説明

粒状物用容器

【課題】簡単な操作で内容物の取り出し作業を行うことができ使い易い容器を得ること。
【解決手段】内容物Mを収容する容器本体2と、該容器本体にヒンジ部23を介して接続されると共に容器本体の上部開口部を塞ぐ可動蓋21と、を備え、可動蓋には、ヒンジ部を中心として一方向T1側に回動させられたときに、容器本体に形成された第1取出口22に連通する第2取出口28が形成され、容器本体と可動蓋との間には、第1取出口と第2取出口とが連通された状態で、ヒンジ部を中心として可動蓋を他方向T2側に回動するように付勢して両取出口の連通を遮断する弾性部材30が設けられ、可動蓋が弾性部材によって他方向側に回動されて両取出口の連通が遮断されたときに、可動蓋に形成された係合部35が容器本体に形成された被係合部36に係合して該可動蓋の回動を規制する粒状物用容器1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粒状の内容物(タブレット状の清涼菓子等)を収容する粒状物用容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の容器として、内容物を収容する貯留部と内容物を取り出すための取出部とを有する容器本体と、この容器本体にスライド移動可能に組み合わされ、スライド移動により取出部を開閉する蓋体と、を備えた容器が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この容器において内容物を取り出す場合には、蓋体を容器本体の貯留部側にスライド移動させて取出部を開放する。これにより、取出部を通じて内容物を取り出すことが可能となる。なお、この際、蓋体の天板の内面に形成されたストッパが容器本体の立壁に接触するので、貯留部が開いてしまうことを抑制することができるようになっている。
また、内容物の取り出し後、保管をする場合には、蓋体を逆方向にスライド移動させて取出部を閉める。
【0004】
更に、操作性を向上させることを目的とし、ワンタッチで取出口を開閉できるようにした粒状物用容器も知られている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−238176号公報
【特許文献2】特開2003−312755号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述の特許文献1に記載された従来の容器において、取出部を開閉するには、蓋体を手動によってスライド移動させる必要がある。従って、操作性が悪く改良の余地があった。
また、上述の特許文献2に記載された従来の容器においては、板ばねの弾性変形能について改善の余地があった。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、簡単な操作で内容物の取り出し作業を行うことができる使い易い粒状物用容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、この発明は以下の手段を提供している。
(1)本発明に係る粒状物用容器は、粒状の内容物を収容する有底筒状の容器本体と、該容器本体にヒンジ部を介して接続されると共に、容器本体の上部開口部を塞ぐ可動蓋と、を備え、前記可動蓋には、前記ヒンジ部を中心として一方向側に回動させられたときに、前記容器本体に形成された第1取出口に連通する第2取出口が形成され、前記容器本体と前記可動蓋との間には、前記第1取出口と前記第2取出口とが連通された状態で、前記ヒンジ部を中心として前記可動蓋を他方向側に回動するように付勢して、第1取出口と第2取出口との連通を遮断する弾性部材が設けられ、前記可動蓋が前記弾性部材によって前記他方向側に回動されて前記第1取出口と前記第2取出口との連通が遮断されたときに、可動蓋に形成された係合部が前記容器本体に形成された被係合部に係合して該可動蓋の回動を規制することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る粒状物用容器によれば、内容物を取り出す場合、容器本体の上端開口部を塞いでいる可動蓋を、ヒンジ部を中心として一方向側に回動させて第2取出口を容器本体の第1取出口に連通させる。これにより、両取出口を通じて容器本体に収容されている内容物を取り出すことができる。
ところで、内容物の取り出しを行うにあたって可動蓋を一方向側に回動させると、弾性部材が弾性変形して可動蓋を他方向側に付勢しはじめる。そのため、内容物の取り出しが終了した後、可動蓋をフリーな状態にすると、該可動蓋は弾性部材からの付勢力を受けて他方向側に自然に回動して元の状態に戻り、第1取出口と第2取出口との連通が遮断される。
【0010】
従って、可動蓋を手動で元の位置に戻す操作をなくしたり、或いは、手動による復元操作を軽減したりすることができる。よって、可動蓋を一方向側に回動させるだけの簡単な操作で、内容物の取り出し作業を行うことができる。
【0011】
また、弾性部材によって可動蓋が他方向側に回動されて第1取出口と第2取出口との連通が遮断された時点で、可動蓋の係合部が容器本体の被係合部に係合するので該可動蓋の回動を規制することができる。従って、容器本体に対して可動蓋を確実に停止させて位置決めさせることができ、可動蓋が他方向側に初期位置を越えるほど過度に回動して容器本体の上部開口部が開放されてしまうことがない。また、弾性部材の弾性特性に影響されることなく、容器本体に対する可動蓋の初期位置を位置決めできるので、弾性部材の選択性を広げることができ設計の自由度を高めることができる。
しかも、係合部及び被係合部が弾性部材には形成されていないので、弾性部材が大きく弾性変形したとしても、係合部が弾性部材の弾性変形に連られて位置変動し難い。そのため、係合部を確実に被係合部に係合させることができ、可動蓋の回動規制の信頼性を高めることができる。加えて、この回動規制を気にすることなく弾性部材を選択できるので、上記設計の自由度の効果を顕著に奏効し易い。
【0012】
(2)また、上記本発明に係る粒状物用容器において、前記弾性部材が、基端部が前記容器本体に接続されると共に先端部が前記可動蓋に接する自由端とされ、前記一方向側への可動蓋の回動に伴って弾性変形し、先端部を介して可動蓋を前記他方向側に押圧しても良い。
【0013】
この場合には、可動蓋を一方向側に回動させると、基端部が容器本体に接続された片持ち状の弾性部材が固定蓋と可動蓋との間で圧縮されるように弾性変形する。そのため、弾性部材は、先端部を介して可動蓋を確実に他方向側に押圧するので、可動蓋をフリーな状態にしたときに該可動蓋を他方向側に速やかに回動させることができる。
特に、弾性部材を容器本体とは別体ではなく一体的にすることができるので、例えば粒状物用容器の組み立てを行う際、少なくとも容器本体に対して弾性部材を組み付ける必要がなく、効率の良い組み立て作業を行うことができる。また、容器本体と弾性部材との間に組立誤差や不必要な遊び等が生じ難いので、弾性部材の作動の信頼性を高め、容器全体の品質を高めることができる。また、弾性部材の先端部が可動蓋に対して単に接しているだけであるので、可動蓋を容器本体及び弾性部材に対して容易に組み付け易い。
【0014】
(3)また、上記本発明に係る粒状物用容器において、前記弾性部材の先端部が、前記一方向側への可動蓋の回動に伴って該可動蓋に摺接し、前記可動蓋には、前記第1取出口と前記第2取出口とが連通されるまでの間において、前記一方向側に一定量回動させられたときに前記先端部の摺接を規制する規制部が形成されていても良い。
【0015】
この場合には、内容物の取り出しにあたって可動蓋を一方向側に回動させはじめると、弾性部材の先端部が可動蓋の回動に伴って該可動部の表面上を摺接するので弾性部材が容易に変形し易くなり、回動操作初期段階において軽い力で且つ滑らかに可動蓋を回動させることができる。よって、可動蓋の回動操作性を向上することができる。
なお、可動蓋を一定量回動させると、規制部によって弾性部材の先端部の摺接が規制されるので、これ以降、弾性部材の弾性変形量を大きくすることができ、弾性部材を効率良く弾性変形させることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る粒状物用容器によれば、簡単な操作で内容物の取り出し作業を行うことができ、使い易い容器とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明に係る粒状物用容器の実施形態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す粒状物用容器の組み立て前における斜視図である。
【図3】図2に示す粒状物用容器の縦断面図である。
【図4】図3に示す粒状物用容器の上面図である。
【図5】図1に示す状態から可動蓋を回動させて、内容物を取り出している状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る粒状物用容器の実施形態について、図1から図5を参照して説明する。
本実施形態の粒状物用容器1は、図1に示すように、粒状の内容物Mを収容する有底筒状の容器本体2と、この容器本体2の上部開口部を塞ぐ可動蓋21と、を備えている。
【0019】
なお、本実施形態では、図4に示されるような容器本体2の横断面視四角形状の中心を通る軸を中心軸Oといい、この中心軸Oに沿って容器本体2から可動蓋21側に向かう方向を上側、その逆向きを下側とする。また、粒状の内容物Mとしては、例えばタブレット状(錠剤状)の清涼菓子や薬剤、サプリメント等の他、丸薬、カプセル剤、粒ガム等である。
【0020】
容器本体2は、図1から図4に示すように、上下が開口した容器本体部10と、該容器本体部10の下部開口部を塞ぐ底蓋11と、容器本体部10の上部開口部に固定された固定蓋20と、を備えている。
容器本体部10は、横断面視長方形状に形成されている。以下、この長方形状の長辺が延びる方向を前後方向L1といい、短辺が延びる方向を左右方向L2という。容器本体部10は、横断面視で前記長辺をなす一対の長辺周壁部10Aと、前記短辺をなす一対の短辺周壁部10Bと、を備えている。
【0021】
一対の長辺周壁部10Aは、一対の短辺周壁部10Bの上端縁よりも上方に突出している。具体的には、前後方向L1の中間部に位置する頂点部10aを頂点として、側面視三角形状に突出している。この際、頂点部10aと一方の短辺周壁部10Bの上端縁とを接続する周縁部10bは円弧状に形成され、頂点部10aと他方の短辺周壁部10Bの上端縁とを接続する周縁部10cは直線状に形成されている。
【0022】
底蓋11は、一方の短辺周壁部10Bの下端縁にヒンジ部13を介して接続されていると共に、容器本体部10の下端開口部の内側にアンダーカット嵌合されている。特に、ヒンジ部13を介して接続されているので、該ヒンジ部13を中心として底蓋11を前後方向L1に回動させることができ、容器本体部10の下部開口部を開放させて内容物Mを充填することが可能とされている。
但し、ヒンジ部13を介して底蓋11と容器本体部10とを一体的に接続する必要はなく、底蓋11を容器本体部10から離脱自在な別パーツとしても構わない。
【0023】
固定蓋20は、円弧状に形成された上記周縁部10bに沿って滑らかに湾曲形成された板片部材であり、一対の長辺周壁部10A間に挟まれた状態で固定(容器本体部10と一体成形)されている。
詳細には、周縁部10bよりも容器内側に位置し、且つ下端縁が一方の短辺周壁部10Bの上端縁よりも下方に位置するように固定されている。そのため、一方の短辺周壁部10Bと固定蓋20との間には隙間H(図2から図4参照)が画成されている。
【0024】
また、固定蓋20には、内容物Mを取り出すための第1取出口22が形成されている。この第1取出口22は、例えば側面視四角状に形成された開口であり、一方の短辺周壁部10Bよりも上方に位置している。但し、この第1取出口22の形状は、内容物Mが通過可能であれば円形状でも楕円形状でも多角形状であっても構わない。
【0025】
上記可動蓋21は、左右方向L2に沿った横幅が一対の長辺周壁部10A間に収まるサイズ(同等のサイズ)とされ、容器本体部10の他方の短辺周壁部10Bの上端縁にヒンジ部23を介して接続されていると共に固定蓋20に対して摺動自在に重ね合わされている。これにより、可動蓋21は固定蓋20と協働して容器本体2の上部開口部を塞いでいる。
【0026】
詳細には可動蓋21は、円弧状に形成された上記周縁部10bに沿って滑らかに湾曲形成され、固定蓋20の外面側に重なる湾曲板25と、この湾曲板25の上端縁に接続されると共に下方に向けて延在してヒンジ部23に接続された操作板26と、を備えている。
【0027】
湾曲板25は、下端部が一方の短辺周壁部10Bと固定蓋20との間に画成された隙間Hに差し込まれていると共に、上端部が一対の長辺周壁部10Aの頂点部10aを越えてさらに上方に位置している。
操作板26は、ヒンジ部23を中心として可動蓋21を容器内側に向かう一方向T1(図1参照)側に回動操作する際の操作部材とされている。
【0028】
なお、操作板26と湾曲板25とは、左右方向L2に向かい合う側面視扇型の補強板27を介してさらに連結されて剛性強化が図られている。この補強板27は、一対の長辺周壁部10Aの内面に摺接しており、直線状に形成された上記周縁部10cと操作板26との間に開いた隙間を塞ぐ役割も担っている。
【0029】
ところで、湾曲板25には内容物Mを取り出すための第2取出口28が形成されている。この第2取出口28は、例えば側面視四角状に形成された開口であるが、内容物Mが通過可能であれば円形状でも楕円形状でも多角形状であっても構わない。
また、第2取出口28は、固定蓋20に形成された第1取出口22よりも上方に位置しており、可動蓋21がヒンジ部23を中心として一方向T1側に回動させられたときに第1取出口22に連通するようになっている(図5参照)。
【0030】
また、固定蓋20と可動蓋21との間には、ヒンジ部23を中心として可動蓋21を容器外側に向かう他方向T2側に回動するように付勢して、第1取出口22と第2取出口28との連通を遮断する板ばね(弾性部材)30が設けられている。
この板ばね30は、左右方向L2に沿った横幅が一対の長辺周壁部10Aから間隔を開けて配置されるサイズとされ、基端部30aが固定蓋20の上端縁に接続されると共に先端部30bが可動蓋21の操作板26の内面に接する自由端とされた片持ち状の板ばねとされている。
【0031】
詳細にはこの板ばね30は、基端部30aと先端部30bとの間の中間部が下方に向けて膨らむように湾曲した形状、即ち、基端部30aと、該基端部30aに連設されると共に下方に向けて湾曲した湾曲部30cと、該湾曲部30cに連設されると共に斜め上方に向けて傾斜した傾斜部30dと、該傾斜部30dの先端から斜め上方に向けて傾斜するように連設された先端部30bと、で構成されている。
【0032】
板ばね30の先端部30bは、図1に示すように、可動蓋21の湾曲板25と操作板26との接続部分31よりも下方側に位置しており、この位置で操作板26の内面に摺接している。そして、この板ばね30の先端部30bは、第1取出口22と第2取出口28とが連通されるまでの間において、可動蓋21が一方向T1側に一定量回動させられるまでは操作板26の内面上をスライド移動し、一定量回動させられたときに接続部分31に係止されることでそのスライド移動が規制されるようになっている。
つまり、可動蓋21の湾曲板25と操作板26との接続部分31は、板ばね30の先端部30bの摺接を規制する規制部として機能している。
【0033】
また、可動蓋21の湾曲板25の下端縁には、容器外側に向けて爪部(係合部)35が突設されており、一方の短辺周壁部10Bから容器内側に向けて突設された爪部(被係合部)36に下側から係合している。
従って、板ばね30によって他方向T2側に可動蓋21が回動されたとしても、該可動蓋21は両爪部35、36の係合によってそれ以上の回動が規制されている。つまり、これら両爪部35、36は、第1取出口22と第2取出口28との連通が遮断されたときに、可動蓋21の回動を規制するストッパ部材として機能する。
【0034】
次に、内容物Mが収容された容器本体2から、内容物Mを取り出す場合について説明する。
この場合には、可動蓋21の操作板26を押圧して、ヒンジ部23を中心として該可動蓋21を一方向T1側に回動させる。すると、図5に示すように、可動蓋21の湾曲板25が固定蓋20に対して摺動しながら下方に移動して、下端部が容器本体2内にさらに入り込み、第2取出口28が固定蓋20の第1取出口22に連通する。
これにより、両取出口22、28を通じて容器本体2内に収容されている内容物Mを粒状物用容器1外に取り出すことができる。
【0035】
ところで、内容物Mの取り出しを行うにあたって可動蓋21を一方向T1側に回動させると、板ばね30が固定蓋20と可動蓋21との間で圧縮するように弾性変形するので、可動蓋21を他方向T2側に付勢しはじめる。そのため、内容物Mの取り出しが終了した後、操作板26から例えば指先を離して可動蓋21をフリーな状態にすると、板ばね30が先端部30bを介して可動蓋21を他方向T2側に押圧するので、可動蓋21は速やかに回動させられる。
これにより、可動蓋21の湾曲板25は固定蓋20に重なりながら自然に回動して元の状態に戻り、図1に示すように第1取出口22と第2取出口28との連通が遮断される。
【0036】
従って、可動蓋21を手動で元の位置に戻す操作をなくしたり、或いは、手動による復元操作を軽減したりすることができる。よって、可動蓋21を一方向T1側に回動させるだけの簡単な操作で、内容物Mの取り出し作業を行うことができる。
【0037】
特に、内容物Mの取り出しにあたって可動蓋21を一方向T1側に回動させはじめると、板ばね30の先端部30bが可動蓋21の回動に伴って該可動蓋21の内面上をスライド移動するので、板ばね30が容易に弾性変形し易くなる。特に、本実施形態の板ばね30においては、湾曲部30cと傾斜部30dとの連設部分や、傾斜部30dと先端部30bとの連設部分等を基点として弾性変形し易くなる。そのため、回動操作初期段階において、軽い力で且つ滑らかに可動蓋21を回動させることができ、可動蓋21の回動操作性を向上することができる。
そして、可動蓋21を一定量回動させると、図5に示すように、可動蓋21の湾曲板25と操作板26との接続部分31に板ばね30の先端部30bが係止されて摺接によるスライド移動が規制されるので、これ以降、板ばね30の弾性変形量を大きくすることができ、板ばね30を効率良く弾性変形させることができる。
【0038】
また、内容物Mの取り出しを行った後に可動蓋21をフリーな状態にすると、該可動蓋21は板ばね30からの付勢力を受けて他方向T2側に回動するが、図1に示すように、可動蓋21の爪部35と容器本体部10の爪部36との係合によって可動蓋21の回動を規制できるので、第1取出口22と第2取出口28との連通が遮断された時点で、固定蓋20に対して可動蓋21を確実に停止させて位置決めさせることができる。
従って、可動蓋21が他方向T2側に初期位置を越えるほど過度に回動して、容器本体2の上部開口部が開放されてしまうことを防ぐことができ、作動の信頼性を高めることができる。また、板ばね30の弾性特性に影響されることなく、固定蓋20に対する可動蓋21の初期位置を位置決めできるので、板ばね30の選択性を広げることができ設計の自由度を高めることができる。
【0039】
しかも、可動蓋21に形成された爪部35に係合する容器本体部10の爪部36が、板ばね30に形成されていないので、板ばね30が大きく弾性変形したとしても、爪部35
と爪部36との係合が損なわれることがない。そのため、爪部35を確実に容器本体部10の爪部36に係合させることができ、可動蓋21の回動規制の信頼性を高めることができる。加えて、回動規制を気にすることなく板ばね30を選択できるので、上記設計の自由度の効果を顕著に奏効し易い。
【0040】
なお、本実施形態の粒状物用容器1において内容物Mを充填する場合には、図2及び図3に示すように、ヒンジ部13を中心として底蓋11を回動させることで容器本体2の下部開口部を開放できるので、この下部開口部を通じて充填作業を行っても構わない。或いは、ヒンジ部23を中心として可動蓋21を他方向T2側に大きく回動させて、湾曲板25を固定蓋20から離間させ、開放された容器本体2の上部開口部を通じて充填作業を行っても構わない。
【0041】
上述したように、本実施形態の粒状物用容器1によれば、可動蓋21を押圧して一方向T1側に回動させるだけの簡単な操作で内容物Mを取り出せるので、非常に使い易い容器とすることができる。
しかも、容器本体2の上部開口部を覆っている可動蓋21を回動させる構成であるので、不要な操作ボタン等を設ける必要がなく余計な出っ張り等を極力なくしたシンプルな形状に設計し易い。よって、外観デザイン性に優れた粒状物用容器1とすることが可能である。
【0042】
更に、上記実施形態のように、板ばね30と固定蓋20とを一体的に構成した場合には、例えば粒状物用容器1の組み立てを行う際、少なくとも固定蓋20に対して板ばね30を組み付ける必要がなく、効率の良い組み立て作業を行うことができる。また、固定蓋20と板ばね30との間に組立誤差や不必要な遊び等が生じ難いので、板ばね30の作動の信頼性を高め、容器全体の品質を高めることができる。更に、板ばね30の先端部30bが可動蓋21に対して単に接しているだけであるので、可動蓋21を固定蓋20及び板ばね30に対して容易に組み付け易い。
【0043】
なお、本発明の技術範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えることが可能である。
【0044】
例えば、上記実施形態では、可動蓋21を一方向T1側に回動させることで、第1取出口22と第2取出口28とを連通させたが、これとは逆に、他方向T2側に回動させることで両取出口22、28が連通するように構成しても構わない。
この場合には、第1取出口22及び第2取出口28の形成位置をそれぞれ調整すると共に、板ばね30の付勢方向を逆向きにさせれば良い。
【0045】
また、上記実施形態では、固定蓋20の外側に重なるように可動蓋21を構成したが、固定蓋20の内側に重なるように可動蓋21を構成しても構わない。
また、湾曲板25の爪部35を容器内側に突出するように形成し、この爪部35に、固定蓋20に容器外側に向けて突出するように形成された爪部や、固定蓋20の下端縁を係合しても構わない。この場合であっても、可動蓋21の回動を規制するストッパ部材として機能させることが可能であり、同様の作用効果を奏効することができる。
【0046】
更に、上記実施形態では、容器本体部10の上部開口部に固定蓋20を固定したが、該固定蓋20は必須なものではなく具備しなくても構わない。この場合には、可動蓋21の第2取出口28を補強板27に形成し、容器本体部10の長辺周壁部10Aに、可動蓋21を一方向T1側に回動させた時に第2取出口28に連通するように第1取出口22を形成すれば良い。この場合であっても、同様の作用効果を奏効することができる。
但し、固定蓋20を具備する上記実施形態の場合であっても、長辺周壁部10Aに第1取出口22を形成し、補強板27に第2取出口28を形成しても構わない。
【符号の説明】
【0047】
T1…一方向
T2…他方向
M…内容物
1…粒状物用容器
2…容器本体
21…可動蓋
22…第1取出口
23…ヒンジ部
28…第2取出口
30…板ばね(弾性部材)
35…爪部(係合部)
36…爪部(被係合部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状の内容物を収容する有底筒状の容器本体と、
該容器本体にヒンジ部を介して接続されると共に、容器本体の上部開口部を塞ぐ可動蓋と、を備え、
前記可動蓋には、前記ヒンジ部を中心として一方向側に回動させられたときに、前記容器本体に形成された第1取出口に連通する第2取出口が形成され、
前記容器本体と前記可動蓋との間には、前記第1取出口と前記第2取出口とが連通された状態で、前記ヒンジ部を中心として前記可動蓋を他方向側に回動するように付勢して、第1取出口と第2取出口との連通を遮断する弾性部材が設けられ、
前記可動蓋が前記弾性部材によって前記他方向側に回動されて前記第1取出口と前記第2取出口との連通が遮断されたときに、可動蓋に形成された係合部が前記容器本体に形成された被係合部に係合して該可動蓋の回動を規制することを特徴とする粒状物用容器。
【請求項2】
請求項1に記載の粒状物用容器において、
前記弾性部材は、基端部が前記容器本体に接続されると共に先端部が前記可動蓋に接する自由端とされ、前記一方向側への可動蓋の回動に伴って弾性変形し、先端部を介して可動蓋を前記他方向側に押圧することを特徴とする粒状物用容器。
【請求項3】
請求項2に記載の粒状物用容器において、
前記弾性部材の先端部は、前記一方向側への可動蓋の回動に伴って該可動蓋に摺接し、
前記可動蓋には、前記第1取出口と前記第2取出口とが連通されるまでの間において、前記一方向側に一定量回動させられたときに前記先端部の摺接を規制する規制部が形成されていることを特徴とする粒状物用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−30855(P2012−30855A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−172485(P2010−172485)
【出願日】平成22年7月30日(2010.7.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】