説明

粒子分離器本発明は、粒子分離器および収集器に関し、液体およびガスの両方の流体中の選択された粒子の存在を監視するための、特に、排他的ではないが、空気の成分を監視するための装置に関する。更に特に、本発明は、周囲の空気中に存在する化学剤および生物学剤の存在を検出するために周囲の空気を監視することが可能である装置に関する。

【課題】 少なくとも第1および第2の質量/サイズ範囲の粒子をこれらが存在する周囲流体(例えば、ガス状媒体)から分離するための分離器を開示する。
【解決手段】 第1の範囲の粒子は、第2の範囲の粒子より概ね大きいサイズ/質量のものである。分離器は、特に、細菌、ウイルス、病原菌などのような微生物を急速に検出するように設計されている空気監視装置に使用するように設計されており、この空気監視装置は、一般市民の環境および軍事環境の両方に容易に且つ急速に展開されることができ、室内および室外で使用されることができるように持運び可能であるように設計されており、また、人が使用するように設計されることもできる。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
操作容易であり、大量に製造されることができ、雰囲気中のできるだけ多くの危険な剤を検出し、且つ確認することができ、そして必要とされるとこでも、およびいつでも、容易に発展されることができるように非常に持運び可能であり、且つ大気中、および建物の内側、航空機、船、列車およびバスのような大量移送車両中の選択された粒子の存在に非常に敏感であることができ、ならびに人による使用のために有効である空気監視装置の現在の緊急の必要性があることがわかっている。また、軍事および非軍事環境の両方において、いずれかの深刻な影響を有する前に治療作用が取られることができるのに十分に短い時間枠内でこれらの危険な剤を確認することができる装置が、要望されている。
【0002】
以前の提案は、サブミクロンレベルほどに小さい粒子についての粒子分離を行うために提出されてきた(例えば、L.R.ヒュアング等による「タンゴ(the Tango)を行う粒子分離器」生物工学、2004、7月、「決定的横方向変位による連続的な粒子の分離」科学、2004、5月14日、を参照せよ)。特に、更なる研究が、アメリカンケミカルソサイエティによる環境科学&技術に1980年に発行されたV.A.マープル&C.M.による「バーチャルインパクター:理論研究」に見られるであろう。
【0003】
このような分離器は、知られており、そして極めて小さい粒子を分離するために提案されたが、これらの分離器は、微生物学的粒子、細菌学的粒子または同様な粒子の分離および確認のために必要とされる監視装置の分離器として適しておらず、または多くは容易に発展可能ではない。
【0004】
その基本的な理由は、公知の粒子分離器が、実質的であり、所定の時間枠内で少量の空気または他のガスに対処するだけであり、そして主に分離と関連されているが、このような粒子が分離され、収集されているときの粒子の衝突に因り、病原菌、ウイルス、細菌などが後に確認されることができるように、そのように分離された粒子の集結性の保存とは関連されているとは必ずしも限らないと言う点である。実際、従来技術では、衝突は、分離器の構造および作動の明確な結果であると確認されている。
【0005】
衝突は、粒子の流れ中に、或いは公知の分離器の壁部に対して、或いはそれらの両方に生じてもよい。これが細菌などを分離する際に生じるなら、その細菌を確認する能力は、
細菌自身の構造を潜在的に変える細菌に対する損傷に因り、或いは相互汚染に因り、深刻に損なわれる。その結果、公知の粒子分離器は、衝撃により損傷されることがある粒子を分離し、収集する際の使用に適していない。
【0006】
従って、このような損傷の潜在的な恐れが最小にされる粒子分離器および粒子収集器を開発した。これは、サイズおよび質量に関する細菌、ウイルスなどの範囲を分析し、そしていずれの衝突もなしにこのような粒子の分離を許容する空気の流れの最適化を理解することにより達成された。
【0007】
一般に、周囲の空気中には、50ミクロン未満の範囲の粒子が存在している。大気中の大きい粒子は、一般に、沈降する傾向があり、大気中に留まらない。50ミクロンレベル未満では、雰囲気粒子は、通常、3つのサイズ範囲、つまり、20ないし50ミクロン、2ないし20ミクロンおよび2ミクロン未満の範囲に分類されることができる。細菌、菌、ウイルスなどのような微生物は、普通、全体範囲の下端部にあるものと考えられているが、幾つかの有害および有毒な物質が40ミクロン以下、特に、2ないし20ミクロンの範囲で存在することがある。この理由で、中心範囲が1つより多いサブ範囲よりなるものと考えることは不利であることもある。化学剤および/または生物学剤の「万能」検出器の分離器では、できるだけ多くの病原菌および/または毒性物質が、これらを確認する能力を無くすような損傷ないしに検出されることが最も重要である。
【0008】
このために、本発明は、第1および第2の質量/サイズ範囲の粒子を、これらが存在する周囲の流体媒体から分離するための分離器を提供しており、第1の範囲の粒子は、第2の範囲の粒子よりほぼ大きいサイズ/質量であり、前記分離器は、周囲の流体媒体が分離器に吸入される際に通る複数の入口ポートにより設けられた入口を有するボディを備えており、各入口ポートは、夫々の第1のチャンバに通じており、この第1のチャンバは、第1の範囲の粒子がチャンバをほぼ軸方向に通る間、次の収集のために分離器の作動中に第2の範囲の粒子が通されることができる、チャンバから通じている複数の出口ポートをチャンバの周囲に有しており、各チャンバは、入口から離れた出口を有しており、前記第1の範囲の粒子は、この出口を通って分離器から排出されることができる。
【0009】
本発明は、第1および第2の質量/サイズ範囲の粒子を、これらが存在する周囲のガス状媒体から分離するための分離器をさらに提供しており、第1の範囲の粒子は、第2の範囲の粒子よりほぼ大きいサイズ/質量であり、前記分離器は、軸線と、ガス状媒体が分離器に吸入される際に通る複数の入口ポートにより設けられた軸方向入口とを有するボディを備えており、各入口ポートは、夫々の第1のチャンバに通じており、この第1のチャンバは、第1の範囲の粒子がチャンバをほぼ軸方向に通る間、次の収集のために分離器の作動中に第2の範囲の粒子が通されることができる、チャンバから通じている複数の出口ポートをチャンバの周囲に有しており、各チャンバは、入口から離れた出口を有しており、前記第1の範囲の粒子は、この出口を通って分離器から排出されることができ、
周囲のガス状媒体、特に、空気が、入口ポート、チャンバ、並びに導管の配列と、空気が分離器中に吸引される流量の制御とにより、粒子(例えば、細菌)の衝突の可能性を最小にする分離器中に吸入され、吹き込まれないことに注意すべきである。
【0010】
本発明に従った分離器を有する好ましい監視装置は、持運び可能であり、ほぼ200リットル/分の監視装置を通る空気の流量を受入れるように設計されており、これは、戦場環境および一般市民環境の両方における周囲の空気を試料採取するのに適しているものと考えられる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
この空気の流れを行うために、限定されないが、理想的には円筒形の形状のものである監視装置は、ほぼ100mmの直径のものであり、従って、手に容易に保持されることができる。本発明による装置の分離器が、任意の従来の形状およびサイズのものであるように構成されることができ、円筒形のものである必要がないことは、容易に理解されるであろう。
【0012】
添付図面を参照して以後に説明される好適な実施の形態において、その複数の入口ポートのポートは、一般にほぼ同様なサイズおよび形状のものであり、軸線のまわりに同心に配列されている。図示の実施の形態では、入口ポートはそのように配列され、且つ寸法決めされているが、これは、主として設計上の考慮問題であり、従って、ポートは、ほかの方法で配列されることができ、それらの夫々のサイズ、寸法(即ち、横断面、長さなど)および互いに対する位置は、収集されるべき粒子のサイズおよび/または質量に関する要件に応じて変えられることができる。
【0013】
好ましくは、各室チャンバは、容器の軸線と平行な軸線を有しており、各室チャンバの周囲の出口ポートは、夫々の室チャンバの軸線のまわりに同心配列で配置されており、出口ポートの同心配列は、好ましくは、夫々の室チャンバの床領域の上方の環状ギャラリーに配置されている。
【0014】
出口ポートの各々は、ギャラリーの下に形成された環状空間に通じる通路により設けられてもよく、この環状空間は、室チャンバから隔離されている。1つまたはそれ以上のダクトが環状空間から通じており、このダクトは、分離器が粒子収集器に連結されるときに粒子収集器と整合および連結可能に配置されている。
【0015】
本発明による好適な実施の形態では、第2の環状空間が、前記環状空間の下に設けられており、この第2の環状空間は、前記環状空間に連結されており、それにより、粒子は、前記環状空間から前記第2の環状空間まで通ることができ、前記第2の環状空間は、出口を有しており、それにより、分離器が前記粒子収集器に連結されると、前記粒子は、前記粒子収集器に差し向けられることができる。
【0016】
前記第2の範囲の粒子は、好ましくは、別個の第3および第4のサイズ/質量範囲の粒子を含み、第3の範囲の粒子は、第3の範囲より大きいサイズ/質量のものであり、分離器は、前記環状空間における第4の範囲の粒子および第2の環状空間に進行している第3の範囲の粒子を取り出すことが可能である。
【0017】
本発明による更なる分離器において、複数の環状空間が、前記第2の環状空間の下に設けられてもよく、前記複数の環状空間のうちの各々は、すぐ上の環状空間に連結されており、それにより、粒子が前記すぐ上の環状空間から前記各環状空間へ通ることができ、各環状空間は、それからの出口を有しており、それにより、分離器が前記粒子収集器に連結されると、前記粒子は、前記粒子収集器に差し向けられることができる。入口ポートの各々は、床を有しており、前記複数の環状空間のうちの最も下側の環状空間は、前記床の下の出口に通じる孔と連結されている。
【0018】
前記環状空間を間に隔壁を設けて第1の環状空間と第2の環状空間とに分離して第2の環状空間が第1の環状空間により出口ポートから分離されるようにすることによって、第4の範囲粒子は、第3の範囲の粒子から分離されることができ、前記第1の環状空間は、夫々の室チャンバの軸線に対して横方向である出口を有しており、第4の範囲の粒子は、収集のためにこの出口を通されることができ、その一方、第3の範囲の粒子は、別の収集のために更なる出口を通して差し向けられる。
【0019】
本発明は、また、空気中の汚染物質並びに他の粒子を監視するのに使用するための監視装置を提供しており、この監視装置は、本発明に従った分離器と、この分離器に装着された粒子検出器と、この粒子検出器により収集され、分離器を通る空気を吸引するための手段とを有している。
【0020】
このような装置は、理想的には、持運び可能であり、壁部取付け可能であってもよい。また、この装置は、空気を分離器を通して吸入するための手段を有してもよい。このような手段は、好ましくは、バッテリ駆動式ファンであるが、固定装着で使用されるものと提案された場合(例えば、長期間基準で空気含有分を監視するように使用される場合)、幹線電源のような電源に接続されてもよい。また、本発明による監視装置は、軍要員、医療要員またはセキュリティ要員のような個人の着用者により使用されるようになってもよく、このような目的で、クリップなどを備えてもよく、それによりこの装置はベルトに取付けられることができる。
【0021】
更に、本発明は、相互に積層されている複数のウエーハから分離器を作製することを備えている本発明による分離器を製造する方法を提供する。変形例として、本発明による分離器は、例えば、レーザー穴あけにより適当なプラスチック材料から製造されることができる。
【0022】
本発明の追加の特徴は、添付図面に例として示されている本発明の下記の説明から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
まず図1を参照すると、粒子分離器を組み入れている本発明による持運び可能な空気監視装置10が示されている。この装置10は、ほぼ円筒形であり(しかし先に述べたように、これは不可欠ではない)、そして分離器12を備えており、この分離器12は、装置10の上部分と、装置を作動させ、収集し、周囲の雰囲気からの収集された粒子を分析するための手段が中に設けられている第2の部分即ち中央の部分14と、作動されると、装置を通して空気を吸入するためのファンが設けられている第3の部分即ち基部分16とを設けている。図示の装置は、ほぼ円筒形であるが、平坦部19を有しており、中央部分14は、平坦部に取着されたクリップ18を有しており、これにより装置は装着者のベルトまたは衣類に取り付けられることができ、或いは壁部または他の適切な固定部に装着されることができる。
【0024】
本発明は、分離器を有する上部分12と主に接続されている。
【0025】
この分離器12は、上述されたように、粒子の種類およびサイズを考慮すると、粒子の夫々の質量範囲に同等する3つの引用サイズ範囲に雰囲気からの粒子を分離するのに使用されるようになっている。図示の実施の形態を粒子サイズについて以下に説明するが、本発明が、粒子の質量に関して或いは質量およびサイズの両方に関して粒子を分離するのに同等に有用であることは明確に理解されるであろう。
【0026】
図示の実施の形態の分離器12は、複数の入口ポート20を有するボディ13の形態である。図示の実施の形態では、37個の入口ポート20が設けられている。装置、従って分離器は、図1に示されるように、一般的な軸線22を有しており、ポートは、3つの同心的な配列20B,20C、20Dで中央のポート20Aのまわりに配列されており、最も内側の円20Bには、6つのポートがあり、中間の円20Cには、12個のポートがあり、最も外側の円20Dには、18個のポートがある。図2では、ポートのこれらの同心の配列が点線により示されている。(本発明の別の実施の形態では、ポートはこのように配列されることは必要ではない。しかし、ポートの配列が望まれる空気流を取り込む複数のポートの能力を最適にすることは重要である。)各ポートは、ほぼ円筒形であるが、その深さに伴って非常に僅かにテーパ状になっており、そして分離器のボディ13における凹部として形成されており、その円筒軸線(図示せず)が軸線22と平行である。分離器の構成および配置の概略図であって、図4に近似する図8をも参照すると、各ポート20は、深さLおよび直径DA1の下端部を有し、室23(チャンバ)に通じており、この室23は、ポート20よりも大きい直径Dのものであり、管状の開放ルーフ23A(図3)を有しており、このルーフ23Aは、ほぼ円筒形の壁部25まで降下している球体の円錐台の形状を有している。室23は、床24を有しており、この床の上方には、ギャラリー26が形成されており、このギャラリー26は、5つの同心円で出口ポート29が形成されている管状のプレート状構造体28により形成されている。図示の実施の形態では、各構造体28には、おおよそ657個のオーダの出口ポートが設けられている。かくして、37個の入口ポートは、各々が直径DB1および深さL(図8参照)を有する合計ほぼ24309個の出口ポートが設けられている。これらのポートの正確な数およびそれらのサイズおよび深さは、分離器のこの段階および後の段階で分離されるべき粒子のサイズまたは質量および分離器に吸入される粒子の速度により決まる。
【0027】
周囲空気からの約20ミクロン以下のサイズの粒子を分離し、次いでこれらの粒子をサブグループに分離するように設計された図1に示されるような持運び可能な装置では、装置の外径はほぼ100mmであり、各入口ポート20の内径DA1は10.27mmであり、各出口ポート29の内径DB1は183μmである。このようなデイメンションでは、後述のような、所望の条件下で装置を通る約185ないし200リットル/分の流量を誘発することが可能であることを測定した。
【0028】
径方向外方では、ギャラリー26は、室23の周囲を規定する管状壁部25により境界決めされており、径方向内方では、ギャラリーは、その平面から下降し、そして床24からのギャラリー26の垂直方向の離隔距離のほぼ3分の1の床24の上方の高さの所で終端している連続したカーテンウォール30により境界決めされている。このカーテンウォールの頂部には、上方に突出しているリム32が設けられている。
【0029】
カーテンウォールの背後(即ち、カーテンウォールの径方向外方)でギャラリー26の下には、カーテンウォールにより室23から隔離されている環状の空間34が形成されている。この環状の空間34は、装置10の外側ボディ13と一体の環状の基部36を有している。この環状の基部36の上面は、カーテンウォール30の頂部と底部とのほぼ中間に位置されており、そしてカーテンウォールの底部まで延びるような厚さを有している。
【0030】
前記ギャラリー26と外面38との間の前記環状の空間34は、環状の中間の床44により第1の上側環状空間40と、第2の下側環状空間42とに分離されている。この環状の床は、2つの環状の空間40、42間の隔壁部をなしており、そして環状の床46に形成された孔50により与えられた複数の更なる出口48を有しており、これらの孔は、各々、上方への煙突状延長部52を有しており、これらの延長部の各々は、内径DB2(図8参照)を有しており、距離Sだけギャラリー26の下側から間隔を隔てられている。出口29と同じ数の孔50およびこれに関連された延長部52が設けられており、これらの孔50および延長部52は、出口29と軸方向に整合されている。
【0031】
複数のダクト54(図4および図6参照)が、第1の環状空間40から径方向外方に延びており、これらのダクトのうちの1つのみが図6に示されている。これらのダクトは、後述のように、装置10の制御部分14に設けられている粒子収集器に通じている。この粒子収集器は、本発明の不可欠な部分を本質的に形成しておらず、従って、さらに説明されない。
【0032】
軸線22と平行な軸線を有する複数の円筒形のシャフト56が、環状基部36の環状上面38から基部を通って下方に延びている。これらのシャフトは、床24の下側と、中央の孔62が形成されている下側床60との間に形成されている浅い円筒形の空間58と接続している。図4に示されるように、思い出されるように、37個の孔のうちの1つであるこの中央の孔62は、前述の粒子収集器に通じている。
【0033】
前記室23の下部分は、シャフト56の環状の柱列64により境界決めされて、隣り合う柱の間に隙間66を規定している。隙間66を規定する間隔は、37個の入口ポート20の各々の下側の同様な間隔まで延びており、一体の空間を形成している。この空間は、図示されていないが、必要に応じて、排気口または装置の粒子収集器に連結されることができる。
【0034】
分離器の機能および作動は、下記の如きである。
【0035】
粒子の単一の流れを、これらの重量に応じて2つの流れに分離するのに、慣性質量が使用される。大きい粒子は、前方方向に連続し、小さく軽い粒子は、側方へ引き離される。この原理は、図8に示されている。
【0036】
本発明の本実施の形態では、装置の基部分16に設けられたバッテリ作動式ファンである吸引手段の作動により、空気が装置に吸込まれて通される。このファンは、粒子分離器からファンに通じて、装置の中央部分14に設けられた粒子収集器を迂回してもよいししなくてもよいダクト(図示せず)を経て空気を装置に吸入することができる。空気が装置の中央部分および基部分に吸い込まれる方法は、本発明にとって重要ではなく、従ってこれ以上説明しない。
【0037】
もちろん、粒子収集器自身は、径方向ダクト54と中央の孔62とを連結されており、従って、空気は、シャフト56間の柱列状間隔66からこれらの径方向ダクト54および中央の孔62に通される。
【0038】
空気は、図8に概略的に示されるようにポート20を通って装置10に入る。この空気は、出口29および空間66に通される。空間66の中を通る空気は、排気のために取出されることができる。他方、出口29を通る空気は、ギャラリー26の下の第1の環状の空間40に入り、粒径に応じて、径方向のダクト54を通して押出されるか、或いは延長部52を通って中間床構造体44の下の第2の環状の空間42に入り、そこから中央の孔62に引き込まれる。そして、ダクト54および孔62に通された空気は粒子収集器に導かれる。
【0039】
分離器の設計、幾何形状およびプロポーションは、所定サイズの範囲の粒子のみが収集されるように算出されている。かくして、例えば、図示の実施の形態では、例えば20ミクロン未満のサイズであって、ファンの速度に分部的に依存している所定の慣性で分離器に吸入される粒子が、図8に示されるように、自身の運動量により進行する、より大きいサイズの粒子よりも容易にファンの吸引作用により影響される。分離器が粒子の質量のみに応じて粒子を分離するように設計されている場合、同様のことが当てはまる。
【0040】
ファンの吸引作用は、出口29および空間66を通して及ぼされる。これは、通路29および垂直な通路66Aにより図8に概略的に表されている。図8からわかるように、粒子のサイズ/質量の上側範囲にある比較的重い粒子は、分離器に入るのとほぼ同じ方向に流れ続け、他方、軽いサイズ/質量範囲の比較的軽い粒子は、通路29を通して取り出される。軽い質量範囲の上端側の幾つかの粒子は、通路66Aに沿って流れ続けることがあるが、非常に大きい割合で通路29中に引き込まれる。十分な量のこのような粒子は、通路の中へ取出されて収集器がそれらの存在を検出し、且つ確認を許容するならば、粒子の正確な量は重要ではない。
【0041】
次いで、次の分離において、より軽い粒子は、それら自身、1つまたはそれ以上の分離段階で副範囲に更に分離される。
【0042】
粒子の分離は、入口ポート20の各々の内径DA1により、初めに定められ、本発明者達が定めた内径は、本発明が主に関する粒子の分離では、10.27mmの最小直径までテーパ状であって、その入口で最大12mmであるべきである。これらの大きさでは、空気流の95%が主な流れで継続し、次の分離および分析のために粒子分離器へ送られることを本発明者達は定めた。
【0043】
通路29により表される複数の出口(各々、直径DB1のものであることが思い出されるであろう)の全体の合計面積とともに入口ポートの深さL(図8)もまた、空気の流量が望む通りであるために決定的なものである。表されるような空気流が、各出口で同様であるが、これは、必ずしもそうであるとは限らなく、分離されるべき粒子の種類および性質に依存している、ことは容易に判るであろう。ギャラリー26の内縁部には、(図3に示されており、図8では誇張形態で示されているが、単に明確のために残りの図から省かれている)周囲リム、即ち壁部31が設けられている。この壁部31は、ルーフ23Aからの壁部31の垂直方向の分離Sにより正しいサイズ(即ち、興味あるサイズの範囲)の粒子が同伴されて出口ポート29に入るような高さである。壁部31が設けられていない場合には、粒子が、カーテンウォール30の上縁部と衝突して悪影響を受け、しかも、一緒になって出口29に流入することが可能である。壁部31を設けることにより、これが起こることを防いでいる。
【0044】
分析されるべきではない空気を大気に排出し得る横断面積を表すディメンションDA2は、空気の未制限の分散を許容するような寸法である。
【0045】
粒子は、速度Vで分離器10に吸入されて、大きい容積の室23に入ると、室の床まで降下する粒子は速度Vとなり、出口ポート29の方に転じる粒子は速度Vとなる。後者の粒子が出口ポート29に入ると、速度は速度Vに変り、孔50および延長部52を通過する粒子はこの速度を維持し、上側空間40へ転じられる粒子は速度Vとなる。
【0046】
分離器の製造は、実質的に、二酸化シリコンのような不活性材料から製造された一連のウエーハから分離器の部材を形成し、これらのウエーハを適切なシーケンスで組付けることによる。
【0047】
以上の説明から、本発明を3つのサイズ/質量範囲への空気中浮遊粒子の分離のための対策を有する分離器について説明したが、分離箇所の数を増やすことにより3つより多い範囲の分離に対処するように本発明を容易に発展することができることは明らかに理解されるであろう。例えば、図6に示された出口の幾何形状への適切な変更と、環状空間40、42(適切な入口および出口を有する)に対応する1つまたはそれ以上のレベルの追加とにより、使用された製造方法では、一部を構成する監視装置の持運び可能な特性を保持しながら、かなり多数の分離段階で空気中浮遊粒子の分離を行なうことが可能である。また、正しい幾何形状では、本発明による分離器は、液体と、液体中に存在する粒子とを分離するように容易に適合されることができる。
【0048】
更に、監視/検出装置の一部としての分離器が使用されるかもしれない環境および条件によっては、装置自身が、保護容器内に密閉されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による粒子分離器を有する空気監視装置の斜視図である。
【図2】図1に示される分離器のより詳細な斜視図である。
【図3】分離器の上部分の部分切取り斜視図である。
【図4】図2に示される分離器の上部分の平面図である。
【図5】分離器の上部分のより詳細な斜視図である。
【図6】分離器の上部分の切取り部分断面図である。
【図7】分離器の拡大切取り部分断面図である。
【図8】分離器を通る空気の流れを示している概略図である。
【0050】
概略横断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1および第2の質量/サイズ範囲の粒子を、これらが存在する周囲の流体媒体から分離するための分離器を具備しており、第1の範囲の粒子は、第2の範囲の粒子よりほぼ大きいサイズ/質量であり、前記分離器は、
前記周囲の流体媒体が分離器に吸入される際に通る複数の入口ポートにより設けられた入口を有するボディを備えており、各入口ポートは、夫々の第1のチャンバに通じており、この第1のチャンバは、第1の範囲の粒子がチャンバをほぼ軸方向に通る間、次の収集のために分離器の作動中に第2の範囲の粒子が通されることができる、チャンバから通じている複数の出口ポートをチャンバの周囲に有しており、各チャンバは、入口から離れた出口を有しており、前記第1の範囲の粒子は、この出口を通って分離器から排出されることが可能な分離器。
【請求項2】
第1および第2の質量/サイズ範囲の粒子を、これらが存在する周囲のガス状媒体から分離するための分離器を具備しており、第1の範囲の粒子は、第2の範囲の粒子よりほぼ大きいサイズ/質量であり、前記分離器は、
軸線と、ガス状媒体が分離器に吸入される際に通る複数の入口ポートにより設けられた軸方向入口とを有するボディを備えており、各入口ポートは、夫々の第1のチャンバに通じており、この第1のチャンバは、第1の範囲の粒子がチャンバをほぼ軸方向に通る間、次の収集のために分離器の作動中に第2の範囲の粒子が通されることができる、チャンバから通じている複数の出口ポートをチャンバの周囲に有しており、各チャンバは、入口から離れた出口を有しており、前記第1の範囲の粒子は、この出口を通って分離器から排出されることが可能な分離器。
【請求項3】
前記複数の入口ポートのポートは、ほぼ同様なサイズおよび形状を有し、ほぼ共通の配向で同心に配列されている請求項1または2に記載の分離器。
【請求項4】
各チャンバは、容器の軸線と平行な軸線を有しており、各チャンバの周囲の出口ポートは、夫々のチャンバの軸線のまわりに同心配列で配置されている請求項2または請求項2に従属した請求項3に記載の分離器。
【請求項5】
前記出口ポートの同心配列は、夫々のチャンバの床領域の上方の環状ギャラリーに配置されている請求項4に記載の分離器。
【請求項6】
前記出口ポートの各々は、ギャラリーの下に形成された環状空間に通じる通路により形成されており、前記環状空間は、チャンバから隔離されている請求項5に記載の分離器。
【請求項7】
1つまたはそれ以上のダクトが前記環状空間から通じており、前記ダクトは、分離器が粒子収集器に連結されるときに粒子収集器と整合および連結可能に配置される請求項6に記載の分離器。
【請求項8】
第2の環状空間が、前記環状空間の下方に設けられており、この第2の環状空間は、前記環状空間に連結されており、この連結により粒子は、前記環状空間から前記第2の環状空間まで通ることができ、前記第2の環状空間は、分離器が前記粒子収集器に連結されると、前記粒子は、前記粒子収集器に差し向けられることができる出口を有している請求項7に記載の分離器。
【請求項9】
前記第2の範囲の粒子は、別個の第3および第4のサイズ/質量範囲の粒子を含み、第3の範囲の粒子は、第4の範囲より大きいサイズ/質量のものであり、分離器は、前記環状空間内の第4の範囲の粒子および第2の環状空間に進行している第3の範囲の粒子を取り出すことが可能である請求項1ないし8のうちのいずれか1つの項に記載の分離器。
【請求項10】
複数の環状空間が、前記第2の環状空間の下方に設けられており、これら複数の環状空間の各々は、すぐ上の環状空間に連結されて、粒子が前記すぐ上の環状空間から前記各環状空間へ通ることができ、各環状空間は、分離器が前記粒子収集器に連結されると、前記粒子は、前記粒子収集器に差し向けられることができる出口を有している請求項8または請求項9に記載の分離器。
【請求項11】
前記入口ポートの各々は、床を有しており、前記複数の環状空間のうちの最も下側の環状空間は、前記床の下の出口に通じる孔と連結されている請求項10に記載の分離器。
【請求項12】
前記環状空間を、第1の環状空間と第2の環状空間とにこれら環状空間の間に隔壁を設けて分離し、第2の環状空間が第1の環状空間により出口ポートから分離されるようにすることによって、第4の範囲粒子は、第3の範囲の粒子から分離されることができ、前記第1の環状空間は、夫々のチャンバの軸線に対して横方向である出口を有しており、第4の範囲の粒子は、収集のためにこの出口を通されることができ、一方、第3の範囲の粒子は、別の収集のために更なる出口を通して差し向けられる、請求項8もしくは請求項8に従属した請求項9ないし11のいずれか1項に記載の分離器。
【請求項13】
実質的に添付図面を参照して前述されたように、第1および第2の質量/サイズ範囲の粒子をこれらが存在する周囲のガス状媒体から分離するための分離器。
【請求項14】
前記全ての請求項のいずれか1に記載の分離器と、この分離器に装着された粒子検出器と、この粒子検出器による収集のために分離器を通して空気を吸い込むための手段とを有する、空気中の汚染物質並びに他の粒子を監視するのに使用されるための監視装置。
【請求項15】
持運び可能である請求項14に記載の監視装置。
【請求項16】
分離器を通して空気を吸い込むための手段が設けられている請求項14または15の監視装置。
【請求項17】
前記手段は、バッテリ駆動式ファンにより設けられている請求項16に記載の監視装置。
【請求項18】
相互に積層されている複数のウエーハから分離器を作製することを有する請求項1ないし13のいずれか1に記載の分離器を作製する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−500163(P2008−500163A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514139(P2007−514139)
【出願日】平成17年9月9日(2005.9.9)
【国際出願番号】PCT/GB2005/003466
【国際公開番号】WO2006/027591
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(390038014)ビ−エイイ− システムズ パブリック リミテッド カンパニ− (74)
【氏名又は名称原語表記】BAE SYSTEMS plc
【Fターム(参考)】