説明

粗耕起作業機

【課題】粗耕起作業機を用いての粗耕起作業における反転された土の移動を作業機内に押さえることにより、作業効率の向上を図る。
【解決手段】 掘削反転放擲ユニットを備えた粗耕起作業機において、従来の作業において掘削反転放擲ユニットで反転放擲される土は、作業機幅外まで移動しまうので、作業機端部に金属製板状のカバーを設けて、土の移動を作業機幅内に抑えることでその後の整地作業等の諸作業を軽減して作業効率を向上させるものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圃場において収穫後の耕起等で、雑草や切り株等の残渣有機物と土壌との混和を促進する粗耕起作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
粗耕起(あらこうき)とは粗起こしともいい、作物栽培に必要な土壌の耕耘整地における第一段階の耕起のことである。一般には秋起こしといわれている秋の作物収穫後の冬前に行う耕起をさすことが多い。
【0003】
粗耕起の目的は、耕起した土壌の土塊をこぶし大にして、圃場全体の土壌を膨軟にして乾燥させることである。粗耕起によって土壌間の空隙が大きくなるために透排水性が向上し、土壌深部まで空気が入り有機物の分解を早めることができ、次回収穫時の養分を増加させることができる。さらに雑草が実をつけないうちに耕起することで、雑草種子を減少させることができる。
【0004】
そして作物収穫後は、刈り残った株や根等の残渣物や有機物を土中にもどし、翌年の養分として連作利用することが、一般的に行われている。従来土中に残渣物や有機物を循環還元し、粗起こしのための粗耕起作業機として使用されるプラウ作業機(特許文献1参照)及びサブソイラ作業機(特許文献2参照)は知られている。
【0005】
特許文献1に記載されているプラウ作業機の作業では、作土層を完全に反転させて有機物を土中に還元する反転耕起作業機であり、反転作業後に別の作業機を用いて、再度土壌の砕土、均平が必要となっている。
【0006】
特許文献2に記載されているサブソイラ作業機の特徴は粗反転耕起の作業機であり、深い位置の心土層を破砕するナイフ前縁に沿って摩擦減少部材を取付け、トラクタに加わる負荷を減少させる効果をもった粗耕起作業機である。
【0007】
【特許文献1】特許第3306141号
【特許文献2】特許第3387736号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
プラウ作業機は、反転耕起部の面が作業進行方向の右側あるいは左側に捻られており、放擲された土が反転し、作業進行方向の右側あるいは左側に移動する。よって1区画の圃場での反転耕起作業が終了すると、作業進行方向の右側か左側のどちらかに圃場の土全体が移動することになり、移動した土を元にもどす作業が必要となるばあいがある。
【0009】
特許文献2のサブソイラ作業機では、ナイフ前縁に沿って取付けた摩擦減少材の表面に沿って土が移動し捻られた排出面からナイフ側方に土を移動させている。しかし摩擦減少部材の長さが長いため、作業速度が速いと、土を移動、反転、放擲すると上方に土が舞い上がり、うまく側方に落ちず、ばらばらに落ちてくるので思った以上に秩序無く土が移動してしまう。特に畦に移動してしまった土は元に戻せない。
【0010】
そこで作業後に土を元に移動させる別作業が必要となってくる。そのうえ土を移動する作業機等が別に必要となり、農家にとっては経費の負担が膨らみ、作業の負担もまた倍加してしまい効率が上がらずに作物の原価を上昇させてしまう一因となる。本発明は、上記従来の粗耕起作業機で問題となっていた作業機の進行方向側方へ土の放擲を抑えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は上記課題を解決するために、作業機を構成する前フレームと後フレームと、前フレーム及び後フレームのそれぞれに固定された偶数個のプレートに取り付けられた複数のビームと、該複数のビームにそれぞれ取付けられた掘削反転放擲ユニットと、を備えた粗耕起作業機において、前フレームに取り付けられた複数の掘削反転放擲ユニットは、全てが作業進行方向に向かって左側又は右側のいずれか一方の放擲側に向けて土を放擲するように構成されており、前記前フレームの該放擲側の端部に金属製板状のカバーが取付けられており、後フレームに取り付けられた複数の掘削反転放擲ユニットは、全てが前フレームに取り付けられた複数の掘削反転放擲ユニットとは逆に、作業進行方向に向かって右側又は左側のいずれか一方の放擲側に土を放擲するように構成されて、前記後フレームの該放擲側の端部に金属製板状のカバーが取付けられており、前記前フレームのカバー及び後フレームのカバーは、それぞれ掘削反転放擲ユニットによってそれぞれの前記放擲側へ放擲される土の移動を、作業機幅内に抑えるようにすることを特徴とする粗耕起作業機を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係る収納構造を実施するための最良の形態を実施例に基づき図面(図1〜11)を参照して、以下説明する。
【実施例】
【0013】
本発明を図1〜11において説明する。粗耕起作業機100は、フレームユニット10と、このフレームユニット10に取付けられているビーム20と、このビーム20に取付けられる掘削反転放擲ユニット30と、フレームユニット10に枢着されたサイドカバー40と、フレームユニット10の後部に結合されたローラユニット50と、このローラユニット50の平行リンクの一部をなすプレート51cにボルト結合されたタインユニット70を備えている。
【0014】
次に、各ユニット構成ごとに説明を行う。図1は本発明の実施例を示す粗耕起作業機100をトラクタ200に装着した状態の平面図であり、図2は本発明の実施例を示す粗耕起作業機100をトラクタ200に装着した状態の側面図である。また図3は本発明の実施例を示す粗耕起作業機100を作業進行方向左前上方向より見た斜視図である。
【0015】
これらの図1〜3において、フレームユニット10は作業進行方向と直角方向に沿って長さをもつ前フレーム10aと後フレーム10bを備えており、該前後のフレーム10a、10bに固着されたプレートを介し互いにボルト結合している。ただし両端部はサイドプレート13によって結合されている。前フレーム10aと後フレーム10bの間隔は、作業時における麦稈等の詰まりを解消するため従来の粗耕起作業機の間隔より長くとられている。
【0016】
前フレーム10aには、左右一対のマスト11、11が取り付けられ、マスト11、11間にリンクピン11Xが取付けられている。またブラケット12、12aは、それぞれ前フレーム10aの左右2箇所に取り付けられ、ブラケット12、12a間にリンクピン12Xが取付けられている。トラクタ200はトップリンクU、ロアリンクLを介して作業機100をリンクピン11X、12Xで接続して牽引している。
【0017】
後フレーム10bには、ローラユニット50を連結するためのプレート15が、左右2箇所に接合されている。そして前フレーム10aと後フレーム10bには、複数のプレート14が固着されている。複数のプレート14には、それぞれ掘削反転放擲ユニット30を取付けるビーム20が取り付けられている。本実施例では、前フレーム10aの6箇所にそれぞれビーム20取付用のプレート14が固着され、また、後フレーム10bの6箇所にそれぞれビーム20取付用のプレート14が固着されている。複数のプレート14には、それぞれビーム20がボルトにより固定されている。
【0018】
次に図4は、本発明の実施例における粗耕起作業機100のビーム20に、作業進行方向右側に土を放擲する掘削反転放擲ユニット30を取付けた構成を示す組立図(図4中の左側に示す)と、作業進行方向左側に土を放擲する掘削反転放擲ユニット30を取付けた構成を示す組立図(図4中の右側に示す)を示している。ビーム20の前縁部の形状は、上端部20U近くでは、側面視上直線であり、下端部20Aに向かうにつれて弧を描く形状になっており、最下端部が作業進行方向に向かって最も突き出している。前フレーム10a及び後フレーム10bには、それぞれビーム20の上端部20Uがプレート14を介してボルトで固定されている(図1〜3参照)。
【0019】
前記ビーム20の最前部22Aには、掘削反転放擲ユニット30を構成するチゼル31とウイング32が皿ボルト31Kでビーム20に取付けられている。その取付けは図4に示すように、成型されたウイング32の取付け部32Aの裏面の曲面はビーム20の前縁の曲面に沿うように形成され、表面の曲面はチゼル31の裏面の曲面に沿うように形成されており、ウイング32の取付け部32Aと、ビーム20の前縁及びチゼル31の裏面との接合部の隙間に土が入り込まないようにするとともに、作業時において互いの部品のガタつきをなくしているのである。
【0020】
同じく図4において、金属製板状のブラケット35a、35bは、チゼル31より薄い材料で製作され、その下端部には凹部が形成されており、この凹部にチゼル31の上部に形成された凸状の部分と噛み合うようにして、ブラケット35a、35bは、チゼル31と上方に隣接の組み付けされる。凹部と凸部が噛み合う取付け部には段差ができている。そして、前記ブラケット35a、35bの裏面には切り欠き部36’の形成されたプレート36が固着されていて、切り欠き部36’がビーム20の前縁部に入り込んで噛み合って取付けられる。
【0021】
このような構成とすることによって、ブラケット35a、35bがビーム20へ、回動することなくしっかりと固定される。その結果、作業中における部品のガタつきを防ぐとともに、ブラケット35a、35b反転放擲性能を落とすことがない。なお各部品番号の後のa、bの文字は、反転放擲する方向が作業進行方向に対して右あるいは左になることから、右側に反転放擲するための掘削反転放擲ユニット30に係る部材にはaを付し、左側に反転放擲するための掘削反転放擲ユニット30に係る部材にはbを付したものである。
【0022】
また、皿ボルト34Kは摩擦減少部材34a、34bを、皿ボルト33Kは耐磨耗金属板33a、33bを前記ブラケット35a、35bに固定している。そして皿ボルト35Xは前記摩擦減少部材34a、34bと、前記ブラケット35a、35bと、ウイング32とビーム20に固定している。摩擦減少部材34a、34bは、チゼル31の上部に形成された凸状の部分に合わさる切り欠きを有し、摩擦減少部材34a、34bとチゼル31との合わせ面に土が入りこむのを防いでいる。
【0023】
図5は本発明の実施例における粗耕起作業機のビーム20に、作業進行方向右側に反転放擲する掘削反転放擲ユニット30(図4中の左側に示す組み立て図参照)と、作業進行方向左側に反転放擲する掘削反転ユニット30(図4中の右側に示す組み立て図参照)のそれぞれの外観図を表している。それぞれチゼル31と図4の金属製ブラケットの35a、35bの取付け時の材料の厚さの相違により生じる段差(凹部と凸部が噛み合う取付け部の段差)には、この図のように摩擦減少部材34a、34bおよび耐摩耗金属板33a、33bの厚みによって、図5に示すようになくなる。
【0024】
これによって、摩擦減少部材34a、34bと耐磨耗金属板33a、33bの合い面は、図5に示すように、それぞれの表面が段差なく滑らかに連続するように構成され、土の部品への引っ掛かりや入り込みを防いでいる。チゼル31の表面から、耐磨耗金属板33a、33bの表面と摩擦減少部材34a、34bの表面へ続く曲面は、合い面、即ち連続した曲面で構成されており、これらのチゼル31、耐磨耗金属板33a、33b及び摩擦減少部材34a、34bの合わさった表面で、掘削部S、反転部T、放擲部Uを構成している。
【0025】
図5において、掘削部Sの曲面はビーム20の前縁に沿って上部20Uにむかって延びていて反転部Tにおいて土を耕起反転するために、作業進行方向の右あるいは左の方向に連続的に曲率変化させた曲面を左右のどちらかに捻りながら放擲部Uに展開されている。
【0026】
この連続曲面に加えて、図4の曲面Xのように反転部から放擲部Uにかけて曲面部の中央部分に沿って垂直方向に膨らみを連続的に入れて反転放擲部に窪みの曲面でなく膨らみをもたせた曲面を入れることで、掘削部で掘削されて反転部に連続した曲面に沿って上がってきた土を、膨らみをもたせた曲面でほぐして速やかに放擲部に速やかに送ることで土の付着を防ぐおおきな役割を持つことになる。
【0027】
この図4の曲面Xは、図4において、摩擦減少部材34a、34bを図の状態で上部よりみた形状34a´、34b´において示されている。なお、図4中の35a´、35b´はそれぞれ金属製板状のブラケット35a、35bを図の状態で上部より見た形状を示している。
【0028】
そして、図5において、掘削反転放擲ユニット30におけるチゼル31の先端から摩擦減少部材34a、34bの上端までの高さを、前記特許文献2の特許第3387736号における摩擦減少部材22(特許文献2の図1、4参照)の高さと比較すると、明らかに本発明の掘削反転放擲ユニット30における上記高さのほうが低く製作されている。このことにより、摩擦減少部材の長さが長いため、土を移動、反転、放擲すると上方に土が舞い上がり、うまく側方に落ちない、またフレームに土が当ってしまい作業後の整備に手間がかかるという課題に対して、本発明では、フレームより低い位置で反転放擲されて排出することでその解決を図ったものである。
【0029】
そして摩擦減少部材34a、34bにプラスチック性の材料を使用することで、土の付着を抑え、付着による作業機の重量増加を軽減し、作業効率の向上に努めることができる。ただ、反転部すべてにプラスチック性の材料を使用してしまうと、はじめに土と接触する部分から直ちに磨り減ってしまい、摩擦減少部材34a、34bの交換時期を早めてしまい、維持管理の経費に負担を与えるので、本発明のごとく、その磨り減り部分に耐磨耗金属板33a、33bを用いる構成とすれば、部品の耐用期間を延ばすことができるので、経費節約を図ることができる。
【0030】
図6は、従来の粗耕起作業機に使用されているビーム20に取り付けている従来の掘削反転放擲ユニットの3つの異なる構成を示す図である。これら従来の掘削反転放擲ユニットは、掘削部Sから反転部Tへの曲面はビーム20の前縁に沿った1つの半径で構成されている曲面(曲率が一定の曲面)なので、掘削反転された土や有機物、残渣物が、作業進行方向に作業機が進行すると、ユニットの前方に回りこむように排出されて詰まってしまい、作業効率が落ちていたのである。
【0031】
しかしながら、本発明の掘削反転放擲ユニット30では、図5の左側に示す掘削反転放擲ユニット30は作業進行方向の右に、図5の右側に示す掘削反転放擲ユニット30は作業進行方向の左側に、土を排出するようにして、従来の粗耕起作業機における上記詰まりの問題を解決することができる。
【0032】
図7は、本発明の実施例における粗耕起作業機のローラユニット50を示す図である。ローラユニット50は、プレート51a、プレート51c、プレート51b、プレート52が、ボルト53Kで枢着されて構成される平行リンクを備え、後フレーム10bに対して、上下動可能に取り付けられている。
【0033】
即ち、プレート51aの前端は、後フレーム10bに固着しているプレート15にボルトで結合され後フレーム10bに固定されて取り付けられている。プレート51aの前端に近い部分及びプレート51cの前端は、それぞれ2枚のプレート51bの上端及び下端に挟持され、カラー55及びボルト53Kによって、回転可能に取り付けられている。同様に、プレート51a及びプレート51cの後端に近い部分は、それぞれ2枚のプレート52の上端及び下端に挟持され、カラー55及びボルト53Kによって、回転可能に取り付けられている。
【0034】
図8は、本発明の粗耕起作業機の実施例における耕深が浅い場合におけるローラユニット50の状態を表す図である。この図8のZ部に示すように、ピン54で2枚のプレート52が、プレート51aに対してボルト53Kを中心に上方(反時計針回りの方向)に回転しないようにして最も耕深が浅い場合の耕深規制をしている。
【0035】
このような耕深の調整は、プレート52にあけられた複数の孔の位置に選択的にピン54を通し、作業環境に適した耕深の設定を可能にしている。またピン54aはローラユニット50をプレート51aに対して相対的に下降させた場合における最下降位置を規制し、ローラ全体が下方に落ちないようにしている規制のためのピンであり、このピンの挿入位置は一定の位置であり変わらない。

【0036】
図9は、本発明の実施例のローラユニット50の全体構成を示す図及びローラ回転軸部の詳細を示す図である。ローラフレーム56は、パイプ56a、パイプ56aの両端に固定されたプレート56b、及びパイプ56aの左右の部分に固定された2枚のプレート56cより構成され、これらは互いに固着されている。プレート56cの前端部は、図7及び図8に示すように、平行リンクの一部をなすプレート51cの後端部にボルトで固定されている。
【0037】
ローラは、複数のバー61が螺旋状に緩やかに巻きつけるように同心上に配置された複数のプレート58に固着され、両端のプレート58には、それぞれその中心にシャフト57が固着されている構成となっている。両端のプレート56bには、それぞれベアリングユニット62がボルトで固定されている。このベアリングユニット62によって、プレート58より外側に突出しているシャフト57が、プレート56bに対して回転可能に取り付けられている。
【0038】
また、両端のプレート58より内側のシャフト57の部分には、ベアリングユニット63によってブラケット59が回転可能に取り付けられている。ブラケット59の先端に設けられたボス部には、直線形状しているバー60が挿入されボルトで固定されている。

【0039】
本発明の粗耕起作業機では、このようなローラユニット50を設けたので、作業中にローラが回転してもブラケット59、ベアリングユニット63自体、及びバー60は、回転しない。そのためローラ内に侵入した土塊を、ローラの回転とともに回転させてバー61に衝突させて土塊を砕いて小さくするとともに、ローラの外に排出させてローラ内への土塊侵入による重量増加を抑えて作業効率を向上させる働きをするのである。
【0040】
また作業終了時や、作業中走行方向を変更するような場合にローラを上昇させると、ローラの最大上昇点において、前記ブラケット59及びバー61が、シャフト57を中心にして振り子のような動きをして、ローラ内に溜まった土塊を外に排出ことも可能であり、粗耕起作業機100の清掃作業の軽減にも役に立っている。
【0041】
図10は、本発明の実施例のタインユニット70を示す図であるタインユニット70はタイン71、Uボルト72、ブラケット73、プレート74、パイプ75、プレート76、Uボルト77等を備えている。2枚のプレート76は、それぞれに形成された孔にパイプ75が回転できない状態で挿入されており、図7および図8で詳述している2枚のプレート51cにボルトで結合している。プレート74に通したUボルト77をパイプ75に跨いで通し、プレート76の内側に固定して、パイプ75が作業進行幅方向に動かないように固定する。複数のUボルト72は、それぞれパイプ75を跨いで通し、上部で折り曲がったタイン71の曲げ部に差込み、この曲げ部にブラケット73をあてて、Uボルト72にナットを螺着してパイプ75にタイン71を固定している。
【0042】
さらに、タインユニット70は図7および図8に示すように、作業耕深が変化しても前記平行リンクの下部のプレート51cに結合されているので、ローラと同時に可動することができ、砕土、鎮圧の作業が一定化することが可能となる。
【0043】
図11は、本発明の粗耕起作業機の実施例において、作業進行方向右側と左側に設けられたサイドカバーユニット40を示す図である。サイドカバーユニット40は、カバー41、アーム42a、42b、座金43、ブラケット44a、44b、及びピン45から構成されている。
【0044】
ブラケット44a、44bは、それぞれその一面にシャフト44a’、44b’とバー46a、46bを固着しており、44aと44bは、互いに対称の部品である。アーム42aと42bも、互いに対称の部品であり、それぞれ一方にボスを固着しており、他方はカバー41とボルトにて締結されている。ブラケット44aのシャフト44a’にアーム42aのボスを挿入し、座金43をシャフトにいれ、ピン45で抜け止めをする。ブラケット44bも同様である。
【0045】
このような構成とすることで、作業進行方向右側と左側に設けられたカバー41は、それぞれ左右のアーム42a、42bとともに、シャフト44a’、44b’を中心にして、回転可能な状態に構成される。その結果、粗耕起作業機が作業中に上下に移動しても、作業進行方向右側と左側に設けられたカバー41は、粗耕起作業機本体とともに上下動することなく、シャフト44a’、44b’を中心にして常に自重方向に回転力が作用している。
【0046】
しかしながら、粗耕起作業機を耕起するために下降した場合に、掘削部が地面に付く前に、サイドカバー41がその自重によってシャフト44a’、44b’を中心にして下方に回転して地面についてしまうと、壊れるおそれがある。そこで、この危険を防止するために、ブラケット44a、44bに固定されたバー46a、46がサイドカバー41に当接して、イドカバー41が下方に必要以上回転することを規制するような構成となっている。以上のようなサイドカバーユニット40を設けたので、掘削反転放擲ユニットで左右どちらかに移動する土を確実にカバー41より作業機の外に移動するのを防ぐことができる。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明は、従来の他の簡易耕起作業機、耕起作業機に比べ、作業後における圃場での土の移動が少ないため、次の作業(土を戻す作業)が不要かつ、砕土、鎮圧作業も同時にこなし、作業耕深も従来の作業機に比べ浅いので作業速度の増大化、作業効率そして燃料効率の向上を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例を示すトラクタに装着した状態の平面図である。
【図2】本発明の実施例を示す粗耕起作業機をトラクタに装着した状態の側面図である。
【図3】本発明の実施例を示す粗耕起作業機を作業進行方向右前方より見た斜視図である。
【図4】本発明の実施例を示す粗耕起作業機のビームに、作業進行方向右側に土を放擲する掘削反転放擲ユニットと、作業進行方向左側に土を放擲する掘削反転放擲ユニットを取付けた構成を示す組立図である。
【図5】本発明の実施例を示す粗耕起作業機のビームに、作業進行方向右側に反転放擲する掘削反転放擲ユニットと、作業進行方向左側に反転放擲する掘削反転ユニットのそれぞれの外観図である。
【図6】従来の粗耕起作業機に使用されているビームに取り付いている従来の掘削反転放擲ユニットの図である。
【図7】本発明の実施例を示すローラユニットの図である。
【図8】本発明の実施例を作業機の耕深が浅い場合におけるローラユニットの状態を表す図である。
【図9】本発明の実施例を示すローラユニットの詳細を表す図である。
【図10】本発明の実施例を示すタインユニットの図である。
【図11】本発明の実施例を示す作業進行方向右側と左側に構成されたサイドカバーユニットを示す図である。
【符号の説明】
【0049】
200 トラクタ

アッパリンク
L ロアリンク
100 粗耕起作業機
10 フレームユニット
10a 前フレーム
10b 後フレーム
11 マスト
11X リンクピン
12 ブラケット
12a ブラケット
12X リンクピン
13 サイドプレート
14 プレート
15 プレート
16 ブラケット
20 ビーム
20A ビーム下端部
20U ビーム上端部
30 掘削反転放擲ユニット
31 チゼル
31X 皿ボルト
32 ウイング
33a、33b 耐磨耗性金属板
34a、34b 摩擦減少部材
34K 皿ボルト
35 ブラケット
35X 皿ボルト
36 ブラケット
40 サイドカバーユニット
41 カバー
42 アーム
43 座金
44 ブラケット
45 ピン
50 ローラユニット
51a プレート
51b プレート
51c プレート
52 プレート
53K ボルト
54 ピン
55 カラー
56 ローラフレーム
56a パイプ
56b プレート
56c プレート
57 シャフト
58 プレート
59 ブラケット
60 バー
61 バー
62 ベアリングユニット
63 ベアリングユニット
70 タインユニット
71 タイン
72 Uボルト
73 ブラケット
74 プレート
75 パイプ
76 プレート









【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機を構成する前フレームと後フレームと、前フレーム及び後フレームのそれぞれに固定された偶数個のプレートに取り付けられた複数のビームと、該複数のビームにそれぞれ取付けられた掘削反転放擲ユニットとを備えた粗耕起作業機において、
前フレームに取り付けられた複数の掘削反転放擲ユニットは、全てが作業進行方向に向かって左側又は右側のいずれか一方の放擲側に向けて土を放擲するように構成されており、
前記前フレームの該放擲側の端部に金属製板状のカバーが取付けられており、後フレームに取り付けられた複数の掘削反転放擲ユニットは、全てが前フレームに取り付けられた複数の掘削反転放擲ユニットとは逆に、作業進行方向に向かって右側又は左側のいずれか一方の放擲側に土を放擲するように構成されて、前記後フレームの該放擲側の端部に金属製板状のカバーが取付けられており、
前記前フレームのカバー及び後フレームのカバーは、それぞれ掘削反転放擲ユニットによってそれぞれの前記放擲側へ放擲される土の移動を、作業機幅内に抑えるようにすることを特徴とする粗耕起作業機。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−94037(P2010−94037A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−265243(P2008−265243)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【出願人】(391057937)スガノ農機株式会社 (25)
【Fターム(参考)】