、前記第2のウェル、及び前記第3のウェルがマルチウェルプレート・形式で構成される、請求項67に記載の粒子濾過装置。
【請求項69】
少なくとも1つの第1のフローチャンバの入口と流体連通し、前記少なくとも1つの第1のフローチャンバにキャリア流体を供給するように構成される、第4のウェルをさらに備える、請求項67に記載の粒子濾過装置。
【請求項70】
第1のウェル、第2のウェル、及び第3のウェルのうちの少なくとも1つを封じるように構成されたキャップをさらに備える、請求項67に記載の粒子濾過装置。
【請求項71】
前記キャップが、空気及び蒸気を実質的に透過させず、前記第1のウェル、前記第2のウェル、及び前記第3のウェルのうちの少なくとも1つを封止するように構成されたホイルを備える、請求項70に記載の粒子濾過装置。
【請求項72】
前記第1のウェル、前記第2のウェル、及び前記第3のウェルのうちの少なくとも1つが流体を収容する、請求項70に記載の粒子濾過装置。
【請求項73】
前記複数の濾過ユニットのうちの各濾過ユニットが、1マイクロリットルよりも小さい滞留体積を有する、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項74】
前記高モジュール密度装置が、1立法センチメートルあたり500濾過ユニットよりも大きい濾過ユニット密度を有する、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項75】
前記高モジュール密度装置が30個よりも多い濾過ユニットを含む、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【請求項76】
前記高モジュール密度装置が約0.5mm−2よりも大きい設計効率指数を有する、請求項54に記載の粒子濾過装置。
【図1A】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図23D】
【図23E】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図24F】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図26C】
【図26D】
【図26E】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図30D】
【図30E】
【図30F】
【図30G】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【図33】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図34D】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【図1B】
【図1C】
【図1D】
【図1E】
【図1F】
【図1G】
【図2A】
【図2B】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図5C】
【図5D】
【図5E】
【図5F】
【図6A】
【図6B】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図7D】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図9D】
【図9E】
【図9F】
【図9G】
【図9H】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11A】
【図11B】
【図11C】
【図11D】
【図12】
【図13】
【図14A】
【図14B】
【図15A】
【図15B】
【図16A】
【図16B】
【図17A】
【図17B】
【図17C】
【図17D】
【図18A】
【図18B】
【図18C】
【図18D】
【図19A】
【図19B】
【図20A】
【図20B】
【図20C】
【図21A】
【図21B】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図23D】
【図23E】
【図24A】
【図24B】
【図24C】
【図24D】
【図24E】
【図24F】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図26C】
【図26D】
【図26E】
【図27A】
【図27B】
【図27C】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30A】
【図30B】
【図30C】
【図30D】
【図30E】
【図30F】
【図30G】
【図31A】
【図31B】
【図31C】
【図32A】
【図32B】
【図32C】
【図32D】
【図33】
【図34A】
【図34B】
【図34C】
【図34D】
【図35A】
【図35B】
【図35C】
【公表番号】特表2013−515599(P2013−515599A)
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−546205(P2012−546205)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061866
【国際公開番号】WO2011/079217
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(512165086)サイトベラ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/061866
【国際公開番号】WO2011/079217
【国際公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(512165086)サイトベラ, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]