説明

精製クロロゲン酸類組成物の製造方法

【課題】クロロゲン酸類含有組成物からクロロゲン酸類を高純度に、かつ効率良く回収でき、カフェインが低減された風味の良いクロロゲン酸類組成物の製造方法を提供する。
【解決手段】クロロゲン酸類含有組成物を陽イオン交換樹脂に接触させる工程A、
工程Aにより得られた液を陰イオン交換樹脂に接触させる工程B、及び
工程B後の陰イオン交換樹脂に脱離液を接触させる工程C
を有する、精製クロロゲン酸類組成物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精製クロロゲン酸類組成物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
クロロゲン酸類は、優れた血圧降下作用を有するという報告がなされており、サプリメントや飲食物への広い応用が期待されている(特許文献1)。
【0003】
クロロゲン酸類を多く含有する素材として生コーヒー豆が挙げられるが、生コーヒー豆中には、過剰摂取による不眠、神経過敏などの有害作用を引き起こすカフェインが含まれている。このため、カフェインを含有するクロロゲン酸類含有組成物から、カフェインを選択的に除去する方法が検討されてきた。
生コーヒー豆からクロロゲン酸類を抽出する方法において、生コーヒー豆の水性溶媒抽出物を強酸性陽イオン交換樹脂と接触処理することでカフェインを除去する方法が知られている(特許文献2)。
また、クロロゲン酸類を高濃度で含有し、カフェインを低減させたクロロゲン酸類組成物を得る方法として、コーヒー豆抽出物をスチレン−ジビニルベンゼン系合成吸着剤等の疎水性吸着剤に接触させ、クロロゲン酸類を吸着脱離する方法が知られている(特許文献3、4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−194515号公報
【特許文献2】特開平4−145048号公報
【特許文献3】特開2008−94758号公報
【特許文献4】特開平4−145049号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、クロロゲン酸類をより広い用途に応用すべく、精製クロロゲン酸類組成物の製造方法について検討を行った。その結果、強酸性陽イオン交換樹脂を用いた場合(特許文献2)には、クロロゲン酸類の純度とカフェインの除去率を高めるために多量の樹脂が必要であり、かつ、陽イオン交換樹脂の使用量を低減した場合には得られるクロロゲン酸類の純度及びカフェインの除去率が低く、クロロゲン酸類の風味が悪いことがわかった。特許文献3の方法では、カフェインは低減されるものの、クロロゲン酸類組成物の収率が低く、更なる改良が必要であった。特許文献4の方法は、多孔性樹脂にクロロゲン酸とカフェインを吸着させ、脱離工程においてクロロゲン酸のみを回収する方法であり、クロロゲン酸類の吸着量が低いことがわかった。
従って本発明の課題は、クロロゲン酸類含有組成物からクロロゲン酸類を高純度に、かつ効率良く回収でき、カフェインが低減された風味の良い精製クロロゲン酸類組成物の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明者らは、カフェインの除去率、クロロゲン酸類組成物の収率及び純度、得られるクロロゲン酸類組成物の風味を指標に精製クロロゲン酸類組成物の製造方法について検討した結果、クロロゲン酸類含有組成物を陽イオン交換樹脂に接触させ、その処理液を陰イオン交換樹脂に接触させ、次いで陰イオン交換樹脂に脱離液を接触させることにより、精製クロロゲン酸類組成物を高収率で製造できること、併せて、得られた精製クロロゲン酸類組成物はカフェインが低減され、高純度かつ風味が良いことを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、クロロゲン酸類含有組成物を陽イオン交換樹脂に接触させる工程A、工程Aにより得られた液を陰イオン交換樹脂に接触させる工程B、及び工程B後の陰イオン交換樹脂に脱離液を接触させる工程Cを有する、精製クロロゲン酸類組成物の製造方法を提供するものである。
また、本発明は、タンパク質/クロロゲン酸類比率(質量比)が0.1以下、クエン酸/クロロゲン酸類比率(質量比)が0.05以上、かつ固形分中にクロロゲン酸類を60質量%以上含有する精製クロロゲン酸類組成物を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、クロロゲン酸類含有組成物からクロロゲン酸類を高純度に、かつ効率良く回収し、カフェインが低減された風味の良いクロロゲン酸類組成物が得られる。得られた精製クロロゲン酸類組成物はクロロゲン酸類を高濃度で含有し、風味も良いので、飲料を含む飲食品として有用である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の精製クロロゲン酸類含有組成物の製造方法は、前記の工程A、工程B、及び工程Cを有する。以下、各工程について詳細に説明する。
【0010】
(工程A)
本発明に係る工程Aは、クロロゲン酸類含有組成物を陽イオン交換樹脂に接触させる工程である。
【0011】
ここで、本明細書における「クロロゲン酸類」とは、3−カフェオイルキナ酸、4−カフェオイルキナ酸及び5−カフェオイルキナ酸のモノカフェオイルキナ酸と、3−フェルラキナ酸、4−フェルラキナ酸及び5−フェルラキナ酸のモノフェルラキナ酸と、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸及び4,5−ジカフェオイルキナ酸のジカフェオイルキナ酸を併せての総称であり、クロロゲン酸類の含有量は上記9種の合計量に基づいて定義される。
【0012】
原料として用いるクロロゲン酸類含有組成物としては、クロロゲン酸類が含まれていれば特に限定されないが、クロロゲン酸類を含む植物の抽出物を用いることができる。このような植物抽出物としては、コーヒー豆、ヒマワリ種子、リンゴ未熟果、シモン葉、マツ科植物の球果、マツ科植物の種子殻などが挙げられる。中でも、クロロゲン酸類含有量が高い点から、コーヒー豆抽出物が好ましい。なお、抽出方法及び抽出条件は特に限定されない。
【0013】
原料として用いるコーヒー豆は生豆、焙煎豆のいずれでもよい。コーヒー豆のL値は、クロロゲン酸類含量の観点から20〜100、好ましくは25〜95、より好ましくは35〜90、さらに好ましくは50〜80である。
【0014】
原料として用いるクロロゲン酸類含有組成物としてコーヒー豆抽出物を用いる場合、抽出溶媒として、水、水混和性有機溶媒、及びそれらの混合物を用いることができる。得られた抽出液を希釈又は濃縮して用いても良い。さらに、原料として用いるクロロゲン酸類含有組成物は、得られた抽出液から溶媒を除去した乾燥物を再び溶媒に溶解した液を用いても良い。より具体的には焙煎コーヒー豆又はコーヒー生豆の水又は水と水混和性有機溶媒との混合物による抽出液、これらの抽出液の混合液又はその希釈液、濃縮液等を用いるのが好ましい。
【0015】
コーヒー豆からの抽出に用いられる水混和性有機溶媒とは、水と任意の割合で相溶する有機溶媒を指し、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトン、アセトニトリル、ならびにこれらの2種以上の混合物等が挙げられる。これらのうち、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類、ならびにこれらの2種以上の混合物が抽出率の点から好ましく、特に食品への使用を考慮するとエタノールが好ましい。
【0016】
また、水混和性有機溶媒と水との混合物を用いる場合には、水混和性有機溶媒/水の質量比が70/30未満であることが好ましい。抽出の際、水又は水と水混和性有機溶媒との混合物等にあらかじめアスコルビン酸ナトリウム等の有機酸又は有機酸塩類を添加しても良い。
【0017】
抽出温度は抽出効率の点から50℃以上が好ましく、さらに80℃以上がより好ましく、また、180℃以下が好ましく、150℃以下がより好ましく、100℃以下がさらに好ましい。
【0018】
抽出方法としては、水又は水と水混和性有機溶媒との混合物等にコーヒー豆を入れ、加熱・撹拌し、抽出液を回収する方法や(バッチ法)、コーヒー豆を充填したカラムに常温もしくは高温、常圧もしくは加圧条件下で水又は水と水混和性有機溶媒との混合物等を通液させて抽出する方法(カラム法)等が挙げられる。また、煮沸脱気や窒素ガス等の不活性ガスを通気して溶存酸素を除去しつつ、いわゆる非酸化的雰囲気下で抽出する方法を併用してもよい。
【0019】
原料として用いるクロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類含有量は特に限定されないが、陽イオン交換樹脂に接触させる際のクロロゲン酸類含有組成物の水溶液中におけるクロロゲン酸類含有量は、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、更に1質量%以上が好ましい。また、当該クロロゲン酸類含有量は、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、更に5質量%以下が好ましい。具体的なクロロゲン酸類含有量としては、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、更に0.5〜10質量%がより好ましく、更に1〜5質量%が好ましい。
【0020】
工程Aに用いる陽イオン交換樹脂としては、強酸性陽イオン交換樹脂及び弱酸性陽イオン交換樹脂のいずれも用いることができる。樹脂母体、構造、官能基は特に限定されないが、樹脂母体としては例えば、スチレン−ジビニルベンゼン等のスチレン系、アクリル系、メタクリル系が挙げられる。樹脂構造としては例えば、ゲル型、ポーラス型が挙げられる。ここでゲル型とは、膨潤によって生じる細孔であるミクロポアのみを有するものをいい、またポーラス型とは、ミクロポアの他に、乾燥状態でも消滅しない物理的細孔であるマクロポアを有するものをいう。強酸性陽イオン交換樹脂の具体例としては、ダイヤイオンSK1B、SK1BH、SK102、SK116、PK208、PK212(三菱化学社製)、アンバーライト200CT、IR118、IR120B、IR124(ダウ・ケミカル社製)などが挙げられる。強酸性陽イオン交換樹脂の官能基としては、スルホン酸基等が挙げられる。弱酸性陽イオン交換樹脂の具体例としては、ダイヤイオンWK10、WK40L(三菱化学社製)、アンバーライトIRC76(ダウ・ケミカル社製)などが挙げられる。弱酸性陽イオン交換樹脂の官能基としては、カルボン酸基等が挙げられる。
本工程で用いる陽イオン交換樹脂としては、不純物の除去性の点から、プロトン形陽イオン交換樹脂を用いるのが好ましい。プロトン形陽イオン交換樹脂としては、Na形の陽イオン交換樹脂をH形に置換した陽イオン交換樹脂が挙げられ、具体的にはSK1BHが挙げられる。
【0021】
また、陽イオン交換樹脂は、予め水による洗浄を行い、陽イオン交換樹脂の原料モノマーや原料モノマー中の不純物を除去しておくのが好ましい。洗浄の条件としては、例えば、空間速度(SV)=1〜20[hr-1]の条件で、陽イオン交換樹脂1質量部に対して1〜100質量部が好ましい。
【0022】
クロロゲン酸類含有組成物を陽イオン交換樹脂に接触させる方式は、バッチ式でもカラム式でもよいが、作業効率の点からカラム式の方が好ましい。カラム式の場合には、陽イオン交換樹脂を充填したカラムに、クロロゲン酸類含有組成物を通液すればよい。
【0023】
陽イオン交換樹脂にクロロゲン酸類含有組成物を接触させる条件として、空間速度(SV)は0.1[hr-1]以上が好ましく、0.2[hr-1]以上がより好ましく、0.5[hr-1]以上がさらに好ましい。また、当該空間速度は、50[hr-1]以下が好ましく、10[hr-1]以下がより好ましく、8[hr-1]以下がさらに好ましく、5[hr-1]以下がさらに好ましい。当該空間速度の具体例としては、0.1〜50[hr-1]が好ましく、0.1〜10[hr-1]がより好ましく、0.2〜8[hr-1]がさらに好ましく、0.5〜5[hr-1]がさらに好ましい。
【0024】
また、陽イオン交換樹脂1質量部に対してクロロゲン酸類含有組成物を溶解させた水溶液を0.5質量部以上、さらに1質量部以上、さらに5質量部以上、さらに10質量部以上接触させることが好ましい。また、接触させる当該水溶液は、陽イオン交換樹脂1質量部に対して240質量部以下、さらに60質量部以下、さらに45質量部以下、さらに40質量部以下が好ましい。当該水溶液は、具体的には、陽イオン交換樹脂1質量部に対し0.5〜240質量部接触させることが好ましく、1〜60質量部接触させることがより好ましく、5〜45質量部接触させることがさらに好ましく、10〜40質量部接触させることがさらに好ましい。
【0025】
また、工程Aと原料として用いるクロロゲン酸類含有組成物の抽出を同時に行ってもよい。すなわち、コーヒー豆と陽イオン交換樹脂を混合した状態で抽出を行ってもよい。
【0026】
工程Aにより得られた液のpHは、カフェインの低減、クロロゲン酸類組成物の収率、純度及び風味の点から4未満が好ましく、3.5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましい。また当該液のpHは0.5以上が好ましく、1以上がより好ましい。当該液のpHは、0.5〜3.5がより好ましく、1〜3がさらに好ましい。ここで、工程Aにより得られた液とは、バッチ式の場合はクロロゲン酸類含有組成物を陽イオン交換樹脂と接触させた後の液であり、カラム式の場合は陽イオン交換樹脂を充填したカラムにクロロゲン酸類含有組成物を通液して得られる液である。
【0027】
(工程B)
本発明に係る工程Bは、工程Aにより得られた液を陰イオン交換樹脂に接触させる工程である。
【0028】
工程Bに用いる陰イオン交換樹脂としては、強塩基性イオン交換樹脂及び弱塩基性イオン交換樹脂のいずれも用いることができる。樹脂母体、構造、官能基は特に限定されないが、樹脂母体としては例えば、スチレン−ジビニルベンゼン等のスチレン系、アクリル系、メタクリル系が挙げられる。樹脂構造としては例えば、ゲル型、ポーラス型が挙げられる。強塩基性陰イオン交換樹脂の具体例としては、ダイヤイオンSA10A、SA20A、PA300、PA400、HPA25(三菱化学社製)、アンバーライトIRA400J、IRA400T、IRA402J、IRA402BL、IRA404J、IRA458RF、IRA410J、IRA411、IRA478RF、IRA900J、IRA904、IRA910CT、IRA958(ダウ・ケミカル社製)などが挙げられる。強塩基性陰イオン交換樹脂の官能基としては、四級アンモニウム基等が挙げられる。弱塩基性陰イオン交換樹脂の具体例としては、ダイヤイオンWA10、WA20、WA21J、WA30(三菱化学社製)、アンバーライトIRA67、IRA743、IRA96SB、XE583、XT6050RF(ダウ・ケミカル社製)などが挙げられる。弱塩基性陰イオン交換樹脂の官能基としては、一級アミノ基、二級アミノ基、三級アミノ基等が挙げられる。
本工程で用いる陰イオン交換樹脂としては、クロロゲン酸類の吸着性、脱離性の点から、弱塩基性陰イオン交換樹脂を用いるのが好ましい。
【0029】
また、陰イオン交換樹脂は、予め水による洗浄を行い、吸着剤の原料モノマーや原料モノマー中の不純物を除去しておくのが好ましい。洗浄の条件としては、例えば、空間速度(SV)=1〜20[hr-1]の条件で、陰イオン交換樹脂1質量部に対して1〜100質量部が好ましい。
【0030】
工程Aにより得られた液を陰イオン交換樹脂に接触させるには、バッチ式でもカラム式でもよいが、作業効率の点からカラム式の方が好ましい。カラム式の場合には、陰イオン交換樹脂を充填したカラムに、工程Aにより得られた液を通液すればよい。
【0031】
また、工程Aと工程Bを同時に行ってもよい。すなわちクロロゲン酸類含有組成物に陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂の混合物を接触させてもよい。
【0032】
また、工程Aと工程Bを連続的に行ってもよい。すなわち工程Aのカラム処理により得られた液を集合液として均一組成にすることなく連続的に工程Bのカラム処理を行ってもよい。
【0033】
また、原料抽出操作、工程A及び工程Bを連続的に行ってもよい。すなわち、コーヒー豆を充填したカラムに溶媒を通液させて抽出して得られた液を集合液として均一組成にすることなくそのまま連続的に陽イオン交換樹脂、及び陰イオン交換樹脂に接触させてもよい。
【0034】
陰イオン交換樹脂に接触させる条件として、空間速度(SV)は0.1[hr-1]以上が好ましく、0.2[hr-1]以上がより好ましく、0.5[hr-1]がさらに好ましい。当該空間速度は、50[hr-1]以下が好ましく、10[hr-1]以下がより好ましく、8[hr-1]以下がさらに好ましく、5[hr-1]以下がさらに好ましい。当該空間速度の具体例としては、0.1〜50[hr-1]が好ましく、0.1〜10[hr-1]がより好ましく、0.2〜8[hr-1]がさらに好ましく、0.5〜5[hr-1]がさらに好ましい。
【0035】
また、クロロゲン酸類がすべて吸着できる量であればよいが、陰イオン交換樹脂に対して前記工程Aにより得られた液を通液倍数1〔mL/mL〕以上、さらに2〔mL/mL〕以上、さらに5〔mL/mL〕以上で通液するのが好ましく、当該通液倍数は240〔mL/mL〕以下、さらに30〔mL/mL〕以下、さらに25〔mL/mL〕以下、さらに20〔mL/mL〕以下が好ましい。具体的な通液倍数としては、1〜240〔mL/mL〕が好ましく、1〜30〔mL/mL〕がより好ましく、2〜25〔mL/mL〕がさらに好ましく、5〜20〔mL/mL〕がさらに好ましい。
【0036】
また、クロロゲン酸類がすべて吸着できる量であればよいが、陰イオン交換樹脂1質量部に対して前記工程Aにより得られたクロロゲン酸類含有組成物を溶解させた水溶液を1質量部以上、さらに2質量部以上、さらに5質量部以上接触させることが好ましい。また、接触させる当該水溶液は、陰イオン交換樹脂1質量部に対して240質量部以下、30質量部以下、さらに25質量部以下、さらに20質量部以下が好ましい。当該水溶液は、具体的には、陰イオン交換樹脂1質量部に対して1〜240質量部接触させることが好ましく、1〜30質量部接触させることがより好ましく、2〜25質量部接触させることがさらに好ましく、5〜20質量部接触させることがさらに好ましい。
【0037】
なお、工程B後の陰イオン交換樹脂を、次に述べる工程Cに供する前に水で洗浄することが、クロロゲン酸類の純度向上及びクロロゲン酸類組成物の異味除去の点から好ましい。
【0038】
水による洗浄条件としては、空間速度(SV)=0.1[hr-1]以上、さらに0.2[hr-1]以上が好ましく、また、10[hr-1]以下、さらに5[hr-1]以下の通液条件で通液するのが好ましい。具体的には0.1〜10[hr-1]、更に0.2〜5[hr-1]の通液条件で、通液するのが好ましい。また、通液する水の量は、陰イオン交換樹脂1質量部に対して1質量部以上が好ましく、30質量部以下、さらに15質量部以下が好ましい。具体的な水の量は、陰イオン交換樹脂1質量部に対して1〜30質量部が好ましく、1〜15質量部通液することがより好ましい。
【0039】
(工程C)
本発明に係る工程Cは、工程B後の陰イオン交換樹脂に脱離液を接触させる工程である。
【0040】
工程Cに用いる脱離液としては、水酸化ナトリウム水溶液及び水酸化カリウム水溶液などの水酸化アルカリ水溶液、並びに炭酸ナトリウム水溶液及び炭酸カリウム水溶液などの炭酸アルカリ水溶液からなる群より選ばれた1種以上を、単独又は混合して用いることができる。
本工程で用いる脱離液としては、クロロゲン酸類の収率の点で、水酸化ナトリウム水溶液を用いるのが好ましい。
アルカリ水溶液の濃度は0.01質量%以上、さらに0.08質量%以上、さらに0.1質量%以上であるのがクロロゲン酸類の収率の点から好ましい。また10質量%以下、さらに1.0質量%以下、さらに0.8質量%以下、さらに0.5質量%以下であることが好ましい。具体的には、0.01〜10質量%であることが好ましく、更に0.01〜1.0質量%であることが好ましく、更に0.08〜0.8質量%、更に0.1〜0.5質量%であることが、クロロゲン酸類の収率と純度の点から好ましい。
【0041】
陰イオン交換樹脂に脱離液を接触させる条件として、空間速度(SV)は1[hr-1]以上が好ましく、2[hr-1]以上がより好ましく、3[hr-1]以上がさらに好ましい。当該空間速度は、50[hr-1]以下が好ましく、20[hr-1]以下がより好ましく、15[hr-1]以下がさらに好ましく、10[hr-1]以下がさらに好ましい。当該空間速度の具体例としては、1〜50[hr-1]が好ましく、1〜20[hr-1]がより好ましく、さらに2〜15[hr-1]、さらに3〜10[hr-1]が好ましい。
【0042】
また、陰イオン交換樹脂1質量部に対して脱離液を1質量部以上、10質量部以上、さらに15質量部以上、さらに20質量部以上接触させることが好ましい。また、接触させる当該脱離液は、陰イオン交換樹脂1質量部に対して100質量部以下、さらに50質量部以下、さらに45質量部以下、さらに40質量部以下が好ましい。当該脱離液は、具体的には、陰イオン交換樹脂1質量部に対し1〜100質量部接触させることが好ましく、10〜50質量部接触させることがより好ましく、15〜45質量部接触させることがさらに好ましく、20〜40質量部接触させることがさらに好ましい。
【0043】
工程Cにより、クロロゲン酸類を含む脱離液として、本発明の精製クロロゲン酸類組成物が得られる。
【0044】
工程Cにより得られた精製クロロゲン酸類組成物は、クロロゲン酸類組成物の安定性の観点から、pHを調整してもよい。pH調整方法としては、酸による調整、電気透析によるアルカリ金属イオンの除去、又はイオン交換樹脂によるアルカリ金属イオンの除去が利用でき、プロセスの簡便性から陽イオン交換樹脂により調整することが好ましい。陽イオン交換樹脂としては、工程Aと同じものを用いることができる。なお、pH調整後のpHは2以上が好ましく、また7以下、さらに5以下、さらに4以下が好ましい。具体的なpHは、2〜7が好ましく、2〜5がより好ましく、2〜4がさらに好ましい。
【0045】
工程Cにより得られた精製クロロゲン酸類組成物は、さらに活性炭処理によりコーヒー豆由来の異味、異臭、不純物の低減を行うことができる。用いる活性炭としては、工業レベルで使用可能であれば特に制限されず、例えば、ZN−50、Y−10S、GS−1、GS−B(味の素ファインテクノ製)、クラレコールGLC、クラレコールPK−D、クラレコールPW−D、クラレコールGW、クラレコールGA、クラレコールGA−D、クラレコールRP−15(クラレケミカル社製)、白鷺AW50、白鷺A、白鷺P、白鷺KL、白鷺M、白鷺C、カルボラフィン、WH2C(日本エンバイロケミカルズ製)、GM130A、CW130A、CW130AR、CW350AR、GL130A、SG、SGA、SGP(フタムラ化学製)、ヤシコール、MAS印、梅蜂印、梅蜂F印(太平化学産業製)、CPG、CAL、S80A(三菱化学カルゴン製)等の市販品を用いることができる。
製品の色調を改善する点、活性炭の使用量を低減する点、回収率を向上する点から、活性炭としては以下のものが好ましい。細孔径は50〜1000nm(ナノメーター)、さらに、100〜900nm(ナノメーター)、さらに200〜800nm(ナノメーター)のものが好ましい。細孔容積は0.01〜2mL/g、さらに0.1〜1.5mL/g、さらに0.5〜1.2mL/gのものが好ましい。また、比表面積は800〜2000m2/g、さらに900〜1600m2/g、さらに1000〜1500m2/gの範囲のものが好ましい。なお、これらの物性値は窒素吸着法に基づく値である。
【0046】
本発明により得られる精製クロロゲン酸類組成物は、クロロゲン酸類に対するタンパク質及びクエン酸含有量が特定の範囲にあるという特性を有する。かかる特性によって本発明の精製クロロゲン酸類組成物は、風味が良好であり、飲料等の飲食品に有用である。
すなわち、本発明により得られる精製クロロゲン酸類組成物は、タンパク質/クロロゲン酸類比率(質量比)が0.1以下、かつクエン酸/クロロゲン酸類比率(質量比)が0.05以上、かつ固形分中にクロロゲン酸類を60質量%以上含有する精製クロロゲン酸類組成物である。
タンパク質/クロロゲン酸類比率の好ましい範囲は0.1以下であり、より好ましい範囲は0.05以下である。タンパク質/クロロゲン酸類比率は、0以上、さらに0.01以上が好ましい。またクエン酸/クロロゲン酸類比率の好ましい範囲は0.05以上であり、より好ましい範囲は0.1以上である。タンパク質/クロロゲン酸類比率及びクエン酸/クロロゲン酸類比率が上記範囲にあることにより、特に風味が良好になっている。クエン酸/クロロゲン酸類比率は、0.5以下、さらに0.3以下、さらに0.2以下が好ましい。
【0047】
また、本発明により得られる精製クロロゲン酸類含有組成物のショ糖/クロロゲン酸類比率は0.4以下であるのが好ましく、さらに0.1以下が好ましく、さらに0.01以下が好ましい。ショ糖/クロロゲン酸類比率の下限値は0が好ましい。
さらに、本発明により得られる精製クロロゲン酸類含有組成物のリンゴ酸/クロロゲン酸類比率(質量比)は0.02以上であるのが好ましく、さらに0.025以上が好ましく、さらに0.03以上が好ましい。リンゴ酸/クロロゲン酸類比率は、0.3以下、さらに0.2以下、さらに0.1以下が好ましい。
【0048】
また、本発明により得られる精製クロロゲン酸類含有組成物の固形分中のクロロゲン酸類含有量は、60質量%以上が好ましく、60〜90質量%がより好ましく、さらに60〜85質量%が好ましく、さらに60〜80質量%が好ましい。
【0049】
また、本発明により得られる精製クロロゲン酸類組成物のカフェイン/クロロゲン酸類比率(質量比)は、0.04以下であり、好ましくは0.035以下である。カフェイン/クロロゲン酸類比率の下限値は、0が好ましい。
【0050】
次に本発明の態様及び好ましい実施態様を示す。
【0051】
<1>クロロゲン酸類含有組成物を陽イオン交換樹脂に接触させる工程A、
工程Aにより得られた液を陰イオン交換樹脂に接触させる工程B、及び
工程B後の陰イオン交換樹脂に脱離液を接触させる工程Cを有する、精製クロロゲン酸類組成物の製造法。
【0052】
<2>原料クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類含有量が、0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上であり、20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下である<1>の製造法。
<3>原料クロロゲン酸類含有組成物が、コーヒー豆抽出物である<1>又は<2>の製造法。
<4>工程Aの陽イオン交換樹脂が、プロトン形陽イオン交換樹脂である<1>〜<3>の製造法。
<5>工程Aで、陽イオン交換樹脂にクロロゲン酸類含有組成物を接触させる条件が、空間速度(SV)は0.1[hr-1]以上、好ましくは0.2[hr-1]以上、より好ましくは0.5[hr-1]以上であり、50[hr-1]以下、好ましくは10[hr-1]以下、好ましくは8[hr-1]以下、さらに好ましくは5[hr-1]以下であり、さらに好ましくは、0.1〜50[hr-1]、さらに好ましくは、0.1〜10[hr-1]、さらに好ましくは0.2〜8[hr-1]、さらに好ましくは0.5〜5[hr-1]である<1>〜<4>の製造法。
<6>工程Aにおいて陽イオン交換樹脂1質量部に対してクロロゲン酸類含有組成物を溶解させた水溶液を0.5質量部以上、好ましくは1質量部以上、より好ましくは5質量部以上、さらに好ましくは10質量部以上であり、240質量部以下、好ましくは60質量部以下、より好ましくは45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下、さらに好ましくは0.5〜240質量部、さらに好ましくは1〜60質量部、さらに好ましくは5〜45質量部、さらに好ましくは10〜40質量部接触させる<1>〜<5>の製造法。
<7>工程Aにより得られた液のpHが、4未満、好ましくは3.5以下、より好ましくは3以下であり、0.5以上、好ましくは1以上であり、さらに好ましくは0.5〜3.5、さらに好ましくは1〜3である<1>〜<6>の製造法。
<8>工程Bで用いる陰イオン交換樹脂が、弱塩基性陰イオン交換樹脂である<1>〜<7>の製造法。
<9>工程Bにおいて陰イオン交換樹脂に接触させる条件が、空間速度(SV)は0.1[hr-1]以上、好ましくは0.2[hr-1]以上、より好ましくは0.5[hr-1]以上であり、50[hr-1]以下、好ましくは10[hr-1]以下、より好ましくは8[hr-1]以下、さらに好ましくは5[hr-1]以下であり、さらに好ましくは0.1〜50[hr-1]、さらに好ましくは0.1〜10[hr-1]、さらに好ましくは0.2〜8[hr-1]、さらに好ましくは0.5〜5[hr-1]である<1>〜<8>の製造法。
<10>陰イオン交換樹脂に対して工程Aにより得られた液を通液倍数1〔mL/mL〕以上、好ましくは2〔mL/mL〕以上、より好ましくは5〔mL/mL〕以上であり、240〔mL/mL〕以下、好ましくは30〔mL/mL〕以下、より好ましくは25〔mL/mL〕以下、さらに好ましくは20〔mL/mL〕以下、さらに好ましくは1〜240〔mL/mL〕、さらに好ましくは1〜30〔mL/mL〕、さらに好ましくは2〜25〔mL/mL〕、さらに好ましくは5〜20〔mL/mL〕で通液する<1>〜<9>の製造法。
<11>工程Bにおいて、陰イオン交換樹脂1質量部に対してクロロゲン酸類含有組成物を溶解させた水溶液を1質量部以上、好ましくは2質量部以上、より好ましくは5質量部以上であり、240質量部以下、好ましくは30質量部以下、より好ましくは25質量部以下、さらに好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは1〜240質量部、さらに好ましくは1〜30質量部、さらに好ましくは2〜25質量部、さらに好ましくは5〜20質量部接触させる<1>〜<10>の製造法。
<12>工程Aにより得られた液を陰イオン交換樹脂に接触させた後(工程Bと工程Cの間)に、陰イオン交換樹脂を水で洗浄する<1>〜<11>の製造法。
<13>水による洗浄条件が、空間速度(SV)=0.1[hr-1]以上、好ましくは0.2[hr-1]以上であり、10[hr-1]以下、好ましくは5[hr-1]、さらに好ましくは0.1〜10[hr-1]、さらに好ましくは0.2〜5[hr-1]の通液条件で、陰イオン交換樹脂量1質量部に対して1質量部以上で、30質量部以下、好ましくは15質量部以下、さらに好ましくは1〜30質量部、さらに好ましくは1〜15質量部の水を通液する<12>の製造法。
<14>工程Cに用いる脱離液が、水酸化アルカリ水溶液及び炭酸アルカリ水溶液から選ばれるアルカリ水溶液、好ましくは水酸化ナトリウム水溶液である<1>〜<13>の製造法。
<15>工程Cに用いるアルカリ水溶液の濃度が、0.01質量%以上、好ましくは0.08質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上であり、10質量%以下、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.8質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下であり、さらに好ましくは0.01〜10質量%、さらに好ましくは0.01〜1.0質量%、さらに好ましくは0.08〜0.8質量%、さらに好ましくは0.1〜0.5質量%である<14>の製造法。
<16>工程Cにおいて、陰イオン交換樹脂に離脱液を接触させる条件が、空間速度(SV)は1[hr-1]以上、好ましくは2[hr-1]以上、より好ましくは3[hr-1]以上であり、50[hr-1]以下、好ましくは20[hr-1]以下、より好ましくは15[hr-1]以下、さらに好ましくは10[hr-1]以下であり、さらに好ましくは、1〜50[hr-1]、さらに好ましくは、1〜20[hr-1]、さらに好ましくは2〜15[hr-1]、さらに好ましくは3〜10[hr-1]である<1>〜<15>の製造法。
<17>工程Cにおいて陰イオン交換樹脂1質量部に対して脱離液を1質量部以上、好ましくは10質量部以上、より好ましくは15質量部以上、さらに好ましくは20質量部以上であり、100質量部以下、好ましくは50質量部以下、より好ましくは45質量部以下、さらに好ましくは40質量部以下であり、さらに好ましくは1〜100質量部、さらに好ましくは10〜50質量部、さらに好ましくは15〜45質量部、さらに好ましくは20〜40質量部接触させる<1>〜<16>の製造法。
<18>工程Cの後に精製クロロゲン酸類組成物のpHを、2以上、7以下、好ましくは5以下、より好ましくは4以下であり、さらに好ましくは2〜7、さらに好ましくは2〜5、さらに好ましくは2〜4に調整する<1>〜<17>の製造法。
<19>工程Cの後記精製クロロゲン酸類組成物を、さらに活性炭処理する<1>〜<18>の製造法。
<20>タンパク質/クロロゲン酸類比率が0.1以下、クエン酸/クロロゲン酸類比率が0.05以上、かつ固形分中にクロロゲン酸類を60質量%以上含有する精製クロロゲン酸類組成物。
<21>タンパク質/クロロゲン酸類比率が、0.1以下であり、好ましくは0.05以下であり、0以上、好ましくは0.01以上である<20>の組成物。
<22>クエン酸/クロロゲン酸類比率が、0.05以上であり、好ましくは0.1以上であり、0.5以下、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.2以下である<20>又は<21>の組成物。
<23>ショ糖/クロロゲン酸類比率が、0.4以下、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.01以下である<21>〜<22>の組成物。
<24>リンゴ酸/クロロゲン酸類比率が0.02以上、好ましくは0.025以上、より好ましくは0.03以上であり、0.3以下、好ましくは0.2以下、より好ましくは0.1以下である<20>〜<23>の組成物。
<25>精製クロロゲン酸類含有組成物の固形分中のクロロゲン酸類含有が、60質量%以上、好ましくは60〜90質量%、より好ましくは60〜85質量%、さらに好ましくは60〜80質量%である<21>〜<24>の組成物。
<26>カフェイン/クロロゲン酸類比率が0.04以下、好ましくは0.03以下である<21>〜<25>の組成物。
【実施例】
【0053】
[評価方法1]
(1)風味(雑味)の評価
各実施例、比較例で得られたクロロゲン酸類組成物を、蒸留水でクロロゲン酸濃度が0.6質量%となるように希釈し、5名の専門パネラーが試飲して下記の基準にて官能評価を行った。なお、表1にはその平均評価結果を示す。ここで、「雑味」とは、苦味、渋味等の雑味をいう。
【0054】
(評価基準)
4:雑味がかなり少ない
3:雑味が少ない
2:雑味がある
1:雑味が多い
【0055】
(2)風味(さわやかな酸味)の評価
各実施例、比較例で得られたクロロゲン酸類組成物を、蒸留水でクロロゲン酸濃度が0.6質量%となるように希釈し、5名の専門パネラーが試飲して下記の基準にて官能評価を行った。なお、表1にはその平均評価結果を示す。ここで、「さわやかな酸味」とは、収斂味や舌のしびれる刺激のない、すっきりとした酸味をいう。
【0056】
(評価基準)
4:さわやかな酸味が多い
3:さわやかな酸味がある
2:さわやかな酸味が少ない
1:さわやかな酸味がかなり少ない
【0057】
(3)クロロゲン酸類、カフェインの測定法
(分析機器)
HPLC(日立製作所(株)製)を使用した。装置の構成ユニットの型番は次の通り。
送液ユニット(デガッサ内蔵):L−2130、
オートサンプラ(クーラー付):L−2200、
カラムオーブン:L−2300、
分離カラム:Cadenza CD−C18、Size:4.6mm i.d.×150mm、3μm(インタクト株式会社)
検出器(紫外可視吸光光度計):L−2420
【0058】
(分析条件)
サンプル注入量:10μL、
流量:1.0mL/min、
紫外線吸光光度計検出波長:325nm(クロロゲン酸類)、270nm(カフェイン)、
溶離液A:0.05mol/L酢酸、0.01mol/L酢酸ナトリウム、及び0.1mmol/L HEDPO(1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸)を含有する5%アセトニトリル、
溶離液B:アセトニトリル
【0059】
【表1】

【0060】
(クロロゲン酸類のリテンションタイム)
3−カフェオイルキナ酸(3−CQA):5.2min、
5−カフェオイルキナ酸(5−CQA):8.7min、
4−カフェオイルキナ酸(4−CQA):11.2min、
3−フェルラキナ酸(3−FQA):12.6min、
5−フェルラキナ酸(5−FQA):19.1min、
4−フェルラキナ酸(4−FQA):20.9min、
3,5−ジカフェオイルキナ酸(3,5−diCQA):37.0min、
3,4−ジカフェオイルキナ酸(3,4−diCQA):37.5min、
4,5−ジカフェオイルキナ酸(4,5−diCQA):44.8min
ここで求めた面積百分率から5−CQAを標準物質とし、クロロゲン酸類を定量した。
【0061】
(カフェインのリテンションタイム)
18.8min
ここで求めた面積百分率から試薬カフェインを標準物質とし、カフェインを定量した。
【0062】
(クロロゲン酸類組成物の収率)
クロロゲン酸類組成物の収率は、各実施例、比較例で得られたクロロゲン酸類組成物に含まれるクロロゲン酸類量を、原料のクロロゲン酸類含有組成物に含まれるクロロゲン酸類量で除することにより求めた。
【0063】
(カフェイン含有率)
カフェイン含有率は、各実施例、比較例で得られたクロロゲン酸類組成物に含まれるカフェイン量を、各実施例、比較例で得られたクロロゲン酸類組成物の全質量で除することにより求めた。
【0064】
(クロロゲン酸類含有率)
クロロゲン酸類含有率は、各実施例、比較例で得られたクロロゲン酸類組成物に含まれるクロロゲン酸類量を、各実施例、比較例で得られたクロロゲン酸類組成物の全質量で除することにより求めた。
【0065】
(カフェイン/クロロゲン酸類比)
カフェイン/クロロゲン酸類比は、各実施例、比較例で得られたクロロゲン酸類組成物に含まれるカフェイン量を、各実施例、比較例で得られたクロロゲン酸類組成物に含まれるクロロゲン酸類量で除することにより求めた。
【0066】
(クロロゲン酸類の純度)
クロロゲン酸類の純度は、クロロゲン酸類組成物の固形分中に含まれるクロロゲン酸類質量を、クロロゲン酸類組成物の固形分質量で除することにより求めた。
ここで、本明細書において「固形分」とは、試料を105℃の電気恒温乾燥機で3時間乾燥して揮発物質を除いた残分をいう。
【0067】
(タンパク質の測定)
タンパク質量は、全窒素量からカフェイン由来の窒素量を差し引いた値に6.25を乗じて算出した。全窒素量分析は、日本食品分析センターに依頼した。
【0068】
(全窒素量分析)
試料を採取し、分解促進剤(硫酸銅:硫酸カリウム=1:9)10g、濃硫酸15mLを添加後、1時間加熱分解した後放冷した。次に、イオン交換水を添加し、水酸化ナトリウム溶液を加え過剰アルカリ下で過熱気蒸留した。その後、ブロムクレゾールグリーン・メチルレッド溶液を指示薬として留液を0.05mol/L硫酸標準溶液VmLで滴定した。
次式により全窒素量を算出した。
全窒素(g/100g)={〔(V−B)×F×0.0014〕/S}×100
V:本試験滴定量(mL)
B:空試験滴定量(mL)
F:0.05mol/L硫酸標準溶液の力価
0.0014:0.05mol/L硫酸標準溶液1mLに対する窒素量(g)
S:試料採取量(g)
【0069】
(有機酸(クエン酸、リンゴ酸、キナ酸))
試料と5%過塩素酸を混合後、イオン交換水にてメスアップした後、希釈、濾過後、高速液体クロマトグラフにて分析した。
(分析機器)
機種:LC−20AD(株式会社島津製作所製)
検出器:紫外可視吸光光度計 SPD−20AV(株式会社島津製作所製)
カラム:Gelpack GL−C610H−S×2 φ7.8mm×300mm(日立化成工業株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:3mmol/L過塩素酸
反応液:0.2mmol/Lブロムチモールブルー含有15mmol/Lりん酸水素二ナトリウム溶液
流量:移動相0.5mL/min、反応液0.6mL/min
測定波長:445nm
【0070】
(ショ糖)
試料を中和した後、30分超音波抽出した。次に、イオン交換水にてメスアップした後、精製処理、濾過後、高速液体クロマトグラフにて分析した。
(分析機器)
機種:LC−10ADvp(株式会社島津製作所製)
検出器:示差屈折計 RID−10A(株式会社島津製作所製)
カラム:Shodex Asahipak NH2P−50 4E φ4.6mm×250mm(昭和電工株式会社製)
カラム温度:室温
移動相:アセトニトリル:水=81:19
流量:1mL/min
注入量:20μL
【0071】
調製例1
ロブスタ種のコーヒー生豆(L値65)を熱水にて抽出し、乾燥して得られた、クロロゲン酸類含量40.8質量%、カフェイン含量9.8質量%、ショ糖含量19.7質量%、タンパク質含量8.7質量%、クエン酸含量3.9質量%、リンゴ酸含量1.1質量%、キナ酸含量1.2質量%、カフェイン含量/クロロゲン酸類含量の比が0.24である、粉末状のクロロゲン酸類含有組成物を原料として用いた。
原料クロロゲン酸類含有組成物をクロロゲン酸類含有量が1.2質量%となるようにイオン交換水に溶解させ、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液A」を調製した。この溶液のpHは5.7であった。
【0072】
調製例2
ロブスタ種のコーヒー生豆(L値65)を熱水にて抽出し、乾燥して得られた、クロロゲン酸類含量40.8質量%、カフェイン含量9.8質量%、ショ糖含量19.7質量%、タンパク質含量8.7質量%、クエン酸含量3.9質量%、リンゴ酸含量1.1質量%、キナ酸含量1.2質量%、カフェイン含量/クロロゲン酸類含量の比が0.24である、粉末状のクロロゲン酸類含有組成物を原料として用いた。
原料クロロゲン酸類含有組成物をクロロゲン酸類含有量が3.6質量%となるようにイオン交換水に溶解させ、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液B」を調製した。この溶液のpHは5.6であった。
【0073】
調製例3
ロブスタ種の焙煎コーヒー豆(L値50)を熱水にて抽出し、乾燥して得られた、クロロゲン含量34.4質量%、カフェイン含量9.8質量%、カフェイン含量/クロロゲン酸類含量の比が0.28である、粉末状のクロロゲン酸類含有組成物を原料として用いた。
原料クロロゲン酸類含有組成物をクロロゲン酸類含有量が1.2質量%となるようにイオン交換水に溶解させ、「クロロゲン酸類含有組成物の溶液C」を調製した。この溶液のpHは5.5であった。
【0074】
調整例4
ロブスタ種のコーヒー生豆(L値65)を熱水にて抽出して得られた、クロロゲン酸類含量0.75質量%、カフェイン含量0.18質量%、カフェイン含量/クロロゲン酸類含量の比が0.24である、溶液状のクロロゲン酸類含有組成物を原料として用いた。本溶液を「クロロゲン酸類含有組成物の溶液D」とした。この溶液のpHは5.6であった。
【0075】
実施例1
調製例1によって得られた溶液Aを、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して20質量部通液させた。通液後の溶液のpHは2.3であった。
その液を弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して15質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.1に調整し、「精製クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「精製クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0076】
実施例2
調製例1によって得られた溶液Aを、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して27質量部通液させた。通液後の溶液のpHは3.0であった。
その液を弱塩基性陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して15質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.2に調整し、「精製クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「精製クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0077】
実施例3
調製例1によって得られた溶液Aを、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。通液後の溶液のpHは2.7であった。
その液を弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して15質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.1に調整し、「精製クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「精製クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0078】
実施例4
調製例1によって得られた溶液Aを、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して30質量部通液させた。通液後の溶液のpHは3.3であった。
その液を弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して15質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.2に調整し、「精製クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「精製クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0079】
実施例5
調製例1によって得られた溶液Aを、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して20質量部通液させた。通液後の溶液のpHは2.3であった。
その液を弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して10質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.1に調整し、「精製クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「精製クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0080】
実施例6
調製例1によって得られた溶液Aを、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して20質量部通液させた。通液後の溶液のpHは2.3であった。
その液を弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して20質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.1に調整し、「精製クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「精製クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0081】
実施例7
調製例1によって得られた溶液Aを、弱酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名WK40L)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して20質量部通液させた。通液後の溶液のpHは3.3であった。
その液を弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して15質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.1に調整し、「精製クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「精製クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0082】
実施例8
調製例2によって得られた溶液Bを、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して6.8質量部通液させた。通液後の溶液のpHは2.0であった。
その液を弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して5質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。
その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.1に調整し、「精製クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「精製クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0083】
実施例9
調製例3によって得られた溶液Cを、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して20質量部通液させた。通液後の溶液のpHは2.0であった。
その液を弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して15質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.0に調整し、「精製クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「精製クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0084】
実施例10
調製例4によって得られた溶液Dを、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムにSV1.6[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して32質量部通液させた。通液後の溶液のpHは2.4であった。
その液を弱塩基性陰イオン交換樹脂(ダウ・ケミカル社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1.6[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して24質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.0に調整し、「精製クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「精製クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0085】
比較例1
調製例1によって得られた溶液を、弱塩基性陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して15質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.1に調整し、「クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0086】
比較例2
調製例1によって得られた溶液に、pHが2.3になるまで塩酸を添加した。
その液を弱塩基性陰イオン交換樹脂(オルガノ株式会社製、商品名IRA67)の充填されたカラムに、SV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して15質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.2に調整し、「クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、弱塩基性陰イオン交換樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0087】
比較例3
調製例1によって得られた溶液を、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して20質量部通液させて、「クロロゲン酸類組成物」を得た(pH=2.3)。得られた「クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
【0088】
比較例4
調製例1によって得られた溶液を、強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて樹脂1質量部に対して20質量部通液させた。通液後の溶液のpHは2.3であった。
その溶液を、多孔性樹脂(三菱化学社製、商品名セパビーズSP207)の充填されたカラムにSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して15質量部通液させた。次いで、水をSV1[hr-1]の流量にて、樹脂1質量部に対して2質量部通液させた。
多孔性樹脂はエタノールで洗浄した後に水系に置換したものを用いた。
その後、アルカリ溶液(NaOH:0.5質量%溶液)をカラムにSV5[hr-1]にて、樹脂1質量部に対して25質量部通液させた。その液を強酸性陽イオン交換樹脂(三菱化学社製、商品名SK1BH)の充填されたカラムに通液させてpHを3.1に調整し、「クロロゲン酸類組成物」を得た。なお、ここで使用した強酸性陽イオン交換樹脂は、多孔性樹脂に対して1.2質量部であった。得られた「クロロゲン酸類組成物」を用いて、[評価方法1]の条件にて評価を行った。
これらの結果を表2に示す。
【0089】
【表2】

【0090】
本発明の精製クロロゲン酸類組成物は、いずれもタンパク質が低減され、クエン酸を一定量有し、クロロゲン酸類組成物の純度が高く、風味が良好であった。一方、陰イオン交換樹脂と接触させる前にpH調整を行わない場合は、クロロゲン酸類組成物の収率、含有率及び純度が低く、風味が悪かった(比較例1)。陰イオン交換樹脂と接触させる前に酸を添加することでpHを調整した場合は、クロロゲン酸類の純度が低く、風味が悪かった(比較例2)。陽イオン交換樹脂処理のみの場合、カフェインの低減ができず、クロロゲン酸類の純度が低く、風味が悪かった(比較例3)。陽イオン交換樹脂処理後に多孔性樹脂処理を行った場合、クロロゲン酸類の収率が低かった(比較例4)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロロゲン酸類含有組成物を陽イオン交換樹脂に接触させる工程A、
工程Aにより得られた液を陰イオン交換樹脂に接触させる工程B、及び
工程B後の陰イオン交換樹脂に脱離液を接触させる工程C
を有する、精製クロロゲン酸類組成物の製造方法。
【請求項2】
前記工程Aにより得られた液のpHが4未満である請求項1記載の製造方法。
【請求項3】
前記工程Cにより得られた液のpHを2〜7に調整する工程Dを有する、請求項1又は2記載の製造方法。
【請求項4】
前記工程BとCの間に陰イオン交換樹脂に水を接触させる工程Eを有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項5】
前記工程Cで用いる脱離液が水酸化ナトリウム水溶液である請求項1〜4のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項6】
クロロゲン酸類含有組成物が、コーヒー豆抽出物である請求項1〜5のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項7】
前記工程Bにおいて、陰イオン交換樹脂に対して前記工程Aにより得られた液を通液倍数=1〜240[mL/mL]で通液する、請求項1〜6のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項8】
前記工程Bにおいて、陰イオン交換樹脂に対して前記工程Aにより得られた液を空間速度=0.1〜50[hr-1]で通液する、請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項9】
クロロゲン酸類含有組成物中のクロロゲン酸類濃度が0.1〜20質量%である、請求項1〜8のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項10】
タンパク質/クロロゲン酸類比率(質量比)が0.1以下、クエン酸/クロロゲン酸類比率(質量比)が0.05以上、かつ固形分中にクロロゲン酸類を60質量%以上含有する精製クロロゲン酸類組成物。
【請求項11】
ショ糖/クロロゲン酸類比率(質量比)が0.4以下である請求項10記載の精製クロロゲン酸類組成物。
【請求項12】
リンゴ酸/クロロゲン酸類比率(質量比)が0.02以上である請求項10又は11記載の精製クロロゲン酸類組成物。