説明

粘着型光学フィルムの剥離方法、及び粘着型光学フィルム

【課題】粘着型光学フィルムが貼付されているガラス基板から、ガラス基板に損傷を与えることなく、ガラス基板に糊残りが生じることなく、かつ容易に粘着型光学フィルムを剥離する方法、及び該剥離方法に用いられる粘着型光学フィルムを提供することを目的とする。
【解決手段】ガラス基板に粘着型光学フィルムが貼り付けられている光学フィルム付きガラス基板から粘着型光学フィルムを剥離する粘着型光学フィルムの剥離方法において、
粘着型光学フィルムの粘着剤層は、水分散型粘着剤から形成されており、
光学フィルム付きガラス基板を温度40℃以上かつ相対湿度80%以上、又は温度50℃以上かつ相対湿度70%以上の環境下に曝した後に、ガラス基板から粘着型光学フィルムを剥離することを特徴とする粘着型光学フィルムの剥離方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学フィルム付きガラス基板から粘着型光学フィルムを剥離する粘着型光学フィルムの剥離方法、及び該剥離方法に用いられる粘着型光学フィルムに関する。前記光学フィルムとしては、偏光板、位相差板、光学補償フィルム、輝度向上フィルム、視野角拡大フィルム、及びこれらが積層されているものなどがあげられる。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等は、その画像形成方式から液晶セルの両側に偏光素子を配置することが必要不可欠であり、一般的には偏光板が貼着されている。また液晶パネルには偏光板の他に、ディスプレイの表示品位を向上させるために様々な光学素子が用いられている。例えば、着色防止としての位相差板、液晶ディスプレイの視野角を改善するための視野角拡大フィルム、さらにはディスプレイのコントラストを高めるための輝度向上フィルム等が用いられる。これらのフィルムは総称して光学フィルムと呼ばれる。
【0003】
前記光学フィルムを液晶セルに貼着する際には、通常、粘着剤が使用される。また、光学フィルムと液晶セル、また光学フィルム間の接着は、通常、光の損失を低減するため、それぞれの材料は粘着剤を用いて密着されている。このような場合に、光学フィルムを固着させるのに乾燥工程を必要としないこと等のメリットを有することから、粘着剤は、光学フィルムの片面に予め粘着剤層として設けられた粘着型光学フィルムが一般的に用いられている。
【0004】
従来、液晶セルの表面に粘着型光学フィルムを貼り合わせる際に貼り合わせ位置がずれたり、異物を噛み込んだ場合には液晶表示に問題が発生するため、貼り付けた粘着型光学フィルムを剥離して新しい粘着型光学フィルムを再度液晶セルの表面に貼り付けていた。しかし、液晶ディスプレイの大型化や液晶セルの薄型化により、粘着型光学フィルムを剥離するのが困難になりつつあり、特に粘着剤層の粘着力が強い場合には剥離するのに大きな力が必要になるため作業性が悪くなったり、液晶セルのセルギャップが変化して表示品位が低下したり、液晶セルを破損するなどの問題があった。また、製造コストを抑えるために剥離した粘着型光学フィルムを再利用すること、及び糊残りなく剥離しうるリワーク性が要求されている。
【0005】
前記問題を解決する方法として、液晶パネルと光学フィルムの間に加熱された電熱線やスライサーを挿入しながら粘着剤を軟化又は溶融させて剥離する方法(特許文献1、2)、及び液晶パネル上の光学フィルムに切り込みを入れて分割し、この分割片を剥離する方法(特許文献3)が提案されている。
【0006】
また、粘着剤を介して透明フィルムを貼着したディスプレイ材料をアルカリ性溶液に浸漬した後、該ディスプレイ材料から透明フィルムと粘着剤を剥離する方法が提案されている(特許文献4)。
【0007】
また、剥離しようとする光学部材に剥離用シートを貼り合わせ、この剥離用シートとともに光学部材を剥離する方法(特許文献5)、偏光板を粘着テープに粘着して剥離する方法(特許文献6)が提案されている。
【0008】
また、濃硫酸に浸漬することにより、ガラス基板に含まれる偏光板等を除去する方法(特許文献7)、粘着剤をアセトンやトリクロロエチレン等の溶剤を用いて溶解・除去することによって偏光板を剥離する方法(特許文献8)、偏光板に対して可溶性を有する溶剤により溶解して除去する方法(特許文献9)、粘着型光学フィルムの粘着剤層と基板との剥離界面に液体が存在する状態で剥離する方法(特許文献10)が提案されている。
【0009】
しかし、上記の方法では液晶パネルと光学フィルムの間に剥離冶具を挿入したり、液晶パネル上の光学フィルムのみを切断するなどの困難な作業が必要となる。また、液晶パネル上に多量の糊残りが発生したり、溶剤によって液晶パネルにダメージを与えるなどの問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開平11−95210号公報
【特許文献2】特開2002−350837号公報
【特許文献3】特開2001−242448号公報
【特許文献4】特開2001−328849号公報
【特許文献5】特開2002−40259号公報
【特許文献6】特開2002−159955号公報
【特許文献7】特開2001−305502号公報
【特許文献8】特開2001−337305号公報
【特許文献9】特開2005−224715号公報
【特許文献10】特開2005−148638号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、粘着型光学フィルムが貼付されているガラス基板から、ガラス基板に損傷を与えることなく、ガラス基板に糊残りが生じることなく、かつ容易に粘着型光学フィルムを剥離する方法、及び該剥離方法に用いられる粘着型光学フィルムを提供することを目的とする。特に、粘着型光学フィルムがガラス基板に長期間貼り合わされて接着力が上昇し、リワーク作業が極めて困難になった場合でも、糊残りなく容易に粘着型光学フィルムを剥離する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究したところ、下記剥離方法により上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明は、ガラス基板に粘着型光学フィルムが貼り付けられている光学フィルム付きガラス基板から粘着型光学フィルムを剥離する粘着型光学フィルムの剥離方法において、
粘着型光学フィルムの粘着剤層は、水分散型粘着剤から形成されており、
光学フィルム付きガラス基板を温度40℃以上かつ相対湿度80%以上、又は温度50℃以上かつ相対湿度70%以上の環境下に曝した後に、ガラス基板から粘着型光学フィルムを剥離することを特徴とする粘着型光学フィルムの剥離方法、に関する。
【0014】
上記のように、光学フィルム付きガラス基板を所定の環境下に曝すこと(曝露処理)により、粘着型光学フィルムの粘着剤層の接着力を十分に低下させることができ、ガラス基板に損傷を与えることなく、糊残りなく、かつリワーク性よくガラス基板から粘着型光学フィルムを剥離することができる。本発明の剥離方法によると、液晶パネルのサイズが大きい場合や、液晶セルが薄い場合にもリワーク性が良好である。また、本発明の剥離方法によると、粘着型光学フィルムが長期間ガラス基板に貼り合わされて接着力が高くなった場合でも、糊残りなく容易に剥離することができる。
【0015】
また、前記粘着型光学フィルムの粘着剤層を水分散型粘着剤から形成することにより、上記曝露処理によって粘着剤層の吸水及び粘着剤層とガラス基板との界面への水分の侵入が進行し、粘着剤層の接着力が十分に低下するためリワーク性が向上する。さらに、曝露処理後に室温に戻しても接着力が再上昇することがなく、作業工程上好ましい。
【0016】
前記粘着型光学フィルムは、光学フィルムと粘着剤層との間にアンカー層を有することが好ましい。アンカー層を設けることにより、粘着型光学フィルムを安定性よくガラス基板に接着することができ、また粘着型光学フィルムを剥離する際には糊残りなく容易に剥離することができる。
【0017】
また、本発明は、前記粘着型光学フィルムの剥離方法に用いられ、光学フィルムの少なくとも片面に水分散型粘着剤から形成された粘着剤層を有する粘着型光学フィルムにおいて、ガラス基板に貼り付けて、温度60℃かつ相対湿度30%の環境下に100時間曝した後の接着力が20N/25mm幅以上であり、温度40℃以上かつ相対湿度80%以上、又は温度50℃以上かつ相対湿度70%以上の環境下に曝した後の接着力が10N/25mm幅以下であることを特徴とする粘着型光学フィルム、に関する。
【0018】
本発明の粘着型光学フィルムは、高温環境下で長期間ガラス基板に貼り合わされて接着力が20N/25mm幅以上に高くなった場合でも、所定の環境下に曝すこと(曝露処理)により、粘着剤層の接着力を十分に低下させることができ、ガラス基板に損傷を与えることなく、糊残りなく、かつリワーク性よくガラス基板から剥離することができる。本発明の粘着型光学フィルムは、液晶パネルのサイズが大きい場合や、液晶セルが薄い場合にもリワーク性よく剥離することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の光学フィルム付きガラス基板は、ガラス基板に粘着型光学フィルムが貼り付けられたものであり、該粘着型光学フィルムの粘着剤層は、水分散型粘着剤から形成されている。
【0020】
水分散型粘着剤としては、ゴム系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤等の各種の水分散型粘着剤を使用できるが、無色透明で、液晶セル(ガラス基板)との接着性の良好なアクリル系粘着剤が好ましい。
【0021】
水分散型アクリル系粘着剤は、アルキル(メタ)アクリレートを乳化剤の存在下に乳化重合することにより得られるアクリル系ポリマーエマルションを含有する。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、(メタ)とは同様の意味である。アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の炭素数は1〜14程度であり、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、n−ドデシル(メタ)アクリレート、n−トリデシル(メタ)アクリレート、n−テトラデシル(メタ)アクリレート等を例示でき、これらは単独または組合せて使用できる。
【0022】
アクリル系ポリマーのガラス転移点や粘着剤層の粘着特性を調整するために、その他の重合性モノマーを用いてもよい。特に、ガラス基板への接着力を向上させるために、または得られる共重合体を後架橋するための架橋点を導入するために、さらには粘着剤の凝集力を高めるために、カルボキシル基含有モノマーを用いることが好ましい。
【0023】
カルボキシル基含有モノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸などがあげられる。中でも、特にアクリル酸、及びメタクリル酸が好ましく用いられる。
【0024】
カルボキシル基含有モノマーの添加量は、アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分の全量に対して、0.1〜10重量%であることが好ましく、より好ましくは1〜7重量%である。
【0025】
また、その他の重合性モノマーとして、例えば、スルホン酸基含有モノマー、リン酸基含有モノマー、シアノ基含有モノマー、ビニルエステルモノマー、芳香族ビニルモノマーなどの凝集力・耐熱性向上成分や、酸無水物基含有モノマー、ヒドロキシル基含有モノマー、アミド基含有モノマー、アミノ基含有モノマー、エポキシ基含有モノマー、N−アクリロイルモルホリン、ビニルエーテルモノマー等の接着力向上や架橋化基点として働く官能基を有す成分を適宜用いることができる。これらのモノマーは単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。
【0026】
スルホン酸基含有モノマーとしては、たとえば、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などがあげられる。
【0027】
リン酸基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート、モノ〔ポリ(プロピレンオキシド)(メタ)アクリレート〕リン酸エステルがあげられる。
【0028】
シアノ基含有モノマーとしては、たとえば、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどがあげられる。
【0029】
ビニルエステルモノマーとしては、たとえば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ラウリン酸ビニルなどがあげられる。
【0030】
芳香族ビニルモノマーとしては、たとえば、スチレン、クロロスチレン、クロロメチルスチレン、α−メチルスチレンなどがあげられる。
【0031】
酸無水物基含有モノマーとしては、たとえば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などがあげられる。
【0032】
ヒドロキシル基含有モノマーとしては、たとえば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド、ビニルアルコール、アリルアルコール、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルなどがあげられる。
【0033】
アミド基含有モノマーとしては、たとえば、アクリルアミド、ジエチルアクリルアミドなどがあげられる。
【0034】
アミノ基含有モノマーとしては、たとえば、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキルエステルなどがあげられる。
【0035】
エポキシ基含有モノマーとしては、たとえば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。
【0036】
ビニルエーテルモノマーとしては、たとえば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテルなどがあげられる。
【0037】
さらに、上記以外の重合性モノマーとして、ケイ素原子を含有するシラン系モノマーがあげられる。シラン系モノマーとしては、たとえば、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4−ビニルブチルトリメトキシシラン、4−ビニルブチルトリエトキシシラン、8−ビニルオクチルトリメトキシシラン、8−ビニルオクチルトリエトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10−アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどがあげられる。
【0038】
前記シラン系モノマーは、単独で使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良いが、全体としての含有量はアクリル系ポリマー100重量部に対して、0.01〜3重量部であることが好ましく、0.01〜1重量部であることがより好ましい。シラン系モノマーを共重合させることは、耐久性の向上に好ましい。
【0039】
アクリル系ポリマーは、その溶剤可溶分の重量平均分子量が50万以上、好ましくは100万以上、さらに好ましくは180万以上であることが望ましい。重量平均分子量が50万より小さい場合は、粘着剤組成物の凝集力が小さくなることにより糊残りを生じる傾向がある。重量平均分子量はGPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定して得られたものをいう。
【0040】
アクリル系ポリマーはエマルション重合(乳化重合)により調製される。また、得られる共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体など何れでもよい。
【0041】
重合開始剤、乳化剤等は特に限定されず適宜選択して使用することができる。
【0042】
重合開始剤としては、たとえば、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’−アゾビス(N,N’−ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA−057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2−エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−sec−ブチルパーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ−n−オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ(4−メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ジ(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などがあげられるが、これらに限定されるものではない。
【0043】
重合開始剤は、単独で使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良いが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.002〜0.5重量部であることが好ましく、0.005〜0.2重量部であることがより好ましい。
【0044】
乳化剤としては、たとえば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などがあげられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0045】
さらに、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された反応性乳化剤としては、例えば、アクアロンHS−10、HS−20、HS−1025、KH−10、BC−05、BC−10、BC−20(第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(旭電化社製)などがある。反応性乳化剤は、重合によりポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。
【0046】
乳化剤の使用量は、重合安定性、機械的安定性、及び接着性等の観点から、モノマー100重量部に対して、0.5〜5重量部であることが好ましく、1〜4重量部がより好ましい。
【0047】
また、重合において連鎖移動剤を用いてもよい。連鎖移動剤を用いることにより、アクリル系ポリマーの分子量を適宜調整することができる。
【0048】
連鎖移動剤としては、たとえば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、1−ドデカンチオール、メルカプト酢酸、2−メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2−エチルヘキシル、2,3−ジメルカプト−1−プロパノールなどがあげられる。
【0049】
これらの連鎖移動剤は、単独で使用しても良く、また2種以上を混合して使用しても良いが、全体としての含有量はモノマー100重量部に対して、0.001〜0.5重量部程度である。
【0050】
重合操作例としては、たとえば、まず上記したモノマーや共重合モノマーを混合し、これに乳化剤及び水を配合した後、乳化してエマルションを調製する。このときのモノマーは使用する全体量の全部あるいは一部配合し、残りは重合途中に滴下することも可能である。次いで、このエマルションに重合開始剤及び必要により水を加えて、エマルション重合(乳化重合)する。
【0051】
なお、水は、エマルションの調製時にのみ配合してもよく、あるいは、その後にさらに配合してもよい。また、水の配合量は特に限定されるものではないが、エマルション重合(乳化重合)後のアクリル系ポリマーの固形分濃度が30〜75重量%になるように調製することが好ましく、より好ましくは35〜60重量%である。
【0052】
エマルション重合(乳化重合)の方法は特に限定されず、一括重合法、全量滴下法、これらを組み合わせた二段重合法などから適宜選択することができる。
【0053】
一括重合法では、たとえば、反応容器にモノマー混合物、乳化剤、及び水を仕込み、撹拌混合により乳化させてエマルションを調製した後、さらにこの反応容器に重合開始剤及び必要により水を加えてエマルション重合(乳化重合)する。
【0054】
また、全量滴下法では、まずモノマー混合物、乳化剤及び水を加えて、撹拌混合により乳化させて滴下液を調製するとともに、反応容器に重合開始剤及び水を仕込んでおき、次いで滴下液を反応容器内に滴下して、エマルション重合(乳化重合)する。
【0055】
エマルション粒子の平均粒子径は、機械的安定性や塗布性などが良好であれば特に制限されないが、通常0.07〜3μmであり、好ましくは0.07〜1μmである。平均粒子径が0.07μm未満の場合には、粘着剤の粘度が高くなりすぎる傾向にあり、3μmを超える場合にはエマルション粒子間の融着性が低下して凝集力が低下する傾向にある。
【0056】
水分散型アクリル系粘着剤は、上記アクリル系ポリマーエマルションを主剤成分とし、必要により架橋剤を含有させることができる。架橋剤としては、カルボジイミド化合物、オキサゾリン基含有化合物、ポリイソシアネート化合物、ポリアミン化合物、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。架橋剤の添加量は、粘着特性を妨げない範囲であれば特に制限されず、通常は粘着剤の固形分中に0.01〜10重量%であり、好ましくは0.05〜5重量%である。架橋剤の添加量が多い場合には、粘着剤層の弾性率が高くなりすぎる傾向にあり、接着力が低下することがある。さらに、粘着付与成分やその他の各種の添加剤を配合できる。
【0057】
さらに、水分散型アクリル系粘着剤には、その他の公知の添加剤を加えてもよく、たとえば、粘着付与剤、可塑剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤などを適宜添加することができる。
【0058】
粘着型光学フィルムは、光学フィルムの少なくとも片面に、前記粘着剤により粘着剤層を形成したものである。
【0059】
粘着剤層を形成する方法としては、例えば、水分散型粘着剤を剥離処理したセパレーターなどに塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を形成した後に光学フィルムに転写する方法、または光学フィルムに水分散型粘着剤を塗布し、重合溶剤などを乾燥除去して粘着剤層を形成する方法などがあげられる。
【0060】
粘着剤層の形成方法としては、各種方法が用いられる。例えば、コンマーコーター、ファウンテンダイコーター、リップコーター、スロットダイコーターなどのコーターを用いる方法があげられる。
【0061】
粘着剤層の厚さは特に制限されず、通常3〜500μm程度である。好ましくは5〜100μmであり、より好ましくは5〜40μmである。
【0062】
粘着型光学フィルムは、光学フィルムと粘着剤層との間にアンカー層を有することが好ましい。
【0063】
アンカー層の形成材料としては、粘着剤層のポリマーと反応する官能基を有するポリマーを用いることが好ましく、例えば、オキサゾリン基含有ポリマー、アミノ基含有ポリマーがあげられる。
【0064】
アンカー層は、前記ポリマーを含む溶液又は水分散液を光学フィルムの片面又は両面に直接塗布し、乾燥させることにより形成することができる。
【0065】
乾燥後のアンカー層の厚みは、通常1〜500nmであり、好ましくは10〜450nm、より好ましくは15〜400nmである。かかる範囲の厚みであれば光学フィルムと粘着剤層との密着力を十分に高くすることができる。
【0066】
粘着型光学フィルムに使用される光学フィルムとしては、例えば、偏光板があげられる。偏光板は偏光子の片面または両面に透明保護フィルムを有するものが一般に用いられる。
【0067】
偏光子は、特に限定されず、各種のものを使用できる。偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等ポリエン系配向フィルム等があげられる。これらの中でも、ポリビニルアルコール系フィルムとヨウ素などの二色性物質からなる偏光子が好適である。これらの偏光子の厚さは特に制限されないが、一般的に5〜80μm程度である。
【0068】
ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素で染色し一軸延伸した偏光子は、例えば、ポリビニルアルコールをヨウ素の水溶液に浸漬することによって染色し、元長の3〜7倍に延伸することで作成することができる。必要に応じてホウ酸や硫酸亜鉛、塩化亜鉛等を含んでいても良いヨウ化カリウムなどの水溶液に浸漬することもできる。さらに必要に応じて染色前にポリビニルアルコール系フィルムを水に浸漬して水洗してもよい。ポリビニルアルコール系フィルムを水洗することでポリビニルアルコール系フィルム表面の汚れやブロッキング防止剤を洗浄することができるほかに、ポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させることで染色のムラなどの不均一を防止する効果もある。延伸はヨウ素で染色した後に行っても良いし、染色しながら延伸しても良いし、また延伸してからヨウ素で染色しても良い。ホウ酸やヨウ化カリウムなどの水溶液や水浴中でも延伸することができる。
【0069】
透明保護フィルムを構成する材料としては、例えば透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮断性、等方性などに優れる熱可塑性樹脂が用いられる。このような熱可塑性樹脂の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、およびこれらの混合物があげられる。なお、偏光子の片側には、透明保護フィルムが接着剤層により貼り合わされるが、他の片側には、透明保護フィルムとして、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を用いることができる。透明保護フィルム中には任意の適切な添加剤が1種類以上含まれていてもよい。添加剤としては、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、滑剤、可塑剤、離型剤、着色防止剤、難燃剤、核剤、帯電防止剤、顔料、着色剤などがあげられる。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量は、好ましくは50〜100重量%、より好ましくは50〜99重量%、さらに好ましくは60〜98重量%、特に好ましくは70〜97重量%である。透明保護フィルム中の上記熱可塑性樹脂の含有量が50重量%以下の場合、熱可塑性樹脂が本来有する高透明性等が十分に発現できないおそれがある。
【0070】
また、透明保護フィルムとしては、特開2001−343529号公報(WO01/37007)に記載のポリマーフィルム、例えば、(A)側鎖に置換および/または非置換イミド基を有する熱可塑性樹脂と、(B)側鎖に置換および/または非置換フェニルならびにニトリル基を有する熱可塑性樹脂を含有する樹脂組成物があげられる。具体例としてはイソブチレンとN−メチルマレイミドからなる交互共重合体とアクリロニトリル・スチレン共重合体とを含有する樹脂組成物のフィルムがあげられる。フィルムは樹脂組成物の混合押出品などからなるフィルムを用いることができる。これらのフィルムは位相差が小さく、光弾性係数が小さいため偏光板の歪みによるムラなどの不具合を解消することができ、また透湿度が小さいため、加湿耐久性に優れる。
【0071】
透明保護フィルムの厚さは、適宜に決定しうるが、一般には強度や取扱性等の作業性、薄層性などの点より1〜500μm程度である。特に1〜300μmが好ましく、5〜200μmがより好ましい。透明保護フィルムは、5〜150μmの場合に特に好適である。
【0072】
なお、偏光子の両側に透明保護フィルムを設ける場合、その表裏で同じポリマー材料からなる保護フィルムを用いてもよく、異なるポリマー材料等からなる保護フィルムを用いてもよい。
【0073】
透明保護フィルムとしては、セルロース樹脂、ポリカーボネート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂および(メタ)アクリル樹脂から選ばれるいずれか少なくとも1つを用いるのが好ましい。
【0074】
セルロース樹脂は、セルロースと脂肪酸のエステルである。このようセルロースエステル系樹脂の具体例としでは、トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース、トリプロピオニルセルロース、ジプロピオニルセルロース等があげられる。これらのなかでも、トリアセチルセルロースが特に好ましい。トリアセチルセルロースは多くの製品が市販されており、入手容易性やコストの点でも有利である。トリアセチルセルロースの市販品の例としては、富士フイルム社製の商品名「UV−50」、「UV−80」、「SH−80」、「TD−80U」、「TD−TAC」、「UZ−TAC」や、コニカ社製の「KCシリーズ」等があげられる。一般的にこれらトリアセチルセルロースは、面内位相差(Re)はほぼゼロであるが、厚み方向位相差(Rth)は、〜60nm程度を有している。
【0075】
なお、厚み方向位相差が小さいセルロース樹脂フィルムは、例えば、上記セルロース樹脂を処理することにより得られる。例えばシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤を塗工したポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ステンレスなどの基材フィルムを、一般的なセルロース系フィルムに貼り合わせ、加熱乾燥(例えば80〜150℃で3〜10分間程度)した後、基材フィルムを剥離する方法;ノルボルネン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂などをシクロペンタノン、メチルエチルケトン等の溶剤に溶解した溶液を一般的なセルロース樹脂フィルムに塗工し加熱乾燥(例えば80〜150℃で3〜10分間程度)した後、塗工フィルムを剥離する方法などがあげられる。
【0076】
また、厚み方向位相差が小さいセルロース樹脂フィルムとしては、脂肪置換度を制御した脂肪酸セルロース系樹脂フィルムを用いることができる。一般的に用いられるトリアセチルセルロースでは酢酸置換度が2.8程度であるが、好ましくは酢酸置換度を1.8〜2.7に制御することによってRthを小さくすることができる。上記脂肪酸置換セルロース系樹脂に、ジブチルフタレート、p−トルエンスルホンアニリド、クエン酸アセチルトリエチル等の可塑剤を添加することにより、Rthを小さく制御することができる。可塑剤の添加量は、脂肪酸セルロース系樹脂100重量部に対して、好ましくは40重量部以下、より好ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは1〜15重量部である。
【0077】
環状ポリオレフィン樹脂の具体的としては、好ましくはノルボルネン系樹脂である。環状オレフィン系樹脂は、環状オレフィンを重合単位として重合される樹脂の総称であり、例えば、特開平1−240517号公報、特開平3−14882号公報、特開平3−122137号公報等に記載されている樹脂があげられる。具体例としては、環状オレフィンの開環(共)重合体、環状オレフィンの付加重合体、環状オレフィンとエチレン、プロピレン等のα−オレフィンとその共重合体(代表的にはランダム共重合体)、および、これらを不飽和カルボン酸やその誘導体で変性したグラフト重合体、ならびに、それらの水素化物などがあげられる。環状オレフィンの具体例としては、ノルボルネン系モノマーがあげられる。
【0078】
環状ポリオレフィン樹脂としては、種々の製品が市販されている。具体例としては、日本ゼオン株式会社製の商品名「ゼオネックス」、「ゼオノア」、JSR株式会社製の商品名「アートン」、TICONA社製の商品名「トーパス」、三井化学株式会社製の商品名「APEL」があげられる。
【0079】
(メタ)アクリル系樹脂としては、Tg(ガラス転移温度)が好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tgが115℃以上であることにより、偏光板の耐久性に優れたものとなりうる。上記(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定きれないが、成形性等の観点から、好ましくは170℃以下である。(メタ)アクリル系樹脂からは、面内位相差(Re)、厚み方向位相差(Rth)がほぼゼロのフィルムを得ることができる。
【0080】
(メタ)アクリル系樹脂としては、本発明の効果を損なわない範囲内で、任意の適切な(メタ)アクリル系樹脂を採用し得る。例えば、ポリメタクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸エステル、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸共重合、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、メタクリル酸メチル−アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、(メタ)アクリル酸メチル−スチレン共重合体(MS樹脂など)、脂環族炭化水素基を有する重合体(例えば、メタクリル酸メチル−メタクリル酸シクロヘキシル共重合体、メタクリル酸メチル−(メタ)アクリル酸ノルボルニル共重合体など)があげられる。好ましくは、ポリ(メタ)アクリル酸メチルなどのポリ(メタ)アクリル酸C1−6アルキルがあげられる。より好ましくはメタクリル酸メチルを主成分(50〜100重量%、好ましくは70〜100重量%)とするメタクリル酸メチル系樹脂があげられる。
【0081】
(メタ)アクリル系樹脂の具体例として、例えば、三菱レイヨン株式会社製のアクリペットVHやアクリペットVRL20A、特開2004−70296号公報に記載の分子内に環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂、分子内架橋や分子内環化反応により得られる高Tg(メタ)アクリル樹脂系があげられる。
【0082】
(メタ)アクリル系樹脂として、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂を用いることもできる。高い耐熱性、高い透明性、二軸延伸することにより高い機械的強度を有するからである。
【0083】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂としては、特開2000−230016号公報、特開2001−151814号公報、特開2002−120326号公報、特開2002−254544号公報、特開2005−146084号公報などに記載の、ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂があげられる。
【0084】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、好ましくは下記一般式(化1)で表される環擬構造を有する。
【0085】
【化1】

【0086】
式中、R、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素原子数1〜20の有機残基を示す。なお、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい。
【0087】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(化1)で表されるラクトン環構造の含有割合は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは10〜70重量%、さらに好ましくは10〜60重量%、特に好ましくは10〜50重量%である。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(化1)で表されるラクトン環構造の含有割合が5重量%よりも少ないと、耐熱性、耐溶剤性、表面硬度が不十分になるおそれがある。ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂の構造中の一般式(化1)で表されるラクトン環構造の含有割合が90重量%より多いと、成形加工性に乏しくなるおそれがある。
【0088】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、質量平均分子量(重量平均分子量と称することも有る)が、好ましくは1000〜2000000、より好ましくは5000〜1000000、さらに好ましくは10000〜500000、特に好ましくは50000〜500000である。質量平均分子量が上記範囲から外れると、成型加工性の点から好ましくない。
【0089】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、Tgが好ましくは115℃以上、より好ましくは120℃以上、さらに好ましくは125℃以上、特に好ましくは130℃以上である。Tgが115℃以上であることから、例えば、透明保護フィルムとして偏光板に組み入れた場合に、耐久性に優れたものとなる。上記ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂のTgの上限値は特に限定されないが、成形性などの観点から、好ましくは170℃以下である。
【0090】
ラクトン環構造を有する(メタ)アクリル系樹脂は、射出成形により得られる成形品の、ASTM−D−1003に準じた方法で測定される全光線透過率が、高ければ高いほど好ましく、好ましくは85%以上、より好ましくは88%以上、さらに好ましくは90%以上である。全光線透過率は透明性の目安であり、全光線透過率が85%未満であると、透明性が低下するおそれがある。
【0091】
前記透明保護フィルムは、正面位相差が40nm未満、かつ、厚み方向位相差が80nm未満であるものが、通常、用いられる。正面位相差Reは、Re=(nx−ny)×d、で表わされる。厚み方向位相差Rthは、Rth=(nx−nz)×d、で表される。また、Nz係数は、Nz=(nx−nz)/(nx−ny)、で表される。[ただし、フィルムの遅相軸方向、進相軸方向及び厚さ方向の屈折率をそれぞれnx、ny、nzとし、d(nm)はフィルムの厚みとする。遅相軸方向は、フィルム面内の屈折率の最大となる方向とする。]。なお、透明保護フィルムは、できるだけ色付きがないことが好ましい。厚み方向の位相差値が−90nm〜+75nmである保護フィルムが好ましく用いられる。かかる厚み方向の位相差値(Rth)が−90nm〜+75nmのものを使用することにより、透明保護フィルムに起因する偏光板の着色(光学的な着色)をほぼ解消することができる。厚み方向位相差値(Rth)は、さらに好ましくは−80nm〜+60nm、特に−70nm〜+45nmが好ましい。
【0092】
一方、前記透明保護フィルムとして、正面位相差が40nm以上および/または、厚み方向位相差が80nm以上の位相差を有する位相差板を用いることができる。正面位相差は、通常、40〜200nmの範囲に、厚み方向位相差は、通常、80〜300nmの範囲に制御される。透明保護フィルムとして位相差板を用いる場合には、当該位相差板が透明保護フィルムとしても機能するため、薄型化を図ることができる。
【0093】
位相差板としては、高分子素材を一軸または二軸延伸処理してなる複屈折性フィルム、液晶ポリマーの配向フィルム、液晶ポリマーの配向層をフィルムにて支持したものなどがあげられる。位相差板の厚さも特に制限されないが、20〜150μm程度が一般的である。
【0094】
高分子素材としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリメチルビニルエーテル、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリスルホン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリフェニレンスルファイド、ポリフェニレンオキサイド、ポリアリルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、セルロース樹脂、環状ポリオレフィン樹脂(ノルボルネン系樹脂)、またはこれらの二元系、三元系各種共重合体、グラフト共重合体、ブレンド物などがあげられる。これらの高分子素材は延伸等により配向物(延伸フィルム)となる。
【0095】
液晶ポリマーとしては、例えば、液晶配向性を付与する共役性の直線状原子団(メソゲン)がポリマーの主鎖や側鎖に導入された主鎖型や側鎖型の各種のものなどをあげられる。主鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、屈曲性を付与するスペーサー部でメソゲン基を結合した構造の、例えばネマチック配向性のポリエステル系液晶性ポリマー、ディスコティックポリマーやコレステリックポリマーなどがあげられる。側鎖型の液晶ポリマーの具体例としては、ポリシロキサン、ポリアクリレート、ポリメタクリレート又はポリマロネートを主鎖骨格とし、側鎖として共役性の原子団からなるスペーサー部を介してネマチック配向付与性のパラ置換環状化合物単位からなるメソゲン部を有するものなどがあげられる。これらの液晶ポリマーは、例えば、ガラス板上に形成したポリイミドやポリビニルアルコール等の薄膜の表面をラビング処理したもの、酸化ケイ素を斜方蒸着したものなどの配向処理面上に液晶性ポリマーの溶液を展開して熱処理することにより行われる。
【0096】
位相差板は、例えば各種波長板や液晶層の複屈折による着色や視角等の補償を目的としたものなどの使用目的に応じた適宜な位相差を有するものであって良く、2種以上の位相差板を積層して位相差等の光学特性を制御したものなどであっても良い。
【0097】
位相差板は、nx=ny>nz、nx>ny>nz、nx>ny=nz、nx>nz>ny、nz=nx>ny、nz>nx>ny、nz>nx=ny、の関係を満足するものが、各種用途に応じて選択して用いられる。なお、ny=nzとは、nyとnzが完全に同一である場合だけでなく、実質的にnyとnzが同じ場合も含む。
【0098】
例えば、nx>ny>nz、を満足する位相差板では、正面位相差は40〜100nm、厚み方向位相差は100〜320nm、Nz係数は1.8〜4.5を満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nx>ny=nz、を満足する位相差板(ポジティブAプレート)では、正面位相差は100〜200nmを満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nz=nx>ny、を満足する位相差板(ネガティブAプレート)では、正面位相差は100〜200nmを満足するものを用いるのが好ましい。例えば、nx>nz>ny、を満足する位相差板では、正面位相差は150〜300nm、Nz係数は0を超え〜0.7を満足するものを用いるのが好ましい。また、上記の通り、例えば、nx=ny>nz、nz>nx>ny、またはnz>nx=ny、を満足するものを用いることができる。
【0099】
透明保護フィルムは、適用される液晶表示装置に応じて適宜に選択できる。例えば、VA(Vertical Alignment,MVA,PVA含む)の場合は、偏光板の少なくとも片方(セル側)の透明保護フィルムが位相差を有している方が望ましい。具体的な位相差として、Re=0〜240nm、Rth=0〜500nmの範囲である事が望ましい。三次元屈折率で言うと、nx>ny=nz、nx>ny>nz、nx>nz>ny、nx=ny>nz(ポジティブAプレート,二軸,ネガティブCプレート)の場合が望ましい。VA型では、ポジティブAプレートとネガティブCプレートの組み合わせ、または二軸フィルム1枚で用いるのが好ましい。液晶セルの上下に偏光板を使用する際、液晶セルの上下共に、位相差を有している、または上下いずれかの透明保護フィルムが位相差を有していてもよい。
【0100】
例えば、IPS(In−Plane Switching,FFS含む)の場合、偏光板の片方の透明保護フィルムが位相差を有している場合、有していない場合のいずれも使用できる。例えば、位相差を有していない場合は、液晶セルの上下(セル側)ともに位相差を有していない場合が望ましい。位相差を有している場合は、液晶セルの上下ともに位相差を有している場合、上下のいずれかが位相差を有している場合が望ましい(例えば、上側にnx>nz>nyの関係を満足する二軸フィルム、下側に位相差なしの場合や、上側にポジティブAプレート、下側にポジティブCプレートの場合)。位相差を有している場合、Re=−500〜500nm、Rth=−500〜500nmの範囲が望ましい。三次元屈折率で言うと、nx>ny=nz、nx>nz>ny、nz>nx=ny、nz>nx>ny(ポジティブAプレート,二軸,ポジティブCプレート)が望ましい。
【0101】
なお、前記位相差を有するフィルムは、位相差を有しない透明保護フィルムに、別途、貼り合せて上記機能を付与することができる。
【0102】
前記透明保護フィルムは、接着剤を塗工する前に、偏光子との接着性を向上させるために、表面改質処理を行ってもよい。具体的な処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、ケン化処理、カップリング剤による処理などがあげられる。また適宜に帯電防止層を形成することができる。
【0103】
前記透明保護フィルムの偏光子を接着させない面には、ハードコート層や反射防止処理、スティッキング防止や、拡散ないしアンチグレアを目的とした処理を施したものであってもよい。
【0104】
ハードコート処理は偏光板表面の傷付き防止などを目的に施されるものであり、例えばアクリル系、シリコーン系などの適宜な紫外線硬化型樹脂による硬度や滑り特性等に優れる硬化皮膜を透明保護フィルムの表面に付加する方式などにて形成することができる。反射防止処理は偏光板表面での外光の反射防止を目的に施されるものであり、従来に準じた反射防止膜などの形成により達成することができる。また、スティッキング防止処理は隣接層(例えば、バックライト側の拡散板)との密着防止を目的に施される。
【0105】
またアンチグレア処理は偏光板の表面で外光が反射して偏光板透過光の視認を阻害することの防止等を目的に施されるものであり、例えばサンドブラスト方式やエンボス加工方式による粗面化方式や透明微粒子の配合方式などの適宜な方式にて透明保護フィルムの表面に微細凹凸構造を付与することにより形成することができる。前記表面微細凹凸構造の形成に含有させる微粒子としては、例えば平均粒径が0.5〜20μmのシリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化錫、酸化インジウム、酸化カドミウム、酸化アンチモン等からなる導電性のこともある無機系微粒子、架橋又は未架橋のポリマー等からなる有機系微粒子などの透明微粒子が用いられる。表面微細凹凸構造を形成する場合、微粒子の使用量は、表面微細凹凸構造を形成する透明樹脂100重量部に対して一般的に2〜70重量部程度であり、5〜50重量部が好ましい。アンチグレア層は、偏光板透過光を拡散して視角などを拡大するための拡散層(視角拡大機能など)を兼ねるものであってもよい。
【0106】
なお、前記反射防止層、スティッキング防止層、拡散層やアンチグレア層等は、透明保護フィルムそのものに設けることができるほか、別途光学層として透明保護フィルムとは別体のものとして設けることもできる。
【0107】
前記偏光子と透明保護フィルムとの接着処理には、接着剤が用いられる。接着剤としては、イソシアネート系接着剤、ポリビニルアルコール系接着剤、ゼラチン系接着剤、ビニル系ラテックス系、水系ポリエステル等を例示できる。前記接着剤は、通常、水溶液からなる接着剤として用いられ、通常、0.5〜60重量%の固形分を含有してなる。上記の他、偏光子と透明保護フィルムとの接着剤としては、紫外硬化型接着剤、電子線硬化型接着剤等があげられる。電子線硬化型偏光板用接着剤は、上記各種の透明保護フィルムに対して、好適な接着性を示す。また本発明で用いる接着剤には、金属化合物フィラーを含有させることができる。
【0108】
また光学フィルムとしては、例えば反射板や反透過板、前記位相差板(1/2や1/4等の波長板を含む)、視覚補償フィルム、輝度向上フィルムなどの液晶表示装置等の形成に用いられることのある光学層となるものがあげられる。これらは単独で光学フィルムとして用いることができる他、前記偏光板に、実用に際して積層して、1層または2層以上用いることができる。
【0109】
特に、偏光板に更に反射板または半透過反射板が積層されてなる反射型偏光板または半透過型偏光板、偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板、偏光板に更に視覚補償フィルムが積層されてなる広視野角偏光板、あるいは偏光板に更に輝度向上フィルムが積層されてなる偏光板が好ましい。
【0110】
反射型偏光板は、偏光板に反射層を設けたもので、視認側(表示側)からの入射光を反射させて表示するタイプの液晶表示装置などを形成するためのものであり、バックライト等の光源の内蔵を省略できて液晶表示装置の薄型化を図りやすいなどの利点を有する。反射型偏光板の形成は、必要に応じ透明保護層等を介して偏光板の片面に金属等からなる反射層を付設する方式などの適宜な方式にて行うことができる。
【0111】
反射型偏光板の具体例としては、必要に応じマット処理した透明保護フィルムの片面に、アルミニウム等の反射性金属からなる箔や蒸着膜を付設して反射層を形成したものなどがあげられる。また、前記透明保護フィルムに微粒子を含有させて表面微細凹凸構造とし、その上に微細凹凸構造の反射層を有するものなどもあげられる。前記した微細凹凸構造の反射層は、入射光を乱反射により拡散させて指向性やギラギラした見栄えを防止し、明暗のムラを抑制しうる利点などを有する。また微粒子含有の保護フィルムは、入射光及びその反射光がそれを透過する際に拡散されて明暗ムラをより抑制しうる利点なども有している。透明保護フィルムの表面微細凹凸構造を反映させた微細凹凸構造の反射層の形成は、例えば真空蒸着方式、イオンプレーティング方式、スパッタリング方式やメッキ方式などの適宜な方式で金属を透明保護層の表面に直接付設する方法などにより行うことができる。
【0112】
反射板は前記の偏光板の透明保護フィルムに直接付与する方式に代えて、その透明フィルムに準じた適宜なフィルムに反射層を設けてなる反射シートなどとして用いることもできる。なお反射層は、通常、金属からなるので、その反射面が透明保護フィルムや偏光板等で被覆された状態の使用形態が、酸化による反射率の低下防止、ひいては初期反射率の長期持続の点や、保護層の別途付設の回避の点などより好ましい。
【0113】
なお、半透過型偏光板は、上記において反射層で光を反射し、かつ透過するハーフミラー等の半透過型の反射層とすることにより得ることができる。半透過型偏光板は、通常液晶セルの裏側に設けられ、液晶表示装置などを比較的明るい雰囲気で使用する場合には、視認側(表示側)からの入射光を反射させて画像を表示し、比較的暗い雰囲気においては、半透過型偏光板のバックサイドに内蔵されているバックライト等の内蔵電源を使用して画像を表示するタイプの液晶表示装置などを形成できる。すなわち、半透過型偏光板は、明るい雰囲気下では、バックライト等の光源使用のエネルギーを節約でき、比較的暗い雰囲気下においても内蔵電源を用いて使用できるタイプの液晶表示装置などの形成に有用である。
【0114】
偏光板に更に位相差板が積層されてなる楕円偏光板または円偏光板について説明する。直線偏光を楕円偏光または円偏光に変えたり、楕円偏光または円偏光を直線偏光に変えたり、あるいは直線偏光の偏光方向を変える場合に、位相差板などが用いられる。特に、直線偏光を円偏光に変えたり、円偏光を直線偏光に変える位相差板としては、いわゆる1/4波長板(λ/4板とも言う)が用いられる。1/2波長板(λ/2板とも言う)は、通常、直線偏光の偏光方向を変える場合に用いられる。
【0115】
楕円偏光板はスーパーツイストネマチック(STN)型液晶表示装置の液晶層の複屈折により生じた着色(青又は黄)を補償(防止)して、前記着色のない白黒表示する場合などに有効に用いられる。更に、三次元の屈折率を制御したものは、液晶表示装置の画面を斜め方向から見た際に生じる着色も補償(防止)することができて好ましい。円偏光板は、例えば画像がカラー表示になる反射型液晶表示装置の画像の色調を整える場合などに有効に用いられ、また、反射防止の機能も有する。
【0116】
また、上記の楕円偏光板や反射型楕円偏光板は、偏光板又は反射型偏光板と位相差板を適宜な組合せで積層したものである。かかる楕円偏光板等は、(反射型)偏光板と位相差板の組合せとなるようにそれらを液晶表示装置の製造過程で順次別個に積層することによっても形成しうるが、前記の如く予め楕円偏光板等の光学フィルムとしたものは、品質の安定性や積層作業性等に優れて液晶表示装置などの製造効率を向上させうる利点がある。
【0117】
視覚補償フィルムは、液晶表示装置の画面を、画面に垂直でなくやや斜めの方向から見た場合でも、画像が比較的鮮明にみえるように視野角を広げるためのフィルムである。このような視覚補償位相差板としては、例えば位相差板、液晶ポリマー等の配向フィルムや透明基材上に液晶ポリマー等の配向層を支持したものなどからなる。通常の位相差板は、その面方向に一軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムが用いられるのに対し、視覚補償フィルムとして用いられる位相差板には、面方向に二軸に延伸された複屈折を有するポリマーフィルムとか、面方向に一軸に延伸され厚さ方向にも延伸された厚さ方向の屈折率を制御した複屈折を有するポリマーや傾斜配向フィルムのような二方向延伸フィルムなどが用いられる。傾斜配向フィルムとしては、例えばポリマーフィルムに熱収縮フィルムを接着して加熱によるその収縮力の作用下にポリマーフィルムを延伸処理又は/及び収縮処理したものや、液晶ポリマーを斜め配向させたものなどがあげられる。位相差板の素材原料ポリマーは、先の位相差板で説明したポリマーと同様のものが用いられ、液晶セルによる位相差に基づく視認角の変化による着色等の防止や良視認の視野角の拡大などを目的とした適宜なものを用いうる。
【0118】
また、良視認の広い視野角を達成する点などより、液晶ポリマーの配向層、特にディスコチック液晶ポリマーの傾斜配向層からなる光学的異方性層をトリアセチルセルロースフィルムにて支持した光学補償位相差板が好ましく用いうる。
【0119】
偏光板と輝度向上フィルムを貼り合せた偏光板は、通常液晶セルの裏側サイドに設けられて使用される。輝度向上フィルムは、液晶表示装置などのバックライトや裏側からの反射などにより自然光が入射すると所定偏光軸の直線偏光または所定方向の円偏光を反射し、他の光は透過する特性を示すもので、輝度向上フィルムを偏光板と積層した偏光板は、バックライト等の光源からの光を入射させて所定偏光状態の透過光を得ると共に、前記所定偏光状態以外の光は透過せずに反射される。この輝度向上フィルム面で反射した光を更にその後ろ側に設けられた反射層等を介し反転させて輝度向上フィルムに再入射させ、その一部又は全部を所定偏光状態の光として透過させて輝度向上フィルムを透過する光の増量を図ると共に、偏光子に吸収させにくい偏光を供給して液晶表示画像表示等に利用しうる光量の増大を図ることにより輝度を向上させうるものである。すなわち、輝度向上フィルムを使用せずに、バックライトなどで液晶セルの裏側から偏光子を通して光を入射した場合には、偏光子の偏光軸に一致していない偏光方向を有する光は、ほとんど偏光子に吸収されてしまい、偏光子を透過してこない。すなわち、用いた偏光子の特性よっても異なるが、およそ50%の光が偏光子に吸収されてしまい、その分、液晶画像表示等に利用しうる光量が減少し、画像が暗くなる。輝度向上フィルムは、偏光子に吸収されるような偏光方向を有する光を偏光子に入射させずに輝度向上フィルムで一反反射させ、更にその後ろ側に設けられた反射層等を介して反転させて輝度向上フィルムに再入射させることを繰り返し、この両者間で反射、反転している光の偏光方向が偏光子を通過し得るような偏光方向になった偏光のみを、輝度向上フィルムは透過させて偏光子に供給するので、バックライトなどの光を効率的に液晶表示装置の画像の表示に使用でき、画面を明るくすることができる。
【0120】
輝度向上フィルムと上記反射層等の間に拡散板を設けることもできる。輝度向上フィルムによって反射した偏光状態の光は上記反射層等に向かうが、設置された拡散板は通過する光を均一に拡散すると同時に偏光状態を解消し、非偏光状態となる。すなわち、自然光状態の光が反射層等に向かい、反射層等を介して反射し、再び拡散板を通過して輝度向上フィルムに再入射することを繰り返す。このように輝度向上フィルムと上記反射層等の間に、偏光を元の自然光にもどす拡散板を設けることにより表示画面の明るさを維持しつつ、同時に表示画面の明るさのむらを少なくし、均一で明るい画面を提供することができる。かかる拡散板を設けることにより、初回の入射光は反射の繰り返し回数が程よく増加し、拡散板の拡散機能と相俟って均一の明るい表示画面を提供することができたものと考えられる。
【0121】
前記の輝度向上フィルムとしては、例えば誘電体の多層薄膜や屈折率異方性が相違する薄膜フィルムの多層積層体の如き、所定偏光軸の直線偏光を透過して他の光は反射する特性を示すもの、コレステリック液晶ポリマーの配向フィルムやその配向液晶層をフィルム基材上に支持したものの如き、左回り又は右回りのいずれか一方の円偏光を反射して他の光は透過する特性を示すものなどの適宜なものを用いうる。
【0122】
従って、前記した所定偏光軸の直線偏光を透過させるタイプの輝度向上フィルムでは、その透過光をそのまま偏光板に偏光軸を揃えて入射させることにより、偏光板による吸収ロスを抑制しつつ効率よく透過させることができる。一方、コレステリック液晶層の如く円偏光を透過するタイプの輝度向上フィルムでは、そのまま偏光子に入射させることもできるが、吸収ロスを抑制する点よりその円偏光を、位相差板を介し直線偏光化して偏光板に入射させることが好ましい。なお、その位相差板として1/4波長板を用いることにより、円偏光を直線偏光に変換することができる。
【0123】
可視光域等の広い波長で1/4波長板として機能する位相差板は、例えば波長550nmの淡色光に対して1/4波長板として機能する位相差板と他の位相差特性を示す位相差層、例えば1/2波長板として機能する位相差層とを重畳する方式などにより得ることができる。従って、偏光板と輝度向上フィルムの間に配置する位相差板は、1層または2層以上の位相差層からなるものであってよい。
【0124】
なお、コレステリック液晶層についても、反射波長が相違するものの組合せにして2層又は3層以上重畳した配置構造とすることにより、可視光域等の広い波長範囲で円偏光を反射するものを得ることができ、それに基づいて広い波長範囲の透過円偏光を得ることができる。
【0125】
また、偏光板は、上記の偏光分離型偏光板の如く、偏光板と2層又は3層以上の光学層とを積層したものからなっていても良い。従って、上記の反射型偏光板や半透過型偏光板と位相差板を組み合わせた反射型楕円偏光板や半透過型楕円偏光板などであっても良い。
【0126】
偏光板に前記光学層を積層した光学フィルムは、液晶表示装置等の製造過程で順次別個に積層する方式にても形成することができるが、予め積層して光学フィルムとしたものは、品質の安定性や組立作業等に優れていて液晶表示装置などの製造工程を向上させうる利点がある。積層には粘着層等の適宜な接着手段を用いうる。前記の偏光板と他の光学層の接着に際し、それらの光学軸は目的とする位相差特性などに応じて適宜な配置角度とすることができる。
【0127】
本発明の光学フィルム付きガラス基板は、ガラス基板(液晶セル)に粘着型光学フィルムが貼り付けられたものである。粘着型光学フィルムの粘着剤層は、乳化剤を含有する水分散型粘着剤から形成されており、ガラス基板に貼り合わせた際には貼着直後から高い接着性を発揮し、また高温高湿雰囲気下でも優れた耐久性を発揮する。
【0128】
本発明の粘着型光学フィルムの剥離方法は、前記光学フィルム付きガラス基板を温度40℃以上かつ相対湿度80%以上(条件1)、又は温度50℃以上かつ相対湿度70%以上(条件2)の環境下に曝した後に、ガラス基板から粘着型光学フィルムを剥離することを特徴とする。
【0129】
光学フィルム付きガラス基板を条件1又は条件2の環境下に曝した場合には、粘着剤層とガラス基板との界面で接着力が低下して容易に粘着型光学フィルムを剥離することができる。また、粘着型光学フィルムをガラス基板に高温環境下で長期間貼り合わせておくことによって接着力が20N/25mm幅以上になっても、条件1又は条件2の環境下に曝すことによって接着力を10N/25mm幅以下に低下させることができる。したがって、大型サイズのガラス基板に対してもリワーク性よく容易に剥離することができる。曝露処理の好ましい条件は、温度80℃以上かつ相対湿度80%以上である。また、曝露処理の温度は100℃以下であることが好ましい。曝露処理の温度が100℃を超えると被着体である液晶ディスプレイ等が破損する恐れがある。
【0130】
曝露処理の時間は1時間以上であることが好ましく、より好ましくは2時間以上である。1時間未満の場合は粘着剤層の吸水が十分に進行せず、粘着剤層とガラス基板との界面で接着力が十分に低下しないため、剥離時にガラス基板が損傷したり、糊残りが多く発生したり、リワーク性が低下する。一方、曝露処理の時間は通常48時間以下である。48時間を超えても効果はほとんど変わらないため製造効率の観点から好ましくない。
【実施例】
【0131】
以下に、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各例中の部および%はいずれも重量基準である。
【0132】
製造例1
(モノマープレエマルションの調製)
容器に、アクリル酸ブチル88部、N−シクロへキシルメタクリレート5部、アクリル酸5部、モノ〔ポリ(プロピレンオキシド)メタクリレート〕リン酸エステル(プロピレンオキシドの平均重合度約5.0)2部、及び3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)、KBM−503)0.03部を加えて混合してモノマー混合物を調製した。次に、モノマー混合物500gに反応性乳化剤(第一工業製薬(株)、アクアロンHS−1025)20g、及びイオン交換水446gを加え、ホモジナイザー(特殊機化(株))を用いて5000(rpm)で5分間撹拌し乳化してモノマープレエマルションを調製した。
【0133】
(水分散型アクリル系粘着剤の調製)
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた反応容器に、モノマープレエマルション96g、イオン交換水275g、及び反応性乳化剤アクアロンHS−1025(40g)を加え、反応容器を窒素置換した。その後、過硫酸アンモニウム0.05gを添加して65℃で1時間重合反応を行った。次に、反応容器内の温度を75℃に昇温し、過硫酸アンモニウム0.35gを添加した。その後、モノマープレエマルション869gを反応容器内に3時間かけて滴下し、滴下後3時間重合反応を行った。その後、窒素置換しながら75℃で3時間重合反応を行い、固形分40%のエマルション溶液を調製した。そして、得られたエマルション溶液を室温まで冷却し、10%アンモニア水を添加してpHを8に調整して水分散型アクリル系粘着剤を調製した。
【0134】
(粘着剤層の形成)
前記水分散型アクリル系粘着剤を離型フィルム(三菱化学ポリエステル(株)、ダイヤホイル MRF38、PETフィルム)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが23μmになるように塗布し、120℃で2分間乾燥して粘着剤層を形成した。
【0135】
(偏光板の作製)
厚さ80μmのポリビニルアルコールフィルムを、40℃のヨウ素溶液中で5倍に延伸した。その後、ポリビニルアルコールフィルムをヨウ素溶液から引き上げ、50℃で4分間乾燥を行い偏光子を得た。当該偏光子の両面に、トリアセチルセルロースフィルムをポリビニルアルコール系接着剤を用いて貼り合せて偏光板を作製した。
【0136】
(粘着型偏光板Aの作製)
オキサゾリン基含有アクリル系ポリマー((株)日本触媒、エポクロスWS−700)を、水/イソプロピルアルコール(重量比1/1)混合溶液で固形分0.25%に希釈してアンカーコート剤を調製した。アンカーコート剤をマイヤーバー#5を用いて前記偏光板の片面にコーティングし、40℃で2分間乾燥させてアンカー層を形成した。次に、アンカー層上に前記粘着剤層を転写して粘着型偏光板Aを作製した。
【0137】
(接着力の測定)
粘着型偏光板Aの初期接着力、60℃/100時間後の接着力を下記方法で測定した。その結果、初期接着力は7.8(N/25mm)、60℃/100時間後の接着力は36.0(N/25mm)であった。
<初期接着力>
粘着型偏光板Aを25mm幅に裁断したサンプルをガラス基板(コーニング(株)、コーニング#1737)に、2kgローラーで1往復圧着して貼り付け、次いで50℃、5気圧のオートクレーブ中に15分間放置し、その後25℃に冷却した。そして、引張り試験機を用いて、剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件でガラス基板からサンプルを引き剥がす際の接着力(N/25mm)を測定した。
<60℃/100時間後の接着力>
粘着型偏光板Aを25mm幅に裁断したサンプルをガラス基板(コーニング(株)、コーニング#1737)に、2kgローラーで1往復圧着して貼り付け、次いで50℃、5気圧のオートクレーブ中に15分間放置し、その後60℃、相対湿度30%の雰囲気下で100時間放置し、その後25℃に冷却した。そして、引張り試験機を用いて、剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件でガラス基板からサンプルを引き剥がす際の接着力(N/25mm)を測定した。
【0138】
製造例2
(アクリル系ポリマー溶液の調製)
撹拌羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた反応容器に、アクリル酸ブチル100部、アクリル酸5部、過酸化ベンゾイル0.1部、及び酢酸エチルを加え、モノマー濃度80%のモノマー溶液を調製した。撹拌しながら窒素ガスを1時間導入して窒素置換した後、反応容器内の液温を60℃付近に保って6時間重合反応を行い、アクリル系ポリマー溶液を調製した。アクリル系ポリマーの重量平均分子量は160万であった。
【0139】
(アクリル系粘着剤の調製)
前記アクリル系ポリマー溶液100部(固形分)に対して多官能イソシアネート化合物(日本ポリウレタン、コロネートL)0.8部を加えてアクリル系粘着剤を調製した。
【0140】
(粘着剤層の形成)
前記アクリル系粘着剤を離型フィルム(三菱化学ポリエステル(株)、ダイヤホイル MRF38、PETフィルム)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが21μmになるように塗布し、150℃で3分間乾燥して粘着剤層を形成した。
【0141】
(粘着型偏光板Bの作製)
偏光板上に前記粘着剤層を転写して粘着型偏光板Bを作製した。
【0142】
(接着力の測定)
粘着型偏光板Bの初期接着力、60℃/100時間後の接着力を上記と同様の方法で測定した。その結果、初期接着力は14.8(N/25mm)、60℃/100時間後の接着力は31.0(N/25mm)であった。
【0143】
製造例3
(粘着剤層の形成)
製造例1の水分散型アクリル系粘着剤に、架橋剤であるカルボジイミド化合物(日清紡績(株)、カルボジライトE−04)を加えて粘着剤組成物を得た。なお、架橋剤の添加量は、水分散型アクリル系粘着剤の固形分中に0.4重量%である。そして、離型フィルム(三菱化学ポリエステル(株)、ダイヤホイル MRF38、PETフィルム)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが23μmになるように塗布し、120℃で2分間乾燥して粘着剤層を形成した。
【0144】
(粘着型偏光板Cの作製)
前記粘着剤層を用いた以外は製造例1と同様の方法で粘着型偏光板Cを作製した。
【0145】
(接着力の測定)
粘着型偏光板Cの初期接着力、60℃/100時間後の接着力を上記と同様の方法で測定した。その結果、初期接着力は2.3(N/25mm)、60℃/100時間後の接着力は30(N/25mm)以上であった。
【0146】
製造例4
(粘着剤層の形成)
製造例1の水分散型アクリル系粘着剤に、架橋剤であるカルボジイミド化合物(日清紡績(株)、カルボジライトE−04)を加えて粘着剤組成物を得た。なお、架橋剤の添加量は、水分散型アクリル系粘着剤の固形分中に1.0重量%である。そして、離型フィルム(三菱化学ポリエステル(株)、ダイヤホイル MRF38、PETフィルム)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが23μmになるように塗布し、120℃で2分間乾燥して粘着剤層を形成した。
【0147】
(粘着型偏光板Dの作製)
前記粘着剤層を用いた以外は製造例1と同様の方法で粘着型偏光板Dを作製した。
【0148】
(接着力の測定)
粘着型偏光板Dの初期接着力、60℃/100時間後の接着力を上記と同様の方法で測定した。その結果、初期接着力は2.1(N/25mm)、60℃/100時間後の接着力は30(N/25mm)以上であった。
【0149】
製造例5
(粘着剤層の形成)
製造例1の水分散型アクリル系粘着剤に、架橋剤であるカルボジイミド化合物(日清紡績(株)、カルボジライトE−04)を加えて粘着剤組成物を得た。なお、架橋剤の添加量は、水分散型アクリル系粘着剤の固形分中に1.0重量%である。そして、離型フィルム(三菱化学ポリエステル(株)、ダイヤホイル MRF38、PETフィルム)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが30μmになるように塗布し、120℃で2分間乾燥して粘着剤層を形成した。
【0150】
(粘着型偏光板Eの作製)
前記粘着剤層を用いた以外は製造例1と同様の方法で粘着型偏光板Eを作製した。
【0151】
(接着力の測定)
粘着型偏光板Eの初期接着力、60℃/100時間後の接着力を上記と同様の方法で測定した。その結果、初期接着力は2.6(N/25mm)、60℃/100時間後の接着力は30(N/25mm)以上であった。
【0152】
実施例1〜12、比較例1〜3
粘着型偏光板Aを25mm幅に裁断したサンプルをガラス基板(コーニング(株)、コーニング#1737)に、2kgローラーで1往復圧着して貼り付け、次いで50℃、5気圧のオートクレーブ中に15分間放置し、その後60℃、相対湿度30%の雰囲気下で100時間放置し、その後25℃に冷却した。その後、表1に記載の各条件で曝露処理を行い、25℃に冷却した。そして、引張り試験機を用いて、剥離角度180°、剥離速度300mm/minの条件でガラス基板からサンプルを引き剥がす際の接着力(N/25mm)をそれぞれ測定した。
【0153】
比較例4及び5
粘着型偏光板Bを用いた以外は前記と同様の方法で接着力(N/25mm)をそれぞれ測定した。
【0154】
実施例13、14
粘着型偏光板Cを用いた以外は前記と同様の方法で接着力(N/25mm)をそれぞれ測定した。
【0155】
実施例15、16
粘着型偏光板Dを用いた以外は前記と同様の方法で接着力(N/25mm)をそれぞれ測定した。
【0156】
実施例17、18
粘着型偏光板Eを用いた以外は前記と同様の方法で接着力(N/25mm)をそれぞれ測定した。
【0157】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス基板に粘着型光学フィルムが貼り付けられている光学フィルム付きガラス基板から粘着型光学フィルムを剥離する粘着型光学フィルムの剥離方法において、
粘着型光学フィルムの粘着剤層は、水分散型粘着剤から形成されており、
光学フィルム付きガラス基板を温度40℃以上かつ相対湿度80%以上、又は温度50℃以上かつ相対湿度70%以上の環境下に曝した後に、ガラス基板から粘着型光学フィルムを剥離することを特徴とする粘着型光学フィルムの剥離方法。
【請求項2】
粘着型光学フィルムは、光学フィルムと粘着剤層との間にアンカー層を有する請求項1記載の粘着型光学フィルムの剥離方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の粘着型光学フィルムの剥離方法に用いられ、光学フィルムの少なくとも片面に水分散型粘着剤から形成された粘着剤層を有する粘着型光学フィルムにおいて、ガラス基板に貼り付けて、温度60℃かつ相対湿度30%の環境下に100時間曝した後の接着力が20N/25mm幅以上であり、温度40℃以上かつ相対湿度80%以上、又は温度50℃以上かつ相対湿度70%以上の環境下に曝した後の接着力が10N/25mm幅以下であることを特徴とする粘着型光学フィルム。

【公開番号】特開2009−197222(P2009−197222A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9111(P2009−9111)
【出願日】平成21年1月19日(2009.1.19)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】