説明

糖尿病管理装置

【課題】患者の血糖制御を可能とする装置を提供すること。
【解決手段】患者の血糖制御を可能とする装置は、インスリン送達手段(12)、グルコース検知器(16)および制御手段(14)を備えてなる。該制御手段(14)は、グルコース値記録をグルコース検知器(16)から受取り、予め設定される時間における将来のグルコース値を予測するアルゴリズムを実行し、その予測されたグルコース値と予め設定されるグルコース値範囲とを比較し、そして予測されたグルコース値が予め設定されるグルコース値範囲の範囲外にある場合にはインスリンの調整量を決定する処理手段を備えている。該制御手段(14)はまた、調整量を送達手段に伝える伝達手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糖尿病を管理するための装置に関する。さらに詳細には、本発明は、糖尿病の治療における患者へのインスリン投与のタイミングおよび量を決定するための自動化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
通常、インスリン治療は、グルコースレベルを管理するためのインスリン勧告を行なうために、定期的なグルコース測定を実施するという一連の規定に基づいている。その規定は、炭水化物、インスリンおよび運動に対する個々の患者の反応の推定値に基づく。実際に、それらの規定は、初期治療を提供するために用いられている。ついで、患者はヘルスケアプロバイダーの助けをかりて、現在までに達した血糖(glycemic)結果を解析することにより、その治療を個別化する。そのデータは、運動、食料消費量、インスリン量およびグルコース測定値に関して患者が保存する書き込み式または電子的な日誌のかたちにしておく。その規定は、経験および異常なグルコース値に基づき、インスリンおよび/または炭水化物を投与するために用いられる。その治療により血中グルコース低下制御が達成されると、通常、規定は更新される。
【0003】
電子工学的糖尿病管理装置は、インスリン投与管理の手段の面で患者を助けるために開発されてきた。たとえば、特許文献1〜4を参照のこと。また、ヨーロッパ出願公開第1102194号公報をも参照のこと。その開示は、本明細書で引用することにより取り込まれている。
【0004】
【特許文献1】米国特許第5,019,974号明細書
【特許文献2】米国特許第4,731,726号明細書
【特許文献3】米国特許第5,822,715号明細書
【特許文献4】米国特許第5,840,020号明細書
【発明の開示】
【0005】
本発明によると、患者に対する血糖を制御するための装置が提供される。当該装置は、インスリン吐出手段、グルコース検知器および制御手段を備えている。当該制御手段は、グルコース検知器からグルコース値記録を受けとり、予め設定された時間における将来のグルコース値を予測するアルゴリズムを実行し、予測グルコース値と予め設定されたグルコース値範囲とを比較し、そしてその予測グルコース値が予め設定されたグルコース値範囲の範囲外にある場合には投与されるべきインスリンの調整量(corrective amount)を決定する、処理手段を含む。当該制御手段はまた、その調整量を吐出手段に伝える通信手段を含む。少なくとも1つの実施態様において、つぎの等式に基づく予測モデルが提供される。ΔG=−(TotalInsuRemain−BasalReq)×感受性。当該等式において、ΔGは、予め設定される時間におけるグルコースレベルの将来の変化であり、TotalInsuRemainは、現時点において患者の身体に残存するインスリンの量であり、BasalReqは、患者がその予め設定された時間に必要とすることが予想されるインスリンの量であり、そして感受性は、インスリン感受性である。
【0006】
さらに、患者に対する血糖制御をするための装置が、本発明により提供される。その装置は、患者のグルコース測定値を処理するために構成された検知器、インスリン感受性およびインスリン基底量に関して患者からデータを受けとるために構成された処理手段を備えており、当該検知器からのグルコース測定値と当該データとに基づいて、予め設定された時間における将来の患者のグルコースレベルの予測値を出すアルゴリズムを実行し、そしてその予測値が予め設定された目標範囲の範囲外にある場合には調整作用(将来の血中グルコースレベルを正常な範囲に至らしめる目的のインスリンの投与またはグルコースの消費)を算出する。当該装置はまた、制御手段と通信するインスリン吐出手段を含む。当該吐出手段は、制御手段の算出した調整作用に基づき、患者にインスリンの投与量を自動的に投与するために構成されている。なお、インスリン基底量は、炭水化物の消費とは独立して投与されるインスリンの基本量を意味するものであり、身体が要求するインスリンの基礎レベルである。
【0007】
さらに本発明によると、患者に対する血糖制御のための方法が提供される。当該方法は、患者のグルコース値を測定する工程、および当該グルコース値を少なくとも1つの処理に入力する工程を含む。少なくとも1つの処理が構成されることにより、患者に前もって吐出されたインスリンの将来の効果を予想する少なくとも1つのアルゴリズムを実行し、インスリン吐出に関する抑制(インスリン吐出のために予め設定される最小値と最大値)とグルコース偏差とを組み込み、そしてその予測グルコース値が予め設定されたグルコース値範囲の範囲外にある場合には投与すべきインスリンの調整量を決定する。つぎに、所望のインスリン用量は、自動的に患者に吐出され、その決定および入力の両工程が繰り返される。
【0008】
さらに、患者に対する血糖制御のための装置が提供される。当該装置は、患者にインスリンを吐出するための手段、当該患者からグルコース値を測定するための手段、およびそのグルコース値と予め設定されたグルコース値範囲とを比較するために構成される処理手段を備える制御手段を備えている。当該処理手段はまた、その予測グルコース値が予め設定されたグルコース値範囲の範囲外にある場合には投与すべきインスリンの調整量を決定し、そしてその調整量を吐出手段に伝えるために構成される。
【0009】
本発明のほかの実施態様によると、予め設定された時間における患者の将来のグルコース値を予測するための装置が提供される。当該装置は、ΔG=−(TotalInsuRemain−BasalReq)×感受性のアルゴリズムによって将来のグルコース値を予測するために構成される処理手段を備える制御手段を備えている。当該アルゴリズムにおいて、ΔGは、予め設定される時間におけるグルコースレベルの将来の変化であり、TotalInsuRemainは、現時において患者の身体に残存するインスリンの量であり、そしてBasalReqは、患者が現時のグルコースレベルを維持するために必要とすることが予想されるインスリンの量であり、そして感受性は、インスリン感受性である。
【0010】
本発明のさらなるほかの実施態様によると、患者に対する食事を補償するインスリン量を勧告するための装置が提供される。当該装置は、用量=炭水化物×インスリン対carb比(insulin-to-carb ratio)×α食事の型−インターセプト(intercept)であるフィードフォワードアルゴリズム(feedforward algorithm)によって食事を補償するために構成される処理手段を備える制御手段を備えている。当該アルゴリズムにおいて、用量はインスリン用量であり、炭水化物は炭水化物のグラム数であり、インスリン対carb比はインスリン対炭水化物比であり、α食事の型は食事に依存する測定要素(meal dependent scaling factor)であり、そしてインターセプトは、食事のサイズに対して線形(リニア)の適合性を可能にするためのインターセプトである。
【0011】
本発明のさらなる特徴は、本発明を実施するための最良の形態を具体的に示す好ましい実施態様からなる以下の詳細な説明を考慮することにより、当業者に明らかとなるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
糖尿病患者は、継続的な治療決定を提示され、疾患を効率的に管理する。この管理には、食事、運動、インスリン、ストレス、アルコール、薬物、ホルモン、病気、および複雑な経路で関連する多くのほかの要素に対する患者の応答を理解する必要がある。管理には、複雑な計算、グルコース測定およびインスリン注射を必要とする。
【0013】
疾患を管理するための努力において、個人は、一日に複数回のグルコース測定から、継続的なグルコース監視へと移行することを選択してもよい。本発明の装置は、継続的な監視をともなう管理を可能とする、血糖制御のための継続的なフィードバックをアルゴリズムに取り入れている。本発明の1つの実施態様は、皮下グルコース監視および即効作用性インスリン(たとえば、HUMALOG(登録商標)、イーライリリー社(Eli Lilly and Company)、インディアナポリス、インディアナ、またはNOVORAPID(登録商標)、ノボノルディスクA/S社(Novo Nordisk A/S)、バグスバード(Bagsvaerd)、デンマーク)の皮下吐出に関する。生理学的状態の時間依存性の変化量にくわえ、制御アルゴリズムは、吐出面の遅延(末梢吐出のためのインスリン作用の遅延)および測定面の遅延(物質的な遅れまたは技術に関連する遅れ、ならびに皮下と血管とのあいだの生理学的遅れ)を補償する。とくに食事および身体的活動の障害誘発(disturbance challenges)のもとで、許容し得る血糖制御を達成するために、フィードバックに基づくインスリン用量調節がフィードバックアルゴリズムに用いられる。さらに、フィードフォワードアルゴリズムに、懸案の食事を予め通知する。その通知は一般に、摂取すべき食事のサイズ(炭水化物量)および食事の型(食事の相対速度)についての情報を含む。
【0014】
すなわち、本発明の装置は、本来の正常な血糖制御を用い、最小の干渉で、糖尿病を個人で管理することができる。本装置は、インスリン投与の時期および量ならびに好ましくは炭水化物摂取勧告を決定するために、間質(interstitial)グルコース値および投与されるインスリンに関する量的および質的情報を用いる。食事、運動、ストレス、病気およびアルコール消費量などのさらなる情報もまた、本開示にしたがって、本装置に使用されてもよい。好ましい実施態様において、本発明の装置は、現行の治療に修正を入れるために過去のデータを解析する。
【0015】
本発明の装置10は、インスリン吐出手段12、グルコース検知器16、および制御手段14を備えている。図1を参照のこと。糖尿病における間質グルコースの濃度は、外因的な影響(たとえば、インスリン投与、食事および運動を含むが、これに限定されない)のために変化する。検知器16はグルコースを測定し、そして制御手段14にその値を報告する。制御手段14は、予め設定される目標範囲内にグルコースレベルを正常化するために、投与する適当な量のインスリンを決定することによって、測定されたグルコースレベルに応答する。グルコースに対するこの目標範囲は、約60mg/dlから約250mg/dlまで、好ましくは約80mg/dlから約210mg/dlまで、最もこのましくは約90mg/dlから約150mg/dlまでである。しかしながら、目標範囲は、患者の個人の必要性に基づき、当該開示の約60mg/dlから約250mg/dlまでの範囲を超えてもよいことが理解され得る。ついで、制御手段14は、患者に適当な量のインスリンを投与するべく吐出手段12を制御する。
【0016】
少なくとも1つの実施態様において、制御手段14はまた、フィードバックおよびフィードフォワードアルゴリズム、グルコース濃度、ならびに投与回数および投与されるインスリンの量を記憶手段として機能するメモリーに格納する。メモリーはまた、消費される炭水化物、その炭水化物が消費された回数、ならびに患者により実施された運動の期間および強度をも格納することが、さらに理解され得る。このメモリーは、記憶素子とともに構成される。たとえば、先行技術において周知であるRAMなどが知られているが、これに限定されない。
【0017】
本発明の装置は、特殊化された治療レベルにおいて安定状態のグルコースレベル(G)を維持することを要求される患者に対するインスリン基底量が存在する、という仮定に基づいて作動する。当該基底量は、固定値または時間により変動する値のどちらかであることが理解される。当該基底量に基づき、所望のグルコースレベルの目的範囲を達成するために、インスリン注入量を選択することが可能である。本発明の装置は、目標範囲内にグルコースレベルを保持するために、インスリン投与量勧告をする際に、予め設定された基底量を使用する。当該基底量は個別化されており、さまざまな周知の方法を用いて決定され得ることが理解される。
【0018】
インスリン吐出装置12は、制御手段14の算出した調整作用に基づき、インスリンの投与量を自動的に患者に投与するために構成される。吐出手段12の動作は、制御手段14からの患者特異的勧告に依存し、予め設定された時間間隔またはサイクルで行なわれる。当該開示により、手段12はさまざまなインスリン用量を吐出し得ることが理解される。一般に、インスリン投与量は、1サイクル当たり0Uから約15Uまでの範囲にわたり、これは、算出された患者のインスリン必要度に基づく。それらの時間間隔またはサイクル数はさまざまであることが理解され、適当な時間間隔として、約1分から約1時間の範囲にわたり、好ましくは5分から約30分、最も好ましくは約10分をあげることができるが、これらに限定されない。吐出装置12は、継続型装置(たとえば「インスリンポンプ」)、半継続的装置または不連続吐出装置であり得る。さらに、吐出手段12は、本開示にしたがい、商業的に入手可能はさまざまな吐出手段のいずれか1つであり得る。好ましい半継続的吐出手段として、ディセトロニックメディカルシステムズインコーポレイテッド(Disetronic Medical Systems, Inc.)、セントポール、ミネソタから商業的に入手し得るH−トロンインスリンポンプをあげることができるが、これらに限定されない。好ましい不連続吐出手段として、BD、フランクリンレイクス、ニュージャージーから商業的に入手し得るB−D(登録商標)PENインスリン吐出装置、およびイーライリリー社、インディアナポリス、インディアナから商業的に入手可能なザ リリー ペン(the Lilly Pen)をあげることができるが、これらに限定されない。
【0019】
グルコース検知器16は、試験のために、患者から体液試料を採取する。検知器16の作業工程は、予め設定された時間間隔またはサイクル数で行なわれる。その時間間隔は、好ましくは吐出手段12の動作の時間間隔に一致する。使用において、検知器16は、約1分から約1時間ごとに、より好ましくは約5分から約20分ごとに、最も好ましくは約10分ごとに、患者からサンプルを採取する。検知器16は、継続的なグルコース検知手段、半継続的なグルコース検知手段、または不連続なグルコース検知手段であり得る。さらに、好ましいグルコースの検知器は、電気化学的、微量透析(microdialysis)、経皮的、または非侵襲的であってもよい。
【0020】
たとえば、電気化学的なグルコース検知器においては、たとえば、患者によって指先から採取された毛細血管の血液試料におけるグルコース濃度が測定され、ついで試験成分に適用され得ることが知られている。血液採取に基づく装置は、米国特許第5,288,636号明細書;同第5,053,199号明細書;同5,366,609号明細書;および同4,891,319号明細書に記載されている。それらの開示は、引用することにより本明細書によって取りこまれている。グルコース値を決定するために、電気化学的測定検知器を体内(たとえば、脈管内、間質)に埋め込むこともまた可能である。たとえば、カリフォルニア州、ノースリッジのミニメドインコーポレイテッド(MiniMed Inc.)から商業的に入手可能なミニメド継続的グルコース監視装置−CGMS−を参照のこと。
【0021】
グルコース値の測定に対するほかの可能性は、間質の流体の測定に基づく。薄いカニューレを介して少量の間質の流体を採取し、ついで分析することができる装置は知られている。皮下測定を実施するために、微量透析または限外濾過を実施し得る小型化カテーテルを埋め込むこともまた可能であるので、測定結果は短い間隔で提供され得る。微量透析に基づく装置は、米国特許第5,174,291号明細書に記載されており、その開示は引用することにより本明細書に取りこまれている。限外濾過に基づく装置は、米国特許第4,777,953号明細書に記載されており、その開示は引用することにより本明細書に取りこまれている。埋め込み可能な検知器の例は、米国特許第6,049,727号明細書に開示されており、その開示は引用することにより本明細書に取りこまれている。
【0022】
さらに、本開示によれば、非侵襲的検知器が好ましい。たとえば、そのような既知の検知器は、シグナスインコーポレイテッド(Cygnus, Inc.)、レッドウッドシティー、CAから商業的に入手可能なGLUCOWATCH(登録商標)バイオグラファーならびに米国特許第5,730,714号明細書、同第5,222,496号明細書および同第6,061,582号明細書に記載の検知器を含むが、これに限定されない。それぞれの開示は引用することによって本明細書に取りこまれている。本開示によると、検知器16は、さまざまなインビボまたはインビトロ検知器のいずれか1つであり得る。試料は度々患者から採取されるので、前述のCGMSなどのように、検知器16は患者に埋め込まれるのが好ましい。
【0023】
通常、検知器16は即時にグルコース記録を出さず、むしろ、試料を患者から抽出する時間と手段14の使用によりグルコース測定値が入手可能である時間とのあいだに、一定の時間が経過する。この時間の遅延は約1分から約45分にわたり、より典型的には約5分から約30分であり、最も典型的には、グルコース測定に対する時間の遅延は約5分から約15分である。この時間の遅延が存在することを本発明の装置は認識しており、そしてその遅延を補償または修正するために制御手段14が構成されている。また、この時間の遅延を減らすまたは排除する検知器を本発明の装置に使用してもよいことも理解される。
【0024】
制御手段14は、遅発性のグルコース記録、インスリン注入の履歴、基礎的要求(basal requirement)および患者のインスリン感受性に基づき、患者の現時のグルコース値を予測するために構成される。インスリン感受性は、本明細書においては、患者に対して1Uのインスリンが投与される場合のグルコース濃度の予期される低下として定義される。インスリン感受性は患者により異なるものであり、一定の期間にわたり決定されることが理解される。
【0025】
手段14は、インスリン用量勧告を決定するためにアルゴリズムを実行する処理手段、および当該処理手段の勧告を吐出手段12に送る通信手段を含む。たとえば、適当な処理手段は、マイクロプロセッサ、携帯用ラップトップコンピュータまたはメーンフレームコンピュータを包含するが、これに限定されないことが理解される。通信手段は、シリアルポート(serial port)、RFポート、IRポート、超音波モードまたは商業的に入手可能な多くの通信手段の形式であり得る。処理手段および通信手段に電力を供給するための電源の好ましい例として、太陽電池、バッテリー(使い捨て、または再充電可能)、従来の交流電源または本開示にしたがった機械的動力源であり得るが、これらに限定されることはない。処理手段および通信手段は、1つの装置に組み立てられることができ、あるいは、それぞれ配線を介してまたは無線の手段を介して通信する別個の装置とすることもできる(IRリンクまたはRFリンク)ことが理解される。
【0026】
制御手段14の処理手段は、マイクロプロセッサである。マイクロプロセッサは、多くの商業的に入手可能なマイクロプロセッサであってもよいことが理解される。たとえば、好ましいマイクロプロセッサは、ディスプレーを備えるパーソナルデジタルアシスタント(PDA)を包含するが、これに限定されない。ディスプレーは、患者がデータを入力し、そして制御手段14からデータを検討することを可能とする。たとえば、制御手段14に表示されるデータは、グルコース値、インスリン用量およびその投与回数、消費されたまたは消費されるべき炭水化物およびそれらが消費される回数、ならびに実行されたまたは実行されるべき運動、運動の期間および運動の強度を含むが、これに限定されない。さらに、たとえば、ディスプレーは、本開示にしたがって、映像ディスプレー手段および/または聴覚的/振動性フィードバック手段を有するデータ入力手段を包含するが、これに限定されない。データはキーボードを介して入力されることもできることが理解される。
【0027】
処理手段および通信手段にくわえ、本発明の制御手段14は、好ましくは記憶手段として機能するメモリーを備える。メモリーは、アルゴリズム、グルコース濃度、投与されるインスリン量、投与回数、消費される炭水化物、炭水化物が消費される回数、ならびに患者により実施される運動の期間および強度を格納する。記憶手段は、記憶素子により構成され、たとえば、先行技術において周知であるRAM手段、ディスクドライブ手段、ハードディスクドライブ手段、テープドライブ手段またはほかのデータ格納手段を包含するが、これに限定されない。記憶手段は、処理手段および通信手段を有する集積体(integral)よりはむしろ、別個の部品とするのがよいことが理解される。
【0028】
記憶手段は、配線手段または無線手段を介して(IRリンクまたはRFリンク)、処理手段および通信手段に通信することができる。制御手段14の処理手段は、記憶手段に格納されているフィードバックアルゴリズムを使用することにより検知器における時間の遅れを説明したのちに、時間をかけて、グルコースの低下を予想する。その低下に基づき、処理手段は、予め設定された時間において予め設定された将来の目標グルコースレベルに到達するために、患者に追加のインスリンを投与するための勧告を行なう。好ましい実施態様において、のちに議論されるが、処理手段はまた、食事に関連する情報および患者のグルコース−インスリン薬力学の変動のために補償をする、記憶手段に格納されたフィードフォワードアルゴリズムを使用する。図5、7および8を参照のこと。
【0029】
本発明の少なくとも1つの実施態様において、制御手段14は2つのレベルのアルゴリズムを用いて作動する。第一のレベルは、基底量制御または記憶手段に格納されるフィードバックアルゴリズムである。第二のレベルは、食事および/または運動に対する補償制御、または記憶手段に格納されるフィードフォワードアルゴリズムである。図5、7および8を参照のこと。フィードバックアルゴリズムは、個別化された治療レベルで安定状態のグルコースレベルを維持することを要求される患者に対するインスリン基底量が存在するという仮定に基づき作動することが理解される。その予め設定される基底量は、インスリン量勧告を行なう際に、フィードバックアルゴリズムにより使用される。フィードバックアルゴリズムは、将来のグルコース値の予測から、食事および運動に対するインスリン等価物を除く。食事を処理するインスリン量に対する勧告は、患者の経験(炭水化物/インスリン比または固定量)に基づいて行なわれ、そして制御手段14に使用されるフィードバックアルゴリズムの外部へ展開する。
【0030】
フィードフォワードアルゴリズムにおいて、投与されるインスリン量は、食事において摂取される炭水化物を、完全に押さえるまたは中和する(または予め設定された範囲のグルコース値に一定期間少なくとも安定する)ことが予想される。フィードフォワードアルゴリズムは、分類された食事に対する適当なインスリン量の決定を行なうために、患者の履歴データを再処理する。同様に、運動が原因のインスリン量の減少は、分類された運動に対する適当なインスリン量の減少を決定するための履歴データに基づく。制御手段14の処理手段によって使用されるフィードバックアルゴリズムは、それらのフィードフォワード食事関連インスリン量または運動関連インスリン減少の効果を参照しない。
【0031】
制御手段14は、予め設定された時間における患者の将来のグルコースレベルを予測するために、予測モデルにおいてフィードバックアルゴリズムを使用する。フィードバックアルゴリズムは、等式(1〜3)により説明される。まず、等式(1)は、以下のように、現時のグルコース値を予測するために(グルコース測定において予期される遅延のため)使用される。
【0032】
【数1】

【0033】
当該等式において、G(i)は過去のグルコース濃度iサイクル数であり、iはサイクルであり、InsuTrace(i)は、過去に投与されたインスリン(食事関連インスリン量および運動関連インスリン減少を除く)の規格化された一連のパルスであり、InsulinDurationはインスリンの全作用時間であり、InsuGluDrop(i)は、過去の時間において吐出されたインスリンが原因でつぎのサイクルで低下することが予期されるグルコース量であり、ΔTはサイクル間の時間間隔(分)であり、BasalRequirement(i)は、障害がない場合に現時のグルコースを維持するためにi回目のサイクルにおいて要求されるインスリン量であり、感受性は、インスリン1Uに対して予期されるグルコース低下の規模である。
【0034】
つぎに、制御手段14は、等式(2)にしたがい、グルコースレベルの将来の変化を予測する。
(2)ΔG=−(TotalInsuRemain−BasalReq)×感受性
当該等式において、ΔGは、グルコースレベルの予期される将来の変化であり、TotalInsuRemainは、患者の身体に残存するインスリンの予期される量(食事に関連する量および運動による量減少を除く)であり、BasalReqは、患者が必要とすることが予想されるインスリンの量である。
【0035】
ついで、制御手段14は、等式(3)を用い、インスリン作用時間すべてにおいて目標範囲のグルコースレベルに到達するために勧告されるインスリン量を作成する。
(3)InsuRecommend=[G(0)+ΔG−目標]/感受性+BasalNeedPerCycle
当該等式において、InsuRecommendは勧告されるインスリン量であり、G(0)は予測される現時のグルコースレベルであり、目標はグルコース目標レベルであり、BasalNeedPerCycleは、各サイクル中の患者の基礎的要求である。
【0036】
勧告される用量は、ほぼ0.05Uから0.1U分解能である。本開示にしたがい、勧告される用量は、精密度に異なるレベルがある必要はないが、精密度に異なるレベルがあってもよいことが理解される。
【0037】
フィードバックアルゴリズムから得られる制御手段14の勧告は、吐出手段12に伝えられる。その伝達は、固定された配線により、または好ましくはテレメーターの接続を介して(IRリンクまたはRFリンク)、行なわれ得る。本開示にしたがい、その伝達が、数多くの配線手段または無線手段により行なわれることが理解される。投与されるインスリン量と投与回数とを制御手段14に伝える伝達手段を装着するインスリンポンプなどの吐出手段12を、患者が操作することも可能である。
【0038】
フィードフォワードアルゴリズムは、当該装置に過去のデータを解析させて、そのデータに基づき現行の治療に変更を入れさせる手段14により使用される、インスリン調節モデルの一部である。この調節モデルは、イベントハンドラー(event handler)20、食事補償器(meal compensator)22、基盤コントローラー(basal controller)24および用量ヌリファイア(dose nullifier)26の機能を実行する。図5を参照のこと。実際には、患者に特異的な調節モデルは、基礎的なインスリン要求およびインスリン感受性をあらためて仮定する。個人の履歴に基づき、食事および運動に関する情報を患者が最初に制御手段14に入力することが理解される。調節モデルのフィードフォワードアルゴリズムの概略説明図である図5を参照のこと。調整モデルは、食事に関連する用量のインスリンの配分および量ならびに運動に関して勧告される治療を行なうために患者が提供したデータを修正または改良する手段14により集められた履歴データと、患者が提供するそのデータとを用いる。
【0039】
このように、調整モデルは、処理後に履歴データを使用して更新された設定を開始し、特定の患者に対して作動する。詳細には、履歴データは、特定の患者のインスリンの基礎的要求を除いて、データ群(detaset)からすべてのインスリンを数学的に最初に除去することによって再処理される。調整基底インスリン量が適用されると、患者のグルコースレベルは、絶食のあいだおよび食事前の短期間、ほぼ水平に維持されることが予想される。食事のあいだ、グルコースレベルは時間とともに次第に増加し、運動のあいだのみ減少することが予想される。第二に、インスリン用量の配分および量が決定され、水平なまたは調整された毎日のグルコースプロフィールが規定される(目的のインスリン吐出)。目的のインスリン吐出が決定されると、食事に関連するインスリン配分プロフィールは、特定の患者に対する再処理された履歴事象の平均的な応答から算出される。
【0040】
フィードフォワードアルゴリズムは、強力なインスリン治療/ポンプ治療の一部として使用され、患者のグルコース−インスリン薬力学の変動のために制御手段14に調整を行なわせるとともに、制御手段14が食事に対して補償できるようにする。そのフィードフォワードアルゴリズムはまず、食事に関連しないインスリンの必要性は、基底量により担われると仮定する。その基底量は、その日の間中、固定プロフィールを有する。食事が原因の障害は、インスリン量により補償される。
【0041】
したがって、食事情報の入力に続くサイクルにおいて、グルコース値が予め設定された食事後のグルコース範囲内に維持されている場合、制御手段14は基底量のインスリン量勧告を行なう。つぎのサイクルにおいて制御手段14は、患者により手段14に入力された炭水化物量および速度に基づき、吐出手段16は食事に関連する量のインスリンを投与するほうがよいということを、勧告するであろう。それらの食事に関連するインスリン量のサイズは、手段が再処理する患者の履歴データに基づく。詳細には、その量のサイズは、予想される炭水化物摂取およびインスリン対炭水化物比より決定される。この摂取は、一定であってもよいし、または食事の型もしくは時間に依存してもよい。さらなる仮定は、インスリンの薬物動態および薬力学が初めは母集団ベースであること;インスリン効果の遅延は約4時間から約6時間であること;および、患者に対するインスリン効果の仮定される形状が図6に説明されていることを含む。これらの仮定は単に方向付けであり、本開示にしたがって変更してもよい。さまざまなパラメータが図8においてさらに説明される。インスリン効果曲線は(面積が)1に規格化されている。さらに、投与されるインスリン量プロフィールのグルコース減少効果は、インスリンプロフィールおよびインスリン効果曲線の重畳積分(convolution)として算出され、インスリン感受性と乗ずる。
【0042】
制御手段14は、食事摂取、およびあらゆる食事に関連するインスリン量を無視する(食事後に生じるプロフィールを除く)。さらに、制御手段14は、予測されるグルコース濃度が目標範囲から逸脱しないように作用する。基底の必要性を上回って投与されるインスリンはいずれも、グルコース濃度を低下させることが予想され、そしてインスリン不足はいずれも、グルコース濃度を上昇させることが予想される。制御手段14は、過剰/不足のインスリン、正常化されたインスリン効果およびインスリン感受性から、グルコースの予想される低下/上昇を算出する。グルコース目標範囲は、食後に生じるプロフィールを考慮することができる。
【0043】
制御手段14のフィードフォワードアルゴリズムは、食事補償/等式(4)による投薬を決定するために使用される。
(4)用量=炭水化物×インスリン対carb比×α食事の型−インターセプト
当該アルゴリズムにおいて、用量はインスリン用量合計であり、炭水化物は炭水化物のグラム数であり、インスリン対carb比はインスリン対炭水化物比であり、α食事の型は食事に依存する測定要素(食事補償器)であり、そしてインターセプトは、食事のサイズに対して線形(リニア)の適合性を可能にするためのインターセプトである。
【0044】
用量は、使用者が入力する炭水化物量および好ましくは食事の速度に依存して予め定義されたプロフィールにしたがい、配分される。インスリン配分は、食事のサイズに依存して1から5用量にわたる。しかしながら、インスリン配分は、異なる食事速度を補償するために変更してもよいことが理解される。さらに、図7に示したように、食事の型は一般に、食事の型(朝食、昼食、夕食、および間食)、サイズ(炭水化物の量)、速度(血糖指標または組成:炭水化物/タンパク質/脂肪)および食事の時間に分類される。朝食は、一般に比較的多量のインスリン量、たとえば昼食よりも多量のインスリン量を必要とすると仮定されている。また、インターセプトがしばしばゼロ近くに設定されることも理解される。しかしながら、そのインターセプトは、最初により少なくインスリンを吐出する方法として、または患者に対するインスリン吐出を開始するために食事の基準レベルを設定する方法として使用される。
【0045】
また、等式(5)により定義される抑制があってもよい。
(5)注入量β×基底量
当該等式において、βは最小基底量を定義するフラクション(fraction)である。
【0046】
βは、約0.25から約0.5にわたることが理解される。好ましくは、βは0.5である。この抑制は、一般に一晩使用され、肝臓からのグルコースの過剰産生を最小化するために使用される。最近に多量のインスリン量が投与された場合、および患者が運動している場合に、抑制は妨げられ得ることが予想される。この抑制は単に方向付けであり、本開示にしたがって変更してもよいことが理解される。
【0047】
検知器、吐出手段および制御手段にくわえて、本発明の装置は、さまざまな方法で組み立てられ得るさらなる部品を備えていてもよい。たとえば、さらなる部品の例としては、フィードバック手段、データ処理手段、通信手段、および電源を含むが、これらに限定されない。それらの部品は、1つの装置に組み立てられることができ、あるいは、それぞれ配線を介してまたは無線の手段を介して通信する別個の装置とすることもできる(IRリンクまたはRFリンク)。適当なデータ処理手段は、たとえば、マイクロプロセッサ、携帯用ラップトップコンピュータまたはメーンフレームコンピュータであってもよい。通信手段は、シリアルポート、RFポート、IRポート、超音波モードまたは商業的に入手可能な多くの通信手段の形式であり得る。電源は、太陽電池、バッテリー(使い捨て、または再充電可能)、従来のAC交流電源または本開示にしたがった機械的動力であり得るが、これらに限定されることはない。
【実施例】
【0048】
実施例1
図2に示すように、制限された活動と3回の食事をともなう24時間の制御のあいだ、患者に対してグルコースを記録した。最初の食事を10:00の直線Aで示し、2回目の食事を14:00の直線Bで示し、そして3回目の食事を18:00の直線Cで示す。グルコース値目標範囲は、60mg/dLの直線Dおよび250mg/dLの直線Eで示す。全期間の基準グルコース値は120mg/dLであった。
【0049】
図3を参照すると、グルコース濃度(平均+/−1つの標準偏差)は、それぞれ1日間制御された22人の患者に対してプロットされた。その食事量は、文字A、B、Cでそれぞれ示される食事の時間に1つのボーラス(bolus)であり、食事における炭水化物のグラム数に対する患者のインスリン規定に基づくものであった。線DおよびEは、グルコース値目標範囲を示す。さらに、括弧Fに示すように、本発明にしたがって装置10を実行する前に、患者のグルコース濃度は0:00から8:00までプロットされた。
【0050】
アルゴリズムに対するパラメータは、一連の母集団ベースのパラメータ、ならびに患者のインスリン治療規定および日誌情報に基づく一連の個別化されたパラメータからなる。本実施例において、以前の高密度のグルコース、またはインスリンのデータは、使用されなかった。おそらく、よりよい血糖制御は、数日間のアルゴリズム制御の再考に基づきインスリン治療を適合させた後に、達成され得るであろう。
【0051】
図4は、グルコース濃度(平均+/−1つの標準偏差)が、それぞれ少なくとも1日間制御された12人の患者に由来する合計30実験からプロットされていることを示す。食事量はボーラスで食事の時間10分前に開始し、以前の日誌データまたは制御実験データの解析から決定された算出インスリン対炭水化物比に基づくものであった。食事は、各食事のカロリーの60%が炭水化物由来となるように固定された組成であった。
【0052】
好ましい実施態様に関して本発明は詳細に記載されているが、変更および改良は、特許請求の範囲に記載および定義された本発明の範囲および精神に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】図1は、本発明の装置の概略図である。
【図2】図2は、限定された活動および3度の食事をともなう24時間の制御を実施した日におけるグルコース記録の例を示すグラフである。
【図3】図3は、22人の患者のグルコース濃度を示すグラフであって、患者のインスリン対炭水化物比から各食事に対するインスリンの投薬量が算出された1日間を超えてグルコース濃度を示すグラフである。
【図4】図4は、12人の患者のグルコース濃度を示すグラフであって、(カロリーの60%を炭水化物由来とする食事の)炭水化物のグラム数の手作業の入力からアルゴリズムを経ることにより各食事に対するインスリンの投薬量を算出した1日間(合計30の実験)を超えてグルコース濃度を示すグラフである。
【図5】図5は、フィードフォワードアルゴリズムを用いる装置の概略図である。
【図6】図6は、経験上のアルゴリズム(empirical algorithm)を目的として、患者に対するインスリン効果の仮定の形状を示すグラフである。
【図7】図7は、図5に示す装置の部分の概略図である。
【図8】図8は、図5に示す装置の部分の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン吐出手段、
グルコース検知器、ならびに
グルコース検知器からグルコース値記録を受け取り、予め設定される時間における将来のグルコース値を予測するアルゴリズムを実行し、該予測グルコース値と予め設定されるグルコース値範囲とを比較し、そして該予測グルコース値が予め設定されたグルコース値範囲の範囲外にある場合には投与されるべきインスリンの調整量を決定する処理手段および該調整量を吐出手段に伝える通信手段を備える制御手段
を備えてなる患者の血糖制御のための装置であって、
前記制御装置が、フィードフォワードアルゴリズムを用いて食事を補償するために構成される処理手段を備え、
当該フィードフォワードアルゴリズムが、用量=炭水化物×インスリン対carb比×α食事の型−インターセプト
によって表され、
前記用量は全インスリン用量であり、炭水化物は炭水化物のグラム数であり、インスリン対carb比はインスリン対炭水化物比であり、α食事の型は食事に依存する測定要素であり、そしてインターセプトは、食事のサイズに対して線形(リニア)の適合性を可能にするためのインターセプトである装置。
【請求項2】
前記アルゴリズムが、以下の等式:
ΔG=−(TotalInsuRemain−BasalReq)×感受性
(ΔGは、予め設定される時間におけるグルコースレベルの将来の変化であり、TotalInsuRemainは、現時において患者の身体に残存するインスリンの量であり、そしてBasalReqは、患者が現時で必要とすることが予想されるインスリンの量であり、および感受性は、インスリン感受性である)
を含む請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記処理手段が、
つぎの等式:
注入量>β×基底量
(βは最小基底量を定義するフラクションである)
により定義される抑制を前記フィードフォワードアルゴリズムに提供するために構成される請求項1記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−175227(P2006−175227A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−360620(P2005−360620)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【分割の表示】特願2002−222013(P2002−222013)の分割
【原出願日】平成14年7月30日(2002.7.30)
【出願人】(501205108)エフ ホフマン−ラ ロッシュ アクチェン ゲゼルシャフト (285)
【Fターム(参考)】