説明

粒状瓦材の製造装置

【課題】廃瓦等の瓦から、表面に鋭い角がないことで安全性や外観に優れ、また表面から釉薬が取り除かれた粒状瓦材を製造することができる粒状瓦材の製造装置を提供する。
【解決手段】投入された瓦を粒状に破砕する破砕部Bと、トラフ20内に、回転軸22b、および回転軸22bの外周に形成された螺旋羽22aを有するスクリュー22が、回転駆動可能に設けられて成るスクリューコンベアCと、スクリュー22に、螺旋羽22a間を連結するよう設けられた攪拌部材23とを備え、破砕部Bで破砕した粒状の瓦をスクリューコンベアCで斜め上方に搬送することにより、粒状の瓦の表面を研磨して、表面の角が取れた粒状瓦材を形成可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓦が破砕されて成る粒状瓦材を製造するための、粒状瓦材の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境問題に対する社会的な気運の高まり等から、産業廃棄物の再利用の促進が広く提言されている。
さて、一般的に屋根葺き材等として広く使用されている瓦はもともと粘土を焼成して得るものであるから、その廃材(廃瓦)を自然環境下に廃棄したとしても環境汚染等の問題を引き起こすものではないが、近年の産業廃棄物の量の増大による廃棄場の不足や廃棄に対する社会的な抵抗感から、廃瓦の再利用の方法が模索されている。
また、このような廃棄物の削減の観点だけでなく、瓦は、多孔質で適度な保水性と透水性を有するため、適切な粒大の粒状に破砕すれば、モルタルや屋根の南蛮漆喰の原材料(骨材)、あるいは敷き砂、アンツーカーなどとして好適に再利用することができることが知られるようになってきている。
そこで、本願出願人は、従前、特許文献1,2において、瓦を再利用に適した粒状に好適に破砕可能なロール軸型破砕機を提案している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−361109号公報
【特許文献2】特許第3515964号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、瓦は、粘土を焼成した焼物の一種であるから、前記ロール軸型破砕機等の従来の破砕機で破砕した際には、欠けた表面に鋭い角ができる。これでは、粒状に破砕した瓦材を例えば庭の敷き砂として利用した場合に、人がそれらの上で転倒した際等に瓦材の表面の角が皮膚に突き刺さるなどして怪我をする可能性がある。
このように、粒状瓦材の従来の製造方法、および従来の破砕機等の製造装置には、製造した粒状瓦材の表面に鋭い角があるために安全性に問題が生じるという課題がある。
【0005】
また、瓦の表面には釉薬が掛けられている場合、破砕された粒状瓦材にこの釉薬が残ってしまう。粒状瓦材の表面に釉薬が残っていると、瓦の透水性および保水性が妨げられたり、釉薬に含まれている場合のある有害物質の鉛が溶け出して環境汚染を引き起こしたりすることがあるという課題がある。
【0006】
本願発明は、上記課題を解決すべく成され、その目的とするところは、廃瓦等の瓦から、表面に鋭い角がないことで安全性や外観に優れ、また表面から釉薬が取り除かれた粒状瓦材を製造することができる粒状瓦材の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る粒状瓦材の製造装置は、上記課題を解決するために、以下の構成を備える。
すなわち、投入された瓦を粒状に破砕する破砕部と、トラフ内に、回転軸、および該回転軸の外周に形成された螺旋羽を有するスクリューが、回転駆動可能に設けられて成るスクリューコンベアと、前記スクリューに、前記螺旋羽間を連結するよう設けられた攪拌部材とを備え、前記破砕部で破砕した粒状の瓦を前記スクリューコンベアで斜め上方に搬送することにより、該粒状の瓦の表面を研磨して、表面の角が取れた粒状瓦材を形成可能であることを特徴とする。
これによれば、破砕部で破砕された粒状の瓦は、トラフの内周面、螺旋羽の表面、および粒状の瓦同士で擦れ合って表面が研磨され、表面の角が取れた粒状瓦材となる。特に、攪拌部材により、粒状の瓦はトラフの内周面に沿って掻き上げられるように攪拌されるから、粒状の瓦の表面が効果的に研磨される。
【0008】
さらに、前記攪拌部材の、前記スクリューの回転方向前方側の表面形状は、凹状に形成されていることを特徴とする。
これによれば、粒状の瓦は、凹状部に収まって多量が掻き上げられるから、より効率的に攪拌される。
【0009】
また、前記攪拌部材と前記回転軸との間にクリアランスが形成されていることを特徴とする。
これによれば、粒状の瓦は攪拌部材と回転軸との間を通過して、スクリューコンベア(螺旋羽)によって上方に搬送される。
【0010】
また、前記トラフは、前記スクリューコンベアの搬送方向前方の端部が上方に位置するように軸線が傾斜して配設されていることを特徴とする。
これによれば、トラフ内の粒状の瓦は、重力によってトラフ内の搬送方向後方に滞留するから、粒状の瓦同士がよく擦れ合って、研磨を効果的に行うことができる。
【0011】
また、前記トラフの、前記スクリューコンベアの搬送方向前方の端部には、粒状の瓦をトラフ外に排出するための排出口が形成されていることを特徴とする。
これによれば、スクリューコンベアの搬送方向前方の端部まで搬送された粒状の瓦(すなわち完成された粒状瓦材)を排出口からトラフ外へ排出できる。
【0012】
また、前記破砕部は、瓦の投入口と排出口とが形成された本体と、該本体内に設けられ、外周部に当接した瓦を破砕するロール軸と、該ロール軸を回転駆動するロール軸駆動装置とを備えたロール軸型破砕装置であることを特徴とする。
これによれば、瓦を好適に破砕できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る粒状瓦材の製造装置によれば、廃瓦等の瓦から、表面に鋭い角がないことで安全性や外観に優れ、また表面から釉薬が取り除かれた粒状瓦材を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る粒状瓦材の製造装置の最良の実施の形態を説明する。
図1は、本実施の形態に係る粒状瓦材の製造装置Aの構成を示す説明図である。
粒状瓦材の製造装置Aは、瓦を粒状に破砕する破砕部としてのロール軸型破砕装置Bと、ロール軸型破砕装置Bにより破砕された瓦が投入されるスクリューコンベアCとを備える。
【0015】
(ロール軸型破砕装置B)
ロール軸型破砕装置Bの説明図を図2に示す。図2(a)はロール軸型破砕装置Bの平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
図2に示すように、ロール軸型破砕装置Bは、箱状の本体2と、本体2内に設けられた二つ(複数)のロール軸4,5と、ロール軸4,5を回転駆動するロール軸駆動装置としてのモータ6とを備える。
【0016】
本体2は、被破砕物としての瓦が投入される一次投入口として上方に開口するホッパ2aを上部に有し、下端が一次排出口2bとして開口する。
二つのロール軸4,5は、それぞれ本体2に回転可能に水平に軸支され、互いの軸線がほぼ平行に対向して配置され、互いにギア4b,5bを介して連動して回転駆動するよう設けられ、互いの対向面の間で瓦を挟んで破砕する。
モータ6は、その駆動軸6aに鎖車6bが設けられ、ロール軸4の端部に設けられた鎖車4cと前記鎖車6bとに掛け回された無端チェーン8(図2(c)参照)を介してロール軸4,5を回転駆動させる。
【0017】
ロール軸4,5はそれぞれ、図2(a)に示すように、複数の円板状部材10,10・・が軸線方向に重ねられて構成されている。
円板状部材10の形状を図3に示す。図3(a)は、円板状部材10をロール軸4の軸線方向から見た側面図であり、図3(b)は、円板状部材10をロール軸4の軸線方向に直交する方向から見た正面図である。図3(a),(b)に示すように、円板状部材10はスプロケット形に形成されている。すなわち、側断面が先鋭状に形成された突起歯10a,10a・・が、外周部に一定周期で設けられた歯車状に形成されている。
ロール軸4,5は、隣接する円板状部材10A,10Bが、スプロケットの各突起歯10Aa,10Baの先端が互い違いに位置するよう配置されて構成されている(図4参照)。
なお、各円板状部材10の形状は、任意に設定することができ、互いに形状の異なる円板状部材10,10・・を組み合わせてロール軸4,5を構成することもできる。
【0018】
ロール軸4,5は、モータ6により無端チェーン8、鎖車4cおよびギア4b,5bを介して回転駆動される回転軸部4d,5dが、各円板状部材10の中心部に形成された貫通孔10bに挿通されて構成されている(図3参照)。回転軸部4d,5dには、外周面に、その軸線と平行に突条部4da,5daが形成され、一方の貫通孔10bの内周部には、突条部4da,5daに係合する係合部10cが形成されている。
【0019】
また、突条部4da,5daは、係合部10cに対してロール軸4,5の回転方向(即ち周方向)に若干の遊び12があるよう設けられている。
なお、この遊び12の量は、各円板状部材10毎に異なるよう設けて良い。これは、例えば、各円板状部材10の係合部10cの周方向長さをそれぞれ異ならせることで実現できる。
なお、この遊び12内に弾性部材等を設けて、回転軸部4d,5dに対して円板状部材10が遊ぶ際に所定の動作抵抗が生じるよう構成してもよい。
【0020】
このように、複数の円板状部材10,10・・を、その貫通孔10bに回転軸部を挿通させて軸線方向に重ねることでロール軸4,5を構成することにより、各円板状部材10,10・・を組み合わせてそれぞれ交換や組み換え等を行うことが容易にできる。
これにより、形状の異なる円板状部材を組み合わせてそれぞれ交換や組み換え等を行うことにより、ロール軸表面に切削等を施したりロール軸全体を交換したりすることなく、容易かつ安価にロール軸の表面形状を変更することができる。
例えば、スプロケット状の円板状部材10,10・・のみでロール軸4,5を構成すると突起歯10aが被破砕物の瓦を噛み過ぎて動作抵抗が大きくなりすぎる場合等には、スプロケット状の円板状部材10と、外周部がフラットな周面、即ち真円板状の円板状部材10とを交互に重ね合わせてロール軸4,5を構成して、ロール軸4,5の外周部の突起歯10aの密度を低くして突起歯10aの前記噛み過ぎを抑えるなどの対策を施すことができる。
【0021】
また、円板状部材10が、ロール軸4,5の回転方向に所定の遊びを設けて取り付けられていることから、ロール軸4,5に過大な力が掛かった際には、その力が掛かった部分の円板状部材10がロール軸4,5の回転方向に逃げるため、瓦が詰まってロール軸がロックしてしまうことがない。また、逃げる部分がロール軸4,5の一部にとどまり、他の大部分においては瓦は正常に破砕されるから、瓦が破砕されないまま排出されてしまうことがない。
【0022】
(スクリューコンベアC)
次にスクリューコンベアCの構成について説明する。
図1に示すように、スクリューコンベアCは、一端がロール軸型破砕装置Bの一次排出口2bの下方となり、他端が斜め上方に向かうよう、脚部26,26に支持されて30°程度傾斜して配設された筒状のトラフ20と、トラフ20内に設けられた、回転軸22b、および回転軸22bの外周に形成された螺旋羽22aを有するスクリュー22と、スクリュー22を回転駆動するスクリュー駆動装置としてのモータ24とを有する(なお、図1においてはトラフ20を透視してスクリュー22を記載している)。
なお、トラフ20の形状は、必ずしも筒状に限定されるものではなく、例えばU字溝状等に形成してもよい。
【0023】
トラフ20は、前記一端側の上面に開口部が形成され、その開口部にはホッパ20aが取り付けられる。ホッパ20aは、ロール軸型破砕装置Bの一次排出口2bから排出された破砕後の粒状の瓦がスクリューコンベアC内に投入される二次投入口として機能する。
トラフ20の他端部の下面には、開口部が、二次排出口20bとして形成されている。なお、この二次排出口は、必ずしもトラフ20の下面に形成する必要はなく、例えば、筒状のトラフ20の前記他端を開口端に設け、当該開口端を二次排出口としてもよい。
【0024】
図5は、スクリューコンベアCの拡大図である。
スクリューコンベアCのスクリュー22には、螺旋羽22a間を連結するよう設けられた複数の攪拌部材23が、例えば溶接またはネジ留め等により取り付けられている。螺旋羽22a間を連結するというのは、言い換えれば、螺旋羽22aのほぼ一ピッチ間を連結するということである。また別の言い方をすれば、螺旋の回転軸22bの周りをほぼ一周した螺旋羽22aの、軸線方向の間隙を連結するということもできる。ただし、攪拌部材23は、厳密に螺旋の一ピッチ(一周)の間を連結する構成に限定される訳ではなく、例えば螺旋の軸線に対して若干傾斜する方向に延びて、螺旋羽22a間を連結するよう設けたものも、本発明に含まれる。
【0025】
図6は、スクリュー22を回転軸22bの軸線方向から見た説明図である。
攪拌部材23は、螺旋羽22aの外周縁寄りに取り付けられる。図6に示すように、特に、攪拌部材23の、螺旋の外周側の縁部23bが、螺旋の外周縁上に位置するよう配設しても良い。
また、攪拌部材23の、スクリュー22の回転方向aの前方側23aの表面形状は、凹状に形成されている。
また、攪拌部材23と、回転軸22bとの間には、クリアランス25が形成されている。
【0026】
次に、本実施の形態に係る粒状瓦材の製造装置Aを用いた粒状瓦材の製造方法について説明する。
【0027】
(破砕工程)
まず、作業者が、廃瓦等の瓦を、ロール軸型破砕装置Bのホッパ2aに投入する(図1参照)。瓦は、回転駆動するロール軸4,5の間に入り込んで、その間で破砕される。なお、ここで破砕されてできる粒状の瓦の粒径が40mm以下、より好適には20mm以下となるよう、ロール軸4,5間の間隔、および突起歯10aの大きさや形状を設定する。
【0028】
ロール軸型破砕装置Bで破砕された粒状の瓦は、一次排出口2bから排出されて落下し、スクリューコンベアCのホッパ20aからスクリューコンベアC内に導入され、スクリューコンベアCにより斜め上方に搬送される。
【0029】
(研磨工程)
スクリューコンベアC内に入った前記粒状の瓦は、トラフ20の内周面および螺旋羽22aの表面、ならびに様々な粒径の粒同士で、衝突したり擦られたりして、表面が研磨される。
【0030】
トラフ20は、スクリューコンベアCの搬送方向前方の端部が上方に位置するように軸線が傾斜して配設されている。したがって、トラフ20内の粒状の瓦は、重力によってトラフ20内の搬送方向後方に滞留するから、粒状の瓦同士がよく擦れ合って、研磨を効果的に行うことができる。
【0031】
また、トラフ20内の粒状の瓦は、螺旋羽22a間を連結するよう設けられた攪拌部材23により、トラフ20の内周面に沿って掻き上げられる。これにより、粒状の瓦は、より長い距離にわたってトラフ20の内周面に当接して擦られ、さらに、攪拌されて粒同士が擦り合い、より効果的に研磨が進行する。
さらに、攪拌部材23の、スクリュー22の回転方向aの前方側23aの表面形状が凹状に形成されていることにより、トラフ20内の粒状の瓦は、凹状部に収まって多量が掻き上げられるから、より効率的に攪拌されて研磨される。
【0032】
また、攪拌部材23と、回転軸22bとの間にクリアランス25が形成されていることで、粒状の瓦は攪拌部材23と回転軸22bとの間を通過して、スクリューコンベアC(螺旋羽22a)によって上方に搬送される。
【0033】
トラフ20内の粒状の瓦は、トラフ20の前記他端まで搬送されると、二次排出口20bからトラフ20外に排出され、表面の角がとれた粒状瓦材となる。
【0034】
次に、スクリューコンベアCの別の構成例について説明する。その別の構成例を、図7の説明図に示す。
図7に示すスクリューコンベアCにおいては、トラフ20には、ホッパ20aが設けられた一端から所定の長さにわたる、穴が形成されていない箇所20cと、その箇所20cからスクリューコンベアCの搬送方向前方に続けて(すなわちスクリューコンベアCの搬送経路の中途部から)、所定の長さにわたる、複数の第一篩穴が形成された箇所20dと、その箇所20dからさらに搬送方向前方に続けて、所定の長さにわたる、複数の第二篩穴が形成された箇所20eとがある。
なお、特に限定されるものではないが、本願発明者は、穴が形成されていない箇所20cの長さは約1500mm、第一篩穴が形成された箇所20dの長さは約1470mm、第二篩穴が形成された箇所20eの長さは1343mmに設定して、好適な粒状瓦材を得ることに成功している。
【0035】
第一篩穴20fおよび第二篩穴20gは、図8(a)および(b)にそれぞれその一部を示すように、複数の円形の開口部である。
第一篩穴20fの直径は4mm〜8mm程度、互いの中心間の間隔は8mm〜12mm程度に形成すると好適である。より好適には、図8(a)に示すように、直径がそれぞれ6mm、中心間隔が10mmとすると良い。
また、第二篩穴20gの直径は12mm〜18mm程度、互いの中心間の間隔は16mm〜24mm程度に形成すると好適である。より好適には、図8(b)に示すように、直径がそれぞれ15mm、中心間隔が20mmとすると良い。
なお、第一篩穴20fおよび第二篩穴20gは、全て同径かつ同間隔に形成することに限定されず、複数種類の径および/または間隔を組み合わせて形成してもよい。
【0036】
図7のスクリューコンベアCのスクリューおよび攪拌部材の構成は、図5および図6に示したスクリュー22および攪拌部材23の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0037】
また、図7に示すように、トラフ20の外面には、第一篩穴20fおよび第二篩穴20gからそれぞれ排出された粒状瓦材を、それぞれ回収箱40,42に分別して回収するための、樋状(溝状)のガイド部28,30が設けられる。また、開口部20bの下方には、開口部20bから排出された粒状の瓦を回収する回収箱44が配置される。
【0038】
図7に示すスクリューコンベアCを用いた研磨工程を説明する。
図7のスクリューコンベアC内に入った前記粒状の瓦は、まず穴の形成されていない箇所20cにおいて、トラフ20の内周面およびスクリュー22の表面、ならびに様々な粒径の粒同士で、衝突したり擦られたりして、表面が研磨される。
続いて、粒状の瓦は、径が6mmの第一篩穴20fが形成された箇所20dに搬送され、第一篩穴20fの径より小径の粒状の瓦は、第一篩穴20fからトラフ20外に排出され、ガイド部28に案内されて回収箱40に回収される。他方、それより大径の粒状の瓦は、トラフ20内でさらに研磨される。
さらに、粒状の瓦は、径が15mmの第二篩穴20gが形成された箇所20eに搬送され、第二篩穴20gの径より小径の粒状の瓦は、第二篩穴20gからトラフ20外に排出され、ガイド部30に案内されて回収箱42に回収される。
また、それより大径の粒状の瓦は、トラフ20の前記他端まで搬送されて、開口部20bからトラフ20外に排出され、回収箱44内に落下して回収される。
【0039】
図7に示したスクリューコンベアCの構成を採用することによれば、図5に示したスクリューコンベアCで得られた上記効果に加え、粒状瓦材を粒径に応じて分別することができるとともに、表面が尖っていることによる危険性がより高く外観的にも目立つ、大径の粒状瓦材ほど後にトラフ20から排出されるから、より多くの研磨を施すことができるといった効果を奏する。
また、粒状の瓦が、トラフ20の第一篩穴20fおよび第二篩穴20gの縁部に衝突することで、穴の開いていないトラフを使用する場合(図5)に比較し、粒状の瓦に強い負荷が掛かって、効率よく研磨が施される。
【0040】
本実施の形態に係る粒状瓦材の製造装置Aによれば、廃瓦等の瓦から、表面の尖った部分(角)が取れて安全性および外観等に優れた、様々な用途に適した粒状瓦材粒状瓦材を、好適に製造できる。
例えば、本実施の形態に係る粒状瓦材の製造装置Aで製造された、粒径6mm以下の粒状瓦材は、アンツーカー、シャモット、培養土、敷き砂、水質改善材等の用途に好適に用いることができる。また、粒径6mm〜15mmの粒状瓦材は、モルタル、タイル、壁材、培養土、敷き砂、水質改善材等の用途に好適に用いることができる。
【0041】
また、本願発明者は、粒状瓦材を、特に園芸用等の培養土に用いると、適度な透水性と保水性とを併せ持つとともに、瓦はもともと肥沃な粘土から作られるものであって栄養を豊富に含んでいるから、植物の育成に非常に適していることを見出した。
特に、本実施の形態に係る粒状瓦材の製造装置Aで製造された粒状瓦材は、表面の角が取れていることから安全性および美観に優れ、観賞用の植物の培養土として好適に用いることができる。特に、本粒状瓦材をガラス製等の透明な鉢に入れて植物を生けると、鉢を透して美しい粒状瓦材の形状が見られ、観賞用として非常に優れた外観を演出することができる。
さらに、当該培養土に予め液体肥料等の肥料を添加しておけば、植物の育成時に肥料を与える手間を省くことができる。
【0042】
なお、従来より、焼物から成る培養土は知られているが、従来の焼物から成る培養土には、使用しているうちに表面が黒く汚れて美観が損なわれると言う課題がある。
その点、粒状瓦材から成る培養土によれば、従来の焼物から成る培養土と比較して表面の汚れが少ないことを、本願発明者は見出している。
この原理は、本願発明者は見出すには至っていないが、従来の焼物から成る培養土では、多孔質を形成する孔内に藻などが入ることによって、全体に黒っぽくなるのに対し、瓦は多孔質であるものの、孔が非常に微細であるから、藻などが孔内に入らないために、汚れが発生しにくいものと推測している。
【0043】
また、本願発明者は、粒状瓦材を水質改善材として水中に入れたり、粒状瓦材を充填した容器に水を透したりすることで、多孔質で濾過性に優れた粒状瓦材が、水中に含まれる異物や不純物等を吸着し、好適に水質改善を行うことができることを見出した。
特に、本実施の形態に係る粒状瓦材の製造装置Aで製造された粒状瓦材は、表面の角が取れていることから安全性および美観に優れ、観魚用の水槽に入れれば、魚を傷つけることなく、また、粒状瓦材の美しい形状を観賞用として楽しむことができる。
【0044】
また、本実施の形態に係る粒状瓦材の製造装置Aによれば、研磨工程において、瓦表面に掛けられた釉薬を取り除くことができる。これにより、粒状瓦材の透水性および保水性を増すことができるとともに、一部の釉薬に含まれる、有害物質の鉛を除去することができる。
【0045】
また、瓦葺家屋における防水、防風、防塵、防音、断熱や、瓦の位置ずれ防止等のために、瓦と野地板とに跨るように、または隣接する瓦同士に跨るように、コーキング材やエプトシーラー(登録商標)等のシール材を付けることがある。このような瓦材を用いて粒状の瓦材を製造する場合、シール材が粒状の瓦材に混入してしまう恐れがある。
この点、図7に示した篩穴20f,20gが設けられたスクリューコンベアCを採用した粒状瓦材の製造装置Aによれば、弾性を有するシール材は、ほとんど破砕および研磨されないから、篩穴20f,20gから排出されることなく、スクリューコンベアCの開口部(排出口)20bから排出される。ここで、ロール軸型破砕装置(破砕部)Bによる破砕後の瓦の粒径が、第二篩穴20gの径より小さくなるよう設定しておけば、開口部20bからはシール材のみが排出され、粒状瓦材とシール材とを、好適に分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明に係る粒状瓦材の製造装置を示す説明図である。
【図2】ロール軸型破砕装置(破砕部)を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。
【図3】円板状部材を示す図であり、(a)は、円板状部材をロール軸の軸線方向から見た側面図であり、(b)は、円板状部材をロール軸の軸線方向に直交する方向から見た正面図である。
【図4】隣接する円板状部材の配置を示す説明図である。
【図5】スクリューコンベアを示す図である。
【図6】スクリューコンベアのスクリューを回転軸の軸線方向から見た説明図である。
【図7】スクリューコンベアを示す図である。
【図8】(a)は第一篩穴の形状および配置を示す説明図であり、(b)は第二篩穴の形状および配置を示す説明図である。
【符号の説明】
【0047】
A 粒状瓦材の製造装置
B ロール軸型破砕装置(破砕部)
C スクリューコンベア
2 ロール軸型破砕装置の本体
2a ホッパ(一次投入口)
2b 一次排出口
4,5 ロール軸
6 モータ(ロール軸駆動装置)
10,10A,10B 円板状部材
10a,10Aa,10Ba 突起歯
10b 貫通孔
10c 係合部
12 遊び
20 トラフ
20a ホッパ(二次投入口)
20b 開口部(排出口)
20c 穴の形成されていない箇所
20d 第一篩穴が形成された箇所
20e 第二篩穴が形成された箇所
20f 第一篩穴
20g 第二篩穴
22 スクリュー
22a 螺旋羽
22b 回転軸
23 攪拌部材
24 モータ(スクリュー駆動装置)
25 クリアランス
28,30 ガイド部
40,42,44 回収箱

【特許請求の範囲】
【請求項1】
投入された瓦を粒状に破砕する破砕部と、
トラフ内に、回転軸、および該回転軸の外周に形成された螺旋羽を有するスクリューが、回転駆動可能に設けられて成るスクリューコンベアと、
前記スクリューに、前記螺旋羽間を連結するよう設けられた攪拌部材とを備え、
前記破砕部で破砕した粒状の瓦を前記スクリューコンベアで斜め上方に搬送することにより、該粒状の瓦の表面を研磨して、表面の角が取れた粒状瓦材を形成可能であることを特徴とする粒状瓦材の製造装置。
【請求項2】
前記攪拌部材の、前記スクリューの回転方向前方側の表面形状は、凹状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の粒状瓦材の製造装置。
【請求項3】
前記攪拌部材と前記回転軸との間にクリアランスが形成されていることを特徴とする請求項1または2記載の粒状瓦材の製造装置。
【請求項4】
前記トラフは、前記スクリューコンベアの搬送方向前方の端部が上方に位置するように軸線が傾斜して配設されていることを特徴とする請求項1〜3のうちのいずれか一項記載の粒状瓦材の製造装置。
【請求項5】
前記トラフの、前記スクリューコンベアの搬送方向前方の端部には、粒状の瓦をトラフ外に排出するための排出口が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のうちのいずれか一項記載の粒状瓦材の製造装置。
【請求項6】
前記破砕部は、
瓦の投入口と排出口とが形成された本体と、
該本体内に設けられ、外周部に当接した瓦を破砕するロール軸と、
該ロール軸を回転駆動するロール軸駆動装置とを備えたロール軸型破砕装置であることを特徴とする請求項1〜5のうちのいずれか一項記載の粒状瓦材の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−183509(P2008−183509A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−18852(P2007−18852)
【出願日】平成19年1月30日(2007.1.30)
【出願人】(301028473)株式会社亀山 (4)
【Fターム(参考)】