説明

粒子充填粘性媒体の液滴を噴出する装置

【課題】装置から噴出される一連の連続したはんだペーストの液滴の予期せぬ妨害および偶発的な遮断の問題の解決策を提供する。
【解決手段】粒子充填粘性媒体を噴出する装置は、ノズルと、ノズルに連結された噴出機構と、噴出機構に連結された媒体供給機構と、媒体供給機構に連結された粒子充填粘性媒体容器と、粒子充填粘性媒体容器の出口と媒体供給機構との間に配置されたフィルタとを有する。粒子充填粘性媒体は粒子充填粘性媒体容器から媒体供給機構に供給され、媒体供給機構は、回転可能な供給軸を備えていて、供給軸によって粒子充填粘性媒体を噴出機構へ供給するようになっており、噴出機構は、往復移動可能な噴出軸を備えていて、噴出軸によって前記ノズルを通して粒子充填粘性媒体の液滴を噴出するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明ははんだペーストのような粒子充填粘性媒体の液滴を噴出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年開発された、噴出と呼ばれる非接触式粘性媒体分配技術では、中心的問題点は所定の大きさの液滴を所定のペースで如何に発生させるかである。多くの点において、この技術は他の利用可能な分配技術より優れている。しかしながら、初期段階では、はんだペーストのようなかなりの量の粒子を含有する粘性媒体を噴出する場合、遭遇する問題は、装置から噴出される一連の連続したはんだペーストの液滴の予期せぬ妨害および偶発的な遮断であった。
【0003】
はんだペーストが粘性溶剤に溶解されたはんだ粉末、すなわち、小さい金属粒子よりなる最も特別な種類の媒体であり、また噴出技術がかなり極端な種類の分配であるため、初期の時点では、噴出装置の機械的部品を改良することによって問題を解消することができるものと推定された。実際、幅狭の通路におけるはんだペーストの汚れのような幾つかの機械的原因が見出された。これらの欠陥は修正されたが、それでも時には同様な問題が生じる。従って、依然として、理由を見出すべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は上記妨害および遮断の問題の解決策を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は添付の請求項による装置によって達成される。
本発明の一面によれば、粒子充填粘性媒体の液滴を噴出するための装置であって、ノズルと、このノズルに連結された噴出機構と、この噴出機構に連結された媒体供給機構と、この媒体供給機構に連結された粒子充填粘性媒体容器と、この粒子充填粘性媒体容器の出口と媒体供給機構との間に配置されたフィルタとを備えている液滴を噴出するための装置が提供される。
【0006】
驚くべきことに、前記フィルタが装置から噴出された一連の液滴の妨害および一時的および永続的な遮断の問題を少なくとも実質的に減じることが分っている。このことは、はんだペースト中に不純物または或る種類の大きな粒子が存在することを示している。これは、この技術分野では、はんだペーストについてこの種の問題の指摘が従来なかったため、予期することができなかったことである。上記した種々の突発妨害および一時的または残存する遮断の問題の主たる理由が装置の幅狭い通路の詰まりを生じるはんだペースト中の汚染物であることが見出された。また、この装置は、はんだペーストに加えて、同様な粘性特性を有する他の粒子充填粘性媒体にも有用であることに留意すべきである。このような他の粒子充填粘性媒体は、例えば、導電性接着剤および抵抗ペーストである。しかしながら、説明を簡単にする理由で、以下、粒子充填粘性媒体をはんだペーストとして例示する。
【0007】
更に、本発明のこの一面によれば、フィルタは、粒子充填粘性媒体容器と、粒子充填粘性媒体を噴出機構に供給する機構との間に配置される。このフィルタの位置は、他の位置置では媒体供給機構の既存の幅狭の通路が詰まる可能性があるため、最も効果的な位置であることがわかった。
装置の有利な実施例によれば、フィルタは、好ましくは金属篩である篩を備えている。この篩は、流れ抵抗の望ましくない増大を生じずに、大きすぎる粒子が篩を通るのを防ぐような適切に寸法決めされたメッシュを備えることができる。
【0008】
装置の他の実施例によれば、フィルタは、容器の出口と媒体供給機構との間で延びるダクト内に配置されており、更にフィルタは連続した第1および第2のO−リングを備えている。これらのO−リングはダクトの内壁部に当接しており、篩は第1O−リングと第2O−リングとの間に位置決めされている。これらのO−リングは、篩を変形させる恐れなしに篩を適所に保持しながら、ダクトの壁部に対する良好なシールを行うので好適である。また、容器の出口の端部が第1O−リングに当接するようにフィルタが位置決めされれば、このO−リングは出口とダクトとの間のシールも行ってはんだペーストが出口とダクトの内壁部との間を通るのを防ぐ。
【0009】
本発明の装置の更に他の実施例によれば、この装置は粒子充填粘性媒体噴出機に解放可能に取付け可能に配置される。これを達成するためには、装置は更に、噴出機の台と係合する装置ホルダと、台の相補インターフェースに適合されるインタエーフェースとを備え、上記インターフェースは装置の作動を制御するための電気的および空気圧的要素を備える。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明による噴出装置の実施例の一部の概略横断面図である。
【図2】本発明によるフィルタの具体例を示す図1の一部の拡大図である。
【図3】本発明による他の実施例の噴出装置に設けられた、フィルタの他の具体例を示す概略横断面図である。
【図4】フィルタの更に他の具体例の概略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1には、本発明による装置の実施例の主な構造を開示している。この装置1は、はんだペーストが噴出される際に通るノズル3と、噴出機構5と、この噴出機構に連結されてはんだペーストを噴出機構に供給するための供給機構7と、はんだペースト容器9とを備えている。これら部品のすべては、種々の部品を取付けるために、およびはんだペーストを容器9からノズル4に案内するために必要な凹部、孔などを有する本体11に設けられている。ノズルへの途中ではんだペーストが辿る経路は、容器9の出口部分15を受止めている容器ホルダ13から供給機構7まで、より詳細には供給管17まで延びている入口ダクト12を備えており、供給管17は噴出機構5まで、より詳細には噴出室19まで延びている。
【0012】
容器ホルダ13は円筒形端部分14を有しており、この端部分14は雌ねじ部を有している。容器9の出口部分15は対応する円筒形出口端部分16を有しており、この出口端部分16は上記雌ねじ部と噛み合わされる雄ねじ部を有している。
供給機構は回転可能な供給軸21を備えており、この供給軸21は、この実施例では、供給ねじとして形成されていて、供給管17の内部に沿って延びている。噴出機構は往復移動可能な噴出軸23を備えており、この噴出軸の端部は噴出室19の壁部を構成している。また、噴出軸23は、噴出軸23の移動を引起すアクチュエータ25に連結されている。
【0013】
入口ダクト12には、フィルタ27が配置されている。この好適な実施例では、フィルタ27は入口ダクトのフィルタ保持部分29に設けられている。このフィルタ保持部分はフィルタ27により必然的に生じる流れ抵抗の望ましくない作用を減じるように幅広くなっている。フィルタは図2に最も良く示すように篩31およびO−リング33を備えている。フィルタ27の周方向縁部分35が本体11に形成された座部または棚部37により支持されている。座部37に当接する側と反対側の縁部分の側部にO−リングが配置されている。この実施例では、容器ホルダ13は本体11に設けられた個別の部品であり、この場合、容器ホルダ13はO−リング33と係合し、O−リング33を経て篩31を座部37の押付けることによってフィルタ27を適所に保つ。O−リング33は篩31の周縁部と入口ダクト12の内壁部との間の幅狭い通路のシールを行い、また容器ホルダ13の取付けと関連して変形されないように篩を保護している。
【0014】
噴出装置1を作動すると、はんだペーストが供給機構7により噴出室19へ供給され、次いで、アクチュエータ25が付勢され、それにより噴出軸23がノズル3に向けて急速に移動される。かくして、液滴がノズルからそのすぐ近傍に配置された表面に向けて噴出される。次いで、噴出軸23が静止位置へ戻され、この作動が繰返される。重力の影響により、或いは容器に加えられてはんだペーストを容器から押出す圧力の使用により供給機構にはんだペーストが供給される。いずれの場合にも、はんだペーストは、フィルタ27を通りながら、入口ダクトを通って供給機構まで導かれる。篩には、網目、すなわち、はんだペーストが通過する多数の孔が設けられている。孔の大きさははんだペーストの金属粒子より大きいが、はんだペーストの金属粒子よりかなり大きい粒子である扱い難い不純物が篩を通るのを防ぐのに十分に小さいように選択される。長い運転では、フィルタ27は噴出操作が乱される程度まで処理量が減少される程度に詰まってしまう。この場合、フィルタを交換しなければならない。しかしながら、この交換は、代表的には容器9の交換と関連して行われる簡単な操作である。かくして、フィルタ交換は噴出装置1の効果的な製造時間にさほど影響しない。
【0015】
しかしながら、装置の別な実施例では、この噴出装置は、上記部品のほかに、はんだペースト噴出機の台と係合する組立体ホルダと、台の相補インターフェースに適合されるインターフェースとを有する交換可能なカセットまたは組立体として構成されている。このインターフェースは組立体の作動を制御するための電気的および場合によっては空気圧的な要素を備えている。この実施例では、容器が空であるとき、或いは他の種類のはんだペーストを使用しようとするときに、組立体全体が交換されるだけである。換言すると、この実施例による噴出装置は噴出機に解放可能に取付け可能である。
【0016】
噴出装置の更に他の実施例では、本体への容器の固定法が上記実施例のものと異なる。ねじ付き部分および出口部分ではなく、容器は本体の相補円筒形部分43に導入される単一の出口部分41を備えている。容器は弾性の係止掛け金44によって保持されている。更に、フィルタ45は出口部分41の末端部、すなわち、入口ダクト47の始端部に配置されている。フィルタ45の直径はフィルタにより生じる流れ抵抗の増大を減じるために入口ダクト47の直径より大きい。フィルタは第1すなわち上側のO−リング49と、第2すなわち下側のO−リング51と、これらのO−リング49、51の中間に配置された篩53とを備えている。かくして、フィルタ45のこの具体例では、上側O−リングは出口部分41の端部と入口ダクト47の内壁部との間のシールを構成している。
【0017】
フィルタの有利な別の具体例は、図4に示すように、二重篩構成である。この二重篩構成は第1すなわち上側の篩55と、第2すなわち下側の篩57と、第1すなわち上側のO−リング59と、第2すなわち下側のO−リング61とを備えている。このフィルタは図1に示す実施例の噴出装置に取付け可能である。第3の最も下側のO−リングを補足することにより、図3に示す他の実施例の噴出装置に対しても有用になる。はんだペーストの流れの方向に見て1番目のものである第1篩55は第2篩57のものより粗いメッシュを有している。フィルタのこの具体例は、詰まる前に第2篩57と同じメッシュサイズの単一篩を有するフィルタよりも多くの汚染物を止め得る。この利点は流れ抵抗の顕著な増大なしに得られる。
本発明による装置の上記実施例を説明した。これらの実施例は非限定例であると考えるべきものである。請求項に記載の本発明の範囲内で多くの変更例が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子充填粘性媒体の液滴を噴出するための装置であって、ノズルと、このノズルに連結された噴出機構と、この噴出機構に連結された媒体供給機構と、この媒体供給機構に連結された粒子充填粘性媒体容器と、この粒子充填粘性媒体容器の出口と媒体供給機構との間に配置されたフィルタとを備え、前記粒子充填粘性媒体は前記粒子充填粘性媒体容器から前記媒体供給機構に供給され、前記媒体供給機構は、回転可能な供給軸を備えていて、該供給軸によって前記粒子充填粘性媒体を前記噴出機構へ供給するようになっており、前記噴出機構は、往復移動可能な噴出軸を備えていて、該噴出軸によって前記ノズルを通して前記粒子充填粘性媒体の液滴を噴出するようになっている、液滴を噴出するための装置。
【請求項2】
上記フィルタは篩を備えている請求項1に記載の装置。
【請求項3】
上記フィルタは第1篩および第2篩を備えており、第1篩は第2篩より大きいサイズのメッシュを有しており、第1篩は第2篩より前記出口に近接して配置されている、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
フィルタは容器の出口と媒体供給機構との間で延びているダクト内に配置されており、フィルタは更にダクトの内壁部に当接している連続した第1および第2O−リングを備えており、篩は上記第1および第2O−リング間に位置決めされている、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
フィルタは容器の出口と媒体供給機構との間で延びているダクト内に配置されており、フィルタは更にダクトの内壁部に当接している連続した第1、第2および第3O−リングを備えており、第1篩は上記第1および第2O−リング間に位置決めされており、第2篩は第2および第3O−リング間に位置決めされている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
上記出口の端部は上記第1O−リングに当接している、請求項4または5に記載の装置。
【請求項7】
粘性の媒体ははんだペーストである、請求項1から6までのいずれか1項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−46664(P2010−46664A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240485(P2009−240485)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【分割の表示】特願2003−543751(P2003−543751)の分割
【原出願日】平成14年11月5日(2002.11.5)
【出願人】(500563005)マイデータ オートメーション アクチボラグ (12)
【Fターム(参考)】