説明

紙の製造方法、紙製容器の製造方法及び紙製容器

【課題】木材の原料を少なくできるとともに、アブラヤシ毬を原料にした場合でも上質感のある色を有する紙の製造方法を提供する。
【解決手段】アブラヤシの実から果実を採取した後のアブラヤシ毬をパルプ化してアブラヤシ毬パルプを製造するアブラヤシ毬パルプ製造工程(S11)と、木材片及び/又は古紙をパルプ化して木材パルプを製造する木材パルプ製造工程(S12)と、アブラヤシ毬パルプ製造工程において製造されたアブラヤシ毬パルプと木材パルプ製造工程において製造された木材パルプを混合して混合パルプを製造する混合工程(S13)と、混合工程において製造された混合パルプを製紙して、紙を製造する製紙工程(S14)とを有する紙の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙と紙製容器の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より紙の製造に際しては、木材片(チップ)又は古紙からパルプを製造し、パルプを製紙することにより製造している。なお、木材片からパルプを製造する方法としては、パルプ化材料としての木材片(チップ)から薬品を使って取り出した繊維を調成してパルプ化する方法(化学パルプ)や、パルプ化材料としての木材片(チップ)をリファイナーですりつぶし、その後スクリーンで塵を取り漂白することにより得た繊維を調成してパルプ化する方法(機械パルプ)がある。また、化学パルプや機械パルプのように木材を使用するパルプは木材パルプともいわれている。また、古紙から得たパルプは、再生パルプといわれている。
【0003】
一方、アブラヤシは、ヤシ科アブラヤシ属に分類される常緑高木であり、その果実と種子からは油脂を取ることができ、アブラヤシの果実や種子から取った油は、食用油、洗剤、石鹸等の原料となる。その意味で、アブラヤシは、最近では石油に代わるバイオマス燃料として注目されている。なお、アブラヤシは、慣用名ではパームヤシと称呼されている。
【0004】
なお、出願人は、先行技術文献として、特許文献1の文献を知得している。
【特許文献1】特公平1−18200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の紙の製造方法においては、木材パルプの場合には森林伐採による自然破壊の問題があり、再生パルプの場合でも古紙ももともとは木材片を使用しているので間接的に森林伐採による自然破壊の問題がある。
【0006】
一方、アブラヤシの実は、アブラヤシ毬(かさ)とアブラヤシ毬の表面に生(な)った多数の果実を有しているが、このアブラヤシの実から果実を取った後のアブラヤシ毬は従来廃棄されており、このアブラヤシ毬の有効利用が要望されていた。
【0007】
なお、特許文献1の「ヤシ殻繊維から紙を製造する方法」をアブラヤシ毬に適用した場合には、紙の色が黒っぽくなってしまい、紙に上質感を出すことができないという問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、木材の原料を少なくできるとともに、アブラヤシ毬を原料にした場合でも上質感のある色を有する紙の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は上記問題点を解決するために創作されたものであって、第1には、紙の製造方法であって、アブラヤシの実から果実を採取した後のアブラヤシ毬をパルプ化してアブラヤシ毬パルプを製造するアブラヤシ毬パルプ製造工程であって、アブラヤシ毬を破砕してなる破砕物における繊維部分を細断してなる細断繊維を蒸解処理することによりアブラヤシ毬パルプを製造するアブラヤシ毬パルプ製造工程と、木材片及び/又は古紙をパルプ化して木材パルプを製造する木材パルプ製造工程と、アブラヤシ毬パルプ製造工程において製造されたアブラヤシ毬パルプと木材パルプ製造工程において製造された木材パルプを混合して混合パルプを製造する混合工程と、混合工程において製造された混合パルプを製紙して、紙を製造する製紙工程と、を有することを特徴とする。
【0010】
この第1の構成の紙の製造方法によれば、アブラヤシ毬を原料にして紙を製造するので従来では廃棄されていたアブラヤシ毬を有効利用することができる。また、アブラヤシ毬により製造したパルプと木材パルプを混合するので、木材パルプの使用量を抑えることができ、木材の使用量を抑えることができる。さらには、アブラヤシ毬により製造したパルプと木材パルプを混合するので、上質感のある色を有する紙を製造することができる。
【0011】
また、第2には、上記第1の構成において、上記混合工程において、アブラヤシ毬パルプと木材パルプの合計重量に対して、木材パルプを50〜80重量%とすることを特徴とする。
【0012】
また、第3には、紙製容器の製造方法であって、上記第1又は第2の構成の製造方法により製造された紙を用いて段ボールを製造する段ボール製造工程と、段ボール製造工程において製造された段ボールを製函して容器を製造する製函工程と、を有することを特徴とする。
【0013】
この第3の構成の紙製容器の製造方法によれば、アブラヤシ毬を原料にして紙製容器を製造するので従来では廃棄されていたアブラヤシ毬を有効利用することができる。また、アブラヤシ毬により製造したパルプと木材パルプを混合するので、木材パルプの使用量を抑えることができ、木材の使用量を抑えることができる。さらには、アブラヤシ毬により製造したパルプと木材パルプを混合するので、上質感のある色を有する紙製容器を製造することができる。
【0014】
また、第4には、紙製容器であって、上記第1又は第2の構成の製造方法により製造された紙を用いて製造されたことを特徴とする。
【0015】
この第4の構成の紙製容器によれば、アブラヤシ毬を原料にして紙製容器を製造するので従来では廃棄されていたアブラヤシ毬を有効利用することができる。また、アブラヤシ毬により製造したパルプと木材パルプを混合するので、木材パルプの使用量を抑えることができ、木材の使用量を抑えることができる。さらには、アブラヤシ毬により製造したパルプと木材パルプを混合するので、上質感のある色を有する紙製容器を製造することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明に基づく紙の製造方法、紙製容器の製造方法によれば、アブラヤシ毬を原料にして紙を製造するので従来では廃棄されていたアブラヤシ毬を有効利用することができる。また、アブラヤシ毬により製造したパルプと木材パルプを混合するので、木材パルプの使用量を抑えることができ、木材の使用量を抑えることができる。さらには、アブラヤシ毬により製造したパルプと木材パルプを混合するので、上質感のある色を有する紙を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明においては、木材の原料を少なくできるとともに、アブラヤシ毬を原料にした場合でも上質感のある色を有する紙の製造方法を提供するという目的を以下のようにして実現した。
【0018】
本実施例の紙は、アブラヤシ毬から得たパルプと、木材片(チップ)及び/又は古紙から得たパルプとを混合した混合パルプを製紙して得たものである。
【0019】
すなわち、本実施例の紙の製造方法を図1を使用して説明すると、まず、アブラヤシ毬(かさ)をパルプ化してアブラヤシ毬パルプ(アブラヤシ殻パルプとしてもよい)を製造する(アブラヤシ毬パルプ製造工程(アブラヤシ毬パルプ化工程としてもよい)、S11)。
【0020】
すなわち、アブラヤシの実から果実を採取した後のアブラヤシ毬(図2参照)(「アブラヤシ殻」、「パームヤシ毬」、「パームヤシ殻」としてもよい)を破砕してなる破砕物を得る。そして、この破砕物を繊維部分と非繊維部分に分けて、繊維部分(この繊維部分を「ヤシ殻繊維」とする)を得る。なお、破砕物から繊維部分を分離する方法としては、破砕物を水などの液体に投入することにより、繊維部分が沈降し、非繊維部分が水面に浮かぶので、沈降した繊維部分を回収することにより得ることができる。
【0021】
次に、このヤシ殻繊維を細かく(例えば、1〜2cmの長さに)細断して、細断されたヤシ殻繊維を蒸解処理する。この蒸解処理は従来から知られている方法が適用され、例えば、クラフト蒸解法、酸素−アルカリ蒸解法、コールドソーダ法、ソーダ法等の蒸解方法を採用することができる。例えば、クラフト法では、苛性ソーダと硫化ソーダの混合液により160〜170℃の高温で煮ることにより行なう。このように細断されたヤシ殻繊維を蒸解処理することにより繊維中のリグニンが除去されヤシ殻繊維がパルプ化され、アブラヤシ毬を原料としたパルプ(アブラヤシ毬パルプ)が製造される。
【0022】
次に、木材片(チップ)及び/又は古紙をパルプ化して木材パルプを製造する(木材パルプ製造工程、S12)。
【0023】
木材片をパルプ化する方法としては、パルプ化材料としての木材片(チップ)から薬品を使って取り出した繊維を調成してパルプ化する方法(化学パルプ)、又は、パルプ化材料としての木材片(チップ)をリファイナーですりつぶし、その後スクリーンで塵を取り漂白することにより得た繊維を調成してパルプ化する方法(機械パルプ)が用いられる。
【0024】
また、古紙をパルプ化する方法としては、例えば、図3に示す工程により行なう。すなわち、まず、古紙処理工程(S21)において、パルプ化材料としての古紙をパルパーに投入することにより、古紙に付着していたインキ等の付着物や紙の繊維同士が離解され、その後、スクリーンによってゴミや塵を除去し、その後、デッカマシンに投入して、古紙に含まれている合成糊料や界面活性剤等の薬剤を除去する。
【0025】
その後、古紙は、離解工程(S22)において、再びパルパーに投入して付着物や紙の繊維同士を離解し、さらに、セブンファイナーやトップファイナーによりパルパーで離解されなかった繊維を離解する。
【0026】
その後、紙の繊維ごとに離解された古紙は、叩解工程(S23)において、リファイナーに投入することにより、紙の繊維を叩いたり潰したりして繊維同士を絡みやすくする。
【0027】
その後、調成工程(S24)において、叩解された古紙(つまり、調成前の紙繊維(パルプ))と、填料と、染顔料と、薬品とをミキサーに投入して混合する。
【0028】
また、填料としては、天然又は合成白色顔料(例えば、白土(クレー、粘土)、カオリン、炭酸カルシウム、二酸化チタン)が挙げられ、紙の白色度・不透明度・地合・表面の平滑性を向上させ、印刷時のインキ抜けなどを防ぐために投入される。また、薬品としては、紙の強度を高める薬品として、デンプンやPAM(ポリアクリルアミド)が挙げられ、水に濡れたときの強度(湿潤紙力)を高める薬品として、湿潤紙力剤が挙げられる。
【0029】
以上のようにして、古紙処理工程と離解工程と叩解工程と調成工程とを経て、パルプが製造される。
【0030】
なお、上記のパルプ化工程においては、デッカマシンによる処理は省略してもよく、離解工程や叩解工程を省略してもよく、また、フローテーターにより泡にインキを吸着させる工程を設けてもよい。つまり、例えば、パルパー、フローテーター、スクリーン、調成の順にパルプ化を行ってもよい。
【0031】
なお、この木材パルプ製造工程において、木材片によるパルプと古紙によるパルプを混合して木材パルプとしてもよい。
【0032】
次に、アブラヤシ毬パルプ製造工程で製造されたアブラヤシ毬パルプと木材パルプ製造工程で製造された木材パルプを混合することにより混合パルプを製造する(混合工程、S13)。例えば、アブラヤシ毬パルプと木材パルプとをミキサーに投入して混合する。アブラヤシ毬パルプと木材パルプの配合割合としては、アブラヤシ毬パルプと木材パルプの合計重量に対して、木材パルプを50〜80重量%とし、アブラヤシ毬パルプを20〜50重量%とするのが好ましい。すなわち、アブラヤシ毬パルプをなるべく活用しつつ、紙の色に高い上質感を出すには上記の範囲が好ましい。
【0033】
上記のように混合パルプが製造されたら、製紙工程(「抄造工程」又は「抄紙工程」としてもよい)(S14)に移行し、製紙(「抄造」又は「抄紙」としてもよい)が行われる。この製紙工程は、従来の工程と同様の工程で行われる。すなわち、この製紙工程においては、ワイヤーパート、プレスパート、ドライパート、サイズプレス、カレンダーの順に処理が行われる。つまり、ワイヤーパートでは、網の上で繊維を絡み合わせながら水を切り紙層を形成し、プレスパートでは、紙層をフェルトの上に乗せて2本のロールの間を通して脱水し、ドライパートでは、蒸気で加熱した鉄製のドライヤーに紙を押しつけて乾燥させ、サイズプレスでは、紙の表面に薬品を塗布して印刷に適した紙にし、カレンダーでは、鉄製のロールの間に紙を通して紙の厚さの調成や紙の表面を滑らかにする。その後は、リールによる巻き取りを行い、ワインダーやカッターで断裁を行なう。
【0034】
なお、カレンダーの前でドライパートの後に紙の表面を顔料等で塗工する塗工工程を設けてもよく、また、サイズプレスとカレンダーとの間にさらにドライパートを設けてもよい。また、リールで巻き取りを行なう前に、ペーパーマスターによる調湿工程を設けてもよい。
【0035】
以上のようにして、アブラヤシ殻パルプと木材パルプとを混合した混合パルプによる紙が製造される。
【0036】
なお、上記の説明では、アブラヤシ毬をパルプ化する工程の後に木材片(チップ)及び/又は古紙をパルプ化するものとして説明したが、木材片(チップ)及び/又は古紙をパルプ化する工程の後にアブラヤシ毬をパルプ化するようにしてもよい。
【0037】
上記のように製造された紙は種々の用途に使用できるが、例えば、該紙を使用して段ボール(「段ボール材」としてもよい(他においても同じ))を製造し、製造した段ボールにより紙製容器を製造する。つまり、図4に示すように、紙製造工程において、アブラヤシ殻パルプと木材パルプとを混合した混合パルプによる紙を製造し(S31、この紙製造工程S31が上記アブラヤシ毬パルプ製造工程S11〜製紙工程S14に当たる)、その後、段ボール製造工程において、製造された紙を使用して段ボールを製造し(S32)、その後、製函工程において、製造された段ボールを使用して紙製容器を製造する(S33)。
【0038】
ここで、段ボール製造工程は、従来の方法と同様であり、例えば、上記のように製造された紙の間に該紙を断面略波形に形成した中芯を固着した両面段ボールを製造する。つまり、該両面段ボールは、図5に示すように構成され、ライナーAと中芯BとライナーCはともに上記混合パルプにより製造された紙により製造されている。なお、ライナーAとライナーCは一般に板紙であるので、上記ワイヤーパートにおいては、紙層を多層に形成し、中芯Bは一般に薄く形成するので、上記ワイヤーパートにおいては、紙層は1層(単層)に形成される。
【0039】
段ボールの製造に際しては、具体的には、コルゲータ(コルゲートマシン)により製造される。このコルゲータは通常のコルゲータと同様の構成であり、ライナーA用の紙を繰り出す手段と、中芯B用の紙を繰り出す手段と、ライナーC用の紙を繰り出す手段と、それぞれの紙を予熱する予熱ロールと、予熱された中芯B用の紙からコルゲート状の中芯を連続的に形成するための一組の歯形ロールと、形成された中芯の一方の面の頂部に接着剤を塗布する第1接着剤塗布手段と、接着剤が塗布された中芯BとライナーA用の紙とを歯形ロールの一方の上で連続的に貼り合わせて「シングルフェーサー」とよばれる片面ダンボール紙を形成するための圧着ロールを有する第1貼り合わせ手段と、形成された片面ダンボール紙の他方の面の頂部に接着剤を塗布する第2接着剤塗布手段と、接着剤を塗布された片面ダンボール紙とライナーC用の紙とを貼り合わせて「ダブルバッカー」とよばれる両面ダンボール紙を形成するとともに、接着剤を乾燥させ、走行の間に貼り付けを完了するように配置された第2貼り合わせ手段で、熱盤と多数の小さな圧着ロールを有する第2貼り合わせ手段などを有する。上記の構成のコルゲータによりライナーAと中芯BとライナーCとからなる段ボールを製造する。
【0040】
また、製函工程においては、トムソン等の型抜き装置により製造された段ボールの型抜きを行い、その後、製函装置により組み立てて紙製容器を製造する。
【0041】
図6、図7は紙製容器の例であり、紙製容器5は、底部10と、側面部12と、側面部14と、側面部16と、糊代部18と、糊代部20と、側面部22と、側面部24と、側面部26と、糊代部28と、糊代部30と、側面部32と、側面部34とを有し、全体にトレー状を呈している。
【0042】
ここで、底部10は、長方形状の角部が斜めに欠切された八角形を呈し、長辺部10a、10bと、短辺部10c、10dと、角部に位置する角辺部10e、10f、10g、10hとにより囲まれた形状を有している。長辺部10aと長辺部10b、短辺部10cと短辺部10d、角辺部10eと角辺部10h、角辺部10fと角辺部10gは互いに平行をなしている。また、底部10は、左右方向及び上下方向に線対称に形成されている。
【0043】
また、側面部12は、底部10の長辺部10aから折れ線を介して連設され、略長方形状を呈している。また、側面部14は、側面部12の左側面側の側辺から折れ線を介して連設され、組立て状態において上側に行くほど幅広の略台形形状を呈している。また、側面部16は、側面部12の右側面側の側辺から折れ線を介して連設され、組立て状態において上側に行くほど幅広の略台形形状を呈している。側面部14と側面部16とは線対称に形成されている。また、糊代部18は、側面部14の側面部12側とは反対側の辺部から折れ線を介して連設され、先端にいくほど幅狭の四角形を呈している。また、糊代部20は、側面部16の側面部12側とは反対側の辺部から折れ線を介して連設され、先端にいくほど幅狭の四角形を呈している。糊代部18と糊代部20とは線対称に形成されている。
【0044】
また、側面部22は、底部10の長辺部10bから折れ線を介して連設され、略長方形状を呈している。また、側面部24は、側面部22の左側面側の側辺から折れ線を介して連設され、組立て状態において上側に行くほど幅広の略台形形状を呈している。また、側面部26は、側面部22の右側面側の側辺から折れ線を介して連設され、組立て状態において上側に行くほど幅広の略台形形状を呈している。側面部24と側面部26とは線対称に形成されている。また、糊代部28は、側面部24の側面部22側とは反対側の辺部から折れ線を介して連設され、先端にいくほど幅狭の四角形を呈している。また、糊代部30は、側面部26の側面部22側とは反対側の辺部から折れ線を介して連設され、先端にいくほど幅狭の四角形を呈している。糊代部28と糊代部30とは線対称に形成されている。
【0045】
また、側面部32は、底部10の短辺部10cから連設され、略方形状を呈している。同様に、側面部34は、底部10の短辺部10dから連設され、略方形状を呈している。紙製容器5の組立て状態では、側面部32の内側には、糊代部18、28が接着されるとともに、側面部34の内側には、糊代部20、30が接着される。側面部14の下辺は底部10の角辺部10eと当接し、側面部16の下辺は底部10の角辺部10gと当接し、側面部24の下辺は底部10の角辺部10fと当接し、側面部26の下辺は底部10の角辺部10hと当接する。
【0046】
なお、上記のように製造された紙を用いた段ボールにより形成された紙製容器は上記の形状には限られず任意の形状のものが可能である。また、段ボールとしては、両面段ボールとしたが、片面段ボールとしてもよい。また、上記のように製造された紙により板紙を製造し、該板紙により紙製容器を製造してもよい。

上記のように、本実施例の紙の製造方法においては、アブラヤシ毬を原料にして紙を製造するので従来では廃棄されていたアブラヤシ毬を有効利用することができる。また、アブラヤシ毬により製造したパルプと木材パルプを混合するので、木材パルプの使用量を抑えることができ、木材の使用量を抑えることができる。
【0047】
さらには、アブラヤシ毬により製造したパルプと木材パルプを混合するので、上質感のある色を有する紙(段ボール、紙製容器)を製造することができる。つまり、アブラヤシ毬により製造したパルプのみから紙を製造すると、色が黒っぽくなってしまい上質感のある色を出すことができないが、本実施例の場合には、木材パルプを混合するので上質感のある色を有する紙(段ボール、紙製容器)を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の実施例に基づく紙の製造方法を示すフローチャートである。
【図2】アブラヤシを説明するための説明図である。
【図3】古紙をパルプ化する方法を説明するフローチャートである。
【図4】本発明の実施例に基づく紙製容器の製造方法を示すフローチャートである。
【図5】紙製容器を構成するブランクの断面図である。
【図6】紙製容器の例を示す斜視図である。
【図7】紙製容器の例を示す展開図である。
【符号の説明】
【0049】
5 紙製容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙の製造方法であって、
アブラヤシの実から果実を採取した後のアブラヤシ毬をパルプ化してアブラヤシ毬パルプを製造するアブラヤシ毬パルプ製造工程であって、アブラヤシ毬を破砕してなる破砕物における繊維部分を細断してなる細断繊維を蒸解処理することによりアブラヤシ毬パルプを製造するアブラヤシ毬パルプ製造工程と、
木材片及び/又は古紙をパルプ化して木材パルプを製造する木材パルプ製造工程と、
アブラヤシ毬パルプ製造工程において製造されたアブラヤシ毬パルプと木材パルプ製造工程において製造された木材パルプを混合して混合パルプを製造する混合工程と、
混合工程において製造された混合パルプを製紙して、紙を製造する製紙工程と、
を有することを特徴とする紙の製造方法。
【請求項2】
上記混合工程において、アブラヤシ毬パルプと木材パルプの合計重量に対して、木材パルプを50〜80重量%とすることを特徴とする請求項1に記載の紙の製造方法。
【請求項3】
紙製容器の製造方法であって、
請求項1又は2に記載の製造方法により製造された紙を用いて段ボールを製造する段ボール製造工程と、
段ボール製造工程において製造された段ボールを製函して容器を製造する製函工程と、
を有することを特徴とする紙製容器の製造方法。
【請求項4】
紙製容器であって、
請求項1又は2に記載の製造方法により製造された紙を用いて製造されたことを特徴とする紙製容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−90487(P2010−90487A)
【公開日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−258998(P2008−258998)
【出願日】平成20年10月3日(2008.10.3)
【出願人】(000129493)株式会社クラウン・パッケージ (21)
【Fターム(参考)】