説明

粒子連結型アルミナ−シリカ複合ゾルおよびその製造方法

【解決手段】画像解析法により測定される平均粒子径が5〜300nmの範囲にあるアルミナ−シリカ複合1次粒子が2個以上結合した構造を含む粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルであって、該粒子
連結型アルミナ−シリカ複合微粒子が、アルミナ−シリカ複合1次粒子として、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子を含むことを特徴とする粒子連結型アルミナ-シリカ複合
ゾルおよびその製造方法。
【効果】本発明の粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子は、通常の粒子連結型シリカ微粒子または非球状アルミナ-シリカ複合微粒子とは異なる特異な構造を有することから、
充填性、吸油性、電気特性、光学特性あるいは物理特性に優れる。このため本発明に係る非球状アルミナ−シリカ複合ゾルは、たとえば研磨材および研磨用組成物として有用であり、特に高研磨速度の効果において優れるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
画像解析法により測定される平均粒子径が5〜300nmの範囲にある球状の1次粒子が2個以上結合してなる粒子連結型アルミナ-シリカ複合微粒子が分散媒に分散してなる
粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルであって、該粒子連結型アルミナ-シリカ複合微粒子がその表面に複数の疣状突起を有するものであることを特徴とする粒子連結型アルミナ-
シリカ複合ゾルおよびその製造方法に関するものである。また、該粒子連結型アルミナ-
シリカ複合ゾルを含む研磨用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子連結型シリカゾルが溶媒に分散してなる粒子連結型シリカゾルのうち、粒子連結型シリカゾルが球状以外の形状からなる粒子連結型シリカゾルとしては、鎖状、数珠状または長球状のものが知られている。この様な粒子連結型シリカゾルは、例えば、各種研磨剤として使用されている。
【0003】
異形粒子を含む粒子連結型シリカゾルの製造方法としては、特開平1−317115号公報(特許文献1)に、画像解析法による測定粒子径(D1)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2)の比D1/D2が5以上であり、D1は40〜500ミリミクロン、そして電子顕微鏡観察による5〜40ミリミクロンの範囲内の一様な太さで一平面内のみの伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなる粒子連結型シリカゾルの製造方法として、(a)所定の活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩またはマグネシウム塩などを含有する水溶液を、所定量添加し、混合する工程、(b) 更
に、アルカリ金属酸化物、水溶性有機塩基又はそれらの水溶性珪酸塩をSiO2/M2O(但し、Mは上記アルカリ金属原子又は有機塩基の分子を表わす。)モル比として20〜200となる
ように加えて混合する工程、(c)前工程によって得られた混合物を60〜150℃で0.5〜40時間加熱する工程からなる製造方法が開示されている。
【0004】
特開平4−65314号公報(特許文献2)には、画像解析法による測定粒子径(D1ミリミクロン)と窒素ガス吸着法による測定粒子径(D2ミリミクロン)の比D1/D2が3以上
5未満であって、このD1は40〜500ミリミクロンであり、そして電子顕微鏡観察による5
ミリミクロンより大きいが100ミリミクロン以下の範囲内の一様な太さで一平面内のみの
伸長を有する細長い形状の非晶質コロイダルシリカ粒子が液状媒体中に分散されてなるSiO2濃度50重量%以下の安定な粒子連結型シリカゾルの製造方法として、細長い形状の粒子連結型シリカゾルに活性珪酸の水溶液の添加を始めると、原料ゾルのコロイダルシリカ粒子の崩壊が起らずに、元の細長い形状の粒子表面上に、加えられた活性珪酸がシロキサン結合を介して沈積することによって太さの増大した細長い形状のコロイダルシリカが得られることについて開示されている。
【0005】
特開平4−187512号公報(特許文献3)には、SiO2として0.05〜5.0wt%のアルカリ金属珪酸塩水溶液に、珪酸液を添加して混合液のSiO2/M2O(モル比、Mはアル
カリ金属又は第4級アンモニウム)を30〜60とした後に、Ca,Mg,Al,In,Ti,Z
r,Sn,Si,Sb,Fe,Cuおよび希土類金属からなる群から選ばれた1種または2種
以上の金属の化合物を添加し(添加時期は、前記珪酸液添加の前または添加中でも良い)、 この混合液を60℃以上の任意の温度で一定時間維持し、更に珪酸液を添加して反応液中のSiO2/M2O(モル比)を60〜100としてなる実質的に鎖状形状の粒子連結型シリカゾルが分散したゾルの製造方法が開示されている。
【0006】
特許第3441142号公報(特許文献4)には、電子顕微鏡写真の画像解析により求
められる7〜1000nmの長径と 0.3〜0.8 の短径/長径比を有するコロイダルシリカ粒子の数が全粒子中50%以上を占めるシリカの安定なゾルからなる半導体ウェーハーの研磨剤が提案されている。
【0007】
特開平7−118008号公報(特許文献5)には、活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のカルシウム塩、マグネシウム塩又はこれらの混合物の水溶液を添加し、得られた水溶液にアルカリ性物質を加え、得られた混合物の一部を60℃以上に加熱してヒール液とし、残部をフィード液として、当該ヒール液に当該フィード液を添加し、当該添加の間に、水を蒸発させる事によりSiO2濃度6〜30重量%まで濃縮することよりなる細長い形状の粒子連結型シリカゾルの製造法が開示されている。
【0008】
特開平8−279480号公報(特許文献6)には、(1)珪酸アルカリ水溶液を鉱酸で
中和しアルカリ性物質を添加して加熱熟成する方法、(2)珪酸アルカリ水溶液を陽イオン
交換処理して得られる活性珪酸にアルカリ性物質を添加して加熱熟成する方法、(3)エチ
ルシリケート等のアルコキシシランを加水分解して得られる活性珪酸を加熱熟成する方法、または、(4)シリカ微粉末を水性媒体中で直接に分散する方法等によって製造されるコロイダルシリカ水溶液は、通常、4〜1,000nm(ナノメートル)、好ましくは7〜500nmの粒子径を有するコロイド状シリカ粒子が水性媒体に分散したものであり、SiO2 として0.5〜50重量%、好ましくは0.5〜30重量%の濃度を有する。上記シリカ粒子の粒子形状は、球状、いびつ状、偏平状、板状、細長い形状、繊維状等が挙げられることが記載されている。
【0009】
特開平11−214338号公報(特許文献7)には、コロイダルシリカ粒子を主材とした研磨材を用いるシリコンウェハーの研磨方法であって、蒸留により精製した珪酸メチルを、メタノール溶媒中でアンモニア又はアンモニアとアンモニウム塩を触媒として水と反応させることにより得られるコロイダルシリカ粒子を用い、且つ該コロイダルシリカ粒子の長径/短径比が、1.4以上であることを特徴とするシリコンウェハーの研磨方法が提案されている。
【0010】
国際公開番号WO00/15552(特許文献8)には、平均粒子径10〜80nmの球状コロイダルシリカ粒子とこの球状コロイダルシリカ粒子を接合する金属酸化物含有シリカからなり、画像解析法による測定粒子径(D1)と球状コロイダルシリカ粒子の平均
粒子径(窒素吸着法による測定粒子径/D2)の比D1/D2が3以上であって、このD1は50〜500nmであり、球状コロイダルシリカ粒子が一平面内のみにつながった数珠状コロイダルシリカ粒子が分散されてなる粒子連結型シリカゾルが記載されている。
【0011】
また、その製造方法として、(a)所定の活性珪酸のコロイド水溶液又は酸性粒子連結型シリカゾルに、水溶性金属塩の水溶液を、前記コロイド水溶液又は酸性粒子連結型シリカゾルのSiO2に対して、金属酸化物として1〜10重量%となる量を加えて混合液1
を調製する工程、(b)前記混合液1に、平均粒子径10〜80nm、pH2〜6の酸性球状粒子連結型シリカゾルを、この酸性球状粒子連結型シリカゾルに由来するシリカ含量(A)とこの混合液1に由来するシリカ含量(B)の比A/B(重量比)が5〜100、かつ、この酸性球状粒子連結型シリカゾルとこの混合液1との混合により得られる混合液2の全シリカ含量(A+B)が混合液2においてSiO2濃度5〜40重量%となる量加
えて混合する工程、および、(c)得られた混合液2にアルカリ金属水酸化物、水溶性有機塩基又は水溶性珪酸塩をpHが7〜11となるように加えて混合し、加熱する工程からなる前記粒子連結型シリカゾルの製造方法が記載されている。
【0012】
特開2001−11433号公報(特許文献9)には、SiO2として0.5〜10重
量%を含有し、かつ、pHが2〜6である、活性珪酸のコロイド水溶液に、水溶性のII価
又はIII価の金属の塩を単独又は混合して含有する水溶液を、同活性珪酸のコロイド水溶
液のSiO2に対して、金属酸化物(II価の金属の塩の場合はMOとし、III価の金属の塩の場合はM23とする。但し、MはII価又はIII価の金属原子を表し、Oは酸素原子を表
す。)として1〜10重量%となる量を加えて混合し、得られた混合液(1)に、平均粒子径10〜120nm、pH2〜6の酸性球状粒子連結型シリカゾルを、この酸性球状粒子連結型シリカゾルに由来するシリカ含量(A)とこの混合液(1)に由来するシリカ含量(B)の比A/B(重量比)が5〜100、かつ、この酸性球状粒子連結型シリカゾルとこの混合液(1)との混合により得られる混合液(2)の全シリカ含量(A+B)が混合液(2)においてSiO2濃度5〜40重量%となるように加えて混合し混合液(2)
にアルカリ金属水酸化物等をpHが7〜11となるように加えて混合し、得られた混合液(3)を100〜200℃で0.5〜50時間加熱する数珠状の粒子連結型シリカゾルの製造方法が記載されている。
【0013】
特開2001−48520号公報(特許文献10)には、シリカ濃度1〜8モル/リットル、酸濃度0.0018〜0.18モル/リットルで水濃度2〜30モル/リットルの範囲の組成で、溶剤を使用しないでアルキルシリケートを酸触媒で加水分解した後、シリカ濃度が0.2〜1.5モル/リットルの範囲となるように水で希釈し、次いでpHが7以上となるようにアルカリ触媒を加え加熱して珪酸の重合を進行させて、電子顕微鏡観察による太さ方向の平均直径が5〜100nmであり、長さがその1.5〜50倍の長さの
細長い形状の非晶質シリカ粒子が液状分散体中に分散されている粒子連結型シリカゾルの製造方法が記載されている。
【0014】
特開2001−150334号公報(特許文献11)には、水ガラスなどのアルカリ金属珪酸塩の水溶液を脱陽イオン処理することにより得られるSiO2濃度2〜6重量%程
度の活性珪酸の酸性水溶液に、アルカリ土類金属、例えば、Ca、Mg、Baなどの塩をその
酸化物換算で上記活性珪酸のSiO2に対し 100〜1500ppmの重量比で添加し、更にこの液中SiO2/M2O (M は、アルカリ金属原子、NH4 又は第4級アンモニウム
基を表す。) モル比が20〜150となる量の同アルカリ物質を添加することにより得られる液を当初ヒール液とし、同様にして得られる2〜6重量%のSiO2濃度と20〜1
50 のSiO2/M2O (M は、上記に同じ。) モル比を有する活性珪酸水溶液をチャージ液として、60〜150℃で前記当初ヒール液に前記チャージ液を、1時間当たり、チャージ液SiO2/当初ヒール液SiO2の重量比として0.05〜1.0 の速度で、液から水を蒸発除去しながら(又はせずに)、添加してなる歪な形状を有する粒子連結型シリカゾルの製造方法が記載されている。
【0015】
特開2003−133267号公報(特許文献12)には、ディッシング(過研磨)を抑制し、基板表面を平坦に研磨することができる研磨用粒子として、平均粒子径が5〜300nmの範囲にある1次粒子が2個以上結合した異形粒子群を含むことを特徴とする研磨用粒子、特には研磨用粒子中の全1次粒子の粒子数に占める、前記異形粒子群を構成する1次粒子の粒子数が5〜100%の範囲にある研磨用粒子が有効でることについて記載がある。
【0016】
特開2004−288732号公報(特許文献13)には、非真球状コロイダルシリカ、酸化剤および有機酸を含有し、残部が水であることを特徴とする半導体研磨用スラリーについて開示されており、その中で、非真球状コロイダルシリカの(長径/短径)が1.2〜5.0のものが提案されており、特開2004−311652号公報(特許文献14)にも同様な非真球状コロイダルシリカが開示されている。
【0017】
また、シリカ−アルミナ被覆された鎖状粒子連結型シリカゾルについて、特開2002−3212号公報(特許文献15)には、(a)SiO2 として0.05〜5.0重量%
のアルカリ金属ケイ酸塩水溶液に、ケイ酸液を添加して混合液のSiO2 /M2 O(モル比、Mはアルカリ金属又は第4級アンモニウム)を30〜60とする工程、(b)前記ケイ酸液添加工程の前、添加工程中または添加工程後に、原子価が2価〜4価の金属の1種または2種以上の金属化合物を添加する工程、(c)該混合液を60℃以上の任意の温度で一定時間維持する工程、(d)次いで該反応液に再びケイ酸液を添加して反応液中のSiO2/M2O(モル比)を60〜200とする工程、(e)さらに該反応液にアルカリ側でアルカリケイ酸塩水溶液とアルカリアルミン酸塩水溶液とを同時に添加する工程、からなるシリカ−アルミナ被覆鎖状粒子連結型シリカゾルの製造方法が開示されている。
【0018】
シリカ系微粒子の表面に突起状構造を有する例として、特開平3−257010号公報(特許文献16)には、シリカ粒子表面に電子顕微鏡で観察して、0.2〜5μmのサイズの連続的な凹凸状の突起を有し、平均粒子径が5〜100μm、BET法比表面積が20m2/g以下、且つ、細孔容積が、0.1mL/g以下であるシリカ粒子に関する記載がある。
【0019】
また、特開2002−38049号公報(特許文献17)には、母体粒子全面に、実質上球状および/または半球状の突起物を有するシリカ系微粒子であって、該突起物が化学結合により母体粒子に結着していることを特徴とするシリカ系微粒子および母体粒子全面に、実質上球状および/または半球状の突起物を有するシリカ系微粒子であって、該突起物が化学結合により母体粒子に結着してなるシリカ系微粒子について記載がある。更に、(A)特定のアルコキシシラン化合物を加水分解、縮合させてポリオルガノシロキサン粒子を生成させる工程、(B)該ポリオルガノシロキサン粒子を、表面吸着剤により表面処理する工程、および(C)上記(B)工程で表面処理されたポリオルガノシロキサン粒子全面に、該アルコキシシラン化合物を用いて突起を形成させる工程、を含むシリカ系微粒子の製造方法について記載がある。
【0020】
また、特開2004−35293号公報(特許文献18)には、母体粒子全面に、実質上球状および/または半球状の突起物を有するシリカ系粒子であって、該突起物が化学結合により母体粒子に結着しており、かつ母体粒子と突起物における10%圧縮時の圧縮弾性率が、それぞれ異なることを特徴とするシリカ系粒子が開示されている。
【0021】
しかしながら、特開平3−257010号公報(特許文献16)に記載の粒子は平均粒子径が5〜100μmのシリカのみからなるものであり、特開2002−38049号公報(特許文献17)で開示されるシリカ系粒子は、その平均粒子径が実質的には0.5〜30μのみが開示されており、特開2004−35293号公報(特許文献18)についても同様である。
【特許文献1】特開平1−317115号公報
【特許文献2】特開平4−65314号公報
【特許文献3】特開平4−187512号公報
【特許文献4】特許第3441142号公報
【特許文献5】特開平7−118008号公報
【特許文献6】特開平8−279480号公報
【特許文献7】特開平11−214338号公報
【特許文献8】国際公開WO00/15552公報
【特許文献9】特開2001−11433号公報
【特許文献10】特開2001−48520号公報
【特許文献11】特開2001−150334号公報
【特許文献12】特開2003−133267号公報
【特許文献13】特開2004−288732号公報
【特許文献14】特開2004−311652号公報
【特許文献15】特開2002−3212号公報
【特許文献16】特開平3−257010号公報
【特許文献17】特開2002−38049号公報
【特許文献18】特開2004−35293号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明は、研磨性等の優れた特性を有する、粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子が分散媒に分散してなるアルミナ−シリカ複合ゾルおよびその製造方法を提供することを課題とする。また、該非球状アルミナ−シリカ複合ゾルを含む研磨用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0023】
前記目的を達成するための本発明は、以下の通りである。
[1]画像解析法により測定される平均粒子径が5〜300nmの範囲にあるアルミナ−シリカ複合1次粒子が2個以上結合した構造を含む粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルであって、該粒子連結型
アルミナ−シリカ複合微粒子が、アルミナ−シリカ複合1次粒子として、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子を含むことを特徴とする粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾル。
[2]前記アルミナ−シリカ複合1次粒子の半径の変動係数が3〜30%の範囲にあることを特徴とする[1]記載の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾル。
[3][1]または[2]に記載の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルからなる研磨材

[4][1]または[2]に記載の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルを含むことを特
徴とする研磨用組成物。
[5]画像解析法により測定される平均粒子径が5〜300nmの範囲にある球状のシリカ1次粒子が2個以上結合してなる粒子連結型シリカ微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型シリカゾルに、アルミン酸ナトリウムを該粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、0.1〜2.5質量部を連続的にまたは断続的に添加し、次に熟成させることによりアルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子の分散液を調製し、次に、該アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対し、0.1〜100質量部に相当するアルカリ金属珪酸塩を添加し、熟成した後、更に珪酸液を連続的にまたは断続的に添加することにより、粒子成長させ、突起を形成させることを特徴とする[1]または[2]の何れかに記載の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの製造方法
[6]前記珪酸液の使用量が前記アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、シリカ分換算で3〜700質量部の範囲であり、珪酸液の添加を2〜24時間かけて連続的にまたは断続的に行うことを特徴とする[5]記載の粒子連結型アルミナ−シリカ複合ゾルの製造方法。
【発明の効果】
【0024】
本発明の粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子は、通常の粒子連結型シリカ微粒子または非球状アルミナ-シリカ複合微粒子とは異なる特異な構造を有することから、充填性
、吸油性、電気特性、光学特性あるいは物理特性に優れる。このため本発明に係る非球状アルミナ−シリカ複合ゾルは、たとえば研磨材および研磨用組成物として有用であり、特に高研磨速度の効果において優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
[粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾル]
本発明に係る粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルは、平均粒子径が5〜300nmの
範囲にあるアルミナ−シリカ複合1次粒子が2個以上結合した構造を含む粒子連結型アル
ミナ-シリカ複合微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルであって、該粒子連結型アルミナ-シリカ複合微粒子が、アルミナ−シリカ複合1次粒子として、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子を含むことを特徴とするものである。ここでアルミナ−シリカ複合微粒子およびアルミナ−シリカ複合1次粒子とは、アルミナからなる部分と、シリカからなる部分とにより構成される微粒子および1次粒子をいう。
【0026】
前記粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの分散質である粒子連結型アルミナ−シリカ
複合微粒子は、1次粒子として、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子、いわば金平糖状球状粒子を含む点で、従来の粒子連結型のシリカ系ゾルと構造上、相違するものである。前記粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子は、その粒子連結型の構造に加えて、疣状突起の存在により、各種用途、例えば、研磨用途、樹脂または被膜形成用成分の充填材、インク受容層の充填材などの用途において、特異な効果を示すことが可能となる。疣状突起については、例えば、非球状アルミナ−シリカ複合ゾルの電子顕微鏡写真にて確認できるものであり、粒子表面に周辺部位より突出した構造または膨らんだ構造をとるものである。
【0027】
本発明における粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの分散質である粒子連結型アルミ
ナ−シリカ複合微粒子は、1次粒子が集合して球状化した形態または凝集して塊状となった形態の粒子群ではなく、2個以上の1次粒子が結合して鎖状、繊維状、その他、異形の形態にある粒子群である。この異形粒子群における1次粒子の結合態様として、1次粒子が2個接合したもの、3個以上鎖状に接合したもの、3個が3点で接合したもの、4個が平面的にあるいはテトラポット型に接合したもの、同様に5個以上の粒子が接合したものなどの他、さらにこれら異形粒子群同士が結合した異形粒子群を挙げることができる。前記粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子を構成する1次粒子は2個以上、好ましくは2〜20個、特に好ましくは3〜10個の範囲で互いに結合してなるものである。1次粒子の数が1個の場合は、例えば、研磨材として適用した場合に、ディッシングを惹起し易い。
【0028】
他方、1次粒子が20個を越えて結合していると、結合形態にもよるが、異形粒子群が破壊されることがあり、スクラッチ(線状痕)が発生することがある。また、鎖状の長い異形粒子群の場合は研磨速度が低下することがある。なお、1次粒子が塊状に凝集している場合は後述するチキソトロピー性が発現しないことがあり、単に大きい球状粒子と異なるところが無く、ディッシングを抑制する効果が充分得られない。更にこの場合も、スクラッチが発生することがある。1次粒子が2〜20個の範囲で結合した異形粒子群は、凹凸を有する被研磨面の凹部底面において異形粒子群と底面とが多点接触し、異形粒子群がチキソトロピー性を有しているので研磨時に凹部に堆積した異形粒子群が凹部から容易に移動することがないので凹部の底面は研磨されることがなく、このためディッシングを抑制することができる。
【0029】
粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子を構成する1次粒子については、球状粒子から構成されることが好ましいが、その他に卵状、立方体状または棒状の粒子を含有しても構わない。また、1次粒子の粒子径は互いに異なっていても構わない。ここで球状については、目視により、棒状、勾玉状、細長い形状、数珠状、卵状などの異形粒子であると認められない程度であれば構わない。
【0030】
上記1次粒子の平均粒子径は5〜300nm、好ましくは20〜80nmの範囲にある。また、更に好適には25〜60nmの範囲が推奨される。
平均粒子径が5nm未満の場合は、1次粒子が凝集して得られる粒子群が塊状になる傾向がある。また、研磨用途においては、チキソトロピー性が発現せずディッシングを抑制する効果が得難くなり、好ましくない。平均粒子径が300nmを越える場合は、例えば
研磨用途においては、粒子が過大であるため研磨速度の低下を招いたり、研磨面にスクラッチ(線状痕)が発生することがある。
【0031】
前記粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子については、好適には、前記粒子連結型シリカ微粒子を構成する球状粒子の半径の変動係数(CV値)が3〜30%の範囲にあることが好ましい。3%未満の場合は、粒子表面が平滑に近いものとなる。30%を超える場合については、本発明に係る製造方法では調製が容易ではない。粒子径の変動係数(CV値)については、好適には3.5〜20%の範囲が推奨される。また、更に好適には4〜15%の範囲が推奨される。
【0032】
本発明における粒子径の変動係数については、粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子を構成する粒子のうち球状の粒子部分について、該粒子の中心点から粒子外縁に向けて0〜30℃の範囲における半径の変動係数を意味する。
【0033】
これについては、より具体的には、粒子連結型アルミナ−シリカ複合ゾルの走査型電子顕微鏡写真(25万倍ないし50万倍)の画像にて、粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子に含まれる各球状粒子について、その外縁上の2点を結ぶ線分のうち最長の線分を描き、該線分を2等分する点を中心点Oとする。この中心点Oから、前記外縁の末端(隣接する球状粒子の外縁との交点等) を通る半直線Sを引き、該半直線Sから5度間隔で、中心点Oを始点とし、前記外縁を通る6本の半直線を描く。半直線Sを含めた計7本の前記半直線と粒子の外縁との各交点から中心点Oまでの長さをそれぞれ測定し、その結果からその粒子の半径の変動係数を算定する。この操作を1個の粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子に含まれる全ての粒子について行い、得られる変動係数のうち最大のものを当該粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子の半径の変動係数とする。そしてこの操作を粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子50個について行い、得られた半径の変動係数の平均値を、粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子の一次粒子の半径の変動係数とする。粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子の一次粒子の半径の変動係数の求め方に関する概略を図1に示した。ここで、「粒子の外縁」とは、走査型電子顕微鏡写真上に現れ、その粒子固有の輪郭を形成する、その粒子と粒子が存在しない部分との境界線を意味する。つまり、その粒子が他の粒子と結合している部分の境界線、およびその粒子が他の粒子と結合することにより生じた境界線は、前記「粒子の外縁」には含まれない。
【0034】
なお、前記最長の直線が複数存在する場合であって、中心点Oが複数個存在することになる場合は、最も距離が離れた位置にある2つの中心点(O1およびO2)を結ぶ直線を求め、その中心点を改めて中心点Oとする。また、中心点Oから、前記外縁の末端を通る半直線を複数本引ける場合には、中心点Oと外縁との距離が最も長い半直線を、半直線Sとする。
【0035】
半径の変動係数が上記範囲にある場合には、その粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子は、好適な疣状突起を有するものであり、特に研磨特性等に優れる。つまり、本発明の粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子は、これを構成する1次粒子のすべてが、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子である必要はなく、前記変動係数が上記範囲にあれば、好適な効果をもたらす。
【0036】
前記粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルが分散する溶媒については、水、有機溶媒、
またはこれらの混合溶媒のいずれであっても良い。この様な例としては、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類アルミナ−シリカ複合、エーテル類、エステル類、ケトン類など水溶性の有機溶媒を挙げることができる。
【0037】
[粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの製造方法]
本発明の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの製造方法は、画像解析法により測定さ
れる平均粒子径が5〜300nmの範囲にある球状のシリカ1次粒子が2個以上結合してなる粒子連結型シリカ微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型シリカゾルに、アルミン酸ナトリウムを該粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、0.1〜2.5質量部を連続的にまたは断続的に添加し、次に熟成させることによりアルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子の分散液を調製し、次に、該アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対し、0.1〜100質量部に相当するアルカリ金属珪酸塩を添加し、熟成した後、更に珪酸液を連続的にまたは断続的に添加することにより、粒子成長させ、突起を形成させる。
【0038】
原料粒子連結型シリカゾル
本発明の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの製造方法において、原料の核粒子とし
て使用される粒子連結型シリカゾルの製造方法については、格別限定されるものではなく、公知の粒子連結型シリカゾルを適用することができる。この様な例としては特開2003-133267号に開示されたシリカゾルを挙げることができる。これについては、例えば、テトラエトキシシランを水/メタノール混合溶媒に溶解させたものを用意し、この溶液とアルカリ水溶液とを同時に、60℃〜200℃に保持した水/メタノール混合溶媒に、同時に20時間かけて添加する。添加終了後、さらにこの温度で1〜10時間熟成する。その後、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、純水を添加してシリカ濃度1質量%に調製し、次いで、250〜350℃のオートクレーブ中で1〜20時間、水熱処理を行い、水熱処理後、両イオン交換樹脂で精製し、濃縮することにより、平均粒子径20nmの粒子が2個の粒子が鎖状に連結した構造からなる粒子連結型シリカゾルを得ることができる。また、同じく特開2003-133267号には、シリカゾル(平均粒子径25nm)をSiO2濃度2質量%に希釈し、ついで、250℃のオートクレーブ中で10時間、水熱処理を行った。水熱処理後、両性イオン交換樹脂で精製し、ついで濃縮してなる粒子連結型シリカゾルの製造方法が記載されており、この製造方法によって得られる粒子連結型シリカゾルも好適に使用することができる。この他にも例えば、特開2007―153672号に開示された製造方法により得られるシリカゾルについても好適に使用することができる。具体的には、平均粒子径が3〜25nmの範囲にあるシリカ微粒子が分散した、pHが2〜8の範囲にあるシリカゾルに、該シリカゾルのシリカ固形分100重量部に対して、ポリ金属塩化合物を0.01〜70重量部添加し、50〜160℃で加熱することを特徴とする製造方法となる。
【0039】
本発明に係る粒子連結型アルミナ−シリカ複合ゾルの製造方法によれば、原料の粒子連結型シリカ微粒子の構造と類似した構造の粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子が生成する傾向が強いので、原料となる粒子連結型シリカ微粒子の構造については、前記した粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子の構造と類似または相似した構造のものが好ましい。具体的には、2個以上の1次粒子が結合して鎖状、繊維状、その他、異形の形態にある粒子群が含まれる。この異形粒子群における1次粒子の結合態様として、1次粒子が2個接合したもの、3個以上鎖状に接合したもの、3個が3点で接合したもの、4個が平面的にあるいはテトラポット型に接合したもの、同様に5個以上の粒子が接合したものなどの他、さらにこれら異形粒子群同士が結合した異形粒子群を挙げることができる。前記粒子連結型シリカ微粒子は、画像解析法により測定される平均粒子径が5〜300nmの範囲にある球状の1次粒子すなわちシリカ1次粒子が2個以上、好ましくは2〜20個、特に好ましくは3〜10個の範囲で互いに結合してなるものである。粒子連結型シリカ微粒子の平均粒子径は4〜290nm、好ましくは20〜80nmの範囲が推奨される。
【0040】
アルミン酸ナトリウム
本発明製造方法においては、原料の粒子連結型シリカゾルにアルミン酸ナトリウム(NaAlO2)の水溶液を添加して、粒子連結型シリカゾル表面にアルミナが概ね斑点状に
存在してなるアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルを調製する。
【0041】
アルミン酸ナトリウム(固形分濃度)は、原料粒子連結型シリカゾルに含まれる粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、0.1〜2.5質量部の範囲、好適には0.1〜2.0質量部の範囲で使用される。また、更に好適には0.1〜1.9質量部の範囲が推奨される。アルミン酸ナトリウムの使用量がこの範囲にある場合は、粒子連結型シリカゾルの表面がアルミナで完全に被覆されず、概ねアルミナで斑点状に被覆される模様である。このようなアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルの表面は、次式(1)のような化学構造を形成するものと推測される。
【0042】
【化1】

ここで、Al原子付近は、Si原子付近より、水溶性が高いため、後工程の粒子成長の際に粒子成長の基点となり、粒子連結型シリカゾル表面に複数の突起状部分が形成される。このような製造過程を経て、本発明のアルミナ−シリカ複合微粒子となると考えられる。
【0043】
アルミン酸ナトリウム水溶液を添加する際の温度は、10〜30℃が望ましく、より好ましくは10℃〜28℃の範囲が推奨される。
30℃を超える場合は、アルミン酸ナトリウムの核生成が生じ、後の熟成工程でシリカ−アルミナの被覆が形成され難い。10℃未満では、粒子連結型シリカゾル表面へのアルミン酸ナトリウムの反応が低調であるため、アルミナによる斑点状の被覆が形成され難い。
【0044】
アルミン酸ナトリウム水溶液の添加については、10分〜10時間かけて、連続的にまたは断続的に添加することが必要である。アルミン酸ナトリウム水溶液を連続的に添加する場合は、所定の添加時間内においてアルミン酸ナトリウム水溶液を均等ないしは均等に相当する割合で添加することが望ましい。また、アルミン酸ナトリウムを断続的に添加する場合も、添加時間内において、アルミン酸ナトリウム水溶液を均等量ずつ、ないしはそれに相当する量毎に添加することが望ましい。
【0045】
アルミン酸ナトリウム水溶液の添加必要量の全量または必要量の大半を一度に添加した場合、粒子連結型シリカゾル表面へのアルミナの被覆が偏在する場合などがあり、斑点状の被覆を形成することが容易ではなくなるため、結局、目的とするアルミナ−シリカ複合微粒子が得にくくなる。 なお、通常、原料粒子連結型シリカゾルにアルミン酸ナトリウム水溶液を添加する際には、原料粒子連結型シリカゾルを充分に攪拌しながら行う。
【0046】
原料粒子連結型シリカゾルにアルミン酸ナトリウム水溶液を添加した後は、粒子表面にシリカ−アルミナの不均一層を形成させるために熟成を行うことが必要である。
熟成条件としては60〜98℃で1〜7時間行なうことが必要である。熟成温度が60℃未満では、表面をシリカ−アルミナ層にするための時間を要するため、経済的でない。98℃を超える温度での熟成は必要でない。熟成時間が1時間未満では、シリカ−アルミナ層の形成が充分ではないため、目的とする微粒子が得られない。7時間を越える熟成は、必要でない。
【0047】
粒子成長工程
得られたアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルについて、珪酸液の添加前に、アルカリ金属珪酸塩を添加し、シーデイングを行った後、珪酸液を添加することにより粒子成長を行い、更に熟成させてアルミナ−シリカ複合微粒子が溶媒に分散してなるアルミナ−シリカ複合ゾルを調製する。この粒子成長工程について、以下に述べる。
【0048】
アルカリ金属珪酸塩
本発明の製造方法においては、前工程で得られたアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルに、アルカリ金属珪酸塩を添加する。アルカリ金属珪酸塩が加えられていることで、次いで粒子成長用の珪酸液を加える際に、分散媒中に溶解したSiO2 濃度が予め高く設定されるため、核粒子であるアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルへの珪酸の析出が早くなる。
【0049】
アルカリ金属珪酸塩としては、珪酸ナトリウム(水硝子)、珪酸カリウム、珪酸リチウムなどがあり、第3級アンモニウム珪酸塩としては珪酸トリエタノールアミン、第4級アンモニウム珪酸塩としては、珪酸テトラメタノールアンモニウム、珪酸テトラエタノールアンモニウムなどが使用される。通常、これらのアルカリ金属珪酸塩は水溶液の形態で使用される。
【0050】
アルミナ被覆粒子連結型シリカゾルへのアルカリ金属珪酸塩の添加は、通常、室温〜99℃の範囲で行われるが、好ましくは、室温で行なわれる。
アルミナ被覆粒子連結型シリカゾルへのアルカリ金属珪酸塩の添加量については、アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対し、0.1〜100質量部が好ましい。アルカリ金属珪酸塩の添加量が0.1質量部未満では、SiO2 濃度濃度に実質的な影響が見られない。100質量部を超える場合は、シリカの析出を招く場合があり、好ましくない。
【0051】
アルカリ金属珪酸塩の添加量については、より好適には1〜50質量部の範囲が推奨される。また、更に好適には、2〜20質量部の範囲が推奨される。
アルカリ金属珪酸塩添加後において、シリカ固形分濃度が、1〜10質量%となるようにアルカリ金属珪酸塩を添加することが好ましい。
【0052】
熟成(シーデイング)
アルミナ被覆非球状シリカゾルに対して、アルカリ金属珪酸塩を添加後、75〜98℃にて、10分〜1時間程度攪拌を継続することにより熟成(シーデイング)を行う。熟成することにより粒子の緻密化または均一化を高めることができる。
【0053】
珪酸液
本発明の製造方法において使用される珪酸液とは、水溶性珪酸塩を脱アルカリすることにより調製されるものであり、通常は珪酸塩の水溶液を陽イオン交換樹脂で処理するなどの方法で脱アルカリして得られる珪酸の低重合物の水溶液である。この種の珪酸液は、通常、pHは2〜4、SiO2濃度約10質量%以下、好ましくは2〜7質量%のものが、
常温でのゲル化が生じ難く、比較的安定であり、実用的な原料として使用される。
【0054】
このような珪酸液の添加速度は、核粒子の平均粒子径や分散液中の濃度によって異なるが、核粒子以外に微粒子が発生しない範囲で添加することが好ましい。また、珪酸液の添加は所望の平均粒子径のアルミナ−シリカ複合微粒子が得られるまで、1回であるいは複数回繰り返して添加することができる。
【0055】
珪酸液の添加量については、アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、5〜300質量部の範囲が好ましい。5質量部未満では、疣状突起の生成に影響しない。300質量部を超える場合は、シリカ成分が過剰となり、疣状突起の生成が見られな
い場合がある。珪酸液の添加量については、好適には6〜200質量部の範囲が推奨される。また、更に好適には、7〜150質量部の範囲が推奨される。
【0056】
このような珪酸液を70〜99℃にて、2〜24時間かけて、連続的にまたは断続的に添加する。添加温度が70℃未満では粒子成長に過度に時間を要したり、粒子成長自体が進行しない場合がある。99℃を超えると沸騰するため、粒子成長が阻害される場合がある。添加時間については、一度に全量添加することは適切ではなく、上記範囲の時間をかけて連続的にまたは断続的に添加することにより、粒子成長が行なわれる。
【0057】
珪酸液を添加した後、必要に応じて70〜99℃の温度範囲で0. 5〜5時間熟成することができる。このような熟成を行うと、得られるアルミナ−シリカ複合微粒子中のNaイオン含有量がさらに減少することがあり、また粒子径分布がより均一になる傾向がある。さらに必要に応じて、限外濾過膜などを用いて過剰のイオンを除去し、所望の濃度に濃縮または希釈して粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルを得ることができる。また、限外濾過膜法、蒸留法などで水溶媒を前記した有機溶媒に溶媒置換した粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルを得ることもできる。
【0058】
[研磨材および研磨用組成物]
本発明の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルは、それ自体で研磨材として適用可能な
ものであり、更には、他の成分(研磨促進剤等)と共に通常の研磨用組成物を構成することも可能である。 本発明に係る研磨用組成物は、粒子連結型アルミナ-シリカ複合微粒
子が溶媒に分散したものである。溶媒としては通常、水を用いるが、必要に応じてメチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等のアルコール類を用いることができ、他にエーテル類、エステル類、ケトン類など水溶性の有機溶媒を用いることができる。研磨材中の研磨用シリカ粒子の濃度は2〜50重量%、さらには5〜30重量%の範囲にあることが好ましい。濃度が2重量%未満の場合は、基材や絶縁膜の種類によっては濃度が低すぎて研磨速度が遅く生産性が問題となることがある。シリカ粒子の濃度が50重量%を越えると研磨材の安定性が不充分となり、研磨速度や研磨効率がさらに向上することもなく、また研磨処理のために分散液を供給する工程で乾燥物が生成して付着することがあり傷(スクラッチ)発生の原因となることがある。
【0059】
本発明に係る研磨用組成物には、被研磨材の種類によっても異なるが、必要に応じて従来公知の過酸化水素、過酢酸、過酸化尿素などおよびこれらの混合物を添加して用いることができる。このような過酸化水素等を添加して用いると被研磨材が金属の場合には効果的に研磨速度を向上させることができる。また、必要に応じて硫酸、硝酸、リン酸、フッ酸等の酸、あるいはこれら酸のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩およびこれらの混合物などを添加して用いることができる。この場合、複数種の材質の被研磨材を研磨する際に、特定成分の被研磨材の研磨速度を速めたり、遅くすることによって、最終的に平坦な研磨面を得ることができる。
【0060】
その他の添加剤として、例えば、金属被研磨材表面に不動態層あるいは溶解抑制層を形成して基材の浸食を防止するためにイミダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾールなどを用いることができる。また、上記不動態層を攪乱するためにクエン酸、乳酸、酢酸、シュウ酸、フタル酸、クエン酸等の有機酸あるいはこれらの有機酸塩などの錯体形成材を用いることもできる。研磨材スラリーの分散性や安定性を向上させるためにカチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性系の界面活性剤を適宜選択して添加することができる。さらに、上記各添加剤の効果を高めるためなどに必要に応じて酸または塩基を添加して研磨材スラリーのpHを調節することができる。
【0061】
[実施例および比較例で用いた分析方法]
以下に本発明の好適な実施例を述べるが、実施例および比較例における各種特性の測定方法については、特に断りの無い限り、以下に記す通り、実施した。また、その結果については表1〜5に記した。
【0062】
[1]画像解析法による粒子連結型アルミナ−シリカ複合一次粒子の平均粒子径測定
走査型電子顕微鏡(株式会社日立製作所製、H−800)により、粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子を倍率25万倍(ないしは50万倍)で写真撮影して得られる写真投影図において、一つの連結した粒子の両端の2個について、直径の最大値をとり、その平均値を当該連結粒子における、一次粒子の平均粒子径とし、同様の測定を50個の連結型粒子について行い、その平均粒子径を、粒子連結型アルミナ−シリカ複合一次粒子の平均粒子径とした。
【0063】
[2]一次粒子の半径変動係数の測定方法
粒子連結型アルミナ−シリカ複合ゾルの走査型電子顕微鏡写真(25万倍ないし50万倍)の画像にて、粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子に含まれる各球状粒子について、その外縁上の2点を結ぶ線分のうち最長の線分lを描き、該線分lを2等分する点を中心点Oとする。この中心点Oから、前記外縁の末端P(隣接する球状粒子の外縁との交点等) を通る半直線Sを引き、該半直線Sから5度間隔で、中心点Oを始点とし、前記外縁を通る6本の半直線を描く。半直線Sを含めた計7本の前記半直線と粒子の外縁との各交点から中心点Oまでの長さをそれぞれ測定し、その結果からその粒子の半径の変動係数を算定する。この操作を1個の粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子に含まれる全ての粒子について行い、得られる変動係数のうち最大のものを当該粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子の半径の変動係数とする。そしてこの操作を粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子50個について行い、得られた半径の変動係数の平均値を、粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子の一次粒子の半径の変動係数とする。粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子の一次粒子の半径の変動係数の求め方に関する概略を図1に示した。ここで、「粒子の外縁」とは、走査型電子顕微鏡写真上に現れ、その粒子固有の輪郭を形成する、その粒子と粒子が存在しない部分との境界線を意味する。つまり、その粒子が他の粒子と結合している部分の境界線、およびその粒子が他の粒子と結合することにより生じた境界線は、前記「粒子の外縁」には含まれない。
【0064】
なお、前記最長の直線が複数存在する場合であって、中心点Oが複数個存在することになる場合は、最も距離が離れた位置にある2つの中心点(O1およびO2)を結ぶ直線を求め、その中心点を改めて中心点Oとする。また、中心点Oから、前記外縁の末端を通る半直線を複数本引ける場合には、中心点Oと外縁との距離が最も長い半直線を、半直線Sとする。
【0065】
[3]シアーズ法による比表面積測定および平均粒子径測定
1)SiO2として1.5gに相当する試料をビーカーに採取してから、恒温反応槽(2
5℃)に移し、純水を加えて液量を90mlにする。(以下の操作は、25℃に保持した恒温反応槽中にて行った。)
2)pH3.6になるように0.1モル/L塩酸水溶液を加える。
3)塩化ナトリウムを30g加え、純水で150mlに希釈し、10分間攪拌する。
4)pH電極をセットし、攪拌しながら0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液を滴下して、pH4.0に調整する。
5)pH4.0に調整した試料を0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液で滴定し、pH8.7〜9.3の範囲での滴定量とpH値を4点以上記録して、0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の滴定量をX、その時のpH値をYとして、検量線を作る。
6)次の式(2)からSiO21.5g当たりのpH4.0〜9.0までに要する0.1
モル/L水酸化ナトリウム溶液の消費量V(ml)を求め、後記式(3)に従って比表面
積SA[m2/g]を求める。
【0066】
また、平均粒子径D1(nm)は、式(4)から求める。
【0067】
【数1】

【0068】
【数2】

【0069】
【数3】

(ここで、ρは粒子の密度(g/cm3)を表す。 シリカの場合は2.2を代入する。

但し、上記式(2)における記号の意味は次の通りである。
A:SiO21.5g当たりpH4.0〜9.0までに要する0.1モル/L水酸化ナト
リウム溶液の滴定量(ml)
f :0.1モル/L水酸化ナトリウム溶液の力価
C :試料のSiO2濃度(%)
W :試料採取量(g)
【0070】
[4]BET法(窒素吸着法)による比表面積測定および平均粒子径測定
粒子連結型シリカゾル50mlをHNO3でpH3.5に調整し、1−プロパノール4
0mlを加え、110℃で16時間乾燥した試料について、乳鉢で粉砕後、マッフル炉にて500℃、1時間焼成し、測定用試料とした。そして、比表面積測定装置(ユアサアイオニクス製、型番マルチソーブ12)を用いて窒素吸着法(BET法)を用いて、窒素の吸着量から、BET1点法により比表面積を算出した。
【0071】
具体的には、試料0.5gを測定セルに取り、窒素30v%/ヘリウム70v%混合ガス気流中、300℃で20分間脱ガス処理を行い、その上で試料を上記混合ガス気流中で液体窒素温度に保ち、窒素を試料に平衡吸着させる。次に、上記混合ガスを流しながら試料温度を徐々に室温まで上昇させ、その間に脱離した窒素の量を検出し、予め作成した検量線により、粒子連結型シリカゾルの比表面積を算出した。また、得られた比表面積(SA)を前記式(4)に代入して平均粒子径D1を求めた。
【0072】
[5]アルミナ被覆粒子連結型シリカゾルの固形分測定
試料(アルミナ被覆粒子連結型シリカゾル分散液)2gをルツボにて蒸発乾固し、得ら
れた固形物を1000℃にて1時間焼成後、デシケーターに入れ冷却して秤量する。これらの重量差よりアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルの含有量を求めた。
【0073】
[6]アルミニウム基板に対する研磨特性の評価方法
研磨用スラリーの調製
各実施例および各比較例で得たシリカ濃度20質量%の粒子連結型アルミナ-シリカ複
合ゾルに、H22、HEDP(1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジスルホン酸)および超純水を加えて、シリカ9重量%、H220.5重量%、1−ヒドロキシエチリデン−1,1−ジスルホン酸0.5重量%の研磨用スラリーを調製し、さらに必要に応じてHNO3を加えて、pH2の研磨用スラリーを調製した。
【0074】
被研磨基板
被研磨基板として、アルミニウムディスク用基板を使用した。このアルミニウムディスク用基板は、アルミニウム基板にNi−Pを10μmの厚さに無電解メッキ(Ni88%とP12%の組成の硬質Ni−Pメッキ層)をした基板(95mmΦ/25mmΦ−1.27mmt)を使用した。なお、この基板は一次研磨済みで、表面粗さ(Ra)は0.17nmであった。
【0075】
研磨試験
上記被研磨基板を、研磨装置(ナノファクター(株)製:NF300)にセットし、研磨パッド(ロデール社製「アポロン」)を使用し、基板荷重0.05MPa、テーブル回転速度30rpmで研磨用スラリーを20g/分の速度で5分間供給して研磨を行った。
研磨前後の被研磨基材の重量変化を求めて研磨速度を計算した。
【0076】
スクラッチ発生
スクラッチの発生については、アルミニウムディスク用基板を上記と同様に研磨処理した後、超微細欠陥・可視化マクロ装置(VISION PSYTEC社製、製品名:Micro−MAX)を使用し、Zoom15にて全面観察し、65.97cm2に相当する
研磨処理された基板表面のスクラッチ(線状痕)の個数を数えて合計した。
[合成例1]
【0077】
粒子連結型シリカゾル(A)の製造
テトラエトキシシラン(※1)532.5gを水/メタノール混合溶媒(水とメタノールの重量比=2/8)2450gに溶解させたものを2982.5g調製し、この溶液と濃度0. 25質量%のアンモニア水溶液596. 4gとを同時に、60℃に保持した水/メタノール混合溶媒(純水139. 1gとメタノール169. 9gとを混合)に、同時に20時間かけて添加した。
【0078】
添加終了後、さらにこの温度で3時間熟成した。その後、限外濾過膜で未反応のテトラエトキシシラン、メタノール、アンモニアをほぼ完全に除去し、純水を添加してシリカ濃度1重量%に調製した。次いで、300℃のオートクレーブ中で10時間、水熱処理を行った。水熱処理後、両イオン交換樹脂で精製し、濃縮し、平均粒子径20nmの粒子が2〜5個、平均的に球状粒子が4個鎖状に連結した構造からなる固形分濃度20重量%の粒子連結型シリカゾル(A)を得た。
※1:(多摩化学(株)製:エチルシリケート28、SiO2 =28重量%)
[合成例2]
【0079】
粒子連結型シリカゾル(B)の製造
合成例1において、純水を添加してシリカ濃度0. 5重量%に調製した以外は合成例1と同様にして固形分濃度20重量%の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾル(B)を得た
。得られた粒子連結型シリカゾル(B)は、平均粒子径20nmの粒子が1〜4個、平均的に球状粒子が3個鎖状に連結した構造からなっていた。
[合成例3]
【0080】
粒子連結型シリカゾル(C)の製造
合成例1において、純水を添加してシリカ濃度2. 5重量%に調製した以外は合成例1と同様にして固形分濃度20重量%の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾル(C)を得た
。得られた粒子連結型シリカゾル(C)は、平均粒子径20nmの粒子が2〜8個、平均的に球状粒子が6個鎖状に連結した構造からなっていた。
[合成例4]
【0081】
粒子連結型シリカゾル(D)の製造
シリカゾル(触媒化成工業(株)製:カタロイドSI−50,画像解析法による平均粒子径25nm、SiO2 濃度48重量%)をSiO2 濃度2重量%に希釈し、ついで、250℃のオートクレーブ中で10時間、水熱処理を行った。水熱処理後、両性イオン交換樹脂で精製し、ついで濃縮し、平均粒子径25nmの粒子が1〜6個、平均的に4個鎖状あるいはテトラポット状に連結した構造からなる固形分濃度20重量%の粒子連結型シリカゾル(D)を得た。
【実施例1】
【0082】
合成例1の方法で調製した粒子連結型シリカゾル(画像解析法により測定された比表面積から換算された一次平均粒子径20nm、平均連結個数4、比表面積139m2/g)
に純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
【0083】
この粒子連結型シリカゾル6500gに、12℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO2]の0.9重量%水溶液850g(粒子連結型シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウムが0.76質量部に相当)を攪拌しながら4時間かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
【0084】
得られたアルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子の分散液について前記[4]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子)の含有量を測定したところ13.7重量%であった。このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾル1199gに純水を加えて、濃度2.9重量%に調製した。
【0085】
このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾル5586gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を27g(アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、シリカ分4.0質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分間熟成し、シリカ濃度3重量%の珪酸液4305g(前記熟成終了後のアルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が79.7質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。
【0086】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの特徴を表5に記す。製造条件を表1〜4に記
す。また、この粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの走査型電子顕微鏡写真(倍率:2
50000倍)を図2に示す。
【実施例2】
【0087】
合成例2の方法で調製した粒子連結型シリカゾル(画像解析法により測定された比表面積から換算された一次平均粒子径20nm、平均連結個数3、比表面積139m2/g)
に純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
【0088】
この粒子連結型シリカゾル6500gに、14℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO2]の0.9重量%水溶液482g(粒子連結型シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウム0.43質量部に相当)を攪拌しながら2時間かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
【0089】
得られたアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルについて前記[4]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子)の含有量を測定したところ14.4重
量%であった。このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾル1463gに純水を加えて、濃度2.7重量%に調製した。
【0090】
このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾル7163gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を41g(アルミナ被覆粒子連結型シリカゾル100質量部に対して、シリカ分10.9質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、シリカ濃度3重量%の珪酸液2641g(前記熟成終了後のアルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が32.4質量部に相当)を10時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。
【0091】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの特徴を表5に記す。製造条件を表1〜4に記
す。また、この粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの走査型電子顕微鏡写真(倍率:2
50000倍)を図3に示す。
【実施例3】
【0092】
合成例3の方法で調製した粒子連結型シリカゾル(画像解析法により測定された比表面積から換算された一次平均粒子径20nm、平均連結個数6、比表面積139m2/g)
に純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
【0093】
この粒子連結型シリカゾル6500gに、25℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO2]の0.9重量%水溶液1488g(粒子連結型シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウムが1.34質量部に相当)を攪拌しながら6時間かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
【0094】
得られたアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルについて前記[4]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆粒子連結型シリカゾル)の含有量を測定したところ12.7重量%であった。このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルの882gに純水を加えて、濃度2.8重量%に調製した。
【0095】
このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾル4074gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を48g(アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、10.1質量部に相当)添加し、87℃まで昇温した後30分熟成し、温度を87℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液5961g(前記熟成終了後のアルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が156.9質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、87℃にて1時間熟成した。
【0096】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた粒子連結型アルミナ−シリカ複合ゾルの特徴を表5に記す。製造条件を表1〜4に記す。
【実施例4】
【0097】
合成例4の方法で調製した粒子連結型シリカゾル(画像解析法により測定された比表面積から換算された一次平均粒子径25nm、平均連結個数4、比表面積108m2/g)
に純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
【0098】
この粒子連結型シリカゾル6500gに、25℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO2]の0.9重量%水溶液142g(粒子連結型シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウム0.13質量部に相当)を攪拌しながら30分かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
【0099】
得られたアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルの分散液について前記[4]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆粒子連結型シリカゾル)の含有量を測定したところ15.1重量%であった。このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾル水溶液1199gに純水を加えて、濃度2.9重量%に調製した。
【0100】
このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルの水溶液6243gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を27g(アルミナ被覆粒子連結型シリカゾル100質量部に対して、4.0質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、温度を98℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液4305g(前記熟成終了後のアルミナ被覆粒子連結型シリカゾル水溶液のシリカ分100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が79.7質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。
【0101】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた粒子連結型シリカゾルの特徴を表5に記す。製造条件を表1〜4に記す。
【実施例5】
【0102】
合成例4の方法で調製した粒子連結型シリカゾル(画像解析法により測定された比表面積から換算された一次平均粒子径25nm、平均連結個数4、比表面積108m2/g)
に純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
【0103】
この粒子連結型シリカゾル6500gに、25℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO2]の0.9重量%水溶液1983g(粒子連結型シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウムが1.78質量部に相当)を攪拌しながら8時間かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
【0104】
得られたアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルについて前記[4]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子)の含有量を測定したところ12.0重量%であった。このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾル1199gに純水を加えて、濃度2.9重量%に調製した。
【0105】
このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾル4552gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を22g(アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、4.0質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、温度を98℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液4343g(前記熟成終了後のアルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が98.7質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。
【0106】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの特徴を表5に記す。製造条件を表1〜4に記
す。
[比較例1]
【0107】
合成例1の方法で調製した粒子連結型シリカゾル(画像解析法により測定された比表面積から換算された一次平均粒子径20nm、平均連結個数4、比表面積139m2/g)
に純水を加えて、シリカ濃度2.8重量%に調整した。
【0108】
この粒子連結型シリカゾル5761gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を40g(粒子連結型シリカゾル中の粒子連結型シリカゾル100質量部に対して、3号水硝子のシリカ分6.0質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、温度を98℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液4199g(前記粒子連結型シリカゾル中の粒子連結型シリカゾル100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が78.2質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。
【0109】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。得られた粒子連結型シリカゾルの特徴を表5に記す。製造条件を表1〜4に記す。
[比較例2]
【0110】
合成例2の方法で調製した粒子連結型シリカゾル(画像解析法により測定された比表面積から換算された一次平均粒子径20nm、平均連結個数3、比表面積139m2/g)
に純水を加えて、シリカ濃度2.8重量%に調整した。
【0111】
この粒子連結型シリカゾル3972gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を46g(粒子連結型シリカゾル中の粒子連結型シリカゾル100質量部に対して、3号水硝子のシリカ分10.0質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、温度を87℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液5983g(前記粒子連結型シリカゾル中の粒子連結型シリカゾル100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が161.7質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、87℃にて1時間熟成した。
【0112】
その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。得られたシリカゾルの特徴を表5に記す。製造条件を表1〜4に記す。
[比較例3]
【0113】
合成例1の方法で調製した粒子連結型シリカゾル(画像解析法により測定された比表面積から換算された一次平均粒子径20nm、平均連結個数4、比表面積139m2/g)
に純水を加えて、シリカ濃度15.4重量%に調整した。
【0114】
この粒子連結型シリカゾル6500gに、25℃にて、アルミン酸ナトリウム[化学式:NaAlO2]の0.9重量%水溶液2833g(粒子連結型シリカゾルのシリカ分100質量部に対して、アルミン酸ナトリウムが2.55質量部に相当)を攪拌しながら12時間かけて均等に添加した。そして、90℃に昇温して、3時間熟成した。
【0115】
得られたアルミナ被覆粒子連結型シリカゾルについて前記[4]の固形分測定方法により固形分(アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子)の含有量を測定したところ11.0重量%であった。このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾル1494gに純水を加えて、濃度
2.9重量%に調製した。
【0116】
このアルミナ被覆粒子連結型シリカゾル8483gに、3号水硝子(シリカ濃度24重量%)を41g(アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、4.0質量部に相当)添加し、98℃まで昇温した後30分熟成し、温度を98℃に維持しながら、シリカ濃度3重量%の珪酸液4190g (前記熟成終了後のアルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、珪酸液のシリカ分が51.1質量部に相当)を7時間かけて撹拌しながら徐々に添加した。添加完了後、98℃にて1時間熟成した。 その後、限外膜(SIP−1013)にて常に液面が一定となるように純水を供給しながら濃縮を行い、水溶液の電導度が一定となるまで行い、その後シリカ濃度が12重量%になるまで濃縮し、次いで30%になるまでロータリーエバポレーターで濃縮した。得られたシリカゾルの特徴を表5に記す。製造条件を表1〜4に記す。
【0117】
【表1】

【0118】
【表2】

【0119】
【表3】

【0120】
【表4】

【0121】
【表5】

【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明の粒子連結型アルミナ−シリカ複合ゾルは、研磨材および研磨用組成物として有用であり、アルミニウムディスク(アルミニウムまたはその基材上のメッキ層)や半導体多層配線基板のアルミニウム配線、光ディスクや磁気ディスク用ガラス基板、液晶ディスプレイ用ガラス基板、フォトマスク用ガラス基板、ガラス質材料の鏡面加工などに利用が可能である。また、樹脂成型物やコーテイング被膜の充填剤、化粧料の成分、吸着剤、凝集促進剤、滓下げ剤、増粘剤、土壌硬化剤などとしても利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子の一次粒子の半径の変動係数の求め方に関する概略図
【図2】実施例1で調製された粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの走査型電子顕微鏡写真(倍率:250,000倍)
【図3】実施例2で調製された粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの走査型電子顕微鏡写真(倍率:250,000倍)
【符号の説明】
【0124】
l・・線分
O・・中心点
P・・外縁の末端
S・・半直線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像解析法により測定される平均粒子径が5〜300nmの範囲にあるアルミナ−シリカ複合1次粒子が2個以上結合した構造を含む粒子連結型アルミナ−シリカ複合微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルであって、該粒子連結型アル
ミナ−シリカ複合微粒子が、アルミナ−シリカ複合1次粒子として、表面に複数の疣状突起を有する球状粒子を含むことを特徴とする粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾル。
【請求項2】
前記アルミナ−シリカ複合1次粒子の半径の変動係数が3〜30%の範囲にあることを特徴とする請求項1記載の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾル。
【請求項3】
請求項1または2に記載の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルからなる研磨材。
【請求項4】
請求項1または2に記載の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルを含むことを特徴とす
る研磨用組成物。
【請求項5】
画像解析法により測定される平均粒子径が5〜300nmの範囲にある球状のシリカ1次粒子が2個以上結合してなる粒子連結型シリカ微粒子が分散媒に分散してなる粒子連結型シリカゾルに、アルミン酸ナトリウムを該粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、0.1〜2.5質量部を連続的にまたは断続的に添加し、次に熟成させることによりアルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子の分散液を調製し、次に、該アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対し、0.1〜100質量部に相当するアルカリ金属珪酸塩を添加し、熟成した後、更に珪酸液を連続的にまたは断続的に添加することにより、粒子成長させ、突起を形成させることを特徴とする請求項1または請求項2の何れかに記載の粒子連結型アルミナ-シリカ複合ゾルの製造方法。
【請求項6】
前記珪酸液の使用量が前記アルミナ被覆粒子連結型シリカ微粒子100質量部に対して、シリカ分換算で3〜700質量部の範囲であり、珪酸液の添加を2〜24時間かけて連続的にまたは断続的に行うことを特徴とする請求項5記載の粒子連結型アルミナ−シリカ複合ゾルの製造方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2009−155180(P2009−155180A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−337496(P2007−337496)
【出願日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【出願人】(000190024)日揮触媒化成株式会社 (458)
【Fターム(参考)】