粘着フィルム
【課題】粘着層を保護しつつ、各基材層を確実に所定の順序で剥離不良なく容易に剥離させることができる粘着フィルムを提供する。
【解決手段】粘着フィルム1は、フィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟むように積層された軽剥離セパレータ3及び重剥離セパレータ4と、重剥離セパレータ4に更に積層されたキャリアフィルム5とを備えている。外層をなす軽剥離セパレータ3及びキャリアフィルム5の外縁3a,5aは、内層をなす粘着層2及び重剥離セパレータ4の外縁2a,4aよりも外側に張り出している。これにより、粘着層2の外縁部が保護される。また、キャリアフィルム5の外縁部をつまんで最初に剥離し、次に軽剥離セパレータ3の外縁部をつまんで剥離し、最後に重剥離セパレータ4を剥離することができ、各セパレータ3,4及びキャリアフィルム5を確実に所定の順序で容易に剥離させることができる。
【解決手段】粘着フィルム1は、フィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟むように積層された軽剥離セパレータ3及び重剥離セパレータ4と、重剥離セパレータ4に更に積層されたキャリアフィルム5とを備えている。外層をなす軽剥離セパレータ3及びキャリアフィルム5の外縁3a,5aは、内層をなす粘着層2及び重剥離セパレータ4の外縁2a,4aよりも外側に張り出している。これにより、粘着層2の外縁部が保護される。また、キャリアフィルム5の外縁部をつまんで最初に剥離し、次に軽剥離セパレータ3の外縁部をつまんで剥離し、最後に重剥離セパレータ4を剥離することができ、各セパレータ3,4及びキャリアフィルム5を確実に所定の順序で容易に剥離させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、カーナビゲーション、携帯用小型パソコン、携帯情報端末(PDA)等の液晶表示装置において、タッチパネルが搭載されるようになってきた。このような液晶表示装置(以下、タッチパネル式ディスプレイという場合もある)の場合には、保護パネル、タッチパネル、及び液晶パネルがこの順で積層された積層構造となっており、保護パネルとタッチパネルとの間、タッチパネルと液晶パネルとの間に透明な粘着フィルムを介在させる場合がある(例えば、特許文献1参照)。このような粘着フィルムは、ディスプレイの輝度や鮮明さの向上に寄与するほか、衝撃吸収材としての機能も有しているため、ディスプレイの構成に欠かせない要素となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−83491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した粘着フィルムは、製品としては、剥離可能な基材層で粘着層の両面を挟んだ3層構造の状態で取り扱われることが一般的である。このような粘着フィルムは、一方の基材層上に溶液状の粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて紫外線等の活性光線を照射して粘着剤組成物を半硬化又は硬化させて粘着層を形成し、この粘着層上に他方の基材層を積層させて製造している。ここで粘着層は、対応する液晶表示装置の大きさに予め形成されていることが好ましい。しかしながら、粘着層を所望の大きさに塗工するのは困難である。そこで、この粘着フィルムの製造工程において、基材層上に形成された粘着層をブレード等で切断することにより、粘着層を所望の形状に切り出すことが有効である。しかしながら、このように形成した粘着フィルムは、粘着層から基材層を剥離する際に剥離不良の要因となることが考えられる。剥離不良とは、例えば、一方の基材層と他方の基材層とを順に剥離させる意図で、一方の基材層と粘着層との間の剥離強度が他方の基材層と粘着層との間の剥離強度よりも小さくなるように設計した場合において、一方の基材層を粘着層から剥離させる途中で、粘着層が一方の基材層に引っ張られ、他方の基材層から剥離してしまう現象である。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、粘着層を保護しつつ、各基材層を確実に所定の順序で剥離不良なく容易に剥離させることができる粘着フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粘着フィルムは、フィルム状の粘着層と、粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層と、第2の基材層に更に積層されたキャリア層とを備えた粘着フィルムであって、外層をなす第1の基材層及びキャリア層の外縁は、内層をなす粘着層及び第2の基材層の外縁よりも外側に張り出していることを特徴とする。
【0007】
このような粘着フィルムによれば、外層をなす第1の基材層及びキャリア層の外縁が、内層をなす粘着層及び第2の基材層の外縁よりも外側に張り出している。これにより、粘着フィルムの保管・運搬等に際し粘着層の外縁部が確実に保護される。また、粘着層を被着物に貼り付ける際には、外側に張り出したキャリア層の外縁部をつまむことで、キャリア層を容易に剥離させることができる。次に、第1の基材層の外縁部をつまむことで、第1の基材層を容易に剥離させることができる。このとき、粘着層の片側には、第2の基材層が残るため、粘着層の一方の面を被着物に貼り付ける際に、この第2の基材層による粘着層の保護が維持される。その後、第2の基材層を剥離させ、粘着層の他方の面を別の被着物に貼り付けることで、一対の被着物の間に粘着層を配置させることができる。
【0008】
ここで、第2の基材層の外縁は、粘着層の外縁と略面一とされていることが好ましい。この場合、第1の基材層と第2の基材層との剥離させ易さの差がより顕著となるため、第2の基材層を剥離させる前に、第1の基材層をより容易に剥離させることができる。更に、第2の基材層の外縁と粘着層の外縁とが揃うことで、粘着層の外縁の位置が明確になるため、粘着層と被着物との位置合わせが容易となる。
【0009】
また、キャリア層の外縁は、第1の基材層の外縁よりも外側に張り出していることが好ましい。この場合、キャリア層の外縁部が更につまみ易くなるため、キャリア層をより容易に剥離させることができる。
【0010】
また、第1の基材層と粘着層との間の剥離強度は、第2の基材層と粘着層との間の剥離強度よりも低くなっていることが好ましい。この場合、第1の基材層と第2の基材層との剥離させ易さの差がより顕著となるため、第2の基材層を剥離させる前に、第1の基材層をより容易に剥離させることができる。
【0011】
また、第2の基材層とキャリア層との間の剥離強度は、第2の基材層と粘着層との間の剥離強度よりも低くなっていることが好ましい。この場合、キャリア層と第2の基材層との剥離させ易さの差がより顕著となり、キャリア層をより容易に剥離させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る粘着フィルムによれば、粘着層を保護しつつ、各基材層を確実に所定の順序で剥離不良なく容易に剥離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る粘着フィルムの一実施形態を示す側面図である。
【図2】本発明に係る粘着フィルムの一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る粘着フィルムの他の実施形態を示す側面図である。
【図4】母材フィルムの断面図である。
【図5】切断工程を示す断面図である。
【図6】除去工程を示す断面図である。
【図7】除去工程を示す断面図である。
【図8】除去工程を示す断面図である。
【図9】貼付工程を示す断面図である。
【図10】キャリアフィルムの剥離工程を示す断面図である。
【図11】軽剥離セパレータの剥離工程を示す断面図である。
【図12】被着物への粘着面の貼付工程を示す断面図である。
【図13】重剥離セパレータの剥離工程を示す断面である。
【図14】被着物への粘着面の貼付工程を示す断面図である。
【図15】広域動的粘弾性測定装置へのサンプルのセット方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び図2に示されるように、本発明に係る粘着フィルム1は、透明なフィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟むように積層された軽剥離セパレータ3(第1の基材層)及び重剥離セパレータ4(第2の基材層)と、重剥離セパレータ4に更に積層されたキャリアフィルム5(キャリア層)とを備えている。この粘着フィルム1は、例えば携帯端末用のタッチパネル式ディスプレイの組み立てにおいて、保護パネルとタッチパネルとの間、タッチパネルと液晶パネルとの間に粘着層2を配置するためのものである。
【0015】
粘着層2は、例えば、(A)アクリル酸系誘導体ポリマ、(B)アクリル酸系誘導体、(C)重合開始剤等の粘着剤組成物によって形成される。(A)アクリル酸系誘導体ポリマーとしては、(B)アクリル酸系誘導体を重合させて得られるものが挙げられ、その重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの)が10,000以上1,000,000以下であるものが好ましい。アクリル酸系誘導体ポリマーは、アクリル酸系誘導体以外のモノマーを併用して重合させて得られるポリマーであってもよい。なお、重量平均分子量は、例えば、下記の装置及び測定条件で測定できる。
装置:高速GPC装置 HCL−8320GPC(検出器:示差屈折計又はUV)(東ソー(株)製、商品名)
使用溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム:カラムTSKGEL SuperMultipore HZ−H(東ソー(株)製、商品名)
カラムサイズ:カラム長が15cm、カラム内径が4.6mm
測定温度:40℃
流量:0.35ml/分
試料濃度:10mg/THF5ml
注入量:20μl
【0016】
(B)アクリル酸系誘導体としては、アクリル酸又はメタクリル酸、それらの誘導体等が挙げられる。具体的には、重合性不飽和結合を分子内に1個有する、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキル、ベンジルメタアクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、(ジエチレングリコールエチルエーテル)の(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールアリールエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、脂環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル、フッ素化アルキルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、グリセロールアクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上を併用することができる。
【0017】
上記の重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーと共に、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーを使用することができる。このようなモノマーとしては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。粘着層2の成形性の観点からは、(B)成分において重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーを用いることが好ましい。
【0018】
なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0019】
(C)重合開始剤としては、光重合開始剤を使用することができ、ケトン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料から選ぶことができる。これらの中でも特に、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のケトン系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を使用することが透明性及び硬化性の観点から好ましい。
【0020】
(A)成分の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、15〜80質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることがより好ましく、15〜50質量%が更に好ましい。また、(B)成分の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して15〜80質量%が好ましいく、30〜80質量%がより好ましく、40〜80質量%が更に好ましい。(A)成分及び(B)成分の含有量が上記範囲内であると、粘着剤組成物の粘度が粘着層を作製する際の適正粘度範囲に入り、成形性が良好となる。また、得られる粘着層2の粘着性及び透明性も向上する。(C)成分の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましい。(C)成分の含有量を5質量%以下とすることで、粘着剤組成物の光透過率が高まり、また粘着剤組成物の色相が黄味を帯びにくくなるため、より優れた粘着層2を得ることができる。
【0021】
このような粘着層2は、例えば、重剥離セパレータ4上に、上記(A)〜(C)成分を含む溶液状の粘着剤組成物を任意の膜厚で塗工し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後に所望の大きさに切断することで形成される。粘着層2は、粘着性の観点から、アルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルに由来する構造単位を主に含むことが好ましい。ここで「主に含む」とは、粘着層2を構成する成分中で最も多い成分を意味する。塗工された粘着剤組成物に、紫外線等の活性光線を照射してもよい。粘着層2の厚みは、0.1mm以上1mm以下であることが好ましく、0.15mm(150μm)以上0.5mm(500μm)以下であることが更に好ましい。このような厚みにすることで、粘着層2をディスプレイに適用した場合により一層優れた効果を発揮させることができる。
【0022】
粘着層2の25℃における貯蔵弾性率は、1.0×103Pa以上1.0×106Pa以下であることが好ましく、1.0×104Pa以上5.0×105Pa以下であることが更に好ましい。
【0023】
貯蔵弾性率は、例えば、次のようにして測定できる。まず、厚さ250μmの粘着層2を2枚重ねて厚さ約500μmにし、一辺10mmの正方形状に裁断してサンプルSを作製する。2つのサンプルSを準備し、治具100を介して広域動的粘弾性測定装置にセットする。図15に示されるように、治具100は、互いに対向するように広域動的粘弾性測定装置に取り付けられる一対の取付治具100A,100Bを有している。取付治具100Aには、取付治具100Bに向かって延在するプレートP1が設けられている。取付治具100Bには、取付治具100Aに向かって延在し、プレートP1の各面に対向する一対のプレートP2,P2が設けられている。各プレートP2とプレートP1とは、サンプルSを介して貼り合わされる。この状態で、広域動的粘弾性測定装置により取付治具100A,100Bを互いに離間させ、貯蔵弾性率を測定する。広域動的粘弾性測定装置としては、Rheometric Scientific社製、Solids Analyzer RSA−IIを用い、測定条件は「シェアサンドイッチモード、周波数1.0Hz、測定温度範囲−20〜100℃で昇温速度5℃/分」とする。
【0024】
また、粘着層2のガラス板に対する剥離強度(ピール強度)は、5N/10mm以上20N/10mm以下であることが好ましく、7N/10mm以上15N/10mm以下であることがより好ましい。粘着層2の厚みは、100μm以上500μm以下であることが好ましく、150μm以上400μm以下であることがより好ましい。粘着層2の平面形状は、適用される被着物に応じて適宜設計されるが、例えば長辺が50mm以上500mm以下、短辺が30mm以上400mm以下の長方形となっていると、本発明の効果が顕著となり、長辺が100mm以上300mm以下、短辺が80mm以上280mm以下の長方形であると、本発明の効果がより顕著となる。粘着層2の光透過率は、可視光領域(波長:380〜780nm)の光線に対して80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。この光透過率は、分光光度計により測定することができる。分光光度計としては、例えば日立U−3310型分光光度計(積分球使用)を使用することができる。粘着層2の光透過率は、例えば厚さ500μmのガラス板と、厚さ175μmになるように作製された粘着層2とを貼り合わせた粘着層付きガラス板の光透過率を分光光度計により測定し、粘着層付きガラス板の光透過率からガラス板の光透過率を差し引くことで算出することができる。
【0025】
軽剥離セパレータ3は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであり、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)であることが好ましい。軽剥離セパレータ3の厚みは、例えば25μm以上125μm以下であることが好ましく、30μm以上100μm以下であることがより好ましく、40μm以上75μm以下であることが特に好ましい。
【0026】
重剥離セパレータ4は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであり、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)であることが好ましい。重剥離セパレータ4の厚みは、例えば、50μm以上150μm以下であることが好ましく、60μm以上125μm以下であることがより好ましく、70μm以上100μm以下であることが特に好ましい。
【0027】
キャリアフィルム5は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであり、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)であることが好ましい。キャリアフィルム5の厚みは、例えば、15μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上80μm以下であることがより好ましく、20μm以上50μm以下であることが特に好ましい。
【0028】
ここで、重剥離セパレータ4の外縁4aは、粘着層2の外縁2aと略面一となっている。軽剥離セパレータ3及びキャリアフィルム5の外縁3a,5aは、粘着層2の外縁2aよりも外側に張り出している。また、外縁5aは、外縁3aよりも更に外側に張り出していることが好ましい。
【0029】
外縁3aが外縁2aよりも外側に張り出す量は、例えば2mm以上15mm以下であることが好ましく、4mm以上10mm以下であることがより好ましい。外縁5aが外縁2aよりも外側に張り出す量は、例えば3mm以上25mm以下であることが好ましく、5mm以上20mm以下であることがより好ましい。また、外縁3aが外縁2aよりも外側に張り出す量をPとし、外縁5aが外縁3aよりも外側に張り出す量をQとした場合、Q>Pであることが好ましい。
【0030】
また、軽剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度は、重剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との間の剥離強度は、重剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。ここで、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との間の剥離強度は、軽剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度より低いことがより好ましいが、高くても本願の効果を損なうことはない。
【0031】
軽剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度は、0.01N/25mm以上0.4N/25mm以下であることが好ましく、重剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度は、0.3N/25mm以上1.5N/25mm以下であることが好ましく、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との間の剥離強度は、0.005N/25mm以上0.3N/25mm以下であることが好ましい。また、軽剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度をS、重剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度をT、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との間の剥離強度をUとした場合、T>S且つT>Uであることが好ましい。SとUとの関係は、S>Uであってもよいし、U>Sであってもよいが、S>Uであることが特に好ましい。
【0032】
上記剥離強度は、(株)エー・アンド・デイ製の万能試験機「テンシロンRTG−1210」で測定したものとする。測定条件は、「軽剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度、重剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度、及びキャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との間の剥離強度」は90度ピールによる。また、「ガラス板と粘着層2との間の剥離強度」は180度ピールによる。
【0033】
このように、外層をなす軽剥離セパレータ3及びキャリアフィルム5の外縁3a,5aが、内層をなす粘着層2及び重剥離セパレータ4の外縁2a,4aよりも外側に張り出しているため、粘着フィルム1の保管・運搬等に際して、粘着層2の外縁部が確実に保護される。
【0034】
セパレータ3,4と粘着層2との剥離強度は、例えば、セパレータ3,4に対する表面処理等によって調整される。セパレータ3,4に対する表面処理方法としては、例えば、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物で離型処理することが挙げられる。また、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との剥離強度は、例えばキャリアフィルム5及び重剥離セパレータ4の間に形成させる接着剤層の種類及び接着剤の厚みによって調整される。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ4の間に形成させる接着剤の種類としては、例えばアクリル系接着剤等の接着剤が挙げられる。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ4の間に形成させる接着剤層の厚みは、0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
【0035】
なお、キャリアフィルム5の粘着層2側の面5bの全域に、上記接着剤層が形成されている場合、重剥離セパレータ4の外縁4aより外側において、上記接着剤層が露出してしまうこととなる。このような場合、図3に示されるように、重剥離セパレータ4の外縁4aより外側に、面5bを覆うフィルム4Aが設けられていることが好ましい。フィルム4Aは、例えば、重剥離セパレータ4と同じ素材で構成可能である。フィルム4Aを設けることにより、面5bの全域で上記接着剤層が覆われるため、露出した上記接着剤層が他の部分に貼り付いてしまうことや、露出した上記接着剤層に異物等が貼り付いてしまうことを効果的に防止し、粘着フィルム1の使い勝手を向上させることができる。
【0036】
以上に説明した粘着フィルム1は、次のように製造される。まず、図4に示されるように、キャリアフィルム5上に、重剥離セパレータ4、粘着層2、及び仮セパレータ6が順に積層された母材フィルム10を準備する。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ3と同じ素材からなる層である。
【0037】
続いて、ブレードBを備えた打抜装置(不図示)により、仮セパレータ6、粘着層2、及び重剥離セパレータ4を所望の形状に切断する。打抜装置は、クランク式の打抜装置であってもよいし、ロータリー式の打抜装置であってもよい。この工程では、図5に示されるように、仮セパレータ6、粘着層2、及び重剥離セパレータ4に、キャリアフィルム5に到達する深さでブレードBを通す。これにより、キャリアフィルム5の粘着層2側の面5bには、切込部5cが形成される。このように、仮セパレータ6からキャリアフィルム5にブレードBを到達させることにより、粘着層2及び重剥離セパレータ4を完全に切断することができる。なお、切込部5cを形成することなく重剥離セパレータ4を切断できる場合には、必ずしも切込部5cを形成しなくてもよい。
【0038】
続いて、図6に示されるように仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ4の外側部分を除去する。この時、図7に示されるように、仮セパレータ6及び粘着層2の外側部分のみを除去し、重剥離セパレータ4の外側部分を除去せずにキャリアフィルム5上に残すことで、上述したフィルム4Aを形成してもよい。次に、図8に示されるように粘着層2から仮セパレータ6を剥離し、図9に示されるように粘着層2に軽剥離セパレータ3を貼付する。以上の工程で粘着フィルム1が完成する。
【0039】
また、粘着フィルム1は、ディスプレイの組み立て等において次のように使用される。最初に、図10に示されるように、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ4から剥離する。上述したように、キャリアフィルム5の外縁5aは、粘着層2及び重剥離セパレータ4の外縁2a,4aよりも外側に張り出している。これにより、外側に張り出したキャリアフィルム5の外縁部をつまむことで、キャリアフィルム5を容易に剥離させることができる。また、キャリアフィルム5の外縁5aは、軽剥離セパレータ3の外縁3aよりも外側に張り出していることが好ましい。これにより、キャリアフィルム5の外縁部が更につまみ易くなっているため、キャリアフィルム5をより容易に剥離させることができる。更に、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との剥離強度は、重剥離セパレータ4と粘着層2との剥離強度よりも低くなっている。これにより、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との剥離させ易さの差がより顕著となり、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ4から、より容易に剥離させることができる。
【0040】
続いて、図11に示されるように、軽剥離セパレータ3を粘着層2から剥離して粘着層2の粘着面2bを露出させる。上述したように、軽剥離セパレータ3と粘着層2との剥離強度は、重剥離セパレータ4と粘着層2との剥離強度よりも低くなっている。従来の粘着フィルムでは、このように剥離強度に差を設けて設計した場合であっても、設計の意図通り順序良く剥離しない場合がある。これに対し、軽剥離セパレータ3の外縁3aは、粘着層2及び重剥離セパレータ4の外縁2a,4aよりも外側に張り出しているため、キャリアフィルム5を剥離させた後には、軽剥離セパレータ3の外縁3aが最も外側に張り出した状態となる。これにより、軽剥離セパレータ3の外縁3aが重剥離セパレータ4の外縁4aよりもつまみ易くなっているため、軽剥離セパレータ3が重剥離セパレータ4よりも剥離させ易い状態となっている。従って、軽剥離セパレータ3の外縁部をつまむことで、重剥離セパレータ4を剥離させる前に軽剥離セパレータ3を容易に剥離させることができる。
【0041】
また、粘着フィルム1では、重剥離セパレータ4の外縁4aが粘着層2の外縁2aと略面一となっている。このようになっていると、軽剥離セパレータ3と重剥離セパレータ4との剥離し易さの差がより顕著となる傾向がある。このため、重剥離セパレータ4を剥離させる前に、軽剥離セパレータ3をより容易に剥離させることができる。
【0042】
また、重剥離セパレータ4は、直前の工程までキャリアフィルム5によって保護されていたため、重剥離セパレータ4の表面の傷が少なくなっている。これにより、粘着層2の傷を容易に視認でき、傷が生じている粘着層2を被着物に貼り付ける前に容易に排除できる。
【0043】
続いて、図12に示されるように、粘着層2の粘着面2bを被着物A1に貼り付け、ローラR等で押し付ける。被着物A1としては、例えば液晶パネル、保護パネル(ガラス板、アクリル樹脂板、ポリカーボネート板等)、タッチパネル等が挙げられる。このとき、粘着層2の粘着面2cには、重剥離セパレータ4が残るため、粘着層2の粘着面2bを被着物A1に貼り付ける際に、重剥離セパレータ4による粘着層2の保護が維持される。また、重剥離セパレータ4の外縁4aと粘着層2の外縁2aとが揃っているため、粘着層2の外縁2aの位置が明確となり、粘着層2と被着物A1との位置合わせが容易となる。
【0044】
続いて、図13に示されるように、重剥離セパレータ4を粘着層2から剥離して粘着層2の粘着面2cを露出させる。続いて、図14に示されるように、粘着層2の粘着面2cを被着物A2に貼り付け、加温・加圧する。被着物A2としては、例えば液晶パネル、保護パネル、タッチパネル等が挙げられる。以上の工程で、被着物A1と被着物A2との間に粘着層2が配置される。
【0045】
このように、粘着フィルム1によれば、粘着層2を保護しつつ、各セパレータ3,4及びキャリアフィルム5を確実に所定の順序で剥離不良無く容易に剥離させることができる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…粘着フィルム、2…粘着層、2a,3a,4a,5a…外縁、3…軽剥離セパレータ(第1の基材層)、4…重剥離セパレータ(第2の基材層)、5…キャリアフィルム(キャリア層)。
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、カーナビゲーション、携帯用小型パソコン、携帯情報端末(PDA)等の液晶表示装置において、タッチパネルが搭載されるようになってきた。このような液晶表示装置(以下、タッチパネル式ディスプレイという場合もある)の場合には、保護パネル、タッチパネル、及び液晶パネルがこの順で積層された積層構造となっており、保護パネルとタッチパネルとの間、タッチパネルと液晶パネルとの間に透明な粘着フィルムを介在させる場合がある(例えば、特許文献1参照)。このような粘着フィルムは、ディスプレイの輝度や鮮明さの向上に寄与するほか、衝撃吸収材としての機能も有しているため、ディスプレイの構成に欠かせない要素となってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−83491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した粘着フィルムは、製品としては、剥離可能な基材層で粘着層の両面を挟んだ3層構造の状態で取り扱われることが一般的である。このような粘着フィルムは、一方の基材層上に溶液状の粘着剤組成物を塗工し、必要に応じて紫外線等の活性光線を照射して粘着剤組成物を半硬化又は硬化させて粘着層を形成し、この粘着層上に他方の基材層を積層させて製造している。ここで粘着層は、対応する液晶表示装置の大きさに予め形成されていることが好ましい。しかしながら、粘着層を所望の大きさに塗工するのは困難である。そこで、この粘着フィルムの製造工程において、基材層上に形成された粘着層をブレード等で切断することにより、粘着層を所望の形状に切り出すことが有効である。しかしながら、このように形成した粘着フィルムは、粘着層から基材層を剥離する際に剥離不良の要因となることが考えられる。剥離不良とは、例えば、一方の基材層と他方の基材層とを順に剥離させる意図で、一方の基材層と粘着層との間の剥離強度が他方の基材層と粘着層との間の剥離強度よりも小さくなるように設計した場合において、一方の基材層を粘着層から剥離させる途中で、粘着層が一方の基材層に引っ張られ、他方の基材層から剥離してしまう現象である。
【0005】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、粘着層を保護しつつ、各基材層を確実に所定の順序で剥離不良なく容易に剥離させることができる粘着フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る粘着フィルムは、フィルム状の粘着層と、粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層と、第2の基材層に更に積層されたキャリア層とを備えた粘着フィルムであって、外層をなす第1の基材層及びキャリア層の外縁は、内層をなす粘着層及び第2の基材層の外縁よりも外側に張り出していることを特徴とする。
【0007】
このような粘着フィルムによれば、外層をなす第1の基材層及びキャリア層の外縁が、内層をなす粘着層及び第2の基材層の外縁よりも外側に張り出している。これにより、粘着フィルムの保管・運搬等に際し粘着層の外縁部が確実に保護される。また、粘着層を被着物に貼り付ける際には、外側に張り出したキャリア層の外縁部をつまむことで、キャリア層を容易に剥離させることができる。次に、第1の基材層の外縁部をつまむことで、第1の基材層を容易に剥離させることができる。このとき、粘着層の片側には、第2の基材層が残るため、粘着層の一方の面を被着物に貼り付ける際に、この第2の基材層による粘着層の保護が維持される。その後、第2の基材層を剥離させ、粘着層の他方の面を別の被着物に貼り付けることで、一対の被着物の間に粘着層を配置させることができる。
【0008】
ここで、第2の基材層の外縁は、粘着層の外縁と略面一とされていることが好ましい。この場合、第1の基材層と第2の基材層との剥離させ易さの差がより顕著となるため、第2の基材層を剥離させる前に、第1の基材層をより容易に剥離させることができる。更に、第2の基材層の外縁と粘着層の外縁とが揃うことで、粘着層の外縁の位置が明確になるため、粘着層と被着物との位置合わせが容易となる。
【0009】
また、キャリア層の外縁は、第1の基材層の外縁よりも外側に張り出していることが好ましい。この場合、キャリア層の外縁部が更につまみ易くなるため、キャリア層をより容易に剥離させることができる。
【0010】
また、第1の基材層と粘着層との間の剥離強度は、第2の基材層と粘着層との間の剥離強度よりも低くなっていることが好ましい。この場合、第1の基材層と第2の基材層との剥離させ易さの差がより顕著となるため、第2の基材層を剥離させる前に、第1の基材層をより容易に剥離させることができる。
【0011】
また、第2の基材層とキャリア層との間の剥離強度は、第2の基材層と粘着層との間の剥離強度よりも低くなっていることが好ましい。この場合、キャリア層と第2の基材層との剥離させ易さの差がより顕著となり、キャリア層をより容易に剥離させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る粘着フィルムによれば、粘着層を保護しつつ、各基材層を確実に所定の順序で剥離不良なく容易に剥離させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る粘着フィルムの一実施形態を示す側面図である。
【図2】本発明に係る粘着フィルムの一実施形態を示す斜視図である。
【図3】本発明に係る粘着フィルムの他の実施形態を示す側面図である。
【図4】母材フィルムの断面図である。
【図5】切断工程を示す断面図である。
【図6】除去工程を示す断面図である。
【図7】除去工程を示す断面図である。
【図8】除去工程を示す断面図である。
【図9】貼付工程を示す断面図である。
【図10】キャリアフィルムの剥離工程を示す断面図である。
【図11】軽剥離セパレータの剥離工程を示す断面図である。
【図12】被着物への粘着面の貼付工程を示す断面図である。
【図13】重剥離セパレータの剥離工程を示す断面である。
【図14】被着物への粘着面の貼付工程を示す断面図である。
【図15】広域動的粘弾性測定装置へのサンプルのセット方法を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1及び図2に示されるように、本発明に係る粘着フィルム1は、透明なフィルム状の粘着層2と、粘着層2を挟むように積層された軽剥離セパレータ3(第1の基材層)及び重剥離セパレータ4(第2の基材層)と、重剥離セパレータ4に更に積層されたキャリアフィルム5(キャリア層)とを備えている。この粘着フィルム1は、例えば携帯端末用のタッチパネル式ディスプレイの組み立てにおいて、保護パネルとタッチパネルとの間、タッチパネルと液晶パネルとの間に粘着層2を配置するためのものである。
【0015】
粘着層2は、例えば、(A)アクリル酸系誘導体ポリマ、(B)アクリル酸系誘導体、(C)重合開始剤等の粘着剤組成物によって形成される。(A)アクリル酸系誘導体ポリマーとしては、(B)アクリル酸系誘導体を重合させて得られるものが挙げられ、その重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより標準ポリスチレンの検量線を用いて測定したもの)が10,000以上1,000,000以下であるものが好ましい。アクリル酸系誘導体ポリマーは、アクリル酸系誘導体以外のモノマーを併用して重合させて得られるポリマーであってもよい。なお、重量平均分子量は、例えば、下記の装置及び測定条件で測定できる。
装置:高速GPC装置 HCL−8320GPC(検出器:示差屈折計又はUV)(東ソー(株)製、商品名)
使用溶媒:テトラヒドロフラン(THF)
カラム:カラムTSKGEL SuperMultipore HZ−H(東ソー(株)製、商品名)
カラムサイズ:カラム長が15cm、カラム内径が4.6mm
測定温度:40℃
流量:0.35ml/分
試料濃度:10mg/THF5ml
注入量:20μl
【0016】
(B)アクリル酸系誘導体としては、アクリル酸又はメタクリル酸、それらの誘導体等が挙げられる。具体的には、重合性不飽和結合を分子内に1個有する、アルキル基の炭素数が1〜20の(メタ)アクリル酸アルキル、ベンジルメタアクリレート、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート、(ジエチレングリコールエチルエーテル)の(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、ポリアルキレングリコールアリールエーテルの(メタ)アクリル酸エステル、脂環式基を有する(メタ)アクリル酸エステル、フッ素化アルキルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート、グリセロールメタクリレート、グリセロールアクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン等が挙げられる。これらは、単独又は2種類以上を併用することができる。
【0017】
上記の重合性不飽和結合を分子内に1個有するモノマーと共に、重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーを使用することができる。このようなモノマーとしては、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらのモノマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。粘着層2の成形性の観点からは、(B)成分において重合性不飽和結合を分子内に2個以上有するモノマーを用いることが好ましい。
【0018】
なお、「(メタ)アクリレート」とは、「アクリレート」及びそれに対応する「メタクリレート」を意味する。同様に「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及びそれに対応する「メタクリル」を意味し、「(メタ)アクリロイル」とは「アクリロイル」及びそれに対応する「メタクリロイル」を意味する。
【0019】
(C)重合開始剤としては、光重合開始剤を使用することができ、ケトン系、アセトフェノン系、ベンゾフェノン系、アントラキノン系、ベンゾイン系、アシルフォスフィンオキサイド系、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、オニウム塩等の公知の材料から選ぶことができる。これらの中でも特に、1―ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のケトン系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド系化合物を使用することが透明性及び硬化性の観点から好ましい。
【0020】
(A)成分の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、15〜80質量%であることが好ましく、15〜60質量%であることがより好ましく、15〜50質量%が更に好ましい。また、(B)成分の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して15〜80質量%が好ましいく、30〜80質量%がより好ましく、40〜80質量%が更に好ましい。(A)成分及び(B)成分の含有量が上記範囲内であると、粘着剤組成物の粘度が粘着層を作製する際の適正粘度範囲に入り、成形性が良好となる。また、得られる粘着層2の粘着性及び透明性も向上する。(C)成分の含有量は、粘着剤組成物の全質量に対して、0.05〜5質量%であることが好ましく、0.1〜3質量%がより好ましく、0.1〜0.5質量%が更に好ましい。(C)成分の含有量を5質量%以下とすることで、粘着剤組成物の光透過率が高まり、また粘着剤組成物の色相が黄味を帯びにくくなるため、より優れた粘着層2を得ることができる。
【0021】
このような粘着層2は、例えば、重剥離セパレータ4上に、上記(A)〜(C)成分を含む溶液状の粘着剤組成物を任意の膜厚で塗工し、これに活性エネルギー線を照射して硬化させた後に所望の大きさに切断することで形成される。粘着層2は、粘着性の観点から、アルキル基の炭素数が4〜18の(メタ)アクリル酸アルキルに由来する構造単位を主に含むことが好ましい。ここで「主に含む」とは、粘着層2を構成する成分中で最も多い成分を意味する。塗工された粘着剤組成物に、紫外線等の活性光線を照射してもよい。粘着層2の厚みは、0.1mm以上1mm以下であることが好ましく、0.15mm(150μm)以上0.5mm(500μm)以下であることが更に好ましい。このような厚みにすることで、粘着層2をディスプレイに適用した場合により一層優れた効果を発揮させることができる。
【0022】
粘着層2の25℃における貯蔵弾性率は、1.0×103Pa以上1.0×106Pa以下であることが好ましく、1.0×104Pa以上5.0×105Pa以下であることが更に好ましい。
【0023】
貯蔵弾性率は、例えば、次のようにして測定できる。まず、厚さ250μmの粘着層2を2枚重ねて厚さ約500μmにし、一辺10mmの正方形状に裁断してサンプルSを作製する。2つのサンプルSを準備し、治具100を介して広域動的粘弾性測定装置にセットする。図15に示されるように、治具100は、互いに対向するように広域動的粘弾性測定装置に取り付けられる一対の取付治具100A,100Bを有している。取付治具100Aには、取付治具100Bに向かって延在するプレートP1が設けられている。取付治具100Bには、取付治具100Aに向かって延在し、プレートP1の各面に対向する一対のプレートP2,P2が設けられている。各プレートP2とプレートP1とは、サンプルSを介して貼り合わされる。この状態で、広域動的粘弾性測定装置により取付治具100A,100Bを互いに離間させ、貯蔵弾性率を測定する。広域動的粘弾性測定装置としては、Rheometric Scientific社製、Solids Analyzer RSA−IIを用い、測定条件は「シェアサンドイッチモード、周波数1.0Hz、測定温度範囲−20〜100℃で昇温速度5℃/分」とする。
【0024】
また、粘着層2のガラス板に対する剥離強度(ピール強度)は、5N/10mm以上20N/10mm以下であることが好ましく、7N/10mm以上15N/10mm以下であることがより好ましい。粘着層2の厚みは、100μm以上500μm以下であることが好ましく、150μm以上400μm以下であることがより好ましい。粘着層2の平面形状は、適用される被着物に応じて適宜設計されるが、例えば長辺が50mm以上500mm以下、短辺が30mm以上400mm以下の長方形となっていると、本発明の効果が顕著となり、長辺が100mm以上300mm以下、短辺が80mm以上280mm以下の長方形であると、本発明の効果がより顕著となる。粘着層2の光透過率は、可視光領域(波長:380〜780nm)の光線に対して80%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが特に好ましい。この光透過率は、分光光度計により測定することができる。分光光度計としては、例えば日立U−3310型分光光度計(積分球使用)を使用することができる。粘着層2の光透過率は、例えば厚さ500μmのガラス板と、厚さ175μmになるように作製された粘着層2とを貼り合わせた粘着層付きガラス板の光透過率を分光光度計により測定し、粘着層付きガラス板の光透過率からガラス板の光透過率を差し引くことで算出することができる。
【0025】
軽剥離セパレータ3は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであり、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)であることが好ましい。軽剥離セパレータ3の厚みは、例えば25μm以上125μm以下であることが好ましく、30μm以上100μm以下であることがより好ましく、40μm以上75μm以下であることが特に好ましい。
【0026】
重剥離セパレータ4は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであり、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)であることが好ましい。重剥離セパレータ4の厚みは、例えば、50μm以上150μm以下であることが好ましく、60μm以上125μm以下であることがより好ましく、70μm以上100μm以下であることが特に好ましい。
【0027】
キャリアフィルム5は、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の重合体フィルムであり、中でも、ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、「PETフィルム」という)であることが好ましい。キャリアフィルム5の厚みは、例えば、15μm以上100μm以下であることが好ましく、20μm以上80μm以下であることがより好ましく、20μm以上50μm以下であることが特に好ましい。
【0028】
ここで、重剥離セパレータ4の外縁4aは、粘着層2の外縁2aと略面一となっている。軽剥離セパレータ3及びキャリアフィルム5の外縁3a,5aは、粘着層2の外縁2aよりも外側に張り出している。また、外縁5aは、外縁3aよりも更に外側に張り出していることが好ましい。
【0029】
外縁3aが外縁2aよりも外側に張り出す量は、例えば2mm以上15mm以下であることが好ましく、4mm以上10mm以下であることがより好ましい。外縁5aが外縁2aよりも外側に張り出す量は、例えば3mm以上25mm以下であることが好ましく、5mm以上20mm以下であることがより好ましい。また、外縁3aが外縁2aよりも外側に張り出す量をPとし、外縁5aが外縁3aよりも外側に張り出す量をQとした場合、Q>Pであることが好ましい。
【0030】
また、軽剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度は、重剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との間の剥離強度は、重剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度よりも低くなっている。ここで、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との間の剥離強度は、軽剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度より低いことがより好ましいが、高くても本願の効果を損なうことはない。
【0031】
軽剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度は、0.01N/25mm以上0.4N/25mm以下であることが好ましく、重剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度は、0.3N/25mm以上1.5N/25mm以下であることが好ましく、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との間の剥離強度は、0.005N/25mm以上0.3N/25mm以下であることが好ましい。また、軽剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度をS、重剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度をT、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との間の剥離強度をUとした場合、T>S且つT>Uであることが好ましい。SとUとの関係は、S>Uであってもよいし、U>Sであってもよいが、S>Uであることが特に好ましい。
【0032】
上記剥離強度は、(株)エー・アンド・デイ製の万能試験機「テンシロンRTG−1210」で測定したものとする。測定条件は、「軽剥離セパレータ3と粘着層2との間の剥離強度、重剥離セパレータ4と粘着層2との間の剥離強度、及びキャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との間の剥離強度」は90度ピールによる。また、「ガラス板と粘着層2との間の剥離強度」は180度ピールによる。
【0033】
このように、外層をなす軽剥離セパレータ3及びキャリアフィルム5の外縁3a,5aが、内層をなす粘着層2及び重剥離セパレータ4の外縁2a,4aよりも外側に張り出しているため、粘着フィルム1の保管・運搬等に際して、粘着層2の外縁部が確実に保護される。
【0034】
セパレータ3,4と粘着層2との剥離強度は、例えば、セパレータ3,4に対する表面処理等によって調整される。セパレータ3,4に対する表面処理方法としては、例えば、シリコーン系化合物又はフッ素系化合物で離型処理することが挙げられる。また、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との剥離強度は、例えばキャリアフィルム5及び重剥離セパレータ4の間に形成させる接着剤層の種類及び接着剤の厚みによって調整される。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ4の間に形成させる接着剤の種類としては、例えばアクリル系接着剤等の接着剤が挙げられる。キャリアフィルム5及び重剥離セパレータ4の間に形成させる接着剤層の厚みは、0.1〜10μmが好ましく、1〜5μmがより好ましい。
【0035】
なお、キャリアフィルム5の粘着層2側の面5bの全域に、上記接着剤層が形成されている場合、重剥離セパレータ4の外縁4aより外側において、上記接着剤層が露出してしまうこととなる。このような場合、図3に示されるように、重剥離セパレータ4の外縁4aより外側に、面5bを覆うフィルム4Aが設けられていることが好ましい。フィルム4Aは、例えば、重剥離セパレータ4と同じ素材で構成可能である。フィルム4Aを設けることにより、面5bの全域で上記接着剤層が覆われるため、露出した上記接着剤層が他の部分に貼り付いてしまうことや、露出した上記接着剤層に異物等が貼り付いてしまうことを効果的に防止し、粘着フィルム1の使い勝手を向上させることができる。
【0036】
以上に説明した粘着フィルム1は、次のように製造される。まず、図4に示されるように、キャリアフィルム5上に、重剥離セパレータ4、粘着層2、及び仮セパレータ6が順に積層された母材フィルム10を準備する。仮セパレータ6は、例えば、軽剥離セパレータ3と同じ素材からなる層である。
【0037】
続いて、ブレードBを備えた打抜装置(不図示)により、仮セパレータ6、粘着層2、及び重剥離セパレータ4を所望の形状に切断する。打抜装置は、クランク式の打抜装置であってもよいし、ロータリー式の打抜装置であってもよい。この工程では、図5に示されるように、仮セパレータ6、粘着層2、及び重剥離セパレータ4に、キャリアフィルム5に到達する深さでブレードBを通す。これにより、キャリアフィルム5の粘着層2側の面5bには、切込部5cが形成される。このように、仮セパレータ6からキャリアフィルム5にブレードBを到達させることにより、粘着層2及び重剥離セパレータ4を完全に切断することができる。なお、切込部5cを形成することなく重剥離セパレータ4を切断できる場合には、必ずしも切込部5cを形成しなくてもよい。
【0038】
続いて、図6に示されるように仮セパレータ6、粘着層2及び重剥離セパレータ4の外側部分を除去する。この時、図7に示されるように、仮セパレータ6及び粘着層2の外側部分のみを除去し、重剥離セパレータ4の外側部分を除去せずにキャリアフィルム5上に残すことで、上述したフィルム4Aを形成してもよい。次に、図8に示されるように粘着層2から仮セパレータ6を剥離し、図9に示されるように粘着層2に軽剥離セパレータ3を貼付する。以上の工程で粘着フィルム1が完成する。
【0039】
また、粘着フィルム1は、ディスプレイの組み立て等において次のように使用される。最初に、図10に示されるように、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ4から剥離する。上述したように、キャリアフィルム5の外縁5aは、粘着層2及び重剥離セパレータ4の外縁2a,4aよりも外側に張り出している。これにより、外側に張り出したキャリアフィルム5の外縁部をつまむことで、キャリアフィルム5を容易に剥離させることができる。また、キャリアフィルム5の外縁5aは、軽剥離セパレータ3の外縁3aよりも外側に張り出していることが好ましい。これにより、キャリアフィルム5の外縁部が更につまみ易くなっているため、キャリアフィルム5をより容易に剥離させることができる。更に、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との剥離強度は、重剥離セパレータ4と粘着層2との剥離強度よりも低くなっている。これにより、キャリアフィルム5と重剥離セパレータ4との剥離させ易さの差がより顕著となり、キャリアフィルム5を重剥離セパレータ4から、より容易に剥離させることができる。
【0040】
続いて、図11に示されるように、軽剥離セパレータ3を粘着層2から剥離して粘着層2の粘着面2bを露出させる。上述したように、軽剥離セパレータ3と粘着層2との剥離強度は、重剥離セパレータ4と粘着層2との剥離強度よりも低くなっている。従来の粘着フィルムでは、このように剥離強度に差を設けて設計した場合であっても、設計の意図通り順序良く剥離しない場合がある。これに対し、軽剥離セパレータ3の外縁3aは、粘着層2及び重剥離セパレータ4の外縁2a,4aよりも外側に張り出しているため、キャリアフィルム5を剥離させた後には、軽剥離セパレータ3の外縁3aが最も外側に張り出した状態となる。これにより、軽剥離セパレータ3の外縁3aが重剥離セパレータ4の外縁4aよりもつまみ易くなっているため、軽剥離セパレータ3が重剥離セパレータ4よりも剥離させ易い状態となっている。従って、軽剥離セパレータ3の外縁部をつまむことで、重剥離セパレータ4を剥離させる前に軽剥離セパレータ3を容易に剥離させることができる。
【0041】
また、粘着フィルム1では、重剥離セパレータ4の外縁4aが粘着層2の外縁2aと略面一となっている。このようになっていると、軽剥離セパレータ3と重剥離セパレータ4との剥離し易さの差がより顕著となる傾向がある。このため、重剥離セパレータ4を剥離させる前に、軽剥離セパレータ3をより容易に剥離させることができる。
【0042】
また、重剥離セパレータ4は、直前の工程までキャリアフィルム5によって保護されていたため、重剥離セパレータ4の表面の傷が少なくなっている。これにより、粘着層2の傷を容易に視認でき、傷が生じている粘着層2を被着物に貼り付ける前に容易に排除できる。
【0043】
続いて、図12に示されるように、粘着層2の粘着面2bを被着物A1に貼り付け、ローラR等で押し付ける。被着物A1としては、例えば液晶パネル、保護パネル(ガラス板、アクリル樹脂板、ポリカーボネート板等)、タッチパネル等が挙げられる。このとき、粘着層2の粘着面2cには、重剥離セパレータ4が残るため、粘着層2の粘着面2bを被着物A1に貼り付ける際に、重剥離セパレータ4による粘着層2の保護が維持される。また、重剥離セパレータ4の外縁4aと粘着層2の外縁2aとが揃っているため、粘着層2の外縁2aの位置が明確となり、粘着層2と被着物A1との位置合わせが容易となる。
【0044】
続いて、図13に示されるように、重剥離セパレータ4を粘着層2から剥離して粘着層2の粘着面2cを露出させる。続いて、図14に示されるように、粘着層2の粘着面2cを被着物A2に貼り付け、加温・加圧する。被着物A2としては、例えば液晶パネル、保護パネル、タッチパネル等が挙げられる。以上の工程で、被着物A1と被着物A2との間に粘着層2が配置される。
【0045】
このように、粘着フィルム1によれば、粘着層2を保護しつつ、各セパレータ3,4及びキャリアフィルム5を確実に所定の順序で剥離不良無く容易に剥離させることができる。
【0046】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0047】
1…粘着フィルム、2…粘着層、2a,3a,4a,5a…外縁、3…軽剥離セパレータ(第1の基材層)、4…重剥離セパレータ(第2の基材層)、5…キャリアフィルム(キャリア層)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルム状の粘着層と、前記粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層と、前記第2の基材層に更に積層されたキャリア層とを備えた粘着フィルムであって、
外層をなす前記第1の基材層及び前記キャリア層の外縁は、内層をなす前記粘着層及び前記第2の基材層の外縁よりも外側に張り出していることを特徴とする粘着フィルム。
【請求項2】
前記第2の基材層の外縁は、前記粘着層の外縁と略面一とされていることを特徴とする請求項1記載の粘着フィルム。
【請求項3】
前記キャリア層の外縁は、前記第1の基材層の外縁よりも外側に張り出していることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着フィルム。
【請求項4】
前記第1の基材層と前記粘着層との間の剥離強度は、前記第2の基材層と前記粘着層との間の剥離強度よりも低くなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の粘着フィルム。
【請求項5】
前記第2の基材層と前記キャリア層との間の剥離強度は、前記第2の基材層と前記粘着層との間の剥離強度よりも低くなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の粘着フィルム。
【請求項1】
フィルム状の粘着層と、前記粘着層を挟むように積層された第1及び第2の基材層と、前記第2の基材層に更に積層されたキャリア層とを備えた粘着フィルムであって、
外層をなす前記第1の基材層及び前記キャリア層の外縁は、内層をなす前記粘着層及び前記第2の基材層の外縁よりも外側に張り出していることを特徴とする粘着フィルム。
【請求項2】
前記第2の基材層の外縁は、前記粘着層の外縁と略面一とされていることを特徴とする請求項1記載の粘着フィルム。
【請求項3】
前記キャリア層の外縁は、前記第1の基材層の外縁よりも外側に張り出していることを特徴とする請求項1又は2記載の粘着フィルム。
【請求項4】
前記第1の基材層と前記粘着層との間の剥離強度は、前記第2の基材層と前記粘着層との間の剥離強度よりも低くなっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の粘着フィルム。
【請求項5】
前記第2の基材層と前記キャリア層との間の剥離強度は、前記第2の基材層と前記粘着層との間の剥離強度よりも低くなっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の粘着フィルム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−57056(P2013−57056A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145801(P2012−145801)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]