説明

粒状洗剤組成物の製造方法

【課題】界面活性剤濃度が低くても、良好な造粒性で、優れた溶解性を有する粒状洗剤組成物を製造できる製造方法を提供する。
【解決手段】界面活性剤5〜28質量%、水溶性無機塩15〜60質量%および水不溶性無機塩10〜45質量%を含有する粒状洗剤組成物の製造方法であって、界面活性剤、水溶性無機塩および水不溶性無機塩を含む洗剤原料の混練物を得る工程1、前記工程1で得た混練物および水溶性無機塩を押出機に供給して押出物を得る工程2、および前記工程2で得た押出物を粒状化する工程3、を有し、前記工程1で用いる水溶性無機塩と、前記工程2で用いる水溶性無機塩との比(質量比)が、[工程1で用いる水溶性無機塩]/[工程2で用いる水溶性無機塩]=2〜11の範囲内であることを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状洗剤組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粒状洗剤組成物には、通常、洗浄性能の向上や、その他各種性能の付与等を目的として、界面活性剤、有機高分子化合物等の有機成分が配合されている。
近年、環境への配慮から、洗剤組成物中の有機成分の濃度を低下させる傾向にあり、たとえば15年前の一般的な衣料用洗剤の界面活性剤濃度はおよそ30〜40%であったが、現在では20〜30%程度のものが主流であり、なかには界面活性剤濃度が20%以下の衣料用洗剤も存在する。
【0003】
従来、粒状洗剤組成物、特に衣料用洗剤として用いられる粒状洗剤組成物は、界面活性剤、アルカリビルダー等を含有する水性スラリーから噴霧乾燥法によって製造され、その粒子内部に空隙を有する噴霧乾燥粒子からなる洗剤が用いられてきた。しかし、この噴霧乾燥粒子は嵩高いため、1回の洗浄に使用する体積量が多く、また、噴霧乾燥法はエネルギーロスが大きく経済的ではない。そのため近年では、上述の噴霧乾燥粒子にかわって、嵩密度を高めた粒状洗剤組成物が主流となっている。
高嵩密度の粒状洗剤組成物の製造方法としては、たとえば、前記噴霧乾燥粒子等の洗剤原料を捏和機(ニーダー)等で混練した後、該混練物(捏和物)を粉砕する捏和・粉砕法が知られている。たとえば特許文献1には、アルキルアリールスルホン酸を濃厚水酸化カリウム水溶液で中和して得られた中和物と他の洗剤成分とを捏和、混合したのち、解砕し、次いで特定粒径の水不溶性微粉体でコーティングする方法が記載されている。また、特許文献2には、洗剤原料を混練機で混練し、この混練洗剤原料を特定構造の洗剤加工用押出造粒機に供給して成型後、破砕機に供給して破砕造粒する方法が記載されている。また、特許文献3には、結晶性アニオン界面活性剤、結晶性無機化合物を含有し、アニオン界面活性剤を主界面活性剤とする洗浄剤組成物の製造に際し、当該洗浄剤組成物の割断面中の異方性物質の面積比率が特定範囲となるように製造条件を制御または設定することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61−272300号公報
【特許文献2】特開2000−006139号公報
【特許文献3】特開2003−105393号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような捏和・粉砕法により粒状洗剤組成物を製造する場合、界面活性剤がバインダーとして機能する。そのため、界面活性剤濃度が高い場合はあまり問題とはならないが、界面活性剤濃度が低くなると、製造上、または品質上、種々の問題が生じてくる。たとえばバインダー量の低下に伴い、相対的に無機成分濃度が高くなり、捏和物が脆くなって、捏和不良による粉砕機への付着が発生しやすくなる等、造粒性が低下する問題がある。
かかる問題に対し、捏和機におけるパドルパターンを変更する等により混練強度を上げる対応が考えられる。しかしながら、混練強度を上げると、得られる洗剤組成物の溶解性が劣化する傾向があり、混練強度を上げるにも限度がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、界面活性剤濃度が低くても、良好な造粒性で、優れた溶解性を有する粒状洗剤組成物を製造できる製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、従来技術における生産性悪化の原因の1つが、界面活性剤の配合量の低下に伴う水溶性無機塩、特にナトリウム塩の配合量の増加にあり、特に炭酸ナトリウムの量が混練物中で26質量%を超えてくると、混練状態が悪くなり、装置等への付着が急激に増大することを見出した。また、混練強度を上げると溶解性が劣化する原因の1つとして、混練物中に分散する水溶性無機塩の粒径が小さくなることを見出した。かかる知見に基づき、さらに検討を重ねた結果、界面活性剤、水溶性無機塩および水不溶性無機塩を含む粒状洗剤組成物の製造に際し、混練後、粉砕を行う前に、押出工程を行い、該押出工程にて水溶性無機塩の一部を混練物に添加することにより上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、界面活性剤5〜28質量%、水溶性無機塩15〜60質量%および水不溶性無機塩10〜45質量%を含有する粒状洗剤組成物の製造方法であって、
界面活性剤、水溶性無機塩および水不溶性無機塩を含む洗剤原料の混練物を得る工程1、
前記工程1で得た混練物および水溶性無機塩を押出機に供給して押出物を得る工程2、および
前記工程2で得た押出物を粒状化する工程3、
を有し、
前記工程1で用いる水溶性無機塩と、前記工程2で用いる水溶性無機塩との比(質量比)が、[工程1で用いる水溶性無機塩]/[工程2で用いる水溶性無機塩]=2〜11の範囲内であることを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、界面活性剤濃度が低くても、良好な造粒性で、優れた溶解性を有する粒状洗剤組成物を製造できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の製造方法をより詳細に説明する。
本発明の製造方法においては、界面活性剤5〜28質量%、水溶性無機塩15〜60質量%および水不溶性無機塩10〜45質量%を含有する粒状洗剤組成物を製造する。
ここで、本明細書および特許請求の範囲において、これらの各成分の含有量は、当該粒状洗剤組成物の総質量に対する割合である。以下、該含有量を濃度ということがある。
また、界面活性剤の濃度は、JIS K3362−1998記載の界面活性剤相当分の定量方法に準じて測定される。
「水溶性無機塩」と「水不溶性無機塩」の分類については、化学便覧基礎編II(改訂2版、777〜791頁、丸善、1975年)において溶解度積で表される塩を水不溶性とする。また、簡易判別法としては熱水(85℃以上)100mLに5gを添加した際に完全に溶解するものを水溶性、一部または全部が残渣として残るものを水不溶性とする。
【0009】
粒状洗剤組成物中、界面活性剤の濃度は、5〜25質量%が好ましく、8〜20質量%がより好ましい。該濃度が上記範囲の下限値未満であると洗剤組成物として充分な洗浄性能が得られないおそれがあり、上限値を超えることは環境対応上好ましくない。
粒状洗剤組成物中、水溶性無機塩の濃度は、15〜50質量%が好ましく、18〜45質量%がより好ましい。該濃度が上記範囲の下限値未満であると、相対的に界面活性剤や水不溶性無機塩の濃度が高くなり、粒状洗剤組成物の溶解性が低下するおそれがある。また上限値を超えると、粒状洗剤組成物中の無機塩の総濃度が高くなり、粒状洗剤組成物の溶解性が低下するおそれがある。
粒状洗剤組成物中、水不溶性無機塩の濃度は、12〜40質量%が好ましく、13〜35質量%がより好ましい。該濃度が上記範囲の下限値未満であると、相対的に界面活性剤や水溶性無機塩の濃度が高くなり、粒状洗剤組成物の溶解性が低下するおそれがある。また上限値を超えると、粒状洗剤組成物の洗浄性能が低下するおそれがある。
また、粒状洗剤組成物中、水溶性無機塩および水不溶性無機塩の合計の濃度は、60〜90質量%が好ましく、65〜85質量%がより好ましい。該濃度が上記範囲の下限値未満であると粒状洗剤中の界面活性剤が相対的に高くなり環境対応上好ましくなく、製品の固化等のハンドリング性に問題が出てくる。また、上限値を越えると洗剤組成物としての洗浄性能が低下する恐れがある。
【0010】
本発明においては、上記組成の粒状洗剤組成物を、下記工程1〜3を行うとともに、工程1で用いる水溶性無機塩(以下、水溶性無機塩(1)という。)と、工程2で用いる水溶性無機塩(以下、水溶性無機塩(2)という。)との比(質量比)を、[水溶性無機塩(1)]/[水溶性無機塩(2)]=2〜11の範囲内とすることにより製造する。[水溶性無機塩(1)]/[水溶性無機塩(2)]の値は、2.5〜10が好ましく、3〜9がより好ましい。
工程1:界面活性剤、水溶性無機塩(1)および水不溶性無機塩を含む洗剤原料の混練物を得る工程。
工程2:前記工程1で得た混練物および水溶性無機塩(2)を押出機に供給して押出物を得る工程。
工程3:前記工程2で得た押出物を粒状化する工程。
粒状洗剤組成物には、通常、アルカリビルダーや中性ビルダー等として無機塩が配合されている。従来、かかる組成物を製造する際には、無機塩の全量が混練時に一括添加されているが、本発明においては、該無機塩のうち、水溶性無機塩の一部を分割し、これを押出時に添加する。これにより、生産性が向上し、水への溶解性も向上する。
かかる効果が得られる理由としては、まず、水溶性無機塩の一部を分割することで、水溶性無機塩の増量による混練(捏和)不良による装置トラブルを抑制でき、工程1において混練が良好に行われると考えられる。さらに品質を鑑みると、微細化した無機塩と界面活性剤が水と接触したときに生じるゲル構造の生成を低減させ、洗剤粒子の低温における溶解性劣化を抑制できる。また、押出時に水溶性無機塩の一部を添加することで、最終的に得られる洗剤組成物中に、ある程度大きな粒子径の水溶性無機塩が分散した状態となることで、粒状洗剤組成物の水への溶解性も向上すると考えられる。
以下、各工程についてより詳細に説明する。
【0011】
<工程1>
工程1では、界面活性剤、水溶性無機塩(1)および水不溶性無機塩を含む洗剤原料の混練物を得る。
【0012】
[界面活性剤]
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤が挙げられ、これらのいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アニオン界面活性剤としては、たとえば、スルホン酸塩型アニオン界面活性剤、硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤、カルボン酸塩型アニオン界面活性剤、リン酸エステル塩型アニオン界面活性剤等が挙げられる。
これらのアニオン界面活性剤における「塩」としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩;トリエタノールアミン等のアルカノールアミン塩、またはアンモニウム塩が挙げられ、アルカリ金属塩が好ましい。
【0013】
スルホン酸塩型アニオン界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルカンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸ジアルカリ金属塩、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩等が挙げられる。
より具体的には、アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、炭素数8〜18のアルキル基を有する直鎖状または分岐鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられ、特に直鎖状のアルキルベンゼンスルホン酸塩が好ましい。
アルカンスルホン酸塩としては、アルカンスルホン酸塩は、パラフィンスルホン酸塩とも呼ばれ、たとえば炭素数10〜21のアルカンスルホン酸塩が挙げられる。アルカンスルホン酸塩としては、二級アルカンスルホン酸塩を含むことが好ましい。好ましいアルカンスルホン酸塩としては、たとえば、1分子当り10〜21個の炭素原子、好ましくは少なくとも80質量%以上、より好ましくは少なくとも90質量%以上が1分子当り10〜14個の炭素原子をもつ二級アルキルスルホン酸塩と、少量の一級アルキルスルホン酸塩、ジスルホン酸塩、またはポリスルホン酸塩との混合物が挙げられる。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のα−オレフィンスルホン酸塩が挙げられる。
α−スルホ脂肪酸ジアルカリ金属塩としては、炭素数8〜20の飽和もしく不飽和のα−スルホ脂肪酸ジアルカリ金属塩が挙げられる。
α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩としては、前記α−スルホ脂肪酸塩のメチル、エチルもしくはプロピルエステル塩が挙げられる。
【0014】
硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤としては、アルキル硫酸塩、アルケニル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルフェニルエーテル硫酸塩、アルキル多価アルコールエーテル硫酸塩等が挙げられる。
より具体的には、アルキル硫酸塩またはアルケニル硫酸塩としては、炭素数10〜20のアルキル硫酸塩またはアルケニル硫酸塩が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルフェニルエーテル硫酸塩は、それぞれ、アルキルエーテル硫酸塩、アルケニルエーテル硫酸塩、アルキルフェニルエーテル硫酸塩、アルケニルフェニルエーテル硫酸塩にアルキレンオキサイドが付加したものである。
アルキレンオキサイドとしては、炭素数2〜4のアルキレンオキサイドのいずれか、またはエチレンオキサイド(EO)とプロピレンオキサイド(PO)とが混在したものが好ましい。EOとPOとが混在する場合、その比率は、モル比でEO/PO=0.1/9.9〜9.9/0.1の範囲内であることが好ましい。アルキレンオキサイドとしては、特に、EOが好ましい。
アルキレンオキサイドの付加モル数は、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩またはポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩の場合は、平均で、0.5〜10モルが好ましい。また、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルフェニルエーテル硫酸塩の場合は、平均で、3〜30モルが好ましい。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルフェニルエーテル硫酸塩におけるアルキル基またはアルケニル基の炭素数は8〜20が好ましい。該アルキル基またはアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
アルキル多価アルコールエーテル硫酸塩としては、たとえば、炭素数10〜20のアルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩等が挙げられる。
【0015】
カルボン酸塩型アニオン界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸塩、炭素数10〜20の高級脂肪酸塩(石鹸)等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸塩におけるアルキレンオキサイドとしては、前記硫酸エステル塩型アニオン界面活性剤の説明で挙げたものと同様のものが挙げられる。
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテルカルボン酸塩におけるアルキル基またはアルケニル基の炭素数は10〜20が好ましい。該アルキル基またはアルケニル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。
リン酸エステル型アニオン界面活性剤としては、長鎖モノアルキルリン酸塩、長鎖ジアルキルリン酸塩、長鎖セスキアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンモノアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンジアルキルリン酸塩、ポリオキシエチレンセスキアルキルリン酸塩等が挙げられる。「長鎖」のアルキル基は、炭素数が8以上のものを示し、好ましくは10〜20である。
【0016】
ノニオン界面活性剤としては、たとえば、以下のものを挙げることができる。
(1)脂肪族アルコールにアルキレンオキサイドが付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテル。
(2)ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)フェニルエーテル。
(3)長鎖脂肪酸アルキルエステルのエステル結合間にアルキレンオキサイドが付加した脂肪酸アルキルエステルアルコキシレート。
(4)ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル。
(5)ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル。
(6)ポリオキシエチレン脂肪酸エステル。
(7)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油。
(8)グリセリン脂肪酸エステル。
【0017】
上記のうち、(1)のポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルにおいて、前記脂肪族アルコールとしては、第1級アルコール、第2級アルコールが挙げられ、第1級アルコールが好ましい。また、脂肪族アルコールのアルキル基は、直鎖状であってもよく、分岐鎖状であってもよい。該脂肪族アルコールの炭素数は、6〜22が好ましく、8〜18がより好ましい。
また、該脂肪族アルコールに付加するアルキレンオキサイドの炭素数は2〜4が好ましく、その付加モル数は、平均3〜30モルが好ましく、5〜20モルがより好ましく、7〜18モルがさらに好ましい。
(1)のポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルとしては、ポリオキシエチレンアルキル(又はアルケニル)エーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好適である。
【0018】
(3)の脂肪酸アルキルエステルアルコキシレートとしては、たとえば一般式:RCO(OA)ORで表されるものが挙げられる。
該式中、RCOは、炭素数6〜22、好ましくは炭素数8〜18の脂肪酸残基を示す。
OAは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等の炭素数2〜4、好ましくは2〜3のアルキレンオキサイドの付加単位を示す。
mはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、3〜30モルが好ましく、5〜20モルがより好ましく、7〜18モルがさらに好ましい。
は炭素数1〜3の置換基を有してもよい低級(炭素数1〜4)アルキル基を示す。
【0019】
カチオン界面活性剤としては、たとえば、ジ長鎖アルキルジ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩、モノ長鎖アルキルトリ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩、トリ長鎖アルキルモノ短鎖アルキル型4級アンモニウム塩等が挙げられる。
ここで、上記の「長鎖アルキル」は、炭素数12〜26、好ましくは14〜18のアルキル基を示す。
「短鎖アルキル」は、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基を示す。該アルキル基は、アルキルフェニル基、ベンジル基、ヒドロキシ基、ヒドロキシアルキル基等の置換基を有していてもよく、また、炭素間にエーテル結合を有していてもよい。「短鎖アルキル」としては、炭素数1〜4、好ましくは1〜2のアルキル基;ベンジル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のヒドロキシアルキル基;炭素数2〜4、好ましくは2〜3のポリオキシアルキレン基が好適なものとして挙げられる。
【0020】
両性界面活性剤としては、たとえば、イミダゾリン系の両性界面活性、アミドベタイン系の両性界面活性剤等が挙げられる。具体的には、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタインが好適なものとして挙げられる。
【0021】
これらの界面活性剤はいずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明においては、特に、洗浄性能を考慮すると、粒状洗剤組成物が、界面活性剤として、少なくとも、アニオン界面活性剤を含有することが好ましい。
この場合、全界面活性剤の合計に対するアニオン界面活性剤の割合は、60質量%以上が好ましく、65〜95質量%がより好ましく、68〜85質量%がさらに好ましい。
アニオン界面活性剤としては、洗浄力、溶解性、得られる粒状洗剤の粉体物性を考慮すると、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩および高級脂肪酸塩(石鹸)からなる群から選択される1種以上が好ましく、特に、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩および高級脂肪酸塩(石鹸)からなる群から選択される1種以上が好ましい。
【0022】
粒状洗剤組成物は、アニオン界面活性剤に加えて、さらに、ノニオン界面活性剤を含有することが好ましい。これにより、洗浄力、発塵性、溶解性が向上する。
この場合、全界面活性剤の合計に対するノニオン界面活性剤の割合は、1〜40質量%が好ましく、5〜30質量%がより好ましい。
ノニオン界面活性剤としては、得られる粒状洗剤の固化性、流動性を考慮すると、前記(1)の脂肪族アルコールにアルキレンオキサイドが付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好ましく、特に、炭素数12〜16の脂肪族アルコールに炭素数2〜4のアルキレンオキサイドを平均5〜20モル付加したポリオキシアルキレンアルキル(又はアルケニル)エーテルが好ましい。
【0023】
[水溶性無機塩(1)、水不溶性無機塩]
水溶性無機塩(1)、水不溶性無機塩としては、それぞれ、従来、洗剤組成物に洗剤成分として配合されている無機塩のなかから、上述した水溶性無機塩、水不溶性無機塩の定義に該当するものを適宜選択できる。
洗剤組成物に洗剤成分として配合されている無機塩としては、たとえばアルカリビルダー、中性ビルダーとして用いられている無機塩(無機ビルダー)が挙げられる。
無機ビルダーとしては、例えば炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、セスキ炭酸ナトリウム等のアルカリ金属炭酸塩;亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム等のアルカリ金属亜硫酸塩;珪酸ナトリウム、結晶性アルカリ金属珪酸塩(結晶性層状珪酸ナトリウム等)、非晶質アルカリ金属珪酸塩等のアルカリ金属珪酸塩;炭酸ナトリウムと非晶質アルカリ金属珪酸塩の複合体(例えば、ロディア社製のNABION15(商品名));硫酸ナトリウム、硫酸カリウム等のアルカリ金属硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カリウム等のアルカリ金属塩化物;オルソリン酸塩、ピロリン酸塩、トリポリリン酸塩、メタリン酸塩、ヘキサメタリン酸塩、フィチン酸塩等のリン酸塩;結晶性アルミノ珪酸塩、無定形アルミノ珪酸塩等のアルミノ珪酸塩;等が挙げられる。
【0024】
これらの無機ビルダーのうち、水溶性無機塩(1)に該当するものとしては、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属亜硫酸塩、アルカリ金属珪酸塩、アルカリ金属硫酸塩、アルカリ金属塩化物、リン酸塩等が挙げられる。
また、水不溶性無機塩に該当するものとしては、炭酸カルシウム、ホワイトカーボン、アルミノ珪酸塩などが挙げられる。
アルミノ珪酸塩としては、結晶性、無定形(非晶質)のいずれのものも用いることができ、カチオン交換能の点から結晶性アルミノ珪酸塩が好ましい。
結晶性アルミノ珪酸塩としては、A型、X型、Y型、P型ゼオライト等が好適に配合できる。結晶性アルミノ珪酸塩の平均一次粒子径は0.1〜10μmが好ましい。
結晶性アルミノ珪酸塩の市販品としては、東営市海星化工有限公司(HAIXING CHEMICAL CO.,LTD.OF DONGYING CITY)製のZEOLITE 4A(商品名);福建日盛化工有限公司(FUJIAN RISHENG C.L.,LTD.)製の4A ZEOLITE(商品名);山西楡次昶力高科有限公司(Shanxi Yuchi Changli High−Tech Co.,Ltd.)製の4A−Zeolite(商品名);中国アルミニウム業股▲分▼有限公司(ALUMINUM CORPORATION OF CHINA.,LTD.)製の4A ZEOLITE(商品名);氾盈化学(Huiying Chemical Products Co.,LTD.)製の4A Zeolite;タイシリケートケミカル(Thai Silicate Chemicals Co.,Ltd.)製のZeolite 4AType(商品名);コスモ社(COSMO FINE CHEMICALS CO.,LTD.)製のCOLITE−P(商品名);PQケミカル(PQ Chemicals Limited)製のVALFOR 100 Zeolite NaA;水澤化学工業株式会社製のシルトンB(商品名)等が好適なものとして挙げられる。
【0025】
また、無機ビルダー以外に、洗剤組成物に洗剤成分として配合されている無機塩としては、たとえば、pH調整剤としてのリン酸二水素カリウム等のアルカリ金属リン酸二水素塩、界面活性剤酸前駆体の中和剤として配合される水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属塩等が挙げられる。
これらのうち、水溶性無機塩(1)に該当するものとしては、アルカリ金属リン酸二水素塩、水酸化アルカリ金属塩等が挙げられる。
【0026】
洗剤原料には、必要に応じて、界面活性剤、水溶性無機塩(1)および水不溶性無機塩以外の他の成分を配合してもよい。
該他のとしては、特に限定されず、従来、洗剤組成物に配合されている成分のなかから適宜選択でき、たとえば、洗剤ビルダーとして用いられている有機化合物(有機ビルダー)、蛍光剤、紫外線吸収剤、ポリマー類、酵素安定剤、ケーキング防止剤、金属イオン捕捉剤、pH調整剤、水等が挙げられる。以下にこれらの成分の具体例を示す。
【0027】
[有機ビルダー]
有機ビルダーとしては、例えばニトリロトリ酢酸塩、エチレンジアミンテトラ酢酸塩、β−アラニンジ酢酸塩、アスパラギン酸ジ酢酸塩、メチルグリシンジ酢酸塩、イミノジコハク酸塩等のアミノカルボン酸塩;セリンジ酢酸塩、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩、ジヒドロキシエチルグリシン塩等のヒドロキシアミノカルボン酸塩;ヒドロキシ酢酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グルコン酸塩等のヒドロキシカルボン酸塩;ピロメリット酸塩、ベンゾポリカルボン酸塩、シクロペンタンテトラカルボン酸塩等のシクロカルボン酸塩;カルボキシメチルタルトロネート、カルボキシメチルオキシサクシネート、オキシジサクシネート、酒石酸モノ又はジサクシネート等のエーテルカルボン酸塩;ポリアクリル酸塩、アクリル酸−アリルアルコール共重合体の塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸の塩;ヒドロキシアクリル酸重合体、多糖類−アクリル酸共重合体等のアクリル酸重合体又は共重合体の塩;マレイン酸、イタコン酸、フマル酸、テトラメチレン1,2−ジカルボン酸、コハク酸、アスパラギン酸等の重合体又は共重合体の塩;デンプン、セルロース、アミロース、ペクチン等の多糖類酸化物、カルボキシメチルセルロース等の多糖類誘導体等が挙げられる。
上記有機ビルダーの中でも、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩が好ましい。特に、ヒドロキシイミノジコハク酸塩、重量平均分子量が1000〜80000のアクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアクリル酸塩、重量平均分子量が1000〜80000のアクリル酸−無水マレイン酸共重合体の塩、重量平均分子量が800〜1000000(好ましくは5000〜200000)のポリグリオキシル酸等のポリアセタールカルボン酸塩(例えば、特開昭54−52196号公報に記載のもの)が好適である。
上記有機ビルダーは、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0028】
本発明においては、洗浄力、洗濯液中での汚れ分散性が向上することから、上記有機ビルダーを、無機ビルダーと併用することが好ましい。
このとき用いる有機ビルダーとしては、クエン酸塩、アミノカルボン酸塩、ヒドロキシアミノカルボン酸塩、ポリアクリル酸塩、アクリル酸−マレイン酸共重合体の塩、ポリアセタールカルボン酸の塩等が好ましい。
【0029】
[蛍光剤]
蛍光剤(蛍光増白剤)としては、例えば4,4’−ビス−(2−スルホスチリル)−ビフェニル塩、4,4’−ビス−(4−クロロ−3−スルホスチリル)−ビフェニル塩、2−(スチリルフェニル)ナフトチアゾール誘導体、4,4’−ビス(トリアゾール−2−イル)スチルベン誘導体、ビス−(トリアジニルアミノスチルベン)ジスルホン酸誘導体等が挙げられる。上記蛍光増白剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
蛍光剤の市販品としては、住友化学株式会社製のホワイテックスSA、ホワイテックスSKC(以上、商品名);チバ・ジャパン株式会社製のチノパールAMS−GX、チノパールDBS−X、チノパールCBS−X(以上、商品名);Khyati Chemicals製のLemoniteCBUS−3B(商品名)等が好適なものとして挙げられる。中でも、チノパールCBS−X、チノパールAMS−GXがより好ましい。
【0030】
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤としては、紫外線を吸収し赤外線や可視光線等に変換して放出する物質であれば特に限定されない。具体的には、p−アミノ安息香酸、p−アミノ安息香酸エチル、p−アミノ安息香酸グリセリル、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル等のアミノ安息香酸誘導体、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸ジプロピレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸ミリスチル等のサリチル酸誘導体、ジイソプロピルケイ皮酸メチル、p−メトキシケイ皮酸エチル、p−メトキシケイ皮酸イソプロピル、p−メトキシケイ皮酸−2−エチルヘキシル、p−メトキシケイ皮酸ブチル等のケイ皮酸誘導体、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、2、2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル等のアゾール系化合物、あるいは4−t−ブチル−4'−メトキシベンゾイルメタン等が挙げられる。
【0031】
[ポリマー類]
ポリマー類としては、たとえば、一般的に洗剤粒子を調製する際に、バインダーもしくは粉体物性調整剤として、又は疎水性微粒子(汚れ)に対する再汚染防止効果を付与する再汚染防止剤として用いられているものが挙げられる。かかるポリマーとしては、たとえば、平均分子量が200〜200000のポリエチレングリコール、重量平均分子量1000〜100000のアクリル酸及び/又はマレイン酸ポリマーの塩、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース塩(CMC)等のセルロース誘導体等が挙げられる。
また、汚れ放出剤として用いられている、テレフタル酸に由来する繰り返し単位と、エチレングリコール及び/又はプロピレングリコールに由来する繰り返し単位とのコポリマー、又はターポリマー等も挙げられる。
また、色移り防止効果を付与するために用いられている、ポリビニルピロリドン等も挙げられる。
上記ポリマー類の中でも、被洗物への柔軟性付与効果、再汚染防止の観点から、HPMCが好ましく、重量平均分子量2万以上のHPMCがより好ましい。
かかるポリマー類は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0032】
[酵素安定剤]
酵素安定剤としては、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、ポリオール、蟻酸、ホウ素化合物等を配合することができる。中でも、四ホウ酸ナトリウム、塩化カルシウム等が好ましい。
酵素安定剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0033】
[ケーキング防止剤]
ケーキング防止剤としては、パラトルエンスルホン酸塩、キシレンスルホン酸塩、酢酸塩、スルホコハク酸塩、タルク、微粉末シリカ、粘土、酸化マグネシウム等を配合することができる。
【0034】
[金属イオン捕捉剤]
金属イオン捕捉剤は、水道水中の微量金属イオン等を捕捉し、金属イオンの繊維(被洗物)への吸着を抑制する効果を有する。
金属イオン捕捉剤としては、前記アルカリビルダーに包含されるものの他に、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ三酢酸、グリコールエチレンジアミン6酢酸等のアミノポリ酢酸類;1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(HEDP−H)、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、ヒドロキシメタンホスホン酸、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ニトリロトリ(メチレンホスホン酸)、2−ヒドロキシエチルイミノジ(メチレンホスホン酸)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)等の有機ホスホン酸誘導体又はその塩;ジグリコール酸、クエン酸、酒石酸、シュウ酸、グルコン酸等の有機酸類又はその塩等が挙げられる。
上記金属イオン捕捉剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0035】
[pH調整剤]
本発明の粒状洗剤組成物は、特に制限されるものではないが、洗浄性能の点から、粒状洗剤組成物の1質量%水溶液(25℃)におけるpHが8以上であることが好ましく、該1質量%水溶液におけるpHが9〜11であることがより好ましい。前記pHが8以上であることにより、洗浄効果が発揮されやすくなる。
粒状洗剤組成物のpH調整は、通常、アルカリ剤を配合することによって行うことができる。アルカリ剤としては、前記無機ビルダー、有機ビルダー等の他、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。具体的には、水への溶解性及びアルカリ度の点から、炭酸ナトリウムを用いるのが好ましい。
粒状洗剤組成物のpHが高くなりすぎることを防止するために、酸等を用いて上記pHの範囲に調整することもできる。かかる酸としては、前記金属イオン捕捉剤、リン酸二水素カリウム等のアルカリ金属リン酸二水素塩、乳酸、コハク酸、リンゴ酸、グルコン酸、又はそれらのポリカルボン酸、クエン酸、硫酸、塩酸等を使用することができる。
加えて、洗浄時に繊維の汚れに由来する酸成分によるpHの低下を防止するための緩衝剤の使用も可能である。
上記pH調整剤は、1種単独で、又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0036】
これらの洗剤原料の混練物は、たとえば、洗剤原料の一部を含む噴霧乾燥粒子を調製し、該噴霧乾燥粒子に液体成分(残りの洗剤原料、水分等)を添加し、混練することにより調製できる。また、噴霧乾燥粒子とはせず、直接、各洗剤原料を混練してもよい。
噴霧乾燥粒子を調製する場合、洗剤成分として噴霧乾燥に適さない成分(たとえば熱に対して不安定な成分であるノニオン界面活性剤、アルコール、香料、エステル等)を含む場合は、該成分は、噴霧乾燥粒子には配合せず、別途添加することが好ましい。
たとえば、界面活性剤として、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩およびノニオン界面活性剤を用いる場合、これらのうち、α−スルホ脂肪酸アルキルエステル塩およびノニオン界面活性剤は液体成分に含有させ、アルキルベンゼンスルホン酸塩、高級脂肪酸塩およびその他の成分は噴霧乾燥粒子に含有させることが好ましい。
【0037】
噴霧乾燥粒子は、従来公知の製造方法により製造できる。
具体的には、洗剤原料の一部(界面活性剤の一部、水溶性無機塩(1)、水不溶性無機塩等)を水に溶解・分散させて噴霧乾燥用スラリーを調製し、該噴霧乾燥用スラリーを噴霧乾燥することにより製造できる。
噴霧乾燥用スラリーの固形分濃度は50〜70質量%程度が好ましい。また、該スラリーのpHは7〜11程度が好ましい。また、該スラリーの温度は50〜85℃程度が好ましい。
噴霧乾燥は公知の方法で行うことができる。例えば、前記噴霧乾燥用スラリーを噴霧乾燥塔に移送し、該噴霧乾燥塔の内部に設置された噴霧乾燥用スラリーの微粒化装置から、所定の噴霧圧力で噴霧を行う方法により噴霧乾燥粒子を製造できる。
噴霧乾燥塔は、向流式であっても並流式であってもよく、中でも、熱効率や乾燥粉(噴霧乾燥粒子)を充分に乾燥することができることから向流式が好ましい。
噴霧乾燥用スラリーの微粒化装置としては、圧力噴霧ノズル、2流体噴霧ノズル、回転円盤式等が挙げられる。中でも、所望とする平均粒径を得ることが容易な圧力噴霧ノズルを用いることが好ましく、噴霧圧力は15〜40kg/cmの範囲が好ましい。
【0038】
噴霧乾燥用スラリーの噴霧乾燥時、噴霧乾燥塔内には高温ガスが供給される。この高温ガスは、例えば噴霧乾燥塔の下部より供給され、噴霧乾燥塔の塔頂より排出される。
この高温ガスの入口温度は、100〜500℃が好ましく、200〜300℃がより好ましい。また、噴霧乾燥塔より排出されるガスの温度は、70〜150℃が好ましく、72〜120℃がより好ましい。
なお、高温ガスが噴霧乾燥塔の下部より供給され、噴霧乾燥塔の塔頂より排出される(向流式)場合、得られる噴霧乾燥粒子の温度が高くなりすぎることを抑制するために、噴霧乾燥塔の下部より冷風を供給することができる。また、これと同時に、例えば噴霧乾燥塔の下部よりコート剤として無機微粒子(ゼオライト等)などを導入し、噴霧乾燥粒子と接触させて噴霧乾燥粒子表面に付着させてもよい。これにより、該噴霧乾燥粒子の噴霧乾燥塔内壁への付着を防止したり、得られる噴霧乾燥粒子の流動性を向上させたることができる。
【0039】
噴霧乾燥粒子の嵩密度は、ハンドリング性、壊れ防止等を考慮すると0.25〜0.50g/Lが好ましく、0.3〜0.46g/Lがより好ましい。噴霧乾燥粒子の嵩密度は、JIS K 3362−1998に準拠して測定できる。
噴霧乾燥粒子の水分含有量は、固化性、付着性、生産性等を考慮すると、3〜9質量%が好ましく、4〜8質量%がより好ましい。水分含有量は、赤外線水分計(ケット社製)を用いて、試料表面温度165℃、20分間の測定条件により測定される。
噴霧乾燥粒子の平均粒子径は、特に限定されないが、粉塵発生抑制、粒子の壊れ等を考慮すると、200〜1500μmが好ましく、250〜1000μmがより好ましく、300〜700μmが特に好ましい。平均粒子径は、目開き1680μm、1410μm、1190μm、1000μm、710μm、500μm、350μm、250μm、149μmの9段の篩と受け皿を用いて分級操作を行ない、各粒子径の質量頻度から質量50%径(メジアン径)を算出することにより求められる。
噴霧乾燥粒子のこれらの物性は、噴霧乾燥粒子の製造条件、たとえば前記噴霧乾燥用スラリーの構成成分、固形分濃度及び噴霧乾燥装置の微粒化条件(ノズル種類、噴霧圧力)を調節することにより調節できる。
【0040】
上記噴霧乾燥粒子を液体成分とともに混練(捏和)装置に投入することにより混練物を得ることができる。噴霧乾燥粒子を調製しない場合は、各洗剤原料を直接、または予め混合した混合物を混練(捏和)装置に投入することにより混練物を得ることができる。
混練装置においては、投入した洗剤原料が、剪断力を付与されながら輸送、圧密化、捏和(混練)を経て段階的に混合され、混練物(捏和物)となる。
混練(捏和)装置としては、公知の装置を適宜使用できる。例えば、密閉式の圧密化処理装置、好ましくは横型連続式のニーダーが好適に挙げられる。ニーダーの他に、一軸又は二軸スクリュー押出機などを用いることもできる。これらの装置は、回分式、連続式の何れであってもよい。
混練(捏和)装置内における被混練物若しくは内容物の温度は、一般に30〜80℃、好ましくは35〜75℃、更に好ましくは40〜70℃である。温度が30℃よりも低い場合には、混練(捏和)の粘度、硬度が高くなることにより装置への負荷が過大となるかバインダーの不足による混練不良が発生し易く、好ましくない。一方、温度が80℃よりも高くなると、混練物(捏和物)の付着性が高くなり、粉砕機等の後工程で使用する装置に付着し易くなり、好ましくない。
被混練物(洗剤原料)の混練(捏和)による温度上昇を抑制するために、混練(捏和)装置のジャケットに冷媒を通しながら捏和(混練)を行うことが望ましい。冷媒としては、エチレングリコールの水溶液が好適であり、その濃度は15〜30質量%、好ましくは20〜25質量%が好ましい。
【0041】
<工程2>
工程2では、前記工程1で得た混練物および水溶性無機塩(2)を押出機に供給して押出物(成形物)を得る。
水溶性無機塩(2)としては、前記水溶性無機塩(1)として挙げたものと同様のものが挙げられる。特に、粒状洗剤組成物に、水溶性無機塩として炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム等のナトリウム塩を含有させる場合は、該ナトリウム塩の一部または全部を水溶性無機塩(2)として配合することが好ましい。混練時に用いるナトリウム塩の量が少ないほど、混練状態が良好となる。また、押出時にナトリウム塩を添加することで、溶解性も向上する。
【0042】
本発明においては、水溶性無機塩(2)として、平均粒子径が50〜300μmであり、かつ該平均粒子径が、工程1で得た混練物中に存在する水溶性無機塩(1)の分散粒子径の2〜30倍であるものを用いることが好ましい。これにより、本発明の効果がさらに向上する。
水溶性無機塩(2)の平均粒子径、混練物中の水溶性無機塩(1)の分散粒子径の測定方法は後述する実施例に示す。
水溶性無機塩(2)の平均粒子径は、60〜250μmが好ましく、60〜200μmがより好ましい。
また、該平均粒子径は、前記分散粒子径の2〜30倍であることが好ましく、5〜10倍であることがより好ましい。この値は、使用する水溶性無機塩(2)の平均粒子径および混練物中の水溶性無機塩(1)の分散粒子径の値を調節することにより調節できる。混練物中の水溶性無機塩(1)の分散粒子径は、工程1において使用する水溶性無機塩(1)の平均粒子径、混練条件(付加する剪断力、混練温度、混練時間等)等を調節することにより調節できる。
【0043】
押出装置としては、粒状洗剤組成物の製造に一般に用いられているものが利用でき、たとえば一軸又は二軸型のスクリュー型押出機、ディスク型押出機、ロール型押出機等が挙げられる。これらのなかでもスクリュー型が好ましく、二軸型がより好ましい。
押出機におけるダイス厚み、ダイス開孔率、ダイス孔径、ダイス形状等の条件は、処理する混練物の物性や押出物(成形物)の形状、次工程での粉砕処理のしやすさを鑑みて適宜設定することが好ましい。
【0044】
押出装置に供給する混練物の温度は、45〜95℃が好ましく48〜65℃がより好ましい。45℃以上であると取り扱い易く、95℃以下であると成分の安定性が良い。
水溶性無機塩(2)の温度は特に限定されず、室温程度であってもよい。
押出装置内の温度(押出温度)は、一般に20〜80℃、好ましくは30〜70℃、更に好ましくは40〜60℃である。該温度が20℃よりも低い場合には、押出機への負荷が過大となり易く好ましくない。一方、温度が80℃よりも高くなると、混練物が装置内に付着し易くなり好ましくない。
押出機において、混練物がスクリュー等に付着して押出能力が低下する場合、ジャケットによって冷却したり加温したりすることが好ましい。特にスチームをスクリュー表面に導入すると付着抑制の効果が大きい。
【0045】
押出物(成形物)の形状は特に限定されず、ペレット状、ヌードル状等が挙げられる。特にペレット状が好ましい。
たとえばペレット状とする場合、ペレットの直径は、一般に、直径が1〜20mmφが好適であり、好ましくは3〜15mmφ、更に好ましくは5〜12mmφである。ペレットの直径が小さすぎると、押出圧力の上昇により押出機に取付けられたダイス変形等のトラブルの原因となる。一方、ペレットの直径が大きすぎると、次工程において粉砕機への負荷が増大する。また、ペレットの長さは、ペレット切断用ナイフへの付着や次工程における粉砕機への負荷を考慮すると、5〜30mmが適当であり、好ましくは5〜15mmである。
【0046】
<工程3>
工程3では、前記工程2で得た押出物を粒状化する。
押出物の粒状化は、公知の方法により実施でき、たとえば粉砕装置を用いて粉砕する方法が挙げられる。
粉砕装置としては、内部に回転体と分級スクリーンを装着した粉砕造粒機が挙げられ、好ましくは、ハンマーミル、アトマイザー、パルペライザー等の衝撃式粉砕機、カッターミル、フェザーミル等の切断・剪断式粉砕機などが用いられる。
分級スクリーンの孔径は、一般に、被粉砕物の粉砕性と所望の粒子径によって設定される。通常、粒状洗剤の製造の場合、所望平均粒径の3.0〜30.0倍、好ましくは4.0〜25.0倍の孔径のスクリーンを使用できる。例えば平均粒径500μmの粒子(粉体)を得ようとした場合、1.5〜15mmの孔径のスクリーンを、被粉砕物の大きさによって選定して使用すればよい。また、一段内に2種以上の穴径のものを設定することで、より効果的な粉砕を行うこともできる。
粉砕装置としては、ブレードとスクリーンを備えたハンマーミル、カッターミルタイプの粉砕機を用いることが好ましい。また、粉砕装置を複数直列に配置し、多段で粉砕を行うことが、粒度分布がシャープになるため好ましい。多段粉砕の場合は下段に行くほどスクリーン径を小さくすることが好ましい。
【0047】
粉砕は、被粉砕物の温度制御のため、粉砕装置内に送風しつつ行うことが好ましい。好ましくは、粉砕を終えた直後の粉体(粒状洗剤)の温度が30〜40℃の範囲となるように、温度制御された冷風または温風を供給する。粉体温度が上記の範囲内であると装置付着をより抑制できる点で好ましい。
送風温度は10〜40℃が好ましく、10〜20℃がより好ましい。また、送風量は0.1〜5m/kg(粉砕物の単位質量当たり)が好ましい
【0048】
粉砕に際しては、粉砕装置内に、押出物とともに、粉砕助剤を添加することが好ましい。粉砕助剤を添加することにより、粉砕助剤が粉砕物(粉体)表面に付着し、粉砕物の表面活性を低下させることにより、粉砕機への付着防止およびこれに伴なう粉砕動力の低減や、粉砕物の流動性改善が図られる。なお、本発明において、粉砕助剤を用いる場合は、該粉砕助剤も、粒状洗剤組成物を構成する成分の一つとする。
粉砕助剤の種類としては、例えば、ステアリン酸塩、A型ゼオライト等のアルミノ珪酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルカリ土類金属炭酸塩、非晶質シリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩、タルク、ベントナイト等の粘土鉱物、二酸化珪素、二酸化チタン、微粉砕された炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムが望ましい。
粉砕助剤の平均粒径は50μm以下が好適であり、好ましくは20μm以下である。
粉砕助剤の添加量は、被粉砕物の全量に対して0.5〜10質量%が好適である。
粉砕助剤の添加方法としては、予め粉砕前に混合する方法と、多段粉砕の1段目に必要量の全量を一括添加する方法と、各段毎に分割添加する方法とがある。いずれを選定するも任意であるが、助剤効果および経済性の点で一括添加が望ましい。さらに、粉砕機同士を直結し、各段間を密閉する系とすることにより(密閉直結型)、粉砕助剤の損失が少なくなり、少量の助剤添加量で効果的に作用させることができる。
【0049】
上記のようにして製造される粒状洗剤組成物は、溶解性、外観等を考慮すると、嵩密度が600〜990g/Lであることが好ましく、750〜970g/Lがより好ましく、820〜960g/Lがさらに好ましい。
粒状洗剤組成物の水分含有量は、溶解性、ハンドリング性、安定性、製造性を考慮すると、4〜12質量%が好ましく、5〜9質量%がより好ましい。
粒状洗剤組成物の平均粒子径は、特に限定されないが、溶解性、流動性、外観等を考慮すると、200〜1500μmが好ましく、250〜1000μmがより好ましく、300〜700μmが特に好ましい。
粒状洗剤組成物の嵩密度、水分含有量、平均粒子径は、それぞれ、前記噴霧乾燥粒子の嵩密度、水分含有量、平均粒子径と同様の測定方法により測定できる。
粒状洗剤組成物のこれらの物性は、粒状洗剤組成物の製造条件、たとえば工程3に供される押出物の組成、粉砕助剤の種類および量、粉砕装置の構造、粉砕条件(回転数、処理量、温度、冷風の温度および風量)を調節することにより調節できる。
【0050】
上記のようにして得られた粒状洗剤組成物は、そのまま粒状洗剤として利用してもよく、また、洗剤粒子として、他の成分と混合してもよい。該他の成分としては、一般的に粒状洗剤に配合されているもののなかから適宜選択でき、たとえば漂白剤、漂白活性化剤、漂白活性化触媒、酵素、消泡剤、香料、色素、アルカリ剤等が挙げられる。
【実施例】
【0051】
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
以下の実施例および比較例で用いた原料を以下に示す。
(界面活性剤)
・MES−Na:炭素数14〜18のアルキル基を持つα−スルホ脂肪酸メチルエステルナトリウム塩(ライオン株式会社、純分63%)。
・LAS−Na:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン株式会社製、ライポンLH−200)(AV値(LAS−Hを1g中和するに要する水酸化カリウムのmg数)=180.0)を後述の噴霧乾燥粒子調製用スラリー中で48質量%水酸化ナトリウム溶液で中和したもの。)。なお、表1中の配合量は、LAS−Naの純分としての配合量(粒状洗剤組成物全量に対する質量%)を示す。
・LAS−K:直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(ライオン株式会社製、ライポンLH−200)(AV値(LAS−Hを1g中和するに要する水酸化カリウムのmg数)=180.0)を後述の噴霧乾燥粒子調製用スラリー中で48質量%水酸化カリウム溶液で中和したもの。)。なお、表1中の配合量は、LAS−Kの純分としての配合量(粒状洗剤組成物全量に対する質量%)を示す。
・ノニオン界面活性剤1:炭素数12〜14のアルキル基をもつアルコールの酸化エチレン平均15モル付加体(ライオン株式会社製、純分90%)。
・石鹸:炭素数12〜18の脂肪酸ナトリウム(ライオン株式会社製、純分:67%、タイター:40〜45℃、脂肪酸組成:C12:11.7%、C14:0.4%、C16:29.2%、C18F0(ステアリン酸):0.7%、C18F1(オレイン酸):56.8%、C18F2(リノール酸):1.2%、分子量:289)。
【0052】
(水溶性無機塩(1)、(2))
・炭酸ナトリウム(a):粒灰(ソーダアッシュジャパン株式会社製、平均粒子径500μm)
・炭酸ナトリウム(b):粒灰(ソーダアッシュジャパン株式会社製、平均粒子径500μm)を粉砕して平均粒子径70μmにしたもの。
・炭酸ナトリウム(c):粒灰(ソーダアッシュジャパン株式会社製、平均粒子径500μm)を粉砕して平均粒子径160μmにしたもの。
・炭酸ナトリウム(d):粒灰(ソーダアッシュジャパン株式会社製、平均粒子径500μm)を粉砕して平均粒子径5μmにしたもの。
・炭酸ナトリウム(e):粒灰(ソーダアッシュジャパン株式会社製、平均粒子径500μm)。
・炭酸カリウム:炭酸カリウム(粉末)(旭硝子株式会社製)。
・硫酸ナトリウム:中性無水芒硝A0(四国化成株式会社製)。
・亜硫酸ナトリウム:無水亜硫酸曹達(神州化学株式会社製)。
【0053】
(水不溶性無機塩)
・ゼオライト(A型):シルトンB(水澤化学株式会社製、純分80%)、A型スラリーゼオライト(日本化学株式会社製)。これらのうち、洗剤スラリー中に配合したものはA型スラリーゼオライトで、その他の工程に用いたものはシルトンBである。
・ゼオライト(P型):DOUCIL A24 P型ゼオライト(クロスフィールド社製)。
・炭酸カルシウム:重質炭酸カルシウム(日東粉化工業製)。
【0054】
(有機ビルダー)
・アクリル酸/マレイン酸コポリマー塩:アクアリックTL−400(GPC法による重量平均分子量:50000、株式会社日本触媒製、純分40質量%水溶液)。
【0055】
(その他)
・蛍光剤+紫外線吸収剤:蛍光剤であるチノパールCBS−X(チバ・ジャパン株式会社製)と紫外線吸収剤であるチノソーブFD(チバ・ジャパン株式会社製)を質量比10/1で使用。
【0056】
(粉砕助剤)
・ゼオライト(A型):シルトンB(水澤化学株式会社製、純分80%)
・ステアリン酸カルシウム:ステアリン酸カルシウム(川村化成工業株式会社製)
【0057】
<実施例1〜3、比較例1〜4>
(工程1)
表1に示す組成の内、MES−Na、ノニオン界面活性剤1、水溶性無機塩(2)(後述の押出時に分割添加する水溶性無機塩)および粉砕助剤を除く成分を含有する固形分62%の水性スラリーを、調製温度80℃、撹拌時間17分で調製した。この水性スラリーを噴霧乾燥し、水分5.5質量%の噴霧乾燥粒子を調製した。
この噴霧乾燥粒子と、表1に示すノニオン界面活性剤1(水分10%)およびMES−Na(水分12%)と、少量の水道水(東京都江戸川区)とを連続ニーダー(株式会社栗本鐵工所製、KRC−S4型)に投入し、温度49〜60℃で連続的に混練した。
(工程2)
次いで、得られた混練物と水溶性無機塩(2)とを、ペレッター(不二パウダル製、ダイス孔径10mmφ)に、定量フィーダを用いて連続的に供給し、押出してペレット状の押出物を形成した。
(工程3)
その後、フィッツミル(ホソカワミクロン株式会社製、DKASO−6型)を3段直列に配置し、上記で得た押出物と、表1に示す粉砕助剤を、15℃の冷風とともに導入し、平均粒子径が350〜700μmとなるよう破砕造粒することにより粒状洗浄剤組成物を得た。
得られた粒状洗浄剤組成物について、下記測定方法により水分および嵩密度を測定した。水分の測定結果は、「水」として表1中に示す。嵩密度は、いずれも、820〜950g/Lの範囲内であった。
(水分の測定方法)
水分含有量は、赤外線水分計(ケット社製)を用いて、試料表面温度130℃、20分間の測定条件により測定した。
(嵩密度の測定方法)
粒状洗剤組成物の嵩密度は、JIS K 3362−1998に準拠して測定した。
【0058】
上記実施例1〜3、比較例1〜3においては、下記の測定方法により、工程2においてペレッターに供給した水溶性無機塩(2)の平均粒子径、混練物の硬度および水分、ならびに混練物中の水溶性無機塩(1)の分散粒子径を求めた。その結果を表1に示す。
[水溶性無機塩(2)の平均粒子径]
水溶性無機塩(2)の平均粒子径は、粉体測定ユニットPD−10Sを設置したレーザー光散乱粒度分布測定装置LDSA−1400A(東日コンピュータアプリケーションズ株式会社製)により乾式での粒度分布を測定し、該粒度分布から求めた。
【0059】
[混練物の水分]
水分含有量は、赤外線水分計(ケット社製)を用いて、試料表面温度130℃、20分間の測定条件により測定した。
[混練物の硬度の測定]
混練物(捏和物)の硬度は、得られる混練物の温度条件において荷重式硬度計(株式会社キョウデン製)により測定した。
【0060】
[混練物中の水溶性無機塩(1)の分散粒子径の測定]
水溶性無機塩(2)を配合しない以外は同様にして粒状洗浄剤組成物(粉砕品)を製造し、該粉砕品30gを25℃の非水溶媒(メタノール)1Lに溶かした。このとき、溶けずに残った残渣をJIS P 3801記載の3種に相当するろ紙を用いろ別により回収し、真空乾燥させた。このものをサンプル1とした。
次に、同一の粉砕品30gを25℃の熱水に溶かした。このとき、溶けずに残った残渣を上記と同様にして回収し、真空乾燥させた。このものをサンプル2とした。
このサンプル1、2をそれぞれの粒度分布を、レーザー光散乱粒度分布測定装置LDSA−1400A(東日コンピュータアプリケーションズ株式会社製)にて乾式条件化で測定した。サンプル1の頻度からサンプル2の頻度を除いた分を、混練物中の水溶性無機塩(1)の粒度分布とした。該粒度分布から求めた平均粒子径を分散粒子径とした。
【0061】
また、実施例1〜3、比較例1〜4における粒状洗浄剤組成物の生産性を、それぞれ下記評価方法により評価した。その結果を表1に示す。
[生産性の評価方法]
工程1において、混練開始から10分間後の混練物の状態(捏和状態)、および該混練物の連続ニーダーへの付着の程度(装置付着)を目視で観察し、これらを指標として、下記の判定基準で生産性の評価を行った。
(判定基準)
◎(生産問題なし):捏和状態に問題はなく、装置付着が全く認められないもの。
○(生産良好):捏和状態に問題はなく、やや装置付着が認められるもの。
△(生産可能):混練物が硬い若しくは柔らかく、少々装置付着が認められるもの。
×(生産不適):混練物がぼそぼそ若しくはべたつきがあり、装置付着が認められるもの。
【0062】
また、これらの粒状洗浄剤組成物について、下記評価方法により溶解性を評価した。その結果を表1に示す。
[溶解性の評価方法]
サンプルとして上記で得られた各粒状洗浄剤組成物を用い、二槽式洗濯機CW−225(W)型(三菱電機株式会社製)、5℃に調整した水道水を使用して以下の評価を行った。
評価用の被洗布として、アクリル製シャツ2枚、ナイロン製スリップ2枚、綿製シャツ2枚の3種類および重量バランス用の被洗布として肌シャツ5枚を用い、被洗布の全質量を1.5kgとした。
被洗布を、上部から眺めたときに評価用の被洗布3種が全て見えるように二槽式洗濯機に仕込んだ。水量30L、浴比1:20の条件下で被洗布を浸し、サンプル30gで5分間洗濯を行った。
洗濯終了後、被洗布を1分間脱水した後、該被洗布について、サンプルの被洗布への付着の程度を目視で観察し、下記判定基準により、粒状洗剤組成物の溶解性を評価し、◎および○を合格点とした。
(判定基準)
◎(溶け残りなし):付着物を全く又はほとんど認めないもの。
○(溶け残り極わずか):付着物をごく僅かに認めるもの。
△(溶け残り若干あり):付着物を僅かに認めるもの。
×(溶け残り大):付着物を多く認めるもの。
【0063】
【表1】

【0064】
上記結果に示すとおり、実施例1〜3では、優れた生産性で粒状洗剤組成物を製造でき、得られた粒状洗剤組成物の溶解性も高かった。
一方、水溶性無機塩(1)/水溶性無機塩(2)の配合量の比(質量比)が11を超える比較例1は、溶解性が悪く、生産性も不良であった。また、該比が2未満の比較例2〜3は、生産性は比較的良好であったものの、溶解性が悪かった。また、工程2を行わなかった比較例4は、生産性、溶解性ともに悪かった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤5〜28質量%、水溶性無機塩15〜60質量%および水不溶性無機塩10〜45質量%を含有する粒状洗剤組成物の製造方法であって、
界面活性剤、水溶性無機塩および水不溶性無機塩を含む洗剤原料の混練物を得る工程1、
前記工程1で得た混練物および水溶性無機塩を押出機に供給して押出物を得る工程2、および
前記工程2で得た押出物を粒状化する工程3、
を有し、
前記工程1で用いる水溶性無機塩と、前記工程2で用いる水溶性無機塩との比(質量比)が、[工程1で用いる水溶性無機塩]/[工程2で用いる水溶性無機塩]=2〜11の範囲内であることを特徴とする粒状洗剤組成物の製造方法。
【請求項2】
前記工程2で用いる水溶性無機塩は、平均粒子径が50〜300μmであり、かつ該平均粒子径が、工程1で得た混練物中に存在する水溶性無機塩の分散粒子径の2〜30倍である請求項1に記載の粒状洗剤組成物の製造方法。

【公開番号】特開2010−254768(P2010−254768A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−104346(P2009−104346)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】