糸巻取機、及び繊維機械
【課題】本当に必要な作業と、オペレータによって行われる作業と、の不一致を解消し、もって、糸巻取機の生産性を向上する技術を提供する。
【解決手段】少なくとも給糸源に起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第1の異常表示兼リセット部と、少なくとも巻取ボビンに起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第2の異常表示兼リセット部と、を備えた。
【解決手段】少なくとも給糸源に起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第1の異常表示兼リセット部と、少なくとも巻取ボビンに起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第2の異常表示兼リセット部と、を備えた。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸巻取機、及び繊維機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として特許文献1は、不具合の発生箇所に応じて発光する複数の画像21〜26を有する糸巻取機を開示する。この糸巻取機には、エラー解除ボタンとして別のボタンが設けられている。
【0003】
自動ワインダを操作するオペレータには、巻取作業が良好に行われているかを巡察し、巻取作業の不良に対して、簡易なオペレーションを行う作業員と、機台が故障した場合の高度な修理を担当する保全員とがいる。以下、作業員を一般オペレータとし、保全員を上級オペレータとする。また、一般オペレータと上級オペレータとでは、自動ワインダに発生するエラーのうち、対応が可能なエラーが区別されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006045237号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成では、エラーの発生箇所に応じて画像を発行させており、当該エラーが、一般オペレータと上級オペレータのどちらが対応すべきエラーなのかを厳密に区別して表示していない。このため、一般オペレータは、当該エラーが、自ら対応すべきエラーか上級オペレータに作業を委ねるべきかエラーを正確に把握しないままに、不適切な保全作業を施してしまうことがあった。このため、特許文献1の構成では、本当に必要な作業と、一般オペレータによって行われた作業と、の間に不一致が起き、糸巻取機の生産性の低下を招いていた。
【0006】
また、上記特許文献1の構成では、何れの画像が発光しているのかを十分に確認し、必要な作業を十分に把握することが一般オペレータに委ねられている。しかし、上記特許文献1の構成では、発光するエラー発生箇所を表示する画像とエラー解除ボタンが別々に設けられているため、一般オペレータが不具合の発生箇所を正確に把握しないままに、不適切な箇所に不適切な保全作業を施してしまうことがあった。このため、上記特許文献1の構成では、本当に必要な作業と、一般オペレータによって行われた作業と、の間に不一致が起き、糸巻取機の生産性の低下を招いていた。
【0007】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、本当に必要な作業と、一般オペレータによって行われる作業と、の不一致を解消し、もって、糸巻取機の生産性を向上する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本願発明の観点によれば、給糸源から解舒された糸を巻取ボビンに巻き取り、機台に異常状態が発生したことを起点に運転状態から停止状態に切り替えられる糸巻取機は、以下のように構成される。即ち、少なくとも給糸源に起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第1の異常表示兼リセット部と、少なくとも巻取ボビンに起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第2の異常表示兼リセット部と、を備えた。
【0010】
上記の通り、一般オペレータと上級オペレータとでは、自動ワインダに発生する不具合のうち対応可能な不具合が区別されている。そのため、一般オペレータは、巡察中に不具合の発生を発見すると、その内容によって当該不具合への対応作業を自らが行うべきか上級オペレータに委ねるべきかを判断する。本願発明では、給糸源と巻取ボビンに起因した不具合の発生を、第1の異常表示兼リセット部と第2の異常表示兼リセット部とで区別して表示しているので、一般オペレータは自ら対応可能な不具合を正確に判断することができる。
【0011】
また、各異常表示兼リセット部に、不具合の内容を一般オペレータに教示する機能と、この不具合による前記機台の運転の停止の状態を解除する機能と、を兼ねさせることで、前記機台の運転を再開させようとするとき、一般オペレータは、給糸ボビン(給糸源)と巻取ボビンのうち何れに起因して不具合が発生したかを認識できる。それ故、一般オペレータは、前記機台の運転を再開する前に自らがした作業と、本当に必要となった作業と、が一致しているかを自問する機会が付与される。従って、本当に必要な作業と、一般オペレータによって行われた作業と、の間の不一致が解消されるので、前記糸巻取機の生産性が向上する。
【0012】
また、不具合の内容の確認と、自己の作業内容が適正か否かの確認と、運転の再開と、を異常表示兼リセット部の操作という一つの作業によって行うことができるため、オペレータの作業の正確性が向上する。
【0013】
上記の糸巻取機は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の異常表示兼リセット部と前記第2の異常表示兼リセット部との配置関係は、前記給糸源から解舒された前記巻取ボビンに巻き取られる糸の走行方向に対応している。
【0014】
以上の構成によれば、オペレータは、配置位置が対応しているので、給糸ボビンと巻取ボビンの何れに起因して不具合が発生したのかを容易に読み取ることができる。
【0015】
上記の糸巻取機は、更に、以下のように構成される。即ち、糸巻取機で発生する不具合のうち、給糸源と巻取ボビン以外に起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第3の異常表示兼リセット部を更に備えた。
【0016】
不具合の内容が糸巻取機自体の故障である場合等の高度な対応が必要なものであるときは、一般オペレータは、当該糸巻取機へと上級オペレータを呼び寄せる。本願発明では、発生した不具合が、給糸源に起因するのか巻取ボビンに起因するのか給糸源と巻取ボビン以外に起因するのか、を、各異常表示兼リセット部が区別して表示している。これによって、一般オペレータは、当該不具合が自ら対応可能な不具合なのか上級オペレータに作業を委ねさせるべき不具合なのかを区別することができる。
【0017】
また、各異常表示兼リセット部に、不具合の内容を一般オペレータに教示する機能と、この不具合による前記機台の運転の停止の状態を解除する機能と、を兼ねさせることで、前記機台の運転を再開させようとするとき、一般オペレータは、給糸ボビンか巻取ボビンか、給糸ボビンと巻取ボビン以外のうち何れに起因して不具合が発生したかを認識できる。それ故、オペレータは、前記機台の運転を再開する前に自らがした作業と、本当に必要となった作業と、が一致しているかを自問する機会が付与される。従って、本当に必要な作業と、オペレータによって行われた作業と、の間の不一致が解消されるので、前記糸巻取機の生産性が向上する。
【0018】
また、異常発生領域の確認と、自己の作業内容が適正か否かの確認と、運転の再開と、を異常表示兼リセット部の操作という一つの作業によって行うことができるため、オペレータの作業の正確性が向上する。
【0019】
上記の糸巻取機は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の異常表示兼リセット部が表示する異常状態には給糸源の不在が含まれ、及び/又は前記第2の異常表示兼リセット部が表示する異常状態には巻取ボビンの不在が含まれる。
【0020】
以上の構成を備えた糸巻取機においては、一般オペレータが対応可能な不具合をより正確に表示することができる。
【0021】
上記の糸巻取機は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第3の異常表示兼リセット部は、前記第1の異常表示兼リセット部と前記第2の異常表示兼リセット部との間に配置されている。
【0022】
以上の構成によれば、オペレータは、配置位置が対応しているので、不具合の内容を容易に読み取ることができる。
【0023】
上記の糸巻取機は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の異常表示兼リセット部は糸の走行方向の上流を指し示す形状とされる。前記第2の異常表示兼リセット部は糸の走行方向の下流を指し示す形状とされる。
【0024】
以上の構成によれば、一般オペレータは、不具合の内容を一層直感的に読み取ることができる。
【0025】
上記の糸巻取機を複数備えて構成される繊維機械では、高い稼働率が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明の一実施形態に係るオートワインダの斜視図
【図2】巻取ユニットの正面図
【図3】表示パネルの正面図
【図4】図3の4−4線矢視断面図と斜視図
【図5】オートワインダの平面図
【図6】巻取ユニットの電気的な構成を示す図
【図7】巻取ユニットの制御部の制御フロー
【図8】巻取ユニットの制御部の制御フロー
【図9】巻取ユニットの制御部の制御フロー
【図10】巻取ユニットの制御部の制御フロー
【図11】巻取ユニットの制御部の制御フロー
【図12】7セグ表示器の表示を変更する操作を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本願発明の好適な実施形態を説明する。
【0028】
図1に示すように、オートワインダ1(繊維機械)は、多数の巻取ユニット2(糸巻取機)と、機台制御装置3と、自動玉揚装置4と、から構成されている。各巻取ユニット2は、給糸ボビンB(給糸源)の糸Yをトラバースさせながら所定形状のパッケージPとして巻き返す糸巻取本体5と、この糸巻取本体5を支持する支持体6と、から構成されている。機台制御装置3は、多数の巻取ユニット2の巻取条件などを設定するためのものである。自動玉揚装置4は、巻取ユニット2から発信された玉揚要求信号に基づいて該当する巻取ユニット2へと移動し、その巻取ユニット2で形成されたパッケージPを回収し、空の巻取ボビンを装着して所定の糸掛け作業を行うものである。このため、各巻取ユニット2と自動玉揚装置4は機台制御装置3と電気的に接続され、双方向通信可能となっている。以下、説明の便宜上、図1において、巻取ユニット2の並べられている方向を「並設方向A」として定義する。
【0029】
本実施形態において、給糸ボビンBから糸Yを解舒し供給する給糸部(給糸ボビン領域)100は、少なくとも、ペグ15と解舒補助装置9を含んで構成される。この給糸部100から供給された糸Yに対して処理を行う糸処理実行部101(糸処理領域)は、少なくとも、ディスク式張力付与装置11と、スプライサ12と、ヤーンクリアラ13と、ワキシング装置14と、を含んで構成される。この糸処理実行部101によって処理された糸YをパッケージPとして巻き取る巻取部102(巻取ボビン領域)は、少なくとも、クレードル(図略)と綾振ドラム8を含んで構成される。図2に示すように、上記の給糸部100、糸処理実行部101、巻取部102は、下から上へ向かってこの順に配置される。
【0030】
図2に示すように、巻取ユニット2の糸巻取本体5は、巻取ボビンBfを把持するクレードルと、糸Yをトラバースさせる綾振ドラム8と、を備え、給糸ボビンBと綾振ドラム8との間の糸走行経路中に、糸走行方向の上流側(給糸ボビンB側)から順に、解舒補助装置9、糸検出センサ10、ディスク式張力付与装置11、スプライサ12、ヤーンクリアラ13、ワキシング装置14、を備えている。また、給糸ボビンBは、傾動可能なペグ15に支持されている。また、巻取ユニット2の支持体6は、糸巻取本体5の運転を制御するための制御部60(図6参照)を備えている。
【0031】
クレードルは回動自在に構成されており、パッケージPの巻き太りに応じてクレードルが回動することで、パッケージPと綾振ドラム8との好適な接触が維持されるようになっている。
【0032】
上記の綾振ドラム8の周面には螺旋状の綾振溝8aが形成されており、この綾振溝8aによって糸Yはトラバースされる。綾振ドラム8には、綾振ドラム8を回転させるためのドラム駆動部8b(図6参照)が設けられ、このドラム駆動部8bは制御部60に電気的に接続され、もって、制御部60は、綾振ドラム8を所望の回転数で回転できるようになっている。また、ドラム駆動部8bには巻取進捗センサとしてのドラム回転センサ7aが内蔵されており、制御部60はドラム回転センサ7aから送られてくる回転パルス数をカウントできるようになっている。
【0033】
ペグ15は、糸巻取時では図2に示すように垂直状態となり、給糸ボビンBの交換時では糸巻取本体5の正面側に傾動することで、空となった給糸ボビンBを排出すると共に、新たな給糸ボビンBをマガジン(図略)から受け取るようになっている。このペグ15にはペグ駆動部15b(図6参照)が設けられ、このペグ駆動部15bは制御部60に電気的に接続され、もって、制御部60は、ペグ15を自在に傾動できるようになっている。
【0034】
解舒補助装置9は、給糸ボビンBの解舒と共に芯管に被さる筒体を降下させることで、給糸ボビンBからの糸Yの解舒を補助するものである。この解舒補助装置9には解舒補助装置駆動部9a(図6参照)が設けられ、この解舒補助装置駆動部9aは制御部60に電気的に接続され、もって、制御部60は、解舒補助装置9を自在に昇降できるようになっている。
【0035】
糸検出センサ10は、解舒補助装置9とディスク式張力付与装置11との間における糸Yの存在を検出するものである。この糸検出センサ10は制御部60に電気的に接続されており、糸Yの存在を検出できないとき、制御部60へ糸なし信号を送信するようになっている。
【0036】
ディスク式張力付与装置11は、一対のディスク部材11a・11aを備え、これらのディスク部材11a・11aを回転させながら糸Yを挟みこむことで、走行する糸Yに所定の張力を付与するものである。このディスク式張力付与装置11は、ディスク部材11a・11aを回転させるためのディスク式張力付与装置駆動部11b(図6参照)を備え、このディスク式張力付与装置駆動部11bは制御部60に電気的に接続され、もって、制御部60は、ディスク部材11a・11aの回転を自在に制御できるようになっている。なお、糸Yに所定の張力を付与するものには、上記ディスク式張力付与装置11以外にも例えばゲート式のものを採用することができる。
【0037】
スプライサ12は、糸欠点を検出して行う糸切断時または糸切れ時などに、給糸ボビンB側の糸Yと、パッケージP側の糸Yと、を糸継するものである。このスプライサ12は、図略の糸寄せレバーなどの複数のレバーを備え、複数のレバーの一連の動作はカム式で駆動するようになっている。このスプライサ12は、複数のレバーを動作させるためのスプライサカム駆動部12a(図6参照)を備え、このスプライサカム駆動部12aは制御部60に接続され、もって、制御部60は、スプライサ12の複数のレバーの一連の動作を自在に制御できるようになっている。
【0038】
ヤーンクリアラ13は、糸Yの欠陥を検出するためのものであって、ヤーンクリアラ13からの糸Yの太さに応じた信号が適宜のアナライザで処理されることで、スラブ等の糸欠点を検出する。また、このヤーンクリアラ13には、糸欠点を検出した時の糸切断用のカッター13aが付設される。また、ヤーンクリアラ13は、糸Yの走行を検出する糸走行センサ(図略)を備える。この糸走行センサは制御部60と電気的に接続されており、糸Yの走行を検出できないとき、制御部60へ糸切れ信号を送信するようになっている。
【0039】
ワキシング装置14は、走行する糸Yに対して所定のワックスを塗布するものである。このワキシング装置14は、制御部60に電気的に接続されるワキシング残量センサー14a(図6参照)を備え、ワックスの残量が所定値以下となったとき、制御部60に信号を送信するように構成されている。
【0040】
スプライサ12の下側には給糸ボビンB側の糸Yを吸引捕捉してスプライサ12へ案内する中継ぎパイプ16が設けられ、上側にはパッケージP側の糸Yを吸引捕捉してスプライサ12へ案内するサクションマウス17が設けられている。
【0041】
この中継ぎパイプ16は、ステッピング式の中継ぎパイプ駆動部16a(図6参照)を備え、この中継ぎパイプ駆動部16aによって軸16cまわりに旋回可能に構成されている。この中継ぎパイプ駆動部16aは制御部60に接続されており、もって、制御部60は中継ぎパイプ16を自在に旋回できるようになっている。また、中継ぎパイプ16には、制御部60に接続される中継ぎパイプセンサー16b(図6参照)が設けられ、この中継ぎパイプセンサー16bは、例えば光学式に構成され、パイプ内に吸い込まれた糸Yを検出すると、制御部60へ糸検出信号を送信するようになっている。
【0042】
同様に、サクションマウス17は、ステッピング式のサクションマウス駆動部17a(図6参照)を備え、このサクションマウス駆動部17aによって軸17cまわりに旋回可能に構成されている。このサクションマウス駆動部17aは制御部60に接続されており、もって、制御部60はサクションマウス17を自在に旋回できるようになっている。また、サクションマウス17には、制御部60に接続されるサクションマウスセンサー17bが設けられ、このサクションマウスセンサー17bは、例えば光学式に構成され、パイプ内に吸い込まれた糸Yを検出すると、制御部60へ糸検出信号を送信するようになっている。
【0043】
この構成で、糸切断時または糸切れ時においては、中継ぎパイプ16が図2に示す位置で給糸ボビンB側の糸Yを吸引捕捉し、軸16cまわりに下から上へと旋回してスプライサ12に糸Yを案内する。同時に、サクションマウス17が図2に示す位置から軸17cまわりに下から上へと旋回し、逆転するパッケージPから糸Yを吸引捕捉し、更に軸17cまわりに上から下へと旋回し、スプライサ12に糸Yを案内する。そして、スプライサ12は、このように案内された2本の糸Yを所定の糸継動作によって糸継ぎするようになっている。
【0044】
次に、前述の支持体6について説明する。
【0045】
支持体6は、前述したように糸巻取本体5を支持するものであって、図2に示すように、前記の並設方向Aに対して直交する一対の側面18と、正面19と、これら側面18及び正面19を湾曲状に接続する湾曲面20と、を有する。そして、この支持体6の上部には、正面19と湾曲面20に跨るように形成される操作パネル21が設けられている。
【0046】
この操作パネル21は、図3に示すように、上記の正面19に相当する正面部19aと、上記の湾曲面20に相当する一対の湾曲部20aと、を備えている。正面部19aには、上から下へ向かって順に、3桁表示の7セグ表示器22と、十字型にレイアウトされた操作ボタンユニット23と、動作スイッチ24と、が設けられている。また、湾曲部20aには、アラームランプ25が設けられている。
【0047】
7セグ表示器22は、図6に示す制御部60が備えるRAM61(Random Access Memory)に記憶されている文字か数字か記号のうち少なくとも一つを含んだ3つを横に並べて表示するものである。このため、7セグ表示器22は、図3に示すように7セグLED22aを横に3つ並べて構成されている。以下、文字か数字か記号のうち少なくとも一つを含んだものを文字数字記号とする。
【0048】
操作ボタンユニット23は、上ボタン23a(第2の異常表示兼リセット部)と、下ボタン23b(第1の異常表示兼リセット部)と、右ボタン23cと、左ボタン23dと、中ボタン23e(第3の異常表示兼リセット部)と、から構成されている。図3に示すように、上ボタン23aは中ボタン23eの上側に、下ボタン23bは中ボタン23eの下側に、右ボタン23cは中ボタン23eの右側に、左ボタン23dは中ボタン23eの左側に配置されている。即ち、下ボタン23bと中ボタン23eと上ボタン23aは下から上へ向かってこの順に配置され、上ボタン23aは上方を指し示す位置に、下ボタン23bは下方を指し示す位置に、右ボタン23cは右方を指し示す位置に、左ボタン23dは左方を指し示す位置に、夫々配置されている。そして、上ボタン23aは上方を指し示すような指向性を持った形状とされる。同様に、下ボタン23bは下方を指し示すような指向性を持った形状に、右ボタン23cは右方を指し示すような指向性を持った形状に、左ボタン23dは左方を指し示すような指向性を持った形状とされる。図6に示すように、各ボタン23a〜23eは制御部60に電気的に接続されており、各ボタン23a〜23eは、押下されると制御部60へ信号を送信するようになっている。また、上ボタン23aは、制御部60に接続され、制御部60によって発光が制御される上ランプ23fを内蔵している。同様に、下ボタン23bは、制御部60に接続され、制御部60によって発光が制御される下ランプ23gを内蔵している。同様に、中ボタン23eは、制御部60に接続され、制御部60によって発光が制御される中ランプ23hを内蔵している。また、図4(a)に示すように、右ボタン23cは、正面19に形成される第1の凹部26a内の奥まったところに配置される。左ボタン23dは、正面19に形成される第2の凹部26b内の奥まったところに配置される。また、右ボタン23cと左ボタン23dは、上ボタン23aや下ボタン23b、中ボタン23eと比べて図3の正面視で小さく形成される。上記の構成によって、右ボタン23cと左ボタン23dは、上ボタン23aや下ボタン23bと比較して押下し難いようになっている。
【0049】
動作スイッチ24は、糸巻取本体5の動作を運転と停止とに切り替えるためのスイッチであって、図4(b)に示すように、糸巻取本体5の動作を停止に切り替えるときは動作スイッチ24の可動部27を把持し引き出して正面19から突出させ、反対に、糸巻取本体5の動作を運転に切り替えるときは上記可動部27を上記の突出方向と反対の方向へ退避させる。そして、この可動部27のうち糸巻取本体5の動作が停止状態で露出する露出部分27aには、本実施形態において黄色で彩色が施されている。即ち、可動部27は、糸巻取本体5の動作が運転時では殆ど目立たず、糸巻取本体5の動作が停止時のみ目立つようになっている。また、動作スイッチ24は、可動部27が突出した状態で回動されることによって、突出方向の反対方向への退避が規制されるように構成されている。この回動式のロック機構により、単に可動部27を押しただけでは、糸巻取本体5の動作を切り替えることができないようになっている。
【0050】
アラームランプ25は、巻取ユニット2の動作の状態を表示するものである。このアラームランプ25は、図3に示すように上記の操作ボタンユニット23の近傍に設けられ、図4(a)に示すシボ加工が施され(或いは光拡散効果のあるシートが貼られ)、断面視で湾曲し、透光性の樹脂製のカバー28と、このカバー28内に収容されると共に制御部60と電気的に接続された青アラームランプ29及び赤アラームランプ30から成るアラームランプユニット31(図3及び図6を併せて参照)と、から構成されている。また、上記の「巻取ユニット2の動作の状態」とは、例えば、パッケージPが満巻きとなった状態、パッケージPが満巻きに近くなった状態、糸処理実行部101に不具合が発生し、保全作業を必要とする状態、などが挙げられる。そして、アラームランプ25は、上記の青アラームランプ29と赤アラームランプ30を選択的に発光させたり、点滅又は点灯を選択することにより、巻取ユニット2の異なる動作の状態に応じて表示形態を変更できるようになっている。なお、アラームランプユニット31を構成するアラームランプの色の種類は、表示形態を変更できればよく、青色と赤色に限られない。例えば、緑色のアラームランプ等を採用してもよい。
【0051】
また、図3に示すように、操作ボタンユニット23の上ボタン23aの近傍にはパッケージPの絵柄pが描かれており、同様に、下ボタン23bの近傍には給糸ボビンBの絵柄bが描かれている。
【0052】
前述した制御部60は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及び制御プログラムに使用されるデータが記憶されているROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時記憶するための上記のRAM61と、を備えている。そして、ROMに記憶された上記制御プログラムがCPUに読み込まれCPU上で実行されることで、制御プログラムは、CPUなどのハードウェアを用いて、図7〜11に示す制御フローを実現するようになっている。以下、図7〜11に示す制御フローに沿って、巻取ユニット2の作動を説明する。また、制御部60は、糸巻取本体5による通常の巻取動作を行う通常巻取モードと、糸巻取本体5の各構成部分を保全するための保全モードと、の二つのモードを選択的に実行可能となっている。この通常巻取モードは、制御プログラムのかたちでROMに記憶されており、図7〜9、及び図11に示される制御フローに相当する。また、保全モードも同様に、制御プログラムのかたちでROMに記憶されており、図10に示される制御フローに相当する。
【0053】
図7に示すように、オートワインダ1の電源が投入されると(S300)、糸巻取本体5による糸Yの巻き返しが開始する(S340)。
【0054】
この通常巻取モードにおいて、制御部60は、ドラム回転センサ7aから受信する回転パルス数に基づいてパッケージPの巻取径を算出し、この巻取径が所定値(例えば、満巻き時の巻取径の9割)に到達したと判定すると(S350:YES)、図8に示されるフローへと処理を移す(S355)。制御部60は、算出したパッケージPの巻取径が満巻き時の巻取径に到達したかを判定し(S500)、到達したと判定した場合は(S500:YES)、巻取ユニット2の糸巻取本体5の運転を停止し(S510)、青アラームランプ29を点灯させる(S520)と共に、玉揚要求信号を機台制御装置3へ送信する(S530)。これにより、自動玉揚装置4により玉揚作業が行われ(S540)、この玉揚作業が完了して運転再開の準備が整うと青アラームランプ29を消灯させた上で(S550)、巻取ユニット2の糸巻取本体5の運転を再開し(S560)、図7の制御フローに復帰する。一方、上記の巻取径が満巻き時の巻取径に到達していないと判定した場合は(S500:NO)、巻取ユニット2の糸巻取本体5の運転を停止させることなく、青アラームランプ29の点滅を開始させ(S570)、図7の制御フローに復帰する。従って、パッケージPの巻取径が満巻き時の巻取径に近づくと、先ずアラームランプ25が緑色で点滅し始め、やがて、パッケージPの巻取径が満巻き時の巻取径に至るとアラームランプ25が緑色での点灯へと切り替わり、玉揚作業の完了と同時にアラームランプ25が消灯することになる。
【0055】
また、この通常巻取モードにおいて、制御部60は、糸巻取本体5の各センサーを監視し、不具合が発生したと判定すると(S360:YES)、図9に示されるフローへと処理を移し(S365)、糸巻取本体5の運転を停止させ(S700)、図4(b)に示すように赤アラームランプ30を点灯させることで(S710)、一般オペレータを呼び寄せる。これと同時に、制御部60は、7セグ表示器22に発生した不具合に対応する文字数字記号を表示させる。
【0056】
同時に、制御部60は、不具合が巻取ボビンBfに起因して発生した場合(S730:X)、上ランプ23fを点灯させ(S740)、上ボタン23aからの信号の受信待ち状態となる(S750:NO)。巻取ボビンBfに起因して発生する不具合としては、例えば、サクションマウス17に所定の糸吸引捕捉動作をさせても糸Yを捕捉できない場合や、クレードルが巻取ボビンBfを把持する位置に巻取ボビンBfが供給されない場合などが挙げられる。巻取ユニット2に呼び寄せられた一般オペレータは、上ボタン23a、中ボタン23e、下ボタン23bのうち何れのボタンが点灯しているかを認識することで、不具合の内容を特定し、その内容に応じた対応を行う。即ち、一般オペレータは、上ボタン23aが点灯していることを認識することで、巻取ボビンBfに起因する不具合が発生したことを認識し、当該不具合への対応作業を自らが行うと判断する。そして、巻取ボビンBf周辺を重点的にチェックすることで当該不具合を解消するために必要な作業を特定し、その必要となった作業を行う。例えば、パッケージP側の糸Yの糸端がサクションマウス17によって捕捉され難いようであれば、糸Yの糸端を、捕捉され易い位置に移動させる。また、巻取ボビンBfに巻取形状が不良である不良パッケージが形成された場合には、一般オペレータは、不良パッケージを除去し新たな巻取ボビンと交換する。クレードルの巻取ボビンBfを把持する位置に巻取ボビンBfが供給されていない場合には、一般オペレータは、空の巻取ボビンをセットする。上記の作業が完了したら、一般オペレータは、点灯している上ボタン23aを押下する。上ボタン23aから信号を受信すると(S750:YES)、制御部60は、糸巻取本体5の運転を再開し(S800)、図7の制御フローへと復帰する。
【0057】
同様に、制御部60は、不具合が給糸ボビンBと巻取ボビンBf以外に起因して発生した場合(S730:Y)、中ランプ23hを点灯させ(S760)、中ボタン23eからの信号の受信待ち状態となる(S770:NO)。巻取ユニット2に発生する不具合のうち、給糸ボビンBと巻取ボビンBf以外に起因して発生する不具合以外の不具合とは、例えば、糸検出センサ10やドラム回転センサ7a等の巻取ユニット2を構成する各部品が故障した場合や巻取ユニット2へ供給される電圧が適切でない場合が挙げられる。また、スプライサ12や解舒補助装置9等の巻取ユニット2を構成する各部位の調整不良や設定不良の場合、巻取ユニット2のワキシング装置14が備えるワックスの残量が所定値以下となった場合、スプライサ12が連続して3回糸継動作を失敗した場合、等が挙げられる。そして、巻取ユニット2に呼び寄せられた一般オペレータは、中ボタン23eが点灯していることを認識することで、給糸ボビンBと巻取ボビンBf以外に起因した不具合が発生したことを認識し、当該不具合への対応作業を上級オペレータに委ねると判断する。そして、一般オペレータによって当該巻取ユニット2に呼び寄せられた上級オペレータは、当該不具合への対応作業が完了したら、点灯している中ボタン23eを押下する。中ボタン23eから信号を受信すると(S770:YES)、制御部60は、糸巻取本体5の運転を再開し(S800)、図7の制御フローへと復帰する。
【0058】
同様に、制御部60は、不具合が給糸ボビンBに起因して発生した場合(S730:Z)、下ランプ23gを点灯させ(S780)、下ボタン23bからの信号の受信待ち状態となる(S790:NO)。給糸ボビンBに起因して発生する不具合としては、例えば、中継ぎパイプ16が給糸ボビンB側の糸Yを捕捉できない場合が挙げられる。また、給糸ボビンBの品質が不良である場合や、給糸ボビンBが給糸部100の解舒位置に供給されない場合などが挙げられる。そして、巻取ユニット2に呼び寄せられた一般オペレータは、下ボタン23bが点灯していることを認識することで、給糸ボビンBに起因する不具合が発生したことを認識し、当該不具合への対応作業を自らが行うと判断する。そして、給糸ボビンB周辺を重点的にチェックすることで当該不具合を解消するために必要な作業を特定し、その必要となった作業を行う。例えば、給糸ボビンBの状態をチェックし、必要であれば給糸ボビンBを取り除いて新たな給糸ボビンBをセットする。上記の作業が完了したら、一般オペレータは、点灯している下ボタン23bを押下する。下ボタン23bから信号を受信すると(S790:YES)、制御部60は、糸巻取本体5の運転を再開し(S800)、図7の制御フローへと復帰する。
【0059】
なお、上級オペレータにとって、巻取ユニット2のどの部位や部品に起因して不具合が発生しているのかを特定できない場合がある。この場合、上級オペレータは、該当する巻取ユニット2の操作パネル21の右ボタン23cと左ボタン23dを同時に押下することで(S810:YES、S820:YES、S830:YES)、制御部60が実行するモードを、通常巻取モードから保全モードへと切り替える。即ち、制御部60が上ランプ23fを点灯させ(S740)、上ボタン23aからの信号の受信待ち状態となっているときに(S750:NO)、又は、制御部60が中ランプ23hを点灯させ(S760)、中ボタン23eからの信号の受信待ちとなっているときに(S770:NO)、又は、制御部60が下ランプ23gを点灯させ(780)、下ボタン23bからの信号の受信待ちとなっているときに(S790:NO)、左ボタン23dと右ボタン23cから同時に信号を受信すると(S810:YES、S820:YES、S830:YES)、制御部60は、実行するモードを通常巻取モードから保全モードへと切り替える。換言すれば、制御部60は、図10の制御フローへと処理を移す。
【0060】
図7に示す通常巻取モードで右ボタン23cと左ボタン23dから同時に信号を受信すると(S370:YES)、或いは、図9に示す通常巻取モードで右ボタン23cと左ボタン23dから同時に信号を受信すると(S810:YES、S820:YES、S830:YES)、制御部60は、図10に示すように、糸巻取本体5の運転を停止させて(S900)、保全モードを開始し、保全対象を特定する文字数字記号を入力可能な状態となり(S910)、中ボタン23eからの信号の受信待ち状態となる(S915)。保全対象とは、例えば、サクションマウス17や中継ぎパイプ16、解舒補助装置9、スプライサ12、ペグ15、ディスク式張力付与装置11、綾振ドラム8、が挙げられる。そして、前記の上級オペレータは、操作ボタンユニット23を用いて、保全対象を特定する文字数字記号を制御部60に入力する。ここでは、仮に、上記の保全対象が中継ぎパイプ16であり、RAM61に「E75」が記憶されているとし、中継ぎパイプ16を特定する文字数字記号が「F84」であるとし、制御部60は、RAM61に記憶されている「E75」を7セグ表示器22に表示させており、図12に示すように、変更対象を特定するために2桁目の「7」を点滅表示させているとする。この状態で、上級オペレータは、上ボタン23aを一回、押下する。上ボタン23aから信号を受信した制御部60は、RAM61に記憶されている3桁の文字数字記号のうち、点滅表示させている桁である2桁目に対応する文字数字記号をインクリメントさせることで、7セグ表示器22の表示内容を「E75」から「E85」へと変更させる。ここで、インクリメントとは、数字に関して言えば1を加えることであり、文字に関して言えばアルファベット順に従って次の文字へと移ることである。
【0061】
次に、上級オペレータは、RAM61に記憶されている3桁の文字数字記号のうち、1桁目に対応する文字数字記号を変更するために、右ボタン23cを一回、押下する。右ボタン23cから信号を受信した制御部60は、変更対象を改めて特定するために1桁目の「5」を点滅表示させる。この状態で、上級オペレータは、下ボタン23bを一回、押下する。下ボタン23bから信号を受信した制御部60は、RAM61に記憶されている3桁の文字数字記号のうち、点滅表示させている桁である1桁目に対応する文字数字記号をデクリメントさせることで、7セグ表示器22の表示内容を「E85」から「E84」へと変更させる。ここで、デクリメントとは、数字に関して言えば1を減じることであり、文字に関して言えばアルファベット順に従って前の文字へと移ることである。
【0062】
次に、上級オペレータは、RAM61に記憶されている3桁の文字数字記号のうち、3桁目に対応する文字数字記号を変更するために、右ボタン23cを再度一回、押下する。右ボタン23cから信号を受信した制御部60は、変更対象を改めて特定するために3桁目の「E」を点滅表示させる。この状態で、上級オペレータは、上ボタン23aを一回、押下する。上ボタン23aから信号を受信した制御部60は、RAM61に記憶されている3桁の文字数字記号のうち、点滅表示させている桁である3桁目に対応する文字数字記号をインクリメントさせることで、7セグ表示器22の表示内容を「E84」から「F84」へと変更させる。
【0063】
こうして、操作ボタンユニット23を用いて、保全対象たる中継ぎパイプ16を特定するための文字数字記号「F84」を制御部60に入力し終えると、上級オペレータは、中ボタン23eを押下する(S915:YES)。ここで、中ボタン23eの押下は、上記入力の完了を意味する。中ボタン23eから信号を受信すると、制御部60は、上ボタン23a、下ボタン23b、右ボタン23c、左ボタン23dからの信号の受信の有無を順にスキャンして判定する(S920〜S950)。この状態で、例えば上ボタン23aを押しっ放しにすると(S920:YES)、制御部60は上動作を繰り返し実行する(S925)。保全対象が中継ぎパイプ16とされる場合、上動作は、中継ぎパイプ16の所定角度(例えば2度)の上昇旋回動作になる。従って、制御部60は、所定角度の上昇旋回動作を繰り返し実行することで、中継ぎパイプ16を上昇旋回させる。また、上ボタン23aを1回だけ押下すると(S920:YES)、制御部60は上動作を1回だけ実行する(S925)。即ち、制御部60は、中継ぎパイプ16を所定角度だけ上昇旋回させる。
【0064】
同様に、下ボタン23bを押しっ放しにすると(S930:YES)、制御部60は下動作を繰り返し実行する(S935)。保全対象が中継ぎパイプ16とされる場合、下動作は、中継ぎパイプ16の所定角度(例えば2度)の下降旋回動作になる。従って、制御部60は、所定角度の下降旋回動作を繰り返し実行することで、中継ぎパイプ16を下降旋回させる。また、下ボタン23bを1回だけ押下すると(S930:YES)、制御部60は下動作を1回だけ実行する(S935)。即ち、制御部60は、中継ぎパイプ16を所定角度だけ下降旋回させる。
【0065】
このように、中継ぎパイプ16の旋回動作を自在に操ることで、中継ぎパイプ16の動作に関連した不具合を容易に特定することができるようになっている。
【0066】
そして、不具合を特定でき、必要な修理が完了したら、上級オペレータは、保全モードを終了して糸巻取本体5の運転を再開させるために、右ボタン23cと左ボタン23dを同時に押下する。すると、制御部60は、右ボタン23cと左ボタン23dから信号を同時に受信し(S960:YES)、糸巻取本体5の運転を再開させて(S970)、保全モードを終了し、図7のEへと処理を移す。
【0067】
上記の保全モードでは、保全対象が中継ぎパイプ16であるとしたが、それ以外にも、例えば、サクションマウス17や解舒補助装置9、スプライサ12、ペグ15、ディスク式張力付与装置11、綾振ドラム8も保全対象となり得る。
【0068】
即ち、保全対象がサクションマウス17の場合は、図10の上動作は、サクションマウス17の上昇旋回動作となり、下動作は、下降旋回動作となる。同様に、解舒補助装置9の場合は、上動作は、解舒補助装置9の上昇運動動作となり、下動作は、下降運動動作となる。スプライサ12の場合は、右動作は、糸寄せレバーの開動作となり、左動作は、糸寄せレバーの閉動作となる。ペグ15の場合は、右動作は、ペグ15を正面側に傾動させる動作となり、左動作は、ペグ15を傾動状態から引き起こす動作となる。ディスク式張力付与装置11の場合は、右動作と左動作が、ディスク部材11a・11aの回転方向の正逆に対応する。綾振ドラム8の場合は、上動作は、綾振ドラム8の回転数を増加させ、下動作は、綾振ドラム8の回転数を減少させる。このように、上動作と、下動作と、右動作と左動作、ひいては、上下左右の各ボタン23a〜23dは、糸巻取本体5の各構成要素独特の動作方向と十字配置された各ボタンの指向性とを関連付けている。これにより、オペレータは各構成要素独特の動作を直感的に連想できるようになる。即ち、上ボタン23aと下ボタン23bは、各構成要素の昇降運動や、各構成要素の動作速度の増減に対応している。また、右ボタン23cと左ボタン23dは、各構成要素の左右方向への運動や、各構成要素の前後方向への運動に対応している。
【0069】
また、図7に示す通常巻取モードで下ボタン23bから信号を受信すると(S380:YES)、図11の制御フローへと処理を移す(S385)。制御部60は、図11に示すように、糸巻取本体5の運転を停止し(S1000)、ペグ駆動部15bを傾動させるなどして給糸ボビンBを排出すると共に新たな給糸ボビンBをペグ15に保持させることで給糸ボビンチェンジを行い(S1010)、そして、糸巻取本体5の運転を再開させ(S1020)、図7の制御フローへと復帰する。
【0070】
ところで、保全のため、上級オペレータは糸巻取本体5の動作を強制的に停止しておきたい場合がある。この場合、上級オペレータは、動作スイッチ24を操作して、動作スイッチ24の可動部27を退避状態から突出状態へと切り替えればよい。この場合には、動作スイッチ24の可動部27を退避状態へと切り替えることで、保全モードを終了して糸巻取本体5の運転を再開する構成としてもよい。
【0071】
上記実施形態では、例えば、図3、図4(a)及び(b)、図5に示すように、支持体6の湾曲面20に、巻取ユニット2の動作の状態を表示可能なアラームランプ25を設けている。このように巻取ユニット2の動作の状態を表示可能なアラームランプ25を、支持体6の湾曲面20に設けたことで、図5に示すように、その巻取ユニット2から、並設方向Aに遠く離れた、一般オペレータに、その巻取ユニット2の動作の状態をスムーズに認識させることができる。また、このようにアラームランプ25を支持体6の湾曲面20に設けたことで、アラームランプ25によって動作の状態を表示している巻取ユニット2がたまたま一般オペレータの正面に位置するものであったとしても、一般オペレータは、その巻取ユニット2の動作の状態を問題なく認識することができる。また、このようにアラームランプ25が角張らずに湾曲していることで、オペレータは巻取ユニット2に対して側面に位置する場合と正面に位置する場合の双方において巻取ユニット2の動作の状態を認識することができる。更に、アラームランプ25の角張らずに湾曲している形状は、一般オペレータに対してやわらかいイメージを与え、一般オペレータがアラームランプ25に対して親しみ易くなる。
【0072】
上記実施形態においてアラームランプ25は支持体6の湾曲面20に設けられているが、巻取ユニット2から遠く離れた一般オペレータに、その巻取ユニット2の動作状況をすぐに視認させることができる形態であればこれに限られない。例えば、巻取ユニット2の支持体6の側面18にアラームランプ25を設ける構成としてもよい。また、巻取ユニット2の支持体6の側面18と正面19の双方にアラームランプ25を設ける構成としてもよい。また、巻取ユニット2の支持体6の側面18と正面19の双方にアラームランプ25を一体的に設けてもよい。このように、支持体6の側面18と正面19の双方にアラームランプ25を一体的に設けることで、アラームランプ25は、支持体6の側面18と正面19に渡って途切れることなく広面積に設けられるため、一般オペレータに対するアピール力が向上する。
【0073】
また、上記実施形態では、例えば、図3、図6、図8、図9に示すように、アラームランプ25は、巻取ユニット2の異なる動作の状態に応じて表示形態を変更可能に構成されている。上記実施形態では上記の「表示形態」は、点灯と点滅の別や、発光色とされる。以上の構成によれば、一般オペレータは、アラームランプ25を介して、巻取ユニット2の異なる動作の状態を区別して認識できるようになる。
【0074】
また、上記実施形態では、巻取ユニット2の動作の状態は、保全作業を必要とする状態を含んでいる。支持体6の前記正面19に、例えば、図3や図4(b)、図6に示すように、必要な保全作業の内容を表示する操作ボタンユニット23(特に、上ボタン23a、中ボタン23e、下ボタン23b)を設けている。更に、図3に示すように、アラームランプ25を操作ボタンユニット23の近傍に設けている。以上の構成によれば、アラームランプ25によって一般オペレータによる作業が必要となった巻取ユニット2へと誘導された一般オペレータは、図4(b)に示すように、視線を大きく変えることなく、必要となった作業の内容を操作ボタンユニット23を介して認識することができるようになる。また、アラームランプ25による表示と、操作ボタンユニット23による表示と、の視覚的な相乗効果が生まれ、もって、一般オペレータに対するアピール力が一層向上する。
【0075】
また、上記実施形態において、図3や図4(b)に示すように、支持体6の前記正面19に、糸巻取本体5の動作を運転と停止とに切り替える動作スイッチ24を設けている。この動作スイッチ24は、図4(b)に示すように、糸巻取本体5の動作を停止に切り替えるときは動作スイッチ24の可動部27を前記正面19から突出させ、糸巻取本体5の動作を運転に切り替えるときは上記可動部27を前記突出方向と反対の方向へ退避させるように構成されている。上記可動部27のうち、糸巻取本体5の動作が停止状態で露出する露出部分27aには彩色を施してある。以上の構成で、不具合が発生して運転を継続できなくなった場合や保全作業が未完了で巻取ユニット2の前を離れる必要がある場合には、上級オペレータは、前記動作スイッチ24を操作して、その巻取ユニット2の糸巻取本体5の動作を強制的に停止状態とする場合がある。このとき、上記可動部27のうち彩色した露出部分27aが前記支持体6の前記正面19から露出するので、この巻取ユニット2の糸巻取本体5の動作は意図的に停止にされているということを一般オペレータは、スムーズに認識することができる。従って、不用意な運転の再開を防止できる。また、糸巻取本体5の動作は、前記動作スイッチ24が操作されることなく、自動的に停止状態となる場合がある。この場合、上記の上級オペレータが巻取ユニット2の動作を強制的に停止状態とした場合と異なり、上記可動部27のうち彩色した露出部分27aは前記支持体6の前記正面19から露出しない。従って、糸巻取本体5の動作が停止状態となっているとき、この停止状態が上級オペレータの意思に基づくものなのか否かを視覚的に容易に区別することができる。
【0076】
また、上記実施形態では、例えば、図3や図4、図6に示すように、上ボタン23aと中ボタン23e、下ボタン23bが設けられる。そして、制御部60は、図9に示すように、(1)給糸ボビンBに起因する不具合が発生した場合は、糸巻取本体5の運転を停止して下ボタン23bを発光させ、その後、下ボタン23bから信号を受信したら糸巻取本体5の運転を再開し、(2)給糸ボビンBと巻取ボビンBf以外に起因する不具合が発生した場合は、糸巻取本体5の運転を停止して中ボタン23eを発光させ、その後、中ボタン23eから信号を受信したら糸巻取本体5の運転を再開し、(3)巻取ボビンBfに起因する不具合が発生した場合は、糸巻取本体5の運転を停止して上ボタン23aを発光させ、その後、上ボタン23aから信号を受信したら糸巻取本体5の運転を再開するようになっている。このように各ボタン23a、23b、23eに、不具合の内容を一般オペレータに教示する機能と、この不具合による糸巻取本体5の運転の停止の状態を解除する機能と、を兼ねさせることで、糸巻取本体5の運転を再開させようとするとき、一般オペレータは、給糸ボビンBか巻取ボビンBfか給糸ボビンBと巻取ボビンBf以外のうち何れに起因した不具合が発生したかを認識できる。それ故、一般オペレータは、当該不具合が自ら対応可能な不具合なのか、上級オペレータに対応を委ねるべき不具合なのかを正確に把握することができる。また、一般オペレータには、糸巻取本体5の運転を再開する前に自らがした作業と、本当に必要となった作業と、が一致しているかを自問する機会が付与される。従って、本当に必要な作業と、一般オペレータによって行われた作業と、の不一致が解消されるので、巻取ユニット2の生産性が向上する。
【0077】
また、例えば図2に示すように、給糸ボビンBを配置する給糸部100と糸処理実行部101、巻取ボビンBfを配置する巻取部102は、下から上へ向かってこの順に配置され、同じように、例えば図3や図4(b)に示すように、下ボタン23bと中ボタン23e、上ボタン23aも下から上へ向かってこの順に配置されている。以上の構成によれば、一般オペレータは、配置位置が対応しているので、不具合の内容を容易に読み取ることができる。
【0078】
また、例えば図3や図4(b)に示すように、下ボタン23bは下方を指し示す形状とされ、上ボタン23aは上方を指し示す形状とされている。以上の構成によれば、一般オペレータは、不具合の内容を一層直感的に読み取ることができる。
【0079】
オートワインダ1を構成する巻取ユニット2は上記のように生産性に優れるので、高い稼働率のオートワインダ1が実現されている。
【0080】
また、上記実施形態では、例えば、図6に示すように、制御部60は、複数の文字数字記号を記憶するRAM61を備える。RAM61によって記憶された前記複数の文字数字記号を横に並べて表示する7セグ表示器22と、RAM61によって記憶された前記の文字数字記号を変更する操作ボタンユニット23と、が設けられる。操作ボタンユニット23は、RAM61によって記憶された前記の文字数字記号のうち変更しようとする文字数字記号を選択するための、右方を指し示す位置に配置される右ボタン23cと、左方を指し示す位置に配置される左ボタン23dを含んでおり、更に、RAM61によって記憶された前記の文字数字記号のうち上記の右ボタン23cや左ボタン23dによって選択された文字数字記号を変更するための、上方を指し示す位置に配置される上ボタン23aと、下方を指し示す位置に配置される下ボタン23bと、を含んでいる。このように、変更しようとする文字数字記号を選択するための入力手段(右ボタン23c、左ボタン23dに相当。)が設けられていることにより、複数の文字数字記号を少ない入力手段で変更することができる。
【0081】
また、上記のRAM61は、3字の文字数字記号を記憶するようになっている。そして、7セグ表示器22は、図12に示すように、RAM61によって記憶された3字の文字数字記号を横に並べて表示するようになっている。前述した効果は、このように3字以上の文字数字記号を取り扱うときに複数の文字数字記号を少ない入力回数で変更することができるので特に有用である。
【0082】
また、制御部60は、例えば図7〜9、11と、図10に示すように、糸巻取本体5による通常の巻取動作を行う通常巻取モードと、糸巻取本体5の各構成部分を保全するための保全モードと、の二つのモードを選択的に実行可能とされている。そして、図7や図9、図10に示すように、右ボタン23cと左ボタン23dが同時に操作されると、制御部60は、実行するモードを上記通常巻取モードと保全モードとの間で切り替えるようになっている。即ち、右ボタン23cと左ボタン23dを同時に操作することは、そのように意識しないと通常できないことなので、この点、実行するモードが意図せずに切り替わってしまうのを防止できる。
【0083】
また、例えば、図3や図4(a)に示すように、右ボタン23c及び左ボタン23dは、小さく形成され、凹部26に配置されているため、上ボタン23aや下ボタン23bと比較して、操作し難い構成となっている。以上の構成によれば、実行するモードが意図せずに切り替わってしまうのを一層強力に防止できる。
【0084】
また、例えば図10に示すように、制御部60は、前記の保全モードが選択されており、ボタン23a〜23dのうち少なくとも何れかのボタンが操作されると、RAM61に記憶されている文字数字記号と、操作されたボタンの別(種類)と、に基づいて、糸巻取本体5の各構成要素を作動させるようになっている。以上の構成によれば、糸巻取本体5の保全を実施する際、上級オペレータが、各構成要素を意のままに作動させることができる。
【0085】
また、例えば図10に示すように、制御部60は、前記の保全モードが選択されており、各ボタン23a〜23dのうち少なくとも何れかのボタンが操作される度に、RAM61に記憶されている文字数字記号と、操作されたボタンの別(種類)と、に基づいて、糸巻取本体5の各構成要素を所定単位ずつ、作動させるようになっている。以上の構成によれば、きめ細かな保全が可能となる。
【0086】
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
【0087】
即ち、例えば、図7に示す通常巻取モードにおいて、何らかの原因でパッケージPそのものを排出し、新たな巻取ボビンBfを装着し直す必要が生じた場合は、制御部60は、図9のステップ740において、上ランプ23fを点灯させる代わりに、上ランプ23fを点滅させてもよい。このように上ランプ23fの表示態様にバリエーションを持たせることで、一般オペレータにきめ細かな指示をすることができる。
【0088】
同様に、例えば、図7に示す通常巻取モードにおいて、何らかの原因で給糸ボビンBそのものを廃出し、新たな給糸ボビンBを装着し直す必要が生じた場合は、制御部60は、図9のステップ780において、下ランプ23gを点灯させる代わりに、下ランプ23gを点滅させてもよい。このように下ランプ23gの表示態様にバリエーションを持たせることで、一般オペレータにきめ細かな指示をすることができる。同じようなコンセプトで、中ボタン23eの表示態様にバリエーションを持たせてもよい。
【0089】
また、給糸ボビンBの長手方向の長さには若干のバラツキが存在する。従って、解舒補助装置9の昇降運動の原点は、好ましくは、給糸ボビンBの長手方向の長さに応じて変更可能であるとよい。そこで、図10に示す保全モードにおいて、保全対象として解舒補助装置9の昇降運動の原点を入力し(S910)、上ボタン23aを押下することにより(S920)、この原点を上へ移動させ(S925)、下ボタン23bを押下することにより(S930)、この原点を下へ移動させる(S935)ような制御も有効となる。
【0090】
また、上記実施形態において、アラームランプ25は、青アラームランプ29と赤アラームランプ30の組み合わせを採用しているが、青アラームランプ29に代えて緑アラームランプを採用することもできる。
【0091】
駆動部としては、例えば、モータやエアシリンダ等の各種駆動装置が用いられる。
【0092】
また、上記実施形態において制御部60は、右ボタン23cと左ボタン23dが同時に押下されることによりモードを切り替えるように構成されているが、一方のボタンのみが押下された場合にもモードを切り替えるように構成されていてもよい。また、一方のボタンが先に押下されており、そのまま他方のボタンを押下した場合にも、実行するモードを切り替えるように構成されていてもよい。
【0093】
また、右ボタン23cと左ボタン23dが同時に押下されることによって通常巻取モードと切り替えられるモードは、保全モードのみに限られない。例えば、特開2004−352465号に開示されている糸欠点サンプルモードや、特開2003−11254号に開示されている入出力機器機能チェックモードへと切り替えられるように構成されていてもよい。
【0094】
また、上記実施形態において7セグ表示器22の表示内容には、「E85」「F84」などが使用されているが、「*77」や「*7E」など、文字と数字と記号を組み合わせたものであればよく、文字と数字の組み合わせに限られない。また、「777」や「EFG」のように数字や文字のみを組み合わせて表示してもよい。
【符号の説明】
【0095】
23 操作ボタンユニット
23a 上ボタン
23b 下ボタン
23c 右ボタン
23d 左ボタン
23e 中ボタン
【技術分野】
【0001】
本発明は、糸巻取機、及び繊維機械に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術として特許文献1は、不具合の発生箇所に応じて発光する複数の画像21〜26を有する糸巻取機を開示する。この糸巻取機には、エラー解除ボタンとして別のボタンが設けられている。
【0003】
自動ワインダを操作するオペレータには、巻取作業が良好に行われているかを巡察し、巻取作業の不良に対して、簡易なオペレーションを行う作業員と、機台が故障した場合の高度な修理を担当する保全員とがいる。以下、作業員を一般オペレータとし、保全員を上級オペレータとする。また、一般オペレータと上級オペレータとでは、自動ワインダに発生するエラーのうち、対応が可能なエラーが区別されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】独国特許出願公開第102006045237号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の構成では、エラーの発生箇所に応じて画像を発行させており、当該エラーが、一般オペレータと上級オペレータのどちらが対応すべきエラーなのかを厳密に区別して表示していない。このため、一般オペレータは、当該エラーが、自ら対応すべきエラーか上級オペレータに作業を委ねるべきかエラーを正確に把握しないままに、不適切な保全作業を施してしまうことがあった。このため、特許文献1の構成では、本当に必要な作業と、一般オペレータによって行われた作業と、の間に不一致が起き、糸巻取機の生産性の低下を招いていた。
【0006】
また、上記特許文献1の構成では、何れの画像が発光しているのかを十分に確認し、必要な作業を十分に把握することが一般オペレータに委ねられている。しかし、上記特許文献1の構成では、発光するエラー発生箇所を表示する画像とエラー解除ボタンが別々に設けられているため、一般オペレータが不具合の発生箇所を正確に把握しないままに、不適切な箇所に不適切な保全作業を施してしまうことがあった。このため、上記特許文献1の構成では、本当に必要な作業と、一般オペレータによって行われた作業と、の間に不一致が起き、糸巻取機の生産性の低下を招いていた。
【0007】
本発明は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その主な目的は、本当に必要な作業と、一般オペレータによって行われる作業と、の不一致を解消し、もって、糸巻取機の生産性を向上する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0008】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段とその効果を説明する。
【0009】
本願発明の観点によれば、給糸源から解舒された糸を巻取ボビンに巻き取り、機台に異常状態が発生したことを起点に運転状態から停止状態に切り替えられる糸巻取機は、以下のように構成される。即ち、少なくとも給糸源に起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第1の異常表示兼リセット部と、少なくとも巻取ボビンに起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第2の異常表示兼リセット部と、を備えた。
【0010】
上記の通り、一般オペレータと上級オペレータとでは、自動ワインダに発生する不具合のうち対応可能な不具合が区別されている。そのため、一般オペレータは、巡察中に不具合の発生を発見すると、その内容によって当該不具合への対応作業を自らが行うべきか上級オペレータに委ねるべきかを判断する。本願発明では、給糸源と巻取ボビンに起因した不具合の発生を、第1の異常表示兼リセット部と第2の異常表示兼リセット部とで区別して表示しているので、一般オペレータは自ら対応可能な不具合を正確に判断することができる。
【0011】
また、各異常表示兼リセット部に、不具合の内容を一般オペレータに教示する機能と、この不具合による前記機台の運転の停止の状態を解除する機能と、を兼ねさせることで、前記機台の運転を再開させようとするとき、一般オペレータは、給糸ボビン(給糸源)と巻取ボビンのうち何れに起因して不具合が発生したかを認識できる。それ故、一般オペレータは、前記機台の運転を再開する前に自らがした作業と、本当に必要となった作業と、が一致しているかを自問する機会が付与される。従って、本当に必要な作業と、一般オペレータによって行われた作業と、の間の不一致が解消されるので、前記糸巻取機の生産性が向上する。
【0012】
また、不具合の内容の確認と、自己の作業内容が適正か否かの確認と、運転の再開と、を異常表示兼リセット部の操作という一つの作業によって行うことができるため、オペレータの作業の正確性が向上する。
【0013】
上記の糸巻取機は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の異常表示兼リセット部と前記第2の異常表示兼リセット部との配置関係は、前記給糸源から解舒された前記巻取ボビンに巻き取られる糸の走行方向に対応している。
【0014】
以上の構成によれば、オペレータは、配置位置が対応しているので、給糸ボビンと巻取ボビンの何れに起因して不具合が発生したのかを容易に読み取ることができる。
【0015】
上記の糸巻取機は、更に、以下のように構成される。即ち、糸巻取機で発生する不具合のうち、給糸源と巻取ボビン以外に起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第3の異常表示兼リセット部を更に備えた。
【0016】
不具合の内容が糸巻取機自体の故障である場合等の高度な対応が必要なものであるときは、一般オペレータは、当該糸巻取機へと上級オペレータを呼び寄せる。本願発明では、発生した不具合が、給糸源に起因するのか巻取ボビンに起因するのか給糸源と巻取ボビン以外に起因するのか、を、各異常表示兼リセット部が区別して表示している。これによって、一般オペレータは、当該不具合が自ら対応可能な不具合なのか上級オペレータに作業を委ねさせるべき不具合なのかを区別することができる。
【0017】
また、各異常表示兼リセット部に、不具合の内容を一般オペレータに教示する機能と、この不具合による前記機台の運転の停止の状態を解除する機能と、を兼ねさせることで、前記機台の運転を再開させようとするとき、一般オペレータは、給糸ボビンか巻取ボビンか、給糸ボビンと巻取ボビン以外のうち何れに起因して不具合が発生したかを認識できる。それ故、オペレータは、前記機台の運転を再開する前に自らがした作業と、本当に必要となった作業と、が一致しているかを自問する機会が付与される。従って、本当に必要な作業と、オペレータによって行われた作業と、の間の不一致が解消されるので、前記糸巻取機の生産性が向上する。
【0018】
また、異常発生領域の確認と、自己の作業内容が適正か否かの確認と、運転の再開と、を異常表示兼リセット部の操作という一つの作業によって行うことができるため、オペレータの作業の正確性が向上する。
【0019】
上記の糸巻取機は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の異常表示兼リセット部が表示する異常状態には給糸源の不在が含まれ、及び/又は前記第2の異常表示兼リセット部が表示する異常状態には巻取ボビンの不在が含まれる。
【0020】
以上の構成を備えた糸巻取機においては、一般オペレータが対応可能な不具合をより正確に表示することができる。
【0021】
上記の糸巻取機は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第3の異常表示兼リセット部は、前記第1の異常表示兼リセット部と前記第2の異常表示兼リセット部との間に配置されている。
【0022】
以上の構成によれば、オペレータは、配置位置が対応しているので、不具合の内容を容易に読み取ることができる。
【0023】
上記の糸巻取機は、更に、以下のように構成される。即ち、前記第1の異常表示兼リセット部は糸の走行方向の上流を指し示す形状とされる。前記第2の異常表示兼リセット部は糸の走行方向の下流を指し示す形状とされる。
【0024】
以上の構成によれば、一般オペレータは、不具合の内容を一層直感的に読み取ることができる。
【0025】
上記の糸巻取機を複数備えて構成される繊維機械では、高い稼働率が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本願発明の一実施形態に係るオートワインダの斜視図
【図2】巻取ユニットの正面図
【図3】表示パネルの正面図
【図4】図3の4−4線矢視断面図と斜視図
【図5】オートワインダの平面図
【図6】巻取ユニットの電気的な構成を示す図
【図7】巻取ユニットの制御部の制御フロー
【図8】巻取ユニットの制御部の制御フロー
【図9】巻取ユニットの制御部の制御フロー
【図10】巻取ユニットの制御部の制御フロー
【図11】巻取ユニットの制御部の制御フロー
【図12】7セグ表示器の表示を変更する操作を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しつつ、本願発明の好適な実施形態を説明する。
【0028】
図1に示すように、オートワインダ1(繊維機械)は、多数の巻取ユニット2(糸巻取機)と、機台制御装置3と、自動玉揚装置4と、から構成されている。各巻取ユニット2は、給糸ボビンB(給糸源)の糸Yをトラバースさせながら所定形状のパッケージPとして巻き返す糸巻取本体5と、この糸巻取本体5を支持する支持体6と、から構成されている。機台制御装置3は、多数の巻取ユニット2の巻取条件などを設定するためのものである。自動玉揚装置4は、巻取ユニット2から発信された玉揚要求信号に基づいて該当する巻取ユニット2へと移動し、その巻取ユニット2で形成されたパッケージPを回収し、空の巻取ボビンを装着して所定の糸掛け作業を行うものである。このため、各巻取ユニット2と自動玉揚装置4は機台制御装置3と電気的に接続され、双方向通信可能となっている。以下、説明の便宜上、図1において、巻取ユニット2の並べられている方向を「並設方向A」として定義する。
【0029】
本実施形態において、給糸ボビンBから糸Yを解舒し供給する給糸部(給糸ボビン領域)100は、少なくとも、ペグ15と解舒補助装置9を含んで構成される。この給糸部100から供給された糸Yに対して処理を行う糸処理実行部101(糸処理領域)は、少なくとも、ディスク式張力付与装置11と、スプライサ12と、ヤーンクリアラ13と、ワキシング装置14と、を含んで構成される。この糸処理実行部101によって処理された糸YをパッケージPとして巻き取る巻取部102(巻取ボビン領域)は、少なくとも、クレードル(図略)と綾振ドラム8を含んで構成される。図2に示すように、上記の給糸部100、糸処理実行部101、巻取部102は、下から上へ向かってこの順に配置される。
【0030】
図2に示すように、巻取ユニット2の糸巻取本体5は、巻取ボビンBfを把持するクレードルと、糸Yをトラバースさせる綾振ドラム8と、を備え、給糸ボビンBと綾振ドラム8との間の糸走行経路中に、糸走行方向の上流側(給糸ボビンB側)から順に、解舒補助装置9、糸検出センサ10、ディスク式張力付与装置11、スプライサ12、ヤーンクリアラ13、ワキシング装置14、を備えている。また、給糸ボビンBは、傾動可能なペグ15に支持されている。また、巻取ユニット2の支持体6は、糸巻取本体5の運転を制御するための制御部60(図6参照)を備えている。
【0031】
クレードルは回動自在に構成されており、パッケージPの巻き太りに応じてクレードルが回動することで、パッケージPと綾振ドラム8との好適な接触が維持されるようになっている。
【0032】
上記の綾振ドラム8の周面には螺旋状の綾振溝8aが形成されており、この綾振溝8aによって糸Yはトラバースされる。綾振ドラム8には、綾振ドラム8を回転させるためのドラム駆動部8b(図6参照)が設けられ、このドラム駆動部8bは制御部60に電気的に接続され、もって、制御部60は、綾振ドラム8を所望の回転数で回転できるようになっている。また、ドラム駆動部8bには巻取進捗センサとしてのドラム回転センサ7aが内蔵されており、制御部60はドラム回転センサ7aから送られてくる回転パルス数をカウントできるようになっている。
【0033】
ペグ15は、糸巻取時では図2に示すように垂直状態となり、給糸ボビンBの交換時では糸巻取本体5の正面側に傾動することで、空となった給糸ボビンBを排出すると共に、新たな給糸ボビンBをマガジン(図略)から受け取るようになっている。このペグ15にはペグ駆動部15b(図6参照)が設けられ、このペグ駆動部15bは制御部60に電気的に接続され、もって、制御部60は、ペグ15を自在に傾動できるようになっている。
【0034】
解舒補助装置9は、給糸ボビンBの解舒と共に芯管に被さる筒体を降下させることで、給糸ボビンBからの糸Yの解舒を補助するものである。この解舒補助装置9には解舒補助装置駆動部9a(図6参照)が設けられ、この解舒補助装置駆動部9aは制御部60に電気的に接続され、もって、制御部60は、解舒補助装置9を自在に昇降できるようになっている。
【0035】
糸検出センサ10は、解舒補助装置9とディスク式張力付与装置11との間における糸Yの存在を検出するものである。この糸検出センサ10は制御部60に電気的に接続されており、糸Yの存在を検出できないとき、制御部60へ糸なし信号を送信するようになっている。
【0036】
ディスク式張力付与装置11は、一対のディスク部材11a・11aを備え、これらのディスク部材11a・11aを回転させながら糸Yを挟みこむことで、走行する糸Yに所定の張力を付与するものである。このディスク式張力付与装置11は、ディスク部材11a・11aを回転させるためのディスク式張力付与装置駆動部11b(図6参照)を備え、このディスク式張力付与装置駆動部11bは制御部60に電気的に接続され、もって、制御部60は、ディスク部材11a・11aの回転を自在に制御できるようになっている。なお、糸Yに所定の張力を付与するものには、上記ディスク式張力付与装置11以外にも例えばゲート式のものを採用することができる。
【0037】
スプライサ12は、糸欠点を検出して行う糸切断時または糸切れ時などに、給糸ボビンB側の糸Yと、パッケージP側の糸Yと、を糸継するものである。このスプライサ12は、図略の糸寄せレバーなどの複数のレバーを備え、複数のレバーの一連の動作はカム式で駆動するようになっている。このスプライサ12は、複数のレバーを動作させるためのスプライサカム駆動部12a(図6参照)を備え、このスプライサカム駆動部12aは制御部60に接続され、もって、制御部60は、スプライサ12の複数のレバーの一連の動作を自在に制御できるようになっている。
【0038】
ヤーンクリアラ13は、糸Yの欠陥を検出するためのものであって、ヤーンクリアラ13からの糸Yの太さに応じた信号が適宜のアナライザで処理されることで、スラブ等の糸欠点を検出する。また、このヤーンクリアラ13には、糸欠点を検出した時の糸切断用のカッター13aが付設される。また、ヤーンクリアラ13は、糸Yの走行を検出する糸走行センサ(図略)を備える。この糸走行センサは制御部60と電気的に接続されており、糸Yの走行を検出できないとき、制御部60へ糸切れ信号を送信するようになっている。
【0039】
ワキシング装置14は、走行する糸Yに対して所定のワックスを塗布するものである。このワキシング装置14は、制御部60に電気的に接続されるワキシング残量センサー14a(図6参照)を備え、ワックスの残量が所定値以下となったとき、制御部60に信号を送信するように構成されている。
【0040】
スプライサ12の下側には給糸ボビンB側の糸Yを吸引捕捉してスプライサ12へ案内する中継ぎパイプ16が設けられ、上側にはパッケージP側の糸Yを吸引捕捉してスプライサ12へ案内するサクションマウス17が設けられている。
【0041】
この中継ぎパイプ16は、ステッピング式の中継ぎパイプ駆動部16a(図6参照)を備え、この中継ぎパイプ駆動部16aによって軸16cまわりに旋回可能に構成されている。この中継ぎパイプ駆動部16aは制御部60に接続されており、もって、制御部60は中継ぎパイプ16を自在に旋回できるようになっている。また、中継ぎパイプ16には、制御部60に接続される中継ぎパイプセンサー16b(図6参照)が設けられ、この中継ぎパイプセンサー16bは、例えば光学式に構成され、パイプ内に吸い込まれた糸Yを検出すると、制御部60へ糸検出信号を送信するようになっている。
【0042】
同様に、サクションマウス17は、ステッピング式のサクションマウス駆動部17a(図6参照)を備え、このサクションマウス駆動部17aによって軸17cまわりに旋回可能に構成されている。このサクションマウス駆動部17aは制御部60に接続されており、もって、制御部60はサクションマウス17を自在に旋回できるようになっている。また、サクションマウス17には、制御部60に接続されるサクションマウスセンサー17bが設けられ、このサクションマウスセンサー17bは、例えば光学式に構成され、パイプ内に吸い込まれた糸Yを検出すると、制御部60へ糸検出信号を送信するようになっている。
【0043】
この構成で、糸切断時または糸切れ時においては、中継ぎパイプ16が図2に示す位置で給糸ボビンB側の糸Yを吸引捕捉し、軸16cまわりに下から上へと旋回してスプライサ12に糸Yを案内する。同時に、サクションマウス17が図2に示す位置から軸17cまわりに下から上へと旋回し、逆転するパッケージPから糸Yを吸引捕捉し、更に軸17cまわりに上から下へと旋回し、スプライサ12に糸Yを案内する。そして、スプライサ12は、このように案内された2本の糸Yを所定の糸継動作によって糸継ぎするようになっている。
【0044】
次に、前述の支持体6について説明する。
【0045】
支持体6は、前述したように糸巻取本体5を支持するものであって、図2に示すように、前記の並設方向Aに対して直交する一対の側面18と、正面19と、これら側面18及び正面19を湾曲状に接続する湾曲面20と、を有する。そして、この支持体6の上部には、正面19と湾曲面20に跨るように形成される操作パネル21が設けられている。
【0046】
この操作パネル21は、図3に示すように、上記の正面19に相当する正面部19aと、上記の湾曲面20に相当する一対の湾曲部20aと、を備えている。正面部19aには、上から下へ向かって順に、3桁表示の7セグ表示器22と、十字型にレイアウトされた操作ボタンユニット23と、動作スイッチ24と、が設けられている。また、湾曲部20aには、アラームランプ25が設けられている。
【0047】
7セグ表示器22は、図6に示す制御部60が備えるRAM61(Random Access Memory)に記憶されている文字か数字か記号のうち少なくとも一つを含んだ3つを横に並べて表示するものである。このため、7セグ表示器22は、図3に示すように7セグLED22aを横に3つ並べて構成されている。以下、文字か数字か記号のうち少なくとも一つを含んだものを文字数字記号とする。
【0048】
操作ボタンユニット23は、上ボタン23a(第2の異常表示兼リセット部)と、下ボタン23b(第1の異常表示兼リセット部)と、右ボタン23cと、左ボタン23dと、中ボタン23e(第3の異常表示兼リセット部)と、から構成されている。図3に示すように、上ボタン23aは中ボタン23eの上側に、下ボタン23bは中ボタン23eの下側に、右ボタン23cは中ボタン23eの右側に、左ボタン23dは中ボタン23eの左側に配置されている。即ち、下ボタン23bと中ボタン23eと上ボタン23aは下から上へ向かってこの順に配置され、上ボタン23aは上方を指し示す位置に、下ボタン23bは下方を指し示す位置に、右ボタン23cは右方を指し示す位置に、左ボタン23dは左方を指し示す位置に、夫々配置されている。そして、上ボタン23aは上方を指し示すような指向性を持った形状とされる。同様に、下ボタン23bは下方を指し示すような指向性を持った形状に、右ボタン23cは右方を指し示すような指向性を持った形状に、左ボタン23dは左方を指し示すような指向性を持った形状とされる。図6に示すように、各ボタン23a〜23eは制御部60に電気的に接続されており、各ボタン23a〜23eは、押下されると制御部60へ信号を送信するようになっている。また、上ボタン23aは、制御部60に接続され、制御部60によって発光が制御される上ランプ23fを内蔵している。同様に、下ボタン23bは、制御部60に接続され、制御部60によって発光が制御される下ランプ23gを内蔵している。同様に、中ボタン23eは、制御部60に接続され、制御部60によって発光が制御される中ランプ23hを内蔵している。また、図4(a)に示すように、右ボタン23cは、正面19に形成される第1の凹部26a内の奥まったところに配置される。左ボタン23dは、正面19に形成される第2の凹部26b内の奥まったところに配置される。また、右ボタン23cと左ボタン23dは、上ボタン23aや下ボタン23b、中ボタン23eと比べて図3の正面視で小さく形成される。上記の構成によって、右ボタン23cと左ボタン23dは、上ボタン23aや下ボタン23bと比較して押下し難いようになっている。
【0049】
動作スイッチ24は、糸巻取本体5の動作を運転と停止とに切り替えるためのスイッチであって、図4(b)に示すように、糸巻取本体5の動作を停止に切り替えるときは動作スイッチ24の可動部27を把持し引き出して正面19から突出させ、反対に、糸巻取本体5の動作を運転に切り替えるときは上記可動部27を上記の突出方向と反対の方向へ退避させる。そして、この可動部27のうち糸巻取本体5の動作が停止状態で露出する露出部分27aには、本実施形態において黄色で彩色が施されている。即ち、可動部27は、糸巻取本体5の動作が運転時では殆ど目立たず、糸巻取本体5の動作が停止時のみ目立つようになっている。また、動作スイッチ24は、可動部27が突出した状態で回動されることによって、突出方向の反対方向への退避が規制されるように構成されている。この回動式のロック機構により、単に可動部27を押しただけでは、糸巻取本体5の動作を切り替えることができないようになっている。
【0050】
アラームランプ25は、巻取ユニット2の動作の状態を表示するものである。このアラームランプ25は、図3に示すように上記の操作ボタンユニット23の近傍に設けられ、図4(a)に示すシボ加工が施され(或いは光拡散効果のあるシートが貼られ)、断面視で湾曲し、透光性の樹脂製のカバー28と、このカバー28内に収容されると共に制御部60と電気的に接続された青アラームランプ29及び赤アラームランプ30から成るアラームランプユニット31(図3及び図6を併せて参照)と、から構成されている。また、上記の「巻取ユニット2の動作の状態」とは、例えば、パッケージPが満巻きとなった状態、パッケージPが満巻きに近くなった状態、糸処理実行部101に不具合が発生し、保全作業を必要とする状態、などが挙げられる。そして、アラームランプ25は、上記の青アラームランプ29と赤アラームランプ30を選択的に発光させたり、点滅又は点灯を選択することにより、巻取ユニット2の異なる動作の状態に応じて表示形態を変更できるようになっている。なお、アラームランプユニット31を構成するアラームランプの色の種類は、表示形態を変更できればよく、青色と赤色に限られない。例えば、緑色のアラームランプ等を採用してもよい。
【0051】
また、図3に示すように、操作ボタンユニット23の上ボタン23aの近傍にはパッケージPの絵柄pが描かれており、同様に、下ボタン23bの近傍には給糸ボビンBの絵柄bが描かれている。
【0052】
前述した制御部60は、演算処理装置であるCPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行する制御プログラム及び制御プログラムに使用されるデータが記憶されているROM(Read Only Memory)と、プログラム実行時にデータを一時記憶するための上記のRAM61と、を備えている。そして、ROMに記憶された上記制御プログラムがCPUに読み込まれCPU上で実行されることで、制御プログラムは、CPUなどのハードウェアを用いて、図7〜11に示す制御フローを実現するようになっている。以下、図7〜11に示す制御フローに沿って、巻取ユニット2の作動を説明する。また、制御部60は、糸巻取本体5による通常の巻取動作を行う通常巻取モードと、糸巻取本体5の各構成部分を保全するための保全モードと、の二つのモードを選択的に実行可能となっている。この通常巻取モードは、制御プログラムのかたちでROMに記憶されており、図7〜9、及び図11に示される制御フローに相当する。また、保全モードも同様に、制御プログラムのかたちでROMに記憶されており、図10に示される制御フローに相当する。
【0053】
図7に示すように、オートワインダ1の電源が投入されると(S300)、糸巻取本体5による糸Yの巻き返しが開始する(S340)。
【0054】
この通常巻取モードにおいて、制御部60は、ドラム回転センサ7aから受信する回転パルス数に基づいてパッケージPの巻取径を算出し、この巻取径が所定値(例えば、満巻き時の巻取径の9割)に到達したと判定すると(S350:YES)、図8に示されるフローへと処理を移す(S355)。制御部60は、算出したパッケージPの巻取径が満巻き時の巻取径に到達したかを判定し(S500)、到達したと判定した場合は(S500:YES)、巻取ユニット2の糸巻取本体5の運転を停止し(S510)、青アラームランプ29を点灯させる(S520)と共に、玉揚要求信号を機台制御装置3へ送信する(S530)。これにより、自動玉揚装置4により玉揚作業が行われ(S540)、この玉揚作業が完了して運転再開の準備が整うと青アラームランプ29を消灯させた上で(S550)、巻取ユニット2の糸巻取本体5の運転を再開し(S560)、図7の制御フローに復帰する。一方、上記の巻取径が満巻き時の巻取径に到達していないと判定した場合は(S500:NO)、巻取ユニット2の糸巻取本体5の運転を停止させることなく、青アラームランプ29の点滅を開始させ(S570)、図7の制御フローに復帰する。従って、パッケージPの巻取径が満巻き時の巻取径に近づくと、先ずアラームランプ25が緑色で点滅し始め、やがて、パッケージPの巻取径が満巻き時の巻取径に至るとアラームランプ25が緑色での点灯へと切り替わり、玉揚作業の完了と同時にアラームランプ25が消灯することになる。
【0055】
また、この通常巻取モードにおいて、制御部60は、糸巻取本体5の各センサーを監視し、不具合が発生したと判定すると(S360:YES)、図9に示されるフローへと処理を移し(S365)、糸巻取本体5の運転を停止させ(S700)、図4(b)に示すように赤アラームランプ30を点灯させることで(S710)、一般オペレータを呼び寄せる。これと同時に、制御部60は、7セグ表示器22に発生した不具合に対応する文字数字記号を表示させる。
【0056】
同時に、制御部60は、不具合が巻取ボビンBfに起因して発生した場合(S730:X)、上ランプ23fを点灯させ(S740)、上ボタン23aからの信号の受信待ち状態となる(S750:NO)。巻取ボビンBfに起因して発生する不具合としては、例えば、サクションマウス17に所定の糸吸引捕捉動作をさせても糸Yを捕捉できない場合や、クレードルが巻取ボビンBfを把持する位置に巻取ボビンBfが供給されない場合などが挙げられる。巻取ユニット2に呼び寄せられた一般オペレータは、上ボタン23a、中ボタン23e、下ボタン23bのうち何れのボタンが点灯しているかを認識することで、不具合の内容を特定し、その内容に応じた対応を行う。即ち、一般オペレータは、上ボタン23aが点灯していることを認識することで、巻取ボビンBfに起因する不具合が発生したことを認識し、当該不具合への対応作業を自らが行うと判断する。そして、巻取ボビンBf周辺を重点的にチェックすることで当該不具合を解消するために必要な作業を特定し、その必要となった作業を行う。例えば、パッケージP側の糸Yの糸端がサクションマウス17によって捕捉され難いようであれば、糸Yの糸端を、捕捉され易い位置に移動させる。また、巻取ボビンBfに巻取形状が不良である不良パッケージが形成された場合には、一般オペレータは、不良パッケージを除去し新たな巻取ボビンと交換する。クレードルの巻取ボビンBfを把持する位置に巻取ボビンBfが供給されていない場合には、一般オペレータは、空の巻取ボビンをセットする。上記の作業が完了したら、一般オペレータは、点灯している上ボタン23aを押下する。上ボタン23aから信号を受信すると(S750:YES)、制御部60は、糸巻取本体5の運転を再開し(S800)、図7の制御フローへと復帰する。
【0057】
同様に、制御部60は、不具合が給糸ボビンBと巻取ボビンBf以外に起因して発生した場合(S730:Y)、中ランプ23hを点灯させ(S760)、中ボタン23eからの信号の受信待ち状態となる(S770:NO)。巻取ユニット2に発生する不具合のうち、給糸ボビンBと巻取ボビンBf以外に起因して発生する不具合以外の不具合とは、例えば、糸検出センサ10やドラム回転センサ7a等の巻取ユニット2を構成する各部品が故障した場合や巻取ユニット2へ供給される電圧が適切でない場合が挙げられる。また、スプライサ12や解舒補助装置9等の巻取ユニット2を構成する各部位の調整不良や設定不良の場合、巻取ユニット2のワキシング装置14が備えるワックスの残量が所定値以下となった場合、スプライサ12が連続して3回糸継動作を失敗した場合、等が挙げられる。そして、巻取ユニット2に呼び寄せられた一般オペレータは、中ボタン23eが点灯していることを認識することで、給糸ボビンBと巻取ボビンBf以外に起因した不具合が発生したことを認識し、当該不具合への対応作業を上級オペレータに委ねると判断する。そして、一般オペレータによって当該巻取ユニット2に呼び寄せられた上級オペレータは、当該不具合への対応作業が完了したら、点灯している中ボタン23eを押下する。中ボタン23eから信号を受信すると(S770:YES)、制御部60は、糸巻取本体5の運転を再開し(S800)、図7の制御フローへと復帰する。
【0058】
同様に、制御部60は、不具合が給糸ボビンBに起因して発生した場合(S730:Z)、下ランプ23gを点灯させ(S780)、下ボタン23bからの信号の受信待ち状態となる(S790:NO)。給糸ボビンBに起因して発生する不具合としては、例えば、中継ぎパイプ16が給糸ボビンB側の糸Yを捕捉できない場合が挙げられる。また、給糸ボビンBの品質が不良である場合や、給糸ボビンBが給糸部100の解舒位置に供給されない場合などが挙げられる。そして、巻取ユニット2に呼び寄せられた一般オペレータは、下ボタン23bが点灯していることを認識することで、給糸ボビンBに起因する不具合が発生したことを認識し、当該不具合への対応作業を自らが行うと判断する。そして、給糸ボビンB周辺を重点的にチェックすることで当該不具合を解消するために必要な作業を特定し、その必要となった作業を行う。例えば、給糸ボビンBの状態をチェックし、必要であれば給糸ボビンBを取り除いて新たな給糸ボビンBをセットする。上記の作業が完了したら、一般オペレータは、点灯している下ボタン23bを押下する。下ボタン23bから信号を受信すると(S790:YES)、制御部60は、糸巻取本体5の運転を再開し(S800)、図7の制御フローへと復帰する。
【0059】
なお、上級オペレータにとって、巻取ユニット2のどの部位や部品に起因して不具合が発生しているのかを特定できない場合がある。この場合、上級オペレータは、該当する巻取ユニット2の操作パネル21の右ボタン23cと左ボタン23dを同時に押下することで(S810:YES、S820:YES、S830:YES)、制御部60が実行するモードを、通常巻取モードから保全モードへと切り替える。即ち、制御部60が上ランプ23fを点灯させ(S740)、上ボタン23aからの信号の受信待ち状態となっているときに(S750:NO)、又は、制御部60が中ランプ23hを点灯させ(S760)、中ボタン23eからの信号の受信待ちとなっているときに(S770:NO)、又は、制御部60が下ランプ23gを点灯させ(780)、下ボタン23bからの信号の受信待ちとなっているときに(S790:NO)、左ボタン23dと右ボタン23cから同時に信号を受信すると(S810:YES、S820:YES、S830:YES)、制御部60は、実行するモードを通常巻取モードから保全モードへと切り替える。換言すれば、制御部60は、図10の制御フローへと処理を移す。
【0060】
図7に示す通常巻取モードで右ボタン23cと左ボタン23dから同時に信号を受信すると(S370:YES)、或いは、図9に示す通常巻取モードで右ボタン23cと左ボタン23dから同時に信号を受信すると(S810:YES、S820:YES、S830:YES)、制御部60は、図10に示すように、糸巻取本体5の運転を停止させて(S900)、保全モードを開始し、保全対象を特定する文字数字記号を入力可能な状態となり(S910)、中ボタン23eからの信号の受信待ち状態となる(S915)。保全対象とは、例えば、サクションマウス17や中継ぎパイプ16、解舒補助装置9、スプライサ12、ペグ15、ディスク式張力付与装置11、綾振ドラム8、が挙げられる。そして、前記の上級オペレータは、操作ボタンユニット23を用いて、保全対象を特定する文字数字記号を制御部60に入力する。ここでは、仮に、上記の保全対象が中継ぎパイプ16であり、RAM61に「E75」が記憶されているとし、中継ぎパイプ16を特定する文字数字記号が「F84」であるとし、制御部60は、RAM61に記憶されている「E75」を7セグ表示器22に表示させており、図12に示すように、変更対象を特定するために2桁目の「7」を点滅表示させているとする。この状態で、上級オペレータは、上ボタン23aを一回、押下する。上ボタン23aから信号を受信した制御部60は、RAM61に記憶されている3桁の文字数字記号のうち、点滅表示させている桁である2桁目に対応する文字数字記号をインクリメントさせることで、7セグ表示器22の表示内容を「E75」から「E85」へと変更させる。ここで、インクリメントとは、数字に関して言えば1を加えることであり、文字に関して言えばアルファベット順に従って次の文字へと移ることである。
【0061】
次に、上級オペレータは、RAM61に記憶されている3桁の文字数字記号のうち、1桁目に対応する文字数字記号を変更するために、右ボタン23cを一回、押下する。右ボタン23cから信号を受信した制御部60は、変更対象を改めて特定するために1桁目の「5」を点滅表示させる。この状態で、上級オペレータは、下ボタン23bを一回、押下する。下ボタン23bから信号を受信した制御部60は、RAM61に記憶されている3桁の文字数字記号のうち、点滅表示させている桁である1桁目に対応する文字数字記号をデクリメントさせることで、7セグ表示器22の表示内容を「E85」から「E84」へと変更させる。ここで、デクリメントとは、数字に関して言えば1を減じることであり、文字に関して言えばアルファベット順に従って前の文字へと移ることである。
【0062】
次に、上級オペレータは、RAM61に記憶されている3桁の文字数字記号のうち、3桁目に対応する文字数字記号を変更するために、右ボタン23cを再度一回、押下する。右ボタン23cから信号を受信した制御部60は、変更対象を改めて特定するために3桁目の「E」を点滅表示させる。この状態で、上級オペレータは、上ボタン23aを一回、押下する。上ボタン23aから信号を受信した制御部60は、RAM61に記憶されている3桁の文字数字記号のうち、点滅表示させている桁である3桁目に対応する文字数字記号をインクリメントさせることで、7セグ表示器22の表示内容を「E84」から「F84」へと変更させる。
【0063】
こうして、操作ボタンユニット23を用いて、保全対象たる中継ぎパイプ16を特定するための文字数字記号「F84」を制御部60に入力し終えると、上級オペレータは、中ボタン23eを押下する(S915:YES)。ここで、中ボタン23eの押下は、上記入力の完了を意味する。中ボタン23eから信号を受信すると、制御部60は、上ボタン23a、下ボタン23b、右ボタン23c、左ボタン23dからの信号の受信の有無を順にスキャンして判定する(S920〜S950)。この状態で、例えば上ボタン23aを押しっ放しにすると(S920:YES)、制御部60は上動作を繰り返し実行する(S925)。保全対象が中継ぎパイプ16とされる場合、上動作は、中継ぎパイプ16の所定角度(例えば2度)の上昇旋回動作になる。従って、制御部60は、所定角度の上昇旋回動作を繰り返し実行することで、中継ぎパイプ16を上昇旋回させる。また、上ボタン23aを1回だけ押下すると(S920:YES)、制御部60は上動作を1回だけ実行する(S925)。即ち、制御部60は、中継ぎパイプ16を所定角度だけ上昇旋回させる。
【0064】
同様に、下ボタン23bを押しっ放しにすると(S930:YES)、制御部60は下動作を繰り返し実行する(S935)。保全対象が中継ぎパイプ16とされる場合、下動作は、中継ぎパイプ16の所定角度(例えば2度)の下降旋回動作になる。従って、制御部60は、所定角度の下降旋回動作を繰り返し実行することで、中継ぎパイプ16を下降旋回させる。また、下ボタン23bを1回だけ押下すると(S930:YES)、制御部60は下動作を1回だけ実行する(S935)。即ち、制御部60は、中継ぎパイプ16を所定角度だけ下降旋回させる。
【0065】
このように、中継ぎパイプ16の旋回動作を自在に操ることで、中継ぎパイプ16の動作に関連した不具合を容易に特定することができるようになっている。
【0066】
そして、不具合を特定でき、必要な修理が完了したら、上級オペレータは、保全モードを終了して糸巻取本体5の運転を再開させるために、右ボタン23cと左ボタン23dを同時に押下する。すると、制御部60は、右ボタン23cと左ボタン23dから信号を同時に受信し(S960:YES)、糸巻取本体5の運転を再開させて(S970)、保全モードを終了し、図7のEへと処理を移す。
【0067】
上記の保全モードでは、保全対象が中継ぎパイプ16であるとしたが、それ以外にも、例えば、サクションマウス17や解舒補助装置9、スプライサ12、ペグ15、ディスク式張力付与装置11、綾振ドラム8も保全対象となり得る。
【0068】
即ち、保全対象がサクションマウス17の場合は、図10の上動作は、サクションマウス17の上昇旋回動作となり、下動作は、下降旋回動作となる。同様に、解舒補助装置9の場合は、上動作は、解舒補助装置9の上昇運動動作となり、下動作は、下降運動動作となる。スプライサ12の場合は、右動作は、糸寄せレバーの開動作となり、左動作は、糸寄せレバーの閉動作となる。ペグ15の場合は、右動作は、ペグ15を正面側に傾動させる動作となり、左動作は、ペグ15を傾動状態から引き起こす動作となる。ディスク式張力付与装置11の場合は、右動作と左動作が、ディスク部材11a・11aの回転方向の正逆に対応する。綾振ドラム8の場合は、上動作は、綾振ドラム8の回転数を増加させ、下動作は、綾振ドラム8の回転数を減少させる。このように、上動作と、下動作と、右動作と左動作、ひいては、上下左右の各ボタン23a〜23dは、糸巻取本体5の各構成要素独特の動作方向と十字配置された各ボタンの指向性とを関連付けている。これにより、オペレータは各構成要素独特の動作を直感的に連想できるようになる。即ち、上ボタン23aと下ボタン23bは、各構成要素の昇降運動や、各構成要素の動作速度の増減に対応している。また、右ボタン23cと左ボタン23dは、各構成要素の左右方向への運動や、各構成要素の前後方向への運動に対応している。
【0069】
また、図7に示す通常巻取モードで下ボタン23bから信号を受信すると(S380:YES)、図11の制御フローへと処理を移す(S385)。制御部60は、図11に示すように、糸巻取本体5の運転を停止し(S1000)、ペグ駆動部15bを傾動させるなどして給糸ボビンBを排出すると共に新たな給糸ボビンBをペグ15に保持させることで給糸ボビンチェンジを行い(S1010)、そして、糸巻取本体5の運転を再開させ(S1020)、図7の制御フローへと復帰する。
【0070】
ところで、保全のため、上級オペレータは糸巻取本体5の動作を強制的に停止しておきたい場合がある。この場合、上級オペレータは、動作スイッチ24を操作して、動作スイッチ24の可動部27を退避状態から突出状態へと切り替えればよい。この場合には、動作スイッチ24の可動部27を退避状態へと切り替えることで、保全モードを終了して糸巻取本体5の運転を再開する構成としてもよい。
【0071】
上記実施形態では、例えば、図3、図4(a)及び(b)、図5に示すように、支持体6の湾曲面20に、巻取ユニット2の動作の状態を表示可能なアラームランプ25を設けている。このように巻取ユニット2の動作の状態を表示可能なアラームランプ25を、支持体6の湾曲面20に設けたことで、図5に示すように、その巻取ユニット2から、並設方向Aに遠く離れた、一般オペレータに、その巻取ユニット2の動作の状態をスムーズに認識させることができる。また、このようにアラームランプ25を支持体6の湾曲面20に設けたことで、アラームランプ25によって動作の状態を表示している巻取ユニット2がたまたま一般オペレータの正面に位置するものであったとしても、一般オペレータは、その巻取ユニット2の動作の状態を問題なく認識することができる。また、このようにアラームランプ25が角張らずに湾曲していることで、オペレータは巻取ユニット2に対して側面に位置する場合と正面に位置する場合の双方において巻取ユニット2の動作の状態を認識することができる。更に、アラームランプ25の角張らずに湾曲している形状は、一般オペレータに対してやわらかいイメージを与え、一般オペレータがアラームランプ25に対して親しみ易くなる。
【0072】
上記実施形態においてアラームランプ25は支持体6の湾曲面20に設けられているが、巻取ユニット2から遠く離れた一般オペレータに、その巻取ユニット2の動作状況をすぐに視認させることができる形態であればこれに限られない。例えば、巻取ユニット2の支持体6の側面18にアラームランプ25を設ける構成としてもよい。また、巻取ユニット2の支持体6の側面18と正面19の双方にアラームランプ25を設ける構成としてもよい。また、巻取ユニット2の支持体6の側面18と正面19の双方にアラームランプ25を一体的に設けてもよい。このように、支持体6の側面18と正面19の双方にアラームランプ25を一体的に設けることで、アラームランプ25は、支持体6の側面18と正面19に渡って途切れることなく広面積に設けられるため、一般オペレータに対するアピール力が向上する。
【0073】
また、上記実施形態では、例えば、図3、図6、図8、図9に示すように、アラームランプ25は、巻取ユニット2の異なる動作の状態に応じて表示形態を変更可能に構成されている。上記実施形態では上記の「表示形態」は、点灯と点滅の別や、発光色とされる。以上の構成によれば、一般オペレータは、アラームランプ25を介して、巻取ユニット2の異なる動作の状態を区別して認識できるようになる。
【0074】
また、上記実施形態では、巻取ユニット2の動作の状態は、保全作業を必要とする状態を含んでいる。支持体6の前記正面19に、例えば、図3や図4(b)、図6に示すように、必要な保全作業の内容を表示する操作ボタンユニット23(特に、上ボタン23a、中ボタン23e、下ボタン23b)を設けている。更に、図3に示すように、アラームランプ25を操作ボタンユニット23の近傍に設けている。以上の構成によれば、アラームランプ25によって一般オペレータによる作業が必要となった巻取ユニット2へと誘導された一般オペレータは、図4(b)に示すように、視線を大きく変えることなく、必要となった作業の内容を操作ボタンユニット23を介して認識することができるようになる。また、アラームランプ25による表示と、操作ボタンユニット23による表示と、の視覚的な相乗効果が生まれ、もって、一般オペレータに対するアピール力が一層向上する。
【0075】
また、上記実施形態において、図3や図4(b)に示すように、支持体6の前記正面19に、糸巻取本体5の動作を運転と停止とに切り替える動作スイッチ24を設けている。この動作スイッチ24は、図4(b)に示すように、糸巻取本体5の動作を停止に切り替えるときは動作スイッチ24の可動部27を前記正面19から突出させ、糸巻取本体5の動作を運転に切り替えるときは上記可動部27を前記突出方向と反対の方向へ退避させるように構成されている。上記可動部27のうち、糸巻取本体5の動作が停止状態で露出する露出部分27aには彩色を施してある。以上の構成で、不具合が発生して運転を継続できなくなった場合や保全作業が未完了で巻取ユニット2の前を離れる必要がある場合には、上級オペレータは、前記動作スイッチ24を操作して、その巻取ユニット2の糸巻取本体5の動作を強制的に停止状態とする場合がある。このとき、上記可動部27のうち彩色した露出部分27aが前記支持体6の前記正面19から露出するので、この巻取ユニット2の糸巻取本体5の動作は意図的に停止にされているということを一般オペレータは、スムーズに認識することができる。従って、不用意な運転の再開を防止できる。また、糸巻取本体5の動作は、前記動作スイッチ24が操作されることなく、自動的に停止状態となる場合がある。この場合、上記の上級オペレータが巻取ユニット2の動作を強制的に停止状態とした場合と異なり、上記可動部27のうち彩色した露出部分27aは前記支持体6の前記正面19から露出しない。従って、糸巻取本体5の動作が停止状態となっているとき、この停止状態が上級オペレータの意思に基づくものなのか否かを視覚的に容易に区別することができる。
【0076】
また、上記実施形態では、例えば、図3や図4、図6に示すように、上ボタン23aと中ボタン23e、下ボタン23bが設けられる。そして、制御部60は、図9に示すように、(1)給糸ボビンBに起因する不具合が発生した場合は、糸巻取本体5の運転を停止して下ボタン23bを発光させ、その後、下ボタン23bから信号を受信したら糸巻取本体5の運転を再開し、(2)給糸ボビンBと巻取ボビンBf以外に起因する不具合が発生した場合は、糸巻取本体5の運転を停止して中ボタン23eを発光させ、その後、中ボタン23eから信号を受信したら糸巻取本体5の運転を再開し、(3)巻取ボビンBfに起因する不具合が発生した場合は、糸巻取本体5の運転を停止して上ボタン23aを発光させ、その後、上ボタン23aから信号を受信したら糸巻取本体5の運転を再開するようになっている。このように各ボタン23a、23b、23eに、不具合の内容を一般オペレータに教示する機能と、この不具合による糸巻取本体5の運転の停止の状態を解除する機能と、を兼ねさせることで、糸巻取本体5の運転を再開させようとするとき、一般オペレータは、給糸ボビンBか巻取ボビンBfか給糸ボビンBと巻取ボビンBf以外のうち何れに起因した不具合が発生したかを認識できる。それ故、一般オペレータは、当該不具合が自ら対応可能な不具合なのか、上級オペレータに対応を委ねるべき不具合なのかを正確に把握することができる。また、一般オペレータには、糸巻取本体5の運転を再開する前に自らがした作業と、本当に必要となった作業と、が一致しているかを自問する機会が付与される。従って、本当に必要な作業と、一般オペレータによって行われた作業と、の不一致が解消されるので、巻取ユニット2の生産性が向上する。
【0077】
また、例えば図2に示すように、給糸ボビンBを配置する給糸部100と糸処理実行部101、巻取ボビンBfを配置する巻取部102は、下から上へ向かってこの順に配置され、同じように、例えば図3や図4(b)に示すように、下ボタン23bと中ボタン23e、上ボタン23aも下から上へ向かってこの順に配置されている。以上の構成によれば、一般オペレータは、配置位置が対応しているので、不具合の内容を容易に読み取ることができる。
【0078】
また、例えば図3や図4(b)に示すように、下ボタン23bは下方を指し示す形状とされ、上ボタン23aは上方を指し示す形状とされている。以上の構成によれば、一般オペレータは、不具合の内容を一層直感的に読み取ることができる。
【0079】
オートワインダ1を構成する巻取ユニット2は上記のように生産性に優れるので、高い稼働率のオートワインダ1が実現されている。
【0080】
また、上記実施形態では、例えば、図6に示すように、制御部60は、複数の文字数字記号を記憶するRAM61を備える。RAM61によって記憶された前記複数の文字数字記号を横に並べて表示する7セグ表示器22と、RAM61によって記憶された前記の文字数字記号を変更する操作ボタンユニット23と、が設けられる。操作ボタンユニット23は、RAM61によって記憶された前記の文字数字記号のうち変更しようとする文字数字記号を選択するための、右方を指し示す位置に配置される右ボタン23cと、左方を指し示す位置に配置される左ボタン23dを含んでおり、更に、RAM61によって記憶された前記の文字数字記号のうち上記の右ボタン23cや左ボタン23dによって選択された文字数字記号を変更するための、上方を指し示す位置に配置される上ボタン23aと、下方を指し示す位置に配置される下ボタン23bと、を含んでいる。このように、変更しようとする文字数字記号を選択するための入力手段(右ボタン23c、左ボタン23dに相当。)が設けられていることにより、複数の文字数字記号を少ない入力手段で変更することができる。
【0081】
また、上記のRAM61は、3字の文字数字記号を記憶するようになっている。そして、7セグ表示器22は、図12に示すように、RAM61によって記憶された3字の文字数字記号を横に並べて表示するようになっている。前述した効果は、このように3字以上の文字数字記号を取り扱うときに複数の文字数字記号を少ない入力回数で変更することができるので特に有用である。
【0082】
また、制御部60は、例えば図7〜9、11と、図10に示すように、糸巻取本体5による通常の巻取動作を行う通常巻取モードと、糸巻取本体5の各構成部分を保全するための保全モードと、の二つのモードを選択的に実行可能とされている。そして、図7や図9、図10に示すように、右ボタン23cと左ボタン23dが同時に操作されると、制御部60は、実行するモードを上記通常巻取モードと保全モードとの間で切り替えるようになっている。即ち、右ボタン23cと左ボタン23dを同時に操作することは、そのように意識しないと通常できないことなので、この点、実行するモードが意図せずに切り替わってしまうのを防止できる。
【0083】
また、例えば、図3や図4(a)に示すように、右ボタン23c及び左ボタン23dは、小さく形成され、凹部26に配置されているため、上ボタン23aや下ボタン23bと比較して、操作し難い構成となっている。以上の構成によれば、実行するモードが意図せずに切り替わってしまうのを一層強力に防止できる。
【0084】
また、例えば図10に示すように、制御部60は、前記の保全モードが選択されており、ボタン23a〜23dのうち少なくとも何れかのボタンが操作されると、RAM61に記憶されている文字数字記号と、操作されたボタンの別(種類)と、に基づいて、糸巻取本体5の各構成要素を作動させるようになっている。以上の構成によれば、糸巻取本体5の保全を実施する際、上級オペレータが、各構成要素を意のままに作動させることができる。
【0085】
また、例えば図10に示すように、制御部60は、前記の保全モードが選択されており、各ボタン23a〜23dのうち少なくとも何れかのボタンが操作される度に、RAM61に記憶されている文字数字記号と、操作されたボタンの別(種類)と、に基づいて、糸巻取本体5の各構成要素を所定単位ずつ、作動させるようになっている。以上の構成によれば、きめ細かな保全が可能となる。
【0086】
以上に本発明の好適な実施形態を説明したが、上記の実施形態は以下のように変更して実施することができる。
【0087】
即ち、例えば、図7に示す通常巻取モードにおいて、何らかの原因でパッケージPそのものを排出し、新たな巻取ボビンBfを装着し直す必要が生じた場合は、制御部60は、図9のステップ740において、上ランプ23fを点灯させる代わりに、上ランプ23fを点滅させてもよい。このように上ランプ23fの表示態様にバリエーションを持たせることで、一般オペレータにきめ細かな指示をすることができる。
【0088】
同様に、例えば、図7に示す通常巻取モードにおいて、何らかの原因で給糸ボビンBそのものを廃出し、新たな給糸ボビンBを装着し直す必要が生じた場合は、制御部60は、図9のステップ780において、下ランプ23gを点灯させる代わりに、下ランプ23gを点滅させてもよい。このように下ランプ23gの表示態様にバリエーションを持たせることで、一般オペレータにきめ細かな指示をすることができる。同じようなコンセプトで、中ボタン23eの表示態様にバリエーションを持たせてもよい。
【0089】
また、給糸ボビンBの長手方向の長さには若干のバラツキが存在する。従って、解舒補助装置9の昇降運動の原点は、好ましくは、給糸ボビンBの長手方向の長さに応じて変更可能であるとよい。そこで、図10に示す保全モードにおいて、保全対象として解舒補助装置9の昇降運動の原点を入力し(S910)、上ボタン23aを押下することにより(S920)、この原点を上へ移動させ(S925)、下ボタン23bを押下することにより(S930)、この原点を下へ移動させる(S935)ような制御も有効となる。
【0090】
また、上記実施形態において、アラームランプ25は、青アラームランプ29と赤アラームランプ30の組み合わせを採用しているが、青アラームランプ29に代えて緑アラームランプを採用することもできる。
【0091】
駆動部としては、例えば、モータやエアシリンダ等の各種駆動装置が用いられる。
【0092】
また、上記実施形態において制御部60は、右ボタン23cと左ボタン23dが同時に押下されることによりモードを切り替えるように構成されているが、一方のボタンのみが押下された場合にもモードを切り替えるように構成されていてもよい。また、一方のボタンが先に押下されており、そのまま他方のボタンを押下した場合にも、実行するモードを切り替えるように構成されていてもよい。
【0093】
また、右ボタン23cと左ボタン23dが同時に押下されることによって通常巻取モードと切り替えられるモードは、保全モードのみに限られない。例えば、特開2004−352465号に開示されている糸欠点サンプルモードや、特開2003−11254号に開示されている入出力機器機能チェックモードへと切り替えられるように構成されていてもよい。
【0094】
また、上記実施形態において7セグ表示器22の表示内容には、「E85」「F84」などが使用されているが、「*77」や「*7E」など、文字と数字と記号を組み合わせたものであればよく、文字と数字の組み合わせに限られない。また、「777」や「EFG」のように数字や文字のみを組み合わせて表示してもよい。
【符号の説明】
【0095】
23 操作ボタンユニット
23a 上ボタン
23b 下ボタン
23c 右ボタン
23d 左ボタン
23e 中ボタン
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給糸源から解舒された糸を巻取ボビンに巻き取り、機台に異常状態が発生したことを起点に運転状態から停止状態に切り替えられる糸巻取機において、
少なくとも給糸源に起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第1の異常表示兼リセット部と、
少なくとも巻取ボビンに起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第2の異常表示兼リセット部と、
を備えたことを特徴とする糸巻取機。
【請求項2】
請求項1に記載の糸巻取機であって、
前記第1の異常表示兼リセット部と前記第2の異常表示兼リセット部との配置関係は、前記給糸源から解舒された前記巻取ボビンに巻き取られる糸の走行方向に対応していることを特徴とする糸巻取機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の糸巻取機であって、
糸巻取機で発生する不具合のうち、給糸源と巻取ボビン以外に起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第3の異常表示兼リセット部を更に備えたことを特徴とする糸巻取機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の糸巻取機であって、
前記第1の異常表示兼リセット部が表示する異常状態には給糸源の不在が含まれ、及び/又は前記第2の異常表示兼リセット部が表示する異常状態には巻取ボビンの不在が含まれる、ことを特徴とする糸巻取機。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の糸巻取機であって、
前記第3の異常表示兼リセット部は、前記第1の異常表示兼リセット部と前記第2の異常表示兼リセット部との間に配置されていることを特徴とする糸巻取機。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の糸巻取機であって、
前記第1の異常表示兼リセット部は糸の走行方向の上流を指し示す形状とされ、
前記第2の異常表示兼リセット部は糸の走行方向の下流を指し示す形状とされる、
ことを特徴とする糸巻取機。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の糸巻取機を複数備えて構成される、繊維機械。
【請求項1】
給糸源から解舒された糸を巻取ボビンに巻き取り、機台に異常状態が発生したことを起点に運転状態から停止状態に切り替えられる糸巻取機において、
少なくとも給糸源に起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第1の異常表示兼リセット部と、
少なくとも巻取ボビンに起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第2の異常表示兼リセット部と、
を備えたことを特徴とする糸巻取機。
【請求項2】
請求項1に記載の糸巻取機であって、
前記第1の異常表示兼リセット部と前記第2の異常表示兼リセット部との配置関係は、前記給糸源から解舒された前記巻取ボビンに巻き取られる糸の走行方向に対応していることを特徴とする糸巻取機。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の糸巻取機であって、
糸巻取機で発生する不具合のうち、給糸源と巻取ボビン以外に起因した異常状態が発生したことを起点に定常表示から異常表示に切り替えられ、前記異常表示時に操作されることによって定常表示に切り替えられると共に、機台を停止状態から運転状態に切り替える第3の異常表示兼リセット部を更に備えたことを特徴とする糸巻取機。
【請求項4】
請求項1〜3の何れかに記載の糸巻取機であって、
前記第1の異常表示兼リセット部が表示する異常状態には給糸源の不在が含まれ、及び/又は前記第2の異常表示兼リセット部が表示する異常状態には巻取ボビンの不在が含まれる、ことを特徴とする糸巻取機。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の糸巻取機であって、
前記第3の異常表示兼リセット部は、前記第1の異常表示兼リセット部と前記第2の異常表示兼リセット部との間に配置されていることを特徴とする糸巻取機。
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の糸巻取機であって、
前記第1の異常表示兼リセット部は糸の走行方向の上流を指し示す形状とされ、
前記第2の異常表示兼リセット部は糸の走行方向の下流を指し示す形状とされる、
ことを特徴とする糸巻取機。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかに記載の糸巻取機を複数備えて構成される、繊維機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−16631(P2011−16631A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−162843(P2009−162843)
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】
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