説明

糖尿病および糖尿病合併症の治療のための海藻組成物

【課題】哺乳動物に、有効投薬量の海草抽出物を投与する段階を含む、2型糖尿病およびその合併症の予防または治療に関する方法および組成物を記載する。
【解決手段】海藻は褐藻、紅藻および緑藻よりなる群から選択され、この時海藻抽出物は多糖類を含有する。場合により、多糖類は、約63〜78モル%のラムノースである。海藻抽出物は、場合により、約6.5〜9.2モルl%のキシロールを含有する。場合により、ラムノースおよびキシロースは、海藻抽出物中にキシロース1に対しラムノース約12から、キシロース1に対しラムノース8の割合の量比で存在する。好ましくは、ラムノース(藻類多糖類)は硫酸化される。場合により、海藻抽出物は、シリアル、パン、飲料、棒状健康食品、ジュース、濃縮果汁、缶詰食品、アイスクリーム、水等の食品、あらゆるの形の小麦、トウモロコシ、大麦、カラスムギ等の主要産品、ならびに砂糖やアスコルビン酸等の味覚遮蔽剤と混合される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、「内皮機能障害治療のためのラムナン硫酸組成物」と題する、2002年12月16日出願、出願連続番号10/320,309の一部継続出願である、「糖尿病治療のための新規組成物および方法」と題する、2003年5月14日出願、出願連続番号10/438,088の一部継続出願であり、参照によりその全てが本書に組込まれている。
【0002】
本発明は薬理組成物に関し、糖尿病と関連するが限定はされない神経障害を回復でき、糖尿病の状態およびその他の血管障害の状態での腎機能を保存できる方法に関する。この組成物は、糖尿病、内皮機能障害もしくは疾患、内皮機能障害および血管機能障害を生ずる炎症状態が疑われるか、または罹っている患者に好ましく用いられ、そしてより具体的には、これに限定されるものではないが、内的または外的傷害の結果としての患者の出血リスクを上げずに、2型糖尿病およびその合併症を予防および/または治療するための、吸収特性を高めた調剤に好ましく使用する。
【背景技術】
【0003】
2型糖尿病および内皮機能障害から生ずるその他疾患、ならびにそれらの合併症は、世界中で個人の障害および死亡の主な原因である。例えば、近年米国内だけで、毎年70万人を超す人数が冠動脈疾患の結果死亡しており、そしてさらに多くの患者が不安定狭心症、急性心筋梗塞、およびうっ血性心不全で入院しており、これらの発生率は病気の進行に伴い糖尿病患者の70%を越す。更に、糖尿病は工業化社会に於いては、慢性腎不全および腎不全の最大の原因であり、失明および脚部虚血による四肢喪失の主要原因である。
【0004】
糖尿病の効果的な長期治療法を求めて、意義深い多くの研究が行われている。しかしかかる疾患に関する現在の治療法は、インスリン投与や経口低血糖剤といった部分的治療である。これらの治療法には長期有効性に関し重大な欠点がある。これら治療法を用いても、糖尿病のプロセスに付随する一連の分子的および生理学的異常は解決しない。
【0005】
糖尿病はeNOS活性の低下、および細胞高血糖症に伴って発生するスーパーオキサイドおよびその他の自由ラジカルの増加に関連する医学的状態である。これらの異常の結果、膵臓、肝臓、腎臓、内皮細胞および心臓血管系を含む多様な種類の細胞で、細胞マトリックス組成物や細胞機能に変化および欠陥が起こる。
【0006】
現在利用されている治療法は、これまでのところ、望ましい長期的結果に対し、部分的な効果しかない。これらの治療法で、細胞マトリックスに作用して酸化窒素、スーパーオキサイドおよびその他の自由ラジカルの発生を抑制し、上記の臓器および組織の細胞マトリックスの細胞機能を維持、改善または回復するようにデザインされたものはない。
【0007】
現在の治療法は、患者の生命に対する潜在的な直近の危険に作用することに焦点が当てられている。これらの治療法およびその欠点としては、次のことが挙げられる;
−インスリン注射療法:欠点:低血糖症、不便および投与の苦痛
−食事:欠点:遵守が難しい
−経口治療薬:メトホルミン、グルコファージ、欠点:重症の高血糖症の場合、本治療法は不十分であり、糖尿病に伴うその他の代謝異常の影響は治療しない
−腎臓−膵臓移植:欠点:臓器ドナーが見つからない
【0008】
これら治療法で、病気の基礎プロセス、病気または障害の分子レベルの原因、細胞の基礎分子構成および特性に対する高血糖の作用に注意を向けている、または糖尿病によって生じる危険を減少する又は取り除くレベルに至るまで、血管およびその他の細胞種類の構造および機能が回復することに注意を向けている治療法はない。自由ラジカルの生成レベルを下げ、細胞マトリックスの再構成、細胞膜の組成、凝固活性または血栓抵抗性の保全を目的にデザインされた治療法はない。
【0009】
前記の観点に於いて、基礎となる糖尿病疾患プロセスを治療することを目的とし、また糖尿病のプロセスに関係する様々なタイプの細胞の構造を保全し、回復し、またその機能、特に心血管系全体を覆っていて血管系と血液との中間面であり、有効な腎機能の主要な決定因子でもある内皮細胞の機能−構造特性を改善することを目的とした薬理組成物および方法に対し大きな需要がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、糖尿病およびその様々な合併症を招く、ヒト細胞マトリックスまたは細胞環境内での原子および分子の相互作用の機能障害を予防および抑制することを目的とする治療手段を提供することである。
【0011】
本発明の別の目的は、ヒト細胞マトリックス内に発生した自由ラジカルの有害な結果を阻止することを目的とした治療手段を提供することである。ヒト細胞マトリックスまたは細胞環境内での酸化窒素の生成増加を刺激すること、および病気の経過を通してスーパーオキサイドおよびその他の自由ラジカルの生成および影響を減少することも、本発明の別の目的である。
【0012】
本発明の更に別の目的は、糖尿病に伴う罹病率および死亡率の最大の原因である心血管疾患、特に細胞表面を基本とする血栓症の、患者の抗血液凝固活性を大きく増加させずに、予防および治療することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
方法および組成物は、哺乳類に有効量の海藻抽出物を投与するステップを含む、2型糖尿病およびその合併症の予防または治療について記載される。褐藻、紅藻および緑藻を含む群から海藻を選択し、海藻抽出物は多糖類を含む。場合により、多糖類は約63〜78モル%のラムノースである。また、海藻抽出物は場合により約6.5〜9.2モル%のキシロースを含有する。場合によっては、ラムノースおよびキシロースは海藻抽出物中に、約12ラムノース対1キシロースの量比、および8ラムノース対1キシロースの量比で存在する。好ましくは、ラムノース(藻類多糖類)は硫酸化される。
【0014】
神経障害、腎症、動脈硬化症およびタンパク尿症を含む群から2型糖尿病の合併症を選択する。
【0015】
発明の組成物および方法は、窒素ドナーまたは酸化窒素ドナーを海藻抽出物と併用して投与することを含み、この時、L−アルギニンおよびリジンを含む群から窒素ドナーを選択する。
【発明の効果】
【0016】
発明の方法および組成物の利点は、それが極めて高い抗血栓作用および細胞表面の凝固の集合体に対するその他の抑制効果、ならびに血栓抑制の活性を有していることである。心臓血管の動脈硬化症の促進、高血圧、糖尿病性腎症、およびうっ血性心不全は糖尿病のプロセスの長期合併症であることがよく知られている。これらの病的状態のそれぞれに、低eNOS活性、高自由ラジカルの生成、高血栓形成活性、およびそれによる血栓性および虚血性合併症が伴う。
【0017】
記載の組成物の別の利点は、動物細胞由来のヘパリンに比べ、植物細胞由来の組成物の抽出では残存ペプチドが少ないことである。それ故、アレルギー反応が起こりにくく、免疫原特性もほとんどない。
【0018】
更に別の利点は、海藻抽出物は植物細胞に由来していることから、狂牛病の様な潜在的に致死的および重大なプリオン病の伝染の可能性がないことである。
【0019】
別の利点は、海藻抽出物には血小板第IV因子を活性化する能力がないので、ヘパリン投与の際に見られる血小板を破壊する免疫複合体を生じないことである。
【0020】
最後に、海藻抽出物の別の利点は、哺乳類およびヒトに対して使用する場合、使用に際して透析、バイパス手術、およびポリマーチューブコーティングやデバイスといった全身性の抗血液凝固活性を必要とする場合は海藻抽出物がヘパリンの機能的な代替物となることである。
【0021】
糖尿病や血管疾患の将来的な発生を予測すると考えられているC反応性タンパク質の血漿中濃度を下げることも、本発明の別の利点である。
【0022】
血漿中のLDLを下げること、および/またはHDLレベルを上げることにより、血管を含む健康な心臓血管機能を保護することも、本発明の別の利点である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
発明者がこれまでに記載した様に、ヘパリン−アルギニン−水の様な帯電ポリマー−高帯電ペプチド−水ポリマーから構成される細胞環境(細胞マトリックス、ゲルマトリックス、またはゲル)には、細胞環境内のヒト細胞の構造、最終的には機能の制御に対する責任がある。ヒトの血管は1細胞の厚さしかないため、帯電ポリマー−高帯電ペプチド−水の環境内に於いても機能する。即ち、この帯電ポリマー−アルギニン−水の環境は、タンパク質の分配および機能性、細胞信号伝達プロセス、遺伝的またはDNA−RNA転写制御、および血管壁細胞を含めた細胞の物理的/化学的特性に影響することにより、かかる細胞の重要な機能に影響を与える。発明者は、特許番号第6、255、296号および第6、495、530号に於いて、細胞環境の構造、および特に内皮細胞の構造の破壊が心血管疾患といった病気の主因であるという事実を明確に示している。これら特許の明細書は、ここに参照することにより、本書に含まれる。特別な作業メカニズムと結びつくわけではないが、発明者は、ヘパリン硫酸の損失が酸化窒素形成の低下を招くと考えている。
【0024】
ヘパリンまたはこれらポリマー構造内にあるヘパリンドメインは、一般的に内因性ヘパランと呼ばれる群の構成要素であることを特に言及しなければならない。外因性ヘパランは、ヘパリンも含め、内因性ヘパランを保護する機能を有している。
【0025】
本発明は2型糖尿病の治療、および2型糖尿病患者に於ける神経障害、腎症およびタンパク尿症といった関連病もしくは合併症の遅延のための組成物の提供を目的とする。遅延とは、2型糖尿病および関連合併症の進行または発症を遅らせることと定義する。
【0026】
発明に拠れば、2型糖尿病または関連病もしくは合併症に罹りやすい、または罹っている患者を、ある投与量または物質量の海藻抽出物を特徴とする物質により治療する。更に、将来的に2型糖尿病を発症する可能性のある健康な人もまた、ある投与量または物質量の本発明の組成物で治療する。
【0027】
海藻抽出物で使用する、抽出という用語の定義は、実施例1の抽出方法に限定されず、むしろこの用語は広く用いられて、海藻を潰すこと、および水もしくはその他成分と混合すること、海藻を切り刻むこと、粉砕すること、ミンチにすること、ペーストを作ること、海藻を乾燥粉末に加工すること、押し出すこと、発酵すること、あるいはラムノースまたはその他多糖類のような多糖類を抽出物に残す他の工程を含む。
【0028】
海藻は、褐藻および緑藻からなる群から選ぶのが好ましい。褐藻は、ブラダーラック、ブラジル産コンブまたはノルウェイ産ケルブからなる群より選ばれる。緑藻は、ヒトエグサ、モツキヒトエ、エゾヒトエグサ、ヒロハノヒトエグサ、シワヒトエグサ、アオヒトエグサ、ウスヒトエグサ、ヒラアオノリ、ナガアオサ、アサミドリシオグサ、アオタマリシオグサ、フトジュズモ、ホソジュズモ、モツレグサ、ミル、クロミル、ヒラミルまたはフサイワズタからなる群より選ばれる。
【0029】
合成もしくは哺乳類での代謝といった天然の手段によって硫酸化され、そして2型糖尿病の遅延に有益且つ効果的である、ラムノースまたはその他の多糖類を含有する、ある量の海藻抽出物は、患者による臨床反応によって主に定義され、約2、000IUから約200、000IUヘパリン活性に相当する範囲にある。海藻抽出物の有効量のより好ましい範囲は、5、000IUから20、000IUヘパリン活性に相当する。海藻抽出物の有効量の最も好ましい範囲は、8、000IUから12、000IUヘパリン活性に相当する。
【0030】
多糖類の硫酸化は、多糖類に硫酸基を結合して、多糖類の硫酸成分(sulfated moiety)を形成することと定義する。例えば、ラムノースからラムナン硫酸を、またはキシロースから硫酸キシロースを形成することである。ラムナン硫酸の主鎖は、2−、3−または4−の位置で少量(全量の10%未満)のガラクツロン酸、キシロース、およびアラビノースで置換できる。
【0031】
帯電ポリマー−高帯電ペプチド−水のマトリックス内に吸収されると、海藻抽出物内の多糖類はヘパランとして働き、内因性ヘパランの構造および役割を、保護および強化する。いかなるメカニズムによってか、海藻抽出物中の硫酸化多糖類は自由ラジカルを結合して、膵臓細胞および内皮細胞を包含する様々なタイプの細胞に対する損傷を防止する、強力な効果を有している。
【0032】
経口投与によって投与されたヘパリンまたはヘパリン類似体の細胞表面(例えば内皮細胞表面)への局在は、現在入手可能な抗凝固剤に見られる様な血漿凝固因子の阻害を示すことなく、動脈内および血管表面上の血栓活性を阻害する。
【0033】
海藻抽出物内の硫酸化多糖類は、自由ラジカルに結合して膵臓細胞および内皮細胞への損傷を防止し、同時に患者の内的もしくは外的出血のリスクを大きく高めることなく、そして内皮細胞の細胞膜および周囲環境の全体性および機能性を効果的に維持するのに十分な量を投与することを特徴とする。
【0034】
発明者は、細胞表面をベースにした抗血栓作用が血漿の抗凝固とは明らかに異なることが、発明にとって不可欠なものと認識している。発明は、血漿の抗凝固因子を阻害することなしに細胞をベースにした抗血栓作用を達成する。従って、発明は血漿抗凝固に不随する血管傷害による突発的な出血または過度の出血のリスクを回避する。
【0035】
海藻抽出物の有効用量は特定個人の状態と投与方法により異なる。例えば、ヘパリンの皮下注射は、静脈注射に比べて細胞領域および膜領域での濃度がより高くなり、そして経口ヘパラン硫酸は細胞表面膜、特に内皮細胞に殆ど独占的に局在することを発明者は観察している。従って、本発明の海藻抽出物の好ましい投与方法は、経口経路による投与であり、一方最も好ましくない方法は静脈内注射によるものである。
【0036】
海藻抽出物は、経口、舌下、皮下、静脈内、経皮または直腸投与といった投与経路に合わせて投薬量を調整し、埋め込みもしくはコントロール放出手段を含む薬学的添加剤または賦形剤と混合する。例えば海藻抽出物は、場合によって水の様な生理学的に受け入れ可能な、無毒の液体賦形剤に分散される。
【0037】
あるいは、海藻抽出物は錠剤、カプセル、粉末、顆粒、コーティング錠剤といった形で与えられるか、各種食物に混合して与えられる。各種食物とは、例えばシリアル、パン、飲み物、棒状健康食品、ジュース、濃縮果汁、缶詰の食品、アイスクリーム、水、加工品または未加工品に関わらず様々な形状の小麦、トウモロコシ、大麦、およびカラス麦などを原料とする主要産品、あるいは砂糖もしくはアスコルビン酸といった味覚隠蔽物、またはその他の機能性食物のことである。海藻抽出物は、硫酸化多糖類を含めて、結合剤、増量剤、保存剤、錠剤崩壊剤、流動調製剤、可塑剤、湿潤剤、分散剤、乳化剤、溶媒、遅延剤、および/または酸化防止剤といった一般的な薬学的補助剤と混合してもよい。海藻抽出物は更に、場合によっては各種処方および分子配置を有する脂質との複合体に含まれる、または形作られる。
【0038】
恒常性システムを効率的に機能させることは、哺乳類の組織内での細胞機能にとって重要である。健全な状態では、ヘパリンのゲルマトリックス、高帯電ペプチド、および水ポリマーが形成され、それがゲル構造およびその制御的機能を破壊するような濃度レベルに達することなしに、かかる分子の動的な結合および放出を調整することによって多くの他分子を封入する。
【0039】
長鎖の帯電ポリマー要素は、膜、タンパク質、レセプター、イオンチャンネル、細胞オルガネラ、核膜、膜孔、およびその他の複雑な細胞成分の組成決定因子である。ポリマー、およびアルギニンといった高帯電アミノ酸は、封入脂質二重膜のエリア内に水を配置し、例えば細胞の膨圧を作り出し、そして他の分子構造に対する水の加水分解性を制限する。
【0040】
健全なゲルマトリックスは、内因性の帯電ポリマー、内因性のアルギニン、および水から作られる。ゲルマトリックスの不健全状態では、ゲルの高帯電ペプチド分子の一部が開裂している。さらに、帯電ポリマーがゲルから取り除かれる。その結果、帯電ポリマー間に、他の分子が埋没もしくは通過できるギャップが生じる。
【0041】
健全なゲル構造は、外部分子の相互作用および結合を好ましく支持する立体配座を有している。ゲル構造が崩壊してその機能性を失う前の、かかる分子が有する侵入を調節する能力は、ゲルシステムの重要な特徴の一つである。
【0042】
即ち、膜の透過性により、高分子または細胞はゲル内に入ること、および通過することができる。例えば、コレステロール、凝固因子、および水はゲルを通過して脂質二重層、またはその他の内皮細胞下の場所に達する。更に、イオン強度、流圧、熱、浸透圧、またはゲルに移動する他の形態のエネルギーは、上記のゲルの特性を劣化できる。
【0043】
このような侵入の結果、追加効果としてアルギニンの転置と酸化窒素の生成低下が起こる。侵入により、ゲル内にあるアルギニンおよび他分子に関するヘパリンの結合能力は制限を受ける。
【0044】
更に、ある作用メカニズムと結びつけられてはいないが、膵臓島細胞のLDLレセプターはLDLを取り込み、それが炎症および組織因子(動脈内のプラークに類似)の産生をもたらす。海藻抽出物内の硫酸化多糖類は、内皮細胞および動脈細胞マトリックスにおける場合と同様に、膵臓細胞膜および細胞間マトリックスにおける炎症および組織因子が誘発する凝固を抑制すると考えられている。従って、硫酸化された海藻抽出物は,1型および2型糖尿病に伴う進行性の島細胞損傷およびインスリン欠乏症を防止する。
【0045】
アルギニンおよび/またはヘパリンの除去によるゲルマトリックスの破壊を回復するために、本発明は海藻抽出物中の多糖類(藻類多糖類)を使用してゲルマトリックスおよびその機能性を維持および新生させる。これら藻類多糖類は、ラムノース、キシロース、ガラクトースおよびマンノースからなる群より選択される。この点に関して、本発明で使用する海藻抽出物の多糖類は、特にラムノースに富み、最適な細孔閉鎖と安定性、および結合部位の数と分布を与えるが、この時信号伝達作用、抗増殖作用、細胞表面の抗血栓症作用、および抗炎症作用は維持される。このようにして、ヘパリン、アルギニンおよび、上述の組成物から生ずる上記組成物である帯電ポリマー−高帯電ペプチド−水ゲルマトリックスの恒常性促進機能は、細胞ドメインに対する継続的かつ累積的な変化および損傷を阻止する。この抑制作用により、一般に「動脈プラーク」と呼ばれるコレステロール蓄積を最小限に抑えることができる。
【0046】
海藻抽出物の投与は、リポ蛋白の増加、リパーゼおよび組織因子経路阻害剤の放出を誘発し、プラークの安定性、増殖、破壊および退縮に有益な効果を示す。
【0047】
硫酸化ラムノース多糖類、ラムナン硫酸のゲルシステムへの添加は、ゲルマトリックス中のヘパリンおよびアルギニン双方の機能性を保護する。細胞外媒体では、ヘパリンの分子結合および静止能は、ラムナン硫酸の同時添加により増大し、この時ラムナン硫酸は細胞外にある潜在的侵入分子と結合し、それによってゲル内の帯電したポリマーをゲル内のアルギニンと結合させる。
【0048】
アルギニンから生成される酸化窒素は、重要な生理学的メディエイタである。酸化窒素産生を担う酵素である酸化窒素シンターゼは、CA++およびカルモジュリンを必要とする。ヘパリン−アルギニンゲルの機能性は、CA++とカルモジュリンの結合と制御を含む。カルモジュリン活性を制御することにより、ラムナン硫酸は、帯電ポリマー−アルギニンゲルに作用し、酸化窒素産生を担う酸化窒素シンターゼの活性を制御する。
【0049】
アルギニンは酸化窒素産生に関し、窒素ドナーとして機能する。しかしながら、場合により、アルギニンに代ってリジンが窒素ドナーとして使用されることは、知られている。少量のアルギニン用量と同等の効果を得るには、多量のリジンが必要とされる。その他酸化窒素ドナーも、場合により使用できる。
【0050】
帯電ポリマー−アルギニン−水ゲル内での水、小さなアニオンおよびカチオンの結合は、帯電したポリマー内にある糖類の環状構造が本来持つパイ結合特性により、促進される。共有電子密度の変化および電荷変動は、ゲルポリマーの溶媒化および立体配座を制御している。このように、小さなアニオンおよびカチオン結合は、溶媒化状態、水の触媒特性および加水分解特性、およびゲルの水とその他の分子とを結合させる能力のそれぞれに変化をもたらす。海藻抽出物由来の低分子量〜高分子量のラムノース、好適には高硫酸化されたラムノースが好ましく用いられる。
【0051】
内皮細胞の損傷および膵臓細胞の損傷は、自由ラジカルによって引き起こされる。ヘパリンは、スパーオキシドジスムターゼに結合し、高エネルギー電子を吸収して自由ラジカルを非活性化させる。ラムナン硫酸、ヘパリン、および酸化窒素は自由ラジカルと結合して、膵臓細胞や内皮細胞を含む多様なタイプの細胞への損傷を防止する。
【0052】
2型糖尿病は、部分的には膵臓細胞に対する自由ラジカルによる損傷に起因している。ラムナン硫酸、ヘパリン、スーパーオキシドジスムターゼおよび酸化窒素は、全て自由ラジカルを攻撃し、中和することから、自由ラジカルによる細胞傷害と関連する病気は、本発明により効果的に治療および予防できる。またラムナン硫酸は、内因性ヘパリンの産生を促進して損傷組織の再構成を助け、さらに細胞外マトリックスのタンパク質の蓄積、例えばフィブロネクチンと複合体を形成して、これを排除し、結果として臓器の栄養過多状態を逆転または最小限化する。ラムナン硫酸は、内皮細胞表面に対する傷害に続く内皮細胞の再生を促進する。
【実施例1】
【0053】
抽出方法
乾燥した緑藻(ヒトエグサ‐Monostroma Nitidum)を10倍量の水の中で、室温で1時間膨潤させた。続いて膨潤した緑藻をすり潰し、沸騰した水槽内で2時間還流した。この水抽出物を30分間遠心分離(4500g)し、凍結乾燥により非透析分画の水溶性多糖類を得た。
【0054】
上述の粗多糖類を水に溶解してからDEAE−セルロース(Wahtman DE−52)カラム(2.4×100cm)にかけた。フェノール−硫酸検出によって完全に除かれたと判定されるまで、デンプンまたは中性多糖類を連続して水溶出を行い除去した。その後、KCLのイオン強度を0.5、0.7および2.0 Mに段階的に変更して酸性多糖類を分画し、それから各分画を脱塩して凍結乾燥した。0.55 M KCL分画(主要分画)の連続精製を、Toyopearl HW−65(fine)カラム(1.2×100cm)のゲル濾過クロマトグラフィーを用いて実行した。サンプルを、水を用い、流量0.4 ml/分で溶出した。これらの複合多糖類を抽出する手順またはその変形は、周知である。
【0055】
海藻抽出物の組成分析
グリコシル組成(多糖類組成)
グリコシル組成分析は、酸性メタノリシスによりサンプルから生成された単糖類メチルグルコシドのper−O−トリメチルシリル(TMS)誘導体を、ガスクロマトグラフィー/質量分析法(GC/MS)の組合せで行った。
【0056】
メチルグリコシドは、まず1M HClの80℃のメタノール液(18〜22時間)でメタノリシスし、続いてメタノール液の中でピリジンおよび無水酢酸を再N−アセチル化して(アミノ糖を検出するため)、乾燥サンプルから調製した。次にサンプルを80℃のTri−Sil(Pierce)で処理して(0.55時間)per−O−トリメチルシリル化した。これらの手順は、前述した通りに実行した(Methods Enzymol.230:1〜15;York W.S.、Darvill, A.G.,McNeil、 M.,Stevenson, T.T.、およびAlbershelm, P.(1985年) Methods Enzymol.118:3~40)。TMSメチルグリコシドのGS/MS分析は、5970 MSDとインターフェイスで接続されたHP 5890 GCで、All Tech EC−1溶融シリカキャピラリーカラム(30m×0.25mm ID)を用いて行った。
【0057】
【表1】

【0058】
海藻抽出物のベンチトップ試験では、約90%〜97%のラムノースと、約0%〜4.5%のキシロースを得た。海藻抽出物は、約63モル%〜78モル%のラムノースを含む。海藻抽出物は、約6.5モル%〜9.2モル%のキシロースを含む。この海藻抽出物中に存在するラムノースおよびキシロースの量の比率は、およそキシロース1に対しラムノース12からキシロール1に対しラムノース8の間である。
【実施例2】
【0059】
−インビボ研究
海藻抽出物由来の多糖類であるラムナン硫酸を、実施例1に記述したように調製し、細胞表面の抗血栓症活性について、以下に記述するように試験した。ラムナン硫酸は、水で20mg/ml、10mg/mlおよび5mg/mlの濃度に溶解した。L−アルギニンを利用する実験では、L−アルギニンカプセルを開き、その中身を水で、4時間試験については300mg/ml、28日試験については150mg/mlになるよう溶解した。L−アルギニンがラムナン硫酸と共有結合して生理学的に許容されるラムナン硫酸塩を形成するラムナン硫酸−アルギニン複合体(RS−LR)を、水で20mg/ml、10mg/ml、3mg/mlおよび0.3mg/mlの濃度に溶解した。ウシ軟膏低分子ヘパリン、150単位/mg、ロット番号ZX320をUpjohn Ltdより得た。ヘパリンは、水で20mg/mlの濃度に溶解した。
【0060】
102匹の雄のウィスターラット(Wistar rat)、体重312±64g(±標準偏差)を、カナダ生物学学会(Canadian Federation of Biological Societies)が定めた動物飼育規則(Principles of Animal Care)に従って取扱い、飼育した。動物は処理前に一晩絶食させ、バルビツールおよびメトキシフルランで麻酔してから実験にかけた。
【0061】
ラムナン硫酸7.5mg/kg、4mg/kgおよび2mg/kgを、それぞれ5匹、20匹および5匹/群のラットに投与した。ラムナン硫酸(7.5mg/kg)にアルギニン(112.5mg/kg)を加えたものを5匹のラットに投与した。ラムナン硫酸−アルギニン複合体、4mg/kg、1mg/kgおよび0.1mg/kgを、20匹/群のラットに投与した。ラムナン−アルギニン複合体は、毎日質量を測定し直した。全ての群および投与した化合物を表1に示す。1日当たり6〜88匹のラットを処理した。胃管に食塩水0.2mlを入れ、次にラットの体重に応じて、ラムナン硫酸溶液0.09〜0.18ml、またはアルギニン溶液0.1mlを入れた。このようにして、胃管を胃の中に入れると、まず薬物が胃の中に導入され、続いて食塩水が導入されて総量約0.4mlとなった。ヘパリン単独群では、ヘパリンを0.1〜0.2ml量投与してから、食塩水0.2mlを投与した。対照群は食塩水のみを投与した。
【0062】
【表2】

【0063】
血栓症試験
血栓症試験は、Blakeらにより改良された手順により実施した。4時間処理した動物では、露出させた血管外膜表面に10%ホルマリンの65%メタノール液を作用させて、右頚静脈に血栓を起こした。その直後に胃管を使って胃内に薬剤を導入した。血栓誘発後4時間目に、再度動物に深い麻酔をかけ、外部の出血の兆候を調べた。頚静脈を露出して、綿球を使って血栓の存在を調べた。血管が遮断されており、綿球を使った検査でも遮断されたままの場合、血栓には+(ハードクロット(hard clot))のスコアを付けた。検査の初見では血管が完全に遮断されており、検査時に血管が開いた場合は、血栓には+/−(ソフトクロット(soft clot))のスコアを付けた。血液が血管内を自由に流れている場合には、血栓には−(陰性)のスコアを付けた。
【0064】
血液および血管の採取
頚静脈の検査直後に、開腹術を行い、血液サンプル約10ml(3.8%クエン酸ナトリウム1に対し血液9の割合)を腹部大動脈より採取し、血漿を調製した。内皮細胞源として、胸部大動脈または大静脈を除去して食塩水内に入れた。それぞれの動物について、内出血の兆候を調べ、体腔内で血液が凝固した時間を記録した。
【0065】
内皮細胞の回収
内皮細胞を、HiebertとJaquesの方法に従って、血管より除去した。血管を切開し、内腔側を上にして歯科用ワックスに留め、Locke液で洗浄した。セルロースアセテート紙を内腔表面に押しつけ、持ち上げると内皮細胞が剥がれた。痕跡の長さと幅をmm単位で測定した。
【0066】
内皮細胞内でのヘパリン様化合物の判定
冷アセトン中に溶解してから、遠心分離を行い、上清を廃棄して、セルロースアセテート紙を内皮細胞から取り除いた。沈殿物を、プロナーゼ(40mg/mlのトリス緩衝液、10μl)で消化して更に処理した。次に、サンプルを10,000rpmで10分間遠心分離し、上清を集め、26.8%NaCl、100uLで沈殿物を2回洗浄し、これを上清に加えた。グリコサミノグリカン(GAGs)を、上清から5倍量のメタノールを用いて沈殿させ、その沈殿物を乾燥させた。既報の方法に従い、アガロスゲル電気泳動を使用して、内皮細胞抽出物中のラムナン硫酸を同定し測定した。乾燥粉末を好適量の水で溶解し、比較用として使用し投与したラムナン硫酸と共にアガロースゲルスライドにかけた。電気泳動後、ゲルは0.1%臭化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム内に固定し、風乾した。スライドを0.04%トルイジンブルーの80%アセトン溶液で染色し、背景色を1%酢酸で除去した。ヘパリンは、デンシトメトリーによって判定した対照物質よび量と比較して、電気泳動の移動度を同定した。
【0067】
統計的分析
血栓症データは信頼区間95%で表示してある。比率間の差のχ二乗検定は、血栓症総発生率とハードクロットの発生率を群間で比較するために使用した。他のデータは平均値±標準誤差で表示してある。血漿凝固テストおよび尿中ヘパリン様濃度を検査した時の群間差を比較するためにTukeysポストホックテストによる1元配置分散分析を使った。
【0068】
図1に示すように、2mg/kgの場合を除いてラムナン硫酸のみを経口服用したものすべてに抗血栓症作用が認められた。さらに、アルギニンをラムナン硫酸に添加した場合や、ラムナン硫酸をアルギニンと複合体形成した場合にも、抗血栓症作用が認められた。ラムナン硫酸2mg/kgの場合は、有意とまでは言えないものの、対照に対するハードクロットには顕著な低下傾向が見られた。ラムナン硫酸のみの場合も、ラムナン硫酸をアルギニンと複合体形成した場合も、明らかな投薬反応が認められた。4mg/kgの化合物で比較した際、ハードクロット発生率が低下することを見てもわかるように、ラムナン硫酸アルギニン複合体は、ラムナン硫酸のみよりも抗血栓剤として顕著に高い効果を示した。さらに、ラムナン硫酸のみ2mg/kgと比較すると、ラムナン硫酸アルギニン複合体1mg/kgにおけるハードクロット発生率および血栓症総発生率は低かった。
【0069】
図1および図2は、非低分子ヘパリンを経口投与した場合と比較した、ラムナン硫酸またはラムナン硫酸およびアルギニンを経口投与した場合の抗血栓症活性を示す。エラーバーは、95%信頼区間を示す。上側バーは総クロットを示す。下側バーはハードクロットを示す。RS + LRは7.5mg/kg ラムナン硫酸+112.5mg/kgアルギニンである。RS-LRは7.5mg/kg ラムナン硫酸アルギニン複合体である。バーの中の数字は、群ごとのラット数である。
【0070】
血漿中濃度
ラムナン硫酸群は、すべての投薬量でAPTTまたはHeptest(表2)においては顕著な効果を示さなかった。ラムナン硫酸のみまたはアルギニンと複合体化した場合は、抗Xaまたは抗IIa活性に対する効果は、わずかであるか、全くなかった。
【0071】
ラムナン硫酸のみの場合は、ラムナン硫酸アルギニン複合体よりも、やや抗Xa活性が高かった。ラットの血漿で抗Xa活性を測定すると、ラムナン硫酸またはラムナン硫酸アルギニン複合体を投与したラットの中には、血漿サンプルの光学的濃度の低下が見られた。(データ不表示)。動物に、出血または失血の痕跡は認められなかった。
【0072】
【表3】

【0073】
また、ラムナン硫酸様物質は、大動脈および大静脈内皮細胞双方に認められた。すべての化合物を投与した場合、大静脈の濃度は大動脈よりも高かった。(表3)( P< 0.00003片側t検定)ラムナン硫酸またはラムナン硫酸-アルギニンの投与後の大静脈濃度を見ると、投与効果は明らかである。ラムナン硫酸アルギニンの経口投与後に、ラムナン硫酸の大動脈濃度にも同様の投薬効果が認められたが、ラムナン硫酸のみの投与では認められなかった。ラムナン硫酸4mg/kgの場合は、大動脈濃度ではなく、大静脈濃度により高い濃度が認められ、ラムナン硫酸-アルギニン複合体の場合には、認められなかった。
【0074】
【表4】

【0075】
ラムナン硫酸様物質は、4時間に渡って蓄積された尿および便からも回収された。ラムナン硫酸-アルギニン複合体として投与するよりも、ラムナン硫酸のみで投与後に、回収された量と濃度を見ると、それらはより多く尿内に排出されていることがわかった。回収量は、ラムナン硫酸-アルギニン複合体に対するラムナン硫酸単剤の場合の投薬量のそれぞれ3.0±0.4および1.6±0.4 (平均値±標準誤差)% であった。
【0076】
便から回収された量も、ラムナン硫酸単剤で投与した場合の方が、ラムナン硫酸-アルギニン複合体で投与した場合に対してより多かった。投薬効果は明白であった。ラムナン硫酸単剤の場合対ラムナン硫酸-アルギニン複合体の回収量は、それぞれ投与量の13.7 ±4.4%および6.1 ±1.9%(平均値 ±標準誤差)であり、 これらの差は顕著なものではなかった。
【0077】
一般に、結果からラムナン硫酸は、血漿抗凝固活性の明白な上昇を伴わずに血管表面抗血栓症活性をもたらすことを示している。ハードクロットおよびソフトクロットは、損傷した血管内腔から形成され、放射状に血管内腔の内部まで伸長するが、上述の標準血漿凝固テストで測定した結果、血漿凝固活性にはほとんど、あるいは全く変化はなかった。従って、ラムナン硫酸は血管内面の血栓形成防止には有効であるが、患者に「血友病者」または顕著な大量出血の危険性を宣告するような血漿抗凝固活性の上昇は見られなかった。
【0078】
結果より、処理をしない対照群では食塩水は血栓症に無効で、血栓症発生率は約90%であり、このうち非常に高いパーセンテージを占めていたのはハードクロットであった。ヘパリンは抗凝固剤として一般に使われているが、7.5 mg/kgでは血栓症の総発生率にほとんど、または全く効果がなかったが、ハードクロットの発生率は減少した。反対に、ラムナン硫酸を同じ7.5mg/kg投与した場合は、血栓症発生率は顕著に減少し、ハードクロットはほとんど、または全く認められなかった。
【0079】
ラムナン硫酸の投与量を4mg/kgおよび2mg/kgまで減らすと、血栓症発生率は増加し、投与量7.5 mg/kgからハードクロットは再び発生した。
図2は、再び対照群と一般に構造が知られているラムナン硫酸とL-アルギニンの同時投与の場合とを比較している。RS+LRはラムナン硫酸の同時投与である。RS-LRはラムナン硫酸塩とアルギニンの化合物である。図3はその化学構造である。グループ6、 RS + LR、7.5mg/kgでは、ラムナン硫酸単剤の場合と血栓症発生率およびハードクロットの非発生率にほとんど差がなかった。しかしながら、グループ7、 RS-LR化合物、4mg/kgの場合、硫酸塩のみ4mg/kgの場合と比較すると、血栓症総発生率は顕著に低く、ハードクロットも減少した。 グループ8、LS-LR化合物1mg/kgの場合でさえ、ラムナン硫酸4mg/kgの場合よりも、血栓症およびハードクロット発生率がわずかに減少を示した。
【0080】
結果は、ラムナン硫酸単剤の場合、血栓症発生率およびハードクロットの数の低減にヘパリンよりも有効であることを示している。 さらに、血液抗凝固活性の目立った上昇はなかった。血漿抗凝固活性を上昇させることが知られるヘパリンとは逆に、これは一層望ましい効果を示している。従って、内皮障害、特に心血管疾患、さらにアテローム硬化症および動脈硬化症の治療において、ラムナン硫酸の使用は望ましいと言える。第2の結果として、ラムナン硫酸塩-アルギニン化合物は、ラムナン硫酸単剤の同一量投与よりも血栓症およびハードクロットの発生率を低減するのに一層効果的である。
【実施例3】
【0081】
−臨床試験
心血管リスクバイオマーカー
海藻抽出物およびL-アルギニンの化合物が、血管機能と、内皮および心血管機能の指標となる一般に認められた血漿生化学的マーカーに与える影響を評価するために、非盲検、複数投与、投与量増量試験を実施した。
【0082】
方法:
健常な被験者(HS)8人:男性8人、年齢39.9±4.0才、本態性高血圧症患者(HT)8人:男性5人、女性3人、年齢57.6±4.4才、末梢動脈閉塞症患者(PAOD)8人:男性5人、女性3人、年齢55.6±5.1才に、3種類の量の新薬候補化合物(300、600、1200 mg)をそれぞれ7日間にわたり6時間絶食後に経口投与した。
【0083】
結果および生化学的マーカー
選択したマーカーは、心血管リスク評価に関係するものと認められている。それらは高感受性 C-反応性タンパク質(hs-CRP)、 HDL-コレステロール、総コレステロール、LDL-コレステロール、トリグリセリド、および血圧である。これらは広範な臨床検査値のグループの一部である。
【0084】
発表済みの信頼できる研究を考慮に入れると、被験者におけるこれらの結果の解釈は、特殊海藻抽出粉末およびL-アルギニン化合物の投与により、めざましい血管保護効果を示した。
【0085】
高血圧被験者全員、PAOD被験者全員、および健常被験者の数人においては、hs-CRPは標準範囲を超えていた。 ベースラインおよび試験終了時(3週間)には、hs-CRP平均濃度は高血圧群およびPAOD群よりも健常群の方が低かった。
【0086】
図4に示すように、ベースラインから試験終了時までに、全群でhs-CRPは減少した。すべてのhs-CRPの4分位数は、LDLコレステロールレベルにかかわらず、増加した心血管イベントとの相関を示している。
【0087】
試験中、健常被験者の87% はhs-CRP の低下(最大43%の低下)を示し、高血圧被験者の75%およびPAOD被験者の62%はhs-CRPの低下を示した。通常の3倍のhs-CRPレベルを有する全試験患者の80%は、試験中にレベルが低下した。最も高いレベルを有する被験者は、ベースラインレベルに対して最大70%もの減少を示した。
【0088】
文献には、hs-CRP が30−40%低下すると、心臓発作および脳梗塞のリスクが少なくとも30%減少することが示されている。
【0089】
【表5】

【0090】
HDL-コレステロールについては、ほとんどすべての被験者群が標準範囲にあった。しかしながら、各被験者群に上昇が認められた。すべての健常被験者は、試験中にベースライン値に対してHDLレベル上昇が認められた。健常被験者においては、試験中の7日以内に38%ものHDLレベル上昇が観察された。試験中に、高血圧被験者の半数はHDLレベル上昇(最大28%の上昇)を示し、PAOD被験者の半分はHDLレベル上昇(最大15%の上昇)を示した。図5に示すように、試験結果から海藻抽出物および窒素ドナーアルギニンの併用によりHDLは7−8mg/dl上昇した。文献によれば、HDLが1%増加すると心臓発作のような有害な冠動脈イベントのリスクが3%減少することを示しており、このことからリスクはさらに24%減少することになる。
【0091】
総コレステロールについては、 試験を通じて、全群のすべての測定値の大多数は標準範囲を超えていた。第2期で、健常群およびPOAD群は、平均的増加を示し、第3期の終期にかけてやや減少した。第1期を通じて、高血圧群はわずかな平均的増加を示し、第2、第3期で減少し、第1期の終期から第3期の終期にかけて9%の減少を示した。第3期の終期では、高血圧群はPOAD群よりも低かった。
【0092】
【表6】

【0093】
LDLコレステロールについては、試験を通じて、全被験者での全測定値の約半分が標準範囲を超えていた。試験を通じて健常群およびPAOD群はやや平均増加を示した。図6の総コレステロールの結果に反映されているように、高血圧群は第1期では増加を示し、第2、第3期で減少し、結果的には第1期の終期から第3期の終期までに9%の減少を示した。 第3期の終期において高血圧群はPOADよりも低い値を示した。
【0094】
【表7】

【0095】
hs-CRPレベルは、LDLレベルよりも心血管イベントの強力な予測因子であることの証明が、益々多く成されている。 しかしながら、hs-CRPとLDLの測定は様々なリスクの高いグループを同定する傾向があるので、これら双方の生物学的マーカーをスクリーニングすれば、どちらか一方のみのスクリーニングに比べて、より適切な診断情報を提供できると考えられる。
【0096】
トリグリセリドについては、試験期間を通じて健常被験者のほとんどすべての測定値は正常範囲にあり、高血圧被験者のほとんどすべての測定値は正常範囲を上回っていた。PAOD被験者群では、試験期間を通じて全測定値のほぼ半数は正常範囲を上回っていた。
【0097】
【表8】

【0098】
図7に示すように、各被験者群は、第1期の終期に示した平均低下は、健常被験者-18%、高血圧被験者-18%、PAOD-8%であった。健常被験者および高血圧被験者はベースラインと比較して第3期の終期に、健常被験者については2%、高血圧被験者については11%の低下を示した。PAOD被験者は、ベースラインと比較すると第3期の終期に+10%の上昇を示した。本試験は、この化合物がトリグラセリドを50mg/dl低下させることを示している。これは、少なくともリスクを20%減少させることを意味する。
【0099】
血管拡張は動脈の正常状態であり、動脈の変形抵抗損傷および異常な平滑筋成長を最小限にとどめる。海藻抽出物とL-アルギニンとからなる新薬候補物質が誘発する血管拡張により、投与後の平均収縮期血圧は健常被験者で最大11mmHg、高血圧被験者で最大15mmHg、PAOD被験者群で最大22mmHg低下した。投与後の平均拡張期血圧は、健常被験者で最大11mmHg、高血圧被験者で最大8mmHg、PAOD被験者群で最大11mmHg低下した。血圧が、典型的に10−20mm低下していることから明らかなように、すべての試験参加者の血管拡張が証明された。血圧が20mm低下するごとに有害な心血管イベントのリスクは50%減少する。上述の内容は図8、9、10に示した。
【0100】
こうした血管保護効果は、互いの相乗効果により、スタチン系薬剤の投与による30−35%の効果に付加的に作用するものと考えられる。
【0101】
作用機序
作用機序に拘束されずに、海藻とL-アルギニンの化合物は、内皮細胞に直接摂取され、選択的に結合することから内皮調整薬であるとされている。
【0102】
正常なヒト被験者における結果が証明するように、海藻とL-アルギニンの化合物を投与することによって内皮機能が高められると、明らかな疾病に対する前に、正常な血管保護機能が強化され、正常な血管機能が保護される。
【0103】
従って、本発明の目的が達成されたことは明らかである。第1に、本発明の方法と組成物は非常に有効な抗血栓活性および細胞表面凝固群に対するその他の抑制効果や、血栓形成阻害効果を有する。急速な心血管動脈硬化症、高血圧、糖尿病性腎症、および鬱血性心不全が、糖尿病の過程における長期合併症であることは、よく知られている。これらの疾患は、それぞれeNOS活性の低下、自由ラジカル生成の増加、血栓形成活性の亢進を伴い、そのために血栓性および虚血性の合併症を伴う。
【0104】
第2に、海藻抽出物は植物細胞から得られるので、狂牛病のような潜在的致命的な重篤なプリオン病に感染する可能性はない。
【0105】
第3に、海藻抽出物は、血小板第4因子を活性化する可能性はなく、ヘパリン投与の場合に見られるような血小板の免疫複合体を破壊することはない。
【0106】
第4に、海藻抽出物は、透析、バイパス手術、哺乳類やヒトに使用するポリマーチューブコーティングおよび装置等の、全身的(非血漿の)抗凝固活性を必要とする用途に使用するヘパリンの機能的な置換体である。
【0107】
第5に、海藻抽出組成物は、植物細胞から抽出されるので、動物細胞から得られたヘパリンと比較してペプチド残基が少なく、したがって、アレルギー反応傾向が低く、免疫特性も少ない。
【0108】
第6に、本発明の海藻抽出物は、血漿中のC-反応性タンパク質レベルを低下させる。
第7に、本発明の海藻抽出物は、血漿中のLDLレベルを低下させ、および/またはHDLレベルを上昇させ、血管を含む健全な心血管機能を維持する。
【0109】
本発明の範囲内において、多くの修正、派生、改良が可能であることは、当業者には容易に理解することができる。こうした修正、派生、および改良は、ここに添付した請求項による全範囲の保護に見合うものでなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】コントロール群とヘパリンおよび各種用量の硫酸化海藻抽出物、ラムナン硫酸とを比較した図である。
【図2】コントロール群と、各種用量の硫酸化海藻抽出物、ラムナン硫酸、およびL−アルギニンとを比較した図である。
【図3】硫酸化海藻抽出物、ラムナン硫酸(多糖類または藻類多糖類)、およびアルギニンのラムナン硫酸塩の化学的描写である。
【図4】発明の組成物の随意実施様態が、健常なヒト被験者、高血圧のヒト被験者、および末梢動脈閉塞のヒト被験者のC反応性タンパク質(CRP)レベルに及ぼす効果を示す図である。
【図5】発明の組成物の随意実施態様が、健常なヒト被験者、高血圧のヒト被験者、および末梢動脈閉塞のヒト被験者の高密度リポタンパク質(HDL)レベルに及ぼす効果を示す図である。
【図6】発明の組成物の随意実施態様が、健常なヒト被験者、高血圧のヒト被験者、および末梢動脈閉塞のヒト被験者の低密度リポタンパク質(HDL)レベルに及ぼす効果を示す図である。
【図7】発明の組成物の随意実施態様が、健常なヒト被験者、高血圧のヒト被験者、および末梢動脈閉塞のヒト被験者のトリグリセリドレベルに及ぼす効果を示す図である。
【図8】発明の組成物の随意実施態様が、健常なヒト被験者、高血圧のヒト被験者、および末梢動脈閉塞のヒト被験者の収縮期または拡張期血圧レベルに及ぼす効果を示す図である。
【図9】発明の組成物の随意実施態様が、健常なヒト被験者、高血圧のヒト被験者、および末梢動脈閉塞のヒト被験者の収縮期または拡張期血圧レベルに及ぼす効果を示す図である。
【図10】発明の組成物の随意実施態様が、健常なヒト被験者、高血圧のヒト被験者、および末梢動脈閉塞のヒト被験者の収縮期または拡張期血圧レベルに及ぼす効果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効投薬量の海藻抽出物を哺乳類に投与するステップを含むことを特徴とする2型糖尿病とその合併症に対する予防又は治療方法。
【請求項2】
前記海藻は、褐藻、紅藻および緑藻類からなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記海藻抽出物は、多糖類を含有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記多糖類は、ラムノース、キシロース、ガラクトースおよびマンノースを単体か、またはそれらの組合せからなる群より選択されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記海藻抽出物は、約63mol%から78mol%の前記ラムノースを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記海藻抽出物は、約6.5mol%から9.2mol%の前記キシロースを含有していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ラムノースおよび前記キシロースは、前記キシロース1に対して前記ラムノース約12から前記キシロース1に対して前記ラムノース約8の間の割合の量で、前記海藻抽出物中に存在していることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記褐藻は、ブラダーラック、ヒバマタ、ブラジル産コンブまたはノルウェイ産ケルブを含む群より選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記緑藻は、ヒトエグサ、モツキヒトエ、エゾヒトエグサ、ヒロハノヒトエグサ、シワヒトエグサ、アオヒトエグサ、ウスヒトエグサ、ヒラアオノリ、ナガアオサ、アナアオサ、アサミドリシオグサ、アオタマリシオグサ、フトジュズモ、ホソジュズモ、モツレグサ、ミル、クロミル、ヒラミルもしくはフサイワズタを含む群より選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記2型糖尿病合併症は、神経障害、腎障害、動脈硬化症、蛋白尿を有する群より選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記2型糖尿病は、内皮機能障害を原因とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、前記海藻抽出物と窒素ドナーとの併用投与を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記窒素ドナーは、L−アルギニンとリシンからなる群より選択されることを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記海藻抽出物は、経口投与されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記海藻抽出物は食品類と混合され前記食品類は、シリアル、パン、飲料、棒状健康食品、ジュース、濃縮果汁、缶詰の食品、アイスクリーム、水または、小麦、トウモロコシ、大麦、カラスムギなどを原料とした、様々な形状の食品、または砂糖やアスコルビン酸などの風味料を含む群から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記海藻抽出物の1日投薬量は、約2000IUから200000IUの間のヘパリン活性にあたることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記海藻抽出物の1日投薬量は、約5000IUから20000IUの間のヘパリン活性にあたることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記海藻抽出物の1日投薬量は、約8000IUから12000IUの間のヘパリン活性にあたることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記海藻抽出物の1日投薬量は、約7.5mg/kgであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項20】
前記海藻抽出物の投薬量は、反復して投与されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項21】
前記哺乳類の血漿の抗凝固活性は、はっきり認められる程は上昇しないことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
患者の、前記2型糖尿病およびその合併症に対する治療のための組成物であって、有効量内のある量の前記海藻抽出物と前記窒素ドナーとを含むことを特徴とする組成物。
【請求項23】
前記海藻は褐藻、紅藻および緑藻類からなる群より選択されることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
前記褐藻は、ブラダーラック、ヒバマタ、ブラジル産コンブまたはノルウェイ産ケルブを含む群より選択されることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
前記緑藻は、ヒトエグサ、モツキヒトエ、エゾヒトエグサ、ヒロハノヒトエグサ、シワヒトエグサ、アオヒトエグサ、ウスヒトエグサ、ヒラアオノリ、ナガアオサ、アナアオサ、アサミドリシオグサ、アオタマリシオグサ、フトジュズモ、ホソジュズモ、モツレグサ、ミル、クロミル、ヒラミルもしくはフサイワズタを含む群より選択されることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項26】
前記海藻抽出物は多糖類を含有していることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項27】
前記海藻抽出物は硫酸化されていることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項28】
前記多糖類は、ラムノース、キシロース、ガラクトースおよびマンノースを単体か、それらの組合せからなる群より選択されることを特徴とする請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記海藻抽出物は、約63mol%から78mol%のラムノースを含有していることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項30】
前記海藻抽出物は、約6.5mol%から9.2mol%のキシロースを含有していることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項31】
前記ラムノースおよび前記キシロースは、前記キシロース1に対して前記ラムノース約12から前記キシロース1に対して前記ラムノース約8の間の割合の量で、前記海藻抽出物中に存在していることを特徴とする請求項28に記載の組成物。
【請求項32】
前記海藻抽出物は、前記食品類と混合されることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項33】
前記食品類は、前記シリアル、パン、飲料、棒状健康食品、ジュース、濃縮果汁、缶詰の食品、アイスクリーム、水または、小麦、トウモロコシ、大麦、カラスムギなどを原料とした、いろいろな形状の食品、または砂糖やアスコルビン酸などの風味料を含む群から選択されることを特徴とする請求項32に記載の組成物。
【請求項34】
前記海藻抽出物の1日投与量は、約2000IUから200000IUの間のヘパリン活性にあたることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項35】
前記海藻抽出物の1日投与量は、約5000IUから20000IUの間のヘパリン活性にあたることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項36】
前記海藻抽出物の1日投与量は、約8000IUから12000IUの間のヘパリン活性にあたることを特徴とする請求項22に記載の組成物。
【請求項37】
前記窒素ドナーは、前記L−アルギニンと前記リシンからなる群より選択されることを特徴とする請求項23に記載の組成物。
【請求項38】
請求項22に記載の組成物を使用することを特徴とする2型糖尿病とその合併症に対する予防又は治療方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−516225(P2007−516225A)
【公表日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532991(P2006−532991)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/014865
【国際公開番号】WO2004/103280
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(505375366)エンドゥマトリクス,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】ENDOMATRIX,INC.
【Fターム(参考)】