説明

粘性体成形方法

【課題】外壁材の係合形状のような比較的複雑な形状の形成も含めて一度の成形工程で成形可能とし、成形品の生産性を高める。
【解決手段】粘性体を口金を通して押出すことにより所定の粘性体成形品を形成する粘性体成形方法であって、口金から押出される粘性体は、押出方向に沿って複数列に切り離された状態で連続して押出され、この複数列のうちの押出中心側の一列を成形品71とし、残りの列は除去物73として成形品71に接触しないように分離し、連続して押出された成形品71は所定長さで切断される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口金を通して粘性体を押出すことにより所定の粘性体成形品を形成する粘性体成形方法に関する。
【背景技術】
【0002】
住宅の外壁として、セメント製の外壁材を、住宅の外壁下地材に固定された金具に係合させて固定するものがある。一例として下記特許文献1に開示されたものがある。かかる外壁材は、平板状を成し、その上端縁と下端縁とが金具に係合される構造とされている。そのため、上下端縁は係合形状とされる必要がある。しかし、セメント材の成形時に比較的複雑な係合形状も含めて一度に形成することは困難であり、そのため、係合形状は外壁材を平板状に成形後にダイヤモンドカッター等によって切削加工して形成されている。
しかし、そのような形成方法は手間がかかり、製造コストを高くしてしまう。そこで、粘土を口金を通して押出すことにより係合形状も含めて一度に形成することが発明者によって試行されてきた(非公知)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−73517号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、試行の結果は、係合形状部分にひび割れやささくれが生じて成形品として必要な品質を確保することができなかった。この原因を追究した結果、係合形状部分は成形品の板厚が他に比べて薄い部分があるため、粘土が押出される際の流動抵抗が他の部分に比べて大きく、そのため係合形状部分では他の部分に比べて粘土の押出速度が遅くなる。それにも関わらず、成形品は一体のものとして同時に押出されるため、速度の遅い係合形状部分の表面がひび割れたり、ささくれたりしてしまうことが判った。
本発明は、このような問題に鑑み、一度の成形工程で係合形状のような比較的複雑な形状の形成も含めて成形可能とし、成形品の生産性を高めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、粘性体を口金を通して押出すことにより所定の粘性体成形品を形成する粘性体成形方法であって、口金から押出される粘性体は、押出方向に沿って複数列に切り離された状態で連続して押出され、この複数列のうちの押出中心側の一列を成形品とし、残りの列は除去物として成形品に接触しないように分離し、連続して押出された成形品は所定長さで切断されることを特徴とする粘性体成形方法である。
本発明によれば、口金を通して押出される粘性体を切断するのみで成形品が形成されるため、一度の成形工程で成形品の形成ができる。また、複数列の粘性体のうち、成形品とするものと、それ以外の除去物とを分離し、押出された成形品に除去物が触れないようにしているので、両者間で押出速度に微妙な差が生じても、速度差のある除去物が成形品に触れることで生じる成形品表面のひび割れやささくれを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】本発明に係る粘性体成形装置の一つの実施形態の口金を含む主要部を示す正面図である。
【図2】図1と同様の実施形態における主要部の平面図である。
【図3】図1と同様の実施形態における側面図である。
【図4】図1と同様の実施形態の周辺部を示す部分断面正面図である。
【図5】図4と同様の実施形態における一部の部分断面平面図である。
【図6】図1と同様の実施形態における左側のサイドダイを示す正面図である。
【図7】図6と同様の左側のサイドダイの下面図である。
【図8】図1と同様の実施形態における右側のサイドダイを示す正面図である。
【図9】図8と同様の右側のサイドダイの底面図である。
【図10】図1と同様の実施形態における中玉を示す正面図である。
【図11】図10と同様の中玉の平面図である。
【図12】図10と同様の中玉の側面図である。
【図13】図1と同様の実施形態における出足調整部品を示す正面図である。
【図14】図13と同様の出足調整部品の平面図である。
【図15】図13と同様の出足調整部品の側面図である。
【図16】上記実施形態により成形品が押出されている状態を示す斜視図である。
【図17】図16と同様の斜視図であり、別角度から見た斜視図である。
【図18】図16、17と同様の斜視図であり、より広範囲に見た斜視図である。
【図19】上記実施形態により成形された成形品を示す斜視図である。
【図20】上記実施形態の第1の変形例を示す説明図である。
【図21】上記第1の変形例における溝付け部品を示す正面図である。
【図22】図21と同様の溝付け部品の側面図である。
【図23】上記実施形態の第2の変形例を示す説明図である。
【図24】上記第2の変形例におけるカッターを示す正面図である。
【図25】図24と同様のカッターの底面図である。
【図26】図24と同様のカッターの側面図である。
【図27】上記第2の変形例におけるカッターの別形態を示す正面図である。
【図28】図27と同様のカッターの底面図である。
【図29】図27と同様のカッターの側面図である。
【図30】上記実施形態の第3の変形例を示す説明図である。
【図31】上記第3の変形例における溝付け部品を示す正面図である。
【図32】図31と同様の溝付け部品の側面図である。
【図33】上記実施形態の第4の変形例を示す正面図である。
【図34】上記第4の変形例における平面図である。
【図35】上記第4の変形例における側面図である。
【図36】上記第4の変形例におけるサイドダイ及び出足調整部品の正面図である。
【図37】図36と同様のサイドダイ及び出足調整部品の平面図である。
【図38】図36と同様の出足調整部品の正面図である。
【図39】図38と同様の出足調整部品の平面図である。
【図40】図38と同様の出足調整部品の側面図である。
【図41】図36と同様のサイドダイ及び出足調整部品の斜視図である。
【図42】図36と同様のサイドダイ及び出足調整部品が台金に組み付けられた状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の一実施形態として、住宅の外壁材の成形に本発明を適用した場合について図面に基づいて説明する。この実施形態において粘性体としては一般的に屋根瓦を生産するのに用いられる粘土を使用している。
図19に、この実施形態によって成形された外壁材を示している。外壁材としての成形品71には、外壁材として使用される際に上端縁となる端部71bと下端縁となる端部71aとが複雑な押出形状部として形成され、成形品71本体には軽量化や断熱性能向上のため多数の中空71cが形成されている。
図4、5には、上記成形品71を成形するための成形装置の全体が示されている。成形装置50は、粘土を受け入れて次工程へ送り出すための受入部51と、受け入れた粘土から空気を除去する脱気部55と、空気を除去された粘土を口金10に向けて押出す押出部58と、押出された粘土を口金10へと導く土溜部59と、本発明の主要部である口金10とから成る。
受入部51は、外部から粘土を受け入れるためのホッパー51aと、受け入れた粘土を脱気部55へ向けて送る羽根53と、下方の羽根53に向けて受け入れた上部の粘土を押込む一対の押込羽根52を備える。なお、羽根53及び押込羽根52を回転させるため各軸端にはモータ(不図示)が接続されている。
脱気部55は、真空ポンプ(不図示)が接続された気密室55aを備え、受入部51から送られた粘土は気密室55aの入口54で粘土の壁を形成するように構成されている。また、脱気部55の下方には、受入部51の羽根53と同軸でスクリュー57を備え、スクリュー57の上部には受入部51におけると同様一対の押込羽根56を備える。脱気部55は、以上の構成により口金10に向けて押出される粘土中に空気が混入しないようにしている。
脱気部55からの粘土は押出部58で圧力を加えられて土溜部59を介して口金10から押出される。
【0008】
図1〜3には、口金10の詳細を示している。口金10は、土溜部59の出口に結合される台金11と、台金11に固定され、粘土の押出通路を形成する上下のトップダイ12、13及び左右のサイドダイ14、15とを備える。台金11には、その押出通路に対応して開口部11aが形成されており、この開口部11aの開口は押出通路の開口を含み、それより大きい開口面積とされている。また、台金11には、左右両側に粘土の押出方向で見て上流側である後方に、それぞれ支柱18,19が固定されており、支柱18、19には、出足調整部品30と中玉40が支持されている。更に、台金11には、トップダイ12、13及びサイドダイ14、15によって形成されている粘土の押出通路を囲むように複数の出足調整金具21〜28が固定されている。
出足調整部品30及び出足調整金具21〜28は、粘土が押出通路を通る際の流動抵抗が全体として均一となるように、それぞれの固定位置や形状を調整される。
なお、台金11の後方に固定される各部品は、土溜部59内に位置している。
上下のトップダイ12、13は、両者間の隙間が成形品71の厚さとなるように台金11にボルト(不図示)にて固定され、左右のサイドダイ14、15は、両者間の隙間が成形品71の幅となるように上下のトップダイ12、13間に挟み込まれ、トップダイ12を上下に貫通するボルト(不図示)によって前後方向の位置決めがされている。上下のトップダイ12、13間は左右両側に固定板16、17をボルト締めすることにより固定されている。固定板16、17は、トップダイ12、13の前方側に固定されても良い。
【0009】
図6〜9に示すように左右のサイドダイ14、15は、それぞれ先端部に切刃14a,15aを備え、切刃14a,15aの形状は、それぞれ外壁材としての成形品71の下端縁となる端部71aと上端縁となる端部71bの形状を出すように形成されている。各サイドダイ14、15には、各切刃14a,15aを含む環状部が形成され、それぞれに粘土が押出される小通路14c,15cが形成されている。図7及び9に良く示されるように、各切刃14a,15aを含む環状部は、その前後方向(粘土の押出方向)の寸法が各サイドダイ本体14b、15bのそれの約4分の1程度とされ、サイドダイ本体14b、15bの前側(粘土の押出側)に形成されている。なお、各サイドダイ本体14b、15bの前後方向寸法は、各トップダイ12、13のそれと等しくされている。これは、環状部によって形成される小通路14c,15cを通過する粘土の流動抵抗がサイドダイ14、15から離間した中央部のそれより大きくなり易いため、環状部の前後方向寸法を口金を成すトップダイ12、13の前後方向寸法より小さくして流動抵抗が全体として等しくなるようにしている。
切刃14a,15aは、口金10を形成する一部品であるサイドダイ14、15の一部に形成されているため、押出形状が複雑でも簡単に、しかも低コストで構成できる。また、サイドダイ14、15を交換することにより種々の形状の成形品を形成できる。
各サイドダイ本体14b、15bの上下方向には貫通孔14d,15dが形成され、サイドダイ14、15の前後方向の位置決めのためトップダイ12を貫通するボルト(不図示)が貫通するようになっている。また、サイドダイ本体14b、15bには、両外側に雌ネジ14e,15eが切られており、雌ネジ14e,15eは上述の左右の固定板16,17に両外側から貫通する調整ネジ(不図示)に螺合されて、調整ネジの回転により両サイドダイ14、15の左右方向位置を調整できるようにされている。
【0010】
図10〜12は、中玉40の詳細を示している。中玉40は、両端部43、44において支柱18、19が挿入されることによって台金11の後方に支持される板状体41と、該板状体41の前方側に多数突出して形成された棒状体42とを備える。板状体41は、粘土の流動抵抗を抑えるように後方側(粘土の押出方向上流側)に向けて先細に形成されている。
各棒状体42は、左右方向寸法が、板状体41に近い側42a(粘土の押出方向上流側)より先端側42b(粘土の押出方向下流側)が大きくされ、上下方向寸法が、先端側42bより板状体41に近い側42aが大きくされている。このような寸法関係とすることにより、棒状体42同士間の隙間が粘土の上流側で大きく下流側で小さくなるため、上流側の隙間に多めに入った粘土が下流側に行くに従って小さな隙間に押し込められ、棒状体42によって形成される成形品71の中空71c同士間の粘土の密度が粗くなるのを防止できる。しかも、棒状体42の板状体41に近い側42a(上流側)が左右方向寸法で小さくされていても上下方向寸法では大きくされているため、板状体41に近い側42aで必要な棒状体42の強度を確保することができる。また、棒状体42は、その先端(粘土の押出方向下流端)が図2に良く示されているように口金10の出口まで伸びている。
なお、粘土は板状体41の部分を通過することにより上下に切り離されるが、板状体41を通過した後は再び上下に分離されたものが接触することにより一体化される。これは粘土内に空気が混入していないため、切り離された部分に分離層が形成されないことによる。この結果、中玉40により成形品71には多数の中空71cが形成されることになる。
成形品71の中空71cは、中玉40の棒状体42の断面形状や板状体41への取付位置を変更することにより種々の形状を選択することができる。勿論、同一成形品の中にある複数の中空の形状や位置を相互に異ならせることもできる。
【0011】
図13〜15は、出足調整部品30の詳細を示す。出足調整部品30は左右方向に幅広で、幅方向の中央部が上下に僅かに拡げられた通路体31を成し、左右両端部32、33が支柱18、19に貫通されて固定されることによって台金11の後方に支持されている。通路体31の左右端には、そこを流れる粘土の流動抵抗を調整するための抵抗体34〜39が通路体31と一体に形成されている。これらの抵抗体34〜39は、流動抵抗調整のため、いろいろな形状や大きさのものとされる。なお、両端部32、33の支柱18、19が貫通する孔部32a,33aには、上方からネジ(不図示)が螺合される雌ネジ32b,33bが形成されている。これにより支柱18、19上での出足調整部品30の位置を任意に調整可能としている。
【0012】
上述の成形装置50を作動させて、粘土を口金10から押出すと、3列の粘土の帯が押出される。一列は中央のもので、これは外壁材とされる成形品71であり、左右端の2列はそれぞれ各サイドダイ14、15の小通路14c,15cから押出される除去物72,73である。除去物72,73は粘土として再度受入部51へ戻されて再利用される。出足調整部品30及び出足調整金具21〜28により粘土が押出通路を通る際の流動抵抗が全体として均一とされ、しかも切刃14a,15aの部分の前後方向寸法を口金の対応する部分の寸法より短くして流動抵抗を成形品全体として均一としているため、複雑な押出形状部分を含めて成形品71は全体として同じ速度で押出され、成形品表面のひび割れやささくれを防止できる。しかも一度の成形工程で後加工なしで成形品の形成ができる。
また、左右端の2列の除去物72,73は、図16及び17に示すように中央の成形品71から分離して成形品71に触れないようにしている。これにより成形品71と除去物72,73との間で押出速度に微妙な差が生じても、速度差のある除去物72,73が成形品71に触れることで生じる成形品表面のひび割れやささくれを防止できる。
図16及び18に示すように成形品71は、口金10の押出出口部に設けられたローラ列61により送られ、ローラ列61脇の一対のガイドバー63,64によってスライド自在に支持されたスライダ62に沿ってカッター(不図示)を移動させることにより所定の長さに成形品71を切ることができる。
【0013】
図20〜22は上述の実施形態の第1の変形例を示す。ここでは、トップダイ12の前下方に2個の溝付け部品81を左右方向に並べて固定し、粘土の通路を部分的に横切るように突部81aを設けている。溝付け部品81の突部81aの上方にはスリット81bが形成され、トップダイ12に対する溝付け部品81のボルト(不図示)による取付位置をスリット81bを通して上下方向で調整することにより突部81aの押出通路内への突出量を調整可能としている。
第1の変形例によれば、成形品71の上面に押出方向に連続する2すじの溝を形成でき、好みに応じて成形品71の意匠性を高めることができる。
【0014】
図23〜29は、上述の実施形態の第2の変形例を示す。ここでは、トップダイ12の前下方にカッター82が固定されている。この場合、トップダイ12は上述の実施形態の場合に比べて上方に位置し、下側のトップダイ13との隙間が広くされている。このため、左右のサイドダイ14、15の上方とトップダイ12の下方との間にサイドダイ押え14f,15fが設けられている。カッター82の下端には、多数の刃82a(本発明の突部に相当する)が下方に向けて突設されている。刃82aの上下寸法はサイドダイ押え14f,15fの上下寸法と等しくされている。このため、粘土が押出されると、上述の実施形態の場合に比べて厚みを増した成形品とされるとともに、その上面に多数の押出方向の溝が形成される。このとき、刃82aがあることにより粘土の流動抵抗が増加するのを抑制するため、刃82aは粘土の流れの上流側が先細に形成されている。
図27〜29のカッター83は、カッター82に対し刃の別形態を示し、刃83aの下端後方が切り欠かれている。これは図24〜26の刃82aに比べて粘土の流動抵抗を更に抑制するための形状である。即ち、粘土に触れる刃の表面積を減らしている。
以上の第2の変形例によれば、上記第1の変形例と同様の溝が多数形成されるため、第1の変形例の成形品とは別意匠の製品を得ることができる。また、成形品を乾燥して硬化させた後に溝同士の間の粘土を割って取り除くことにより、成形品表面を割れ面とすることができ、更に別の意匠を備えた製品を得ることができる。
【0015】
図30〜32は、上述の実施形態の第3の変形例を示す。ここでは、第1の変形例と同様にトップダイ12の前下方に2個の溝付け部品84を左右方向に並べて設けている。この場合、トップダイ12は上述の第2の変形例の場合と同様に上方に位置し、下側のトップダイ13との隙間が広くされている。このため、左右のサイドダイ14、15の上方とトップダイ12の下方との間にサイドダイ押え14f,15fが設けられている。各溝付け部品84の下端には、それぞれ突部84aが下方に向けて突設されている。突部84aの上下寸法はサイドダイ押え14f,15fの上下寸法より僅かに大きくされている。両サイドダイ14、15の上面と両サイドダイ押え14f,15fの下面との間で、且つそれらの前面には、切断材としてピアノ線(図示省略)が張られて固定されている。両溝付け部品84の突部84aの後面で、ピアノ線と対応する位置には、ピアノ線を収納する溝84cが設けられている。
このため、粘土が押出されると、上述の第2の変形例の場合と同様に厚みを増した成形品が押出されるが、押出口にピアノ線と溝付け部品84があるため、上述の第1の変形例と同様の成形品が形成される。ただし、第3の変形例の場合は成形品の上面部74がピアノ線によって切断されるため、第1の変形例の場合の成形品に比べて上面にひび割れやささくれを持つ荒れた表面となる。これにより上面が平坦とされた成形品とは違う趣きの製品を造ることができる。なお、好みに応じて成形品の上面の粗さをピアノ線の種類により任意に選択することができる。また、ピアノ線に代えて他の切断材を用いて成形品の上面の表情を好みに応じて変えることができる。
【0016】
図33〜35は、上述の実施形態の第4の変形例を示す。ここでは、サイドダイ114,115に出足調整部品125(本発明における嵌合部に相当する)が一体に設けられている。出足調整部品125は上述の一実施形態における出足調整部品25と同様の機能を有する。なお、図33及び図34では、説明の簡略化のためサイドダイ114に一体に設けられた出足調整部品の図示を省略しており、説明も省略する。サイドダイ114とサイドダイ115は切刃の形状の違いを除いて左右対称形状であり、出足調整部品も左右対称形状を成している。
出足調整部品125は、図38〜図40に示されるように断面コ字状を成し、コ字状の外形が台金11の開口部11aの側端部に嵌合され(図42参照)、コ字状の内側125b(本発明における粘性体通路に相当する)が粘土の通路を成すように台金11に組み付けられている。出足調整部品125は、その上下寸法が台金11の開口部11aの上下寸法内に嵌る大きさとされている。
サイドダイ115と出足調整部品125とは、両者のねじ穴115b,125aにねじ込まれるボルト125cによって一体化されている(図41参照)。両者が一体化された状態では、出足調整部品125の粘土の通路を成す部分、つまりコ字状の内側125bの粘土の流れの下流側にサイドダイ115の切刃115aが対応するようにされている。出足調整部品125はコ字状の内側125bを通る粘土の流動抵抗を調整するためにコ字状の内側125bの大きさを変えた複数のものから適宜選択して使用するようにされている。図41、42に図示された出足調整部品125は図33〜40に図示された出足調整部品125よりコ字状の内側125bの大きさの大きいものが選択されている。
図33〜35において、121は上記一実施形態における出足調整部品21に相当する出足調整部品で、ここでは、出足調整部品121が台金11の開口部11a内に位置するようにトップダイ12に固定されている。図33〜35では、説明の簡略化のため図示を省略したが、トップダイ12に固定された出足調整部品121に対応して、トップダイ13にも出足調整部品が固定され、この出足調整部品も出足調整部品121の下側で台金11の開口部11a内に位置するようにされている。
図33〜35では、第4の変形例で特徴的なサイドダイ115、出足調整部品125及び出足調整部品121を判り易くするため、便宜的にハッチングを施して示している。
【0017】
第4の変形例によれば、台金11に対してトップダイ12とサイドダイ115を固定する際に、図42に示されるように、出足調整部品125を台金11の開口部11aに嵌合させることによりサイドダイ115の位置が決められるため、サイドダイ115を支持点として、トップダイ12、13を保持して固定することができ、トップダイ12、13及びサイドダイ115を位置精度良く、且つ作業性良く固定することができる。
また、出足調整部品125において粘土の通路を成す部分、つまりコ字状の内側125bは、粘土の流動抵抗を調整する機能を有するため、流動抵抗を調整するための部品を他に設ける必要はなくなり、装置全体の構成を簡素化できる。しかも、出足調整部品125は、装置の粘土出口付近である台金11の開口部11aに位置するため、台金11の上流側に出足調整部品25を設ける一実施形態の場合に比べて、流動抵抗を調整するため出足調整部品125を交換する作業が容易にできる。
更に、出足調整部品125とサイドダイ115とは別体とされているため、粘土の流動抵抗を調整するために出足調整部品125のコ字状の内側125bの大きさを変更したいとき、サイドダイ115はそのままで、コ字状の内側125bの大きさを変えた別の出足調整部品125に交換することにより対応でき、出足調整部品125のみを交換に必要とする数量用意することで対応することができる。
【0018】
本発明は、上記実施形態で説明した外観、構成に限定されず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除が可能である。例えば、
1.本発明の粘性体成形方法は、外壁材以外にもセラミックス製歯車の成形にも適用できる。これは断面が歯車形状の棒体を口金から押出し、その棒体を任意の長さに切断することにより形成できる。
2.粘性体としては磁器製品を造るための粘土でも良い。
【符号の説明】
【0019】
10 口金
12、13 トップダイ
14、15、114、115 サイドダイ
14a、15a、115a 切刃
40 中玉
50 成形装置
125 出足調整部品(嵌合部)
125b 出足調整部品の断面コ字状の内側(粘性体通路)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
粘性体を口金を通して押出すことにより所定の粘性体成形品を形成する粘性体成形方法であって、口金から押出される粘性体は、押出方向に沿って複数列に切り離された状態で連続して押出され、この複数列のうちの押出中心側の一列を成形品とし、残りの列は除去物として成形品に接触しないように分離し、連続して押出された成形品は所定長さで切断されることを特徴とする粘性体成形方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【公開番号】特開2013−75530(P2013−75530A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2013−13048(P2013−13048)
【出願日】平成25年1月28日(2013.1.28)
【分割の表示】特願2011−8564(P2011−8564)の分割
【原出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【出願人】(595120655)株式会社石川時鐵工所 (6)
【Fターム(参考)】