説明

糖鎖合成の検査法

【課題】 様々な対象物質が、糖鎖合成に与える影響を、検出する方法を提供する。
【解決手段】 調べたい対象物質の存在下において、培養細胞に糖鎖プライマーを投与し、培養することにより、伸長された糖鎖伸長化合物について、その量、組成、その他の性質を分析することで、対象物質が、糖鎖合成に与える影響を検出することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品等の化合物が糖鎖合成に与える影響を検査する方法に関し、より詳しくは、細胞に与えられた糖鎖プライマーからの伸長物をモニタリングすることにより、細胞の糖鎖合成への影響を簡便に調べる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
糖鎖は構造が複雑であり、同じ生体分子であるDNAやタンパク質よりも産業上の利用の為の開発が遅れている。しかし、近年、糖鎖の研究が急速に進展し、産業上の利用への模索も進められてきている。特に、細胞分化、ガン化、免疫反応等への糖鎖の関わりについて新しい事実が明らかにされつつある。例えば、細胞表層における糖鎖は、タンパク質や脂質と相互作用することによって、生体内における細胞分化、ガン化、免疫反応等の重要なプロセスに関与している。また、糖鎖は、細胞表層における細胞認識、接着、細胞間のシグナル伝達において重要な役割を担っていることも明らかになってきている。
【0003】
糖鎖は、天然に存在する他、合成することも可能である。糖鎖の合成方法としては、化学的に合成する方法、分解酵素による方法、糖転移酵素を用いる方法、動物細胞の機能を利用した糖鎖合成方法(例えば特許文献1)などがある。
【0004】
医薬品や医薬品候補などの物質を生体に投与したときに各器官の細胞における糖鎖合成に与える影響を調べることは、医薬品や医薬品候補の作用メカニズムや副作用のメカニズムあるいは詳細を知る上で重要な知見が得られる為に、有用である。従来は実際に医薬品を生体に投与した後、細胞内に蓄積された糖鎖を調べる方法、或いは、直接的ではないが、糖鎖合成に関わる遺伝子の発現や酵素活性を調べるしか方法がなかった。
【0005】
現在、例えば、タミフルやリレンザなど、細胞の糖鎖とウイルスとの結合に関わる薬が用いられているが、今後、更に糖鎖の役割が明らかにされていく中で糖鎖機能をターゲットとする医薬品が開発されることが期待される一方、これらの医薬品が糖鎖構造に影響を与えることも推測され、糖鎖合成に関与する作用や副作用を調べることは、今後の医薬品開発において必要な技術と考えられる。
【特許文献1】特開2003−274993
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記現状に鑑み、医薬品等の化合物あるいはその他の物質を生体内に投与したときに、各器官の細胞内における糖鎖合成におこる変化を、生体外で簡便に調べることができる方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、鋭意研究を重ねた結果、対象物質が生体内での細胞の糖鎖合成に与える影響を、インビトロで検出する方法を見出し、本発明を完成するに到った。
【0008】
すなわち、本発明は、対象物質が糖鎖合成に与える影響を、インビトロで検出する方法であって、培養細胞に糖鎖プライマーおよび該対象物質を投与して、生成した糖鎖伸長化合物を分析する工程を含む検出方法を提供する。
【0009】
上記生成した糖鎖伸長化合物を分析する工程は、酸性糖脂質類似化合物を分析する工程であり得る。
【0010】
上記培養細胞に糖鎖プライマーおよび該対象物質を投与して、生成した糖鎖伸長化合物を分析する工程は、該培養細胞に糖鎖プライマーおよび該対象物質を投与して、生成した糖鎖伸長化合物の量と、該培養細胞に糖鎖プライマーのみを投与して生成した糖鎖伸長化合物の量とを比較することを含み得る。
【0011】
上記検出方法において、生成した糖鎖伸長化合物を精製する工程に供した後に分析することもできる。この精製工程は、Sep-Pak C-18カラムによる精製、強陰イオン交換カートリッジカラムによる精製、スチレン系合成吸着体またはメタクリル系合成吸着体による固体吸着剤を利用した精製、および液液分配クロマトグラフィによる精製からなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の組合せであり得る。
【0012】
上記検出方法において、上記細胞は動物細胞あるいは植物細胞であり得る。
【0013】
上記検出方法において、上記動物細胞は、ヒト細胞であり得る。
【0014】
上記検出方法において、上記ヒト細胞は、ヒト組織由来正常細胞であり得る。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、医薬品や医薬品候補あるいはその他の対象物質が、生体の各器官の細胞内における糖鎖合成に及ぼす影響、あるいはウイルスや細菌などに感染した生体の細胞における糖鎖合成に与える影響について、インビトロで、簡便かつ正確に検出することができる。すなわち、特に関心のある種々の器官由来の培養細胞に、糖鎖プライマーと対象物質を投与すれば、合成される糖鎖の生成レベルあるいはその組成を直接的に調べ、それを生体内、ウイルス感染被験体、細菌感染被験体での対象物質の影響と捉えることによって、容易に対象物質が生体内で糖鎖合成にいかなる影響を及ぼしているかを検知できる。従って、生体内の各種組織細胞における糖鎖合成に及ぼす影響を調べる検査を、非常に簡便に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0017】
本発明の方法では、対象物質が、生体内での細胞、あるいはウイルスや微生物感染の際の糖鎖合成に与える影響を、インビトロで検出することができ、培養細胞に糖鎖プライマーおよび対象物質を投与して、生成した糖鎖伸長化合物を分析する工程を含む。
【0018】
ここで、生体内での細胞とは、主に、植物細胞または動物細胞を指す。また、培養細胞とは、酵母、植物細胞または動物細胞であり、好ましくは、影響を調べたい細胞と同一または類似の細胞である。例えば、対象物質の影響を調べたい生体内の細胞がヒト脳組織を構成する細胞である場合には、ヒト脳組織由来の細胞あるいはその他の動物の脳組織由来の細胞を培養細胞として用いることが好ましいがこれに限定されない。ウイルスには、インフルエンザウイルス、各種肝炎ウイルス、HIVウイルス、HTLVウイルスなどの病原性ウイルスが主に含まれる。微生物には、グラム陽性細菌やグラム陰性細菌などを含む細菌の他、真菌、放線菌なども含まれる。
【0019】
このような培養細胞を糖鎖化合物が得られるような条件下にて培養することで行うことができる。動物細胞は特に限定されず、所望の対象の生体内の細胞の種類に応じて様々な動物細胞が用いられ得る。動物細胞の例としては、ヒト由来、マウス由来、サル由来、ラット由来などの哺乳動物細胞が挙げられ、これらの細胞は正常細胞でもよいし、なんらかの疾患に関連する細胞でもよい。B16マウスメラノーマ細胞、ラットPC12細胞、マウスNeuro2a細胞、ラットRBL−2H3細胞、ヒトMOLT−4細胞、ヒトHL−60細胞、サル腎臓由来ベロ細胞、アフリカミドリザル腎臓由来COS7細胞、ヒトフィブロブラスト細胞、ヒトHepG2、ウシBMEC、ヒトHeLa細胞などが好適に用いられ得る。この他、ヒトJunket細胞、 HUT102細胞、 MT2細胞、S1T細胞、などのウイルス感染細胞として樹立された細胞株をそのまま、あるいはウイルス感受性細胞に、適合するウイルスを感染させて作成した各種細胞が好適に用いられ、限定はされない。
【0020】
特に糖鎖異常と疾患との関連が判明しているような場合において、その疾患関連細胞を用いてプライマー合成法を用いた場合には、対象物質の疾患に対する薬効を直接的に検知することも可能となる。このような疾患としては、例えば、糖タンパク質糖鎖合成異常症が知られている(Freeze, H. Nat.Rev.Genet., 7:537-551, 2006)。さらに、酸性を示すガングリオシドのいくつかは、各種疾患との関係が明らかである。例えば、痴呆疾患における脳ガングリオシドの欠如、GM2の蓄積とライソゾーム病との関連、ガングリオシドと自己免疫疾患との関連などである。
【0021】
糖鎖化合物が得られるような条件とは、例えば、上記の動物細胞を、室温から45℃までの温度の間で1時間から70時間までの間の時間で、糖鎖プライマー及び1×10から1×1010cells/mlまでの濃度の細胞を添加した反応液を静置あるいは撹拌しながら反応を行い、糖鎖伸長反応を行うことなどである。
【0022】
ここで、糖鎖プライマーは、用いられる細胞種、所望の糖鎖構造により任意に選択することができる。好ましい糖鎖プライマーの例としては、式(I):
(G1)x(G2)y(G3)z−L−X
で表される化合物が挙げられる。
ここで、式中、G1、G2及びG3は、それぞれ独立して環状構造の単糖残基又はその誘導体であり、Lは、−O−(CH2)m−、−S−(CH2)m−、及び−NH−(CH2)m−から選択される連結基であり;x、y、及びzは、それぞれ独立して0〜10の整数であり、好ましくは0〜5、さらに好ましくは0から3であり、x、y及びzの全てが同時に0であることはない。また、mは、8〜20の整数であり、好ましくは8〜16、特に好ましくは12である。Xは、−N3、−H、−NH2、−OH、−COOH、及び−C1-C4アルキルから選択される基であり、単糖としては、限定はされないが、ペントース及びヘキソースを使用するのが好ましい。またアルドース、ケトースのいずれも使用することができる。
【0023】
このような糖鎖プライマーを各種細胞の培地に添加して細胞を培養すると、細胞は、糖鎖プライマーを取り込み、その糖鎖部分に更に糖を付加してグリコシル化し、その糖付加生成物を細胞内には蓄積せずに細胞外に分泌する。この糖鎖プライマーからの糖鎖伸長化合物を、対象物質の投与の有無で比較することにより、糖鎖合成へ及ぼす影響を調べることができる。
【0024】
具体的には、対象物質を、予め培養細胞に投与し、次に糖鎖プライマーを投与する方法、対象物質を糖鎖プライマーおよびその他の必要な成分と共に培養細胞に投与する方法により、糖鎖伸長化合物を得て、その糖鎖伸長化合物と、対象物質がない状態で同一条件で培養した培養細胞から得られる糖鎖伸長化合物の生成量の比較、組成の対比などを行うことによって、分析することが可能である。糖鎖伸長化合物は培養上清および培養した細胞中の両方に見出される。
【0025】
糖鎖伸長化合物の生成量の比較あるいは組成の対比などは、培養で得られた糖鎖伸長化合物をそのまま比較あるいは対比に供するか、あるいはさらなる精製工程に供することにより、より純粋な形で行うこともできる。精製方法は、特に限定はされないが、得られた培養上清あるいは細胞の抽出物を、有機溶媒、各種水溶液、および水などから選択される少なくとも2種以上の溶媒を混和した二相溶媒系の上層または下層の一方を固定相とし、他方を移動相に用いて試料を分離する、液液分配クロマトグラフィなどを用いておこなうことができる。液液分配クロマトグラフィには、さらに、遠心液液分配クロマトグラフィ(CPC)、高速向流クロマトグラフィ(HSCCC)などが含まれる。
【0026】
液液分配クロマトグラフィに用いる二相溶媒系は、クロロホルム、酢酸エチル、ヘキサン、アセトニトリル、アルコール類、エーテル類、水、酸または酸性水溶液、およびアルカリ性水溶液からなる群より選択される少なくとも2種以上を混和して調製する。このうち、アルコール類として好ましいのは、メタノール、エタノール、ブタノールであるが、これに限定されない。酸性水溶液としては、酢酸水溶液や、トリフルオロ酢酸水溶液が挙げられるが、これに限定されない。
【0027】
糖脂質類似化合物を含有する試料から中性の化合物を分離する場合には、二相溶媒系が、クロロホルム、アルコール類、および水を混和してなるものであることが好ましい。
【0028】
糖脂質類似化合物を含有する試料から酸性の糖脂質および/または糖脂質類似化合物を分離する場合、二相溶媒系が、アルコール類、酸、および水を混和して調製されることが好ましい。より好ましくは、アルコール類がn−ブタノールであり、前記酸または酸性水溶液が酢酸である。あるいは、二相溶媒系を、二種の異なるアルコール類および酸性水溶液を混和することで調製することも好ましい。この場合、より好ましくは、二相溶媒系が、n−ブタノール、エタノール、および1%酢酸水溶液を混和して調製されるものである。
【0029】
溶出した移動相はそのままあるいは溶出時間毎に分画し、固相抽出カートリッジ、逆相TLC、順相TLC、逆相HPLC、順相HPLC、GPC、アフィニティークロマトグラフィ、MS、LC−MS、TOF−MSなどの分析に供することにより、さらに詳細な分離、分析を行うことができる。
【0030】
精製工程には、その他、Sep-Pak C-18カラムを使用した精製、強陰イオン交換カートリッジカラム、固体吸着剤として、スチレン系合成吸着体、メタクリル系合成吸着体、およびフェノール系合成吸着体からなる群より選択される少なくとも1種である吸着剤を使用する方法が含まれる。培養物中または培養上清中の糖鎖化合物を吸着させるスチレン系合成吸着剤としては、例えばスチレン−ジビニルベンゼン共重合体を樹脂母体とするものが挙げられる。スチレン系合成吸着体として、具体的には、三菱化学社製ダイヤイオン(登録商標、以下同じ)HP20、HP21、セパビーズ(登録商標、以下同じ)SP207、SP825、SP850、SP875、ロームアンドハース社製アンバーライト(登録商標、以下同じ)XAD4、XAD16、XAD1180、XAD2000、Bayer社製VPOC1062、VPOC1064等が挙げられる。また、メタクリル系合成吸着体として、三菱化学社製ダイヤイオン(登録商標、以下同じ)HP1MG、HP2MG等を用いることができる。
【0031】
強陰イオン交換カートリッジカラムを使用する場合には、四級アンモニウム基などの官能基を有する充填剤など、当業者に公知のいずれの強陰イオン交換樹脂も使用することができる。溶出に用いる溶媒系は、クロロホルム、酢酸アンモニウム、アルコール類、エーテル類、および水からなる群より選択される少なくとも2種以上を混和して調製する。このうち、アルコール類として好ましいのは、メタノール、エタノール、ブタノールであるが、これに限定されない。酸性糖脂質の抽出には、クロロホルム、メタノール、酢酸アンモニウム水溶液の混和液が特に好ましい。
【0032】
ここで、対象物質とは、医薬品、あるいはなんらかの生理活性を有する物質であって、現在、その物質と糖鎖合成のなんらかの影響が知られている物質を含むが、これに限定されず、物質自体の医薬品あるいは生理活性物質としての作用は知られているが、糖鎖合成との関連が全く知られていない物質、現在未知の物質であって、糖鎖合成阻害活性、あるいは促進活性等を調べたい対象が含まれる。あるいはまた、細胞に対して好ましくない影響を与えうる物質であって、その影響が糖鎖合成に関連するような物質であり得る。
【0033】
現在知られている物質であって、本発明において好ましく用いられ得る対象物質は、限定はされないが、各種抗生物質、疾患関連酵素阻害剤、抗糖鎖抗体、疾患関連レセプターのアンタゴニスト、アゴニストなどが含まれる。
【0034】
これらの対象物質のうち、性質が明らかで、本発明において使用できる物質は限定されない。ごく一部を例示すると、例えば、ペニシリンG、ストレプトマイシン硫酸塩、アンホテリシンB、ベンジル−2−アセタミド−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシド、N−(n−ブチル)デオキシガラクトノジリマイシン、カスタノスペルミン、2,3−デヒドロ−2−デオキシ−N−アセチルノイラミン酸、2−デオキシ−D−ガラクトース、2−デオキシ−D−グルコース、2−デオキシ−2−フルオロ−D−ガラクトース、ツニカマイシン、ブレフェルジンA、2−アセタミジオ−1,2−ジデオキシノジリマイシン、およびβ−セクリターゼなどが挙げられる。
【0035】
ここで、ペニシリンGは、βラクタム系の抗生物質であり、細菌の細胞壁の合成を阻害することにより作用する。
【0036】
ストレプトマイシン硫酸塩は、アミノグリコシド系の抗生物質であり、細菌の30Sリボソームに結合し、タンパク質合成を阻害することにより作用する。
【0037】
アンホテリシンBは、マクロライド系の抗生物質であり、真菌のエルゴステロールに結合し、細胞膜にポアを形成させ変質させることにより作用する。
【0038】
ペニシリンG、ストレプトマイシン硫酸塩、アンホテリシンB といった個々の抗生物質の糖鎖合成との関係は直接的に明らかではないが、混合物においては、糖鎖伸長の抑制が示唆されている。
【0039】
ベンジル−2−アセタミド−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシドは、様々な細胞株におけるO結合型グリコシル化の阻害剤として使用される。HT−29細胞における2,3(O)−シアリルトランスフェラーゼおよび糖タンパク質輸送の阻害剤として使用される。
【0040】
N−(n−ブチル)デオキシガラクトノジリマイシンは、α−D−ガラクトシダーゼ阻害剤であり、カスタノスペルミンは、β−グルコシダーゼおよびα−グルコシダーゼに対する植物アルカロイド系阻害剤である。また、内皮細胞の移動および基底膜の浸潤を阻害し、抗ウイルス作用を示す。
【0041】
2,3−デヒドロ−2−デオキシ−N−アセチルノイラミン酸は、細菌、ウイルス、哺乳類のノイラミニダーゼの阻害剤で、糖タンパク質のインフルエンザノイラミニダーゼを阻害することで、宿主細胞内で増殖したウイルスが、宿主細胞外へ遊離することを抑制し、抗ウイルス薬として作用することが知られている物質である。
【0042】
2−デオキシ−D−ガラクトースは、ヘキソースアナログで、ガングリオシドGM2およびGM3中の通常はガラクトースが占める位置に取り込ませることができる。フコシル化阻害剤として作用することが示唆されており、ベニハマグリ由来のガラクトシル結合レクチンの競合的溶出にも使用されている。
【0043】
2−デオキシ−D−グルコースは、グルコースの非代謝誘導体である。グルコース担体によってヒト赤血球内に輸送される。ヘキソキナーゼの間接的阻害剤であり、ドキソルビシン誘導性アポトーシスの発現率を低下させることが報告されている。
【0044】
2−デオキシ−2−フルオロ−D−ガラクトースは、N結合型グリコシル化の阻害剤である。ツニカマイシンは、糖タンパク質の合成阻害剤である。
【0045】
ブレフェルジンAは、小胞体からゴルジ体へのタンパク質の移動を、エンドサイトーシスまたはリソソーム機能に影響を及ぼさずに特異的かつ可逆的に抑制する。
【0046】
2−アセタミジオ−1,2−ジデオキシノジリマイシンは、GlcNAc分解酵素の阻害剤である。
【0047】
β−セクリターゼは、アルツハイマー病の原因酵素であるβセクレターゼがα2,6シアル酸転移酵素を阻害する。
【0048】
本発明において、糖鎖伸長化合物とは、糖脂質に類似する化合物のことを指す。糖脂質とは、分子内に水溶性糖鎖と脂溶性基の両者を含む物質の総称であり、脂溶性基がセラミド (N-アシルスフィンゴシン) であるスフィンゴ糖脂質、アシル- あるいはアルキルグリセロールであるグリセロ糖脂質、ステロイド (ステリルグリコシド, ステロイド配糖体)、ヒドロキシ脂肪酸(ラムノリピド) などの脂溶性基をもつグリコシドなどが含まれる。通常、糖脂質は天然に存在する構造のものを指す。本発明においては、動物細胞、植物細胞、あるいは酵母細胞などに糖鎖プライマーを加えて得ることができ、水溶性糖鎖と脂溶性基の両者を含む物質を、糖鎖伸長化合物または糖脂質類似化合物と呼ぶ。本明細書においては、このような糖脂質類似化合物を、対応する糖鎖構造を有する糖脂質の名称を冠して表記する。例えば、動物細胞等に糖鎖プライマーを添加して得られた糖鎖伸長生成物が、ガングリオシドGM3と同一の糖鎖構造を有する場合、該生成物をGM3型糖脂質類似化合物と記す。同様に、糖鎖伸長生成物がグロボ系糖脂質Gb3と同一の糖鎖構造を有する場合、Gb3型糖脂質類似化合物のように記す。
【0049】
糖脂質類似化合物は、糖鎖の性質により、中性、酸性に分けられる。酸性を示す糖脂質類似化合物は、限定はされないが、ガングリオシドやスルファチドをはじめとするシアル酸残基や硫酸基を有する各種糖脂質類似化合物が挙げられる。具体的には、GM1b、GD1α、GM3、GM2、GM1、GD1a、GT1a、GD3、GD2、GD1b、GT1b、GQ1b、GT3、GT2、GT1c、GQ1c、GP1c、GM4、SM4s、SM3、SGPG、シアリルパラグロボシド、SSEA−4、ジシアリルSSEA−3、GM1α、GD1β、SLe、SLe、SL等の糖脂質類似化合物(GM1型糖脂質類似化合物、GM2型糖脂質類似化合物、GM3型糖脂質類似化合物、GD1a型糖脂質類似化合物、GD1b型糖脂質類似化合物、GM1b型糖脂質類似化合物、GD1α型糖脂質類似化合物、GM3型糖脂質類似化合物、GM2型糖脂質類似化合物、GM1型糖脂質類似化合物、GD1a型糖脂質類似化合物、GT1a型糖脂質類似化合物、GD3型糖脂質類似化合物、GD2型糖脂質類似化合物、GD1b型糖脂質類似化合物、GT1b型糖脂質類似化合物、GQ1b型糖脂質類似化合物、GT3型糖脂質類似化合物、GT2型糖脂質類似化合物、GT1c型糖脂質類似化合物、GQ1c型糖脂質類似化合物、GP1c型糖脂質類似化合物、GM4型糖脂質類似化合物、SM4s型糖脂質類似化合物、SM3型糖脂質類似化合物、SGPG型糖脂質類似化合物、シアリルパラグロボシド型糖脂質類似化合物、SSEA−4型糖脂質類似化合物、ジシアリルSSEA−3型糖脂質類似化合物、GM1α型糖脂質類似化合物、GD1β型糖脂質類似化合物、SLe型糖脂質類似化合物、SLe型糖脂質類似化合物、SL型糖脂質類似化合物など)が挙げられる。中性の糖脂質類似化合物は、中性糖のみから成る糖脂質類似化合物類などのことで、限定はされないが、グロボ系列のGb3、Gb4や、それらの類似化合物であるGb3型糖脂質類似化合物、Gb4型糖脂質類似化合物などが含まれる。その他にも、Lac-Cer、iGb3、iGb4、アシアロGM2、アシアロGM1、パラグロボシド、グロボシド、Forssman抗原、SSEA−3、Le、Le、Le、Le、Le、などの糖脂質類似化合物が含まれる。
【0050】
培養細胞と産生される対象の糖鎖の種類は、表1に示すようにいくつかが知られている。本発明は、医薬品あるいはそれに類似する物質、あるいは毒性を有する物質が実際に生体内の糖鎖合成などに与える影響を、忠実にインビトロで顕現できることを示す、画期的な方法である。特に、ガングルオシドと疾患との関連が明らかである場合には、医薬品あるいはそれに類似する生理活性物質の候補をスクリーニングすることに利用することも可能である。
【表1】

【0051】
以下に、本発明の糖鎖化合物の具体例を実施例の態様で示すが、本発明はこれに限定されない。
【実施例】
【0052】
(参考例1)
100mmのディッシュに、細胞数2×10cellsのヒト髄芽腫ONS−76細胞をそれぞれ7mlの10% FBSと、1% Antibiotic−Antimycotic(100×)を含むRPMI1640培地(インビトロジェン)に懸濁して播き、COインキュベターの中で37℃にて15時間、前培養をいった。その後、培地を除いた後、DMEM/F12培地に置換し、更に、COインキュベーターの中で37℃にて48時間培養した。
【0053】
48時間後、培地と細胞を分けて回収した。培地を回収し、更にディッシュ表面やバイアル瓶内壁を1.5mlのPBS(−)で洗浄することにより、培地上清を回収した。更に、ディッシュ表面に付着している細胞を、0.25% EDTA/PBS(−)を用いて剥がし回収し、細胞を2mlのPBS(−)で洗浄した。この洗浄液も上記で得られた培地上清に加え、培地上清全量を得た。回収した培地上清中を、Sep−Pak C−18カラム(Waters)を用いて精製し、培地画分の総糖脂質抽出物を得た。カラムは、セップパック プラスENVシリーズ(官能基C18、充填剤量840mg)を用い、10mlのメタノール、水を通液した後、サンプルを通した。その後、10mlの水で洗浄した後、10mlのメタノールで溶出した。
【0054】
上記の操作により得られた、総糖脂質抽出物の半量は、溶媒を除去し乾固させた。残りの半量は、強陰イオン交換カートリッジカラムに供した。強陰イオン交換カートリッジカラムによる精製は、以下のように行った。すなわち、強陰イオン交換カートリッジカラムInterSep Slim−J SAX(500mg)(GLサイエンス)に10mlのメタノール、10mlの水、10mlの0.8M 酢酸ナトリウム、10mlの水、10mlのクロロホルム/メタノール/水(5:10:1)を順に通液した後、総糖脂質抽出液を通し、10mlのクロロホルム/メタノール/水(5:10:1)で洗浄し、10mlのクロロホルム/メタノール/4M 酢酸アンモニウム水溶液(5:10:1)により溶出した。
【0055】
細胞中の糖脂質化合物については、PBS(−)で洗浄した細胞から、1mlのクロロホルム/メタノール(2:1)、1mlのクロロホルム/イソプロパノール/水(7:11:2)を順に用いて、抽出した。それぞれの溶媒での抽出液を合わせ、半量は、溶媒を除去し乾固させ、総脂質抽出物とした。残りの半量については、培地上清と同様に、イオン交換カートリッジカラムInterSep Slim−J SAXを用いて、酸性糖脂質抽出物を調製した。得られた酸性糖脂質抽出物は、全酸性糖脂質化合物(天然のガングリオシド)である。
【0056】
反応液中には、下記の添加物のいずれかを加えて、あるいは加えないで実験を行った。1:ペニシリンG(100IU/ml)、2:ストレプトマイシン硫酸塩(100μg/ml)、3:アンホテリシンB(2.5μg/ml)、4:ベンジル−2−アセタミド−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシド(2mM)、5:N−(n−ブチル)デオキシガラクトノジリマイシン(0.5mM)、6:カスタノスペルミン(10μg/ml)、7:2,3−デヒドロ−2−デオキシ−N−アセチルノイラミン酸(0.5mM)、8:2−デオキシ−D−ガラクトース(4mM)、9:2−デオキシ−D−グルコース(6mM)、10:2−デオキシ−2−フルオロ−D−ガラクトース(1mM)、11:ツニカマイシン(5μg/ml)、12:ブレフェルジン A(5μg/ml)、13:2−アセタミジオ−1,2−ジデオキシノジリマイシン(1μg/ml);およびβ−セクリターゼ。
【0057】
上記の操作により得られた、すべての培地画分及び細胞画分から調製した、総脂質抽出物及び酸性糖脂質抽出物を、それぞれ25μlのクロロホルム/メタノール(2:1)に溶解し、HPTLCに供した。HPTLCの結果を図1に示す。図中、添加物の溶解の為に用いた溶媒を記号で表しており、Wは水(DW)、Dはジメチルスルホキシド(DMSO)、Eはエタノール、およびMはメタノールを表す。図1のレーンの数字は、添加物の数値を表し、Cはコントロール、すなわち、添加物を入れないサンプルを示し、Sは、標準のガングリオシド(IsoSep AB社製 Crude ganglioside mixture)を示す。
【0058】
その結果、培地画分及び細胞画分には、スタンダードのガングリオシドにみられるバンドがほとんど見出されず、コントロールと各添加物を入れた場合の糖鎖化合物生成の違いについては、ほとんど検出することができない。なお、4:Benzyl−2−acetamide−2−deoxy−α−D−galactopyranosideについては、溶媒(エタノール)の影響により、細胞の増殖が顕著に阻害されていたことがわかったが、その他については、添加物の細胞増殖への影響は見られなかった。
【0059】
(実施例1)
まず、触媒としてルイス酸であるboron trifluoride etherate (BF3・OEt2)とアルコールを用いてグリコシル化を行った後、脱アセチル化反応を行うことにより、糖鎖プライマー:ドデシル−βラクトシドを得た(Murozuka, Y., Kasuya, M. C., Kobayashi, M., Watanabe, Y., Sato, T. and Hatanaka, K. 2005, Chemistry and Biodiversity, 2, 1063, Kasuya, M. C., Wang, L., Lee, Y. C., Mitsuki, M., Nakajima, N., Sato, T., Hatanaka, K., Yamagata, S. and Yamagata, T. 2000, Carbohydr. Res., 329, 755.)。
【0060】
100mmのディッシュに、細胞数2×10cellsのヒト髄芽腫ONS−76細胞をそれぞれ7mlの10% FBSと、1% Antibiotic−Antimycotic(100×)を含むRPMI1640培地(インビトロジェン)に懸濁して播き、COインキュベターの中で37℃にて15時間、前培養をいった。その後、培地を除いた後、2mlのPBS(−)で2回洗浄を行った後、7mlの終濃度50μMのドデシル−βラクトシド、1%のITS−Xサプリメント(GIBCO社製)を添加したDMEM/F12培地に置換し、更に、COインキュベーターの中で37℃にて48時間培養し、糖鎖伸長反応を行った。
【0061】
糖鎖伸長反応後、培地と細胞を分けて回収した。培地を回収し、更にディッシュ表面やバイアル瓶内壁を1.5mlのPBS(−)で洗浄することにより、培地上清を回収した。更に、ディッシュ表面に付着している細胞を、0.25% EDTA/PBS(−)を用いて剥がし回収し、細胞を2mlのPBS(−)で洗浄した。この洗浄液も上記で得られた培地上清に加え、培地上清全量を得た。回収した培地上清中に含まれる糖脂質化合物については、Sep−Pak C−18カラム(Waters)を用いて精製し、培地画分の総脂質抽出物を得た。カラムは、セップパック プラスENVシリーズ(官能基C18、充填剤量840mg)を用い、10mlのメタノール、水を通液した後、サンプルを通した。その後、10mlの水で洗浄した後、10mlのメタノールで溶出した。
【0062】
上記の操作により得られた、総糖脂質抽出物の半量は、溶媒を除去し乾固させた。残りの半量は、強陰イオン交換カートリッジカラムにより、酸性糖脂質を抽出した。強陰イオン交換カートリッジカラムによる精製は、以下のように行った。すなわち、強陰イオン交換カートリッジカラムInterSep Slim−J SAX(500mg)(GLサイエンス)に10mlのメタノール、10mlの水、10mlの0.8M 酢酸ナトリウム、10mlの水、10mlのクロロホルム/メタノール/水(5:10:1)を順に通液した後、総糖脂質抽出物を通し酸性糖脂質を吸着させた。その後、10mlのクロロホルム/メタノール/水(5:10:1)で洗浄し、10mlのクロロホルム/メタノール/4M 酢酸アンモニウム水溶液(5:10:1)により溶出し、酸性糖脂質抽出物を得た。
【0063】
細胞中の糖脂質化合物については、PBS(−)で洗浄した細胞から、1mlのクロロホルム/メタノール(2:1)、1mlのクロロホルム/イソプロパノール/水(7:11:2)を順に用いて、抽出した。それぞれの溶媒での抽出液を合わせ、半量は、溶媒を除去し乾固させ、総脂質抽出物とした。残りの半量については、培地上清と同様に、イオン交換カートリッジカラムInterSep Slim−J SAXを用いて、酸性糖脂質抽出物を調製した。得られた酸性糖脂質抽出物は、全酸性糖脂質化合物であり、天然のガングリオシドと、糖鎖プライマーから伸長した糖鎖化合物である。
【0064】
糖鎖合成への影響を調べる目的として、上記培養条件と同じ条件で、但し、糖鎖伸長反応時に、反応液中に下記の添加物を加えた実験を行った。1:ペニシリンG(100IU/ml)、2:ストレプトマイシン硫酸塩(100μg/ml)、3:アンホテリシンB(2.5μg/ml)、4:ベンジル−2−アセタミド−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシド(2mM)、5:N−(n−ブチル)デオキシガラクトノジリマイシン(0.5mM)、6:カスタノスペルミン(10μg/ml)、7:2,3−デヒドロ−2−デオキシ−N−アセチルノイラミン酸(0.5mM)、8:2−デオキシ−D−ガラクトース(4mM)、9:2−デオキシ−D−グルコース(6mM)、10:2−デオキシ−2−フルオロ−D−ガラクトース(1mM)、11:ツニカマイシン(5μg/ml)、12:ブレフェルジン A(5μg/ml)、13:2−アセタミジオ−1,2−ジデオキシノジリマイシン(1μg/ml);およびβ−セクリターゼ。
【0065】
上記の操作により得られた、すべての培地画分及び細胞画分から調製した、総脂質抽出物及び酸性糖脂質抽出物を、それぞれ25μlのクロロホルム/メタノール(2:1)に溶解し、HPTLCに供した。HPTLCの結果を図1に示す。図中、添加物の溶解の為に用いた溶媒を記号で表しており、Wは水(DW)、Dはジメチルスルホキシド(DMSO)、Eはエタノール、およびMはメタノールを表す。図1のレーンの数字は、添加物の数値を表し、Cはコントロール、すなわち、添加物を入れないサンプルを示す。また、Cに付される+は、コントロールでかつ実施例1に示すプライマー添加のサンプル、−は、コントロールでかつプライマー無添加のサンプルを表す。
【0066】
その結果、特に糖鎖プライマーからの伸長物である糖脂質類似化合物が得られていること、および各薬剤に対する影響を検出することができた。この検出は、特に培地画分で顕著であった。糖脂質類似化合物のうち、特に明確に見出されたのは、GM3、GM2、GM1、sGb5、GD3である。なお、4:ベンジル−2−アセタミド−2−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシドについては、溶媒(エタノール)の影響により、細胞の増殖が顕著に阻害されていたことがわかったが、その他については、添加物の細胞増殖への影響は見られなかった。
【0067】
細胞の増殖に殆ど影響しなかったものの中で、5:N−(n−ブチル)デオキシガラクトノジリマイシン、7:2,3−デヒドロ−2−デオキシ−N−アセチルノイラミン酸、8:2−デオキシ−D−ガラクトースでは糖鎖合成の促進効果、6:カスタノスペルミン、10:2−デオキシ−2−フルオロ−D−ガラクトース、11:ツニカマイシン、12:ブレフェルジン Aに糖鎖合成の抑制効果が見られた。5、7のような糖(鎖)分解酵素阻害剤が細胞内での糖鎖合成に影響することが調べられたことは意義がある。8:2−デオキシ−D−ガラクトースはガラクトースアナログである為、例えば、GM2からガラクトースが付加してGM1を合成する反応を阻害したことによることが推測される。11:ツニカマイシン、12:ブレフェルジン Aは、小胞体やゴルジ体における糖タンパク質の生合成、輸送に影響する化合物として知られているが、糖脂質の糖鎖合成にも影響があることがわかった。
【0068】
なお、本実験の結果から明らかなように、通常の培養細胞から抽出するだけでは、各物質の糖鎖合成への影響は検出しづらいが、糖鎖プライマーを用いることにより糖鎖合成への影響が検出し易くなる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】糖鎖プライマー法により各種添加物が細胞内での糖鎖合成に及ぼす影響を調べた結果を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物質が糖鎖合成に与える影響を、インビトロで検出する方法であって、培養細胞に糖鎖プライマーおよび該対象物質を投与して、生成した糖鎖伸長化合物を分析する工程を含む、検出方法。
【請求項2】
前記生成した糖鎖伸長化合物を分析する工程が、酸性糖脂質類似化合物を分析する工程である請求項1に記載の検出方法。
【請求項3】
前記培養細胞に糖鎖プライマーおよび該対象物質を投与して、生成した糖鎖伸長化合物を分析する工程が、該培養細胞に糖鎖プライマーおよび該対象物質を投与して、生成した糖鎖伸長化合物の量と、該培養細胞に糖鎖プライマーのみを投与して生成した糖鎖伸長化合物の量とを比較することを含む、請求項1または2に記載の検出方法。
【請求項4】
生成した糖鎖伸長化合物を精製する工程に供した後に分析することを含む、請求項1から3までのいずれかに記載の検出方法。
【請求項5】
前記精製工程が、Sep-Pak C-18カラムによる精製、強陰イオン交換カートリッジカラムによる精製、スチレン系合成吸着体またはメタクリル系合成吸着体による固体吸着剤を利用した精製、および液液分配クロマトグラフィによる精製からなる群より選択される少なくとも1種または2種以上の組合せである、請求項4に記載の検出方法。
【請求項6】
前記培養細胞が動物細胞あるいは植物細胞である請求項1〜5のいずれかに記載の検出方法。
【請求項7】
前記動物細胞が、ヒト細胞である請求項6に記載の検出方法。
【請求項8】
前記ヒト細胞が、ヒト組織由来正常細胞である請求項7に記載の検出方法。

【図1】
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【公開番号】特開2009−247234(P2009−247234A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−96335(P2008−96335)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成19年度、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構委託研究、産業技術力強化法第19条の適用を受ける特許出願
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【出願人】(000000941)株式会社カネカ (3,932)
【Fターム(参考)】