説明

粒子供給装置および吸収性物品用シート部材製造装置

【課題】粒子供給装置において、凹部に充填される粒子の密度を増大させる。
【解決手段】吸収シート製造装置は、周方向に配列された複数の凹部212を有する略円筒状のシリンダ部21、シリンダ部21の上方にて高吸収性樹脂の粒子を収容するとともに下端の粒子充填口232を介してシリンダ部21の複数の凹部212に粒子を充填する粒子充填部23、および、粒子充填口232に隣接して配置される連通部26を備える。連通部26は、粒子充填口232の後縁にて粒子充填口232に対向する凹部212aと外部空間とを連通させる。これにより、粒子充填部23から凹部212aに対する粒子の充填が行われる際に、凹部212a内のエアが、凹部212aに流入する粒子に押し出され、連通部26を介して外部空間へと容易に排出される。その結果、凹部212aに充填される粒子の密度を増大させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート部材上に吸収材料または消臭材料の粒子を供給する粒子供給装置、および、当該粒子供給装置を備える吸収性物品用シート部材製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつの内側に取り付けられて使用される軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品では、2枚の不織布等のシート部材の間に、高吸収性樹脂の粒子を挟んで固定した吸収シートが利用されている。
【0003】
特許文献1は、使い捨て吸収性物品に用いられるシート状吸水体の製造装置等に関するものである。当該製造装置では、周方向に断続的に配列された複数の凹溝が外側面に形成された仮受けロール、仮受けロールの下方において基材シートを保持して搬送する受け渡しロール、仮受けロールの上方に配置されて上記複数の凹溝に高吸水性樹脂粒子を供給するボックス、および、当該ボックスから受け渡しロールに至るまでの間の仮受けロールの外側面に対向して複数の凹溝に供給された高吸水性樹脂粒子を保持するための円弧状ガイド部材が設けられる。仮受けロールの複数の凹溝に保持された高吸水性樹脂粒子は、仮受けロールの回転により下方に移動し、ホットメルト接着剤が塗布された基材シート上に供給される。そして、基材シート上の高吸水性樹脂粒子を挟んで被覆シートが基材シートに接合されることにより、シート状吸水体が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−59579号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の装置では、ボックスから複数の凹溝に高吸水性樹脂粒子が供給される際に、凹溝内に存在するエアの影響により、凹溝内への粒子の充填密度を増大させることが容易ではない。特に、複数の凹溝を有する仮受けロールが高速にて回転する場合、凹溝内への粒子の充填時間が短くなってしまうため、凹溝内の粒子の密度増大は、より困難となる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、凹部に充填される粒子の密度を増大させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、シート部材上に吸収材料または消臭材料の粒子を供給する粒子供給装置であって、水平方向を向く回転軸を中心として回転する略円筒状であり、外側面において周方向に配列された複数の凹部を有するシリンダ部と、前記シリンダ部の上方にて吸収材料または消臭材料の粒子を収容し、前記シリンダ部の前記外側面に対向する粒子充填口にて、前記複数の凹部に粒子を順次充填する粒子充填部と、前記粒子充填口から前記シリンダ部の回転方向へと広がって前記シリンダ部の前記外側面の一部を覆う第1カバー部と、前記粒子充填口から前記回転方向とは反対方向へと広がって前記シリンダ部の前記外側面の他の一部を覆う第2カバー部と、前記粒子充填口の前記回転方向の後側に隣接して配置され、前記複数の凹部のうち前記粒子充填口の後縁にて前記粒子充填口に対向する凹部と外部空間とを連通させる連通部と、前記第1カバー部の前記回転方向の前側のエッジの下方にて、シート部材を前記シリンダ部の前記外側面の移動方向と同方向に搬送するシート搬送部とを備える。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の粒子供給装置であって、前記粒子充填口が、前記シリンダ部の最上部を含む部位に対向する。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の粒子供給装置であって、前記連通部の前記シリンダ部に対向する一方の端部が、前記連通部の他方の端部よりも下側に位置する。
【0010】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の粒子供給装置であって、前記連通部内の連通路が、少なくとも2ヶ所で屈曲する。
【0011】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の粒子供給装置であって、前記連通部内の気体を吸引する吸引部をさらに備える。
【0012】
請求項6に記載の発明は、吸収性物品用シート部材製造装置であって、請求項1ないし5のいずれかに記載の粒子供給装置と、他のシート部材を搬送するもう1つのシート搬送部と、前記粒子供給装置により粒子が供給された前記シート部材上に前記他のシート部材を重ねて接合するシート接合部とを備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明では、凹部に充填される粒子の密度を増大させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】第1の実施の形態に係る吸収シート製造装置を示す図である。
【図2】シリンダ部近傍の断面図である。
【図3】シリンダ部の正面図である。
【図4】連通部形成部材を示す図である。
【図5】連通部形成部材を示す図である。
【図6】第1シート搬送ローラの断面図である。
【図7】第2シート搬送ローラの断面図である。
【図8】シリンダ部近傍を示す図である。
【図9】接合ローラの断面図である。
【図10】吸収シートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る吸収シート製造装置1を示す図である。吸収シート製造装置1は、吸収性物品用シート部材製造装置の1つであり、高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))等の高吸収性樹脂の粒子を不織布等のシート部材に挟んで吸収シートを製造する。吸収シートは、使い捨ておむつや軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品に利用される吸収性物品用シート部材である。
【0016】
吸収シート製造装置1は、水平方向を向く回転軸R1を中心とする略円筒状の部材であるシリンダ部21、回転軸R1が向く方向(以下、「軸方向」という。)に平行な第1中心軸J1を中心とする略円柱状の第1シート搬送ローラ31、軸方向に平行な第2中心軸J2を中心とする略円柱状の第2シート搬送ローラ41、および、軸方向に平行な第3中心軸J3を中心とする略円柱状の接合ローラ51を備える。第1中心軸J1は、回転軸R1の鉛直下方に位置する。吸収シート製造装置1は、また、軸方向に平行な中心軸を中心とする略円柱状の複数の補助ローラ32,42、並びに、接着剤(本実施の形態では、ホットメルト接着剤)を塗布する第1塗布部61および第2塗布部62を備える。
【0017】
シリンダ部21、第2シート搬送ローラ41、接合ローラ51および補助ローラ42は、図1中における反時計回りに回転し、第1シート搬送ローラ31および補助ローラ32は、図1中における時計回りに回転する。第1シート搬送ローラ31は、不織布等にて形成される連続シートである第1シート部材91を、シリンダ部21の最下部近傍へと搬送するシート搬送部である。第1塗布部61は、複数の補助ローラ32の上方に配置され、第1シート部材91上に接着剤を塗布する。
【0018】
第2シート搬送ローラ41は、不織布等にて形成される連続シートである第2シート部材92を、シリンダ部21の最下部近傍へと搬送するシート搬送部である。第2塗布部62は、複数の補助ローラ42の上方に配置され、第2シート部材92上に接着剤を塗布する。シリンダ部21は、その最下部近傍において、第1シート部材91上に高吸収性樹脂の粒子(以下、単に「粒子」という。)を供給する。接合ローラ51は、第1シート搬送ローラ31の側方に設けられ、第1シート搬送ローラ31との間に第1シート部材91と第2シート部材92とを重ねて挟むことにより、両シート部材を接合するシート接合部である。
【0019】
シリンダ部21の上方には、粒子充填部23が設けられる。粒子充填部23は、シリンダ部21の上方にて高吸収性樹脂の粒子を収容する粒子タンク231、および、粒子タンク231に設けられるレベルセンサ233を備える。レベルセンサ233により、粒子タンク231内の粒子が一定量以下となったことが検出されると、粒子タンク231に粒子が補充される。粒子タンク231は重力方向に略平行に延びており、粒子タンク231の下端には、シリンダ部21の外側面211に対向する粒子充填口232が設けられる。粒子充填口232は、シリンダ部21の最上部を含む部位に対向する。
【0020】
シリンダ部21の周囲には、シリンダ部21の外側面211の一部を覆う第1カバー部221、および、外側面211の他の一部を覆う第2カバー部222が設けられる。第1カバー部221は、粒子充填口232からシリンダ部21の回転方向へと(すなわち、図1中における反時計回りに)広がって、シリンダ部21の最下部近傍まで設けられ、シリンダ部21の左側において外側面211を覆う。第2カバー部222は、粒子充填口232からシリンダ部21の回転方向とは反対方向へと(すなわち、回転方向の後側であり、図1中における時計回りに)広がって、シリンダ部21の右端部近傍まで設けられ、シリンダ部21の右側において外側面211を覆う。
【0021】
シリンダ部21の外側面211のうち、第1カバー部221の下端と第2カバー部222の下端との間の領域、すなわち、シリンダ部21の下側において第1カバー部221および第2カバー部222から露出している領域は、後述する粒子供給領域210である。第1カバー部221は粒子供給領域210から時計回りに広がり、第2カバー部222は粒子供給領域210から反時計回りに広がる。
【0022】
図2は、シリンダ部21近傍を拡大して示す断面図である。図2では、回転軸R1に垂直な断面を示す。図3は、シリンダ部21の外側面211を示す図であり、回転軸R1に垂直な方向に沿ってシリンダ部21の外側面211を見た様子を示している。図2では、粒子に密な平行斜線を付す。また、図3では、第1カバー部221および第2カバー部222の図示を省略している。
【0023】
図2および図3に示すように、シリンダ部21の外側面211上には、軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、複数の凹部212が、回転軸R1を中心とする周方向に互いに近接して配列される。軸方向の同じ位置にて周方向に並ぶ複数の凹部212を凹部列213と呼ぶと、シリンダ部21では、図3に示すように3個の凹部列213が設けられる。本実施の形態では、各凹部212を回転軸R1に垂直な方向から見た形状は略矩形であり、回転軸R1に垂直な断面における各凹部212の底面の形状は、図2に示すように略円弧状である。凹部212は様々な形状であってよく、例えば、回転軸R1に垂直な断面における各凹部212の形状が略矩形であってもよい。シリンダ外側面211上には、1個、2個または4個以上の供給凹部列213が設けられてもよい。
【0024】
シリンダ部21の外側面211は、凹部212が存在しない領域において、第1カバー部221の内側面および第2カバー部222の内側面に非常に近接しており、実質的に接している。
【0025】
吸収シート製造装置1では、シリンダ部21が回転軸R1を中心として高速に回転し、粒子充填口232を通過する複数の凹部212に対し、粒子充填部23の粒子タンク231から重力により粒子が順次充填される。粒子充填口232の図2中における右側(すなわち、シリンダ部21の回転方向の後側)には、粒子充填口232に隣接して配置される連通部26が設けられる。連通部26は、シリンダ部21の複数の凹部212のうち、粒子充填口232の後縁(すなわち、シリンダ部21の回転方向の後側の端縁)にて粒子充填口232に対向する凹部212a(他の凹部212と区別するために、符号212aを付す。)と外部空間とを連通させる。図2では、図の理解を容易にするために、後述する図4中のA−Aの位置における連通部26の断面を描いている。
【0026】
図4は、連通部26を形成する板状の連通部形成部材269を示す図であり、連通部形成部材269を、図2中における粒子タンク231の右側から見た図である。図4では、シリンダ部21の上部を併せて描いている。連通部形成部材269の両側の主面には複数の溝が形成されており、図2に示すように、連通部形成部材269が粒子タンク231の右側の内側面に固定され、連通部形成部材269の左側の主面が他の板部材により覆われることにより、これらの溝が連通部26の連通路260となる。
【0027】
連通部26のシリンダ部21に対向する一方の端部である第1端部261は、連通部26の外部空間側に位置する他方の端部である第2端部262よりも下側に位置する。本実施の形態では、第1端部261は、第2端部262のおよそ鉛直下方に位置する。第2端部262には、連通部26内の気体を吸引する吸引部264が、配管263を介して接続される。吸引部264は、吸引圧を調整するレギュレータを備え、微弱な吸引を行う。
【0028】
図4に示すように、連通部26の第1端部261には、4つの連通部開口266が設けられる。複数の連通部開口266は、シリンダ部21の軸方向(すなわち、図4中の左右方向)において、3個の凹部列213が配列される範囲のおよそ全幅に亘って設けられる。
【0029】
連通部26内の連通路260は、各連通部開口266から上側へと延びる4つの第1流路260a、それぞれが軸方向に延びて2つの第1流路260aの上端部を接続する2つの第2流路260b、2つの第2流路260bの中央部から上側へと延びる2つの第3流路260c、2つの第3流路260cの上端部を接続する第4流路260d、および、第4流路260dの中央部を外部空間と接続する第5流路260eを備える。第1流路260aおよび第4流路260dは、連通部形成部材269の一方の主面(図4中における手前側の主面)に形成され、第2流路260bおよび第3流路260cは、連通部形成部材269の他方の主面(すなわち、第1流路260aおよび第4流路260dよりも図4中の奥側)に形成される。第1流路260aは、連通部開口266から上側に向かうに従って、軸方向に平行な通路幅が漸次縮小する。
【0030】
連通路260は、連通部開口266から上側へと延び、第1流路260aの上端部にて屈曲して図4中の奥側(すなわち、連通部形成部材269の厚さ方向)へと延び、さらに屈曲して軸方向に平行に延びる。続いて、第2流路260bの中央部にて屈曲して上側へと延び、第3流路260cの上端部にて屈曲して図4中の手前側へと延び、さらに屈曲して軸方向に平行に延びる。そして、第4流路260dの中央部にて屈曲して図4中の手前側へと延び(すなわち、第5流路260eとなり)、外部空間へと連通する。このように、連通路260は多数の箇所にて屈曲する。
【0031】
なお、連通部形成部材269では、図5に示すように、図4中の4つの連通部開口266および4つの第1流路260aに対応する位置に、1つの連通部開口266aおよび1つの第1流路260aが設けられてもよい。この場合、第1流路260aの上端部に、2つの第2流路260bが接続される。
【0032】
図2に示すように、第1端部261では、連通路260に面する端部側面265が、図2中の左下に向かって延びる傾斜面となっている。吸収シート製造装置1では、シリンダ部21の回転が停止された際等に、連通路260内に少量の粒子が流入し、シリンダ部21の回転が再開された際に、当該粒子により連通部26の第1端部261が押圧されることがある。連通部26では、上述のように、端部側面265が、シリンダ部21に近づくに従ってシリンダ部21の回転方向の前側に向かう傾斜面であることにより、連通路260内に流入した粒子は、シリンダ部21の回転再開時に、端部側面265に沿って容易に下方へと移動し、連通路260から流出する。したがって、連通路260内の粒子により端部側面265が強く押圧されることが防止される。
【0033】
吸収シート製造装置1では、粒子が充填された凹部212が、シリンダ部21の下部に設けられた粒子供給領域210に到達するまでの間、当該凹部212の外側が、第1カバー部221により塞がれる(すなわち、凹部212が外側面211側から覆われる)。そして、各凹部212が、シリンダ部21の最下部近傍における第1カバー部221のエッジ、すなわち、シリンダ部21の回転方向における第1カバー部221の前側のエッジを越えて粒子供給領域210を通過する際に、凹部212に充填された粒子がシリンダ部21の外側へと吐出される。
【0034】
具体的には、粒子の吐出は、凹部212が第1カバー部221の上記エッジを越えた瞬間に開始される。以下の説明では、上記エッジの位置を「吐出開始位置A1」という。吐出開始位置A1は、シリンダ部21の最下部よりもシリンダ部21の回転方向の後側(上流側)にて、シリンダ部21の最下部近傍に位置する。既述のように、シリンダ部21は高速に回転しており、複数の凹部212のそれぞれから、吐出開始位置A1における外側面211の接線におよそ沿って粒子が吐出される。粒子が吐出された後の各凹部212は、粒子供給領域210を通過し、第2カバー部222により外側を塞がれた状態でシリンダ部21の上部へと移動して粒子充填部23の粒子充填口232へと向かう。
【0035】
図6は、第1シート搬送ローラ31の断面図であり、図1中のシリンダ部21の回転軸R1および第1シート搬送ローラ31の第1中心軸J1を含む面にて切断した断面を示す。第1シート搬送ローラ31は、第1中心軸J1を中心とする略円筒面である外側面311を有し、外側面311上には軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、第1中心軸J1を中心とする周方向に沿う環状溝312が形成される。複数の環状溝312は、シリンダ部21における複数の凹部列213(図3参照)と軸方向に関して同じ位置に配置される。
【0036】
第1シート部材91は、複数の補助ローラ32(図1参照)を介して第1シート搬送ローラ31へと導かれる。このとき、第1塗布部61により、第1シート部材91のうち複数の環状溝312と重なる複数の帯状領域(または線状領域)に接着剤が塗布される。当該複数の帯状領域(以下、「接着剤塗布領域」という。)は、シリンダ部21の複数の凹部列213および複数の環状溝312と軸方向に関して同位置となる。第1シート部材91は、第1シート搬送ローラ31により、粒子供給領域210の吐出開始位置A1(図2参照)の下方にて、シリンダ部21の外側面211の移動方向と同方向(すなわち、図1中における右向き)に搬送される。そして、シリンダ部21から、第1シート部材91の複数の接着剤塗布領域に向けて粒子が吐出され、第1シート部材91上に保持される。
【0037】
第1シート搬送ローラ31では、外側面311の直径が比較的大きく、かつ、第1シート部材91が一定の張力にて外側面311に沿って引っ張られることにより、第1シート部材91において環状溝312に対応する部位911が、環状溝312の底部に向かって窪んだ形状となる。換言すると、第1シート部材91において環状溝312に対応する溝部911が形成される。上述のように、第1シート搬送ローラ31の環状溝312は、軸方向に関して複数の凹部列213と同位置であるため、各凹部212から吐出される多くの粒子が溝部911へと向かい、溝部911内に収容される。このとき、粒子が溝部911内にて跳ねたとしても、溝部911の側壁により粒子が溝部911外へと散乱することが抑制される。また、第1シート部材91では、溝部911に上述の接着剤塗布領域が位置しているため、粒子が溝部911内にて捕捉されやすくなる。
【0038】
図7は、第2シート搬送ローラ41の断面図であり、図1中の第2シート搬送ローラ41の第2中心軸J2を含む面にて切断した断面を示す。第2シート搬送ローラ41は、第2中心軸J2を中心とする略円筒面である外側面411を有し、外側面411上には軸方向の複数の位置のそれぞれにおいて、第2中心軸J2を中心とする周方向に沿う環状溝412が形成される。複数の環状溝412は、シリンダ部21における複数の凹部列213、および、第1シート搬送ローラ31における複数の環状溝312と軸方向に関して同じ位置に配置される。
【0039】
第2シート部材92は、複数の補助ローラ42(図1参照)を介して第2シート搬送ローラ41へと導かれる。このとき、第2塗布部62により、第2シート部材92のうち複数の環状溝412と重なる複数の帯状(または線状)の接着剤塗布領域に接着剤が塗布される。接着剤塗布領域は、シリンダ部21の複数の凹部列213、および、第1シート搬送ローラ31における複数の環状溝312と軸方向に関して同位置となる。シリンダ部21の各凹部212から吐出される粒子の一部は、第1シート部材91の溝部911(図6参照)内にて跳ねて第2シート搬送ローラ41へと向かい、他の一部の粒子は、シリンダ部21の凹部212から直接第2シート搬送ローラ41へと向かう。
【0040】
上述のように、第2シート搬送ローラ41の複数の環状溝412は、軸方向に関して複数の凹部列213および複数の環状溝312と同位置であるため、第2シート搬送ローラ41へと向かう粒子は、第2シート部材92の環状溝412上の部位(すなわち、裏面が何れの部材にも当接していない部位)に衝突して衝撃が吸収され、第1シート部材91の溝部911内に収容される。第2シート部材92は、図8に示すように、第2シート搬送ローラ41の外側面411に沿って搬送され、シリンダ部21の最下部の下方を通過した第1シート部材91上に第2シート部材92が重ねられる。
【0041】
図9は、接合ローラ51の断面図であり、図1中の接合ローラ51の第3中心軸J3を含む面にて切断した断面を示す。接合ローラ51は、第3中心軸J3を中心とする円筒面である外側面511を有し、外側面511は平坦な面である。図8に示すように、粒子が供給された第1シート部材91、および、第1シート部材91上に重ねられた第2シート部材92は、第1シート搬送ローラ31の外側面311と、接合ローラ51の外側面511との間に挟まれる。第1シート搬送ローラ31および接合ローラ51の双方(一方のみであってもよい。)にはヒータが設けられており、第1シート部材91および第2シート部材92では、第1シート搬送ローラ31の外側面311における環状溝312(図6参照)の両側の凸部と当接する領域が熱融着して、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合される。
【0042】
これにより、図10に示すように、それぞれに高吸収性樹脂の粒子が散布された帯状(または線状)の複数の粒子存在領域951と、第1シート部材91と第2シート部材92とが接合されるとともに実質的に粒子が存在しない帯状(または線状)の複数の粒子非存在領域952とが幅方向に交互に配列される吸収シート95が形成される。換言すれば、吸収シート95では、複数の粒子存在領域951がストライプ状に設けられる。図10では、粒子存在領域951に平行斜線を付す。
【0043】
以上に説明したように、吸収シート製造装置1では、連通部26が、粒子充填口232の回転方向の後側に隣接して配置され、シリンダ部21の複数の凹部212のうち粒子充填口232の後縁にて粒子充填口232に対向する凹部212aを、外部空間と連通させる。これにより、粒子充填部23から凹部212aに対する粒子の充填が行われる際に、凹部212a内のエアが、凹部212aに流入する粒子に押し出され、連通部26を介して外部空間へと容易に排出される。その結果、凹部212aに充填される粒子の密度を増大させることができる。また、吸引部264により連通部26内の気体を吸引することにより、凹部212a内のエアがさらに効率的に排出されるため、凹部212aに充填される粒子の密度をさらに増大させることができる。
【0044】
吸収シート製造装置1では、粒子充填部23の粒子充填口232は、シリンダ部21の最上部を含む部位に対向し、シリンダ部21の最上部近傍においては、凹部212の開口が重力方向におよそ垂直となる。このため、重力による粒子の凹部212への充填が促進され、凹部212に充填される粒子の密度をより増大させることができる。また、粒子タンク231が重力方向に略平行に延びているため、凹部212内の粒子に加わる粒子タンク231内の粒子の自重が、粒子充填口232の後縁から前縁に亘って(すなわち、回転軸R1を中心とする周方向の全長に亘って)およそ一定となる。その結果、凹部212に対する粒子の充填が安定して行われる。
【0045】
上述のように、連通部26では、シリンダ部21に対向する第1端部261が、外部空間側の第2端部262よりも下側に設けられる。これにより、凹部212aに充填された粒子が、連通部26を通過して外部空間へと放出されてしまうことが抑制される。また、第1端部261が、第2端部262のおよそ鉛直下方に位置するため、粒子が連通部26から外部空間へと放出されることを、より抑制することができる。さらに、連通部26内の連通路260が、多数の箇所にて屈曲することにより、粒子が連通部26を通過して外部空間へと放出されることを、より一層抑制することができる。連通路260は、様々な位置にて様々な方向に屈曲してよいが、粒子の外部空間への放出を抑制するという観点からは、連通路260は、少なくとも2ヶ所で屈曲することが好ましい。
【0046】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0047】
例えば、上記実施の形態では、連通部26が、シリンダ部21の軸方向において、3個の凹部列213が配列される範囲のおよそ全幅に亘って設けられるが、3個の凹部列213に対応する3個の連通部26が互いに独立して設けられてもよい。この場合、3個の連通部26は個別に吸引部264に接続されてもよく、3個の連通部26の第2端部262が共通配管に接続され、当該共通配管を介して吸引部264による吸引が行われてもよい。なお、粒子が十分に高密度にて凹部212に充填される場合、吸引部264による吸引は行われなくてもよい。
【0048】
連通部26の第1端部261は、必ずしも第2端部262の鉛直下方に位置する必要はなく、粒子が連通部26を通過して外部空間へと放出されることが防止、または、十分に抑制されるのであれば、例えば、第2端部262が、第1端部261と同じ高さ、あるいは、第1端部261よりも下方に位置してもよい。
【0049】
粒子が十分に高密度にて凹部212に充填される場合、粒子充填口232は、必ずしもシリンダ部21の最上部を含む部位に対向する必要はなく、当該最上部よりもシリンダ部21の回転方向の前側または後側に対向するように配置されてもよい。
【0050】
上記実施の形態では、粒子存在領域951がストライプ状に設けられる吸収シート95の製造について説明したが、シリンダ部21の回転速度を小さくすることにより、あるいは、シリンダ部21における複数の凹部212の周方向の間隔を大きくすることにより、ドット状の粒子存在領域を有する吸収シートが形成されてもよい。
【0051】
上述のシリンダ部21、第1シート搬送ローラ31、第1カバー部221、第2カバー部222、粒子充填部23および連通部26は、シート部材上に高吸収性樹脂の粒子を供給する粒子供給装置として、吸収シート製造装置以外の様々な装置に組み込まれてもよい。例えば、上面にパルプ繊維等が供給されたシート部材が第1シート搬送ローラ31により搬送され、シリンダ部21により、当該パルプ繊維上から高吸収性樹脂の粒子が供給されてもよい。この場合、各凹部212に高密度に充填された粒子をパルプ繊維に混入することができる。
【0052】
上記粒子供給装置では、ポリアクリル酸部分中和物架橋体、澱粉−アクリル酸グラフト重合体の加水分解物、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体ケン化物、アクリロニトリル共重合体若しくはアクリルアミド共重合体の加水分解物またはこれらの架橋体、カチオン性モノマーの架橋体、または、ポリアミノ酸の架橋体等の吸収材料の粒子が供給される。また、粒子供給装置は、活性炭、シリカ、アルミナ、ゼオライト、イオン交換樹脂、モレキュラーシーブ等の消臭材料の粒子をシート部材上に供給する装置として利用されてもよい。この場合、当該粒子供給装置を備える吸収性物品用シート部材製造装置では、使い捨ておむつや軽失禁用の吸収パッド等の吸収性物品に利用される吸収性物品用シート部材である消臭シートが製造される。
【0053】
上記実施の形態および各変形例における構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わされてよい。
【符号の説明】
【0054】
1 吸収シート製造装置
21 シリンダ部
23 粒子充填部
26 連通部
31 第1シート搬送ローラ
41 第2シート搬送ローラ
51 接合ローラ
91 第1シート部材
92 第2シート部材
95 吸収シート
211 外側面
212,212a 凹部
221 第1カバー部
222 第2カバー部
232 粒子充填口
260 連通路
261 第1端部
262 第2端部
264 吸引部
R1 回転軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シート部材上に吸収材料または消臭材料の粒子を供給する粒子供給装置であって、
水平方向を向く回転軸を中心として回転する略円筒状であり、外側面において周方向に配列された複数の凹部を有するシリンダ部と、
前記シリンダ部の上方にて吸収材料または消臭材料の粒子を収容し、前記シリンダ部の前記外側面に対向する粒子充填口にて、前記複数の凹部に粒子を順次充填する粒子充填部と、
前記粒子充填口から前記シリンダ部の回転方向へと広がって前記シリンダ部の前記外側面の一部を覆う第1カバー部と、
前記粒子充填口から前記回転方向とは反対方向へと広がって前記シリンダ部の前記外側面の他の一部を覆う第2カバー部と、
前記粒子充填口の前記回転方向の後側に隣接して配置され、前記複数の凹部のうち前記粒子充填口の後縁にて前記粒子充填口に対向する凹部と外部空間とを連通させる連通部と、
前記第1カバー部の前記回転方向の前側のエッジの下方にて、シート部材を前記シリンダ部の前記外側面の移動方向と同方向に搬送するシート搬送部と、
を備えることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載の粒子供給装置であって、
前記粒子充填口が、前記シリンダ部の最上部を含む部位に対向することを特徴とする粒子供給装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の粒子供給装置であって、
前記連通部の前記シリンダ部に対向する一方の端部が、前記連通部の他方の端部よりも下側に位置することを特徴とする粒子供給装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の粒子供給装置であって、
前記連通部内の連通路が、少なくとも2ヶ所で屈曲することを特徴とする粒子供給装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の粒子供給装置であって、
前記連通部内の気体を吸引する吸引部をさらに備えることを特徴とする粒子供給装置。
【請求項6】
吸収性物品用シート部材製造装置であって、
請求項1ないし5のいずれかに記載の粒子供給装置と、
他のシート部材を搬送するもう1つのシート搬送部と、
前記粒子供給装置により粒子が供給された前記シート部材上に前記他のシート部材を重ねて接合するシート接合部と、
を備えることを特徴とする吸収性物品用シート部材製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−17564(P2013−17564A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−151579(P2011−151579)
【出願日】平成23年7月8日(2011.7.8)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】