説明

粘着剤組成物、光学部材および粘着シート

【課題】ポットライフが長く作業性に優れ、かつ短い熟成時間で実用粘着性能に達し、生産性に優れる粘着剤組成物を提供する。
【解決手段】0.1〜9質量部のカルボキシル基含有モノマー(a−1)、0〜1質量部のヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー(a−2)、および99.9〜90質量部の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−3)からなる(ただし、(a−1)、(a−2)、および(a−3)の合計量は100質量部である)単量体成分を含み、重量平均分子量が10万〜200万である(メタ)アクリル共重合体(A)100質量部と、前記(メタ)アクリル共重合体(A)100質量部に対して、カルボジイミド架橋剤(B)0.05〜5質量部と、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤またはハフニウムカップリング剤(C)0.01〜0.3質量部と、を含む、粘着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着剤組成物、光学部材および粘着シートに関する。さらに詳細には、本発明は、ポットライフが長く作業性に優れ、かつ粘着加工後短い熟成時間で実用粘着性能に達する粘着剤組成物に関する。また、かかる粘着剤組成物を備える、光学部材および粘着シートに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイ(PDP)、有機EL装置などのフラットパネルディスプレイ(FPD)の使用が拡大している。これに伴い、FPDに使用される粘着剤の作業性、生産性の向上が求められている。
【0003】
特許文献1には、アクリル系ポリマーにチタン系カップリング剤および/またはジルコニウム系カップリング剤を含む、光学フィルム用粘着剤組成物が開示されている。かかる構成によって、光学フィルム用粘着剤組成物は、高温、高温高湿条件下でも耐久性、光漏れに優れることが開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、アクリル系ポリマーにイソシアネート化合物および有機チタニウムオキサイド化合物を含む、光学部材用表面保護フィルム用粘着剤組成物が開示されている。かかる構成によって、光学部材用表面保護フィルム用粘着剤組成物は、有機錫化合物をイソシアネート化合物の硬化触媒として使用する場合と同等の養生期間と物性を有することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−65102号公報
【特許文献2】特開2010−217227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1および2に記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層は、架橋処理後、実用粘着性能に達するまで1日以上の長い熟成時間を必要とし、生産性が低いという問題があった。
【0007】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたものであり、ポットライフが長く作業性に優れ、かつ短い熟成時間で実用粘着性能に達し、生産性に優れる粘着剤組成物を提供することを目的とする。
【0008】
本発明の別の目的は、かような粘着剤組成物を含む、光学部材および粘着シートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記の問題を解決すべく、鋭意研究を行った。
【0010】
その結果、特定の(メタ)アクリル共重合体、カルボジイミド架橋剤、およびチタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤、またはハフニウムカップリング剤が特定の組成で含まれる粘着剤組成物が、ポットライフが長く作業性に優れ、粘着加工後0.5日という短い熟成時間で実用粘着性能に達し、生産性が大幅に向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、0.1〜9質量部のカルボキシル基含有モノマー(a−1)、0〜1質量部のヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー(a−2)、および99.9〜90質量部の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−3)からなる(ただし、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計量は100質量部である)単量体成分を含み、重量平均分子量が10万〜200万である(メタ)アクリル共重合体(A) 100質量部と、前記(メタ)アクリル共重合体(A) 100質量部に対して、カルボジイミド架橋剤(B) 0.05〜5質量部と、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤またはハフニウムカップリング剤(C) 0.01〜0.3質量部と、を含む、粘着剤組成物である。
【0012】
また、本発明の他の発明は、かような粘着剤組成物を含む、光学部材、あるいは、粘着シートである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の粘着性組成物は、ポットライフが長く作業性に優れ、かつ粘着加工後短い熟成時間で実用粘着性能に達し、生産性が大幅に向上する。
【0014】
したがって、本発明の粘着剤組成物は、各種被着体の接着に有効であり、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層は、特に光学部材や粘着シートの粘着剤層として好適に使用できる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、0.1〜9質量部のカルボキシル基含有モノマー(a−1)、0〜1質量部のヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー(a−2)、および99.9〜90質量部の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−3)からなる(ただし、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計量は100質量部である)単量体成分を含み、重量平均分子量が10万〜200万である(メタ)アクリル共重合体(A) 100質量部と、前記(メタ)アクリル共重合体(A) 100質量部に対して、カルボジイミド架橋剤(B) 0.05〜5質量部と、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤またはハフニウムカップリング剤(C) 0.01〜0.3質量部と、を含む、粘着剤組成物である。
【0016】
本発明の粘着剤組成物は、特定の(メタ)アクリル共重合体(A)を用い、架橋剤としてカルボジイミド架橋剤を含み、さらにチタン系、ジルコニウム系またはハフニウム系のカップリング剤を含むことを特徴とする。
【0017】
特定の(メタ)アクリル共重合体(A)に、カルボジイミド架橋剤と、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤またはハフニウムカップリング剤とを併用することにより、粘着物性に影響を与えることなく、ポットライフが長く、かつ粘着加工後短い熟成時間で粘着剤層が架橋(硬化)する、作業性および生産性が共に大幅に向上した粘着剤組成物が得られる。
【0018】
また、本発明の粘着剤組成物を使用して形成された粘着剤層は、光学部材用粘着剤として適度な粘着力や基材への密着性を有し、さらには、金属腐食抑制・防止性、耐光漏れ性、耐久性、耐被着体汚染性、低温安定性、リワーク性にも優れる。
【0019】
さらに、本発明の粘着剤組成物を使用して形成された粘着剤層は、粘着シート用粘着剤として適度な粘着力や基材への密着性を有し、さらには、金属腐食抑制・防止性、耐被着体汚染性、低温安定性、透明性、耐熱性、耐湿熱性にも優れる。
【0020】
以下、本発明の粘着剤組成物の各成分について詳細に説明する。
【0021】
なお、本明細書において「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタアクリレートの総称である。(メタ)アクリル酸等の(メタ)を含む化合物等も同様に、名称中に「メタ」を有する化合物と「メタ」を有さない化合物の総称である。このため、「(メタ)アクリル」とは、アクリルよびメタクリル双方を包含する。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートおよびメタアクリレート双方を包含する。「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸双方を包含する。
【0022】
(A)(メタ)アクリル共重合体
本発明で用いられる(メタ)アクリル共重合体(以下、単に「成分(A)」とも称する)は、0.1〜9質量部のカルボキシル基含有モノマー(a−1)、0〜1質量部のヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー(a−2)、および99.9〜90質量部の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−3)からなる単量体成分を含む。なお、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計量は100質量部である。そして、該(メタ)アクリル共重合体の重量平均分子量は10万〜200万である。
【0023】
(a−1)カルボキシル基含有モノマー
本発明に係るカルボキシル基含有モノマー(以下、単に「成分(a−1)」とも称する)は、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を有する不飽和モノマーである。カルボキシル基含有モノマーの具体例としては、以下に制限されないが、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、およびオレイン酸などが挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0024】
これらのうち、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、無水フマル酸、クロトン酸、イタコン酸、無水イタコン酸が好ましく、(メタ)アクリル酸がより好ましい。
【0025】
本発明において、カルボキシル基含有モノマーの使用量は、0.1〜9質量部である。使用量が9質量部を超えると、共重合体(A)中のカルボキシル基が過剰になり、該カルボキシル基とカルボジイミド架橋剤(B)とが反応してできる架橋点が過度になるため、本発明の粘着剤組成物の柔軟性が低下し、粘着剤層の耐光漏れ性および耐久性が低下する(粘着性が出なくなる)。一方で、使用量が0.1質量部未満であると、カルボジイミド架橋剤(B)との架橋が不十分となり、耐熱性が低下する。
【0026】
(a−2)ヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー
本発明に係るヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー(以下、単に「成分(a−2)」とも称する)は、分子中にヒドロキシ基を有するアクリルモノマーである。ヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマーの具体例としては、以下に制限されないが、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタンジ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェニルオキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート等が挙げられ、さらに、アルキルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有化合物と、(メタ)アクリル酸との付加反応により得られる化合物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0027】
これらの中でも、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、シクロヘキサンジメタノールモノアクリレートが好ましく、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、N−2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミドがより好ましい。
【0028】
ヒドロキシ基含有アクリルモノマーの使用量は、0〜1質量部である。使用量が1質量部を超えると、共重合体(A)中のヒドロキシ基が過剰になり、該ヒドロキシ基とカルボジイミド架橋剤(B)とが反応してできる架橋点が過度になるため、本発明の粘着剤組成物の柔軟性が低下し、粘着剤層の耐光漏れ性および耐久性が低下する(ゲル化する可能性が高くなる)。
【0029】
(a−3)(メタ)アクリル酸エステルモノマー
(メタ)アクリル酸エステルモノマー(以下、単に「成分(a−3)」とも称する)は、分子中にヒドロキシ基を有さない(メタ)アクリル酸のエステルである。(メタ)アクリル酸エステルモノマーの具体例としては、以下に制限されないが、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘプチル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、4−n−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシルジグリコール(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシメチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−ブトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、4−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、2,4,5−テトラメチルフェニル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレンオキシドモノアルキルエーテル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタデカフルオロオキシエチル(メタ)アクリレート、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジブロモプロピル(メタ)アクリレート、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0030】
これらの中でも、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートが好ましく、メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0031】
(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−3)の使用量は、99.9〜90質量部である。使用量が99.9質量部を超えると、相対的に(a−1)成分が少なくなり、カルボジイミド架橋剤(B)との架橋が不十分となり、耐熱性が低下する。
一方で、使用量が90質量部未満であると、相対的に、(a−1)成分が多くなり、上記と同様の理由で粘着性が出なくなる。
【0032】
(メタ)アクリル共重合体(A)の製造方法は、特に制限されず、重合開始剤を使用する溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、逆相懸濁重合法、薄膜重合法、噴霧重合法など従来公知の方法を用いることができる。重合制御の方法としては、断熱重合法、温度制御重合法、等温重合法などが挙げられる。また、重合開始剤により重合を開始させる方法の他に、放射線、電子線、紫外線等を照射して重合を開始させる方法を採用することもできる。中でも重合開始剤を使用する溶液重合法が、分子量の調節が容易であり、また不純物も少なくできるために好ましい。例えば、溶剤として酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等を用い、モノマーの合計量100質量部に対して、重合開始剤を好ましくは0.01〜0.50質量部を添加し、窒素雰囲気下で、例えば反応温度60〜90℃で、3〜10時間反応させることで得られる。前記重合開始剤としては、例えば、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、アゾビスシアノ吉草酸等のアゾ化合物;tert−ブチルパーオキシピバレート、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド等の有機過酸化物;過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム等の無機過酸化物が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし2種以上併用してもよい。
【0033】
必要に応じて、上記成分(a−1)〜(a−3)と共重合可能なその他のモノマーが用いられる。その他のモノマーは特に制限されず、具体的な例としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するアクリルモノマー;ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、メタクリルオキシエチルトリメチルアンモニウムクロライド(メタ)アクリレート等のアミノ基を有するアクリルモノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−メチレンビス(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するアクリルモノマー;2−メタクリロイルオキシエチルジフェニルホスフェート(メタ)アクリレート、トリメタクリロイルオキシエチルホスフェート(メタ)アクリレート、トリアクリロイルオキシエチルホスフェート(メタ)アクリレート等のリン酸基を有するアクリルモノマー;スルホプロピル(メタ)アクリレートナトリウム、2−スルホエチル(メタ)アクリレートナトリウム、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸ナトリウム等のスルホン酸基を有するアクリルモノマー;ウレタン(メタ)アクリレート等のウレタン基を有するアクリルモノマー;p−tert−ブチルフェニル(メタ)アクリレート、o−ビフェニル(メタ)アクリレート等のフェニル基を有するアクリルビニルモノマー;2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエチル)シラン、ビニルトリアセチルシラン、メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン基を有するビニルモニマー;スチレン、クロロスチレン、α―メチルスチレン、ビニルトルエン、塩化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、アクリロニトリル、ビニルピリジン等が挙げられる。これらその他のモノマーは、単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0034】
これらのその他のモノマーの中でも、(メタ)アクリルアミド、グリシジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2−アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート、酢酸ビニルが好ましく、(メタ)アクリルアミド、酢酸ビニルがより好ましい。
【0035】
その他のモノマーを使用する場合の使用量は、成分(a−1)〜(a−3)の合計量100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.2〜7質量部であることがより好ましく、0.3〜6質量部であることがさらに好ましい。
【0036】
上記各成分を共重合することによって得られる(メタ)アクリル共重合体(A)の重量平均分子量(Mw)は10万〜200万である。重量平均分子量が10万未満であると、耐熱性が不足する。一方、重量平均分子量が200万を超えると、タックが低く、貼合性が低下する。なお、本明細書において、重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定したポリスチレン換算の値を採用するものとする。
【0037】
なお、成分(a−1)、成分(a−2)、および成分(a−3)の合計量は、100質量部となるようにする。
【0038】
上記成分(A)は、単独で使用してもよいし2種以上のポリマーを組み合わせて使用してもよい。
【0039】
(B)カルボジイミド架橋剤
上記成分(A)に加えて、本発明の粘着剤組成物は、カルボジイミド架橋剤(以下、単に「成分(B)」とも称する)を含む。カルボジイミド架橋剤は、上記の(メタ)アクリル共重合体(A)中のヒドロキシ基および/またはカルボキシル基と反応・結合し、架橋構造を形成する。
【0040】
本発明で用いられるカルボジイミド架橋剤(B)は、特に制限されない。具体的には、例えば、カルボジイミド基(−N=C=N−)を分子内に2個以上有する化合物が好ましく用いられ、公知のポリカルボジイミドを用いることができる。
【0041】
また、カルボジイミド化合物としては、カルボジイミド化触媒の存在下でジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させることによって生成した高分子量ポリカルボジイミドも使用できる。
【0042】
このような化合物としては、以下のジイソシアネートを脱炭酸縮合反応させたものが挙げられる。
【0043】
ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’−ジメチル−4,4’−ジフェニルエーテルジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネートの内の一種、またはこれらの2種以上の混合物を使用することができる。
【0044】
カルボジイミド化触媒としては、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、あるいはこれらの3−ホスホレン異性体等のホスホレンオキシドを利用することができる。
【0045】
このような高分子量ポリカルボジイミドは、合成してもよいし市販品を使用してもよい。
【0046】
成分(B)の市販品としては、例えば、日清紡ケミカル株式会社製のカルボジライト(登録商標)シリーズが挙げられる。その中でも、カルボジライト(登録商標)V−01、V−03、V−05、V−07、V−09は有機溶剤との相溶性に優れており好ましい。
【0047】
成分(B)の配合量は、成分(A)100質量部に対して、0.05〜5質量部である。この範囲にあれば、適度な架橋構造を形成して、優れた耐熱性がさらに達成しうる。上記カルボジイミド架橋剤(B)の配合量が0.05質量部未満であると、十分な架橋構造が形成できず、耐熱性が低下する。一方、5質量部を超えると、架橋反応が進行しすぎて粘着力が低下し、経時的な偏光板の収縮に追従できなくなり、耐光漏れ性および耐久性が低下する。
【0048】
上記成分(B)は、単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0049】
(C)チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤またはハフニウムカップリング剤
本発明の粘着剤組成物は、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤またはハフニウムカップリング剤(以下、単に「成分(C)」とも称する)を含む。かような成分(C)を含ませることによって、粘着物性に阻害を及ぼすことなく、硬化促進効果を向上させることで生産性が向上する。本発明で用いられるチタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤またはハフニウムカップリング剤(以下、単に「本発明のカップリング剤」、または「周期表4族カップリング剤」とも称する)は、チタン原子、ジルコニウム原子またはハフニウム原子を含み、本発明の粘着剤組成物に対して、硬化促進効果を向上させる化合物であれば、特に制限されず、従来公知の知見を参照し、あるいは組み合わせて選択することができる。例えば、特表2003−519631号公報や、再表2005−108499号公報、特開2009−292731号公報に開示されているようなカップリング剤を、適宜選択することによって使用することができる。また、市販品を使用してもよい。
【0050】
発明者らは、下記:
【0051】
【化1】

【0052】
で示される、味の素ファインテクノ株式会社製のカップリング剤や、下記:
【0053】
【化2】

【0054】
で示される、ケンリッチ・ペトロケミカルズ社製のカップリング剤が、本発明の粘着剤組成物に対して、硬化促進効果を特に向上させるものであることを見出している。なお、チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤またはハフニウムカップリング剤を、粘着剤組成物に含ませることによって、本発明の所期の目的を達成できるメカニズムは必ずしも明らかではないが、チタン原子、ジルコニウム原子、ハフニウム原子がカルボキシル基の水素引き抜きを促進し、カルボキシル基とカルボジイミド架橋剤との架橋を速やかに行うのではないかと考えられる。また、他の金属カップリング剤と比較して、本発明のカップリング剤がよい理由は、チタン、ジルコニウム、ハフニウムの配位子の数と分子構造(かさ高さや分子量などのバランス)が、カルボキシル基の水素引き抜きを促進するためと考えられる。ただ、水素引き抜きの効果を考慮すると、硫黄やアミンを含まない場合が好ましい場合がある。無論、上記メカニズムによって、本発明の技術的範囲は制限されない。
【0055】
成分(C)の配合量は、成分(A)100質量部に対して、0.01〜0.3質量部である。この範囲にあれば、粘着物性に阻害を及ぼすことなく、架橋速度が速い粘着剤組成物及び光学部材を得ることができる。このように、周期表4族の元素を含むチタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤またはハフニウムカップリング剤をカルボジイミド系硬化剤の硬化促進剤として粘着剤に加えることで、本発明の顕著な効果を奏することができる。上記成分(C)の配合量が0.01質量部未満であると、十分な硬化促進効果が得られず、粘着加工後長い熟成時間が必要となる。一方、0.3質量部を超えると、耐光漏れ性、耐久性、基材に対する密着性、低温安定性、リワーク性が低下する。また、被着体汚染性に繋がる。
【0056】
上記成分(C)は、単独で使用してもよいし2種以上組み合わせて使用してもよい。
【0057】
(D)イソシアネート架橋剤
本発明の粘着剤組成物は、イソシアネート架橋剤(D)(以下、単に「成分(D)」とも称する)を含んでもよい。イソシアネート架橋剤(D)を添加することにより、得られる粘着剤層の耐久性をより向上させることができる。また、耐光性が有意に向上する。
【0058】
本発明で用いられる成分(D)は、特に制限されない。具体的には、例えば、トリアリルイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート(2,4−TDI)、2,6−トリレンジイソシアネート(2,6−TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(4,4’−MDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(2,4’−MDI)、1,4−フェニレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリデンジイソシアネート(TMXDI)、トリジンジイソシアネート(TODI)、1,5−ナフタレンジイソシアネート(NDI)などの芳香族ジイソシアネート類;ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート(TMHDI)、リジンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアナートメチル(NBDI)などの脂肪族ジイソシアネート類;トランスシクロヘキサンー1,4−ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、H6−XDI(水添XDI)、H12−MDI(水添MDI)などの脂環式ジイソシアネート類;上記ジイソシアネートのカルボジイミド変性ジイソシアネート類;またはこれらのイソシアヌレート変性ジイソシアネート類などが挙げられる。
【0059】
また、上記イソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、これらイソシアネート化合物のビウレット体やイソシアヌレート体も好適に使用することができる。
【0060】
上記成分(D)は、合成してもよいし市販品を使用してもよい。成分(D)の市販品としては、例えば、コロネート(登録商標)L、コロネート(登録商標)HL、コロネート(登録商標)HX、コロネート(登録商標)2030、コロネート(登録商標)2031(以上、日本ポリウレタン工業株式会社製)、タケネート(登録商標)D−102、タケネート(登録商標)D−110N、タケネート(登録商標)D−200、タケネート(登録商標)D−202(以上、三井化学株式会社製)、デュラネート(商標)24A−100、デュラネート(商標)TPA−100、デュラネート(商標)TKA−100、デュラネート(商標)P301−75E、デュラネート(商標)E402−90T、デュラネート(商標)E405−80T、デュラネート(商標)TSE−100、デュラネート(商標)D−101、デュラネート(商標)D−201(以上、旭化成ケミカルズ株式会社製)、スミジュール(登録商標)N−75、N−3200、N−3300(以上、住化バイエルウレタン株式会社)等が挙げられる。
【0061】
これら成分(D)の中でも、コロネート(登録商標)L、コロネート(登録商標)HL、コロネート(登録商標)HX、タケネート(登録商標)D110N、デュラネート(商標)24A−100、デュラネート(商標)TPA−100が好ましく、コロネート(登録商標)L、コロネート(登録商標)HX、デュラネート(商標)24A−100がより好ましい。
【0062】
なお、これら成分(D)は、単独で使用されてもよいし2種以上組み合わせて使用されてもよい。
【0063】
成分(D)を使用する場合の使用量は、成分(A)100質量部に対して、0.05〜5質量部であることが好ましい。この範囲であれば、本発明の粘着剤組成物が優れた耐久性を有しうる。該配合量は、より好ましくは0.08〜4質量部、さらに好ましくは0.1〜3質量部である。
【0064】
(E)シランカップリング剤
本発明の粘着剤組成物は、シランカップリング剤(以下、単に「成分(E)」とも称する)を含んでもよい。シランカップリング剤を使用することで、反応性が向上し、架橋物の機械的強度や粘着力を向上させることができる。このようなシランカップリング剤は、特に限定されない。具体的には、例えば、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、n−プロピルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、n−ブチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス−(3−〔トリエトキシシリル〕プロピル)テトラスルフィド、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。さらには、エポキシ基(グリシドキシ基)、アミノ基、メルカプト基、(メタ)アクリロイル基等の官能基を有するシランカップリング剤と、これらの官能基と反応性を有する官能基を含有するシランカップリング剤、他のカップリング剤、ポリイソシアネートなどを、各官能基について任意の割合で反応させて得られる加水分解性シリル基を有する化合物も使用できる。
【0065】
また、成分(E)として、シランカップリング剤オリゴマーを使用してもよい。シランカップリング剤オリゴマーは、少なくともアルコキシ基を有するシラン化合物が2個以上縮合して−Si−O−Si−構造を形成し、そのケイ素原子には少なくとも1個のアルコキシ基が結合し、さらに、分子内に有機官能基を有する化合物である。
【0066】
有機官能基としては、例えば、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、(メタ)アクリロイル基、メタクリロキシ基、アクリロキシ基、アミノ基、ウレイド基、クロロプロピル基、メルカプト基、ポリスルフィド基等が挙げられる。このうち、得られる粘着剤層の耐久性向上および低粘着性実現を両立するためには、エポキシ基、メルカプト基および(メタ)アクリロイル基が好ましく、特にエポキシ基およびメルカプト基が好ましい。
【0067】
シランカップリング剤オリゴマーは、一分子内のケイ素原子数が2である二量体から、一分子内のケイ素原子数が100程度まで、すなわち平均重合度が2〜100のものを用いることができる。平均重合度が大きくなると、シランカップリング剤オリゴマーの粘度が高くなり、ペースト状または固体状になる場合があるため、取扱いが難しくなる。そこで、平均重合度は2〜80が好ましく、より好ましくは3〜50である。
【0068】
シランカップリング剤オリゴマー中に含まれる有機官能基は、通常、適当な連結基を介してケイ素原子に結合している。連結基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基などのアルキレン基、メチルフェニルエチル基などの芳香族環を間に有する2価の炭化水素基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基などの酸素原子を間に有する2価の脂肪族基などがある。なお、有機官能基がエポキシ基である場合には、環を構成する隣り合う2個の炭素原子間で官能基が形成されていてもよい。
【0069】
シランカップリング剤オリゴマーは、例えば、下記化学式2で表されるシラン化合物とテトラアルコキシシランとを部分共加水分解重縮合させて得られるコオリゴマーであってもよい。
【0070】
【化3】

【0071】
上記化学式2中、RおよびRは、それぞれ独立して、アルキル基またはフェニル基を表し、Xは、メルカプト基、エポキシ基、または(メタ)アクリロイルオキシ基を有する有機基を表し、Yは、アルキル基、アルコキシ基、フェニル基、フェノキシ基、アラルキル基またはアラルキルオキシ基を表す。
【0072】
上記化学式において、RおよびRで表されるアルキル基は、例えば、炭素数1〜10である。特にRおよびRがそれぞれ独立してメチル基またはエチル基である化合物が好適に用いられる。
【0073】
Xで表される有機官能基の具体例としては、例えば、メルカプトメチル基、3−メルカプトプロピル基、6−メルカプトヘキシル基、10−メルカプトデシル基、2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチル基、グリシドキシメチル基、3−グリシドキシプロピル基、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチル基、アクリロイルオキシメチル基、3−アクリロイルオキシプロピル基、メタクリロイルオキシメチル基、3−メタクリロイルオキシプロピル基等が挙げられる。
【0074】
Yで表されるアルキル基、アルコキシ基は、炭素数1〜10が好ましく、アラルキルおよびアラルキルオキシ基は、炭素数7〜10が好ましい。
【0075】
上記化学式2で表される官能基含有シラン化合物の具体例としては、例えば、メルカプトメチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、2−(4−メルカプトメチルフェニル)エチルトリメトキシシラン、6−メルカプトヘキシルトリメトキシシラン、10−メルカプトデシルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、アクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、メタクリロイルオキシメチルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルトリブトキシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。
【0076】
上記化学式2で表される官能基含有シラン化合物と部分共加水分解重縮合されるテトラアルコキシシランにおいて、ケイ素原子に結合する四つのアルコキシ基は、炭素数1〜10が好ましい。ケイ素原子に結合する四つのアルコキシ基は、すべて同一であってもよいし、異なるアルコキシ基がケイ素原子に結合していてもよい。製造ないし入手の容易さの点からは、同一のアルコキシ基がケイ素原子に結合している化合物が好ましく、具体的には、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられる。
【0077】
上記化学式2で表される官能基含有シラン化合物とテトラアルコキシシランとの部分共加水分解重縮合によってシランカップリング剤オリゴマーを形成する場合は、上記化学式2において、ケイ素原子に結合する−ORおよび−ORのアルコキシシリル基またはフェノキシシリル基が部分的に加水分解して形成されるシラノール基と、テトラアルコキシシランにおけるアルコキシシリル基が部分的に加水分解して形成されるシラノール基とが縮合して、シランカップリング剤オリゴマーとなる。このようなオリゴマーは、粘着剤の塗工乾燥工程において、粘着剤組成物が飛散しにくくなる傾向があることから好ましい。
【0078】
本発明において用いることができるシランカップリング剤オリゴマーを、モノマー同士の組合せで示すと、例えば、次のようなものを挙げることができる。
【0079】
メルカプトメチル基含有のコオリゴマーとして、メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、メルカプトメチルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー、メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、メルカプトメチルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー等が挙げられる。
【0080】
メルカプトプロピル基含有のコオリゴマーとして、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー等が挙げられる。
【0081】
グリシドキシメチル基含有のコオリゴマーとして、グリシドキシメチルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、グリシドキシメチルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー、グリシドキシメチルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、グリシドキシメチルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー等が挙げられる。
【0082】
グリシドキシプロピル基含有のコオリゴマーとして、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー等が挙げられる。
【0083】
メタクリロイルオキシプロピル基含有のコオリゴマーとして、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマーの如き、アクリロイルオキシプロピル基含有のコオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラメトキシシランコオリゴマー、3−メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン−テトラエトキシシランコオリゴマー等が挙げられる。
【0084】
上記シランカップリング剤は、合成してもよいし市販品を使用してもよい。シランカップリング剤の市販品としては、例えば、KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBE−502、KBE−503、KBM−5103、KBM−573、KBM−802、KBM−803、KBE−846、KBE−9007(以上、信越化学工業株式会社製);メルカプト基とメトキシ基とエトキシ基を有するシランカップリング剤オリゴマーであるX−41−1805、メルカプト基とメチル基とメトキシ基を有するシランカップリング剤オリゴマーであるX−41−1810、エポキシ基とメトキシ基とエトキシ基を有するシランカップリング剤オリゴマーであるX−41−1053、エポキシ基とメチル基とメトキシ基を有するシリコーンシランカップリング剤であるX−41−1058など(いずれも商品名、いずれも信越化学工業株式会社製)を挙げることができる。
【0085】
これらシランカップリング剤の中でも、KBM−303、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−5103、KBM−573、KBM−802、KBM−803、KBE−846、KBE−9007、X−41−1805、X−41−1810が好ましく、KBM−403、X−41−1810がより好ましい。なお、上記シランカップリング剤は、単独で使用されてもよいし、2種以上組み合わせて使用されてもよい。
【0086】
本発明において、上記シランカップリング剤の使用量は、特に制限されない。具体的には、上記シランカップリング剤(E)を使用する場合の使用量は、成分(A)100質量部に対して、好ましくは0.03〜1質量部、より好ましくは0.05〜0.5質量部、さらに好ましくは0.1〜0.3質量部である。この範囲にあれば、優れた耐熱性および接着性を発揮しうる。
【0087】
(F)添加剤
本発明の粘着剤組成物は、添加剤として、イミダゾール化合物を含んでもよい。イミダゾール化合物は、カルボジイミド架橋剤に対するいわば架橋(硬化)促進剤の役割を果たすと考えられ、短い熟成時間で実用粘着特性に達し、生産性に優れる。
【0088】
本発明で用いられうるイミダゾール化合物は、下記化学式1で表されると好ましい。
【0089】
【化4】

【0090】
前記化学式1中、R、R、およびRは、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、または置換されているかもしくは非置換の炭素数1〜10の直鎖状もしくは分枝状のアルキル基である。
【0091】
前記ハロゲン原子の例としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子が挙げられる。
【0092】
炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基の例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、iso−アミル基、tert−ペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、3−メチルペンタン−2−イル基、3−メチルペンタン−3−イル基、4−メチルペンチル基、4−メチルペンタン−2−イル基、1,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブタン−2−イル基、n−ヘプチル基、1−メチルヘキシル基、3−メチルヘキシル基、4−メチルヘキシル基、5−メチルヘキシル基、1−エチルペンチル基、1−(n−プロピル)ブチル基、1,1−ジメチルペンチル基、1,4−ジメチルペンチル基、1,1−ジエチルプロピル基、1,3,3−トリメチルブチル基、1−エチル−2,2−ジメチルプロピル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキサン−2−イル基、2,4−ジメチルペンタン−3−イル基、1,1−ジメチルペンタン−1−イル基、2,2−ジメチルヘキサン−3−イル基、2,3−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−2−イル基、2,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,4−ジメチルヘキサン−3−イル基、3,5−ジメチルヘキサン−3−イル基、1−メチルヘプチル基、2−メチルヘプチル基、5−メチルヘプチル基、2−メチルヘプタン−2−イル基、3−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−3−イル基、4−メチルヘプタン−4−イル基、1−エチルヘキシル基、2−エチルヘキシル基、1−プロピルペンチル基、2−プロピルペンチル基、1,1−ジメチルヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、1,5−ジメチルヘキシル基、1−エチル−1−メチルペンチル基、1−エチル−4−メチルペンチル基、1,1,4−トリメチルペンチル基、2,4,4−トリメチルペンチル基、1−イソプロピル−1,2−ジメチルプロピル基、1,1,3,3−テトラメチルブチル基、n−ノニル基、1−メチルオクチル基、6−メチルオクチル基、1−エチルヘプチル基、1−(n−ブチル)ペンチル基、4−メチル−1−(n−プロピル)ペンチル基、1,5,5−トリメチルヘキシル基、1,1,5−トリメチルヘキシル基、2−メチルオクタン−3−イル基、n−デシル基、1−メチルノニル基、1−エチルオクチル基、1−(n−ブチル)ヘキシル基、1,1−ジメチルオクチル基、3,7−ジメチルオクチル基等が挙げられる。
【0093】
前記アルキル基は、他の置換基で置換されていてもよい。
【0094】
置換基の例としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子;メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基などのアルキル基;フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基などのアリール基;メトキシ基、エトキシ基、tert−ブトキシ基などのアルコキシ基;フェノキシ基、p−トリルオキシ基などのアリールオキシ基;メトキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、オクチロキシカルボニル基、フェノキシカルボニルなど等のアルコキシカルボニル基;アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基などのアシルオキシ基;アセチル基、ベンゾイル基、イソブチリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メトキサリル基などのアシル基;メチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基などのアルキルアミノ基;ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、モルホリノ基、ピペリジノ基などのジアルキルアミノ基;フェニルアミノ基、p−トリルアミノ基等のアリールアミノ基などの他、ヒドロキシ基、カルボキシ基、ホルミル基、アミノ基、ニトロ基、シアノ基、トリフルオロメチル基、トリクロロメチル基などが挙げられる。
【0095】
さらに、イミダゾール化合物の具体的な例としては、例えば、イミダゾール、1−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、4−エチルイミダゾール、1−プロピルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、4−プロピルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、4−ブチルイミダゾール、1−ペンチルイミダゾール、2−ペンチルイミダゾール、4−ペンチルイミダゾール、1−ヘキシルイミダゾール、2−ヘキシルイミダゾール、4−ヘキシルイミダゾール、1−ヘプチルイミダゾール、2−ヘプチルイミダゾール、4−ヘプチルイミダゾール、1−オクチルイミダゾール、2−オクチルイミダゾール、4−オクチルイミダゾール、1−ノニルイミダゾール、2−ノニルイミダゾール、4−ノニルイミダゾール、1−デシルイミダゾール、2−デシルイミダゾール、4−デシルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、1,2−ジエチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1,4−ジメチルイミダゾール、1,5−ジメチルイミダゾール、1,2,4−トリメチルイミダゾール、1,4−ジメチル−2−エチルイミダゾール、2−フルオロイミダゾール、4−フルオロイミダゾール、2−ブロモイミダゾール、4−ブロモイミダゾール、2−ヨードイミダゾール、4−ヨードイミダゾール等を挙げることができる。
【0096】
これらイミダゾール化合物の中でも、生産性および価格の観点から、R、R、およびRの少なくとも1つが炭素数1〜10の直鎖状または分枝状のアルキル基である化合物が好ましく、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−プロピルイミダゾール、1−ブチルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールがより好ましい。
【0097】
イミダゾール化合物の配合量は、成分(A)100質量部に対して、0.008〜0.2質量部であることが好ましい。かような範囲であると、十分な硬化促進効果が得られ、粘着加工後長い熟成時間を有意に短縮することができる。該配合量は、より好ましくは0.009〜0.18質量部、さらに好ましくは0.01〜0.15質量部である。
【0098】
上記イミダゾール化合物は、単独で使用してもよいし、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0099】
また、上記イミダゾール化合物は、市販品を用いてもよいし、合成品を用いてもよい。
【0100】
さらに、本発明の粘着剤組成物は、添加剤として、硬化促進剤、イオン性液体、リチウム塩、無機充填剤、軟化剤、酸化防止剤、老化防止剤、安定剤、粘着付与樹脂、改質樹脂(ポリオール樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポキシ樹脂、エポキシ化ポリブタジエン樹脂等)、レベリング剤、消泡剤、可塑剤、染料、顔料(着色顔料、体質顔料等)、処理剤、紫外線遮断剤、蛍光増白剤、分散剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤および溶剤のような添加剤を含んでもよい。これらのうち、硬化促進剤としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、JCS−50(城北化学工業株式会社製)、フォーメートTK−1(三井化学株式会社製)等が挙げられる。イオン性液体としては、例えば、ホスホニウムイオン、ピリジニウムイオン、ピロリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、グアニジニウムイオン、アンモニウムイオン、イソウロニウムイオン、チオウロニウムイオン、ピペリジニウムイオン、ピラゾリウムイオン、スルホニウムイオン等のカチオン成分と、ハロゲンイオン、硝酸イオン、硫酸イオン、燐酸イオン、過塩素酸イオン、チオシアン酸イオン、チオ硫酸イオン、亜硫酸イオン、テトラフルオロボレートイオン、ヘキサフルオロホスフェートイオン、蟻酸イオン、蓚酸イオン、酢酸イオン、トリフルオロ酢酸イオン、アルキルスルホン酸イオン等のアニオン成分と、を有する物質が挙げられる。酸化防止剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、イルガノックス(登録商標)1010、イルガノックス(登録商標)1035FF、イルガノックス(登録商標)565(いずれも、BASFジャパン株式会社製)等が挙げられる。粘着付与樹脂としては、例えば、ロジン酸、重合ロジン酸およびロジン酸エステル等のロジン類、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、芳香族炭化水素樹脂、脂肪族飽和炭化水素樹脂ならびに石油樹脂等が挙げられる。上記添加剤を使用する場合の、添加剤の使用量は、特に制限されないが、例えば、成分(A)100質量部に対して、0.1〜20質量部である。
【0101】
本発明の粘着剤組成物は、上記で述べた各成分を一括に混合するか、各成分を順次混合するか、または任意の複数の成分を混合した後に残りの成分を混合するなどして、均一な混合物となるように撹拌することにより製造することができる。より具体的には、必要に応じて加温、例えば20〜40℃の温度に加温し、スターラーなどで均一になるまで、例えば5分〜5時間撹拌することにより調製することができる。
【0102】
本発明の粘着剤組成物の粘度は、特に制限されない。しかしながら、塗工のしやすさ、該組成物から形成される粘着剤層の膜厚の制御のしやすさなどを考慮すると、25℃における調製直後(各成分を所定時間混合してから10分以内)の粘度が、好ましくは300〜7000mPa・sである。例えば、光学部材の粘着剤として用いる場合、25℃における調製直後(各成分を所定時間混合してから10分以内)の粘度が、より好ましくは2000〜6000mPa・s、さらに好ましくは2500〜5000mPa・sである。例えば、粘着シートの粘着剤として用いる場合、25℃における調製直後(各成分を所定時間混合してから10分以内)の粘度が、より好ましくは350〜6800mPa・s、より好ましくは400〜6500mPa・sである。本発明の粘着剤組成物は、組成物調製後における粘着剤組成物の過剰な粘度上昇やゲル化が抑制され、優れたポットライフを有する。
【0103】
ポットライフは、粘着物組成物を調製した直後の組成物の粘度と、調製してから12時間経過後の組成物の粘度とを比較することにより評価することができる。すなわち、調製してから12時間経過後の組成物はゲル化しないことが好ましく、調製してから12時間経過後の組成物の粘度は粘着物組成物を調製した直後の組成物の粘度に対して3割以内の上昇であることがより好ましい。かような範囲であれば、優れた作業性を有する粘着剤組成物となる。
【0104】
なお、本明細書において、上記の「直後」とは、10分以内を意味する。すなわち、「粘着物組成物を調製した直後の組成物の粘度」とは、粘着物組成物の調製が終了した(各成分を所定時間混合した)後10分以内に測定した粘度を意味する。
【0105】
本発明の粘着剤組成物から得られる粘着剤層は、上記のような粘着剤組成物を架橋して得られるものである。その際、粘着剤組成物の架橋は、粘着剤組成物の塗布後に行うのが一般的であるが、架橋後の粘着剤組成物からなる粘着剤層を基材などに転写することも可能である。この粘着剤組成物の架橋は、通常、温度70〜140℃の条件下で、好ましくは1〜5分行われる。
【0106】
本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層は、粘着加工後(架橋処理後)の熟成時間が0.5日という短い期間で、実用粘着性能に達する。該粘着剤層の実用粘着性能は、粘着加工後(架橋処理後)23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した後のゲル分率と、粘着加工後(架橋処理後)23℃、50%RHの雰囲気下で7日間放置した後のゲル分率とを比較することにより評価することができる。すなわち、7日間放置した後のゲル分率は、0.5日間放置した後のゲル分率±5%であることが好ましく、0.5日間放置した後のゲル分率±3%であることがより好ましい。かような範囲であれば、生産性が大幅に向上した粘着剤組成物となる。該ゲル分率は、後述の実施例に記載の方法により測定される値を採用するものとする。
【0107】
本発明の粘着剤組成物は、各種基材の貼り合わせに使用することができる。ここで使用できる基材としては、ガラス、プラスチックフィルム、紙または金属箔等が挙げられる。
【0108】
ガラスとしては、一般的な無機ガラスが挙げられる。プラスチックフィルムにおける、プラスチックとしては、例えばポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、非結晶性ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ABS樹脂、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリビニルアルコール、エチレン−酢酸ビニル共重合体および塩素化ポリプロピレン等が挙げられる。非結晶性ポリオレフィン系樹脂は、通常、ノルボルネンや多環ノルボルネン系モノマーのような環状ポリオレフィンの重合単位を有するものであり、環状オレフィンと鎖状環状オレフィンとの共重合体であってもよい。
【0109】
市販されている非結晶性ポリオレフィン系樹脂として、JSR株式会社の商品名アートン、日本ゼオン株式会社のZEONEX(登録商標)、ZEONOR(登録商標)、三井化学株式会社のAPO、アペル(登録商標)などがある。非結晶性ポリオレフィン系樹脂を製膜してフィルムにするには、溶剤キャスト法、溶融押出法など、公知の方法が適宜用いられる。また、紙としては、模造紙、上質紙、クラフト紙、アートコート紙、キャスターコート紙、純白ロール紙、パーチメント紙、耐水紙、グラシン紙および段ボール紙等を挙げることができ、金属箔としては、例えばアルミニウム箔等を挙げることができる。
【0110】
したがって、本発明は、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を備える、光学部材および粘着シートをも提供する。
【0111】
以下、これらの用途について詳細に説明するが、本発明の粘着剤組成物の用途は、これらの用途に何ら限定されるものではない。
【0112】
<光学部材>
本発明の粘着剤組成物は、光学部材の片面あるいは両面に直接塗布して粘着剤層を形成して使用されてもよいし、剥離フィルム上に粘着剤層を予め形成し、これを光学部材の片面あるいは両面に転写することにより使用されてもよい。すなわち、本発明は、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を備える、光学部材を提供する。
【0113】
本発明の光学部材としては、例えば、偏光板、位相差板、プラズマディスプレイ用光学フィルム、タッチパネル用導電フィルムなどが好ましく挙げられる。このうち、本発明の粘着剤組成物は、偏光板とガラスとの接着性に優れている。もちろん、本発明は、上記の形態に限定されるものではなく、他の部材の接着に使用することも可能である。
【0114】
本発明の粘着剤組成物を光学部材の粘着剤層に用いる場合、組成物に含まれる成分(A)は、0.1〜9質量部のカルボキシル基含有モノマー(a−1)、0〜1質量部のヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー(a−2)、および99.9〜90質量部の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−3)からなる単量体成分を含むことが好ましく、重量平均分子量は100万〜200万であることが好ましい。なお、成分(a−1)、成分(a−2)および成分(a−3)の合計量は100質量部となるようにする。
【0115】
光学部材用途における成分(A)中の成分(a−1)の使用量は、0.1〜9質量部であることがより好ましく、0.3〜5質量部であることがさらに好ましく、0.5〜3質量部であることが特に好ましい。
【0116】
また、光学部材用途における成分(A)中の成分(a−2)の使用量は、0〜1質量部であることがより好ましく、0〜0.5質量部であることがさらに好ましく、0〜0.3質量部であることが特に好ましい。
【0117】
さらに、光学部材用途における成分(A)中の成分(a−3)の使用量は、99.9〜90質量部であることがより好ましく、99.7〜94.5質量部であることがさらに好ましく、99.5〜96.7質量部であることが特に好ましい。
【0118】
光学部材用途における成分(A)中の成分(a−1)の使用量と成分(a−2)の使用量との合計は、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.3〜5.5質量部であることがより好ましく、0.5〜3.3質量部であることがさらに好ましい。
【0119】
光学部材用途における成分(A)の重量平均分子量は、100万〜180万であることがより好ましく、110万〜170万であることがさらに好ましい。
【0120】
また、光学部材用途の粘着剤組成物中の成分(B)の含有量は、成分(A)100質量部に対して、0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜5質量部であることがより好ましい。
【0121】
また、成分(C)の含有量は、成分(A)100質量部に対して、0.01〜0.3質量部であることが好ましく、0.02〜0.2質量部であることがより好ましい。かような範囲であれば、光学部材用の粘着剤組成物として、ポットライフが長く作業性に優れ、粘着加工後の熟成時間が0.5日という短時間で実用粘着性能に達し、生産性が大幅に向上する。
【0122】
また、成分(D)を使用する場合の使用量は、成分(A)100質量部に対して、0.08〜4質量部であることが好ましく、0.1〜1質量部であることがより好ましい。また、イミダゾール化合物を使用する場合の好ましい具体例、使用量の好ましい範囲等は上記と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0123】
さらに、本用途においては、組成物中にシランカップリング剤(E)を含むことが好ましい。シランカップリング剤(E)の好ましい具体例、使用量の好ましい範囲等は上記と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0124】
光学部材用途の粘着剤組成物の塗工は、特に制限されず、例えば、ナチュラルコーター、ナイフベルトコーター、フローティングナイフ、ナイフオーバーロール、ナイフオンブランケット、スプレー、ディップ、キスロール、スクイーズロール、リバースロール、エアブレード、カーテンフローコーター、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、ベーカーアプリケーターおよびグラビアコーター等の装置を用いる種々の塗工方法が挙げられる。また、光学部材に使用する際の粘着剤組成物の塗布厚さ(乾燥後の厚さ)は、使用する基材および用途に応じて選択すればよいが、好ましくは5〜35μmであり、より好ましくは15〜30μmである。
【0125】
本発明の粘着剤組成物を光学部材に用いる場合、粘着加工後、23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した後の粘着剤層のゲル分率は、50〜95%であることが好ましく、60〜92%であることがより好ましく、70〜90%であることがさらに好ましい。かような範囲であれば、粘着剤層を備えた光学部材として打ち抜き加工やスリット加工を速やかに行うことができる。ゲル分率を上記のように設定するには、各成分の添加量を上記の範囲に調整するなど、条件を適宜選択すればよい。
【0126】
本発明の光学部材において、光学部材に形成された粘着剤層の粘着力は、0.5〜9(N/25mm)程度が好ましく、1〜6(N/25mm)程度がより好ましい。かような範囲の粘着力であれば、リワーク性に有利でありうる。なお、本明細書において、「粘着力」は、JIS Z0237(2000年)の粘着テープ・粘着シート試験方法に準じて測定することによって求められ、より具体的には、下記実施例に記載される方法にしたがって測定される。
【0127】
光学部材に用いられる本発明の粘着剤組成物は、ポットライフが長く作業性に優れ、粘着加工後の熟成時間が0.5日という短時間で実用粘着性能に達し、生産性が大幅に向上する。さらに、光学部材に用いられる本発明の粘着剤組成物から得られる粘着剤層は、光学部材用として適度な粘着力や基材への密着性を有し、さらには、金属腐食抑制・防止性、耐光漏れ性、耐久性、耐被着体汚染性、低温安定性、リワーク性にも優れる。
【0128】
<粘着シート>
本発明の粘着剤組成物は、基材またはセパレータ上に塗工し、乾燥(架橋)処理を施して、粘着剤層を形成することにより、シート状やテープ状などの粘着シートとすることもできる。すなわち、本発明は、本発明の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を備える、粘着シートを提供する。
【0129】
粘着シートの基材としては、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)などのポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、セロファンフィルムなどのプラスチックフィルム、ポリウレタンやエチレン−プロピレンターポリマー(EPT)などのプラスチックや、ゴムの発泡体、紙、アルミニウム箔などの公知の各種の薄葉部材が用いられる。これら基材の表面には、その材質に応じて、コロナ処理、プラズマ処理、易接着層の形成などの下地処理や、帯電防止層の形成などを行ってもよい。また、セパレータには、上記の基材と同様のプラスチックフィルムの表面をシリコーン系、フッ素系、長鎖アルキル系などの剥離処理剤で剥離処理したものや、このような剥離処理を施さないポリプロピレンフィルムなど、各種のものを使用できる。
【0130】
基材上に粘着剤層を形成する場合、その片面に設けて片面粘着シートとしてもよいし、両面に設けて両面粘着シートとしてもよい。両面に設ける場合、片面だけに本発明の粘着剤組成物を用いて両面で粘着剤種の異なるテープとすることもできる。セパレータ上に粘着剤層を形成する場合は、両面粘着シートとして使用することができる。
【0131】
本発明の粘着剤組成物を粘着シートの粘着剤層に用いる場合、組成物に含まれる成分(A)は、0.1〜9質量部のカルボキシル基含有モノマー(a−1)、0〜1質量部のヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー(a−2)、および99.9〜90質量部の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−3)からなる単量体成分を含むことが好ましく、重量平均分子量は10万〜100万未満であることが好ましい。なお、成分(a−1)、成分(a−2)および成分(a−3)の合計量は100質量部となるようにする。
【0132】
粘着シート用途における成分(A)中の成分(a−1)の使用量は、0.1〜9質量部であることがより好ましく、0.3〜9質量部であることがさらに好ましく、0.5〜8.5質量部であることが特に好ましい。
【0133】
また、粘着シート用途における成分(A)中の成分(a−2)の使用量は、0〜1質量部であることがより好ましく、0〜0.8質量部であることがさらに好ましく、0〜0.7質量部であることが特に好ましい。
【0134】
さらに、粘着シート用途における成分(A)中の成分(a−3)の使用量は、99.9〜90質量部であることがより好ましく、99.7〜90.2質量部であることがさらに好ましく、99.5〜90.5質量部であることが特に好ましい。
【0135】
粘着シート用途における成分(A)中の成分(a−1)の使用量と成分(a−2)の使用量との合計は、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.3〜9.8質量部であることがより好ましく、0.5〜9.2質量部であることがさらに好ましい。
【0136】
粘着シート用途における成分(A)の重量平均分子量は、10万〜100万未満であることがより好ましく、20万〜90万であることがさらに好ましい。
【0137】
また、粘着シート用の粘着剤組成物中の成分(B)の含有量は、成分(A)100質量部に対して、0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜4質量部であることがより好ましい。
【0138】
また、成分(C)の含有量は、成分(A)100質量部に対して、0.01〜0.3質量部であることが好ましく、0.02〜0.3質量部であることがより好ましい。かような範囲であれば、粘着シート用の粘着剤組成物として、ポットライフが長く作業性に優れ、粘着加工後の熟成時間が0.5日という短時間で実用粘着性能に達し、生産性が大幅に向上する。
【0139】
また、成分(D)を使用する場合の使用量は、成分(A)100質量部に対して、0.05〜5質量部であることが好ましく、0.1〜3質量部であることがより好ましい。また、イミダゾール化合物を使用する場合の好ましい具体例、使用量の好ましい範囲等は上記と同様であるので、ここでは説明を省略する。
【0140】
なお、本用途では、シランカップリング剤(E)は組成物中に含まれないことが好ましい。
【0141】
粘着シート用途の粘着剤組成物の塗布方法は、特に制限されず、従来公知の方法が用いられる。具体的には、ナチュラルコーター、ナイフベルトコーター、フローティングナイフ、ロールコート、エアーナイフコート、ナイフオーバーロール、ナイフオンブランケット、スプレー、ディップ、キスロール、スクイーズロール、リバースロール、エアブレード、カーテンフローコーター、ドクターブレード、ワイヤーバー、ダイコーター、カンマコーター、ベーカーアプリケーターおよびグラビアコーター等の装置を用いる種々の塗工方法が挙げられる。これらのうち、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、ロールブラッシュ、スプレーコート、エアーナイフコート、ダイコート法が好ましく使用される。また、粘着シート上に形成される組成物の塗布厚さ(乾燥後の厚さ)は、特に制限されず、所望の用途によって適宜選択できる。好ましくは、粘着シート上に形成される組成物の塗布厚さ(粘着剤層の厚さ;乾燥後の厚さ)は、3〜200μm、より好ましくは5〜100μm程度である。
【0142】
本発明の粘着剤組成物を粘着シートに用いる場合、粘着加工後、23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した後の粘着剤層のゲル分率は、70〜100%であることが好ましく、80〜99%であることがより好ましく、83〜98%であることがさらに好ましい。かような範囲であれば、粘着剤層を備えた粘着シートとして打ち抜き加工やスリット加工を速やかに行うことができる。ゲル分率を上記のように設定するには、各成分の添加量を上記の範囲に調整するなど、条件を適宜選択すればよい。
【0143】
本発明の粘着シートにおいて、粘着シートに形成された粘着剤層の粘着力は、0.05〜20(N/25mm)程度が好ましく、0.1〜20(N/25mm)程度がより好ましい。かような範囲の粘着力であれば、様々な粘着力を要求されるシート状やテープ状などの粘着シートに対応することができる。
【0144】
粘着シートに用いられる本発明の粘着剤組成物は、ポットライフが長く作業性に優れ、粘着加工後の熟成時間が0.5日という短時間で実用粘着性能に達し、生産性が大幅に向上する。さらに、該粘着剤組成物から得られる粘着剤層は、適度な粘着力や基材への密着性を有し、金属腐食抑制・防止性、耐被着体汚染性、低温安定性、透明性、耐熱性、耐湿熱性に優れる。
【実施例】
【0145】
本発明を、以下の実施例および比較例を用いてさらに詳細に説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、合成例で得られた重合体溶液の固形分および粘度、粘着剤組成物の粘度、ならびに重合体(A)の重量平均分子量の測定は、以下の方法で行った。
【0146】
<固形分>
重合体溶液 約1gを、精秤したガラス皿に精秤する。105℃で1時間乾燥した後室温に戻し、ガラス皿と残存固形分との合計の質量を精秤する。ガラス皿の質量をX、乾燥する前のガラス皿とポリマー溶液との合計の質量をY、ガラス皿と残存固形分との合計の質量Zとして、下記数式1により固形分を算出した。
【0147】
【数1】

【0148】
<粘度>
ガラス瓶に入れたポリマー溶液を25℃に温調し、B型粘度計により測定した。なお、粘着剤組成物の粘度測定は、粘着物組成物を調製した直後および調製してから12時間経過後の2度行った。
【0149】
<重量平均分子量>
下記表1の測定方法・測定条件により測定した。
【0150】
【表1】

【0151】
(合成例1)
還流器および攪拌機を備えたフラスコに、n−ブチルアクリレート(株式会社日本触媒製)89.4質量部、メチルアクリレート(株式会社日本触媒製)10質量部、4−ヒドロキシブチルアクリレート(日本化成株式会社製)0.1質量部、アクリル酸(株式会社日本触媒製)0.5質量部および酢酸エチル120質量部を投入した。次いで、窒素置換を行いながら65℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.04質量部を加え、65℃を維持しつつ6時間重合を行った。重合反応終了後、酢酸エチル 280質量部を加えて希釈を行い、重合体(サンプル名:A−1)の溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分は20質量%、粘度は5000mPa・sであった。また、得られた重合体(A−1)の重量平均分子量は160万であった。
【0152】
(合成例2〜21)
合成例1において、単量体成分の組成を、表1−1、表1−2に示されるような組成に変更したことを除いては、合成例1と同様の操作を行なうことによって、重合体(A−2)〜(A−21)の溶液を得た。また、得られた重合体(A−2)〜(A−21)溶液の固形分および粘度、ならびに重合体(A−2)〜(A−21)の重量平均分子量を測定した。その結果を下記表1に示す。なお、下記表1において、「BA」は、ブチルアクリレートであり;「MA」は、メチルアクリレートであり;「HEA」は、2−ヒドロキシエチルアクリレートであり;「4HBA」は、4−ヒドロキシブチルアクリレートであり;「HEAA」は、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミドであり;「AA」は、アクリル酸である。
【0153】
【表2】

【0154】
【表3】

【0155】
【表4】

【0156】
(実施例1)
上記合成例1で得られた重合体溶液を500質量部(重合体の固形分として100質量部)、カルボジイミド系架橋剤(B)であるカルボジライト(登録商標) V−09(日清紡ケミカル株式会社製、試料名 B−2) 1質量部、周期表4族カップリング剤(C)であるプレンアクトKR 55(味の素ファインテクノ株式会社製、試料名 C−2) 0.02質量部、イソシアネート系架橋剤(D)であるコロネート(登録商標)L(トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物、日本ポリウレタン工業株式会社製、試料名 D−1) 1質量部およびシランカップリング剤(E)である信越シリコーンKBM−403(信越化学工業株式会社製、試料名 E−2) 0.1質量部を室温(25℃)で10分間混合し、粘着剤組成物が溶解している溶液を得た。
【0157】
この溶液を、剥離PETフィルム(三菱樹脂株式会社製、MRF38、厚み:38μm)上に、ベーカーアプリケーターにて乾燥後の厚さが25μmとなるように、塗布し、90℃で3分間乾燥させて粘着剤層を形成した後、偏光板に貼り合わせをし、粘着剤層付き偏光板を作製した。
【0158】
(実施例2〜8、比較例1〜13)
下記表2および表3に示すような組成比で、上記合成例で合成した重合体、カルボジイミド系架橋剤、周期表4族カップリング剤、イソシアネート系架橋剤、シランカップリング剤、および他の添加剤を使用したことを除いては、実施例1と同様にして、粘着剤組成物が溶解している溶液の調製および粘着剤層付き偏光板の作製を行った。なお、カルボジイミド系架橋剤B−1、B−2およびB−3、ならびに周期表4族カップリング剤C−1、C−2、C−3、C−4、C−5およびC−6、イソシアネート系架橋剤D−1、D−2、D−3およびD−4、シランカップリング剤E−1およびE−2、他の添加剤F−1、F−2、F−3、F−4およびF−5の詳細は下記の通りである。
【0159】
【表5】

【0160】
上記のようにして得られた実施例1〜8および比較例1〜13の粘着剤層付き偏光板について、下記の方法に従って、各性能を評価した。
【0161】
1.ゲル分率
各実施例、比較例で作製した粘着剤層を有する偏光板の代わりに、剥離処理したポリエステルフィルムを使用して、粘着加工後23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置後および7日後におけるゲル分率を測定した。ゲル分率は、23℃、50%RHの雰囲気下で放置した粘着剤組成物約0.1gを秤量して、重量W1(g)を測定した。これをサンプル瓶に採取し、酢酸エチルを約30g加えて24時間放置した。所定時間経過後の該サンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網(膜の重量をW2(g))にてろ別し、金網および残留物を90℃で1時間乾燥させた全体の重量W3(g)を測定した。ゲル分率は、これらの測定値から下記数式により算出した。
【0162】
【数2】

【0163】
2.金属腐食抑制・防止性
23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した粘着剤層を有する偏光板の粘着層面をアルミホイルに貼り合わせて、60℃、90%RHの雰囲気下で2日間放置し、そのときの腐食性を観察した。なお、下記表2および表3中、「○」は変化なしを、「×」は白化したことを、それぞれ表す。
【0164】
3.耐光漏れ性
23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した粘着剤層を有する偏光板を、120mm(偏光板MD方向)×60mm、および120mm(偏光板TD方向)×60mmに裁断し、それぞれガラス板の各面に重なり合うように貼り合わせし、50℃、0.49MPa(5kg/cm)の条件で20分間オートクレーブ処理を行った。その後、80℃雰囲気下で120時間および500時間放置した後の外観を観察した。下記表2および表3中、「◎」は120時間後および500時間後に光漏れが観察されなかったことを、「○」は120時間後に光漏れが観察されなかったことを、「×」は光漏れが観察されたことを、それぞれ表す。
【0165】
4.耐久性
23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した粘着剤層を有する偏光板を、120mm(偏光板MD方向)×60mmに裁断し、ガラス板に貼り合わせし、50℃、0.49MPa(5kg/cm)の条件で20分間オートクレーブ処理を行った。その後、100℃雰囲気下および80℃、90%RHの雰囲気下で120時間放置した後の外観を観察した。下記表2および表3中、「○」は発泡、浮き、剥がれが観察されなかったことを、「×」は発泡、浮き、剥がれが観察されたことを、それぞれ表す。
【0166】
5.粘着力
23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した粘着剤層を有する偏光板を25mm幅に裁断し、ガラス板に貼り合わせ、50℃、0.49MPa(5kg/cm)の条件下で20分間オートクレーブ処理を行った。引っ張り試験機を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で剥離角90度、剥離速度0.3m/分で、JIS Z0237(2000年)に記載の粘着テープ・粘着シート試験方法に準じて粘着力の測定を行った。
【0167】
6.基材に対する密着性
上記5.粘着力の測定時に密着性を観察した。下記表2および表3中、「○」は粘着剤が基材からまったく剥がれなかったことを、「×」は粘着剤が基材から剥がれたことを、それぞれ表す。
【0168】
7.被着体汚染性
上記5.粘着力の測定前後のガラス板面の接触角を測定した。なお、接触角の測定は、JIS R3257(1999年)に記載の基板ガラス表面のぬれ性試験方法に準じて行った。下記表2および表3中、「○」は粘着力測定前後のガラス板面の接触角変化が3°以下である場合を、「×」は粘着力測定前後のガラス板面の接触角変化が3°を超えた場合を、それぞれ表す。
【0169】
8.低温安定性
23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した粘着剤層を有する偏光板を120mm(偏光板MD方向)×60mmに裁断し、ガラス板に貼り合わせし、50℃、0.49MPa(5kg/cm)の条件下で20分間オートクレーブ処理を行った。その後、−40℃雰囲気下で120時間放置した後の外観を観察した。下記表2および表3中、「○」は発泡、浮き、剥がれ、再結晶物が観察されなかったことを、「×」は発泡、浮き、剥がれ、再結晶物が観察されたことを、それぞれ表す。
【0170】
9.リワーク性
上記5.粘着力の測定時に、剥離状態を観察した。下記表2および表3中、「○」は界面破壊が観察されたことを、「×」はガラス板(被着体)に粘着剤が転着および/または凝集破壊が観察されたことを、それぞれ表す。
【0171】
各評価結果をまとめて、下記表2および表3に示す。
【0172】
【表6】

【0173】
【表7】

【0174】
上記表2および表3から明らかなように、本発明の粘着剤組成物(実施例1〜8)は、本発明の範囲外である粘着剤組成物(比較例1〜13)に比して、ポットライフおよび硬化促進効果に優れる。このことから本発明の粘着剤組成物は、作業性および生産性が大幅に向上できると考察される。また上記表2および表3から明らかなように、本発明の粘着剤組成物を用いた偏光板(実施例1〜8)は、本発明の範囲外である粘着剤組成物(比較例1〜13)を用いた偏光板に比して、耐光漏れ性、耐久性、基材に対する密着性、被着体汚染性、低温安定性およびリワーク性に優れる。なお、表中の「−」は、配合後10分以内にゲル化したため、配合直後の粘度測定もできず性能試験に供することができなかったことを意味する。
【0175】
(合成例22)
還流器および攪拌機を備えたフラスコに、n−ブチルアクリレート(株式会社日本触媒製)60質量部、2-エチルへキシルアクリレート(株式会社日本触媒製)30.5質量部と酢酸ビニル(電気化学工業株式会社)2.5質量部とアクリル酸(株式会社日本触媒製)7質量部、および酢酸エチル150質量部を投入した。次いで、窒素置換を行いながら65℃まで加温し、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1質量部を加え、1時間後にAIBNを0.05質量部更に加え、65℃を維持しつつ6時間重合を行った。重合反応終了後、酢酸エチル36質量部を加えて希釈を行い、室温まで冷却して重合体(サンプル名:A−22)の溶液を得た。得られた重合体溶液の固形分は35%、粘度は4000mPa・sであった。また、得られた重合体(A−22)の重量平均分子量は75万であった。
【0176】
(合成例23〜43)
合成例23において、単量体成分の組成を、表4−1、表4−2に示されるような組成に変更したことを除いては、合成例22と同様の操作を行なうことによって、重合体(A−23)〜(A−43)の溶液を得た。また、得られた重合体(A−23)〜(A−43)溶液の固形分および粘度、ならびに重合体(A−23)〜(A−43)の重量平均分子量を測定した。その結果を下記表4に示す。なお、下記表4において、「BA」は、ブチルアクリレートであり;「2EHA」は、2−エチルヘキシルアクリレートであり;「MA」は、メチルアクリレートであり;「VAc」は、酢酸ビニルであり;「HEA」は、2−ヒドロキシエチルアクリレートであり;「4HBA」は、4−ヒドロキシブチルアクリレートであり;「HEAA」は、N−2−ヒドロキシエチルアクリルアミドであり;「AA」は、アクリル酸であり;「AM」は、アクリルアミドである。
【0177】
【表8】

【0178】
【表9】

【0179】
【表10】

【0180】
(実施例9)
上記合成例22で得られた重合体溶液を286質量部(重合体の固形分として100質量部)、カルボジイミド架橋剤(B)であるカルボジライト(登録商標) V−05(日清紡ケミカル株式会社製、試料名 B−1)0.4質量部、周期表4族カップリング剤(C)であるプレンアクト(登録商標)KR TTS(味の素ファインテクノ株式会社製、試料名 C−1)0.05質量部、およびイソシアネート架橋剤(D)であるデュラネート(登録商標)24A−100(ヘキサメチレンジイソシアネート・ビュレット型、旭化成ケミカルズ株式会社製、試料名 D−5)0.2質量部を室温(25℃)で10分間混合し、粘着剤組成物が溶解している溶液を得た。
【0181】
この溶液を、剥離PETフィルム(三菱樹脂株式会社製、MRF38、厚み:38μm)上に、ベーカーアプリケーターにて乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布し、90℃で3分間乾燥させて粘着剤層を形成した後、さらに粘着剤層側を、PETフィルム(東レ株式会社製、商品名 ルミラー(登録商標)S10#25、厚み:23μm)に貼り合わせることで、粘着シート(1)を作製した。
【0182】
(実施例10〜16、比較例14〜27)
下記表5および表6に示すような組成比で、上記合成例23〜43で合成した重合体、カルボジイミド架橋剤、周期表4族カップリング剤、イソシアネート架橋剤、および他の添加剤を使用したことを除いては、実施例9と同様にして、粘着剤組成物が溶解している溶液の調製および粘着シートの作製を行い、粘着シート(2)〜(8)および比較粘着シート(1)〜(14)を得た。なお、カルボジイミド架橋剤 B−1、B−2およびB−3、ならびに周期表4族カップリング剤 C−1、C−2、C−3、C−4、C−5およびC−6、イソシアネート架橋剤 D−1、D−2、D−3、D−4およびD−5、ならびにその他の添加剤 F−1、F−2、F−3、F−4およびF−5の詳細は下記の通りである。
【0183】
【表11】

【0184】
上記のようにして得られた実施例9〜16および比較例14〜27の粘着シートについて、下記の方法に従って、各性能を評価した。
【0185】
1.ゲル分率
実施例9〜16、および比較例14〜27で作製した粘着剤層を有するPETフィルムの代わりに、剥離処理したポリエステルフィルムを使用して、粘着剤層を剥離処理したポリエステルフィルム上に乾燥後の厚さが25μmとなるように塗布し、粘着加工後(架橋処理後)、23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置後および7日間放置後におけるゲル分率を測定した。ゲル分率は、23℃、50%RHの雰囲気下で放置した粘着剤組成物約0.1gを秤量して、重量W1(g)を測定した。これをサンプル瓶に採取し、酢酸エチルを約30g加えて24時間放置した。所定時間経過後の該サンプル瓶の内容物を200メッシュのステンレス製金網(膜の重量をW2(g))にてろ別し、金網および残留物を90℃で1時間乾燥させた全体の重量W3(g)を測定した。ゲル分率は、これらの測定値から下記数式2により算出した。
【0186】
【数3】

【0187】
2.金属腐食抑制・防止性
23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した粘着シートの粘着剤層面をアルミホイルに貼り合わせて、60℃、90%RHの雰囲気下で2日間放置し、そのときの腐食性を観察した。なお、下記表5および表6中、「○」は変化なしを、「×」は白化したことを、それぞれ表す。
【0188】
3.粘着力
23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した粘着シートを25mm幅に裁断し、これをステンレス板に2kgのローラーで一往復させる方法で圧着し、23℃、50%RHの雰囲気下で20分間放置した。その後、引っ張り試験機を用いて、23℃、50%RHの雰囲気下で剥離角180度、剥離速度0.3m/分で、JIS Z0237(2000年)に記載の粘着テープ・粘着シート試験方法に準じて粘着力の測定を行った。
【0189】
4.基材に対する密着性
上記3.粘着力の測定時に、粘着シート(基材)に対する密着性を評価した。下記表5および表6中、「○」は粘着剤が基材からまったく剥がれなかったことを、「×」は粘着剤が基材から剥がれたことを、それぞれ表す。
【0190】
5.被着体汚染性
上記3.粘着力の測定前後のステンレス板の接触角を測定した。なお、接触角の測定は、JIS R3257(1999年)に記載の基板ガラス表面のぬれ性試験方法に準じて行った。下記表5および表6中、「○」は粘着力測定前後のステンレス板面の接触角変化が3°以下である場合を、「×」は粘着力測定前後のステンレス板面の接触角変化が3°を超えた場合を、それぞれ表す。
【0191】
6.低温安定性
23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した粘着シートをステンレス板に2kgのローラーで一往復させる方法で圧着し、23℃、50%RHの雰囲気下で1時間放置した。その後、−40℃雰囲気下で120時間放置した後の外観を観察した。下記表5および表6中、「○」は発泡、浮き、剥がれ、再結晶物が観察されなかったことを、「×」は発泡、浮き、剥がれ、再結晶物が観察されたことを、それぞれ表す。
【0192】
7.粘着剤層の透明性
23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した粘着シートの粘着剤層の透明性を、目視で確認した。なお、下記表5および表6中、「○」は透明性が良好であった場合を、「×」は粘着剤層に白濁が見られた場合を、それぞれ表す。
【0193】
8.耐熱性
23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した粘着シートをステンレス板に2kgのローラーで一往復させる方法で圧着し、23℃、50%RHの雰囲気下で1時間放置した。その後、80℃雰囲気下で500時間放置した後の外観を観察した。下記表5および表6中、「○」は発泡、浮き、剥がれが観察されなかったことを、「×」は発泡、浮き、剥がれが観察されたことを、それぞれ表す。
【0194】
9.耐湿熱性
23℃、50%RHの雰囲気下で0.5日間放置した粘着シートをステンレス板に2kgのローラーで一往復させる方法で圧着し、23℃、50%RHの雰囲気下で1時間放置した。その後、60℃、90%RH雰囲気下で500時間放置した後の外観を観察した。下記表5および表6中、「○」は発泡、浮き、剥がれが観察されなかったことを、「×」は発泡、浮き、剥がれが観察されたことを、それぞれ表す。
【0195】
各評価結果をまとめて、下記表5および表6に示す。
【0196】
【表12】

【0197】
【表13】

【0198】
上記表5および表6から明らかなように、本発明の粘着剤組成物(実施例9〜16)は、本発明の範囲外である粘着剤組成物(比較例14〜27)に比して、ポットライフおよび硬化促進効果に優れる。このことから、本発明の粘着剤組成物は、作業性および生産性が大幅に向上できると考察される。また、上記表5および表6から明らかなように、本発明の実施例9〜16の粘着シートは、比較例14〜27の粘着シートに比して、基材に対する密着性、被着体汚染性、低温安定性、粘着剤層の透明性、耐熱性および耐湿熱性に優れる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
0.1〜9質量部のカルボキシル基含有モノマー(a−1)、0〜1質量部のヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー(a−2)、および99.9〜90質量部の(メタ)アクリル酸エステルモノマー(a−3)からなる(ただし、カルボキシル基含有モノマー、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリルモノマー、および(メタ)アクリル酸エステルモノマーの合計量は100質量部である)単量体成分を含み、重量平均分子量が10万〜200万である(メタ)アクリル共重合体(A) 100質量部と、
前記(メタ)アクリル共重合体(A) 100質量部に対して、カルボジイミド架橋剤(B) 0.05〜5質量部と、
チタンカップリング剤、ジルコニウムカップリング剤またはハフニウムカップリング剤(C) 0.01〜0.3質量部と、
を含む、粘着剤組成物。
【請求項2】
前記(メタ)アクリル共重合体(A) 100質量部に対して、さらに、イソシアネート架橋剤(D) 0.05〜5質量部を含む、請求項1に記載の粘着剤組成物。
【請求項3】
請求項1または2に記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を備える、光学部材。
【請求項4】
請求項1または2に記載の粘着剤組成物から形成される粘着剤層を備える、粘着シート。

【公開番号】特開2012−246444(P2012−246444A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−121076(P2011−121076)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(500005066)チェイル インダストリーズ インコーポレイテッド (263)
【Fターム(参考)】