説明

紙で作る花形状の芳香器

【課題】 従来の香水やアロマエッセンスなどの液状芳香材を手軽に美しく楽しむ手法があまりなく、また、気分に合わせ手軽に香りを変化させることも難しかった。
【解決の手段】 日本に古くからある折り紙と切り紙を応用し、1枚の紙を切って曲げるだけで形成される立体的な花形状で、中心部に香水やアロマエッセンスを垂らす皿状のへこみを持つ構造体とすることで、その時の気分に合わせ、手軽で見た目も美しい芳香器とすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日本に伝統的にある折り紙、切り紙の技術を利用し、美しい花形状にすることで、香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材を手軽に美しく楽しむためのものであり、机の上や洗面所、枕元などの狭い場所で、香りを楽しむことを目的としている。
【技術背景】
【0002】
従来、香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材を楽しむ方法としては、スプレーなどの噴霧器による拡散、ロウソクやランプの熱による拡散、超音波の振動を利用した拡散、香水やアロマエッセンスを入れたボトルに棒状や板状の拡散材を立てることによる拡散、石や木に香水やアロマエッセンスを染み込ませての拡散、コットンやハンカチなどの布に染み込ませての拡散、花の型をした造花による拡散等が行われている。
【0003】
従来のロウソクやランプの熱による拡散や超音波の振動を利用した拡散、ボトルに棒状や板状の拡散材を立てる拡散などでは、放出される強い香りが長時間続き、広い空間や部屋に香りが残ることが問題だった。香りをより狭いエリアで、香りが移るのを抑えつつ、利用者のその時の気持ちにより、より手軽に香りを変えたり、楽しむ方法が求められている。
【0004】
石や木、紙などに香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材を染み込ませた利用法も一般的に良く用いられているが、香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材を利用するのは、多くの場合女性であることから、より美しい形状や可愛らしさが求められている。
【0005】
布のハンカチやコットン、紙などに香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材を染み込ませる利用法も一般的に良く用いられているが、これらを直接机の上や本などに乗せた場合、香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材がそれらに染みて移り、シミや香りが移ってしまう問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
多くの放香器において、長時間、強く拡散されてしまう香りが、その空間や部屋、モノに移ってしまう課題、手軽に香りを変えられない課題、香水やアロマエッセンスが触れることで他のモノに染み付いてしまう課題に対し、より手軽に美しく香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材を楽しむ方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
日本に古くからある折り紙と切り紙を応用し、1枚の紙を切って曲げるだけで作成される花形状の構造体で、以下の技術的手段から構成される。
(1)1枚の紙を切って、曲げることで作成され、中心点を通る、複数の対称軸が中心点から等角度で広がり、この対称軸で曲げられ、中心部に香水やアロマエッセンスを垂らすための皿状のへこみ部分を持つことを特色とする。
(2)請求項1記載の構造体の皿部分に香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材を垂らし、放香させる利用法。
(3)請求項1の構造体で、香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材を染み込ませたことを特色とする構造体。
【0008】
次に、本発明についてさらに詳細に説明する。
本発明は、上述のように(1)中心点を通る複数の対称軸が等角度で広がり、中心部に皿状のへこみ部分を持つことを特色とする立体的な花形状の構造体(2)または香水やアロマエッセンスを垂らし、放香させる利用法(3)または上記構造体に香水やアロマエッセンスを染み込ませた構造体において、紙は木材系、非木材系、樹脂系などの紙類全てを意味し、薄い木材でも切ったり曲げたりすることが可能であれば、同様の効果を持つ。
【0009】
中心部の香水やアロマエッセンスを垂らすためのへこんだ皿部分の形状は、一般的な丸型や多角型だけでなく、香水やアロマエッセンスを受けやすいへこんだ形状全てを意味する。また、皿部分の向きも、花の形状に対して上向きだけでなく、下向きの場合も、ひっくり返してから利用することで同様の効果がある。また、皿部分が直接床やテーブルなどの面に接しないように、曲げ方を工夫して浮かせることも効果的である。
【0010】
中心点を通る、曲げるための対称軸は、花の花弁の数が多様なように、3本、4本、5本、6本、7本、8本、10本、12本など、作成される花弁の数に合わせて変化する。
【0011】
香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材についても、液状、ゼリー状などの人工的芳香材また虫が忌避する薬剤についても同様の効果がある。
【0012】
花型とは、完全に花を写し取るような正確な形状ではなく、花をイメージさせる形状、すなわち、中心部からの対称性を持ち、中央部から広がる花弁状の形状が複数形成された構造体を意味する。
【発明の効果】
【0013】
本発明の構造体は、日本にもともとあった折り紙と切り紙の技術を応用し、花型の美しい香水やアロマエッセンスなどの、放香を楽しむ構造体にすることで、どこか懐かしく、親しみやすさを持った、とても手軽に香りを楽しむ芳香器とすることが可能となる。
【0014】
本発明の構造体は、1枚の紙を切って曲げるだけで作成されるため、構造が単純で製作コストも下げることが可能となる。また、コストが安く、手軽なことから、香りごとに新しい本発明の構造体を利用することが可能となり、その時の気分に合わせた香りを楽しむことが可能となる。また、小さな紙に染み込ませただけなので、香りを狭いエリアに限定し、香りが広がり過ぎたりすることを抑えられ、袋などにしまうことで、簡易に香りを止めることが可能となる。
【0015】
本発明の構造体に各々、別の香りを染み込ませ、複数枚重ねることで香りを自分好みに香りをブレンドすることが可能となる。特に、アロマでは、単体のアロマエッセンスを楽しむことより、複数の花のアロマエッセンスをブレンドすることが多く、その際にもとても効果的な方法となる。
【0016】
本発明の構造体の場合、切り込みの形状や曲げる位置の微妙な変化により、実に多彩な花型の形状が生まれ、そのため、その時の気分により、色々な花型の形状も楽しむことが可能となる。また、色に関しても多様に楽しむことが可能である。
【0017】
本発明の作成方法は、日本古来の折り紙と切り紙をベースとしているため、作成方法がとても単純で、小さな子供からお年寄りまで、折り紙のような手芸の一つとして、作ること自体を楽しむことができる。特に高齢者にとって、手先を動かすことは脳の老化防止にも効果が期待できる。また、高齢者と小さな子供とのコミュニケーションツールとしても効果的である。
【0018】
本発明では、構造体の中心点を通る対称軸が必ず発生することから、本発明の構造体の多くが平面的にたたむことが可能となり、薄いパッケージなどに詰めることが可能である。
【0019】
本発明の構造体では、その曲げ方や切り方を工夫することで、香水やアロマエッセンスを染み込ませる皿部分を直接床やテーブルなどに触れないようにすることが可能である。具体的には皿部分と別に脚部を設けたり、皿部分が接する場合も、その接点を小さくすることで、香水やアロマエッセンスなどが床やテーブルなどに移らないようにすることが可能である。
【0020】
本発明の構造体では必ず、飛び出た花弁状の形状を持つので、本発明の構造体に香水やアロマエッセンスを染み込ませた後でも、香水やアロマエッセンスの染み込んだ部分に直接触れることなく、構造体を持つことが可能となる。一部香水やアロマエッセンスなどでは、皮膚に対する炎症が一般的に知られており、できるだけ直接触れないことが大切である。
【0021】
本発明の構造体にあらかじめ香水やアロマエッセンスを染み込ませておくことで、手軽に香りを運ぶことが可能である。この構造体を、香りの漏れない樹脂フィルム、ラミネート、アルミ加工などが施された袋や箱に詰めて運べば、より長期に香りを楽しみたい時だけに楽しめ、より効果的である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による構造体の展開図例
【図2】上記展開図の八つ折り図
【図3】上記構造体例の透視図
【図4】上記構造体の逆側からの透視図
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、実施例の形態を図1〜図4に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は当該実施例により、何ら限定されるものではない。
【0024】
代表的な本発明の構造体を図を使いながら説明する。
図1は本発明の1例であり、太い実線部分3が切り取り線、一点鎖線が山折り1、二点鎖線が谷折り2の展開図を表わす。
図2はもとの四角形の紙5を八つ折りにした際の切り取り線3を表し、このように折ってから切ることで、簡易に本発明の構造体の作成が可能となる。ただし、八つ折りにして切るだけに限定されるものでなく、平面のままや、二つ折りなどで切ることでも同様の効果がある。中心部を含む切られた紙片を図1の谷折り1、山折り2に合わせて折ることで、図3の透視図のような花の形の構造体を作成できる。透視図では点線は曲げ線9を表わす。この図での中心部分が香水やアロマエッセンスを受ける皿部7で、中心部より放射状に花弁部分が広がる。
図4は、この構造体をひっくり返した時の透視図であり、中心部分の皿部分7に香水やアロマエッセンスを垂らす皿部分7の紙に香りが染み込み、手軽に美しい芳香を楽しむことが可能となる。脚部10が他の部分より少しだけ出ることで、花を上向きにテーブルなどに置いた場合、この構造体を浮かせて支え、他に香水やアロマエッセンスが移ることを防いでいる。
【符号の説明】
1.一点鎖線の山折り線
2.二点鎖線の谷折り線
3.切り線
4.切り取り部分
5.元になる紙
6.八つ折りライン
7.香水やアロマエッセンスを受ける皿部分
8.花弁部分
9.点線は曲げライン
10.花を支える脚部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の紙を切って、曲げることで作成される立体的な花形状の構造体で、中心点を通る、複数の対称軸が放射状に等角度で広がり、この対称軸で曲げられ、中心部に香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材を垂らすための皿状のへこみ部分を持つことを特色とする構造体。
【請求項2】
請求項1記載の構造体の皿部分に香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材を垂らし、放香させる利用法。
【請求項3】
請求項1の構造体で、香水やアロマエッセンスなどの液状の芳香材を染み込ませたことを特色とする構造体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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