説明

粘着材料、その製造方法及び、それを用いた粘着物及び積層体の製造方法

【課題】単軸押出し機で押出せる、再粘着強度の強い粘着材料を提供する。
【解決手段】下記粒子(A),(B)が混合されている粘着材料。
(A)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)からなる粒子
(B)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)からなる粒子

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粘着テープや多層体の粘着層等に用いられる粘着物の製造に用いられる粘着材料、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
粘着材料として従来は有機溶剤に溶かしてコーティングした後、有機溶剤を揮発させて粘着層を設ける方法が行われていたが、近年環境負荷の少ない樹脂系粘着材料を使用する傾向が強くなっている。即ち、粘着材料を加熱して溶融押出しすることにより、基材へコーティングして粘着テープを製造したり(特許文献1)、共押出し法により再封可能な包装材料(特許文献2)にすることが知られている。
【0003】
粘着材料としては、特許文献3に見られるように、エチレン−酢酸ビニル共重合体や塩化ビニル共重合体又はスチレン系ゴム質共重合体等に、テルペン樹脂や石油系樹脂等の粘着付与樹脂、及び流動パラフィン、合成ワックス、プロセスオイル等の可塑剤を配合したものがある。
しかしながら、これらの粘着材料は粘着性があるため二軸押出し機やその他の混練機で混合しないと利用できない。二軸押出し機を備えれば、基材へのコーティングや押出しラミネーション又は他の樹脂との共押出が可能になり、粘着材料の再粘着強度が強いという長所はあるものの、設備費が高価になるという欠点や専用設備となり設備が限定されるという欠点がある。
【0004】
一方、特許文献4や特許文献5には、スチレン系ゴム質共重合体に粘着付与樹脂を配合したものが粘着材料として提示されている。
【0005】
これらの原料は単軸材料で押出すことは可能ではあるが、粘着付与樹脂は脆く、しかも軟化点が150℃以下のものが多いため、押出機ホッパー下部に粘着付与樹脂の破片がスクリュー溝に付着して溝を埋めたり、熱によりそれが融解してオイル状になり樹脂を滑らせたりすることによる押出し変動を起こす。
さらに、流動パラフィン、合成ワックス、プロセスオイル等の可塑剤を配合していないため、再粘着強度が弱い等の問題があった。
【特許文献1】特開昭55−139477号公報
【特許文献2】特開2003−175567号公報
【特許文献3】特開昭55−139477号公報
【特許文献4】特開平07−224255号公報
【特許文献5】特開2003−175567号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述の問題に鑑みなされたものであり、単軸押出し機で押出せる、再粘着強度の強い粘着材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、以下の粘着材料等が提供される。
1.下記粒子(A),(B)が混合されている粘着材料。
(A)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)からなる粒子
(B)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)からなる粒子
2.さらに、下記粒子(C)が混合されている1記載の粘着材料。
(C)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1c)からなる粒子
3.下記成分が下記配合量で含まれている1又は2に記載の粘着材料。
前記ゴム質ブロック共重合体(1a)及び(1b)、又は(1a),(1b)及び(1c)を合わせたゴム質ブロック共重合体(1): 40〜70重量%
前記粘着付与樹脂(2): 20〜50重量%
前記可塑剤(3): 10〜30重量%
4.主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)からなる、1に記載の粘着材料用粒子。
5.前記粘着付与樹脂(2)が40〜90重量%含まれる4に記載の粘着材料用粒子。
6.主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)からなる、1に記載の粘着材料用粒子。
7.主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)を溶融混合して粒子(A)を製造し、主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)を溶融混合して粒子(B)を製造し、前記粒子(A)と前記粒子(B)をドライブレンドする1に記載の粘着材料の製造方法。
8.主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)を溶融混合して粒子(A)を製造し、主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)を溶融混合して粒子(B)を製造し、主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1c)を溶融混合して粒子(C)を製造し、前記粒子(A)、前記粒子(B)及び前記粒子(C)をドライブレンドする2に記載の粘着材料の製造方法。
9.ゴム質ブロック共重合体(1)50〜55重量%と、粘着付与樹脂(2)24〜30重量%と、可塑剤(3)18〜21重量%を含む粘着材料。
10.1〜3のいずれかに記載の粘着材料を単軸押出し機で溶融混練して押出し成形する粘着物の製造方法。
11.1〜3のいずれかに記載の粘着材料を、単軸押出し機で溶融混練して樹脂と共押出しする粘着層と樹脂層からなる積層体の製造方法。
12.10で製造した粘着物又は11で製造した積層体を、基材に溶融接着する多層体の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、単軸押出し機で押出せる、再粘着強度の強い粘着材料を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の粘着材料は、下記粒子(A),(B)を混合して含む。
(A)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)からなる粒子
(B)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)からなる粒子
【0010】
スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a),(1b)は、スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体水素添加物も含む。例えば、ポリスチレンブロックとビニル−ポリイソプレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−ブタジエンブロックが結合したブロック共重合体、ポリスチレンブロックとエチレン−エチレン−プロピレンブロックが結合したブロック共重合体等が挙げられる。好ましくは、臭気がないことからゴム質ブロック共重合体水素添加物である。
また、ゴム質ブロック共重合体(1a)とゴム質ブロック共重合体(1b)は、同じでも異なってもよい。
尚、本発明のゴム質ブロック共重合体(1a),(1b)は、その特性を損なわない範囲において、予め、酸化防止剤及び滑剤等を加えて造粒してもよい。
【0011】
粘着付与樹脂(2)としては、例えば、水添ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、水添テルペン系樹脂、C5・C6系脂肪族石油樹脂、脂環族石油樹脂等が挙げられる。
粒子(A)において、粘着付与樹脂は、通常、40重量%以上90重量%以下で配合することが望ましい。粘着付与樹脂が40重量%未満の場合、造粒品がベタつくことがあり、90重量%を超える場合、造粒品が脆くスクリューに破片が付着することがある。
【0012】
可塑剤(3)としては、例えば、流動パラフィン、プロセスオイル(芳香族系又はナフテン系又はパラフィン系石油系単価水素)、合成ワックス等が挙げられる。
粒子(B)において、可塑剤の配合量は、通常、押出し安定性を確保するために40重量%以上75重量%未満が好ましい。配合量が40重量%未満の場合、得られる粘着材料のカット性、剥離のスリップスティック性等の調節範囲が狭くなり、75重量%以上では混練が不均一になる。
【0013】
本発明の粘着材料は、上記粒子(A),(B)に加え、さらに下記粒子(C)を混合すると、ゴム質ブロック共重合体、粘着付与樹脂及び可塑剤の配合比率を調整することができ、粘着材料の要求に応じた物性変更ができる点で好ましい。
(C)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1c)
【0014】
ゴム質ブロック共重合体(1c)として、上記ゴム質ブロック共重合体(1a),(1b)と同じ共重合体を使用できる。また、ゴム質ブロック共重合体(1c)は、ゴム質ブロック共重合体(1a),(1b)と同じでも異なってもよい。
尚、ゴム質ブロック共重合体(1c)はその特性を損なわない範囲において、予め、酸化防止剤及び滑剤等を加えて造粒してもよい。
【0015】
本発明の粘着材料は、粘着材料に含まれる全てのゴム質ブロック共重合体(1)、即ち、上記ゴム質ブロック重合体(1a)及び(1b)、又は(1a),(1b)及び(1c)を合わせたゴム質ブロック共重合体(1)、粘着付与樹脂(2)及び可塑剤(3)の配合量が、好ましくは40〜70重量%:20〜50重量%:10〜30重量%であり、より好ましくは40〜60重量%:22〜50重量%:10〜28重量%である。
(1)、(2)及び(3)の配合量が上記範囲から外れる場合、再接着強度が弱くなる恐れがある。
特に、ゴム質ブロック共重合体(1)50〜55重量%と、粘着付与樹脂(2)24〜
30重量%と、可塑剤(3)18〜21重量%を含む粘着材料は、新規な粘着材料である。
【0016】
本発明の粘着材料は、例えば、以下の製造方法により作製できる。
主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)を溶融混合して粒子(A)を製造する。一方、主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)を溶融混合して粒子(B)を製造する。その後、粒子(A)と粒子(B)をドライブレンドする。
【0017】
粒子(A)は、ゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)を二軸押出し機又はバンバリーミキサー等で造粒して得られる。
造粒物がベタつく場合には、ブロッキングを防止するためタルク粉等の滑剤を造粒物に適宜ブレンドするとよい。造粒時に充填剤、酸化防止剤、着色剤等を必要に応じて加える。
【0018】
粒子(B)は、ゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)を二軸押出し機又はバンバリーミキサー等で造粒して得られる。
造粒物がベタつく場合には、ブロッキングを防止するためタルク粉等の滑剤を造粒物に適宜ブレンドするとよい。造粒時に充填剤、酸化防止剤、着色剤等を必要に応じて加える。
【0019】
好ましくは、さらに主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1c)を溶融混合して粒子(C)を製造し、粒子(A)、粒子(B)と共に、粒子(C)をドライブレンドする。
ゴム質ブロック共重合体(1c)は予め、剥離強度調整剤、充填剤、酸化防止剤、着色剤等を加えて造粒してもよい。
【0020】
本発明の粘着材料は、上記のような粒子(A),(B)又は(A),(B),(C)を混合しているので、押出し機のホッパー等に付着しにくく、単軸押出し機で溶融混練できる。本発明の粘着材料は、押出し成形して粘着物とすることができる。
尚、押出し機は、単軸押出し機のほか、二軸押出し機、混練機等を用いることもできる。
【0021】
押出し成形としては、例えば、共押出し、押出しコーティング及び押出しラミネーションが挙げられる。
【0022】
共押出しとは、例えば、樹脂層/粘着材料/樹脂層の様な粘着材料を中間層とした3層以上の共押出し、又は樹脂層/粘着材料の様な粘着材料を片面層とした2層以上の共押出しをいう。樹脂層は、ポリオレフィン等からなる。
【0023】
押出しコーティングでは、例えば、紙、合成樹脂フィルム(ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、メタキシレンダイアミン(MXD)ナイロン、ポリプロピレン(PP)、ポリエチンレン(PE)、ナイロン)、不織布を基材として、基材上に粘着材料をコーティングする。
【0024】
押出しラミネーションでは、例えば、紙、合成樹脂フィルム(PET、EVOH、MXDナイロン、PP、PE、ナイロン等)、不織布又はこれらが積層されたフィルムの何れかから選択される2種のフィルムの間に粘着材料を溶融押出しし、2種を圧着し積層する。
【0025】
本発明の粘着材料を押し出し成形して得られる粘着物、又は共押出しにより得られる粘着層と樹脂層からなる積層体を、基材に溶融接着して多層体を得ることができる。基材としては、上述したものが使用できる。
【0026】
本発明の粘着材料からなる粘着層を含む多層体と、この多層体に接着する部材から、包装体又は少なくとも包装体の開閉部を構成することができる。多層体又は接着部材を剥離すると、多層体が破断して、粘着層が露出する。この露出した粘着層に、再度破断部を合わすことによって包装体を再封できる。
【実施例】
【0027】
以下、本発明を実施例によってさらに具体的に説明する。
[評価方法]
得られた試料の評価は下記の方法で行った。
(I)押出し性:サージングやホッパー下のスクリュー汚れを確認し何れの問題無いものを良好、いずれかの不良現象が見られたものを不良と判定した。
(II)再接着強度:製作した3層の多層フィルムの高密度ポリエチレン(HDPE)面に対して、ポリエチレンテレフタレート(PET)(12μm)/直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)(60μm)ラミネートフィルムを、190℃2Mpaの面圧でPET面からヒートシール歯を押し当て面積50mm×50mmのヒートシールを行い接着した。次に15mm幅でスリットしてから一度手ではがし、再度手で押圧した後の再接着強度をプッシュプルスケール((株)イマダ製MX−500N)で測定した。可否判定の目安として1N/15mm〜2N/15mm未満を可、2N/15mm〜3N/15mm未満を良好、3N/15mm以上を最良とした。また、1N/15mm未満を不可とした。
【0028】
実施例1
[粒子状粘着材料の製造]
(1)スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(スチレン系エラストマーと以下略称する)と粘着付与樹脂との混練造粒(粒子(A1))
ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体(日本ゼオン(株)製、クインタック3520)(MFR=7g/10分(200℃、荷重5kg)、比重0.93)50重量%に対し、C5−芳香族系共重合水素添加樹脂粒子(出光興産(株)製、アイマーブP−125)(軟化点125℃、密度1.03g/cm(20℃))50重量%を混合したもの100重量部に、酸化防止剤(チバスペシャリティケミカル(株)製、イルガノックス1010)を1重量部加えて攪拌混合した。この後、二軸押出し機にて180℃の温度で溶融混合して、水冷ストランド押出しし、さらにこれをカッティングし造粒した。
【0029】
(2)スチレン系エラストマーと可塑剤との混練造粒(粒子(B1))
ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体(日本ゼオン(株)製、クインタック3520)(MFR=7g/10分(200℃、荷重5kg)、比重0.93)60重量%に対し、プロセスオイル(出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイルPW−90)(密度0.8722g/cm(15℃))40重量%加えて攪拌混合した後、二軸押出し機にて180℃の温度で溶融混合して、水冷ストランド押出しし、さらにこれをカッティングし造粒した。
造粒品は梱包保管中粒子同士のブロッキングを防ぐため造粒品100重量部に対しタルク粉を0.5重量部外添した。
【0030】
(3)粒子(A1),(B1)の混合
上記粒子(A1)と粒子(B1)を1:1の重量比率で混合して粘着材料を製造した。スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂及び可塑剤の配合比率は55.0重量%:25.0重量%:20.0重量%であった。
【0031】
[粘着材料の共押出し]
HDPE(プライムポリマー(株)製、ハイゼックス110J)(MFR=12g/10分、密度0.962g/cm)、上記で得られた粘着材料及びランダムポリプロピレン(RPP)(プライムポリマー(株)製、プライムポリプロF−744NP)(MFR=6.4g/10分、密度0.9g/cm)を、いずれもL/D=26のフルフライトスクリューが備わった3台の30mmφ単軸押出機と多層フィードブロックとTダイ(幅400mm)からなる多層フィルムキャスト製造装置を用いて、220℃で押出し、3層の多層フィルムを製作した。フィルムの厚みは、HDPE層10μm/粘着物層20μm/RPP層50μmとした。粘着材料は長時間継続してスムーズに押出すことができた。結果を表1に示す。
【0032】
実施例2
[粒子状粘着材料の製造]
(1)スチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(スチレン系エラストマーと以下略称する)と粘着付与樹脂との混練造粒(粒子(A1))
ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体(日本ゼオン(株)製、クインタック3520)(MFR=7g/10分(200℃、荷重5kg)、比重0.93)25重量%に対し、C5−芳香族系共重合水素添加樹脂粒子(出光興産(株)製、アイマーブP−125)(軟化点125℃、密度1.03g/cm(20℃))75重量%を混合したもの100重量部に、酸化防止剤(チバスペシャリティケミカル(株)製、イルガノックス1010)を1重量部加えて攪拌混合した。この後、二軸押出し機にて180℃の温度で溶融混合して、水冷ストランド押出しし、さらにこれをカッティングし造粒した。
【0033】
(2)スチレン系エラストマーと可塑剤との混練造粒(粒子(B1))
ポリスチレン−ポリイソプレンブロック共重合体(日本ゼオン(株)製、クインタック3520)(MFR=7g/10分(200℃、荷重5kg)、比重0.93)40重量%に対し、プロセスオイル(出光興産(株)製、ダイアナプロセスオイルPW−90)(密度0.8722g/cm(15℃))60重量%加えて攪拌混合した後、二軸押出し機にて180℃の温度で溶融混合して、水冷ストランド押出しし、さらにこれをカッティングし造粒した。
造粒品は梱包保管中粒子同士のブロッキングを防ぐため造粒品100重量部に対しタルク粉を0.5重量部外添した。
【0034】
(3)粒子(A1),(B1)の混合
上記粒子(A1)と粒子(B1)に、スチレン系ゴム質ブロック共重合体粒子(日本ゼオン(株)製、クインタックSL−125)(MFR=17g/10分(200℃、荷重5kg)、比重0.93)を加えて混合して粘着材料を製造した。スチレン系エラストマー、粘着付与樹脂及び可塑剤の配合比率は50.8重量%:30.0重量%:19.2重量%であった。
【0035】
[粘着材料の共押出し]
HDPE(プライムポリマー(株)製、ハイゼックス110J)(MFR=12g/10分、密度0.962g/cm)、上記で得られた粘着材料及びランダムポリプロピレン(RPP)(プライムポリマー(株)製、プライムポリプロF−744NP)(MFR=6.4g/10分、密度0.9g/cm)を、いずれもL/D=26のフルフライトスクリューが備わった3台の30mmφ単軸押出機と多層フィードブロックとTダイ(幅400mm)からなる多層フィルムキャスト製造装置を用いて、220℃で押出し、3層の多層フィルムを製作した。フィルムの厚みは、HDPE層10μm/粘着物層20μm/RPP層50μmとした。粘着材料は長時間継続してスムーズに押出すことができた。結果を表1に示す。
【0036】
比較例1
実施例2で用いた粒子(B1)32重量%に、C5−芳香族系共重合水素添加樹脂粒子(出光興産(株)製、アイマーブP−125)(軟化点125℃、密度1.03g/cm(20℃))を30重量%加え、さらにスチレン系エラストマー粒子としてSL−125 38重量%を混合することにより、スチレン系エラストマー:粘着付与樹脂:可塑剤の比率を50.8重量%:30.0重量%:19.2重量%とした。
上記の粘着材料を用いた他は実施例2と同様の方法でフィルムを製造した。押出しを始めてから、しばらくすると粘着物層の押出し量が変動し始めた。
この押出し機を停止し、ホッパー下のスクリュー汚れを確認したところスクリュー溝に石油樹脂が軟化付着しており、押出し不良を生じたことが分かった。結果を表1に示す。
尚、比較例1では、サンプルを採取できなかったので、再接着強度は評価していない。
【0037】
実施例3−15
実施例2で用いた粒子(A1)と粒子(B1)を、スチレン系エラストマー:粘着付与樹脂:可塑剤の比率が表1のようになるように配合して実施例2と同様にフィルムを製造すると共に同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0038】
比較例2−5
実施例2で用いた粒子(A1)に、SL−125粒子を、スチレン系エラストマー:粘着付与樹脂:可塑剤の比率が表1のようになるように配合して、実施例2と同様にフィルムを製造すると共に同様の評価を行った。結果を表1に示す。
【0039】
【表1】

【0040】
実施例16−18
粒子(A1)のスチレン系エラストマーと粘着付与樹脂の配合比率を表2に示すように変更した他は、実施例2と同様に粒子を製造した。粒子を20kgずつ袋に充填包装し2週間保管後のペレット間のブロッキングを評価した。結果を表2に示す。
【0041】
実施例19−21
粒子(A1)のスチレン系エラストマーと粘着付与樹脂の配合比率を表2に示すように変更した他は、実施例2と同様に粒子を製造した。実施例16−18と同様に評価した。結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
実施例22
実施例2で製造した粘着材料を40mmφシングルフライトスクリュー(L/D=28)押出し機に幅500mmのTダイが付き、押出したメルトウェブをゴムロールと冷却金属ロールの2本ロールで圧着する押出しラミネータを用いて、メルトウェブの両側紙及びシリコーンコート工程紙(コート側をメルトウェブ側にする)を通紙した。構成は印刷紙(150g/m)/粘着材層(20μm)/工程紙(100g/m)であった。
【0044】
ラミネートした3層シートを140mm×210mmに切断した後、工程紙を剥がし、粘着面をガラスに貼り付けた後、環境温度23℃に2週間放置した。接着状態は良好で、貼付中の期間は剥がれることなく、2週間後に剥がした時は糊残りなく容易に剥離できた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の粘着材料は、ポスター、粘着テープ、ラベル等の産業資材や、再密封食品・医薬品包装資材、保護フィルム等の包装資材として好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記粒子(A),(B)が混合されている粘着材料。
(A)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)からなる粒子
(B)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)からなる粒子
【請求項2】
さらに、下記粒子(C)が混合されている請求項1記載の粘着材料。
(C)主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1c)からなる粒子
【請求項3】
下記成分が下記配合量で含まれている請求項1又は2に記載の粘着材料。
前記ゴム質ブロック共重合体(1a)及び(1b)、又は(1a),(1b)及び(1c)を合わせたゴム質ブロック共重合体(1): 40〜70重量%
前記粘着付与樹脂(2): 20〜50重量%
前記可塑剤(3): 10〜30重量%
【請求項4】
主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)からなる、請求項1に記載の粘着材料用粒子。
【請求項5】
前記粘着付与樹脂(2)が40〜90重量%含まれる請求項4に記載の粘着材料用粒子。
【請求項6】
主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)からなる、請求項1に記載の粘着材料用粒子。
【請求項7】
主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)を溶融混合して粒子(A)を製造し、
主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)を溶融混合して粒子(B)を製造し、
前記粒子(A)と前記粒子(B)をドライブレンドする請求項1に記載の粘着材料の製造方法。
【請求項8】
主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1a)と、粘着付与樹脂(2)を溶融混合して粒子(A)を製造し、
主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1b)と、可塑剤(3)を溶融混合して粒子(B)を製造し、
主としてスチレンブロックとジエンブロックとを含有するゴム質ブロック共重合体(1c)を溶融混合して粒子(C)を製造し、
前記粒子(A)、前記粒子(B)及び前記粒子(C)をドライブレンドする請求項2に記載の粘着材料の製造方法。
【請求項9】
ゴム質ブロック共重合体(1)50〜55重量%と、粘着付与樹脂(2)24〜30重量%と、可塑剤(3)18〜21重量%を含む粘着材料。
【請求項10】
請求項1〜3のいずれかに記載の粘着材料を単軸押出し機で溶融混練して押出し成形する粘着物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜3のいずれかに記載の粘着材料を、単軸押出し機で溶融混練して樹脂と共押出しする粘着層と樹脂層からなる積層体の製造方法。
【請求項12】
請求項10で製造した粘着物又は請求項11で製造した積層体を、基材に溶融接着する多層体の製造方法。


【公開番号】特開2007−284464(P2007−284464A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−109586(P2006−109586)
【出願日】平成18年4月12日(2006.4.12)
【特許番号】特許第3939738号(P3939738)
【特許公報発行日】平成19年7月4日(2007.7.4)
【出願人】(500163366)出光ユニテック株式会社 (128)
【Fターム(参考)】