説明

粒子状物質を分析する方法および装置

粒子状物質を分析する方法および装置を提供する。固体粒子状物質、炭化水素および酸性種を含んでなるガスを分析する方法は、該ガスの試料を塩基性材料(52)と接触させ、該酸性種を吸収すること、入口ガスを粒子状物質に関して分析すること、および塩基性材料を離れる該ガス試料を粒子状物質に関して分析することを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒子状物質を分析する方法および装置に関し、特に本発明は、炭化水素および酸性種「酸性化学種」(例えば硫酸または硝酸)も含んでなるガス、例えば内燃機関の排ガス、中の粒子状物質を分析する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
周囲にある粒子状物質(PM)は、ほとんどの研究者により、それらの空気力学的直径(空気力学的直径とは、測定される粒子と同じ空気中沈降速度を有する1g/cm密度の球の直径として定義される)に基づき、下記の区分、すなわち
(i)PM−10−空気力学的直径10μm未満の粒子、
(ii)直径2.5μm未満の微粒子(PM−2.5)、
(iii)直径0.1μmまたは100nm未満の超微粒粒子、および
(iv)直径50nmのナノ粒子
に分類される。
【0003】
1990年代中頃以降、微粒子および超微粒子は、健康に悪影響を及ぼす可能性があるのために、内燃機関から排出される粒子状物質の粒子径分布に対する関心が益々高まっている。周囲空気中のPM−10粒子の濃度は、米国では法律によって規制されている。健康調査により、人の死亡率と2.5μm未満の微粒子の濃度との間に強い相関関係があることが分かったため、米国では1997年にPM−2.5に関する新規な周囲空気品質標準がさらに導入された。
【0004】
ディーゼルおよびガソリンから出るナノ粒子は、大きな粒子よりも、人の肺により深く浸透することが分かり、その結果、これらのナノ粒子は、研究結果から外挿して2.5〜10.0μm領域の大きな粒子よりも有害であると考えられるので、現在ではナノ粒子に関心が移っている。
【0005】
ディーゼル粒子のサイズ分布は、粒子の核形成および凝集機構に対応する十分に確立した双峰特性を有し、対応する粒子タイプは、それぞれ核モードおよび蓄積モードと呼ばれている(図1参照)。図1から分かるように、核モードでは、ディーゼルPMは、非常に小さな質量を有する多くの小粒子から構成されている。ディーゼル粒子のほとんどすべてが、1μmよりもはるかに小さなサイズを有する、すなわちこれらの粒子は、1997年の米国法律で規制される微粒子、超微粒子およびナノ粒子の混合物を含んでなる。
【0006】
核モード粒子は、ほとんどが揮発性凝縮物(炭化水素、硫酸、硝酸、等)から構成され、固体物質、例えば灰分および炭素、はほとんど含まない。蓄積モード粒子は、凝縮物および吸着された物質(重質炭化水素、硫黄化学種、酸化窒素誘導体、等)と混合された固体(炭素、金属性灰分、等)を含んでなると理解されている。粗大モード粒子は、ディーゼル燃焼過程からは発生せず、エンジンシリンダーの壁、排気機構、または粒子状物質試料採取装置から来る粒子状物質の堆積と、それに続く再混入、などの機構により形成されると考えられている。これらのモード間の関係を図1に示す。
【0007】
核形成粒子の組成は、エンジン作動条件、環境条件(特に温度および湿度)、希釈および試料採取装置条件によって変化することがある。実験室研究および理論は、核モード形成および成長のほとんどが低希釈比領域で起こることを示している。この領域では、揮発性粒子前駆物質、例えば重質炭化水素および硫酸、のガスから粒子への転化により、核モードの核形成と成長、および蓄積モード中の既存粒子上への吸着が同時に起こる。実験室試験(例えばSAE980525および2001−01−0201参照)は、核モード形成が、空気希釈温度の低下と共に大きく増加するが、湿度が影響を及ぼすか、否かには、相反する証拠がある。
【0008】
一般的に、低温、低希釈比、高湿度および長い滞留時間は、ナノ粒子の形成および成長を促進する。研究により、ナノ粒子は、主として揮発性物質、例えば重質炭化水素および硫酸、からなり、非常に高い負荷でのみ固体画分の証拠があることが分かっている。
【0009】
現在の試料採取技術のために、ディーゼルPMは、固体、例えば元素状炭素と灰分、および液体、例えば凝縮した炭化水素、水、および他の排ガス成分に由来する、例えば酸化窒素に由来する酸性種、例えば硝酸(硝酸塩)、または酸化硫黄に由来する酸性種、例えば硫酸、の両方を含むことがある。しかし、凝縮物、例えば炭化水素および酸性種、がどのような危険性を人の健康に及ぼすかの医学的調査はなされていない。この問題を調査するには、固体ナノ粒子と凝縮物ナノ粒子を区別することが望ましい。
【0010】
排ガス中の固体および凝縮ナノ粒子を区別するのに使用される先行技術による方法の一つでは、試料を「サーマルデヌーダー(denuder)」と呼ばれる装置に通す。そのようサーマルデヌーダーの、図2に示す典型的な配置は、2つの部分、すなわちガス中の揮発性画分を燃焼させる加熱部分、および非燃焼揮発分を包含する蒸発物質、および他の凝縮物、例えば硫酸滴、を吸収(分子拡散により)する木炭部分、からなる。サーマルデヌーダーの下流で検出された固体粒子状物質の量を、装置の上流で検出された粒子状物質の総量から差し引くことにより、試料中の凝縮物粒子状物質の数を求めることができる。
【0011】
サーマルデヌーダーに関する問題は、すべての凝縮物を除去できないことである。従って、試料は未知量の凝縮物を含むので、下流の固体粒子状物質の分析は、様々な結果をもたらすことがある。これには、(i)吸収が非効率的である、(ii)木炭部分が炭化水素凝縮物で飽和されるために、頻繁に再生または交換する必要がある、(iii)木炭の耐用寿命を何時超えたかを決定するのが困難である、および(iv)吸収された凝縮物が脱着し、下流に通過することがある、などの多くの理由がある。
【0012】
サーマルデヌーダーに代わる方法は、SAE982599に記載されているような加熱触媒転化装置(その文献中で「触媒ストリッパー装置」または「CSS」と呼ばれている)を使用し、「ストリッピングされた」および処理されていない希釈排ガス流中で検出された粒子の量を比較することである。しかし、触媒転化装置の詳細は記載されてなく、我々は、この触媒転化装置が揮発性炭化水素画分の一部または全部を除去できるが、この装置が例えばSOをSOに酸化することができ、これがガス中の水蒸気と結合して硫酸の滴を形成することがあるので、検出される酸性粒子状物質の量を実際に左右することがあると考えている。
【0013】
ここで我々は、先行技術の方法に関連する問題を回避または軽減する、先行技術に代わる方法を開発した。その上、特定の実施態様で、我々の方法は、粒子状物質の化学種識別(speciation)を、例えば酸性の硫酸塩および硝酸塩に由来する粒子状物質、揮発性成分に由来する粒子状物質、例えば炭化水素および固体炭素、の間で向上させることにより、研究者により高度の融通性および洞察力を提供する。
【0014】
一態様により、本発明は、固体粒子状物質、炭化水素および酸性種「酸性化学種」を含んでなるガスを分析する方法であって、該ガスの試料を塩基性材料と接触させ、該酸性種「酸性化学種」を吸収する工程、入口ガスを粒子状物質に関して分析する工程、および該塩基性材料を離れる該ガス試料を粒子状物質に関して分析する工程を含んでなる方法を提供する。
【0015】
The Chambers Dictionary of Science and Technology (W & R Chambers Ltd 1971)は、「吸収」を、ある物質が別の物質の物体中に入り込むこととして、および「吸着」を、ある物質が別の物質の表面を占めることとして定義している。疑念を回避するために、我々は、本明細書では、吸着と吸収を互換的に使用し、それに従って、吸収する、吸着する、等を解釈するものとする。
【0016】
本発明は、先行技術に対して多くの非常に有用な利点を提供する。本発明を使用することにより、分析目的に、ガスの酸性種成分を信頼性良く除去することができる。これは、酸性種を塩基性材料との化学反応により除去するので、重大な蒸気圧が無いためである。これは、ガス中の粒子状物質を除去するのではなく、例えばSOがSOに酸化され、これがガス中の水と結合し、硫酸の滴として検出されるので、その数を実際に増加させる、上記のサーマルデヌーダーおよび触媒ストリッパー装置と対照的である。
【0017】
もう一つの利点は、塩基性材料の容量がその耐用寿命の間に消耗しそうもないことである(ただし、必要であれば、公知の技術、例えば高温還元性雰囲気、により再生することはできる)。
【0018】
特別な実施態様では、本発明の方法は、
i)ガス試料を、炭化水素を酸化する触媒と接触させ、酸化触媒を離れるガス試料を粒子状物質に関して分析する工程、
ii)ガス試料を、SOからSOへの酸化に対して炭化水素を選択的に酸化する触媒(該触媒は、パラジウム、ロジウム、金、およびそれらのいずれか2種類以上の混合物からなる群から選択される)と接触させ、選択的酸化触媒を離れるガス試料を粒子状物質に関して分析する工程、
iii)ガス試料を、炭化水素を酸化する酸化触媒および酸性種を吸収する塩基性材料と接触させ、出口ガス試料を粒子状物質に関して分析する工程、および
(iv)ガス試料を、固体粒子状物質を除去する粒子状物質フィルターと接触させ、該フィルターを離れるガス試料を粒子状物質に関して分析する工程
から選択された少なくとも一つの追加工程を含んでなる。
【0019】
未処理ガスを各成分上に通して得た結果を比較することにより、研究者は、(どの追加工程を使用するかに応じて)PM−10、PM−2.5、超微粒子およびナノ粒子のどの画分が、組合せ中の酸性種、炭化水素および固体粒子状物質であるかを決定することができる。
【0020】
別の実施態様では、工程i)を、入口ガスを粒子状物質に関して分析する工程と、ガス試料を塩基性材料と接触させる工程との間に挿入する。すなわち、ガス試料を酸化触媒の上流と下流の両方で分析し、酸化触媒を離れるガス試料を塩基性材料の上に通し、続いてガス試料を再度分析する。
【0021】
本明細書で定義する「酸性種(酸性化学種)」は、酸化窒素および酸化硫黄に由来する粒子状物質または粒子状前駆物質を包含し、二酸化硫黄、三酸化硫黄、一酸化窒素、二酸化窒素、硝酸および硫酸が挙げられる。
【0022】
一実施態様では、工程iii)の塩基性材料が酸化触媒と共存する。しかし、特別な実施態様では、酸化触媒の少なくとも一部が塩基性材料の上流に配置される。これは、酸化触媒が、排ガス中の二酸化硫黄(SO)を三酸化硫黄(SO)に酸化できるためである。SOは、ガス中のHOと結合し、硫酸(HSO)滴を発生させることができ、この滴が粒子状物質として検出されることがある。そのため、酸性硫酸塩吸収体を酸化触媒の下流に配置し、酸化触媒の上で発生したすべてのHSOを吸収し、この実施態様により、HSOが、ガス中の固体粒子状物質だけを検出する目的を全く妨害しないようにするのが望ましい。
【0023】
粒子状物質フィルターは、特定の微粒度までのPMを除去することができるすべてのフィルターでよく、細孔径もそれに応じて選択することができる。無論、固体粒子をガス試料から選択的に除去し、下流で分析し、特定微粒度(フィルターの多孔度によって選択される)を有する非固体粒子または非固体粒子と固体粒子を検出できるようにするには、フィルターを、重質炭化水素が蒸気相に止まるのに十分に高い温度、例えば>300℃、に維持すべきである。これは、電気的に加熱される素子をフィルターの上流に備えるか、またはその素子をフィルター材料自体の中に一体化させることにより、行うことができる。典型的には、フィルターはセラミックウォール−フロ−フィルターであるが、金属フィルターも使用でき、無論、金属フィルターの方がより容易に加熱される。
【0024】
様々な方法を使用し、各分析から得たデータを処理することができる。例えば、一実施態様では、未処理ガスの分析から得た粒子状物質の分析値を、該または各下流分析から得た対応する値と比較する。(分析された「値」は、どのような所望の検出可能なパラメータ、例えばガス中粒子状物質の質量、ガス中粒子状物質の数および/またはガス中粒子状物質の表面積、でもよい。好適な計器を使用し、これらの値のいずれかを粒子径の関数(図1参照)として測定することができる。)
【0025】
別の実施態様では、未処理ガスから除去した成分に対応する、これらの分析値に対する正味値は、該または各下流分析から得た値を、未処理ガスの分析から得た対応する値から差し引くことにより、得られる。例えば、本方法により、未処理ガス中の総粒子状物質を分析し、酸性種吸収体と酸化触媒の組合せを離れるガス中で検出された粒子状物質の値に関する分析値を差し引くことにより、酸性種および炭化水素粒子状物質に関する値を得ることができる。
【0026】
ガス中の粒子状物質を分析する方法は、例えば大気による希釈を模擬するために、ガスを希釈する工程を包含することができ、これは一つ以上の、一連の希釈で行うことができる。本発明の方法で希釈工程を使用する場合、一実施態様では、ガスを、塩基性材料と接触させる前に希釈する。
【0027】
一実施態様では、ガスは、内燃機関、例えばガソリンまたはディーゼルエンジン、の排ガスである。
【0028】
特別な実施態様では、本発明の方法の分析工程は、ガス中の固体粒子状物質、例えば固体のナノ粒子、の測定を含んでなる。
【0029】
分析手段は、いずれかの好適な分析計器、例えば示差移動度分析装置、走査移動度粒子径測定装置または凝縮粒子計数器、または他の好適な技術、を含んでなることができる。
【0030】
別の態様により、本発明は、固体粒子状物質、炭化水素および酸性種(酸性化学種)を含んでなるガスを分析する装置であって、酸性種(酸性化学種)を吸収する塩基性材料を含んでなる第一構成部、入口ガスを粒子状物質に関して分析する手段、および第一構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段を備えてなる装置を提供する。
【0031】
典型的には、本発明で使用する塩基性材料は、酸性種、例えば酸化窒素および酸化硫黄およびそれらの誘導体、を吸収することが分かっている元素の化合物である。これらの材料には、アルカリ金属、例えばカリウムおよびセシウム、の化合物、アルカリ土類金属、例えばバリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはマグネシウム、の化合物、あるいは希土類金属、例えばランタンまたはイットリウム、の化合物が挙げられる。あるいは、これらの化合物いずれか2種類以上の混合物、例えばバリウムとセシウムの混合物、を使用できる。一般的に、これらの化合物(酸性の硫黄または窒素含有成分の吸収前)は、上記の元素の一種以上の酸化物であるが、水酸化物または炭酸塩としても存在できる。
【0032】
一実施態様では、本発明で使用する装置は、入口ガスを分析する手段の下流に配置された第二構成部を備えてなり、該第二構成部は、酸性種を吸収する塩基性材料(上記のような)および炭化水素を酸化する酸化触媒および第二構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段を備えてなる。
【0033】
別の実施態様では、本装置は、入口ガスを分析する手段の下流に配置された第三の構成部を備えてなり、該第三構成部は、固体粒子状物質を除去する粒子状物質フィルターおよび第三構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段を備えてなる。
【0034】
別の実施態様では、本装置は、入口ガスを分析する手段の下流に配置された第四の構成部を備えてなり、該第四構成部は、炭化水素を酸化する酸化触媒および第四構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段を備えてなる。
【0035】
第二および第四構成部と共に使用する酸化触媒は、典型的には白金、または遷移金属、例えばマンガン、ニッケル、鉄またはコバルト、の少なくとも一種を含んでなる。あるいは、PGMおよび/または遷移金属のいずれか2種類以上の混合物、例えば白金とマンガンの混合物、鉄とコバルトの混合物または白金とパラジウムの混合物、も使用できる。そのような酸化触媒は、一般的には炭化水素から二酸化炭素と水への酸化を促進するが、酸性種の酸化、例えば一酸化窒素(NO)から二酸化窒素(NO)および二酸化硫黄(SO)から三酸化硫黄(SO)、も促進することができる。この理由から、第二構成部の特別な配置では、酸化触媒の少なくとも一部を塩基性材料の上流に配置し、酸性種、例えばNOおよびSO、がその上に吸収されるようにすることである。別の配置では、酸化触媒および塩基性材料が共存する。
【0036】
好ましい一実施態様では、酸化触媒は、アルミナ上に担持された白金を含んでなる。
【0037】
別の実施態様では、本装置は、入口ガスを分析する手段の下流に配置された第五の構成部を備えてなり、該第五構成部は、SOからSOへの酸化に対して炭化水素を酸化する酸化触媒(該触媒は、パラジウム、ロジウム、金、およびそれらのいずれか2種類以上の混合物からなる群から選択される)、および該第五構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段を備えてなる。この実施態様は、熟練した技師に、出口ガスで分析する粒子状物質を選択するためのさらなる手段を与える。
【0038】
通常通り、酸化触媒および塩基性材料は、アルミナ、チタニア、シリカ、セリア、ジルコニア、無定形シリカ−アルミナ、およびゼオライト、およびそれらのいずれか2種類以上の混合物、混合酸化物および複合酸化物から選択された、少なくとも一種の担体を含んでなる。本明細書で、「複合酸化物」とは、少なくとも2種類の元素からなる真の混合酸化物ではない、少なくとも2種類の元素の酸化物を含んでなる、大部分が無定形の酸化物材料を意味する。
【0039】
本装置の各構成部の活性を最適化するために、調節可能な変数には、触媒/吸収体部分の長さ、通路寸法、および特性(例えば表面積)が挙げられる。
【0040】
担体材料は、それぞれ触媒による酸化または塩基性材料上での吸収を意図していない化学種の吸着を最小に抑えるように選択し、それによって下流における分析の精度を改良することができる。例えば炭化水素の塩基性材料への吸着を阻止するために、低多孔度担体を選択することができる。そのような担体は、アルミナの、例えばガンマの代わりにアルファ、シータまたはデルタの低表面積相を含むことができる。
【0041】
一般的に、酸化触媒および/または塩基性材料は、モノリシック基材、例えば金属またはセラミック材料、上に担持される。一実施態様では、第二構成部の酸化触媒および塩基性材料は、単一のモノリシック基材上に、それぞれ別の区域で担持される。あるいは、酸化触媒および塩基性材料が共存する場合、これらの材料は、モノリシック基材上の異なった層中または同じ担体材料上に担持することができる。
【0042】
塩基性材料および/または酸化触媒は、塩基性材料および/または酸化触媒を最適活性に望ましい温度に加熱するための手段を包含することができる。好適な加熱手段が、バッテリーまたは電源変圧器を備えてなる外部電源を包含するか、あるいは流入ガスの温度が、構成部を所望の温度に加熱するのに十分である場合もある。電気加熱を使用する場合、特別な実施態様では、モノリシック基材が好適な素子および接続端子を包含する。別の実施態様では、本発明の装置は、最適な装置温度を確保するために、担持された材料の温度を検出するための手段、例えば熱電対、を備えてなる。
【0043】
典型的な酸性種吸収体、例えばアルミナ上に担持されたBaO、に好適な作動温度は350〜500℃、例えば400〜450℃である。アルミナ上白金の酸化触媒は、例えば75gft−3装填量で、揮発性炭化水素を酸化するのに約300℃以上で、例えば500℃まで、例えば350〜450℃で活性である。
【0044】
典型的には、該または各モノリシック基材は、反応器缶またはハウジング中に配置され、好適な分析手段により検出するガス試料流を受け入れるためのライン中に挿入される。
【0045】
本発明をより深く理解するために、以下に添付の図面を参照しながら、実施態様を説明する。
【0046】
図2に示す図に関して、先行技術のサーマルデヌーダー10は、直列に配置された2個の反応器缶12、14の内部に配置された直径20mmのステンレス鋼製導管11を備えてなる。反応器缶12は、細かい砂18および絶縁材料20により取り囲まれた、電気加熱コイル16を包含する加熱部分を備えてなる。反応器缶14は、ステンレス鋼製のガーゼを包含する冷却部分を備えてなる。ガーゼおよび缶14の内側表面により限定される空間は、活性炭24で充填されている。各缶12、14は、長さが約500mmである。
【0047】
サーマルデヌーダー10は、ガスが加熱部分から冷却部分に、入口26および出口28を経由して流れるように配置されている。ガスは、サーマルデヌーダー10の上流および下流にある好適な分析計器(図には示していない)を使用して試料採取するか、または出口28の下流に単一のガス試料採取口を配置し、処理および未処理ガス試料を比較するためにサーマルデヌーダーバイパスを設置することができる。
【0048】
図3に関して、本発明の装置50の一実施態様を図式的に示すが、そこでは52が、酸性種を吸収するための、粒子状アルミナ上に担持された酸化バリウムのウォッシュコートで被覆された(500gft−3)、400セル/平方インチ(cpsi)(62セルcm−2)フロースルーセラミックモノリシック基材を含んでなる反応器缶であり、54が、粒子状アルミナ上に白金(75gft−3)を含んでなる酸化触媒組成物で被覆された、400(62セルcm−2)cpsiフロースルーセラミックモノリシック基材を含んでなる反応器缶であり、56が、酸化バリウムおよび白金、すなわち酸化触媒と酸性種吸収体の組合せ、を担持する粒子状アルミナを含んでなるウォッシュコートで被覆された、400cpsi(62セルcm−2)フロースルーセラミックモノリシック基材を含んでなる反応器缶であり、58が、直径>2.5μmの粒子状物質を排ガスから捕獲するための、400cpsi(62セルcm−2)セラミックウォール−フロ−フィルターを含んでなる反応器缶である。
【0049】
各構成部52、54、56、58は、ステンレス鋼製チューブを使用してガス供給入口60および出口62に接続されている。ガス供給入口60は、好適なガス処理手段(図には示していない)から試料採取するために、ガス供給、例えば希釈されたガス、を受け取る。
【0050】
各構成部52、54、56、58を接続するステンレス鋼製チューブは、各構成部52、54、56、58がガス供給部から隔離されるように、気密バルブを包含する。
【0051】
分析装置64、例えば示差移動度分析装置または走査移動度粒子径測定装置、は、未処理ガスを構成部52、54、56、58の上流から試料口66を経由して受け取る。
【0052】
装置50中のバルブ配置は、ガスが入口60から出口62に、所望により構成部52、54、56または58を経由して流れ、ガス試料が下流の試料採取口68で抽出され、分析装置64に送られるように、切り換えることができる。従って、未処理ガスおよび構成部53、54、56または58で処理されたガスで検出された粒子状物質間で比較することができる。
【0053】
別の配置は、単一のガス試料採取口68、および構成部52、54、56、58のすべてをバイパスさせるためのバイパスループを使用し、未処理ガスを分析するためのガス試料、次いで構成部52、54、56、58を所望により切り換え、分析されたバイパスされた試料と比較することができる。
【0054】
第一〜第五構成部を使用する本発明の装置で可能な化学種識別を表1に示す。入口から各構成部における希釈されたディーゼル排ガス試料は、固体粒子状物質(PM)、炭化水素の可溶性有機画分(SOF)および二酸化硫黄(SO)を含む。
【0055】

構成 代表的な 出口ガス中で予想される粒子状物質成分
部品 組成物 PM SOF SO
第一 BaO/Al 有り 有り 無し
第二 Pt/BaO/Al 有り 無し 無し
第三 コージーライト 無し 有り 有り
粒子状フィルター
第四 Pt/Al 有り 無し 有り
第五 Pd/Al 有り 無し 無し
フィルターの多孔度によって異なる。
Pdは、SOF酸化に関してPt程活性ではないので、ある程度のHC化学種が触媒をすり抜けることがある。
Pdは、約250℃までの温度で、SO酸化よりもSOF酸化に対して選択的である(国際特許第WO99/36162号明細書参照)。
【0056】
例えば、第一、第二、第三および第四構成部を備えてなる装置により、ガス試料中の下記の粒子状物質、すなわち固体粒子状物質(入口ガス分析を、第三構成部の出口から来るガス試料と比較することにより)、SOF(入口ガス試料を分析し、それを第四構成部の出口から来るガスの分析と比較することにより)およびSO(第三および第四構成部の出口から来るガス試料の分析の差を、第一構成部の出口から来るガス試料の分析と組み合わせることにより)の含有量に関する詳細を得ることができる。
【0057】
下記の例は例示のためにのみ記載する。
【0058】

軽負荷ディーゼル車両の排ガス流中にある核モード粒子の性質を、図3に示す装置を使用して検査した。粒子状物質化学種識別装置(PMSS)と呼ばれる装置は、個別の構成部、下記の市販されている部品、すなわちディーゼル酸化触媒(アルミナ上の(DOC)Pt)と硫黄トラップの組合せ、DOC(2種類の異なった処方物、すなわち粒子状アルミナ上に担持された白金触媒、および粒子状チタニア上に担持された白金触媒、を試験した)、硫黄トラップ自体、および市販のディーゼル粒子状物質フィルターを包含する。各触媒またはトラップ処方物を個別のフロースルーモノリス(34mmODx110mm長さ)上に塗布し、4個の構成部すべてを金属缶の中に挿入し、電気的に加熱される素子を含んでなる加熱テープ取り付けた。DOCと硫黄トラップを組み合わせる場合、2つの構成部をDOC部分と共に硫黄トラップの上流に配置した。各缶は、所望の温度に加熱し、揮発性化合物を蒸発させた(T>300℃)。
【0059】
排ガス試料を、先ず標準的な一定体積試料採取(Constant Volume Sampling)(CVS)希釈装置を使用して希釈し、次いで、各PMSS構成部に、試料を必要な温度に加熱し、揮発性物質を効率的に蒸発させ、触媒転化を促進するのに十分な滞留時間を与える流量で流した。出口ガス試料を銅製コイル中で冷却し、次いで粒子測定計器中に通した。粒子径および数は走査移動度粒子径測定装置(SMPS)を使用して測定した。
【0060】
車両の試験は、同じ市販の触媒作用を付与した煤フィルターを取り付けた、TDi2.5リットルディーゼル車両およびTDi1.9リットルディーゼル車両に対して行った。試験は、低硫黄分(<4ppm)、および高硫黄レベルは核形成に好ましい場合があるので、高硫黄分(350ppm)燃料の両方を使用して行った。両車両共、硫黄含有潤滑油を使用したが、これも核形成に寄与することがある。Euro III走行サイクル(アイドリング、30、50、70、120km/h)を代表する速度での定常状態エンジン条件を選択し、粒子の核形成を促進することが報告されているので、高速度条件に特に注意した。
【0061】
120km/hで行った試験から得た結果を図4〜9に示すが、そこではSMPS測定を、2.5リットル車両(図4および5)および1.9リットルTDi車両(図8および9)に対して、車両速度120km/hにおける、粒子の数濃度と粒子径(電気的移動度直径)に関して報告する。PMSSの化学種識別を比較するためのさらなる試験を図6および7に示すが、そこでは2.5リットル車両のCSFを裸のフィルター基材と交換している。120km/h基準として示す未処理排ガスの測定(PMSS無し)を左側の軸にlog尺度で示し、各PMSS構成部による測定を右側の軸に一次尺度で示し、図8を除くすべてで粒子径分布の差ならびに数放出物濃度をより鮮明に強調している。各試験前のCVSバックグラウンドの測定も報告する。
【0062】
図4から、PMSSにより、核モードピークが粒子径10〜20nmに対して約3等級、および30nmに対して2等級低下し、分布がより大きな粒子径に移行し、約60nmにピークがあることが分かる。特に、アルミナ系DOCは、検出される粒子状物質をチタニア系DOCおよび他のPMSS構成部よりも減少させることが分かるが、我々は、これは、アルミナ系DOCが揮発性炭化水素に対してより優れた酸化触媒であるためであると考えている。アルミナ系DOCと硫黄トラップの組合せで類似の減少が何故見られなかったのかに関してさらなる試験を行っているが、組み合わせたDOCと硫黄トラップおよび硫黄トラップ自体の性能は、互いに類似していることが分かる。数による収集効率は、測定したすべての粒子径に対して98%を超えており、10〜20nmに関してはほとんど100%である(図5)。
【0063】
図6に示す比較試験結果に関して、未処理排ガス粒子径分布は、約80〜100nmに10#/cmのオーダーの値を有するピークがある凝集モードを特徴とする。PMSSにより、放出物粒子数は、DOC(アルミナ上Pt)およびフィルターにより、蓄積モードで2等級減少し、DOCと硫黄トラップの組合せおよび硫黄トラップ自体を使用した場合にはさらに大きな減少が観察される。さらに、ナノ粒子(10〜30nm)は、PMSS構成部を使用する場合に、1等級以上減少する。数による収集効率と粒子径の関係を図7に示すが、PMSSのすべての構成部に対して10〜15nmで約95%であり、50〜60nmでは、組合せDOCと硫黄トラップおよび硫黄トラップ自体で約80%であり、DOCとフィルターでは50〜60nmで70%である。DOCと硫黄トラップの組合せおよび硫黄トラップ自体で、収集効率は粒子径100〜300nmで90〜100%である。
【0064】
図8および9に示す結果は、核モードで、PMSS装置を使用すると大幅な減少が再度観察され、放出物数がDOC(アルミナ上Pt)により2等級以上減少し、DOCと硫黄トラップの組合せを使用すると、10nmでさらに減少することを示している。重大なのは、PMSS構成部を使用した場合に、蓄積モードでも減少が見られることである(1等級)。燃料の硫黄含有量に差があるために、2車両間で粒子径分布にある程度の差があると予想されるが、潤滑油中の硫黄もこれらの結果に寄与していることが示唆される。
【0065】
これらの結果は、本発明のPMSS装置が、ディーゼルエンジンの排ガス中に見られる排ガス粒子間で化学種識別できることを示している。特に、未処理排ガス流に関する粒子径分布における核モードが、両車両に対するすべての試験で120km/hで一貫して観察された。図4および8に示すように、10(#/cm)のオーダーの、高い数のナノ粒子がSMPSで測定され、粒子径分布のピークが約10〜20nmにある。CSFを裸の基材に交換した試験は、80〜100nmのより大きな粒子への、粒子径分布の移行を示した(図6参照)。
【0066】
PMSSは、希釈された排ガスを各構成部に通した時に、ナノ粒子放出物を減少させるのに特に有効である。特に、PMSSの一構成部を1回に使用した場合に、粒子径分布の形状ならびに数濃度の差を観察することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】図1は、ディーゼル排ガス試料中の標準的な粒子状物質濃度と粒子状物質直径の関係を示すプロットである。
【図2】図2は、先行技術のサーマルデヌーダーを図式的に示す図である。
【図3】図3は、本発明の分析計器を図式的に示す図である。
【図4】図4は、350ppm硫黄を含む燃料を使用する、触媒作用を付与した煤フィルターを取り付けた2.5リットルディーゼル車両の120km/hにおける、装置構成部の放出物粒子数および粒子径に対する効果を示すグラフである。
【図5】図5は、図4に示す結果に関する、収集効率を数(%)対粒子径で示すグラフである。
【図6】図6は、350ppm硫黄を含む燃料を使用し、排気機構中のCSFを裸のフィルター基材に置き換えた、図4の2.5リットルTDiディーゼル車両から120km/hで出る放出物の粒子数および粒子径に対する装置構成部の効果を示すグラフである。
【図7】図7は、図6に示す結果に関する、収集効率を数(%)対粒子径で示すグラフである。
【図8】図8は、触媒作用を付与した煤フィルターを取り付け、4ppm硫黄燃料で走行する、1.9リットルTDiディーゼル車両に対する、120km/hでの典型的な粒子径分布および数濃度測定を示すグラフ(log尺度)である。
【図9】図9は、図8に示す結果の別の表示であるが、本発明の装置を使用して得た結果を直線的一次で示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子状物質、炭化水素および酸性種を含んでなるガスを分析する方法であって、
前記ガスの試料を塩基性材料と接触させ、前記酸性種を吸収し、
前記入口ガスを粒子状物質に関して分析し、および
前記塩基性材料を離れる前記ガス試料を粒子状物質に関して分析する、各工程を含んでなる、方法。
【請求項2】
i) 前記ガス試料を、炭化水素を酸化する触媒と接触させ、かつ、前記酸化触媒を離れる前記ガス試料を粒子状物質に関して分析すること、
ii) 前記ガス試料を、SOからSOへの酸化に対して前記炭化水素を選択的に酸化する触媒と接触させ、ここで、前記触媒が、パラジウム、ロジウム、金、およびそれらのいずれか2種類以上の混合物からなる群から選択されるものであり、かつ、前記選択的酸化触媒を離れる前記ガス試料を粒子状物質に関して分析すること、
iii) 前記ガス試料を、前記炭化水素を酸化する酸化触媒および前記酸性種を吸収する塩基性材料と接触させ、かつ、出口ガス試料を粒子状物質に関して分析すること、および
iv) 前記ガス試料を、固体粒子状物質を除去する粒子状物質フィルターと接触させ、前記フィルターを離れる前記ガス試料を粒子状物質に関して分析すること、から選択された少なくとも一つの追加工程を含んでなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程i)が、前記入口ガスを粒子状物質に関して分析する工程と、前記ガス試料を前記塩基性材料と接触させる工程との間に挿入される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
工程iii)で、前記未処理ガス試料が前記酸化触媒と接触してから、前記塩基性材料と接触する、請求項2または3に記載の方法。
【請求項5】
工程iii)で、前記ガス試料が、前記酸化触媒および前記塩基性材料と同時に接触する、請求項2〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記試料の分析から得た粒子状物質の分析値を、前記または各下流の分析から得た対応する値と比較する工程を含んでなる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記未処理ガスから除去された成分に対応する前記分析値に対する正味値を、前記または各下流の分析から得た値を前記試料の分析から得た前記対応する値から差し引くことにより得る工程を含んでなる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
各分析工程が、前記ガス中の粒子状物質の質量値を測定する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
各分析工程が、前記ガス中の粒子状物質の数値を測定する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各分析工程が、前記ガス中の粒子状物質の表面積値を測定する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
各分析工程が、前記値を粒子径の関数として測定する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
各分析工程が、前記ガス中のナノ粒子を測定することを含んでなる、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記試料が、分析すべき前記ガスの希釈物である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ガスが、内燃機関の排ガスである、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記排ガスがディーゼルエンジンである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
酸性種が、二酸化硫黄、三酸化硫黄、一酸化窒素、二酸化窒素、硫酸および硝酸の少なくとも一種を包含する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
固体粒子状物質、炭化水素および酸性種を含んでなるガスを分析する装置であって、
前記酸性種を吸収する塩基性材料を含んでなる第一構成部と、
前記入口ガスを粒子状物質に関して分析する手段と、および
前記第一構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段とを備えてなる、装置。
【請求項18】
前記入口ガスを分析する手段の下流に配置された第二構成部を備えてなり、
前記第二構成部が、前記酸性種を吸収する塩基性材料と、および炭化水素を酸化する酸化触媒と、および前記第二構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段とを備えてなる、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記酸化触媒が前記塩基性材料の上流にある、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記塩基性材料が前記酸化触媒と共存する、請求項18または19に記載の装置。
【請求項21】
前記入口ガスを分析する手段の下流に配置された第三構成部を備えてなり、
前記第三構成部が、固体粒子状物質を除去する粒子状物質フィルターと、および前記第三構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段とを備えてなる、請求項17〜20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
前記入口ガスを分析する手段の下流に配置された第四構成部を備えてなり、
前記第四構成部が、炭化水素を酸化する酸化触媒と、および前記第四構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段とを備えてなる、請求項17〜21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記第四構成部の出口ガスが、前記入口ガスを分析する手段の下流にある前記第一構成部の前記入口に供給される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記入口ガスを分析する手段の下流に配置された第五構成部を備えてなり、
前記第五構成部が、SOからSOへの酸化に対して炭化水素を酸化する酸化触媒と、ここで、前記触媒が、パラジウム、ロジウム、金、およびそれらのいずれか2種類以上の混合物からなる群から選択されてなるものであり、および
前記第五構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段とを備えてなる、請求項17〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記または各分析手段が、前記ガス中の粒子状物質の質量値を測定する、請求項17〜24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記または各分析手段が、前記ガス中の粒子状物質の数値を測定する、請求項17〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記または各分析手段が、前記ガス中の粒子状物質の表面積値を測定する、請求項17〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記または各分析手段が、前記値を粒子径の関数として測定する、請求項17〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記または各分析手段が、前記ガス中のナノ粒子を測定する、請求項17〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記または各分析手段が、示差移動度分析装置、走査移動度粒子径測定装置、および凝縮粒子計数器からなる群から選択される、請求項17〜29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記塩基性材料が、アルカリ金属の化合物、アルカリ土類金属の化合物、希土類金属の化合物、またはそれらのいずれか2種類以上の混合物を含んでなる、請求項17〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記アルカリ金属がカリウムまたはセシウムである、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記アルカリ土類金属がバリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはマグネシウムである、請求項31に記載の装置。
【請求項34】
前記希土類金属がランタンまたはイットリウムである、請求項31に記載の装置。
【請求項35】
前記酸化触媒が、白金、またはマンガン、ニッケル、鉄、コバルトおよびそれらのいずれか2種類以上の混合物からなる群から選択された少なくとも一種の遷移金属を含んでなる、請求項22に記載の装置。
【請求項36】
前記塩基性材料および、存在する場合、前記酸化触媒が、アルミナ、チタニア、シリカ、セリア、ジルコニア、無定形シリカ−アルミナ、ゼオライト、およびそれらのいずれか2種類以上の混合物、混合酸化物および複合酸化物からなる群から選択された担体上に担持されている、請求項17〜35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記塩基性材料および/または酸化触媒が、モノリシック基材上に担持されている、請求項17〜36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記モノリス基材がセラミックモノリス基材である、請求項37に記載の装置。
【請求項39】
前記モノリシック基材を所望の温度に加熱する手段をさらに備えてなる、請求項37または38に記載の装置。
【請求項40】
前記モノリシック基材の温度を検出するための手段、例えば熱電対、をさらに備えてなる、請求項37〜39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記または各モノリシック基材が反応器缶またはハウジング中に配置される、請求項37〜40のいずれか一項に記載の装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体粒子状物質、炭化水素および酸性種を含んでなるガスを分析する方法であって、
前記ガスの試料を、アルカリ金属の化合物、アルカリ土類金属の化合物、希土類金属の化合物、またはそれらのいずれか2種類以上の混合物を含んでなる塩基性材料と接触させ、前記酸性種を吸収し、
前記入口ガスを粒子状物質に関して分析し、および
前記塩基性材料を離れる前記ガス試料を粒子状物質に関して分析する、各工程を含んでなる、方法。
【請求項2】
前記塩基性材料の温度が、350℃〜500℃であり、必要に応じて400℃〜450℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
(i) 前記ガス試料を、炭化水素を酸化する触媒と接触させ、かつ、前記酸化触媒を離れる前記ガス試料を粒子状物質に関して分析すること、
(ii) 前記ガス試料を、SOからSOへの酸化に対して前記炭化水素を選択的に酸化する触媒と接触させ、ここで、前記触媒が、パラジウム、ロジウム、金、およびそれらのいずれか2種類以上の混合物からなる群から選択されるものであり、かつ、前記選択的酸化触媒を離れる前記ガス試料を粒子状物質に関して分析すること、
(iii) 前記ガス試料を、前記炭化水素を酸化する酸化触媒および前記酸性種を吸収する塩基性材料と接触させ、かつ、出口ガス試料を粒子状物質に関して分析すること、および
(iv) 前記ガス試料を、固体粒子状物質を除去する粒子状物質フィルターと接触させ、前記フィルターを離れる前記ガス試料を粒子状物質に関して分析すること、から選択された少なくとも一つの追加工程を含んでなる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
工程i)が、前記入口ガスを粒子状物質に関して分析する工程と、前記ガス試料を前記塩基性材料と接触させる工程との間に挿入される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
工程iii)で、前記未処理ガス試料が前記酸化触媒と接触してから、前記塩基性材料と接触する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
工程iii)で、前記ガス試料が、前記酸化触媒および前記塩基性材料と同時に接触する、請求項3〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記試料の分析から得た粒子状物質の分析値を、前記または各下流の分析から得た対応する値と比較する工程を含んでなる、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記未処理ガスから除去された成分に対応する前記分析値に対する正味値を、前記または各下流の分析から得た値を前記試料の分析から得た前記対応する値から差し引くことにより得る工程を含んでなる、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
各分析工程が、前記ガス中の粒子状物質の質量値を測定する、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
各分析工程が、前記ガス中の粒子状物質の数値を測定する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
各分析工程が、前記ガス中の粒子状物質の表面積値を測定する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
各分析工程が、前記値を粒子径の関数として測定する、請求項9〜11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
各分析工程が、前記ガス中のナノ粒子を測定することを含んでなる、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記試料が、分析すべき前記ガスの希釈物である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ガスが、内燃機関の排ガスである、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記排ガスがディーゼルエンジンである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
酸性種が、二酸化硫黄、三酸化硫黄、一酸化窒素、二酸化窒素、硫酸および硝酸の少なくとも一種を包含する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
固体粒子状物質、炭化水素および酸性種を含んでなるガスを分析する装置であって、
前記酸性種を吸収する、アルカリ金属の化合物、アルカリ土類金属の化合物、希土類金属の化合物、またはそれらのいずれか2種類以上の混合物を含んでなる塩基性材料を含んでなる第一構成部と、
前記入口ガスを粒子状物質に関して分析する手段と、および
前記第一構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段とを備えてなる、装置。
【請求項19】
使用において、前記塩基性材料の温度を、350℃〜500℃の範囲内に、必要に応じて400℃〜450℃の範囲内に維持する手段を備えてなる、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記入口ガスを分析する手段の下流に配置された第二構成部を備えてなり、
前記第二構成部が、前記酸性種を吸収する塩基性材料と、および炭化水素を酸化する酸化触媒と、および前記第二構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段とを備えてなる、請求項17に記載の装置。
【請求項21】
前記酸化触媒が前記塩基性材料の上流にある、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記塩基性材料が前記酸化触媒と共存する、請求項20又は21に記載の装置。
【請求項23】
前記入口ガスを分析する手段の下流に配置された第三構成部を備えてなり、
前記第三構成部が、固体粒子状物質を除去する粒子状物質フィルターと、および前記第三構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段とを備えてなる、請求項18〜22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記入口ガスを分析する手段の下流に配置された第四構成部を備えてなり、
前記第四構成部が、炭化水素を酸化する酸化触媒と、および前記第四構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段とを備えてなる、請求項18〜23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記第四構成部の出口ガスが、前記入口ガスを分析する手段の下流にある前記第一構成部の前記入口に供給される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
前記入口ガスを分析する手段の下流に配置された第五構成部を備えてなり、
前記第五構成部が、SOからSOへの酸化に対して炭化水素を酸化する酸化触媒と、ここで、前記触媒が、パラジウム、ロジウム、金、およびそれらのいずれか2種類以上の混合物からなる群から選択されてなるものであり、および
前記第五構成部の出口ガスを粒子状物質に関して分析する手段とを備えてなる、請求項18〜25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
前記または各分析手段が、前記ガス中の粒子状物質の質量値を測定する、請求項18〜26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
前記または各分析手段が、前記ガス中の粒子状物質の数値を測定する、請求項18〜27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記または各分析手段が、前記ガス中の粒子状物質の表面積値を測定する、請求項18〜28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記または各分析手段が、前記値を粒子径の関数として測定する、請求項18〜29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記または各分析手段が、前記ガス中のナノ粒子を測定する、請求項18〜30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記または各分析手段が、示差移動度分析装置、走査移動度粒子径測定装置、および凝縮粒子計数器からなる群から選択される、請求項18〜31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記アルカリ金属がカリウムまたはセシウムである、請求項18〜32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記アルカリ土類金属がバリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはマグネシウムである、請求項18〜33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記希土類金属がランタンまたはイットリウムである、請求項18〜34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記酸化触媒が、白金、またはマンガン、ニッケル、鉄、コバルトおよびそれらのいずれか2種類以上の混合物からなる群から選択された少なくとも一種の遷移金属を含んでなる、請求項24に記載の装置。
【請求項37】
前記塩基性材料および、存在する場合、前記酸化触媒が、アルミナ、チタニア、シリカ、セリア、ジルコニア、無定形シリカ−アルミナ、ゼオライト、およびそれらのいずれか2種類以上の混合物、混合酸化物および複合酸化物からなる群から選択された担体上に担持されている、請求項18〜36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記塩基性材料および/または酸化触媒が、モノリシック基材上に担持されている、請求項18〜37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
前記モノリス基材がセラミックモノリス基材である、請求項38に記載の装置。
【請求項40】
前記モノリシック基材を所望の温度に加熱する手段をさらに備えてなる、請求項38または39に記載の装置。
【請求項41】
前記モノリシック基材の温度を検出するための手段、例えば熱電対、をさらに備えてなる、請求項38〜40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
前記または各モノリシック基材が反応器缶またはハウジング中に配置される、請求項38〜41のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2006−524812(P2006−524812A)
【公表日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506199(P2006−506199)
【出願日】平成16年4月27日(2004.4.27)
【国際出願番号】PCT/GB2004/001832
【国際公開番号】WO2004/097400
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(590004718)ジョンソン、マッセイ、パブリック、リミテッド、カンパニー (152)
【氏名又は名称原語表記】JOHNSON MATTHEY PUBLIC LIMITED COMPANY
【Fターム(参考)】