説明

糠玉除去装置

【課題】精穀後の袋詰め前に糠玉を除去することができる仕組みの糠玉除去装置を提案する。
【解決手段】本発明による糠玉除去装置は、穀粒が通過するメッシュサイズをもち、水平回転しつつ上下に振動する篩網10と、該篩網10の下方に設けられた排出路20と、篩網10を囲むハウジング30と、を含んで構成される。この糠玉除去装置は、動作中の篩網10上に移載された穀物が該篩網10を通過して排出路20へ排出される一方、穀物に混入している穀粒よりも大きい異物は篩網10上に残ると共に、篩網10上に残った異物が、篩網10の周縁部からハウジング30内へ排出されるようになっていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、精穀技術に関し、特に、精穀過程で混入し得る糠玉を取り除くための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
精穀過程において穀物に混在し得る糠を除去する装置として、たとえば特許文献1に記載されているような装置が知られている。このような糠の除去装置は、穀粒よりも小さいメッシュサイズ(網目の大きさ)の網を使用して、該網の下方から吸引することにより、穀物を網上に残し且つ糠を網下へ吸い取る篩い分けの仕組みとなっている。当該装置を、精穀後の穀物搬送路の途中に設けることで、穀粒よりも小さい糠の粉などを除去することができる。
【特許文献1】特開2004−261764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
精穀後の穀物搬送路においては、穀物に混在した糠が通路の一定個所に付着して成長し、塊となって剥がれ落ちることに起因した、糠玉が存在する。この糠玉は、粒径が穀粒よりも大きいため、上記の装置では篩い落とすことができずに穀物と一緒に網上に残ってしまい、穀物に混入したまま袋詰めされることが多い。米の場合であれば、糠玉が混入していても、炊飯前の米研ぎのときに糠玉は溶け出してしまうので特に問題はないが、硬い糠玉を石と勘違いした苦情が寄せられることもあり、対策が望まれる。
【0004】
本発明はこのような技術背景に基づいたもので、精穀後の袋詰め前に糠玉を除去することができる仕組みの糠玉除去装置を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による糠玉除去装置は、穀粒が通過するメッシュサイズをもち、水平回転しつつ上下に振動する篩網と、該篩網の下方に設けられた排出路と、その篩網を囲むハウジングと、を含んで構成される。そして、当該糠玉除去装置は、動作中の篩網上に移載された穀物が該篩網を通過して排出路へ排出される一方、当該穀物に混入している穀粒よりも大きい異物は篩網上に残ると共に、当該篩網上に残った異物が、篩網の周縁部からハウジング内へ排出されるようになっていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明の糠玉除去装置によれば、上述の従来装置とは逆に、穀物が篩網を通過し、穀粒よりも大きい糠玉等の異物が篩網上に残る装置である。したがって、当該糠玉除去装置を袋詰装置の直前などに設置することで、袋詰めされる穀物中に混入し得る糠玉など径の大きい異物を排除することができる。
【0007】
加えて、篩い分けされて篩網上に残った異物は、当該篩網が水平回転し且つ上下振動していることから、その遠心力及び振動に伴って篩網の周縁の方へ送り出されていき、周縁部から篩網の外へ、つまり篩網を囲んでいるハウジング内へ排出される。すなわち、篩い分けられた異物は、当該糠玉除去装置の運転中に、穀物の流路から分離されて排除されるようになっている。
【0008】
篩い分けられた異物の糠玉が篩網上に残っていると、その後から流れ込んでくる穀物により砕かれて粒径が小さくなり、篩網を通過してしまう可能性がある。これを防ぐために、本発明の糠玉除去装置では篩網を回転させると共に上下に振動させており、篩い分けた異物を、装置運転中に周縁部から外へ排出できるようにし、穀物の流路から異物を排除する工夫を施している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の好適な実施形態につき、図1〜図7に示している。
【0010】
この例の糠玉除去装置1は、穀物として米の精米過程に使用され、精米後の白米の搬送路において袋詰装置の直前に配置される。したがって篩網10は、米粒が通過するメッシュサイズ(たとえば3.5×16mm)の円盤形で、水平回転及び上下振動するように設けられている。具体的には、篩網10の中心に回転軸穴11が凹設され、該回転軸穴11の周りに等間隔で、複数の位置固定ピン12が下向きに突設されている。当該回転軸穴11及び位置固定ピン12が、後述のように設置されたモータMの駆動軸プレートM1における回転軸M2及び位置固定穴M3に噛み合うことで、篩網10は、上下に振動することが可能なようにして水平回転させられる。
【0011】
この篩網10の周縁部には、篩網10上に移載された米が外へ漏れ出さないよう堰き止めるために、盛り上がった堤部13が周設されている。この堤部13は、内周側が傾斜面14とされており、米は堰き止める一方で、米粒よりも粒径の大きい糠玉は当該傾斜面14を這い上がって堤部13を越えられるようになっている。
【0012】
篩網10の下方には、通過した米を受け止めて、次過程に続く搬送路へ排出する排出路20が設けられている。本例の排出路20は、口広の受け部21及びその中央に続く排出口22からなる漏斗形の筒として形成されている。そして、このように排出路20が設けられているので、本例の場合、篩網10を水平回転させるモータMは、排出路20の排出口22上部に架け渡したアングル材等(図6の点線参照)の上に載置される。このモータMの駆動軸に駆動軸プレートM1が装着されており、当該駆動軸プレートM1は、駆動軸に固定される中心部をなす回転軸M2の下端に、フランジ部M4を周設した断面ハット状である。その中心部をなす上方へ突出した回転軸M2が、篩網10の回転軸穴11に上下摺動可能に挿入され、また、当該回転軸M2下端周囲のフランジ部M4に形成された挿入口M3に、篩網10の位置固定ピン12が上下摺動可能に挿入される。
【0013】
本例では、これら篩網10及び排出路20を囲むように、ハウジング30が設けられている。すなわちハウジング30は、排出路20の排出口22を通す開口を底中央に開けたたらい形で、その上に、米の投入口31を設けた蓋部32を被せて蓋をするようにしてある。また、このハウジング30の底にはさらに糠玉排出口33が設けられており、ハウジング30内に排出された糠玉は、この糠玉排出口33から排出される。本例の場合、ハウジング30内に排出された糠玉を糠玉排出口33から強制的に排出するため、スクレーパモータSMによりハウジング30の底面に沿って回転するスクレーパ34が設けられている。スクレーパ34は、ハウジング30と同心円とした環状チェーン部35と該環状チェーン部35の内側に突き出すように取り付けられたブレード部36とから形成され、環状チェーン部35がスクレーパモータSMにより駆動されて回転し、これに従いハウジング30底面上を回転するブレード部36が、糠玉を糠玉排出口33へ掃き出していく。
【0014】
ハウジング30の上部を覆う蓋部32の内側には、篩網10上に残って周縁部へ移動してくる糠玉と接触して排出方向へ向かわせるための案内壁37が垂下されている。この案内壁37は、篩網10の堤部13の上方に設置され、当該堤部13の上面形状に沿った先端形状に形成された可撓性の樹脂製である。そして、案内壁37は、篩網10上の糠玉を外へ押し出すよう斜めに、すなわち、篩網10の半径方向に沿うのではなく(篩網10の回転方向に対し直角ではなく)、接線方向へある程度傾けて、糠玉が案内壁37に沿って堤部13を乗り越えて排出されるように設定されている。
【0015】
このようなハウジング30の外側面には、糠玉除去装置1の始動、停止、篩網10の回転速度の設定等を制御するためのコントロールユニットCUが設けられる。篩網10の回転速度は、速すぎると米までもが堤部13を乗り越えてしまうし、遅すぎると糠玉が周縁部から排出され得ないので、実際の実験結果から、直径40〜60cmの篩網10で毎分22〜27回転させる設定とするのが最適である。
【0016】
さらに、篩網10の周縁部下方には、カム従動路15が周設されている。本例の場合、堤部13の外側端部材を下方へ延長し、当該延長部分の下端に、環形の帯状部材を接続することにより、カム従動路15が周設されている。該カム従動路15には山部と谷部、すなわち凸凹が形成されている。一方、ハウジング30の側壁部には多数のカムローラ38が固定されており、当該カムローラ38が、カム従動路15に下側から当接する。すなわち、本例の篩網10は、カムローラ38により下支えされている状態にあり、篩網10が回転すると、カム従動路15の形状に従って篩網10が上下に振動するようになっている。
【0017】
モータMを始動させて篩網10を回転させると、カム従動路15及びカムローラ38の作用により、篩網10は水平回転しつつ上下に振動する。この動作中の篩網10上に、上流の搬送路から投入口を通し米が移載されると、その米は篩網10を通過して排出路20へ排出される一方、当該米に混入している糠玉は篩網10上に残ることになる。そして、この篩網10上に残った糠玉は、篩網10の回転及び振動によって、篩網10の周縁部へ追いやられていき、最終的には案内壁37に当接し堤部13を越えて、篩網10の周縁部からハウジング30内へ排出される。
【0018】
ハウジング30に排出された糠玉は、スクレーパ34によって糠玉排出口33へ掻き集められて排出されていく。
【0019】
このように、精米後の白米が篩網10を通過し、米粒よりも大きい糠玉が篩網10上に残る仕組みなので、当該糠玉除去装置1を袋詰装置の直前に設置しておけば、袋詰めされる米中に混入し得る糠玉を排除することができる。加えて、篩網10上に残った糠玉は、篩網10の回転及び上下振動による遠心力及び振動に伴って周縁の方へ送り出されていき、堤部13を乗り越えて周縁部から篩網10の外へ、つまり篩網10を囲んでいるハウジング30内へ排出される。
【0020】
糠玉除去装置1の運転中に、篩い分けられた糠玉が米の流路から分離されて排除されるようになっているので、途中で装置を止めて糠の清掃を行う必要がない。すなわち、篩い分けられた糠玉が篩網10上に残っていると、その後から流れ込んでくる米により砕かれて粒径が小さくなり、篩網10を通過してしまう可能性があるので、適当なときに装置を止めて清掃する必要がある。本実施形態の糠玉除去装置1の場合、篩い分けた糠玉を装置運転中に篩網10の周縁部から外へ排出できるようにして、米の流路から分離しているので、砕けた糠玉の混入をも防止することができ、途中で装置を止めて清掃する必要がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】蓋部を取り外した状態で示す本発明に係る糠玉除去装置の分解斜視図。
【図2】蓋部を取り外した状態で示す本発明に係る糠玉除去装置の斜視図。
【図3】篩網を裏側から見た斜視図。
【図4】蓋部を取り外した状態で示す本発明に係る糠玉除去装置の平面図。
【図5】蓋部を取り付けた状態で示す本発明に係る糠玉除去装置の斜視図。
【図6】蓋部を取り付けた状態で示す本発明に係る糠玉除去装置の断面図。
【図7】図6の断面図の一部拡大図。
【符号の説明】
【0022】
1 糠玉除去装置
10 篩網
13 堤部
14 傾斜面
15 カム従動路
20 排出路
30 ハウジング
37 案内壁
38 カムローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粒が通過するメッシュサイズをもち、水平回転しつつ上下に振動する篩網と、
該篩網の下方に設けられた排出路と、
前記篩網を囲むハウジングと、
を含んで構成され、
動作中の前記篩網上に移載された穀物が該篩網を通過して前記排出路へ排出される一方、当該穀物に混入している穀粒よりも大きい異物は前記篩網上に残り、
そして、該篩網上に残った異物が、前記篩網の周縁部から前記ハウジング内へ排出されるようになっていることを特徴とする糠玉除去装置。
【請求項2】
前記篩網の周縁部に、盛り上がった堤部が周設されていることを特徴とする請求項1記載の糠玉除去装置。
【請求項3】
前記堤部上方に、前記異物と接触して排出方向へ向かわせるための案内壁を備えていることを特徴とする請求項2記載の糠玉除去装置。
【請求項4】
前記篩網の周縁部下方に周設されたカム従動路と、
前記ハウジングに固定されて前記カム従動路に下側から当接するカムローラと、
を備え、
前記篩網が回転すると、前記カム従動路の形状に従って前記篩網が上下に振動するようになっていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の糠玉除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−6252(P2009−6252A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−169484(P2007−169484)
【出願日】平成19年6月27日(2007.6.27)
【出願人】(000100414)のむら産業株式会社 (1)
【Fターム(参考)】