粒子移動型表示装置、およびその駆動方法
【課題】表示面を見通させる表示を行う直前の表示階調とは無関係に再現性高く隔壁へ帯電粒子を集めて、表示面を見通させる表示の再現性と、表示のメモリ性とを高める。
【解決手段】隔壁6で囲まれた移動空間16に黒色の帯電粒子4を分散させた分散液体3が充填される。白色の表示電極12上に絶縁性の透明な着色層10aが形成され、隔壁電極7と着色層10aの表面とを一体に覆って抵抗層9が形成される。隔壁電極7と表示電極12との間に交流電圧を印加した後に直流電圧を印加して隔壁6へ帯電粒子4を集めることにより、白色表示を行う。
【解決手段】隔壁6で囲まれた移動空間16に黒色の帯電粒子4を分散させた分散液体3が充填される。白色の表示電極12上に絶縁性の透明な着色層10aが形成され、隔壁電極7と着色層10aの表面とを一体に覆って抵抗層9が形成される。隔壁電極7と表示電極12との間に交流電圧を印加した後に直流電圧を印加して隔壁6へ帯電粒子4を集めることにより、白色表示を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示面と隔壁の起立面との間で帯電粒子を移動させて表示を行う電気泳動表示装置等の粒子移動型表示装置、詳しくは、表示面から隔壁の起立面へ帯電粒子を移動させる際の電圧駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非発光型の表示デバイスとして、帯電粒子を電界の作用にて移動させて表示を行う粒子移動型表示装置が知られている。粒子移動型表示装置は、帯電粒子の移動空間に臨ませて配置した一対の電極間で帯電粒子を移動させることにより画素表示を行う画像表示装置である。粒子移動型表示装置は、光源光を50%以上損なわせる偏光板が不要、有色帯電粒子による高コントラストな画素表示が可能、構造および動作が単純等、画像表示装置として従来一般的な液晶表示装置に比べて多くの利点を有している。粒子移動型表示装置の1種である電気泳動表示装置は、電界解除後もしばらく画素表示を維持できる表示のメモリ性を有するので、画素の階調表示の維持に電力を必要としない低消費電力の画像表示装置としても注目されている。
【0003】
特許文献1には、表示電極を配置した表示面を囲んで隔壁を形成した電気泳動表示装置が示される。ここでは、隔壁の起立面に配置した隔壁電極と表示電極との間に直流電圧を印加して、表示面と隔壁の起立面との間で帯電粒子を移動させている。
【0004】
特許文献2には、帯電粒子を封入した多数のカプセルを上下に挟んで透明電極を配置した電気泳動表示装置が示される。ここでは、透明電極に直流電圧を印加する書き込みに先立たせて、書き込みとは反対極性の直流電圧を印加するリセットを行うことにより、それ以前の表示状態の残像が残らないようにしている。そして、リセットおよび書き込みの直流電圧の印加にそれぞれ先立たせて、高い周波数の交流電圧を印加することにより、表示状態をシェイクして(緩めて)いる。
【0005】
特許文献3には、隔壁に囲まれた移動空間に遮光性の帯電粒子を封入した電気泳動表示装置が示される。ここでは、移動空間に交流電界を印加することにより、帯電粒子を移動空間に分散させて、画素の遮光状態、すなわち黒表示を行っている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−211499号公報
【特許文献2】国際特許公開WO−2003−100757号公報
【特許文献3】特開平4−212990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示される電気泳動表示装置は、表示電極に帯電粒子と同極性の電圧信号を印加した際に、中央部では帯電粒子が表示面に反発して法線方向へ飛び出し、表示面に対向する透明基板面に沿って迂回する移動経路を進むので(図11参照)、隔壁電極へ集めた時点で帯電粒子が隔壁の上部に偏在する(図10参照)。これにより、中央へはみ出した帯電粒子が視界を狭くして、隔壁電極に帯電粒子を集めて表示面を見通させる表示で期待どおりの階調を表示できなくなる。言い換えれば、黒色の帯電粒子と白色の表示面を用いた場合、白表示が灰色になってしまう。
【0008】
そして、隔壁上部に厚く堆積した帯電粒子には隔壁面への拘束力が働かないので、隔壁電極へ集める電圧信号の印加を解除すると、帯電粒子が隔壁から拡散して中央側へ滲み出す。言い換えれば、画素表示のメモリ性が不足する。
【0009】
また、表示面を見通させる表示を行う直前の表示状態で、表示面の中央部に帯電粒子が無かった場合(灰色表示等)、隔壁へ帯電粒子を集めた際に隔壁上部に偏在する帯電粒子の量が減る。これにより、直前の表示状態で表示面の中央部に帯電粒子があった場合と無かった場合とでは、表示面を見通させる表示の階調が異なってしまう。
【0010】
本発明は、表示面を見通させる表示を行う直前の表示階調とは無関係に、再現性高く隔壁へ帯電粒子を集めて、表示面を見通させる表示の再現性と、表示のメモリ性とを高めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の粒子移動型表示装置は、表示面ごとに配置された表示電極と、前記表示面を囲む隔壁の起立面に配置された隔壁電極と、前記表示面に配置されて前記表示電極に接続された抵抗層と、前記表示電極と前記隔壁電極との間に所定極性の直流電圧を印加して前記起立面へ帯電粒子を集める制御手段と、を備えた粒子移動型表示装置において、前記制御手段は、前記表示電極と前記隔壁電極との間に、交流電圧を印加した後に、前記直流電圧を印加するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粒子移動型表示装置では、交流電圧によって帯電粒子が隔壁の起立面と表示面との間を往復しつつ、次第に隔壁に近い部分へ掃き寄せられるので、表示面の中央から隔壁上部へ移動して停滞する帯電粒子が少なくなり、隔壁の起立面の高さ方向の帯電粒子のばらつきが解消される。
【0013】
言い換えれば、交流電圧の印加によって、隔壁の起立面には、印加前の表示状態に影響されない、再現性の高い垂直方向に均一に整然と分布した帯電粒子の積層状態が形成される。
【0014】
従って、隔壁の上部に帯電粒子が滞留して表示面を見通させる表示の階調が違ってくることが無くなる。また、滞留した拘束力の無い帯電粒子の拡散によって電圧解除後の階調が変化することも少なくなり、表示のメモリ性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、それぞれ本発明の一実施形態である電気泳動表示装置100、200、300について、図面を参照しながら詳細に説明する。電気泳動表示装置100、200、300は、バックライトを持たない反射型であるが、本発明は、後方基板1に隣接させてバックライトを設けた透過型や、バックライトと反射電極とを併用した半透過型として実施してもよい。また、電気泳動表示装置100、200、300は、表示セル15ごとに形成した薄膜トランジスタ素子を、格子状に配列した多数の書き込み信号線と多数の走査信号線とによりダイナミック制御するアクティブマトリクス型であるが、本発明は、アクティブマトリクス型以外の表示セル駆動方式を採用してもよい。
【0016】
電気泳動表示装置100は、多数の表示セル15を格子状に配列した画像表示素子であるが、図1では、1つの表示セル(単位表示)15により代表して図示している。また、特許文献1、特許文献2に示される電気泳動表示装置の一般的な構造、一般的な製造方法、表面処理等については、本発明の趣旨と隔たりがあるので、煩雑を避けるべく、一部図示を省略して詳細な説明も省略する。
【0017】
また、本発明の粒子移動型表示装置は、一対の基板間に、帯電粒子が介在する場合と、絶縁性の分散液体に分散させた帯電粒子が介在する場合との両方で実施可能であるが、これらの実施形態の本質は同じものであることから、以下では後者の電気泳動表示装置の代表的な実施の形態について説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図、図2は表示セルの駆動回路の説明図、図3は電気泳動表示装置の回路構成の説明図、図4は白表示における電圧信号の説明図、図5は白表示の制御における帯電粒子の挙動の説明図である。図5中、(a)はリセット前、(b)は最初の正電圧、(c)は続く負電圧、(d)は、2回目の正電圧である。図1では、電極間に電気信号を印加する電気信号印加回路(ドライバ、配線)や、表示セル15に対して配置した薄膜トランジスタ素子等は図示を省略した。
【0019】
図1に示すように、第1実施形態の電気泳動表示装置100は、後方基板1上に隔壁6を形成して移動空間16を形成し、黒色の帯電粒子4を分散させた分散液体3を移動空間16に充填して、隔壁6上に透明基板2を重ねており、隔壁6に囲まれた表示面を透明基板2側から観察する。後方基板1上には、反射面を兼ねた表示電極12が配置され、表示電極12の上には、カラーフィルタとしての着色層10a、10b、10cが配置されている。
【0020】
隔壁6は、後方基板1と透明基板2との間を所定間隔に保ち、表示単位15を隣接する表示単位から隔てる。透明基板2は、例えば透明ガラスや透明フィルムなどの光透過性板で構成してある。一方、後方基板1は必ずしも透明である必要はなく、フィルム基板や金属基板等で構成してもよい。
【0021】
隔壁6としては、一般に使用されているレジスト材料或いは、熱可塑性材料、紫外線硬化材料などを使用できる。隔壁6の厚さは、通常、5μm〜30μm程度である。隔壁6の表面には、すべての表示セル15に共通な隔壁電極7が形成されている。隔壁電極7は、Al、Tiの金属膜だけでなく、ITO膜で構成しても良い。
【0022】
表示電極12は、微細な表面凹凸形状を形成した凹凸層13の上に反射率の高い金属薄膜を積層して形成される。凹凸層13としては、例えば、感光性樹脂を塗布した後、露光およびウェット現像を行うことで形成することができる。また、ガラスに微細な凹凸を作る方法を採用してもよい。
【0023】
凹凸層13の上に形成される表示電極12の材料としては、アルミニウムや銀など、反射率の高い材料が望ましい。このような構成にすることによって、表示電極12に光を拡散させる機能を持たせることができる。そして、表面凹凸形状の傾斜角度の分布を制御することにより、視野角を拡大させるとともに外光を効率良く反射させることができるので、より明るい良好な表示が得られる。
【0024】
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、隣接する3つの表示単位15に赤(R)、緑(G)、青(B)を割り当てて、3つの表示単位15で1つの画素を構成する。3つの表示単位15で表示電極12の100%遮光状態と100%透過状態とを行って、その組み合わせにより、白、黒を含む合計8色の表示が可能である。
【0025】
なお、3つの表示単位15で個別に中間階調の表示を行わせ、3つの表示単位15の階調バランスによって1つの画素のフルカラー表示を行ってもよい。表示電極12上には、カラーフィルタとしての着色層10a(G)、10b(R)、10c(B)が形成されている。着色層10a、10b、10cとしては、例えば、赤色または、緑色または、青色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストで構成する。着色層10a、10b、10cの膜厚は通常0.1μm〜4μm程度であり、表示単位15の中央部には、表示電極12に達するコンタクトホール11の開口が形成されている。
【0026】
隔壁6で四方を囲まれた着色層10a、10b、10cの表面が表示面を構成し、表示面と隔壁電極7の表面とを一体に覆って抵抗層9が形成されている。抵抗層9は、コンタクトホール11によって表示電極12に接続している。抵抗層9としては、光透過性の材料で、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリアセチレンなどの有機膜、もしくはそれの複合体、共重合体、または、カーボン含有膜、インジウム−スズ酸化物(ITO)などの無機膜、またはシリコンなどの半導体膜、または導電性のフィラ(充填物)、例えば金属粉、カーボン粒子等をエポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂等に配合して得る導電性樹脂膜を使用できる。さらに界面部材として、これらの膜の積層膜でもよい。抵抗層9のシート抵抗は104Ω/□〜1018Ω/□が望ましい。
【0027】
表示電極12に直流電圧が印加されると、印加直後の過渡状態を経て、表示面の抵抗層9には、隔壁電極7の電位とコンタクトホール11の電位を結ぶ電圧勾配が形成される。これにより、移動空間16の中央部でも隔壁6へ向かう空間電位勾配(図8参照)が形成されて、特許文献1に示される電気泳動表示装置に比較して、表示面と隔壁6との間での帯電粒子4の往復移動が円滑かつ高速なものとなる。
【0028】
帯電粒子4の移動空間16は、透明基板2と抵抗層9とで囲まれている。移動空間16に充填された分散液体3には、表示の主体である帯電した黒色の帯電粒子4が分散されている。分散液体3としては、水、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素等又は、その他の種々の油類等の単独又はこれらの混合物に界面活性剤等を配合して用いることができる。
【0029】
帯電粒子4は、分散液体3中で電位差による電気泳動により移動する性質を有する有機あるいは無機の粒子である。帯電粒子4としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料を用いることができる。なお、二酸化チタン、三酸化アンチモン等の白色顔料、アゾ系顔料、その他着色顔料等の1種又は2種以上を用いることもできる。
【0030】
さらに、これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、樹脂、ゴム、油等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0031】
表示電極12と隔壁電極7との間には、駆動電圧を発生する駆動回路(図2参照)が接続されている。表示電極12下の後方基板1には、後述する駆動用の配線および表示セル15ごとの薄膜トランジスタ素子(46:図2)が形成され、薄膜トランジスタ素子の出力端子が表示電極12に接続されている。
【0032】
次に動作について説明する。以下の説明では、帯電粒子4が正に帯電している場合を例に挙げるが、負に帯電している場合でも、帯電粒子4の動く方向が逆になることを考慮すれば同様に説明することができる。
【0033】
第1実施形態の電気泳動表示装置100では、着色層10a(10b、10c:以下略)上の抵抗層9の表面が表示セル15の表示面となっている。そして、表示電極12が隔壁電極7に対して負電位となるように電気信号を印加すると、移動空間16に形成された電界によって、帯電粒子4が表示面へ移動する。これにより、表示面が黒色の帯電粒子4に覆われると、表示セル15の黒表示がなされる。
【0034】
一方、表示電極12が隔壁電極7に対して正電位となるように電気信号を印加すると、隔壁電極7側に帯電粒子4が集められて、表示面から帯電粒子4が取り払われ、表示電極12が透明基板2側から見通せるようになる。これにより、表示電極12からの反射光が着色層10aを透過して明るい緑色の表示がなされる。
【0035】
なお、このような黒色表示と、明るい緑色表示の中間状態、すなわち、表示面の周辺部分に帯電粒子4が積層して、中央部分に帯電粒子4が到達していない表示状態では、表示セル15が中間階調の薄暗い〜暗い緑色に観察される。
【0036】
ところで、電気泳動表示装置100では、表示電極12と隔壁電極7とが抵抗層9によって連絡されているので、表示電極12への電流供給が途絶えると表示電極12の電圧が速やかに低下してしまう。しかし、表示電極12へ印加する書き込み電圧信号は、表示セル15に対して、走査信号の入力タイミングで切れ切れにしか供給されないので、書き込み電圧信号をそのまま表示電極12へ印加すると、走査信号の入力後、表示電極12の電圧が速やかに低下してしまう。
【0037】
そこで、図2に示すように、書き込み信号線48から読み込んだ書き込み電圧信号を補助容量50に保持して電圧制御TFT53を制御することにより、駆動電源電圧Vddから書き込み電圧信号を再生して表示電極12に印加し続けている。
【0038】
後方基板1には、格子状に立体交差して配置した書き込み信号線48および走査信号線47が配置され、書き込み信号線48と走査信号線47との各交点に対応させて、表示セル15ごとの画素TFT(Thin Film Transistor)46、電圧制御TFT53、および補助容量50が配置されている。後方基板1には、後方基板1上の表示セルに共通な補助容量線51、駆動電源線52、および共通電極49も配置されている。駆動電源線52は、+Vddと−Vddとを交互に印加される。表示セル15の隔壁電極7には、電圧Vcomである共通電極49に接続され、0Vが常に印加されている。
【0039】
画素TFT46および電圧制御TFT53は、n型トランジスタで構成されたアクティブマトリクス駆動表示用のスイッチング素子であって、後方基板1上に形成された不図示の層間絶縁層によって覆われている。画素TFT46のドレイン電極には、補助容量線51との間に補助容量50が接続され、電圧制御TFT53のゲート電極も接続されている。電圧制御TFT53のソース電極とドレイン電極には、それぞれ駆動電源線52と表示セル15の表示電極12とが接続されている。
【0040】
また、トリガーラインである走査信号線47は、画素TFT46のゲート電極に、データラインである書き込み信号線48は、画素TFT46のソース電極にそれぞれ接続されている。
【0041】
このように構成された駆動回路では、走査信号線47に走査信号が入力されると、書き込み信号線48から画素TFT46を通じて補助容量50に書き込み電圧信号が読み込まれる。そして、次の走査信号の入力まで、補助容量50に保持した書き込み電圧信号によって電圧制御TFT53を制御することにより、駆動電源電圧Vddから形成した書き込み電圧信号を表示電極12に印加し続ける。
【0042】
そして、補助容量50に所定の書き込み電圧信号を保持させた状態で、駆動電源線52への供給電圧を正負に反転することにより、表示電極12と隔壁電極7との間に交流電圧を印加できる。なお、補助容量50に蓄積した書き込み電圧は、書き込み信号線48を通じて負のリセット信号を書き込むことでリセットされる。
【0043】
図3に示すように、後方基板1の表示部44には、多数の表示セル15が格子状に配列され、表示部44の外側には、パネルコントローラ41、ソースドライバ43、ゲートドライバ42が配置されている。パネルコントローラ41は、入力される画像データに基づいて、フィールド同期信号、水平同期信号、データ取り込みクロックなどの制御信号、および表示データを生成し、ソースドライバ43、ゲートドライバ42に転送する。
【0044】
ソースドライバ43は、表示セル15に、書き込み信号線48を通じて書き込み信号電圧、駆動電源線52を通じて駆動電源電圧Vddをそれぞれ供給する。ゲートドライバ42は、走査信号線47を通じて表示セル15に走査信号を供給する。ソースドライバ43、ゲートドライバ42は、パネルコントローラ41より受信した制御信号、表示データに従って、表示部44の表示セル15に1走査線づつの画像表示を行う。また、表示部44のすべての表示セル15に所定の書き込み電圧信号を保持させた後に、駆動電源電圧Vddを正負に反転させて、すべての表示セル15の表示電極12と隔壁電極7との間に一括して交流電圧を印加することもできる。
【0045】
第1実施形態の電気泳動表示装置100では、表示電極12に交流電圧を印加した後に正の直流電圧を印加して白表示(最大明度の緑表示)を行う。図2を参照して図4に示すように、期間T1では、補助容量50に所定の書き込み電圧信号を保持させた状態で、信号線48と共通電極49との間の電圧極性を反転させて、表示電極12に交流電圧を印加する。交流電圧の周期は、隔壁6と表示面との間で帯電粒子4が往復移動する時間+αに定めてある。交流電圧を印加した後、期間T2では、直流電圧を印加して最も明るい階調表示を保持させる。
【0046】
なお、期間T2の終了後、駆動電源線52の駆動電源電圧Vddを負にして、補助容量50に表示セル15ごとの中間諧調の書き込み電圧信号を書き込んで、表示セル15ごとの中間階調の書き込みを行ってもよい。これにより、図1に示す着色層10a(G)、10b(R)、10c(B)を形成した隣接する3つの表示セル15の階調バランスを異ならせて1つの画素のフルカラー表示を行うことが可能である。階調の書き込みは、既に説明したように、直流電圧の電圧、パルス数、印加時間等によって制御することができる。
【0047】
また、図2の駆動回路における画素TFT46のドレイン電極を表示電極12に直接接続して、駆動電源線52および電圧制御TFT53を無くした通常の電圧制御型の駆動回路を用いて表示電極12へ交流電圧を印加してもよい。この場合、走査信号線47へ供給する走査信号のタイミングで書き込み信号線48に正負の電圧を印加して、表示電極12へ交流電圧を印加する。そして、交流電圧の半周期で同一極性の書き込みを複数回行うことにより、抵抗層9による電圧低下を少なくすることができる。
【0048】
図4の期間T1で交流電圧を印加した時の帯電粒子4の挙動を図5の(a)〜(d)に示す。図5の(a)は、電圧印加前の黒表示状態を表している。ここで、図4の期間T1のような交流電圧を印加すると、帯電粒子4の分布状態は、図5の(b)から図5の(c)を経て図5の(d)のようになる。
【0049】
交流電圧の半周期を帯電粒子4の泳動速度程度に相当する約10ms〜500msに設定してあるので、隔壁6の起立面における帯電粒子4の偏りが往復ごとに均されるとともに、表示面の中央付近に帯電粒子4が次第に存在しなくなる。その後、図4の期間T2で最も明るい階調表示のための直流電圧を印加すると、図5の(b)で示すような隔壁6の上部に透明基板2に沿って偏在した帯電粒子4群がなくなり、図5の(d)に示すような隔壁6の起立面をほぼ均等に覆った帯電粒子4の分布状態となる。
【0050】
従って、直流電圧を印加する前に交流電圧を印加することで、白表示(最大明度の緑表示)時に隔壁6の上部に集まって階調を低下させる帯電粒子4を低減でき、最も明るい階調での反射率を向上させることができる。また、隔壁6の起立面における分子間引力、親和性、分散液体3中での帯電性等によって、起立面をほぼ均等に覆った帯電粒子4を有効に拘束できるので、最も明るい階調の保持特性を格段に向上させることができる。また、隔壁6の上部、透明基板2との境界付近に集まる帯電粒子4の量が白表示(最大明度の緑表示)前の階調状態に依存しなくなるので、残像を大幅に軽減することができる。
【0051】
また、交流電圧が反転するごとに、表示面の抵抗層9には、抵抗層9に蓄積された電圧が抵抗層9を通じて放電する期間の過渡状態を経て、隔壁電極7の電位とコンタクトホール11の電位を結ぶ電圧勾配が形成される。
【0052】
そして、この電圧勾配によって帯電粒子4を表示面に沿った方向に移動させているので、過渡状態が消滅する時間を加算した交流電圧の半周期としている。何故なら、交流電圧の半周期をこの放電の時定数よりも短くすると、抵抗層9に電位勾配が生じて帯電粒子4が十分に移動し終わる前に印加電圧の極性が反転するため、電位勾配が有効に機能しないからである。
【0053】
一方、表示面の抵抗層9に電位勾配が形成されるためには、着色層10aを挟む表示電極12と抵抗層9との間に形成される容量と抵抗層9の抵抗値とで決定される時定数以上の時間が必要となる。抵抗層9のシート抵抗を高く設定して、交流電圧の半周期をその時定数よりも短くすることも可能である。この場合、抵抗層9に電位勾配が生じる前に交流電圧の極性が変化するため、電位勾配が発生しない。従って、抵抗層9の抵抗ムラやコンタクトホール11と隔壁電極7との位置合わせずれが存在していても安定した電界分布が得られ、最終的な電位勾配の形成状態によらずに図5の(a)〜(d)に示すような対称な帯電粒子4の挙動を得ることもできる。
【0054】
<第2実施形態>
図6は第2実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図である。第2実施形態の電気泳動表示装置200は、表示面の抵抗層9aと隔壁6の抵抗層9bとが分離されている以外は第1実施形態の電気泳動表示装置100と同様に構成され、駆動されている。従って、図6中、図1と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
図6に示すように、第2実施形態の電気泳動表示装置200は、隔壁電極7と、着色層10a(10b、10c:以下省略)とを一体に覆って抵抗層9を形成した後に、隔壁6の根元を一周する帯状の領域をフォトリソグラフィ手法により選択的にエッチング除去してある。従って、着色層10a上の抵抗層9aは、隔壁6の抵抗層9bと分離してパターニングされている。言い換えれば、抵抗層9aは、表示電極12とコンタクトホール11によって電気的に接続される一方、抵抗層9aと隔壁電極7との間の接続抵抗が、表示電極12から抵抗層9aの端部までの抵抗よりも高いという構成である。
【0056】
このような構成では、抵抗層9aに形成される電位勾配とその過渡変化が第1実施形態の電気泳動表示装置100とは大きく異なる。すなわち、表示電極12へ電圧が印加された直後は、表示電極12と隔壁電極7間の容量分圧で抵抗層9aの各部の電位が定まって電位勾配が形成され、その後、抵抗層9aを通じた電荷移動によって電位勾配が消滅する。例えば、負電位の電圧信号の印加直後、抵抗層9aには、抵抗層9aの電位は表示面の中央で低く、隔壁電極7に近いほど高くなる電位勾配が形成される。従って、正電位の帯電粒子を中央へ押し込む横方向の電界ベクトルが強くなり、この期間、帯電粒子4は表示面の中央に向かって泳動する。その後、抵抗層9aに表示電極12から電荷が注入されて、抵抗層9aの電位が均一化される。
【0057】
このような構成においても、図4に示すように、直流電圧を印加させる前に交流電界を印加させることで、最も明るい階調の表示時に隔壁6の上部、透明基板2との境界付近に集まる帯電粒子4(図5の(b)参照)を低減でき、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0058】
<第3実施形態>
図7は第3実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図、図8は電圧印加時の液層内の電界プロファイルの説明図である。第3実施形態の電気泳動表示装置300は、表示電極5が表示面の中央に配置されて、抵抗層9によって着色層10と一体に覆われている以外は、第1実施形態の電気泳動表示装置100と同様に構成されている。従って、図7、図8中、図1と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
図7に示すように、第3実施形態の電気泳動表示装置300は、後方基板1上の白色反射面を構成する着色層10が形成され、隔壁6で周囲を囲まれたほぼ正方形の表示面の中央に、表示面の面積の2%以下に形成した表示電極5が配置されている。表示電極5と着色層10と隔壁電極7とを一体に覆って抵抗層9が形成されている。
【0060】
このように構成された電気泳動表示装置300では、表示電極5に正の電圧信号を印加して隔壁6に帯電粒子4を集めることにより、透明基板2側から白色の着色層10を見通させる白表示を行う。また、表示電極5に負の電圧信号を印加して表示面を帯電粒子4で被覆することにより、黒表示を行う。
【0061】
そして、表示電極5に直流電圧を印加した際に、図8に示すように、中央に向かう横方向の電界が強くなるため、帯電粒子4が表示面の中央部まで到達するようになり、十分な黒階調を特許文献1に示される電気泳動表示装置よりも速やかに表示することができる。ただし、横方向の電界は強くなるものの、単純な直流電圧の印加だけでは、白表示時の粒子軌道の改善効果は十分でなく、隔壁6の上部、透明電極2との境界領域に停滞する帯電粒子4に起因する諸問題は解決されない。すなわち、透明基板2側から見た階調が低下して白反射率ロスが高い、白表示以前の階調によって帯電粒子4の停滞量が変化して白表示がばらつく、停滞する帯電粒子4が拡散してメモリ性が不足する各問題である。
【0062】
しかし、第3実施形態の電気泳動表示装置300においても、図4に示すように、直流電圧を印加させる前に交流電界を印加させることで、隔壁6の上部、透明基板2との境界付近に停滞する帯電粒子4(図5の(b)参照)を解消できるので、第1実施形態と同様に、これらの問題を解決できる。
【0063】
<比較例の電気泳動表示装置>
ウエアラブルPCや電子手帳を始めとする各種携帯情報機器の発達に伴い、低消費電力且つ薄型の表示装置のニーズが増しており、これらのニーズに合わせた表示装置の研究開発が盛んに行われている。携帯情報機器は屋外で使用されることが多く、低消費電力かつ省スペースであることが望まれるため、例えば液晶ディスプレイ等の薄型ディスプレイによる表示機能と座標入力処理を一体化し、ディスプレイに表示された内容をペン或いは指で押圧操作することにより直接的に入力できる物が製品化されている。
【0064】
しかし、多くの液晶はいわゆるメモリ性が無い為、表示期間中は液晶に対して電圧印加を続ける必要がある。一方で、メモリ性を有する液晶においては、ウエアラブルPCのようにさまざまな環境における使用を想定した場合の、信頼性を確保することが難しく実用化には至っていない。
【0065】
そこで、メモリ性を有する、薄型軽量ディスプレイ方式の一つとして、特許文献1に示される電気泳動表示装置が注目されている。図9は、特許文献1に示される、比較例の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図、図10は比較例の電気泳動表示装置における問題点の説明図、図11は電圧印加に対する帯電粒子の移動経路の説明図、図12は電圧印加した際の移動空間における電界状態の説明図である。
【0066】
図9に示すように、比較例の電気泳動表示装置500は、共通電極を兼ねた導電性の隔壁106を挟んで所定間隙を開けた状態に、透明基板101と後方基板102と配置し、透明基板101と後方基板102との間隙に、帯電粒子104を分散した分散液体103を充填してある。後方基板102の表面を隔壁106で囲んだ表示面には、表示電極105が形成され、表示電極105と隔壁106とは、それぞれ誘電体層105、108で覆われている。誘電体層105、108は、近接した帯電粒子104に応答して逆極性の帯電面を形成して帯電粒子104を吸着する。
【0067】
このように構成された比較例の電気泳動表示装置500では、表示電極105と隔壁6との間に適切な電圧を印加すると、帯電粒子104の位置を制御することができ、図9に示すように、帯電粒子104で表示電極105を覆うと透明基板101を通じて帯電粒子104の着色が観察される。一方、逆極性の電圧を印加して帯電粒子104を表示電極105上から追い払うと、図10に示すように、透明基板101を通じて表示電極105を見通すことができる。
【0068】
そして、表示電極105を透明電極、後方基板102を透明基板とし、後方基板102の背後に反射面やバックライトを配置することにより、最も明るい階調を表示することが可能である。もちろん、第1実施形態で説明したように、表示電極105自身を白色反射面とすることによっても、同様な最も明るい階調を表示することが可能である。
【0069】
また、表示電極105を黒色とする一方で、帯電粒子104を白色粒子とすれば、表示電極105に帯電粒子104を集めることにより白表示を行い、表示電極105から帯電粒子104を追い払うことで黒表示を行うことも可能である。
【0070】
このように構成された比較例の電気泳動表示装置500では、図9に示すように、黒色の帯電粒子104で白色の表示電極105を100%覆った黒表示状態と、図10に示すように、黒色の帯電粒子104を隔壁106に100%集めて白色の表示電極105を露出させた白表示とを表示可能である。また、帯電粒子104による表示電極105の部分的な被覆状態を形成することにより、中間の各種階調を表示することも可能である。しかし、比較例の電気泳動表示装置500では、以下の4つの問題点がある。
【0071】
第1の問題点は、帯電粒子104の垂直分布の偏りに起因する白反射率ロスが大きいことである。白表示の際、隔壁106に帯電粒子104を集めると、図10に示すように、隔壁106と透明基板101との境界付近に帯電粒子104が集まって著しく反射率が損なわれてしまう。つまり、帯電粒子104による開口率低下がある。
【0072】
隔壁106と透明基板101との境界付近に帯電粒子104が集まる原因は、図11に示すように、表示電極105にプラスの直流電圧を印加した際に、表示電極105の中央部の点Aの帯電粒子104が、表示電極105に反発して点Bで透明基板101に衝突してから、隔壁106へ向かうためである。
【0073】
第2の問題点は、残像である。隔壁106と透明基板101との境界付近に集まる帯電粒子104の量が隔壁106へ帯電粒子104を集める前の表示電極105の被覆状態に依存することが残像の原因となっている。例えば、以前に中間階調が表示されていた場合、隔壁106と透明基板101との境界付近に集まる帯電粒子104の量が減って、黒表示されていた場合に比べて反射率が高くなって反射率差を生じてしまう。
【0074】
一般的に電気泳動表示装置の帯電粒子の分布状態は印加電圧の履歴に依存しやすく、以前の表示状態が残るという欠点がある。この残像の問題については交流電界を印加することで改善されることが知られており、特許文献2には、マイクロカプセル型の電気泳動表示装置の残像を軽減するための駆動方法について開示されている。帯電粒子の待機位置をリセットするための電圧パルスの前または後に交流電界を印加するという内容である。
【0075】
第3の問題点は、黒表示した時に、帯電粒子104が表示面の中央まで届きにくく、十分な黒を表示できないことである。比較例の電気泳動表示装置500の表示電極105と隔壁106との間に直流電圧を印加したときの等電位線を図12に示す。図12に示すように、隔壁106の根元の隔壁106と表示電極105との間隔が狭い場所では等電位線が密なため電界が強く、一方、表示面の中央部では等電位線が疎らで電界が弱くなることがわかる。
【0076】
そして、黒表示する場合においては、表示電極105にマイナスの電圧を印加して帯電粒子104を表示電極105上に集める際に、図11に示すように、点Cの帯電粒子104は、電界で点Dに移動し、その後、横方向の電界により点Aに到達する。しかし、図12に示すように、表示面の中央方向への電界が非常に弱いため、帯電粒子104が表示面の中央部にまで到達しない。そのため、表示電極105を帯電粒子104で確実に覆うことができなくなり、十分なコントラストが得られないか、若しくは表示の応答速度が著しく遅くなるといった問題を抱えている。
【0077】
第4の問題点は、白保持不良である。図11に示すように、帯電粒子104の軌道を考慮すると、一般的に、透明基板102の特性として、帯電粒子104の張り付きにくい材料が選ばれる。そして、上述したように、白表示を行うと、隔壁106と透明基板101の境界付近に帯電粒子104が集まる。これらの帯電粒子104は透明基板101との相互作用がなくて吸着しないため、メモリ性が得られない。
【0078】
このうち、第3の問題点については、第3実施形態に示す抵抗層9(図7)を形成することによって改善される。そして、残りの第1、第2、第4の問題点について、第1実施形態〜第3実施形態に示す白リセット動作、すなわち白表示に先立たせて所定周期の交流電圧を印加する駆動制御によって解決されることは上述したとおりである。隔壁106の起立面における帯電粒子104の垂直分布を均一で密なものとし、隔壁106と透明基板101の境界付近に帯電粒子104が集まることを阻止できる。
【0079】
このような駆動方法によれば、図9に示すように、比較例の電気泳動表示装置500においても、白表示時に隔壁106と透明基板101の境界付近に集まる帯電粒子104を低減でき、白反射率と白保持特性を格段に向上させることができる。隔壁106と透明基板101の境界付近に集まる帯電粒子104の量が直前の表示状態に依存しなくなるので、残像を軽減することができる。
【0080】
また、図1に示すように、第1実施形態の電気泳動表示装置100では、表示電極12上に着色層10aが形成され、抵抗層9と表示電極12とがコンタクトホール11を介して接続され、表示電極12と抵抗層9とが重畳されている。ここでは、白表示に先立つ交流電界の周期が、表示電極12と抵抗層9との間の容量と抵抗層9の抵抗とで決定される時定数よりも短くすることにより、抵抗層9に電位勾配が生じる前に印加電圧の極性が変化するため、電位勾配が発生せず、隔壁6の下部の強電界部に帯電粒子4が引き寄せられ、より効果的に隔壁6と透明基板2の境界付近に集まる帯電粒子4を低減することができる。
【0081】
このような過渡状態の電界プロファイルは抵抗層9の電位勾配の状態に依存しないので、コンタクトホール11と隔壁電極7の合わせずれが生じたとしても、偏りの無い均一な帯電粒子4の分布を形成することができる。
【0082】
<発明との対応>
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、表示面ごとに配置された表示電極12と、表示面を囲む隔壁6の起立面に配置された隔壁電極7と、表示電極12と隔壁電極7との間に所定極性の直流電圧を印加して起立面へ帯電粒子4を集めるパネルコントローラ41とを備える。そして、パネルコントローラ41は、表示電極12と隔壁電極7との間に、交流電圧を印加した後に、直流電圧を印加する。
【0083】
従って、交流電圧によって帯電粒子4が隔壁6の起立面と表示面との間を往復しつつ、次第に隔壁6に近い部分へ掃き寄せられるので、表示面の中央から隔壁6上部へ移動して停滞する帯電粒子4が少なくなり、隔壁6の起立面の高さ方向の帯電粒子4のばらつきが解消される。
【0084】
言い換えれば、交流電圧の印加によって、隔壁6の起立面には、印加前の表示状態に影響されない、再現性の高い垂直方向に均一に整然と密に分布した帯電粒子4の積層状態が形成される。これにより、隔壁6の上部に帯電粒子4が滞留して表示面を見通させる表示の階調が違ってくることが無くなる。また、滞留した拘束力の無い帯電粒子4の拡散によって電圧解除後の階調が変化することも少なくなり、表示のメモリ性が高まる。
【0085】
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、表示電極12の上に配置された透光性の着色層10aと、着色層10aを覆って配置され、表示面の中央側で表示電極12に接続された面状の抵抗層9とを備える。
【0086】
従って、抵抗層9に形成される電位勾配によって、表示電極12の中央部でも電界の密度を増して、帯電粒子4に対する表示面に沿った方向の十分な加速を確保することができる。これにより、電圧印加時の帯電粒子4の応答速度、階調書き込み速度が高まる。また、階調書き込みの再現性が向上して同じ信号電圧の印加に対する表示階調のばらつきが低減するので、再現性の高い画像表示、カラー表示が可能となる。
【0087】
第3実施形態の電気泳動表示装置300は、表示電極5は、起立面から距離を隔てて表示面の中央側に配置され、表示電極5に接続して表示面を覆う抵抗層9を備える。
【0088】
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、交流電圧の周期は、交流電圧によって帯電粒子4が表示面から起立面へ移動する時間に基づいて定められている。また、交流電圧の周期は、抵抗層9に蓄えられた交流電圧が抵抗層9を通じて放電する際の時定数に基づいて補正されている。
【0089】
第1実施形態における白表示では、表示面に配置された表示電極12と、表示面を囲む隔壁6の起立面に配置された隔壁電極7とを備え、表示時電極と隔壁電極7との間に所定極性の直流電圧を印加して、隔壁6の起立面へ帯電粒子4を移動させることにより、表示面を見通せる表示を行う。そして、表示面から隔壁6の起立面へ帯電粒子4が移動する時間に基づいて定めた周期の交流電圧を表示電極12と隔壁電極7との間に印加した後に、所定極性の電圧を印加する。これにより、隔壁6と透明基板2の境界領域に帯電粒子4を停滞させることなく、隔壁6の起立面を帯電粒子4で均一に被覆できる。
【0090】
第1実施形態の電気泳動表示装置100では、表示面に配置された表示電極12と、表示面を囲む隔壁6の起立面に配置された隔壁電極7とを備え、帯電粒子4を隔壁6の起立面へ集めるリセット動作に続いて、表示面へ帯電粒子4を移動させる階調書き込み動作を行うことが可能である。このとき、白表示によってリセット動作を行うことができ、表示面から隔壁6の起立面へ帯電粒子4が移動する時間に基づいて定めた周期の交流電圧の印加に続いて白表示の電圧を所定時間保持する。これにより、リセット動作前の表示状態と無関係に、隔壁6と透明基板2の境界領域に帯電粒子4を停滞させることなく、隔壁6の起立面を帯電粒子4で均一に被覆して、続く階調書き込みを再現性高く実行できる。
【0091】
ところで、図9〜図12を参照して、既に説明したように、比較例の電気泳動表示装置500では、表示面を帯電粒子104で覆った100%の遮断状態と、隔壁106へ帯電粒子104を集めて表示面を露出させた100%の透過状態とを表示する2つの階調の間で、中間階調(濃い灰色〜薄い灰色)を表示可能である。このような中間階調の表示では、表示面に帯電粒子104を集める電圧信号の電圧、印加時間、パルス数等を異ならせて帯電粒子104による表示面の被覆率を調整する。
【0092】
そして、中間階調を表示する際には、帯電粒子104を一度隔壁106に集めて表示面を見通させる表示状態にリセットした後に、表示面に帯電粒子104を集める所定の電圧信号の印加を行って表示面に階調の書き込みを行うことが提案されている。何故なら、同じ直流電圧を同じ時間だけ印加しても、出発点の階調が異なれば書き込まれた結果の階調が違って来るし、出発点の階調が同じでも、前回の書き込みからの時間差によって書き込まれた結果の階調が違う等、階調書き込みの再現性を確保できないからである。
【0093】
しかし、実際に、このようなリセットを行ってみると、リセット以前に表示されていた階調が異なるとリセット階調が違ってしまい、その後、同じ書き込みを経た階調も違って来てしまう。何故なら、直流電圧を印加して隔壁106に帯電粒子104を集めると、上述したように、隔壁106上部に帯電粒子104が過剰に停滞し易く、その停滞量がリセット以前に表示されていた階調によって変化するからである。
【0094】
言い換えれば、中間階調の表示では、表示面の周辺部に帯電粒子104を偏在させて、表示面の中央部を見通させる表示状態となるので、中間階調の表示状態からリセットを行うと、隔壁106に集まった帯電粒子104の垂直分布が100%の遮断状態からリセットを行った場合とは違ってしまう。そして、帯電粒子104の垂直分布が異なるリセット状態から書き込みを行うと、同じ電圧信号を印加しても書き込まれた結果の階調が違ってしまう。
【0095】
つまり、結果的には、特許文献2に示されるように、「リセット前の表示階調に影響されて、書き込みの再現性が損なわれる」問題であるが、現象的には、特許文献1に示される構造に固有の「リセット前の表示階調に影響されて隔壁における帯電粒子の垂直分布の再現性が得られない」問題である。
【0096】
このような表示面を囲む隔壁106の起立面に隔壁電極(106)を配置して、隔壁106の起立面と表示面との間で帯電粒子106を移動させる電気泳動表示装置500では、特許文献2に示されるような、表示面と帯電粒子の固着状態を緩めるための交流電圧ではなくて、図5の(a)〜(d)に示すような積極的に起立面と表示面との間で帯電粒子106を往復移動させる交流電圧によって、隔壁106における帯電粒子104の均一な垂直分布を達成できる。
【0097】
そして、リセット後は、特許文献2に示されるような再度の交流電圧(固着を緩める)を印加しなくても、所定の書き込み信号電圧(電圧、印加時間、パルス数等)を印加することによって、書き込み信号電圧に応じた再現性の高い、表示セルごとのばらつきが少ない中間階調の書き込みを行うことができる。
【0098】
そして、第1実施形態〜第3実施形態における抵抗層9(図1等)は、上述したように、表示面に沿った方向の帯電粒子4の移動速度を高めるので、リセット時の交流電圧の周期を抵抗層9が無い場合よりも短くして、リセット時間を短縮させる。これにより、リセットと書き込みとの合計の所要時間が短縮され、画像表示の書き換え頻度を高めて動画表示等も可能となる。
【0099】
また、特許文献3に示される電気泳動表示装置では、表示セルに直流電界を印加して表示面を見通せる白表示、交流電界を印加して表示面を遮光する黒表示を行っている。従って、白表示→黒表示→白表示とした場合に、交流電界の周波数を適正化する等の新規な制御用件を付加するなら、2回目の白表示が最初の白表示よりも明るくなる。しかし、これは、再現性のある、画面上で階調の揃った白表示を得るという本発明の目的には反している。また、抵抗層それ自体を備えないのであるから、交流電界が表示面の抵抗層と共働して隔壁面への帯電粒子の移動速度を速める効果(交流電界によって電位傾斜の大きい表示面近傍へ帯電粒子が集められる)は期待すべくもない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第1実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図である。
【図2】表示セルの駆動回路の説明図である。
【図3】電気泳動表示装置の回路構成の説明図である。
【図4】白表示における電圧信号の説明図である。
【図5】白表示の制御における帯電粒子の挙動の説明図である。
【図6】第2実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図である。
【図7】第3実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図である。
【図8】電圧印加時の液層内の電界プロファイルの説明図である。
【図9】比較例の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図である。
【図10】比較例の電気泳動表示装置における問題点の説明図である。
【図11】電圧印加に対する帯電粒子の移動経路の説明図である。
【図12】電圧印加した際の移動空間における電界状態の説明図である。
【符号の説明】
【0101】
1 後方基板
2 透明基板
3 分散液体
4 帯電粒子
5、12 表示電極
6 隔壁
7 隔壁電極
9 抵抗層
10a、10b、10c 着色層
11 コンタクトホール
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示面と隔壁の起立面との間で帯電粒子を移動させて表示を行う電気泳動表示装置等の粒子移動型表示装置、詳しくは、表示面から隔壁の起立面へ帯電粒子を移動させる際の電圧駆動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非発光型の表示デバイスとして、帯電粒子を電界の作用にて移動させて表示を行う粒子移動型表示装置が知られている。粒子移動型表示装置は、帯電粒子の移動空間に臨ませて配置した一対の電極間で帯電粒子を移動させることにより画素表示を行う画像表示装置である。粒子移動型表示装置は、光源光を50%以上損なわせる偏光板が不要、有色帯電粒子による高コントラストな画素表示が可能、構造および動作が単純等、画像表示装置として従来一般的な液晶表示装置に比べて多くの利点を有している。粒子移動型表示装置の1種である電気泳動表示装置は、電界解除後もしばらく画素表示を維持できる表示のメモリ性を有するので、画素の階調表示の維持に電力を必要としない低消費電力の画像表示装置としても注目されている。
【0003】
特許文献1には、表示電極を配置した表示面を囲んで隔壁を形成した電気泳動表示装置が示される。ここでは、隔壁の起立面に配置した隔壁電極と表示電極との間に直流電圧を印加して、表示面と隔壁の起立面との間で帯電粒子を移動させている。
【0004】
特許文献2には、帯電粒子を封入した多数のカプセルを上下に挟んで透明電極を配置した電気泳動表示装置が示される。ここでは、透明電極に直流電圧を印加する書き込みに先立たせて、書き込みとは反対極性の直流電圧を印加するリセットを行うことにより、それ以前の表示状態の残像が残らないようにしている。そして、リセットおよび書き込みの直流電圧の印加にそれぞれ先立たせて、高い周波数の交流電圧を印加することにより、表示状態をシェイクして(緩めて)いる。
【0005】
特許文献3には、隔壁に囲まれた移動空間に遮光性の帯電粒子を封入した電気泳動表示装置が示される。ここでは、移動空間に交流電界を印加することにより、帯電粒子を移動空間に分散させて、画素の遮光状態、すなわち黒表示を行っている。
【0006】
【特許文献1】特開平9−211499号公報
【特許文献2】国際特許公開WO−2003−100757号公報
【特許文献3】特開平4−212990号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に示される電気泳動表示装置は、表示電極に帯電粒子と同極性の電圧信号を印加した際に、中央部では帯電粒子が表示面に反発して法線方向へ飛び出し、表示面に対向する透明基板面に沿って迂回する移動経路を進むので(図11参照)、隔壁電極へ集めた時点で帯電粒子が隔壁の上部に偏在する(図10参照)。これにより、中央へはみ出した帯電粒子が視界を狭くして、隔壁電極に帯電粒子を集めて表示面を見通させる表示で期待どおりの階調を表示できなくなる。言い換えれば、黒色の帯電粒子と白色の表示面を用いた場合、白表示が灰色になってしまう。
【0008】
そして、隔壁上部に厚く堆積した帯電粒子には隔壁面への拘束力が働かないので、隔壁電極へ集める電圧信号の印加を解除すると、帯電粒子が隔壁から拡散して中央側へ滲み出す。言い換えれば、画素表示のメモリ性が不足する。
【0009】
また、表示面を見通させる表示を行う直前の表示状態で、表示面の中央部に帯電粒子が無かった場合(灰色表示等)、隔壁へ帯電粒子を集めた際に隔壁上部に偏在する帯電粒子の量が減る。これにより、直前の表示状態で表示面の中央部に帯電粒子があった場合と無かった場合とでは、表示面を見通させる表示の階調が異なってしまう。
【0010】
本発明は、表示面を見通させる表示を行う直前の表示階調とは無関係に、再現性高く隔壁へ帯電粒子を集めて、表示面を見通させる表示の再現性と、表示のメモリ性とを高めることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の粒子移動型表示装置は、表示面ごとに配置された表示電極と、前記表示面を囲む隔壁の起立面に配置された隔壁電極と、前記表示面に配置されて前記表示電極に接続された抵抗層と、前記表示電極と前記隔壁電極との間に所定極性の直流電圧を印加して前記起立面へ帯電粒子を集める制御手段と、を備えた粒子移動型表示装置において、前記制御手段は、前記表示電極と前記隔壁電極との間に、交流電圧を印加した後に、前記直流電圧を印加するものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明の粒子移動型表示装置では、交流電圧によって帯電粒子が隔壁の起立面と表示面との間を往復しつつ、次第に隔壁に近い部分へ掃き寄せられるので、表示面の中央から隔壁上部へ移動して停滞する帯電粒子が少なくなり、隔壁の起立面の高さ方向の帯電粒子のばらつきが解消される。
【0013】
言い換えれば、交流電圧の印加によって、隔壁の起立面には、印加前の表示状態に影響されない、再現性の高い垂直方向に均一に整然と分布した帯電粒子の積層状態が形成される。
【0014】
従って、隔壁の上部に帯電粒子が滞留して表示面を見通させる表示の階調が違ってくることが無くなる。また、滞留した拘束力の無い帯電粒子の拡散によって電圧解除後の階調が変化することも少なくなり、表示のメモリ性が高まる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、それぞれ本発明の一実施形態である電気泳動表示装置100、200、300について、図面を参照しながら詳細に説明する。電気泳動表示装置100、200、300は、バックライトを持たない反射型であるが、本発明は、後方基板1に隣接させてバックライトを設けた透過型や、バックライトと反射電極とを併用した半透過型として実施してもよい。また、電気泳動表示装置100、200、300は、表示セル15ごとに形成した薄膜トランジスタ素子を、格子状に配列した多数の書き込み信号線と多数の走査信号線とによりダイナミック制御するアクティブマトリクス型であるが、本発明は、アクティブマトリクス型以外の表示セル駆動方式を採用してもよい。
【0016】
電気泳動表示装置100は、多数の表示セル15を格子状に配列した画像表示素子であるが、図1では、1つの表示セル(単位表示)15により代表して図示している。また、特許文献1、特許文献2に示される電気泳動表示装置の一般的な構造、一般的な製造方法、表面処理等については、本発明の趣旨と隔たりがあるので、煩雑を避けるべく、一部図示を省略して詳細な説明も省略する。
【0017】
また、本発明の粒子移動型表示装置は、一対の基板間に、帯電粒子が介在する場合と、絶縁性の分散液体に分散させた帯電粒子が介在する場合との両方で実施可能であるが、これらの実施形態の本質は同じものであることから、以下では後者の電気泳動表示装置の代表的な実施の形態について説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図、図2は表示セルの駆動回路の説明図、図3は電気泳動表示装置の回路構成の説明図、図4は白表示における電圧信号の説明図、図5は白表示の制御における帯電粒子の挙動の説明図である。図5中、(a)はリセット前、(b)は最初の正電圧、(c)は続く負電圧、(d)は、2回目の正電圧である。図1では、電極間に電気信号を印加する電気信号印加回路(ドライバ、配線)や、表示セル15に対して配置した薄膜トランジスタ素子等は図示を省略した。
【0019】
図1に示すように、第1実施形態の電気泳動表示装置100は、後方基板1上に隔壁6を形成して移動空間16を形成し、黒色の帯電粒子4を分散させた分散液体3を移動空間16に充填して、隔壁6上に透明基板2を重ねており、隔壁6に囲まれた表示面を透明基板2側から観察する。後方基板1上には、反射面を兼ねた表示電極12が配置され、表示電極12の上には、カラーフィルタとしての着色層10a、10b、10cが配置されている。
【0020】
隔壁6は、後方基板1と透明基板2との間を所定間隔に保ち、表示単位15を隣接する表示単位から隔てる。透明基板2は、例えば透明ガラスや透明フィルムなどの光透過性板で構成してある。一方、後方基板1は必ずしも透明である必要はなく、フィルム基板や金属基板等で構成してもよい。
【0021】
隔壁6としては、一般に使用されているレジスト材料或いは、熱可塑性材料、紫外線硬化材料などを使用できる。隔壁6の厚さは、通常、5μm〜30μm程度である。隔壁6の表面には、すべての表示セル15に共通な隔壁電極7が形成されている。隔壁電極7は、Al、Tiの金属膜だけでなく、ITO膜で構成しても良い。
【0022】
表示電極12は、微細な表面凹凸形状を形成した凹凸層13の上に反射率の高い金属薄膜を積層して形成される。凹凸層13としては、例えば、感光性樹脂を塗布した後、露光およびウェット現像を行うことで形成することができる。また、ガラスに微細な凹凸を作る方法を採用してもよい。
【0023】
凹凸層13の上に形成される表示電極12の材料としては、アルミニウムや銀など、反射率の高い材料が望ましい。このような構成にすることによって、表示電極12に光を拡散させる機能を持たせることができる。そして、表面凹凸形状の傾斜角度の分布を制御することにより、視野角を拡大させるとともに外光を効率良く反射させることができるので、より明るい良好な表示が得られる。
【0024】
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、隣接する3つの表示単位15に赤(R)、緑(G)、青(B)を割り当てて、3つの表示単位15で1つの画素を構成する。3つの表示単位15で表示電極12の100%遮光状態と100%透過状態とを行って、その組み合わせにより、白、黒を含む合計8色の表示が可能である。
【0025】
なお、3つの表示単位15で個別に中間階調の表示を行わせ、3つの表示単位15の階調バランスによって1つの画素のフルカラー表示を行ってもよい。表示電極12上には、カラーフィルタとしての着色層10a(G)、10b(R)、10c(B)が形成されている。着色層10a、10b、10cとしては、例えば、赤色または、緑色または、青色の顔料を分散させた紫外線硬化型アクリル樹脂レジストで構成する。着色層10a、10b、10cの膜厚は通常0.1μm〜4μm程度であり、表示単位15の中央部には、表示電極12に達するコンタクトホール11の開口が形成されている。
【0026】
隔壁6で四方を囲まれた着色層10a、10b、10cの表面が表示面を構成し、表示面と隔壁電極7の表面とを一体に覆って抵抗層9が形成されている。抵抗層9は、コンタクトホール11によって表示電極12に接続している。抵抗層9としては、光透過性の材料で、ポリシラン、ポリシロキサン、ポリアセチレンなどの有機膜、もしくはそれの複合体、共重合体、または、カーボン含有膜、インジウム−スズ酸化物(ITO)などの無機膜、またはシリコンなどの半導体膜、または導電性のフィラ(充填物)、例えば金属粉、カーボン粒子等をエポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂等に配合して得る導電性樹脂膜を使用できる。さらに界面部材として、これらの膜の積層膜でもよい。抵抗層9のシート抵抗は104Ω/□〜1018Ω/□が望ましい。
【0027】
表示電極12に直流電圧が印加されると、印加直後の過渡状態を経て、表示面の抵抗層9には、隔壁電極7の電位とコンタクトホール11の電位を結ぶ電圧勾配が形成される。これにより、移動空間16の中央部でも隔壁6へ向かう空間電位勾配(図8参照)が形成されて、特許文献1に示される電気泳動表示装置に比較して、表示面と隔壁6との間での帯電粒子4の往復移動が円滑かつ高速なものとなる。
【0028】
帯電粒子4の移動空間16は、透明基板2と抵抗層9とで囲まれている。移動空間16に充填された分散液体3には、表示の主体である帯電した黒色の帯電粒子4が分散されている。分散液体3としては、水、メタノール、エタノール、アセトン、ヘキサン、トルエン、長鎖アルキル基を有するベンゼン類等の芳香族炭化水素等又は、その他の種々の油類等の単独又はこれらの混合物に界面活性剤等を配合して用いることができる。
【0029】
帯電粒子4は、分散液体3中で電位差による電気泳動により移動する性質を有する有機あるいは無機の粒子である。帯電粒子4としては、例えば、アニリンブラック、カーボンブラック等の黒色顔料を用いることができる。なお、二酸化チタン、三酸化アンチモン等の白色顔料、アゾ系顔料、その他着色顔料等の1種又は2種以上を用いることもできる。
【0030】
さらに、これらの顔料には、必要に応じ、電解質、界面活性剤、樹脂、ゴム、油等の粒子からなる荷電制御剤、チタン系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、シラン系カップリング剤等の分散剤、潤滑剤、安定化剤等を添加することができる。
【0031】
表示電極12と隔壁電極7との間には、駆動電圧を発生する駆動回路(図2参照)が接続されている。表示電極12下の後方基板1には、後述する駆動用の配線および表示セル15ごとの薄膜トランジスタ素子(46:図2)が形成され、薄膜トランジスタ素子の出力端子が表示電極12に接続されている。
【0032】
次に動作について説明する。以下の説明では、帯電粒子4が正に帯電している場合を例に挙げるが、負に帯電している場合でも、帯電粒子4の動く方向が逆になることを考慮すれば同様に説明することができる。
【0033】
第1実施形態の電気泳動表示装置100では、着色層10a(10b、10c:以下略)上の抵抗層9の表面が表示セル15の表示面となっている。そして、表示電極12が隔壁電極7に対して負電位となるように電気信号を印加すると、移動空間16に形成された電界によって、帯電粒子4が表示面へ移動する。これにより、表示面が黒色の帯電粒子4に覆われると、表示セル15の黒表示がなされる。
【0034】
一方、表示電極12が隔壁電極7に対して正電位となるように電気信号を印加すると、隔壁電極7側に帯電粒子4が集められて、表示面から帯電粒子4が取り払われ、表示電極12が透明基板2側から見通せるようになる。これにより、表示電極12からの反射光が着色層10aを透過して明るい緑色の表示がなされる。
【0035】
なお、このような黒色表示と、明るい緑色表示の中間状態、すなわち、表示面の周辺部分に帯電粒子4が積層して、中央部分に帯電粒子4が到達していない表示状態では、表示セル15が中間階調の薄暗い〜暗い緑色に観察される。
【0036】
ところで、電気泳動表示装置100では、表示電極12と隔壁電極7とが抵抗層9によって連絡されているので、表示電極12への電流供給が途絶えると表示電極12の電圧が速やかに低下してしまう。しかし、表示電極12へ印加する書き込み電圧信号は、表示セル15に対して、走査信号の入力タイミングで切れ切れにしか供給されないので、書き込み電圧信号をそのまま表示電極12へ印加すると、走査信号の入力後、表示電極12の電圧が速やかに低下してしまう。
【0037】
そこで、図2に示すように、書き込み信号線48から読み込んだ書き込み電圧信号を補助容量50に保持して電圧制御TFT53を制御することにより、駆動電源電圧Vddから書き込み電圧信号を再生して表示電極12に印加し続けている。
【0038】
後方基板1には、格子状に立体交差して配置した書き込み信号線48および走査信号線47が配置され、書き込み信号線48と走査信号線47との各交点に対応させて、表示セル15ごとの画素TFT(Thin Film Transistor)46、電圧制御TFT53、および補助容量50が配置されている。後方基板1には、後方基板1上の表示セルに共通な補助容量線51、駆動電源線52、および共通電極49も配置されている。駆動電源線52は、+Vddと−Vddとを交互に印加される。表示セル15の隔壁電極7には、電圧Vcomである共通電極49に接続され、0Vが常に印加されている。
【0039】
画素TFT46および電圧制御TFT53は、n型トランジスタで構成されたアクティブマトリクス駆動表示用のスイッチング素子であって、後方基板1上に形成された不図示の層間絶縁層によって覆われている。画素TFT46のドレイン電極には、補助容量線51との間に補助容量50が接続され、電圧制御TFT53のゲート電極も接続されている。電圧制御TFT53のソース電極とドレイン電極には、それぞれ駆動電源線52と表示セル15の表示電極12とが接続されている。
【0040】
また、トリガーラインである走査信号線47は、画素TFT46のゲート電極に、データラインである書き込み信号線48は、画素TFT46のソース電極にそれぞれ接続されている。
【0041】
このように構成された駆動回路では、走査信号線47に走査信号が入力されると、書き込み信号線48から画素TFT46を通じて補助容量50に書き込み電圧信号が読み込まれる。そして、次の走査信号の入力まで、補助容量50に保持した書き込み電圧信号によって電圧制御TFT53を制御することにより、駆動電源電圧Vddから形成した書き込み電圧信号を表示電極12に印加し続ける。
【0042】
そして、補助容量50に所定の書き込み電圧信号を保持させた状態で、駆動電源線52への供給電圧を正負に反転することにより、表示電極12と隔壁電極7との間に交流電圧を印加できる。なお、補助容量50に蓄積した書き込み電圧は、書き込み信号線48を通じて負のリセット信号を書き込むことでリセットされる。
【0043】
図3に示すように、後方基板1の表示部44には、多数の表示セル15が格子状に配列され、表示部44の外側には、パネルコントローラ41、ソースドライバ43、ゲートドライバ42が配置されている。パネルコントローラ41は、入力される画像データに基づいて、フィールド同期信号、水平同期信号、データ取り込みクロックなどの制御信号、および表示データを生成し、ソースドライバ43、ゲートドライバ42に転送する。
【0044】
ソースドライバ43は、表示セル15に、書き込み信号線48を通じて書き込み信号電圧、駆動電源線52を通じて駆動電源電圧Vddをそれぞれ供給する。ゲートドライバ42は、走査信号線47を通じて表示セル15に走査信号を供給する。ソースドライバ43、ゲートドライバ42は、パネルコントローラ41より受信した制御信号、表示データに従って、表示部44の表示セル15に1走査線づつの画像表示を行う。また、表示部44のすべての表示セル15に所定の書き込み電圧信号を保持させた後に、駆動電源電圧Vddを正負に反転させて、すべての表示セル15の表示電極12と隔壁電極7との間に一括して交流電圧を印加することもできる。
【0045】
第1実施形態の電気泳動表示装置100では、表示電極12に交流電圧を印加した後に正の直流電圧を印加して白表示(最大明度の緑表示)を行う。図2を参照して図4に示すように、期間T1では、補助容量50に所定の書き込み電圧信号を保持させた状態で、信号線48と共通電極49との間の電圧極性を反転させて、表示電極12に交流電圧を印加する。交流電圧の周期は、隔壁6と表示面との間で帯電粒子4が往復移動する時間+αに定めてある。交流電圧を印加した後、期間T2では、直流電圧を印加して最も明るい階調表示を保持させる。
【0046】
なお、期間T2の終了後、駆動電源線52の駆動電源電圧Vddを負にして、補助容量50に表示セル15ごとの中間諧調の書き込み電圧信号を書き込んで、表示セル15ごとの中間階調の書き込みを行ってもよい。これにより、図1に示す着色層10a(G)、10b(R)、10c(B)を形成した隣接する3つの表示セル15の階調バランスを異ならせて1つの画素のフルカラー表示を行うことが可能である。階調の書き込みは、既に説明したように、直流電圧の電圧、パルス数、印加時間等によって制御することができる。
【0047】
また、図2の駆動回路における画素TFT46のドレイン電極を表示電極12に直接接続して、駆動電源線52および電圧制御TFT53を無くした通常の電圧制御型の駆動回路を用いて表示電極12へ交流電圧を印加してもよい。この場合、走査信号線47へ供給する走査信号のタイミングで書き込み信号線48に正負の電圧を印加して、表示電極12へ交流電圧を印加する。そして、交流電圧の半周期で同一極性の書き込みを複数回行うことにより、抵抗層9による電圧低下を少なくすることができる。
【0048】
図4の期間T1で交流電圧を印加した時の帯電粒子4の挙動を図5の(a)〜(d)に示す。図5の(a)は、電圧印加前の黒表示状態を表している。ここで、図4の期間T1のような交流電圧を印加すると、帯電粒子4の分布状態は、図5の(b)から図5の(c)を経て図5の(d)のようになる。
【0049】
交流電圧の半周期を帯電粒子4の泳動速度程度に相当する約10ms〜500msに設定してあるので、隔壁6の起立面における帯電粒子4の偏りが往復ごとに均されるとともに、表示面の中央付近に帯電粒子4が次第に存在しなくなる。その後、図4の期間T2で最も明るい階調表示のための直流電圧を印加すると、図5の(b)で示すような隔壁6の上部に透明基板2に沿って偏在した帯電粒子4群がなくなり、図5の(d)に示すような隔壁6の起立面をほぼ均等に覆った帯電粒子4の分布状態となる。
【0050】
従って、直流電圧を印加する前に交流電圧を印加することで、白表示(最大明度の緑表示)時に隔壁6の上部に集まって階調を低下させる帯電粒子4を低減でき、最も明るい階調での反射率を向上させることができる。また、隔壁6の起立面における分子間引力、親和性、分散液体3中での帯電性等によって、起立面をほぼ均等に覆った帯電粒子4を有効に拘束できるので、最も明るい階調の保持特性を格段に向上させることができる。また、隔壁6の上部、透明基板2との境界付近に集まる帯電粒子4の量が白表示(最大明度の緑表示)前の階調状態に依存しなくなるので、残像を大幅に軽減することができる。
【0051】
また、交流電圧が反転するごとに、表示面の抵抗層9には、抵抗層9に蓄積された電圧が抵抗層9を通じて放電する期間の過渡状態を経て、隔壁電極7の電位とコンタクトホール11の電位を結ぶ電圧勾配が形成される。
【0052】
そして、この電圧勾配によって帯電粒子4を表示面に沿った方向に移動させているので、過渡状態が消滅する時間を加算した交流電圧の半周期としている。何故なら、交流電圧の半周期をこの放電の時定数よりも短くすると、抵抗層9に電位勾配が生じて帯電粒子4が十分に移動し終わる前に印加電圧の極性が反転するため、電位勾配が有効に機能しないからである。
【0053】
一方、表示面の抵抗層9に電位勾配が形成されるためには、着色層10aを挟む表示電極12と抵抗層9との間に形成される容量と抵抗層9の抵抗値とで決定される時定数以上の時間が必要となる。抵抗層9のシート抵抗を高く設定して、交流電圧の半周期をその時定数よりも短くすることも可能である。この場合、抵抗層9に電位勾配が生じる前に交流電圧の極性が変化するため、電位勾配が発生しない。従って、抵抗層9の抵抗ムラやコンタクトホール11と隔壁電極7との位置合わせずれが存在していても安定した電界分布が得られ、最終的な電位勾配の形成状態によらずに図5の(a)〜(d)に示すような対称な帯電粒子4の挙動を得ることもできる。
【0054】
<第2実施形態>
図6は第2実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図である。第2実施形態の電気泳動表示装置200は、表示面の抵抗層9aと隔壁6の抵抗層9bとが分離されている以外は第1実施形態の電気泳動表示装置100と同様に構成され、駆動されている。従って、図6中、図1と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0055】
図6に示すように、第2実施形態の電気泳動表示装置200は、隔壁電極7と、着色層10a(10b、10c:以下省略)とを一体に覆って抵抗層9を形成した後に、隔壁6の根元を一周する帯状の領域をフォトリソグラフィ手法により選択的にエッチング除去してある。従って、着色層10a上の抵抗層9aは、隔壁6の抵抗層9bと分離してパターニングされている。言い換えれば、抵抗層9aは、表示電極12とコンタクトホール11によって電気的に接続される一方、抵抗層9aと隔壁電極7との間の接続抵抗が、表示電極12から抵抗層9aの端部までの抵抗よりも高いという構成である。
【0056】
このような構成では、抵抗層9aに形成される電位勾配とその過渡変化が第1実施形態の電気泳動表示装置100とは大きく異なる。すなわち、表示電極12へ電圧が印加された直後は、表示電極12と隔壁電極7間の容量分圧で抵抗層9aの各部の電位が定まって電位勾配が形成され、その後、抵抗層9aを通じた電荷移動によって電位勾配が消滅する。例えば、負電位の電圧信号の印加直後、抵抗層9aには、抵抗層9aの電位は表示面の中央で低く、隔壁電極7に近いほど高くなる電位勾配が形成される。従って、正電位の帯電粒子を中央へ押し込む横方向の電界ベクトルが強くなり、この期間、帯電粒子4は表示面の中央に向かって泳動する。その後、抵抗層9aに表示電極12から電荷が注入されて、抵抗層9aの電位が均一化される。
【0057】
このような構成においても、図4に示すように、直流電圧を印加させる前に交流電界を印加させることで、最も明るい階調の表示時に隔壁6の上部、透明基板2との境界付近に集まる帯電粒子4(図5の(b)参照)を低減でき、第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0058】
<第3実施形態>
図7は第3実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図、図8は電圧印加時の液層内の電界プロファイルの説明図である。第3実施形態の電気泳動表示装置300は、表示電極5が表示面の中央に配置されて、抵抗層9によって着色層10と一体に覆われている以外は、第1実施形態の電気泳動表示装置100と同様に構成されている。従って、図7、図8中、図1と共通する構成部材には共通の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0059】
図7に示すように、第3実施形態の電気泳動表示装置300は、後方基板1上の白色反射面を構成する着色層10が形成され、隔壁6で周囲を囲まれたほぼ正方形の表示面の中央に、表示面の面積の2%以下に形成した表示電極5が配置されている。表示電極5と着色層10と隔壁電極7とを一体に覆って抵抗層9が形成されている。
【0060】
このように構成された電気泳動表示装置300では、表示電極5に正の電圧信号を印加して隔壁6に帯電粒子4を集めることにより、透明基板2側から白色の着色層10を見通させる白表示を行う。また、表示電極5に負の電圧信号を印加して表示面を帯電粒子4で被覆することにより、黒表示を行う。
【0061】
そして、表示電極5に直流電圧を印加した際に、図8に示すように、中央に向かう横方向の電界が強くなるため、帯電粒子4が表示面の中央部まで到達するようになり、十分な黒階調を特許文献1に示される電気泳動表示装置よりも速やかに表示することができる。ただし、横方向の電界は強くなるものの、単純な直流電圧の印加だけでは、白表示時の粒子軌道の改善効果は十分でなく、隔壁6の上部、透明電極2との境界領域に停滞する帯電粒子4に起因する諸問題は解決されない。すなわち、透明基板2側から見た階調が低下して白反射率ロスが高い、白表示以前の階調によって帯電粒子4の停滞量が変化して白表示がばらつく、停滞する帯電粒子4が拡散してメモリ性が不足する各問題である。
【0062】
しかし、第3実施形態の電気泳動表示装置300においても、図4に示すように、直流電圧を印加させる前に交流電界を印加させることで、隔壁6の上部、透明基板2との境界付近に停滞する帯電粒子4(図5の(b)参照)を解消できるので、第1実施形態と同様に、これらの問題を解決できる。
【0063】
<比較例の電気泳動表示装置>
ウエアラブルPCや電子手帳を始めとする各種携帯情報機器の発達に伴い、低消費電力且つ薄型の表示装置のニーズが増しており、これらのニーズに合わせた表示装置の研究開発が盛んに行われている。携帯情報機器は屋外で使用されることが多く、低消費電力かつ省スペースであることが望まれるため、例えば液晶ディスプレイ等の薄型ディスプレイによる表示機能と座標入力処理を一体化し、ディスプレイに表示された内容をペン或いは指で押圧操作することにより直接的に入力できる物が製品化されている。
【0064】
しかし、多くの液晶はいわゆるメモリ性が無い為、表示期間中は液晶に対して電圧印加を続ける必要がある。一方で、メモリ性を有する液晶においては、ウエアラブルPCのようにさまざまな環境における使用を想定した場合の、信頼性を確保することが難しく実用化には至っていない。
【0065】
そこで、メモリ性を有する、薄型軽量ディスプレイ方式の一つとして、特許文献1に示される電気泳動表示装置が注目されている。図9は、特許文献1に示される、比較例の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図、図10は比較例の電気泳動表示装置における問題点の説明図、図11は電圧印加に対する帯電粒子の移動経路の説明図、図12は電圧印加した際の移動空間における電界状態の説明図である。
【0066】
図9に示すように、比較例の電気泳動表示装置500は、共通電極を兼ねた導電性の隔壁106を挟んで所定間隙を開けた状態に、透明基板101と後方基板102と配置し、透明基板101と後方基板102との間隙に、帯電粒子104を分散した分散液体103を充填してある。後方基板102の表面を隔壁106で囲んだ表示面には、表示電極105が形成され、表示電極105と隔壁106とは、それぞれ誘電体層105、108で覆われている。誘電体層105、108は、近接した帯電粒子104に応答して逆極性の帯電面を形成して帯電粒子104を吸着する。
【0067】
このように構成された比較例の電気泳動表示装置500では、表示電極105と隔壁6との間に適切な電圧を印加すると、帯電粒子104の位置を制御することができ、図9に示すように、帯電粒子104で表示電極105を覆うと透明基板101を通じて帯電粒子104の着色が観察される。一方、逆極性の電圧を印加して帯電粒子104を表示電極105上から追い払うと、図10に示すように、透明基板101を通じて表示電極105を見通すことができる。
【0068】
そして、表示電極105を透明電極、後方基板102を透明基板とし、後方基板102の背後に反射面やバックライトを配置することにより、最も明るい階調を表示することが可能である。もちろん、第1実施形態で説明したように、表示電極105自身を白色反射面とすることによっても、同様な最も明るい階調を表示することが可能である。
【0069】
また、表示電極105を黒色とする一方で、帯電粒子104を白色粒子とすれば、表示電極105に帯電粒子104を集めることにより白表示を行い、表示電極105から帯電粒子104を追い払うことで黒表示を行うことも可能である。
【0070】
このように構成された比較例の電気泳動表示装置500では、図9に示すように、黒色の帯電粒子104で白色の表示電極105を100%覆った黒表示状態と、図10に示すように、黒色の帯電粒子104を隔壁106に100%集めて白色の表示電極105を露出させた白表示とを表示可能である。また、帯電粒子104による表示電極105の部分的な被覆状態を形成することにより、中間の各種階調を表示することも可能である。しかし、比較例の電気泳動表示装置500では、以下の4つの問題点がある。
【0071】
第1の問題点は、帯電粒子104の垂直分布の偏りに起因する白反射率ロスが大きいことである。白表示の際、隔壁106に帯電粒子104を集めると、図10に示すように、隔壁106と透明基板101との境界付近に帯電粒子104が集まって著しく反射率が損なわれてしまう。つまり、帯電粒子104による開口率低下がある。
【0072】
隔壁106と透明基板101との境界付近に帯電粒子104が集まる原因は、図11に示すように、表示電極105にプラスの直流電圧を印加した際に、表示電極105の中央部の点Aの帯電粒子104が、表示電極105に反発して点Bで透明基板101に衝突してから、隔壁106へ向かうためである。
【0073】
第2の問題点は、残像である。隔壁106と透明基板101との境界付近に集まる帯電粒子104の量が隔壁106へ帯電粒子104を集める前の表示電極105の被覆状態に依存することが残像の原因となっている。例えば、以前に中間階調が表示されていた場合、隔壁106と透明基板101との境界付近に集まる帯電粒子104の量が減って、黒表示されていた場合に比べて反射率が高くなって反射率差を生じてしまう。
【0074】
一般的に電気泳動表示装置の帯電粒子の分布状態は印加電圧の履歴に依存しやすく、以前の表示状態が残るという欠点がある。この残像の問題については交流電界を印加することで改善されることが知られており、特許文献2には、マイクロカプセル型の電気泳動表示装置の残像を軽減するための駆動方法について開示されている。帯電粒子の待機位置をリセットするための電圧パルスの前または後に交流電界を印加するという内容である。
【0075】
第3の問題点は、黒表示した時に、帯電粒子104が表示面の中央まで届きにくく、十分な黒を表示できないことである。比較例の電気泳動表示装置500の表示電極105と隔壁106との間に直流電圧を印加したときの等電位線を図12に示す。図12に示すように、隔壁106の根元の隔壁106と表示電極105との間隔が狭い場所では等電位線が密なため電界が強く、一方、表示面の中央部では等電位線が疎らで電界が弱くなることがわかる。
【0076】
そして、黒表示する場合においては、表示電極105にマイナスの電圧を印加して帯電粒子104を表示電極105上に集める際に、図11に示すように、点Cの帯電粒子104は、電界で点Dに移動し、その後、横方向の電界により点Aに到達する。しかし、図12に示すように、表示面の中央方向への電界が非常に弱いため、帯電粒子104が表示面の中央部にまで到達しない。そのため、表示電極105を帯電粒子104で確実に覆うことができなくなり、十分なコントラストが得られないか、若しくは表示の応答速度が著しく遅くなるといった問題を抱えている。
【0077】
第4の問題点は、白保持不良である。図11に示すように、帯電粒子104の軌道を考慮すると、一般的に、透明基板102の特性として、帯電粒子104の張り付きにくい材料が選ばれる。そして、上述したように、白表示を行うと、隔壁106と透明基板101の境界付近に帯電粒子104が集まる。これらの帯電粒子104は透明基板101との相互作用がなくて吸着しないため、メモリ性が得られない。
【0078】
このうち、第3の問題点については、第3実施形態に示す抵抗層9(図7)を形成することによって改善される。そして、残りの第1、第2、第4の問題点について、第1実施形態〜第3実施形態に示す白リセット動作、すなわち白表示に先立たせて所定周期の交流電圧を印加する駆動制御によって解決されることは上述したとおりである。隔壁106の起立面における帯電粒子104の垂直分布を均一で密なものとし、隔壁106と透明基板101の境界付近に帯電粒子104が集まることを阻止できる。
【0079】
このような駆動方法によれば、図9に示すように、比較例の電気泳動表示装置500においても、白表示時に隔壁106と透明基板101の境界付近に集まる帯電粒子104を低減でき、白反射率と白保持特性を格段に向上させることができる。隔壁106と透明基板101の境界付近に集まる帯電粒子104の量が直前の表示状態に依存しなくなるので、残像を軽減することができる。
【0080】
また、図1に示すように、第1実施形態の電気泳動表示装置100では、表示電極12上に着色層10aが形成され、抵抗層9と表示電極12とがコンタクトホール11を介して接続され、表示電極12と抵抗層9とが重畳されている。ここでは、白表示に先立つ交流電界の周期が、表示電極12と抵抗層9との間の容量と抵抗層9の抵抗とで決定される時定数よりも短くすることにより、抵抗層9に電位勾配が生じる前に印加電圧の極性が変化するため、電位勾配が発生せず、隔壁6の下部の強電界部に帯電粒子4が引き寄せられ、より効果的に隔壁6と透明基板2の境界付近に集まる帯電粒子4を低減することができる。
【0081】
このような過渡状態の電界プロファイルは抵抗層9の電位勾配の状態に依存しないので、コンタクトホール11と隔壁電極7の合わせずれが生じたとしても、偏りの無い均一な帯電粒子4の分布を形成することができる。
【0082】
<発明との対応>
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、表示面ごとに配置された表示電極12と、表示面を囲む隔壁6の起立面に配置された隔壁電極7と、表示電極12と隔壁電極7との間に所定極性の直流電圧を印加して起立面へ帯電粒子4を集めるパネルコントローラ41とを備える。そして、パネルコントローラ41は、表示電極12と隔壁電極7との間に、交流電圧を印加した後に、直流電圧を印加する。
【0083】
従って、交流電圧によって帯電粒子4が隔壁6の起立面と表示面との間を往復しつつ、次第に隔壁6に近い部分へ掃き寄せられるので、表示面の中央から隔壁6上部へ移動して停滞する帯電粒子4が少なくなり、隔壁6の起立面の高さ方向の帯電粒子4のばらつきが解消される。
【0084】
言い換えれば、交流電圧の印加によって、隔壁6の起立面には、印加前の表示状態に影響されない、再現性の高い垂直方向に均一に整然と密に分布した帯電粒子4の積層状態が形成される。これにより、隔壁6の上部に帯電粒子4が滞留して表示面を見通させる表示の階調が違ってくることが無くなる。また、滞留した拘束力の無い帯電粒子4の拡散によって電圧解除後の階調が変化することも少なくなり、表示のメモリ性が高まる。
【0085】
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、表示電極12の上に配置された透光性の着色層10aと、着色層10aを覆って配置され、表示面の中央側で表示電極12に接続された面状の抵抗層9とを備える。
【0086】
従って、抵抗層9に形成される電位勾配によって、表示電極12の中央部でも電界の密度を増して、帯電粒子4に対する表示面に沿った方向の十分な加速を確保することができる。これにより、電圧印加時の帯電粒子4の応答速度、階調書き込み速度が高まる。また、階調書き込みの再現性が向上して同じ信号電圧の印加に対する表示階調のばらつきが低減するので、再現性の高い画像表示、カラー表示が可能となる。
【0087】
第3実施形態の電気泳動表示装置300は、表示電極5は、起立面から距離を隔てて表示面の中央側に配置され、表示電極5に接続して表示面を覆う抵抗層9を備える。
【0088】
第1実施形態の電気泳動表示装置100は、交流電圧の周期は、交流電圧によって帯電粒子4が表示面から起立面へ移動する時間に基づいて定められている。また、交流電圧の周期は、抵抗層9に蓄えられた交流電圧が抵抗層9を通じて放電する際の時定数に基づいて補正されている。
【0089】
第1実施形態における白表示では、表示面に配置された表示電極12と、表示面を囲む隔壁6の起立面に配置された隔壁電極7とを備え、表示時電極と隔壁電極7との間に所定極性の直流電圧を印加して、隔壁6の起立面へ帯電粒子4を移動させることにより、表示面を見通せる表示を行う。そして、表示面から隔壁6の起立面へ帯電粒子4が移動する時間に基づいて定めた周期の交流電圧を表示電極12と隔壁電極7との間に印加した後に、所定極性の電圧を印加する。これにより、隔壁6と透明基板2の境界領域に帯電粒子4を停滞させることなく、隔壁6の起立面を帯電粒子4で均一に被覆できる。
【0090】
第1実施形態の電気泳動表示装置100では、表示面に配置された表示電極12と、表示面を囲む隔壁6の起立面に配置された隔壁電極7とを備え、帯電粒子4を隔壁6の起立面へ集めるリセット動作に続いて、表示面へ帯電粒子4を移動させる階調書き込み動作を行うことが可能である。このとき、白表示によってリセット動作を行うことができ、表示面から隔壁6の起立面へ帯電粒子4が移動する時間に基づいて定めた周期の交流電圧の印加に続いて白表示の電圧を所定時間保持する。これにより、リセット動作前の表示状態と無関係に、隔壁6と透明基板2の境界領域に帯電粒子4を停滞させることなく、隔壁6の起立面を帯電粒子4で均一に被覆して、続く階調書き込みを再現性高く実行できる。
【0091】
ところで、図9〜図12を参照して、既に説明したように、比較例の電気泳動表示装置500では、表示面を帯電粒子104で覆った100%の遮断状態と、隔壁106へ帯電粒子104を集めて表示面を露出させた100%の透過状態とを表示する2つの階調の間で、中間階調(濃い灰色〜薄い灰色)を表示可能である。このような中間階調の表示では、表示面に帯電粒子104を集める電圧信号の電圧、印加時間、パルス数等を異ならせて帯電粒子104による表示面の被覆率を調整する。
【0092】
そして、中間階調を表示する際には、帯電粒子104を一度隔壁106に集めて表示面を見通させる表示状態にリセットした後に、表示面に帯電粒子104を集める所定の電圧信号の印加を行って表示面に階調の書き込みを行うことが提案されている。何故なら、同じ直流電圧を同じ時間だけ印加しても、出発点の階調が異なれば書き込まれた結果の階調が違って来るし、出発点の階調が同じでも、前回の書き込みからの時間差によって書き込まれた結果の階調が違う等、階調書き込みの再現性を確保できないからである。
【0093】
しかし、実際に、このようなリセットを行ってみると、リセット以前に表示されていた階調が異なるとリセット階調が違ってしまい、その後、同じ書き込みを経た階調も違って来てしまう。何故なら、直流電圧を印加して隔壁106に帯電粒子104を集めると、上述したように、隔壁106上部に帯電粒子104が過剰に停滞し易く、その停滞量がリセット以前に表示されていた階調によって変化するからである。
【0094】
言い換えれば、中間階調の表示では、表示面の周辺部に帯電粒子104を偏在させて、表示面の中央部を見通させる表示状態となるので、中間階調の表示状態からリセットを行うと、隔壁106に集まった帯電粒子104の垂直分布が100%の遮断状態からリセットを行った場合とは違ってしまう。そして、帯電粒子104の垂直分布が異なるリセット状態から書き込みを行うと、同じ電圧信号を印加しても書き込まれた結果の階調が違ってしまう。
【0095】
つまり、結果的には、特許文献2に示されるように、「リセット前の表示階調に影響されて、書き込みの再現性が損なわれる」問題であるが、現象的には、特許文献1に示される構造に固有の「リセット前の表示階調に影響されて隔壁における帯電粒子の垂直分布の再現性が得られない」問題である。
【0096】
このような表示面を囲む隔壁106の起立面に隔壁電極(106)を配置して、隔壁106の起立面と表示面との間で帯電粒子106を移動させる電気泳動表示装置500では、特許文献2に示されるような、表示面と帯電粒子の固着状態を緩めるための交流電圧ではなくて、図5の(a)〜(d)に示すような積極的に起立面と表示面との間で帯電粒子106を往復移動させる交流電圧によって、隔壁106における帯電粒子104の均一な垂直分布を達成できる。
【0097】
そして、リセット後は、特許文献2に示されるような再度の交流電圧(固着を緩める)を印加しなくても、所定の書き込み信号電圧(電圧、印加時間、パルス数等)を印加することによって、書き込み信号電圧に応じた再現性の高い、表示セルごとのばらつきが少ない中間階調の書き込みを行うことができる。
【0098】
そして、第1実施形態〜第3実施形態における抵抗層9(図1等)は、上述したように、表示面に沿った方向の帯電粒子4の移動速度を高めるので、リセット時の交流電圧の周期を抵抗層9が無い場合よりも短くして、リセット時間を短縮させる。これにより、リセットと書き込みとの合計の所要時間が短縮され、画像表示の書き換え頻度を高めて動画表示等も可能となる。
【0099】
また、特許文献3に示される電気泳動表示装置では、表示セルに直流電界を印加して表示面を見通せる白表示、交流電界を印加して表示面を遮光する黒表示を行っている。従って、白表示→黒表示→白表示とした場合に、交流電界の周波数を適正化する等の新規な制御用件を付加するなら、2回目の白表示が最初の白表示よりも明るくなる。しかし、これは、再現性のある、画面上で階調の揃った白表示を得るという本発明の目的には反している。また、抵抗層それ自体を備えないのであるから、交流電界が表示面の抵抗層と共働して隔壁面への帯電粒子の移動速度を速める効果(交流電界によって電位傾斜の大きい表示面近傍へ帯電粒子が集められる)は期待すべくもない。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】第1実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図である。
【図2】表示セルの駆動回路の説明図である。
【図3】電気泳動表示装置の回路構成の説明図である。
【図4】白表示における電圧信号の説明図である。
【図5】白表示の制御における帯電粒子の挙動の説明図である。
【図6】第2実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図である。
【図7】第3実施形態の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図である。
【図8】電圧印加時の液層内の電界プロファイルの説明図である。
【図9】比較例の電気泳動表示装置における表示セルの断面構成の説明図である。
【図10】比較例の電気泳動表示装置における問題点の説明図である。
【図11】電圧印加に対する帯電粒子の移動経路の説明図である。
【図12】電圧印加した際の移動空間における電界状態の説明図である。
【符号の説明】
【0101】
1 後方基板
2 透明基板
3 分散液体
4 帯電粒子
5、12 表示電極
6 隔壁
7 隔壁電極
9 抵抗層
10a、10b、10c 着色層
11 コンタクトホール
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示面ごとに配置された表示電極と、
前記表示面を囲む隔壁の起立面に配置された隔壁電極と、
前記表示面に配置されて前記表示電極に接続された抵抗層と、
前記表示電極と前記隔壁電極との間に所定極性の直流電圧を印加して前記起立面へ帯電粒子を集める制御手段と、を備えた粒子移動型表示装置において、
前記制御手段は、前記表示電極と前記隔壁電極との間に、交流電圧を印加した後に、前記直流電圧を印加することを特徴とする粒子移動型表示装置。
【請求項2】
前記表示電極の上に配置された透光性の絶縁層を備え、
前記抵抗層は、前記絶縁層を覆って配置され、前記表示面の中央側で前記表示電極に接続されていることを特徴とする請求項1記載の粒子移動型表示装置。
【請求項3】
前記表示電極は、前記起立面から距離を隔てて前記表示面の中央側に配置され、
前記抵抗層は、前記表示電極に接続して前記表示面を覆うことを特徴とする請求項1記載の粒子移動型表示装置。
【請求項4】
前記交流電圧の周期は、前記交流電圧によって前記帯電粒子が前記表示面から前記起立面へ移動する時間に基づいて定められていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の粒子移動型表示装置。
【請求項5】
前記交流電圧の周期は、前記抵抗層に蓄えられた前記交流電圧が前記抵抗層を通じて放電する際の時定数に基づいて補正されていることを特徴とする請求項4記載の粒子移動型表示装置。
【請求項6】
表示面に配置された表示電極と、前記表示面を囲む起立面に配置された隔壁電極と、を備え、前記表示電極と前記隔壁電極との間に所定極性の直流電圧を印加して、前記起立面へ帯電粒子を移動させることにより、前記表示面を見通せる表示を行う粒子移動型表示装置の駆動方法において、
前記表示面から前記起立面へ前記帯電粒子が移動する時間に基づいて定めた周期の交流電圧を前記表示電極と前記隔壁電極との間に印加した後に、前記所定極性の直流電圧を印加することを特徴とする粒子移動型表示装置の駆動方法。
【請求項7】
表示面に配置された表示電極と、前記表示面を囲む起立面に配置された隔壁電極と、を備え、帯電粒子を前記起立面へ集めるリセット動作に続いて、前記表示面へ前記帯電粒子を移動させる階調書き込み動作を行う粒子移動型表示装置の駆動方法において、
前記リセット動作は、前記表示面から前記起立面へ前記帯電粒子が移動する時間に基づいて定めた周期の交流電圧の印加を含むことを特徴とする粒子移動型表示装置の駆動方法。
【請求項1】
表示面ごとに配置された表示電極と、
前記表示面を囲む隔壁の起立面に配置された隔壁電極と、
前記表示面に配置されて前記表示電極に接続された抵抗層と、
前記表示電極と前記隔壁電極との間に所定極性の直流電圧を印加して前記起立面へ帯電粒子を集める制御手段と、を備えた粒子移動型表示装置において、
前記制御手段は、前記表示電極と前記隔壁電極との間に、交流電圧を印加した後に、前記直流電圧を印加することを特徴とする粒子移動型表示装置。
【請求項2】
前記表示電極の上に配置された透光性の絶縁層を備え、
前記抵抗層は、前記絶縁層を覆って配置され、前記表示面の中央側で前記表示電極に接続されていることを特徴とする請求項1記載の粒子移動型表示装置。
【請求項3】
前記表示電極は、前記起立面から距離を隔てて前記表示面の中央側に配置され、
前記抵抗層は、前記表示電極に接続して前記表示面を覆うことを特徴とする請求項1記載の粒子移動型表示装置。
【請求項4】
前記交流電圧の周期は、前記交流電圧によって前記帯電粒子が前記表示面から前記起立面へ移動する時間に基づいて定められていることを特徴とする請求項1乃至3いずれか1項記載の粒子移動型表示装置。
【請求項5】
前記交流電圧の周期は、前記抵抗層に蓄えられた前記交流電圧が前記抵抗層を通じて放電する際の時定数に基づいて補正されていることを特徴とする請求項4記載の粒子移動型表示装置。
【請求項6】
表示面に配置された表示電極と、前記表示面を囲む起立面に配置された隔壁電極と、を備え、前記表示電極と前記隔壁電極との間に所定極性の直流電圧を印加して、前記起立面へ帯電粒子を移動させることにより、前記表示面を見通せる表示を行う粒子移動型表示装置の駆動方法において、
前記表示面から前記起立面へ前記帯電粒子が移動する時間に基づいて定めた周期の交流電圧を前記表示電極と前記隔壁電極との間に印加した後に、前記所定極性の直流電圧を印加することを特徴とする粒子移動型表示装置の駆動方法。
【請求項7】
表示面に配置された表示電極と、前記表示面を囲む起立面に配置された隔壁電極と、を備え、帯電粒子を前記起立面へ集めるリセット動作に続いて、前記表示面へ前記帯電粒子を移動させる階調書き込み動作を行う粒子移動型表示装置の駆動方法において、
前記リセット動作は、前記表示面から前記起立面へ前記帯電粒子が移動する時間に基づいて定めた周期の交流電圧の印加を含むことを特徴とする粒子移動型表示装置の駆動方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−114622(P2007−114622A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−307887(P2005−307887)
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年10月21日(2005.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]