説明

粒子化合物分散体の製造方法

【課題】小粒径で分散し、生成濃度を高くすることができ、低コスト化が可能な粒子化合物分散体の製造方法を提供する。
【解決手段】粒子化合物の前駆体から閉環反応によって粒子化合物を生成させることで分散媒中に分散剤を伴って粒子化合物が分散している粒子化合物分散体の製造方法であって、前記粒子化合物の前駆体に、閉環反応で脱離する官能基をエステル化、エステル交換もしくはアミド化により導入する工程、前記粒子化合物の官能基を導入した前駆体を閉環反応して前駆体からの粒子化合物と、官能基が脱離して生成した脱離化合物を得る工程とを有し、前記脱離化合物が閉環反応にて生成される粒子化合物の分散剤となる粒子化合物分散体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種機能物質材料として有用な粒子化合物分散体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から機能性物質を含有する分散体材料である機能性材料として,除草剤、殺虫剤等の農薬、抗がん剤、抗アレルギー剤、消炎剤等の医薬、また着色剤を有するインク、トナー等の色材が良く知られている。近年、デジタル印刷技術は非常な勢いで進歩している。このデジタル印刷技術は、電子写真技術、インクジェット技術と言われるものがその代表例であるが、近年オフィス、家庭等における画像形成技術としてその存在感をますます高めてきている。
【0003】
インクジェット技術はその中でも直接記録方法として、コンパクト、低消費電力という大きな特徴がある。また、ノズルの微細化等により急速に高画質化が進んでいる。インクジェット技術の一例は、インクタンクから供給されたインクをノズル中のヒーターで加熱することで蒸発発泡し、インクを吐出させて記録媒体に画像を形成させるという方法である。他の例はピエゾ素子を振動させることでノズルからインクを吐出させる方法である。
【0004】
これらの方法に使用されるインクは通常染料水溶液が用いられるため、色の重ね合わせ時ににじみが生じたり、記録媒体上の記録箇所に紙の繊維方向にフェザリングと言われる現象が現れたりする場合があった。これらを改善するために顔料分散インクを使用することが、特許文献1に開示されている。
【0005】
ところが顔料分散インクは染料インクと比較して発色が劣る場合が多い。それは、顔料粒子による光散乱や光反射が生じるため、一般に顔料インクにより形成された画像は染料インクによる画像と比較して発色性が低いという傾向がある。また、粗大顔料粒子はインクジェットヘッドのノズル詰まりの要因となる。これら顔料インクの課題を改善する方法のひとつとして顔料粒子を微細化する試みがなされている。100nm以下に微細化された顔料は、光散乱の影響が小さく、かつ比表面積が増大するため、発色性の改善が期待されている。
【0006】
一般的に顔料分散インクは、通常水不溶性の有機顔料を水性媒体に分散して得られるが、顔料を分散剤を含む水性媒体に添加後、硬質ビーズを使用し、サンドミル、ボールミルなどの分散機によって微細化する工程を経る。そこで、いかに微細かつ安定な顔料分散物を得るかが大きな課題になっている。特許文献2には、ビーズを用い、高速ミル分散により、粒径100nm以下の有機顔料粒子分散物を得る方法が開示されている。この方法によれば、確かに微細な分散物が得られるが、分散に多大なるエネルギーを要し、煩雑な分散液とビーズの分離工程も必要である。
【0007】
一方、顔料を一度溶解させた後に再び析出させて顔料の微粒子を作るという方法が提案されている。特許文献3では硫酸を用いて一度有機顔料を溶解させるアシッドペースティング法による微粒子化が提案されているが、100ナノメートル以下の顔料を得るには至っていない。また、特許文献4、特許文献5には塩基存在下の非プロトン性極性溶剤に有機顔料を溶解した後、酸で中和して微細な顔料粒子を得る方法が記載されている。しかし、顔料の微細化と分散安定化処理を同時に行っていないため、始め微細であった顔料粒子も分散時には既に凝集を起こしており、実質ナノメートルオーダーの顔料分散体を得ることは必ずしも容易ではない。特許文献6、特許文献7、特許文献8ではアルカリ存在下で非プロトン性極性溶剤に有機顔料と界面活性剤や樹脂などの分散剤を一緒に溶解させた後、酸で中和して顔料を析出させて微細な顔料粒子を得る方法が記載されている。
【特許文献1】米国特許第5085698号明細書
【特許文献2】特開平9−176543号公報
【特許文献3】特開平9−221616号公報
【特許文献4】特公平4−29707号公報
【特許文献5】特公平6−4476号公報
【特許文献6】特公平5−27664号公報
【特許文献7】特公平6−96679号公報
【特許文献8】特開平11−130974号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記の方法は溶解性の乏しい顔料を溶解しているため、顔料を溶解するのに必要な溶媒量が多くなり高濃度で分散体を生成するのは必ずしも容易ではない。例えば、特許文献7の第1実施例においては顔料30部に対してジメチルスルホキシドを300部使用している。また、多量の有機溶媒を使用することはコスト高につながり、また廃液の処理費用もかかる。また、分散体生成後に溶媒の減圧留去や限外ろ過等により濃縮をすることは可能ではあるが、高濃度の分散体にするには多大な労力と時間を要すため、なお多くの改善が望まれている。
【0009】
本発明は、この様な背景技術を鑑みてなされたものであり、小粒径で分散し、生成濃度を高くすることができ、低コスト化が可能な粒子化合物分散体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決する粒子化合物分散体の製造方法は、粒子化合物の前駆体から閉環反応によって粒子化合物を生成させることで分散媒中に分散剤を伴って粒子化合物が分散している粒子化合物分散体の製造方法であって、前記粒子化合物の前駆体に、閉環反応で脱離する官能基をエステル化、エステル交換もしくはアミド化により導入する工程、前記官能基を導入した粒子化合物の前駆体を閉環反応して前駆体からの粒子化合物と、官能基が脱離して生成した脱離化合物を得る工程とを有し、前記脱離化合物が閉環反応にて生成される粒子化合物の分散剤となることを特徴とする。
【0011】
前記粒子化合物の前駆体は鎖状化合物であることが好ましい。
前記鎖状化合物がコハク酸またはコハク酸誘導体であることが好ましい。
前記粒子化合物の前駆体は環状化合物であることが好ましい。
【0012】
前記環状化合物がシクロヘキサジオン誘導体またはピロリノン誘導体であることが好ましい。
前記エステル化もしくはアミド化にて導入される官能基が閉環反応により脱離して生成した脱離化合物が、親油性部分と親水性部分とを有する化合物であるこことが好ましい。
【0013】
前記エステル化もしくはアミド化にて導入される官能基が閉環反応により脱離して生成した脱離化合物が、界面活性剤であることが好ましい。
前記粒子化合物が顔料であることが好ましい。
【0014】
前記粒子化合物がキナクリドン類またはピロロピロール類であることが好ましい。
前記閉環反応が80℃以上の高温、1MPa以上の高圧下で行なわれることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、小粒径の粒子化合物の分散体の生成濃度を高くすることが可能な粒子化合物分散体の製造方法を提供することができる。閉環反応での粒子生成に伴い、系中に分散剤として機能させることができる界面活性剤を生成することができるので、反応性の高い界面活性剤を使用することができるため分散剤の選択の幅を大きくすることができる。また、溶解に要する溶媒量を減らすことは製造コストの低減への効果も奏する。本発明の粒子化合物分散体の製造方法を顔料分散体の製造に利用すれば小粒径分散した色材として有用な顔料分散体を生成することができるため高発色な顔料分散体を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る粒子化合物分散体の製造方法は、粒子化合物の前駆体から閉環反応によって粒子化合物を生成させることで分散媒中に分散剤を伴って粒子化合物が分散している粒子化合物分散体の製造方法であって、前記粒子化合物の前駆体に、閉環反応で脱離する官能基をエステル化、エステル交換もしくはアミド化により導入する工程、前記粒子化合物の官能基を導入した前駆体を閉環反応して前駆体からの粒子化合物と、官能基が脱離して生成した脱離化合物を得る工程とを有し、前記脱離化合物が閉環反応にて生成される粒子化合物の分散剤となることを特徴とする。
【0017】
本発明の粒子化合物分散体の製造方法は、下記の反応式(1)に模式的に示すように、粒子化合物の前駆体(M)から閉環反応によって粒子化合物(P)を生成させることで分散媒中に粒子化合物(P)が分散剤(D)を伴って分散する粒子化合物分散体の製造方法である。
【0018】
【化1】

【0019】
本発明の粒子化合物分散体の製造方法は、粒子化合物の前駆体(M)にエステル化、エステル交換もしくはアミド化によって粒子化合物の前駆体(M)に官能基(D’)を導入することを特徴とする。本発明の粒子化合物分散体の製造方法は、粒子化合物の前駆体(M)に導入された官能基(D’)は粒子化合物(P)が閉環反応によって生成する際に脱離し粒子化合物の分散剤(D)として機能することを特徴とする。
【0020】
本発明の粒子化合物分散体の製造方法では粒子化合物の前駆体(M)として鎖状化合物を使用することができる。鎖状化合物の一例としてコハク酸が挙げられる。
前記粒子化合物がキナクリドン類またはピロロピロール類であることが好ましい。コハク酸からは顔料粒子として使用できるキナクリドンやピロロピロール等の顔料粒子を生成することができる。
【0021】
本発明で用いられるコハク酸は下記の構造式(1)に示す構造を有す化合物であり、コハク酸のカルボキシル基がエステル化されたコハク酸誘導体は構造式(2)に示す構造であり、アミド化されたものは構造式(3)に示す構造を有する。
【0022】
【化2】

【0023】
式中、R1は直鎖、分岐または環状の飽和もしくは不飽和アルキル基または脂肪族基または芳香族基、R2またはR3は水素原子または直鎖、分岐または環状の飽和もしくは不飽和アルキル基または脂肪族基またはアリール基である。
【0024】
本発明の粒子化合物分散体の製造方法では粒子化合物の前駆体(M)として環状化合物を使用することができる。環状化合物の一例としてシクロヘキサジオンまたはピロリノンやその誘導体が挙げられる。これらからもまた、キナクリドンやピロロピロール等の顔料粒子を生成することができる。
【0025】
粒子化合物の前駆体(M)がカルボキシル基を有していることが好ましい。カルボルシル基部分のエステル化は一般的なカルボン酸とアルコールとの縮合によるエステル化反応にて容易にエステル化を行なうことができる。そのエステル化の一例として酸触媒を用いる方法、酸ハロゲン化物からの合成方法が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0026】
また、アミド化もまた一般的な方法で行なうことができる。粒子化合物の前駆体のアミド化の一例としては酸塩化物とアミンとの反応で合成したり、カルボキシル基をエステル化した後アミンとの反応で合成してもよい。ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いたカルボジイミド法を用いることができるがこれらに限定されるものではない。
【0027】
本発明においてカルボキシル基に導入されるエステルのOR1基は後工程における閉環反応で脱離基となりアルコール分子(R1OH)として脱離する。また、カルボキシル基に導入されるアミドのR2NR3基は後工程における閉環反応で脱離基となりアミン(HNR23)として脱離する。
【0028】
本発明の粒子化合物の前駆体(M)であるエステルまたはアミド化合物は粒子化合物の原料の一部としてそのまま、もしくはこれらから誘導される化合物と他の化合物、同種の化合物の分子間または分子内での閉環反応にて粒子化合物(P)を生成する。
【0029】
例えば、コハク酸から誘導されるエステル化合物を粒子化合物の前駆体(M)とした場合には、下記の反応式(2)に示すように2回の閉環反応にて粒子化合物としてキナクリドンを合成することができる。キナクリドンは顔料ならびに電子材料等に利用できる化合物であることが知られている。
【0030】
【化3】

【0031】
コハク酸から誘導されるエステル化合物を粒子化合物の前駆体(M)とし、ニトリルと反応させた場合、下記の反応式(3)に示すように粒子化合物(P)としてピロロピロールを合成することができる。ピロロピロールもまた顔料ならびに電子材料等に利用できる化合物であることが知られている。ここで反応式(2)に示すようにコハク酸エステルを用いることにより閉環反応でエステル部分の一部が脱離し、反応系中に粒子化合物(P)とアルコール分子(R1OH)を生成する。
【0032】
【化4】

【0033】
また、反応式(4)に示すようにコハク酸アミドを用いれば閉環反応でアミド部分の一部が脱離し、反応系中に粒子化合物とアミン(HNR23)を生成する。
【0034】
【化5】

【0035】
反応式(2)から(4)に示すようにコハク酸からキナクリドンまたはピロロピロールを生成するにあたっては環状化合物であるシクロヘキサジオン誘導体(b)またはピロリノン誘導体(b’)の中間体化合物を経て合成される。これら環状化合物であるシクロヘキサジオン誘導体(b)またはピロリノン誘導体(b’)もまた粒子化合物の前駆体(M)である。
【0036】
また、反応式(5)および反応式(6)に示すようにシクロヘキサジオン誘導体(b)またはピロリノン誘導体(b’)のエステル部分にエステル交換にて所望の官能基(D’)を導入することができる。また、アミド化によっても所望の官能基(D’)を導入することができる。エステル交換は酸触媒を用いる方法、エステルを加水分解し、カルボシキル基に導き、再びエステル化等の方法が挙げられるがこれらに限定されない。
【0037】
【化6】

【0038】
【化7】

【0039】
ここで本発明の粒子化合物分散体の製造方法を鎖状化合物の前駆体であるコハク酸を例にして説明する。コハク酸エステルのR1に閉環反応にて脱離後に所望の機能を果たすような分子構造を導入することが可能である。これにより、例えば脱離した化合物で粒子化合物(M)を被覆したり、分散媒体に分散させる分散剤(D)として機能させることが可能になる。また脱離部分の化合物に親油性部分を設けておけば脱離により形成される水酸基によって親水性基が形成され両親媒性化合物として脱離させることが可能になる。このような両親媒性の化合物は粒子等の水性溶媒への分散剤(D)として使用することができる。
【0040】
またコハク酸アミドにおいてもエステルと同様にR2またはR3に所望の機能を果たすような分子構造を導入することが可能である。これにより、例えば脱離した化合物で粒子化合物(P)を被覆したり、分散媒体に分散させる分散剤(D)として機能させることが可能になる。また脱離部分の化合物に親油性部分を設けておけば脱離により形成されるアミノ基によって親水性基が形成され両親媒性化合物として脱離させることが可能になる。このような両親媒性の化合物は粒子等の分散剤(D)として使用することができる。
【0041】
また環状化合物の前駆体(M)であるシクロヘキサジオン誘導体(b)またはピロリノン誘導体(b’)においてもエステル交換やアミド化によって官能基(D’)を導入することができ閉環反応で粒子化合物(P)が生成するとともに分散剤(D)として脱離させることができる。
【0042】
ここでキナクリドンのようにコハク酸誘導体から2回の閉環反応を経て合成する場合、コハク酸にエステル化によって官能基(D’)を導入した際、1回目の閉環反応で1分子のエステル化されたコハク酸から官能基(D’)が脱離し反応系中に分散剤(D)が生ずる。
【0043】
生じた分散剤(D)が反応性の高い化合物であった場合、2回目の閉環反応時に副反応を誘発する可能性がある。1回目の閉環反応にて生成した化合物を単離精製し、2回目の閉環反応にて粒子化合物を生成させれば良いが、官能基(D’)導入に用いた1分子分が無駄になる。特に高価な化合物からなる官能基(D’)を用いる場合においてはコスト高につながる。このような場合においてキナクリドンの分散体を得る際には、環状化合物の前駆体(M)であるシクロヘキサジオン誘導体(b)またはピロリノン誘導体(b’)においてもエステル交換やアミド化によって官能基(D’)を導入する方が好ましい。このようにすれば、特に高価な化合物からなる官能基(D’)を用いる場合でも無駄なく官能基(D’)を分散剤(D)として用いることができる。
【0044】
また、本発明によれば閉環反応にてはじめて分散剤(D)が生成するため、分散剤(D)が閉環前の化合物と反応することが回避できる。例えばエステルやアミドのカルボニル炭素への求核性の高いアミン系の分散剤にて分散することが可能になる。このことは粒子化合物の分散剤の選択性が大きくなる効果を奏する。
【0045】
この方法によれば閉環反応によって得られる粒子化合物(P)が粒子として析出した場合、析出と略同時には反応系中に分散剤(D)が生成するため、分散剤(D)により被覆され粒子の成長や凝集が抑制され粒径の小さな分散体を得ることができる。ここで粒子化合物(P)が顔料の場合は小粒径顔料分散体を得ることができるため発色性の改善された顔料インクを製造することが可能になる。また、特許文献3乃至特許文献8のように難溶性に顔料を一度溶解させるために多量の溶媒を要するのに対して、本発明では閉環反応前の化合物は顔料でないため、溶媒は少なくて済むので生成濃度を高くすることができる。また、使用する溶媒量が少なくて済むことはコスト低減への効果を奏する。
【0046】
このように環化反応にて脱離した化合物が両親媒性であることにより界面活性剤として機能させることができる。また、コハク酸エステルまたはコハク酸アミドさらにはR1とR2とR3の分子構造によって脱離した化合物を陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤に作り分けることが可能になる。
【0047】
本発明において界面活性剤とは分子中において水になじみやすい部分(親水性部分)と油になじみやすく水になじみにくい(親油性部分)を持つ化合物をいう。本発明において環化反応にて脱離した化合物が水性溶媒中でのpH調整によってカルボキシル基やアミノ基等がイオン化して親水性になる場合も含む。すなわちアルカリ性領域においてはカルボキシル基は陰イオンとなり親水性部分となる。ここで陰イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤に作り分ける一例の方法を示すが本発明はこれらに限定されるものではない。R1に親油性部分を導入しておけば陰イオン性界面活性剤となる。すなわちR1に高級の飽和または不飽和脂肪族を導入すれば高級アルコールとして脱離し陰イオン性界面活性剤となる。またR1にエーテル型の高級脂肪族鎖を導入すれば非イオン性界面活性剤となる。
【0048】
アミノ基の場合は酸性領域においては陽イオンとなり親水性部分となる。ここでR2もしくはR3に親油性部分を導入しておけば陽イオン性界面活性剤となる。また、R2もしくはR3にカルボキシル基を導入しておけば両性界面活性剤とすることもできる。
【0049】
本発明の粒子化合物分散体において粒子化合物の前駆体(M)の鎖状化合物でコハク酸を例にして説明する。コハク酸エステルのR1に導入される官能基の一例として以下のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。ただし、nは整数でn回の繰り返しを表す。
【0050】
【化8】

【0051】
【化9】

【0052】
また、上記以外に側鎖に脂肪族や芳香族系の官能基が導入されたものも用いてもよい。さらに以下に示す官能基を導入したものも用いてもよい。
【0053】
【化10】

【0054】
本発明のコハク酸アミドのR2とR3に導入される官能基の一例として以下のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0055】
【化11】

【0056】
【化12】

【0057】
また、上記以外に側鎖に脂肪族や芳香族系の官能基が導入されたものも用いてもよい。さらに以下に示す官能基を導入したものも用いてもよい。
【0058】
【化13】

【0059】
本発明の粒子化合物分散体において粒子化合物の前駆体(M)が環状化合物であるシクロヘキサジオン誘導体(b)またはピロリノン誘導体(b’)を例に挙げて説明する。
エステル交換にて導入される官能基のR1の一例として以下のものが挙げられる
【0060】
【化14】

【0061】
【化15】

【0062】
また、上記以外に側鎖に脂肪族や芳香族系の官能基が導入されたものも用いてもよい。さらに以下に示す官能基を導入したものも用いてもよい。
【0063】
【化16】

【0064】
本発明の粒子化合物分散体においてアミド化にて導入される官能基についてシクロヘキサジオン誘導体(b)またはピロリノン誘導体(b’)を例に挙げて説明する。R2とR3に導入される官能基の一例として以下のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0065】
【化17】

【0066】
【化18】

【0067】
また、上記以外に側鎖に脂肪族や芳香族系の官能基が導入されたものも用いてもよい。さらに以下に示す官能基を導入したものも用いてもよい。
【0068】
【化19】

【0069】
本発明の閉環反応は一般的なキノリンやピロールの合成方法を用いることができる。酸やアルカリを用いて閉環反応させたり、酸触媒を用いて加熱して閉環反応を行なってもよい。
【0070】
また、閉環反応をマイクロリアクターを用いても良い。マイクロリアクターは、一般にマイクロスケールの複数の流路を有する反応や混合装置を総称するものである。例えば、“Microreactors New Technologyfor Modern Chemistry”(Wolfgang Ehrfeld、Volker Hessel、Holger Loewe著、WILEY−VCH社、2000年発行)等に詳細に記載されている。マイクロリアクターは反応場における熱交換効率が高いため温度制御が容易で、反応温度を細かく制御できる。
【0071】
反応溶媒としては有機溶媒を用いることができる。その場合、閉環反応後陰イオン性界面活性剤で水性溶媒に分散させる際にはアルカリ性にすることが好ましい。また陽イオン性界面活性剤で水性溶媒に分散させる際には酸性にすることが好ましい。また、本発明においては閉環反応を80℃以上の高温、1MPa以上の高圧下で行なってもよい。その場合は溶媒として高温高圧水を使用することもできるが有機溶媒を用いてもよい。高温高圧水を用いた場合は、分散媒を水とする系においては有機溶媒を除去する工程が不要となる。
【0072】
有機溶媒の一例として、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、ジオキサン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルアミド、ヘキサメチルホスホロトリアミド、ピリジン、プロピオニトリル、ブタノン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、エチレングリコールジアセテート、γ−ブチロラクトン、ジフェニルエーテル等が好ましい溶剤として挙げられ、中でもジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、アセトンまたはアセトニトリルが好ましい。また、これらは1種類単独でまたは2種類以上を併用して用いることができる。
【0073】
また、閉環反応前の化合物の溶解性を増すためにアルカリや酸を添加しても良い。アルカリの一例として、アルカリ金属の水酸化物、アルカリ金属のアルコキシド、アルカリ土類金属の水酸化物、アルカリ土類金属のアルコキシド及び有機強塩基が、有機顔料の可溶化能力の高さから好ましい。具体的には、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、カリウム−tert−ブトキシド、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド等の第4級アンモニウム化合物、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウンデセン、1,8−ジアザビシクロ[4,3,0]−7−ノネン、グアニジンなどを使用することが出来るがこれらに限定するものではない。また、これらのアルカリは、1種類単独でまたは2種類以上を併用して用いることができる。
【0074】
酸としては、有機プロトン酸、無機プロトン酸を使用することが可能である。
有機プロトン酸の一例として、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸;これらがハロゲンで置換されたトリフルオロメタンスルホン酸、ペンタフルオロエタンスルホン酸、ヘプタフルオロプロパンスルホン酸、ノナフルオロブタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルシリル等のハロゲン化アルキルスルホン酸;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸等のアルキルカルボン酸;これらがハロゲンで置換されたトリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、クロロカプロン酸、ブロモカプロン酸、クロロウンデカン酸等のハロゲン化アルキルカルボン酸;安息香酸、テトラフルオロ安息香酸等の芳香族カルボン酸;ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、クロロベンゼンスルホン酸等の芳香族スルホン酸を好ましく利用することができる。
【0075】
無機酸としては、硫酸、硝酸、リン酸、ポリリン酸、塩化水素酸、過塩素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、クロロスルホン酸、フッ化水素酸が使用することができる。
また、これらの酸は、1種類単独でまたは2種類以上を併用して用いることができる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
実施例1
本実施例は反応式(2)に示すような合成ルートによって実施される。
【0077】
本実施例ではジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いたエステル化反応にてコハク酸のエステル化を行う。コハク酸10質量部をジメチルホルムアミド20質量部に溶解させ、そこに4−ジメチルアミノピリジンを2質量部入れとポリオキシエチレンラウリルエーテル45質量部を加え、0℃に冷却後DCC20質量部を添加していきエステル化を行いエステル体(a)を得る。エステル体(a)にナトリウムブトキシドを作用させてシクロヘキサジオン誘導体(b)を得る。
【0078】
シクロヘキサジオン誘導体(b)にアニリン16質量部とエタノールを10質量部を加え80℃に加熱しシクロヘキサジオン誘導体(b)とアニリンとの縮合反応を行なう。そこにp−トルエンスルホン酸を1質量部とニトロベンゼンを3重量部を加え酸化反応を行なう。得られた生成物を濾収し、エタノールで洗浄する。得られた生成物にジフェニルエーテル10質量部を加え、硫酸を0.5質量部入れ180℃に加熱する。反応系中が濃い青紫色に変化することから閉環反応が起こり粒子化合物が合成されポリオキシエチレンラウリルエーテルが脱離したことが確認される。得られるキナクリドンは閉環反応時に脱離によって生成したポリオキシエチレンラウリルエーテルが非イオン性界面活性剤の分散剤として機能しているため、分散体を水に転相後、限外ろ過にて精製することによって高濃度のキナクリドンの分散体として得られる。得られた分散体の平均粒子径は50nmである。
【0079】
得られるキナクリドンの分散体を色材顔料(C.I.Pigment Violet−19)として用い、キナクリドンの重量に対し5倍のジエチレングリコールを加え、キナクリドンの濃度が3重量%になるまでイオン交換水を加え、さらにpHを7.8に調製しインクにする。調製したインクをインクジェット用インクとして用いBJプリンターS530(キヤノン社製)のインクタンクに充填し、普通紙に記録すると文字がきれいに印字できる。
【0080】
実施例2
本実施例は実施例1と同様な合成ルートによって実施される。
本実施例では塩化チオニルを用いたアミド化反応にてコハク酸のアミド化を行なう。
【0081】
コハク酸10質量部をジメチルホルムアミドを1滴加え、塩化チオニルを22質量部加え加熱還流する。残渣を減圧留去しコハク酸塩化物を得る。オクタデシルアミンの40質量部を水40質量部に溶解した水溶液を激しく攪拌しながらコハク酸塩化物を滴下していきコハク酸アミドを得る。コハク酸アミドにナトリウムブトキシドを作用させてシクロヘキサジオン誘導体を得る。
【0082】
シクロヘキサジオン誘導体にp−トルイジン10質量部とエタノールを10質量部を加え80℃に加熱しシクロヘキサジオン誘導体(b)とアニリンとの縮合反応を行なう。そこに酢酸を1質量部と3−ニトロベンゼンスルホン酸ナトリウムを3重量部を加え酸化反応を行なう。得られた生成物を濾収し、エタノールで洗浄する。得られた生成物に水10質量部を加え懸濁液を調製し、懸濁液を20MPa、280℃の高温高圧チャンバー内を通過させる。高温高圧チャンバーから流出した流体は分散液であり、赤紫色を呈したことから閉環反応が起こり粒子化合物が合成されオクタデシルアミンが脱離したことが確認される。
【0083】
これにより粒子化合物の2,9−ジメチルキナクリドンが合成されマゼンタ色を呈する。得られる2,9−ジメチルキナクリドンは閉環反応時に脱離によって生成したオクタデシルアミンが陽イオン性界面活性剤の分散剤として機能しているため、限外ろ過にて精製し、希塩酸にてpHを4に調製し高濃度の2,9−ジメチルキナクリドンの分散体として得られる。得られる分散体の平均粒子径は60nmである。
【0084】
得られる2,9−キナクリドンの分散体を色材顔料(C.I.Pigment Red−122)として用い、2,9−キナクリドンの重量に対し5倍のジエチレングリコールを加え、2,9−キナクリドンの濃度が3重量%になるまでイオン交換水を加え、さらにpHを7.8に調製しインクにする。調製したインクをインクジェット用インクとして用いBJプリンターS530(キヤノン社製)のインクタンクに充填し、普通紙に記録すると文字がきれいに印字できる。
【0085】
実施例3
本実施例は反応式(3)に示すような合成ルートによって実施される。
本実施例では塩化チオニルを用いたアミド化方法にてコハク酸のアミド化を行なう。
【0086】
コハク酸10質量部をジメチルホルムアミドを1滴加え、塩化チオニルを22質量部加え加熱還流する。残渣を減圧留去しコハク酸塩化物を得る。N−ドデシル−β−アラニンの45質量部を水40質量部に溶解した水溶液を激しく攪拌しながらコハク酸塩化物を滴下していきコハク酸アミドを得る。
【0087】
t−アミルアルコールにカリウムt−アミルアルコキシドを溶解させ4−クロロベンゾニトリル32質量部を加え100℃に加熱する。そこにコハク酸アミドのt−アミルアルコール溶液を加える。これにより粒子化合物のジケトピロロピロールが合成され赤色を呈する。得られるジケトピロロピロールは閉環反応時に脱離によって生成したN−ドデシル−β−アラニンが両イオン性界面活性剤の分散剤として機能しているため、限外ろ過にて精製し、高濃度のジケトピロロピロールの分散体として得られる。得られる分散体の平均粒子径は50nmである。
【0088】
得られるジケトピロロピロールの分散体を色材顔料(C.I.Pigment Red−254)として用い、ジケトピロロピロールの重量に対し5倍のジエチレングリコールを加え、ジケトピロロピロールの濃度が3重量%になるまでイオン交換水を加え、さらにpHを7.8に調製しインクにする。調製したインクをインクジェット用インクとして用いBJプリンターS530(キヤノン社製)のインクタンクに充填し、普通紙に記録すると文字がきれいに印字できる。
【0089】
実施例4
本実施例は実施例3と同様な合成ルートによって実施される。
本実施例では塩化チオニルを用いたエステル化方法にてコハク酸のエステル化を行なう。
【0090】
コハク酸10質量部をジメチルホルムアミドを1滴加え、塩化チオニルを22質量部加え加熱還流する。残渣を減圧留去しコハク酸塩化物を得る。4−(p−トリル)−4−ヒドロキシブチル酸ラクトン(4−(p−tolyl)−4−hydoxybutyric acid lactone)の33質量部を水40質量部に溶解した水溶液を激しく攪拌しながらコハク酸塩化物を滴下していきコハク酸エステルを得る。
【0091】
コハク酸エステルに2−メトキシベンゾニトリル31質量部とカリウムt−アミルアルコキシド3質量部と水10質量部を加え懸濁液を調製し、懸濁液を20MPa、100℃の高温高圧チャンバー内を通過させる。高温高圧チャンバーから流出した流体は分散液であり、赤味がかった色を呈したことから閉環反応が起こり粒子化合物が合成され4−(p−トリル)−4−ヒドロキシブチル酸ラクトン(4−(p−tolyl)−4−hydoxybutyric acid lactone)が脱離したことが確認される。これにより粒子化合物のジケトピロロピロールが合成される。得られるジケトピロロピロールは閉環反応時に脱離によって生成した4−(p−トリル)−4−ヒドロキシブチル酸ラクトン(4−(p−tolyl)−4−hydoxybutyric acid lactone)が陰イオン性界面活性剤の分散剤として機能しているため、限外ろ過にて精製し、高濃度のジケトピロロピロールの分散体として得られる。本実施例では溶媒として高温高圧水を使うため有機溶媒を除去する工程を省くことができる。得られる分散体の平均粒子径は50nmである。
【0092】
実施例5
本実施例では粒子化合物の前駆体として環状化合物である1,4−シクロヘキサジオン−2,5−ジメチルエステル(1,4−cyclohexanedione−2,5−dicarboxylic acid dimethyl ester)を用いる。1,4−シクロヘキサジオン−2,5−ジメチルエステル(1,4−cyclohexanedione−2,5−dicarboxylic acid dimethyl ester)に10質量部をトルエン20質量部に溶解させ、ポリオキシエチレンセチルルエーテルを10質量部加え80度に加熱する。その際反応系中から発生するメタノールを反応系外のトラップに回収する。これにより粒子化合物の前駆体の環状化合物がエステル交換される。アニリン10質量部とエタノールを10質量部を加え80℃に加熱しシクロヘキサジオン誘導体(b)とアニリンとの縮合反応を行なう。そこにp−トルエンスルホン酸を1質量部とニトロベンゼンを3重量部を加え酸化反応を行なう。得られた生成物を濾収し、エタノールで洗浄しエステル交換された粒子化合物の前駆体を得る。エステル交換された粒子化合物の前駆体にジフェニルエーテル10質量部を加え、メタンスルホン酸を0.5質量部入れ、アニリン10質量部を加え180℃に加熱する。反応系中が濃い青紫色に変化することから閉環反応が起こり粒子化合物(c)が合成されポリオキシエチレンセチルエーテルが脱離したことが確認される。得られるキナクリドンは閉環反応時に脱離によって生成したポリオキシエチレンセチルエーテルが非イオン性界面活性剤の分散剤として機能しているため、分散体を水に転相後、限外ろ過にて精製することによって高濃度のキナクリドンの分散体として得られる。得られた分散体の平均粒子径は50nmである。
【0093】
得られるキナクリドンの分散体を色材顔料(C.I.Pigment Violet−19)として用い、キナクリドンの重量に対し5倍のジエチレングリコールを加え、キナクリドンの濃度が3重量%になるまでイオン交換水を加え、さらにpHを7.8に調製しインクにする。調製したインク分散された分散体をインクジェット用インクとして用いBJプリンターS530(キヤノン社製)のインクタンクに充填し、普通紙に記録すると文字がきれいに印字できる。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の粒子化合物分散体の製造方法は、この様な背景技術を鑑みてなされたものであり、小粒径で分散し、生成濃度を高くすることができ、低コスト化が可能なために、インクジェット記録装置用の顔料インクをはじめとする色材ならびに電子材料製造に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子化合物の前駆体から閉環反応によって粒子化合物を生成させることで分散媒中に分散剤を伴って粒子化合物が分散している粒子化合物分散体の製造方法であって、前記粒子化合物の前駆体に、閉環反応で脱離する官能基をエステル化、エステル交換もしくはアミド化により導入する工程、前記官能基を導入した粒子化合物の前駆体を閉環反応して前駆体からの粒子化合物と、官能基が脱離して生成した脱離化合物を得る工程とを有し、前記脱離化合物が閉環反応にて生成される粒子化合物の分散剤となることを特徴とする粒子化合物分散体の製造方法。
【請求項2】
前記粒子化合物の前駆体は鎖状化合物であることを特徴とする請求項1に記載の粒子化合物分散体の製造方法。
【請求項3】
前記鎖状化合物がコハク酸またはコハク酸誘導体であることを特徴とする請求項1または2に記載の粒子化合物分散体の製造方法。
【請求項4】
前記粒子化合物の前駆体は環状化合物であることを特徴とする請求項1に記載の粒子化合物分散体の製造方法。
【請求項5】
前記環状化合物がシクロヘキサジオン誘導体またはピロリノン誘導体であることを特徴とする請求項1または4に記載の粒子化合物分散体の製造方法。
【請求項6】
前記エステル化もしくはアミド化にて導入される官能基が閉環反応により脱離して生成した脱離化合物が、親油性部分と親水性部分とを有する化合物であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかの項に記載の粒子化合物分散体の製造方法。
【請求項7】
前記エステル化もしくはアミド化にて導入される官能基が閉環反応により脱離して生成した脱離化合物が、界面活性剤であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかの項に記載の粒子化合物分散体の製造方法。
【請求項8】
前記粒子化合物が顔料であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかの項に記載の粒子化合物分散体の製造方法。
【請求項9】
前記粒子化合物がキナクリドン類またはピロロピロール類であることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかの項に記載の粒子化合物分散体の製造方法。
【請求項10】
前記閉環反応が80℃以上の高温、1MPa以上の高圧下で行なわれることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかの項に記載の粒子化合物分散体の製造方法。