糞便処理機器、並びに、これを挿入するための方法及び器具
【課題】組織を傷つけることのない全体に柔らかい弾性のある材料で末端部が形成された、糞便処理のための医療機器を提供する。
【解決手段】体腔又は管に挿入されるように作られた機器の長い管状部材の端部が全体に柔らかい、弾性のある材料で形成される。この端部は、完全に膨張した形状に形成された膨張性のバルーン14をもつ。バルーン14は、予め決められた低い圧力レベルで膨張する。挿入器具は、柔らかく弾性のあるスリーブ86によって取り囲まれた堅い芯を含む。スリーブ86は、裏返し可能な部分を形成するように、堅い芯を超えて延びる。機器の柔らかい端部は、器具の近くに配置され、バルーン14が器具に巻き付けられ、スリーブ86の部分が機器を覆うように裏返され、バルーン14と柔らかくて丸い挿入端が圧縮される。そのユニットは、体腔に挿入される。その後、機器は、器具から分離され、器具は引き出される。
【解決手段】体腔又は管に挿入されるように作られた機器の長い管状部材の端部が全体に柔らかい、弾性のある材料で形成される。この端部は、完全に膨張した形状に形成された膨張性のバルーン14をもつ。バルーン14は、予め決められた低い圧力レベルで膨張する。挿入器具は、柔らかく弾性のあるスリーブ86によって取り囲まれた堅い芯を含む。スリーブ86は、裏返し可能な部分を形成するように、堅い芯を超えて延びる。機器の柔らかい端部は、器具の近くに配置され、バルーン14が器具に巻き付けられ、スリーブ86の部分が機器を覆うように裏返され、バルーン14と柔らかくて丸い挿入端が圧縮される。そのユニットは、体腔に挿入される。その後、機器は、器具から分離され、器具は引き出される。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の背景〕
(1.発明の分野)
本発明は、糞便又は排泄物の処理機器、及び、体腔へ前記機器を挿入するための方法及び器具に関し、特に、全体が軟い弾性のある材料で形成された末端部を収めるバルーンを有する管状部材を含み、一体となった膨張及び洗浄管を含み、基端部に回転可能に接続された取り外し可能な収集容器を有している、糞便処理機器に関し、そして、機器の末端部を体腔へ挿入するための方法及び分離器具に関する。
【0002】
直腸又は瘻孔に非常に近い場所にある、開放創、やけど、手術の切り傷の縫合部等の皮膚の、糞便による汚染は、患者の回復にとって非常に有害である。さらに、極度の注意を要求する過酷な医療問題をもつ多くのこのような状況で、看護の間に偶然そのような排泄物に接触する医療専門家が、故意でなく感染症の病気を広めるかもしれない。
【0003】
加えて、患者や、患者に看護を提供する医療従事者の汚染を効果的に防止する、腸の内容物の処理と収集のためのシステムをもつことに高い要望がある。
【0004】
(2.従来技術の説明)
腸の処理を提供するように設計されたそのようなシステムの一つが、32034フロリダ州フェルナンディーナビーチのザッシメディカルエボリューション社によって市場に出されている。ザッシのシステムは、長くて柔軟なカテーテルからなり、その基端部は、排泄物の収集容器に取り外し可能に接続されている。カテーテルの末端部は、患者の腸へ直腸又は瘻孔を通して挿入されるように設計されている。
【0005】
ザッシのカテーテルの末端部は、腸へのカテーテルの挿入と位置づけを許容する硬質の部分を含む。カテーテルは、2つの膨張性のバルーンをもち、一方のバルーンはカテーテル管内に位置している。他方はバルーンの内側部分でカテーテルを取り囲んでいる。バルーンは、カテーテルの末端部を閉鎖し、直腸又は瘻孔をカテーテルで密封するために、それぞれ独立して膨張可能である。独立した膨張管が、それぞれのバルーンに提供される。第3の管が、腸へ洗浄流体を届ける。
【0006】
このタイプの2重バルーンシステムは公知であり、キムによる1996年10月29日発行米国特許第5569216号「端部にバルーンを有する多目的結腸切開器具」、2002年4月4日発行国際公開番号WO02/26293号「改良された結腸切開器具」に開示されている。
【0007】
キムにより開示され、ザッシの腸の処理システムに利用される2重バルーンシステムの複雑さやコストに加えて、ザッシの器具は欠点を有する。その欠点は、膨張中及び膨張後に、バルーンによって周囲組織に及ぼされる圧力に関する。
【0008】
カテーテルの末端部に外部に配置されたバルーンは、長年の間患者の直腸の適所にカテーテルを保持するために用いられてきた。そのようなカテーテルシステムは、頻繁に浣腸の使用のために用いられているが、直腸から収集システムまでの糞便物質の収集や誘導のためにも用いられている。このようなカテーテルは、ときおり、フォーリーカテーテルとして知られ、一般に尿のカテーテル法に用いる器具の大きな型である。
【0009】
医学界の多くの専門家は、直腸内の膨張器具の使用を是認しない。長期の間、組織の損傷が、膨張したバルーンによって周囲組織に及ぼされた超過圧力に起因すると信じているためである。バルーンからの圧力が、組織が十分な血液に富むことを阻むときに、そのような組織の壊死が生じると信じられている。
【0010】
実際のところ、フォーリータイプのカテーテルが直腸に挿入されたあと、バルーンは、組織に及ぼす圧力に注意しないで、最大サイズまで膨張される。こうして、選択されたバルーンのサイズは臨界に達する。一方、介護者は患者の体内構造について知識がないので、バルーンサイズの選択は推測に過ぎない。
【0011】
ザッシの腸の処理システムにおけるバルーンシステムは、キムによって開示されているように、この問題で不利を招く。バルーンによって組織に供給された圧力を制限する手段は現れていないため、バルーンシステムは、組織が十分に血液に富まないという結果をもたらす圧力で膨張されることがある。
【0012】
さらに、都合よく直腸又は瘻孔にカテーテルの端部を挿入するために、その端部は、十分な堅さを持たなければならない。もしカテーテルの端部が十分に堅くなければ、カテーテルの端部を挿入し、正しく位置づけることが相当困難になることがある。
【0013】
腸への挿入を許容するに十分な堅さをもって腸に挿入されるように設計された器具を構築することは可能であるが、ひとたび器具が適切に位置決めされると、たいてい、そのような堅さを持つことは有害である。多くの製品が挿入のために硬質の管のシステムを使用している。そのようなシステムの1つが、シャフィールドによる1985年5月14日発行米国特許第4516478号「直腸機器及びその挿入方法」に開示されている。これら器具において、挿入される器具の部分は、1の管内に押しつけられている。この管は、腸内の望ましい位置に挿入される。その器具は、そのとき、第2の部材(たいていより小さな入れ子の管である)によって第1の管の端部の外へ押し出される。
【0014】
このシステムは、挿入されたときに圧縮された形状に器具を保持するため堅い外管を必要とする。外管は、引き延ばすこと無しに押し出されるような堅さでなければならない。結局、堅い外管は、圧縮された形態で器具を保持するのに十分強くなければならないが、なおかつ、挿入システムの直径を最小にするのに十分に薄くなければならない。
【0015】
挿入システムのこのタイプに起因するいくつかの欠点がある。第1に、堅い外管は、柔らかい組織に外傷性の衝撃を与えることがある。これは、特に、外管の壁の厚さが部品の直径を最小化するまで減少するからである。薄いチューブの壁は、管の端部の又は管の開口部に沿う鋭いエッジを避けることを困難にする。部品の側部から機器の除去を許容するため、外管がその長さの片側に沿って割られることを必要とする場合、これは、特に有害である。鋭いエッジが、管の長さに沿っていることは明白であり、組織損傷の可能性を招く。
【0016】
さらに、堅い外管における堅さの要件は、十分な強さを確実にする望ましい壁の厚さよりも重要であることに帰着する。結局、堅い外管は、単にそれが堅いという理由で、組織を過度に傷つけるという結果を招く。
【0017】
〔発明の要約〕
本発明は、組織を傷つける原因にならない全体に柔らかい弾性のある材料で末端部が形成された、糞便処理のための医療機器である。その機器は、1つの低圧力のバルーンを利用する。バルーンは、周囲組織への圧力の超過を防止するように、従って、周囲組織から血液がなくなるのを防止するように制御することができる。
【0018】
本発明は、挿入に必要な機器の末端部の堅い部分を、腸に機器を挿入した後に引き出されるように設計された分離した器具に移し、組織を傷つけないように、完全に挿入された機器の末端部が柔らかく弾性であることを許容する。挿入器具は、柔らかい弾性のあるスリーブによって取り囲まれた堅い芯部材を含む。2つで1つのユニットとして機能するように、柔らかいスリーブは堅い芯部材に結合される。スリーブの部分は、堅い芯部材の端部を超えて延びる。この部分は、概してふくらんだ形状を呈する。スリーブの残部は、芯部材の表面に結合される。
【0019】
体腔内に挿入される機器の柔らかい端部は、芯部材の端部に隣接して、挿入器具に巻き付けられる。芯部材を超えて延びるふくらんだスリーブの部分は、器具に巻き付けられた機器の端部を覆うように裏返される。裏返されたスリーブの部分は、機器の端部を圧縮する作用をなし、圧縮された機器の端部を収容する。これは、結果として、挿入を容易にする挿入器具の先端に、滑らかな丸い圧縮された固まりを生じる。
【0020】
圧縮された機器の端部は、堅い挿入器具の末端部を押すことによって、肛門括約筋又は瘻孔を通して体腔に挿入される。堅い芯部材の基端部は、機器が望み通りに位置づけられるまで操作される。裏返されたスリーブの部分の収縮と、挿入器具の末端部を強く押す力とが、器具にまかれた機器の柔らかい端部を著しく圧縮する。
【0021】
一旦適所に位置づけられると、機器と挿入器具は、分離される。機器の露出した部分は、挿入器具が末端方向に押されている間、堅固に保持される。これは、器具から機器を分離するように、裏返されたスリーブの部分を機器の端部から離すように押す。或いは、機器がバルーンの構成を有している場合、バルーンの膨張が機器と挿入器具とを分離することを可能にする。一旦機器と挿入器具とが分離されると、挿入器具は、体腔から引き出され、適所で機器の末端部が残される。
【0022】
高い圧力で膨張されたバルーンにより引き起こされる潜在的な損傷に関しては、本発明は、圧迫壊死のため組織の損傷を徹底的に減少させる能力をもって、直腸におけるバルーンカテーテルの使用を許容する。挿入後、本発明の機器のバルーンは、十分に多くの組織を許容するほどに低いことが知られている圧力だけで、膨張することができる。力平衡のため、バルーンは、十分に多くの組織をいつも許容するように、組織に対してこのわずかな圧力しか供給しない。さらに、バルーンは、完全に膨張された形状に作り上げられる。結果として、バルーンは、潜在的に組織に有害な圧力よりも低い圧力でフルサイズに膨張することができる。
【0023】
摩擦を減少すること、及び、機器の表面の一部に沿ってガスと悪臭の防壁を提供することが望ましい。これは、必要とされる表面領域において機器の壁に適した材料の薄いコーティングを供給することによって果たすことができる。
【0024】
本発明の1つの側面に従い、糞便処理機器が提供される。機器は、末端部及び基端部を有する長い管状部材を含む。膨張性のバルーンが管状部材の末端部を取り囲む。外部から使用しうる膨張管が、バルーンに操作可能に接続されている。糞便収集容器が提供される。管状部材の基端部に取り外し可能に容器を取り付ける手段が提供される。管状部材の末端部が、全体が柔らかく弾性の材料で形成されている。
【0025】
好ましくは、管状部材の末端部は、シリコンで形成される。バルーンも、全体が柔らかく、弾性のある材料で形成される。この材料は同様にシリコンとすることができる。
【0026】
好ましくは、バルーンは、完全に膨張したときに実質的に環状形である。予め決められた最大圧力でバルーンを膨張するための手段が提供される。これらの手段は、膨張管で膨張流体を供給するための手段を含む。膨張流体供給手段は、プランジャとスプリングを有する注射器を含む。圧力計及びバルブが圧力超過を防止するために含まれていてもよい。
【0027】
バルーンは、完全に膨張された大きさと形状で形成される。それは、組織にとって潜在的に有害な圧力よりも小さな圧力でバルーンを最終形状に膨張することを許容する材料で形成されている。
【0028】
管状部材は壁を含む。膨張管の少なくとも一部が前記壁に結合されている。壁は内面を有する。膨張管の少なくとも一部が壁内面と一体である。壁は、膨張管が通じて延びる開口を有する。
【0029】
外部から使用しうる洗浄管も提供することができる。洗浄管は、管状部材の末端部の端に近い端部を有する。洗浄管の少なくとも一部は、管状部材の壁と一体である。好ましくは、洗浄管の少なくとも一部は、内部の壁面に結合されている。壁は、洗浄管が通じて延びる開口を有している。
【0030】
好ましくは、膨張管は管状部材の長さの大部分に延びる。洗浄管も、好ましくは、管状部材の長さの大部分に延びる。
【0031】
好ましくは、膨張管は、前記壁の長さの大部分に沿って壁に結合される。洗浄管も、好ましくは、管状部材の長さ全体の大部分に沿って、内部の壁面に結合される。
【0032】
膨張管は、管状部材内に位置づけられた部分と、管状部材外の部分とを有する。洗浄管も管状部材内に位置づけられた部分と、管状部材外の部分とを有する。
【0033】
機器は、更に、洗浄管に洗浄流体を供給するための手段を備えている。洗浄流体供給手段は、注射器を含む。
【0034】
容器取り付け手段は、開口を有するプレートを含む。プレートの開口と一直線上に、管状部材の基端部をプレートに結合するための手段が提供される。これらの結合手段は、プレートに相対して管状部材の基端部の回転を許容する手段を含む。回転許容手段は、管状部材の基端部を受け入れるように適合された第1の部分と、プレートに設けられた第2の部分とを含む。第1の部分は、第2の部分に回転可能に取り付けられる。
【0035】
プレートは、外部の膨張管部分を支持する手段を含む。プレートはさらに、外部の洗浄管部分を指示する手段を含むことができる。
【0036】
機器は、ベッドレール又は同様の静止部材に使用するように設計される。それは、プレートを静止部材に結合するための手段を含む。
【0037】
収集容器をプレートに取り外し可能に取り付けるための手段は、第1及び第2の相互係合連結部分を含む。第1の部分は、プレート開口部を取り囲んでプレートに固定される。容器は、開口をもつ壁を有する。第2の部分は、壁の開口を取り囲んで、容器の壁に固定される。
【0038】
体腔へ挿入されるように適応した機器の端部が、全体に柔らかい、弾性のある材料で作られているので、機器から分離された機器を挿入するための器具が提供される。挿入器具は、末端部及び基端部を有する実質的に堅くて長い芯と、末端部及び基端部を有するスリーブと、を含む。芯は、芯の末端部を超えて延びるスリーブの部分がある状態で、スリーブ内に受け入れられる。
【0039】
延長されたスリーブの部分は、機器の管状部材の末端部に係合するように裏返し可能である。芯の末端部を超えて延びるスリーブの末端部の部分は、概してふくらんだ形状である。好ましくは、裏返し可能なスリーブの部分は、柔らかい弾性のある材料で形成されている。
【0040】
好ましくは、スリーブの基端部は、芯に結合されている。これは、機器と器具とを1ユニットとして機能させることを可能にする。
【0041】
好ましくは、摩擦を低減し、ガスや悪臭を阻むコーティングを管状部材の表面上に形成する手段が提供される。好ましくは、被膜は、数ミクロンの厚さであり、管状部材の内外面に真空蒸着されたパリレンから構成することができる。
【0042】
本発明の他の側面に従い、医療機器を体腔へ挿入するための器具が提供される。器具は、末端部と基端部とを有する実質的に堅くて長い芯と、末端部と基端部とを有するスリーブと、を含む。芯はスリーブ内に受け入れられる。スリーブの末端部の部分は、芯の末端部を超えて延びる。この部分は、医療機器に係合するために裏返し可能である。
【0043】
芯の末端部を超えて延びるスリーブの末端部の部分は、概してふくらんだ形状である。スリーブの末端部の部分は、柔らかい弾性のある材料で形成されている。
【0044】
好ましくは、スリーブの基端部は、シャフトに結合される。
【0045】
本発明の別の側面に従い、挿入器具を利用して、体腔へ医療機器の柔らかい端部を挿入するための方法が提供される。器具は、芯を超えて延びるスリーブの部分をもたせた状態で、スリーブ内に受け入れられる、実質的に堅く長い芯を有する。前記方法は、スリーブの前記部分に近い器具の近くに、医療機器の末端部を配置する行程を含む。スリーブの部分は、医療機器に係合するために、医療機器の末端部を覆うように裏返される。芯の末端部は、機器に係合している裏返されたスリーブの部分とともに、体腔へ挿入される。器具は、機器から分離され、適所に機器を残した状態で、体腔から引き出される。
【0046】
前記方法は、スリーブの部分を裏返す前に、医療機器の末端部を器具に巻き付ける行程を含む。
【0047】
医療機器は、末端部に膨張性のバルーン含むことができる。この場合、その方法は、更に、器具の末端部が、医療機器に係合している裏返されたスリーブの部分とともに、体腔内へ挿入されたあとに、バルーンを膨張させる行程を含む。これは、医療機器を解放するように、裏返されたスリーブ部分を裏返されていない位置に戻すという結果をもたらす。
【0048】
前記方法は、更に、摩擦を低減するガス及び悪臭の防壁の層で、機器の表面をコーティングする行程を備える。その層は、数ミクロンの厚さであり、パリレンで形成されている。それは、機器の表面に真空蒸着される。
【0049】
これらのそして他の目的は、以下において明らかになるであろう。本発明は、同種の符号が同種の部分を示している添付の図面とともに、次の明細書と添付の特許請求の範囲とに詳しく記載された糞便処理機器と、体腔へ機器の端部を挿入するための方法及び器具に関する。
【0050】
〔発明の詳細な説明〕
図1に示すように、本発明の医療機器は、概してAで示された長く曲がりやすい管状部材を含み、管状部材は、体腔内に挿入されるように設計された末端部10と基端部12とを有している。部材Aは、好ましくはおよそ1mの長さで、直径23mmである。それは、肛門括約筋を通した通過を容易にするために直径8mmまでつぶれる。
【0051】
概してBで示された糞便容器は、概してCで示されたアダプタープレートを通して部材Aの基端部12に回転可能に接続されている。部材Aの末端部10の外表面に付着されたものは、図1でしぼんだ状態で示された、低圧で膨張するバルーン14である。
【0052】
バルーン14は、例えば、空気、水又は生理食塩水のような流体により、52mmHg(1.0ポンド/平方インチ)以下の圧力で、膨張管16を通して約直径58mmまで膨張する。管16は、ルアータイプのバルブ接続具17によって、例えば注射器のような膨張流体源に接続されている。注射器は、バルーンをしぼませるため、膨張流体を引き込むのにも用いられる。
【0053】
好ましくは、第2の洗浄管20も提供される。管20は、部材Aの末端部10の端まで延び、ルアータイプのバルブ接続具21によって、注射器22のような洗浄流体源に接続されている。管16,20は好ましくは直径1mm〜1.5mmである。
【0054】
部材Aの末端部10とバルーン14は、体の組織を傷つけないように、共に全体に柔らかい弾性のある材料で作られている。材料は、例えば、シリコンとすることができる。
【0055】
概してDで示された、分離した挿入器具は、直腸内への部材Aの末端部10の挿入と配置とを容易にするために提供される。以下に説明するように、器具Dは堅い。それは、部材Aの末端部10に係合し、腸への挿入と位置づけを容易にするように設計されている。器具Dは、体内に部材Aの柔らかく弾性のある末端部10だけが残るように、医療機器から分離され、体腔から取り出される。
【0056】
最も良く示された図2のように、バルーン14は、機器Aの末端部10を取り囲む。好ましくは、バルーンは、完全に膨張したときに環状形になる。バルーンの壁は、好ましくは、完全に膨張したかたちで製造される。それは、組織にとって潜在的に有害な圧力よりも低い圧力でバルーンが最終形状にまで膨張するのを許容するような材料で形成される。以下に詳述するように、バルーン14内の流体の圧力は、バルーンが周囲の組織に対して予め決定されたレベルを超えた圧力を供給できないように、注意深く調節される。
【0057】
図3に示すように、膨張管16及び洗浄管20は、好ましくは部材Aの壁の内面と一体な部分として形成される。管16,20のいずれも、部材A内に延びる部分と、各流体源18,22への結合のために、部材Aの壁の各開口24,26を通して延びる部分とを有する。好ましくは、管16,20の内側部分は、部材Aの全長に沿って延びている。部材Aの長さに沿ったあらゆる部分に位置する管の外側部分とともに、部材Aを製造することが可能である。
【0058】
膨張管16は、部材Aの末端部10の端の近くに閉鎖された端部を有している。しかしながら、膨張流体(たいてい水又は生理食塩水)がバルーンを膨張させるためにバルーン14に導入され、且つバルーンをしぼませるためにバルーンから取り除かれることを許容するように、通路28が、管16をバルーン14の内部に接続している。
【0059】
洗浄管20は、部材Aの末端部10の端に最も近い位置まで延び、洗浄流体が腸内に導入されうるように、開放した端部を有している。洗浄流体は、注射器22のような源から必要に応じて供給される。
【0060】
バルーンの膨張システムは、2通りの機能を果たす。それは、例えば、予め決められたレベルで注射器のプランジャに負荷をかけるスプリングにより、組織に対して望ましい圧力が維持されるように、内部圧力が増加した場合にバルーンが大きくしぼむことを許容する。あるいはまた、バルーンは、圧力が一旦挿入物に到達された場合に、量を固定させることができる。腸がゆるめられたとき同時にこれがなされた場合、組織への圧力は、腸が収縮したときに増加するであろう。これは、定期的な事象であるので、組織は収縮と収縮の間に十分に血液に富むであろう。
【0061】
管状部材から距離をおいて、バルーンが膨張され、圧力が調節される。膨張管16は、バルーンから体の外側に位置する膨張流体源まで延びる。流体源は、手動で操作することができ、又は、電子的又は機械的システムによって調節することができる。
【0062】
好ましい一実施形態において、バルーンは、注射器18のような流体容器に操作可能に接続される。注射器は、直径1〜1.25インチの間のシリコンプランジャシールとバレルとを有する60cm3の市販用のボリカーボネート製ルアーロック注射器とすることができる。注射器の容量は、プランジャに供給された力に完全に依存した圧力以下で流体を収容するように、変更することができる。適切な力のスプリング19を伴う注射器18のプランジャに負荷を与えるスプリングは、望ましい圧力を内部のバルーンに与えるだろう。バルーンへの流体の通路は、圧力を維持するために開いたままに維持することができ、又は、バルーンの容量を維持するためにバルブ又はクランプ23によって閉じることができる。シリンダ内の圧力は、こうしてバルーンのサイズ、ひいては組織に適用される圧力を決定する。
【0063】
正確な圧力の計測のため、バルーンの弾性力が考慮されなければならない。しかしながら、バルーンが望ましい完全に膨張した形状で製造される場合、バルーンを作る材料の弾性の影響は小さい。予め決定されたサイズ次第で、バルーン内の圧力が組織に及ぼす圧力を決定するだろう。
【0064】
介護者が患者の生体構造にとってあまりに小さいバルーンを使用する状況があるかもしれない。この状況においては、バルーンは、圧力の増加無しで規定量に膨張するであろう。それゆえ、バルーンは、封をするために十分に生体構造を圧縮していない。反対に、規定量の流体の導入によってバルーンの圧力が限界を超過する場合、介護者は、バルーンが患者の生体構造にとって大きすぎることを知ることができる。
【0065】
あるいはまた、バルーンが膨張したときに圧力が監視されている場合は、介護者はバルーンが大きすぎるか小さすぎるかを知ることができる。上記のように、バルーンが小さすぎる場合、規定量全体が注入されても、バルーンの圧力は規定圧力に到達していない。反対に、バルーンが大きすぎる場合、最大圧力が、流体の規定量の注入に先立って到達されるだろう。バルーン内の容量計測の正確さは、圧縮できない流体を使うことによって、又は、気体が使われている場合は理想気体の法則による圧力増加の補償によって、維持することができる。
【0066】
機器は、例えば、流体と殆ど一定力のスプリングとの間のプランジャを有する注射器18のような、弾力のある機械システムによってほとんど一定の圧力下に維持された、予め満たされた流体容器を備えることができる。プランジャを圧縮するスプリングは、望ましい圧力で流体を維持するだろう。一旦機器が患者に挿入されると、シリンダの流体が望ましい圧力でバルーンを満たし膨張させることを許容するように、バルブ又はクランプ23が開かれるだろう。バルブ又はクランプ23は、時間とともに、圧力が維持されるように開けっ放しにすることができ、又は、一定の容量を維持するように閉鎖することができる。
【0067】
同様の構成要素は、流体をもたないで流体供給ポート25により流体を供給することができる。介護者は、流体を供給し、そして、流体の量が既知の範囲になるように圧力を供給するであろう。スプリング19によって後退された注射器のプランジャは、圧力ゲージとして機能するであろう。介護者は、一旦好ましい圧力に達すると、流体の注入をやめるように教わるであろう。注入された流体が規定範囲内にない場合は、バルーンは誤った大きさになり、取り除かれなければならない。
【0068】
あるいはまた、膨張システムは、介護者が単に目標圧力まで装置を膨張させることを許可するように、管16に付属した簡単な圧力ゲージ27を含むことができる。この構成は、一旦挿入物上で圧力が決められると、固定された容量の状態で機能するシステムを要求する。それは、その中に含まれた圧力ゲージを伴う注射器プランジャを製造することを可能にする。プランジャの軸は、注射器のバレル内の流体の圧力を示す一体とされた又は組み立てられたスプリングを含むことができる。スプリングは、プランジャの軸の2つの部分の間に間隙を形成する。圧力が増加したとき、スプリングは、圧縮され、プランジャの2つの部分が共に閉じるように移動する。2つの部分のスケールは、互いの相対的な位置によって圧力を示すことができる。
【0069】
図1,4及び5を参照すると、部材Aの基端部12が第1及び第2部分30によってアダプタープレートCに回転可能に接続されている。部分30は、概して管状形で、部材Aの内径と実質的に大体同じかわずかに大きい外径を有している。部材Aの基端部12は、部分30の一端部上に受け入れられ固定される。
【0070】
部分30の他端部は、回転可能に部分60に受け入れられ、部分60は、概して管状の中央部分を有している。しかしながら、部分30は、部分60に嵌め込まれたときに、部分30と部分60との間の回転を禁止する摩擦が生じないようなサイズに形成されている。
【0071】
プレートCを通じる円形の開口があり、開口を通って部分30の端部38が延びている。部分30は、プレートCに取り付けられたときに部材Aからポーチまでの排泄物の通路を作り出す。
【0072】
部分30の外面は、外方へ延び、間隔があけられた一対の円周表面の突出部40,42を有し、突出部は、円周の凹部又は溝44を定義する。プレートCの内面は、内方へ延びる環状の突出部46を有し、突出部は、部分30及び部材Aの基端部12がプレートCに相対して手動で回転することを許容するように、溝44内に受け入れられるように適用される。
【0073】
プレートCは、好ましくはプラスチックで形成され、概して、開口34が広がる円形部分50を下部にもった本体を有している。部分32は、部分50の一側に固定され、端部12を覆うように機能する。プレートCの部分50の他側は、環状の突出部か又は表面に溶接されたリングの形態の、第1の相互係合部分52を備えている。部分52は、プレートCにおいて開口34を取り囲む。容器Bは好ましくは一般的なオストミーポーチ55の形態をとることができる。
【0074】
ポーチ55は、ポーチの壁に溶接された環状通路の形態である第2相互係合部分54によって定義された入口開口を含む。部分52は、部分54にスナップ方式で取り外し可能に受け入れられている。
【0075】
相互係合部分52,54の輪郭は、部分が係合され、ポーチがプレートに結合されたときに、流体の密シールが形成されるように、形作られている。このシールは、満たされたポーチの重みが偶発的にポーチの結合の原因となるのを妨げるほどに強い。
【0076】
このタイプの相互係合部分は、技術的に周知であり、一般に2要素のオストミー機器に用いられている。本発明にとって好ましい特有の連結構造は、ニュージャージー州ローレンスビル、ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー所有のキルゴーによる1997年12月2日発行米国特許第5693036号「連結部材を有する円形体及び閉鎖部材のアンダーカット構造の射出成形方法」に開示されている。
【0077】
ポーチ55は、好ましくは1〜1.5リットルの容積を有している。それは、互いに溶着されたプラスチックフィルムの多層構造である。それは、オストミーポーチに共通する、悪臭防止のための活性炭フィルター56を備えることができる。フィルター56は、ポーチ内で圧力が増加しないように、腸内ガスをポーチ内部から逃がすことを許容する。好ましくは、ポーチBの外壁は透明であり、計測用のマーキングが形成される。ポーチは逆止弁として作用するためのフィルムの層を含むこともできる。
【0078】
プレートCの本体部の頂部60は実質的に矩形状であり、膨張管16及び洗浄管20を装着のために受け入れて適合させる開口63,65をそれぞれ有する第1,第2の部分62,64を含む。この方式において、管16,20の外側部分は、プレートCによって保持可能であり、介護者又は患者のじゃまをすることがない。
【0079】
プレートCは、ベッドレール70のような静止物につるすように設計されている。この目的のためにクリップ72が設けられている。クリップ72は、プレートCの部分60から上方へ延び、常套手段によりベッドレール70に支持されることが可能である。
【0080】
摩擦を少なくしガスと悪臭の防壁を提供するため、パリレン74の薄いコーティングが、部分30を受け入れる部材Aの端部12の内面部分を除く部材Aの内外面に、真空蒸着されている。パリレンのコーティングは、好ましくは数ミクロンの厚さである。バルーン14の表面は、パリレンでコーティングされていない。そのようなコーティングは、バルーンが偶発的に体から滑り出る原因になるかもしれないからである。
【0081】
図1において、部材Aから分離して現れるように器具Dが表現されており、図6において、部材Aに係合して現れるように器具Dが表現されている。図7(a)〜図7(e)には、挿入器具Dが、どのように部材Aの末端部10に係合するように用いられるか、そして、どのように肛門又は瘻孔を通して挿入されるか、の順序が表現されている。
【0082】
器具Dは2つの部分から構成される。第1の部分は、末端部82を有した曲がらないロッド又は軸の形態の、硬質プラスチックの長い芯部材80である。ハンドル部分84は、芯部材の基端部に設けられている。器具の第2部分は、成型により形成することができる、柔らかく弾性のあるシリコンスリーブ86である。芯部材80は、スリーブ86内に受け入れられる。スリーブ86は、接着又は他の適当な手段によって芯部材80に固定される。この方法において、芯80とスリーブ86は、1つのユニットを形成するように共に結合される。
【0083】
スリーブ86の部分90は、芯80の末端部82を超えて延びている。部分90は概してふくらんだ形状であり、好ましくは約15mmの長さを有している。しかしながら、部分90は、スリーブの直径の半分から数倍の間の範囲の長さにすることができる。図1及び図7(a)〜図7(c)において、スリーブ86の部分90は、初期の裏返されていない状態で示されている。図6及び図7(d)に示すように、部分90は、部材Aに係合し、バルーン14を圧縮するように、しぼんだ状態のバルーン14を含む部材Aの末端部を覆って裏返すことができるように形成されている。
【0084】
図7(b)及び図7(c)に示すように、部材Aに係合するに先立ち、器具Dは、芯部材80の端部82の近くに末端部10の端が位置づけられるように、部材Aの末端部の近くに配置される。しぼんだ状態のバルーン14は、器具Dの芯部材80に巻き付けられる。図7(d)に示すように、スリーブの部分90は、バルーンが完全に圧縮されるように、部材Aの端部を覆うように裏返される。しぼんだバルーンを含む部材Aの末端部10は、こうして器具Dにより係合される。この状態において、注目すべきは、裏返されたスリーブの部分90が、腸の中への部材Aと器具Dの挿入を容易にするため、柔らかく丸くなった器具Dの先端を形成することである。
【0085】
腸内で正確に位置づけられると、部材Aの末端部10は器具Dから分離される。これは、器具Dを部材Aから解放するために器具Dが末端へ動かされるとき、部材Aを適所で保持することによって果たされる。器具Dは、そのとき腸から引き出されてもよい。しかしながら、解放は、バルーンの膨張によっても果たすことができる。図7(e)に示すように、バルーン14の膨張は、部材Aから器具Dを分離するように、自動的にスリーブの部分90を裏返していない状態に戻す。挿入器具Dは取り出した後廃棄される。
【0086】
本発明は、全体に柔らかく弾性のある材料から作られ、体腔に挿入されるように設計された端部を有する医療機器に関することが、理解されよう。バルーンは、周囲組織の圧迫壊死を防止するように、予め決められた低い圧力レベルで膨張する。
【0087】
本発明は、体腔へ医療機器を挿入するための方法及び器具にも関する。挿入器具は、裏返し可能な部分を形成する柔らかい弾性のあるスリーブによって取り囲まれた硬質の芯部材を含む。機器の末端部は、器具の近くに位置づけられる、バルーンは、器具に巻き付けられ、そして、スリーブの部分が、機器を覆うように裏返され、器具に係合し、バルーンを圧縮し、柔らかい丸まった挿入端を形成する。そのユニットは、そのとき、体腔に挿入される。機器が器具から分離された後、器具は引き出される。
【0088】
本発明のたった一つの好ましい実施形態が説明のために開示されているが、多くの変形や修正が可能であることは明らかである。特許請求の範囲によって定義されているように、それは、本発明の範囲内に収まるこれらの変形や修正が全てカバーされることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の医療機器及び挿入器具の部分分解平面図である。
【図2】医療機器の末端部の断面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】医療機器の基端部の断面図である。
【図5】図4の5−5線矢視図である。
【図6】挿入器具によって係合された医療機器の末端部の断面図である。
【図7(a)】挿入方法の各段階を説明する、医療機器及び挿入器具の末端部の順次的な概略図である。
【図7(b)】挿入方法の各段階を説明する、医療機器及び挿入器具の末端部の順次的な概略図である。
【図7(c)】挿入方法の各段階を説明する、医療機器及び挿入器具の末端部の順次的な概略図である。
【図7(d)】挿入方法の各段階を説明する、医療機器及び挿入器具の末端部の順次的な概略図である。
【図7(e)】挿入方法の各段階を説明する、医療機器及び挿入器具の末端部の順次的な概略図である。
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の背景〕
(1.発明の分野)
本発明は、糞便又は排泄物の処理機器、及び、体腔へ前記機器を挿入するための方法及び器具に関し、特に、全体が軟い弾性のある材料で形成された末端部を収めるバルーンを有する管状部材を含み、一体となった膨張及び洗浄管を含み、基端部に回転可能に接続された取り外し可能な収集容器を有している、糞便処理機器に関し、そして、機器の末端部を体腔へ挿入するための方法及び分離器具に関する。
【0002】
直腸又は瘻孔に非常に近い場所にある、開放創、やけど、手術の切り傷の縫合部等の皮膚の、糞便による汚染は、患者の回復にとって非常に有害である。さらに、極度の注意を要求する過酷な医療問題をもつ多くのこのような状況で、看護の間に偶然そのような排泄物に接触する医療専門家が、故意でなく感染症の病気を広めるかもしれない。
【0003】
加えて、患者や、患者に看護を提供する医療従事者の汚染を効果的に防止する、腸の内容物の処理と収集のためのシステムをもつことに高い要望がある。
【0004】
(2.従来技術の説明)
腸の処理を提供するように設計されたそのようなシステムの一つが、32034フロリダ州フェルナンディーナビーチのザッシメディカルエボリューション社によって市場に出されている。ザッシのシステムは、長くて柔軟なカテーテルからなり、その基端部は、排泄物の収集容器に取り外し可能に接続されている。カテーテルの末端部は、患者の腸へ直腸又は瘻孔を通して挿入されるように設計されている。
【0005】
ザッシのカテーテルの末端部は、腸へのカテーテルの挿入と位置づけを許容する硬質の部分を含む。カテーテルは、2つの膨張性のバルーンをもち、一方のバルーンはカテーテル管内に位置している。他方はバルーンの内側部分でカテーテルを取り囲んでいる。バルーンは、カテーテルの末端部を閉鎖し、直腸又は瘻孔をカテーテルで密封するために、それぞれ独立して膨張可能である。独立した膨張管が、それぞれのバルーンに提供される。第3の管が、腸へ洗浄流体を届ける。
【0006】
このタイプの2重バルーンシステムは公知であり、キムによる1996年10月29日発行米国特許第5569216号「端部にバルーンを有する多目的結腸切開器具」、2002年4月4日発行国際公開番号WO02/26293号「改良された結腸切開器具」に開示されている。
【0007】
キムにより開示され、ザッシの腸の処理システムに利用される2重バルーンシステムの複雑さやコストに加えて、ザッシの器具は欠点を有する。その欠点は、膨張中及び膨張後に、バルーンによって周囲組織に及ぼされる圧力に関する。
【0008】
カテーテルの末端部に外部に配置されたバルーンは、長年の間患者の直腸の適所にカテーテルを保持するために用いられてきた。そのようなカテーテルシステムは、頻繁に浣腸の使用のために用いられているが、直腸から収集システムまでの糞便物質の収集や誘導のためにも用いられている。このようなカテーテルは、ときおり、フォーリーカテーテルとして知られ、一般に尿のカテーテル法に用いる器具の大きな型である。
【0009】
医学界の多くの専門家は、直腸内の膨張器具の使用を是認しない。長期の間、組織の損傷が、膨張したバルーンによって周囲組織に及ぼされた超過圧力に起因すると信じているためである。バルーンからの圧力が、組織が十分な血液に富むことを阻むときに、そのような組織の壊死が生じると信じられている。
【0010】
実際のところ、フォーリータイプのカテーテルが直腸に挿入されたあと、バルーンは、組織に及ぼす圧力に注意しないで、最大サイズまで膨張される。こうして、選択されたバルーンのサイズは臨界に達する。一方、介護者は患者の体内構造について知識がないので、バルーンサイズの選択は推測に過ぎない。
【0011】
ザッシの腸の処理システムにおけるバルーンシステムは、キムによって開示されているように、この問題で不利を招く。バルーンによって組織に供給された圧力を制限する手段は現れていないため、バルーンシステムは、組織が十分に血液に富まないという結果をもたらす圧力で膨張されることがある。
【0012】
さらに、都合よく直腸又は瘻孔にカテーテルの端部を挿入するために、その端部は、十分な堅さを持たなければならない。もしカテーテルの端部が十分に堅くなければ、カテーテルの端部を挿入し、正しく位置づけることが相当困難になることがある。
【0013】
腸への挿入を許容するに十分な堅さをもって腸に挿入されるように設計された器具を構築することは可能であるが、ひとたび器具が適切に位置決めされると、たいてい、そのような堅さを持つことは有害である。多くの製品が挿入のために硬質の管のシステムを使用している。そのようなシステムの1つが、シャフィールドによる1985年5月14日発行米国特許第4516478号「直腸機器及びその挿入方法」に開示されている。これら器具において、挿入される器具の部分は、1の管内に押しつけられている。この管は、腸内の望ましい位置に挿入される。その器具は、そのとき、第2の部材(たいていより小さな入れ子の管である)によって第1の管の端部の外へ押し出される。
【0014】
このシステムは、挿入されたときに圧縮された形状に器具を保持するため堅い外管を必要とする。外管は、引き延ばすこと無しに押し出されるような堅さでなければならない。結局、堅い外管は、圧縮された形態で器具を保持するのに十分強くなければならないが、なおかつ、挿入システムの直径を最小にするのに十分に薄くなければならない。
【0015】
挿入システムのこのタイプに起因するいくつかの欠点がある。第1に、堅い外管は、柔らかい組織に外傷性の衝撃を与えることがある。これは、特に、外管の壁の厚さが部品の直径を最小化するまで減少するからである。薄いチューブの壁は、管の端部の又は管の開口部に沿う鋭いエッジを避けることを困難にする。部品の側部から機器の除去を許容するため、外管がその長さの片側に沿って割られることを必要とする場合、これは、特に有害である。鋭いエッジが、管の長さに沿っていることは明白であり、組織損傷の可能性を招く。
【0016】
さらに、堅い外管における堅さの要件は、十分な強さを確実にする望ましい壁の厚さよりも重要であることに帰着する。結局、堅い外管は、単にそれが堅いという理由で、組織を過度に傷つけるという結果を招く。
【0017】
〔発明の要約〕
本発明は、組織を傷つける原因にならない全体に柔らかい弾性のある材料で末端部が形成された、糞便処理のための医療機器である。その機器は、1つの低圧力のバルーンを利用する。バルーンは、周囲組織への圧力の超過を防止するように、従って、周囲組織から血液がなくなるのを防止するように制御することができる。
【0018】
本発明は、挿入に必要な機器の末端部の堅い部分を、腸に機器を挿入した後に引き出されるように設計された分離した器具に移し、組織を傷つけないように、完全に挿入された機器の末端部が柔らかく弾性であることを許容する。挿入器具は、柔らかい弾性のあるスリーブによって取り囲まれた堅い芯部材を含む。2つで1つのユニットとして機能するように、柔らかいスリーブは堅い芯部材に結合される。スリーブの部分は、堅い芯部材の端部を超えて延びる。この部分は、概してふくらんだ形状を呈する。スリーブの残部は、芯部材の表面に結合される。
【0019】
体腔内に挿入される機器の柔らかい端部は、芯部材の端部に隣接して、挿入器具に巻き付けられる。芯部材を超えて延びるふくらんだスリーブの部分は、器具に巻き付けられた機器の端部を覆うように裏返される。裏返されたスリーブの部分は、機器の端部を圧縮する作用をなし、圧縮された機器の端部を収容する。これは、結果として、挿入を容易にする挿入器具の先端に、滑らかな丸い圧縮された固まりを生じる。
【0020】
圧縮された機器の端部は、堅い挿入器具の末端部を押すことによって、肛門括約筋又は瘻孔を通して体腔に挿入される。堅い芯部材の基端部は、機器が望み通りに位置づけられるまで操作される。裏返されたスリーブの部分の収縮と、挿入器具の末端部を強く押す力とが、器具にまかれた機器の柔らかい端部を著しく圧縮する。
【0021】
一旦適所に位置づけられると、機器と挿入器具は、分離される。機器の露出した部分は、挿入器具が末端方向に押されている間、堅固に保持される。これは、器具から機器を分離するように、裏返されたスリーブの部分を機器の端部から離すように押す。或いは、機器がバルーンの構成を有している場合、バルーンの膨張が機器と挿入器具とを分離することを可能にする。一旦機器と挿入器具とが分離されると、挿入器具は、体腔から引き出され、適所で機器の末端部が残される。
【0022】
高い圧力で膨張されたバルーンにより引き起こされる潜在的な損傷に関しては、本発明は、圧迫壊死のため組織の損傷を徹底的に減少させる能力をもって、直腸におけるバルーンカテーテルの使用を許容する。挿入後、本発明の機器のバルーンは、十分に多くの組織を許容するほどに低いことが知られている圧力だけで、膨張することができる。力平衡のため、バルーンは、十分に多くの組織をいつも許容するように、組織に対してこのわずかな圧力しか供給しない。さらに、バルーンは、完全に膨張された形状に作り上げられる。結果として、バルーンは、潜在的に組織に有害な圧力よりも低い圧力でフルサイズに膨張することができる。
【0023】
摩擦を減少すること、及び、機器の表面の一部に沿ってガスと悪臭の防壁を提供することが望ましい。これは、必要とされる表面領域において機器の壁に適した材料の薄いコーティングを供給することによって果たすことができる。
【0024】
本発明の1つの側面に従い、糞便処理機器が提供される。機器は、末端部及び基端部を有する長い管状部材を含む。膨張性のバルーンが管状部材の末端部を取り囲む。外部から使用しうる膨張管が、バルーンに操作可能に接続されている。糞便収集容器が提供される。管状部材の基端部に取り外し可能に容器を取り付ける手段が提供される。管状部材の末端部が、全体が柔らかく弾性の材料で形成されている。
【0025】
好ましくは、管状部材の末端部は、シリコンで形成される。バルーンも、全体が柔らかく、弾性のある材料で形成される。この材料は同様にシリコンとすることができる。
【0026】
好ましくは、バルーンは、完全に膨張したときに実質的に環状形である。予め決められた最大圧力でバルーンを膨張するための手段が提供される。これらの手段は、膨張管で膨張流体を供給するための手段を含む。膨張流体供給手段は、プランジャとスプリングを有する注射器を含む。圧力計及びバルブが圧力超過を防止するために含まれていてもよい。
【0027】
バルーンは、完全に膨張された大きさと形状で形成される。それは、組織にとって潜在的に有害な圧力よりも小さな圧力でバルーンを最終形状に膨張することを許容する材料で形成されている。
【0028】
管状部材は壁を含む。膨張管の少なくとも一部が前記壁に結合されている。壁は内面を有する。膨張管の少なくとも一部が壁内面と一体である。壁は、膨張管が通じて延びる開口を有する。
【0029】
外部から使用しうる洗浄管も提供することができる。洗浄管は、管状部材の末端部の端に近い端部を有する。洗浄管の少なくとも一部は、管状部材の壁と一体である。好ましくは、洗浄管の少なくとも一部は、内部の壁面に結合されている。壁は、洗浄管が通じて延びる開口を有している。
【0030】
好ましくは、膨張管は管状部材の長さの大部分に延びる。洗浄管も、好ましくは、管状部材の長さの大部分に延びる。
【0031】
好ましくは、膨張管は、前記壁の長さの大部分に沿って壁に結合される。洗浄管も、好ましくは、管状部材の長さ全体の大部分に沿って、内部の壁面に結合される。
【0032】
膨張管は、管状部材内に位置づけられた部分と、管状部材外の部分とを有する。洗浄管も管状部材内に位置づけられた部分と、管状部材外の部分とを有する。
【0033】
機器は、更に、洗浄管に洗浄流体を供給するための手段を備えている。洗浄流体供給手段は、注射器を含む。
【0034】
容器取り付け手段は、開口を有するプレートを含む。プレートの開口と一直線上に、管状部材の基端部をプレートに結合するための手段が提供される。これらの結合手段は、プレートに相対して管状部材の基端部の回転を許容する手段を含む。回転許容手段は、管状部材の基端部を受け入れるように適合された第1の部分と、プレートに設けられた第2の部分とを含む。第1の部分は、第2の部分に回転可能に取り付けられる。
【0035】
プレートは、外部の膨張管部分を支持する手段を含む。プレートはさらに、外部の洗浄管部分を指示する手段を含むことができる。
【0036】
機器は、ベッドレール又は同様の静止部材に使用するように設計される。それは、プレートを静止部材に結合するための手段を含む。
【0037】
収集容器をプレートに取り外し可能に取り付けるための手段は、第1及び第2の相互係合連結部分を含む。第1の部分は、プレート開口部を取り囲んでプレートに固定される。容器は、開口をもつ壁を有する。第2の部分は、壁の開口を取り囲んで、容器の壁に固定される。
【0038】
体腔へ挿入されるように適応した機器の端部が、全体に柔らかい、弾性のある材料で作られているので、機器から分離された機器を挿入するための器具が提供される。挿入器具は、末端部及び基端部を有する実質的に堅くて長い芯と、末端部及び基端部を有するスリーブと、を含む。芯は、芯の末端部を超えて延びるスリーブの部分がある状態で、スリーブ内に受け入れられる。
【0039】
延長されたスリーブの部分は、機器の管状部材の末端部に係合するように裏返し可能である。芯の末端部を超えて延びるスリーブの末端部の部分は、概してふくらんだ形状である。好ましくは、裏返し可能なスリーブの部分は、柔らかい弾性のある材料で形成されている。
【0040】
好ましくは、スリーブの基端部は、芯に結合されている。これは、機器と器具とを1ユニットとして機能させることを可能にする。
【0041】
好ましくは、摩擦を低減し、ガスや悪臭を阻むコーティングを管状部材の表面上に形成する手段が提供される。好ましくは、被膜は、数ミクロンの厚さであり、管状部材の内外面に真空蒸着されたパリレンから構成することができる。
【0042】
本発明の他の側面に従い、医療機器を体腔へ挿入するための器具が提供される。器具は、末端部と基端部とを有する実質的に堅くて長い芯と、末端部と基端部とを有するスリーブと、を含む。芯はスリーブ内に受け入れられる。スリーブの末端部の部分は、芯の末端部を超えて延びる。この部分は、医療機器に係合するために裏返し可能である。
【0043】
芯の末端部を超えて延びるスリーブの末端部の部分は、概してふくらんだ形状である。スリーブの末端部の部分は、柔らかい弾性のある材料で形成されている。
【0044】
好ましくは、スリーブの基端部は、シャフトに結合される。
【0045】
本発明の別の側面に従い、挿入器具を利用して、体腔へ医療機器の柔らかい端部を挿入するための方法が提供される。器具は、芯を超えて延びるスリーブの部分をもたせた状態で、スリーブ内に受け入れられる、実質的に堅く長い芯を有する。前記方法は、スリーブの前記部分に近い器具の近くに、医療機器の末端部を配置する行程を含む。スリーブの部分は、医療機器に係合するために、医療機器の末端部を覆うように裏返される。芯の末端部は、機器に係合している裏返されたスリーブの部分とともに、体腔へ挿入される。器具は、機器から分離され、適所に機器を残した状態で、体腔から引き出される。
【0046】
前記方法は、スリーブの部分を裏返す前に、医療機器の末端部を器具に巻き付ける行程を含む。
【0047】
医療機器は、末端部に膨張性のバルーン含むことができる。この場合、その方法は、更に、器具の末端部が、医療機器に係合している裏返されたスリーブの部分とともに、体腔内へ挿入されたあとに、バルーンを膨張させる行程を含む。これは、医療機器を解放するように、裏返されたスリーブ部分を裏返されていない位置に戻すという結果をもたらす。
【0048】
前記方法は、更に、摩擦を低減するガス及び悪臭の防壁の層で、機器の表面をコーティングする行程を備える。その層は、数ミクロンの厚さであり、パリレンで形成されている。それは、機器の表面に真空蒸着される。
【0049】
これらのそして他の目的は、以下において明らかになるであろう。本発明は、同種の符号が同種の部分を示している添付の図面とともに、次の明細書と添付の特許請求の範囲とに詳しく記載された糞便処理機器と、体腔へ機器の端部を挿入するための方法及び器具に関する。
【0050】
〔発明の詳細な説明〕
図1に示すように、本発明の医療機器は、概してAで示された長く曲がりやすい管状部材を含み、管状部材は、体腔内に挿入されるように設計された末端部10と基端部12とを有している。部材Aは、好ましくはおよそ1mの長さで、直径23mmである。それは、肛門括約筋を通した通過を容易にするために直径8mmまでつぶれる。
【0051】
概してBで示された糞便容器は、概してCで示されたアダプタープレートを通して部材Aの基端部12に回転可能に接続されている。部材Aの末端部10の外表面に付着されたものは、図1でしぼんだ状態で示された、低圧で膨張するバルーン14である。
【0052】
バルーン14は、例えば、空気、水又は生理食塩水のような流体により、52mmHg(1.0ポンド/平方インチ)以下の圧力で、膨張管16を通して約直径58mmまで膨張する。管16は、ルアータイプのバルブ接続具17によって、例えば注射器のような膨張流体源に接続されている。注射器は、バルーンをしぼませるため、膨張流体を引き込むのにも用いられる。
【0053】
好ましくは、第2の洗浄管20も提供される。管20は、部材Aの末端部10の端まで延び、ルアータイプのバルブ接続具21によって、注射器22のような洗浄流体源に接続されている。管16,20は好ましくは直径1mm〜1.5mmである。
【0054】
部材Aの末端部10とバルーン14は、体の組織を傷つけないように、共に全体に柔らかい弾性のある材料で作られている。材料は、例えば、シリコンとすることができる。
【0055】
概してDで示された、分離した挿入器具は、直腸内への部材Aの末端部10の挿入と配置とを容易にするために提供される。以下に説明するように、器具Dは堅い。それは、部材Aの末端部10に係合し、腸への挿入と位置づけを容易にするように設計されている。器具Dは、体内に部材Aの柔らかく弾性のある末端部10だけが残るように、医療機器から分離され、体腔から取り出される。
【0056】
最も良く示された図2のように、バルーン14は、機器Aの末端部10を取り囲む。好ましくは、バルーンは、完全に膨張したときに環状形になる。バルーンの壁は、好ましくは、完全に膨張したかたちで製造される。それは、組織にとって潜在的に有害な圧力よりも低い圧力でバルーンが最終形状にまで膨張するのを許容するような材料で形成される。以下に詳述するように、バルーン14内の流体の圧力は、バルーンが周囲の組織に対して予め決定されたレベルを超えた圧力を供給できないように、注意深く調節される。
【0057】
図3に示すように、膨張管16及び洗浄管20は、好ましくは部材Aの壁の内面と一体な部分として形成される。管16,20のいずれも、部材A内に延びる部分と、各流体源18,22への結合のために、部材Aの壁の各開口24,26を通して延びる部分とを有する。好ましくは、管16,20の内側部分は、部材Aの全長に沿って延びている。部材Aの長さに沿ったあらゆる部分に位置する管の外側部分とともに、部材Aを製造することが可能である。
【0058】
膨張管16は、部材Aの末端部10の端の近くに閉鎖された端部を有している。しかしながら、膨張流体(たいてい水又は生理食塩水)がバルーンを膨張させるためにバルーン14に導入され、且つバルーンをしぼませるためにバルーンから取り除かれることを許容するように、通路28が、管16をバルーン14の内部に接続している。
【0059】
洗浄管20は、部材Aの末端部10の端に最も近い位置まで延び、洗浄流体が腸内に導入されうるように、開放した端部を有している。洗浄流体は、注射器22のような源から必要に応じて供給される。
【0060】
バルーンの膨張システムは、2通りの機能を果たす。それは、例えば、予め決められたレベルで注射器のプランジャに負荷をかけるスプリングにより、組織に対して望ましい圧力が維持されるように、内部圧力が増加した場合にバルーンが大きくしぼむことを許容する。あるいはまた、バルーンは、圧力が一旦挿入物に到達された場合に、量を固定させることができる。腸がゆるめられたとき同時にこれがなされた場合、組織への圧力は、腸が収縮したときに増加するであろう。これは、定期的な事象であるので、組織は収縮と収縮の間に十分に血液に富むであろう。
【0061】
管状部材から距離をおいて、バルーンが膨張され、圧力が調節される。膨張管16は、バルーンから体の外側に位置する膨張流体源まで延びる。流体源は、手動で操作することができ、又は、電子的又は機械的システムによって調節することができる。
【0062】
好ましい一実施形態において、バルーンは、注射器18のような流体容器に操作可能に接続される。注射器は、直径1〜1.25インチの間のシリコンプランジャシールとバレルとを有する60cm3の市販用のボリカーボネート製ルアーロック注射器とすることができる。注射器の容量は、プランジャに供給された力に完全に依存した圧力以下で流体を収容するように、変更することができる。適切な力のスプリング19を伴う注射器18のプランジャに負荷を与えるスプリングは、望ましい圧力を内部のバルーンに与えるだろう。バルーンへの流体の通路は、圧力を維持するために開いたままに維持することができ、又は、バルーンの容量を維持するためにバルブ又はクランプ23によって閉じることができる。シリンダ内の圧力は、こうしてバルーンのサイズ、ひいては組織に適用される圧力を決定する。
【0063】
正確な圧力の計測のため、バルーンの弾性力が考慮されなければならない。しかしながら、バルーンが望ましい完全に膨張した形状で製造される場合、バルーンを作る材料の弾性の影響は小さい。予め決定されたサイズ次第で、バルーン内の圧力が組織に及ぼす圧力を決定するだろう。
【0064】
介護者が患者の生体構造にとってあまりに小さいバルーンを使用する状況があるかもしれない。この状況においては、バルーンは、圧力の増加無しで規定量に膨張するであろう。それゆえ、バルーンは、封をするために十分に生体構造を圧縮していない。反対に、規定量の流体の導入によってバルーンの圧力が限界を超過する場合、介護者は、バルーンが患者の生体構造にとって大きすぎることを知ることができる。
【0065】
あるいはまた、バルーンが膨張したときに圧力が監視されている場合は、介護者はバルーンが大きすぎるか小さすぎるかを知ることができる。上記のように、バルーンが小さすぎる場合、規定量全体が注入されても、バルーンの圧力は規定圧力に到達していない。反対に、バルーンが大きすぎる場合、最大圧力が、流体の規定量の注入に先立って到達されるだろう。バルーン内の容量計測の正確さは、圧縮できない流体を使うことによって、又は、気体が使われている場合は理想気体の法則による圧力増加の補償によって、維持することができる。
【0066】
機器は、例えば、流体と殆ど一定力のスプリングとの間のプランジャを有する注射器18のような、弾力のある機械システムによってほとんど一定の圧力下に維持された、予め満たされた流体容器を備えることができる。プランジャを圧縮するスプリングは、望ましい圧力で流体を維持するだろう。一旦機器が患者に挿入されると、シリンダの流体が望ましい圧力でバルーンを満たし膨張させることを許容するように、バルブ又はクランプ23が開かれるだろう。バルブ又はクランプ23は、時間とともに、圧力が維持されるように開けっ放しにすることができ、又は、一定の容量を維持するように閉鎖することができる。
【0067】
同様の構成要素は、流体をもたないで流体供給ポート25により流体を供給することができる。介護者は、流体を供給し、そして、流体の量が既知の範囲になるように圧力を供給するであろう。スプリング19によって後退された注射器のプランジャは、圧力ゲージとして機能するであろう。介護者は、一旦好ましい圧力に達すると、流体の注入をやめるように教わるであろう。注入された流体が規定範囲内にない場合は、バルーンは誤った大きさになり、取り除かれなければならない。
【0068】
あるいはまた、膨張システムは、介護者が単に目標圧力まで装置を膨張させることを許可するように、管16に付属した簡単な圧力ゲージ27を含むことができる。この構成は、一旦挿入物上で圧力が決められると、固定された容量の状態で機能するシステムを要求する。それは、その中に含まれた圧力ゲージを伴う注射器プランジャを製造することを可能にする。プランジャの軸は、注射器のバレル内の流体の圧力を示す一体とされた又は組み立てられたスプリングを含むことができる。スプリングは、プランジャの軸の2つの部分の間に間隙を形成する。圧力が増加したとき、スプリングは、圧縮され、プランジャの2つの部分が共に閉じるように移動する。2つの部分のスケールは、互いの相対的な位置によって圧力を示すことができる。
【0069】
図1,4及び5を参照すると、部材Aの基端部12が第1及び第2部分30によってアダプタープレートCに回転可能に接続されている。部分30は、概して管状形で、部材Aの内径と実質的に大体同じかわずかに大きい外径を有している。部材Aの基端部12は、部分30の一端部上に受け入れられ固定される。
【0070】
部分30の他端部は、回転可能に部分60に受け入れられ、部分60は、概して管状の中央部分を有している。しかしながら、部分30は、部分60に嵌め込まれたときに、部分30と部分60との間の回転を禁止する摩擦が生じないようなサイズに形成されている。
【0071】
プレートCを通じる円形の開口があり、開口を通って部分30の端部38が延びている。部分30は、プレートCに取り付けられたときに部材Aからポーチまでの排泄物の通路を作り出す。
【0072】
部分30の外面は、外方へ延び、間隔があけられた一対の円周表面の突出部40,42を有し、突出部は、円周の凹部又は溝44を定義する。プレートCの内面は、内方へ延びる環状の突出部46を有し、突出部は、部分30及び部材Aの基端部12がプレートCに相対して手動で回転することを許容するように、溝44内に受け入れられるように適用される。
【0073】
プレートCは、好ましくはプラスチックで形成され、概して、開口34が広がる円形部分50を下部にもった本体を有している。部分32は、部分50の一側に固定され、端部12を覆うように機能する。プレートCの部分50の他側は、環状の突出部か又は表面に溶接されたリングの形態の、第1の相互係合部分52を備えている。部分52は、プレートCにおいて開口34を取り囲む。容器Bは好ましくは一般的なオストミーポーチ55の形態をとることができる。
【0074】
ポーチ55は、ポーチの壁に溶接された環状通路の形態である第2相互係合部分54によって定義された入口開口を含む。部分52は、部分54にスナップ方式で取り外し可能に受け入れられている。
【0075】
相互係合部分52,54の輪郭は、部分が係合され、ポーチがプレートに結合されたときに、流体の密シールが形成されるように、形作られている。このシールは、満たされたポーチの重みが偶発的にポーチの結合の原因となるのを妨げるほどに強い。
【0076】
このタイプの相互係合部分は、技術的に周知であり、一般に2要素のオストミー機器に用いられている。本発明にとって好ましい特有の連結構造は、ニュージャージー州ローレンスビル、ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー所有のキルゴーによる1997年12月2日発行米国特許第5693036号「連結部材を有する円形体及び閉鎖部材のアンダーカット構造の射出成形方法」に開示されている。
【0077】
ポーチ55は、好ましくは1〜1.5リットルの容積を有している。それは、互いに溶着されたプラスチックフィルムの多層構造である。それは、オストミーポーチに共通する、悪臭防止のための活性炭フィルター56を備えることができる。フィルター56は、ポーチ内で圧力が増加しないように、腸内ガスをポーチ内部から逃がすことを許容する。好ましくは、ポーチBの外壁は透明であり、計測用のマーキングが形成される。ポーチは逆止弁として作用するためのフィルムの層を含むこともできる。
【0078】
プレートCの本体部の頂部60は実質的に矩形状であり、膨張管16及び洗浄管20を装着のために受け入れて適合させる開口63,65をそれぞれ有する第1,第2の部分62,64を含む。この方式において、管16,20の外側部分は、プレートCによって保持可能であり、介護者又は患者のじゃまをすることがない。
【0079】
プレートCは、ベッドレール70のような静止物につるすように設計されている。この目的のためにクリップ72が設けられている。クリップ72は、プレートCの部分60から上方へ延び、常套手段によりベッドレール70に支持されることが可能である。
【0080】
摩擦を少なくしガスと悪臭の防壁を提供するため、パリレン74の薄いコーティングが、部分30を受け入れる部材Aの端部12の内面部分を除く部材Aの内外面に、真空蒸着されている。パリレンのコーティングは、好ましくは数ミクロンの厚さである。バルーン14の表面は、パリレンでコーティングされていない。そのようなコーティングは、バルーンが偶発的に体から滑り出る原因になるかもしれないからである。
【0081】
図1において、部材Aから分離して現れるように器具Dが表現されており、図6において、部材Aに係合して現れるように器具Dが表現されている。図7(a)〜図7(e)には、挿入器具Dが、どのように部材Aの末端部10に係合するように用いられるか、そして、どのように肛門又は瘻孔を通して挿入されるか、の順序が表現されている。
【0082】
器具Dは2つの部分から構成される。第1の部分は、末端部82を有した曲がらないロッド又は軸の形態の、硬質プラスチックの長い芯部材80である。ハンドル部分84は、芯部材の基端部に設けられている。器具の第2部分は、成型により形成することができる、柔らかく弾性のあるシリコンスリーブ86である。芯部材80は、スリーブ86内に受け入れられる。スリーブ86は、接着又は他の適当な手段によって芯部材80に固定される。この方法において、芯80とスリーブ86は、1つのユニットを形成するように共に結合される。
【0083】
スリーブ86の部分90は、芯80の末端部82を超えて延びている。部分90は概してふくらんだ形状であり、好ましくは約15mmの長さを有している。しかしながら、部分90は、スリーブの直径の半分から数倍の間の範囲の長さにすることができる。図1及び図7(a)〜図7(c)において、スリーブ86の部分90は、初期の裏返されていない状態で示されている。図6及び図7(d)に示すように、部分90は、部材Aに係合し、バルーン14を圧縮するように、しぼんだ状態のバルーン14を含む部材Aの末端部を覆って裏返すことができるように形成されている。
【0084】
図7(b)及び図7(c)に示すように、部材Aに係合するに先立ち、器具Dは、芯部材80の端部82の近くに末端部10の端が位置づけられるように、部材Aの末端部の近くに配置される。しぼんだ状態のバルーン14は、器具Dの芯部材80に巻き付けられる。図7(d)に示すように、スリーブの部分90は、バルーンが完全に圧縮されるように、部材Aの端部を覆うように裏返される。しぼんだバルーンを含む部材Aの末端部10は、こうして器具Dにより係合される。この状態において、注目すべきは、裏返されたスリーブの部分90が、腸の中への部材Aと器具Dの挿入を容易にするため、柔らかく丸くなった器具Dの先端を形成することである。
【0085】
腸内で正確に位置づけられると、部材Aの末端部10は器具Dから分離される。これは、器具Dを部材Aから解放するために器具Dが末端へ動かされるとき、部材Aを適所で保持することによって果たされる。器具Dは、そのとき腸から引き出されてもよい。しかしながら、解放は、バルーンの膨張によっても果たすことができる。図7(e)に示すように、バルーン14の膨張は、部材Aから器具Dを分離するように、自動的にスリーブの部分90を裏返していない状態に戻す。挿入器具Dは取り出した後廃棄される。
【0086】
本発明は、全体に柔らかく弾性のある材料から作られ、体腔に挿入されるように設計された端部を有する医療機器に関することが、理解されよう。バルーンは、周囲組織の圧迫壊死を防止するように、予め決められた低い圧力レベルで膨張する。
【0087】
本発明は、体腔へ医療機器を挿入するための方法及び器具にも関する。挿入器具は、裏返し可能な部分を形成する柔らかい弾性のあるスリーブによって取り囲まれた硬質の芯部材を含む。機器の末端部は、器具の近くに位置づけられる、バルーンは、器具に巻き付けられ、そして、スリーブの部分が、機器を覆うように裏返され、器具に係合し、バルーンを圧縮し、柔らかい丸まった挿入端を形成する。そのユニットは、そのとき、体腔に挿入される。機器が器具から分離された後、器具は引き出される。
【0088】
本発明のたった一つの好ましい実施形態が説明のために開示されているが、多くの変形や修正が可能であることは明らかである。特許請求の範囲によって定義されているように、それは、本発明の範囲内に収まるこれらの変形や修正が全てカバーされることを意図している。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の医療機器及び挿入器具の部分分解平面図である。
【図2】医療機器の末端部の断面図である。
【図3】図2の3−3線断面図である。
【図4】医療機器の基端部の断面図である。
【図5】図4の5−5線矢視図である。
【図6】挿入器具によって係合された医療機器の末端部の断面図である。
【図7(a)】挿入方法の各段階を説明する、医療機器及び挿入器具の末端部の順次的な概略図である。
【図7(b)】挿入方法の各段階を説明する、医療機器及び挿入器具の末端部の順次的な概略図である。
【図7(c)】挿入方法の各段階を説明する、医療機器及び挿入器具の末端部の順次的な概略図である。
【図7(d)】挿入方法の各段階を説明する、医療機器及び挿入器具の末端部の順次的な概略図である。
【図7(e)】挿入方法の各段階を説明する、医療機器及び挿入器具の末端部の順次的な概略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直腸又は瘻孔のための排泄物処理機器において、末端部及び基端部を有する長い管状部材と、前記末端部を取り囲む膨張性のバルーンと、前記バルーンに操作可能に接続された、外部から使用しうる膨張管と、排泄物の収集容器と、前記容器を前記管状部材の基端部に取り外し可能に取り付けるための手段と、を備え、前記管状部材の末端部が、全体に柔らかい弾性のある材料で形成されていることを特徴とする機器。
【請求項2】
前記材料がシリコンである、請求項1記載の機器。
【請求項3】
更に、予め決められた最大の圧力で前記バルーンを膨張するための手段を備えている、請求項1記載の機器。
【請求項4】
前記バルーンが、全体に柔らかい弾性のある材料で形成されている、請求項1記載の機器。
【請求項5】
前記バルーンが、完全に膨張した形状で形成されている、請求項1記載の機器。
【請求項6】
前記バルーンが、シリコンで形成されている、請求項1記載の機器。
【請求項7】
前記管状部材が壁を備え、前記膨張管の少なくとも一部が前記壁に結合されている、請求項1記載の機器。
【請求項8】
前記管状部材が、内面を有する壁を備え、前記膨張管の少なくとも一部が前記壁内面と一体である、請求項1記載の機器。
【請求項9】
前記管状部材が、前記膨張管が通じて延びる開口を有する壁を有している、請求項1記載の機器。
【請求項10】
更に、前記管状部材の末端部の近くに端部を有する、外部から使用しうる洗浄管を備えている、請求項1記載の機器。
【請求項11】
前記管状部材が壁を備え、前記洗浄管の少なくとも一部が前記壁に結合されている、請求項10記載の機器。
【請求項12】
前記管状部材が、内面を有する壁を備え、前記洗浄管の少なくとも一部が前記壁内面と一体である、請求項10に記載の機器。
【請求項13】
前記管状部材が、前記洗浄管が通じて延びる開口をもつ壁を有している、請求項10に記載の機器。
【請求項14】
前記膨張管が、ほとんど前記管状部材の長さ全体に延びている、請求項1記載の機器。
【請求項15】
前記洗浄管が、ほとんど前記管状部材の長さ全体に延びている、請求項10記載の機器。
【請求項16】
前記管状部材が壁を有し、前記膨張管が、ほとんど前記管状部材の長さ全体に沿って壁に結合されている、請求項1記載の機器。
【請求項17】
前記管状部材が、内面をもつ壁を有し、前記膨張管が、ほとんど前記管状部材の全長に沿って壁内面に結合されている、請求項1記載の機器。
【請求項18】
更に、前記膨張管に膨張流体を供給するための手段を備えている、請求項1記載の機器。
【請求項19】
前記膨張供給手段が注射器を備えている、請求項18記載の機器。
【請求項20】
前記注射器が、プランジャと、スプリング又はスプリング機構と、を備えている、請求項19記載の機器。
【請求項21】
前記膨張管が、前記管状部材内に位置づけられた部分と、前記管状部材外の部分とを有している、請求項1記載の機器。
【請求項22】
前記洗浄管が、前記管状部材内に位置づけられた部分と、前記管状部材外の部分とを有している、請求項10記載の機器。
【請求項23】
前記膨張させる手段が、圧力計を備えている、請求項3記載の機器。
【請求項24】
更に、前記洗浄管に洗浄流体を供給するための手段を備えている、請求項10記載の機器。
【請求項25】
前記容器取り付け手段が、開口を有するプレートと、前記プレートの開口と一直線上に前記プレートに前記管状部材の前記基端部を結合するための手段と、を備えている、請求項1記載の機器。
【請求項26】
前記結合手段が、前記プレートに相対する前記管状部材の基端部の回転を許容する手段を備えている、請求項25に記載の機器。
【請求項27】
前記回転許容手段が、前記管状部材の基端部を受け入れるように適合する第1の部分と、前記プレートに設けられた第2の部分とを備え、前記第1の部分が第2の部分に回転可能に取り付けられている、請求項26記載の機器。
【請求項28】
前記プレートが、更に、前記膨張管を保持するための手段を備えている、請求項25記載の機器。
【請求項29】
前記容器取り付け手段が、開口を有するプレートと、前記プレートの開口と一直線上に前記プレートに前記管状部材の前記基端部を結合するための手段と、を備えている、請求項10記載の機器。
【請求項30】
前記プレートが、更に、前記洗浄管を保持するための手段を備えている、請求項29記載の機器。
【請求項31】
更に、前記プレートを静止部材に結合するための手段を備えている、請求項25記載の機器。
【請求項32】
前記容器取り付け手段が、第1,第2の相互係合連結部分を備えている、請求項25記載の機器。
【請求項33】
前記第1連結部分が、前記プレート開口の周囲で前記プレートに固定されている。請求項32記載の機器。
【請求項34】
前記容器が、開口を有する壁を備え、前記第2の連結部分が、前記壁の開口の周囲で容器の壁に固定されている、請求項32記載の機器。
【請求項35】
前記容器が、開口を有する壁を備え、前記第2の連結部分が、前記壁の開口の周囲で前記容器の壁に固定されている、請求項33記載の機器。
【請求項36】
体腔へ挿入されるように適応した前記管状部材の末端部が、更に、前記機器から分離された挿入器具を備えている、請求項1記載の機器。
【請求項37】
前記挿入器具が、末端部及び基端部を有する実質的に堅くて長い芯と、末端部と基端部とを有するスリーブと、を備え、前記芯の前記末端部を超えて延びる前記スリーブの前記末端部の部分をもたせた状態で、前記芯が前記スリーブ内にいくらかの距離で受け入れられ、前記スリーブの部分が、前記機器に係合するように裏返すことができる、請求項36記載の機器。
【請求項38】
前記スリーブが前記芯に結合されている、請求項37記載の機器。
【請求項39】
前記スリーブの前記部分が、実質的にふくらんだ形状である、請求項37記載の機器。
【請求項40】
前記スリーブの前記部分が、柔らかい弾性のある材料で形成されている、請求項37記載の機器。
【請求項41】
更に、摩擦を減少させるコーティングを備えている、請求項1記載の機器。
【請求項42】
更に、ガスと悪臭を阻む材料のコーティングを備えている、請求項1記載の機器。
【請求項43】
前記コーティングが数ミクロンの厚さである、請求項41記載の機器。
【請求項44】
前記コーティングが数ミクロンの厚さである、請求項42記載の機器。
【請求項45】
体腔へ医療機器の柔らかい端部を挿入するための器具において、末端部と基端部とを有する実質的に堅くて長い芯と、末端部と基端部とを有するスリーブと、を備え、前記芯の前記末端部を超えて延びる前記スリーブの前記末端部の部分をもたせた状態で、前記芯が、前記スリーブ内に受け入れられ、前記スリーブの部分が、前記機器の柔らかい端部に係合するように裏返し可能であることを特徴とする器具。
【請求項46】
前記スリーブが前記コアに結合されている、請求項45記載の器具。
【請求項47】
前記スリーブの前記部分が、実質的にふくらんだ形状である、請求項45記載の器具。
【請求項48】
前記スリーブの前記部分が、柔らかい弾性のある材料で形成されている、請求項45記載の器具。
【請求項49】
硬質の芯と芯を超えて延びるスリーブの部分とを有する挿入器具を利用して、体腔内に医療機器の末端部を挿入するための方法において、
前記スリーブの部分に非常に近い器具の近くに、医療機器の末端部を配置する行程と、医療機器の末端部を係合のために覆うようにスリーブ部分を裏返す行程と、裏返されたスリーブ部分と係合された医療機器の端部とともに、器具の端部を体腔へ挿入する行程と、器具から機器を分離し器具を引き出す行程と、を備えていることを特徴とする方法。
【請求項50】
更に、スリーブ部分を裏返す前に、医療機器の末端部を器具に巻き付ける行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項51】
医療機器の末端部がバルーンを含み、更に、スリーブの部分を裏返す前に、バルーンを器具に巻き付ける行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項52】
挿入器具が、前記スリーブの部分を一部分として構成しているスリーブを備え、更に、前記スリーブへ硬質の芯を挿入し、前記スリーブに前記芯を付着する行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項53】
医療機器が、末端部に膨張性のバルーンを含み、
更に、裏返されたスリーブの部分と係合された医療機器の端部とともに、器具の端部が体腔内に挿入されたあと、スリーブの部分を裏返していない配置に戻すようにバルーンを膨張し、器具から機器を分離する行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項54】
更に、摩擦を低減する材料で機器の表面をコーティングする行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項55】
更に、ガスと悪臭を阻む材料で機器の表面をコーティングする行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項56】
コーティングする行程が、真空蒸着行程を備えている、請求項54記載の方法。
【請求項57】
コーティングする行程が、真空蒸着行程を備えている、請求項55記載の方法。
【請求項1】
直腸又は瘻孔のための排泄物処理機器において、末端部及び基端部を有する長い管状部材と、前記末端部を取り囲む膨張性のバルーンと、前記バルーンに操作可能に接続された、外部から使用しうる膨張管と、排泄物の収集容器と、前記容器を前記管状部材の基端部に取り外し可能に取り付けるための手段と、を備え、前記管状部材の末端部が、全体に柔らかい弾性のある材料で形成されていることを特徴とする機器。
【請求項2】
前記材料がシリコンである、請求項1記載の機器。
【請求項3】
更に、予め決められた最大の圧力で前記バルーンを膨張するための手段を備えている、請求項1記載の機器。
【請求項4】
前記バルーンが、全体に柔らかい弾性のある材料で形成されている、請求項1記載の機器。
【請求項5】
前記バルーンが、完全に膨張した形状で形成されている、請求項1記載の機器。
【請求項6】
前記バルーンが、シリコンで形成されている、請求項1記載の機器。
【請求項7】
前記管状部材が壁を備え、前記膨張管の少なくとも一部が前記壁に結合されている、請求項1記載の機器。
【請求項8】
前記管状部材が、内面を有する壁を備え、前記膨張管の少なくとも一部が前記壁内面と一体である、請求項1記載の機器。
【請求項9】
前記管状部材が、前記膨張管が通じて延びる開口を有する壁を有している、請求項1記載の機器。
【請求項10】
更に、前記管状部材の末端部の近くに端部を有する、外部から使用しうる洗浄管を備えている、請求項1記載の機器。
【請求項11】
前記管状部材が壁を備え、前記洗浄管の少なくとも一部が前記壁に結合されている、請求項10記載の機器。
【請求項12】
前記管状部材が、内面を有する壁を備え、前記洗浄管の少なくとも一部が前記壁内面と一体である、請求項10に記載の機器。
【請求項13】
前記管状部材が、前記洗浄管が通じて延びる開口をもつ壁を有している、請求項10に記載の機器。
【請求項14】
前記膨張管が、ほとんど前記管状部材の長さ全体に延びている、請求項1記載の機器。
【請求項15】
前記洗浄管が、ほとんど前記管状部材の長さ全体に延びている、請求項10記載の機器。
【請求項16】
前記管状部材が壁を有し、前記膨張管が、ほとんど前記管状部材の長さ全体に沿って壁に結合されている、請求項1記載の機器。
【請求項17】
前記管状部材が、内面をもつ壁を有し、前記膨張管が、ほとんど前記管状部材の全長に沿って壁内面に結合されている、請求項1記載の機器。
【請求項18】
更に、前記膨張管に膨張流体を供給するための手段を備えている、請求項1記載の機器。
【請求項19】
前記膨張供給手段が注射器を備えている、請求項18記載の機器。
【請求項20】
前記注射器が、プランジャと、スプリング又はスプリング機構と、を備えている、請求項19記載の機器。
【請求項21】
前記膨張管が、前記管状部材内に位置づけられた部分と、前記管状部材外の部分とを有している、請求項1記載の機器。
【請求項22】
前記洗浄管が、前記管状部材内に位置づけられた部分と、前記管状部材外の部分とを有している、請求項10記載の機器。
【請求項23】
前記膨張させる手段が、圧力計を備えている、請求項3記載の機器。
【請求項24】
更に、前記洗浄管に洗浄流体を供給するための手段を備えている、請求項10記載の機器。
【請求項25】
前記容器取り付け手段が、開口を有するプレートと、前記プレートの開口と一直線上に前記プレートに前記管状部材の前記基端部を結合するための手段と、を備えている、請求項1記載の機器。
【請求項26】
前記結合手段が、前記プレートに相対する前記管状部材の基端部の回転を許容する手段を備えている、請求項25に記載の機器。
【請求項27】
前記回転許容手段が、前記管状部材の基端部を受け入れるように適合する第1の部分と、前記プレートに設けられた第2の部分とを備え、前記第1の部分が第2の部分に回転可能に取り付けられている、請求項26記載の機器。
【請求項28】
前記プレートが、更に、前記膨張管を保持するための手段を備えている、請求項25記載の機器。
【請求項29】
前記容器取り付け手段が、開口を有するプレートと、前記プレートの開口と一直線上に前記プレートに前記管状部材の前記基端部を結合するための手段と、を備えている、請求項10記載の機器。
【請求項30】
前記プレートが、更に、前記洗浄管を保持するための手段を備えている、請求項29記載の機器。
【請求項31】
更に、前記プレートを静止部材に結合するための手段を備えている、請求項25記載の機器。
【請求項32】
前記容器取り付け手段が、第1,第2の相互係合連結部分を備えている、請求項25記載の機器。
【請求項33】
前記第1連結部分が、前記プレート開口の周囲で前記プレートに固定されている。請求項32記載の機器。
【請求項34】
前記容器が、開口を有する壁を備え、前記第2の連結部分が、前記壁の開口の周囲で容器の壁に固定されている、請求項32記載の機器。
【請求項35】
前記容器が、開口を有する壁を備え、前記第2の連結部分が、前記壁の開口の周囲で前記容器の壁に固定されている、請求項33記載の機器。
【請求項36】
体腔へ挿入されるように適応した前記管状部材の末端部が、更に、前記機器から分離された挿入器具を備えている、請求項1記載の機器。
【請求項37】
前記挿入器具が、末端部及び基端部を有する実質的に堅くて長い芯と、末端部と基端部とを有するスリーブと、を備え、前記芯の前記末端部を超えて延びる前記スリーブの前記末端部の部分をもたせた状態で、前記芯が前記スリーブ内にいくらかの距離で受け入れられ、前記スリーブの部分が、前記機器に係合するように裏返すことができる、請求項36記載の機器。
【請求項38】
前記スリーブが前記芯に結合されている、請求項37記載の機器。
【請求項39】
前記スリーブの前記部分が、実質的にふくらんだ形状である、請求項37記載の機器。
【請求項40】
前記スリーブの前記部分が、柔らかい弾性のある材料で形成されている、請求項37記載の機器。
【請求項41】
更に、摩擦を減少させるコーティングを備えている、請求項1記載の機器。
【請求項42】
更に、ガスと悪臭を阻む材料のコーティングを備えている、請求項1記載の機器。
【請求項43】
前記コーティングが数ミクロンの厚さである、請求項41記載の機器。
【請求項44】
前記コーティングが数ミクロンの厚さである、請求項42記載の機器。
【請求項45】
体腔へ医療機器の柔らかい端部を挿入するための器具において、末端部と基端部とを有する実質的に堅くて長い芯と、末端部と基端部とを有するスリーブと、を備え、前記芯の前記末端部を超えて延びる前記スリーブの前記末端部の部分をもたせた状態で、前記芯が、前記スリーブ内に受け入れられ、前記スリーブの部分が、前記機器の柔らかい端部に係合するように裏返し可能であることを特徴とする器具。
【請求項46】
前記スリーブが前記コアに結合されている、請求項45記載の器具。
【請求項47】
前記スリーブの前記部分が、実質的にふくらんだ形状である、請求項45記載の器具。
【請求項48】
前記スリーブの前記部分が、柔らかい弾性のある材料で形成されている、請求項45記載の器具。
【請求項49】
硬質の芯と芯を超えて延びるスリーブの部分とを有する挿入器具を利用して、体腔内に医療機器の末端部を挿入するための方法において、
前記スリーブの部分に非常に近い器具の近くに、医療機器の末端部を配置する行程と、医療機器の末端部を係合のために覆うようにスリーブ部分を裏返す行程と、裏返されたスリーブ部分と係合された医療機器の端部とともに、器具の端部を体腔へ挿入する行程と、器具から機器を分離し器具を引き出す行程と、を備えていることを特徴とする方法。
【請求項50】
更に、スリーブ部分を裏返す前に、医療機器の末端部を器具に巻き付ける行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項51】
医療機器の末端部がバルーンを含み、更に、スリーブの部分を裏返す前に、バルーンを器具に巻き付ける行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項52】
挿入器具が、前記スリーブの部分を一部分として構成しているスリーブを備え、更に、前記スリーブへ硬質の芯を挿入し、前記スリーブに前記芯を付着する行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項53】
医療機器が、末端部に膨張性のバルーンを含み、
更に、裏返されたスリーブの部分と係合された医療機器の端部とともに、器具の端部が体腔内に挿入されたあと、スリーブの部分を裏返していない配置に戻すようにバルーンを膨張し、器具から機器を分離する行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項54】
更に、摩擦を低減する材料で機器の表面をコーティングする行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項55】
更に、ガスと悪臭を阻む材料で機器の表面をコーティングする行程を備えている、請求項49記載の方法。
【請求項56】
コーティングする行程が、真空蒸着行程を備えている、請求項54記載の方法。
【請求項57】
コーティングする行程が、真空蒸着行程を備えている、請求項55記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図7(d)】
【図7(e)】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7(a)】
【図7(b)】
【図7(c)】
【図7(d)】
【図7(e)】
【公開番号】特開2011−62533(P2011−62533A)
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−246996(P2010−246996)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【分割の表示】特願2004−260604(P2004−260604)の分割
【原出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−246996(P2010−246996)
【出願日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【分割の表示】特願2004−260604(P2004−260604)の分割
【原出願日】平成16年9月8日(2004.9.8)
【出願人】(391015708)ブリストル−マイヤーズ スクイブ カンパニー (494)
【氏名又は名称原語表記】BRISTOL−MYERS SQUIBB COMPANY
【Fターム(参考)】
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