粒子線治療システムの治療台位置決め装置
【課題】この発明は、CT画像撮影から自動的に位置決め装置のアイソセンタに合わせることのできる粒子線治療システムの治療台位置決め装置を得ることを目的とする。
【解決手段】自走式CTによりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタに対するCT治療台の相対的な現在位置を保存し、この保存した相対的現在位置を用いて、位置決めアイソセンタに対する位置決め治療台の位置がCTアイソセンタに対するCT治療台の位置と同じになるよう演算して、位置決め治療台の位置設定機構を制御するようにした。
【解決手段】自走式CTによりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタに対するCT治療台の相対的な現在位置を保存し、この保存した相対的現在位置を用いて、位置決めアイソセンタに対する位置決め治療台の位置がCTアイソセンタに対するCT治療台の位置と同じになるよう演算して、位置決め治療台の位置設定機構を制御するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、がん治療などに用いられる粒子線治療システムにおいて、患者の所定の位置に粒子線を照射するために治療台を位置決めする治療台位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から放射線をがんなどの腫瘍に照射して治療を行う放射線治療が知られているが、特に最近では放射線として炭素などの重粒子線や陽子線などの粒子線を用いた粒子線治療が注目されている。このような粒子線治療では粒子線を人体のがんなどに適切かつ効率的に照射することが重要である。
【0003】
そのような粒子線治療装置では、粒子線を実際に照射する前準備として、患部のCT画像を撮影し、それを元にどこに向けてどのように粒子線を照射するのかを計画し、その計画を元に照射時の位置決めに使用するX線画像を撮影する。この手順は、粒子線を実際に照射する治療室で行う場合もあるし、専用の粒子線治療シミュレータ装置を使用する場合もある。粒子線治療シミュレータ装置とは、粒子線照射時の位置決め用X線画像を撮影することに特化した装置である。粒子線照射に使用する治療室とは別の場所に設けられた粒子線治療シミュレータ装置で位置決め用X線画像を撮影することで、治療室を粒子線照射のみに使用することができ、粒子線治療装置全体の単位時間あたりの治療可能患者数を向上することができる。
【0004】
粒子線照射時の位置決めは、通常、患部のCT画像から治療のために計画された画像であるDRR(Digital Reconstructed Radiograph)画像と位置決めのためのX線画像を合わせるようにして行われる。この作業は、技師が手動で行うことが多いが、これを自動で行う技術が提案されている。特許文献1には、体表面に表示した表示マーカーの位置をリアルタイムで検出し、このマーカーの位置から患部を推定し、放射線のアイソセンタの中心と患部との位置ずれを求めてこの位置ずれが所定値になるように、照射装置と治療台を制御する技術が記載されている。また、特許文献2では治療台上の特定の基準位置と放射線治療装置のアイソセンタとの距離と、治療台上の特定の基準位置とMRI装置の計測空間中心との間の距離とを加算したものが一定値になる構成において、患部の中心位置を放射線治療装置のガントリーのアイソセンタへ自動的に位置合わせする技術が記載されている。また、特許文献3では、DRR画像への治療台位置決め時における計算点の入力を省略し、かつDRR画像上に設定されている計算点をDR画像にも転写表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-47290号公報
【特許文献2】特開平11-9708号公報
【特許文献3】特開2008−228966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された方法では表示マーカーの位置を元に位置決めを行っており、CT画像撮影から自動的に位置決め装置のアイソセンタに合わせることはできない。また、特許文献2に記載された方法ではMRI装置は固定されているのが前提であり、自走式CT装置を使いかつ治療台も自走式CT装置側に動作する構成には適用できない。また、特
許文献3に記載された方法では計算点の入力は省略できるが、CT画像撮影から自動的に位置決め装置のアイソセンタに合わせることはできない。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、自走式CT装置を用い、かつCT画像撮影時に患者を載せる治療台も自走式CT装置側に自由に動作する構成においてCT画像撮影から自動的に位置決め装置のアイソセンタに合わせることのできる粒子線治療システムの治療台位置決め装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の粒子線治療システムの治療台位置決め装置は、自由に走行する自走式CTと、この自走式CTによりCT画像を撮像する患者を固定するとともに、直交する3軸にそれぞれ並進して位置を設定する3軸の位置設定機構を有するCT治療台と、自走式CTと離隔して設置されたX線撮像装置と、このX線撮像装置により患者のX線画像を撮像するために患者を固定するとともに、直交する3軸にそれぞれ並進して位置を設定する3軸の位置設定機構を有する位置決め治療台と、CT治療台の位置設定機構および位置決め治療台の位置設定機構を制御するコントローラと、を備えた粒子線治療システムの治療台位置決め装置において、コントローラは、自走式CTに対して固定された位置であるCTアイソセンタの位置情報と、X線撮像装置に対して固定された位置である位置決めアイソセンタの位置情報とを有し、自走式CTによりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタに対するCT治療台の相対的な位置である相対的現在位置を保存し、位置決めアイソセンタに対する位置決め治療台の相対的な位置が相対的現在位置と同じになるよう演算して、位置決め治療台の位置設定機構を制御するようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、自走式CT装置を使いかつ治療台も自走式CT装置側に自由に移動する構成において、CT画像撮影時のCT治療台の位置、自走式CT装置の位置から位置決め治療台の設定値を計算・設定することで、位置決めアイソセンタの位置合わせを自動化し、シミュレーションにかかる時間を短縮し、効率的に治療台の位置決めができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1による粒子線治療システムの治療台位置決め装置に用いられるDRR画像の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の動作の詳細を説明するフローチャート図である。
【図4】本発明の実施の形態1による自走式CTの座標関係を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態1によるX線撮像装置の座標関係を示す側面図である。
【図6】本発明の実施の形態2による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態4による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態5による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態6による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態7による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。治療室101は大きくCT側(図1の右半分)と位置決め装置側(図1の左半分)に二分される。CT側には、CTレーザポインタ107を備え、自由に走行できる自走式CT102があり、これが患者103を固定具104で固定したCT治療台105に向かって移動する。CT治療台105は、前後・左右・上下3軸の並進移動を行うための位置設定機構(CT治療台105に備えられている)、および3軸の回転を行うための3軸の傾き設定機構(CT治療台105に備えられている)により位置と傾きが設定される。CTアイソセンタ106は自走式CT102の撮像画像の基準となる位置であり、自走式CT102に対して固定された位置である。通常CTアイソセンタ106の位置を自走式CTに固定されたCTレーザポインタ107で示すことにより可視化している。
【0012】
また、位置決め装置側にはX線撮像装置108があり、患者103の正方向、側方向のX線画像を撮影する機能を備えている。すなわち、自走式CT102とX線撮像装置108は離隔して設置されている。位置決め治療台109の上下左右にX線撮像装置108を配置し、これを用いて固定具104で固定した患者103の正側両方向のX線画像を同時に撮影する。位置決め治療台109は、CT治療台105と同様に3軸の並進移動を行う位置設定機構(位置決め治療台109に備えられている)、および3軸の回転を行う3軸の傾き設定機構(位置決め治療台109に備えられている)により位置と傾きが設定される。位置決めアイソセンタ110はX線撮像装置108の撮像画像の基準となる位置であり、通常治療室101の壁面などに複数備え付けられた位置決めレーザポインタ111で位置決めアイソセンタ110を示すことにより可視化している。
【0013】
コントローラ112はCT治療台105と位置決め治療台109を制御する装置である。治療計画装置113は、自走式CT102と位置決め治療台109、およびコントローラ112に接続されており、図2で示すようなCT画像201を受け取り、それを元に治療計画を作成し、画像中CTアイソセンタ202を原点とした治療アイソセンタ204の座標とDRR画像(Digital Reconstruction Radiograph、3次元のCT画像201を正方向または側方向に加算して2次元変換した画像)をコントローラ112に送信する機能を
持っている。患者を位置決め治療台109に載せた後、CT画像201のCTアイソセンタ202に相当する位置が位置決めアイソセンタ110に一致するように位置決め治療台109を移動する必要がある。DRR画像は、位置決めの作業中にX線画像と比較して正しく位置決めできているかどうか確認するために用いられる。
【0014】
図2はCT画像と座標の位置関係を示した図である。自走式CT102で撮影したCT画像201の画像中にはCTアイソセンタ202、患部203が存在する。画像中CTアイソセンタ202は、撮像した画像中で実装置上のCTアイソセンタ106に対応した点である。このCTアイソセンタ202は撮像した画像には実在しないが、自走式CTに対して固定された点であって、画像上に点として表示するためのデータとして、自走式CTが画像とは別に画像データに付加して出力するものである。患部203はがんなどの腫瘍である。治療台位置決め装置の利用者は、治療計画装置113を使って治療アイソセンタ204を決定する。粒子線は治療アイソセンタ204に向けて照射される必要がある。治療アイソセンタ204は、画像中CTアイソセンタ202を原点とした座標で表現される。
【0015】
上述のように、自走式CT102で撮影したCT画像201中においてCTアイソセンタ202を原点として治療アイソセンタ204を決定して治療計画を作成する。このため、患者を位置決め治療台109に固定した場合に、治療において基準位置となる位置決めアイソセンタ110の位置が、治療アイソセンタ204に相当する位置になるように設定する必要がある。
【0016】
本実施の形態1においては、コントローラ112に治療台位置保存ボタン401、治療台位置読込ボタン402を設ける。また、コントローラ112は、自走式CTに対するCTアイソセンタ106の位置情報および位置決めアイソセンタ110の位置情報を記憶している。治療台位置保存ボタン401を押下すると、CT治療台105のCTアイソセンタ106に対する相対的現在位置をコントローラ112に保存する。治療台位置読込ボタン402を押下すると、位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療台109の相対位置が、保存しておいたCT治療台105の相対的現在位置と同じになるように位置決め治療台109の位置設定機構の設定値を演算し、位置決め治療台109の位置設定機構を制御して位置決め治療台の位置を設定する。
【0017】
CT画像撮影からX線画像撮影までの手順について図3のフローチャートを元に説明する。まず、患者103をCT治療台105に載せる(S302)。次に、患部203が撮影できそうな位置までCT治療台105を移動する(S303)。その後自走式CT102を移動する(S304)。
【0018】
CTレーザポインタ107の位置を見て患部203が撮影できそうなことを確認して、CTレーザポインタ107の位置を固定具104にCTアイソセンタ106の位置であるとしてマーキングする(S305)(本発明においてはこの手順は必須ではないが、後で
マーキングが位置決めアイソセンタ110に合うことを目視確認するのに有用である。)
。その後、治療台位置保存ボタン401を押下して、コントローラ112が自走式CT102から自走式CTの位置情報、およびCT治療台105の位置設定機構からCT治療台の位置情報を取得して、CTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対的位置である相対的現在位置を演算して保存する(S306)。
【0019】
CT画像201を撮影し、それを治療計画装置113に送信する(S307)。治療計画装置113でCT画像201中の患部203より治療アイソセンタ204を決定する。また治療計画装置113でCT画像201からDRR画像を生成する(S308)。
治療計画装置113からコントローラ112に画像中CTアイソセンタ202を原点とした治療アイソセンタ204の座標とDRR画像を送信し(S309)、コントローラ112はこれらの情報を保存する。
【0020】
その後、患者103をCT治療台105から降ろし、位置決め治療台109に載せる(S310)ここでCT治療台105と位置決め治療台109には固定具104を固定するための穴が開けられている。固定具104は患者103に応じて準備され、CT治療台105と位置決め治療台109とで同じ固定具104を使用する。各治療台において固定するための穴を用いて固定具104を固定することで、患者103をCT治療台105上の位置と同じ位置決め治療台109上の位置に固定できる。
【0021】
次にコントローラ112の治療台位置読込ボタン402を押下することにより、コントローラ112は、CT撮影時に保存した相対的現在位置を読込み、位置決めアイソセンタに対する位置決め治療台の相対的な位置が上記相対的現在位置と同じになるよう演算し、位置設定機構を制御して位置決め治療台109を移動する(S311)。ここで固定具104のマーキングは位置決めアイソセンタ110に合う。さらにコントローラ112が保存している治療アイソセンタ204の座標分、位置決め治療台109を移動する(S312)。
【0022】
移動完了後、X線画像を撮影する(S313)。治療計画装置113から送信されたD
RR画像とX線画像を比較して位置のずれが許容範囲かどうか判断する(S314)。比較した結果、ずれが許容範囲外の場合、S315に遷移する。許容範囲内の場合は終了とする(S316)。ずれが許容範囲外の場合、位置決め治療台109の位置を微調整してS313に遷移する(S315)。
【0023】
ここで、位置決め治療台109の位置設定方法について詳しく説明する。図4に自走式CT102とCT治療台105の座標関係を示す側面図を示す。この図中でCT治療台105の原点を(Xa0, Ya0, Za0)とする。CT画像撮影時のCT治療台105(の基準位置)の座標を(Xa1, Ya1, Za1)とする。この際のCTアイソセンタ106の実空間上の座標を(Xa2, Ya2, Za2)とする。CTアイソセンタ106とCT治療台105のX座標の差分(CTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対位置)をDa1とする。CTアイソセンタ106とCT治療台105のZ座標の差分(CTアイソセンタ106に対するCT治療台の相対位置)をDa2とする。
【0024】
図5にX線撮像装置と位置決め治療台109の座標関係を示す側面図を示す。この図中で位置決め治療台109の原点を(Xb0, Yb0, Zb0)とする。位置決め時に設定すべき位置
決め治療台109の座標を(Xb1, Yb1, Zb1)とする。また位置決めアイソセンタ110の
座標を(Xb2, Yb2, Zb2)とする。位置決め治療台109(の基準位置)の原点と位置決め
アイソセンタ110のX座標の差分をAとする。位置決め治療台109の原点と位置決めアイソセンタ110は固定点なので、Aは固定値となる。また位置決めアイソセンタ110と位置決め治療台109のX座標の差分(位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療台109のX方向の相対位置)をDb1とする。位置決めアイソセンタ110と位置決め治療台109のZ座標の差分(位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療台109のZ方向の相対位置)をDb2とする。患者103は位置決め治療台109上にCT治療台105と同じ位置にのせるため、Da1とDb1、Da2とDb2は一致するように位置決め治療台109の位置を設定する必要がある。
【0025】
例としてCT治療台105を自走式CT102側に移動してからCTを撮像する場合を考える。この場合には、CTを撮影する位置が定まらないためCT治療台105の自走式CT102側方向の軸の現在値はそのまま位置決め治療台109の軸の設定値として使用することができない。そこで、CT治療台105と自走式CT102の相対距離よりCT治療台105上のどこにCTアイソセンタ106が位置するのかを算出し、それを元に設定すべき位置決め治療台109の位置を計算する必要がある。具体的に設定すべき位置決め治療台109のX座標Xb1の計算を試みる。まず図4からDa1 = Xa2 - Xa1となる。図5からXb1 = A - Db1 = A - Da1 = A - (Xa2 - Xa1)となる。
【0026】
Aは位置決めアイソセンタの位置でありコントローラに記憶されている。(Xa2 - Xa1)
はCT画像を撮像したときのCTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対位置(これを相対的現在位置と呼ぶ)であり、これらから位置決め治療台109の位置決めアイソセンタ110に対する相対位置を演算できることがわかる。なお、X線撮像装置108は治療室101の固定された位置に設置されているから、位置決めアイソセンタ110の位置は固定である。よって、位置決め治療台109の位置決めアイソセンタ110に対する相対位置を演算すれば、位置決め治療台109の治療室101に対する位置が決まることになる。
【0027】
以上のように、本発明では、自走式CT102によりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対的な位置である相対的現在位置(上記X座標の例ではDa1に相当)を用いて、位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療
台109の相対的な位置(上記X座標の例ではDb1に相当)が相対的現在位置と同じにな
るよう演算して、位置決め治療台109の位置設定機構を制御する。より具体的には、C
Tアイソセンタ106の位置(座標)(Xa2, Ya2, Za2)は、自走式CTに対して固定され
た位置であるから、CT画像を撮像した時の自走式CTの位置からCTアイソセンタ106の位置(座標)(Xa2, Ya2, Za2)を知ることができる。あるいは、自走式CTの位置をCTアイソセンタの位置で現わすことも可能である。いずれにしても、CTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対的な位置である相対的現在位置は、自走式CT102の位置とCT治療台105の位置から求めることができる。
【0028】
次に、CTアイソセンタ106と位置決めアイソセンタ110の高さが固定値で異なっている場合を考える。CTアイソセンタ106と位置決めアイソセンタ110の高さの差分をCT治療台105の上下方向軸の現在値に加え、高さの違いを補正する必要がある。具体的に位置決め治療台109のZ座標Zb1の計算を試みる。まずCTアイソセンタ10
6と位置決めアイソセンタ110の高さの差をBとするとB = Zb2 - Za2となる。また図4よりDa2 = Za2 - Za1である。図5よりDb2 = Zb2 - Zb1となる。この式を変形してZb1 = Zb2 - Db2 = Zb2 - Da2 = Zb2 - Za2 + Za1 = B + Za1となる。
【0029】
さらに、Y方向の位置が異なる場合も、上記と同様に演算できる。
なお、両治療台の位置を設定するそれぞれの6軸のうち、回転の3軸、すなわち傾きを設定する傾き設定機構については、位置決め治療台109の傾きがCT画像撮影時のCT治療台105の傾きと同じになるよう位置決め治療台109の傾き設定機構を設定する。すなわち、位置決め治療台の傾き設定機構の設定値がCT画像撮影時のCT治療台の傾き設定機構の設定値となるよう設定する。傾きが同じであることが確保されているので、並進の3軸で位置合わせを行うことができる。
【0030】
このように、CT撮影時のCTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対的な位置である相対的現在位置を記憶しておき、その相対的現在位置を用いて、位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療台109の相対的な位置が相対的現在位置と同じになるよう演算して、位置決め治療台109の位置設定機構を制御し、位置決めアイソセンタ110の位置合わせを自動化することで、シミュレーションにかかる時間を短縮し、効率的に治療台の位置決めができるようになる。
【0031】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、CT治療台105と位置決め治療台109の2つの治療台を使
用しており、CT画像撮影とX線画像撮影で患者が治療台に乗り降りしていたため患者の負担が大きかった。
【0032】
この問題に対するため、図6に示すようにターンテーブル702に載った回転型共用治療台701を導入する。まず、回転型共用治療台701を自走式CT102側に固定してCT画像を撮影する。このとき、回転型共用治療台701は実施の形態1のCT治療台に相当する治療台となる。その後回転型共用治療台701が載っているターンテーブル702を回転する。すなわち、患者103が載ったままCT画像撮影の位置からX線画像撮影の位置に回転型共用治療台701を移動する。このとき、回転型共用治療台701は実施の形態1の位置決め治療台に相当する治療台となる。またX線撮像装置108は回転型共用治療台701移動時に回転型共用治療台701に衝突しないように適切に退避可能とする。
【0033】
本実施の形態2においても、自走式CT102によりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタ106に対する回転型共用治療台701の相対的な位置である相対的現在位置を用いて、X線撮像装置側に移動した回転型共用治療台701の位置決めアイソセンタ110に対する相対的な位置が相対的現在位置と同じになるよう演算して、回転型共用治療台701の位置設定機構を制御する。
【0034】
ここで回転型共用治療台701は治療室101内を回転するが、CT撮影時の回転型共用治療台701と自走式CT102の位置関係、X線画像撮影時の回転型共用治療台701とX線撮像装置108の位置関係は、実施の形態1と同じである。よって実施の形態1で説明した座標系および計算方法がそのまま適用できる。
【0035】
このようにすると患者103が治療台に乗り降りすることなくCT画像撮影とX線画像撮影ができ、患者への負担が減ると共に治療台の位置決め時間が短縮される。
【0036】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、単純なターンテーブル702を用いたため、回転型共用治療台701が壁面と衝突しないように大きな治療室101が必要であった。
【0037】
この問題に対するため、図7に示すように偏心軸付き回転型共用治療台801を導入する。偏心軸付き回転型共用治療台801は偏心軸802を中心として180度回転可能である。CT画像撮影の位置からX線画像撮影の位置に偏心軸付き回転型共用治療台801を移動する場合には、まず偏心軸802を中心として180度回転させ、その後にターンテーブル702を回転させる。
【0038】
本実施の形態3においても、自走式CT102によりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタ106に対する偏心軸付き回転型共用治療台801の相対的な位置である相対的現在位置を用いて、X線撮像装置側に移動した偏心軸付き回転型共用治療台801の位置決めアイソセンタ110に対する偏心軸付き回転型共用治療台801の相対的な位置が相対的現在位置と同じになるよう演算して、偏心軸付き回転型共用治療台801の位置設定機構を制御する。
【0039】
この場合も実施の形態2と同様、偏心軸付き回転型共用治療台801は治療室101内を回転するが、CT撮影時の偏心軸付き回転型共用治療台801と自走式CT102の位置関係、X線画像撮影時の偏心軸付き回転型共用治療台801とX線撮像装置108の位置関係は、実施の形態1と同じである。よって実施の形態1で説明した座標系および計算
方法がそのまま適用できる。
【0040】
このようにすると偏心軸付き回転型共用治療台801はCT画像撮影の位置からX線画像撮影の位置にコンパクトに移動することができ、治療台を設置するために必要な治療室101のスペースを削減することができる。
【0041】
実施の形態4.
なお上記実施の形態2から3では治療台が回転するため、動作の仕方によっては乗っている患者103は気分が悪くなりやすい。
【0042】
この問題に対するため、図8に示すようにレール902に乗った並進型共用治療台901を導入する。並進型共用治療台901はレール902の上を並進することでCT画像撮影の位置(このとき、並進型共用治療台901は実施の形態1のCT治療台に相当する治療台となる。)からX線画像撮影の位置に移動(このとき、並進型共用治療台901は実施の形態1の位置決め治療台に相当する治療台となる。)可能である。このようにすると回転動作を避けることができ、患者が気分が悪くなるのを緩和することができる。
【0043】
本実施の形態4においても、自走式CT102によりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタ106に対する並進型共用治療台901の相対的な位置である相対的現在位置を用いて、X線撮像装置側に移動した並進型共用治療台901の位置決めアイソセンタ11
0に対する並進型共用治療台901の相対的な位置が相対的現在位置と同じになるよう演算して、並進型共用治療台901の位置設定機構を制御する。
【0044】
この場合も実施の形態2と同様、並進型共用治療台901は治療室101内を移動するが、CT撮影時の並進型共用治療台901と自走式CT102の位置関係、X線画像撮影時の並進型共用治療台901とX線撮像装置108の位置関係は、実施の形態1と同じである。よって実施の形態1で説明した座標系および計算方法がそのまま適用できる。
【0045】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、治療台位置保存ボタン401を手動で押してCT撮影時のCT治療台105の相対的現在位置や傾きを保存していたが、人手のため押し忘れる場合があった。
【0046】
この問題に対するため、図9に示すように治療台位置保存ボタン401を取り除き、コントローラ112は自走式CT102のCT撮影信号をトリガとして自動的にCT治療台105の相対的現在位置や傾きを保存する。
【0047】
このようにすると自動的にCT治療台105の相対的現在位置や傾きをコントローラ112に保存することができ、人手による押し忘れを防止することができ、より信頼性の高い効率的に治療台の位置決めができる。
【0048】
実施の形態6.
上記実施の形態1〜5では、治療台位置読込ボタン402を手動で押して、位置決め治療台109の位置設定機構を設定していた。このボタンは人手で押下する必要がある。
【0049】
この問題に対するため、図10に示すように治療台位置読込ボタン402を取り除き、コントローラ112は、実施の形態1で説明した位置決め治療台109への固定具104の装着をトリガとして自動的に位置決め治療台109の位置設定機構を設定する。
【0050】
このようにすると人手でのボタン操作を削減することができ、より効率的に治療台の位置決めができる。
【0051】
実施の形態7.
上記実施の形態1〜6では、位置決め治療台109をまずCTアイソセンタ106が位置決めアイソセンタ110に一致するまで移動し、その後治療アイソセンタ204の座標分だけ移動するような2段階に分かれた手順を実行していた。
【0052】
この問題に対するため、図11に示すように治療台位置+治療アイソセンタ位置読込ボタン1201を取り付け、治療台位置+治療アイソセンタ位置読込ボタン1201を押下することで、コントローラ112はCT撮影前に保存した相対的現在位置を読込み、この相対的現在位置に治療計画装置113から送信された治療アイソセンタ204の座標分を加えた位置を位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療台109の位置として設定するように位置決め治療台109の位置設定機構を制御する。
【0053】
このようにすると2段階に分かれた手順を一括操作することができ、より効率的に治療台の位置決めが実行できる。
【符号の説明】
【0054】
101:治療室 102:自走式CT
103:患者 104:固定具
105:CT治療台 106、202:CTアイソセンタ
108:X線撮像装置 109:位置決め治療台
110:位置決めアイソセンタ 112:コントローラ
201:CT画像 204:治療アイソセンタ
701、801:回転型共用治療台 702:ターンテーブル
802:偏心軸 901:並進型共用治療台
【技術分野】
【0001】
この発明は、がん治療などに用いられる粒子線治療システムにおいて、患者の所定の位置に粒子線を照射するために治療台を位置決めする治療台位置決め装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から放射線をがんなどの腫瘍に照射して治療を行う放射線治療が知られているが、特に最近では放射線として炭素などの重粒子線や陽子線などの粒子線を用いた粒子線治療が注目されている。このような粒子線治療では粒子線を人体のがんなどに適切かつ効率的に照射することが重要である。
【0003】
そのような粒子線治療装置では、粒子線を実際に照射する前準備として、患部のCT画像を撮影し、それを元にどこに向けてどのように粒子線を照射するのかを計画し、その計画を元に照射時の位置決めに使用するX線画像を撮影する。この手順は、粒子線を実際に照射する治療室で行う場合もあるし、専用の粒子線治療シミュレータ装置を使用する場合もある。粒子線治療シミュレータ装置とは、粒子線照射時の位置決め用X線画像を撮影することに特化した装置である。粒子線照射に使用する治療室とは別の場所に設けられた粒子線治療シミュレータ装置で位置決め用X線画像を撮影することで、治療室を粒子線照射のみに使用することができ、粒子線治療装置全体の単位時間あたりの治療可能患者数を向上することができる。
【0004】
粒子線照射時の位置決めは、通常、患部のCT画像から治療のために計画された画像であるDRR(Digital Reconstructed Radiograph)画像と位置決めのためのX線画像を合わせるようにして行われる。この作業は、技師が手動で行うことが多いが、これを自動で行う技術が提案されている。特許文献1には、体表面に表示した表示マーカーの位置をリアルタイムで検出し、このマーカーの位置から患部を推定し、放射線のアイソセンタの中心と患部との位置ずれを求めてこの位置ずれが所定値になるように、照射装置と治療台を制御する技術が記載されている。また、特許文献2では治療台上の特定の基準位置と放射線治療装置のアイソセンタとの距離と、治療台上の特定の基準位置とMRI装置の計測空間中心との間の距離とを加算したものが一定値になる構成において、患部の中心位置を放射線治療装置のガントリーのアイソセンタへ自動的に位置合わせする技術が記載されている。また、特許文献3では、DRR画像への治療台位置決め時における計算点の入力を省略し、かつDRR画像上に設定されている計算点をDR画像にも転写表示する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11-47290号公報
【特許文献2】特開平11-9708号公報
【特許文献3】特開2008−228966号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された方法では表示マーカーの位置を元に位置決めを行っており、CT画像撮影から自動的に位置決め装置のアイソセンタに合わせることはできない。また、特許文献2に記載された方法ではMRI装置は固定されているのが前提であり、自走式CT装置を使いかつ治療台も自走式CT装置側に動作する構成には適用できない。また、特
許文献3に記載された方法では計算点の入力は省略できるが、CT画像撮影から自動的に位置決め装置のアイソセンタに合わせることはできない。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、自走式CT装置を用い、かつCT画像撮影時に患者を載せる治療台も自走式CT装置側に自由に動作する構成においてCT画像撮影から自動的に位置決め装置のアイソセンタに合わせることのできる粒子線治療システムの治療台位置決め装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の粒子線治療システムの治療台位置決め装置は、自由に走行する自走式CTと、この自走式CTによりCT画像を撮像する患者を固定するとともに、直交する3軸にそれぞれ並進して位置を設定する3軸の位置設定機構を有するCT治療台と、自走式CTと離隔して設置されたX線撮像装置と、このX線撮像装置により患者のX線画像を撮像するために患者を固定するとともに、直交する3軸にそれぞれ並進して位置を設定する3軸の位置設定機構を有する位置決め治療台と、CT治療台の位置設定機構および位置決め治療台の位置設定機構を制御するコントローラと、を備えた粒子線治療システムの治療台位置決め装置において、コントローラは、自走式CTに対して固定された位置であるCTアイソセンタの位置情報と、X線撮像装置に対して固定された位置である位置決めアイソセンタの位置情報とを有し、自走式CTによりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタに対するCT治療台の相対的な位置である相対的現在位置を保存し、位置決めアイソセンタに対する位置決め治療台の相対的な位置が相対的現在位置と同じになるよう演算して、位置決め治療台の位置設定機構を制御するようにした。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、自走式CT装置を使いかつ治療台も自走式CT装置側に自由に移動する構成において、CT画像撮影時のCT治療台の位置、自走式CT装置の位置から位置決め治療台の設定値を計算・設定することで、位置決めアイソセンタの位置合わせを自動化し、シミュレーションにかかる時間を短縮し、効率的に治療台の位置決めができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施の形態1による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図2】本発明の実施の形態1による粒子線治療システムの治療台位置決め装置に用いられるDRR画像の一例を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の動作の詳細を説明するフローチャート図である。
【図4】本発明の実施の形態1による自走式CTの座標関係を示す側面図である。
【図5】本発明の実施の形態1によるX線撮像装置の座標関係を示す側面図である。
【図6】本発明の実施の形態2による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態3による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態4による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態5による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図10】本発明の実施の形態6による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【図11】本発明の実施の形態7による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
図1は本発明の実施の形態1による粒子線治療システムの治療台位置決め装置の概要を示す図である。治療室101は大きくCT側(図1の右半分)と位置決め装置側(図1の左半分)に二分される。CT側には、CTレーザポインタ107を備え、自由に走行できる自走式CT102があり、これが患者103を固定具104で固定したCT治療台105に向かって移動する。CT治療台105は、前後・左右・上下3軸の並進移動を行うための位置設定機構(CT治療台105に備えられている)、および3軸の回転を行うための3軸の傾き設定機構(CT治療台105に備えられている)により位置と傾きが設定される。CTアイソセンタ106は自走式CT102の撮像画像の基準となる位置であり、自走式CT102に対して固定された位置である。通常CTアイソセンタ106の位置を自走式CTに固定されたCTレーザポインタ107で示すことにより可視化している。
【0012】
また、位置決め装置側にはX線撮像装置108があり、患者103の正方向、側方向のX線画像を撮影する機能を備えている。すなわち、自走式CT102とX線撮像装置108は離隔して設置されている。位置決め治療台109の上下左右にX線撮像装置108を配置し、これを用いて固定具104で固定した患者103の正側両方向のX線画像を同時に撮影する。位置決め治療台109は、CT治療台105と同様に3軸の並進移動を行う位置設定機構(位置決め治療台109に備えられている)、および3軸の回転を行う3軸の傾き設定機構(位置決め治療台109に備えられている)により位置と傾きが設定される。位置決めアイソセンタ110はX線撮像装置108の撮像画像の基準となる位置であり、通常治療室101の壁面などに複数備え付けられた位置決めレーザポインタ111で位置決めアイソセンタ110を示すことにより可視化している。
【0013】
コントローラ112はCT治療台105と位置決め治療台109を制御する装置である。治療計画装置113は、自走式CT102と位置決め治療台109、およびコントローラ112に接続されており、図2で示すようなCT画像201を受け取り、それを元に治療計画を作成し、画像中CTアイソセンタ202を原点とした治療アイソセンタ204の座標とDRR画像(Digital Reconstruction Radiograph、3次元のCT画像201を正方向または側方向に加算して2次元変換した画像)をコントローラ112に送信する機能を
持っている。患者を位置決め治療台109に載せた後、CT画像201のCTアイソセンタ202に相当する位置が位置決めアイソセンタ110に一致するように位置決め治療台109を移動する必要がある。DRR画像は、位置決めの作業中にX線画像と比較して正しく位置決めできているかどうか確認するために用いられる。
【0014】
図2はCT画像と座標の位置関係を示した図である。自走式CT102で撮影したCT画像201の画像中にはCTアイソセンタ202、患部203が存在する。画像中CTアイソセンタ202は、撮像した画像中で実装置上のCTアイソセンタ106に対応した点である。このCTアイソセンタ202は撮像した画像には実在しないが、自走式CTに対して固定された点であって、画像上に点として表示するためのデータとして、自走式CTが画像とは別に画像データに付加して出力するものである。患部203はがんなどの腫瘍である。治療台位置決め装置の利用者は、治療計画装置113を使って治療アイソセンタ204を決定する。粒子線は治療アイソセンタ204に向けて照射される必要がある。治療アイソセンタ204は、画像中CTアイソセンタ202を原点とした座標で表現される。
【0015】
上述のように、自走式CT102で撮影したCT画像201中においてCTアイソセンタ202を原点として治療アイソセンタ204を決定して治療計画を作成する。このため、患者を位置決め治療台109に固定した場合に、治療において基準位置となる位置決めアイソセンタ110の位置が、治療アイソセンタ204に相当する位置になるように設定する必要がある。
【0016】
本実施の形態1においては、コントローラ112に治療台位置保存ボタン401、治療台位置読込ボタン402を設ける。また、コントローラ112は、自走式CTに対するCTアイソセンタ106の位置情報および位置決めアイソセンタ110の位置情報を記憶している。治療台位置保存ボタン401を押下すると、CT治療台105のCTアイソセンタ106に対する相対的現在位置をコントローラ112に保存する。治療台位置読込ボタン402を押下すると、位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療台109の相対位置が、保存しておいたCT治療台105の相対的現在位置と同じになるように位置決め治療台109の位置設定機構の設定値を演算し、位置決め治療台109の位置設定機構を制御して位置決め治療台の位置を設定する。
【0017】
CT画像撮影からX線画像撮影までの手順について図3のフローチャートを元に説明する。まず、患者103をCT治療台105に載せる(S302)。次に、患部203が撮影できそうな位置までCT治療台105を移動する(S303)。その後自走式CT102を移動する(S304)。
【0018】
CTレーザポインタ107の位置を見て患部203が撮影できそうなことを確認して、CTレーザポインタ107の位置を固定具104にCTアイソセンタ106の位置であるとしてマーキングする(S305)(本発明においてはこの手順は必須ではないが、後で
マーキングが位置決めアイソセンタ110に合うことを目視確認するのに有用である。)
。その後、治療台位置保存ボタン401を押下して、コントローラ112が自走式CT102から自走式CTの位置情報、およびCT治療台105の位置設定機構からCT治療台の位置情報を取得して、CTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対的位置である相対的現在位置を演算して保存する(S306)。
【0019】
CT画像201を撮影し、それを治療計画装置113に送信する(S307)。治療計画装置113でCT画像201中の患部203より治療アイソセンタ204を決定する。また治療計画装置113でCT画像201からDRR画像を生成する(S308)。
治療計画装置113からコントローラ112に画像中CTアイソセンタ202を原点とした治療アイソセンタ204の座標とDRR画像を送信し(S309)、コントローラ112はこれらの情報を保存する。
【0020】
その後、患者103をCT治療台105から降ろし、位置決め治療台109に載せる(S310)ここでCT治療台105と位置決め治療台109には固定具104を固定するための穴が開けられている。固定具104は患者103に応じて準備され、CT治療台105と位置決め治療台109とで同じ固定具104を使用する。各治療台において固定するための穴を用いて固定具104を固定することで、患者103をCT治療台105上の位置と同じ位置決め治療台109上の位置に固定できる。
【0021】
次にコントローラ112の治療台位置読込ボタン402を押下することにより、コントローラ112は、CT撮影時に保存した相対的現在位置を読込み、位置決めアイソセンタに対する位置決め治療台の相対的な位置が上記相対的現在位置と同じになるよう演算し、位置設定機構を制御して位置決め治療台109を移動する(S311)。ここで固定具104のマーキングは位置決めアイソセンタ110に合う。さらにコントローラ112が保存している治療アイソセンタ204の座標分、位置決め治療台109を移動する(S312)。
【0022】
移動完了後、X線画像を撮影する(S313)。治療計画装置113から送信されたD
RR画像とX線画像を比較して位置のずれが許容範囲かどうか判断する(S314)。比較した結果、ずれが許容範囲外の場合、S315に遷移する。許容範囲内の場合は終了とする(S316)。ずれが許容範囲外の場合、位置決め治療台109の位置を微調整してS313に遷移する(S315)。
【0023】
ここで、位置決め治療台109の位置設定方法について詳しく説明する。図4に自走式CT102とCT治療台105の座標関係を示す側面図を示す。この図中でCT治療台105の原点を(Xa0, Ya0, Za0)とする。CT画像撮影時のCT治療台105(の基準位置)の座標を(Xa1, Ya1, Za1)とする。この際のCTアイソセンタ106の実空間上の座標を(Xa2, Ya2, Za2)とする。CTアイソセンタ106とCT治療台105のX座標の差分(CTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対位置)をDa1とする。CTアイソセンタ106とCT治療台105のZ座標の差分(CTアイソセンタ106に対するCT治療台の相対位置)をDa2とする。
【0024】
図5にX線撮像装置と位置決め治療台109の座標関係を示す側面図を示す。この図中で位置決め治療台109の原点を(Xb0, Yb0, Zb0)とする。位置決め時に設定すべき位置
決め治療台109の座標を(Xb1, Yb1, Zb1)とする。また位置決めアイソセンタ110の
座標を(Xb2, Yb2, Zb2)とする。位置決め治療台109(の基準位置)の原点と位置決め
アイソセンタ110のX座標の差分をAとする。位置決め治療台109の原点と位置決めアイソセンタ110は固定点なので、Aは固定値となる。また位置決めアイソセンタ110と位置決め治療台109のX座標の差分(位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療台109のX方向の相対位置)をDb1とする。位置決めアイソセンタ110と位置決め治療台109のZ座標の差分(位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療台109のZ方向の相対位置)をDb2とする。患者103は位置決め治療台109上にCT治療台105と同じ位置にのせるため、Da1とDb1、Da2とDb2は一致するように位置決め治療台109の位置を設定する必要がある。
【0025】
例としてCT治療台105を自走式CT102側に移動してからCTを撮像する場合を考える。この場合には、CTを撮影する位置が定まらないためCT治療台105の自走式CT102側方向の軸の現在値はそのまま位置決め治療台109の軸の設定値として使用することができない。そこで、CT治療台105と自走式CT102の相対距離よりCT治療台105上のどこにCTアイソセンタ106が位置するのかを算出し、それを元に設定すべき位置決め治療台109の位置を計算する必要がある。具体的に設定すべき位置決め治療台109のX座標Xb1の計算を試みる。まず図4からDa1 = Xa2 - Xa1となる。図5からXb1 = A - Db1 = A - Da1 = A - (Xa2 - Xa1)となる。
【0026】
Aは位置決めアイソセンタの位置でありコントローラに記憶されている。(Xa2 - Xa1)
はCT画像を撮像したときのCTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対位置(これを相対的現在位置と呼ぶ)であり、これらから位置決め治療台109の位置決めアイソセンタ110に対する相対位置を演算できることがわかる。なお、X線撮像装置108は治療室101の固定された位置に設置されているから、位置決めアイソセンタ110の位置は固定である。よって、位置決め治療台109の位置決めアイソセンタ110に対する相対位置を演算すれば、位置決め治療台109の治療室101に対する位置が決まることになる。
【0027】
以上のように、本発明では、自走式CT102によりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対的な位置である相対的現在位置(上記X座標の例ではDa1に相当)を用いて、位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療
台109の相対的な位置(上記X座標の例ではDb1に相当)が相対的現在位置と同じにな
るよう演算して、位置決め治療台109の位置設定機構を制御する。より具体的には、C
Tアイソセンタ106の位置(座標)(Xa2, Ya2, Za2)は、自走式CTに対して固定され
た位置であるから、CT画像を撮像した時の自走式CTの位置からCTアイソセンタ106の位置(座標)(Xa2, Ya2, Za2)を知ることができる。あるいは、自走式CTの位置をCTアイソセンタの位置で現わすことも可能である。いずれにしても、CTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対的な位置である相対的現在位置は、自走式CT102の位置とCT治療台105の位置から求めることができる。
【0028】
次に、CTアイソセンタ106と位置決めアイソセンタ110の高さが固定値で異なっている場合を考える。CTアイソセンタ106と位置決めアイソセンタ110の高さの差分をCT治療台105の上下方向軸の現在値に加え、高さの違いを補正する必要がある。具体的に位置決め治療台109のZ座標Zb1の計算を試みる。まずCTアイソセンタ10
6と位置決めアイソセンタ110の高さの差をBとするとB = Zb2 - Za2となる。また図4よりDa2 = Za2 - Za1である。図5よりDb2 = Zb2 - Zb1となる。この式を変形してZb1 = Zb2 - Db2 = Zb2 - Da2 = Zb2 - Za2 + Za1 = B + Za1となる。
【0029】
さらに、Y方向の位置が異なる場合も、上記と同様に演算できる。
なお、両治療台の位置を設定するそれぞれの6軸のうち、回転の3軸、すなわち傾きを設定する傾き設定機構については、位置決め治療台109の傾きがCT画像撮影時のCT治療台105の傾きと同じになるよう位置決め治療台109の傾き設定機構を設定する。すなわち、位置決め治療台の傾き設定機構の設定値がCT画像撮影時のCT治療台の傾き設定機構の設定値となるよう設定する。傾きが同じであることが確保されているので、並進の3軸で位置合わせを行うことができる。
【0030】
このように、CT撮影時のCTアイソセンタ106に対するCT治療台105の相対的な位置である相対的現在位置を記憶しておき、その相対的現在位置を用いて、位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療台109の相対的な位置が相対的現在位置と同じになるよう演算して、位置決め治療台109の位置設定機構を制御し、位置決めアイソセンタ110の位置合わせを自動化することで、シミュレーションにかかる時間を短縮し、効率的に治療台の位置決めができるようになる。
【0031】
実施の形態2.
上記実施の形態1では、CT治療台105と位置決め治療台109の2つの治療台を使
用しており、CT画像撮影とX線画像撮影で患者が治療台に乗り降りしていたため患者の負担が大きかった。
【0032】
この問題に対するため、図6に示すようにターンテーブル702に載った回転型共用治療台701を導入する。まず、回転型共用治療台701を自走式CT102側に固定してCT画像を撮影する。このとき、回転型共用治療台701は実施の形態1のCT治療台に相当する治療台となる。その後回転型共用治療台701が載っているターンテーブル702を回転する。すなわち、患者103が載ったままCT画像撮影の位置からX線画像撮影の位置に回転型共用治療台701を移動する。このとき、回転型共用治療台701は実施の形態1の位置決め治療台に相当する治療台となる。またX線撮像装置108は回転型共用治療台701移動時に回転型共用治療台701に衝突しないように適切に退避可能とする。
【0033】
本実施の形態2においても、自走式CT102によりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタ106に対する回転型共用治療台701の相対的な位置である相対的現在位置を用いて、X線撮像装置側に移動した回転型共用治療台701の位置決めアイソセンタ110に対する相対的な位置が相対的現在位置と同じになるよう演算して、回転型共用治療台701の位置設定機構を制御する。
【0034】
ここで回転型共用治療台701は治療室101内を回転するが、CT撮影時の回転型共用治療台701と自走式CT102の位置関係、X線画像撮影時の回転型共用治療台701とX線撮像装置108の位置関係は、実施の形態1と同じである。よって実施の形態1で説明した座標系および計算方法がそのまま適用できる。
【0035】
このようにすると患者103が治療台に乗り降りすることなくCT画像撮影とX線画像撮影ができ、患者への負担が減ると共に治療台の位置決め時間が短縮される。
【0036】
実施の形態3.
上記実施の形態2では、単純なターンテーブル702を用いたため、回転型共用治療台701が壁面と衝突しないように大きな治療室101が必要であった。
【0037】
この問題に対するため、図7に示すように偏心軸付き回転型共用治療台801を導入する。偏心軸付き回転型共用治療台801は偏心軸802を中心として180度回転可能である。CT画像撮影の位置からX線画像撮影の位置に偏心軸付き回転型共用治療台801を移動する場合には、まず偏心軸802を中心として180度回転させ、その後にターンテーブル702を回転させる。
【0038】
本実施の形態3においても、自走式CT102によりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタ106に対する偏心軸付き回転型共用治療台801の相対的な位置である相対的現在位置を用いて、X線撮像装置側に移動した偏心軸付き回転型共用治療台801の位置決めアイソセンタ110に対する偏心軸付き回転型共用治療台801の相対的な位置が相対的現在位置と同じになるよう演算して、偏心軸付き回転型共用治療台801の位置設定機構を制御する。
【0039】
この場合も実施の形態2と同様、偏心軸付き回転型共用治療台801は治療室101内を回転するが、CT撮影時の偏心軸付き回転型共用治療台801と自走式CT102の位置関係、X線画像撮影時の偏心軸付き回転型共用治療台801とX線撮像装置108の位置関係は、実施の形態1と同じである。よって実施の形態1で説明した座標系および計算
方法がそのまま適用できる。
【0040】
このようにすると偏心軸付き回転型共用治療台801はCT画像撮影の位置からX線画像撮影の位置にコンパクトに移動することができ、治療台を設置するために必要な治療室101のスペースを削減することができる。
【0041】
実施の形態4.
なお上記実施の形態2から3では治療台が回転するため、動作の仕方によっては乗っている患者103は気分が悪くなりやすい。
【0042】
この問題に対するため、図8に示すようにレール902に乗った並進型共用治療台901を導入する。並進型共用治療台901はレール902の上を並進することでCT画像撮影の位置(このとき、並進型共用治療台901は実施の形態1のCT治療台に相当する治療台となる。)からX線画像撮影の位置に移動(このとき、並進型共用治療台901は実施の形態1の位置決め治療台に相当する治療台となる。)可能である。このようにすると回転動作を避けることができ、患者が気分が悪くなるのを緩和することができる。
【0043】
本実施の形態4においても、自走式CT102によりCT画像を撮像した時のCTアイソセンタ106に対する並進型共用治療台901の相対的な位置である相対的現在位置を用いて、X線撮像装置側に移動した並進型共用治療台901の位置決めアイソセンタ11
0に対する並進型共用治療台901の相対的な位置が相対的現在位置と同じになるよう演算して、並進型共用治療台901の位置設定機構を制御する。
【0044】
この場合も実施の形態2と同様、並進型共用治療台901は治療室101内を移動するが、CT撮影時の並進型共用治療台901と自走式CT102の位置関係、X線画像撮影時の並進型共用治療台901とX線撮像装置108の位置関係は、実施の形態1と同じである。よって実施の形態1で説明した座標系および計算方法がそのまま適用できる。
【0045】
実施の形態5.
上記実施の形態1〜4では、治療台位置保存ボタン401を手動で押してCT撮影時のCT治療台105の相対的現在位置や傾きを保存していたが、人手のため押し忘れる場合があった。
【0046】
この問題に対するため、図9に示すように治療台位置保存ボタン401を取り除き、コントローラ112は自走式CT102のCT撮影信号をトリガとして自動的にCT治療台105の相対的現在位置や傾きを保存する。
【0047】
このようにすると自動的にCT治療台105の相対的現在位置や傾きをコントローラ112に保存することができ、人手による押し忘れを防止することができ、より信頼性の高い効率的に治療台の位置決めができる。
【0048】
実施の形態6.
上記実施の形態1〜5では、治療台位置読込ボタン402を手動で押して、位置決め治療台109の位置設定機構を設定していた。このボタンは人手で押下する必要がある。
【0049】
この問題に対するため、図10に示すように治療台位置読込ボタン402を取り除き、コントローラ112は、実施の形態1で説明した位置決め治療台109への固定具104の装着をトリガとして自動的に位置決め治療台109の位置設定機構を設定する。
【0050】
このようにすると人手でのボタン操作を削減することができ、より効率的に治療台の位置決めができる。
【0051】
実施の形態7.
上記実施の形態1〜6では、位置決め治療台109をまずCTアイソセンタ106が位置決めアイソセンタ110に一致するまで移動し、その後治療アイソセンタ204の座標分だけ移動するような2段階に分かれた手順を実行していた。
【0052】
この問題に対するため、図11に示すように治療台位置+治療アイソセンタ位置読込ボタン1201を取り付け、治療台位置+治療アイソセンタ位置読込ボタン1201を押下することで、コントローラ112はCT撮影前に保存した相対的現在位置を読込み、この相対的現在位置に治療計画装置113から送信された治療アイソセンタ204の座標分を加えた位置を位置決めアイソセンタ110に対する位置決め治療台109の位置として設定するように位置決め治療台109の位置設定機構を制御する。
【0053】
このようにすると2段階に分かれた手順を一括操作することができ、より効率的に治療台の位置決めが実行できる。
【符号の説明】
【0054】
101:治療室 102:自走式CT
103:患者 104:固定具
105:CT治療台 106、202:CTアイソセンタ
108:X線撮像装置 109:位置決め治療台
110:位置決めアイソセンタ 112:コントローラ
201:CT画像 204:治療アイソセンタ
701、801:回転型共用治療台 702:ターンテーブル
802:偏心軸 901:並進型共用治療台
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自由に走行する自走式CTと、この自走式CTによりCT画像を撮像する患者を固定するとともに、直交する3軸にそれぞれ並進して位置を設定する3軸の位置設定機構を有するCT治療台と、
上記自走式CTと離隔して設置されたX線撮像装置と、このX線撮像装置により上記患者のX線画像を撮像するために上記患者を固定するとともに、直交する3軸にそれぞれ並進して位置を設定する3軸の位置設定機構を有する位置決め治療台と、
上記CT治療台の位置設定機構、および上記位置決め治療台の位置設定機構、を制御するコントローラと、
を備えた粒子線治療システムの治療台位置決め装置において、
上記コントローラは、上記自走式CTに対して固定された位置であるCTアイソセンタの位置情報と、上記X線撮像装置に対して固定された位置である位置決めアイソセンタの位置情報とを有し、上記自走式CTによりCT画像を撮像した時の上記CTアイソセンタに対する上記CT治療台の相対的な位置である相対的現在位置を保存し、上記位置決めアイソセンタに対する上記位置決め治療台の相対的な位置が保存された上記相対的現在位置と同じになるよう演算して、上記位置決め治療台の位置設定機構を制御することを特徴とする粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項2】
CT画像を撮像した時のCTアイソセンタの位置情報は、CT画像を撮像した時の自走式CTの位置により得ることを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項3】
回転型共用治療台がターンテーブル上に設置され、上記回転型共用治療台が自走式CT近傍にあるとき上記回転型共用治療台がCT治療台となり、ターンテーブルが回転して上記回転型共用治療台がX線撮像装置側に移動したとき上記回転型共用治療台が位置決め治療台となることを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項4】
回転型共用治療台が回転可能な偏心軸によりターンテーブル上に設置されたことを特徴とする請求項3に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項5】
並進型共用治療台がレール上に設置され、上記並進型共用治療台が自走式CT近傍にあるとき上記並進型共用治療台がCT治療台となり、上記並進型共用治療台が上記レール上をX線撮像装置側に移動したとき上記並進型共用治療台が位置決め治療台となることを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項6】
CT治療台および位置決め治療台は、それぞれ回転して傾きを設定する3軸の傾き設定機構を有し、コントローラは上記自走式CTによりCT画像を撮像した時の上記CT治療台の傾き設定機構の設定値を保存し、上記位置決め治療台の傾き設定機構の設定値が保存した上記CT治療台の傾き設定機構の設定値となるよう制御することを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項7】
コントローラは、自走式CTのCT画像の撮影信号をトリガとして相対的現在位置を保存することを特徴とした請求項1から6いずれか1項に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項8】
位置決め治療台が患者を固定する固定具を備え、コントローラは、患者を上記固定具で固定した患者装着信号をトリガとして上記位置決め治療台の位置設定機構を制御することを特徴とした請求項1に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項9】
コントローラは、保存した相対的現在位置にCTアイソセンタを原点とする治療の基準位置である治療アイソセンタの座標を加えて位置決め治療台の位置設定機構を制御することを特徴とする請求項1から8いずれか1項に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項1】
自由に走行する自走式CTと、この自走式CTによりCT画像を撮像する患者を固定するとともに、直交する3軸にそれぞれ並進して位置を設定する3軸の位置設定機構を有するCT治療台と、
上記自走式CTと離隔して設置されたX線撮像装置と、このX線撮像装置により上記患者のX線画像を撮像するために上記患者を固定するとともに、直交する3軸にそれぞれ並進して位置を設定する3軸の位置設定機構を有する位置決め治療台と、
上記CT治療台の位置設定機構、および上記位置決め治療台の位置設定機構、を制御するコントローラと、
を備えた粒子線治療システムの治療台位置決め装置において、
上記コントローラは、上記自走式CTに対して固定された位置であるCTアイソセンタの位置情報と、上記X線撮像装置に対して固定された位置である位置決めアイソセンタの位置情報とを有し、上記自走式CTによりCT画像を撮像した時の上記CTアイソセンタに対する上記CT治療台の相対的な位置である相対的現在位置を保存し、上記位置決めアイソセンタに対する上記位置決め治療台の相対的な位置が保存された上記相対的現在位置と同じになるよう演算して、上記位置決め治療台の位置設定機構を制御することを特徴とする粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項2】
CT画像を撮像した時のCTアイソセンタの位置情報は、CT画像を撮像した時の自走式CTの位置により得ることを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項3】
回転型共用治療台がターンテーブル上に設置され、上記回転型共用治療台が自走式CT近傍にあるとき上記回転型共用治療台がCT治療台となり、ターンテーブルが回転して上記回転型共用治療台がX線撮像装置側に移動したとき上記回転型共用治療台が位置決め治療台となることを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項4】
回転型共用治療台が回転可能な偏心軸によりターンテーブル上に設置されたことを特徴とする請求項3に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項5】
並進型共用治療台がレール上に設置され、上記並進型共用治療台が自走式CT近傍にあるとき上記並進型共用治療台がCT治療台となり、上記並進型共用治療台が上記レール上をX線撮像装置側に移動したとき上記並進型共用治療台が位置決め治療台となることを特徴とする請求項1に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項6】
CT治療台および位置決め治療台は、それぞれ回転して傾きを設定する3軸の傾き設定機構を有し、コントローラは上記自走式CTによりCT画像を撮像した時の上記CT治療台の傾き設定機構の設定値を保存し、上記位置決め治療台の傾き設定機構の設定値が保存した上記CT治療台の傾き設定機構の設定値となるよう制御することを特徴とする請求項1から5いずれか1項に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項7】
コントローラは、自走式CTのCT画像の撮影信号をトリガとして相対的現在位置を保存することを特徴とした請求項1から6いずれか1項に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項8】
位置決め治療台が患者を固定する固定具を備え、コントローラは、患者を上記固定具で固定した患者装着信号をトリガとして上記位置決め治療台の位置設定機構を制御することを特徴とした請求項1に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【請求項9】
コントローラは、保存した相対的現在位置にCTアイソセンタを原点とする治療の基準位置である治療アイソセンタの座標を加えて位置決め治療台の位置設定機構を制御することを特徴とする請求項1から8いずれか1項に記載の粒子線治療システムの治療台位置決め装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−172712(P2011−172712A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38590(P2010−38590)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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