説明

粒状肥料及びその製造方法

【課題】 低温での水中崩壊性に優れた粒状肥料およびその製造方法を提案することを目的とする。
【解決手段】 重合度1800以下、ケン化度90mol%以下のポリビニルアルコールを原料である肥料粉末100質量部に対して1質量部以上(ポリビニルアルコール純分換算)含有している。上記粒状肥料は、加工鉱さいりん酸肥料、鉱さいけい酸質肥料、混合りん酸肥料、化成肥料の何れかであることが望ましい。上記粒状肥料は、粉砕された肥料原料100質量部に対し重合度1800以下、ケン化度90mol%以下であるポリビニルアルコールの1質量部以上を水溶液として又は水とともに加え、その際必要に応じさらに廃糖蜜液又はリグニンスルホン酸溶液を加えて混合した上で、水、廃糖蜜液又はリグニンスルホン酸塩溶液をスプレーしながら造粒し、乾燥することにより製造することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は粒状肥料及びその製造方法、特に低温での水中崩壊性の良い粒状肥料及びその製造方法に関する。ここに肥料とは、植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土壌に化学的変化をもたらすことを目的として土地に施される物質をいい、典型的には肥料取締法の第3条に定めている普通肥料であって、全国肥料品質保全協議会が発行している肥料公定規格集に掲載されている各種肥料の内、加工鉱さいりん酸肥料、鉱さいけい酸質肥料、混合りん酸肥料、または化成肥料である。粒状肥料とはその微粉を造粒機でバインダーを加えて粒径1〜6mmに造粒・乾燥したものをいう。
【背景技術】
【0002】
肥料分野では、粒状品が一般に散布時に風の影響を受けにくいため、発じんが無く環境保全上好ましく、機械散布に適しており、更に水中や水分の高い土壌中で崩壊する特性を有しており、さらに砂状品に比べ肥料効果が大きくなる等の理由により、肥料形態が旧来の砂状から粒状化へ急速に移行している。この粒状品の製造に当たっては、原料の粉末にバインダーと呼ばれる粒状化促進材を加え、ペレタイザーなどを用いて造粒し、得られた造粒生ペレットをロータリー乾燥機等で乾燥する工程が採られる。従来の造粒法ではバインダーとしてリグニンスルホン酸塩溶液や廃糖蜜液が用いられている。一般にその添加率は、原料である肥料粉末に対してバインダーの固形分量換算で3〜8%程度となっている。
【0003】
しかしながら、上記従来の造粒方法によるバインダーは、例えば加工鉱さいりん酸肥料を製造するために用いると、加工鉱さいりん酸肥料は多吸水性のため、造粒のために非常に多量のバインダーを必要とし不経済である。しかも相当多量を使用してもなお、粒状肥料の輸送取り扱いに必要とされる十分な粒強度、例えば20N/粒以上の粒強度が得られない。
【0004】
その原因は、第一には溶出促進剤として加えたりん酸と鉱さいとの反応によって、鉱さい中のけい酸分を溶出しやすい軟物質が生成するため、造粒された粒子がその軟物質のところから破壊することにある。第二には、鉱さいと溶出促進剤との反応によって鉱さい全体がポーラスになり、バインダーの含浸性が原料鉱さいに比べて約2倍となり、バインダーとしての働きが阻害されることにあると考えられる。さらに、これらのバインダーは一般に悪臭がきつく、製造工場の周囲民家から苦情が寄せられることが多くなって、これに代わる無臭バインダーが求められている。
【0005】
しかもこのような多量のバインダーを加工鉱さいりん酸肥料の造粒のために用いると、水中崩壊性が低下することによって、植物栄養上とともに土壌改質面での効果が不十分となる。また、多量のバインダーの使用は肥料成分の希釈という問題を生ずる。このうち水中崩壊性を改善するための手段として、特許文献1には、鉄鋼スラグとバインダーを含有する鉄鋼スラグ粒状肥料において、該肥料に特定構造を有するオキシアルキレンエーテル化合物を含有させることが開示されている。上記手段により、粒状肥料の水中崩壊性および土壌崩壊性の改善が期待できる。
【0006】
しかしながら、粒状肥料を北海道等の積雪地帯において春先に融雪剤を兼ねて粒状肥料を散布するときには、上記の水中崩壊性、土壌崩壊性を満足するだけでは不十分であり、融雪過程の低温において崩壊し、融雪効果を発揮することが求められる。
【0007】
粒状肥料試験法における水中崩壊性試験法及び土壌崩壊性試験法は、非特許文献1に定められている。これによると、水中崩壊性は、2mm以上の粒状肥料50粒が水中において一夜静置後に80%以上崩壊する割合をもって評価される。一方、土壌崩壊性は、水中崩壊性試験に用いたものと同様の粒状肥料を最大容水量の60%相当量の水を加えた土壌中(風乾換算50g)に試料50粒を1週間埋め込み、20個取り出して硬度を測定して平均が1N/粒以下なら土壌崩壊性があるものとする。若しくは土壌処理した全量を2000μm篩に均一にあけ、静かに室温の水を注ぎ、1夜静置後篩上に残存する未崩壊数を数え残存割合を求め、20%以下なら崩壊したものとみなす。しかしながら、これらの試験での水温度は規定されていない。そのため室温(概ね20〜30℃)で試験するのが通例である。
【0008】
【特許文献1】特開平11-157977号公報
【非特許文献1】肥料登録等の手引き−付立入検査概要−(平成13年3月1日 肥料協会新聞部 編集発行)第128頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような従来の粒状肥料に係る問題点を解決することを目的とし、特に加工鉱さいりん酸肥料についてリグニンスルホン酸塩溶液や廃糖蜜液等を使用せず、あるいは僅かの使用によって確実に造粒することができかつ、肥料成分の希釈化を招かず、低温での水中崩壊性に優れた粒状肥料およびその製造方法を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、粒状肥料、特に加工鉱さいりん酸肥料に係る造粒用バインダーについて広く調査・研究を進めた結果、特定の重合度、ケン化度を有するポリビニルアルコールを主たる造粒用バインダーとして使用したとき、低温での水中崩壊性に優れた粒状肥料が得られることを知り、本発明を完成した。
【0011】
本発明に係る粒状肥料は、重合度1800以下、ケン化度90mol%以下のポリビニルアルコールを原料である肥料粉末100質量部に対して1質量部以上(ポリビニルアルコール純分換算)含有し、低温での水中崩壊性に優れている。上記粒状肥料は、加工鉱さいりん酸肥料、鉱さいけい酸質肥料、混合りん酸肥料、化成肥料の何れかであることが望ましい。
【0012】
上記粒状肥料は、粉砕された肥料原料100質量部に対し重合度1800以下、ケン化度90mol%以下であるポリビニルアルコールの1質量部以上を水溶液として又は水とともに加え、その際必要に応じさらに廃糖蜜液又はリグニンスルホン酸溶液を加えて混練した上で、水、廃糖蜜液又はリグニンスルホン酸塩溶液をスプレーしながら造粒し、乾燥することにより製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は広く粒状肥料一般に適用でき、特にその組成が限定されない。本発明が適用可能な肥料名を例示すれば、熔性りん肥、混合りん酸肥料、副酸石灰肥料、炭酸カルシウム肥料、混合石灰肥料、鉱さいけい酸質肥料、その他けい酸質肥料、水酸化苦土肥料、副酸苦土肥料、加工苦土肥料、鉱さいマンガン肥料、熔性微量要素肥料などが挙げられる。これらのほか、鉱さいけい酸質肥料と同様にけい酸供給及びアルカリ分によるpH矯正を目的とする加工鉱さいりん酸肥料や即効性が要求される化成肥料にも適用可能である。本発明は特に加工鉱さいりん酸肥料、鉱さいけい酸質肥料、混合りん酸肥料、化成肥料について適用するのが好適である。これらの粒状肥料は、その原料である鉱さい等を平均粒径0.1mm以下まで粉砕し、バインダーを混じて混練し、造粒機により造粒後、乾燥して粒状肥料とする。
【0014】
本発明では、このバインダーとして主としてポリビニルアルコール、特に重合度1800以下、ケン化度90mol%以下のポリビニルアルコールを用いる。重合度を1800以下とするのは、これを超えると0℃における水中崩壊性が低下し、0℃における網上残留率が高くなるためである(実施例2参照)。なお、重合度が低下しすぎると、十分な粒強度が得られなくなるおそれがあるが、一般に市販されているポリビニルアルコールの場合、重合度の下限値は300程度であり、このようなものでも、実用上問題のない粒状肥料が得られる。一方、ケン化度を90mol%以下とするのは、ケン化度が90mol%を超えると、粒強度が低いものしか得られなくなるためである(実施例1参照)。なお、一般に市販されるポリビニルアルコールのケン化度の下限は70mol%程度であり、このようなものも本発明のため利用できる。
【0015】
これらの性質を有するポリビニルアルコールは、水溶液として、あるいは粉末として粉砕された肥料原料に添加される。粉末として添加する場合は、粉砕された肥料原料にあらかじめ必要量の水を加えて湿潤状態にしておくか、あるいは粉砕された肥料原料に粉末状体のポリビニルアルコールを添加・混合した後あるいは混合しながら水を加えて造粒可能な状態とする。
【0016】
ポリビニルアルコールの添加量は粉砕された肥料原料100質量部に対して1質量部以上とすればよい。添加量が1質量部未満では、粒状肥料として必要な粒強度を得ることができない。添加量の制限は特に設ける必要はない。しかしながら、ポリビニルアルコールによる強化効果は、肥料原料100質量部に対して3質量部程度で十分となり、それ以上はコストアップの要因になるだけであるから、一般的には1〜3質量部とするのがよい。
【0017】
造粒前に添加されるバインダーは、ポリビニルアルコールのみでも十分であるが、併せて少量の廃糖蜜液又はリグニンスルホン酸塩溶液を用いることができる。それにより、一層の粒強度向上効果が得られる。本発明ではこのような補助的なバインダーとしての廃糖蜜液又はリグニンスルホン酸塩溶液の使用を妨げるものではないが、その使用量はコストの面から固形物換算で3%以下とするのが望ましい。
【0018】
このようにバインダーの配合された粉末肥料はついで造粒工程に付される。この造粒工程は、一般に皿型造粒機を用い、水、廃糖蜜液又はリグニンスルホン酸塩溶液をスプレーしながら行われる。これにより、造粒機内に投入された粉体原料粒子がスプレーされた液体と会合してゆるい凝集体を形成し、これが造粒機の転動作用によって締めつけられて粒子間の空隙が少ない粒状体となる。このような造粒作用は、水を用いても起こるが、より粘性のある廃糖蜜液又はリグニンスルホン酸塩溶液を用いた方が効果的であり、粒成長が速くなる。この造粒の際にスプレーされる水などの量は、粒表面の濡れ具合によって決定すればよい。水分を比較的多く添加すると粒は大きくなり、水分が少ないと粒は小さく粉が多いものとなるので造粒状況に応じて水分量を調整する。
【0019】
造粒された肥料は棚型乾燥器、流動乾燥器、ロータリーキルンなどにより乾燥される。たとえば棚型乾燥器を用いるときには、乾燥棚に薄く均一に広げ、100℃において、30min程度乾燥することによって製品とする。
【実施例1】
【0020】
造粒に適した粒度に粉砕した加工鉱さいりん酸肥料粉末に重合度500であり、ケン化度の異なるポリビニルアルコール(PVA)粉末を加工鉱さいりん酸肥料粉末100質量部に対して2質量部添加混合後、水10質量部を添加、混合後、直径240mmのミニ皿型造粒機に移し、水を2質量部スプレーして造粒した。得られた造粒物を100℃に保持した棚型乾燥器で乾燥後、粒強度と水中崩壊性を測定した。
【0021】
製品の特性値の測定は、次のようにして行った。
(粒強度)得られた造粒物を3.35〜4.0mmの標準篩を重ねてふるって、3.35mmの篩上に残った粒を試験試料とする。試験試料1個を最大秤量70Nであるばね式の台ばかりの皿部に乗せて、切り口が約10mm径で平らな端面を有する硬い丸棒で押し付けて、粒が壊れるときの指示値Nを読取り、その10個の平均値をその製品の粒強度(N/粒)とする。
(0℃網上残留率および0℃水中崩壊性)造粒物を2mmと4mmの標準篩を重ねてふるって、2mm篩上を試験試料とする。試験試料を2mm目金網の上に30粒並べてバットの中に置き、予め冷蔵庫で0℃に冷やした水を静かに注いで試料が十分に水に浸る状態とする。これを0℃に保持した冷蔵庫内で一夜静置後、篩上に粒原型を留めた粒の割合を測定し網上残留率とする。一方、0℃水中崩壊性は0℃網上残留率測定時に篩上に粒原型を留めなかったもの及び0℃網上残留率測定時に網上に残った粒をピンセットで摘み崩壊したものを合算した粒の割合(百分率)により求める。
【0022】
測定結果は表1に示す。この結果から、ケン化度90mol%以下の範囲において粒強度の高い造粒物が得られるが、ケン化度が98〜99mol%のときには、粒強度が低くなることが分かる。
【0023】
【表1】

【実施例2】
【0024】
造粒に適した粒度に粉砕した加工鉱さいりん酸肥料粉末にケン化度83〜86mol%であり、重合度の異なるポリビニルアルコール(PVA)粉末を加工鉱さいりん酸肥料粉末100質量部に対して2質量部添加混合後、直径240mmのミニパン造粒機に移し、水をスプレーして造粒した。得られた造粒物を100℃に保持した棚型乾燥器で乾燥後、実施例1と同様にして粒強度と水中崩壊性を測定した。測定結果を表2に示す。この結果から、ポリビニルアルコールの重合度が大きくなるにつれて粒強度が高くなるが、重合度1800を超えると水中崩壊性が悪くなり、網上残留率も多くなることが分かる。
【0025】
【表2】

【実施例3】
【0026】
造粒に適した粒度に粉砕した加工鉱さいりん酸肥料粉末100質量部に、バインダーとして重合度500、ケン化度83〜86mol%のポリビニルアルコール粉末を1.5〜3.0質量部添加し、更に水を10.0質量部加えて混合した後、直径600mmの皿型造粒機で固形分20質量%の廃糖蜜液をスプレーしながら1〜6mmの大きさに造粒した。造粒に使用した廃糖蜜液量は加工鉱さいりん酸肥料粉末に対して10〜12質量部であった。造粒物を100℃の棚型乾燥器で乾燥して製品としその特性値を測定した。結果は表3に示す。ポリビニルアルコール添加量が多くなるにしたがい粒強度は高まった。なお、造粒品はポリビニルアルコール添加率にかかわらず、0℃での網上残留率は0%、水中崩壊性は100%となり、十分に満足されるものであった。
【0027】
【表3】

【実施例4】
【0028】
造粒に適した粒度に粉砕した加工鉱さいりん酸肥料粉末に重合度500、ケン化度83〜86mol%のポリビニルアルコール(PVA)水溶液(濃度20質量%)をポリビニルアルコール(PVA)添加量に換算して2質量%となるように添加混合後、直径240mmのミニ皿型造粒機に移し、水を2質量部スプレーして造粒した。得られた造粒物を実施例1と同様にして乾燥後、粒強度と水中崩壊性を測定した。得られた製品の特性値は粒強度:15(N/粒)、0℃水中崩壊性100%、0℃網上残留率0%であった。
【実施例5】
【0029】
造粒に適した粒度に粉砕した加工鉱さいりん酸肥料粉末に重合度500、ケン化度83〜86mol%のポリビニルアルコール水溶液(濃度20質量%)をポリビニルアルコール添加量に換算して2質量%となるように添加混合後、直径240mmのミニ皿型造粒機に移し、固形分20質量%の廃糖蜜液をスプレーして造粒した。尚、廃糖蜜液添加量は固形分換算で2質量%であった。次に得られた造粒物を実施例1と同様にして乾燥後、粒強度と水中崩壊性を測定した。得られた製品の特性値は粒強度:17(N/粒)、0℃水中崩壊性100%、0℃網上残留率0%であった。
【実施例6】
【0030】
造粒に適した粒度に粉砕した加工鉱さいりん酸肥料粉末100質量部に、バインダーとしてポリビニルアルコール粉末を2.0質量部添加し、更に水を10質量部加えて混合した後、直径600mmの皿型造粒機でリグニンスルホン酸溶液であるサンエキスM溶液(固形分20質量%)を加工鉱さいりん酸肥料粉末に対して固形分換算で2.6質量部となるようにスプレーしながら1〜6mmの大きさに造粒、乾燥した。得られた製品の粒強度は平均で24N/粒であり、0℃での網上残留率は0%、水中崩壊性は100%であった。
【実施例7】
【0031】
尿素12.4質量%、硫酸アンモニウム61.1質量%、りん酸アンモニウム質量5.7%、過りん酸石灰質量11.4%、塩化カリウム質量9.4%の組成を有する粉末状化成肥料100質量部に、バインダーとして重合度500、ケン化度83〜86mol%のポリビニルアルコール粉末を2質量部添加し、さらに水8質量部を混合した後、廃糖蜜液を粉末状化成肥料100質量部に対して固形分換算で2.5質量部となるようにスプレーしながら直径240mmの皿型造粒機で1〜6mmの大きさに造粒した。得られた造粒物を100℃の箱型乾燥器で乾燥した後、実施例1と同様にして製品特性を測定した。得られた製品の粒強度は30N/粒であり、0℃での網上残留率は0%、水中崩壊性は100%であった。
【実施例8】
【0032】
造粒に適した粒度に粉砕した鉱さいけい酸質肥料粉末100質量部に、バインダーとして重合度500、ケン化度83〜86mol%のポリビニルアルコール粉末を2質量部添加し、更に水を8質量部加えて混合した後、直径240mmの皿型造粒機で水を鉱さいけい酸質肥料粉末100質量部に対して8%となるようにスプレーしながら1〜6mmの大きさに造粒した。得られた造粒物を100℃の箱型乾燥器で乾燥後、実施例1と同様にして製品特性を測定した。得られた製品の粒強度は28N/粒であり、0℃での網上残留率は0%、水中崩壊性は100%であった。
【実施例9】
【0033】
混合りん酸肥料の原料100質量部(鉱さいけい酸質肥料63質量%、熔成りん肥21質量%、鉄鉱石16質量%の混合物)を造粒に適した粒度に粉砕した粉末に、バインダーとして重合度500、ケン化度83〜86mol%のポリビニルアルコール粉末を2質量部添加し、更に水10質量部を加えて混合した後、廃糖蜜液(固形分20質量%)を混合りん酸肥料100質量部に対して固形分換算で2質量部となるようにスプレーしながら直径240mmの皿型造粒機で1〜6mmの大きさに造粒した。得られた造粒物を100℃の箱型乾燥器で乾燥後、実施例1と同様にして製品特性を測定した。得られた製品の粒強度は60N/粒であり、0℃での網上残留率は0%、水中崩壊性は100%であった。
【0034】
上記各実施例から理解できるとおり本発明のように重合度1800以下、ケン化度90mol%以下のポリビニルアルコールを用いて造粒した粒状肥料は製品の粒強度が高くかつ、0℃での網上残留率が低く、水中崩壊性が高いものであり、積雪地帯において春先に融雪剤を兼ねて散布する粒状肥料としてきわめて優れたものである。なお、本発明は本発明の技術的思想を逸脱せぬ限り上記実施例に限定されず種々の形態で実施できることは当然である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
重合度1800以下、ケン化度90mol%以下のポリビニルアルコールを原料である肥料粉末100質量部に対して1質量部以上(ポリビニルアルコール純分換算)含有することを特徴とする粒状肥料。
【請求項2】
粒状肥料は、加工鉱さいりん酸肥料、鉱さいけい酸質肥料、混合りん酸肥料、化成肥料の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の粒状肥料。
【請求項3】
粉砕された肥料原料100質量部に対し重合度1800以下、ケン化度90mol%以下であるポリビニルアルコールの1質量部以上を水溶液として又は水とともに加え、その際必要に応じさらに廃糖蜜又はリグニンスルホン酸溶液を加えて混練し、水、廃糖蜜液はリグニンスルホン酸塩溶液をスプレーしながら造粒し、乾燥することを特徴とする粒状肥料の製造方法。


【公開番号】特開2006−21968(P2006−21968A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−202433(P2004−202433)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(391021765)日本電工株式会社 (21)
【Fターム(参考)】