説明

粘着テープの供給装置

【課題】省力化が図れる粘着テープの供給装置
【解決手段】テープ先端保持作業位置Aにおいて保持装置19で保持した粘着テープTの先端側Taを、テープ先端受渡し作業位置Bまで送り出して保持装置19から分離する粘着テープの供給装置であって、作業位置Aから作業位置Bまで保持装置19を往復移動させる往復用移動装置21を設け、保持装置19は、回転する保持棒22と、作業位置Aにおいて保持棒22を粘着テープ先端側Taの粘着面に接触しつつ、巻付け方向へ回転させながら粘着テープの送り出し方向Fとは逆方向へ移動させ、また、テープ先端受渡し作業位置Bにおいて保持棒22を巻戻し方向へ回転させながら粘着テープ送出し方向Fへ移動させる保持・分離用移動装置20を備えたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巻戻し装置から巻き戻される状粘着テープの先端側をテープ先端受渡し作業位置まで送り出すと共に送り出される粘着テープを設定寸法に切断する粘着テープの供給装置に関するものである。粘着テープとしては、プラスチックフィルム、金属箔、紙等からなるシートの片面又は両面に粘着層を形成したものが用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来、巻戻し装置から巻き戻した粘着テープを設定寸法に切断して所定箇所に供給する方法がある。例えば、新旧ウエブの先端と後端とを突合わせた状態で新旧ウエブの先端縁と後端縁に跨がった状態でウエブ幅全域にわたって粘着テープを貼着して新旧ウエブを突合わせ接合するウエブの突合わせ継ぎ方法及び突合わせ継ぎ装置がある(特許文献1)。ウエブの突合わせ継ぎ装置は、吸着状態の保持面に貼着用の粘着テープを保持できるテープ保持装置を進退自在に備え、新旧ウエブの突合わせ箇所へ粘着テープを貼着させる貼着位置から前後方向へ延びる新旧ウエブの左右いずれか一方の外側となる待機位置までの間をテープ保持装置を進退できるようにしてある。そして、待機中のテープ保持装置に対する粘着テープの供給は、作業者の手作業で行われ、作業者が巻戻し装置から巻き戻して設定寸法に切断すると共に、切断した粘着テープをテープ保持装置に受け渡すように行われている。
【特許文献1】特開平10−305950号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、巻戻し装置から巻き戻した粘着テープを設定寸法に切断して所定箇所に供給することを作業者の手作業で行うことは、熟練と多くの手間を必要とする問題がある。
そこで、本発明は、上記問題を解決するめたに、省力化が図れる粘着テープの供給装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
省力化が図れるようにするために請求項1記載の本発明が採用した手段は、テープ先端保持作業位置において保持装置で保持した粘着テープの先端側を、テープ先端受渡し作業位置まで送り出して保持装置から分離する粘着テープの供給装置であって、粘着テープ送出し方向の上流側から下流側のテープ先端受渡し作業位置へ向かって順番にロール状粘着テープ用の巻戻し装置、表面がテープ先端保持作業位置となる作業テーブル及び送り出された粘着テープを設定寸法に切断するテープ切断装置を設け、テープ先端保持作業位置からテープ先端受渡し作業位置まで保持装置を往復移動させる往復用移動装置を設け、前記保持装置は、粘着テープ送出し方向を横断する方向に沿って延びて回転する保持棒と、テープ先端保持作業位置において保持棒を粘着テープの先端側の粘着面に接触しつつ、巻付け方向へ回転させながら粘着テープの送り出し方向とは逆方向へ移動させ、また、テープ先端受渡し作業位置において保持棒を巻戻し方向へ回転させながら粘着テープ送出し方向へ移動させる保持・分離用移動装置を備えたことを特徴とする粘着テープの供給装置である。
【0005】
切断された粘着テープを離れたテープ貼着作業位置まで搬送するために請求項2記載の本発明が採用した手段は、吸引保持可能なテープ保持面が形成され、前記テープ先端受渡し作業位置からテープ貼着作業位置まで往復移動可能なテープ保持・移動装置を備えた請求項1記載の粘着テープの供給装置である。
【0006】
巻戻し装置から粘着テープを円滑に巻き戻しつつ送り出すようにするために請求項3記載の本発明が採用した手段は、前記巻戻し装置と前記作業テーブルの間にテープ送出し装置を設け、テープ送出し装置は、前記往復用移動装置の保持装置送り速度と同期させて前記設定寸法だけ粘着テープを送り出すようにした請求項1又は2記載の粘着テープの供給装置である。
【発明の効果】
【0007】
請求項1記載の本発明に係る粘着テープの供給装置は、粘着テープの先端側を、保持棒に巻掛けて貼着した状態で保持してテープ先端保持作業位置からテープ先端受渡し作業位置まで保持棒と共に移動させ、テープ先端受渡し作業位置で保持棒から巻戻して受け渡すことで、粘着テープの先端側を確実にテープ先端受渡し作業位置まで引き出すことができ、また、テープ切断装置で粘着テープを設定寸法に切断することができるので、手作業に比べて省力化が図れる。
【0008】
請求項2記載の本発明に係る粘着テープの供給装置は、保持棒から巻戻した粘着テープをテープ保持・移動装置の保持面に吸引させた状態で、離れているテープ貼着作業位置まで確実に搬送することができる。
【0009】
請求項3記載の本発明に係る粘着テープの供給装置は、巻戻し装置に装着されているロール状に巻かれている粘着テープをテープ送出し装置で引っ張って円滑に巻き戻しつつ送り出すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る粘着テープの供給装置(以下、「本発明装置」と言う。)を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0011】
(第1の実施の形態)
図1乃至図10は本発明装置の第1の実施の形態を示すものであり、図1は本発明装置1の各動作の概略を示す正面図であって、(A)は保持棒22に粘着テープTの先端側を巻掛ける直前状態を示し、(B)は巻掛け終了状態を示し、(C)は保持棒22に巻掛けて保持した粘着テープTの先端側をテープ先端受渡し作業位置Bヘ向かって誘導する途中で粘着テープTを切断している状態を示し、(D)は保持棒22に巻掛けて保持した粘着テープTの先端側をテープ先端受渡し作業位置Bへ移動させた状態を示し、(E)は保持棒22から粘着テープTの先端側を巻き戻してテープ保持・移動装置7に引き渡した状態を示すものである。図2は本発明装置1の正面図であって往復移動装置21を中間省略して示すものであり、図3は本発明装置1の左側面図である。図4は本発明装置1の平面図であって往復移動装置21を中間省略して示すものである。
【0012】
図5は保持棒22に粘着テープTの先端側を巻掛ける前の待機状態を拡大して示す正面図、図6は粘着テープTをテープ切断装置6で切断している状態を拡大して示す正面図である。図7は保持棒22に粘着テープTの先端側Taを巻掛ける状態を拡大して示す正面図であって、(A)は巻掛け直前状態を示し、(B)は巻掛け終了状態を示すものである。図8は保持棒22に巻掛けて保持した粘着テープTの先端側Taをテープ先端受渡し作業位置Bへ向かって誘導している状態を拡大して示す正面図である。図9は保持棒22に巻掛けてある粘着テープTの先端側Taをテープ先端受渡し作業位置Bで巻戻す状態を拡大して示す正面図であって、(A)は巻戻す直前状態を示し、(B)は巻戻し終了の状態を示し、図10はテープ保持・移動装置7のテープ保持面7aへ受渡した粘着テープTの先端側Taから保持棒22を分離した状態を拡大して示す正面図である。なお、以下の説明において、上、下、左、右、前及び後は、各図面に示す通りである。
【0013】
本発明装置1は、図1に示すように、巻戻し装置3からテープ送出し装置4を介して送り出された粘着テープTの先端側Taの粘着面をテープ先端保持作業位置Aにおいて保持棒22に巻掛けて保持(同図(B)参照)し、保持棒22の移動に伴い送り出される粘着テープTを設定寸法に切断する(同図(C)参照)と共にテープ先端受渡し作業位置Bまで送り出して(同図(D)参照)保持棒22からテープ先端側Taを巻き戻して分離する(同図(E)参照)ものである。本発明装置1は、図2乃至図4に示すように、支持構造体8と、ロール状粘着テープRを巻戻し自在に支持する巻戻し装置3と、巻戻し装置3に装着されているロール状粘着テープRから粘着テープTを強制的に巻き戻して送り出すテープ送出し装置4と、表面9aがテープ先端保持作業位置Aとなる作業テーブル9と、テープ送出し装置4で送り出されると共に保持棒22で誘導される粘着テープTを設定寸法に切断するテープ切断装置6と、テープ先端保持作業位置Aからテープ先端受渡し作業位置Bまで粘着テープTの先端側Taを誘導するテープ先端誘導装置5とを備えている。支持構造体8は、上下へ延設した主部8aに基盤8bを接合し、基盤8bに巻戻し装置3、テープ送出し装置4、テープ先端誘導装置5及びテープ切断装置6等を取着してある。
【0014】
前記巻戻し装置3は、図2乃至図4に示す如く、基盤8bから片持ち状に突設した張出支持部11と、張出支持部11に着脱するチャツク具12とを備え、ロール状粘着テープRの中心コア(紙管)を保持するチャツク具12を張出支持部11に装着して、ロール状粘着テープRを巻戻し回転自在に支持するようにしてある。
【0015】
前記テープ送出し装置4は、図2乃至図5に示す如く、基盤8bから片持ち状に突設した張出支持部18に軸支した送出しロール14と、送出しロール14を駆動する電動モータ等からなる駆動装置17と、基盤8bに進退自在に設けられて送出しロール15に対する押圧と押圧解除とを行なう押圧ロール15(図5参照)と、押圧ロール15の押圧・解除を操作するエアーシリンダー等からなる押圧・解除操作具16(図5参照)とを備え、ロール状粘着テープRから引き出して送出しロール14に巻掛けて押圧ロール14でニップ(押圧)した粘着テープTを、駆動装置17の起動で送り出し、駆動装置17の停止で送り出しを停止するようにしてある。テープ送出し装置4は、後述する保持装置19の保持棒22を往復移動させる往復用移動装置21の保持装置送り速度と同期させて設定寸法だけ粘着テープTを送り出するようにしてある。なお、粘着テープTの先端側Taの粘着面を保持棒22に巻掛けたテープ先端誘導装置5で粘着テープTを誘導するときに生じる引張力で、ロール状粘着テープRから粘着テープTを円滑に巻き戻すことができるときは、テープ送出し装置4を省略して回転自在な送出しロール14のみとすることも可能である。
【0016】
前記テープ切断装置6は、図5及び図6に示す如く、基盤8bに進退自在に配置され、テープ送出し装置4からテープ先端受渡し作業位置B(テープの引き受け可能な状態で待機中のテープ保持・移動装置7)へ至る粘着テープ通路Sの途中へ出没する刃40と、刃40を進退するエアーシリンダー等からなる操作具41とを備え、テープ送出し装置4から粘着テープ通路Sを通過してテープ先端受渡し作業位置Bへ向かって送り出した粘着テープTの先端から設定長さ寸法の位置を切断するようにしてある。テープ切断装置6による切断は、正確な設定長さ寸法の粘着テープTを得るために、テープ送出し装置4及び保持棒22の停止時に行なうようにしいる。刃40は、その先端を鋸刃状のギザギサに形成して、粘着テープTの切断を円滑にできるようしてある。なお、テープ切断装置6は、刃40を進退させるギロチン方式に限定するものではなく、粘着テープTの仕様に応じて切断方式を変更して、例えば、粘着テープTの横断方向へ回転刃又は固定刃を移動させるレザー方式(図示略)を採用することも可能である。
【0017】
前記巻戻し装置3からテープ先端受渡し作業位置Bへ至る粘着テープ通路Sの途中には、前記テープ切断装置6に接近して、通路上流側の作業テーブル9及び通路下流側の吸引テーブル10を設け、作業テーブル9及び吸引テーブル10の各表面で粘着テープ通路Sの一部を形成してある。作業テーブル9は、保持棒22の外周面にテープ先端側Taの粘着面を貼着させつつ巻掛けるときに、粘着テープTの先端側Taを表面9aで支持するもである。吸引テーブル10は、テープ切断装置6で粘着テープTを切断するときに、粘着テープTを吸引状態にして切断中の粘着テープTの位置ズレを防止して切断を正確且つ円滑に行うようにし、粘着テープTをテープ先端受渡し作業位置Bへ向かって送り出すときに、非吸引状態となるように制御される。なお、テープ切断装置6の切断方法が切断中の粘着テープTに位置ズレを生じさせない態様のときには、吸引テーブル10を省略することも可能である。
【0018】
前記テープ保持・移動装置7は、図2及び図4に示す如く、テープ先端受渡し面を含むテープ保持面49aが吸引面で形成された吸引箱49が、作業用ロボット(図示略)等の空間移動又は平面移動が自在な操作アーム50に取り付けられ、操作アーム50の移動に伴いテープ先端受渡し作業位置Bからテープ貼着作業位置(対象物に粘着テープTを貼着させる位置)まで往復移動可能になっている。吸引箱49に併設した吸引装置(図示略)は、吸引箱49と連通する吸引用ブロアと、吸引箱49と吸引用ブロアとの間の連通路等に設けられ、吸引箱49の箱内部を介してテープ保持面49aが吸引面(本例では、多数の吸引孔を開設してある)を吸引状態と非吸引状態とに切り換える切換ダンパー(図示略)とを備えている。吸引箱49は、先端側Taが保持棒22から巻戻され粘着テープTを、テープ先端受渡し作業位置Bにおける受け渡しからテープ貼着作業位置における対象物に対する貼着までの間を吸引状態にすると共に、これ以外のときに非吸引状態にして、保持棒22で誘導中の粘着テープTがテープ保持面49aを移動できる共に対象物に貼着後の粘着テープTが分離できるようにしてある。
【0019】
前記テープ先端誘導装置5は、図5に示す如く、粘着テーブTの先端側Taを保持・分離(図8、図10参照)する保持棒22を有する保持装置19と、保持装置19の保持棒22をテープ先端保持作業位置A(粘着テーブTの先端側Taの保持を行なう位置)からテープ先端受渡し作業位置B(粘着テーブTの先端側Taを分離してテープ保持・移動装置7のテープ保持面49aへ粘着テーブTの先端側Taの受け渡を行う位置)までの間で往復移動させる往復用移動装置21とを備えている。保持装置19は、粘着テーブTの先端側Taを保持(図8参照)するための保持棒22と、テープ先端保持作業位置Aにおいて保持棒22を粘着テープTの先端側Taの粘着面に接触させつつ、巻付け方向へ回転させながら粘着テープTに沿って粘着テープ送出し方向Fとは逆方向へ移動させ、また、テープ先端受渡し作業位置Bにおいて保持棒22を巻戻し方向へ回転させながらテープ先端側へ向かう方向(粘着テープ送出し方向F)へ移動させる保持・分離用移動装置20とを備えている。
【0020】
前記保持棒22は、図3乃至図5に示す如く、外形が円形の棒材から形成され、粘着テープTを横断する方向(粘着テープ送出し方向Fを横断する方向)へ延びて正逆回転するようにしてある。保持棒22は、その外周面に粘着テーブTの先端側Taを巻掛け又は巻戻して、粘着テーブTの先端側Taの保持・分離を行うようにしてある。また、前記保持・分離用移動装置20は、図5に示す如く、粘着テープ通路Sに対する保持棒22の接触と分離とを選択させる接触・離反用移動装置23と、保持棒22に対する粘着テーブTの先端側Taの巻掛けと巻戻しを選択させる巻掛・巻戻用第1移動装置24及び巻掛・巻戻用第2移動装置25とを備えている。
【0021】
なお、テープ先端受渡し作業位置Bで粘着テーブTの先端側Taの受け渡を行った後にテープ先端保持作業位置Aへ復路移動する保持棒22が、テープ保持・移動装置7で保持されている粘着テープTや作業テーブル9で支持されている粘着テープTの各粘着面と接触しないように、テープ保持・移動装置7及び作業テーブル9を、前記粘着テープ通路Sから離反させるように進退自在に構成されているときには、図5に示す接触・離反用移動装置23を省略することが可能である。
【0022】
前記テープ先端誘導装置5は、図7に示すようにテープ先端保持作業位置Aにおいて保持装置19の保持棒22を、保持・分離用移動装置20の接触・離反用移動装置23で粘着テープ通路Sへ接近さて、粘着テープTの先端側Taを保持棒22で保持し、その後に粘着テープTの先端側Taを保持したまま保持棒22を保持・分離用移動装置20の接触・離反用移動装置23で粘着テープ通路Sから一旦離反させ、次に、図8に示すように往復用移動装置21をテープ送出し装置4(図1参照)と共に起動して、テープ送出し装置4で送り出される粘着テープTの先端側Taを保持棒22で保持したままテープ先端受渡し作業位置Bへ向かって誘導する。テープ先端誘導装置5は、誘導する途中でテープ送出し装置4及び往復用移動装置21を停止すると共に前記テープ切断装置6を起動させることで、粘着テープTを設定寸法で切断し、続けて、テープ送出し装置4及び往復用移動装置21を再起動して、粘着テープTの先端側Taを保持棒22で保持したままテープ先端受渡し作業位置Bまで誘導する(図1(D)参照)。
【0023】
次に、テープ先端誘導装置5は、図9に示すようにテープ先端受渡し作業位置Bにおいて保持棒22を、保持・分離用移動装置20の接触・離反用移動装置23でテープ保持・移動装置7のテープ保持面7aへ接近させ、粘着テープTの先端側Taを保持棒22から分離してテープ保持・移動装置7へ受け渡し、その後に、図10に示すように保持棒22を保持・分離用移動装置20の接触・離反用移動装置23でテープ保持・移動装置7のテープ保持面7aから離反させ、続けて、図5に示すように往復用移動装置21を一定時間だけ起動して、保持棒22を粘着テープTの粘着面と接触させることなくテープ先端保持作業位置Aまで帰還させる。
【0024】
前記往復用移動装置21は、図5に示す如く、前記支持構造体8に取着して左右方向へ延設した案内具(レール)26と、案内具(レール)26に案内されて左右方向へ移動自在な第1の移動具27(スライダ)と、案内具(レール)26内に組み込んだロッドレスエアーシリンダ等からなる第1の移動操作具30とからなり、第1の移動操作具30の操作で第1の移動具27を左右方向へ移動させるようにしてある。往復用移動装置21は、第1の移動操作具30の操作で第1の移動具27を左右方向へ進退移動することで、第1の移動具27と連動する保持装置19の保持棒22をテープ先端保持作業位置Aとテープ先端受渡し作業位置Bとの間で往復移動させるようにしてある。
【0025】
本例の前記テープ先端誘導装置5の保持装置19は、図5に示す如く、保持棒22に粘着テープTの先端側Taを巻掛けることで先端側Taを保持(図7参照)し、保持棒22に巻掛けた粘着テープTの先端側Taを巻戻すことで先端側Taを分離(図9参照)できるようにしたものであり、前記粘着テープ通路Sを横断する方向(前後方向)へ延設され(図2参照)、正逆回転自在且つ粘着テープ通路Sに沿って進退自在に設けられた保持棒(外径が20〜50mmφ程度のもの)からなる保持棒22と、保持棒22の保持と分離を行なわせる保持・分離用移動装置20とを備えている。
【0026】
本例の前記保持・分離用移動装置20は、粘着テープ通路Sに位置する粘着テープTの先端側Taに対して保持棒22を接触又は離反させる接触・離反用移動装置23と、保持棒22を粘着テープ通路Sに沿う方向(左右方向)へ進退させる後述する巻掛・巻戻用第1移動手段24と、保持棒22を正逆回転移動させる巻掛・巻戻用第2移動手段25とを備え、巻掛・巻戻用第1移動手段24と巻掛・巻戻用第2移動手段25とを同期させて保持棒22を操作することで、保持棒22の外周面に粘着テープTの先端側Taの粘着面を適宜巻掛け角度(本例では約180°)となるように貼着させて巻掛け又は巻戻しさせるようにしてある(図7及び図9参照)。
【0027】
本例の前記保持棒22は、外周面に対する粘着テープTの貼着力を調整するために、外周面にヤスリ目等の凹凸加工を施して分散する凹凸部を形成し、凸部群の表面に粘着テープTの粘着面を貼着させようにしてある。保持棒22の外周面の単位面積当たりに占める凸部群の表面積の割合は、粘着テープTの粘着力により適宜選択され、保持棒22の外周面に巻掛けて粘着テープTの先端側Taを移動させるとき(図8参照)に粘着テープTが剥離せず、また保持棒22の外周面から粘着テープTの先端側Taを巻戻すとき(図9参照)に粘着テープTが円滑に剥離する範囲が選択される。
【0028】
前記接触・離反用移動装置23及び前記巻掛・巻戻用第1移動手段24は、本例では前記第1の移動具27に案内されて左右方向へ移動自在な第2の移動具28(スライダ)と、第2の移動具28(スライダ)に上下揺動自在に軸支36して保持棒22を回転自在に支持する第3の移動具29と、第1の移動具27と第2の移動具28との間に配設したエアーシリンダ等からなる第3の移動操作具31と、第2の移動具28と第3の移動具29との間に配設したエアーシリンダ等からなる第2の移動操作具32とを備え、第3の移動操作具31の操作で第2の移動具28を第3の移動具29と共に進退移動させることで保持装置19の保持棒22を巻掛け又は巻戻のために左右方向へ移動させ、また、第2の移動操作具32の操作で第3の移動具29を上下揺動させることで保持棒22を粘着テープ通路Sへ向かって接近・離反させるようにしてある。
【0029】
前記巻掛・巻戻用第2移動手段25は、第3の移動具29に取着され、保持棒22を第3の移動具29と共に回転自在に支持する支持板34と、第3の移動具29と支持板34との間に配設され保持棒22を回転操作する第4の移動操作具35とを備えている。第4の移動操作具35は、保持棒22に取着したピニオンギヤ35bと、ピニオンギヤ35bと歯合するラックギヤ35aと、ラックギヤ35aを進退移動させるエアシリンダ等からなる移動操作具35cとかなり、移動操作具35cの操作で保持棒22を正逆回転させるようにしてある。なお、第4の移動操作具35は、図示は省略したが、第3の移動具29に出力軸が正逆回転する圧空式等のアクチュエータを取付け、保持棒22にアクチュエータの出力軸を連結して構成することも可能である。
【0030】
前記保持棒22を粘着テープ通路Sに沿う左右方向へ移動させる前記巻掛・巻戻用第1移動手段24及び保持棒22を正逆回転させる前記巻掛・巻戻用第2移動手段25は、第3の移動操作具31と第5の移動操作具35cとを同期させることで保持棒22の左右方向への移動速度と保持棒22の外周面の周速度とを略一致させ、前述の如く保持棒22の表面に対する粘着テープTの先端側Taの巻掛け又は巻戻し(図7及び図9参照)を円滑にできるようにしてある。
【0031】
本発明装置1は、テープ先端誘導装置5の往復用移動装置21及び保持装置19の保持・分離装置用移動装置20の各々が作動して保持棒22を操作するようにしてある。
【0032】
先ず最初、テープ先端誘導装置5は、図5に示すように往復用移動装置21の操作により保持棒22をテープ先端保持作業位置Aに帰還させた後に、図7に示すように押圧・離反用の接触・離反用移動装置23の操作により保持棒22を作業テーブル9の表面上の粘着テープ通路Sに接触させて、停止中の粘着テープTの粘着面に保持棒22の外周面を接触して適度に押圧する。
【0033】
次に、テープ先端誘導装置5は、図7に示すように、テープ先端保持作業位置Aにおいて粘着テープTの先端側Taの粘着面を保持棒22の外周面で押圧したまま、巻掛・巻戻用第1移動手段24及び第5の移動装置35の同期した操作により、保持棒22を粘着テープTの送り出し方向とは逆方向(本例では左に向かう方向)へ移動させつつ巻掛け方向へ回転(本例では反時計方向への回転)させることで、保持棒22の外周面に粘着テープTの先端側Taを巻き掛ける。
【0034】
続けて、テープ先端誘導装置5は、粘着テープTの先端側Taを巻掛けて保持した保持棒22を、押圧・離反用の接触・離反用移動装置23の操作により作業テーブル9の表面(粘着テープ通路S)から離反させた後に、往復用移動装置21の起動・停止の操作により保持棒22をテープ保持・移動装置7へ向かって移動させ、図8に示すように保持棒22の外周面に巻掛け保持した粘着テープTの先端側Taをテープ先端受渡し作業位置Bへ向かって誘導する。粘着テープTの先端側Taを誘導する間は、テープ送出し装置4を起動して粘着テープTをテープ先端受渡し作業位置Bへ向かって送り出す。
【0035】
更に続けて、テープ送出し装置4及び往復用移動装置21を停止して粘着テープTの送り出しと誘導を停止させた後、テープ切断装置6を作動させて粘着テープTを設定寸法に切断する。切断が終了したならば、テープ送出し装置4及び往復用移動装置21を再度起動させ、粘着テープTの先端側Taをテープ先端受渡し作業位置Bまで移動させる。次に、テープ先端誘導装置5は、図9に示すように、テープ先端受渡し作業位置Bにおいて、押圧・離反用の接触・離反用移動装置23の操作により保持棒22を待機中のテープ保持・移動装置7へ向かって移動させ、テープ保持・移動装置7のテープ保持面7aに、保持棒22の外周面に巻掛けてある粘着テープTの先端側Taを押圧又は接近させた後に、巻掛・巻戻用第1移動手段24及び第5の移動装置35の同期した操作により、保持棒22を粘着テープTのテープ先端側Taへ向かう方向(本例では右に向かう方向)へ移動させつつ巻戻し方向へ回転(本例では時計方向への回転)させることで、保持棒22に巻掛け保持されている粘着テープTの先端側Taを保持棒22の外周面から巻き戻す。
【0036】
最後に、テープ先端誘導装置5は、押圧・離反用の接触・離反用移動装置23の操作で保持棒22をテープ保持・移動装置7から離反させ、吸引状態にしたテープ保持面7aに吸引保持させた粘着テープTの先端側Taから保持棒22を分離して、テープ保持・移動装置7への粘着テープTの先端側Taの受け渡しを終了する。受け渡しの終了したテープ先端誘導装置5は、図5に示すように往復用移動装置21の操作により保持棒22を前記最初のテープ先端保持作業位置Aに戻される。前記テープ保持・移動装置7は、受け渡されてテープ保持面7aで吸引保持した粘着テープTを、ロボット(図示略)等の操作アーム50の移動に伴い、離れているテープ貼着作業位置まで確実に搬送して、対象物に粘着テープTを貼着させる。
【0037】
本発明装置1は、粘着テープTの先端側Taを、保持棒22に巻掛けて貼着した状態で保持してテープ先端保持作業位置Aからテープ先端受渡し作業位置Bまで保持棒22と共に移動させ、テープ先端受渡し作業位置Bで保持棒22から巻戻して受け渡すことで、粘着テープTの先端側Taを確実にテープ先端受渡し作業位置Bまで引き出すことができ、また、テープ切断装置6で粘着テープTを設定寸法に切断することができるので、従来の多くの手間と熟練を要する手作業を必要とせず、省力化を図ることができる。
【0038】
また、本発明装置1は、保持棒22に回転式の保持棒を用いることで、粘着テープTの先端側Taを、保持棒22に巻掛けて貼着した状態で保持してテープ先端保持作業位置Aからテープ先端受渡し作業位置Bまで保持棒22と共に移動させ、保持棒22から巻戻してテープ保持・移動装置7のテープ保持面7aに受け渡すことができるので、粘着テープ先端側Taに対する保持棒22の保持及び分離が円滑にできる。
【0039】
(第2の実施の形態)
図11乃至図13は本発明装置の第2の実施の形態を示すものであり、図11は本発明装置1の保持棒22に粘着テープTの先端側を巻掛ける直前状態を拡大し、作業テーブル9及び吸引テーブル10を破断して示す正面図、図12は本発明装置1の要部を示す平面図、図13は本発明装置1の保持棒22に巻掛けた粘着テープTの先端側をテープ先端受渡し作業位置Bへ向かって誘導する直前状態を拡大して示す正面図である。
【0040】
第2の実施の形態は、前記第1の実施の形態における保持装置19の保持棒22を粘着テープ通路Sに沿う方向(左右方向)へ進退させる巻掛・巻戻用第1移動手段24に相当する部分と、保持棒22を正逆回転移動させる巻掛・巻戻用第2移動手段25に相当する部分とを一体化して保持棒用移動装置90とすると共に、保持棒22を粘着テープ通路Sへ向かって接近・離反させる接触・離反用移動装置23の移動具29を往復用移動装置21の第1の移動具27に軸支36した点で第1の実施の形態と相違し、その他の構成については前記第1の実施の形態と実質的に同一である。
【0041】
前記保持棒用移動装置90は、接触・離反用移動装置23の移動具29に取着された案内具91と、案内具91に案内されて左右方向へ進退すると共に保持棒22を片持ち状態で正逆方向へ回転自在に軸支する軸受部92と、軸受部92を進退移動させるエアーシリンダ等からなる移動操作具93と、保持棒22の端部に取着されたピニオンギャ94と、移動具29に取着され、ピニオンギャ94と歯合する左右方向へ延びるラックギャ95とを備え、第2の移動操作具32で移動具29を揺動させて保持棒22を粘着テープ通路Sに接触させた状態にして、移動操作具93の操作で保持棒22を左右方向へ移動させると共に正逆回転させることで、保持棒22の外周面に粘着テープTの先端側Taを巻掛け・巻戻しするようにしてある。
【0042】
(第3の実施の形態)
図14は本発明装置の第3の実施の形態を示すものであり、本発明装置1の正面図であって、往復移動装置21を中間省略して示すものである。
【0043】
本実施の形態に係る本発明装置は、両面粘着テープTを使用できるように、セパレータ用の巻取装置61を設け、巻戻し装置3のロール状粘着テープRから両面粘着テープTと共に巻戻されたセパレータ(両面粘着テープTと合わせてロール状Rに巻き上げられ、両面粘着テープどうしの接合を分離するための離型紙等からなるもの)を巻き取るようにした点で第1の実施の形態と相違し、その他の構成については前記第1の実施の形態と実質的に同一である。
【0044】
前記巻戻し装置3は、図示は省略したが、基盤8bから片持ち状に突設した巻取軸と、巻取軸に着脱するチャツク具と、巻取軸を駆動する巻取駆動装置(例えば、トルクモータ)とを備え、巻取用コアを保持するチャツク具を巻取軸に装着して、巻取用コアにセバレータを巻き上げるようにしてある。巻取駆動モータは、前記テープ送出し装置4の駆動装置17と同期させて起動・停止させるようにしてある。作業テーブル9の表面9a、吸引テーブル10の吸引面及びテープ保持・移動装置7のテープ保持面7aのように両面粘着テープTの粘着面と接する箇所は、ポリ四弗化エチレン樹脂やシリコン樹脂等の剥離性のある素材で形成するとよい。
【0045】
(その他の実施の形態)
前記テープ保持・移動装置7は、テープ先端受渡し作業位置Bで受け取った粘着テープTをテープ貼着作業位置まで搬送して対象物に粘着テープTを貼着させる貼着作業態様に対応させたものである。しかし、テープ先端受渡し作業位置Bへ至った粘着テープTに対象物を貼着させるように対象物を移動させる態様のときには、図示は省略したが、テープ保持・移動装置7の代りに固定した作業テーブルを設けるか、又はテープ保持・移動装置7を省略して、保持棒22に巻掛けたテープ先端側Taがテープ先端受渡し作業位置Bまで誘導されて張架状態となっている粘着テープTに移動させた対象物を貼着し、その後にテープ切断装置6で貼着済みの粘着テープTを切断するように構成することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明装置の第1の実施の形態を示すものであり、本発明装置の各動作の概略を示す正面図である。
【図2】同実施の形態に係る本発明装置の正面図であって、往復移動装置を中間省略して示すものである。
【図3】同実施の形態に係る本発明装置の左側面図である。
【図4】同実施の形態に係る本発明装置の平面図であって、往復移動装置を中間省略して示すものである。
【図5】同実施の形態において、保持棒に粘着テープの先端側を巻掛ける前の待機状態を拡大して示す正面図である。
【図6】同実施の形態において、粘着テープをテープ切断装置で切断している状態を拡大して示す正面図である。
【図7】同実施の形態において、保持棒に粘着テープの先端側を巻掛ける状態を拡大して示す正面図であって、(A)は巻掛け直前状態を示し、(B)は巻掛け終了状態を示すものである。
【図8】同実施の形態において、保持棒に巻掛けて保持した粘着テープの先端側をテープ先端受渡し作業位置へ向かって誘導している状態を拡大して示す正面図である。
【図9】同実施の形態において、保持棒に巻掛けてある粘着テープの先端側をテープ先端受渡し作業位置で巻戻す状態を拡大して示す正面図であって、(A)は巻戻す直前状態を示し、(B)は巻戻し終了の状態を示すものである。
【図10】同実施の形態において、テープ保持・移動装置のテープ保持面へ受渡した粘着テープの先端側から保持棒を分離した状態を拡大して示す正面図である。
【図11】本発明装置の第2の実施の形態を示すものであり、保持棒に粘着テープの先端側を巻掛ける直前状態を拡大し、テープ案内板及び吸引テーブルを破断して示す正面図である。
【図12】同実施の形態において、本発明装置の要部を示す平面図である。
【図13】同実施の形態において、本発明装置の保持棒に巻掛けた粘着テープの先端側をテープ先端受渡し作業位置へ向かって誘導する直前状態を拡大して示す正面図である。
【図14】本発明装置の第3の実施の形態を示す正面図であって、往復移動装置を中間省略して示すものである。
【符号の説明】
【0047】
1…本発明装置、3…巻戻し装置、4…テープ送出し装置、5…テープ先端誘導装置、6…テープ切断装置、7…テープ搬送装置、19…保持装置、20…保持・分離用移動装置、21…往復用移動装置、22…保持棒、23…接触・離反用移動装置、24…巻掛・巻戻用第1移動装置、25…巻掛・巻戻用第2移動装置、A…テープ先端保持作業位置、B…テープ先端受渡し作業位置、S…粘着テープ通路、T…粘着テープ、Ta…粘着テープの先端側、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープ先端保持作業位置において保持装置で保持した粘着テープの先端側を、テープ先端受渡し作業位置まで送り出して保持装置から分離する粘着テープの供給装置であって、粘着テープ送出し方向の上流側から下流側のテープ先端受渡し作業位置へ向かって順番にロール状粘着テープ用の巻戻し装置、表面がテープ先端保持作業位置となる作業テーブル、及び送り出される粘着テープを設定寸法に切断するテープ切断装置を設け、テープ先端保持作業位置からテープ先端受渡し作業位置まで保持装置を往復移動させる往復用移動装置を設け、前記保持装置は、粘着テープ送出し方向を横断する方向に沿って延びて回転する保持棒と、テープ先端保持作業位置において保持棒を粘着テープの先端側の粘着面に接触しつつ、巻付け方向へ回転させながら粘着テープの送り出し方向とは逆方向へ移動させ、また、テープ先端受渡し作業位置において保持棒を巻戻し方向へ回転させながら粘着テープ送出し方向へ移動させる保持・分離用移動装置を備えたことを特徴とする粘着テープの供給装置。
【請求項2】
吸引保持可能なテープ保持面が形成され、前記テープ先端受渡し作業位置からテープ貼着作業位置まで往復移動可能なテープ保持・移動装置を備えた請求項1記載の粘着テープの供給装置。
【請求項3】
前記巻戻し装置と前記作業テーブルの間にテープ送出し装置を設け、テープ送出し装置は、前記往復用移動装置の保持装置送り速度と同期させて前記設定寸法だけ粘着テープを送り出すようにした請求項1又は2記載の粘着テープの供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−143655(P2010−143655A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−319591(P2008−319591)
【出願日】平成20年12月16日(2008.12.16)
【出願人】(000119254)井上金属工業株式会社 (18)
【Fターム(参考)】