説明

糖尿病およびメタボリックシンドロームの治療

経腸投与された、アミリン以外のカルシトニンファミリーメンバー、特にカルシトニン自体は、1型糖尿病、2型糖尿病またはメタボリックシンドロームを治療するために、インスリン抵抗性を緩和するために、および血清グルコース濃度を低下させるために効果的である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病(1型および2型)およびメタボリックシンドロームの治療のための材料および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
世界的に見て、約2億5千万人の糖尿病患者が存在し、その数は次の20年には2倍になると予想されている。この集団の90%超が2型糖尿病(T2DM)を患っている。T2DMに罹患しているかまたは顕性T2DMの前段階にいる人の50〜60%だけしか現在は診断されていないと推定されている。
【0003】
T2DMは、炭水化物および脂肪の代謝異常を特徴とする異種疾患である。T2DMの原因は多因子性であり、それには筋組織、肝組織、膵組織および脂肪組織などの組織においてβ細胞機能およびインスリン感受性に影響を及ぼす遺伝的要素と環境的要素の両方が含まれる。結果としてインスリン分泌障害が観察され、β細胞機能および慢性インスリン抵抗性の進行性の低下が平行して起こる。膵内分泌部が末梢インスリン抵抗性を代償できないことにより血糖値の上昇および臨床的糖尿病の発症がもたらされる。インスリン媒介性のグルコース取り込みに対する組織抵抗性は、現在、T2DMの主な病態生理学的決定因子と認識されている。
【0004】
T2DMの最適な治療介入のための成功基準は、血糖値を下げることであり、このことは、より低いピークグルコース濃度およびより速いクリアランスで説明される血糖値の慢性的低下と食物摂取後の高グルコース濃度を許容する能力の増大の両方であり得る。これらの状況は両方ともβ細胞のインスリンの産生量および機能に及ぼす負担が少ない。
【0005】
T2DM制御へのアプローチは、食物の経口摂取を受けて腸の内分泌細胞により産生され、インスリン産生を刺激するインクレチンホルモン、グルカゴン様ペプチド1(GLP−1)およびグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)の使用である。GLP−1は、インビボでの半減期が非常に短いために糖尿病の臨床治療としては役に立たない。インクレチンの薬理学的合成例はエクセナチドおよびリラグルチドであり、それらはヒトGLP−1に類似する生物学的特性を示すが、より長い半減期をもたらす。しかしこれらのGLP−1類似体は、いくつかの有害作用、例えば膵炎の稀であるが危険な副作用および心血管系への影響などに関連している。
【0006】
1988年の出願に関連する欧州特許EP0309100号は、アミリンがインスリンとともに分泌され得ることを示し、このことに基づいて、アミリン自体およびインスリンなどのアミリンアゴニストを含む、1型糖尿病を治療するための非経口組成物を示唆している。アミリンに関して示唆された役割は、インスリン治療の効果として生じる低血糖を防ぐことである。アミリンは、グリコーゲン合成の速度を低下させると言われている。
【0007】
Gomez−Foix et al.は、アミリンおよびCGRPが、ラットの単離肝細胞において抗インスリン作用を及ぼすことを報告し、アミリンおよびCGRPがインスリン分泌を阻害するという前の報告を補った。
【0008】
WO89/06135は、アミリンの作用を遮断する化合物(アミリンアンタゴニスト)が2型糖尿病を治療する際に有用であることを示唆している。アミリンアンタゴニストとして使用することのできる化合物は、アミリンアゴニストを架橋したものである。アミリンは、膵臓のβ細胞により少ないインスリンを放出させる作用を有し、骨格筋において筋肉細胞にインスリンシグナルを無視させることによる基礎およびインスリン刺激性の両方のグリコーゲン合成の大幅な低下も引き起こすと言われている。
【0009】
WO93/10146は、1型糖尿病を治療するための非経口剤および低血糖を治療するための非経口剤としての特定のアミリンアゴニストを開示している。1型糖尿病において、アミリン濃度は大幅に低下しているか存在しないと言われている。この場合もやはり、アミリンアゴニストがインスリン治療により誘発される低血糖を防ぐ働きをすることが示唆される。
【0010】
欧州特許EP0717635B1号/WO95/07098は、アミリンが高血糖作用を有することを認めているが、それはまた胃運動を低下させて胃排出を遅らせることもできるので、食後の血漿グルコース濃度を増加させるよりもむしろ低下させることを開示している。従って、この文献は、この目的のためのアミリンアゴニストを教示するが、カルシトニンを明確に除外する。
【0011】
米国特許第7399744号は、体脂肪を調節するためのアミリンまたはアミリンアゴニストの使用を開示している。試験では、浸透圧ポンプによってラットに送達されたアミリンは、高脂肪食を与えられたラットにおいて体重増加の低下を引き起こした。硬骨魚類カルシトニンを含むカルシトニンは、適したアゴニストの一例として示されているが、それらの使用に関するデータは示されていない。
【0012】
従って、注射可能なアミリンは、食後のグルカゴン分泌および胃排出を強力に阻害し、食物摂取を減少させ、それにより炭水化物吸収を生理学的に調節するので、現在、T2DM血糖コントロールの実行可能なアプローチとして見なされている。アミリン類似体の1つであるプラムリンチド(またはシムリン)は、同様にインスリンを使用する1型糖尿病患者および2型糖尿病患者の治療に認可されている。プラムリンチド治療により、糖尿病患者において平均血糖値が低下し、食後の血糖の病理学的上昇が実質的に低減される。プラムリンチド治療はまた、体重減少ももたらし、患者がより少ないインスリンを使用することを可能にする。米国特許出願公開第2009/0018053号は、糖尿病治療のために胃腸管でプラムリンチドを放出するためのプラムリンチドの腸溶コーティング製剤を簡潔に提案している。
【0013】
アミリンは、カルシトニン、α−カルシトニン遺伝子関連ペプチド(aCGRP)、βCGRP、アドレノメデュリン(adrenomodullin)、およびアミリンからなるカルシトニンファミリーの一部である。この独特のペプチドの群は、N末端のジスルフィド架橋環を有する保存された三次構造を共有している[Hay 2003 Br J Pharmacol]。哺乳動物において、これらのペプチドは、2つの密接に関連したII型GPCR(カルシトニン受容体およびカルシトニン受容体様受容体)および3つの特有の受容体活性調節タンパク質(RAMP)を通じて信号を伝達する[Hay Regul Pept 2003]。その結果、受容体の共有および分岐進化に起因して、これらの小型のシグナル伝達分子のいずれかを使用することにより、より多面的な効果を複数の器官に誘発することができる。
【0014】
カルシトニン(CT)は、甲状腺において濾胞傍細胞(C−細胞)により産生され、血清中の過剰なカルシウムに応答して分泌される天然のペプチドホルモンである。CTは、破骨細胞表面でその受容体と直接結合することにより破骨細胞性吸収を低下させる。CTは、骨粗しょう症、悪性腫瘍随伴性高カルシウム血症、パジェット病の治療に認可されており、それらは全て骨代謝回転の加速を伴う。カルシトニンの経口形態は、最近文献に記載されている。
【0015】
動物およびヒト(ただし、おそらく1型糖尿病患者を除く)においてカルシトニンの投与により生じる糖尿病誘発性の作用がこれまでに多数報告されている。
【0016】
まず、動物試験およびインビトロ試験を見ると、1974年にLupulescuは、注射によりウサギに投与し大用量(1ヶ月あたり600MRC Uまたは1用量50MRC U)の合成サケカルシトニンが、その投与が1ヶ月の間1回だけであろうと1日3回であろうと、絶食後に測定したグルコース濃度の著しい低下を生じたと報告した。この機構は理解されておらず、糖負荷試験後または通常の摂食の間/後のグルコース濃度への影響の研究はなされていない。彼らは、Aldred et al.1968による、ブタカルシトニンをラット、ウサギ、またはマウスに投与した場合に同様の結果は見出されなかったと認識している。
【0017】
Greeleyは、1989年にラットにおいてサケカルシトニンを脳室内投与するとグルコース刺激インスリン放出が増加したが、グルコース血漿中濃度は全くインスリンだけに依存するのではなく、その他の研究(下記)から、インスリンを増加させることに加えて、カルシトニンは、グルコース濃度の増加を生じるためにインスリンの増加よりも優勢なグルカゴン濃度も増加させることが示唆されると報告した。
【0018】
Pittnerは、1997年にアミリン、カルシトニン遺伝子関連ペプチドまたはラットもしくはサケカルシトニンをラット肝細胞およびその他の細胞で試験した場合のわずかな効果を報告した。
【0019】
Young et al.は、1995年にラットおよびマウスにおいて、静脈内ボーラス投与としてのサケカルシトニンは空腹時血糖値の上昇を生じ、ラットカルシトニンはそれよりも効果が低いことを報告した。低血糖のラットにおいて、カルシトニンはグルカゴンより大きい血糖の回復をもたらし、組み合わせて相乗的にグルカゴンによりもたらされる血糖の回復を増加させた。
【0020】
Youngは、2005年に動物におけるグルコース濃度および乳酸濃度へのアミリンおよび、それよりも程度は低いが、サケカルシトニンの作用を詳細にまとめた。絶食動物に非経口投与されたアミリンおよびサケカルシトニンは両方ともグルコース濃度の上昇をもたらし、カルシトニンのほうが大きいグルコース上昇作用をもたらしたが、この作用はヒトにおいては軽度または不在であると彼は報告した。また、ラットにおいて経口ブドウ糖負荷試験の直前に非経口投与されたアミリンが、グルコースの上昇を引き下げたと彼は報告した。従って、この点において、非経口カルシトニンが経口糖負荷試験においてグルコース最大値の増加をもたらすことは十分に確立されているので、アミリンおよびサケカルシトニンがラットにおいて異なった挙動をしていることは明らかである。
【0021】
Chelikani et al.は、2007年に食欲抑制物質を動物に注入または反復注射により慢性投与しても食物摂取または体重への永続効果を生じなかったことを報告した。サケカルシトニンの急性非経口投与はラットまたはマウスにおいて短期の食物摂取の減少を強力に誘発したが、その効果は3日間しか続かなかった。
【0022】
しかし、Bello et al.は、2008年に、非経口サケカルシトニンが、5日の投与期間中アカゲザルにおいて食物摂取を低下させたことを報告した。
【0023】
次に、ヒトにおける研究を見ると、Ziegler et al.(1972)は、健常な被験者における合成ヒトカルシトニンの注入により、グルコース同化およびインスリン分泌量の著しい機能障害が生じたことを報告した。
【0024】
Blahos et al.は、1976年に、健常なボランティアにおける筋肉内サケカルシトニンにより、朝絶食の間の血糖の低下が抑制され、糖負荷試験が損なわれたことを報告した。
【0025】
Petralito et al.(1979)は、ヒトでの潜在性糖尿病の場合、サケカルシトニンの注入がインスリンの血清レベルを低下させ、血糖を増加させる能力があることが証明されたことを報告した。
【0026】
Giugliano et al.1980は、急性カルシトニン投与が正常、肥満および糖尿病前症のヒト被験体において耐糖性を損なうことは既に立証されているが、インスリン依存性糖尿病患者に静脈内注入により投与されたサケカルシトニンが、アルギニン耐性試験において通常見られるグルコース上昇を消滅させ、カルシトニンの注入が停止するとグルコース濃度は即時にリバウンドしたことを報告した。
【0027】
Gattereau et al.(1980)は、骨パジェット病患者に投与したサケカルシトニンまたはヒトカルシトニンの注射が、血清グルコースの中程度の即時上昇および血清インスリンのわずかな低下を誘発したことを報告した。
【0028】
Passariello et al.(1981)は、合成サケカルシトニンのヒトへの筋肉内投与により、正常なヒトにおいて糖負荷試験に応答して悪化をもたらし、IGTをもつ被験体において耐糖性の障害をさら引き起こすことを報告した。約2倍の血漿グルコース曲線下積分グルコース面積が観察された。
【0029】
Starke et al.は、1981年に正常ヒトボランティアにおいて、注入されたサケカルシトニンが、循環グルカゴン濃度の低下および血清インスリンの低下を生じさせ、グルカゴンの低下に起因するグルコースの予測された低下の正味の作用が、インスリンの低下の作用により隠されていることを報告した。しかし、インスリン依存性糖尿病患者において、サケカルシトニンは、グルカゴンの低下とともにグルコース濃度の低下を生じた。
【0030】
Giugliano et al.(1982)は、骨パジェット病または著しい骨粗しょう症の患者へのサケカルシトニンの1日あたり100MRC単位の長期(2ヶ月)投与の結果を報告した。耐糖性は、治療により著しく悪化しなかった(しかしピークグルコースの有意でない上昇が見られる)が、基礎血漿グルコースの有意な増加があった。グルコース投与に対するインスリン応答の最初の10分はカルシトニンにより減弱された。
【0031】
Giustina et al.(1985)は、毎日2回、100MRC単位のサケカルシトニンの短期(15日)の筋肉内投与の効果を、骨パジェット病、特発性骨粗しょう症またはズデック骨形成異常症(Sudeck’s osteodystrophy)の患者において調査した。一部の患者は、インスリン非依存性糖尿病患者であり、抗糖尿病治療を受けていた。短期の筋肉内sCT処置が、混合食刺激後に糖質代謝の目に見えるほどの変化を引き起こさないように見えた。含まれる3名の糖尿病患者では、夜間の有意でないグルコース濃度の低下が観察された。
【0032】
Zofkova(1987、Exp.Clin.Endocrinol.)は、OGTTの最中に静脈内注射により投与された100Uのカルシトニンが、最初により緩やかな血糖値の上昇があった後に、血糖値の上昇の持続を引き起こしたことを見出した。このことは、肝臓におけるグルコース吸収および代謝の妨害に起因するとして説明された。インスリン分泌へのカルシトニンの抑制作用も観察された。
【0033】
Zofkova(1987−Horm.Metabol.Res.)は、2種類の用量(50Uおよび100U)のサケカルシトニンの健常なボランティアにおけるグルコース血中濃度に対する影響を考察し、両方の用量レベルでちょうど上記した結果と同様の結果を見出した。
【0034】
Mangiafico(1988)は、100U/日で投与されたニフェジピンとサケカルシトニンとの組合せが、3週間のプログラムで、高血圧症またはインスリン非依存性糖尿病もしくは耐糖能異常の被験体において常に統計学的に有意な血糖の上昇を生じたことを見出した。
【0035】
Jonderko(1989)は、十二指腸潰瘍の患者において、62.26pmol/kgのサケカルシトニンにより食後のインスリン放出がなくなり、カルシトニン注入の間、血清グルコースが平行して上昇したことを見出した。
【0036】
Young(2005)は、食事という状況で、アミリンの投与がラット、イヌおよびヒトにおいて血漿グルコースの上昇を抑止したが、食事の不在下では、アミリンの投与はげっ歯類において血漿グルコースの上昇に関連したが、ヒトにおいては関連しなかったことを報告した。
【発明の概要】
【0037】
要約すると、上記で言及されるインスリン非依存性糖尿病または耐糖能異常に罹患しているヒトへの非経口投与の効果の研究により、そのようなカルシトニン投与は治療効果がないことが結論的に示される。
【0038】
本発明者らは、経腸投与されたCTが高血糖状態を改善し、改良された血糖コントロールをもたらすことができるかどうかを調査した。本発明者らは、T2DMの数種類の特徴を示す食事誘発性肥満ラット(DIO)において、サケCTの経口製剤の推定効果を十分確立されたPPAR−γアゴニストロシグリタゾンの推定効果と比較した。最終的に、本発明者らは、健常成体ラットにおいてグルコース処理に対するカルシトニンの効果を調査した。本発明者らは、予想外にも、カルシトニンの経口投与が、下に記載され説明されるように、注射または注入されたカルシトニンに関して既に開示されている効果と本質的に反対の効果を生じることを見出した。対照的に、例えば同様に経口投与または注射に利用可能であるインスリンは、どの経路が使用されても同じ種類の効果を提供する。
【0039】
従って、本発明は、1型糖尿病、2型糖尿病、もしくはメタボリックシンドロームを治療するための、またはインスリン抵抗性を緩和するための、または望ましくないほど高い空腹時血清グルコース濃度を低下させるための、または望ましくないほど高いピーク血清グルコース濃度を低下させるための、または望ましくないほど高いピーク血清インスリン濃度を低下させるための経腸投与用の医薬製剤を提供し、その製剤は、アミリン以外のカルシトニンファミリーメンバー、修飾アミリン以外の修飾カルシトニンファミリーメンバー、またはカルシトニン受容体アゴニストである活性化合物を含む。この製剤は、前記活性化合物の効果的な経腸投与を可能にするのに役立つ担体も含み得る。
【0040】
好ましくは、前記製剤は、消化管への経口投与のために処方される。
【0041】
好ましくは、活性化合物は、カルシトニン、最も好ましくはサケカルシトニンである。
【0042】
活性化合物は、アミリン以外のカルシトニンメンバーと少なくとも75%のアミノ酸相同性を有し、かつ、アミノ酸の付加、置換または欠失により前記カルシトニンファミリーメンバーに対して修飾され、かつ、カルシトニン受容体に結合しそれを活性化させる能力を保持している修飾カルシトニンファミリーメンバーであってよい。
【0043】
好ましくは、前記担体は、5−CNACを含む。
【0044】
本発明には、1型糖尿病、2型糖尿病、もしくはメタボリックシンドロームの治療方法であって、アミリン以外のカルシトニンファミリーメンバー、修飾アミリン以外の修飾カルシトニンファミリーメンバー、またはカルシトニン受容体アゴニストである活性化合物、および任意選択的に前記活性化合物の効果的な経腸投与を可能にするのに役立つ担体を含む薬剤的有効量の医薬製剤を該状態の治療のために、治療を必要とする患者に経腸投与するステップを含む治療方法が含まれる。前記方法には、患者が前記状態に罹患しているかどうかを決定する予備的ステップ、および/または前記患者において状態を緩和するのに前記治療がどの程度効果的であるかを決定する(例えばいずれの場合にも経口ブドウ糖負荷試験または安静時血糖値を実施する)その後のステップが含まれ得る。
【0045】
体重を減少させ、または体重増加を回避するために、患者の体重の管理を改良するため、活性化合物は、少なくとも1日2回、例えば1日2〜4回投与されることが好ましい。活性化合物の製剤は、投与スケジュールに適切な単位剤形を含んでよい。活性化合物は、糖尿病またはメタボリックシンドロームの治療を受けている患者の体重を管理する目的で投与されてよい。
【0046】
経口経腸製剤は、口内で保持して舌下経路または頬側経路を経て血流に移動させる製剤とは対照的に、後に胃の下の腸で放出され、従って門脈を経て肝臓へ送達されるための嚥下による経口摂取のためのものである。
【0047】
理論に縛られるものではないが、本発明者らが本明細書に報告する、カルシトニンが非経口投与されたかまたは経腸投与されたかによる、カルシトニンの効果の著しい変化は、カルシトニンを胃吸収の後に門脈を経て直ちに肝臓に運ぶ経腸投与に起因しており、カルシトニンが静脈内または筋肉内投与された場合よりもはるかに高い濃度のカルシトニンに曝露されている肝臓における受容体に導き得ると本発明者らは推測する。経腸投与されたカルシトニンが辿る肝臓への直行経路により、カルシトニンの短い半減期(GLP−1の半減期に類似)にも関わらず、抗高血糖作用を得ることができる。カルシトニンの注入投与と経口投与の間の事実上の逆転の根底にある機構は、十分に高濃度では、カルシトニンは通常アミリンが作用する受容体でアゴニストとしての機能を果たす能力があり、従ってアミリンのような作用を生じることができるが、低い濃度では、カルシトニンは高血糖作用を生じるその他の受容体でのみ効果的であるということであり得る。しかしその他の説明も可能である。例えば、その説明は、経口投与されるとこれらの薬剤は、注射されたカルシトニンの作用する受容体とは異なるカルシトニン受容体、例えば腸管自体の受容体で直接作用するということであり得る。
【0048】
カルシトニンは、広範囲の種にわたって高度に保存されている。カルシトニンの配列の例を下に示す。
ヒト CGNLSTCMLGTYTQDFNKFHTFPQTAIGVGAP 配列番号1
サケ CSNLSTCVLGKLSQELHKLQTYPRTNTGSGTP 配列番号2
マウス CGNLSTCMLGTYTQDLNKFHTFPQTSIGVEAP 配列番号3
ニワトリ CASLSTCVLGKLSQELHKLQTYPRTDVGAGTP 配列番号4
ウナギ CSNLSTCVLGKLSQELHKLQTYPRTDVGAGTP 配列番号5
ラット CGNLSTCMLGTYTQDLNKFHTFPQTSIGVGAP 配列番号6
ウマ CSNLSTCVLGTYTQDLNKFHTFPQTAIGVGAP 配列番号7
イヌ−1 CSNLSTCVLGTYSKDLNNFHTFSGIGFGAETP 配列番号8
イヌ−2 CSNLSTCVLGTYTQDLNKFHTFPQTAIGVGAP 配列番号9
ブタ CSNLSTCVLSAYWRNLNNFHRFSGMGFGPETP 配列番号10
【0049】
従って、本発明において使用するために好ましい材料は、一般式:
CXLSTCXLX101112131415161718192021GX222324
配列番号11
(式中、
は、A、G、またはSであり;好ましくはSであり、
は、NまたはSであり;好ましくはNであり、
は、MまたはVであり;好ましくはVであり、
は、GまたはSであり;好ましくはGであり、
は、T、K、またはAであり;好ましくはTまたはKであり、最も好ましくはKであり、
は、LまたはYであり、好ましくはLであり、
は、T、S、またはWであり、好ましくはTまたはSであり、最も好ましくはSであり、
は、Q、K、またはRであり、好ましくはQであり、
は、D、E、またはNであり、好ましくはDまたはEであり、最も好ましくはEであり、
10は、FまたはLであり、好ましくはLであり、
11は、NまたはHであり、好ましくはHであり、
12は、KまたはNであり、好ましくはKであり、
13は、FまたはLであり、好ましくはLであり、
14は、HまたはQであり、好ましくはQであり、
15は、TまたはRであり、好ましくはTであり、
16は、FまたはYであり、好ましくはYであり、
17は、PまたはSであり、好ましくはPであり、
18は、Q、GまたはRであり、好ましくはQまたはRであり;最も好ましくはRであり、
19は、T、IまたはMであり、好ましくはTであり、
20は、A、N、D、S、またはGであり、好ましくはNであり、
21は、I、T、VまたはFであり、好ましくはTであり、
22は、V、S、A、またはPであり、好ましくはV、S、またはAであり、最も好ましくはSであり、
23は、GまたはEであり、好ましくはGであり、
24は、AまたはTであり、好ましくはTである)
を有する。
【0050】
従って、材料は、式:
CSNLSTCVLGXLXQXLHKLQTYPX18TNTGX22GTP
配列番号12
(式中、
は、TまたはKであり、より好ましくはKであり、
は、TまたはSであり、より好ましくはSであり、
は、DまたはEであり、より好ましくはEであり、
18は、QまたはRであり、より好ましくはRであり、
22は、V、S、またはAであり、より好ましくはSである)
のものが好ましい。
【0051】
サケカルシトニンが最も好ましい。
【0052】
さらに、カルシトニンは、アミリン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、アドレノメデュリン、インターメジン、カルシトニン遺伝子関連ペプチドIIおよびカルシトニン受容体刺激ペプチド1、カルシトニン受容体刺激ペプチド2、カルシトニン受容体刺激ペプチド3、カルシトニン受容体刺激ペプチド4およびカルシトニン受容体刺激ペプチド5を含むペプチドホルモンのファミリーメンバーであると認識されている。これらのうちでCRSP−1がその他のカルシトニン受容体刺激ペプチドよりも本発明での使用に好ましい。
【0053】
これらのカルシトニンファミリーメンバーは、かなりの程度のアミノ酸配列相同性ならびに構造的類似性を共有する。これらには、アミノ末端の6アミノ酸または7アミノ酸のジスルフィド架橋ループ、カルボキシ末端に存在するC末端がアミド化された芳香族残基、および残基8〜18または残基8〜22からの予測された両親媒性αヘリックス構造の領域が含まれる。
【0054】
様々な種由来のカルシトニンファミリーのその他のメンバーのアミノ酸配列は次の通りである。
アミリン
ヒト KCNTATCATQRLANFLVHSSNNFGAILSSTNVGSNTY 配列番号13
マウス KCNTATCATQRLANFLVRSSNNLGPVLPPTNVGSNTY 配列番号14
カルシトニン遺伝子関連ペプチド
ヒト ACDTATCVTHRLAGLLSRSGGVVKNNFVPTNVGSKAF 配列番号15
ブタ SCNTATCVTHRLAGLLSRSGGMVKSNFVPTDVGSEAF 配列番号16
アドレノメデュリン
ヒト TQAQLLRVGCVLGTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY 配列番号17
ブタ YRQSMNNFQGLRSFGCRFGTCTVQKLAHQIYQFTDKDKDGVAPRSKISPQGY 配列番号18
インターメジン
ヒト VGCVLGTCQVQNLSHRLWQLMGPAGRQDSAPVDPSSPHSY 配列番号19
カルシトニン遺伝子関連ペプチドII
ウシ ACNTATCVTHRLAGLLSRSGGMVKSNFVPTNVGSKAF 配列番号20
ヒト ACNTATCVTHRLAGLLSRSGGMVKSNFVPTNVGSKAF 配列番号21
カルシトニン受容体刺激ペプチド1
ヒト ACNTATCMTHRLAGWLSRSGSMVRSNLLPTKMGFKIFNGPRRNSWF 配列番号22
ヤギ ACNTATCMTHRLAGWLSRSGSMVRSNLLPTKMGFKIFSGPRKNFWF 配列番号23
イヌ SCNSATCVAHWLGGLLSRAGSVANTNLLPTSMGFKVYN 配列番号24
ヒツジ ACNTATCMTHRLAGWLSRSGSMVRSNLLPTKMGFKIFSGP 配列番号25
ウシ ACNTATCMTHRLAGWLSRSGSMVRSNLLPTKMGFKIFNGP 配列番号26
ブタ SCNTATCMTHRLVGLLSRSGSMVRSNLLPTKMGFKVFG 配列番号27
ウマ SCNTASCLTHRLAGLLSSAGSMANSNLLPTEMGFKVS 配列番号28
カルシトニン受容体刺激ペプチド2
イヌ SSCKDGPCVTNRLEGWLARAERMVKNTFMPTDVDPEAFGHQHKELAA 配列番号29
ヤギ SCNRATCVTHKMAGSLSRSGSEIKRNFMSTNVGSKAFGQ 配列番号30
ブタ SCNTASCVTHKMTGWLSRSGSVAKNNFMPTNVDSKIL 配列番号31
カルシトニン受容体刺激ペプチド3
イヌ SSCKDGPCVTNRLEGWLARAERMVKNTFMPTDVDPEAFGHQHKELAA 配列番号32
ブタ SCNTAICVTHKMAGWLSRSGSVVKNNFMPINMGSKVL 配列番号33
カルシトニン受容体刺激ペプチド4
イヌ SSCKDGPCVTNRLEGWLARAERMVKNTFMPTDVDPEAFGHQHKELAA 配列番号34
カルシトニン受容体刺激ペプチド5
イヌ SSCKDGPCVTNRLEGWLARAERMVKNTFMPTHVDPEDFGHQHKELAA 配列番号35
【0055】
異なる遺伝子により発現され、異なる前駆体ペプチドから誘導されてはいるが、イヌ由来の成熟ペプチドCRSP−2、CRSP−3およびCRSP−4が同じであることは注意したほうがよいかもしれない。
【0056】
カルシトニンファミリーのいくつかのメンバーの配列も図6および図7に示される。図6では、空白は当該アミノがラットアミリンの配列に示されるものと同じであることを示し、印字されたアミノ酸コードは配列が示された位置でそのアミノ酸を有することを示し、灰色で塗りつぶされたボックスは、カルシトニンがアミリン残基23〜27に相当するアミノ酸を有さないことを示す。図7では、太枠内の部分は完全に相同であり(欠失を除く)、灰色の部分は所与の配列のそれらの位置にアミノ酸が存在しないことを示す。
【0057】
異なるファミリーメンバーは、相当な程度まで、カルシトニンにより活性化された同じ受容体に結合し、それを活性化する能力がある、すなわちカルシトニン受容体(CT受容体)のアゴニストの機能を果たす能力がある。大部分のGタンパク質共役受容体とは違って、CT受容体は、3つの1回膜貫通型受容体活性調節タンパク質(RAMP)の1つに結合することにより修飾され得る。
【0058】
本明細書において、用語「CT受容体アゴニスト」とは、下に定義される「試験プロトコール」の少なくとも1つにより実証できる方法でCT受容体に結合し、それを活性化する能力のあるあらゆる化合物、特にペプチドをさす。
【0059】
用語「カルシトニンファミリーメンバー」とは、あらゆる種において天然に存在するカルシトニン、アミリン、カルシトニン遺伝子関連ペプチド、アドレノメデュリン、インターメジン、カルシトニン遺伝子関連ペプチドIIおよびカルシトニン受容体刺激ペプチド1のいずれかをさす。
【0060】
用語「修飾カルシトニンファミリーメンバー」とは、天然配列に対して修飾されたいずれかのカルシトニンファミリーメンバーのアミノ酸配列を有する化合物であって、問題の化合物がCT受容体アゴニストであるように修飾された化合物をさす。修飾は、、CT受容体での化合物のアゴニスト作用を増大させるため、化合物の生物学的半減期を増加させるため、または、その貯蔵安定性を増加させることなどによって製薬用途のための化合物の薬剤処方を支援するためを含む様々な理由で行ってよい。
【0061】
個々のカルシトニンファミリーメンバーの名称、例えば「カルシトニン」とは、特に断りのない限り、任意の種由来の任意の天然に存在するかかるファミリーメンバーをさし、そのカルシトニン配列を上記で示した種の各々を含む。
【0062】
個々のカルシトニンファミリーメンバーの名称に付随する用語「修飾」とは、天然配列に対して修飾された、問題になっているカルシトニンファミリーメンバーのアミノ酸配列を有する化合物であって、問題の化合物がCT受容体アゴニストであるように修飾された化合物をさす。
【0063】
本発明で使用するための修飾カルシトニンファミリーメンバーは、修飾アミリンを除外する、従ってアミリンとの相同性が50%以下、好ましくは30%以下であるべきである。図5から、サケカルシトニンは、その32アミノ酸構成においてカルシトニンの37アミノ酸のうち10アミノ酸しか有さず、そのため10/32*100%、すなわち27%のアミリンとの相同性を有することが観察される。カルシトニンが「あまりにアミリンのよう」になる程度までのカルシトニンの修飾は除外される。
【0064】
修飾カルシトニンファミリーメンバーにおいて上記のアミノ酸配列修飾を受けることは、天然または非天然アミノ酸による付加、欠失、または置換であり得る。好ましくは、修飾配列は、問題になっているカルシトニンファミリーメンバーの天然配列と少なくとも75%相同であり、より好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%相同である。
【0065】
従って、本発明には、活性化合物が、アミリン以外のカルシトニンメンバーと少なくとも75%のアミノ酸相同性を有し、アミノ酸の付加、置換または欠失により前記カルシトニンファミリーメンバーに対して修飾され、カルシトニン受容体に結合しそれを活性化させる能力を保持している修飾カルシトニンメンバーである製剤が含まれる。
【0066】
種の中で、本発明で使用するためのカルシトニンファミリーメンバーに好ましい順序は、硬骨魚類>鳥類>非ヒト哺乳類>ヒトである。
【0067】
カルシトニンファミリーメンバーは、天然に存在するならば天然であってよく、または合成されてもよく(組換え型を含む)、天然に存在しないならば合成されてよい。
【0068】
天然に存在するカルシトニンの中で、サケカルシトニンが特に好ましい。
【0069】
[試験プロトコール]
候補化合物がカルシトニン受容体アゴニストかどうかを決定するため、4つの試験プロトコールを開発した。
【0070】
COS−7細胞を、75cmフラスコ中で80%コンフルエンスまで増殖させる。Invitrogen製pcDNA3.1(+)を、細胞に受容体コード配列をトランスフェクトするために使用する。7.8μLのFuGene6試薬を用いて、細胞を300ngのpcDNA−CTR構築物のみでトランスフェクトし(試験プロトコール1)、または300ngのpcDNA−CTR構築物および1μgのpcDNA−RAMP−1でコトランスフェクトし(試験プロトコール2)、またはpcDNA−RAMP−2(試験プロトコール3)、またはpcDNA−RAMP−3(試験プロトコール4)でトランスフェクトする。
【0071】
pcDNA−CTR構築物に組み込まれるCTR DNAの配列は、遺伝子バンク番号CALCR:NM 001742でヒトカルシトニン受容体cDNAに与えられるものである。pcDNA−RAMP構築物に組み込まれるRAMP 1 DNA、RAMP 2 DNAおよびRAMP 3 DNAの配列は、次の特定の遺伝子バンク番号で与えられるヒトRAMP配列である。
RAMP1:NM 005855
RAMP2:NM 005854
RAMP3:NM 005856
【0072】
48時間後、細胞をトリプシン処理により浮遊させ、500×gで遠心し、シクラーゼ緩衝液(0.1%(重量/体積)BSAおよび1mMのIBMXを含有するDMEM)に再懸濁する。細胞(5×105)を、1.5mlエッペンドルフチューブに分注し、37℃にて20分間プレインキュベートする。その後、アゴニストの不在下(基底)、または漸増濃度のアゴニスト、すなわち100マイクロモラー、1マイクロモラー、0.01マイクロモラーの存在下で、細胞を18分間インキュベートする。陽性対照としてこの系の最大cAMP蓄積を決定するために、フォルスコリン1mMを含める。
【0073】
インキュベーションの後、細胞内セカンドメッセンジャーであるcAMPの反応定量化をcAMP−EIAキットプロトコール(Amersham Biosciences社、US)に従って行う。
【0074】
試験化合物は、4つの試験プロトコールのいずれかにおいて、それが、10マイクロモラーの濃度で、ビヒクル対照(0.1%(重量/体積)BSAおよび1mMイソブチルメチルキサンチン(IBMX)を含有するDMEM)よりも50%を超えて多くのcAMPの産生を誘導するならば、CTRアゴニストと見なされる。sCTは、1マイクロモラーを使用した場合でさえも、(少なくとも試験プロトコール1において)陰性対照と比較して10倍以上の誘導をもたらすことになる。従って、好ましくは、本発明で使用するための化合物は、試験プロトコール少なくとも1つにおいて、少なくとも100%(すなわち、2倍)の誘導、好ましくは少なくとも5倍の誘導を提供する。あるいは、本発明で使用するための化合物は、少なくとも1つの前記プロトコールにおいてsCTにもたらされる少なくとも25%の誘導、好ましくはsCTにより与えられる少なくとも50%の誘導を提供する。
【0075】
好ましいCTRアゴニストは、少なくとも2つの前記アッセイ(好ましくは試験プロトコール1および2または1および4)、好ましくは3つの試験プロトコール(好ましくは1、2および4)および最も好ましくは4つ全ての試験プロトコールで陽性の結果を生じる。あるいは、試験プロトコール1において試験化合物によりもたらされる応答は、試験プロトコール2〜4のいずれかにおいて試験化合物によりもたらされる応答よりも、少なくとも25%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも100%大きいことが好ましい。
【0076】
本発明で使用することのできる修飾カルシトニンの例は、米国特許第5,536,812号に見出される。よって、カルシトニンのC末端プロリン−アミドは、ホモセリンアミド(Hse−NH)で置換され(置き換えられ)てよい。このように修飾されたサケカルシトニンまたはウナギカルシトニンは特に好ましい。
【0077】
カルシトニンまたはその他のカルシトニンファミリーメンバーは、GB1,590,645号に教示されるように、Cys−Cys環要素をより安定した構造に置き換えることにより(例えば、第1および第2のこれらのCys残基(通常、1番目および7番目のアミノ酸)をアミノスベリン酸に置き換えることにより得られるように)修飾されてよく、それによってsCTは、
【化1】

配列番号36
となる。
【0078】
欧州特許EP0464549号に記載されるように、カルシトニン受容体アゴニストとして作用するカルシトニン類似体ペプチドは、一般式:
CXNLSTCXLGXGXLX10TX11PX12TX1314GX15GX16P−X17
配列番号37
(式中、Xは、Ser、GlyまたはAlaであり、Xは、ValまたはMetであり、Xは、ThrまたはLysであり、Xは、TyrまたはLeuであり、Xは、ThrまたはSerであり、Xは、AspまたはGluであり、Xは、PheまたはLeuであり、Xは、AsnまたはHisであり、Xは、Tyr、PheまたはLeuであり、X10は、HisまたはGlnであり、X11は、TyrまたはPheであり、X12は、GlnまたはArgであり、X13は、Ala、Ser、AsnまたはAspであり、X14は、Ile、ThrまたはValであり、X15は、Val、SerまたはAlaであり、X16は、Ala、ThrまたはValであり、かつ、X17は、アミド化ホモセリン、1〜20個の炭素原子または随意のポリペプチド鎖を含有し、アミド化ホモセリンをC末端に含有する第一級アルキルアミンと反応したホモセリン−ラクトンである)
のものであってよい。
【0079】
あるいは、カルシトニン類似体は、ヒトカルシトニンのもののようなN末端とC末端の両方に10のアミノ酸配列、およびサケカルシトニンの12アミノ酸中央領域を有する、配列PO−1(CGNLSTCMLGKLSQELHKLQTYPQTAIGVGAP−NH2 配列番号38)、またはPO−23([シクロ−Asp1、Lys7]−[des−Gly2]−[Leu8]−PO−1)、またはPO−29([Asp15、Asn17、Phe19、His20]−PO−23)を有してよい。PO−23は、物理化学的安定性を高めるために、Asp−Lysペプチド結合からなる環構造と置き換えたPO−1のN末端Cys−Cys S−S結合を有する。PO−23分子の中央領域のPO−29は修飾されてヒトカルシトニンに酷似している。
【0080】
カルシトニン受容体アゴニストの特性を有する多くのその他の修飾カルシトニンが文献において公知である。
【0081】
本発明で用いるために挙げられるカルシトニン受容体アゴニストには、「小分子」(非ペプチド)アゴニストが含まれる。これらは、例えばドラッガビリティ(druggability)についての従来の規則を満たすことが好ましく、そして好ましくは、MW≦500、logP(n−オクタノールと水との間のその分配係数の対数log(Cオクタノール/C))≦5、水素結合ドナーが5以下、水素結合アクセプター(N原子とO原子の合計)が10以下、および、任意選択的に一方または両方の極性表面積≦140 A(または水素結合ドナーとアクセプターの合計が12以下)、および回転可能な結合が10以下の5のうちの少なくとも4を有する。
【0082】
本発明で使用するために適した剤形としては、錠剤、ミニタブレット、カプセル剤、顆粒剤、ペレット、粉末、発泡性固体および噛み砕くことのできる固体製剤が挙げられる。かかる製剤には、好ましくは加水分解されたゼラチンまたは低分子量ゼラチンであるゼラチンが含まれてよい。かかる製剤は、カルシトニンまたはその断片もしくはコンジュゲートおよび加水分解されたゼラチンまたは低分子量ゼラチンを含む均質な水溶液を凍結乾燥し、得られる固体材料を前記経口医薬製剤に入れてさらに処理することにより得ることができ、このとき、該ゼラチンは、1000〜15000ダルトンの平均分子量を有し得る。かかる製剤には、5−CNACまたは本明細書に開示されるその他の化合物などの保護担体化合物が含まれてよい。
【0083】
錠剤およびカプセル剤などの経口製剤が好ましいが、本発明で使用するための組成物は、坐剤または同類のものの形態をとってよい。カルシトニン、例えばサケカルシトニンの経口送達は、一般に、簡便であり、比較的簡単で一般に無痛であり、その他の送達形態と比較してより大きい患者のコンプライアンスが得られるので、最適な送達経路である。しかし、生物学的、化学的および物理的な障壁、例えば胃腸管におけるpHの変動、強力な消化酵素、および活性剤不透過性の胃腸膜などは、カルシトニン、例えばサケカルシトニンの哺乳動物への経口送達を問題のあるものにする、例えば、哺乳動物においては甲状腺の濾胞傍細胞により分泌され、鳥類および魚類においては鰓後腺により分泌される長鎖ポリペプチドホルモンであるカルシトニンの経口送達は、胃腸管におけるカルシトニンの不十分な安定性のほかにカルシトニンが腸壁を通じて血流に容易に輸送されないことにも少なくとも一部起因して、当初は難しいものだと分かった。しかし、適した経口製剤を下に記載する。
【0084】
カルシトニンおよびその他のファミリーメンバーは、適した担体化合物と混合することにより経腸、特に経口投与用に処方することができる。単独でまたは水溶液/懸濁液中で経口投与されると、それは骨を救う作用を生じることには効果がない。適した担体化合物としては、米国特許第5,773,647号および米国特許第5866536号に記載されるものが挙げられ、これらの中でも、5−CNAC(N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸、その二ナトリウム塩が一般的)が特に効果的である。その他の好ましい担体または送達剤は、SNAD(10−(2−ヒドロキシベンズアミド)デカン酸のナトリウム塩)およびSNAC(N−(8−[2−ヒドロキシベンゾイル]アミノ)カプリル酸のナトリウム塩)である。加えて、WO00/059863は、式I
【化2】

(式中、
、R、R、およびRは、独立に、水素、−OH、−NR、ハロゲン、C〜Cアルキル、またはC〜Cアルコキシであり、
は、置換もしくは非置換C〜C16アルキレン、置換もしくは非置換C〜C16アルケニレン、置換もしくは非置換C〜C12アルキル(アリーレン)、または置換もしくは非置換アリール(C〜C12アルキレン)であり、かつ、RおよびRは、独立に、水素、酸素、またはC〜Cアルキルである)
の二ナトリウム塩、ならびにその水和物および溶媒和物を、活性剤、例えばカルシトニン、例えばサケカルシトニンなどの経口送達に特に有効であるとして開示し、これらは本発明において使用され得る。
【0085】
サケカルシトニンの好ましい経腸製剤および任意選択的に微粒子化した5−CNACは、W02005/014031に記載される通りであり得る。
【0086】
カルシトニンおよびその他のファミリーメンバーは、Bone Medical Limited社のCapsitonin製品に用いられる方法を用いて経口投与用に処方することができる。これらには、Axcess製剤(Axcess formulations)に組み込まれる方法を挙げることができる。より詳細には、有効成分は、胃の中を通過することに耐えることができる腸溶カプセルに被包されてよい。これは、活性化合物を、例えばWO02/028436に記載されるような親水性の芳香族アルコール吸収促進剤とともに含んでよい。公知の方法では、腸溶コーティングは、pH感受性の様式で、例えば3〜7のpHで透過性となり得る。WO2004/091584も、芳香族アルコール吸収促進剤を用いる適した製剤方法を記載している。
【0087】
カルシトニンまたはその他のファミリーメンバーは、Unigene Enteripep(登録商標)製品で用いられる方法を用いて処方されてよい。これには、米国特許第5,912,014号、米国特許第6,086,918号または米国特許第6、673,574号に記載される方法を挙げることができる。特に、それには、カルシトニンまたはその他のファミリーメンバーの、HIV TATタンパク質のタンパク質形質導入ドメインなどの膜トランスロケーターとのコンジュゲーション、1以上のプロテアーゼ阻害剤および/またはpH低下剤および/または耐酸性保護ビヒクルおよび/または吸収促進剤(界面活性剤であってよい)との併用製剤(coformulation)の使用が含まれてよい。
【0088】
カルシトニンまたはその他のファミリーメンバーは、Oramed社製品で見られる方法を用いて処方されてよく、それには、WO2007/029238に見られるかまたは米国特許第5,102,666号に記載されるω−3脂肪酸を含む製剤を挙げることができる。
【0089】
一般に、これらの担体または送達剤の製薬学的に許容される塩(特に一ナトリウム塩または二ナトリウム塩)、溶媒和物(例えばアルコール溶媒和物)、および水和物を使用してよい。
【0090】
本発明の医薬組成物は、一般に、送達有効量の5−CNACなどの担体、すなわち、所望の効果のためにカルシトニンを送達するのに十分な量を含む。一般に、5−CNACなどの担体は、全組成の2.5重量%〜99.4重量%、より好ましくは25重量%〜50重量%の量で存在する。本発明に従う医薬組成物の経口投与は、規則的に(例えば毎日もしくは週単位で1回以上)、間欠的に(例えば1日もしくは1週間の間に不規則的に)、または周期的に(例えば規則的に数日もしくは数週の期間の投与の後に投与しない期間が続く)達成することができる。本発明の医薬組成物の剤形は、任意の公知の形態、例えば液体または固体の剤形であってよい。液体剤形には、溶液乳剤、懸濁剤、シロップ剤およびエリキシル剤が含まれる。カルシトニンおよび5−CNACなどの担体に加えて、液体製剤には、当技術分野で慣用される不活性賦形剤、例えばエタノールなどの可溶化剤;綿実油、ヒマシ油およびゴマ油などの油;湿潤剤;乳化剤;沈殿防止剤;甘味料;香味料;および水などの溶媒なども含まれ得る。固体剤形には、カプセル剤、軟ゲルカプセル剤、錠剤、カプレット、粉剤、顆粒剤またはその他の固体経口剤形が含まれ、それらは全て当技術分野で周知の方法により調製することができる。医薬組成物は、習慣的に用いられる量で添加剤をさらに含んでよく、それには、限定されるものではないが、pH調整剤、防腐剤、香味剤、味覚マスキング剤、香料、保湿剤、等張化剤(tonicifier)、着色剤、界面活性剤、可塑剤、ステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤、流動助剤、圧縮助剤、可溶化剤、賦形剤、微晶質セルロースなどの希釈剤、例えばFMCコーポレーションより供給されるAvicel PH 102、またはそれらの任意の組合せが含まれる。その他の添加剤としては、リン酸緩衝塩、クエン酸、グリコール、およびその他の分散剤を挙げることができる。組成物には、1以上の酵素阻害剤、例えばアクチノニンまたはエピアクチノニンおよびその誘導体、アプロチニン、トラジロールおよびボーマン・バークインヒビターも含めてよい。さらに、輸送阻害剤、すなわち、ケトプロフィン(Ketoprofin)などのp糖タンパク質([rho]− glycoprotein)が、本発明の組成物中に存在してよい。本発明の固体医薬組成物は、従来の方法により、例えば、カルシトニン、5−CNACなどの担体、および任意のその他の構成成分の混合物を混ぜ合わせ、混練し、カプセル剤に充填するかまたは、カプセル剤に充填する代わりに、成形した後にさらに錠剤成形または圧縮成形して錠剤を得ることにより、調製することができる。さらに、固体分散体を公知の方法により形成し、その後にさらに加工して錠剤またはカプセル剤を形成してよい。好ましくは、本発明の医薬組成物中の構成成分は、固体剤形の全体にわたって均質的にまたは均一に混合される。
【0091】
あるいは、活性化合物は、前記担体とのコンジュゲートとして処方されてよく、米国特許出願公開第2003/0069170号に記載されるオリゴマー、例えばサケカルシトニンとともに形成される場合にはCT−025として公知の
【化3】

であってよい。かかるコンジュゲートは、それに記載されるように脂肪酸および胆汁酸塩と組み合わせて投与され得る。
【0092】
例としてMansoor et al.に記載されるように、ポリエチレングリコール(PEG)とのコンジュゲートを用いてよい。
【0093】
あるいは、活性化合物をニトロソ−N−アセチル−D,L−ペニシラミン(SNAP)およびCarbopol溶液と、またはタウロコール酸およびCarbapol溶液と混合して粘膜付着性乳剤を形成することができる。
【0094】
活性化合物は、Prego et al.に開示されるようなキトサンナノカプセル(任意選択的にPrego Prego C、Torres D、Fernandez−Megia E、Novoa−Carballal R、Quineoae E、Alonso MJ.のようにPEG修飾されてよい)またはキトサンまたはGarcia−Fuentes et al.に開示されるようなPEG被覆脂質ナノ粒子に添加することにより処方されてよい。この目的のためのキトサンナノ粒子は、Guggi et al.に記載されるようにイミノチオラン修飾されていてよい。それらはDogru et al.に記載されるように水/油/水乳濁液中に処方することができる。活性化合物の生物学的利用能は、Sinko et al.またはSong et al.に記載されるように、タウロデオキシコール酸またはラウロイルカルニチンを使用することにより増大させることができる。一般に、担体として適したナノ粒子は、de la Fuente et al.において考察され、本発明で使用され得る。
【0095】
経口製剤に適したその他の戦略としては、Chiasma Ltd社のWO2005/094785に記載される一過性透過性エンハンサー(transient permeability enhancer)(TPE)系の使用が挙げられる。TPEは、疎水性媒体中の固体親水性粒子の油性懸濁液を利用して、薬剤分子を不適な胃腸(GI)環境による不活性化から保護し、同時に胃腸(GI)壁に作用してそのカーゴ薬剤分子の浸透を誘導する。
【0096】
さらに、米国特許出願公開第2008/0200563号に記載されるように、グルタチオンまたは多数のチオール基を含有する化合物を使用して粘膜での排出ポンプの作用を阻害することが挙げられる。かかる技法の実際的な例は、Caliceti,P.Salmaso,S.,Walker,G.and Bernkop−Schnurch,A.(2004)’Development and in vivo evaluation of an oral insulin−PEG delivery system.’ Eur.J.Pharm.Sci.,22,315−323に、Guggi,D.,Krauland,A.H.,and Bernkop−Schnuerch,A.(2003)’Systemic peptide delivery via the stomach:in vivo evaluation of an oral dosage form for salmon calcitonin’.J.Control.Rel.92,125−135に、およびBernkop−Schnuerch,A.,Pinter,Y.,Guggi,D.,Kahlbacher,H.,Schoeffmann,G.,Schuh,M.,Schmerold,I.,Del Curto,M.D.,D’Antonio,M.,Esposito,P.and Huck,Ch.(2005)’The use of thiolated polymers as carrier matrix in oral peptide delivery’−Proof of concept.J.Control.Release,106,26−33にも記載されている。
【0097】
活性化合物は、WO2004/084870に記載されるシームレスのミクロスフェアに処方されてよく、ここでは活性薬剤成分が乳濁液、マイクロエマルジョンまたは懸濁液として可溶化されていて、ミニスフィアに処方され、従来のまたは新規のコーティング技術により可変的に被覆されている。そのため、経口投与されると胃腸管に沿って特定の位置へ特定の速度で活性薬剤の所定の即時または持続放出をもたらす、「事前に可溶化された」形態の被包薬剤である。基本的に、薬剤の事前可溶化は、その動的特性の予測可能性を高め、同時に透過性および薬剤安定性を強化する。
【0098】
米国特許出願公開第2009/0074824号に記載されるキトサン被覆ナノカプセルを用いてよい。このナノカプセルは胃液の作用に対して安定であるため、この技術によって投与される活性分子はナノカプセルの内側で保護される。さらに、この系の粘膜付着性は、腸壁への付着時間を向上させ(これらの系の胃腸管通過の遅延が立証されている)、活性分子のより効果的な吸収を促進する。
【0099】
TSRl社により開発された方法を使用してよい。これらには、正電荷と負電荷の両方を有する天然由来のコラーゲン抽出物であるゼラチンが、レシチンミセル中に含まれる有効成分の粒子を被覆し、それらの集合または凝集を防止する、親水性可溶化技術(HST)が含まれる。この結果、極性相互作用を通じて疎水性薬剤粒子の改良された水和性がもたらされる。加えて、両親媒性のレシチンは、溶解流体と粒子表面との間の表面張力を低下させる。
【0100】
有効成分は、賦形剤としてのククルビツリル(cucurbiturils)とともに処方されてよい。
【0101】
あるいは、Merrion Pharmaceuticals社のGIPET技術を用いて、米国特許出願公開第2007/0238707号に記載される中鎖脂肪酸もしくは中鎖脂肪酸誘導体または米国特許第7268214号に記載される膜移行ペプチドであってよい吸収促進剤とともに有効成分を含有する腸溶コーティング錠を製造してもよい。
【0102】
経口投与用薬剤カプセル内に収容された、膨張性パウチの内部の制御放出剤形からなるGIRES(商標)技術を用いることもできる。カプセル剤の溶解時に、ガス発生システムが胃でパウチを膨らませる。臨床試験では、パウチは16〜24時間胃に保持されることが示された。
【0103】
あるいは、活性剤を胃での酵素分解に耐えさせ、その吸収を促進させる保護修飾因子に活性剤をコンジュゲートすることができる。活性剤は、精製後に結晶化し凍結乾燥させて乾燥活性薬剤成分となる単分散の短鎖メトキシポリエチレングリコール糖脂質誘導体と共有結合的にコンジュゲートさせてよい。かかる方法は、米国特許第5438040号およびwww.biocon.comに記載されている。
【0104】
また、活発な送達のために肝臓指向性ベシクル(HDV)を用いてもよい。HDVは、活性剤を封入するリポソーム(直径150nm以下)からなってよく、該リポソームは肝細胞ターゲティング分子をそれらの脂質二重層に含有する。ターゲティング分子は、封入された活性剤の肝細胞への送達を指示し、従って比較的微量の活性剤が効果をもたらすために必要である。かかる技術は、米国特許出願公開第2009/0087479号およびさらにwww.diasome.comに記載されている。
【0105】
インスリンに関して米国特許出願公開第2002/0115592号に記載されるように、任意選択的に長鎖PEG種と混合されている中鎖部分グリセリドに関連して、アルコールおよび補助溶媒を含む実質的に非水性の親水性媒体をさらに含有する組成物に活性剤を組み込むことができる。
【0106】
あるいは、Shen Z,Mitragotri S,Pharm Res.2002 Apr;19(4):391−5’Intestinal patches for oral drug delivery’に記載されるような腸管パッチを使用してもよい。
【0107】
米国特許第7189414号に記載される疎水性ポリマーと混合したヒドロゲルから形成される被浸食性マトリックスに活性剤を組み込んでよい。
【0108】
処置されるヒト成人に適したカルシトニンの経口投与量レベルは、0.05〜5mg、好ましくは約0.1〜2.5mgの範囲であり得る。
【0109】
カルシトニン受容体アゴニストの投与量は、カルシトニンについて上記されたのと同じであってよく、任意選択的に、上記の試験プロトコールにおいてカルシトニン自体と比較した、アゴニストの相対アゴニスト効力に従って調整されてよい。
【0110】
患者の投薬処置の頻度は、毎日1〜6回、例として毎日2〜4回であってよい。処置は、望ましくは、長期間の少なくとも6週、好ましくは少なくとも6ヶ月、好ましくは少なくとも1年、および任意選択的に生涯にわたって継続される。
【0111】
当該状態のための併用療法は、本発明に従う組成物および1以上のその他の薬物療法の別個の投与を用いて実施してよい。あるいは、本発明に従う組成物は、1以上のその他の薬物療法を併用投与のために取り込んでよい。
【0112】
本発明に従う併用療法には、インスリン、GLP−2、GLP−1、GIP、もしくはアミリン、または一般にその他の抗糖尿病薬とともに説明されるような活性化合物の組合せが含まれる。よって、併用製剤を含む併用療法は、インスリン感受性改善薬を用いてよく、インスリン感受性改善薬には、ビグアナイド類、例えばメトホルミン、ブホルミンおよびフェンホルミンなど、TZD類(PPAR)、例えばピオグリタゾン、リボグリタゾン、ロシグリタゾンおよびトログリタゾンなど、二重PPARアゴニスト類、例えばアレグリタザル(Aleglitazar)、ムラグリタザル(Muraglitazar)およびテサグリタザルなど、または、スルホニル尿素類、例えばカルブタミド、クロルプロパミド、グリクラジド、トルブタミド、トラザミド、グリピジド、グリベンクラミド、グリブリド、グリキドン、グリクロピラミドおよびグリメピリドなど、メグリチニド類/グリニド類(K+)、例えばナテグリニド、レパグリニドおよびミチグリニドなど、GLP−1類似体、例えばエクセナチド、リラグルチドおよびアルビグルチドなど、DPP−4阻害剤、例えばアログリプチン、リナグリプチン、サクサグリプチン、シタグリプチンおよびビルダグリプチンなど、インスリン類似体もしくは特殊な製剤、例えば(即効型)インスリンリスプロ、インスリンアスパルト、インスリングルリジン、(長時間作用型)インスリングラルギン、インスリンデテミル)、吸入可能なインスリンエクスベラおよびNPHインスリンなどを含む分泌促進薬、ならびに、α−グルコシダーゼ阻害剤類、例えばアカルボース、ミグリトールおよびボグリボースなど、アミリン類似体、例えばプラムリンチドなど、SGLT2阻害剤、例えばダパグリフロジン、レモグリフロジンおよびセルグリフロジンなどを含むその他の薬剤、ならびにベンフルオレックスおよびトルレスタットを含む種々の薬剤が含まれる。
【0113】
本発明者らは、経腸投与されたカルシトニンファミリーメンバー、特にカルシトニン自体の、インスリン抵抗性に罹患している患者においてグルコース濃度を改善する効果が、カルシトニンが、骨格筋および肝臓で、それぞれ血清グルコースを上昇させるかまたは低下させるという点で反対の効果を与えること、および、経腸投与がカルシトニンを肝臓に選択的に送達するのに対して非経口投与は骨格筋で作用することを好むことに基づいて説明可能であり得ると仮定する。骨格筋で作用する際、カルシトニンはグルコースの消費を促進し、そのため乳酸塩を産生し、乳酸塩は肝臓に移動して、肝臓によるグルコースの産生をシグナル伝達することを本発明者らは示唆する。一方、カルシトニンは肝臓で作用してグルコースを貯蔵するためにグリコーゲンの産生を引き起こす。
【0114】
この理論は、その他の全ての報告される動物実験で得られる結果とは対照的に、非常に高用量の注入カルシトニンが血漿グルコースの低下をもたらした、Lupulescuにおいて報告される異常な結果を説明することができる。使用される非常に高い用量が、肝臓においてカルシトニンの受容体を活性化させるために十分であったため、その他の実験で見られる骨格筋の応答を圧倒するものと本発明者らは示唆する。
【0115】
活性化合物は、カルシトニン受容体アゴニストであってよい。これらの多くは当技術分野で公知であり、それらは本来ペプチドではなくむしろ合成小分子である。その他の公知のカルシトニン受容体アゴニストは、カルシトニン模倣ペプチドである。両方の種類の例は以下に開示されている。
【0116】
本発明に従う使用のためのカルシトニン受容体アゴニストとしては、一般式
【化4】

(式中、R1はH、ヒドロキシル基、1〜4Cアルキルオキシ基または7〜10Cアラルキルオキシ基であり、R2およびR3は、各々、1〜4Cアルキル基であり、R4およびR5は、各々、H、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、1〜4Cアルキル基、7〜10Cアラルキル基、1〜4Cアルキルオキシ基、7〜10Cアラルキルオキシ基、1〜7Cアシルオキシ基、アミノ基、1〜4Cアルキルアミノ基、17〜10Cアラルキルアミノ基、1〜7Cアシルアミノ基、カルボキシル基、1〜4Cアルキルオキシカルボニル基、7〜10Cアラルキルオキシカルボニル基、少なくとも1つの置換基を有することのできるカルバモイル基、アシル基またはスルファモイル基である)
および薬理学的に許容されるそれらの塩を含む特開2001−294574号のものが挙げられる。
【0117】
好ましい化合物(SUN B8155)は、式
【化5】

の1つである。
【0118】
本発明に従う使用のためのカルシトニンミメティクスとしては、WO99/37604に記載されるものが挙げられる。そこには、式
【化6】

(式中、R1およびR2は、各々、独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルケニル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、置換アルキルアリール、炭素環、置換炭素環、複素環、置換複素環、およびそれらの組合せからなる群から選択されるメンバーであり、その組合せは、融合または共有結合され、置換基は、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アリールオキシ、ベンジルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルオキシ、アシル、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、
R3は、2,5二置換アリールであり、
R4およびR5は、各々独立に、水素および1〜6個の炭素原子を有するアルキルからなる群から選択されるか、または一緒になって、飽和もしくは不飽和5員環、飽和もしくは不飽和6員環および飽和もしくは不飽和7員環からなる群から選択される環を形成し;
ZおよびXは、各々独立に、基NH、O、S、またはNRから選択され、この際、Rは、1〜6個の炭素原子の低級アルキル基であり、
nおよびmは、各々独立に、0から6の整数である)
の化合物が記載されている。
【0119】
これらには、式
【化7】

(式中、R1およびR2は、各々独立に、水素、1〜6個の炭素原子を有するアルキル、1〜6個の炭素原子を有するアルケニル、アリール、置換アリール、アルキルアリール、置換アルキルアリール、炭素環、置換炭素環、複素環、置換複素環、およびそれらの組合せからなる群から選択され、その組合せは、融合または共有結合され、置換基は、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アリールオキシ、ベンジルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルオキシ、アシル、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、
S1、S3およびS4は、各々独立に、水素、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アリールオキシ、ベンジルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルオキシ、アシル、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、
S2およびS5は、各々独立に、アルキルまたはアリールである)
の化合物が含まれる。
【0120】
特に、好適には、R1は、4−エトキシベンジル、1−エチル−インドリルメチル、ベンジル、4−アロキシベンジル(alloxybenzyl)、1−アリル−インドリルメチル、4−クロロベンジル、4−フルオロベンジル、4−ヨードベンジル、2−ナフチルメチルまたはフェニルであり、
R2は、エチル、アリル、ベンジルまたは2−ナフチルメチルであり、
S2およびS5は、t−ブチルである。
【0121】
使用することのできる化合物のさらなる例は、米国特許第7,396,936号に見出される。これらには、式:
【化8】


(式中、
Xは、NまたはNOであり、
Yは、二価の置換もしくは非置換アリール、ヘテロシクリル、またはシクロアルキル基であり、
Zは、−C(O)OR、−C(O)NR、−NRC(O)R、−NRC(O)NR、−C(O)R、−NR、−〇R、−SONR、−NRSO、または−S(O)であり、
は、−H、−C(O)OR、−C(O)NR1011、−CN、−C(O)R、または−NR10C(O)Rであり、
は、−(C1〜2アルキル)−R12であり、この際、C1〜2アルキルは置換されているか非置換であり、
は、C2〜6分枝もしくは非分枝アルキル基であり、任意選択的に1以上のFで置換され、
4aおよびR4bは、各々独立に、−Hまたは置換もしくは非置換C1〜4アルキル基であり、
は、置換もしくは非置換アラルキル、へテロアラルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはシクロアルキルアルキル基であり、
およびRは、各々独立に、−Hまたは置換もしくは非置換アラルキル、へテロアラルキル、ヘテロシクリルアルキル、またはシクロアルキルアルキル基であり、あるいは、RおよびRは、同じ原子に結合した場合、一緒に置換もしくは非置換ヘテロシクリル基を形成し、
は、置換もしくは非置換、分枝もしくは非分枝のC2〜6アルキル、C2〜6アルケニル、C2〜6アルキニル、またはC7〜10アラルキル基であり、
は、−Hまたは置換もしくは非置換アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、
10およびR11は、各々独立に、−Hまたは置換もしくは非置換アルキル、ヘテロアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アラルキル、ヘテロシクリル、またはヘテロシクリルアルキル基であり、あるいはR10およびR11は、同じ原子に結合した場合、一緒に置換もしくは非置換ヘテロシクリル基を形成し、
12は、置換もしくは非置換シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール基であるか、または非置換アルキル基であり、
mは、0、1または2である)
の化合物、その立体異性体、その互変異性体、その溶媒和物、そのプロドラッグ、およびその製薬学的に許容される塩が含まれる。
【0122】
例えば、5−カルバモイル−2−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−4−{4−[(フラン−2−イルメチル)−カルバモイル]−フェニル}−6−プロピル−ニコチン酸エチルエステル、
5−カルバモイル−2−(2−シクロヘキシル−エチル)−4−{4−[(フラン−2−イルメチル)−カルバモイル]−フェニル}−6−イソブチル−ニコチン酸エチルエステル、
5−カルバモイル−2−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−4−{4−[(フラン−2−イルメチル)−カルバモイル]−フェニル}−6−イソブチル−ニコチン酸エチルエステル、
5−カルバモイル−2−(2−シクロヘキシル−エチル)−4−{4−[(フラン−2−イルメチル)−カルバモイル]−フェニル}−6−プロピル−ニコチン酸エチルエステル;
5−カルバモイル−2−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−6−プロピル−4−{4−[(ピリジン−3−イルメチル)−カルバモイル]−フェニル}−ニコチン酸エチルエステル、
5−カルバモイル−2−(2−シクロヘキシル−エチル)−6−プロピル−4−{4−[(ピリジン−3−イルメチル)−カルバモイル]−フェニル}−ニコチン酸エチルエステル、
2−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−4−{4−[(フラン−2−イルメチル)−カルバモイル]−フェニル}−6−イソブチル−ピリジン−3,5−ジカルボン酸ジアミド、
5−カルバモイル−6−エチル−2−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−4−{4−[(フラン−2−イルメチル)−カルバモイル]−フェニル}−ニコチン酸エチルエステル、および
5−カルバモイル−2−[2−(4−フルオロ−フェニル)−エチル]−6−イソブチル−4−{4−[(ピリジン−3−イルメチル)−カルバモイル]−フェニル}−ニコチン酸エチルエステルが挙げられる。
【0123】
その上、活性化合物は、WO98/37077に記載される通りであってよい。従って、それは式
【化9】

(式中、
AおよびBは、各々、独立に、アリール、置換アリール、炭素環、置換炭素環、複素環、置換複素環、およびそれらの組合せからなる群から選択されるメンバーであり、前記組合せは融合または共有結合され、前記置換基は、ハロゲン、ハロアルキル、ヒドロキシ、アリールオキシ、ベンジルオキシ、アルコキシ、ハロアルコキシ、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アシルオキシ、アシル、アルキルおよびアリールからなる群から選択され、RおよびRは、各々、独立に、水素および1〜6個の炭素原子を有するアルキル基からなる群から選択されるか、または一緒に、飽和もしくは不飽和5員環、飽和もしくは不飽和6員環および飽和もしくは不飽和7員環からなる群から選択される環を形成し、YおよびYは、各々独立に、−CH2−、−NHC(O)−、−NRC(O)−、−NHC(S)−、−NRC(S)−、−NHC(=NH)−、−OC(O)−、−C(O)−、および−C(S)−からなる群から選択される結合または二価のラジカルであり、式中のRは、1〜6個の炭素原子の低級アルキル基であり、nは、0〜4の整数である)の化合物であり得る。
【0124】
適切な例としては、
【化10】

が挙げられる。
【0125】
用いることのできるペプチドに基づくミメティクスの中には、米国特許第5,698,521号のものがあり、それには、
アセチル−Trp−Xaa1−Gln−Xaa2−Ile−Thr−Xaa3−Leu−Xaa4−Pro−Gln−Xaa5−Pro−Xaa6−Xaa7−Phe−Gly−COOH、および
アセチル−Trp−Xaa1−Gln−Xaa2−Ile−Thr−Xaa3−Leu−Xaa4−Pro−Gln−Xaa5−Pro−Xaa6−Xaa7−Phe−COOH(配列番号2)
(式中、アセチルは、CH3CO−−であり、Xaa1は、イソバリンであり、Xaa2、3、4、5、および6は、2−アミノイソ酪酸であり、Xaa7は、4−メチルプロリンである)のいずれかが含まれる。
【0126】
本発明は、添付の図面を参照する次の実施例によってさらに説明され、図解される。
【図面の簡単な説明】
【0127】
【図1】全ての処置群での試験中の体重変化を示す図である。a)ビヒクルおよびロシグリタゾン群、b)カルシトニンおよび5−CNAC処置群。
【図2】(パネルaおよびd中)a)ビヒクルおよびロシグリタゾン処置群およびd)カルシトニンおよび5−CNAC処置群に関する120分間にわたる経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)の結果を示す図である。(パネルbおよびe中)t=0に正規化した120分のOGTTの間のb)ビヒクルおよびロシグリタゾン処置群およびe)カルシトニンおよび5−CNAC処置群に関するグルコース濃度の相対変化を示す図である。(パネルcおよびf中)棒グラフは、積分したAUCを示す。
【図3】(パネルaおよびd中)a)ビヒクルおよびロシグリタゾン処置群およびd)5−CNACおよびカルシトニン処置群のDIOラットで測定した、120分のOGTTの間の総インスリン濃度を示す図である。(パネルbおよびe中)b)ビヒクルおよびロシグリタゾン処置群およびe)5−CNACおよびカルシトニン処置群における、120分のOGTTの間のt=0からのDIOラットにおけるインスリン濃度の変化を示す図である。(パネルcおよびf中)棒グラフは、積分したAUCを示す。
【図4】カルシトニンおよび5−CNACで処置した健常な対照動物におけるOGTTの結果を示す図である。a)5−CNACおよびカルシトニン処置群においてモニタリングした総グルコース濃度。b)5−CNACおよびカルシトニン処置における120分のOGTTの間にモニタリングしたグルコース濃度の相対変化、t=0に正規化。c)積分したAUC。
【図5】図4のOGTTの間のインスリン濃度を示す図である。a)5−CNACおよびカルシトニン処置群においてモニタリングした総インスリン濃度。b)5−CNACおよびカルシトニン処置群における120分のOGTTの間にモニタリングしたインスリン濃度の相対変化、t=0に正規化。c)積分したAUC。
【図6】いくつかのアミリン様ペプチドのアミノ酸配列をアミリンと比較して示す図である(配列番号1、2、6、10、48〜56)。
【図7】いくつかのアミリン受容体アゴニストのアミノ酸配列をアミリンと比較して示す図である(配列番号39〜47)。
【図8】実施例4で得られる結果を示す図であり、8週の処置期間中の経口サケカルシトニンの正常ラットにおける体重増加への効果を示す。データは平均値+/−SEMとしてプロットされる。
【図9】実施例4で得られる結果を示す図であり、7週の処置期間中の経口サケカルシトニンのOVX誘発性体重増加からの部分的保護効果を示す。データは平均値+/−SEMとしてプロットされる。
【図10】実施例4で得られる結果を示す図であり、1日1回用量の経口サケカルシトニンが、8週の処置期間中のOVX誘発性体重増加を保護しないことを示す。データは平均値+/−SEMとしてプロットされ、出発体重は正規化されている。
【図11】実施例5で生成されたデータを示す図であり、パネルA〜Dは、SNACとともに処方されたsCTの経口生物学的利用能を示す。
【図12】実施例5で生成されたデータをさらに例示する図であり、SNACとともに処方されたsCTの経口生物学的利用能を示す。
【実施例1】
【0128】
[DIOラットにおける経口ブドウ糖負荷試験に対する応答での5−CNACと組み合わせたサケカルシトニンの、ロシグリタゾンと比較した効果]
(材料および方法)
〈動物〉
合計48匹の選択交配した雄DIOラットを使用した。実験の初めに、動物たちは35週齢に到達し、そのうちの31週が高脂肪食であった。ロシグリタゾンを、10%のヒドロキシプロピルβ−シクロデキストリン(カタログ番号A0367.0100)に懸濁した。サケカルシトニン(CT)および5−CNAC(N−(5−クロロサリチロイル)−8−アミノカプリル酸)を、MilliQ水に懸濁した。動物を、150mg/kg/日の5−CNAC、またはその量の5−CNACと2mg/kg/日のカルシトニンの組合せのいずれかの1日1回投与量で5週間処置するか、または、3mg/kgまたは10mg/kgのロシグリタゾン(既知の抗糖尿病薬、陽性対照として使用)で処置した。
【0129】
7日、21日および42日に絶食時血清および尿試料を収集し、全身組織組成をMRスキャンにより評価した。42日に、ラットにおいて経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行ってグルコースホメオスタシスを評価した。1日に、動物を体重および全身体脂肪量(4−in−1 EchoMRIスキャナにより評価)に従って異なる処置群に階層化させた。これらの群を体重により3つのチームに無作為に分けた。
【0130】
投薬の初日を0日とした。動物に5ml/kgを経口的に投与した。5mlシリンジ(luer lock(商標).Becton社)に接続された胃管を用いる経口胃管栄養法によって、試験全体の間(0〜42日)、化合物溶液を1日1回午前7:00〜午後2:00に投与した。
【0131】
〈体重増加〉
グリタゾンは体重増加を誘発することが知られているので、動物を継続的に秤量した。図1aおよび1bに見られるように、ビヒクル群の動物は、実験を通じて一定の体重を維持した。対照的に、3mg/kgのロシグリタゾンで処置したラットは、実験の経過の間、治療開始直後から始まる体重の有意な(p=0.05)増加を示した。10mg/kgのロシグリタゾンで処置した動物も、ビヒクルのみを投与された動物の体重と比較して体重が有意に増加した(p=0.0001)。CT処置群も5−CNAC群も、それらの体重に変化を示さなかった(p=0.8)。
【0132】
治療プログラムの間に増加した体重の分布を評価するため、終了後に動物をMR分析に供した。2つのパラメータ、すなわち1)脂肪量の変化、および2)総水分量の変化を調査した。
【0133】
両方のロシグリタゾン用量は、ビヒクル群のラットおよび5−CNAC群のラットと比較して、総脂肪の有意な増加をもたらした(p<0.0001)。しかし、ロシグリタゾン群と比較してCT処置群の脂肪量の増加は有意に低いが(p<0.0001)(表2参照)、5−CNAC群およびビヒクル群と比較して有意に高かった。どちらの処置も水分の蓄積をもたらさないと思われた。食物摂取のモニタリングにより、体重増加が食物摂取の増加により引き起こされるものでないことが示された(データは示さず)。
【0134】
(経口ブドウ糖負荷試験(OGTT))
異なる処置群でのグルコース処理を試験するため、経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)を行った。ビヒクルのみを投与された動物のベースライン血漿グルコース濃度はロシグリタゾン処置群のそれよりも有意に高く(ANOVA p=0.0005;Dunnett調整:ビヒクル対ロシグリタゾン3mg/kg p=0.006;ビヒクル対ロシグリタゾン10mg/kg p=0.0003)、ロシグリタゾンが実際に基底グルコース濃度を低下させることが示された(図2a)。OGTTの間、ビヒクル群の血漿グルコース濃度は10.1mmol/Lグルコースまで増加し、OGTTの全期間の間上昇したままであり、モデル特性の1つとしてグルコースクリアランスの低下を示すDIOラットについて予測したように、高血糖の状態が確立された。対照的に、ロシグリタゾン処置された動物は、予測したようにベースラインのときおよびOGTTの間良好なグルコース調節を示した(図2aおよび2b)。CT処置動物を5CNAC群と比較すると、CTはピークグルコース濃度を大きく低下させた(図2cおよび2d)。CT群では、OGTTの15分後に、OGTTの間持続したレベルである最大値の8.2mMまで血糖値が増加し、一方5−CNAC群ではグルコース濃度は60分に9.8mMのピーク濃度に達し、この増加はOGTTを通して持続した。
【0135】
血漿グルコースクリアランスの純変化の曲線下面積(AUC)を用いて様々な治療戦略の効果を比較した。ロシグリタゾンおよびCT処置は両方ともOGTTの間に有意なグルコースクリアランスの増加を引き起こした。10mg/kgのロシグリタゾンによる処置は、3mg/kgのロシグリタゾンの効果の速度と比較して有意に速いグルコースクリアランスを示した。この変化のAUCに対するCTの効果は、ロシグリタゾン群において見られる変化よりも著しく大きかった。
【0136】
血漿インスリン応答曲線は、異なる処置群の全ての動物について算出され、OGTTの間の様々な時点のそれらの血漿インスリン濃度を反映していた。ビヒクル群はロシグリタゾンに対して約5.34μg/Lのより高い基底インスリン濃度を有し、インスリン応答の増大はグルコースの注入15分後に11.97μg/Lでピークに達した。初期応答の後、インスリン濃度は約8.40μg/Lに低下し、この高インスリン性の状態は残りのOGTTの間も変わらないまま続いた(図3)。ロシグリタゾンは、ビヒクル群と比較した場合、基底インスリン濃度およびOGTT誘導性インスリン濃度の両方を用量依存的に低下させた(図3aおよびb)。CT処置は、5−CNAC群と比較した場合にインスリン応答の減弱をもたらし、グルコース注入15分後にピークインスリン濃度を観察し、以後インスリン濃度は基底レベルの4.53μg/Lに戻った。一方、5−CNAC処置群も15分後にピークに達したが、そのレベルはOGTTを通じて高インスリン性の状態にとどまった。
【0137】
上記の結果を、変化のAUCを図解する図3eにさらに反映させる。ここでは、CT処置は、ロシグリタゾンの作用よりも著しく大きい作用である、インスリン濃度の最も低い変化をもたらす。
【実施例2】
【0138】
[スプラーグドーリーラットにおける経口ブドウ糖負荷試験の応答に対する5−CNACと組み合わせたサケカルシトニンの効果]
(健常なラットにおけるOGTT)
CTがグルコース低下特性を有するかどうかをさらに調べるため、本発明者らは20匹の(年齢および性別の一致する)痩せた対照スプラーグドーリーラットでOGTTを行い、そのうち10匹を5−CNAC群に割り当て、10匹をCT処置群に割り当てた。ラットを、DIOラットのように同じ用量を用いて5週間毎日処置した。CT処置は、これらの動物において基底グルコース濃度を低下させた(図4a)。OGTTの間、ビヒクル群は、15分後に10.1mmol/lのピークグルコース濃度示し、その後グルコース濃度はベースラインの近くまで戻った。CTによる処置は、この劇的なピークを防ぎ、グルコース濃度を低く維持してより速いクリアランスをもたらし、CT処置群において血糖コントロールおよび血糖クリアランスへの有益な効果を示した。とりわけ、ビヒクルとCT処置動物の両方が、t=120分の実験の終わりに基底血糖値に達した。OGTTの間の変化のAUC算出により、CT処置がグルコース濃度を強力に低下させることが確認された(図4c)。
【0139】
さらに、本発明者らはまた、OGTTの間のインスリン濃度へのCTの効果をモニタリングした。OGTTの間、ビヒクル処置群は、約30分間持続したレベルである2.5μg/Lまでインスリン濃度を増加させることにより応答した。120分後、ビヒクル処置群のインスリン濃度は基底に戻った。CT処置動物は、約0.5μg/Lの少しの増加でOGTTに応答し、インスリン濃度はわずか60分後に基底に戻った。0分から120分までの、対照と比較したビヒクル処置動物のインスリン濃度の変化は有意ではなかった(p=0.53)、一方、変化のAUCは、群間で有意であった(p=0.08)。結果を図5aおよび5bに示す。
【実施例3】
【0140】
[カルシトニン受容体アゴニストのスクリーニング]
(カルシトニンおよびアミリン受容体アゴニストアッセイ)
カルシトニン受容体(CTR)およびアミリン受容体アゴニストを同定するため、本発明者らは、受容体増幅タンパク質(Receptor amplifying proteins)(RAMP)の不在下または存在下でCTRをトランスフェクトしたCOS−7細胞を使用した。CTRは、Gタンパク質共役受容体(GPCR)であり、GPCRのアゴニストをアッセイする多くの機会が得られ(1〜12)、その中ではcAMPの誘導が有力なアッセイ候補である。COS−7細胞は、表現型的に有意なレベルの内因性RAMP、CT受容体、およびCL(13〜15)を欠くという理由により選択された。かかる受容体成分の有意なバックグラウンド発現がなければ、定義された受容体サブタイプを正確に比較することができる。
【0141】
本発明者らは4つのアッセイを作成した。
1.RAMP1、RAMP2またはRAMP3の不在下でCTRを過剰発現させることによる、CTRに特異的なアッセイ。
2.RAMP1を含むがRAMP2またはRAMP3の不在下でCTRを過剰発現させることによる、アミリン受容体を活性化させることに特異的なアッセイ。
3.RAMP2を含むがRAMP1またはRAMP3の不在下でCTRを過剰発現させることによる、アミリン受容体を活性化させることに特異的なアッセイ。
4.RAMP3を含むがRAMP1またはRAMP2の不在下でCTRを過剰発現させることによる、アミリン受容体を活性化させることに特異的なアッセイ。
【0142】
化合物は、ビヒクル対照と比較して50%よりも多くのcAMPの有意な誘導により、(1mMのIBMXの存在下であろうと不在下であろうと)特異的受容体の特異的誘導因子と見なされた。
【0143】
カルシトニン吸収配列およびアミリン受容体配列は、様々な種において、異なるスプライス変異体で、既に知られている(16、16〜35)。
【0144】
受容体アゴニズムをアッセイするため、ウェルを75cm2フラスコ中で80%コンフルエンスまで増殖させた。7.8μLのFuGene6試薬を用いて、細胞に300ngのpcDNA−CTR構築物およびpcDNA−RAMP−1、pcDNA−RAMP−2またはpcDNA−RAMP−3のいずれか1μgをコトランスフェクトした。48時間後、細胞をトリプシン処理により浮遊させ、500×gで遠心し、シクラーゼ緩衝液(0.1%(重量/体積)BSAおよび1mMのIBMXを含有するDMEM)に再懸濁した。細胞(5×105)を、1.5mlエッペンドルフチューブに分注し、37℃にて20分間プレインキュベートした。その後、アゴニストの不在下(基底)または漸増濃度のアゴニストの存在下、細胞を18分間インキュベートした。ペプチド.フォルスコリンを含めて、陽性対照としてこの系の最大cAMP蓄積を決定した。インキュベーションの後、Beckman微量遠心機で12,000×gにて4℃で1分間反応物を遠心した。細胞をPBSで洗浄し、再び遠心した。0.5ml無水エタノールでcAMPを抽出した。試料を蒸発乾固させて、緩衝液(50mM酢酸ナトリウム、1mMテオフィリン)中で再構成した。cAMPを検出するための特定のアッセイを用いてcAMPのレベルをアッセイした。例えば、細胞内セカンドメッセンジャーcAMPの定量をEIAキットプロトコール(Amersham Biosciences社、US)に従って行い、交互に試料のアセチル化に続くRIAアプローチをその後に行った。非結合放射能を、0.25%(重量/体積)BSAおよび0.2%(重量/体積)木炭を含有する1mlの分離緩衝液[100mMリン酸水素二カリウム、100mMリン酸カリウム、pH7.4]を用いて15分間4℃にて抽出し、4,000×gで15分間の遠心分離により抗体結合放射能から分離した。上清を吸引し、ペレットをPackard γカウンターで計数した。
【0145】
GPCRアゴニストの同定のための代替アッセイ技法は、最近は(1〜12)を含めて文献に広範囲に記載されているのでその分野の専門家により実行され得る。
【実施例4】
【0146】
[経口サケカルシトニンは、健常なスプラーグドーリーラットと、卵巣切除誘発性の体重増加の状態のスプラーグドーリーラットの両方において体重増加を低下させる。]
合計40匹のラットを、2つの両側卵巣切除(OVX)群および2つの正常群の4つの群に分割した。正常群およびOVX群の両方の動物を、150mg/kg/日の5−CNACか、またはサケカルシトニン2mg/kg/日と組み合わせたその量の5−CNACのいずれかの1日2回投与で7週間または8週間処置し、その間動物の体重を週1回モニタリングした。
【0147】
投薬の最初の日を0日とした。動物に5ml/kgを経口投与した。実験全体の間、化合物溶液は1日2回投与され、最初の投与は午前7:00であり、2回目の投与は8時間後(午後3〜4時)であった。投薬は、5mlシリンジに接続された胃管を用いる経口胃管栄養法によって行った。摂食は自由であった。
【0148】
図8に見られるように、正常ラットを1日2回経口サケカルシトニン処置すると、処置期間中に対照群において観察される自然な体重増加の減少がもたらされた。さらに、図9に見られるように、OVX群では経口サケカルシトニン処置がOVX誘発性の体重の増加を部分的に防いだ。よって、経口サケカルシトニン処置は、1日2回投与した場合、食欲調節によって媒介される可能性の高い効果である体重増加の減少をもたらす。
【0149】
これに対して、投薬が1日1回であった同様の実験は、対照と比較して体重の低下がなかったことを示した。合計20匹のラットを両側的に卵巣切除した(OVX)。これらの動物を1日1回、150mg/kg/日の5−CNACのみ、または2mg/kg/日のカルシトニンと組み合わせたその量の5−CNACのいずれかで8週間処置し、その間、体重を週1回モニタリングした。摂食はこの場合も自由であった。
【0150】
投薬の最初の日を0日とした。動物に5ml/kgを経口投与した。化合物溶液は、5mlシリンジに接続された胃管を用いる経口胃管栄養法によって、全実験の間、午前7:00〜8:00の間に1日1回投与された。
【0151】
図10に見られるように、動物に1日1回投与した場合に、OVX誘発性体重増加への効果は観察されなかった。これは、1日1回処置された場合にDIOラットにおいて体重増加が示されなかった実施例1のデータと十分に一致する。
【実施例5】
【0152】
[2型コラーゲンの吸収を低下させることによって示されるように、SNACとともに処方されたサケカルシトニンは生物学的に利用可能である。]
観察された経口sCTの効果が担体5−CNACを含む経口製剤に特異的に依存したかどうかを試験するため、2つの経口担体5−CNACおよびSNACを用いる比較実験を実施した。ここで、CTX−IIにより測定される軟骨吸収の低下を、経口生物学的利用能、および、従って血糖コントロールの有効性の代理マーカーとして使用する。
【0153】
絶食ラットを、担体のみ(5−CNACまたはSNAC)、sCTのみまたは担体(5−CNACまたはSNAC)と組み合わせたsCTの経口投与で処置した。血液採取を、ベースライン、経口投薬後1時間、3時間および6時間に行い、血清を単離した。その後血清試料中のCTX−IIの濃度を測定した。
【0154】
ラットを体重に従って5つの群に無作為に分け、一晩絶食させた。ラットに、担体のみ(150mg/kg)(5−CNACまたはSNAC)、サケカルシトニンのみ(2mg/kg)、または担体(150mg/kg)と一緒にサケカルシトニン(2mg/kg)を経口投与した。ベースライン、経口投薬後1時間、3時間および6時間に血液試料を尾静脈から採取した。血清を血液試料から単離し、無希釈の血清試料中のCTX−II濃度を測定した。図11、パネルA〜Dは、示された時点のCTX−II濃度を示す。図12は、全ての処置群について経時的に組み合わせた結果を示す。各群は6匹の動物を含んでいた。一元配置分散分析およびボンフェローニの多重比較検定を用いて統計分析を行って、複数の検定を調整した。エラーバーは、平均値の標準誤差(SEM)を示す。アスタリスクは**=p<0.01、***=p<0.001を示す。
【0155】
経口投薬の1時間後、sCTのみ、sCTと5−CNAC、およびsCTとSNACは全て、担体のみの2つの群と比較してCTX−II濃度を有意に低下させたことが見出された(図11、パネルB)。経口投薬の3時間および6時間後、sCTのみを投与された群がCTX−II濃度をベースラインレベルまで戻したことが見出された(図11、パネルCおよびDおよび図12)。対照的に、sCTを5−CNACまたはSNACと一緒に投与した場合、経口投薬の3時間後および6時間後の両方でCTX−II濃度の継続的な低下が観察された(図11、パネルCおよびDおよび図12)。
【0156】
重要な知見は、CTX−II濃度は、sCTと5−CNAC、およびsCTとSNACの両方によって等しく十分に低下し、示されたどの時点でもこれら2つの群間に有意差は観察されなかったことである。これらの結果は、報告されるsCTの効果が5−CNACに特異的に依存していないことを意味する。経口sCTの有意な長く続く効果は、担体を含有する経口製剤によって決まると結論付けることができるかもしれない。しかし、図11および12に見られるように、sCTと組み合わせた2つの異なる経口担体(5−CNACおよびSNAC)は同等の結果を生じる。このことは、観察したsCTの効果が1種類の特定の経口製剤に限定されないことを意味し、この知見はsCTの血糖低下作用にまで及ぶと見込むことができる。
【0157】
本明細書において、明示的に別に示されない限り、「または」という語は、条件のうち1つだけが満たされることを必要とする「排他的論理和」の演算子(operator)とは対照的に、述べられている条件のいずれかまたは両方が満たされる場合に真の値を返す演算子の意味で使用される。「含む(comprising)」という語は、「からなる(consisting of)」を意味するのではなく、「含有する(including)」の意味で使用される。上記で認識される全ての先行する教示は、参照することにより本明細書の一部をなすものとする。本明細書において先行するいかなる出版文書の認識も、その教示が本明細書の日付においてオーストラリアまたは他所において共通の一般知識であったことを承認または表明するものと解釈されるべきではない。
【0158】
[文献]
【表1】

【表2】

【表3】

【表4】

【表5】

【表6】

【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1型糖尿病、2型糖尿病、もしくはメタボリックシンドロームを治療するための、またはインスリン抵抗性を緩和するための、または望ましくないほど高い空腹時血清グルコース濃度を低下させるための、または望ましくないほど高いピーク血清グルコース濃度を低下させるための、または望ましくないほど高いピーク血清インスリン濃度を低下させるための経腸投与用の医薬製剤であって、前記製剤が、アミリン以外のカルシトニンファミリーメンバー、修飾アミリン以外の修飾カルシトニンファミリーメンバー、またはカルシトニン受容体アゴニストである活性化合物を含む製剤。
【請求項2】
消化管への経口投与のために処方される請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記活性化合物がカルシトニンである請求項1または2に記載の製剤。
【請求項4】
前記カルシトニンがサケカルシトニンである請求項3に記載の製剤。
【請求項5】
前記活性化合物が、一般式:
CXLSTCXLX101112131415161718192021GX222324P(配列番号11)
(式中、
は、A、G、またはSであり、
は、NまたはSであり、
は、MまたはVであり、
は、GまたはSであり、
は、T、K、またはAであり、
は、LまたはYであり、
は、T、S、またはWであり、
は、Q、K、またはRであり、
は、D、E、またはNであり、
10は、FまたはLであり、
11は、NまたはHであり、
12は、KまたはNであり、
13は、FまたはLであり、
14は、HまたはQであり、
15は、TまたはRであり、
16は、FまたはYであり、
17は、PまたはSであり、
18は、Q、GまたはRであり、
19は、T、IまたはMであり、
20は、A、N、D、S、またはGであり、
21は、I、T、VまたはFであり、
22は、V、S、A、またはPであり、
23は、GまたはEであり、
24は、AまたはTである)
の活性化合物である請求項1または2に記載の製剤。
【請求項6】
前記活性化合物が、式:
CSNLSTCVLGXLXQXLHKLQTYPX18TNTGX22GTP(配列番号12)
(式中、
は、TまたはKであり、
は、TまたはSであり、
は、DまたはEであり、
18は、QまたはRであり、
22は、V、S、またはAである)
の活性化合物である、請求項5に記載の製剤。
【請求項7】
前記活性化合物が、アミリン以外のカルシトニンメンバーと少なくとも75%のアミノ酸相同性を有し、かつ、アミノ酸の付加、置換または欠失により前記カルシトニンファミリーメンバーに対して修飾され、かつ、カルシトニン受容体に結合しそれを活性化させる能力を保持している修飾されたカルシトニンファミリーメンバーである請求項1または2に記載の製剤。
【請求項8】
前記活性化合物が、経口投与用の担体とともに処方されている請求項1〜7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記担体が、前記活性化合物の経口生物学的利用能を増加させる請求項8に記載の製剤。
【請求項10】
前記担体が、5−CNAC、SNAD、またはSNACを含む請求項8に記載の製剤。
【請求項11】
1型糖尿病、2型糖尿病、もしくはメタボリックシンドロームの、またはインスリン抵抗性を緩和するための、または望ましくないほど高い空腹時血清グルコース濃度を低下させるための、または望ましくないほど高いピーク血清グルコース濃度を低下させるための、または望ましくないほど高いピーク血清インスリン濃度を低下させるための治療方法であって、前記状態の治療のために、アミリン以外のカルシトニンファミリーメンバー、修飾アミリン以外の修飾カルシトニンファミリーメンバー、またはカルシトニン受容体アゴニストである活性化合物、および場合により前記活性化合物の効果的な経腸投与を可能にするのに役立つ担体を含む薬剤的有効量の医薬製剤を、それを必要とする患者に経腸投与するステップを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2012−520262(P2012−520262A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−553445(P2011−553445)
【出願日】平成22年3月10日(2010.3.10)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053044
【国際公開番号】WO2010/103045
【国際公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(503259129)ノルディック・ビオサイエンス・エー/エス (10)
【氏名又は名称原語表記】NORDIC BIOSCIENCE A/S
【Fターム(参考)】